(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162837
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】キャスター
(51)【国際特許分類】
B60B 33/00 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
B60B33/00 R
B60B33/00 F
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078764
(22)【出願日】2023-05-11
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-06
(71)【出願人】
【識別番号】000152664
【氏名又は名称】株式会社日乃本錠前
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】川井 学
(57)【要約】
【課題】 路面の凹凸部や段差部を移動する際に発生する騒音や振動を低減することができるとともに、長期にわたって安定したサスペンション機能を発揮することのできるキャスターを提供する。
【解決手段】基台部10と、本体部20と、緩衝部材30を介して設けられる左右一対の車輪40と、を備えたキャスターであって、本体部20は、収容凹部22cと、収容凹部22cの下部に連通する長孔22dと、を有し、緩衝部材30は、収容凹部22c内に上下動可能に支持される第1可動部材31と、開口部22c1を閉塞する閉塞部材33と、第1可動部材31と閉塞部材33との間に配置される弾性体32と、を有し、左右一対の車輪40は、長孔22dに挿通された車軸41の左右の端部にそれぞれ回動自在に連結されるとともに、車軸41の中央部は、第1可動部材31に形成された貫通孔31a6に支持される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付体の底部に取り付けられる基台部と、
前記基台部の下部に旋回可能に設けられる本体部と、
前記本体部に緩衝部材を介して設けられる左右一対の車輪と、
を備えたキャスターであって、
前記本体部は、
前記本体部の上面に形成された開口部で開口する略鉛直状に延びる収容凹部と、
前記収容凹部の下部に連通するとともに、前記本体部の左右の側面に貫通する縦長の長孔と、を有し、
前記緩衝部材は、
前記収容凹部内に上下動可能に支持される第1可動部材と、
前記開口部を閉塞する閉塞部材と、
前記第1可動部材と前記閉塞部材との間に配置される弾性体と、を有し、
前記左右一対の車輪は、前記長孔に挿通された車軸の左右の端部にそれぞれ回動自在に連結されるとともに、前記車軸の中央部は、前記第1可動部材に形成された貫通孔に支持される
ことを特徴とするキャスター。
【請求項2】
前記本体部には、前記側面と前記収容凹部の内面とを水平に貫通する本体側貫通孔が形成され、
前記閉塞部材には、前記本体側貫通孔に連通する閉塞部材側貫通孔が形成され、
前記閉塞部材は、前記閉塞部材側貫通孔と前記本体側貫通孔に挿通された連結ピンにより前記開口部に固定される
ことを特徴とする請求項1項記載のキャスター。
【請求項3】
上下方向に延びる板状のカバー体と、前記カバー体の内側面から略水平方向に延びる内側円筒部と、前記カバー体の外側面から略水平方向に延びる外側円筒部と、を有する左右一対の第2可動部材をさらに備え、
前記第2可動部材は、前記カバー体、前記内側円筒部及び前記外側円筒部に形成された略水平方向に貫通する軸支孔を有するとともに、この軸支孔で前記車軸を挿通して支持し、
前記内側円筒部は、前記本体部の前記長孔に対して上下動可能に設けられるとともに、前記カバー体は、前記長孔を前記側面側から覆うように設けられる
ことを特徴とする請求項1又は2記載のキャスター。
【請求項4】
前記内側円筒部の先端部は、前記第1可動部材に形成された前記貫通孔に嵌め合わされて固定されている
ことを特徴とする請求項3記載のキャスター。
【請求項5】
前記本体部の前記側面には、前記長孔を取り囲むように凹状に形成された縦長の案内溝が形成されており、
前記カバー体は、前記案内溝に収容されるとともに、上下方向にスライド可能に案内支持されることを特徴とする請求項4記載のキャスター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャスターに関し、特に、サスペンション機構を備えたキャスターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
