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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162785
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】空調管理システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 3/044 20060101AFI20241114BHJP
   F24F 3/16 20210101ALI20241114BHJP
   F24F 5/00 20060101ALI20241114BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20241114BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20241114BHJP
   F24F 13/02 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
F24F3/044
F24F3/16
F24F5/00 K
F24F7/007 B
F24F7/06 Z
F24F13/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078679
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000174884
【氏名又は名称】三井ホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 知徳
【テーマコード(参考)】
3L053
3L056
3L058
3L080
【Fターム(参考)】
3L053BB10
3L053BD03
3L056BB02
3L058BD06
3L058BE08
3L058BF06
3L058BF07
3L058BF08
3L080AC03
3L080AC05
(57)【要約】
【課題】正逆転ファンを用いることなく、暖房運転時と冷房運転時の空調空気の流れを逆転させるとともに、冬季においては短時間で床を暖めることができ、また夏季においては床を冷やすことがない、空調管理システムを提供すること。
【解決手段】空調管理システム100は、空調機11、機械室9、第一流路60、第二流路70、及び切替手段18a~18dを備える。第一流路60は、搬送ファン13の上流側に連通する第一上流側連通口17と、搬送ファン13の下流側に連通する第一下流側連通口15と、を備える。第二流路70は、搬送ファン13の上流側に連通する第二上流側連通口14と、搬送ファン13の下流側に連通する第二下流側連通口16と、を備える。切替手段18a~18dは、第一流路60及び第二流路70に対し、第二上流側連通口14、第一下流側連通口15、第二下流側連通口16、及び第一上流側連通口17の開閉を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調空気を供給する空調機と、前記空調機を収納する機械室と、前記機械室と居室とを接続する第一流路及び第二流路と、前記機械室に設置され前記空調空気を前記第一流路又は前記第二流路に送風する搬送ファンと、を備える空調管理システムであって、
前記第一流路は、
前記搬送ファンの上流側に連通する第一上流側連通口と、前記搬送ファンの下流側に連通する第一下流側連通口と、前記居室の床面に連通する第一床連通口と、を備えるとともに、
前記第二流路は、
前記搬送ファンの上流側に連通する第二上流側連通口と、前記搬送ファンの下流側に連通する第二下流側連通口と、前記居室の天井面に連通する第二天井連通口と、を備え、
前記第一流路及び前記第二流路に対し、前記第一上流側連通口、前記第二上流側連通口及び前記第一下流側連通口、前記第二下流側連通口の開閉を行う切替手段を、更に備え、
前記切替手段は、
前記第一下流側連通口及び前記第二上流側連通口を開くとともに、前記第一上流側連通口及び第二下流側連通口を塞ぐ第一の状態と、
前記第一下流側連通口及び前記第二上流側連通口を塞ぐとともに、前記第一上流側連通口及び前記第二下流側連通口を開く第二の状態と、
を切り替える、
ことを特徴とする空調管理システム。
【請求項2】
循環した前記空調空気に含まれる異物を取り除くフィルタを、更に備え、
前記フィルタは、
前記第一上流側連通口及び前記第二上流側連通口と、前記空調機との間に設置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の空調管理システム。
【請求項3】
前記居室は、一階居室と二階居室と、を備え、
前記第一床連通口は、前記一階居室の床面に連通し、
前記第二天井連通口は、前記二階居室の天井面に連通し、
