(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162824
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】調理器
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
A47J27/00 103E
A47J27/00 103N
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078744
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】弁理士法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中井 智彦
(72)【発明者】
【氏名】田国 健人
(72)【発明者】
【氏名】藤原 武志
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA03
4B055BA03
4B055BA28
4B055BA56
4B055CA22
4B055CB08
4B055CC29
(57)【要約】
【課題】本発明は、調圧ユニットの上カバーを下ケースにロックする構造を不要にできる調理器を提供する。
【解決手段】本発明に係る調理器10は、上面に開口部21を有し、内釜11を収容する調理器本体20と、前記開口部を閉じる蓋体フレーム32に、前記内釜を気密に塞ぐ内蓋33を着脱可能に具えた蓋体20と、前記内蓋に配備され、前記内釜内の圧力を調整する調圧ユニット40と、を具える調理器であって、前記調圧ユニットは、前記内蓋の上面に配置され、調圧弁50を具える下ケース45と、前記下ケースに一端が回動可能に枢着し、前記下ケースを閉じる上カバー42と、を具え、前記調圧ユニットは、前記調圧ユニットを前記蓋体フレームに取り付けたときに、前記上カバーが前記下ケースと前記蓋体フレームに挟まれて、前記下ケースを閉じる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に開口部を有し、内釜を収容する調理器本体と、
前記開口部を閉じる蓋体フレームに、前記内釜を気密に塞ぐ内蓋を着脱可能に具えた蓋体と、
前記内蓋に配備され、前記内釜内の圧力を調整する調圧ユニットと、
を具える調理器であって、
前記調圧ユニットは、前記内蓋の上面に配置され、調圧弁を具える下ケースと、
前記下ケースに一端が回動可能に枢着し、前記下ケースを閉じる上カバーと、
を具え、
前記調圧ユニットは、前記調圧ユニットを前記蓋体フレームに取り付けたときに、前記上カバーが前記下ケースと前記蓋体フレームに挟まれて、前記下ケースを閉じる、
調理器。
【請求項2】
前記蓋体フレームには、前記上カバーを下向きに押さえ付ける押さえ部が形成され、
前記上カバーは、前記押さえ部が当接する受け部が形成されている、
請求項1に記載の調理器。
【請求項3】
前記調圧ユニットは、前記内蓋の偏心した位置に配備され、
前記下ケースは、前記内蓋の中心に近い位置に前記上カバーの枢着部を有し、
前記受け部は、前記内蓋の外周に近い位置に形成される、
請求項2に記載の調理器。
【請求項4】
前記蓋体は、前記調理器本体にヒンジ接続されており、
前記蓋体を開き、前記蓋体フレームに前記内蓋を取り付ける際に、前記枢着部が上側、前記受け部が下側に位置する、
請求項3に記載の調理器。
【請求項5】
前記内釜内が加圧されることで、前記内蓋が上向きに膨らみ、前記受け部は、前記押さえ部に強く押さえ付けられる、
請求項4に記載の調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋体の内蓋に調圧ユニットを具えた調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
加圧機能を有する電気圧力鍋や炊飯器などの調理器では、内釜内を加圧状態として調理を行なっている。
【0003】
特許文献1では、加圧状態を保持するために、蓋体の内蓋に内釜内を調圧する調圧ユニットを具える。調圧ユニットは、調圧弁を内装した下ケースと、下ケースを上側から覆う上カバーを含んでいる。上カバーと下ケースは、一端がヒンジ接続されて上カバーは開閉可能となっており、他端側に設けられた係合片どうしを係合させるよう押し込むことで、上カバーを下ケースに閉じるロック構造を具える。調圧ユニットは、使用時には上カバーを下ケースにロックして内蓋を蓋体に取り付け、洗浄時には内蓋を蓋体から取り外し、上カバーを開く必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上カバーと下ケースとの間には気密性を保持するために、シール部材(パッキン)を介在させている。このため、上カバーを閉じて係合片どうしをロックするには、シール部材の反力に抗するロック構造が必要となる。しかしながら、ロック構造を強固にすると、洗浄時に上カバーを開け閉めする障害になる。また、調圧ユニットには、ロック構造を設けるスペースが必要となり、内釜が小型の調理器には適用することができなかった。
【0006】
本発明の目的は、調圧ユニットの上カバーを下ケースにロックする構造を不要にできる調理器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の調理器は、
上面に開口部を有し、内釜を収容する調理器本体と、
前記開口部を閉じる蓋体フレームに、前記内釜を気密に塞ぐ内蓋を着脱可能に具えた蓋体と、
前記内蓋に配備され、前記内釜内の圧力を調整する調圧ユニットと、
を具える調理器であって、
前記調圧ユニットは、前記内蓋の上面に配置され、調圧弁を具える下ケースと、