キャスター座と、弾性機構と、シャフトと、ホイールとを備えるサスペンション付キャスターが従来技術として知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術においては、弾性機構が、キャスター座のフォークに形成されたスリット内に配置され、外部にむき出し状態となっているため、外部からの塵埃、砂、小石等の異物の侵入や雨水の浸入により弾性機構の不具合が生じる等の問題もあり、路面の凹凸部や段差部を移動する際に発生する騒音又は振動を低減することができないおそれがある。
また、近年、キャスターの耐久性や製造性を考慮した部品の設計も重要になってきている。
【0005】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであって、路面の凹凸部や段差部を移動する際に発生する騒音や振動を低減し、長期にわたって安定したサスペンション機能を発揮するとともに、耐久性や製造性に優れたキャスターを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題に鑑みて、本発明の一つは、以下の構成を具備するものである。
被取付体の底部に取り付けられる基台部と、前記基台部の下部に旋回可能に設けられる本体部と、前記本体部に緩衝部材を介して設けられる左右一対の車輪と、を備えたキャスターであって、前記本体部は、前記本体部の上面に形成された開口部で開口する略鉛直状に延びる収容凹部と、前記収容凹部の下部に連通するとともに、前記本体部の左右の側面に貫通する縦長の長孔と、を有し、前記緩衝部材は、前記収容凹部内に上下動可能に支持される第1可動部材と、前記開口部を閉塞する閉塞部材と、前記第1可動部材と前記閉塞部材との間に配置される弾性体と、を有し、前記左右一対の車輪は、前記長孔に挿通された車軸の左右の端部にそれぞれ回動自在に連結されるとともに、前記車軸の中央部は、前記第1可動部材に形成された貫通孔に支持されることを特徴とするキャスター。
【発明の効果】
【0007】
本発明のキャスターは、以上の構成により、凹凸部又は段差部を有する路面を移動する場合でも、そのような路面をスムーズに通過することができるとともに、凹凸部又は路面の段差部を通過する際に発生する騒音や振動を好適に低減することができる。さらに、長期にわたって安定したサスペンション機能を発揮するとともに、耐久性や製造性にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係るサスペンション機構を備えたキャスターの一例を示す概略斜視図である。
【
図2】同キャスターの概略側面図(部分断面図を含む)である。
【
図3】同キャスターの基台部を除いた概略平面図(部分断面図を含む)である。
【
図4】同キャスターにおける本体部の構成を示す概略斜視図である。
【
図5】同キャスターにおける本体部と第2可動部材の構成を示す概略斜視図である。
【
図6】
図6(a)は、同キャスターにおける緩衝部材の構成を分割して示す概略側面図であり、
図6(b)は、同キャスターにおける緩衝部材の構成を一体化して示す概略斜視図である。
【
図7】同キャスターにおける車輪の構成を示す概略斜視図である。
【
図8】同キャスターの組付け工程の一例を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0010】
本実施形態に係るサスペンション機構を備えたキャスター1は、
図1及び
図2に示すように、基台部10と、この基台部10の下部に旋回可能に設けられる本体部20と、この本体部20に設けられる緩衝部材30及び車輪40と、を含み構成される。
キャスター1は、スーツケースや鞄等の被取付体の底部に取付けられ、被取付体を路面や床面で移動可能に構成するものである。
以下、本実施形態に係るキャスター1の具体的な構成の例について説明する。
【0011】
(基台部)
基台部10は、例えば、スーツケースや鞄等の被取付体の底部にネジ等の固定具により固定される構造体をなす。この基台部10は、例えば、合成樹脂により形成される。
基台部10の底部には、
図2に示すように、旋回軸11が軸受け(不図示)等を介して回転可能に設けられている。この旋回軸11は、例えば、金属製の軸材から形成されており、本体部20の第1ヘッド部材21に形成された軸孔21aに挿通されて取付支持される。