前記一階居室と前記二階居室とは、階段室または吹き抜けを介して連通している、
ことを特徴とする請求項1に記載の空調管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家庭用の冷暖房装置は、一般的には各部屋に1台ずつ取り付けられる。ここで、部屋数の多い家庭は、冷暖房装置を設置する台数が多くなるため、消費電力が多くなる。消費電力が多くなると電気代の負担が多くなるため、家庭によっては冷暖房装置の設置を、必要な場所に限定することがある。
【0003】
また、各部屋に個別の冷暖房装置を設けると、室内機が各部屋に設置されるため、室内の意匠性が悪くなる。また、室内機が増えることで室外機も増えることになる、この場合、家の外観の意匠性が悪くなるとともに、室外機を設置する場所の確保も必要となる。
【0004】
一方、近年、省エネルギー化が求められており、多数の冷暖房装置を設置することは、家庭内でのエネルギー効率が悪く、冷暖房装置の空調効率の向上が要求されている。
【0005】
そこで、例えば、床下空間と小屋裏空間をダクトで連通させ、複数の冷暖房装置により供給される空調空気を、ダクトの中間部に設けられた送風ファンによって複数の各部屋に供給する空調システムが検討されている。
【0006】
例えば、特許文献1に記載された全館空調システムは、床下空間と小屋裏空間とを連通するダクトと、そのダクトを介して、床下空間の内気と小屋裏空間の内気とを適宜相互に送風する正逆転ファンを備えている。特許文献1に記載された全館空調システムでは、2基の冷暖房装置(空調機)からの空調空気を、床下ガラリ及び天井ガラリを介して、建物内部に循環させている(特許文献1の要約書参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2021-177104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載された全館空調システムは、正逆転ファンを用いて床下と天井裏の空気とを循環させているが、正逆転ファンは、一方向に送風するファンに比較して高価であるとともに、入手しにくいという短所がある。そのため、建築費用やメンテナンス費用が高価になり易い。特に、正逆ファンは、プロペラファンのため静圧が小さく、汎用品ではない。
【0009】
また、冬季において床が冷たい場合には、足先が冷えるため、人によっては不快に感じることもある。この対策として、暖房運転の空調空気を床下に送るとともに床面から吹き出すことで床を暖めることが考えられるが、特許文献1に記載された全館空調システムでは、冷房運転時も暖房運転時も空調空気が天井から居室に供給されるため、空気の循環によって床が温められるまでには、時間を要する。
【0010】
また、空調空気を床下に送るとともに床面から空調空気を吹き出す空調管理システムを構築すると、夏季においても冷気が床面から吹き出すことになる。この場合、床が冷たいと、夏季であっても不快感が増してしまう。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、正逆転ファンを用いることなく、暖房運転時と冷房運転時の空調空気の流れを逆転させるとともに、冬季においては短時間で床を暖めることができ、また夏季においては床を冷やすことがない、空調管理システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち、本発明の上記課題を解決するために、空調管理システムは、空調空気を供給する空調機と、前記空調機を収納する機械室と、前記機械室と居室とを接続する第一流路及び第二流路と、前記機械室に設置され前記空調空気を前記第一流路又は前記第二流路に送風する搬送ファンと、を備える空調管理システムであって、前記第一流路は、前記搬送ファンの上流側に連通する第一上流側連通口と、前記搬送ファンの下流側に連通する第一下流側連通口と、前記居室の床面に連通する第一床連通口と、を備えるとともに、前記第二流路は、前記搬送ファンの上流側に連通する第二上流側連通口と、前記搬送ファンの下流側に連通する第二下流側連通口と、前記居室の天井面に連通する第二天井連通口と、を備え、前記第一流路及び前記第二流路に対し、前記第一上流側連通口、前記第二上流側連通口及び前記第一下流側連通口、前記第二下流側連通口の開閉を行う切替手段を、更に備え、前記切替手段は、前記第一下流側連通口及び前記第二上流側連通口を開くとともに、前記第一上流側連通口及び第二下流側連通口を塞ぐ第一の状態と、前記第一下流側連通口及び前記第二上流側連通口を塞ぐとともに、前記第一上流側連通口及び前記第二下流側連通口を開く第二の状態と、を切り替える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、正逆転ファンを用いることなく、暖房運転時と冷房運転時の空調空気の流れを逆転させるとともに、冬季においては短時間で床を暖めることができ、また夏季においては床を冷やすことがない、空調管理システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係る空調管理システムを戸建て住宅に適用した場合の概略の構成を示す説明図である。
