(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162802
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】賦形装置および賦形方法
(51)【国際特許分類】
B29C 70/54 20060101AFI20241114BHJP
B29C 70/44 20060101ALI20241114BHJP
B29C 43/12 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
B29C70/54
B29C70/44
B29C43/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078708
(22)【出願日】2023-05-11
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和4年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、「グリーンイノベーション基金事業/次世代航空機の開発(航空機主要構造部品の複雑形状・飛躍的軽量化開発)」に係る「航空機主要複合材構造部品の軽量化・生産高レート化・複雑形状化」に関する助成研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】奥村 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】松岡 潤
(72)【発明者】
【氏名】森 亮
(72)【発明者】
【氏名】野間 一希
(72)【発明者】
【氏名】太田 進輔
【テーマコード(参考)】
4F204
4F205
【Fターム(参考)】
4F204AC03
4F204AD16
4F204AG03
4F204AG28
4F204AH17
4F204AH31
4F204AJ08
4F204AM28
4F204FA01
4F204FA13
4F204FB01
4F204FG02
4F204FG09
4F204FN11
4F204FN15
4F204FQ37
4F205AC03
4F205AD16
4F205AG03
4F205AG28
4F205AH17
4F205AH31
4F205AJ08
4F205AM28
4F205HA09
4F205HA14
4F205HA23
4F205HA37
4F205HA45
4F205HB01
4F205HG01
4F205HK03
4F205HK04
4F205HK22
(57)【要約】
【課題】積層体を賦形型の形状に沿って忠実に折り曲げる。
【解決手段】第1賦形部材11と、第2賦形部材12と、を有する賦形型10と、第1領域R1に隣接する第2領域R2に対向する位置に配置され、第2賦形部材12に一端が固定され、第1所定位置P1に他端が固定される第1メンブレン20と、密閉空間を形成するブラダと、密閉空間を減圧する減圧部50と、を備え、第1賦形部材11は、積層体200の第1領域R1に接触して幅方向WDに沿って延びる第1接触面11aと、幅方向WDに対して第1所定角度θ1で傾斜した第1賦形面11bと、を有し、減圧部50は、密閉空間を減圧することにより、積層体200の第2面202に接触する第1メンブレン20により積層体200の第1面201を第1賦形面11bに押し付けて積層体200を折り曲げる賦形動作を実行する賦形装置100を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
強化繊維を含む複数のシート材料を積層した積層体を賦形する賦形装置であって、
前記積層体の第1面を賦形する第1賦形部材と、前記積層体の第2面を賦形する第2賦形部材と、を有し、前記積層体の第1領域を前記第1賦形部材と前記第2賦形部材との間に挟んで所定方向に沿った形状に賦形する賦形型と、
前記第1領域に隣接する第2領域に対向する位置に配置され、前記第2賦形部材に一端が固定され、第1所定位置に他端が固定される第1賦形シートと、
前記第1賦形シートが取り付けられた前記賦形型を覆って密閉空間を形成する封止シートと、
前記密閉空間を減圧することにより前記封止シートを介して前記第1賦形シートを前記賦形型に押し付ける減圧部と、を備え、
前記第1賦形部材は、前記積層体の前記第1領域に接触して前記所定方向に沿って延びる第1接触面と、前記所定方向に対して第1所定角度で傾斜した第1賦形面と、を有し、
前記減圧部は、前記密閉空間を減圧することにより、前記積層体の前記第2面に接触する前記第1賦形シートにより前記積層体の前記第1面を前記第1賦形面に押し付けて前記積層体を折り曲げる賦形動作を実行する賦形装置。
【請求項2】
前記第1領域に隣接する第3領域に対向する位置に配置され、前記第1賦形部材に一端が固定され、第2所定位置に他端が固定される第2賦形シートを備え、
前記第2賦形部材は、前記積層体の前記第1領域に接触して前記所定方向に沿って延びる第2接触面と、前記所定方向に対して第2所定角度で傾斜した第2賦形面と、を有し、
前記減圧部は、前記密閉空間を減圧することにより、前記積層体の前記第1面に接触する前記第2賦形シートにより前記積層体の前記第2面を前記第2賦形面に押し付けて前記積層体を折り曲げる賦形動作を実行する請求項1に記載の賦形装置。
【請求項3】
前記第1賦形面に配置されるとともに第1厚さを有する板状の第1補助部材を備え、
前記第1補助部材は、前記積層体の前記第2領域が前記第1賦形面に接触する状態で、前記第2領域の先端部との間に第1隙間を設けて配置される請求項1または請求項2に記載の賦形装置。
【請求項4】
前記第2賦形面に配置されるとともに第2厚さを有する板状の第2補助部材を備え、
前記第2補助部材は、前記積層体の前記第3領域が前記第2賦形面に接触する状態で、前記第3領域の先端部との間に第2隙間を設けて配置される請求項2に記載の賦形装置。
【請求項5】
前記第1所定位置は、前記第1賦形面から前記所定方向に沿って第1所定距離を空けて離間した位置である請求項1または請求項2に記載の賦形装置。
【請求項6】
前記第2所定位置は、前記第2賦形面から前記所定方向に沿って第2所定距離を空けて離間した位置である請求項2に記載の賦形装置。
【請求項7】
前記第1賦形シートの前記一端は、前記積層体の前記第1領域の前記所定方向の両端部の間の領域と対向する位置で前記第2賦形部材に固定されている請求項1または請求項2に記載の賦形装置。
【請求項8】
前記第1賦形シートの前記一端は、前記積層体の前記第1領域の前記第2領域側の端部と対向する位置で前記第2賦形部材に固定されている請求項1または請求項2に記載の賦形装置。
【請求項9】
前記第1賦形シートの前記一端は、前記第2賦形部材の前記第2賦形面に固定されている請求項2に記載の賦形装置。
【請求項10】
前記第1賦形部材は、前記第1接触面と前記第1賦形面とを接続する円弧状の連結面を有し、
前記積層体の前記第1領域を前記第1賦形部材と前記第2賦形部材との間に挟んだ状態で、前記第1接触面と前記連結面との切替位置は、前記第2接触面の前記切替位置側の端部の位置よりも、前記所定方向の前記積層体の前記第2領域の先端部側に配置されている請求項2に記載の賦形装置。
【請求項11】
前記第1賦形シートの前記他端が固定される前記第1所定位置を前記第1賦形面に近づく方向に移動させる移動機構を備える請求項1または請求項2に記載の賦形装置。
【請求項12】
前記移動機構は、前記第1所定位置が前記第1賦形面に近づくにつれて前記第1賦形シートの前記他端に作用する張力を増加させる張力発生部を有する請求項11に記載の賦形装置。
【請求項13】
強化繊維を含む複数のシート材料を積層した積層体を賦形装置により賦形する賦形方法であって、
前記賦形装置は、
前記積層体の第1面を賦形する第1賦形部材と、前記積層体の第2面を賦形する第2賦形部材と、を有し、前記積層体の第1領域を前記第1賦形部材と前記第2賦形部材との間に挟んで所定方向に沿った形状に賦形する賦形型と、
前記第1領域に隣接する第2領域に対向する位置に配置され、前記第2賦形部材に一端が固定され、第1所定位置に他端が固定される第1賦形シートと、
前記第1賦形シートが取り付けられた前記賦形型を覆って密閉空間を形成する封止シートと、を備え、
前記第1賦形部材は、前記積層体の前記第1領域に接触して前記所定方向に沿って延びる第1接触面と、前記所定方向に対して第1所定角度で傾斜した第1賦形面と、を有し、
前記密閉空間を減圧することにより前記封止シートを介して前記第1賦形シートを前記賦形型に押し付ける賦形工程と、を有し、
前記賦形工程は、前記密閉空間を減圧することにより、前記積層体の前記第2面に接触する前記第1賦形シートにより前記積層体の前記第1面を前記第1賦形面に押し付けて前記積層体を折り曲げる賦形動作を実行する賦形方法。
【請求項14】
前記賦形装置は、前記第1領域に隣接する第3領域に対向する位置に配置され、前記第1賦形部材に一端が固定され、第2所定位置に他端が固定される第2賦形シートを備え、
前記第2賦形部材は、前記積層体の前記第1領域に接触して前記所定方向に沿って延びる第2接触面と、前記所定方向に対して第2所定角度で傾斜した第2賦形面と、を有し、
前記賦形工程は、前記密閉空間を減圧することにより、前記積層体の前記第1面に接触する前記第2賦形シートにより前記積層体の前記第2面を前記第2賦形面に押し付けて前記積層体を折り曲げる賦形動作を実行する請求項13に記載の賦形方法。
【請求項15】
前記賦形装置は、前記第1賦形面に配置されるとともに第1厚さを有する板状の第1補助部材を備え、
前記第1補助部材は、前記積層体の前記第2領域が前記第1賦形面に接触する状態で、前記第2領域の先端部との間に第1隙間を設けて配置される請求項13または請求項14に記載の賦形方法。
【請求項16】
前記賦形装置は、前記第2賦形面に配置されるとともに第2厚さを有する板状の第2補助部材を備え、
前記第2補助部材は、前記積層体の前記第3領域が前記第2賦形面に接触する状態で、前記第3領域の先端部との間に第2隙間を設けて配置される請求項14に記載の賦形方法。
【請求項17】
前記第1所定位置は、前記第1賦形面から前記所定方向に沿って第1所定距離を空けて離間した位置である請求項13または請求項14に記載の賦形方法。
