(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162791
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】制御装置、撮像装置、制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 21/2665 20110101AFI20241114BHJP
H04N 21/258 20110101ALI20241114BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20241114BHJP
H04N 23/661 20230101ALI20241114BHJP
【FI】
H04N21/2665
H04N21/258
H04N23/60 300
H04N23/661
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078697
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】明神 理恵
(72)【発明者】
【氏名】小川 茂夫
(72)【発明者】
【氏名】矢崎 大朗
(72)【発明者】
【氏名】中山 大嗣
(72)【発明者】
【氏名】星野 宏太
(72)【発明者】
【氏名】瀧田 聡士
(72)【発明者】
【氏名】辻 馨太郎
(72)【発明者】
【氏名】穀田 七海
【テーマコード(参考)】
5C122
5C164
【Fターム(参考)】
5C122DA03
5C122EA42
5C122EA63
5C122EA67
5C122FA18
5C122GC06
5C122GC07
5C122GC38
5C122GC52
5C122HA86
5C122HB01
5C164FA07
5C164SA26S
5C164SC04P
5C164SC11P
5C164YA21
(57)【要約】
【課題】複数の撮像装置を適切に切り替えて撮像装置の動作可能時間を延ばす。
【解決手段】制御装置は、複数の撮像装置と通信する通信手段と、前記通信手段により前記複数の撮像装置からメディアデータを受信する制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記複数の撮像装置から受信した状態情報に基づいて、前記複数の撮像装置の中で、前記メディアデータの配信に使用する所定の撮像装置を切り替えるための制御情報を生成し、前記制御情報を前記複数の撮像装置に送信する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の撮像装置と通信する通信手段と、
前記通信手段により前記複数の撮像装置からメディアデータを受信する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記複数の撮像装置から受信した状態情報に基づいて、前記複数の撮像装置の中で、前記メディアデータの配信に使用する所定の撮像装置を切り替えるための制御情報を生成し、
前記制御情報を前記複数の撮像装置に送信することを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記複数の撮像装置の中で前記所定の撮像装置を切り替える切り替えパターンを生成し、
前記状態情報に基づいて予め決められた切り替えパターンを補正することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記状態情報は、前記撮像装置がメディアデータの送信を継続できなくなる状態を含むことを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記状態情報は、前記撮像装置の電池残量、発熱量およびストレージ残量の少なくともいずれかを含み、
前記制御手段は、前記状態情報が閾値以下である撮像装置が存在すると判定した場合、前記予め決められた切り替えパターンを補正することを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項5】
前記切り替えパターンの補正は、前記状態情報と閾値との比較に基づいて、前記状態情報が閾値以下の撮像装置の使用頻度を低下させることを含むことを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記補正された切り替えパターンで使用する撮像装置の数が稼働可能な撮像装置の数に達していない場合、前記メディアデータの配信を停止することを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項7】
前記切り替えパターンは、前記撮像装置の動作状態として使用中、使用待機、使用準備を含むことを特徴とした請求項1に記載の制御装置。
【請求項8】
前記撮像装置の動作状態は、前記撮像装置の動作可能時間を延ばすための動作を含むことを特徴とする請求項7に記載の制御装置。
【請求項9】
前記撮像装置の動作可能時間を延ばすための動作は、前記撮像装置の消費電力を低減するための動作、前記撮像装置の発熱量を低減させるための動作、または、前記撮像装置のストレージ残量の低下を抑えるための動作を含むことを特徴とする請求項8に記載の制御装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記状態情報が閾値以下である撮像装置が存在すると判定した場合、当該撮像装置の使用が不可となることをユーザに通知することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記メディアデータの記録を行っていない撮像装置のストレージ残量を最大と判定することを特徴とする請求項4に記載の制御装置。
【請求項12】
前記制御手段は、前記所定の撮像装置から受信したメディアデータを配信装置による配信に適したデータ形式に変換し、前記配信装置に送信することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項13】
前記メディアデータは、前記撮像装置により生成された動画および音声を含むことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項14】
撮像装置であって、
制御装置と通信する通信手段と、
前記通信手段により前記制御装置にメディアデータを送信する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記制御装置に状態情報を送信し、
前記制御装置から受信した制御情報に基づいて前記撮像装置の動作状態を制御することを特徴とする撮像装置。
【請求項15】
前記制御情報は、前記メディアデータを前記制御装置に送信する撮像装置を切り替える切り替えパターンを含むことを特徴とする請求項14に記載の撮像装置。
【請求項16】