【0012】
(本体部)
本体部20は、基台部10に対し旋回軸11を介して旋回可能(水平方向に回転可能)に固定される。この本体部20は、本体部20の前方側に位置する第1ヘッド部材21と、この第1ヘッド部材21の後方側に連接される第2ヘッド部材22とを有する。これら第1ヘッド部材21及び第2ヘッド部材22は、例えば、合成樹脂により一体成形される。
なお、本実施形態において、「前方側」とは、キャスター1の進行方向(
図2の左右方向)を基準として、進行方向前方側(
図2の左側)を意味し、「後方側」とは、進行方向後方側(
図2の右側)を意味する。
【0013】
<第1ヘッド部材>
第1ヘッド部材21は、
図2~
図4に示すように、例えば、上下方向に延びる柱状に形成される。この第1ヘッド部材21の中央部には、旋回軸11を挿通して支持する略鉛直状に延びる軸孔21aが形成され、この軸孔21aに基台部10に設けられた旋回軸11が支持される。
【0014】
<第2ヘッド部材>
第2ヘッド部材22は、第1ヘッド部材21の後方側に連接される。この第2ヘッド部材22は、
図4に示すように、例えば、第1ヘッド部材21の後部側から後方に向かって略凸湾曲状に下り傾斜する上面22aと、この上面22aの左右方向の両側縁から下方に延びる左右の側面22bを有するブロック体として形成されている。
【0015】
第2ヘッド部材22は、サスペンション機構の一部を構成するものであり、後述する緩衝部材30を収容する収容部として機能する。この第2ヘッド部材22は、
図4に示すように、略鉛直状に延びるとともに、上面22aに形成された開口部22c1で開口する収容凹部22cと、この収容凹部22cの下部に連通するとともに、左右の側面22bに貫通する縦長の長孔22dと、この長孔22dを凹状に取り囲むように左右の側面22bに形成された縦長の案内溝22eと、左右の側面22bと収容凹部22cの内面とを貫通する本体側貫通孔22fと、を有する。
【0016】
[収容凹部]
収容凹部22cは、第1ヘッド部材21に形成された軸孔21aに対して後方に離間し、かつ、略平行をなすように略鉛直状に延びて形成されている。この収容凹部22cには、開口部22c1を通して挿入される後述する緩衝部材30の第1可動部材31や弾性体32等(
図2参照)が収容される。
【0017】
また、収容凹部22cの上部前側には、後述する閉塞部材33(
図2、
図6参照)の前側係止部33aを受け入れるように凹状の前側受入れ凹部22c6が形成されている。また、収容凹部22cの上部後側には、閉塞部材33の後側係止部33bを受け入れるように凹状の後側受入れ凹部22c7が形成されている。
収容凹部22cの開口部22c1は、これら前側受入れ凹部22c6及び後側受入れ凹部22c7に、それぞれ閉塞部材33の前側係止部33a及び後側係止部33bが収容支持されることで閉じられる。
【0018】
[長孔]
長孔22dは、
図4及び
図5に示すように、収容凹部22cの下部に連通するとともに、左右の側面22bに貫通する縦長に形成される。この長孔22dは、後述する第2可動部材34(
図5参照)の内側円筒部34bを上下方向にスライド可能に支持する。
また、この長孔22dは、第2可動部材34のカバー体34aにより塞がれる。
【0019】
[案内溝]
案内溝22eは、
図4及び
図5に示すように、長孔22dを凹状に取り囲むように左右の側面22bに形成される。この案内溝22eは、後述する第2可動部材34(
図5参照)のカバー体34aを収容し、上下方向にスライド可能に案内支持する。
【0020】
[本体側貫通孔]
本体側貫通孔22fは、
図4及び
図5に示すように、第2ヘッド部材22の側面22b(上方の前側位置)と収容凹部22cの内面とを水平に貫通するように形成されている。この本体側貫通孔22fは、第2ヘッド部材22の開口部22c1に装着する閉塞部材33(
図2参照)を連結固定するための連結孔として機能する。つまり、本体側貫通孔22fは、開口部22c1に装着した閉塞部材33の閉塞部材側貫通孔33a1(
図6(a)参照)と連通するように構成されており、これらの貫通孔22f,33a1に連結ピン35(
図6(b)参照)が挿通されることで、開口部22c1に閉塞部材33が取り付け固定される。
【0021】
(車輪)
キャスター1は、
図1及び