図2】戸建て住宅で使用される冬季の機械室の構成を示す説明図である。
図3】本実施形態に係る空調管理システムの夏季の構成を示した概念図である。
図4】夏季の機械室の構成を示した説明図である。
図5】変形例として、切替手段が開閉弁で構成された機械室を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実現するための一例であり、本発明が適用される装置の構成や各種条件によって適宜修正又は変更されるべきものであり、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。また、各図において、同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0016】
<本実施形態>
[空調管理システムの構成]
図1は、本実施形態に係る空調管理システムを戸建て住宅に適用した場合の概略の構成を示す説明図である。図2は、戸建て住宅で使用される冬季の機械室の構成を示す説明図である。なお、図1及び図2では、一例として、2階建ての戸建て住宅に本発明を適用した場合について説明するが、特に、2階建ての戸建て住宅に限定されない。また、図1及び図2では、空調管理システム100の冬季の構成を示している。
【0017】
図1に示すように、本実施形態に係る空調管理システム100は、機械室9、天井チャンバー10、第一流路60、床下20、第二流路70、小屋裏30、一階居室41及び二階居室42を備えて構成されている。一階居室41及び二階居室42は、2階建てを構成しており、ユーザの居室40を形成する。
【0018】
空調管理システム100は、機械室9を備えている。機械室9には、空調機11と搬送ファン13とが収納されている。機械室9は、例えば、2階のホールや廊下などのスペースを利用して設置される。機械室9は、空調機11によって空調管理された空調空気を、搬送ファン13によって第一流路60又は第二流路70に送風する。
【0019】
[冬季の空調管理システムの構成]
第一流路60は、図1及び図2に示すように、機械室9と、一階居室41とを接続する。第一流路60は、搬送ファン13の上流側に連通する第一上流側連通口17と、搬送ファン13の下流側に連通する第一下流側連通口15と、一階居室41の床面に連通する第一床連通口1と、を備えている。本実施形態では、床下20の空間自体を第一流路60の一部として利用している。つまり、一階居室41の床下20には、空調された空気が滞留するチャンバーが形成されている。また、機械室9から床下20までは、外壁の内部に第一流路60が設けられている。
【0020】
一階居室41は、図1に示すように、空間SPと連通する連通口2,5を備えている。空間SPは、階段室又は吹き抜けを構成する空間領域を含んで構成される。連通口2は、例えば、一階居室41のドアの下端部に設けられたガラリなどである。連通口2は、一階居室41の床下20から第一床連通口1を介して一階居室41に供給された暖気(空調空気)を、方向61に沿って、空間SPに供給する。
【0021】
連通口5は、例えば、一階居室41のドアの天井付近に設けられたガラリなどである。連通口5は、床下20から第一床連通口1を介して一階居室41に供給された暖気を、方向63に沿って、2階に供給する。
【0022】
二階居室42は、空間SPと連通する連通口3を備えている。連通口3は、一階居室41から連通口2,5を介して空間SPに供給された暖気を、方向62に沿って、二階居室42に供給する。空間SPの2階部分には機械室9が設けられ、機械室9の領域以外は吹き抜けになっている。このように、二階居室42には、一階居室41から連通口2,5を介して空間SPに供給された暖気が、連通口3を介して供給される。
【0023】
第二流路70は、図1及び図2に示すように、機械室9と、二階居室42とを接続する。第二流路70は、搬送ファン13の上流側に連通する第二上流側連通口14と、搬送ファン13の下流側に連通する第二下流側連通口16と、二階居室42の天井面に連通する第二天井連通口4と、を備えている。
【0024】
第二流路70は、小屋裏30に配管されるダクトで形成されている。小屋裏30には、空調された空気が滞留する天井チャンバー10が形成されている。第二流路70は、その天井チャンバー10の中を通過するように配管されている。
【0025】