前記切り替えパターンは、前記撮像装置の動作状態として使用中、使用待機、使用準備を含むことを特徴とした請求項15に記載の撮像装置。
【請求項17】
前記状態情報は、前記撮像装置がメディアデータの送信を継続できなくなる状態を含むことを特徴とする請求項14に記載の撮像装置。
【請求項18】
前記状態情報は、前記撮像装置の電池残量、発熱量およびストレージ残量の少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項17に記載の撮像装置。
【請求項19】
前記撮像装置の動作状態は、前記撮像装置の動作可能時間を延ばすための動作を含むことを特徴とする請求項16に記載の撮像装置。
【請求項20】
前記撮像装置の動作可能時間を延ばすための動作は、前記撮像装置の消費電力を低減するための動作、前記撮像装置の発熱量を低減させるための動作、または、前記撮像装置のストレージ残量の低下を抑えるための動作を含むことを特徴とする請求項19に記載の撮像装置。
【請求項21】
前記メディアデータは、前記撮像装置により生成された動画および音声を含むことを特徴とする請求項14に記載の撮像装置。
【請求項22】
制御装置の制御方法であって、
通信手段により複数の撮像装置からメディアデータを受信するステップを有し、
前記ステップでは、前記複数の撮像装置から受信した状態情報に基づいて、前記複数の撮像装置の中で、前記メディアデータの配信に使用する所定の撮像装置を切り替えるための制御情報を生成し、
前記制御情報を前記複数の撮像装置に送信することを特徴とする制御方法。
【請求項23】
制御装置と通信する通信手段を有する撮像装置の制御方法であって、
前記通信手段により前記制御装置にメディアデータを送信するステップを有し、
前記ステップでは、前記制御装置に状態情報を送信し、
前記制御装置から受信した制御情報に基づいて前記撮像装置の動作状態を制御することを特徴とする制御方法。
【請求項24】
コンピュータを、請求項1から13のいずれかに記載された制御装置として機能させるためのプログラム。
【請求項25】
コンピュータを、請求項14から21のいずれかに記載された撮像装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の撮像装置から受信したメディアデータを配信装置に送信するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の撮像装置により撮影された複数の異なる視点の画像を配信するシステムにおいて、複数の撮像装置の中から配信用の画像を撮影する撮像装置を切り替えることで、複数の視点の画像を配信するマルチアングル配信が知られている。
【0003】
配信用の画像を撮影する撮像装置の切り替えは、専用のオペレータが行ったり、予め設定された順番で自動で行ったりするが、撮像装置に何らかのエラーが発生し、画像の供給ができなくなると、ブラックアウトした画像が配信されてしまう可能性がある。このような背景に鑑み、特許文献1には、複数の撮像装置がネットワークを介して画像を送受信するシステムにおいて、画像を記録する撮像装置の電池残量が低下した場合に、画像を記録する撮像装置を他の撮像装置を切り替える方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、撮像装置の電池残量、発熱量、ストレージ残量などの状態を監視し、撮像装置が画像を送信できない状態に至らないように撮像装置ごとに使用時間などを制御することは記載されていない。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、その目的は、複数の撮像装置を適切に切り替えて撮像装置の動作可能時間を延ばし、撮像装置から配信用のメディアデータが送信されない状態を低減する技術を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明の制御装置は、複数の撮像装置と通信する通信手段と、前記通信手段により前記複数の撮像装置からメディアデータを受信する制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記複数の撮像装置から受信した状態情報に基づいて、前記複数の撮像装置の中で、前記メディアデータの配信に使用する所定の撮像装置を切り替えるための制御情報を生成し、前記制御情報を前記複数の撮像装置に送信する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の撮像装置を適切に切り替えて撮像装置の動作可能時間を延ばし、撮像装置から配信用のメディアデータが送信されない状態を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】本実施形態の制御装置の構成を例示するブロック図。
【
図3】本実施形態の撮像装置の構成を例示するブロック図。
【
図4】本実施形態の制御装置によるメディアデータの処理シーケンスを例示する図。
【
図5】本実施形態の制御装置におけるメディアデータの表示例を示す図。
【
図6】本実施形態の制御装置の制御処理を示すフローチャート。
【
図7】本実施形態の制御処理における撮像装置の状態情報判定閾値を例示する図。
【
図8】本実施形態の制御処理における撮像装置の状態情報の深刻度判定方法を説明する図。
【
図9】本実施形態の撮像装置の切り替えパターンを例示する図。
【
図10】本実施形態の撮像装置の動作状態および振る舞いを例示する図。
【
図11】本実施形態の撮像装置の状態遷移を例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
<システム構成>
図1を参照して、本実施形態のシステムについて説明する。
【0012】
本実施形態のシステムは、配信装置10、制御装置20、複数の撮像装置30を含む。複数の撮像装置30は、第1の撮像装置30A、第2の撮像装置30Bおよび第3の撮像装置30Cを含むが、本実施形態では、複数の撮像装置30A,30B,30Cを撮像装置30と総称して説明する場合もある。複数の撮像装置30A,30B,30Cは、撮像装置ごとに異なる視点の画像を撮像し、撮像装置の周辺の音声を収音して画像および音声の少なくともいずれかを含む所定の形式(例えば、RTMP)のメディアデータを生成し、制御装置20に送信する。制御装置20は、複数の撮像装置30A,30B,30Cについて、撮像装置ごとに撮影動作や録音動作を制御する。また、制御装置20は、撮像装置ごとに撮像された画像および/または撮像装置ごとに収音された音声を含む所定の形式(例えば、RTMP)のメディアデータを撮像装置から受信する。そして、制御装置20は、撮像装置から受信したメディアデータに対して所定のデータ処理を適用して、制御装置20における再生用のデータまたは配信装置10の配信用のデータを生成する。配信装置10は、制御装置20から配信用のメディアデータを受信し、インタネットやLAN(Local Area Network)などのIPネットワークを通じてユーザ機器などの外部装置に配信する。
