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特開2024-162792制御装置、制御方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162792
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/60 20230101AFI20241114BHJP
   H04N 23/611 20230101ALI20241114BHJP
【FI】
H04N23/60 300
H04N23/611
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078698
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 茂夫
【テーマコード(参考)】
5C122
【Fターム(参考)】
5C122FA18
5C122FE03
5C122FH11
5C122FH14
5C122FK37
5C122FK40
5C122FK42
5C122GC52
5C122HA13
5C122HA35
5C122HA86
5C122HB01
5C122HB02
5C122HB05
5C122HB09
(57)【要約】
【課題】複数の撮像装置の中で、配信用のメディアデータを受信する撮像装置を自動で切り替える。
【解決手段】制御装置は、複数の撮像装置と通信する通信手段と、前記通信手段により前記複数の撮像装置からメディアデータを受信する制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記複数の撮像装置の中で、メディアデータの配信に使用する所定の撮像装置を所定の時間に応じて切り替える制御を行い、前記複数の撮像装置から受信した機能情報に基づいて前記所定の時間を制御する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の撮像装置と通信する通信手段と、
前記通信手段により前記複数の撮像装置からメディアデータを受信する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記複数の撮像装置の中で、前記メディアデータの配信に使用する所定の撮像装置を所定の時間に応じて切り替える制御を行い、
前記複数の撮像装置から受信した機能情報に基づいて前記所定の時間を制御することを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記所定の撮像装置として第1の撮像装置と第2の撮像装置とを前記所定の時間に応じて切り替える制御を行い、
前記第1の撮像装置から受信した第1のメディアデータまたは前記第2の撮像装置から受信した前記第1のメディアデータとは異なる第2のメディアデータを配信に使用することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第1の撮像装置の使用時間と前記第2の撮像装置の使用時間が同じになるように前記所定の時間を制御することを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記機能情報に基づいて、前記第1の撮像装置の使用時間が前記第2の撮像装置の使用時間より長くなるように前記所定の時間を制御することを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項5】
前記第2のメディアデータは、前記第1のメディアデータにバリエーションを加えるデータであることを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記所定の撮像装置として第1の撮像装置と第2の撮像装置と第3の撮像装置とを前記所定の時間に応じて切り替える制御を行い、
前記第1の撮像装置から受信した第1のメディアデータ、前記第2の撮像装置から受信した前記第1のメディアデータとは異なる第2のメディアデータ、または、前記第3の撮像装置から受信した前記第1のメディアデータおよび前記第2のメディアデータとは異なる第3のメディアデータを配信に使用することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記機能情報に基づいて、前記第1の撮像装置の使用時間が前記第2の撮像装置の使用時間より長くなり、
前記第2の撮像装置の使用時間が前記第3の撮像装置の使用時間より長くなるように前記所定の時間を制御することを特徴とする請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記第2のメディアデータおよび前記第3のメディアデータは、前記第1のメディアデータにバリエーションを加えるデータであることを特徴とする請求項6に記載の制御装置。
【請求項9】
前記機能情報は、撮影画角に関する情報と画質性能に関する情報を含み、
前記制御手段は、撮像装置ごとに前記撮影画角に関する情報と画質性能に関する情報を点数化することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項10】
前記撮影画角に関する情報は、レンズの焦点距離と電子ズームの倍率を含み、
前記画質性能に関する情報は、イメージセンサのサイズと画素数とレンズの開放F値とノイズ除去処理の有無を含むことを特徴とする請求項9に記載の制御装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記撮影画角に関する情報に基づいて、前記焦点距離が相対的に広角側の撮像装置の使用時間を長く、前記焦点距離が相対的に拡大側の撮像装置の使用時間を短くすることを特徴とする請求項10に記載の制御装置。
【請求項12】
前記制御手段は、前記画質性能に関する情報に基づいて、相対的に高い画質性能を有する撮像装置の使用時間を長く、相対的に低い画質性能を有する撮像装置の使用時間を短くすることを特徴とする請求項10に記載の制御装置。
【請求項13】
前記メディアデータから話者を識別する画像処理手段を有し、
前記制御手段は、前記話者を含むメディアデータを生成している撮像装置の使用時間を相対的に長くし、前記話者を含むメディアデータを生成していない撮像装置の使用時間を相対的に短くすることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項14】
前記制御手段は、ユーザ操作に応じて前記所定の撮像装置を切り替えることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項15】
前記制御手段は、前記メディアデータに対するユーザの視線またはハンドジェスチャーを検出することにより前記所定の撮像装置を切り替えることを特徴とする請求項14に記載の制御装置。
【請求項16】
前記制御手段は、前記所定の撮像装置から受信したメディアデータを配信装置による配信に適したデータ形式に変換し、前記配信装置に送信することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項17】
前記メディアデータは、前記撮像装置により生成された動画および音声を含むことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項18】
