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特開2024-162832リニアアクチュエータ、レンズ鏡筒、撮像装置、駆動装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162832
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】リニアアクチュエータ、レンズ鏡筒、撮像装置、駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 33/18 20060101AFI20241114BHJP
   G02B 7/04 20210101ALI20241114BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20241114BHJP
【FI】
H02K33/18 B
G02B7/04 E
G02B7/02 Z
G02B7/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078752
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 恭輔
【テーマコード(参考)】
2H044
5H633
【Fターム(参考)】
2H044AJ06
2H044BD11
2H044BE02
5H633BB09
5H633BB10
5H633GG03
5H633GG06
5H633GG09
5H633GG17
5H633GG23
5H633HH02
5H633HH04
5H633HH07
5H633HH08
5H633HH13
5H633HH14
5H633HH24
5H633HH25
(57)【要約】
【課題】駆動効率を向上させる。
【解決手段】スラストリング磁石121a~124aがこの順で主軸101方向に配列された配列部MAにインナーリングヨーク125aa、125abが包含されて界磁部120が構成される。配列部MAの周囲にコイル111a、111bが巻回される。磁石121aにおける磁石122aと対向する磁極は、磁石122aにおける内側の磁極に対して異極であり、磁石123aにおける磁石124aと対向する磁極は、磁石124aにおける内側の磁極に対して異極である。インナーリングヨーク125aa、125abはそれぞれ、ラジアルリング磁石122a、124aの内部開口D2、D4に配置される。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
いずれも永久磁石である第1、第2、第3、第4の磁石がこの順で所定方向に配列された配列部と、前記配列部に包含されるヨーク部と、を含む界磁部と、
前記界磁部に対して相対的に所定方向に移動可能なように、前記配列部の周囲に巻回されたコイルと、を有し、
前記第1、第3の磁石の磁化方向は、前記所定方向に平行で且つ互いに反対向きであり、
前記第2、第4の磁石は、前記所定方向に平行な仮想軸線が通る内部開口を有し、
前記第2、第4の磁石の磁化方向は、前記所定方向と交差しており、前記仮想軸線を中心とする外向きまたは内向きで且つ互いに反対向きであり、
前記第1の磁石における前記第2の磁石と対向する磁極は、前記第2の磁石における内側の磁極に対して異極であり、
前記第3の磁石における前記第4の磁石と対向する磁極は、前記第4の磁石における内側の磁極に対して異極であり、
前記ヨーク部は、前記第2、第4の磁石のそれぞれの内部開口に配置されたことを特徴とするリニアアクチュエータ。
【請求項2】
前記第1、第3の磁石は、前記仮想軸線が通る内部開口を有し、
前記第2、第4の磁石の内部開口は、前記第1、第3の磁石の内部開口よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項3】
前記ヨーク部は、前記仮想軸線が通る内部開口を有し、
前記ヨーク部の内部開口の大きさは前記第1、第3の磁石の内部開口の大きさと略等しいことを特徴とする請求項2に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項4】
前記第1、第3の磁石の内部開口および前記ヨーク部の内部開口を貫通して設けられた串部を有することを特徴とする請求項3に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項5】
前記串部は、非磁性材で構成されることを特徴とする請求項4に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項6】
前記串部は、複数に分割された棒部材が前記仮想軸線方向に直列に配置されて成ることを特徴とする請求項4に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項7】
前記第2、第4の磁石の外径は、前記第1、第3の磁石の外径よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項8】
前記仮想軸線方向において、前記第2、第4の磁石の長さは前記ヨーク部の長さよりも短いことを特徴とする請求項1に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項9】
前記第2、第4の磁石の外径と内径との差は前記第2、第4の磁石の内径よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項10】
前記配列部の一部または全部を覆うアウターヨークをさらに有することを特徴とする請求項1に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項11】
前記第1の磁石は、前記界磁部に含まれる磁石のうち前記仮想軸線方向における端に位置し、前記アウターヨークにより支持されることを特徴とする請求項10に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項12】
前記第1の磁石は、前記仮想軸線方向に並ぶ同一構成の2つ以上の磁石から構成されることを特徴とする請求項11に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項13】
前記第1、第3の磁石または前記ヨーク部のいずれか一方には、前記仮想軸線方向へ突出した凸部が設けられ、
前記第1、第3の磁石または前記ヨーク部のいずれか他方には、前記凸部が嵌合される嵌合部が設けられることを特徴とする請求項1に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項14】
前記第1、第3の磁石および前記ヨーク部は中実であることを特徴とする請求項1に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載のリニアアクチュエータと、
筐体と、
光学素子を含み、前記所定方向に略平行な光軸を有する光学系と、を有し、
前記界磁部または前記コイルの一方は前記筐体に固定され、
前記界磁部または前記コイルの他方は前記光学素子に固定され、
前記光学素子は、前記筐体に対して相対的に前記光軸方向に移動することを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項16】
前記光学素子は、フォーカスレンズであることを特徴とする請求項15に記載のレンズ鏡筒。
【請求項17】
請求項15に記載のレンズ鏡筒と、
前記光学系を通過した光学像を電気信号に変換する撮像素子と、を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項18】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載のリニアアクチュエータと、
本体と、
光学素子を含み、前記所定方向に略平行な光軸を有する光学系と、
前記光学系を通過した光学像を電気信号に変換する撮像素子と、を有し、
前記界磁部または前記コイルの一方は前記本体に固定され、
前記界磁部または前記コイルの他方は前記光学素子に固定され、
前記光学素子は、前記本体に対して相対的に前記光軸方向に移動することを特徴とする撮像装置。
【請求項19】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載のリニアアクチュエータと、
前記リニアアクチュエータによって移動可能な被駆動体と、を有することを特徴とする駆動装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニアアクチュエータ、レンズ鏡筒、撮像装置、駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電磁リニアモータの1つとして、ローレンツ力を利用する直流式の(電磁)リニア直流モータ(LDM)が知られている。このモータは、コイル通電の入力に対して、コイルを流れる電流に略比例して発生するローレンツ力を直接的に駆動力として出力するため、一般的に細やかな力の制御を行うことが可能であり、精密な位置決め等に向く。このため、LDMは例えばカメラにおけるレンズ駆動部等で利用されている。LDMはその駆動原理や用途から、(電磁)リニアアクチュエータとも呼ばれている。
【0003】
リニアアクチュエータはさらに、界磁部の構成により単極型と多極型とに分類される。単極型には、推力リップルがほとんど発生せず、アクチュエータの構造もシンプルにしやすいという長所がある一方、磁石のパーミアンスやヨークの磁化飽和等の限界により、大きな推力を発生可能なストローク範囲が狭いという短所がある。多極型には、推力リップルが発生しやすいという短所があるものの、磁石のパーミアンスやヨークの磁化飽和等の影響を回避しやすく、ストローク範囲を広くしやすいという長所がある。よって、これらのリニアアクチュエータは用途に応じて使い分けられている。
【0004】
例えば、オートフォーカス機能や手ぶれ補正機能を実現するレンズ駆動装置において、近年では移動範囲を拡大するために多極型のリニアアクチュエータも多く用いられるようになっている。多極型のリニアアクチュエータにおいては、小型でありつつも高推力(高効率)であることが求められている。
【0005】