【0013】
複数の撮像装置30A,30B,30Cと制御装置20は、無線LANなどの無線接続方式または有線LANなどの有線接続方式によりネットワークを通じて通信可能に接続される。無線接続方式の場合には、複数の撮像装置30A,30B,30Cと制御装置20がP2Pにより直接接続され、または、IPネットワークを介して接続される。撮像装置30A,30B,30Cから制御装置20に送信されるメディアデータまたは制御装置20から配信装置10に送信されるメディアデータは、画像および音声の少なくともいずれかを含む。画像は、動画または静止画を含み、音声は、音声解析データや字幕データなどを含んでいてもよい。
【0014】
撮像装置30は、画像を撮影し、音声を収音可能なデジタルカメラであるが、デジタルカメラに限らず、パーソナルコンピュータ(ノートPCやタブレットPC)、スマートフォン、監視カメラなどのWebカメラ、医療用カメラなどでもよい。
【0015】
制御装置20は、パーソナルコンピュータ(ノートPCやタブレットPC)、スマートフォンなどである。制御装置20は、撮像装置30から受信したメディアデータに対して
図4で後述するデータ変換処理を適用しない再生用のメディアデータを生成し、あるいは、データ変換処理を適用して配信装置10による配信に適したデータ形式のメディアデータを生成し、配信装置10に送信する。制御装置20は、複数の撮像装置30A,30B,30Cのうち、いずれの撮像装置から受信したメディアデータを配信装置10に送信するのかを決定する機能も備える。
【0016】
配信装置10は、複数のユーザ端末に対して、メディアデータを同時に配信(例えば、ストリーミング配信)するサービスサイトなどのサーバコンピュータである。サービスサイトは、エンターテインメント、プロモーション、トレーニングなど、様々な目的や用途に応じたサービスが存在する。
【0017】
<制御装置20の構成>
次に、
図2を参照して、本実施形態の制御装置20の構成および機能について説明する。
【0018】
図2は、本実施形態の制御装置20の構成を例示するブロック図である。
【0019】
制御部201は、制御装置20の全体を統括して制御するCPUまたはMPUなどの演算処理プロセッサを備え、不揮発性メモリ202に格納されたプログラムを実行することで、後述するフローチャートの制御処理を実現する。ワークメモリ203はRAMなどであり、制御部201の動作用の定数、変数、不揮発性メモリ202から読み出したプログラムなどを展開するワークメモリとしても使用される。また、制御部201は、後述する表示部206の表示制御も行う。
【0020】
不揮発性メモリ202には、制御部201が実行する基本的なソフトウェアであるOS(オペレーティングシステム)や、このOSと協働して応用的な機能を実現するアプリケーションが格納されている。また、本実施形態では、不揮発性メモリ202には、撮像装置30と通信するためのカメラアプリケーションと、配信装置10と通信するための配信アプリケーションが格納されている。
【0021】
本実施形態の制御装置20の処理は、アプリケーションにより提供されるソフトウェアを読み込むことにより実現される。なお、アプリケーションは制御装置20にインストールされたOSの基本的な機能を利用するためのソフトウェアを有しているものとする。なお、制御装置20のOSが本実施形態における制御処理を実現するためのソフトウェアを有していてもよい。アプリケーションは、撮像装置30を遠隔操作してメディアデータを受信する機能、撮像装置30から受信したメディアデータを配信装置10に送信する機能を有する。
【0022】
制御部201は、制御情報生成部201aおよびデータ処理部201bを備える。制御情報生成部201aは、通信部207により撮像装置30A,30B,30cから受信した状態情報に基づいて、複数の撮像装置30A,30B,30Cの中で、配信装置10がメディアデータの配信に使用する撮像装置(以下、配信元撮像装置)を切り替えるための切り替えパターンを生成する。データ処理部201bは、撮像装置30から受信したメディアデータに
図4で後述するデータ変換処理を適用して配信装置10による配信に適したデータ形式のメディアデータを生成する。
【0023】
タイマー204は、各種制御に用いる時間や、内蔵時計の時間を計測する計時部である。
【0024】
操作部205は、ユーザからの各種操作を受け付けて、制御部201に通知する各種スイッチ、ボタンなどの操作部材からなる。また、操作部205は、後述する表示部206に一体的に構成されるタッチスクリーンとしてのタッチ入力機能を含む。操作部205は、制御装置20の電源をオンまたはオフし、システムを起動またはシャットダウンする電源スイッチを含む。
【0025】
表示部206は、画像の表示、対話的な操作のための文字の表示などを行う。表示部206は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどの表示デバイスである。表示部206は、制御装置20と一体化された構成であっても、制御装置20に接続された外部装置であってもよい。
【0026】
通信部207は、無線アンテナまたは有線ケーブルによって配信装置10や撮像装置30などの外部装置と通信可能に接続し、各種の情報やデータの送受信を行う。各種の情報やデータは、例えば、撮像装置30に送信する制御情報、撮像装置30から受信する状態情報やメディアデータ、配信装置10に送信するメディアデータである。通信部207は、外部装置と無線LANで通信するためのインターフェースを含む。なお、制御装置20は、通信部207により撮像装置30と直接接続されてもよいし、無線LANを介して接続されてもよい。通信部207は、無線LANに限らず、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、WirelessUSBなどの無線通信モジュール、あるいは、USBケーブルやHDMI(登録商標)、IEEE1394などの有線接続インターフェースを用いてもよい。また、通信部207は、4G/LTE、5Gなどの広域ネットワーク(WAN)を介して無線通信を行うインターフェースであってもよい。
【0027】
電源制御部208は、電源部、電池検出回路、DC-DCコンバータ、通電するブロックを切り替えるスイッチ回路などを備え、制御部201の指示に基づいてDC-DCコンバータを制御し、必要な電圧を必要な期間、制御装置20の各部へ供給する。電源部は、アルカリ電池やリチウム電池等の一次電池やNiCd電池やNiMH電池、Liイオン電池等の二次電池、ACアダプタなどを含む。
【0028】
<撮像装置30の構成>
次に、
図3を参照して、本実施形態の撮像装置30の構成および機能について説明する。
【0029】