前記下ケースに一端が回動可能に枢着し、前記下ケースを閉じる上カバーと、
を具え、
前記調圧ユニットは、前記調圧ユニットを前記蓋体フレームに取り付けたときに、前記上カバーが前記下ケースと前記蓋体フレームに挟まれて、前記下ケースを閉じる。
【0008】
前記蓋体フレームには、前記上カバーを下向きに押さえ付ける押さえ部が形成され、
前記上カバーには、前記押さえ部が当接する受け部を形成することができる。
【0009】
前記調圧ユニットは、前記内蓋の偏心した位置に配備され、
前記下ケースは、前記内蓋の中心に近い位置に前記上カバーの枢着部を有し、
前記受け部は、前記内蓋の外周に近い位置に形成することができる。
【0010】
前記蓋体は、前記調理器本体にヒンジ接続されており、
前記蓋体を開き、前記蓋体フレームに前記内蓋を取り付ける際に、前記枢着部が上側、前記受け部が下側に位置する構成とすることができる。
【0011】
前記内釜内が加圧されることで、前記内蓋が上向きに膨らみ、前記受け部は、前記押さえ部に強く押さえ付けられる構成とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の調理器は、調圧ユニットの上カバーは、内蓋を蓋体に取り付けたときに、蓋体に挟まれて下ケースに押し付けられて閉じられる。このため、上カバーのロック構造は不要にでき、内部のお手入れも容易で、且つ、省スペースとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る圧力鍋の蓋体が閉じ状態の斜視図である。
【
図2】
図2は、蓋体を開いた状態の圧力鍋の斜視図である。
【
図6】
図6は、内蓋を斜め上方から見た斜視図である。
【
図9】
図9は、内蓋の底面図であって、フィルターを透過して示している。
【
図10】
図10は、
図1の線A-Aに沿う蓋体の断面図であって、圧力弁が開いた状態を示している。
【
図11】
図11は、内蓋を斜め上方から見た斜視図であって、上カバーを開いた状態を示している。
【
図13】
図13は、調圧ユニット(調圧ケース)の斜視図である。
【
図14】
図14は、フィルターを取り外した内蓋を斜め下方から見た斜視図である。
【
図15】
図15は、フィルターを取り外した内蓋を斜め下方から見た斜視図であって、フィルター付勢手段を取り出した状態を示している。
【
図18】
図18は、
図1の線A-Aに沿う内蓋の断面図であって、フィルターを開いた状態を示している。
【
図20】
図20は、フィルターを斜め上方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
圧力調理器として、本発明を圧力鍋10に適用した実施形態について説明を行なう。実施形態の圧力調理器は、加圧加熱型の電気圧力鍋10であるが、加圧機能を有する炊飯器や保温釜、圧力釜、スープジャー、フードプロセッサー、ミキサー、ブレンダーなどのキッチン電化製品などであってもよい。
【0015】
<調理器10の全体構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る圧力鍋10の蓋体30を閉じた状態の斜視図、
図2は、蓋体30を全開した状態の斜視図、
図3は、
図1の線A-Aに沿う断面図を示している。圧力鍋10は、調理器本体となる圧力鍋本体20の上部に蓋体30を装着して構成される。圧力鍋本体20の内部には、
図2に示すように、開口部21が形成されており、開口部21には内釜11が着脱可能に収容される。
【0016】
圧力鍋本体20には、
図3に示すように、内釜11を加熱するヒーター22が内装されている。また、圧力鍋10には、圧力鍋本体20や蓋体30に調理メニューや現在時刻、炊き上がり時刻などを表示する表示部23や各種操作を行なう操作ボタン231が配置される。これらヒーター22、表示部23、操作ボタン231は、圧力鍋本体20の前方側に配置された制御部24に電気的に接続されている。制御部24は、圧力鍋10を所定のプログラムに沿って作動させるマイコン制御ユニットやメモリ等を具え、ヒーター22等を制御する。
【0017】
<蓋体30>
蓋体30は、
図2、
図3に示すように、外装となる蓋カバー31と蓋カバー31の内部に蓋体フレーム32を有し、蓋体フレーム32の下面には、内釜11を気密に塞ぐ内蓋33が配備される。内蓋33には、
図3に示すように、蓋体フレーム32との間に調圧ユニット40が配置され、内釜11側に調圧ユニット40の調圧弁50や安全弁60(
図4参照)に葉物などの固形物が侵入することを防止するフィルター90を具える。
【0018】
蓋体30は、調理器本体20に回動可能或いは着脱可能に装着することができる。図示の実施形態では、蓋体30は、
図3に示すように、ヒンジ機構34により回動可能に圧力鍋本体20に装着している。ヒンジ機構34は、蓋体フレーム32の後端側に装着されたヒンジ軸341を、調理器本体20の後端側に設けられたヒンジブラケット25に枢支する構成としている。ヒンジ軸341には、ヒンジスプリング342が装着されており、ヒンジスプリング342は、蓋体30を開き方向に付勢する。
【0019】
蓋体30の開閉は、蓋体開閉手段35により行なうことができる。蓋体開閉手段35は、蓋体30の前方側に配置された操作部351を押し込むことで、バネ付勢されたラッチレバー352を傾動し、
図2に示すラッチ爪353を調理器本体20のラッチ穴26から出没させる形態を例示できる。ラッチ爪353がラッチ穴26から外れることで、蓋体30は、ヒンジスプリング342によって開き方向に傾動する。
【0020】
また、蓋体30は、内蓋33内で生じた蒸気を外部放出する蒸気口311が形成されている。蒸気口311は、
図1、
