(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162813
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】蓄電モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/184 20210101AFI20241114BHJP
H01M 50/186 20210101ALI20241114BHJP
H01M 50/193 20210101ALI20241114BHJP
H01M 50/103 20210101ALI20241114BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20241114BHJP
H01G 11/80 20130101ALI20241114BHJP
H01M 10/052 20100101ALN20241114BHJP
H01M 10/0585 20100101ALN20241114BHJP
【FI】
H01M50/184 A
H01M50/186
H01M50/193
H01M50/103
H01M10/04 Z
H01G11/80
H01M10/052
H01M10/0585
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078725
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100190470
【弁理士】
【氏名又は名称】谷澤 恵美
(72)【発明者】
【氏名】岡山 泰彰
(72)【発明者】
【氏名】中村 知広
(72)【発明者】
【氏名】弘瀬 貴之
(72)【発明者】
【氏名】坂本 隼也
(72)【発明者】
【氏名】秋山 泰有
【テーマコード(参考)】
5E078
5H011
5H028
5H029
【Fターム(参考)】
5E078AA12
5E078AB01
5E078BA05
5E078EA04
5E078EA07
5E078HA04
5E078JA06
5H011AA03
5H011CC02
5H011DD13
5H011FF00
5H011GG01
5H011HH02
5H011JJ04
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5H028AA07
5H028AA08
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5H028CC07
5H028CC08
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5H028CC19
5H028EE06
5H029AJ11
5H029AJ14
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5H029AL07
5H029AL11
5H029AM02
5H029AM03
5H029AM04
5H029AM07
5H029AM16
5H029BJ12
5H029BJ17
5H029CJ05
5H029DJ02
5H029DJ03
5H029DJ14
5H029HJ12
(57)【要約】
【課題】封止性の低下を抑制することができる蓄電モジュールを提供する。
【解決手段】蓄電モジュールは、電極積層体と、樹脂製の封止部と、を備える。封止部は、矩形枠状の複数の第1シール層31と、矩形枠状の複数のスペーサ層33とを含む。複数の第1シール層31のそれぞれは、複数のシール辺部41を有し、複数のシール辺部41を矩形枠状に配置することで構成されており、積層方向から見て隣り合うシール辺部41の少なくとも一部同士を重ね合わせた、シール辺部41よりも厚い複数のシール連結部42を更に有する。複数のスペーサ層33のそれぞれは、互いに離間して配置された複数のスペーサ辺部51と、積層方向から見て隣り合うスペーサ辺部51の端縁同士を連結し、スペーサ辺部51よりも薄い複数のスペーサ連結部52と、を有する。積層方向から見て、スペーサ連結部52は、シール連結部42と重なっている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが矩形状かつ金属製の集電体を有する複数の電極が積層された積層体と、
前記複数の電極の積層方向から見て前記積層体を取り囲むように前記集電体の周縁部に設けられた樹脂製の封止部と、を備え、
前記複数の電極のそれぞれは、前記集電体の第1面、及び、前記第1面とは逆側の第2面にそれぞれ活物質層を有し、
前記封止部は、矩形枠状の複数のシール層と、矩形枠状の複数のスペーサ層とを含み、
前記複数のシール層のそれぞれは、
前記複数の電極のそれぞれの前記集電体の周縁部において前記第1面及び前記第2面に接合され、
複数のシール辺部を有し、前記複数のシール辺部を矩形枠状に配置することで構成されており、
前記積層方向から見て隣り合う前記シール辺部の少なくとも一部同士を重ね合わせた、前記シール辺部よりも厚い複数のシール連結部を更に有し、
前記複数のスペーサ層のそれぞれは、
前記積層方向に隣り合う前記シール層の間に位置して、前記積層方向に隣り合う前記集電体の間に形成される内部空間を前記複数のシール層と共に封止し、
互いに離間して配置された複数のスペーサ辺部と、前記積層方向から見て隣り合う前記スペーサ辺部の端縁同士を連結し、前記スペーサ辺部よりも薄い複数のスペーサ連結部と、を有し、
前記積層方向から見て、前記スペーサ連結部は、前記シール連結部と重なっている、蓄電モジュール。
【請求項2】
前記スペーサ連結部は、射出成形部材であって、
前記スペーサ連結部及び前記スペーサ辺部は、互いに溶着されている、請求項1に記載の蓄電モジュール。
【請求項3】
前記積層方向から見て隣り合う前記スペーサ辺部は、前記シール連結部を挟むように配置されている、請求項1に記載の蓄電モジュール。
【請求項4】
前記積層方向から見て、前記シール連結部は、前記シール層の4つの角から離間して配置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の蓄電モジュール。
【請求項5】
前記積層方向から見て、前記スペーサ連結部は、前記スペーサ層の4つの角から離間して配置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の蓄電モジュール。
【請求項6】
前記積層方向から見て、前記スペーサ辺部は、前記シール連結部と重ならないように配置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の蓄電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バイポーラ電池が開示されている。このバイポーラ電池は、集電体の一面に正極を設け、他面に負極を設けたバイポーラ電極と、正極と負極との間にはさまれたゲル電解質と、正極、負極及びゲル電解質によって構成された単電池の周囲を囲み集電体の間に設けられたシール層と、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の電池(蓄電モジュール)では、集電体が矩形状の金属箔によって構成されており、樹脂で構成される矩形枠状のシール層が、この集電体の周縁部に設けられている。矩形枠状のシール層は、例えば、4つの矩形状のシール層の端部同士を重ね合わせて溶着することにより形成される。この場合、溶着部が他の部分に対して厚くなる。このようなシール層を積層してなる封止部によれば、厚さバラツキが大きくなり、封止性が低下するおそれがある。
【0005】
本開示の目的は、封止性の低下を抑制することができる蓄電モジュールの提供である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る蓄電モジュールは、それぞれが矩形状かつ金属製の集電体を有する複数の電極が積層された積層体と、複数の電極の積層方向から見て積層体を取り囲むように集電体の周縁部に設けられた樹脂製の封止部と、を備え、複数の電極のそれぞれは、集電体の第1面、及び、第1面とは逆側の第2面にそれぞれ活物質層を有し、封止部は、矩形枠状の複数のシール層と、矩形枠状の複数のスペーサ層とを含み、複数のシール層のそれぞれは、複数の電極のそれぞれの集電体の周縁部において第1面及び第2面に接合され、複数のシール辺部を有し、複数のシール辺部を矩形枠状に配置することで構成されており、積層方向から見て隣り合うシール辺部の少なくとも一部同士を重ね合わせた、シール辺部よりも厚い複数のシール連結部を更に有し、複数のスペーサ層のそれぞれは、積層方向に隣り合うシール層の間に位置して、積層方向に隣り合う集電体の間に形成される内部空間を複数のシール層と共に封止し、互いに離間して配置された複数のスペーサ辺部と、積層方向から見て隣り合うスペーサ辺部の端縁同士を連結し、スペーサ辺部よりも薄い複数のスペーサ連結部と、を有し、積層方向から見て、スペーサ連結部は、シール連結部と重なっている。
【0007】