【請求項18】
前記第2所定位置は、前記第2賦形面から前記所定方向に沿って第2所定距離を空けて離間した位置である請求項14に記載の賦形方法。
【請求項19】
前記第1賦形シートの前記一端は、前記積層体の前記第1領域の前記所定方向の両端部の間の領域と対向する位置で前記第2賦形部材に固定されている請求項13または請求項14に記載の賦形方法。
【請求項20】
前記第1賦形シートの前記一端は、前記積層体の前記第1領域の前記第2領域側の端部と対向する位置で前記第2賦形部材に固定されている請求項13または請求項14に記載の賦形方法。
【請求項21】
前記第1賦形シートの前記一端は、前記第2賦形部材の前記第2賦形面に固定されている請求項14に記載の賦形方法。
【請求項22】
前記第1賦形部材は、前記第1接触面と前記第1賦形面とを接続する円弧状の連結面を有し、
前記積層体の前記第1領域を前記第1賦形部材と前記第2賦形部材との間に挟んだ状態で、前記第1接触面と前記連結面との切替位置は、前記第2接触面の前記切替位置側の端部の位置よりも、前記所定方向の前記積層体の前記第2領域の先端部側に配置されている請求項14に記載の賦形方法。
【請求項23】
前記第1賦形シートの前記他端が固定される前記第1所定位置を前記第1賦形面に近づく方向に移動させる移動工程を備える請求項13または請求項14に記載の賦形方法。
【請求項24】
前記移動工程は、前記第1所定位置が前記第1賦形面に近づくにつれて前記第1賦形シートの前記他端に作用する張力を増加させる請求項23に記載の賦形方法。
【請求項25】
強化繊維を含む複数のシート材料を積層した積層体を賦形する賦形装置であって、
前記積層体の第1面を賦形する第1賦形部材と、前記積層体の第2面を賦形する第2賦形部材と、を有し、前記積層体の第1領域を前記第1賦形部材と前記第2賦形部材との間に挟んで所定方向に沿った形状に賦形する賦形型と、
前記第1領域に隣接する第2領域に対向する位置に配置され、前記第2賦形部材に一端が固定され、第1所定位置に他端が固定される第1賦形シートと、
前記第1賦形シートの前記他端が固定される前記第1所定位置を前記第1賦形部材に近づく方向に移動させる移動機構と、を備え、
前記第1賦形部材は、前記積層体の前記第1領域に接触して前記所定方向に沿って延びる第1接触面と、前記所定方向に対して第1所定角度で傾斜した第1賦形面と、を有し、
前記移動機構は、前記第1所定位置を前記第1賦形面に近づけることにより、前記積層体の前記第2面に接触する前記第1賦形シートにより前記積層体の前記第1面を前記第1賦形面に押し付けて前記積層体を折り曲げる賦形動作を実行する賦形装置。
【請求項26】
強化繊維を含む複数のシート材料を積層した積層体を賦形装置により賦形する賦形方法であって、
前記賦形装置は、
前記積層体の第1面を賦形する第1賦形部材と、前記積層体の第2面を賦形する第2賦形部材と、を有し、前記積層体の第1領域を前記第1賦形部材と前記第2賦形部材との間に挟んで所定方向に沿った形状に賦形する賦形型と、
前記第1領域に隣接する第2領域に対向する位置に配置され、前記第2賦形部材に一端が固定され、第1所定位置に他端が固定される第1賦形シートと、を備え、
前記第1賦形部材は、前記積層体の前記第1領域に接触して前記所定方向に沿って延びる第1接触面と、前記所定方向に対して第1所定角度で傾斜した第1賦形面と、を有し、
前記第1賦形シートの前記他端が固定される前記第1所定位置を前記第1賦形面に近づく方向に移動させることにより前記第1賦形シートを前記賦形型に押し付ける賦形工程と、を有し、
前記賦形工程は、前記第1所定位置を前記第1賦形面に近づけることにより、前記積層体の前記第2面に接触する前記第1賦形シートにより前記積層体の前記第1面を前記第1賦形面に押し付けて前記積層体を折り曲げる賦形動作を実行する賦形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、強化繊維を含む複数のシート材料を積層した積層体を賦形する賦形装置および賦形方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
航空機や自動車等に用いられる複合構造部材は任意の断面形状を有しており、これを製造する方法として、強化繊維を含む複数のシート材料を積層した積層体を賦形型に押し付けて賦形して目的形状を得る方法が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。特許文献1,2には、Z型の断面を有する賦形型に積層体を配置して真空バッグで封止し、真空バッグで封止された空間を減圧することにより、積層体をZ型に賦形することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第11155069号明細書
【特許文献2】特開2020-93416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の賦形方法において、賦形型の凹んだ領域においては、真空バッグで封止された空間を減圧することによる積層体の賦形型への加圧力が他の領域に比べて低下してしまい、積層体を賦形型の形状に沿って忠実に折り曲げることが困難となる。特に、真空バッグにより減圧する前には賦形型に接触しておらず、真空バッグによる減圧の開始後に賦形型に押し付けて賦形される積層体の面積が大きい場合、賦形後の積層体にリンクル(皺)が発生する可能性がある。
【0005】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、積層体を賦形型の形状に沿って忠実に折り曲げることが可能な賦形装置および賦形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る賦形装置は、強化繊維を含む複数のシート材料を積層した積層体を賦形する賦形装置であって、前記積層体の第1面を賦形する第1賦形部材と、前記積層体の第2面を賦形する第2賦形部材と、を有し、前記積層体の第1領域を前記第1賦形部材と前記第2賦形部材との間に挟んで所定方向に沿った形状に賦形する賦形型と、前記第1領域に隣接する第2領域に対向する位置に配置され、前記第2賦形部材に一端が固定され、第1所定位置に他端が固定される第1賦形シートと、前記第1賦形シートが取り付けられた前記賦形型を覆って密閉空間を形成する封止シートと、前記密閉空間を減圧することにより前記封止シートを介して前記第1賦形シートを前記賦形型に押し付ける減圧部と、を備え、前記第1賦形部材は、前記積層体の前記第1領域に接触して前記所定方向に沿って延びる第1接触面と、前記所定方向に対して第1所定角度で傾斜した第1賦形面と、を有し、前記減圧部は、前記密閉空間を減圧することにより、前記積層体の前記第2面に接触する前記第1賦形シートにより前記積層体の前記第1面を前記第1賦形面に押し付けて前記積層体を折り曲げる賦形動作を実行する。
【0007】
本開示の一態様に係る賦形方法は、強化繊維を含む複数のシート材料を積層した積層体を賦形装置により賦形し、前記賦形装置は、前記積層体の第1面を賦形する第1賦形部材と、前記積層体の第2面を賦形する第2賦形部材と、を有し、前記積層体の第1領域を前記第1賦形部材と前記第2賦形部材との間に挟んで所定方向に沿った形状に賦形する賦形型と、前記第1領域に隣接する第2領域に対向する位置に配置され、前記第2賦形部材に一端が固定され、第1所定位置に他端が固定される第1賦形シートと、前記第1賦形シートが取り付けられた前記賦形型を覆って密閉空間を形成する封止シートと、を備え、前記積層体の前記第1領域に接触して前記所定方向に沿って延びる第1接触面と、前記所定方向に対して第1所定角度で傾斜した第1賦形面と、を有し、前記密閉空間を減圧することにより前記封止シートを介して前記第1賦形シートを前記賦形型に押し付ける賦形工程と、を有し、前記賦形工程は、前記密閉空間を減圧することにより、前記積層体の前記第2面に接触する前記第1賦形シートにより前記積層体の前記第1面を前記第1賦形面に押し付けて前記積層体を折り曲げる賦形動作を実行する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、積層体を賦形型の形状に沿って忠実に折り曲げることが可能な賦形装置および賦形方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る賦形装置を示す断面図であり、賦形型に積層体を設置する前の状態を示す。
【
図3】本開示の第1実施形態に係る賦形装置を示す正面図であり、賦形型に積層体を設置した状態を示す。
【
図4】本開示の第1実施形態に係る賦形装置を示す正面図であり、賦形動作を実行した後の状態を示す。
【
図5】
図3に示すA部分の部分拡大図であり、賦形動作を実行する前の状態を示す。
【
図6】
図3に示すA部分の部分拡大図であり、賦形動作の実行中の状態を示す。
【
図7】
図4に示すA部分の部分拡大図であり、賦形動作を実行した後の状態を示す。
【
図10】
図7に示すB部分の部分拡大図であり、第1補助部材が配置されない比較例を示す。
【
図11】
図7に示すC部分の部分拡大図であり、第1補助部材が配置されない比較例を示す。
【
図12】本開示の第1実施形態に係る賦形方法を示すフローチャートである。
【
図13】本開示の第2実施形態に係る賦形装置を示す断面図であり、賦形動作を実行した後の状態を示す。
【
図14】本開示の第3実施形態に係る賦形装置を示す断面図であり、賦形動作を実行した後の状態を示す。
【
図15】本開示の第4実施形態に係る賦形装置を示す断面図であり、移動機構による賦形動作を実行する前の状態を示す。
【
図16】本開示の第4実施形態に係る賦形装置を示す断面図であり、移動機構による賦形動作を実行した後の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔第1実施形態〕
以下、本開示の第1実施形態に係る賦形装置100およびそれを用いた賦形方法について、図面を参照して説明する。
図1は、本開示の第1実施形態に係る賦形装置100を示す断面図であり、賦形型10に積層体200を設置する前の状態を示す。
図2は、
図1に示す積層体200の断面である。