制御部301は、撮像装置30の全体を統括して制御するCPUまたはMPUなどの演算処理プロセッサを備え、不揮発性メモリ302に格納されたプログラムを実行することで、制御装置20との通信処理および制御処理を実現する。なお、制御部301が装置全体を制御する代わりに、複数のハードウェアが処理を分担することで、装置全体を制御してもよい。
【0030】
撮像部304は、ズームレンズやフォーカスレンズを含むレンズ群、絞り機能を備えるシャッターを含む。また、撮像部304は、被写体像を電気信号に変換するCCDやCMOSなどで構成されるイメージセンサ、イメージセンサから出力されるアナログ画像信号をデジタル信号に変換するA/D変換器を有する。撮像部304は、制御部301の制御により、撮像部304に含まれるレンズにより結像された被写体像光を、イメージセンサにより電気信号に変換し、ノイズ低減処理などを行って、デジタル信号からなる画像データを出力する。
【0031】
音声入力部308は、撮像装置30に内蔵された、または、音声端子を通じて接続された1つまたは複数のマイクであり、撮像装置30の周辺の音声を収音して生成されたアナログ音声信号をデジタル信号に変換して制御部301に出力する。制御部301は、音声入力部308により生成されたデジタル音声信号に各種の音声処理を行い、音声データを生成する。
【0032】
制御部301は、撮像部304により撮像された画像データに対し、画素補間、縮小といったリサイズ処理や色変換処理を行う。また、制御部301は、画像処理を施した静止画データをJPEGなどにより圧縮符号化したり、動画データのみまたは音声データと動画データをH.264/MPEG-4/AVCなどの動画圧縮方式でエンコードしたりして画像ファイルを生成し、記録媒体309に記録する。また、制御部301は、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、演算結果に基づいて撮像部304のフォーカスレンズや絞り、シャッターを制御することで、AF(オートフォーカス)処理やAE(自動露出)処理を行う。また、制御部301は、画像データおよび/または音声データを含むメディアデータから所定のストリーミングデータ(例えば、RTMP(Real-Time Messaging Protocol))を生成し、制御装置20に送信する。
【0033】
また、制御部301は、動作判定部301aおよび撮像制御部301bを備える。動作判定部301aは、制御装置20から受信した制御情報に基づいて撮像装置30の動作状態を判定し、撮像制御部301bに動作指示を送信する。撮像制御部301bは、動作判定部301aの動作指示に基づいて撮像装置30の動作を制御する。
【0034】
不揮発性メモリ302は、電気的に消去・記録可能なメモリであり、例えばEEPROM等が用いられる。不揮発性メモリ302には、制御部301の動作用の定数、プログラム等が記録される。ここでいう、プログラムとは、
図6で後述する制御処理を実行するためのプログラムのことである。
【0035】
ワークメモリ303は、制御部301の動作用の定数、変数、不揮発性メモリ302から読み出したプログラム等を展開する作業領域として使用される。また、ワークメモリ303は、撮像部304で撮像された画像データを一時的に保持するバッファメモリや、表示部306の画像表示用メモリとして使用される。
【0036】
操作部305は、ユーザからの各種操作を受け付ける各種スイッチ、ボタン、タッチスクリーンなどの操作部材からなる。操作部305は、撮像装置30の電源をオンまたはオフし、システムを起動またはシャットダウンする電源スイッチ、画像の撮影を行う撮影スイッチ、撮影画像の再生を行う再生ボタンなどを含む。また、後述する表示部306に一体的に形成されるタッチスクリーンも操作部305に含まれる。撮影スイッチは、制御部301に対して静止画の撮影処理を指示するための静止画撮影スイッチ、制御部301に対して動画の撮影処理(記録処理)の開始または停止を指示するための動作撮影スイッチを含む。静止画撮影スイッチまたは動画撮影スイッチの指示を受けて、制御部301は撮像部304を制御することによりAF処理やAE処理などの撮影準備動作を実行すると共に、撮像部304からの信号読み出しから記録媒体309に画像データを書き込むまでの一連の撮影動作を実行する。
【0037】
表示部306は、ライビュー画像の表示、撮影した画像の表示、対話的な操作のための文字表示等を行う。表示部306は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどの表示デバイスである。表示部306は、撮像装置30と一体化された構成であっても、撮像装置30に接続された外部装置であってもよい。撮像装置30は、表示部306と接続することができ、表示部306の表示を制御可能であればよい。
【0038】
通信部307は、無線アンテナまたは有線ケーブルによって制御装置20などの外部装置と通信可能に接続し、各種の情報やデータの送受信を行う。各種の情報やデータは、例えば、制御装置20から受信する制御情報、制御装置20に送信する機能情報やメディアデータである。通信部307は、外部装置と無線LANで通信するためのインターフェースを含む。なお、撮像装置30は、通信部307により制御装置20と直接接続されてもよいし、無線LANを介して接続されてもよい。通信部307は、無線LANに限らず、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、WirelessUSBなどの無線通信モジュール、あるいは、USBケーブルやHDMI(登録商標)、IEEE1394などの有線接続インターフェースを用いてもよい。また、通信部207は、4G/LTE、5Gなどの広域ネットワーク(WAN)を介して無線通信を行うインターフェースであってもよい。
【0039】
なお、通信部307は、インフラストラクチャモードにおけるアクセスポイント(AP)として動作するAPモードと、インフラストラクチャモードにおけるクライアント(CL)として動作するCLモードとを含む。通信部307をCLモードで動作させることにより、撮像装置30は、インフラストラクチャモードにおけるCLとして動作することが可能である。撮像装置30がCLとして動作する場合、周辺のAPに接続することで、APが形成するネットワークに参加することが可能である。また、通信部307をAPモードで動作させることにより、撮像装置30は、APの一種ではあるが、より機能が限定された簡易的なAP(以下、簡易AP)として動作することが可能である。撮像装置30が簡易APとして動作する場合、撮像装置30は自らネットワークを形成する。撮像装置30の周辺の機器は、撮像装置30をAPと認識し、撮像装置30が形成したネットワークに参加することが可能となる。また、撮像装置30をAPモードまたはCLモードで動作させるためのプログラムは不揮発性メモリ302に格納されている。
【0040】