上記蓄電モジュールでは、封止部のシール層は、隣り合うシール辺部同士を重ね合わせて連結するシール連結部を有する。シール連結部は、隣り合うシール辺部の長さ方向の端部の少なくとも一部同士の重ね合わせからなる。よって、シール連結部は、シール辺部よりも厚い。このため、シール連結部は、シール層の表面に凸部を形成する。封止部のスペーサ層は、隣り合うスペーサ辺部の端縁同士を連結するスペーサ連結部を有する。スペーサ連結部は、スペーサ辺部よりも薄い。このため、スペーサ連結部は、スペーサ層の表面に凹部を形成する。積層方向から見て、スペーサ連結部は、シール連結部と重なっている。したがって、スペーサ連結部の凹部にシール連結部の凸部が入り込む。この結果、封止部では、シール連結部に起因するシール層の厚さバラツキと、スペーサ連結部に起因するスペーサ層の厚さバラツキとが互いに相殺される。よって、封止性の低下を抑制することができる。
【0008】
スペーサ連結部は、射出成形部材であって、スペーサ連結部及びスペーサ辺部は、互いに溶着されていてもよい。
【0009】
積層方向から見て隣り合うスペーサ辺部は、シール連結部を挟むように配置されていてもよい。
【0010】
積層方向から見て、シール連結部は、シール層の4つの角から離間して配置されていてもよい。
【0011】
積層方向から見て、スペーサ連結部は、スペーサ層の4つの角から離間して配置されていてもよい。
【0012】
積層方向から見て、スペーサ辺部は、シール連結部と重ならないように配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、封止性の低下を抑制することができる蓄電モジュールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る蓄電モジュールを示す平面図である。
【
図3】
図3(a)は、第1シール層を示す平面図である。
図3(b)は、
図3(a)のIIIb-IIIb線に沿った断面図である。
【
図4】
図4(a)は、スペーサ層を示す平面図である。
図4(b)は、
図4(a)のIVb-IVb線に沿った断面図である。
【
図5】
図5(a)は、第1シール層上にスペーサ層を重ねた状態を示す平面図である。
図5(b)は、
図5(a)のVb-Vb線に沿った断面図である。
【
図6】
図6は、第1シール層、第2シール層、及びスペーサ層を重ねた状態を示す断面図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る蓄電モジュールの製造方法を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係る蓄電モジュールを示す平面図である。
【
図10】
図10(a)は、第1シール層を示す平面図である。
図10(b)は、
図10(a)のXb-Xb線に沿った断面図である。
【
図11】
図11(a)は、スペーサ層を示す平面図である。
図11(b)は、
図11(a)のXIb-XIb線に沿った断面図である。
【
図12】
図12(a)は、第1シール層上にスペーサ層を重ねた状態を示す平面図である。
図12(b)は、
図12(a)のXIIb-XIIb線に沿った断面図である。
【
図13】
図13は、第3実施形態に係る蓄電モジュールを示す平面図である。
【
図14】
図14(a)は、第1シール層を示す平面図である。
図14(b)は、
図14(a)のXIVb-XIVb線に沿った断面図である。
【
図15】
図15(a)は、スペーサ層を示す平面図である。
図15(b)は、
図4(a)のXVb-XVb線に沿った断面図である。
【
図16】
図16(a)は、第1シール層上にスペーサ層を重ねた状態を示す平面図である。
図16(b)は、
図16(a)のXVIb-XVIb線に沿った断面図である。
【
図17】
図17(a)、
図17(b)及び
図17(c)は、変形例に係るスペーサ層を形成する方法について説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本開示の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。説明に際しては、X軸、Y軸、Z軸によって規定される直交座標系が参照され得る。
【0016】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る蓄電モジュールを示す平面図である。
図1に示す蓄電モジュール11は、例えばフォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリとして用いられ得る。蓄電モジュール11は、例えばニッケル水素二次電池又はリチウムイオン二次電池等の二次電池である。蓄電モジュール11は、電気二重層キャパシタであってもよいし、全固体電池であってもよい。ここでは、蓄電モジュール11がリチウムイオン二次電池である場合を示す。
【0017】
図2は、
図1のII-II線に沿った断面図であり、蓄電モジュール11の層構成を模式的に示す。蓄電モジュール11は、Z軸方向に扁平な直方体形状をなす単電池である。本実施形態では、蓄電モジュール11として、バイポーラ型のリチウムイオン二次電池を例示する。蓄電モジュール11は、複数の電極が積層された電極積層体(積層体)12と、樹脂製の封止部30とを含んで構成されている。複数の電極は、複数のバイポーラ電極14を含む。複数の電極の積層方向は、Z軸方向に沿っており、蓄電モジュール11が積層されてなるモジュール積層体における蓄電モジュール11の積層方向と一致している。
【0018】
バイポーラ電極14は、集電体21と、正極活物質層22と、負極活物質層23とを備えている。集電体21は、リチウムイオン二次電池の放電又は充電の間、正極活物質層22及び負極活物質層23に電流を流し続けるための化学的に不活性な電気伝導体である。
【0019】
集電体21は、平面視において矩形状をなすシート状の導電部材である。集電体21は、第1面21a及び第1面21aの逆側に位置する第2面21bを有している。集電体21は、金属製であり、例えば金属箔又は合金箔によって構成されている。金属箔としては、例えば銅箔、アルミニウム箔、チタン箔、ニッケル箔等が挙げられる。合金箔としては、例えばステンレス鋼箔(例えばJIS G 4305:2015にて規定されるSUS304、SUS316、SUS301等)、メッキ処理が施された鋼箔やステンレス鋼箔などが挙げられる。合金箔は、上記金属箔の材料として例示した金属の合金箔であってもよい。集電体21は、複数の金属箔が一体化又は積層貼付けされて形成されていてもよく、1つの金属箔の表面に別の金属層をメッキすることで形成されていてもよい。
【0020】
図示例における集電体21は、第1面21aがアルミニウム層となり、第2面21bが銅層となるように、アルミニウム箔21Aと銅箔21Bとが接合されたものである。集電体21は、例えば、アルミニウム箔21Aと銅箔21Bとを重ねて圧延接合したクラッド箔であってもよい。集電体21は、貼り合わせ箔であってもよい。すなわち、集電体21は、第1面21aがアルミニウム層となり、第2面21bが銅層となるように、アルミニウム箔21Aと銅箔21Bとが導電性接着樹脂(接着層)により接合され、一体化されることで形成されもよい。集電体21は、第1面21aがアルミニウム層となり、第2面21bが銅層となるように、アルミニウム箔の片面が銅蒸着又は銅メッキされることで形成されてもよい。なお、集電体21の第1面21aでは、アルミニウム層にクロメート処理が施されていてもよい。また、集電体21の第2面21bでは、銅層にニッケルメッキが施されていてもよい。この場合、ニッケルメッキ層は、表面に微細突起が設けられた突起状メッキ面である粗化面であってよい。なお、粗化面は、未加工の金属箔に比べて表面が粗く加工されていればよく、例えば、エッチング加工、電界メッキ加工等の粗さ加工によって形成されてもよい。例えば、集電体21の厚さは、30μm~150μm程度であってよいが、これに限定されない。
【0021】
正極活物質層22は、集電体21の第1面21aに設けられている。集電体21と当該集電体21の第1面21aに設けられた正極活物質層22とは、バイポーラ電極14の正極を構成している。正極活物質層22は、集電体21の周縁部21cが露出されるように、第1面21aの中央において矩形状に形成されている。
【0022】
一例の正極活物質層22は、集電体21の第1面21aに対して接着層を介して設けられている。例えば、接着層は、アセチレンブラック等の接着剤によって形成されていてもよい。一例の接着層は、集電体21の第1面21aの全面に設けられていてもよい。また接着層の端縁は、積層方向から見て、正極活物質層22を囲繞する負極活物質層23の端縁に沿って形成されていてもよい。
【0023】
正極活物質層22は、正極活物質と導電助剤と結着剤とを含む層状部材である。正極活物質としては、例えば複合酸化物、金属リチウム、及び硫黄等が挙げられる。複合酸化物の組成には、例えば鉄、マンガン、チタン、ニッケル、コバルト、及びアルミニウムの少なくとも1つと、リチウムとが含まれる。複合酸化物としては、オリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO4)、LiCoO2、LiNiMnCoO2等が挙げられる。