図3等に示すように、蓋カバー31に形成されており、蓋体フレーム32には、蒸気口311と連通する蒸気通路321が形成されている。本実施形態では、蒸気口311は、蓋体30の中央よりもやや後方側に形成しており、蒸気口311の直下に下向きに延びる蒸気通路321を形成している。蒸気通路321は、
図3に示すように、内蓋33側で開口しており、開口部分には蒸気通路パッキン322が下向きに形成されており、調圧ユニット40と気密に連通可能となっている。
【0021】
蓋体フレーム32には、
図3、
図10に示すように、調圧ユニット40の上カバー42を下向きに押さえ付ける押さえ部323が形成されている。押さえ部323は、図示の実施形態では、蒸気通路321よりも後方側で蓋体フレーム32を下向きに屈曲させて形成している。
【0022】
<内蓋33>
蓋体30には、蓋体30を閉じたときに内釜11を気密に塞ぐ内蓋33が着脱可能に配置される。内蓋33の着脱は、
図2に示すように蓋体30を全開した状態で行なわれる。たとえば、
図5、
図6に示すように、内蓋33には取付時下側となる位置に取付爪331が形成され、上側中央には、ロック爪332が形成されている。また、ロック爪332の左右には、内蓋33を取り外す際にユーザーが引っ張る摘まみ333が形成されている。他方、蓋体フレーム32にも、開放状態で下側となる位置に、
図2に示すように取付爪331が挿し込まれる挿込部324が凹設されており、上側にはロック爪332を係合するフック325がバネ付勢により傾動可能に設けられている。然して、内蓋33は、取付爪331を挿込部324に嵌めて、ロック爪332をフック325に押し込むことで装着され、摘まみ333を引っ張ることで蓋体30から取り外すことができる。
【0023】
内蓋33は、中央が下向きに凹んだ円板状の内蓋板334を有し、内蓋板334の外周縁には、
図4等に示すように、内蓋パッキン335が装着されている。内蓋パッキン335は、
図3に示すように蓋体30を閉じた状態で、内釜11の上縁に気密に当接する。また、内蓋板334には、
図9等に示すように、下記する調圧ユニット40の各弁50,60,70,80、ブラケット461が臨出又は突出する孔361-365が開設されている。
【0024】
<調圧ユニット40>
内蓋33には、内釜11内の圧力を調整し、或いは、加圧状態に維持する調圧ユニット40が配備される。調圧ユニット40は、本実施形態では、符号50で示す調圧弁と、符号60で示す安全弁を例示でき、平面視略矩形の調圧ケース41に収容され、内蓋33のやや下方に偏心した位置に取り付けられる。なお、本実施形態では、圧力弁70と逆止弁80も調圧ユニット40に設けている。まず、各弁について説明する。
【0025】
調圧弁50は、圧力弁70が閉じた状態で、内釜11内が所定の圧力に達したときに開放する弁であり、内釜11内の蒸気を放出する。調圧弁50は、たとえば
図4に示すように、弁孔51(
図8参照)を塞ぐ調圧ボール52である。
【0026】
安全弁60は、上記所定の圧力に達しても調圧弁50が作動せず、異常圧力となったときに作動する弁である。安全弁60は、たとえば
図4に示すように弁孔61(
図8参照)を塞ぐ弁体62と、弁体62を下向きに付勢する付勢手段63(圧縮コイルバネ)を含む構成とすることができる。
【0027】
圧力弁70は、内釜11内を外部と連通させた状態で加熱する常圧調理(非加圧モード)と、内釜11内を気密に保持した状態で加熱する加圧調理(加圧モード)を切り替える弁である。本実施形態では、圧力弁70は、内蓋33に形成された排気口363を開閉する。
【0028】
圧力弁70は、具体的実施形態として、
図4に示すように、弁パッキン72と弁本体73、弁蓋74及び弁蓋74を上向きに付勢する弁バネ75を含む構成とすることができる。弁パッキン72は、有底円筒状であり、上端に拡径したシールリング721を有する。弁パッキン72は、弁本体73に嵌まる。弁本体73は、
図4に示すように、弁パッキン72が嵌まる円板状の弁板731と、弁板731の中央から突設された弁軸732、弁軸732の外周に突設された抜止め733を有する。抜止め733の先端には外向きに屈曲した爪が形成されている。
【0029】
圧力弁70は、
図4、
図9に示すように、弁軸732と抜止め733が、内蓋33の排気口363に取り付けられた支持台711をスライド可能に貫通するように取り付けられる。弁軸732は、支持台711の軸孔713、抜止め733は、抜止め733よりも大きく形成された排気孔714を貫通する。そして、
図4に示すように、弁軸732には弁バネ75が嵌められ、抜止め733の上端の爪を弁蓋74と係合して、圧力弁70が構成される。弁蓋74は、支持台711に設けられた支持筒712に上下にスライド可能に案内される。
【0030】
圧力弁70の操作は、蓋体30に設けられた加圧操作部76により行なうことができる。加圧操作部76は、ユーザーが押し操作する操作子761と、回転子762、圧力シャフト763、圧力シャフト763を上向きに付勢する加圧操作バネ764(圧縮コイルバネ)を含む構成とすることができ、蓋体フレーム32に配置される。詳細な説明は省略するが、操作子761、回転子、圧力シャフト763は、ノックカム構造を構成し、操作子761を押し操作する毎に、圧力シャフト763は上昇(
図3)、下降(
図10)を繰り返す。圧力シャフト763の下端は、蓋体フレーム32の中央に形成された圧力シャフト用孔326から出没可能となっており、当該圧力シャフト用孔326には蓋体フレーム32内、或いは、内蓋33と蓋体フレーム32との間の空間に蒸気等が流出することを防ぐ加圧操作部パッキン765が装着されている。加圧操作部パッキン765は、圧力シャフト763の上下動に追従可能な入れ子状の形態であり、下面には、内蓋33に配置される後述の調圧ユニット40に当接する円環状パッキン766が形成されている。