図3は、本開示の第1実施形態に係る賦形装置100を示す正面図であり、賦形型10に積層体200を設置した状態を示す。
図4は、本開示の第1実施形態に係る賦形装置100を示す正面図であり、賦形動作を実行した後の状態を示す。
【0011】
本実施形態の賦形装置100は、強化繊維を含む複数のシート状材料を積層した積層体200を賦形する賦形型10の表面形状に沿って賦形する装置である。積層体200は、シート状の複数層の複合材料を積層したものである。積層体200を構成する複合材料は、強化繊維にマトリックス樹脂が付着されて半一体化したシート状の中間成形材料である。
【0012】
複合材料に含まれる強化繊維は、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等である。複合材料に含まれるマトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を用いることができる。熱硬化性のマトリックス樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、フェノール、シアネートエステル、ポリイミド等である。
【0013】
熱可塑性のマトリックス樹脂は、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ナイロン6(PA6)、ナイロン66(PA66)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)等である。
【0014】
賦形型10は、マトリックス樹脂を軟化温度以上に加熱することが可能な加熱機構(図示略)を備えていてもよい。加熱機構によりマトリックス樹脂を軟化温度以上に加熱することにより、マトリックス樹脂を含む積層体200を賦形型10の表面形状に沿って賦形することができる。また、加熱機構は、後述する第1メンブレン20,第2メンブレン30に内蔵させてもよい。また、第1メンブレン20と積層体200との間、および第2メンブレン30と積層体200との間にシート状の加熱機構を重ねて配置してもよい。
【0015】
積層体200として、マトリックス樹脂を含まないシート状の複数の強化繊維(ドライファブリック)を積層して平坦状に形成したものを用いてもよい。ドライファブリックを用いる場合、賦形型10の表面形状に沿って賦形された積層体200を成形型(図示略)に配置し、成形型の内部に樹脂材料を注入して強化繊維に含浸させて成形するRTM(Resin Transfer Molding)法が用いられる。
【0016】
また、ドライファブリックにより形成される積層体200において、複数層のドライファブリックのそれぞれの表面には、隣接するドライファブリック同士を仮止めするための粉末状の樹脂(パウダーバインダー)を散布するのが望ましい。パウダーバインダーとして、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を用いることができる。
【0017】
図1に示すように、本実施形態の賦形装置100は、賦形型10と、第1メンブレン(第1賦形シート)20と、第2メンブレン(第2賦形シート)30と、ブラダ(封止シート)40と、減圧部50と、第1補助部材60と、第2補助部材70と、第1メンブレン固定部80と、を備える。
【0018】
賦形型10は、積層体200を賦形する表面形状を有する型であり、例えば、金属材料により形成されている。
図1に示すように、賦形型10は、積層体200の第1面201を賦形する第1賦形部材11と、積層体200の第2面202を賦形する第2賦形部材12と、を有する。第2賦形部材12は、設置面Sに設置されている。
【0019】
図1および
図2に示すように、積層体200は、幅方向WDの中央部の第1領域R1と、第1領域R1に隣接する幅方向WDの端部側の第2領域R2と、第1領域R1に隣接する幅方向WDの端部側の第3領域R3と、を有する。賦形型10は、積層体200の第1領域R1を第1賦形部材11と第2賦形部材12との間に挟んで幅方向WDに沿った形状に賦形する。
【0020】
図2に示すように、積層体200は、幅方向WDに直交する厚さ方向TDに沿って5枚の強化繊維シート200a,200b,200c,200d,200eを積層したものである。なお、積層体200を構成する強化繊維シートの枚数は、5枚以外の任意の枚数としてもよい。
【0021】
図1に示すように、第1賦形部材11は、積層体200の第1領域R1を賦形するとともに幅方向WDに沿って延びる第1接触面11aと、積層体200の第2領域R2を賦形するとともに幅方向WDに対して第1所定角度θ1で傾斜した第1賦形面11bと、第1接触面11aと第1賦形面11bとを接続する円弧状の連結面11cと、を有する。第1所定角度θ1は、例えば、45度以上かつ120度以下の範囲に設定される。第1賦形部材11は、幅方向WDに直交する長手方向(
図1の奥行方向)に沿って延びるように形成される。第1賦形部材11は、例えば、長手方向の各位置において
図1に示す断面形状と略同一の形状を有する。
【0022】
第2賦形部材12は、積層体200の第1領域R1を賦形するとともに幅方向WDに沿って延びる第2接触面12aと、積層体200の第3領域R3を賦形するとともに幅方向WDに対して第2所定角度θ2で傾斜した第2賦形面12bと、第2接触面12aと第2賦形面12bとを接続する円弧状の連結面12cと、を有する。第2所定角度θ2は、例えば、45度以上かつ120度以下の範囲に設定される。第2賦形部材12は、幅方向WDに直交する長手方向(
図1の奥行方向)に沿って延びるように形成される。第2賦形部材12は、例えば、長手方向の各位置において
図1に示す断面形状と略同一の形状を有する。
【0023】
図1に示すように、第1接触面11aと連結面11cとは切替位置11a1で連結され、第1賦形面11bと連結面11cとは切替位置11b1で連結される。
図3に示すように、積層体200の第1領域R1を第1賦形部材11と第2賦形部材12との間に挟んだ状態で、第1接触面11aと連結面11cとの切替位置11a1は、第2接触面12aの切替位置11a1側の端部の位置P3よりも、幅方向WDの積層体200の第2領域R2の先端部203側に配置されている。
【0024】
第2接触面12aの切替位置11a1側の端部の位置P3において、積層体200を挟んで対向する位置に連結面11cが配置されることがない。そのため、積層体200を挟んで対向する位置に連結面11cが配置されて凹部が形成されることにより第1メンブレン20が積層体200に付与する加圧力が局所的に減少してしまうことや、それにより賦形不良が発生することを防止することができる。
【0025】
第1メンブレン20は、積層体200の第2領域R2を賦形するためのシートである。第1メンブレン20は、例えば、幅方向WDに沿って伸長可能な弾性を有するゴム材料により形成されている。第1メンブレン20の一端20aは固定棒21に巻き付けられており、第1メンブレン20の他端20bは固定棒22に巻き付けられている。
【0026】
図3に示すように、第1メンブレン20の一端20aは、積層体200の第1領域R1に対向する位置で第2賦形部材12の第2接触面12aに設けられた固定部12dに固定される。第1メンブレン20の他端20bは、第1賦形部材11に固定された第1メンブレン固定部80の固定部81の第1所定位置P1に対して固定される。第1所定位置P1は、第1賦形部材11に対して相対的に固定された位置である。なお、第1メンブレン20の他端20bは、第1賦形部材11に対して直接的に固定されるものとしてもよい。第1メンブレン20の一端20aは、積層体200の第1領域R1の幅方向の両端部の間の領域と対向する位置で第2賦形部材12に固定されている。
【0027】
第2メンブレン30は、積層体200の第3領域R3を賦形するためのシートである。第2メンブレン30は、例えば、幅方向WDに沿って伸長可能な弾性を有するゴム材料により形成されている。第2メンブレン30の一端30aは固定棒31に巻き付けられており、第2メンブレン30の他端30bは固定棒32に巻き付けられている。
【0028】
図3に示すように、第2メンブレン30の一端30aは、積層体200の第1領域R1に対向する位置で第1賦形部材11の第1接触面11aに設けられた固定部11dに固定される。第2メンブレン30の他端30bは、設置面Sの第2所定位置P2に対して固定される。第2所定位置P2は、第2賦形部材12に対して相対的に固定された位置である。なお、第2メンブレン30の他端30bは、第2賦形部材12に対して直接的に固定されるものとしてもよい。
【0029】
ブラダ40は、第1メンブレン20および第2メンブレン30が取り付けられた賦形型10を覆って密閉空間CSを形成するシートである。ブラダ40は、端部の全領域がシール材300により設置面Sに接着されている。ブラダ40は、密閉空間CSを減圧する際に第1メンブレン20および第2メンブレン30を介して積層体200を加圧する。
【0030】
ブラダ40は、例えば、幅方向WDに沿って伸長可能な弾性を有するゴム材料により形成されている。ブラダ40は、賦形装置100の全体を覆うとともに密閉空間CSを減圧する際に形状が変化するため、第1メンブレン20および第2メンブレン30よりも低い硬度とするのが好ましい。
【0031】
減圧部50は、密閉空間CSの空気を吸引して密閉空間CSを減圧することにより、ブラダ40を介して第1メンブレン20および第2メンブレン30を賦形型10に押し付ける。減圧部50は、積層体200の第2面202に接触する第1メンブレン20により積層体200の第1面201を第1賦形部材11の第1賦形面11bに押し付けて積層体200の第2領域R2を折り曲げる賦形動作を実行する。また、減圧部50は、積層体200の第1面201に接触する第2メンブレン30により積層体200の第2面202を第2賦形部材12の第2賦形面12bに押し付けて積層体200の第3領域R3を折り曲げる賦形動作を実行する。
【0032】
積層体200は、大気圧により積層体200を賦形型10に押し付けられ、賦形型10の表面形状に沿って賦形されるとともに厚さが減少する。減圧部50は、例えば、ポンプである。