【0024】
結着剤は、活物質又は導電助剤を集電体21の表面に繋ぎ止め、電極中の導電ネットワークを維持する役割を果たすものである。結着剤としては、例えばポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂、アクリル酸やメタクリル酸などのモノマー単位を含むアクリル系樹脂、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウム等のアルギン酸塩、水溶性セルロースエステル架橋体、デンプン-アクリル酸グラフト重合体等が挙げられる。これらの結着剤は、単独又は複数で用いることができる。導電助剤としては、例えば、アセチレンブラック、カーボンブラック、グラファイト等が挙げられる。正極活物質層22には、例えばN-メチル-2-ピロリドン(NMP)等の粘度調整溶媒が用いられていてもよい。
【0025】
負極活物質層23は、集電体21の第2面21bに設けられている。集電体21と当該集電体21の第2面21bに設けられた負極活物質層23とは、バイポーラ電極14の負極を構成している。負極活物質層23は、集電体21の周縁部21cが露出されるように、第2面21bの中央において矩形状に形成されている。一例では、積層方向から見て、正極活物質層22は負極活物質層23の領域内に収まっている。すなわち、正極活物質層22の外縁は、負極活物質層23の外縁よりも一回り小さくなっている。
【0026】
負極活物質層23は、負極活物質と導電助剤と結着剤とを含む層状部材である。負極活物質としては、例えば黒鉛、人造黒鉛、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ、ハードカーボン、ソフトカーボン等のカーボン、金属化合物、リチウムと合金化可能な元素若しくは当該元素の化合物、ホウ素添加炭素等が挙げられる。リチウムと合金化可能な元素としては、シリコン(ケイ素)及びスズが挙げられる。導電助剤及び結着剤は、正極活物質層22に用いられるものと同様のものを用いることができる。
【0027】
正極活物質層22及び負極活物質層23を集電体21に形成するには、例えばロールコート法、ダイコート法、ディップコート法、ドクターブレード法、スプレーコート法、カーテンコート法等の従来から公知の方法が用いられる。具体的には、活物質、溶剤、並びに必要に応じて結着剤及び導電助剤を混合してスラリー状の活物質層形成用組成物を製造し、当該活物質層形成用組成物を第1面21a及び第2面21bに塗布後、乾燥する。溶剤は、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、メタノール、メチルイソブチルケトン、水である。電極密度を高めるべく、乾燥後のものを圧縮してもよい。
【0028】
電極積層体12において、積層方向に隣り合うバイポーラ電極14,14は、一方のバイポーラ電極14の正極活物質層22と他方のバイポーラ電極14の負極活物質層23とが向かい合うように配置されている。積層方向に隣り合うバイポーラ電極14,14間には、セパレータ15が配置されている。本実施形態では、セパレータ15は、平面視において矩形状をなすシート状部材であり、積層方向に隣り合うバイポーラ電極14,14間の短絡を防止する。
【0029】
セパレータ15は、積層方向から見て、正極活物質層22及び負極活物質層23よりも大きく、かつ集電体21よりも小さい、矩形状をなしている。セパレータ15の端部15aは、積層方向から見て、正極活物質層22及び負極活物質層23の外側に位置している。すなわち、セパレータ15の端部15aは、積層方向から見て、正極活物質層22及び負極活物質層23のいずれとも重ならない。
【0030】
セパレータ15は、例えばシート状に形成されている。セパレータ15は、例えば、電解質を吸収保持するポリマーを含む多孔性シート又は不織布である。セパレータ15を構成する材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリオレフィン、ポリエステルなどが挙げられる。セパレータ15は、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。多層構造の場合、セパレータ15は、例えば、基材層及び一対の接着層を含み、一対の接着層により正極活物質層22及び負極活物質層23に接着固定されてもよい。セパレータ15は、耐熱層となるセラミック層を含んでもよい。セパレータ15は、フッ化ビニリデン樹脂化合物で補強されていてもよい。
【0031】
セパレータ15は、乾式プロセス又は湿式プロセスによって、溶融された樹脂が延伸されて形成されている。この場合、延伸のプロセスに応じて、セパレータ15は収縮量の大きい方向と小さい方向とを有する。セパレータ15は、収縮量の大きい方向が短辺に沿い、収縮量の小さい方向が長辺に沿った、矩形状をなしていてよい。一例のセパレータ15は、湿式プロセスによって形成されており、伸びやすいTD(Transverse Dirrection)方向が短辺に沿い、伸びにくいMD(Machine Dirrection)方向が長辺に沿っていてもよい。
【0032】
セパレータ15に含浸される電解質としては、例えば、非水溶媒と非水溶媒に溶解した電解質塩とを含む液体電解質(電解液)、又はポリマーマトリックス中に保持された電解質を含む高分子ゲル電解質などが挙げられる。セパレータ15に電解質が含浸される場合、その電解質塩として、LiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(FSO2)2、LiFSi、LiN(CF3SO2)2等の公知のリチウム塩を使用できる。また、非水溶媒として、環状カーボネート類、環状エステル類、鎖状カーボネート類、鎖状エステル類、エーテル類等の公知の溶媒を使用できる。なお、これら公知の溶媒材料を二種以上組合せて用いてもよい。
【0033】
電極積層体12は、バイポーラ電極14の他に、正極終端電極16及び負極終端電極17を有している、正極終端電極16は、集電体21と、集電体21の第1面21aに設けられた正極活物質層22とによって構成されている。正極終端電極16は、第1面21aの正極活物質層22が末端のバイポーラ電極14の負極活物質層23と向かい合うように、電極積層体12における積層方向の一端側に配置されている。正極終端電極16では、集電体21の第2面21bには正極活物質層22及び負極活物質層23が設けられておらず、当該第2面21bは、隣接する導電板(不図示)に対して電気的に接続されている。正極終端電極16に用いられる集電体21は、アルミニウム箔で構成されていてもよい。
【0034】
負極終端電極17は、集電体21と、集電体21の第2面21bに設けられた負極活物質層23とによって構成されている。負極終端電極17は、第2面21bの負極活物質層23が末端のバイポーラ電極14の正極活物質層22と向かい合うように、電極積層体12における積層方向の他端側に配置されている。負極終端電極17では、集電体21の第1面21aには正極活物質層22及び負極活物質層23が設けられておらず、当該第1面21aは、隣接する導電板(不図示)に対して電気的に接続されている。負極終端電極17に用いられる集電体21は、銅箔で構成されていてもよい。
【0035】
上述したセパレータ15は、積層方向に隣り合うバイポーラ電極14,14に加え、バイポーラ電極14と正極終端電極16との間、及びバイポーラ電極14と負極終端電極17との間にも配置されている。セパレータ15の配置により、バイポーラ電極14と正極終端電極16との間の短絡、及びバイポーラ電極14と負極終端電極17との間の短絡が防止される。
【0036】
封止部30は、積層方向に隣り合う集電体21間の内部空間Sを封止する部材である。封止部30は、電気絶縁性を有する。封止部30は、集電体21の縁部に接着(接合)されている。封止部30は、積層方向から見て、正極活物質層22及び負極活物質層23から離間している。封止部30は、積層方向から見て枠状であり、正極活物質層22及び負極活物質層23の周囲を囲むように、積層方向に隣り合う集電体21間に配置されている。封止部30は、積層方向から見て、電極積層体12を取り囲むように集電体21の周縁部21cに設けられている。蓄電モジュール11では、積層方向に隣り合う集電体21と封止部30とにより内部空間Sが画定されている。内部空間Sには、電解質(不図示)が収容されている。封止部30は、積層方向に隣り合う集電体21同士の間に配置されることにより、隣り合う集電体21同士の間隔を保持するスペーサとしても機能する。
【0037】
一例の封止部30は、複数の第1シール層31(シール層)、複数の第2シール層32(シール層)及び複数のスペーサ層33を有している。第1シール層31、第2シール層32及びスペーサ層33は、積層方向から見てそれぞれ矩形枠状を有している。
【0038】