そこで、特許文献1では、永久磁石群をコイルの中に配置する構成が開示されている。さらに、特許文献2では、高効率化を実現するために、永久磁石群の配列をいわゆるハルバッハ配列の概念を応用した配列とする構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-114980号公報
【特許文献2】特開2019-115239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2の構成では、ハルバッハ配列の概念を応用して配列された複数の円筒状永久磁石の外径および内径のいずれも、各磁石間で共通である。従って、リニアアクチュエータの効率を高める観点で、改善の余地があった。
【0008】
本発明は、駆動効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明のリニアアクチュエータは、いずれも永久磁石である第1、第2、第3、第4の磁石がこの順で所定方向に配列された配列部と、前記配列部に包含されるヨーク部と、を含む界磁部と、前記界磁部に対して相対的に所定方向に移動可能なように、前記配列部の周囲に巻回されたコイルと、を有し、前記第1、第3の磁石の磁化方向は、前記所定方向に平行で且つ互いに反対向きであり、前記第2、第4の磁石は、前記所定方向に平行な仮想軸線が通る内部開口を有し、前記第2、第4の磁石の磁化方向は、前記所定方向と交差しており、前記仮想軸線を中心とする外向きまたは内向きで且つ互いに反対向きであり、前記第1の磁石における前記第2の磁石と対向する磁極は、前記第2の磁石における内側の磁極に対して異極であり、前記第3の磁石における前記第4の磁石と対向する磁極は、前記第4の磁石における内側の磁極に対して異極であり、前記ヨーク部は、前記第2、第4の磁石のそれぞれの内部開口に配置されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、駆動効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】撮像装置の斜視図である。
図2】交換レンズの分解斜視図である。
図3】リニアアクチュエータの模式的な斜視図、+Z側からみた正面図、A-A線に沿う断面図である。
図4】界磁部における磁束を示す模式図である。
図5】界磁部において各構成部品に働く力を示す模式図である。
図6】リニアアクチュエータの性能を比較する図である。
図7】ラジアルリング磁石の一般的な形状要件を説明する一連の模式図である。
図8】コイル通電制御方法を説明する図である。
図9】界磁部を示す模式図である。
図10】変形例を示す模式図である。
図11】比較例のリニアアクチュエータを示す模式図である。
図12】第2の実施形態のリニアアクチュエータの模式的な断面図である。
図13】第3の実施形態のリニアアクチュエータの模式的な断面図である。
図14】第4の実施形態のリニアアクチュエータの模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るリニアアクチュエータが適用される撮像装置の斜視図である。図1では、構成要素の一部を切り欠いて示してある。駆動装置であるリニアアクチュエータについては図1には図示されておらず、図2以降で説明される。
【0014】
撮像装置としてのデジタルカメラシステム1(以下、単にカメラシステム1と記す)は、カメラ本体10とレンズ鏡筒としての交換レンズ20とから構成される。カメラ本体10は、マウント部品12と、撮像素子としてのイメージセンサ11とを有する。交換レンズ20は、レンズ群21およびマウント部品22を有する。光学系としてのレンズ群21は、光学素子としてのフォーカスレンズ群21aを含む。光軸1aは交換レンズ20の撮像光軸である。
【0015】
以降、各部の方向を、図1等に示したX、Y、Z座標軸を基準として呼称する。ここでは便宜上、光軸1aに平行な方向において、被写体側を前方(+Z方向)とし、被写体側から見て右方を+X方向とし、上方を+Y方向とする。
【0016】
カメラシステム1は、静止画や動画の撮影を行うための装置であり、主としてカメラ本体10と交換レンズ20との組み合わせにより構成される。カメラ本体10には撮像機能を有するイメージセンサ11等が具備され、交換レンズ20には集光機能を有するレンズ群21等がそれぞれ具備されている。
【0017】
カメラ本体10と交換レンズ20とは、互いのマウント部品12、22がバヨネット等の仕組みにより係合することで、着脱が容易であり且つ強固に結合されて固定される。この状態で、イメージセンサ11は、その撮影面が光軸1aと略直交する姿勢でカメラ本体10内に配置されている。また、交換レンズ20におけるレンズ群21は、その光軸が光軸1aと略一致する姿勢で交換レンズ20内に配置されている。
【0018】
カメラシステム1において、被写体からの光束が交換レンズ20の中を通り、レンズ群21により主に屈折されながら集光されて、カメラ本体10のイメージセンサ11の撮影面上に、光学系を通過した光学像が結像される。イメージセンサ11では逐次的に光電変換が行われ、光学像が電気信号に変換される。この電気信号に対してカメラ本体10内で各種の処理が行われることで画像データ化される。この画像データがカメラ本体10内で不揮発性のメモリに保存されることで、カメラシステム1における静止画や動画の撮影が行われる。
【0019】
ここで、カメラシステム1における静止画や動画の1フレームあたりの露光時間の制御は、カメラ本体10または交換レンズ20に備えられる不図示のシャッタ機構の開閉制御、あるいはイメージセンサ11における蓄積・読み出し制御により実現される。カメラシステム1は様々な条件に対応して撮影を行うための各種機能を有する。また、交換レンズ20における不図示の絞り機構の開閉制御と、イメージセンサ11における光電変換の感度(ISO感度)の制御とによっても露出を調整することができる。
【0020】
カメラシステム1は、相対的に至近から無限遠までの幅広い距離にある被写体の撮影に対応するために、レンズ群21中にフォーカス調整機能を有するフォーカスレンズ群21aを備えている。フォーカスレンズ群21aを光軸1a方向(光軸方向)に移動させることで、レンズ群21のフォーカスを変えることができる。
【0021】
カメラシステム1は、オートフォーカス(AF)機能により、被写体距離を検出し、これに応じてフォーカスレンズ群21aを光軸1a方向に移動制御することで、被写体にフォーカスを合わせて撮影を行うことができる。あるいは、マニュアルフォーカス(MF)機能により、撮影者がフォーカスレンズ群21aを光軸1a方向に移動操作することによって、被写体にフォーカスを合わせて撮影を行うことも可能である。
【0022】
カメラシステム1は、これらのフォーカス機能を実現するために、フォーカスレンズ群21aの移動制御・操作を行う駆動機構としてリニアアクチュエータを交換レンズ20内に備えている。
【0023】
なお、カメラ本体10と交換レンズ20とが別体構成であるカメラシステム1を示したが、これには限定されず、本発明のリニアアクチュエータは、他の構成のカメラシステムにも適用可能である。例えば、カメラ本体とレンズとが一体型のデジタルカメラや、各種情報通信機器用のモジュール構成のカメラモジュール等においても、それぞれの機器に応じたスケールでリニアアクチュエータを設計して適用することができる。
【0024】
また、本発明のリニアアクチュエータは、フォーカス機能に限らず、他の機能に用いることもできる。例えば、ズームレンズ群の駆動用として用いることもできる。
【0025】
図2は、交換レンズ20の分解斜視図である。図2では、外装部材の図示が省略されている。交換レンズ20はリニアアクチュエータ100、200を備える。図2では、主として、リニアアクチュエータ100、200の用途であるフォーカス機能に関わるフォーカスユニットについて説明する。
【0026】
リニアアクチュエータ100、200による力の出力方向および駆動方向は、Z方向および光軸1aに対して略平行である。リニアアクチュエータ100、200はそれぞれ、コイルと、それぞれ複数の永久磁石およびヨーク等からなる界磁部と、を備えている。コイルおよび界磁部の詳細な構成は後述するが、界磁部は永久磁石およびヨーク部品を含む。
【0027】
交換レンズ20は、フォーカスユニットケース23、レンズホルダ24、フォーカスユニットカバー25、ガイドバー26a、26bを有する。交換レンズ20のフォーカスユニットは、この他にもフォーカスレンズ群21aの移動量を検出するための位置センサおよびそのターゲットや、各種給電・信号通信を行うための部品を実装済みのフレキシブルプリント基板等を有する。しかしこれらは要部ではないため、図示および説明は省略されている。
【0028】
フォーカスユニットケース23は、フォーカスユニットの主要な構造部品であり、マウント部品22と直接的または間接的に固定されて、他のユニット部品を保持する役割を果たす。フォーカスユニットケース23は円筒形状の交換レンズ20の内部に沿った外形形状を有しており、円筒的な形状を有している。フォーカスユニットケース23は繊維強化樹脂やダイカスト合金等、軽量性と強度のバランスに優れた材料により構成される。
【0029】
フォーカスユニットケース23には、2本の金属製のガイドバー26a、26bが共に光軸1aに対して略平行な姿勢で、互いに所定の間隔をもって配置される。ガイドバー26a、26bのそれぞれの一端部がフォーカスユニットケース23に、圧入や接着等によって固定されている。これらのガイドバー26a、26bは、フォーカスレンズ群21aを保持するレンズホルダ24を光軸1a方向にのみ直動可能(1自由度)に支持する。従って、光軸1a方向に直交する方向への移動や、ピッチ・ヨー・ロール各方向の回転等の不要な移動が規制されることで、フォーカスレンズ群21aが正しく機能する。
【0030】
フォーカスユニットケース23にはフォーカスユニットカバー25が取り付き、2本のガイドバー26a、26bのそれぞれ他端部がフォーカスユニットカバー25に嵌合固定されている。これにより、2本のガイドバー26a、26bは共に両持ち状態となることから、フォーカスレンズ群21aを剛性高く保持して高精度に駆動することができるようになる。
【0031】