【0031】
図3は、圧力シャフト763が上昇した状態を示している。圧力シャフト763が上昇することで、圧力弁70は、弁バネ75の付勢力によって上昇し、弁パッキン72が排気口363を下側から塞ぐ。逆に、
図10に示すように、圧力シャフト763が下降すると、圧力弁70は、弁バネ75の付勢力に抗して下降し、排気口363を開く。以上が、圧力弁70の一実施形態である。
【0032】
逆止弁80は、調圧ユニット40内に溜まった結露水や食材に含まれる液状のオネバ、デンプン質など(「結露水等」という)を内釜11内に戻す弁である。逆止弁80は、蓋体30を閉じた状態で、弁に結露水等が溜まると、これらの重さにより内釜に通じる戻し孔81を開く。ただし、内釜11内が加圧されると、逆止弁80は押し上げられて戻し孔81を塞ぐ。加圧中に調圧ユニット40内に溜まった結露水等は、加圧が解かれることで、逆止弁80が戻し孔81を開き、内釜11に戻る。
【0033】
上記した各弁50,60,70,80は、調圧ケース41に配置、収容される。調圧ケース41は、
図4に示すように、下プレート47と、圧力弁70と逆止弁80が搭載される下ケース45、下ケース45に被さる上カバー42、下ケース45と上カバー42を気密に塞ぐシール部材48と、を含む。
【0034】
下プレート47は、
図4に示すように、調圧弁50、安全弁60が搭載される平面視略矩形のプレートである。下プレート47には、圧力弁70、逆止弁80が通過する孔471,472が開設されている。また、下プレート47には、以下で説明するブラケット461が通過する孔473も開設されている。
【0035】
下ケース45は、上面が開口しており、下プレート47の上に配置される。下ケース45は、内蓋33の中央から蓋体30に取り付ける際に下側(以下「取付時下側」)の方向に長い平面視略矩形のケースである。下ケース45は、ほぼ中央に逆止弁80が配備されると共に、取付時上側に圧力弁70を支持する支持台711が形成されている。下ケース45には、調圧弁50と安全弁60の上側を覆う弁カバー451が配置されている。弁カバー451は、取付時下側に形成される。弁カバー451には、弁カバー451の内外を連通させる通気口452を複数形成している。
【0036】
下ケース45は、
図4乃至
図6、
図11に示すように、内蓋33の中央側となる取付時上側の短手側に下記する上カバー42を枢支することができる。上カバー42を枢支するために、下ケース45の短手側の外面には枢軸453を形成している。また、下ケース45には、取付時下側の短手外面に
図11、
図13に示すように、上カバー42を仮止めする仮止め用係合部454が形成されている。図示の仮止め用係合部454は、左右に長い突条である。
【0037】
下ケース45の下面には、フィルター90を枢支する一対のブラケット461が突設されている。ブラケット461は、
図14、
図15に示すように、内蓋33に形成されたブラケット用孔365からら突出している。ブラケット461は、調圧弁50と圧力弁70の間、たとえば、逆止弁80と並ぶ位置に設けることができる。フィルター90を枢支するブラケット461を内蓋板334の上面に取り付けられる下ケース45に形成していることで、内蓋板334の裏面側にフィルター90の取付ベースとなる構造を別途設ける必要はなく、部品点数増を抑えることができる。なお、ブラケット461の詳細は、後述する。
【0038】
下ケース45は、上カバー42により塞がれる。上カバー42は、下ケース45の上縁の形状と同様の形状、本実施形態では平面視略矩形形状とすることができる。
【0039】
上カバー42と下ケース45は、シール部材48を介して気密に接合される。たとえば、
図11、
図17に示すように上カバー42の下縁に凹み421を形成してシール部材48を収容することができる。シール部材48は、下ケース45の上縁が凹み421に係合することで圧縮され、シール性を発揮する。
【0040】
上カバー42は、
図4に示すように、取付時上側となる短手側に、下ケース45の枢軸453と係合する係合部422が形成されている。係合部422は、枢軸453をはめ込む切り欠きが形成されており、枢軸453と共に上カバー42の枢着部を構成する。係合部422を枢軸453に嵌めることで、上カバー42は枢軸453を中心として、
図6、
図16に示すように閉じた状態から、
図11、
図12に示すように傾動する。このように短手側を中心として上カバー42を傾動させることで、上カバー42を大きく開くことができ、お手入れ性を向上できる。
【0041】
調圧ケース41はできるだけ小型化して、省スペースに調圧ケース41を内蓋33内に収納し、内釜11、ひいては蓋体30の小型化を図ることが求められる。このため、上カバー42は、内部に収容される調圧弁50、安全弁60、圧力弁70の高さと配置に合わせて、
図4、
図6に示すように、内蓋33の中央側(取付時上側)は天面423が低く、外周側(取付時下側)は天面425が高い2段形状としている。
【0042】
上カバー42の取付時下側の一段高くなった天面425は、
図4乃至
図6に示すように、調圧弁50と安全弁60の上側に位置し、蒸気通路321と蒸気通路パッキン322を介して気密に連通する蒸気孔426が貫通形成されている。また、天面423には、蒸気孔426の周囲には、蒸気通路パッキン322(
図3参照)が当接する平面部427を確保している。また、上カバー42には、取付時上側の天面423に、圧力弁70の弁蓋74が出没する圧力弁用開口424が貫通形成されている。
【0043】