第1シール層31は、集電体21の周縁部21cにおいて、第1面21aに接合されている。一例において、積層方向から見て、第1シール層31の外縁31bは、集電体21の端縁21dよりも大きく、集電体21を囲んでいる。また、積層方向から見て、集電体21の端縁21dは、第1シール層31の内縁31aよりも大きく、第1シール層31の内縁31aを囲んでいる。第1シール層31と集電体21とは、積層方向から見て互いに重複した領域において互いに接合されている。すなわち、第1シール層31と集電体21とは、第1シール層31の内縁31aから集電体21の端縁21dまでの領域において互いに接合されている。積層方向から見て、第1シール層31の内縁31aは正極活物質層22から離間している。第1シール層31は、集電体21の周縁部21cにおいて、集電体21の端縁21dからはみ出すように第1面21aに接合されている。このとき、第1シール層31は、集電体21の第1面21aに溶着されており、化学結合及び物理結合によって接合している。
【0039】
第2シール層32は、集電体21の周縁部21cにおいて、第2面21bに接合されている。一例において、積層方向から見て、第2シール層32の外縁32bは、集電体21の端縁21dよりも大きく、集電体21を囲んでいる。例えば、第2シール層32と集電体21とは、互いに重複した領域において互いに接合されている。すなわち、第2シール層32と集電体21とは、第2シール層32の内縁32aから集電体21の端縁21dまでの領域において互いに接合されている。積層方向から見て、第2シール層32の内縁32aは負極活物質層23から離間している。第2シール層32は、集電体21の周縁部21cにおいて、集電体21の端縁21dからはみ出すように第2面21bに接合されている。このとき、第2シール層32は、集電体21の第2面21bに溶着されており、化学結合及び物理結合によって接合している。
【0040】
スペーサ層33は、積層方向に隣り合う第1シール層31と第2シール層32との間に位置している。スペーサ層33は、積層方向に隣り合う集電体21の間に形成される内部空間Sを第1シール層31及び第2シール層32と共に封止している。
【0041】
第1シール層31、第2シール層32及びスペーサ層33は端面溶着部R1によって互いに溶着されている。スペーサ層33の外縁33bは、積層方向から見て第1シール層31の外縁31b及び第2シール層32の外縁32bと同じ位置であってよい。スペーサ層33の外縁33bは、積層方向から見て、集電体21の端縁21dよりも外側において第1シール層31の外縁31bに溶着されていればよい。また、スペーサ層33の外縁33bは、積層方向から見て、集電体21の端縁21dよりも外側において第2シール層32の外縁32bに溶着されていればよい。すなわち、第1シール層31、第2シール層32及びスペーサ層33は、集電体21の端縁21dよりも外側の領域において、端面溶着部R1によって互いに溶着されている。
【0042】
端面溶着部R1は、複数の第1シール層31と複数の第2シール層32と複数のスペーサ層33とにおける内部空間Sとは反対側の端部(外周縁)が互いに溶着されて一体化されることにより形成されている。換言すれば、第1シール層31とスペーサ層33とは、端面溶着部R1以外の部分では溶着されておらず、互いに接触のみしている。同様に、第2シール層32とスペーサ層33とは、端面溶着部R1以外の部分では溶着されておらず、互いに接触のみしている。このように、スペーサ層33が端面溶着部R1によって第1シール層31及び第2シール層32に接続されているため、スペーサ層33の膨張収縮による応力は、第1シール層31及び第2シール層32に接合された集電体21に影響を与え得る。
【0043】
端面溶着部R1は、積層方向から見て、電極積層体12を取り囲むように矩形枠状を呈している。端面溶着部R1は、積層方向から見て、集電体21の端縁21dよりも外側に形成されている。すなわち、第1シール層31、第2シール層32及びスペーサ層33は、積層方向から見て集電体21に重なる重複部分と、集電体21の端縁21dよりも外側に延在する延在部分とを備えている。端面溶着部R1は、延在部分に設けられている。端面溶着部R1における内部空間Sとは反対側の側面は、積層方向に沿って延びており、封止部30の外側面を構成している。換言すれば、封止部30は、内部空間Sに面する内側面と、内側面とは反対側の外側面とを含む。
【0044】
封止部30には、複数の内部空間Sのそれぞれに連通する連通孔35が形成されている。一例として、連通孔35は、スペーサ層33を部分的に切り欠いて形成されており、スペーサ層33及び端面溶着部R1を貫通している。連通孔35は、内部空間Sに一方の開口を有するとともに、封止部30の外側面に他方の開口を有している。蓄電モジュール11では、隣り合う一対の集電体21の間に、1つの内部空間Sを含むセルが形成されている。ここでは、1つのセルに対して1つの連通孔35が形成されている。連通孔35は、内部空間Sに電解液を注液するための注液口として利用され得る。すなわち、封止部30の外側面には注液口(連通孔35の開口)が設けられている。積層方向から見て矩形状の蓄電モジュール11において、連通孔35が設けられた辺を注液口辺と呼ぶ。
【0045】
積層方向から見て、少なくとも注液口辺におけるスペーサ層33の内縁33aは、第1シール層31の内縁31a及び第2シール層32の内縁32aよりも内側(内部空間S側)に位置している。少なくとも注液口辺において、スペーサ層33の幅は、注液口辺以外におけるスペーサ層33の幅よりも広い。注液口辺におけるスペーサ層33の内縁33aは、内縁31a,32aよりも、例えば1mm以上内側に位置しており、内部空間Sに面するように第1シール層31及び第2シール層32から露出している。積層方向から見て、注液口辺以外におけるスペーサ層33の内縁33aは、第1シール層31の内縁31a及び第2シール層32の内縁32aよりも外側に位置していてもよいし、内側に位置していてもよい。積層方向から見て、注液口辺以外におけるスペーサ層33は、注液口辺におけるスペーサ層33と同じ幅を有していてもよい。
【0046】
上述のセパレータ15の端部15aは、第2シール層32とスペーサ層33との間において、第2シール層32の内縁32aの近傍に固定されている。端部15aは、例えば、スポット溶着やレーザ溶着等により、部分的に第2シール層32に接着(溶着)されていてもよい。
【0047】
積層方向から見て、第1シール層31は正極活物質層22から離間し、内縁31aは正極活物質層22の外側に位置している。積層方向から見て、第2シール層32は負極活物質層23から離間し、内縁32aは負極活物質層23の外側に位置している。本実施形態では、積層方向から見て、第1シール層31は負極活物質層23からも離間しているが、第1シール層31は、正極活物質層22から離間していれば、負極活物質層23と重なっていてもよい。
【0048】
第1シール層31、第2シール層32、及びスペーサ層33は、例えば、酸変性ポリエチレン(酸変性PE)、酸変性ポリプロピレン(酸変性PP)、ポリエチレン、又は、ポリエチレン等の耐電解質性を有する樹脂材料により構成される。第1シール層31、第2シール層32、及びスペーサ層33を構成する樹脂材料は、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。ここで、樹脂材料が同じとは、例えば、酸変性ポリエチレン、酸変性ポリプロピレン、ポリエチレン、又は、ポリエチレンといった樹脂材料の種類が同じであることを意味する。樹脂材料の種類が同じであれば、平均分子量やメルトフローレート(以下、MFR)が異なる場合も同じ樹脂材料として扱う。本実施形態では、第1シール層31及び第2シール層32は、酸変性ポリエチレン又は酸変性ポリプロピレンにより形成されている。スペーサ層33は、ポリエチレン又はポリプロピレンにより形成されている。第1シール層31、第2シール層32、及びスペーサ層33は、それぞれ複数の異なる樹脂材料を層状に積層したものであってもよい。
【0049】
図3(a)は、第1シール層を示す平面図である。
図3(b)は、
図3(a)のIIIb-IIIb線に沿った断面図である。
図3(a)及び
図3(b)に示すように、各第1シール層31は、4つのシール辺部41と、4つのシール連結部42とを有している。第1シール層31は、隣り合うシール辺部41同士をシール連結部42で連結することによって構成される。積層方向から見て、シール辺部41及びシール連結部42は、互いに同数で、複数あればよい。各第1シール層31は、積層方向から見て、4つの角c1を含んでいる。角c1は、積層方向から見て、第1シール層31の外縁の頂点である。
【0050】
各シール辺部41は、積層方向から見て矩形状であってもよい。積層方向から見て隣り合う2つのシール辺部41の長さ方向の端部の少なくとも一部同士が重なり合って、シール連結部42を構成している。シール辺部41は、積層方向から見て隣り合う2つのシール辺部41の長さ方向の端部の少なくとも一部同士が重なるように配置されていてもよい。本実施形態において、4つのシール辺部41は、Y軸方向において互いに対向する一対のシール辺部43と、X軸方向において互いに対向するシール辺部44及びシール辺部45を含んでいる。シール辺部44は、注液口辺を構成している。
【0051】