制御装置の制御方法であって、
通信手段により複数の撮像装置との間でデータの送受信を行うステップを有し、
前記ステップは、前記複数の撮像装置の中で、メディアデータの配信に使用する所定の撮像装置を所定の時間に応じて切り替える制御を行い、
前記複数の撮像装置から受信した機能情報に基づいて前記所定の時間を制御することを特徴とする制御方法。
【請求項19】
コンピュータを、請求項1から17のいずれかに記載された制御装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の撮像装置から受信したメディアデータを配信装置に送信するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の撮像装置により撮影された複数の異なる視点の画像を配信するシステムにおいて、複数の撮像装置の中から配信用の画像を撮影する撮像装置を切り替えることで、複数の視点の画像を配信するマルチアングル配信が知られている。
【0003】
特許文献1には、競技場のトラックなどのコース上に設置された複数の撮像装置の中で、予め設定された条件に従って配信用の画像を撮影する撮像装置を切り替える方法が記載示されている。特許文献2には、道路上に設置された複数の撮像装置から送信される画像を切り替えながら道路状況を監視し、事故や渋滞などの事象が検出された場合には特定の撮像装置に切り替えて精密映像を取得する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2017/119034号公報
【特許文献2】特許第4133691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、マルチアングル配信を行うためには、複数の撮像装置を切り替える条件を予め設定する必要がある。特許文献2では、複数の撮像装置を順番に切り替えることしかできないため、撮像装置ごとに使用時間を設定することができない、また、事故などの事象が検出された場合には、他の撮像装置に切り替えることができなくなる。
【0006】
また、マルチアングル配信では、複数の撮像装置の接続や切り替え方法、切り替え条件の設定が必要であるため、専門知識や準備時間を要する。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、その目的は、複数の撮像装置の中で、メディアデータの配信に使用する撮像装置を自動で切り替えることができる技術を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明の制御装置は、複数の撮像装置と通信する通信手段と、前記通信手段により前記複数の撮像装置からメディアデータを受信する制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記複数の撮像装置の中で、前記メディアデータの配信に使用する所定の撮像装置を所定の時間に応じて切り替える制御を行い、前記複数の撮像装置から受信した機能情報に基づいて前記所定の時間を制御する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の撮像装置の中で、メディアデータの配信に使用する撮像装置を自動で切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態のシステム構成図。
図2】本実施形態の制御装置の構成を例示するブロック図。
図3】本実施形態の撮像装置の構成を例示するブロック図。
図4】本実施形態の制御装置によるメディアデータの処理シーケンスを例示する図。
図5】本実施形態の制御装置におけるメディアデータの表示例を示す図。
図6】本実施形態の制御装置の制御処理を示すフローチャート。
図7】本実施形態の制御装置の制御処理を示すフローチャート。
図8】本実施形態の撮像装置の性能を点数化する方法を説明する図。
図9】本実施形態の撮像装置の切り替え処理を説明するタイミングチャート。
図10】本実施形態の制御装置の制御処理を示すフローチャート。
図11】本実施形態の制御処理における使用時間補正方法を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0012】
<システム構成>
図1を参照して、本実施形態のシステムについて説明する。
【0013】
本実施形態のシステムは、配信装置10、制御装置20、複数の撮像装置30を含む。複数の撮像装置30は、第1の撮像装置30Aおよび第2の撮像装置30Bを含むが、本実施形態では、複数の撮像装置30A,30Bを撮像装置30と総称して説明する場合もある。複数の撮像装置30A,30Bは、撮像装置ごとに異なる視点の画像を撮像し、撮像装置の周辺の音声を収音して画像および音声の少なくともいずれかを含む所定の形式(例えば、RTMP)のメディアデータを生成し、制御装置20に送信する。制御装置20は、複数の撮像装置30A,30Bについて、撮像装置ごとに撮影動作や録音動作を制御する。また、制御装置20は、撮像装置ごとに撮像された画像および/または撮像装置ごとに収音された音声を含む所定の形式(例えば、RTMP)のメディアデータを撮像装置から受信する。そして、制御装置20は、撮像装置から受信したメディアデータに対して所定のデータ処理を適用して、制御装置20における再生用のデータまたは配信装置10の配信用のデータを生成する。配信装置10は、制御装置20から配信用のメディアデータを受信し、インタネットやLAN(Local Area Network)などのIPネットワークを通じてユーザ機器などの外部装置に配信する。
【0014】
複数の撮像装置30A,30Bと制御装置20は、無線LANなどの無線接続方式または有線LANなどの有線接続方式によりネットワークを通じて通信可能に接続される。無線接続方式の場合には、複数の撮像装置30A,30Bと制御装置20がP2Pにより直接接続され、または、IPネットワークを介して接続される。撮像装置30A,30Bから制御装置20に送信されるメディアデータまたは制御装置20から配信装置10に送信されるメディアデータは、画像および音声の少なくともいずれかを含む。画像は、動画または静止画を含み、音声は、音声解析データや字幕データなどを含んでいてもよい。
【0015】
撮像装置30は、画像を撮影し、音声を収音可能なデジタルカメラであるが、デジタルカメラに限らず、パーソナルコンピュータ(ノートPCやタブレットPC)、スマートフォン、監視カメラなどのWebカメラ、医療用カメラなどでもよい。
【0016】
制御装置20は、パーソナルコンピュータ(ノートPCやタブレットPC)、スマートフォンなどである。制御装置20は、撮像装置30から受信したメディアデータに対して図4で後述するデータ変換処理を適用しない再生用のメディアデータを生成し、あるいは、データ変換処理を適用して配信装置10による配信に適したデータ形式のメディアデータを生成し、配信装置10に送信する。制御装置20は、複数の撮像装置30A,30Bのうち、いずれの撮像装置から受信したメディアデータを配信装置10に送信するのかを決定する機能も備える。
【0017】