上カバー42の天面423の裏面側には、蒸気孔426と圧力弁用開口424との間に上カバー42を幅方向に横断する仕切り431が形成されている。仕切り431は、調圧弁50又は安全弁60から排出される蒸気をスムーズに蒸気孔426に案内し、圧力弁70側に流れることを抑制する。
【0044】
係合部422が設けられた面と対向する取付時下側の短手側外面には、下ケース45の仮止め用係合部454に嵌まる仮止め用受け部432が形成された舌片433が突設されている。図示の仮止め用受け部432は、横長の孔であるが、凹みとしてもよい。仮止め用係合部454と仮止め用受け部432は、上カバー42を下ケース45に閉じ状態で仮止めする機能を有すればよく、上カバー42を下ケース45に密閉状態で保持する機能は、次に説明する受け部434が担う。従って、仮止め用係合部454と仮止め用受け部432による係止や係止の解除は、ユーザーが軽く上カバー42を押したり引いたりすることで行なうことができ、上カバー42を強く押したり引いたりするしなくてもよい構成でよい。
【0045】
舌片433の上側には、
図3、
図5、
図6、
図13に示すように受け部434が形成されている。受け部434は、蓋体フレーム32に形成された押さえ部323と当接して、上カバー42を下ケース45に閉じ方向に押さえ付ける部材である。受け部434は、内蓋33を蓋体フレーム32に取り付けたときに、押さえ部323と干渉し、上カバー42が下ケース45を密閉し、シール部材48を圧縮できる高さとする。受け部434の形成位置は、図示の位置に限られないが、上カバー42と下ケース45の傾動中心となる枢軸453からできるだけ離れた位置、本発明では、内蓋33の外周側に近い位置に形成することで、支点となる枢軸453と、押さえ部323の力を受ける力点となる受け部434の距離を大きく採ることができ、小さい力でも効率よく上カバー42を下ケース45に押し付けることができる。
図14に示すように、本実施形態では、受け部434は、上カバー42の端面から、幅方向に延びる水平な受け板435と、その左右に下向きに延びる補強片436を突設した形態としている。これにより、受け部434の強度を高めている。
【0046】
上記構成の調圧ユニット40の組付けは、
図4に示すように、たとえば、先に下プレート47に調圧弁50及び安全弁60を取り付け、下ケース45に逆止弁80を取り付けておく。また、圧力弁70は、下ケース45に支持台711のみを取り付け、弁本体73、弁蓋74、弁バネ75は、未装着としておく。
【0047】
この状態で、下プレート47、下ケース45を重ねることで、逆止弁80とブラケット461は、下プレート47の孔471,473から臨出し、調圧弁50と安全弁60は弁カバー451内に収容される。また、圧力弁70の弁孔61が下プレートの孔472と位置合わせされる。
【0048】
次に、重ねられた下プレート47と下ケース45を内蓋板334に取り付ける。取付けは、
図14に示すように、弁50,60,80が内蓋板334の孔361,362,364から臨出し、ブラケット461が内蓋板334の孔365から突出し、また、弁孔61と孔362とを位置合わせする。そして、たとえば、下ケース45、下プレート47及び内蓋板334を、
図11に示すように、ステーキング(かしめ)437することで、一体化できる。
【0049】
これらを一体化した後、圧力弁70が取り付けられる。圧力弁70は、支持台711に下側から弁本体73を挿し込み、弁バネ75を弁軸732に嵌め、弁蓋74を上側から被せて抜止め733の爪と係合させることで組み付けられる。
【0050】
続いて、上カバー42を下ケース45に係合させる。具体的には、枢軸453に係合部422を押し嵌める。これにより、
図5、
図11に示すように、内蓋33に調圧ユニット40が組み付けられる。
【0051】
<フィルター90>
内蓋板334から下向きに突出したブラケット461(
図14)には、
図7乃至
図9に示すように、フィルター90が装着される。本実施形態のフィルター90は、調圧弁50と安全弁60の弁孔51,61に加圧調理を行なう食材、たとえば葉物などの固形物が侵入することを防止する部材である。なお、図示のフィルター90は、逆止弁80の下方まで延び、逆止弁80からこぼれ落ちる結露水等もフィルター90で一旦受け止めるようにしている。
【0052】
フィルター90は、具体的実施形態として、
図17、
図18に示すように、ブラケット461に揺動可能に配備される。ブラケット461には外側面に、
図8、
図14、
図15に示すようにフィルター90の取付軸941が嵌まる軸孔462が形成されている。また、ブラケット461には、フィルター90を閉じ方向に付勢するフィルター付勢手段455が配備される。フィルター付勢手段455は、
図14、
図15に示すようにねじりコイルバネを採用できる。本実施形態では、一方の軸孔462にフィルター付勢手段455を収容する構成とし、フィルター付勢手段455の内径に取付軸941を嵌めるようにしている。軸孔462は、
図15に示すように、フィルター付勢手段455のバネ外周に沿って折り曲げられたバネ端456を回転不能に支持するバネ止め463が凹設されており、フィルター付勢手段455は、バネ端456がバネ止め463に嵌まるように、軸孔462に挿入される。フィルター付勢手段455の他方のバネ端457は、バネ径方向に延びており、フィルター90のバネ受け942と係合する。
【0053】
フィルター90は、
図19乃至
図23に示すように、上面と前方が開放し、下面に平面視略矩形形状の受け面91を有する。受け面91は、調圧弁50及び安全弁60と、逆止弁80を下方から覆う大きさとしている。逆止弁80を覆う必要がない場合には、調圧弁50と安全弁60を覆う大きさでもよい。受け面91の周囲には、前方以外に側壁92と後壁95が上向きに形成され、前方が開口96している。フィルター90の内部には、