音声入力部308は、撮像装置30に内蔵された、または、音声端子を通じて接続された1つまたは複数のマイクであり、撮像装置30の周辺の音声を収音して生成されたアナログ音声信号をデジタル信号に変換して制御部301に出力する。制御部301は、音声入力部308により生成されたデジタル音声信号に各種の音声処理を行い、音声データを生成する。
【0041】
記録媒体309は、制御部301により生成された画像ファイルが記録されたり、記録媒体309に既に記録されている画像ファイルが制御部301により読み出される。記録媒体309は、撮像装置30に装着されるメモリカードやハードディスクドライブなどであってもよいし、撮像装置30に内蔵されたフラッシュメモリやハードディスクドライブであってもよい。撮像装置30は少なくとも記録媒体309にアクセス可能であればよい。
【0042】
<メディアデータの処理シーケンス>
次に、
図4を参照して、本実施形態の制御装置20によるメディアデータの処理シーケンスについて説明する。
【0043】
図4の処理シーケンスは、制御装置20の制御部201がデータ処理部201bとして機能し、処理前後のデータをワークメモリ203から読み出したり、ワークメモリ203に書き込むことにより実現される。なお、本実施形態では、複数の撮像装置30A,30B,30Cから受信したストリーミングデータが動画と音声を含み、ストリーミングデータに対してデータ変換処理を適用しない再生用のメディアデータを生成したり、データ変換処理を適用して配信装置10による配信に適したデータ形式のメディアデータを生成する例を説明する。
【0044】
受信処理402では、制御装置20は、通信部207により複数の撮像装置30A,30B,30Cからストリーミングデータを受信し、ワークメモリ203に保存する。受信処理402において受信するストリーミングデータの形式は、例えばRTMPである。また、受信処理402では、ワークメモリ203に保存したストリーミングデータから動画および音声を含むメディアデータを生成する。ストリーミングデータから生成されるメディアデータの形式は、例えばFLVである。
【0045】
DEMUX(デマルチプレクサ)処理403では、受信処理402から入力されるメディアデータを動画データと音声データに分離する。メディアデータから分離される動画データの形式は、例えばはH.264である。メディアデータから分離される音声データの形式は、例えばAACである。
【0046】
デコード処理404,405では、DEMUX処理403において分離された動画データおよび音声データを汎用形式に変換する。動画データおよび音声データは高度な符号化処理が適用されているため、デコード処理404,405において汎用的なデータ形式に復号化することで、再生処理406において再生が可能な再生用のメディアデータとして動画データおよび音声データが生成される。
【0047】
エンコード処理407,408では、デコード処理404,405において生成された動画データおよび音声データに再度高度な符号化処理を適用して、符号化した動画データおよび音声データを生成する。符号化された動画データの形式は、例えばH.264である。符号化された音声データの形式は、例えばAACである。エンコード処理407,408では、配信装置10が受信可能なデータ形式の符号化処理が適用される。
【0048】
MUX(マルチプレクサ)処理409では、エンコード処理407,408において符号化された動画データおよび音声データを合成したメディアデータを生成する。動画データおよび音声データを合成したメディアデータの形式は、例えばFLVである。
【0049】
送信処理410では、MUX処理409において生成されたメディアデータをストリーミングデータに変換して、配信装置10に送信する。なお、MUX処理409および送信処理410において適用されるデータ形式は、配信装置10が受信可能なデータ形式が適用される。
【0050】
なお、
図4のデータ処理フローの各処理において適用されるデータ形式は、上述した例に限られない。例えば、動画データおよび音声データの形式は、撮像装置30が出力するデータ形式と配信装置10が受信可能なデータ形式に従うだけでなく、復号および符号化の処理速度、動画および音声の品質特性に応じて決定してもよい。
【0051】
図5は、
図4の再生処理406において再生される画像の表示例を示している。
【0052】
表示領域501は、制御装置20の表示部206の表示画面に対応している。画像502は、第1の撮像装置30Aから入力された画像である。画像503は、第2の撮像装置30Bから入力された画像である。画像504は、撮像装置30Cから入力された画像である。
【0053】
画像502は、被写体全体を含む画角の画像を例示している。画像503,504は、画像502とは異なる視点の画像であって、画像502に対して被写体の一部を拡大した画角の画像を例示している。
【0054】
画像502の周囲には太い破線の注目枠が表示されている。注目枠は、複数の撮像装置のうちいずれの撮像装置から受信した画像であるかを示している。なお、注目枠に加えて、注目枠が付加されている画像を出力している撮像装置を識別可能な文字、図形、着色などの情報を付加して表示してもよい。複数の撮像装置から受信したメディアデータのうちいずれを配信装置に送信するかは、
図6から
図11で後述する制御処理により決定される。また、ユーザは、画像502、画像503または画像504をタッチすることで配信装置10が配信に使用するメディアデータを選択することが可能である。
【0055】
<制御処理>
次に、
図6から
図11を参照して、本実施形態の制御装置20による制御処理について説明する。
【0056】
図6は、本実施形態の制御装置20の制御処理を示すフローチャートである。
図6の処理は、制御部201が、不揮発性メモリ202に格納されたプログラムをワークメモリ203に展開して実行し、制御装置20の各構成要素を制御することにより実現される。また、
図6の処理は、制御装置20においてカメラアプリケーションが起動され、制御装置20と複数の撮像装置30A,30B,30Cが通信可能に接続され、複数の撮像装置30A,30B,30Cが撮影待機状態において開始される。
【0057】
本実施形態の制御装置20は、複数の撮像装置30A,30B,30Cから受信した撮像装置ごとの状態情報に基づいて、複数の撮像装置30A,30B,30Cの中で、配信装置10がメディアデータの配信に使用する配信元撮像装置を切り替える。
【0058】
制御装置20は、複数の撮像装置30A,30B,30Cから受信した状態情報を閾値と比較し、比較結果に基づいて配信元撮像装置を切り替えるための制御情報(切り替えパターン)を生成し、切り替えパターンに応じて切り替えられる配信元撮像装置からメディアデータを受信し、配信装置10に送信する。
【0059】
制御装置20は、制御情報を複数の撮像装置30A,30B,30Cに通知し、複数の撮像装置30A,30B,30Cは通知に含まれる制御情報に基づいて動作状態を制御する。
【0060】