配信装置10は、複数のユーザ端末に対して、メディアデータを同時に配信(例えば、ストリーミング配信)するサービスサイトなどのサーバコンピュータである。サービスサイトは、エンターテインメント、プロモーション、トレーニングなど、様々な目的や用途に応じたサービスが存在する。
【0018】
<制御装置20の構成>
次に、図2を参照して、本実施形態の制御装置20の構成および機能について説明する。
【0019】
図2は、本実施形態の制御装置20の構成を例示するブロック図である。
【0020】
制御部201は、制御装置20の全体を統括して制御するCPUまたはMPUなどの演算処理プロセッサを備え、不揮発性メモリ202に格納されたプログラムを実行することで、後述するフローチャートの制御処理を実現する。ワークメモリ203はRAMなどであり、制御部201の動作用の定数、変数、不揮発性メモリ202から読み出したプログラムなどを展開するワークメモリとしても使用される。また、制御部201は、後述する表示部206の表示制御も行う。
【0021】
不揮発性メモリ202には、制御部201が実行する基本的なソフトウェアであるOS(オペレーティングシステム)や、このOSと協働して応用的な機能を実現するアプリケーションが格納されている。また、本実施形態では、不揮発性メモリ202には、撮像装置30と通信するためのカメラアプリケーションと、配信装置10と通信するための配信アプリケーションが格納されている。
【0022】
本実施形態の制御装置20の処理は、アプリケーションにより提供されるソフトウェアを読み込むことにより実現される。なお、アプリケーションは制御装置20にインストールされたOSの基本的な機能を利用するためのソフトウェアを有しているものとする。なお、制御装置20のOSが本実施形態における制御処理を実現するためのソフトウェアを有していてもよい。アプリケーションは、撮像装置30を遠隔操作してメディアデータを受信する機能、撮像装置30から受信したメディアデータを配信装置10に送信する機能を有する。
【0023】
制御部201は、通信部207により撮像装置30から受信した機能情報に基づいて、複数の撮像装置30A,30Bの中で、配信装置10がメディアデータの配信に使用する撮像装置(以下、配信元撮像装置)を切り替える。また、制御部201は、撮像装置30から受信したメディアデータに基づいて、配信撮像装置を切り替えることもできる。例えば、制御部201は、撮像装置から受信したメディアデータから被写体を検出し、検出された被写体に基づいて、配信撮像装置を切り替える。制御部201は、データ処理部201aを備える。データ処理部201aは、撮像装置30から受信したメディアデータに図4で後述するデータ変換処理を適用して配信装置10による配信に適したデータ形式のメディアデータを生成する。
【0024】
タイマー204は、各種制御に用いる時間や、内蔵時計の時間を計測する計時部である。
【0025】
操作部205は、ユーザからの各種操作を受け付けて、制御部201に通知する各種スイッチ、ボタンなどの操作部材からなる。また、操作部205は、後述する表示部206に一体的に構成されるタッチスクリーンとしてのタッチ入力機能を含む。操作部205は、制御装置20の電源をオンまたはオフし、システムを起動またはシャットダウンする電源スイッチを含む。
【0026】
表示部206は、画像の表示、対話的な操作のための文字の表示などを行う。表示部206は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどの表示デバイスである。表示部206は、制御装置20と一体化された構成であっても、制御装置20に接続された外部装置であってもよい。
【0027】
通信部207は、無線アンテナまたは有線ケーブルによって配信装置10や撮像装置30などの外部装置と通信可能に接続し、各種の情報やデータの送受信を行う。各種の情報やデータは、例えば、撮像装置30から受信する機能情報やメディアデータ、配信装置10に送信するメディアデータである。通信部207は、外部装置と無線LANで通信するためのインターフェースを含む。なお、制御装置20は、通信部207により撮像装置30と直接接続されてもよいし、無線LANを介して接続されてもよい。通信部207は、無線LANに限らず、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、WirelessUSBなどの無線通信モジュール、あるいは、USBケーブルやHDMI(登録商標)、IEEE1394などの有線接続インターフェースを用いてもよい。また、通信部207は、4G/LTE、5Gなどの広域ネットワーク(WAN)を介して無線通信を行うインターフェースであってもよい。
【0028】
電源制御部208は、電源部、電池検出回路、DC-DCコンバータ、通電するブロックを切り替えるスイッチ回路などを備え、制御部201の指示に基づいてDC-DCコンバータを制御し、必要な電圧を必要な期間、制御装置20の各部へ供給する。電源部は、アルカリ電池やリチウム電池等の一次電池やNiCd電池やNiMH電池、Liイオン電池等の二次電池、ACアダプタなどを含む。
【0029】
<撮像装置30の構成>
次に、図3を参照して、本実施形態の撮像装置30の構成および機能について説明する。
【0030】
制御部301は、撮像装置30の全体を統括して制御するCPUまたはMPUなどの演算処理プロセッサを備え、不揮発性メモリ302に格納されたプログラムを実行することで、制御装置20との通信処理および制御処理を実現する。なお、制御部301が装置全体を制御する代わりに、複数のハードウェアが処理を分担することで、装置全体を制御してもよい。
【0031】
制御部301は、撮像部304による撮像処理や通信部307による制御装置20との通信処理を制御する。
【0032】
撮像部304は、ズームレンズやフォーカスレンズを含むレンズ群、絞り機能を備えるシャッターを含む。また、撮像部304は、被写体像を電気信号に変換するCCDやCMOSなどで構成されるイメージセンサ、イメージセンサから出力されるアナログ画像信号をデジタル信号に変換するA/D変換器を有する。撮像部304は、制御部301の制御により、撮像部304に含まれるレンズにより結像された被写体像光を、イメージセンサにより電気信号に変換し、ノイズ低減処理などを行って、デジタル信号からなる画像データを出力する。
【0033】
制御部301は、撮像部304により撮像された画像データに対し、画素補間、縮小といったリサイズ処理や色変換処理を行う。また、制御部301は、画像処理を施した静止画データをJPEGなどにより圧縮符号化したり、動画データのみまたは音声データと動画データをH.264/MPEG-4/AVCなどの動画圧縮方式でエンコードしたりして画像ファイルを生成し、記録媒体309に記録する。また、制御部301は、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、演算結果に基づいて撮像部304のフォーカスレンズや絞り、シャッターを制御することで、AF(オートフォーカス)処理やAE(自動露出)処理を行う。また、制御部301は、画像データおよび/または音声データを含むメディアデータから所定のストリーミングデータ(例えば、RTMP(Real-Time Messaging Protocol))を生成し、制御装置20に送信する。
【0034】