シール辺部43は、X軸方向を長さ方向、Y軸方向を幅方向とする矩形状である。シール辺部43は、X軸方向に沿って直線状に延在している。一対のシール辺部43は、互いに同じ形状を有している。シール辺部43の長さ方向の各端部は、第1シール層31の角c1を1つずつ含んでいる。シール辺部44及びシール辺部45は、Y軸方向を長さ方向、X軸方向を幅方向とする矩形状である。シール辺部44及びシール辺部45は、互いに同じ形状を有している。シール辺部44及びシール辺部45は、角c1を含んでいない。4つのシール辺部41の幅は、例えば、互いに等しい。各シール辺部41は、積層方向から見て複数に分割されていてもよい。
【0052】
シール連結部42は、隣り合う2つのシール辺部を積層してなる領域である。シール連結部42は、積層方向から見て隣り合う2つのシール辺部41同士を連結している。
図3(a)及び
図3(b)の例では、4つのシール連結部42は、第1シール層31の4つの角c1の近傍に配置されている。本実施形態では、各シール連結部42は、第1シール層31の対応する角c1の近傍に、当該角c1から離間して配置されている。積層方向から見て各シール連結部42は、X軸方向を長さ方向、Y軸方向を幅方向とする矩形状である。4つのシール連結部42は、例えば、互いに同じ形状を有している。
【0053】
図3(a)及び
図3(b)の例では、4つのシール連結部42は、積層方向から見て隣り合う2つのシール辺部41の長さ方向の端部の少なくとも一部同士の重ね合わせからなる。シール連結部42は、シール辺部41同士を連結している。つまり、各シール連結部42は、積層方向から見て隣り合う2つのシール辺部41の一部をそれぞれ含んでいる。各シール連結部42は、シール辺部43の一部と、シール辺部44の一部又はシール辺部45の一部と、を含んでいる。
【0054】
本実施形態では、シール辺部43のうち、シール辺部43の長さ方向の端部であって、シール辺部43の幅方向の一部がシール連結部42に含まれる。シール辺部44のうち、シール辺部44の長さ方向の端部が、シール辺部44の幅方向の全体にわたってシール連結部42に含まれる。シール辺部45のうち、シール辺部45の長さ方向の端部が、シール辺部45の幅方向の全体にわたってシール連結部42に含まれる。
【0055】
シール連結部42は、2つのシール辺部41の一部同士を重ねて配置し、例えば、インパルス溶着、熱溶着、又は超音波溶着等の溶着により接合することで形成された溶着部を有する。すなわちシール連結部42において、樹脂が積層方向に積層した構成になっている。すなわちシール連結部42は、シート片からなり、シール辺部41の長さ方向の端部と連続する樹脂層が積層方向に積層された構成を有している。シール連結部42の厚さは、シール辺部41の厚さよりも厚い。シール連結部42は、例えば、シール辺部41の厚さの2倍以下の厚さを有する。
図3(b)では、シール連結部42は、第1シール層31の片面に凸部を形成していてもよく、第1シール層31の両面に凸部を形成していてもよい。
【0056】
第1シール層31のシール辺部41の厚さは、溶着によって不均一となる場合がある。すなわち、シール連結部42におけるシール辺部41の厚さは、溶着時の圧力によって、シール連結部42以外におけるシール辺部41の厚さよりも薄くなる場合がある。この場合、例えば、シール辺部41の最大厚さをシール辺部41の厚さとしてもよい。シール辺部41の厚さは、例えば、50μm~300μm程度である。
【0057】
図示を省略するが、第2シール層32は、例えば、第1シール層31と同じ構成を有している。
【0058】
図4(a)は、スペーサ層を示す平面図である。
図4(b)は、
図4(a)のIVb-IVb線に沿った断面図である。
図4(a)及び
図4(b)に示すように、各スペーサ層33は、4つのスペーサ辺部51と、4つのスペーサ連結部52とを有している。スペーサ層33は、隣り合う2つのスペーサ辺部51同士をスペーサ連結部52で連結することによって構成される。このため複数のスペーサ辺部51及び複数のスペーサ連結部52によってスペーサ層33が構成される。積層方向から見て、スペーサ辺部51及びスペーサ連結部52は、互いに同数で、複数あればよい。各スペーサ層33は、積層方向から見て、4つの角c2を含んでいる。角c2は、積層方向から見て、スペーサ層33の外縁の頂点である。
【0059】
4つのスペーサ辺部51は、積層方向から見て互いに離間して配置されていてもよい。各スペーサ辺部51は、積層方向から見て矩形状である。4つのスペーサ辺部51は、Y軸方向において互いに対向する一対のスペーサ辺部53と、X軸方向において互いに対向するスペーサ辺部54及びスペーサ辺部55と、を含んでいる。スペーサ辺部54は、注液口辺を構成している。
【0060】
一対のスペーサ辺部53は、X軸方向を長さ方向、Y軸方向を幅方向とする矩形状である。スペーサ辺部51は、X軸方向に沿って直線状に延在している。一対のスペーサ辺部53は、互いに同じ形状を有している。スペーサ辺部53の長さ方向の各端部は、スペーサ層33の角c2を1つずつ含んでいてもよい。スペーサ辺部54及びスペーサ辺部55は、Y軸方向を長さ方向、X軸方向を幅方向とする矩形状である。スペーサ辺部54及びスペーサ辺部55は、互いに同じ長さ及び厚さを有していてもよい。スペーサ辺部54は、スペーサ辺部55よりも広い幅を有している。スペーサ辺部53及びスペーサ辺部55は、例えば、互いに等しい幅を有している。スペーサ辺部54及びスペーサ辺部55は、角c2を含んでいない。
【0061】
積層方向から見て、スペーサ連結部52は、スペーサ連結部52に隣り合うスペーサ辺部51を連結している。本実施形態では、積層方向から見て、4つのスペーサ連結部52は、スペーサ層33の4つの角c2の近傍に、4つの角c2から離間して配置されていてもよい。つまり、各スペーサ連結部52は、スペーサ層33の対応する角c2の近傍に、当該角c2から離間して配置されていてもよい。積層方向から見て、各スペーサ連結部52は、X軸方向を長さ方向、Y軸方向を幅方向とする矩形状である。
【0062】
図4(a)及び
図4(b)の例では、4つのスペーサ連結部52は、積層方向から見て隣り合う2つのスペーサ辺部51の端縁同士を連結している。各スペーサ連結部52は、積層方向においてスペーサ辺部51と重なっていなくてもよい。各スペーサ連結部52は、スペーサ辺部53の端縁53aの一部と、スペーサ辺部54の端縁54aの一部又はスペーサ辺部55の端縁55aの一部とを連結している。ここで、端縁53aは、積層方向から見たスペーサ辺部53の外縁である。端縁54aは、積層方向から見たスペーサ辺部54の外縁である。端縁55aは、積層方向から見たスペーサ辺部55の外縁である。
【0063】
本実施形態では、スペーサ辺部53の端縁53aのうち、スペーサ辺部53の長辺をなす端縁の端部、すなわち、スペーサ辺部53の長さ方向に延びる端縁の端部がシール連結部42により連結される。スペーサ辺部54の端縁54aのうち、スペーサ辺部54の短辺をなす端縁の全体、すなわち、スペーサ辺部54の幅方向に延びる端縁の全体がシール連結部42により連結される。スペーサ辺部55の端縁55aのうち、スペーサ辺部55の短辺をなす端縁の全体、すなわち、スペーサ辺部55の幅方向に延びる端縁の全体がシール連結部42により連結される。
【0064】
スペーサ連結部52は、スペーサ辺部51よりも薄い。スペーサ辺部51の厚さが均一でない場合、例えば、スペーサ辺部51の最小厚さをスペーサ辺部51の厚さとしてもよい。スペーサ辺部51の厚さは、例えば、200μm~500μm程度である。
【0065】
スペーサ連結部52は、例えば、射出成形部材であり、金型を用いた射出成形により形成される。隣り合うスペーサ辺部51の端縁間にスペーサ連結部52を形成することにより、スペーサ辺部51及びスペーサ連結部52が互いに溶着される。スペーサ辺部51及びスペーサ連結部52の間には、スペーサ辺部51及びスペーサ連結部52が互いに溶け合う溶着部が形成されている。これによって、隣り合うスペーサ辺部51同士が接続され、スペーサ層33が形成される。
図4(b)では、スペーサ連結部52は、スペーサ層33の両面に凹部を形成しているが、スペーサ層33の片面のみで凹部を形成していてもよい。スペーサ連結部52の形状は、金型により適宜設定可能である。スペーサ連結部52の厚さは、スペーサ辺部51の厚さよりも薄くなるように形成されている。
【0066】
スペーサ層33は、積層方向から見て、隣り合う2つのスペーサ辺部51の長さ方向の端部の少なくとも一部同士を重ね合わせて連結することにより枠状に構成されてもよい。この場合、スペーサ辺部51の端部が重なった領域がスペーサ連結部52となる。スペーサ連結部52は、2つのスペーサ辺部51の一部同士を重ねて配置し、例えば、インパルス溶着、熱溶着、又は超音波溶着等の溶着により接合することで形成された溶着部を有する。すなわちスペーサ連結部52において、樹脂が積層方向に積層した構成になっている。この場合も、スペーサ連結部52は、スペーサ層33の両面に凹部を形成してもよいし、スペーサ層33の片面のみで凹部を形成していてもよい。スペーサ連結部52の厚さは、スペーサ辺部51の厚さよりも薄くなるように形成される。
【0067】