図20、
図21に示すように、側壁92と平行な立壁93が複数の補強リブ94を挟んで受け面91から突設されている。立壁93には、開口96に近い前方側にブラケット461の軸孔462に嵌まる取付軸941が形成されている。また、一方の立壁93には、取付軸941の後方側にバネ受け942となる孔が開設されており、取付時にフィルター付勢手段455のバネ端457が係合する。
【0054】
フィルター90の内部には、
図20、
図21、
図23に示すように、幅方向に立壁状のストッパーリブ97が形成されている。ストッパーリブ97は、
図8、
図17に示すように、逆止弁80よりも後方、且つ、調圧弁50及び安全弁60よりも前方に形成されている。ストッパーリブ97は、内釜11内から加圧調理を行なう食材、たとえば葉物等の固形物が調圧弁50及び安全弁60に侵入することを防止する。一方、ストッパーリブ97は、
図20に示すように、側壁92との間に左右に隙間971を形成しており、内釜11内の蒸気等の空気は調圧弁50や安全弁60から放出可能としている。
【0055】
図示の実施形態では、ストッパーリブ97は、受け面91の取付時上側の端縁に対して略平行なストッパー面972と、ストッパー面972の左右から後方に円弧状に広がって延びるガイド面973を有する。ガイド面973は、調圧弁50、安全弁60を囲み、葉物等の固形物の流入を防ぐ。また、ガイド面973は、蓋体30を開いたときに、その反動によって逆止弁80から受け面91に落ちた結露水等、或いは、受け面91上にある水滴や葉物などの異物を後壁95側に誘導し、後壁95の近傍に溜める露受けとなる。
【0056】
フィルター90は、取付軸941がブラケット461の軸孔462(
図20、
図23参照)に嵌まり、フィルター付勢手段455によって閉じ方向、すなわち、
図17に示すようにフィルター90が内蓋33と略平行な向きとなるように装着される。本実施形態では、フィルター90は、取付軸941がブラケット461に嵌まることで、取外し不能の形態としている。これにより、部品点数を削減することができ、また、フィルター90の誤装着や装着漏れを防止できる。もちろん、フィルター90は、着脱可能な構成としてもよい。
【0057】
本実施形態では、フィルター90の受け面91は、逆止弁80の下方を覆う大きさであるため、蓋体30を閉じた状態で、加熱や保温中に逆止弁80からしたたり落ちる結露水等が受け面91に落ち、フィルター90内に溜まって、場合によっては固まってしまうことがある。これを避けるために、
図17に示すように、受け面91は、開口96となる前方側に向けて内面が下向きに傾斜する形状とすることが望ましい。
図23では、受け面91は、開口96側の肉厚(T1)を後壁95側の肉厚(T2)よりも薄くし(T1<T2)、受け面91の内側面に前方下向きの勾配を付けている。この勾配により、受け面91に落ちた水滴などは傾斜を下り、内釜11内に戻る。なお、受け面91の肉厚を変えるのではなく、受け面91自体を前方に向けて傾斜する構成としても構わない。
【0058】
フィルター90は、お手入れの際に、
図18に示すように開き、内部のストッパーリブ97や後壁95の近傍に溜まった結露水等や水分や葉物などの固形物を取り除き、洗浄する必要がある。たとえば、フィルター90の内部はユーザーが手洗い、或いは、食洗機を使って洗浄できる。このとき、フィルター付勢手段455の付勢力が効いていると、フィルター90が閉じてしまうため、内部の洗浄を行なうことができない。このため、本実施形態では、
図24に示すように、一方のブラケット461に段差464を形成し、フィルター90には、フィルター90の開閉時にブラケット461上を摺動する凸部98を段差464と対向する位置(
図20参照)に形成している。ブラケット461の段差464は、フィルター90を所定角度、たとえば、50°~70°以上開いた状態では、
図24に示すように、凸部98の取付軸941を中心とする円弧状の回動移行路L(一点鎖線)と交差する形状、たとえば図示では、下プレート47に対して垂直な垂直部465と、垂直部465の下端側で当該回動移行路Lよりも大径に膨らんだ膨らみ部466を有する形状としている。この段差464に邪魔されて、フィルター90は、所定角度以上開いた状態では、回動移行路Lよりも外周側の位置で凸部98が垂直部465に当接し、閉じ方向(矢印Q1)に傾動できない。従って、フィルター90はフィルター付勢手段455の付勢力に抗して開状態を維持でき、お手入れを可能とすることができる。
【0059】
フィルター90を閉じる際には、フィルター90をユーザーが開状態から所定角度まで押し込めばよい。これにより、凸部98が膨らみ部466を乗り越えるから、フィルター90は、フィルター付勢手段455により閉じ方向に付勢され、
図18に示すように閉じ状態となる。
【0060】
上記のように、調圧ユニット40とフィルター90が装着された内蓋33は、蓋体30に装着される。
【0061】
<内蓋33を蓋体30に取付け>
内蓋33は、
図11、
図12に示すように上カバー42が開いている状態であれば、上カバー42を下ケース45に向けて倒し、
図5、
図6に矢印P1で示すように上カバー42を押し込んで、下ケース45に被せる。上カバー42は、枢軸453を中心に傾動し、
図13、
図17に示すように上カバー42の下縁の凹み421に下ケース45の上縁が嵌まり、当該上縁はシール部材48と当接する。また、下ケース45の仮止め用係合部454に上カバー42の仮止め用受け部432が嵌まり、上カバー42は、下ケース45に係止(軟係止)される。
【0062】