不揮発性メモリ302は、電気的に消去・記録可能なメモリであり、例えばEEPROM等が用いられる。不揮発性メモリ302には、制御部301の動作用の定数、プログラム等が記録される。ここでいう、プログラムとは、図6で後述する制御処理を実行するためのプログラムのことである。
【0035】
ワークメモリ303は、制御部301の動作用の定数、変数、不揮発性メモリ302から読み出したプログラム等を展開する作業領域として使用される。また、ワークメモリ303は、撮像部304で撮像された画像データを一時的に保持するバッファメモリや、表示部306の画像表示用メモリとして使用される。
【0036】
操作部305は、ユーザからの各種操作を受け付ける各種スイッチ、ボタン、タッチスクリーンなどの操作部材からなる。操作部305は、撮像装置30の電源をオンまたはオフし、システムを起動またはシャットダウンする電源スイッチ、画像の撮影を行う撮影スイッチ、撮影画像の再生を行う再生ボタンなどを含む。また、後述する表示部306に一体的に形成されるタッチスクリーンも操作部305に含まれる。撮影スイッチは、制御部301に対して静止画の撮影処理を指示するための静止画撮影スイッチ、制御部301に対して動画の撮影処理(記録処理)の開始または停止を指示するための動作撮影スイッチを含む。静止画撮影スイッチまたは動画撮影スイッチの指示を受けて、制御部301は撮像部304を制御することによりAF処理やAE処理などの撮影準備動作を実行すると共に、撮像部304からの信号読み出しから記録媒体309に画像データを書き込むまでの一連の撮影動作を実行する。
【0037】
表示部306は、ライビュー画像の表示、撮影した画像の表示、対話的な操作のための文字表示等を行う。表示部306は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどの表示デバイスである。表示部306は、撮像装置30と一体化された構成であっても、撮像装置30に接続された外部装置であってもよい。撮像装置30は、表示部306と接続することができ、表示部306の表示を制御可能であればよい。
【0038】
通信部307は、無線アンテナまたは有線ケーブルによって制御装置20などの外部装置と通信可能に接続し、各種の情報やデータの送受信を行う。各種の情報やデータは、例えば、制御装置20に送信する機能情報やメディアデータである。通信部307は、外部装置と無線LANで通信するためのインターフェースを含む。なお、撮像装置30は、通信部307により制御装置20と直接接続されてもよいし、無線LANを介して接続されてもよい。通信部307は、無線LANに限らず、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、WirelessUSBなどの無線通信モジュール、あるいは、USBケーブルやHDMI(登録商標)、IEEE1394などの有線接続インターフェースを用いてもよい。また、通信部207は、4G/LTE、5Gなどの広域ネットワーク(WAN)を介して無線通信を行うインターフェースであってもよい。
【0039】
なお、通信部307は、インフラストラクチャモードにおけるアクセスポイント(AP)として動作するAPモードと、インフラストラクチャモードにおけるクライアント(CL)として動作するCLモードとを含む。通信部307をCLモードで動作させることにより、撮像装置30は、インフラストラクチャモードにおけるCLとして動作することが可能である。撮像装置30がCLとして動作する場合、周辺のAPに接続することで、APが形成するネットワークに参加することが可能である。また、通信部307をAPモードで動作させることにより、撮像装置30は、APの一種ではあるが、より機能が限定された簡易的なAP(以下、簡易AP)として動作することが可能である。撮像装置30が簡易APとして動作する場合、撮像装置30は自らネットワークを形成する。撮像装置30の周辺の機器は、撮像装置30をAPと認識し、撮像装置30が形成したネットワークに参加することが可能となる。また、撮像装置30をAPモードまたはCLモードで動作させるためのプログラムは不揮発性メモリ302に格納されている。
【0040】
音声入力部308は、撮像装置30に内蔵された、または、音声端子を通じて接続された1つまたは複数のマイクであり、撮像装置30の周辺の音声を収音して生成されたアナログ音声信号をデジタル信号に変換して制御部301に出力する。制御部301は、音声入力部308により生成されたデジタル音声信号に各種の音声処理を行い、音声データを生成する。
【0041】
記録媒体309は、制御部301により生成された画像ファイルが記録されたり、記録媒体309に既に記録されている画像ファイルが制御部301により読み出される。記録媒体309は、撮像装置30に装着されるメモリカードやハードディスクドライブなどであってもよいし、撮像装置30に内蔵されたフラッシュメモリやハードディスクドライブであってもよい。撮像装置30は少なくとも記録媒体309にアクセス可能であればよい。
【0042】
<メディアデータの処理シーケンス>
次に、図4を参照して、本実施形態の制御装置20によるメディアデータの処理シーケンスについて説明する。
【0043】
図4の処理シーケンスは、制御装置20の制御部201がデータ処理部201aとして機能し、処理前後のデータをワークメモリ203から読み出したり、ワークメモリ203に書き込むことにより実現される。なお、本実施形態では、複数の撮像装置30A,30Bから受信したストリーミングデータが動画と音声を含み、ストリーミングデータに対してデータ変換処理を適用しない再生用のメディアデータを生成したり、データ変換処理を適用して配信装置10による配信に適したデータ形式のメディアデータを生成する例を説明する。
【0044】
受信処理402では、制御装置20は、通信部207により複数の撮像装置30A,30Bからストリーミングデータを受信し、ワークメモリ203に保存する。受信処理402において受信するストリーミングデータの形式は、例えばRTMPである。また、受信処理402では、ワークメモリ203に保存したストリーミングデータから動画および音声を含むメディアデータを生成する。ストリーミングデータから生成されるメディアデータの形式は、例えばFLVである。
【0045】
DEMUX(デマルチプレクサ)処理403では、受信処理402から入力されるメディアデータを動画データと音声データに分離する。メディアデータから分離される動画データの形式は、例えばはH.264である。メディアデータから分離される音声データの形式は、例えばAACである。
【0046】
デコード処理404,405では、DEMUX処理403において分離された動画データおよび音声データを汎用形式に変換する。動画データおよび音声データは高度な符号化処理が適用されているため、デコード処理404,405において汎用的なデータ形式に復号化することで、再生処理406において再生が可能な再生用のメディアデータとして動画データおよび音声データが生成される。
【0047】
エンコード処理407,408では、デコード処理404,405において生成された動画データおよび音声データに再度高度な符号化処理を適用して、符号化した動画データおよび音声データを生成する。符号化された動画データの形式は、例えばH.264である。符号化された音声データの形式は、例えばAACである。エンコード処理407,408では、配信装置10が受信可能なデータ形式の符号化処理が適用される。