図3に示すように、左右一対の車輪40を所要の間隔をあけて車軸41により連結する双輪形に形成されている。この車輪40は、
図3に示すように、車軸41と、車軸41に支持される軸受42を有するホイール43と、ホイール43の外周部に取付け固定されたタイヤ44と、ホイール43の外側面を覆うホイールキャップ45とを有する。
【0022】
<車軸>
車軸41は、
図3に示すように、左右一対の車輪40が回転可能となるように車輪40を貫通して支持する部分である。この車軸41は、例えば、金属材により棒状に形成され、車軸41の一端に形成されたフランジ状の頭部41aを一方車輪40の軸受42内輪の一側面に当て止めるとともに、車軸41の他端41bを他方車輪40の軸受42内輪に対してカシメ付けるようにしたものである。
また、車軸41の中央部は、後述する第1可動部材31の基部31a(
図6参照)に支持される。
【0023】
<ホイール>
ホイール43は、
図3に示すように、その外周部にタイヤ44の内周部と係合する係合部43aを有するとともに、その中央の軸孔43bに軸受42を一体的に設けた環状体として構成される。
係合部43aは、例えば、外方に突出する突出形状に形成され、タイヤ44の内周部に形成された凹状の被係合部44aと係合(嵌合)するように構成されている。このホイール43は、例えば、合成樹脂から形成される。
軸受42は、例えば、不図示の内輪、転動体及び外輪からなるボールベアリング等の軸受から構成される。この軸受42は、例えば、その外輪がホイール43の軸孔43bに一体的に取り付けられて設けられる。なお、軸受42は、ホイール43の回転運動を軸受42の内方に取り付けられる車軸41に伝えない構造のものであればよい。
【0024】
<タイヤ>
タイヤ44は、
図3に示すように、その内周部にホイール43の係合部43aと係合する被係合部44aが設けられている。この被係合部44aは、例えば、ホイール43の係合部43aと嵌合状態で係合する凹状に形成されている。このタイヤ44は、例えば、ゴムや合成樹脂から形成される。
なお、タイヤ44とホイール43とは、接着材あるいは溶着により接合してもよい。また、タイヤ44とホイール43とを、合成樹脂により一体成形するように構成してもよい。
【0025】
<ホイールキャップ>
ホイールキャップ45は、
図3に示すように、ホイール43の外側面を覆うように取り付けられる。ホイールキャップ45は、例えば、
図7に示すように、ホイールキャップ45の外周部内側面に複数の鉤形状の係止部45aを突出するように設け、これら係止部45aをホイール43に形成した複数の係止孔43cに係止させることで取り付け固定することができる。
【0026】
このホイールキャップ45は、車軸41や軸受42等の各構造部への塵埃、砂、小石等の異物や雨水の侵入を防ぎ車輪40を保護するとともに、車輪40の意匠性を高めることができる。
【0027】
なお、車輪40を構成するホイール43やタイヤ44には、キャスター1が移動中等に静電気が発生しないように、帯電防止剤を含有させたものとすることができる。
【0028】
(緩衝部材)
緩衝部材30は、サスペンション機構の一部を構成するものであり、本体部20の第2ヘッド部材22に装着される。この緩衝部材30は、本体部20の第2ヘッド部材22に対して、左右一対の車輪40を上下動可能に支持し、車輪40が路面(走行面)に存在する段差や凹凸を通過するときに生じる衝撃を弾性体32の付勢力に抗して車輪40を上方に移動させることで衝撃を緩和するとともに、騒音や振動を低減するように構成したものである。
【0029】
緩衝部材30は、
図2及び
図6に示すように、本体部20の第2ヘッド部材22に形成された収容凹部22c内に上下動可能(摺動可能)に支持される第1可動部材31と、収容凹部22cの開口部22c1を閉塞する閉塞部材33と、第1可動部材31と閉塞部材33との間に配置された弾性体32とを有する。
【0030】
<第1可動部材>
第1可動部材31は、
図6に示すように、貫通孔31a6,31a7が形成された基部31aと、基部31aの上部に設けられた第1弾性体保持部31bを有する。この第1可動部材31は、収容凹部22c対して上下動可能に支持されるとともに、車輪40の車軸41を支持する支持部をなす。
以下、第1可動部材31の具体的な構成について説明する。
【0031】
[基部]
基部31aは、車輪40の車軸41を固定的に支持する支持部をなす。基部31aは、