上カバー42と下ケース45の係合は、軟係止に留まるため、上カバー42は、多少ぐらついた状態で下ケース45と係止している状態であり、シール部材48が圧縮されて、上カバー42と下ケース45が気密に密着する程ではない。このため、上カバー42を閉じるために必要な上カバー42の押し込み力は小さい力で済む。なお、仮止め用係合部454と仮止め用受け部432は、内蓋33を取り外したときに、上カバー42のぐらつきを抑えるためのものであり、上カバー42を下ケース45にロックするロック構造に相当するものではない。
【0063】
なお、本実施形態では、上カバー42は、取付時上側で下ケース45に枢支している。このため、
図2に示すように全開状態の蓋体30に内蓋33を取り付ける際に、内蓋33の取付時下側(取付爪331が形成されている側)を下向きとしたときに、上カバー42は自重により下向きに傾動し、仮止め用係合部454と仮止め用受け部432が嵌まって下ケース45を閉じる、或いは、これらが嵌まらなくても、蓋体30に内蓋33を取り付けたときに、上カバー42の受け部434が蓋体フレーム32の押さえ部323に押されて仮止め用係合部454と仮止め用受け部432が嵌まって閉じる。従って、上カバー42は、内蓋33を蓋体30に取り付ける前に閉じておくことは必須ではない。
【0064】
フィルター90についても、
図18に示すように開いた状態であれば、
図18の矢印Q1に示すように受け面91の後端側を押せばよい。これにより、
図24に示すように、ブラケット461の垂直部465に当たっていたフィルター90の凸部98が、膨らみ部466を乗り越えるよう傾動する。凸部98が膨らみ部466を越えると、フィルター付勢手段455の付勢力によって、フィルター90は、さらに矢印Q1方向に傾動し、
図17に示すように内蓋33側に傾動し、
図8、
図18に示すように、受け面91が内蓋板334と略平行になって、調圧弁50、安全弁60、逆止弁80の下方を覆うように閉じる。
【0065】
なお、本実施形態では、フィルター90は、フィルター付勢手段455によって内蓋板334に対する傾きが、所定角度(たとえば50°~70°)以下となったときには、閉じ方向に付勢されるから、中途半端にフィルター90が開いた状態となることを防止でき、使い勝手を向上し、また、フィルター90の効果を高めることができる。また、ブラケット461の段差464を乗り越えたときに、閉じ方向に勢いが付くから、フィルター90が途中停止し、また、フィルター付勢手段455の経年劣化によって、フィルター90が自重により開いてしまうことも防止できる。
【0066】
なお、フィルター90は、内蓋33を蓋体30に取り付けた後で閉じるようにしてもよい。
【0067】
然して、内蓋33を蓋体30に取り付ける。内蓋33は、
図2に示すように、蓋体30を全開した状態で取り付ける。具体的には、ユーザーは、内蓋33を、ロック爪332と摘まみ333が上側、取付爪331が下側となり、蓋体フレーム32側に調圧ユニット40を向けて持つ。なお、上カバー42を事前に閉じていない場合でも、内蓋33を取付時下側となる向きにすることで、上カバー42は自重により閉じる。
【0068】
そして、蓋体フレーム32の挿込部324に取付爪331を嵌め、ロック爪332を蓋体フレーム32のフック325に押し込めばよい。これにより、内蓋33は蓋体30に取り付けられる。
【0069】
内蓋33を蓋体30に取り付けることで、
図3に示すように、上カバー42の受け部434は、蓋体フレーム32の押さえ部323に当接し、下ケース45に押し付けられ、シール部材48を圧縮する。これにより、上カバー42と下ケース45は気密に接合される。また、上カバー42の蒸気孔426は、天面425の平面部427が蒸気通路パッキン322と気密に当接し、蒸気通路321と連通する。
【0070】
上記により、内蓋33が蓋体30に取り付けられる。なお、フィルター90が開いている場合には、上記の要領で閉じればよい。
【0071】
<加熱や保温>
内蓋33を蓋体30に取り付けた状態で、
図2に示すように圧力鍋本体20の開口部21に加熱や加圧調理を行なう食材を入れた内釜11を収容し、蓋体30を閉じ、調理を行なうことができる。
図3に示すように圧力弁70を閉じた加圧モードで調理を行なう場合には、加圧操作部76の操作子761を押し操作して、圧力弁70を閉じ状態とする。また、
図10に示すように圧力弁70を開いた非加圧モードで調理を行なう場合には、加圧操作部76の操作子761を押し操作して、圧力弁70を開いた状態とする。そして、操作ボタン231を操作し、調理が開始される。
【0072】
非加圧モードでは、圧力弁70が開いているから、内釜11をヒーター22で加熱して非加圧調理を行なうと、内釜11内で発生した蒸気は、
図10に矢印S2で示すように排気口363から調圧ユニット40内、蒸気孔426、蓋体30の蒸気通路パッキン322、蒸気通路321、蒸気口311を通って、外部に放出される。排気口363の上に圧力弁用開口424が形成されているが、加圧操作部パッキン765の円環状パッキン766で塞がれているため、圧力弁用開口424から蓋体30や蓋体30と内蓋33との間の空間に蒸気が漏れることは抑制される。
【0073】
非加圧調理中、調圧ユニット40内で生じた結露水等は、ある程度の重量になると、逆止弁80を開いて戻し孔81から下方に落ちる。戻し孔81の下方にはフィルター90の受け面91があるが、受け面91は、上面が
図17に示すように、前方下側に向けて僅かに傾斜しているため、受け面91に落ちた結露水等は、勾配を滑って、内釜11内に戻る。
【0074】
加圧モードでは、
図3に示すように、圧力弁70は排気口363を閉じており、内釜11内には気密な状態となっている。この状態で、内釜11をヒーター22で加熱すると、内釜11内は発生した蒸気で加圧した加圧調理が行なわれる。