【0048】
MUX(マルチプレクサ)処理409では、エンコード処理407,408において符号化された動画データおよび音声データを合成したメディアデータを生成する。動画データおよび音声データを合成したメディアデータの形式は、例えばFLVである。
【0049】
送信処理410では、MUX処理409において生成されたメディアデータをストリーミングデータに変換して、配信装置10に送信する。なお、MUX処理409および送信処理410において適用されるデータ形式は、配信装置10が受信可能なデータ形式が適用される。
【0050】
なお、図4のデータ処理フローの各処理において適用されるデータ形式は、上述した例に限られない。例えば、動画データおよび音声データの形式は、撮像装置30が出力するデータ形式と配信装置10が受信可能なデータ形式に従うだけでなく、復号および符号化の処理速度、動画および音声の品質特性に応じて決定してもよい。
【0051】
図5は、図4の再生処理406において再生される画像の表示例を示している。
【0052】
表示領域501は、制御装置20の表示部206の表示画面に対応している。画像502は、第1の撮像装置30Aから入力された画像である。画像503は、第2の撮像装置30Bから入力された画像である。
【0053】
画像502は、被写体全体を含む画角の画像を例示している。画像503は、画像502とは異なる視点の画像であって、画像502に対して被写体の一部を拡大した画角の画像を例示している。
【0054】
画像502の周囲には太い破線の注目枠が表示されている。注目枠は、複数の撮像装置のうちいずれの撮像装置から受信した画像であるかを示している。なお、注目枠に加えて、注目枠が付されている画像を出力している撮像装置を識別可能な文字、図形、着色などの情報を付加して表示してもよい。複数の撮像装置から受信したメディアデータのうちいずれを配信装置10に送信するかは、図6から図11で後述する制御処理により決定される。また、ユーザは、画像502または画像503をタッチすることで配信装置10が配信に使用するメディアデータを選択することが可能である。
【0055】
<制御処理>
次に、図6から図11を参照して、本実施形態の制御装置20による制御処理について説明する。
【0056】
図6は、本実施形態の制御装置20の制御処理を示すフローチャートである。図6の処理は、制御部201が、不揮発性メモリ202に格納されたプログラムをワークメモリ203に展開して実行し、制御装置20の各構成要素を制御することにより実現される。また、図6の処理は、制御装置20においてカメラアプリケーションが起動され、制御装置20と複数の撮像装置30A,30Bが通信可能に接続され、複数の撮像装置30A,30Bが撮影待機状態において開始される。
【0057】
本実施形態の制御装置20は、複数の撮像装置30A,30Bから受信した撮像装置ごとの機能情報に基づいて複数の撮像装置30A,30Bの中で、配信装置10がメディアデータの配信に使用する配信元撮像装置を切り替える。
【0058】
制御装置20は、複数の撮像装置30A,30Bから受信した機能情報を閾値と比較し、比較結果に基づいて自動的に切り替えられる配信画像撮像装置からメディアデータを受信し、配信装置10に送信する。
【0059】
ステップS601では、制御部201は、複数の撮像装置30A,30Bに対して初期設定を行う。撮像装置の初期設定では、撮像装置の撮影モード、画像の解像度と形式、露出とフォーカスなど、配信装置10に対してメディアデータの配信に必要な設定を行う。撮像装置の機種によっては動画撮影中のタリーランプの表示有無などの機種固有の項目があれば、それらを設定してもよい。また、制御部201は、複数の撮像装置30A,30Bから機能情報を受信し、撮像装置が備えるイメージセンサのサイズと画素数、レンズの開放F値、画像ノイズ除去の有無の情報を取得し、ワークメモリ203に保存する。
【0060】
ステップS602では、制御部201は、複数の撮像装置30A,30Bに対する初期設定が完了したか否かを判定する。制御部201は、複数の撮像装置30A,30Bに対して同時に初期設定の指示を送信し、各撮像装置30A、30Bから設定完了の応答を受信するまで待ち、各撮像装置30A、30Bから設定完了の応答を受信すると、初期設定が完了したと判定し、処理をステップS603に進める。
【0061】
ステップS603では、制御部201は、配信装置10に対して初期設定を行う。本実施形態では、制御装置20はIPネットワークを介して配信装置10と接続されるので、配信装置10に対してWebAPIまたはREST APIのインターフェースを用いて初期設定を行う。配信装置10の初期設定では、ユーザ認証や配信セッションの指定を行う。接続する配信装置によっては初期設定を行うことでAPIキーを取得する場合もある。
【0062】
ステップS604では、制御部201は、複数の撮像装置30A,30Bの役割分担を決定する。制御部201は、複数の撮像装置30A,30Bの機能を判定し、配信装置10へのメディアデータの配信の中心的な役割を担う主撮像装置と、メディアデータにバリエーションを加えて配信品質を向上する枠割を担う副撮像装置とを決定する。撮像装置の役割分担の決定方法は図7で後述する。制御部201は、第1の撮像装置30Aおよび第2の撮像装置30Bに対して役割分担を決定し、ワークメモリ203に保存する。制御部201は、主撮像装置として決定した撮像装置を、配信装置10によるメディアデータの配信開始時に、配信装置10に最初にメディアデータを送信する配信元撮像装置として選択する。制御部201は、全ての撮像装置30A,30Bに対して役割分担を決定した場合は処理をステップS605に進める。
【0063】
ステップS605では、制御部201は、複数の撮像装置30A,30Bに対してメディアデータの送信を要求する。この場合、ステップS604で決定した主撮像装置に対してのみメディアデータの送信を要求してもよい。
【0064】
ステップS606では、制御部201は、配信開始処理を行う。制御部201は、複数の撮像装置30A,30Bから受信したメディアデータのうち、ステップS604で決定した主撮像装置から受信したメディアデータを配信装置10に送信する。配信装置10は、配信元撮像装置から受信したメディアデータを、複数のユーザ端末に対して同時に配信する。制御部201は、メディアデータの配信開始と共に、タイマー204により主撮像装置を配信元撮像装置として使用を開始してからの経過時間の計測を開始する。撮像装置からメディアデータを受信してから配信装置10に送信するまでのデータ処理フローは図4で説明した通りである。
【0065】