図6に示すように、略水平状の上面31a1と、上面31a1の左右の側縁から下方に延びる左右一対の側面31a2と、上面31a1の前縁及び後縁からそれぞれ下方に略鉛直状に延びる前面31a3及び後面31a4と、前面31a3の下端及び後面31a4下端を連結するように略凸湾曲状に形成された底面31a5を有するブロック状に形成されている。
この基部31aには、
図3及び
図6に示すように、基部31aの両側面31a2間を貫通する貫通孔31a6,31a7が形成されている。この貫通孔31a6,31a7は、中央に位置する中央側貫通孔31a6と、この中央側貫通孔の31a6の両端部側に位置して中央側貫通孔31a6と連通する一対の側部側貫通孔31a7とからなる。
【0032】
中央側貫通孔31a6は、側部側貫通孔31a7の径よりも小さく形成されており、車輪40の車軸41を嵌合状態で支持するように形成されている。
また、一対の側部側貫通孔31a7は、中央側貫通孔31a6の径よりも大きく形成されており、後述する第2可動部材34の内側円筒部34b(
図5参照)を嵌合状態で支持するように形成されている。
【0033】
基部31aの底面31a5は、
図2に示すように、弾性体32の付勢力により下方に押圧された状態で、収容凹部22cの底壁面22c5に当接して安定して支持される。
また、基部31aの両側面31a2、前面31a3及び後面31a4は、
図2~
図4に示すように、収容凹部22cの左右の側壁面22c2、前壁部22c3及び後壁面22c4にそれぞれ当接した状態で上下方向に移動可能に案内(摺動案内)される。
このように構成されているため、移動中の車輪40が路面(走行面)の段差や凹凸から衝撃を受けると、弾性体32の付勢力に抗して車輪40が円滑に上方に移動し、衝撃を緩和するとともに騒音や振動を低減することができる。
【0034】
[弾性体保持部]
基部31aの上面31a1には、上方に突出する円筒あるいは円柱状に形成された第1弾性体保持部31bが設けられている。この第1弾性体保持部31bは、例えば、らせん状のコイルバネから構成される弾性体32の下部に挿通され嵌合状態で弾性体32を保持するものである。
なお、基部31aと第1弾性体保持部31bとは、例えば、合成樹脂により一体成形される。
【0035】
<閉塞部材>
閉塞部材33は、収容凹部22cの開口部22c1を閉塞するとともに、弾性体32の上部を支持する部位をなす。この閉塞部材33は、
図6に示すように、前側に位置する前側係止部33aと、後側に位置する後側係止部33bと、前側係止部33aと後側係止部33bとを前後方向に連結する連結部33cとを有する。これら前側係止部33a、後側係止部33b及び連結部33cは、例えば、合成樹脂により一体成形される。
【0036】
[前側係止部]
前側係止部33aは、収容凹部22cの前側受入れ凹部22c6に収容支持される部位をなす。前側係止部33aの下面33a2は、
図2に示すように、前側受入れ凹部22c6の下面22c61に載置されて支持される。
【0037】
また、前側係止部33aには、
図6(a)に示すように、左右方向に略水平状態に延びる閉塞部材側貫通孔33a1が形成されている。この閉塞部材側貫通孔33a1は、前側係止部33aが、収容凹部22cの前側受入れ凹部22c6に収容支持された際(つまり、閉塞部材33を収容凹部22cの開口部22c1に装着した際)、第2ヘッド部材22に形成された本体側貫通孔22fと連通するように形成されている。
前側係止部33aの閉塞部材側貫通孔33a1と、第2ヘッド部材22に形成された本体側貫通孔22fに連結ピン35(
図6(b)参照)が挿通されることで、開口部22c1に閉塞部材33が取り付け固定される。
【0038】
[後側係止部]
後側係止部33bは、収容凹部22cの後側受入れ凹部22c7に収容支持される部位をなす。後側係止部33bの下部には、
図2及び
図6に示すように、後方側に突出して延びる突起部33b1が設けられている。この突起部33b1は、
図2に示すように、収容凹部22cの後側受入れ凹部22c7に収容されて係止される。
【0039】
具体的には、突起部33b1は、後側受入れ凹部22c7に収容された状態で、突起部33b1の上面33b11が、後側受入れ凹部22c7の上壁面22c71と当接するとともに、突起部33b1の底面33b12が、後側受入れ凹部22c7の底壁面22c72に支持された状態で係止されて位置固定される。
【0040】