レンズホルダ24はフォーカスレンズ群21aを保持する部品であり、2本のガイドバー26a、26bに対応する2箇所の挿通部を備えている。これらの挿通部は、潤滑条件下での摺動部、または、別途設けられた専用のすべり軸受や転動部品等を利用した転動部として構成される。従って、ガイドバー26a、26bに対して直動方向以外のガタは小さくも、摩擦や摩耗等の抵抗が低減された構成となっている。
【0032】
レンズホルダ24は、移動体としての質量を軽くしつつ、フォーカスレンズ群21aを剛性高く保持するために、繊維強化樹脂等の軽量で強度に優れた材料により構成される。レンズホルダ24はさらに、2つのコイルホールド部24aを備えている。コイルホールド部24aは光軸1aを挟んで互いに対向する位置に配置されるが、図2では1つのみが表されている。各コイルホールド部24aに、リニアアクチュエータ100、200のコイル111、211が接着等により固定される。これにより、レンズホルダ24およびフォーカスレンズ群21aが、リニアアクチュエータ100、200の出力を受けてZ方向に駆動される。
【0033】
リニアアクチュエータ100、200の界磁部は、フォーカスユニットケース23に対してネジ等によって固定される。これにより、交換レンズ20においては、リニアアクチュエータ100、200によって、フォーカスユニットケース23およびマウント部品22を含む固定部から、移動部となるレンズホルダ24に駆動力が伝達されて、フォーカスレンズ群21aが駆動される。
【0034】
ここで、本実施形態では、リニアアクチュエータ100、200の利用方式は、界磁部を固定側とし、コイルを移動側とする、いわゆるムービングコイル方式である。これは、一般にはリニアアクチュエータにおける界磁部よりもコイルの方が軽いため、移動部の質量を低減することで運動性能や省電力性を高めやすいからである。
【0035】
一方で、仮に、これとは逆のムービングマグネット方式を採用した場合、例えば配線部を移動部としないため、信頼性を高めやすく、ハプティクスデバイス等の高質量の移動部を要する用途に向くという利点がある。本発明のリニアアクチュエータは、これらどちらの方式にも適用可能であるため、用途に応じて選択して適用して構わない。すなわち、界磁部またはコイルのいずれが移動側となってもよい。
【0036】
リニアアクチュエータ100、200は広義の電磁リニアモータの一種である直流方式のリニア直流モータ(LDM)である。LDMは位置や速度によらずに細やかな力の制御を行うことができる特徴を有しており、フォーカス機構を含む各種の位置決め用途の駆動機構に適している。
【0037】
交換レンズ20には、フォーカスレンズ群21aの駆動用にリニアアクチュエータを2つ備える構成が採用される。2つのリニアアクチュエータのそれぞれのコイルが同じレンズホルダ24に固定されるので、2つのリニアアクチュエータの出力が並列的に作用する構成となっている。このような構成を採用することで、高負荷に対応してより高質量のフォーカスレンズ群21aを駆動可能となっている。なお、リニアアクチュエータの数は1つでもよいし、3つ以上でもよい。特に、フォーカスレンズ群21aの質量に対する制約を少なくすると、レンズ群21の光学構成の制約の緩和に繋がり、交換レンズ20のさらなる高精度化や小型化等の性能向上に繋がるので、リニアアクチュエータを複数設けると有利である。
【0038】
次に、リニアアクチュエータ100、200の詳細な構成を説明する。リニアアクチュエータ100、200は互いに同一の構成を有するため、以下では代表してリニアアクチュエータ100を図示して説明する。
【0039】
図3(a)は、リニアアクチュエータ100の模式的な斜視図である。図3(b)はリニアアクチュエータ100を+Z側からみた正面図である。図3(c)は図3(b)のA-A線に沿う断面図である。ただし図3(c)では、一部の構成要素については、断面を示す斜線を省略している。
【0040】
リニアアクチュエータ100は、界磁部120とコイル111a、111bとを含む。界磁部120は、複数の永久磁石と、磁性材からなる複数のヨーク部品と、主に非磁性材からなるスキュワー128とを含む。複数の永久磁石には、スラスト単極着磁リング磁石であるスラストリング磁石121a、123a、121bと、ラジアル単極着磁リング磁石であるラジアルリング磁石122a、124aとがある。複数のヨーク部品には、インナーリングヨーク125aa、125ab、アウターヨーク126a、126b、カバーヨーク127(図3(a))がある。スキュワー128は、シャフト128a(串部)とエンド部品128bとから構成される。
【0041】
以降の説明では、スラストリング磁石およびラジアルリング磁石を総称して磁石群と呼称する場合がある。また、複数のインナーリングヨークを総称してインナーヨーク群と呼称する場合がある。主軸101は、Z方向(所定方向)と平行な仮想軸線であり、本実施形態ではシャフト128aの中心軸線またはコイル111a、111bの巻芯とも一致する。
【0042】
スラストリング磁石121a(第1の磁石)、ラジアルリング磁石122a(第2の磁石)、スラストリング磁石123a(第3の磁石)、ラジアルリング磁石124a(第4の磁石)が、この順で+Z方向へ向かって並んでいる。第1、第2、第3、第4の磁石である磁石121a、122a、123a、124aが主軸101方向(Z方向;仮想軸線方向)に周期的に配列されたものを「配列部MA」と称する。ラジアルリング磁石122a、124a(ヨーク部)は配列部MAに包含される。
【0043】
コイル111a、111bは、界磁部120の出力によって、界磁部120に対して相対的にZ方向に移動可能なように、配列部MAの周囲に巻回されている。従って、主軸101方向がコイル111a、111bの可動方向となる。
【0044】
なお、本実施形態では、配列部MAには、1周期分の磁石121a、122a、123a、124aが含まれる。そして、配列部MAの+Z側に、スラストリング磁石121aと同一構成の(第1の磁石としての)スラストリング磁石121bが配置される。しかし、配列部MAには、2周期分以上の磁石121a、122a、123a、124aが含まれてもよい。その場合は、2周期分の磁石群を備える配列部MAの+Z側にスラストリング磁石121bが配置される。複数周期分の磁石群を備えることで、リニアアクチュエータ100のストロークを延ばすことができる。
【0045】
スラストリング磁石121a、123a、121bは円環状(円筒状)に形成され、それぞれ、内部開口D1、D3、D1を有する。ラジアルリング磁石122a、124aは円環状に形成され、それぞれ、内部開口D2、D4を有する。インナーリングヨーク125aa、125abは円環状に形成され、それぞれ、内部開口D5、D6を有する。内部開口D1~D6には主軸101が通っており、内部開口D1~D6はいずれも主軸101を中心とする略同心の円形である。
【0046】
スラストリング磁石121a、121b、123aは、リング形状における軸方向に着磁された永久磁石であり、軸方向に磁化容易方向を有する。スラストリング磁石121a、121b、123aは、例えば磁石材料を磁場中で焼結プレス加工することや、焼結済の母材を除去加工すること等により製造される。
【0047】
ラジアルリング磁石122a、124aは、リング形状における中心軸を基準軸とする円柱座標系の周方向に一様となるように、径方向に着磁された永久磁石であり、径方向に磁化容易方向を有する。ラジアルリング磁石122a、124aは、例えば磁石材料を磁場中で焼結プレス加工することや、熱間押し出し加工すること等により製造される。
【0048】
これらのリング形状の磁石を用いる理由としては、磁石を作成しやすいことや、組み合わせるコイルを作成しやすいこと、また、これらの組み合わせをレイアウトしやすいこと等がある。なお、リニアアクチュエータには他の形状の磁石を用いても構わず、そのような例については後に例示する。
【0049】
ヨーク125aa、125ab、126a、126b、127は、界磁部120にとって重要な磁束を多く通す役割を果たすため、透磁率の高い純鉄系鋼材や磁性ステンレス等の磁性材により構成される。
【0050】
インナーリングヨーク125aa、125abはそれぞれ、ラジアルリング磁石122a、124aの内部開口D2、D4に配置される。インナーリングヨーク125aa、125abは、ラジアルリング磁石122a、124aとスラストリング磁石121a、123a、121bとの内径差分の領域を埋める役割を果たす。
【0051】
すなわち、ラジアルリング磁石122a、124aはスラストリング磁石121a、123a、121bよりも大きい内径を有する。つまり、内部開口D2、D4は内部開口D1、D3よりも大きい。これにより生じる内径差分領域をインナーリングヨーク125aa、125abが埋める。
【0052】
詳細は後述するが、インナーリングヨーク125aa、125abの内径はスラストリング磁石121a、123a、121bの内径と略等しい。すなわち、内部開口D5、D6は内部開口D1、D3と略等しい。インナーリングヨーク125aa、125abの外形は、スラストリング磁石121a、123a、121bの内形よりも大きい。
【0053】
スキュワー128は、磁石121a、123a、121bおよびインナーリングヨーク125aa、125abを支持することで、界磁部120においてこれらを束ねて固定しやすくする役割を果たす。シャフト128aは主な軸部分であり、磁石121a、123a、121b、ヨーク125aa、125abの各内部開口を貫通して設けられる。エンド部品128bは-Z側の端部に配置される。シャフト128aおよびエンド部品128bが例えば圧入等により互いに強固に固定されることでスキュワー128が構成される。
【0054】
スラストリング磁石121a、123a、121bの内径側の磁束漏れによる効率低下を防ぐために、シャフト128aは非磁性材である例えば銅系やアルミ系の材料により構成される。一方、スキュワー128のエンド部品128bは磁性材により構成される。
【0055】
次に、各部品の詳細について説明する。まず、主軸101は、各々のストローク位置における方向が推力の方向と一致するものである。便宜上、主軸101を、コイルの巻芯位置、あるいはこれと同軸上にある磁石121a~124a、121b、ヨーク125aa、125abの中心軸上に置いている。リニアアクチュエータ100における推力の方向は、基本的には、移動部となるコイル111a、111bのストローク位置に依存せずに一定であるため、主軸101は基本的に直線状である。ただし、本発明は緩やかな曲線状の主軸を備えるリニアアクチュエータに適用しても構わない。