天井チャンバー10は、冬季の暖房時において、二階居室42に供給された空気を、第二流路70を通って滞留させた後、機械室9に供給する。よって、天井チャンバー10は、二階居室42から供給された空気を一定の温度に保つとともに、一定の風量で機械室9に供給することができる。これにより、空調機11は、天井チャンバー10から供給される空気を効率的に暖めることができる。
【0026】
図1及び図2に示す冬季の場合、第一流路60は、空調機11の暖房運転による暖気を、第一下流側連通口15及び第一床連通口1を介して、一階居室41に供給する。空調機11の暖房運転による暖気は、第一流路60の第一下流側連通口15を介して床下20に送風されるので、一階居室41の床を、直接暖める。
【0027】
また、第二流路70は、一階居室41から連通口2、5及び連通口3を介して二階居室42に供給された暖気を、第二天井連通口4及び第二上流側連通口14を介して、空調機11に循環させている。これにより、空調機11の暖房運転による暖気は、第一流路60を通り、一階居室41及び二階居室42を介して、第二流路70を通ることで、空調機11に循環される。このように、空調管理システム100は、一階居室41及び二階居室42を、空調機11による暖気により効率的に空調管理することができる。
【0028】
[冬季の機械室の構成]
図2に示すように、機械室9は、空調機11、フィルタ12、搬送ファン13、及び切替手段18a~18dを備えて構成されている。また、機械室9には、第一流路60及び第二流路70により、第二上流側連通口14、第一下流側連通口15、第二下流側連通口16、及び第一上流側連通口17が形成されている。なお、フィルタ12は、任意の構成要素である。
【0029】
切替手段18a~18dは、第一流路60及び第二流路70に対し、第二上流側連通口14、第一下流側連通口15、第二下流側連通口16、及び第一上流側連通口17の開閉を行う。具体的には、切替手段18a~18dは、第一の状態と第二の状態とを切り替える。第一の状態とは、図1及び図2で示した冬季の状態であり、空調機11の暖房運転により、一階居室41及び二階居室42に暖気を供給する状態である。一方、第二の状態とは、図3及び図4に示す夏季の状態であり、空調機11の冷房運転により、二階居室42及び一階居室41に冷気を供給する状態である。切替手段18a~18dは、例えば、シャッターや扉などで構成されている。
【0030】
切替手段18a~18dは、図1及び図2に示すように、冬季における暖房運転時を第一の状態として、第一下流側連通口15及び第二上流側連通口14を開くとともに、第一上流側連通口17及び第二下流側連通口16を塞ぐ。詳述すると、切替手段18aが、第一上流側連通口17を塞ぐとともに、切替手段18bが、第二下流側連通口16を塞ぐ。なお、第一下流側連通口15及び第二上流側連通口14は、開いた状態である。
【0031】
これにより、冬季を示す第一の状態では、空調機11による暖気は、まず、搬送ファン13により、第一流路60を通る。空調機11による暖気は、次に一階居室41及び二階居室42を介して第二流路70を通り、更に天井チャンバー10を経由して、機械室9の空調機11に循環する。
【0032】
[夏季の空調管理システムの構成]
図3及び図4に示す夏季の場合、第二流路70は、空調機11の冷房運転による冷気(空調空気)を、第二下流側連通口16及び第二天井連通口4を介して、二階居室42に供給する。
【0033】
二階居室42は、図3に示すように、第二下流側連通口16及び第二天井連通口4を介して、空調機11から供給された冷気を、連通口3を介して、方向71に沿って、空間SPに供給する。空間SPは、連通口3を介して二階居室42から供給された冷気を、連通口2,5を介して、方向72,73に沿って、一階居室41に供給する。一階居室41は、連通口2,5を介して空間SPから供給された冷気を、第一床連通口1を介して、床下20に供給する。
【0034】
第一流路60は、第一床連通口1を介して一階居室41から供給された冷気を、第一上流側連通口17を介して、空調機11に循環させている。これにより、空調機11の冷房運転による冷気は、第二流路70を通り、二階居室42及び一階居室41を介して、第一流路60を通ることで、空調機11に循環される。このように、空調管理システム100は、二階居室42及び一階居室41を、空調機11による冷気により効率的に空調管理することができる。
【0035】
[夏季の機械室の構成]
切替手段18a~18dは、図3及び図4に示すように、夏季における冷房運転時を第二の状態として、第一下流側連通口15及び第二上流側連通口14を塞ぐとともに、第一上流側連通口17及び第二下流側連通口16を開く。詳述すると、切替手段18cが、第二上流側連通口14を塞ぐとともに、切替手段18dが、第一下流側連通口15を塞ぐ。なお、第二下流側連通口16及び第一上流側連通口17は、開いた状態である。
【0036】