図1は、設置面Sに開口した吸引穴51から密閉空間CSの空気を吸引する例を示す。密閉空間CSから空気を吸引する吸引穴51の位置は任意の位置とすることができる。
【0033】
第1補助部材60は、第1賦形面11bに配置されるとともに第1厚さt1を有する板状の部材である。第1補助部材60は、例えば、金属材料により形成される。
図4に示すように、第1補助部材60は、積層体200の第2領域R2が第1賦形面11bに接触する状態で、第2領域R2の先端部203との間に第1隙間CL1を設けて配置される。
【0034】
第2補助部材70は、第2賦形面12bに配置されるとともに第2厚さt2を有する板状の部材である。第2補助部材70は、例えば、金属材料により形成される。
図4に示すように、第2補助部材70は、積層体200の第3領域R3が第2賦形面12bに接触する状態で、第3領域R3の先端部204との間に第2隙間CL2を設けて配置される。
【0035】
次に、本実施形態の賦形装置100が、減圧部50により密閉空間CSを減圧して積層体200の第2領域R2を賦形する動作について説明する。
図5は、
図2に示すA部分の部分拡大図であり、賦形動作を実行する前の状態を示す。
図6は、
図1に示すA部分の部分拡大図であり、賦形動作の実行中の状態を示す。
図7は、
図1に示すA部分の部分拡大図であり、賦形動作を実行した後の状態を示す。
【0036】
図5に示すように、第1メンブレン20の他端20bが第1メンブレン固定部80に固定される第1所定位置P1は、第1賦形部材11に対して相対的に固定された位置であり、第1賦形部材11の第1賦形面11bから幅方向WDに沿って第1所定距離D1を空けて離間した位置である。
図5に示すように、減圧部50が密閉空間CSを減圧する前は、積層体200の第1面201が第1賦形面11bから離れた位置に配置される。
【0037】
そして、
図6に示すように、減圧部50が密閉空間CSを減圧すると、ブラダ40による加圧力が漸次増加し、積層体200の第1面201が第1賦形面11bに漸次近づくように第1メンブレン20が移動する。減圧部50による密閉空間CSの減圧が完了して
図4および
図7の状態となると、積層体200の第1面201が第1賦形面11bに接触した状態となる。このように、本実施形態の賦形装置100によれば、積層体200の第1面201は、第1賦形面11bから離れた位置から第1賦形面11bに接触するまで段階的に移動するため、賦形動作中に積層体200にリンクル(皺)が発生することを防止することができる。
【0038】
図3に示すように、第2メンブレン30の他端30bが設置面Sに固定される第2所定位置P2は、第2賦形部材12に対して相対的に固定された位置であり、第2賦形部材12の第2賦形面12bから幅方向WDに沿って第2所定距離D2を空けて離間した位置である。
図3に示すように、減圧部50が密閉空間CSを減圧する前は、積層体200の第2面202が第2賦形面12bから離れた位置に配置される。
【0039】
そして、減圧部50が密閉空間CSを減圧すると、ブラダ40による加圧力が漸次増加し、積層体200の第2面202が第2賦形面12bに漸次近づくように第2メンブレン30が移動する。減圧部50による密閉空間CSの減圧が完了して
図4の状態となると、積層体200の第2面202が第2賦形面12bに接触した状態となる。このように、本実施形態の賦形装置100によれば、積層体200の第2面202は、第2賦形面12bから離れた位置から第2賦形面12bに接触するまで段階的に移動するため、賦形動作中に積層体200にリンクル(皺)が発生することを防止することができる。
【0040】
次に、第1補助部材60を配置することによる効果について説明する。
図8は、
図7に示すB部分の部分拡大図である。
図9は、
図7に示すC部分の部分拡大図である。
図10は、
図7に示すB部分の部分拡大図であり、第1補助部材60が配置されない比較例を示す。
図11は、
図7に示すC部分の部分拡大図であり、第1補助部材60が配置されない比較例を示す。
【0041】
図8に示すように、本実施形態の賦形装置100によれば、積層体200の第2領域R2が第1賦形面11bに接触する状態で、第2領域R2の先端部203との間に第1隙間CL1を設けて第1補助部材60が配置される。そのため、賦形動作を行う際に、積層体200の第2領域R2の先端部203に第1メンブレン20が直接的に接触し、積層体200の強化繊維シート200a,200b,200c,200d,200eの間の層間滑りが妨げられることがない。したがって、賦形装置100は、第1補助部材60が配置されない場合に比べ、賦形動作を行う際の強化繊維シート200a,200b,200c,200d,200eの間の層間滑りを促進し、積層体200を賦形型10の形状に沿って忠実に折り曲げることができる。
【0042】
図9に示すように、本実施形態の賦形装置100によれば、層間滑りが促進されるため、第1賦形部材11の積層体200との接触面において曲率の変化の大きい連結面11cの近傍において、強化繊維シート200a,200b,200c,200d,200eの間に空隙(ボイド)が発生することがない。
【0043】
一方、
図10に示すように、比較例の賦形装置によれば、第1補助部材60が配置されないため、積層体200の第2領域R2の先端部203および第1賦形面11bに第1メンブレン20が直接的に接触し、積層体200の強化繊維シート200a,200b,200c,200d,200eの間の層間滑りが妨げられる。
【0044】
また、
図11に示すように、比較例の賦形装置によれば、層間滑りが妨げられるため、第1賦形部材11の積層体200との接触面において曲率の変化の大きい連結面11cの近傍において、強化繊維シート200a,200b,200c,200d,200eの間に空隙(ボイド)が発生してしまう。
【0045】
次に、本実施形態の賦形装置100が実行する賦形方法について説明する。
図12は、本開示の第1実施形態に係る賦形装置100が実行する賦形方法を示すフローチャートである。
【0046】
ステップS101で、作業者は、第1メンブレン20の一端20aを第2賦形部材12の固定部12dに固定する。
ステップS102で、作業者は、第2メンブレン30の一端30aを第1賦形部材11の固定部11dに固定する。
【0047】
ステップS103で、作業者は、積層体200を第2賦形部材12に設置する。作業者は、積層体200の幅方向WDを水平方向に一致させ、第2賦形部材12の第2接触面12aに積層体200の第2面202を保持させる。
ステップS104で、作業者は、第1賦形部材11を第2賦形部材12の上方に設置する。作業者は、第2賦形部材12の第2接触面12aに設置された積層体200の第1面201に第1接触面11aが接触するように、積層体200の上に第1賦形部材11を設置する。
【0048】
ステップS105で、作業者は、第1メンブレン20の他端20bを第1メンブレン固定部80の固定部81の第1所定位置P1に固定する。
ステップS106で、作業者は、第2メンブレン30の他端30bを設置面Sの第2所定位置P2に固定する。
【0049】
ステップS107で、作業者は、ブラダ40を賦形装置100に設置して密閉空間CSを形成する。作業者は、ブラダ40の端部にシール材300を塗布し、ブラダ40の端部をシール材300により設置面Sに接着し、密閉空間CSを形成する。
【0050】
ステップS108で、減圧部50は、密閉空間CSを減圧することによりブラダ40を介して第1メンブレン20を第1賦形部材11に押し付け、第2メンブレン30を第2賦形部材12に押し付け、
図4に示す状態とする。
【0051】
ステップS109で、作業者は、
図4に示す賦形後の状態が所定時間経過したことに応じて、第1メンブレン20と、第2メンブレン30と、ブラダ40とを、賦形型10から取り外す。マトリックス樹脂を含まないシート状の複数の強化繊維(ドライファブリック)を積層した積層体200である場合、隣接するドライファブリック同士を仮止めするための粉末状の樹脂(パウダーバインダー)を加熱機構(図示略)により溶融させてドライファブリック同士を連結させる。粉末状の樹脂が固化した後、作業者は、第1メンブレン20と、第2メンブレン30と、ブラダ40とを、賦形型10から取り外す。
【0052】
ステップS110で、作業者は、複合材料に含まれるマトリックス樹脂が熱硬化性樹脂である場合、積層体200が保持された賦形型10を熱硬化装置(図示略)に搬入し、積層体200を所定の硬化温度まで加熱して積層体200を硬化させる。なお、複合材料に含まれるマトリックス樹脂が熱可塑性樹脂である場合、本ステップは実行しない。また、積層体200を熱硬化装置に搬入する場合、賦形型10に積層体200を取り付けた状態で熱硬化装置に搬入してもよいし、賦形型10から積層体200を取り外して熱硬化装置に搬入してもよい。ステップS110が終了すると本フローチャートの処理が終了する。
【0053】
以上で説明した本実施形態の賦形装置100が奏する作用および効果について説明する。
本実施形態の賦形装置100によれば、積層体200の第1領域R1は、第1賦形部材11と第2賦形部材12との間に挟まれて幅方向WDに沿った形状に賦形される。減圧部50は、ブラダ40が形成する密閉空間CSを減圧することにより、積層体200の第2面202に接触する第1メンブレン20により積層体200の第1面201を第1賦形面11bに押し付けて積層体200を折り曲げる賦形動作を実行する。
【0054】
第1メンブレン20は、第1領域R1に隣接する第2領域R2に対向する位置に配置され、第2賦形部材12に一端20aが固定され、第1賦形部材11に取り付けられた第1メンブレン固定部80の第1所定位置P1に他端20bが固定される。そのため、減圧部50により密閉空間CSを減圧すると、ブラダ40から伝達される加圧力により積層体200の第2面202に第1メンブレン20が押し付けられ、積層体200の第1面201が第1賦形部材11の第1賦形面11bに押し付けられる。第1賦形面11bは、幅方向WDに対して第1所定角度θ1で傾斜しているため、賦形動作によって積層体200の第2領域R2が第1所定角度θ1で折り曲げられる。これにより、積層体200を賦形型10の形状に沿って忠実に折り曲げることができる。
【0055】