【0056】
本実施形態では、主軸101を理想的な直線の基準軸とみなし、この基準軸に、コイル111a、111bの巻芯や磁石121a~124a、121b、ヨーク125aa、125abの中心軸を合わせるように配置している。
【0057】
仮に、コイル111a、111bにおける推力に相当するローレンツ力を発生するための鎖交磁束の密度分布が一様か、または主軸101の周りに対称的に鎖交磁束が分布するとする。この場合、リニアアクチュエータ100における推力の作用位置(各々のストローク位置における推力の作用点)は、コイル111の巻芯に一致する主軸101上の位置に理論的に一致する。一方で、鎖交磁束の密度分布が一様でなく対称的でない場合には、推力の作用位置は主軸101上からずれるが、そのずれ量は一般的には小さい。よって、リニアアクチュエータ100を各種装置に適用する場合には、一般的には主軸101を大まかな推力の作用位置とみなしてレイアウトをすることができる。
【0058】
コイル111a、111bはいわゆるエナメル線等の絶縁被覆付の導体線を巻芯の周りに巻き、接着剤等で固めることで形成されるコイルであり、特に、巻芯部に開口を有する空芯コイルである。コイル111a、111bの巻形状(巻芯に対する横断面形状)は円形状である。この形状のコイルは作成が容易であり、また、内径形状の精度を高めやすいといった利点がある。ただし、巻形状が円形状以外の矩形状や楕円形状のコイルを使用しても構わない。
【0059】
リニアアクチュエータ100は、界磁部120が多極型のアクチュエータであるので、いずれのストローク位置においても安定した推力が得られるようにするために、2つのコイル111a、111bを有している。2つのコイル111a、111bは一体で移動し、各々のストローク位置でそれぞれのコイルに作用する磁界に応じて、それぞれのコイルへの通電比率が変更制御される。この制御の詳細は後述する。なお、この制御の内容は本発明のリニアアクチュエータに必須ではないため、コイルが1つのリニアアクチュエータに本発明を適用しても構わない。
【0060】
磁石121a~124a、121bの外形形状は共通しており、リング形状としての外径はほぼ等しい。これらの外径はコイル111a、111bの巻形状の内径よりも若干小さい。従って、コイル111a、111bは磁石121a~124a、121bに対して所定のクリアランスを確保しつつ移動することが可能となっている。
【0061】
各磁石の磁極については次のように設定されている。なお、永久磁石としての磁化方向は、各々が1組ずつ有するN極とS極とを貫く方向のことであり、実際の形状ばらつきや着磁ばらつきも考慮して、永久磁石としての磁化方向を主磁化方向と定義する。
【0062】
第1の磁石に相当するスラストリング磁石121a、121bと第3の磁石に相当するスラストリング磁石123aとは、主軸101方向において互いに反対向きの主磁化方向を有している。また、第2の磁石に相当するラジアルリング磁石122aと第4の磁石に相当するラジアルリング磁石124aとは、それぞれ主軸101方向に直交する方向において互いに反対向きの主磁化方向を有している。なお、主軸101に直交する方向とは、主軸101を中心軸とする極座標系における径方向のことであり、それぞれ外向きまたは内向きの方向のことである。従って、ラジアルリング磁石122a、124aの磁化方向は、Z方向と直交しており、主軸101を中心とする外向きまたは内向きで且つ互いに反対向きである。
【0063】
スラストリング磁石121aにおけるラジアルリング磁石122aと対向する磁極(N極)は、ラジアルリング磁石122aにおける内側(主軸101に対向する側)の磁極(S極)に対して異極である。スラストリング磁石121bにおけるラジアルリング磁石124aと対向する磁極(S極)は、ラジアルリング磁石124aにおける内側(主軸101に対向する側)の磁極(N極)に対して異極である。スラストリング磁石123aにおけるラジアルリング磁石124aと対向する磁極(S極)は、ラジアルリング磁石124aにおける内側(主軸101に対向する側)の磁極(N極)に対して異極である。なお、ラジアルリング磁石122a、124aの主磁化方向は、Z方向と直交することに限定されず、Z方向と交差する方向であってもよい。
【0064】
このような各磁石の配置は、リニアアクチュエータ100における推力に相当するコイル111a、111bのローレンツ力を発生させるための有効磁束である鎖交磁束を生じさせる配置となっている。この磁束について図4を用いて説明する。
【0065】
図4は、リニアアクチュエータ100の界磁部120における磁束を示す模式図である。図4では、界磁部120の一部分を拡大し、スラストリング磁石121a、ラジアルリング磁石122a、インナーリングヨーク125aa、スラストリング磁石123aが配置された領域の周辺を示している。代表して、磁石121a、122a、123a、インナーリングヨーク125aaに関する磁束を示す。磁束は、主軸101を中心とする径方向両側に対称に生じるので、磁束の符号は、図4に示す断面における片側だけに付している。なお、磁石121a、122a、123a、インナーリングヨーク125aaの断面斜線を省略している。コイルの図示は省略されている。
【0066】
リニアアクチュエータ100における有効磁束であるコイル111a、111bの鎖交磁束の方向は、磁束方向411aa0である。磁束方向411aa0は、主軸101を基準とする円柱座標系における径方向に相当する。主軸101方向において、スラストリング磁石121a、123aが同極(ここではN極)同士で対向していることで、これらの間の磁束は磁束425aa1、411aa1に示すものとなる。すなわち、N極から主軸101方向に出て、相互に反発して主軸101に直交する方向へ曲がり、磁束方向411aa0の成分が大きい磁束となって外側のコイル領域に放出される。
【0067】
このため、スラストリング磁石121a、123aだけでもリニアアクチュエータを構成することが可能であるが、本実施形態ではさらにラジアルリング磁石122aが加わることで効率が高められている。
【0068】
ラジアルリング磁石122aは磁束425aa1、411aa1と同様の向きの磁束を放出するため、上記のスラストリング磁石121a、123aの作用と重畳して、磁束方向411aa0の成分をより強める役割を果たす。
【0069】
このような、互いに直交する主磁化方向の磁石配置により効率を高める効果は、いわゆるハルバッハ配列による効果と類似している部分がある。本実施形態での磁石配列は本来のハルバッハ配列と同一ではないが、ハルバッハ配列の概念を応用した配列と見ることもできる。
【0070】
ラジアルリング磁石122aの内側にインナーリングヨーク125aaが配置されている。ラジアルリング磁石122aの内側領域は、スラストリング磁石121a、123aから放出される磁束のいわゆる通り道となり取り出し口となる。しかも、ラジアルリング磁石122aの内側領域に位置するインナーリングヨーク125aaは、ラジアルリング磁石122aのバックヨークとしての機能を果たすため、磁化を強めることができる。従って、磁性体であるインナーリングヨーク125aaは重要な役割を果たしている。
【0071】
ところで、シャフト128aは非磁性材により構成することが好ましい。これは、磁束428aaに示すような、磁石の内部側へ放出される非有効磁束をなるべく減らすのに有効だからである。すなわち、この非有効磁束はスラストリング磁石121a、123aが内部に開口を有するリング形状であることに起因して生じるため、この部分の透磁率を小さくすることで非有効磁束を減らすことができる。また、非有効磁束を減らすには、開口形状を小さくすることも有効であるため、内部開口D1、D3、D5、D6、およびシャフト128aの外径は、必要な強度を満たす範囲内でなるべく小さくするとよい。
【0072】
なお、磁石121a~124a、121b、ヨーク125aa、125abだけでもリニアアクチュエータを構成することは可能である。しかし、効率を一層高めるための構成として、アウターヨーク126a、126bおよびカバーヨーク127が設けられている(図3(a))。
【0073】
アウターヨーク126a、126bおよびカバーヨーク127は、主軸101に直交する方向におけるコイル111a、111bの外側で、磁石121a~124a、121b、ヨーク125aa、125abの全部または一部を覆う。これにより、図4に示した磁束425aa1、411aa1が磁束方向411aa0へ見かけ上吸引されるように作用し、この方向の成分を強める役割が果たされる。
【0074】
アウターヨーク126aは、例えば純鉄系鋼板をプレス抜き加工することで構成される平板状の部品である。アウターヨーク126aは、フォーカスユニットケース23に対して固定されるためのネジ穴、スキュワー128を軸支するための軸支穴、アウターヨーク126bと嵌合される嵌合部等を備えている。これにより、アウターヨーク126aはリニアアクチュエータ100における固定基準部となっている。
【0075】
アウターヨーク126bは、例えば純鉄系鋼板をプレス抜き及び曲げ加工することで構成される部品である。アウターヨーク126bは、アウターヨーク126aと嵌合する嵌合部、スキュワー128を軸支する軸支穴等を備えている。アウターヨーク126bはアウターヨーク126aと一体となってスキュワー128を両持ちで安定して支持する。
【0076】
スキュワー128は、磁石群及びインナーヨーク群を貫通して束ねることで、リニアアクチュエータ100の組み立てや機器組み込みにおける利便性を向上する目的で用いられる。すなわち、リニアアクチュエータ100の組み立て時にはスキュワー128に対して磁石群及びインナーヨーク群を順に通していくことで組み立て作業を容易にすることができる。また、スキュワー128によりこれらの部品が束ねられるため、これらの部品を例えば接着等により固定する工程も省略可能となる。また、リニアアクチュエータ100の機器組み込み時は、リニアアクチュエータ100の外形から突出したスキュワー128の端部を導入用や位置決め用のボスとして使用することで、簡単かつ高精度に位置決めを行うことが可能である。
【0077】