ステップS601では、制御部201は、撮影装置30の切り替えパターンの登録を行う。切り替えパターンは、複数の撮像装置30A,30B,30Cについて配信元撮像装置として使用する順番を含む。切り替えパターンは、例えば、制御装置20のユーザが、表示部206に表示されているカメラアプリケーションのUI画面において操作部205を操作することにより配信処理開始前に設定される。制御部201の制御情報生成部201aは、撮像装置30の切り替えパターンを不揮発性メモリ202に記憶する。撮像装置30の切り替えパターンは、配信装置10が自動配信および自動記録を行うメディアデータの配信元撮像装置を選択するための制御情報であり、複数の撮像装置30A,30B,30Cから配信元撮像装置を一定の時間ごとに切り替えるパターンでも、システムがランダムに設定したパターンでも、切り替える時間と撮像装置をユーザが設定したパターンでもよい。切り替えパターンは、稼働可能な撮像装置の最低数を設定することもできる。稼働可能な撮像装置の最低数は、
図6で後述するステップS610の判定処理で使用するパラメータである。稼働可能な撮像装置の最低数が設定されていない場合は初期値を0台とする。
【0061】
ステップS602では、制御部201は、データ処理部201bが複数の撮像装置30A,30B,30Cからメディアデータの送受信処理を開始する。メディアデータの送受信処理は、複数の撮像装置30A,30B,30Cからメディアデータを受信し、配信元撮像装置から受信したメディアデータを配信装置10に送信するまでの処理である。制御部201は、表示部206に表示されているカメラアプリケーションのUI画面においてユーザが操作部205を操作することにより配信開始指示を受けると、データ処理部201bがメディアデータの送受信処理を開始する。なお、配信開始指示は、操作部205による表示部206のUI画面の操作に限らず、制御装置20の別の操作部材でも、制御装置20以外の部材であっても、音声認識による操作であってもよい。撮像装置からメディアデータを受信してから配信装置10に送信するまでのデータ処理フローは
図4で説明した通りである。
【0062】
ステップS603では、制御部201は、複数の撮像装置30A,30B,30Cから状態情報を受信する。制御部201の制御情報生成部201aが通信部207を介して、複数の撮像装置30A,30B,30Cから状態情報を受信する。状態情報は、電池残量、発熱量、ストレージ残量など、撮像装置30がメディアデータを送信することができなくなる使用不可状態に関する情報を含む。また、状態情報は、撮像装置の撮影モードなどの動作状態に関する情報を含む。
【0063】
ステップS604では、制御部201は、ステップS603で複数の撮像装置30A,30B,30Cから受信した状態情報に基づいて、複数の撮像装置30A,30B,30Cのうち、撮影モードがメディアデータを記録するモードである撮像装置があるか否かを判定する。制御部201の制御情報生成部201aはステップS603で受信した状態情報から撮影モードがメディアデータを記録するモードである撮像装置があると判定した場合、当該撮像装置のストレージ残量を最大値としてワークメモリ203に保存する。なお、本実施形態ではストレージ残量を最大値としたが、ストレージ残量が最大値である情報を撮像装置30A,30B,30Cから受信してもよく、この場合は、ステップS604の処理を実行しなくてもよい。
【0064】
ステップS605では、制御部201は、ステップS603で複数の撮像装置30A,30B,30Cから受信した状態情報と閾値とを比較し、状態情報が閾値以下となる撮像装置が存在するか否かを判定する。制御部201の制御情報生成部201aは、ステップS603で複数の撮像装置30A,30B,30Cから受信した状態情報に基づいて、
図7に例示する状態情報のパラメータである電池残量、発熱量、ストレージ残量ごとに、閾値以下のパラメータが存在するか否かを判定する。
図7の例では、状態情報のパラメータごとに3段階の閾値A、閾値B、閾値Cが設定されている。制御部201は、状態情報が閾値以下となる撮像装置が存在すると判定した場合は処理をステップS606に進め、存在しないと判定した場合は処理をステップS611に進める。
【0065】
ステップS606では、制御部201は、閾値以下の状態情報の深刻度を判定する。制御情報生成部201aは、
図8に例示する閾値の範囲に基づいて状態情報の深刻度を判定する。
図8の例では、
図7の閾値範囲と対応する深刻度、深刻度ごとの撮像装置の切り替えパターンが設定されている。例えば、撮像装置から受信した状態情報のうち電池残量が25%である場合、閾値Aと閾値Bの範囲であるため、深刻度2に相当する。また、例えば、電池残量が3%の場合、閾値C以上の範囲であるため、深刻度3に相当する。深刻度の値が高いほど深刻度が高くなる。本実施形態では、深刻度3が最も高く、使用不可レベルとなる。
【0066】
ステップS607では、制御部201は、撮像装置30A,30B,30Cの切り替えパターンの補正を行う。制御情報生成部201bは、ステップS606で判定した閾値以下の状態情報の深刻度に基づいて、
図8を参照して、深刻度が付与された撮像装置30A,30B,30Cの切り替えパターンを補正する。
図8の例では、切り替えパターンに基づく使用頻度として回数と割合が例示されている。切り替えパターン1は、配信元撮像装置の使用回数を減少させることで使用頻度を変更するパターンである。切り替えパターン2は、配信元撮像装置の使用割合(使用時間)を減少させることで使用頻度を変更するパターンである。
図8は例示であり、必要に応じて数値を変更してもよい。
図9は
図8の状態情報の深刻度に応じて補正される切り替えパターンを例示している。
図9(a)はステップS601で登録された切り替えパターンを例示している。この場合、複数の撮像装置30A,30B,30Cの中で配信元撮像装置が一定の時間ごとに切り替えられる。
図9(a)は、閾値以下の状態情報がない通常の切り替えパターンである。
図9(b)は、
図8の切り替えパターン1において閾値以下の状態情報の深刻度が1の場合の切り替え動作を例示している。
図9(c)は、
図8の切り替えパターン1において閾値以下の状態情報の深刻度が2の場合の切り替え動作を例示している。
図9(d)は、
図8の切り替えパターン1において閾値以下の状態情報の深刻度が3の場合の切り替え動作を例示している。
図9(e)は、状態情報に深刻度が付与された撮像装置が複数ある場合の切り替えパターンを例示している。この場合、撮像装置2のパターンと撮像装置3のパターンを組み合せている。
【0067】
ステップS608では、制御部201は、ステップS606で判定された状態情報の深刻度の中で使用不可レベルに達している状態情報があるか否かを判定する。制御情報生成部201aは状態情報に深刻度が付与された撮像装置30A,30B,30Cの中で、使用不可レベルに達しているものがあると判定した場合は処理をステップS609に進め、使用不可レベルに達しているものがないと判定したある場合はステップS611に進める。使用不可レベルは、