また、本実施形態の賦形装置100によれば、減圧部50は、密閉空間CSを減圧することにより、積層体200の第1面201に接触する第2メンブレン30により積層体200の第2面202を第2賦形面12bに押し付けて積層体200を折り曲げる賦形動作を実行する。第2メンブレン30は、第1領域R1に隣接する第3領域R3に対向する位置に配置され、第1賦形部材11に一端30aが固定され、第2賦形部材12に対して相対的に固定された第2所定位置P2に他端30bが固定される。そのため、減圧部50により密閉空間CSを減圧すると、積層体200の第1面201に第2メンブレン30が押し付けられ、積層体200の第2面202が第2賦形部材12の第2賦形面12bに押し付けられる。第2賦形面12bは、幅方向WDに対して第2所定角度θ2で傾斜しているため、賦形動作によって積層体200の第3領域R3が第2所定角度θ2で折り曲げられる。
【0056】
本実施形態の賦形装置100によれば、積層体200の第2領域R2が第1賦形面11bに接触する状態で、第2領域R2の先端部203との間に第1隙間CL1を設けて第1補助部材60が配置される。そのため、賦形動作を行う際に、積層体200の第2領域R2の先端部203に第1メンブレン20が直接的に接触し、積層体200の複数のシート材料の間の層間滑りが妨げられることがない。したがって、賦形装置100は、第1補助部材60が配置されない場合に比べ、賦形動作を行う際の複数のシート材料の間の層間滑りを促進し、積層体200を賦形型10の形状に沿って忠実に折り曲げることができる。
【0057】
本実施形態の賦形装置100によれば、積層体200の第3領域R3が第2賦形面12bに接触する状態で、第3領域R3の先端部204との間に第2隙間CL2を設けて第2補助部材70が配置される。そのため、賦形動作を行う際に、積層体200の第3領域R3の先端部204に第2メンブレン30が直接的に接触し、積層体200の複数のシート材料の間の層間滑りが妨げられることがない。したがって、賦形装置100は、第2補助部材70が配置されない場合に比べ、賦形動作を行う際の複数のシート材料の間の層間滑りを促進し、積層体200を賦形型10の形状に沿って忠実に折り曲げることができる。
【0058】
本実施形態の賦形装置100によれば、第1賦形面11bから幅方向WDに沿って第1所定距離D1を空けて離間した第1所定位置P1に第1メンブレン20の他端20bが固定される。そのため、減圧部50が密閉空間CSを減圧する前は、積層体200の第1面201が第1賦形面11bから離れた位置に配置される。そして、減圧部50が密閉空間CSを減圧すると、ブラダ40による加圧力が漸次増加し、積層体200の第1面201が第1賦形面11bに漸次近づくように第1メンブレン20が移動する。このように、本実施形態の賦形装置100によれば、積層体200の第1面201は、第1賦形面11bから離れた位置から第1賦形面11bに接触するまで段階的に移動するため、賦形動作中に積層体200にリンクル(皺)が発生することを防止することができる。
【0059】
本実施形態の賦形装置100によれば、第2賦形面12bから幅方向WDに沿って第2所定距離D2を空けて離間した第2所定位置P2に第2メンブレン30の他端30bが固定される。そのため、減圧部50が密閉空間CSを減圧する前は、積層体200の第2面202が第2賦形面12bから離れた位置に配置される。そして、減圧部50が密閉空間CSを減圧すると、ブラダ40による加圧力が漸次増加し、積層体200の第2面202が第2賦形面12bに漸次近づくように第2メンブレン30が移動する。このように、本実施形態の賦形装置100によれば、積層体200の第2面202は、第2賦形面12bから離れた位置から第2賦形面12bに接触するまで段階的に移動するため、賦形動作中に積層体200にリンクル(皺)が発生することを防止することができる。
【0060】
本実施形態の賦形装置100によれば、積層体200の第1領域R1の一部および第2領域R2の第2面202に第1メンブレン20を接触させて確実に第2領域R2を賦形することができる。また、積層体200の第1領域R1の全てに第1メンブレン20を接触させることがないため、第1領域R1の全てに第1メンブレン20を接触させる場合に比べて第1メンブレン20の取り外しを容易に行うことができる。
【0061】
本実施形態の賦形装置100によれば、第1接触面11aと連結面11cとの切替位置11a1が、第2接触面12aの切替位置11a1側の端部の位置P3よりも、幅方向WDの積層体200の第2領域R2の先端部203側に配置されている。第2接触面12aの切替位置11a1側の端部の位置P3において、積層体200を挟んで対向する位置に連結面11cが配置されることがない。そのため、積層体200を挟んで対向する位置に連結面11cが配置されて凹部が形成されることにより第1メンブレン20が積層体200に付与する加圧力が局所的に減少してしまうことや、それにより賦形不良が発生することを防止することができる。
【0062】
〔第2実施形態〕
次に、本開示の第2実施形態に係る賦形装置100Aについて図面を参照して説明する。本実施形態は、第1実施形態の変形例であり、以下に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとし、以下での説明を省略する。
図13は、本開示の第2実施形態に係る賦形装置100Aを示す断面図であり、賦形動作を実行した後の状態を示す。
【0063】
第1実施形態の賦形装置100において、第1メンブレン20の一端20aは、積層体200の第1領域R1の幅方向の両端部の間の領域と対向する位置で第2賦形部材12に固定されるものであった。また、第2メンブレン30の一端30aは、積層体200の第1領域R1の幅方向の両端部の間の領域と対向する位置で第1賦形部材11に固定されるものであった。
【0064】
それに対して、
図13に示すように、本実施形態の賦形装置100Aにおいて、第1メンブレン20の一端20aは、積層体200の第1領域R1の第2領域R2側の端部と対向する位置で第2賦形部材12に固定される。また、第2メンブレン30の一端30aは、積層体200の第1領域R1の第3領域R3側の端部と対向する位置で第1賦形部材11に固定される。
【0065】
本実施形態の賦形装置100Aによれば、第1メンブレン20の一端20aが積層体200の第1領域R1の第2領域R2側の端部と対向する位置で第2賦形部材12に固定されるため、第1メンブレン20の取り外しを容易に行うことができる。また、第2メンブレン30の一端30aが積層体200の第1領域R1の第3領域R3側の端部と対向する位置で第1賦形部材11に固定されるため、第2メンブレン30の取り外しを容易に行うことができる。
【0066】
〔第3実施形態〕
次に、本開示の第3実施形態に係る賦形装置100Bについて図面を参照して説明する。本実施形態は、第1実施形態の変形例であり、以下に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとし、以下での説明を省略する。
図14は、本開示の第3実施形態に係る賦形装置100Bを示す断面図であり、賦形動作を実行した後の状態を示す。
【0067】
第1実施形態の賦形装置100において、第1メンブレン20の一端20aは、積層体200の第1領域R1の幅方向の両端部の間の領域と対向する位置で第2賦形部材12に固定されるものであった。また、第2メンブレン30の一端30aは、積層体200の第1領域R1の幅方向の両端部の間の領域と対向する位置で第1賦形部材11に固定されるものであった。
【0068】
それに対して、
図14に示すように、本実施形態の賦形装置100Bにおいて、第1メンブレン20の一端20aは、第2補助部材70により第2賦形部材12の第2賦形面12bに固定されている。また、第2メンブレン30の一端30aは、第1補助部材60により第1賦形部材11の第1賦形面11bに固定されている。
【0069】
本実施形態の賦形装置100Bによれば、積層体200の第1領域R1および第2領域R2を含むすべての領域の第2面202に第1メンブレン20を接触させることにより、積層体200の各領域における賦形状態を均一なものとすることができる。また、積層体200の第1領域R1および第2領域R2を含むすべての領域の第1面201に第2メンブレン30を接触させることにより、積層体200の各領域における賦形状態を均一なものとすることができる。
【0070】
〔第4実施形態〕
次に、本開示の第4実施形態に係る賦形装置100Cについて図面を参照して説明する。本実施形態は、第1実施形態の変形例であり、以下に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとし、以下での説明を省略する。
第1実施形態において、積層体200を賦形する賦形力として、減圧部50が密閉空間CSを減圧することによりブラダ40に作用する大気圧を利用するものであった。それに対して、本実施形態では、積層体200を賦形する賦形力として、ブラダ40に作用する大気圧に加えて、移動機構90が発生させる賦形力も利用する。
【0071】
図15は、本開示の第4実施形態に係る賦形装置100Cを示す断面図であり、移動機構90による賦形動作を実行する前の状態を示す。
図16は、本開示の第4実施形態に係る賦形装置100Cを示す断面図であり、移動機構90による賦形動作を実行した後の状態を示す。
【0072】
図15に示すように、本実施形態の賦形装置100Cは、第2メンブレン30の他端30bが固定される第2所定位置P2を第2賦形面12bに近づく方向に移動させる移動機構90を備える。移動機構90は、ラックギア91と、ピニオンギア92と、アクチュエータ93(張力発生部)と、を有する。移動機構90は、モータ(図示略)によりピニオンギア92を回転させることによりアクチュエータ93の一端が固定されたラックギア91を幅方向WDに沿って移動させる。アクチュエータ93の他端は、第2所定位置P2において第2メンブレン30の他端30bに固定される。
【0073】
図15に示すように、移動機構90が賦形動作を実行する前、第2賦形面12bから幅方向WDに沿って第3所定距離D3を空けて離間した位置にアクチュエータ93の一端が固定される。一方、