例えば、スペーサ連結部52のMFRは、スペーサ辺部51のMFRよりも大きくてもよい。これにより、スペーサ連結部52を射出成形により形成する際、スペーサ辺部51が、その形状を保ったまま、スペーサ連結部52により接合される構成を実現できる。MFRは、JIS K7210に準じて求められる。各MFRは、例えば、構成材料の分子量によって調整される。スペーサ辺部51のMFRは、例えば、温度230℃及び荷重2.16kgfにおいて、0.5g/10min以上であり、スペーサ連結部52のMFRは、例えば、温度230℃及び荷重2.16kgfにおいて、20g/10min以下である。
【0068】
スペーサ辺部51及びスペーサ連結部52は、例えば、互いに同じ樹脂材料からなってもよい。すなわち、スペーサ辺部51及びスペーサ連結部52はいずれも、例えば、ポリエチレンにより形成されていてもよいし、ポリプロピレンにより形成されていてもよい。この場合、例えば、スペーサ連結部52の平均分子量がスペーサ辺部51の平均分子量よりも小さく設定されていてもよい。これにより、スペーサ連結部52のMFRがスペーサ辺部51のMFRよりも大きくなる構成が容易に実現される。
【0069】
図5(a)は、第1シール層上にスペーサ層を重ねた状態を示す平面図である。
図5(b)は、
図5(a)のVb-Vb線に沿った断面図である。
図5(a)及び
図5(b)に示すように、積層方向から見て、4つのスペーサ連結部52は、4つのシール連結部42と重なっている。
図5(a)では、シール連結部42の範囲を明確化するため、シール連結部42にハッチングを付している。スペーサ連結部52の凹部にシール連結部42の凸部が入り込んで嵌合する。
【0070】
積層方向から見て、各スペーサ辺部51は、いずれのシール連結部42とも重ならないように配置されている。積層方向から見て隣り合うスペーサ辺部51は、シール連結部42を挟むように配置されている。本実施形態では、積層方向から見て隣り合うスペーサ辺部53とスペーサ辺部54又はスペーサ辺部55とは、シール連結部42を挟むように配置されている。換言すると、積層方向から見て、シール連結部42は、隣り合うスペーサ辺部53とスペーサ辺部54又はスペーサ辺部55との間に配置されている。
【0071】
積層方向から見て、隣り合うスペーサ辺部51は、一方のスペーサ辺部51の長さ方向に延びる端縁と、他方のスペーサ辺部53の幅方向に延びる端縁とがシール連結部42を挟むように配置されている。本実施形態では、積層方向から見て、隣り合うスペーサ辺部53とスペーサ辺部54又はスペーサ辺部55とは、スペーサ辺部53の長さ方向に延びる端縁53aと、スペーサ辺部54の幅方向に延びる端縁54a又はスペーサ辺部55の幅方向に延びる端縁55aとが、シール連結部42を挟むように配置されている。
【0072】
積層方向から見て、第1シール層31及びスペーサ層33は、互いに4つの角c1と4つの角c2とが一致するように配置されている。長さ方向の端部にスペーサ層33の角c2を含むスペーサ辺部51の当該端部における幅w2は、長さ方向の端部に第1シール層31の角c1を含むシール辺部41の当該端部における幅w1よりも狭い。本実施形態では、幅w1は、シール辺部43の長さ方向の端部における幅に相当する。幅w2は、スペーサ辺部53の長さ方向の端部における幅に相当する。
【0073】
図6は、第1シール層、第2シール層、及びスペーサ層を重ねた状態を示す断面図である。
図6に示すように、スペーサ層33のスペーサ連結部52は、第1シール層31のシール連結部42と第2シール層32のシール連結部42とに積層方向において挟まれている。スペーサ連結部52の一対の凹部に、シール連結部42の凸部が積層方向の両側から入り込んで嵌合する。例えば、スペーサ連結部52の凹部の深さは、シール連結部42の凸部の高さと同等である。スペーサ連結部52の厚さとスペーサ辺部51の厚さとの差は、シール連結部42の厚さとシール辺部41の厚さとの差の2倍である。
【0074】
図7は、第1実施形態に係る蓄電モジュールの製造方法を示すフローチャートである。
図7に示すように、蓄電モジュール11の製造方法は、シール層形成工程S1と、スペーサ層形成工程S2と、電極準備工程S3と、電極積層工程S4と、端面溶着工程S5と、を含む。
【0075】
シール層形成工程S1は、複数の第1シール層31及び複数の第2シール層32を形成する工程である。まず、原反ロールから繰り出される長尺のシート材を打ち抜いたり、切断したりすることによって複数のシール辺部41を得る。得られた2つのシール辺部41を、長さ方向の端部の少なくとも一部同士を重ねて配置する。次に、重ねた領域を、例えば、インパルス溶着、熱溶着、又は超音波溶着等の溶着により接合し、シール連結部42を形成する。シール連結部42は、隣り合うシール辺部41同士が重なった領域を一体化して形成される。4つのシール辺部41を用い、4つのシール連結部42を形成することで、第1シール層31が形成される。第2シール層32も同様に形成される。
【0076】
スペーサ層形成工程S2は、複数のスペーサ層33を形成する工程である。まず、原反ロールから繰り出される長尺のシート材を打ち抜いたり、切断したりすることによって複数のスペーサ辺部51を得る。次に、得られた2つのスペーサ辺部51を互いに離間して配置し、2つのスペーサ辺部51の端縁間に射出成形によりスペーサ連結部52を形成し、2つのスペーサ辺部51を接合する。このとき、隣り合うスペーサ辺部51とスペーサ連結部52との間には、スペーサ辺部51とスペーサ連結部52とが互いに溶け合う溶着部が形成される。4つのスペーサ辺部51を用い、4つのスペーサ連結部52を形成することで、スペーサ層33が形成される。
【0077】
電極準備工程S3は、第1シール層31及び第2シール層32が接合された複数の電極を準備する工程である。電極準備工程S3は、シール層形成工程S1後に実施される。各電極の周縁部21cにおいて第1面21aに第1シール層31を接合すると共に、電極の周縁部21cにおいて第2面21bに第2シール層32を接合する。
【0078】
電極積層工程S4は、第1シール層31及び第2シール層32が接合された複数の電極を積層する工程である。電極積層工程S4は、スペーサ層形成工程S2及び電極準備工程S3後に実施される。第1シール層31及び第2シール層32が接合された電極と、セパレータ15及びスペーサ層33とを交互に積層する。このとき、スペーサ層33のスペーサ連結部52が第1シール層31のシール連結部42及び第2シール層32のシール連結部42と重なり、スペーサ連結部52の凹部にシール連結部42の凸部が入り込むように積層を行う。積層前にセパレータ15の端部15aを第2シール層32に部分的に溶着し、セパレータ15を第2シール層32に固定した状態で積層を行ってもよい。
【0079】
端面溶着工程S5は、端面溶着部R1を形成する工程である。例えば、積層された第1シール層31、第2シール層32、及びスペーサ層33の端面と対向するように、赤外線ヒータ等の加熱装置を配置し、第1シール層31、第2シール層32、及びスペーサ層33の外縁部を溶融し、一体化することにより、端面溶着部R1を形成する。これにより、封止部30が形成される。端面溶着部R1は、例えば、積層された第1シール層31、第2シール層32、及びスペーサ層33の端面に熱板を押し付けることにより形成されてもよい。
【0080】
以上説明したように、蓄電モジュール11では、封止部30の第1シール層31及び第2シール層32のそれぞれは、隣り合うシール辺部41同士の重ね合わせからなるシール連結部42を有する。シール連結部42は、隣り合うシール辺部41の長さ方向の端部の少なくとも一部同士の重ね合わせからなる。よって、シール連結部42は、シール辺部41よりも厚い。このため、シール連結部42は、第1シール層31及び第2シール層32の表面に凹部を形成する。封止部30のスペーサ層33は、隣り合うスペーサ辺部51の端縁同士を連結するスペーサ連結部52を有する。スペーサ連結部52は、スペーサ辺部51よりも薄い。このため、スペーサ連結部52は、スペーサ層33の表面に凸部を形成する。積層方向から見て、スペーサ連結部52は、シール連結部42と重なっている。したがって、スペーサ連結部52の凹部にシール連結部42の凸部が入り込んで嵌合する。この結果、封止部30では、シール連結部42に起因する第1シール層31及び第2シール層32の厚さバラツキと、スペーサ連結部52に起因するスペーサ層33の厚さバラツキとが互いに相殺され、全体として平坦化される。よって、封止性の低下を抑制することができる。
【0081】
スペーサ連結部52は、射出成形部材であって、スペーサ連結部52及びスペーサ辺部51は、互いに溶着されている。スペーサ連結部52は金型を用いて形成されるので、形状品質が安定する。また、射出量によってスペーサ連結部52の厚さを容易に変更することができるので、厚さの設計変更が容易である。更に、スペーサ連結部52の材料をスペーサ辺部51の材料と容易に異ならせることができる。よって、例えば、スペーサ連結部52を射出成形し易い材料で形成することができる。スペーサ連結部52及びスペーサ辺部51は、互いに溶着されている。これにより、スペーサ連結部52とスペーサ辺部51との間に、スペーサ連結部52とスペーサ辺部51とが互いに溶け合う溶着部が形成される。よって、スペーサ層33の強度を向上させることができる。