スキュワー128のうちシャフト128aは非磁性材で構成されるが、エンド部品128bは磁性材により構成される。これは、リニアアクチュエータ100の界磁部120が自身の磁力だけで安定的に構成されるようにするためである。次に、リニアアクチュエータ100の界磁部120が安定である理由について、構成部品に働く力に着目して説明する。
【0078】
図5は、界磁部120において各構成部品に働く力を示す模式図である。
【0079】
アウターヨーク126a、126b、およびスキュワー128のエンド部品128bは、いずれも主軸101方向において、磁石群における端位置に配置されたスラストリング磁石121aまたはスラストリング磁石121bと隣接する部分を有する。そのため、隣接する磁石から磁気吸引力を受ける。
【0080】
例えば、アウターヨーク126aには磁気吸引力526aが作用する。アウターヨーク126bには磁気吸引力526bが作用する。スキュワー128のエンド部品128bには磁気吸引力528bが作用する。磁気吸引力526bは-Z方向の力であり、磁気吸引力526a、528bは+Z方向の力である。すなわち、これらの力はいずれも主軸101方向における内向きの向心力であり、構成部品を互いに引き合わせる力となるため、界磁部120は自身の磁力だけで安定する。
【0081】
次に、本発明の構成による効果について比較例と比較して説明する。
【0082】
図6は、本実施形態のリニアアクチュエータ100と比較例のリニアアクチュエータとで性能を比較する図である。図11(a)、(b)、(c)はそれぞれ、比較例のリニアアクチュエータ70、80、90を示す模式図である。まず、比較例のリニアアクチュエータ70、80、90の構成について説明する。
【0083】
図11(a)に示すリニアアクチュエータ70は、リニアアクチュエータ100に対して、磁石122a、124aおよびヨーク125aa、125abの組み合わせを、リングヨーク725aa、725abに置換したものに相当する。すなわち、ラジアルリング磁石122a、124aが存在せず、その分の領域をインナーリングヨーク125aa、125abが占めている。この構成は、第2、第4の磁石に相当するラジアルリング磁石122a、124a無しで有効磁束を生じさせる多極型リニアアクチュエータとしての基本的な構成である。
【0084】
図11(b)に示すリニアアクチュエータ80は、リニアアクチュエータ100に対して、磁石122a、124aおよびヨーク125aa、125abの組み合わせを、ラジアルリング磁石822a、824aに置換したものに相当する。すなわち、インナーリングヨーク125aa、125abが存在せず、その分の領域をラジアルリング磁石122a、124aが占めている。また、この構成は、リニアアクチュエータ70(図11(a))のリングヨーク725aa、725abをラジアルリング磁石822a、824aに置換した構成にも相当する。この構成は、従来の多極型リニアアクチュエータにおいてハルバッハ配列の概念を応用した基本的な構成である。
【0085】
ここで、リニアアクチュエータ80の製造が容易でないという課題がある。これは、ラジアルリング磁石822a、824aのように内径が小さいかまたは内径と外径との差が大きい磁石は製造が難しく、また、製造できたとしても磁石としての高い性能を確保しにくいからである。すなわち、一般的にラジアルリング磁石には、製造上、形状的な限界があり、これについて図7を用いて説明する。
【0086】
図7(a)~(d)は、ラジアルリング磁石の一般的な形状要件を説明する一連の模式図である。図7(a)は、ラジアルリング磁石122aの製造過程の概念を示す模式図である。
【0087】
一般に、ラジアルリング磁石の製造工程において、着磁前の素材を焼結や熱間押し出し加工により作成する際と、作成した素材に着磁を行う際とに、内径側および外径側に治具が配置される。そして、各種の機械加工や磁化容易方向の配向用の磁場の印加、着磁用強磁場の印加等が行われる。例えば、ラジアルリング磁石122aは、内径側治具731および外径側治具732を用いて製造される。
【0088】
治具は、機械加工用の必要な強度や構成の確保や、着磁用の電磁石構成の確保の観点で、一定の大きさを必要とする。よって、内径側治具731のサイズの限界により、一般にラジアルリング磁石の内径を一定以上に小さくすることは難しい。また、径方向における内径側治具731と外径側治具732との隙間が大き過ぎると、磁化容易方向の配向性や着磁強度が低下しやすくなるため、内径と外径の差が大きい形状のラジアルリング磁石の製造も難しい。
【0089】
図7(b)、(c)は、ラジアルリング磁石122aと比べて内径が小さいラジアルリング磁石722bの模式図である。図7(a)に示すようなラジアルリング磁石122aは比較的製造容易である。しかし、図7(b)に示すような、ラジアルリング磁石122aと比べて内径が小さいか、もしくは内径と外径との差が大きい形状のラジアルリング磁石722bは、相対的に製造が難しくなる。
【0090】
また、仮にラジアルリング磁石722bを製造できた場合であっても、磁石としての高い性能を確保しにくい。これは、図7(c)に示すように、内径側の磁極(図中ではS極)は対向する同極が近く、矢印733に示すように互いの反発が大きいため、いわゆる磁石のパーミアンスが低く、外側の磁極(図中ではN極)から磁束が出にくくなるからである。
【0091】
図7(d)はラジアルリング磁石122aおよびインナーリングヨーク125aaの模式図である。図7(d)に示すように、ラジアルリング磁石122aは、同じ外径のラジアルリング磁石722bと比べて内径が大きく、従って、外径と内径の差が小さい。
【0092】
これらの観点で、図9でも説明するように、ラジアルリング磁石122aの外径122aDと内径122adとの差(122aD-122ad)が、ラジアルリング磁石122aの内径122adよりも小さくなっている。さらに、ラジアルリング磁石122aの内側領域の一部を磁性体であるインナーリングヨーク125aaが埋めた構成となっている。
【0093】
従って、ラジアルリング磁石122aは製造しやすく、且つ磁石のパーミアンスが高く、外側の磁極(図中ではN極)から磁束が出やすい構成となっている。また、一般的にリニアアクチュエータ用の永久磁石には保磁力の高いネオジム磁石が用いられる。これは、ネオジムや各種の希土類元素を含み、材料単価が比較的高額であるため、部品価格に占める材料体積の影響が比較的高いからである。ラジアルリング磁石122aの内径が大きいことで、少ない磁石体積で性能を引き出すことが可能になり、コスト面や省資源の観点でも有利である。
【0094】
以上説明した理由により、リニアアクチュエータ80(図11(b))には構成上の課題があるが、仮にこれを解消しようとする場合、ラジアルリング磁石の内径を大きくし、これに伴い対応するスキュワーの外径も大きくする必要がある。また、これに合わせてスラストリング磁石の内径も大きくする必要がある。これを実現したものが、図11(c)に示すリニアアクチュエータ90である。リニアアクチュエータ90では、リニアアクチュエータ80と比べて、ラジアルリング磁石922a、924aおよびスラストリング磁石の内径が大きく、シャフト928aの外径928aDも大きくなっている。
【0095】
図6で、リニアアクチュエータ100とリニアアクチュエータ70、80、90との性能を比較する。図6では、横軸に、界磁部120上の主軸101方向における位置、または2つのコイル111a、111bの組み合わせ(以降、コイル組と呼ぶ)のストローク位置をとっている。縦軸には、推力効率(N/W0.5)と、この推力効率の要素であるコイルにおける平均有効磁束密度(Bv_ave)とをとっている。
【0096】
コイルにおける平均有効磁束密度の定義は図6中に図示されている。リニアアクチュエータ100のコイルにおけるローレンツ力を発生させるための有効磁束密度である鎖交磁束密度の体積平均をとり、これと等価な磁束密度がコイルの全域に一様に作用していると仮定している。
【0097】
曲線L10、L20はそれぞれ、リニアアクチュエータ100の推力効率、平均有効磁束密度を示す。曲線L11、L21はそれぞれ、リニアアクチュエータ70(図11(a))の推力効率、平均有効磁束密度を示す。曲線L12、L22はそれぞれ、リニアアクチュエータ80の推力効率、平均有効磁束密度を示す。リニアアクチュエータ90の推力効率、平均有効磁束密度は、リニアアクチュエータ80のもの(曲線L12、L22)と同様である。
【0098】
図6に示すように、本実施形態におけるリニアアクチュエータ100は、比較例のリニアアクチュエータ70、80、90よりも高い平均有効磁束密度を示し、これにより推力効率も高い値を示す。これは、まず、図4で示したように、ハルバッハ配列の概念を応用して、スラストリング磁石121a、123a、121bによる有効磁束の作用に重畳するラジアルリング磁石122a、124aを追加したことによる。これに加えて、図7で示したように、内径と外径との設定により、ラジアルリング磁石122a、124aのパーミアンスが高くなることによる。
【0099】
より詳細に考察すると、まず、リニアアクチュエータ70に対して、リニアアクチュエータ80、90、100は、スラストリング磁石間にラジアルリング磁石が追加されていることで効率が高い。また、リニアアクチュエータ100は、リニアアクチュエータ80と比べて、ラジアルリング磁石のパーミアンスが高いことで効率が高い。また、リニアアクチュエータ90は、リニアアクチュエータ80、100と比べて、ラジアルリング磁石の内径を拡大するのに伴いスラストリング磁石の内径も拡大しており、スラストリング磁石の磁極部の面積が小さくなっている。このため、リニアアクチュエータ90と比べて、リニアアクチュエータ100の方が磁極部の面積が大きいことから効率が高い。
【0100】
リニアアクチュエータ100は公知のリニアアクチュエータと同様の制御方法(コイル通電制御方法)により駆動制御することができる。このコイル通電制御方法の概要を図8を用いて説明する。
【0101】
図8は、リニアアクチュエータ100のコイル通電制御方法を説明する図である。ここではリニアアクチュエータ100がストローク位置によらず極力一定の推力効率を示すことができるようにするための、2つのコイル111a、111b間の通電配分の例を示している。
【0102】