図16に示すように、移動機構90が賦形動作を実行した後、第2賦形面12bから幅方向WDに沿って第4所定距離D4を空けて離間した位置にアクチュエータ93の一端が固定される。第4所定距離D4は、第3所定距離D3よりも短い距離である。
【0074】
アクチュエータ93は、ラックギア91と第2メンブレン30の他端30bのそれぞれに固定され、第2メンブレン30の他端30bに作用する張力を調整する装置である。アクチュエータ93は、第2所定位置P2が第2賦形面12bに近づくにつれて第2メンブレン30の他端30bに作用する張力を増加させる。アクチュエータ93は、例えば、ロードセルを有し、ロードセルが検出する張力が所望の張力となるように調整する。
【0075】
なお、移動機構90は、幅方向WDに直交する長手方向(
図15,16の奥行方向)の複数の位置に設けるのが好ましい。また、積層体200の長手方向の各位置を適切な賦形力で賦形するため、長手方向の各位置に配置される移動機構90が有する複数のアクチュエータ93が発生する張力をそれぞれ設定可能にするのが好ましい。例えば、第2所定位置P2から第2賦形面12bまでの距離が同じである状態で、複数のアクチュエータ93が発生する張力を同一としてもよいし、異ならせてもよい。
【0076】
図15に示す本実施形態の賦形装置100Cは、第1メンブレン20の他端20bが固定される第1所定位置P1を移動させずに第1メンブレン固定部80に固定するものとしたが、他の態様であってもよい。例えば、第1メンブレン20の他端20bが固定される第1所定位置P1を第1賦形面11bに近づく方向に移動させる移動機構(図示略)を備えるものとしてもよい。第1所定位置P1を移動させる移動機構は、第2所定位置P2を移動させる移動機構90と同様のものとするのが好ましい。また、第1所定位置P1を移動させる移動機構は、第1所定位置P1が第1賦形面11bに近づくにつれて第1メンブレン20の他端20bに作用する張力を増加させるアクチュエータ(張力発生部)を有するものとするのが好ましい。
【0077】
また、本実施形態の賦形装置100Cは、移動機構90により積層体200に賦形力を付与して賦形した後に、第1実施形態と同様に、減圧部50が密閉空間CSを減圧することによりブラダ40に作用する大気圧を利用して積層体200に更に賦形力を付与するものであるが、他の態様であってもよい。例えば、移動機構90によって、積層体200を賦形型10の表面形状に沿った所望の形状に賦形するのに十分な賦形力を発生させることができる場合、ブラダ40を賦形装置100に設置して密閉空間CSを形成することや、密閉空間CSを減圧部50により減圧する動作を省略してもよい。
【0078】
この場合、移動機構90は、第2所定位置P2を第2賦形面12bに近づけることにより、積層体200の第1面201に接触する第2メンブレン30により積層体200の第2面202を第2賦形面12bに押し付けて積層体200を折り曲げる賦形動作を実行する。同様に、移動機構(図示略)は、第1所定位置P1を第1賦形面11bに近づけることにより、積層体200の第2面202に接触する第1メンブレン20により積層体200の第1面201を第1賦形面11bに押し付けて積層体200を折り曲げる賦形動作を実行する。
【0079】
以上説明した実施形態に記載の賦形装置および賦形方法は、例えば以下のように把握される。
本開示の第1態様に係る賦形装置は、強化繊維を含む複数のシート材料を積層した積層体(200)を賦形する賦形装置(100)であって、前記積層体の第1面(201)を賦形する第1賦形部材(11)と、前記積層体の第2面(202)を賦形する第2賦形部材(12)と、を有し、前記積層体の第1領域を前記第1賦形部材と前記第2賦形部材との間に挟んで所定方向(WD)に沿った形状に賦形する賦形型(10)と、前記第1領域に隣接する第2領域(R2)に対向する位置に配置され、前記第2賦形部材に一端が固定され、第1所定位置(P1)に他端が固定される第1賦形シート(20)と、前記第1賦形シートが取り付けられた前記賦形型を覆って密閉空間(CS)を形成する封止シート(40)と、前記密閉空間を減圧することにより前記封止シートを介して前記第1賦形シートを前記賦形型に押し付ける減圧部(50)と、を備え、前記第1賦形部材は、前記積層体の前記第1領域に接触して前記所定方向に沿って延びる第1接触面(11a)と、前記所定方向に対して第1所定角度(θ1)で傾斜した第1賦形面(11b)と、を有し、前記減圧部は、前記密閉空間を減圧することにより、前記積層体の前記第2面に接触する前記第1賦形シートにより前記積層体の前記第1面を前記第1賦形面に押し付けて前記積層体を折り曲げる賦形動作を実行する。
【0080】
本開示の第1態様に係る賦形装置によれば、強化繊維を含む複数のシート材料を積層した積層体の第1領域は、第1賦形部材と第2賦形部材との間に挟まれて所定方向に沿った形状に賦形される。減圧部は、封止シートが形成する密閉空間を減圧することにより、積層体の第2面に接触する第1賦形シートにより積層体の第1面を第1賦形面に押し付けて積層体を折り曲げる賦形動作を実行する。
【0081】
第1賦形シートは、第1領域に隣接する第2領域に対向する位置に配置され、第2賦形部材に一端が固定され、第1所定位置に他端が固定される。そのため、減圧部により密閉空間を減圧すると、封止シートから伝達される加圧力により積層体の第2面に第1賦形シートが押し付けられ、積層体の第1面が第1賦形部材の第1賦形面に押し付けられる。第1賦形面は、所定方向に対して第1所定角度で傾斜しているため、賦形動作によって積層体の第2領域が第1所定角度で折り曲げられる。これにより、積層体を賦形型の形状に沿って忠実に折り曲げることが可能な賦形装置を提供することができる。
【0082】
本開示の第2態様に係る賦形装置は、第1態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記第1領域に隣接する第3領域に対向する位置に配置され、第1賦形部材に一端が固定され、第2所定位置に他端が固定される第2賦形シート(30)を備え、前記第2賦形部材は、前記積層体の前記第1領域に接触して前記所定方向に沿って延びる第2接触面(12a)と、前記所定方向に対して第2所定角度(θ2)で傾斜した第2賦形面(12b)と、を有し、前記減圧部は、前記密閉空間を減圧することにより、前記積層体の前記第1面に接触する前記第2賦形シートにより前記積層体の前記第2面を前記第2賦形面に押し付けて前記積層体を折り曲げる賦形動作を実行する。
【0083】
本開示の第2態様に係る賦形装置によれば、減圧部は、密閉空間を減圧することにより、積層体の第1面に接触する第2賦形シートにより積層体の第2面を第2賦形面に押し付けて積層体を折り曲げる賦形動作を実行する。第2賦形シートは、第1領域に隣接する第3領域に対向する位置に配置され、第1賦形部材に一端が固定され、第2所定位置に他端が固定される。そのため、減圧部により密閉空間を減圧すると、積層体の第1面に第2賦形シートが押し付けられ、積層体の第2面が第2賦形部材の第2賦形面に押し付けられる。第2賦形面は、所定方向に対して第2所定角度で傾斜しているため、賦形動作によって積層体の第3領域が第2所定角度で折り曲げられる。
【0084】
本開示の第3態様に係る賦形装置は、第1態様または第2態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記第1賦形面に配置されるとともに第1厚さ(t1)を有する板状の第1補助部材(60)を備え、前記第1補助部材は、前記積層体の前記第2領域が前記第1賦形面に接触する状態で、前記第2領域の先端部(203)との間に第1隙間(CL1)を設けて配置される。
【0085】
本開示の第3態様に係る賦形装置によれば、積層体の第2領域が第1賦形面に接触する状態で、第2領域の先端部との間に第1隙間を設けて第1補助部材が配置される。そのため、賦形動作を行う際に、積層体の第2領域の先端部に第1賦形シートが直接的に接触し、積層体の複数のシート材料の間の層間滑りが妨げられることがない。したがって、賦形装置は、第1補助部材が配置されない場合に比べ、賦形動作を行う際の複数のシート材料の間の層間滑りを促進し、積層体を賦形型の形状に沿って忠実に折り曲げることができる。
【0086】
本開示の第4態様に係る賦形装置は、第2態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記第2賦形面に配置されるとともに第2厚さ(t2)を有する板状の第2補助部材(70)を備え、前記第2補助部材は、前記積層体の前記第3領域が前記第2賦形面に接触する状態で、前記第2領域の先端部(204)との間に第2隙間(CL2)を設けて配置される。
【0087】
本開示の第4態様に係る賦形装置によれば、積層体の第3領域が第2賦形面に接触する状態で、第3領域の先端部との間に第2隙間を設けて第2補助部材が配置される。そのため、賦形動作を行う際に、積層体の第3領域の先端部に第2賦形シートが直接的に接触し、積層体の複数のシート材料の間の層間滑りが妨げられることがない。したがって、賦形装置は、第2補助部材が配置されない場合に比べ、賦形動作を行う際の複数のシート材料の間の層間滑りを促進し、積層体を賦形型の形状に沿って忠実に折り曲げることができる。
【0088】
本開示の第5態様に係る賦形装置は、第1態様または第2態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記第1所定位置は、前記第1賦形面から前記所定方向に沿って第1所定距離(D1)を空けて離間した位置である。
【0089】
本開示の第5態様に係る賦形装置によれば、第1賦形面から所定方向に沿って第1所定距離を空けて離間した第1所定位置に第1賦形シートの他端が固定される。そのため、減圧部が密閉空間を減圧する前は、積層体の第1面が第1賦形面から離れた位置に配置される。そして、減圧部が密閉空間を減圧すると、封止シートによる加圧力が漸次増加し、積層体の第1面が第1賦形面に漸次近づくように第1賦形シートが移動する。このように、本開示の第5態様に係る賦形装置によれば、積層体の第1面は、第1賦形面から離れた位置から第1賦形面に接触するまで段階的に移動するため、賦形動作中に積層体にリンクル(皺)が発生することを防止することができる。