【0082】
積層方向から見て、シール連結部42は、第1シール層31及び第2シール層32のそれぞれの4つの角c1から離間して配置されている。このため、シール連結部42が第1シール層31及び第2シール層32に占める割合を小さくすることができる。よって、第1シール層31及び第2シール層32の厚さバラツキが抑制される。積層方向から見て、スペーサ連結部52は、スペーサ層33の4つの角c2から離間して配置されている。このため、スペーサ連結部52がスペーサ層33に占める割合を小さくすることができる。よって、スペーサ層33の厚さバラツキが抑制される。
【0083】
積層方向から見て、第1シール層31の4つの角c1、第2シール層32の4つの角c1及びスペーサ層33の4つの角c2は、互いに一致するように配置されている。角c2を含むスペーサ辺部53の幅w2は、角c1を含むシール辺部43の幅w1よりも狭い。これにより、シール連結部42とスペーサ連結部52とが重なる構成が容易に実現される。
【0084】
積層方向から見て、シール連結部42は、スペーサ辺部51と重ならないように配置されている。このため、封止性の低下を確実に抑制することができる。
【0085】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
図8は、第2実施形態に係る蓄電モジュールを示す平面図である。
図9は、
図8のIX-IX線に沿った断面図である。
図8及び
図9示すように、第2実施形態に係る蓄電モジュール11Aでは、封止部30は、複数の第1シール層31A、複数の第2シール層32A及び複数のスペーサ層33Aを有している。
【0086】
積層方向から見て、注液口辺における第1シール層31の内縁31a及び第2シール層32の内縁32aは、スペーサ層33の内縁33aよりも内側(内部空間S側)に位置している。注液口辺における第1シール層31及び第2シール層32の幅は、注液口辺以外における第1シール層31及び第2シール層32の幅よりも広い。第1シール層31の内縁31a及び第2シール層32の内縁32aは、全周にわたって、スペーサ層33の内縁33aよりも内側(内部空間S側)に位置している。
【0087】
図10(a)は、第1シール層を示す平面図である。
図10(b)は、
図10(a)のXb-Xb線に沿った断面図である。
図10(a)及び
図10(b)に示すように、第1シール層31Aでは、シール辺部44は、シール辺部45よりも広い幅を有している。シール辺部43は、角c1を含まず、シール辺部44及びシール辺部45の各端部は、角c1を1つずつ含んでいる。本実施形態において、積層方向から見て各シール連結部42は、Y軸方向を長さ方向、X軸方向を幅方向とする矩形状である。第1シール層31Aは、複数のシール辺部41及び複数のシール連結部42によって構成される。
【0088】
本実施形態の第1シール層31Aにおいても、シール連結部42は、積層方向から見て隣り合う2つのシール辺部41の長さ方向の端部の少なくとも一部同士の重ね合わせからなる。よって、シール連結部42は、シール辺部41よりも厚い。第1シール層31Aでは、シール辺部43のうち、シール辺部43の長さ方向の端部が、シール辺部43の幅方向の全体にわたってシール連結部42に含まれる。シール辺部44のうち、シール辺部44の長さ方向の端部であって、シール辺部44の幅方向の一部がシール連結部42に含まれる。シール辺部45のうち、シール辺部45の長さ方向の端部であって、シール辺部45の幅方向の一部がシール連結部42に含まれる。
【0089】
図示を省略するが、第2シール層32Aは、例えば、第1シール層31Aと同じ構成を有している。
【0090】
図11(a)は、スペーサ層を示す平面図である。
図11(b)は、
図11(a)のXIb-XIb線に沿った断面図である。
図11(a)及び
図11(b)に示すように、スペーサ層33Aでは、スペーサ辺部53は、角c2を含まず、スペーサ辺部54及びスペーサ辺部55の各端部は、角c2を1つずつ含んでいる。積層方向から見て各スペーサ連結部52は、Y軸方向を長さ方向、X軸方向を幅方向とする矩形状である。スペーサ層33Aは、複数のスペーサ辺部51及び複数のスペーサ連結部52によって構成されている。
【0091】
本実施形態のスペーサ層33Aにおいても、4つのスペーサ辺部51は、互いに離間して配置されている。スペーサ連結部52は、積層方向から見て隣り合う2つのスペーサ辺部51の端縁同士を連結しており、スペーサ辺部51よりも薄い。隣り合うスペーサ辺部51及びスペーサ連結部52の間には、スペーサ辺部51及びスペーサ連結部52が互いに溶け合う溶着部が形成されている。スペーサ層33Aでは、スペーサ辺部53の端縁53aのうち、スペーサ辺部53の短辺をなす端縁の全体、すなわち、スペーサ辺部53の幅方向に延びる端縁の全体がシール連結部42により連結される。スペーサ辺部54の端縁54aのうち、スペーサ辺部54の長辺をなす端縁の端部、すなわち、スペーサ辺部54の長さ方向に延びる端縁の端部がシール連結部42により連結される。スペーサ辺部55の端縁55aのうち、スペーサ辺部55の長辺をなす端縁の端部、すなわち、スペーサ辺部55の長さ方向に延びる端縁の端部がシール連結部42により連結される。
【0092】
図12(a)は、第1シール層上にスペーサ層を重ねた状態を示す平面図である。
図12(b)は、
図12(a)のXIIb-XIIb線に沿った断面図である。
図12(a)及び
図12(b)に示すように、本実施形態においても、積層方向から見て、スペーサ連結部52がシール連結部42と重なると共に、各スペーサ辺部51がいずれのシール連結部42とも重ならないように配置されている。積層方向から見て、隣り合うスペーサ辺部51は、シール連結部42を挟むように配置されている。
図12(a)では、シール連結部42の範囲を明確化するため、シール連結部42にハッチングを付している。本実施形態では、積層方向から見て、隣り合うスペーサ辺部53とスペーサ辺部54又はスペーサ辺部55とは、スペーサ辺部53の幅方向に延びる端縁53aと、スペーサ辺部54の長さ方向に延びる端縁54a又はスペーサ辺部55の長さ方向に延びる端縁55aとが、シール連結部42を挟むように配置されている。
【0093】
本実施形態においても、積層方向から見て、第1シール層31及びスペーサ層33は、互いに4つの角c1と4つの角c2とが一致するように配置されている。長さ方向の端部にスペーサ層33の角c2を含むスペーサ辺部51の当該端部における幅w2は、長さ方向の端部に第1シール層31の角c1を含むシール辺部41の当該端部における幅w1よりも狭い。本実施形態では、幅w1は、シール辺部44又はシール辺部45の幅に相当する。幅w2は、スペーサ辺部54又はスペーサ辺部55の幅に相当する。
【0094】
図示を省略するが、本実施形態でも、第1シール層31A、第2シール層32A、及びスペーサ層33Aを重ねた状態において、スペーサ連結部52の一対の凹部に、シール連結部42の凸部が積層方向の両側から入り込んで嵌合する。よって、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0095】
(第3実施形態)
以下、第3実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
図13は、第3実施形態に係る蓄電モジュールを示す平面図である。
図13に示すように、第3実施形態に係る蓄電モジュール11Bでは、封止部30は、複数の第1シール層31B、複数の第2シール層32B及び複数のスペーサ層33Bを有している。
【0096】
積層方向から見て、注液口辺の両端部において、スペーサ層33Bの内縁33aは、第1シール層31Bの内縁31a及び第2シール層32の内縁32aよりも外側(内部空間Sの逆側)に位置するように凹んでいる。注液口辺の両端部において、スペーサ層33Bの幅は、第1シール層31Bの幅及び第2シール層32Bの幅よりも狭い。
【0097】
図14(a)は、第1シール層を示す平面図である。
図14(b)は、
図14(a)のXIVb-XIVb線に沿った断面図である。
図14(a)及び
図14(b)に示すように、第1シール層31Bでは、シール辺部43は、角c1を含まず、シール辺部44及びシール辺部45の各端部は、角c1を1つずつ含んでいる。積層方向から見て各シール連結部42は、Y軸方向を長さ方向、X軸方向を幅方向とする矩形状である。
【0098】
第1シール層31Bにおいても、シール連結部42は、積層方向から見て隣り合う2つのシール辺部41の長さ方向の端部の少なくとも一部同士の重ね合わせからなる。よって、シール連結部42は、シール辺部41よりも厚い。第1シール層31Bでは、シール辺部43のうち、シール辺部43の長さ方向の端部が、シール辺部43の幅方向の全体にわたってシール連結部42に含まれる。シール辺部44のうち、シール辺部44の長さ方向の端部であって、シール辺部44の幅方向の一部がシール連結部42に含まれる。シール辺部45のうち、シール辺部45の長さ方向の端部であって、シール辺部45の幅方向の一部がシール連結部42に含まれる。
【0099】
図示を省略するが、第2シール層32Bは、例えば、第1シール層31Bと同じ構成を有している。