図8に示す撮像装置の状態情報の深刻度が、配信装置10へのメディアデータの送信を継続できない深刻度3に対応する。
【0068】
ステップS609では、制御部201は、ステップS608で状態情報が使用不可レベルに達している撮像装置が存在することを通知する。状態情報が使用不可レベルに達している場合、撮像装置は配信装置10にメディアデータの送信を継続できない状態であるため、配信装置10がメディアデータの配信中であってもユーザは何らかの対策を講じる必要がある。対策としては電池交換、メモリカードの変更、中断あるいはファンによる冷却などが挙げられる。制御情報生成部201aはユーザに対して何らかの対策が必要であることを通知する。通知は、状態情報が使用不可レベルに達している撮像装置30や制御装置20でLEDを発光させたり、音声を出力したり、メッセージを表示することなどが挙げられるが、ユーザに認知させる方法であればどのような通知方法であってもよい。
【0069】
ステップS610では、制御部201は、状態情報が使用不可レベルに達していない稼働可能な撮像装置の最低数が所定数以上であるか否かを判定する。制御情報生成部201aはステップS601で登録された切り替えパターンで設定された最低数とステップS607で補正された切り替えパターンで使用する撮像装置数とを比較し、稼働可能な撮像装置の最低数が所定数を下回ると判定した場合は処理をステップS614に進め、稼働可能な撮像装置の最低数が所定数以上であると判定した場合は処理をステップS611に進める。
【0070】
ステップS611では、制御部201は、複数の撮像装置30A,30B,30Cに対してステップS601で設定された切り替えパターンまたはステップS607で補正された切り替えパターンに基づく制御情報を送信する。制御情報生成部201aは、補正後の切り替えパターンに基づいて、
図10に例示する撮像装置の動作状態に対応する制御情報を、複数の撮像装置30A,30B,30Cに送信する。制御情報は、撮像装置の動作状態として、使用中、使用待機、使用準備を含み、各動作状態に対応する振る舞い(動作内容)を、それぞれの動作状態に対応する撮像装置30A,30B,30Cに通知する。使用中は、撮像装置が配信装置10に配信用のメディアデータを送信中である。使用待機は、次回の使用開始時まで撮像装置が動作を停止または最低限の動作を行い待機している状態である。使用準備は、次回の使用開始時に即座に配信装置10に配信用のメディアデータの送信を開始できるように準備している状態である。
【0071】
図11は、切り替えパターンに基づく撮像装置30A,30B,30Cの動作状態の遷移を例示している。
図11の例では、撮像装置30A,30B,30Cは、制御装置20から切り替えパターンに基づく制御情報が通知される時間間隔t1ごとに動作状態を判定する。制御情報生成部201aは切り替えパターンが更新されたタイミングで、
図11に示すような撮像装置ごとの動作状態を制御情報として撮像装置30A,30B,30Cに通知したり、ステップS611の処理を実行するごとに切り替えパターンから撮像装置ごとの動作状態を演算し撮像装置30A,30B,30Cに通知してもよい。制御情報の通知時間間隔t1は、使用待機、使用準備、使用中にスムーズに移行できる時間であれば、例えば0.5秒など撮像装置に通知し撮像装置で動作を開始または実行するのに十分な時間であればよい。撮像装置30A,30B,30Cの制御部301は、通信部307により制御情報を受信すると、撮像装置30A,30B,30Cの動作判定部301aが
図10に示す動作状態を判定し、撮像制御部301bに動作指示を送信する。撮像制御部301bは動作判定部301aの動作指示に基づいて撮像装置30A,30B,30Cの動作を制御する。
図10の例では、撮像装置の動作状態ごとの振る舞いとして4つの例が示されている。使用中は、全ての例において、ユーザが指定した画質の動画を送信する。使用準備は、全ての例において、使用待機(スリープ)の状態から使用中に戻す動作である。使用待機は、振る舞い1では最低画質の動画を送信して電池の消費電力を低減して撮像装置の動作可能時間を延ばすための動作であり、振る舞い2ではスリープすることにより電池の消費電力を低減して撮像装置の動作可能時間を延ばすための動作である。振る舞い3では通信状態を維持したままスリープはしないがメディアデータの送信は行わないことにより電池の消費電力を低減して撮像装置の動作可能時間を延ばすための動作である。振る舞い4はメディアデータの記録を行わないことによりストレージ残量の低下を抑えて撮像装置の動作可能時間を延ばすための動作である。振る舞い1~4に加えて、スリープ中にファンによる冷却を行って発熱量の上昇を抑えること、動画のフレームレートを間引くことなどが挙げられる。
図11に例示する振る舞い1~4は適宜組み合わせてもよい。また、電池残量やストレージ残量の低下や発熱量の上昇を抑制する方法であれば、上記以外の方法であってもよい。
【0072】
ステップS612では、制御部201は、制御情報生成部201aが撮像装置30A,30B,30Cから状態情報を受け取るタイミングであるか否かを判定する。制御部201は、撮像装置30A,30B,30Cから状態情報を受け取るタイミングであると判定した場合は処理をステップS617に進める。制御部201は、撮像装置30A,30B,30Cから状態情報を受け取るタイミングではないと判定した場合は処理をステップS611に戻す。状態情報を受け取るタイミングは、例えば5秒など、システムの処理時間の最小時間などから決定される。本実施形態では、制御装置20が撮像装置30A,30B,30Cに対して適時切り替えパターンに基づく制御情報を通知したが、制御装置20がステップS607で補正した切り替えパターンを撮像装置30A,30B,30Cに送信し、制御部301の動作判定部301aおよび撮像制御部301bが切り替えパターンに応じて撮像装置30A,30B,30Cの動作を制御するようにしてもよい。
【0073】
ステップS613では、制御部201は、表示部206に表示されているカメラアプリケーションのUI画面においてユーザが操作部205を操作することにより配信停止指示を行ったか否かを判定する。制御部201は、配信停止指示を受けたと判定した場合は処理をステップS614に進め、配信停止指示を受けていないと判定した場合は処理をステップS603に戻し、配信を継続する。
【0074】
ステップS614では、制御部201は、配信停止処理を行う。制御部201は、配信装置10へのメディアデータの送信を停止すると共に、配信装置10に対してメディアデータの配信停止を指示し、さらに複数の撮像装置30A,30B,30Cに対してメディアデータの送信停止を要求する。
【0075】