これにより、夏季を示す第二の状態では、空調機11による冷気が、まず、搬送ファン13により、第二下流側連通口16を介して天井チャンバー10に入る。天井チャンバー10に入った冷気は、第二流路70を通り、二階居室42及び一階居室41を介して第一流路60を通ることで、機械室9の空調機11に循環する。
【0037】
天井チャンバー10は、夏季の冷房時において、空調機11による冷気を滞留させた後、第二流路70を通り、二階居室42に供給する。これにより、天井チャンバー10は、二階居室42に供給する冷気を、一定の風量で、かつ平均的に供給することができる。
【0038】
ユーザは、手動で切替手段18a~18dを開閉し、空調機11が暖房運転の場合、切替手段18a~18dを第一の状態に切り替える。一方、空調機11が冷房運転の場合、ユーザは、切替手段18a~18dを第二の状態に切り替える。
【0039】
[フィルタの構成]
フィルタ12は、第一上流側連通口17及び第二上流側連通口14と、空調機11との間に設置される。フィルタ12は、一階居室41及び二階居室42を循環した空調空気に含まれる異物を取り除く。例えば、フィルタ12は、第一の状態の場合には、第二上流側連通口14から流入する暖気に含まれる異物を取り除く。一方、第二の状態の場合には、フィルタ12は、第一上流側連通口17から流入する冷気に含まれる異物を取り除く。なお、フィルタ12は、例えば、種類の異なるフィルタを複数(例えば、3つ)設けることができ、フィルタの種類や数には限定されない。
【0040】
[搬送ファンの構成]
搬送ファン13は、機械室9に設置され、空調機11による空調空気を第一流路60又は第二流路70に送風する。搬送ファン13は、暖房運転時には、暖気を空調空気として送風する。一方、冷房運転時には、搬送ファン13は、冷気を空調空気として送風する。なお、搬送ファン13は、空調機11による空調空気を一階居室41及び二階居室42に供給できればよく、例えば、第一流路60又は第二流路70に、更に追加して設けられていてもよい。
【0041】
以上説明したように、本実施形態に係る空調管理システム100は、空調機11、機械室9、第一流路60、第二流路70、及び切替手段18a~18dを備えて構成されている。第一流路60は、搬送ファン13の上流側に連通する第一上流側連通口17と、搬送ファン13の下流側に連通する第一下流側連通口15と、一階居室41の床面に連通する第一床連通口1と、を備えている。第二流路70は、搬送ファン13の上流側に連通する第二上流側連通口14と、搬送ファン13の下流側に連通する第二下流側連通口16と、二階居室42の天井面に連通する第二天井面連通口4と、を備えている。
【0042】
かかる構成によれば、切替手段18a~18dは、第一流路60及び第二流路70に対し、第二上流側連通口14、第一下流側連通口15、第二下流側連通口16、及び第一上流側連通口17の開閉を行う。具体的には、切替手段18a~18dは、第一下流側連通口15及び第二上流側連通口14を開くとともに、第一上流側連通口17及び第二下流側連通口16を塞ぐ第一の状態と、第一下流側連通口15及び第二上流側連通口14を塞ぐとともに、第一上流側連通口17及び第二下流側連通口16を開く第二の状態と、を切り替える。
【0043】
これにより、本実施形態に係る空調管理システム100は、空調機11による暖房運転時に、切替手段18a~18dを第一の状態に切り替える。一方、空調機11による冷房運転時には、空調管理システム100は、切替手段18a~18dを第二の状態に切り替える。
【0044】
本実施形態に係る空調管理システム100によれば、切替手段18a~18dを用いることで、正逆転ファンを用いることなく、暖房運転時と冷房運転時の空調空気の流れを逆転させることができる。詳述すると、正逆転ファンは、プロペラファンで構成されているため、静圧が小さく、かつ汎用品ではない。これに対し、本実施形態に係る空調管理システム100は、切替手段18a~18dを用いることで、搬送ファン13を使用することができる。搬送ファン13は、例えばシロッコファンで構成され、安価でありながら静圧が大きく、本実施形態に係る空調管理システム100を容易に構築することができる。
【0045】
また、本実施形態に係る空調管理システム100は、空調機11による暖房運転の暖気を、第一流路60の第一下流側連通口15を介して床下20に送風するので、短時間で一階居室41の床を暖めることができる。
【0046】
ここで、冬季と夏季において、搬送ファン13の逆転がない構成で、床から空気を吹き出す空調管理システムを構築すると、夏季においても床から冷気が吹くことになる。夏季においても床が冷たい場合、ユーザによっては不快感が増すことがある。そのため、本実施形態に係る空調管理システム100は、夏季においては天井から冷気が吹く構成を採用し、床が冷たいことによる不快感を軽減することができる。
【0047】