ステップS607では、制御部201は、ユーザ操作による配信元撮像装置の切り替え指示を受けたか否かを判定し、切り替え指示を受けていないと判定した場合は処理をステップS608に進め、切り替え指示を受けたと判定した場合は処理をステップS611に進める。本実施形態では、撮像装置を配信元撮像装置として使用する時間(使用時間)に基づいて配信装置10に送信するメディアデータを主撮像装置のメディアデータまたは副撮像装置のメディアデータに切り替えるだけでなく、ユーザが配信元撮像装置を任意に切り替えることができる。選択方法は、図5の画像領域502,503をタッチする方法、視線検出により選択する方法、ハンドジェスチャー検出により選択する方法などがある。視線検出による選択方法は、画像領域に対して視線検出を実行し、画像を所定の時間凝視しているか否かを判定することで当該画像を撮影した撮像装置を選択する方法である。ハンドジェスチャー検出による選択方法は、画像領域に対してハンドジェスチャー検出を実行し、画像に対し所定の向きおよび大きさのハンドジェスチャーを検出した場合に当該画像を撮影した撮像装置を選択する方法である。視線検出処理やハンドジェスチャー検出処理は、既知の技術を用いることができる。
【0066】
ステップS608では、制御部201は、ステップS606でタイマー204が保持している配信元撮像装置として使用を開始してからの経過時間を取得する。
【0067】
ステップS609では、制御部201は、配信元撮像装置を切り替えるタイミングであるか否かを判定する。制御部201は、配信元撮像装置を切り替えるタイミングではないと判定した場合は処理をステップS613に進め、配信元撮像装置を切り替えるタイミングであると判定した場合は処理をステップS610に進める。制御部201は、ワークメモリ203に保存されている配信元装置の使用時間(基準値または補正値)と、配信元撮像装置として使用を開始してからの経過時間とを比較する。制御部201は、配信元撮像装置として使用を開始してからの経過時間が配信元撮像装置の使用時間を超過した場合には、配信元撮像装置の切り替えタイミングであると判定し、処理をステップS610に進める。
【0068】
ステップS610では、制御部201は、次に配信元撮像装置となる撮像装置の使用時間を取得する。制御部201は、複数の撮像装置30A,30Bの中から、次に配信元撮像装置となる撮像装置を判定し、配信元撮像装置の使用時間を決定し、ワークメモリ203に保存する。配信元撮像装置の使用時間の決定方法は図10で後述する。
【0069】
ステップS611では、制御部201は、ユーザにより選択された配信元撮像装置の使用時間を予め決められた時間に設定し、ワークメモリ203に保存する。ユーザにより選択された配信元撮像装置の使用時間は固定値であるが、タッチ操作または視線検出またはハンドジェスチャー検出により変更可能としてもよい。
【0070】
ステップS612では、制御部201は、ステップS610またはS611で設定された配信元撮像装置の使用時間に基づいて、現在の配信元撮像装置を切り替える。制御部201は、配信元撮像装置以外の撮像装置がメディアデータの送信を停止していた場合は、次に配信元撮像装置となる撮像装置にメディアデータの送信を要求し、配信元撮像装置の切り替え前後のメディアデータが受信できる状態であることを確認してから切り替え処理を実行する。配信元撮像装置の切り替え処理では、直ちに配信元撮像装置の切り替えを行う以外に、配信元撮像装置が切り替えられることを画面や音声で通知することも可能である。配信元撮像装置が切り替えられたことにより、ワークメモリ203に保存されている切り替え前の配信元撮像装置の使用を開始してからの経過時間をリセットし計測を再開することで、次の配信元撮像装置の使用を開始しからの経過時間を計測できるようにする。
【0071】
ステップS613では、制御部201は、表示部206に表示されているカメラアプリケーションのUI画面においてユーザが操作部205を操作することにより配信終了指示を行ったか否かを判定する。制御部201は、配信終了指示を受けたと判定した場合は処理をステップS614に進める。制御部201は、配信終了指示を受けていないと判定した場合は処理をステップS607に戻し、配信装置10によるメディアデータの配信、配信元撮像装置によるメディアデータの送信を継続する。
【0072】
ステップS614では、制御部201は、配信終了処理を行う。制御部201は、配信装置10へのメディアデータの送信を停止すると共に、配信装置10に対してメディアデータの配信停止を指示し、さらに複数の撮像装置30A,30Bに対してメディアデータの送信停止を要求する。
【0073】
図7は、図6のステップS604における撮像装置の機能判定処理を示すフローチャートである。
【0074】
ステップS701では、制御部201は、複数の撮像装置30A,30Bから機能情報を取得する。機能情報は、撮影画角に関する情報と、画質性能に関する情報を含む。撮影画角に関する情報は、レンズの焦点距離と電子ズーム倍率を含む。画質性能に関する情報は、イメージセンサのサイズおよび画素数、レンズの開放F値、動画のノイズ除去処理の有無に関する情報を含む。レンズの開放F値は、ズームレンズの場合には画角調整を行った後の停止したズーム位置における開放F値とする。動画のノイズ除去処理は、色ノイズ除去、輝度ノイズ除去、巡回型ノイズ除去の3種のノイズ除去処理の有無を含む。
【0075】
ステップS702では、制御部201は、ステップS701で取得した画質性能に関する情報に基づいて、画質性能を点数化する算出処理を行う。図8は画質性能を点数化する方法を説明する図であり、図8(a)から図8(d)は画質性能に関する情報に応じた点数を例示している。
【0076】
図8(a)は、イメージセンサのサイズによる点数である。35mmフルサイズのイメージセンサを備えている場合は5点、APS-Cサイズの場合には4点、1インチサイズ以下の小型センサの場合には1点とする例を示している。APS-HやフォーサーズサイズはAPS-Cサイズと同等とみなす。
【0077】
図8(b)は、イメージセンサの画素数による点数である。2400万画素以上の画素数のイメージセンサを備えている場合は5点、1200万画素のイメージセンサの場合は3点、1200万画素に満たないイメージセンサの場合は1点とする例を示している。1200万画素以上で2400万画素以下の場合には1200万画素の分類に寄せて考え、例えば2000万画素の場合には3点とする。4K解像度を出力する場合には1200万画素が1つの基準となるが、2400万画素以上の場合には4Kの倍以上の画素数であるため画素補間により解像度を維持しながらS/N比を向上させることも可能であることから2400万画素以上に高い点数を割り当てる。
【0078】
図8(c)は、レンズの開放F値による点数である。開放F値がF2.0以下の明るいレンズを備えている場合には5点、開放F値がF5.6の中程度の明るさである場合には3点、開放F値がF5.6より暗い場合には1点とする例を示している。F2.0とF5.6の中間に位置する例えばF4.0の場合にはF5.6と同じ分類とし3点とする。
【0079】
図8(d)は、動画のノイズ除去処理による点数である。動画の色ノイズ除去処理を備えている場合は1点、動画の輝度ノイズ処理を備えている場合は1点、動画の巡回型ノイズ除去処理を備えている場合は1点とする例を示している。
【0080】
図8(a)から図8(d)のように求めた点数を合算し、画質性能を点数化する。例えば、APS-Cサイズで2400万画素のイメージセンサを備えており、開放F値がF2.8のレンズを装着し、動画のノイズ除去処理を実行可能である場合には、4+5+3+(1+1+1)=15点となる。別の例として、1インチサイズの2000万画素のイメージセンサを備えており、ズームレンズ内蔵で広角端の開放F値がF1.8のレンズ位置であり、動画のノイズ除去処理を実行可能である場合には、1+3+5+(1+1+1)=12点となる。