【0090】
本開示の第6態様に係る賦形装置は、第2態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記第2所定位置は、前記第2賦形面から前記所定方向に沿って第2所定距離を空けて離間した位置である。
【0091】
本開示の第6態様に係る賦形装置によれば、第2賦形面から所定方向に沿って第2所定距離を空けて離間した第2所定位置に第2賦形シートの他端が固定される。そのため、減圧部が密閉空間を減圧する前は、積層体の第2面が第2賦形面から離れた位置に配置される。そして、減圧部が密閉空間を減圧すると、封止シートによる加圧力が漸次増加し、積層体の第2面が第2賦形面に漸次近づくように第2賦形シートが移動する。このように、本開示の第6態様に係る賦形装置によれば、積層体の第2面は、第2賦形面から離れた位置から第2賦形面に接触するまで段階的に移動するため、賦形動作中に積層体にリンクル(皺)が発生することを防止することができる。
【0092】
本開示の第7態様に係る賦形装置は、第1態様または第2態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記第1賦形シートの前記一端は、前記積層体の前記第1領域の前記所定方向の両端部の間の領域と対向する位置で前記第2賦形部材に固定されている。
【0093】
本開示の第7態様に係る賦形装置によれば、積層体の第1領域の一部および第2領域の第2面に第1賦形シートを接触させて確実に第2領域を賦形することができる。また、積層体の第1領域の全てに第1賦形シートを接触させることがないため、第1領域の全てに第1賦形シートを接触させる場合に比べて第1賦形シートの取り外しを容易に行うことができる。
【0094】
本開示の第8態様に係る賦形装置は、第1態様または第2態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記第1賦形シートの前記一端は、前記積層体の前記第1領域の前記第2領域側の端部と対向する位置で前記第2賦形部材に固定されている。
【0095】
本開示の第8態様に係る賦形装置によれば、第1賦形シートの一端が積層体の第1領域の第2領域側の端部と対向する位置で第2賦形部材に固定されるため、第1賦形シートの取り外しを容易に行うことができる。
【0096】
本開示の第9態様に係る賦形装置は、第2態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記第1賦形シートの前記一端は、前記第2賦形部材の前記第2賦形面に固定されている。
【0097】
本開示の第9態様に係る賦形装置によれば、積層体の第1領域および第2領域を含むすべての領域の第2面に第1賦形シートを接触させることにより、積層体の各領域における賦形状態を均一なものとすることができる。
【0098】
本開示の第10態様に係る賦形装置は、第2態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記第1賦形部材は、前記第1接触面と前記第1賦形面とを接続する円弧状の連結面(11c)を有し、前記積層体の前記第1領域を前記第1賦形部材と前記第2賦形部材との間に挟んだ状態で、前記第1接触面と前記連結面との切替位置(11a1)は、前記第2接触面の前記切替位置側の端部の位置(P3)よりも、前記所定方向の前記積層体の前記第2領域の先端部(203)側に配置されている。
【0099】
本開示の第10態様に係る賦形装置によれば、第1接触面と連結面との切替位置が、第2接触面の切替位置側の端部の位置よりも、所定方向の積層体の第2領域の先端部側に配置されている。第2接触面の切替位置側の端部において、積層体を挟んで対向する位置に連結面が配置されることがない。そのため、積層体を挟んで対向する位置に連結面が配置されて凹部が形成されることにより第1賦形シートが積層体に付与する加圧力が局所的に減少してしまうことや、それにより賦形不良が発生することを防止することができる。
【0100】
本開示の第11態様に係る賦形装置は、第1態様または第2態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記第1賦形シートの前記他端が固定される前記第1所定位置を前記第1賦形面に近づく方向に移動させる移動機構を備える。
本開示の第11態様に係る賦形装置によれば、移動機構により、第1賦形シートの他端が固定される第1所定位置を第1賦形面に近づく方向に移動させることで、減圧部が密閉空間を減圧するのに先立って積層体を部分的に折り曲げる賦形力を付与することができる。
【0101】
本開示の第12態様に係る賦形装置は、第11態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記移動機構は、前記第1所定位置が前記第1賦形面に近づくにつれて前記第1賦形シートの前記他端に作用する張力を増加させる張力発生部を有する。
本開示の第12態様に係る賦形装置によれば、第1所定位置が第1賦形面に近づくにつれて第1賦形シートの他端に作用する張力を増加させることで、積層体を賦形型に沿って適切に賦形することができる。
【0102】
本開示の第13態様に係る賦形方法において、賦形装置(100)は、前記積層体の第1面を賦形する第1賦形部材と、前記積層体の第2面を賦形する第2賦形部材と、を有し、前記積層体の第1領域を前記第1賦形部材と前記第2賦形部材との間に挟んで所定方向に沿った形状に賦形する賦形型と、前記第1領域に隣接する第2領域に対向する位置に配置され前記第2賦形部材に一端が固定され、第1所定位置に他端が固定される第1賦形シートと、前記第1賦形シートが取り付けられた前記賦形型を覆って密閉空間を形成する封止シートと、を備え、前記第1賦形部材は、前記積層体の前記第1領域に接触して前記所定方向に沿って延びる第1接触面と、前記所定方向に対して第1所定角度で傾斜した第1賦形面と、を有し、前記密閉空間を減圧することにより前記封止シートを介して前記第1賦形シートを前記賦形型に押し付ける賦形工程(S108)と、を有し、前記賦形工程は、前記密閉空間を減圧することにより、前記積層体の前記第2面に接触する前記第1賦形シートにより前記積層体の前記第1面を前記第1賦形面に押し付けて前記積層体を折り曲げる賦形動作を実行する。
【0103】
本開示の第13態様に係る賦形方法によれば、強化繊維を含む複数のシート材料を積層した積層体の第1領域は、第1賦形部材と第2賦形部材との間に挟まれて所定方向に沿った形状に賦形される。賦形工程は、封止シートが形成する密閉空間を減圧することにより、積層体の第2面に接触する第1賦形シートにより積層体の第1面を第1賦形面に押し付けて積層体を折り曲げる賦形動作を実行する。
【0104】
第1賦形シートは、第1領域に隣接する第2領域に対向する位置に配置され、第2賦形部材に一端が固定され、第1所定位置に他端が固定される。そのため、賦形工程により密閉空間を減圧すると、封止シートから伝達される加圧力により積層体の第2面に第1賦形シートが押し付けられ、積層体の第1面が第1賦形部材の第1賦形面に押し付けられる。第1賦形面は、所定方向に対して第1所定角度で傾斜しているため、賦形動作によって積層体の第2領域が第1所定角度で折り曲げられる。これにより、積層体を賦形型の形状に沿って忠実に折り曲げることが可能な賦形方法を提供することができる。
【0105】
本開示の第14態様に係る賦形方法は、第13態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記賦形装置は、前記第1領域に隣接する第3領域に対向する位置に配置され、第1賦形部材に一端が固定され、第2所定位置に他端が固定される第2賦形シートを備え、前記第2賦形部材は、前記積層体の前記第1領域に接触して前記所定方向に沿って延びる第2接触面と、前記所定方向に対して第2所定角度で傾斜した第2賦形面と、を有し、前記賦形工程は、前記密閉空間を減圧することにより、前記積層体の前記第1面に接触する前記第2賦形シートにより前記積層体の前記第2面を前記第2賦形面に押し付けて前記積層体を折り曲げる賦形動作を実行する。
【0106】
本開示の第14態様に係る賦形方法によれば、賦形工程は、密閉空間を減圧することにより、積層体の第1面に接触する第2賦形シートにより積層体の第2面を第2賦形面に押し付けて積層体を折り曲げる賦形動作を実行する。
【0107】
第2賦形シートは、第1領域に隣接する第3領域に対向する位置に配置され、第1賦形部材に一端が固定され、第2所定位置に他端が固定される。そのため、賦形工程により密閉空間を減圧すると、積層体の第1面に第2賦形シートが押し付けられ、積層体の第2面が第2賦形部材の第2賦形面に押し付けられる。第2賦形面は、所定方向に対して第2所定角度で傾斜しているため、賦形動作によって積層体の第3領域が第2所定角度で折り曲げられる。
【0108】
本開示の第15態様に係る賦形方法は、第13態様または第14態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記賦形装置は、前記第1賦形面に配置されるとともに第1厚さを有する板状の第1補助部材を備え、前記第1補助部材は、前記積層体の前記第2領域が前記第1賦形面に接触する状態で、前記第2領域の先端部との間に第1隙間を設けて配置される。
【0109】
本開示の第15態様に係る賦形方法によれば、積層体の第2領域が第1賦形面に接触する状態で、第2領域の先端部との間に第1隙間を設けて第1補助部材が配置される。そのため、賦形動作を行う際に、積層体の第2領域の先端部に第1賦形シートが直接的に接触し、積層体の複数のシート材料の間の層間滑りが妨げられることがない。したがって、賦形方法は、第1補助部材が配置されない場合に比べ、賦形動作を行う際の複数のシート材料の間の層間滑りを促進し、積層体を賦形型の形状に沿って忠実に折り曲げることができる。
【0110】
本開示の第16態様に係る賦形方法は、第14態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記第2賦形面に配置されるとともに第2厚さを有する板状の第2補助部材を備え、前記第2補助部材は、前記積層体の前記第3領域が前記第2賦形面に接触する状態で、前記第2領域の先端部との間に第2隙間を設けて配置される。