更に、本実施形態に係る空調管理システム100は、空調機11の1台だけで各部屋の空調を管理することができるため、室内の意匠性を害することがない。また、室内機の数が増えないため、室外機が増えることもなく、家の外観の意匠性を害することもない。
【0048】
また、空調管理システム100は、循環した空調空気に含まれる異物を取り除くフィルタ12を、更に備えてもよい。この場合、フィルタ12は、第二上流側連通口14及び第一上流側連通口17と、空調機11との間に設置される。
【0049】
かかる構成によれば、空調管理システム100は、第一流路60、及び第二流路70を循環した空調空気に含まれる異物を、1箇所に集約して取り除くことができる。ここで、空調管理システム100は、第一流路60及び第二流路70を備えているため、例えば、第一流路60及び第二流路70それぞれに、個別にフィルタを設けることもできる。
【0050】
しかしながら、第二上流側連通口14及び第一上流側連通口17と、空調機11との間にフィルタ12を設置することで、本実施形態に係る空調管理システム100は、空調機11の暖房運転か冷房運転かによりわざわざフィルタを付け替える必要がなく、空調管理システム100の掃除の負担を軽減し、掃除に要する時間も短縮できる。
【0051】
また、居室40は、一階居室41と二階居室42と、を備え、第一床連通口1は、一階居室41の床面に連通し、第二天井連通口4は、二階居室42の天井面に連通し、一階居室41と二階居室42とは、階段室または吹き抜け(空間SP)を介して連通していてもよい。
【0052】
かかる構成によれば、空調管理システム100は、階段室または吹き抜けを介して、一階居室41及び二階居室42に空調空気を供給することができるので、2階建ての住宅であっても、快適に空調空気を循環することができる。なお、空調管理システム100は、2階建ての住宅に限定されるものではなく、1階建てでも又は3階建てでも、本実施形態は、限定されない。
【0053】
[変形例]
次に、本実施形態の変形例について説明する。図5では、変形例として、図2及び図4で示した切替手段18a~18dの代わりに、開閉弁19a,19bが設けられている。なお、他の構成は、同一の構成であるため、説明を省略する。
【0054】
図5に示すように、変形例では、空調管理システム100には、切替手段18a~18dの代わりに、開閉弁19a,19bが設けられている。開閉弁19a,19bは、一端側を回動支点として約90度の範囲で回動することにより、鉛直状態と水平状態に姿勢を切り替える弁である。
【0055】
開閉弁19aは、第二上流側連通口14を開く際、同時に第二下流側連通口16を閉じることができる。また、開閉弁19aは、第二上流側連通口14を閉じる際、同時に第二下流側連通口16を開くことができる。同様に、開閉弁19bは、第一下流側連通口15を開く際、同時に第一上流側連通口17を閉じることができる。また、開閉弁19bは、第一下流側連通口15を閉じる際、同時に第一上流側連通口17を開くことができる。
【0056】
これにより、開閉弁19a及び開閉弁19bは、第二上流側連通口14を開くと共に、第一下流側連通口15を開くことにより、第一の状態を実現できる。また、開閉弁19a及び開閉弁19bは、第二上流側連通口14を閉じると共に、第一下流側連通口15を閉じることにより、第二の状態を実現できる。
【0057】
このような構成でも、空調管理システム100は、切替手段18a~18dに相当する機能を、構成することができる。そのため、開閉弁19a,19bを使用した場合でも、本実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0058】
また、機械室9は、一例として、空間SPの2階部分に設けられていたが、これに限定されるものではなく、例えば、小屋裏30や1階部分に設けられてもよい。また、本発明に係る空調管理システム100を、一階建て(平屋)の建築物に適用してもよい。
【0059】
また、一階居室41には、一例として、空間SPと連通する連通口2,5が備えられ、二階居室42には、一例として、空間SPと連通する連通口3を備えられていたが、例示であり、これらに限定されるものではない。すなわち、連通口2,3,5は、任意の構成要素であるため、空調管理システム100は、これらの連通口2,3,5の全てを備える必要は無く、空調空気を所望の方向に供給するように、所望の位置に、適宜、備えることができる。
【符号の説明】
【0060】
1 第一床連通口
2 連通口
3 連通口
4 第二天井連通口
5 連通口
9 機械室
10 天井チャンバー
11 空調機
12 フィルタ
13 搬送ファン
14 第二上流側連通口
15 第一下流側連通口
16 第二下流側連通口
17 第一上流側連通口
18a~18d 切替手段
19a,19b 開閉弁
20 床下
30 小屋裏
41 一階居室
42 二階居室
40 居室
60 第一流路
70 第二流路
100 空調管理システム
図1
図2
図3
図4
図5