図8の横軸には、界磁部120上の主軸101方向における位置、またはコイル組のストローク位置とっている。縦軸には、平均有効磁束密度(Bv_ave)とコイル通電配分([%])とをとっている。図8に示したコイル組の位置をゼロ位置とする。従って、横軸は、ゼロ位置を基準として、主軸101方向における、界磁部120に対するコイル組の相対的なストローク位置である。なお、コイル組の位置は、2つのコイル111a、111bの重心位置であるが、簡易的には、主軸101方向における2つのコイル111a、111bの中間位置としてもよい。
【0103】
リニアアクチュエータ100に対しては、コイル組のストローク位置を別途、駆動制御用の位置検出部により検出し、各々のコイルが位置する箇所での平均有効磁束密度の符号と相対的な大小関係とに応じて、各々のコイル間の通電配分を変更制御するとよい。例えば、コイル組のストローク位置がゼロ位置の場合は、コイル111a、111bにおける平均有効磁束密度は互いに向きが反対で、大きさは略等しい(図中では絶対値B0[T])。この場合、コイル間の通電配分も互いに符号が反対で、大きさが略等しくなるようにするとよい(図中では絶対値P0[%])。
【0104】
例えばコイル組のストローク位置が位置Aの場合は、コイル111aでは平均有効磁束密度は極大となる一方で(図中では絶対値Bmax[T])、コイル111bでは平均有効磁束密度はほぼゼロとなる。そのため、専らコイル111aの方だけに、平均有効磁束密度の符号に応じた極大の割合で通電するとよい。この際の割合は、例えばコイル111aが消費する電力が、コイル組のストローク位置がゼロ位置の場合における2つのコイルが消費する電力の合計値と略等しくなるような関係の値とするとよい(図中では絶対値100[%])。
【0105】
また、コイル組のストローク位置が位置Bの場合は、コイル111a、111bにおける平均有効磁束密度は互いに向きが同じで、大きさも略等しくなる(図中では絶対値B0[T])。この場合、コイル間の通電配分も互いに符号が同じで、大きさが略等しくなるようにするとよい。この際の割合は、コイル組のストローク位置がゼロ位置の場合の割合と略等しくするとよい(図中では絶対値P0[%])。
【0106】
なお、以上の例は、仮にコイル111a、111bの巻き方向が同じ場合に、どのストローク位置においても同じ電力で同じ方向・大きさの推力が得られるようにするためのコイル間の通電配分の例である。また、各々のコイル位置における平均有効磁束密度は、主軸101方向のコイルの重心位置における値を考慮している。
【0107】
図9を用いて、望ましい構成を採用したリニアアクチュエータ100を説明する。図9は、リニアアクチュエータ100の界磁部120を示す模式図である。図9では、図4と同様に、界磁部120の一部分を拡大しており、一部の断面斜線やコイルの図示は省略されている。
【0108】
ここでは代表して磁石121a、123a、122aおよびインナーリングヨーク125aaの関係を示すが、磁石123a、121b、124aおよびインナーリングヨーク125abの関係も同様である。
【0109】
主軸101方向において、ラジアルリング磁石122aの長さ122aLは、インナーリングヨーク125aaの長さ125aaLよりも僅かに短い。ラジアルリング磁石122aは、一般に脆性材料であり薄肉形状であることから、負荷がかかると摩耗や損傷を起こすおそれがある。仮に、ラジアルリング磁石122aが、スラストリング磁石121a、123aと接触すると圧縮応力を受ける。そこで、122aL<125aaLとすることで、ラジアルリング磁石122aに過大な負荷がかからないようにして耐久性を高めている。
【0110】
リニアアクチュエータ100においてスラストリング磁石121a、123aがラジアルリング磁石122aおよびインナーリングヨーク125aaから、磁気力として、吸引力921a1、923a1、斥力921a2、923a2を受ける。
【0111】
まず、スラストリング磁石121a、123aについては、主軸101方向においてラジアルリング磁石122aおよびインナーリングヨーク125aaに対向する磁極面(図中では共にN極)が斥力921a2、923a2を受ける。斥力921a2、923a2は、ラジアルリング磁石122aの外側のN極(上記対向する磁極面と同極)から受ける主軸101方向に反発する成分を有する磁気力である。
【0112】
一方、スラストリング磁石121a、123aは、ラジアルリング磁石122aの内側のS極(上記対向する磁極面と異極)とインナーリングヨーク125aaとから吸引力921a1、923a1を受ける。主軸101方向における成分については、吸引力921a1、923a1の方が斥力921a2、923a2よりも大きい。
【0113】
よって、スラストリング磁石121a、123aは共に主軸101方向でラジアルリング磁石122aおよびインナーリングヨーク125aa側に吸引され、圧縮力を及ぼす。ここで、122aL<125aaLであるため、インナーリングヨーク125aaが反力である接触力921a3、923a3を発揮する一方、ラジアルリング磁石122aにはスラストリング磁石121a、123aが当接しない。従って、スラストリング磁石121a、123aは圧縮力を受けず、主軸101方向に関しては、スラストリング磁石121a、123aは専らインナーリングヨーク125aaによって支持される。
【0114】
また、斥力921a2、923a2は、主軸101に直交する方向(径方向)におけるスラストリング磁石121a、123aの向心力として作用する。すなわち、仮にスラストリング磁石121a、123aが主軸101に直交する方向のうちいずれかの方向に移動した場合でも、移動した方向における同極間の距離が近くなることで斥力がより大きくなる。また、移動した方向と反対の方向においては同極間の距離が遠くなることで斥力がより小さくなる。従って、移動した方向の斥力および、移動した方向と反対の方向の斥力は、スラストリング磁石121a、123aの動きを妨げる(主軸101と同心となるように戻す)ように作用する。
【0115】
これにより、磁石群およびインナーヨーク群は、主軸101方向とこれに直交する方向のどちらにおいても、互いの磁気的作用により大まかな配置が安定して保たれる。
【0116】
よって、各部品の固定という観点に限れば、スキュワー128を省略することも可能である。仮に、スキュワー128を省略し、スラストリング磁石とインナーリングヨークをそれぞれ巨視的に中実の円柱形上のスラスト磁石とヨークとに置換すれば、これらの体積増加分だけ効率の向上が期待できる。その際、界磁部120に含まれる磁石のうち主軸101方向における両端に位置する第1の磁石(スラストリング磁石121a、121b)が、アウターヨーク126a、126bにより支持される構成をとれば、各部品の固定状態が一層安定する。スキュワー128を廃止する構成については、第2の実施形態以降で説明する。
【0117】
また、主軸101に直交する方向における、ラジアルリング磁石122aの外径122aDは、スラストリング磁石121aの外径121aD、スラストリング磁石123aの外径123aDのいずれよりも僅かに小さい。122aD<121aD、123aDとしたのは、以下に説明する事情を考慮し、組立性の確保や、熱応力等による損傷を抑えつつ、外側のコイルクリアランスへラジアルリング磁石122aが突出することを抑制するためである。
【0118】
まず、ラジアルリング磁石122aの内径122adは、インナーリングヨーク125aaの外径125aaDよりも大きくする必要がある。これは、ラジアルリング磁石122aの内部開口D2にインナーリングヨーク125aaを挿入する必要があるからである。内径122adと外径125aaDとの差については、幾何形状的な最小限度の値よりも少し大きい一定量を確保することが望ましい。
【0119】
ここで、内径122adと外径125aaDとに差分(ガタ)が設けられるので、ラジアルリング磁石122aは主軸101に直交するいずれかの方向にオフセット(移動)する可能性がある。このため、仮に、ラジアルリング磁石122aの外径122aDがスラストリング磁石121aの外径121aDと同じである場合、ラジアルリング磁石122aの一部がスラストリング磁石121aよりも外側に突出することがある。すると、コイルとのクリアランスを圧迫する可能性がある。このような事情から、122aD<121aD、123aDとしている。
【0120】
本実施形態によれば、第1~第4の磁石(磁石121a~124a)がこの順で所定方向(主軸101方向)に周期的に配列された配列部MAに、ヨーク部(ヨーク125aa、125ab)が包含されて界磁部120が構成される。配列部MAの周囲にコイル111a、111bが巻回される。磁石121aにおける磁石122aと対向する磁極は、磁石122aにおける内側の磁極に対して異極であり、磁石123aにおける磁石124aと対向する磁極は、磁石124aにおける内側の磁極に対して異極である。インナーリングヨーク125aa、125abはそれぞれ、ラジアルリング磁石122a、124aの内部開口D2、D4に配置される。これにより、リニアアクチュエータ100の駆動効率を向上させることができる。
【0121】
また、スラストリング磁石121a、123a、121bの内部開口D1、D3、D1の大きさは、インナーリングヨーク125aa、125abの内部開口D5、D6と略等しい。内部開口D1、D3、D5、D6、D1を貫通してシャフト128aが設けられた。これにより、スラストリング磁石およびインナーリングヨークを束ねて固定しやすくすることができる。
【0122】
また、シャフト128aは非磁性材で構成されるので、スラストリング磁石121a、123a、121bの内径側の磁束漏れによる効率低下を抑制することができる。
【0123】
また、122aD<121aD、123aDとした(図9)。これにより、磁石122a、124aとヨーク125aa、125abとの間に径方向のクリアランスを設けた場合でも、ヨーク125aa、125abとコイル111a、111bとの干渉を抑制することができる。
【0124】
また、122aL<125aaLとした(図9)。これにより、磁気による圧縮力をヨーク125aa、125abで受けて、ラジアルリング磁石122a、124aの耐久性を向上させることができる。
【0125】