【0081】
ステップS703では、制御部201は、全ての撮像装置30A,30Bのレンズの焦点距離が同じであるか否かを判定する。制御部201は、複数の撮像装置30A,30Bの機能情報に基づいて、全ての撮像装置のレンズの焦点距離が同じであると判定した場合は処理をステップS707に進め、焦点距離が異なると判定した場合は処理をステップS704に進める。
【0082】
ステップS704では、制御部201は、複数の撮像装置30A,30Bについて、判定対象の撮像装置のレンズの焦点距離が最も広角側であると判定した場合は処理をS705に進め、最も広角側ではないと判定した場合は処理をS706に進める。
【0083】
ステップS705では、制御部201は、判定対象の撮像装置のレンズの焦点距離が最も広角側であり、メディアデータが被写体全体を含む画角の画像を含むため、判定対象の撮像装置を主撮像装置として役割分担を決定する。
【0084】
ステップS706では、制御部201は、判定対象の撮像装置のレンズの焦点距離が拡大側であり、メディアデータが被写体の一部を拡大した画角の画像を含み、被写体全体を含む画角の画像を含むメディアデータのバリエーションを生み出すものであるため、副撮像装置として役割分担を決定する。
【0085】
ステップS707では、全ての撮像装置のレンズの焦点距離が同じであり、画角の違いによる役割分担を決めることができないため、画質性能によって撮像装置の役割分担を決定する。制御部201は、ステップS702によって算出した画質性能値に基づいて、判定対象の撮像装置の画質性能値が判定対象ではない他の像装置の画質性能値より高い点数(最高点)であると判定した場合は処理をS708に進め、最高点ではないと判定した場合は処理をS709に進める。
【0086】
ステップS708では、制御部201は、判定対象の撮像装置の画質性能値が最高点であるため、より高画質のメディアデータが配信の中心となるように、判定対象の撮像装置を主撮像装置として役割分担を決定する。
【0087】
ステップS709では、制御部201は、判定対象の撮像装置の画質性能値が最高点ではないため、相対的に画質性能の低いメディアデータが配信のバリエーションとなるように、判定対象の撮像装置を副撮像装置として役割分担を決定する。
【0088】
図9は、図6のステップS607~S612における配信元撮像装置の切り替え処理を説明するタイミングチャートである。
【0089】
図9(a)~(c)は横軸を時間とし、時間軸方向で配信元撮像装置が順番に切り替わる状態を例示している。
【0090】
図9(a)は、撮像装置1,2の切り替え時間が一定の状態を例示している。図9(a)では、撮像装置1と撮像装置2が同じ時間間隔で切り替わり、ステップS608で取得した配信元撮像装置として使用を開始してからの経過時間に基づいて、ステップS609において配信元撮像装置の切り替えタイミングであるか否かを判定する。配信元撮像装置の使用時間は任意の値に設定可能であるが、例えば60秒といった時間が初期値として設定される。
【0091】
図9(b)は、撮像装置1,2のいずれか一方を主撮像装置に割り当て、もう一方の撮像装置を副撮像装置として割り当てた場合に撮像装置1,2が切り替えられる例を示している。図9(b)は撮像装置1を主撮像装置、撮像装置2を副撮像装置として割り当てた場合を例示している。主撮像装置である撮像装置1からメディアデータの送信が開始され、撮像装置1のメディアデータの間に、定期的に副撮像装置である撮像装置2の短時間のメディアデータが送信される。
【0092】
図9(c)は、撮像装置1~3のうち主撮像装置を撮像装置1に割り当て、副撮像装置を撮像装置2および撮像装置3に割り当てた場合に撮像装置1~3が切り替えられる例を示している。主撮像装置である撮像装置1の使用時間は、副撮像装置である撮像装置2および撮像装置3の使用時間よりも長く設定されている。副撮像装置である撮像装置2および撮像装置3のメディアデータは、使用時間がより長い撮像装置2のメディアデータを撮像装置3よりも前に配信されるメディアデータとなるように、複数の副撮像装置についても使用時間に応じた切り替えを行う。
【0093】
図10は、図6のステップS610における配信元撮像装置の使用時間の取得処理を示すフローチャートである。
【0094】
図10のステップS1001とS1002の処理は、図7のステップS701とS702の処理と同様である。
【0095】
ステップS1003では、制御部201は、複数の撮像装置30A,30Bの役割分担を判定する。制御部201は、図6のステップS604および図7の処理で決定された結果を参照し、判定対象の撮像装置が主撮像装置であると判定した場合は処理をS1004に進め、副撮像装置であると判定した場合は処理をS1005に進める。
【0096】
ステップS1004では、制御部201は、主撮像装置の使用時間の基準値(基準使用時間)を取得する。
【0097】
ステップS1005では、制御部201は、副撮像装置の使用時間の基準値(基準使用時間)を取得する。
【0098】
主撮像装置の使用時間の基準値は、副撮像装置の使用時間の基準値より長い。
【0099】
図7のステップS704では、焦点距離が相対的に広角側の撮像装置が主撮像装置に設定され、焦点距離が相対的に拡大側の撮像装置が副撮像装置に設定されるので、焦点距離が相対的に広角側の撮像装置の使用時間が長く、焦点距離が相対的に拡大側の撮像装置の使用時間が短くなる。
【0100】
また、図7のステップS707では、画質性能値が相対的に高い撮像装置が主撮像装置に設定され、画質性能値が相対的に低い撮像装置が副撮像装置に設定されるので、画質性能値が相対的に高い撮像装置の使用時間が長く、画質性能値が相対的に低い撮像装置の使用時間が短くなる。
【0101】
ステップS1006では、制御部201は、ステップS1002で算出した画質性能値に基づいて、判定対象の撮像装置の画質性能値が判定対象ではない他の撮像装置の画質性能値よりも高い点数(最高点)であるか否かを判定する。制御部201は、判定対象の撮像装置の画質性能値が最高点であると判定した場合は処理をS1007に進め、最高点ではないと判定した場合は処理をS1008に進める。
【0102】
ステップS1007では、制御部201は、ステップS1004またはS1005で取得した基準使用時間について画質性能に基づいて補正する。図11は、画質性能に基づいて基準使用時間を補正する例を示している。主撮像装置と副撮像装置のいずれかについて、画質性能が高い場合には基準時間に10%の時間追加を行う。
【0103】
ステップS1008では、制御部201は、判定対象の撮像装置から受信したメディアデータを解析し、撮影対象の被写体が発話しているか否かを識別する。識別方法は、メディアデータに対して顔器官検出を実行して唇と口角の特徴点の動きを見て識別する方法、深層学習を用いて発話者の顔特徴量を機械学習で求める方法など周知の方法を使用することが可能である。
【0104】
ステップS1009では、制御部201は、ステップS1008での話者の識別結果に基づいて、判定対象の撮像装置から受信したメディアデータの撮影画角範囲内に話者が存在するか否かを判定する。制御部201は、話者が存在すると判定した場合は処理をステップS1010に進め、話者が存在しないと判定した場合は処理を終了する。