【0100】
図15(a)は、スペーサ層を示す平面図である。
図15(b)は、
図15(a)のXVb-XVb線に沿った断面図である。
図15(a)及び
図15(b)に示すように、スペーサ層33Bでは、積層方向から見て、スペーサ辺部54は、矩形状の長さ方向の両端部であって、幅方向の一端部が切り欠かれてなる略矩形状を有している。スペーサ辺部54の長辺であって、内部空間Sに向かう長辺の両端部には段差が存在する。スペーサ辺部54の長さ方向の両端部における幅は、スペーサ辺部54の長さ方向の中央部における幅よりも狭い。スペーサ辺部54の長さ方向の両端部における幅は、例えば、スペーサ辺部55の幅と等しい。スペーサ辺部53は、角c2を含まず、スペーサ辺部54及びスペーサ辺部55の各端部は、角c2を1つずつ含んでいる。積層方向から見て各スペーサ連結部52は、Y軸方向を長さ方向、X軸方向を幅方向とする矩形状である。
【0101】
スペーサ層33Bにおいても、4つのスペーサ辺部51は、互いに離間して配置されている。スペーサ連結部52は、積層方向から見て隣り合う2つのスペーサ辺部51の端縁同士を連結しており、スペーサ辺部51よりも薄い。スペーサ層33Bでは、スペーサ辺部53の端縁53aのうち、スペーサ辺部53の短辺をなす端縁の全体、すなわち、スペーサ辺部53の幅方向に延びる端縁の全体がシール連結部42により連結される。スペーサ辺部54の端縁54aのうち、段差が設けられた長辺の端部をなし、スペーサ辺部54の長さ方向に延びる端縁がシール連結部42により連結される。スペーサ辺部55の端縁55aのうち、スペーサ辺部55の長辺をなす端縁の端部、すなわち、スペーサ辺部55の長さ方向に延びる端縁の端部がシール連結部42により連結される。
【0102】
図16(a)は、第1シール層上にスペーサ層を重ねた状態を示す平面図である。
図16(b)は、
図16(a)のXVIb-XVIb線に沿った断面図である。
図16(a)及び
図16(b)に示すように、本実施形態においても、積層方向から見て、スペーサ連結部52がシール連結部42と重なると共に、各スペーサ辺部51がいずれのシール連結部42とも重ならないように配置されている。積層方向から見て、隣り合うスペーサ辺部51は、シール連結部42を挟むように配置されている。
図16(a)では、シール連結部42の範囲を明確化するため、シール連結部42にハッチングを付している。本実施形態では、積層方向から見て、隣り合うスペーサ辺部53とスペーサ辺部54又はスペーサ辺部55とは、スペーサ辺部53の幅方向に延びる端縁53aと、スペーサ辺部54の長さ方向に延びる端縁54a又はスペーサ辺部55の長さ方向に延びる端縁55aとが、シール連結部42を挟むように配置されている。
【0103】
本実施形態においても、積層方向から見て、第1シール層31B及びスペーサ層33Bは、互いに4つの角c1と4つの角c2とが一致するように配置されている。長さ方向の端部にスペーサ層33の角c2を含むスペーサ辺部51の当該端部における幅w2は、長さ方向の端部に第1シール層31の角c1を含むシール辺部41の当該端部における幅w1よりも狭い。本実施形態では、幅w1は、シール辺部44又はシール辺部45の長さ方向の端部における幅に相当する。幅w2は、スペーサ辺部54又はスペーサ辺部55の長さ方向の端部における幅に相当する。
【0104】
図示を省略するが、本実施形態でも、第1シール層31B、第2シール層32B、及びスペーサ層33Bを重ねた状態において、スペーサ連結部52の一対の凹部に、シール連結部42の凸部が積層方向の両側から入り込んで嵌合する。よって、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0105】
以上、本開示の一例の形態について詳細に説明されたが、本開示は上記形態に限定されない。
【0106】
例えば、スペーサ層33のスペーサ連結部52は、レーザ溶接部材であり、レーザ溶接によって形成されてもよい。
図17(a)、
図17(b)及び
図17(c)は、変形例に係るスペーサ層を形成する方法について説明するための断面図である。まず、
図17(a)に示すように、矩形状のシート材50を長さ方向の端部同士を重ねて配置する。続いて、
図17(b)に示すように、二点鎖線で囲まれた領域をレーザ溶接により溶着しながら削り取る。この除去される領域には、重ねて配置された一方のシート材50の端部の全体と、他方のシート材50の端部の上面部及び下面部が含まれる。この結果、
図17(c)に示すように、突き合わせて配置された、シート材50の残部の端部同士が溶着され、スペーサ辺部51と、スペーサ辺部51よりも薄いスペーサ連結部52とを含むスペーサ層33が形成される。レーザ溶接によれば、金型を用いる射出成形に比べて、設計変更を容易に行うことができる。
【0107】
スペーサ層33のスペーサ連結部52は、加圧溶着部材であり、加圧溶着(熱圧着)によって形成されてもよい。この場合、シート材を長さ方向の端部同士を重ねて配置し、重なりあった領域を加圧溶着することにより形成される。このため、加圧溶着によれば、金型を用いる射出成形に比べて、設計変更を容易に行うことができる。
【0108】
上記実施形態では、シール連結部42は角c1から離間して配置され、スペーサ連結部52は角c2から離間して配置されているが、シール連結部42は角c1を含み、スペーサ連結部52は角c2を含んでもよい。この場合も、積層方向から見て、4つのスペーサ連結部52が4つのシール連結部42と重なっていれば、上記実施形態と同様に、封止性の低下を抑制できる。
【0109】
上記実施形態では、スペーサ層33,33A,33Bは、4つのスペーサ辺部51を4つのスペーサ連結部52で連結することによって構成されているが、2つ以上のスペーサ辺部51を2つ以上のスペーサ連結部52で連結することによって構成されていればよい。スペーサ層33,33A,33Bは、例えば、積層方向から見てL字形状の2つのスペーサ辺部51を、2つのスペーサ連結部52で連結することによって構成されてもよい。この場合であっても、封止性の低下を抑制できる。第1シール層31,31A,31B及び第2シール層32,32A,32Bも同様に2つ以上のシール辺部41を2つ以上のシール連結部42で連結することによって構成されていればよい。
【0110】
本開示の形態は以下のように示され得る。
[1]
それぞれが矩形状かつ金属製の集電体を有する複数の電極が積層された積層体と、
前記複数の電極の積層方向から見て前記積層体を取り囲むように前記集電体の周縁部に設けられた樹脂製の封止部と、を備え、
前記複数の電極のそれぞれは、前記集電体の第1面、及び、前記第1面とは逆側の第2面にそれぞれ活物質層を有し、
前記封止部は、矩形枠状の複数のシール層と、矩形枠状の複数のスペーサ層とを含み、
前記複数のシール層のそれぞれは、
前記複数の電極のそれぞれの前記集電体の周縁部において前記第1面及び前記第2面に接合され、
複数のシール辺部を有し、前記複数のシール辺部を矩形枠状に配置することで構成されており、
前記積層方向から見て隣り合う前記シール辺部の少なくとも一部同士を重ね合わせた、前記シール辺部よりも厚い複数のシール連結部を更に有し、
前記複数のスペーサ層のそれぞれは、
前記積層方向に隣り合う前記シール層の間に位置して、前記積層方向に隣り合う前記集電体の間に形成される内部空間を前記複数のシール層と共に封止し、
互いに離間して配置された複数のスペーサ辺部と、前記積層方向から見て隣り合う前記スペーサ辺部の端縁同士を連結し、前記スペーサ辺部よりも薄い複数のスペーサ連結部と、を有し、
前記積層方向から見て、前記スペーサ連結部は、前記シール連結部と重なっている、蓄電モジュール。
[2]
前記スペーサ連結部は、射出成形部材であって、
前記スペーサ連結部及び前記スペーサ辺部は、互いに溶着されている、[1]に記載の蓄電モジュール。
[3]
前記積層方向から見て隣り合う前記スペーサ辺部は、前記シール連結部を挟むように配置されている、[1]又は[2]に記載の蓄電モジュール。
[4]
前記積層方向から見て、前記シール連結部は、前記シール層の4つの角から離間して配置されている、[1]~[3]のいずれかに記載の蓄電モジュール。
[5]
前記積層方向から見て、前記スペーサ連結部は、前記スペーサ層の4つの角から離間して配置されている、[1]~[4]のいずれかに記載の蓄電モジュール。
[6]
前記積層方向から見て、前記スペーサ辺部は、前記シール連結部と重ならないように配置されている、[1]~[5]のいずれかに記載の蓄電モジュール。
【符号の説明】
【0111】
11,11A,11B…蓄電モジュール、12…電極積層体(積層体)、14…バイポーラ電極、21…集電体、21a…第1面、21b…第2面、21c…周縁部、22…正極活物質層、23…負極活物質層、30…封止部、31…第1シール層(シール層)、32…第2シール層(シール層)、33…スペーサ層、41…シール辺部、42…シール連結部、43…シール辺部、44…シール辺部、45…シール辺部、51…スペーサ辺部、52…スペーサ連結部、53…スペーサ辺部、53a…端縁、54…スペーサ辺部、54a…端縁、55…スペーサ辺部、55a…端縁、S…内部空間、c1,c2…角、w1,w2…幅。