また、第2、第4の磁石の外径と内径との差(122aD-122ad)<第2、第4の磁石の内径(122ad)とした(図9)。これにより、ラジアルリング磁石122a、124aを製造しやすく、磁石のパーミアンスも高くすることができる。
【0126】
また、アウターヨーク126a、126bおよびカバーヨーク127が、磁石121a~124a、121b、ヨーク125aa、125abの全部または一部を覆う。これにより、磁束方向411aa0への磁束の成分を強めて効率向上に寄与する(図4)。
【0127】
なお、永久磁石の形状は本実施例で示したリング形状に限らず、他の形状としてもよい。また、第1~第4の磁石はそれぞれ単一の永久磁石に限らず、複数の永久磁石を組み合わせて構成してもよい。これらの例を変形例として図10で説明する。
【0128】
図10(a)、(b)は、インナーリングヨーク125aaおよびラジアルリング磁石122aに代わる変形例を示す模式図である。なお、インナーリングヨーク125abおよびラジアルリング磁石124aにも同様の代替を適用できる。
【0129】
図10(a)に示す例では、インナーリングヨーク125aaに代わるヨーク1025aaは、断面矩形の直方体形状である。ラジアルリング磁石122aに代わる磁石1022a1、1022a2、1022a3、1022a4が、ヨーク1025aaの周りに配置される。磁石1022a1~1022a4は互いに反発し合うため、例えば帯状の固定用部材1031aでこれらを固定してもよい。
【0130】
図10(b)に示す例では、インナーリングヨーク125aaに代わるヨーク2025aaは、断面円形である。ラジアルリング磁石122aに代わる欠円状の磁石2022a1、2022a2が、ヨーク2025aaを囲むように配置される。磁石2022a1、2022a2は、ラジアルリング磁石よりも製造が容易であるというメリットがある。なお、ヨーク2025aaを囲む欠円状の磁石は3つ以上に分割されていてもよい。
【0131】
(第2の実施形態)
図12は、本発明の第2の実施形態のリニアアクチュエータ300の模式的な断面図である。図12図3(c)に対応している。リニアアクチュエータ300において、リニアアクチュエータ100と同じ構成要素については、同じ符号を付している。リニアアクチュエータ300は、界磁部320と、コイル111a、111bとを含む。
【0132】
リニアアクチュエータ100と対応させると、界磁部320において、スラストリング磁石121aには2つの磁石321a1、321a2(第1の磁石)が対応する。スラストリング磁石123aには磁石323a(第3の磁石)が対応する。スラストリング磁石121bには2つの磁石321b1、321b2(第1の磁石)が対応する。インナーリングヨーク125aa、125abには、ヨーク325aa、325ab(ヨーク部)が対応する。配列部MAには、磁石321a1、321a2、323a、ヨーク325aa、325abのほか、ラジアルリング磁石122a、124a(第2の磁石)が含まれる。スキュワー128は廃止されている。
【0133】
磁石321a1、321a2、323a、321b1、321b2およびヨーク325aa、325abは、それぞれ内部開口の大きさがゼロとなる中実の円柱形状となっている。すなわち、リニアアクチュエータ100と比較して、リニアアクチュエータ300では、第1、第3の磁石とヨーク部とが中実の磁石とヨークとに置換されている。
【0134】
図9で説明したように、第1、第3の磁石は、主軸101に直交する方向において向心力となる斥力921a2、923a2を受けるため、スキュワーを用いなくても、磁石群およびインナーヨーク群は互いに吸引しあって離れない。そこで、リニアアクチュエータ300ではスキュワーを省略し、その分の領域を利用して磁石とヨークの体積を増すことで、駆動効率をさらに向上させている。
【0135】
なお、磁石群およびインナーヨーク群は互いに微小な振動や外部からの衝撃によりずれ等の動きが生じ得るため、これらによる構造のずれを防ぐために、例えば互いを接着等により固定してもよい。あるいは、外径側に薄いシート部材や薄板部材を接着することで補強してもよい。
【0136】
また、スキュワーを省略することに伴い、配列部MAをアウターヨーク326a、326bにより安定して固定するために、固定用の押さえ部材326a1、326b1を設けてもよい。すなわち、界磁部320において両端に位置する第1の磁石(磁石321a2、321b2)が、それぞれ押さえ部材326a1、326b1によって、アウターヨーク326a、326bに支持される。
【0137】
押さえ部材326a1、326b1は、例えば樹脂部品により構成することができ、アウターヨーク326a、326bに対してネジ止め、接着、スナップイン等により固定したり、アウトサート成形したりすることで構成することができる。
【0138】
また、リニアアクチュエータ300では、界磁部320における永久磁石群の両端部で磁石を2つ重ねた構成としている。すなわち、2つの磁石321a1、321a2と、2つの磁石321b1、321b2とが、第1の磁石として永久磁石群の両端部に位置する。これにより、第1の磁石に関しては、見かけ上の磁石の長さが2倍に延びた構造となる。
【0139】
このように、永久磁石群の周期的な配列の両端部ではそのピッチ等を変化させる等の端部処理を行ってもよい。また、各永久磁石は1つの部品ではなく、複数の部品を連ねたものとしてもよい。リニアアクチュエータ300においては、2つの磁石を直列に並べて第1の磁石を構成するという端部処理は、主として配列部MAを押さえ部材326a1、326b1に挿入するための挿入代を確保するために採用している。また、磁石321a1、321a2、321b1、321b2の構成は互いに共通であるので、部品種類の増加を抑えることができる。
【0140】
本実施形態によれば、リニアアクチュエータの駆動効率を向上させることに関し、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0141】
また、界磁部320において両端に位置する第1の磁石(磁石321a2、321b2)が、アウターヨーク326a、326bに支持されるので、スキュワー無しでも磁石群およびインナーヨーク群を安定保持することができる。しかも、磁石321a1、321a2、323a、321b1、321b2およびヨーク325aa、325abが中実であり、大きな体積を確保できるので、駆動効率をさらに向上させることができる。
【0142】
また、界磁部320における両端の第1の磁石はそれぞれ、主軸101方向に並ぶ2つ以上の磁石から構成されるので、保持領域の確保が容易である。また、2つ以上の磁石が同一構成であれば、部品種類数を抑制することができる。
【0143】
(第3の実施形態)
図13は、本発明の第3の実施形態のリニアアクチュエータ400の模式的な断面図である。図13図3(c)に対応している。リニアアクチュエータ400において、リニアアクチュエータ100と同じ構成要素については、同じ符号を付している。リニアアクチュエータ400は、界磁部420と、コイル111a、111bとを含む。
【0144】
リニアアクチュエータ100と対応させると、界磁部420において、スラストリング磁石121aには磁石421a(第1の磁石)が対応する。スラストリング磁石123aには磁石423a(第3の磁石)が対応する。スラストリング磁石121bには磁石421b1(第1の磁石)が対応する。インナーリングヨーク125aa、125abには、ヨーク425aa、425ab(ヨーク部)が対応する。配列部MAには、磁石421a、423a、ヨーク425aa、425abのほか、ラジアルリング磁石122a、124a(第2の磁石)が含まれる。スキュワー128は廃止されている。
【0145】
磁石421a、423a、421bおよびヨーク425aa、425abは中実に構成される。ヨーク425aa、425abには、主軸101方向において両側へ突出した凸部C1が設けられている。また、磁石421a、423a、421bには、凸部C1に対応して主軸101方向へくぼみ、凸部C1と嵌合する凹部H1(嵌合部)が設けられている。また、アウターヨーク126a、126bには支持部490が設けられている。
【0146】
界磁部420における両端の磁石421a、421bは、対応する支持部490によってアウターヨーク126a、126bに支持されている。ヨーク425aa、425abの凸部C1は、隣接する磁石421a、423a、421bの対応する凹部H1と嵌合される。これにより、これらの磁石群およびインナーヨーク群が同心に保持固定され、外部からの衝撃等があってもずれにくくなっている。
【0147】
凸部C1を設ける側と凹部H1を設ける側とを、例示したものとは反対にしてもよい。従って、第1、第3の磁石またはヨーク部のいずれか一方に凸部C1を設け、いずれか他方に凹部H1を設ければよい。ただし、一般に、脆性材料である永久磁石に小さい凸部を設けることは難しい。一方、ヨークについては、一般に磁性材を粉体焼結や線材のヘッダ加工をすることで凸部を形成することは容易である。そのため、図13に示した例を採用するのが好ましい。
【0148】
なお、凹部H1のような止まり穴形状に限らず、凸部C1と嵌合される他の形状の嵌合部を採用してもよい。例えば、止まり穴に代えて、貫通穴を採用してもよい。
【0149】
なお、本実施形態においても、第2の実施形態で採用した端部処理を採用し、磁石421a、421bを押さえ部材326a1、326b1を介してアウターヨーク126a、126bに保持させてもよい。
【0150】
本実施形態によれば、リニアアクチュエータの駆動効率を向上させることに関し、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0151】
また、凸部C1と凹部H1との係合によって、磁石群およびインナーヨーク群が径方向にずれにくくなる。しかも、スキュワー無しでも磁石群およびインナーヨーク群を安定保持することができる。また、磁石421a、423a、421bおよびヨーク425aa、425abは中実であるので、駆動効率をさらに向上させることができる。
【0152】
(第4の実施形態)
図14は、本発明の第4の実施形態のリニアアクチュエータ500の模式的な断面図である。図14図3(c)に対応している。リニアアクチュエータ500において、リニアアクチュエータ100と同じ構成要素については、同じ符号を付している。リニアアクチュエータ500は、界磁部520と、コイル111a、111bとを含む。