【0111】
本開示の第16態様に係る賦形方法によれば、積層体の第3領域が第2賦形面に接触する状態で、第3領域の先端部との間に第2隙間を設けて第2補助部材が配置される。そのため、賦形動作を行う際に、積層体の第3領域の先端部に第2賦形シートが直接的に接触し、積層体の複数のシート材料の間の層間滑りが妨げられることがない。したがって、賦形方法は、第2補助部材が配置されない場合に比べ、賦形動作を行う際の複数のシート材料の間の層間滑りを促進し、積層体を賦形型の形状に沿って忠実に折り曲げることができる。
【0112】
本開示の第17態様に係る賦形方法は、第13態様または第14態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記第1所定位置は、前記第1賦形面から前記所定方向に沿って第1所定距離(D1)を空けて離間した位置である。
【0113】
本開示の第17態様に係る賦形方法によれば、第1賦形面から所定方向に沿って第1所定距離を空けて離間した第1所定位置に第1賦形シートの他端が固定される。そのため、減圧部が密閉空間を減圧する前は、積層体の第1面が第1賦形面から離れた位置に配置される。そして、賦形工程が密閉空間を減圧すると、封止シートによる加圧力が漸次増加し、積層体の第1面が第1賦形面に漸次近づくように第1賦形シートが移動する。このように、本開示の第15態様に係る賦形方法によれば、積層体の第1面は、第1賦形面から離れた位置から第1賦形面に接触するまで段階的に移動するため、賦形動作中に積層体にリンクル(皺)が発生することを防止することができる。
【0114】
本開示の第18態様に係る賦形方法は、第14態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記第2所定位置は、前記第2賦形面から前記所定方向に沿って第2所定距離を空けて離間した位置である。
【0115】
本開示の第18態様に係る賦形方法によれば、第2賦形面から所定方向に沿って第2所定距離を空けて離間した第2所定位置に第2賦形シートの他端が固定される。そのため、減圧部が密閉空間を減圧する前は、積層体の第2面が第2賦形面から離れた位置に配置される。そして、賦形工程が密閉空間を減圧すると、封止シートによる加圧力が漸次増加し、積層体の第2面が第2賦形面に漸次近づくように第2賦形シートが移動する。このように、本開示の第16態様に係る賦形方法によれば、積層体の第2面は、第2賦形面から離れた位置から第2賦形面に接触するまで段階的に移動するため、賦形動作中に積層体にリンクル(皺)が発生することを防止することができる。
【0116】
本開示の第19態様に係る賦形方法は、第13態様または第14態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記第1賦形シートの前記一端は、前記積層体の前記第1領域の前記所定方向の両端部の間の領域と対向する位置で前記第2賦形部材に固定されている。
【0117】
本開示の第19態様に係る賦形方法によれば、積層体の第1領域の一部および第2領域の第2面に第1賦形シートを接触させて確実に第2領域を賦形することができる。また、積層体の第1領域の全てに第1賦形シートを接触させることがないため、第1領域の全てに第1賦形シートを接触させる場合に比べて第1賦形シートの取り外しを容易に行うことができる。
【0118】
本開示の第20態様に係る賦形方法は、第13態様または第14態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記第1賦形シートの前記一端は、前記積層体の前記第1領域の前記第2領域側の端部と対向する位置で前記第2賦形部材に固定されている。
【0119】
本開示の第20態様に係る賦形方法によれば、第1賦形シートの一端が積層体の第1領域の第2領域側の端部と対向する位置で第2賦形部材に固定されるため、第1賦形シートの取り外しを容易に行うことができる。
【0120】
本開示の第21態様に係る賦形方法は、第14態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記第1賦形シートの前記一端は、前記第2賦形部材の前記第2賦形面に固定されている。
【0121】
本開示の第21態様に係る賦形方法によれば、積層体の第1領域および第2領域を含むすべての領域の第2面に第1賦形シートを接触させることにより、積層体の各領域における賦形状態を均一なものとすることができる。
【0122】
本開示の第22態様に係る賦形方法は、第14態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記第1賦形部材は、前記第1接触面と前記第1賦形面とを接続する円弧状の連結面(11c)を有し、前記積層体の前記第1領域を前記第1賦形部材と前記第2賦形部材との間に挟んだ状態で、前記第1接触面と前記連結面との切替位置(11a1)は、前記第2接触面の前記切替位置側の端部の位置(P3)よりも、前記所定方向の前記積層体の前記第2領域の先端部(203)側に配置されている。
【0123】
本開示の第22態様に係る賦形装置によれば、第1接触面と連結面との切替位置が、第2接触面の切替位置側の端部の位置よりも、所定方向の積層体の第2領域の先端部側に配置されている。第2接触面の切替位置側の端部において、積層体を挟んで対向する位置に連結面が配置されることがない。そのため、積層体を挟んで対向する位置に連結面が配置されて凹部が形成されることにより第1賦形シートが積層体に付与する加圧力が局所的に減少してしまうことや、それにより賦形不良が発生することを防止することができる。
【0124】
本開示の第23態様に係る賦形方法は、第13態様または第14態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記第1賦形シートの前記他端が固定される前記第1所定位置を前記第1賦形面に近づく方向に移動させる移動工程を備える。
本開示の第23態様に係る賦形方法によれば、移動工程により、第1賦形シートの他端が固定される第1所定位置を第1賦形面に近づく方向に移動させることで、賦形工程で密閉空間を減圧するのに先立って積層体を部分的に折り曲げる賦形力を付与することができる。
【0125】
本開示の第24態様に係る賦形方法は、第23態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記移動工程は、前記第1所定位置が前記第1賦形面に近づくにつれて前記第1賦形シートの前記他端に作用する張力を増加させる。
本開示の第24態様に係る賦形方法によれば、第1所定位置が第1賦形面に近づくにつれて第1賦形シートの他端に作用する張力を増加させることで、積層体を賦形型に沿って適切に賦形することができる。
【0126】
本開示の第25態様に係る賦形装置は、強化繊維を含む複数のシート材料を積層した積層体を賦形する賦形装置であって、前記積層体の第1面を賦形する第1賦形部材と、前記積層体の第2面を賦形する第2賦形部材と、を有し、前記積層体の第1領域を前記第1賦形部材と前記第2賦形部材との間に挟んで所定方向に沿った形状に賦形する賦形型と、前記第1領域に隣接する第2領域に対向する位置に配置され、前記第2賦形部材に一端が固定され、第1所定位置に他端が固定される第1賦形シートと、前記第1賦形シートの前記他端が固定される前記第1所定位置を前記第1賦形部材に近づく方向に移動させる移動機構と、を備え、前記第1賦形部材は、前記積層体の前記第1領域に接触して前記所定方向に沿って延びる第1接触面と、前記所定方向に対して第1所定角度で傾斜した第1賦形面と、を有し、前記移動機構は、前記第1所定位置を前記第1賦形面に近づけることにより、前記積層体の前記第2面に接触する前記第1賦形シートにより前記積層体の前記第1面を前記第1賦形面に押し付けて前記積層体を折り曲げる賦形動作を実行する。
【0127】
本開示の第26態様に係る賦形方法は、強化繊維を含む複数のシート材料を積層した積層体を賦形装置により賦形する賦形方法であって、前記賦形装置は、前記積層体の第1面を賦形する第1賦形部材と、前記積層体の第2面を賦形する第2賦形部材と、を有し、前記積層体の第1領域を前記第1賦形部材と前記第2賦形部材との間に挟んで所定方向に沿った形状に賦形する賦形型と、前記第1領域に隣接する第2領域に対向する位置に配置され、前記第2賦形部材に一端が固定され、第1所定位置に他端が固定される第1賦形シートと、を備え、前記第1賦形部材は、前記積層体の前記第1領域に接触して前記所定方向に沿って延びる第1接触面と、前記所定方向に対して第1所定角度で傾斜した第1賦形面と、を有し、前記第1賦形シートの前記他端が固定される前記第1所定位置を前記第1賦形面に近づく方向に移動させることにより前記第1賦形シートを前記賦形型に押し付ける賦形工程と、を有し、前記賦形工程は、前記第1所定位置を前記第1賦形面に近づけることにより、前記積層体の前記第2面に接触する前記第1賦形シートにより前記積層体の前記第1面を前記第1賦形面に押し付けて前記積層体を折り曲げる賦形動作を実行する。
【符号の説明】
【0128】
10 賦形型
11 第1賦形部材
11a 第1接触面
11a1,11b1 切替位置
11b 第1賦形面
11c,12c 連結面
11d,12d 固定部
12 第2賦形部材
12a 第2接触面
12b 第2賦形面
20 第1メンブレン(第1賦形シート)
20a,30a 一端
20b,30b 他端
21,22 固定棒
30 第2メンブレン(第2賦形シート)
31,32 固定棒
40 ブラダ(封止シート)
50 減圧部
60 第1補助部材
70 第2補助部材
90 移動機構
91 ラックギア
92 ピニオンギア92
93 アクチュエータ(張力発生部)
100,100A,100B,100C 賦形装置
200 積層体
201 第1面
202 第2面
203,204 先端部
300 シール材
CL1 第1隙間
CL2 第2隙間
CS 密閉空間
D1 第1所定距離
D2 第2所定距離
P1 第1所定位置
P2 第2所定位置
R1 第1領域
R2 第2領域
R3 第3領域
S 設置面
TD 厚さ方向
WD 幅方向(所定方向)