【0105】
ステップS1010では、制御部201は、判定対象の撮像装置が副撮像装置であるか否かを判定し、副撮像装置であると判定した場合は処理をステップS1011に進め、副撮像装置ではないと判定した場合は処理を終了する。
【0106】
ステップS1011では、制御部201は、判定対象の撮像装置の副撮像装置としの使用時間の補正を行う。図11は、副撮像装置のメディアデータの撮影画角範囲内に話者が存在する場合に副撮像装置の使用時間を補正する例を示している。副撮像装置のメディアデータの撮影画角内に話者が存在する場合には基準時間に10%の時間追加を行う。つまり、副撮像装置の使用時間は、画質性能が高い場合と話者が存在する場合には2回の補正が行われることになる。そして、話者を含むメディアデータを撮影している副撮像装置の使用時間が相対的に長くなり、話者を含むメディアデータを撮影していない副撮像装置の使用時間が相対的に短くなる。
【0107】
上述した実施形態によれば、複数の撮像装置30A,30Bの機能情報に基づいて、配信装置10がメディアデータの配信に使用する配信元撮像装置の使用時間を補正する。このようにして、複数の撮像装置30A,30Bの中で、配信元撮像装置を自動で切り替えることができる。
【0108】
[他の実施形態]
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0109】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神および範囲から離脱することなく、様々な変更および変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【0110】
本明細書の開示は、以下の制御装置、制御方法およびプログラムを含む。
[構成1]
複数の撮像装置と通信する通信手段と、
前記通信手段により前記複数の撮像装置からメディアデータを受信する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記複数の撮像装置の中で、前記メディアデータの配信に使用する所定の撮像装置を所定の時間に応じて切り替える制御を行い、
前記複数の撮像装置から受信した機能情報に基づいて前記所定の時間を制御することを特徴とする制御装置。
[構成2]
前記制御手段は、前記所定の撮像装置として第1の撮像装置と第2の撮像装置とを前記所定の時間に応じて切り替える制御を行い、
前記第1の撮像装置から受信した第1のメディアデータまたは前記第2の撮像装置から受信した前記第1のメディアデータとは異なる第2のメディアデータを配信に使用することを特徴とする構成1に記載の制御装置。
[構成3]
前記制御手段は、前記第1の撮像装置の使用時間と前記第2の撮像装置の使用時間が同じになるように前記所定の時間を制御することを特徴とする構成2に記載の制御装置。
[構成4]
前記制御手段は、前記機能情報に基づいて、前記第1の撮像装置の使用時間が前記第2の撮像装置の使用時間より長くなるように前記所定の時間を制御することを特徴とする構成2に記載の制御装置。
[構成5]
前記第2のメディアデータは、前記第1のメディアデータにバリエーションを加えるデータであることを特徴とする構成2から4のいずれか1項に記載の制御装置。
[構成6]
前記制御手段は、前記所定の撮像装置として第1の撮像装置と第2の撮像装置と第3の撮像装置とを前記所定の時間に応じて切り替える制御を行い、
前記第1の撮像装置から受信した第1のメディアデータ、前記第2の撮像装置から受信した前記第1のメディアデータとは異なる第2のメディアデータ、または、前記第3の撮像装置から受信した前記第1のメディアデータおよび前記第2のメディアデータとは異なる第3のメディアデータを配信に使用することを特徴とする構成1に記載の制御装置。
[構成7]
前記制御手段は、前記機能情報に基づいて、前記第1の撮像装置の使用時間が前記第2の撮像装置の使用時間より長くなり、
前記第2の撮像装置の使用時間が前記第3の撮像装置の使用時間より長くなるように前記所定の時間を制御することを特徴とする構成6に記載の制御装置。
[構成8]
前記第2のメディアデータおよび前記第3のメディアデータは、前記第1のメディアデータにバリエーションを加えるデータであることを特徴とする構成6または7に記載の制御装置。
[構成9]
前記機能情報は、撮影画角に関する情報と画質性能に関する情報を含み、
前記制御手段は、撮像装置ごとに前記撮影画角に関する情報と画質性能に関する情報を点数化することを特徴とする構成1から8のいずれか1項に記載の制御装置。
[構成10]
前記撮影画角に関する情報は、レンズの焦点距離と電子ズームの倍率を含み、
前記画質性能に関する情報は、イメージセンサのサイズと画素数とレンズの開放F値とノイズ除去処理の有無を含むことを特徴とする構成9に記載の制御装置。
[構成11]
前記制御手段は、前記撮影画角に関する情報に基づいて、前記焦点距離が相対的に広角側の撮像装置の使用時間を長く、前記焦点距離が相対的に拡大側の撮像装置の使用時間を短くすることを特徴とする構成10に記載の制御装置。
[構成12]
前記制御手段は、前記画質性能に関する情報に基づいて、相対的に高い画質性能を有する撮像装置の使用時間を長く、相対的に低い画質性能を有する撮像装置の使用時間を短くすることを特徴とする構成10に記載の制御装置。
[構成13]
前記メディアデータから話者を識別する画像処理手段を有し、
前記制御手段は、前記話者を含むメディアデータを生成している撮像装置の使用時間を相対的に長くし、前記話者を含むメディアデータを生成していない撮像装置の使用時間を相対的に短くすることを特徴とする構成1から12のいずれか1項に記載の制御装置。
[構成14]
前記制御手段は、ユーザ操作に応じて前記所定の撮像装置を切り替えることを特徴とする構成1から13のいずれか1項に記載の制御装置。
[構成15]
前記制御手段は、前記メディアデータに対するユーザの視線またはハンドジェスチャーを検出することにより前記所定の撮像装置を切り替えることを特徴とする構成14に記載の制御装置。
[構成16]
前記制御手段は、前記所定の撮像装置から受信したメディアデータを配信装置による配信に適したデータ形式に変換し、前記配信装置に送信することを特徴とする構成1から15のいずれか1項に記載の制御装置。
[構成17]
前記メディアデータは、前記撮像装置により生成された動画および音声を含むことを特徴とする構成1から16のいずれか1項に記載の制御装置。
[構成18]
制御装置の制御方法であって、
通信手段により複数の撮像装置からメディアデータを受信するステップを有し、
前記ステップは、前記複数の撮像装置の中で、前記メディアデータの配信に使用する所定の撮像装置を所定の時間に応じて切り替える制御を行い、
前記複数の撮像装置から受信した機能情報に基づいて前記所定の時間を制御することを特徴とする制御方法。
[構成19]
コンピュータを、構成1から17のいずれかに記載された制御装置として機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0111】
10…配信装置、20…制御装置、30,30A,30B…撮像装置、201…制御部、207…通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11