【0153】
リニアアクチュエータ100と対応させると、界磁部520において、スラストリング磁石121aには磁石521a(第1の磁石)が対応する。スラストリング磁石123aには磁石523a(第3の磁石)が対応する。スラストリング磁石121bには磁石521b1(第1の磁石)が対応する。インナーリングヨーク125aa、125abには、ヨーク525aa、525ab(ヨーク部)が対応する。磁石521a、523a、521bは、磁石121a、123a、121bと同様に構成される。配列部MAには、磁石521a、523a、ヨーク525aa、525abのほか、ラジアルリング磁石122a、124a(第2の磁石)が含まれる。
【0154】
ヨーク525aa、525abの内径部には、それぞれ、シャフト部材525aa1、525ab1が挿入され、ヨーク525aa、525abと一体化されている。シャフト部材525aa1、525ab1が主軸101方向に突出する。これは、第3の実施形態(図13)の構成において、凸部C1を、ヨーク425aa、425abに一体ではなく、別部材のシャフト部材を圧入すること等によって構成したものに相当する。シャフト部材525aa1、525ab1のうち主軸101方向に突出した部分が、隣接する磁石521a、523a、521bの内径穴(内部開口D1、D3に相当)に嵌合される。従って、シャフト部材525aa1、525ab1が凸部C1(図13)と同様の機能を果たす。これにより、スキュワーを使用しなくても磁石群およびインナーヨーク群が保持される。なお、磁石521a、523a、521bに貫通穴ではなく凹部H1(図13)を設けてもよい。
【0155】
なお、図14に示す構成は、リニアアクチュエータ100(図3(c))においてシャフト128aを細分化した構成と見なすこともできる。従って、第1の実施形態において、複数に分割された棒部材(シャフト部材525aa1、525ab1)が主軸101方向に直列に配置されてシャフト128a(串部)が成る構成を採用してもよい。その際の分割数は問わない。
【0156】
図14に示す構成では、小径で長尺のスキュワーの強度を考慮する必要が無くなるため、嵌合径を小径としたままリニアアクチュエータを長尺化しやすいという利点がある。
【0157】
なお、磁石521a、523a、521bとの嵌合代の長さによって、シャフト部材525aa1、525ab1を磁性材で構成するか非磁性材で構成するかを決定するのが望ましい。例えば、嵌合代が短い場合は、シャフト部材を磁性材により構成することで、ヨークの体積を増すことによる効率向上が期待できる。一方、嵌合代が長い場合は、スラストリング磁石の内径側の非有効磁束による効率低下を避けるために、シャフト部材を非磁性材で構成するのが望ましい。
【0158】
本実施形態によれば、リニアアクチュエータの駆動効率を向上させることに関し、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0159】
また、シャフト部材525aa1、525ab1と磁石521a、523a、521bの内径穴とが係合することで、磁石群およびインナーヨーク群が径方向にずれにくくなる。しかも、スキュワー無しでも磁石群およびインナーヨーク群を安定保持することができる。また、磁石521a、523a、521bおよびヨーク525aa、525abは中実であるので、駆動効率をさらに向上させることができる。
【0160】
なお、本発明は、交換レンズ20のようなレンズ鏡筒に適用されてもよいし、レンズ一体型の撮像装置に適用されてもよいし、あるいはカメラ本体に適用されてもよい。例えば、本発明をレンズ鏡筒に適用する場合、界磁部またはコイルの一方はレンズ鏡筒の筐体に固定され、界磁部またはコイルの他方がフォーカスレンズ群等の光学素子に固定されてもよい。あるいは、本発明をレンズ一体型のカメラに適用する場合、界磁部またはコイルの一方がカメラ本体に固定され、界磁部またはコイルの他方がフォーカスレンズ群等の光学素子に固定されてもよい。
【0161】
また、本発明を光学装置に適用する場合でも、フォーカスレンズ群以外のレンズ駆動部に適用してもよい。さらに、本発明は、光学装置や撮像装置に限らず、各種の装置や電子機器に適用可能である。例えば、HDD(ハートディスク)の読み取りヘッド駆動部、産業用の搬送装置等に適用してもよい。すなわち、上述した実施形態におけるリニアアクチュエータと、当該リニアアクチュエータによって移動可能な被駆動体と、を有する駆動装置であれば、被駆動体の種類はレンズなどに限定されない。
【0162】
なお、各実施形態において、「略」を付したものは完全を除外する趣旨ではない。例えば、「略比例」、「略平行」、「略等しい」、「略直交」、「略一致」、「略同心」は、それぞれ完全な「比例」、「平行」、「等しい」、「直交」、「一致」、「同心」を含む趣旨である。
【0163】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。上述の実施形態の一部を適宜組み合わせてもよい。
【0164】
本実施形態の開示は、以下の構成を含む。
(構成1)
いずれも永久磁石である第1、第2、第3、第4の磁石がこの順で所定方向に配列された配列部と、前記配列部に包含されるヨーク部と、を含む界磁部と、
前記界磁部に対して相対的に所定方向に移動可能なように、前記配列部の周囲に巻回されたコイルと、を有し、
前記第1、第3の磁石の磁化方向は、前記所定方向に平行で且つ互いに反対向きであり、
前記第2、第4の磁石は、前記所定方向に平行な仮想軸線が通る内部開口を有し、
前記第2、第4の磁石の磁化方向は、前記所定方向と交差しており、前記仮想軸線を中心とする外向きまたは内向きで且つ互いに反対向きであり、
前記第1の磁石における前記第2の磁石と対向する磁極は、前記第2の磁石における内側の磁極に対して異極であり、
前記第3の磁石における前記第4の磁石と対向する磁極は、前記第4の磁石における内側の磁極に対して異極であり、
前記ヨーク部は、前記第2、第4の磁石のそれぞれの内部開口に配置されたことを特徴とするリニアアクチュエータ。
(構成2)
前記第1、第3の磁石は、前記仮想軸線が通る内部開口を有し、
前記第2、第4の磁石の内部開口は、前記第1、第3の磁石の内部開口よりも大きいことを特徴とする構成1に記載のリニアアクチュエータ。
(構成3)
前記ヨーク部は、前記仮想軸線が通る内部開口を有し、
前記ヨーク部の内部開口の大きさは前記第1、第3の磁石の内部開口の大きさと略等しいことを特徴とする構成2に記載のリニアアクチュエータ。
(構成4)
前記第1、第3の磁石の内部開口および前記ヨーク部の内部開口を貫通して設けられた串部を有することを特徴とする構成3に記載のリニアアクチュエータ。
(構成5)
前記串部は、非磁性材で構成されることを特徴とする構成4に記載のリニアアクチュエータ。
(構成6)
前記串部は、複数に分割された棒部材が前記仮想軸線方向に直列に配置されて成ることを特徴とする構成4または5に記載のリニアアクチュエータ。
(構成7)
前記第2、第4の磁石の外径は、前記第1、第3の磁石の外径よりも小さいことを特徴とする構成1乃至6のいずれか1つに記載のリニアアクチュエータ。
(構成8)
前記仮想軸線方向において、前記第2、第4の磁石の長さは前記ヨーク部の長さよりも短いことを特徴とする構成1乃至7のいずれか1つに記載のリニアアクチュエータ。
(構成9)
前記第2、第4の磁石の外径と内径との差は前記第2、第4の磁石の内径よりも小さいことを特徴とする構成1乃至8のいずれか1つに記載のリニアアクチュエータ。
(構成10)
前記配列部の一部または全部を覆うアウターヨークをさらに有することを特徴とする構成1乃至9のいずれか1つに記載のリニアアクチュエータ。
(構成11)
前記第1の磁石は、前記界磁部に含まれる磁石のうち前記仮想軸線方向における端に位置し、前記アウターヨークにより支持されることを特徴とする構成10に記載のリニアアクチュエータ。
(構成12)
前記第1の磁石は、前記仮想軸線方向に並ぶ同一構成の2つ以上の磁石から構成されることを特徴とする構成11に記載のリニアアクチュエータ。
(構成13)
前記第1、第3の磁石または前記ヨーク部のいずれか一方には、前記仮想軸線方向へ突出した凸部が設けられ、
前記第1、第3の磁石または前記ヨーク部のいずれか他方には、前記凸部が嵌合される嵌合部が設けられることを特徴とする構成1、7乃至12のいずれか1つに記載のリニアアクチュエータ。
(構成14)
前記第1、第3の磁石および前記ヨーク部は中実であることを特徴とする構成1、7乃至13のいずれか1つに記載のリニアアクチュエータ。
(構成15)
構成1乃至14のいずれか1つに記載のリニアアクチュエータと、
筐体と、
光学素子を含み、前記所定方向に略平行な光軸を有する光学系と、を有し、
前記界磁部または前記コイルの一方は前記筐体に固定され、
前記界磁部または前記コイルの他方は前記光学素子に固定され、
前記光学素子は、前記筐体に対して相対的に前記光軸方向に移動することを特徴とするレンズ鏡筒。
(構成16)
前記光学素子は、フォーカスレンズであることを特徴とする構成15に記載のレンズ鏡筒。
(構成17)
構成15に記載のレンズ鏡筒と、
前記光学系を通過した光学像を電気信号に変換する撮像素子と、を有することを特徴とする撮像装置。
(構成18)
構成1乃至14のいずれか1つに記載のリニアアクチュエータと、
本体と、
光学素子を含み、前記所定方向に略平行な光軸を有する光学系と、
前記光学系を通過した光学像を電気信号に変換する撮像素子と、を有し、
前記界磁部または前記コイルの一方は前記本体に固定され、
前記界磁部または前記コイルの他方は前記光学素子に固定され、
前記光学素子は、前記本体に対して相対的に前記光軸方向に移動することを特徴とする撮像装置。
(構成19)
構成1乃至14のいずれか1つに記載のリニアアクチュエータと、
前記リニアアクチュエータによって移動可能な被駆動体と、を有することを特徴とする駆動装置。
【符号の説明】
【0165】
101 主軸
111a、111b コイル
120 界磁部
121a~124a スラストリング磁石
125aa、125ab インナーリングヨーク
MA 配列部
D2、D4 内部開口
図1
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