上述した実施形態によれば、複数の撮像装置30A,30B,30Cの状態情報に基づいて、配信装置10がメディアデータの配信に使用する配信元撮像装置を切り替えるための制御情報(切り替えパターン)を補正する。このようにして、複数の撮像装置30A,30B,30Cの中で配信元撮像装置を適切に切り替えて撮像装置の動作可能時間を延ばすことで、配信元撮像装置から配信用のメディアデータが送信されない状態を最小限に抑えることができる。
【0076】
[他の実施形態]
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0077】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神および範囲から離脱することなく、様々な変更および変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【0078】
本明細書の開示は、以下の制御装置、撮像装置、制御方法およびプログラムを含む。
[構成1]
複数の撮像装置と通信する通信手段と、
前記通信手段により前記複数の撮像装置からメディアデータを受信する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記複数の撮像装置から受信した状態情報に基づいて、前記複数の撮像装置の中で、前記メディアデータの配信に使用する所定の撮像装置を切り替えるための制御情報を生成し、
前記制御情報を前記複数の撮像装置に送信することを特徴とする制御装置。
[構成2]
前記制御手段は、前記複数の撮像装置の中で前記所定の撮像装置を切り替える切り替えパターンを生成し、
前記状態情報に基づいて予め決められた切り替えパターンを補正することを特徴とする構成1に記載の制御装置。
[構成3]
前記状態情報は、前記撮像装置がメディアデータの送信を継続できなくなる状態を含むことを特徴とする構成2に記載の制御装置。
[構成4]
前記状態情報は、前記撮像装置の電池残量、発熱量およびストレージ残量の少なくともいずれかを含み、
前記制御手段は、前記状態情報が閾値以下である撮像装置が存在すると判定した場合、前記予め決められた切り替えパターンを補正することを特徴とする構成2または3に記載の制御装置。
[構成5]
前記切り替えパターンの補正は、前記状態情報と閾値との比較に基づいて、前記状態情報が閾値以下の撮像装置の使用頻度を低下させることを含むことを特徴とする構成2から4のいずれか1項に記載の制御装置。
[構成6]
前記制御手段は、前記補正された切り替えパターンで使用する撮像装置の数が稼働可能な撮像装置の数に達していない場合、前記メディアデータの配信を停止することを特徴とする構成2から5のいずれか1項に記載の制御装置。
[構成7]
前記切り替えパターンは、前記撮像装置の動作状態として使用中、使用待機、使用準備を含むことを特徴とした構成1から6のいずれか1項に記載の制御装置。
[構成8]
前記撮像装置の動作状態は、前記撮像装置の動作可能時間を延ばすための動作を含むことを特徴とする構成7に記載の制御装置。
[構成9]
前記撮像装置の動作可能時間を延ばすための動作は、前記撮像装置の消費電力を低減するための動作、前記撮像装置の発熱量を低減させるための動作、または、前記撮像装置のストレージ残量の低下を抑えるための動作を含むことを特徴とする構成8に記載の制御装置。
[構成10]
前記制御手段は、前記状態情報が閾値以下である撮像装置が存在すると判定した場合、当該撮像装置の使用が不可となることをユーザに通知することを特徴とする構成1から9のいずれか1項に記載の制御装置。
[構成11]
前記制御手段は、前記メディアデータの記録を行っていない撮像装置のストレージ残量を最大と判定することを特徴とする構成4に記載の制御装置。
[構成12]
前記制御手段は、前記所定の撮像装置から受信したメディアデータを配信装置による配信に適したデータ形式に変換し、前記配信装置に送信することを特徴とする構成1から11のいずれか1項に記載の制御装置。
[構成13]
前記メディアデータは、前記撮像装置により生成された動画および音声を含むことを特徴とする構成1から12のいずれか1項に記載の制御装置。
[構成14]
撮像装置であって、
制御装置と通信する通信手段と、
前記通信手段により前記制御装置にメディアデータを送信する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記制御装置に状態情報を送信し、
前記制御装置から受信した制御情報に基づいて前記撮像装置の動作状態を制御することを特徴とする撮像装置。
[構成15]
前記制御情報は、前記メディアデータを前記制御装置に送信する撮像装置を切り替える切り替えパターンを含むことを特徴とする構成14に記載の撮像装置。
[構成16]
前記切り替えパターンは、前記撮像装置の動作状態として使用中、使用待機、使用準備を含むことを特徴とした構成15に記載の撮像装置。
[構成17]
前記状態情報は、前記撮像装置がメディアデータの送信を継続できなくなる状態を含むことを特徴とする構成14から16のいずれか1項に記載の撮像装置。
[構成18]
前記状態情報は、前記撮像装置の電池残量、発熱量およびストレージ残量の少なくともいずれかを含むことを特徴とする構成17に記載の撮像装置。
[構成19]
前記撮像装置の動作状態は、前記撮像装置の動作可能時間を延ばすための動作を含むことを特徴とする構成16に記載の撮像装置。
[構成20]
前記撮像装置の動作可能時間を延ばすための動作は、前記撮像装置の消費電力を低減するための動作、前記撮像装置の発熱量を低減させるための動作、または、前記撮像装置のストレージ残量の低下を抑えるための動作を含むことを特徴とする構成19に記載の撮像装置。
[構成21]
前記メディアデータは、前記撮像装置により生成された動画および音声を含むことを特徴とする構成14から20のいずれか1項に記載の撮像装置。
[構成22]
制御装置の制御方法であって、
通信手段により複数の撮像装置からメディアデータを受信するステップを有し、
前記ステップでは、前記複数の撮像装置から受信した状態情報に基づいて、前記複数の撮像装置の中で、前記メディアデータの配信に使用する所定の撮像装置を切り替えるための制御情報を生成し、
前記制御情報を前記複数の撮像装置に送信することを特徴とする制御方法。
[構成23]
制御装置と通信する通信手段を有する撮像装置の制御方法であって、
前記通信手段により前記制御装置にメディアデータを送信するステップを有し、
前記ステップでは、前記制御装置に状態情報を送信し、
前記制御装置から受信した制御情報に基づいて前記撮像装置の動作状態を制御することを特徴とする制御方法。
[構成24]
コンピュータを、構成1から13のいずれかに記載された制御装置として機能させるためのプログラム。
[構成25]
コンピュータを、構成14から21のいずれかに記載された撮像装置として機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0079】
10…配信装置、20…制御装置、30,30A,30B,30C…撮像装置、201,301…制御部、207,307…通信部