【0075】
内釜11内が加圧されることで、内蓋33は、内蓋板334が上向きに膨らむから、上カバー42の受け部434は、蓋体フレーム32の押さえ部323により強く当接し、下ケース45に押し付けられて、調圧ケース41の気密性をより高めることができる。
【0076】
内釜11の加熱により、内釜11内の圧力が所定の圧力に達すると、調圧弁50は、調圧ボール52(
図4参照)が転動し、弁孔51を開放する。これにより、内釜11内の蒸気は、
図3の矢印S1に示すように、フィルター90の開口96から弁孔51を通って、弁カバー451内に流入し、弁カバー451の排気口363、調圧ユニット40内、蒸気孔426、蓋体30の蒸気通路パッキン322、蒸気通路321、蒸気口311を通って、外部に放出される。このとき、たとえば、葉物などの固形物が蒸気に混じって調圧弁50に向かおうとするが、
図3、
図5、
図20に示すように、フィルター90内にはストッパーリブ97が形成されているから、葉物などの固形物は、ストッパーリブ97のストッパー面972に当たって進行を止め、或いは、ガイド面973に案内されて進行の勢い失い、蒸気のみが隙間971を通って調圧弁50の弁孔51に向かう。従って、葉物などの固形物により弁孔51が詰まることを防止できる。蒸気の放出により、内釜11内が所定の圧力よりも小さくなると、調圧弁50は再び閉じる。
【0077】
内釜11内が所定の圧力となっても調圧弁50が作動しない場合には、安全弁60が作動し、上記と同様の要領で、蒸気を放出する。
【0078】
加圧調理が完了した後、蓋体30を開くには、まず、加圧操作部76を操作して、圧力弁70を開く。内釜11内が加圧されたままでは、蓋体30が内圧により勢いよく開いてしまい、内蓋33に付着した水分が飛散する虞れがあるためである。圧力弁70を開くと、
図10の矢印S2とは逆向きの空気の流れが生じ、外気が排気口363を通って内釜11内に流れ込み、内釜11内が大気圧まで減圧される。内釜11内が減圧されることで、調圧ユニット40内で生じた結露水等は、ある程度の重量になると、逆止弁80を開いて戻し孔81から下方に落ちる。戻し孔81の下方にはフィルター90の受け面91があるが、受け面91は、上面が
図17(
図23)に示すように、前方下側に向けて僅かに傾斜しているため、受け面91に落ちた結露水等は、勾配を滑って、内釜11内に戻る。
【0079】
この状態から、操作部351を操作し、ラッチ爪353をラッチ穴26から外すと、ヒンジスプリング342により蓋体30は開き方向に付勢され、さらに、ユーザーが蓋体30を
図2に示す全開まで開くことで、内釜11内の調理物をかき混ぜ、或いは、取り出すことができる。蓋体30を開いたときに、フィルター90の受け面91に結露水、葉物などの固形物が付着していることがあるが、フィルター90は、蓋体30を開いたときに下側となる後面側に後壁95が設けられているから、後壁95側に露受けされ、内釜11内に滴り落ちることを防止できる。
【0080】
調理や保温が終了し、お手入れを行なう場合には、蓋体30を
図2に示すように開いて、内蓋33を取り外す。内蓋33は、取付時上側の左右の摘まみ333を引くことで、蓋体30のフック325が傾動し、フック325が外れる。この状態で、蓋体30を斜め前方に引き上げると、取付爪331が挿込部324から抜けて、内蓋33が取り外せる。内蓋33には、フィルター90内に逆止弁80等から落ちた結露水等や水分、葉物などの固形物が付着していることがあるが、蓋体30を取付時下側が下向きのまま流しなどに運ぶことで、フィルター90の後壁95側に露受けされ、調理器本体20や流しへの途上で滴り落ちることを防止できる。
【0081】
調圧ユニット40のお手入れは、ユーザーがたとえば受け部434に指を掛けて、
図6、
図11中矢印P2で示すように上カバー42を開く。受け部434は、調圧ケース41を開く指掛けとしても使うことができる。これにより、上カバー42は、短軸側が枢軸453を中心として回動するから、下ケース45を大きく開くことができ、調圧ケース41内の洗浄を容易に行なうことができ、清潔である。
【0082】
また、フィルター90は、後壁95と内蓋33との隙間に爪を挿し入れ、
図17、
図18中矢印Q2で示すように引っ張ることで開くことができる。フィルター90は、所定の角度、たとえば、50°~70°程度引っ張ると、
図24に示すように凸部98が段差464の膨らみ部466を乗り越えて垂直部465に当接し、閉じ方向(矢印Q1)に傾動できない。従って、フィルター90はフィルター付勢手段455の付勢力に抗して開状態を維持でき、フィルター90やブラケット461の洗浄を容易に行なうことができ、清潔である。
【0083】
また、内蓋33は、上カバー42とフィルター90を開いたまま、食洗機に投入して洗浄することもできる。
【0084】
上記説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或いは範囲を限縮するように解すべきではない。また、本発明の各部構成は、上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【0085】
たとえば、上記実施形態では、圧力鍋10の種々の部位に関して図面を参照して説明しているが、すべての態様を具備する必要はないことは理解されるべきである。
【0086】
本実施形態では、フィルター90は、ブラケット461から取り外すことが難しいが、たとえば、ブラケット461の軸孔462に切欠きを設けること等により、フィルター90を取外し可能な構成としてもよい。
【符号の説明】
【0087】
10 調理器(圧力鍋)
20 調理器本体(圧力鍋本体)
30 蓋体
33 内蓋
40 調圧ユニット
90 フィルター