したがって、閉塞部材33は、後側係止部33bの突起部33b1が収容凹部22cの後側受入れ凹部22c7に係止されるとともに、前側係止部33aが収容凹部22cの前側受入れ凹部22c6に載置された状態で、前側係止部33aの閉塞部材側貫通孔33a1と第2ヘッド部材22の本体側貫通孔22fに連結ピン35が挿通されて第2ヘッド部材22に不動に取り付け固定される。
したがって、閉塞部材33は、本体部20の第2ヘッド部材22の開口部22c1に不動に強固に取り付け固定されるため、弾性体32を上方から安定して支持することができ、緩衝部材30の機能を安定して維持することができる。
【0041】
[連結部]
連結部33cは、
図6に示すように、前側係止部33aと後側係止部33bとを前後方向に連結する。この連結部33cの下面には、下方に突出する円筒あるいは円柱状に形成された第2弾性体保持部33c1が設けられている。この第2弾性体保持部33c1は、例えば、コイルスプリングから構成される弾性体32の上部に挿通され嵌合状態で弾性体32を保持するものである。
【0042】
また、本実施形態において、前側係止部33a、後側係止部33b及び連結部33cの上面である閉塞部材33の上面33dは、
図2に示すように、閉塞部材33を収容凹部22cの開口部22c1に取り付け固定した際、第2ヘッド部材22の上面22aと滑らかに連続するように略面一になるように形成されている。
したがって、第2ヘッド部材22の上面22aや閉塞部材33の上面33dに付着した塵埃等は、略面一となる連続する各上面22a,33dをふき取るなどして容易に除去することができ、キャスターの安定した使用が可能となる。
【0043】
<弾性体>
弾性体32は、弾性体32の上部が閉塞部材33の第2弾性体保持部33c1に保持されるとともに、弾性体32の下部が第1可動部材31の第1弾性体保持部31bに保持された状態で、収容凹部22cに収容される。この弾性体32は、例えば、金属製のコイルバネから構成することができる。
【0044】
弾性体32は、閉塞部材33により収容凹部22cの開口部22c1が閉じられると、閉塞部材33と第1可動部材31との間で圧縮された状態となり、第1可動部材31を収容凹部22cの底壁面22c5に押圧するように付勢する。
したがって、この弾性体32によって、車輪40が路面(走行面)に存在する段差や凹凸を通過するときに生じる衝撃(負荷、外力)を吸収することができる。つまり、段差や凹凸を通過するときに生じる衝撃は、弾性体32の付勢力に抗して車輪40を上方に移動させることで吸収され、キャスター1の緩衝機能や消音機能を奏するとともに、段差や凹凸からなる路面においても、キャスターをスムーズに移動させることができる。
【0045】
また、弾性体32として、それぞれバネ定数の異なる複数のコイルバネを用意し、例えば、キャスター1の製造時に選択的に緩衝部材30の弾性体32として適用することができる。例えば、大型のスーツケース用にバネ定数を設定したコイルバネと、中型のスーツケース用にバネ定数を設定した中型用コイルバネと、小型のスーツケース用にバネ定数を設定した小型用コイルバネの3種類のコイルバネを用意し、キャスター1の取り付け対象となるスーツケースのサイズ(大型、中型、小型)に対応するバネ定数のコイルバネを選択して適用することができる。なお、複数のバネ定数の異なったコイルバネは、コイルバネを構成する材料の直径dや、有効巻数Nや、コイル平均径D等を適宜設定して構成すればよい。
【0046】
<第2可動部材>
第2可動部材34(
図5参照)は、第2ヘッド部材22の長孔22d及び案内溝22eに対して上下動可能に装着されるとともに、車輪40の車軸41を支持する支持部をなす。
【0047】
第2可動部材34は、上下方向に延びる板状のカバー体34aと、このカバー体34aの内側面34a1から内側に略水平方向に延びる内側円筒部34bと、カバー体34aの外側面34a2から外側に略水平方向に延びる外側円筒部34cと、を有する。
【0048】
また、カバー体34a、内側円筒部34b及び外側円筒部34cには、車輪40の車軸41を支持するための略水平方向に貫通する軸支孔34dが形成されている。これらカバー体34a、内側円筒部34b及び外側円筒部34cは、例えば、合成樹脂により一体成形される。
【0049】
以下、カバー体34a、内側円筒部34b及び外側円筒部34cの具体的な構成について説明する。
【0050】
[カバー体]
カバー体34aは、
図5に示すように、上下方向に延びる板状に形成されており、内側面34a1と、外側面34a2と、これら内側面34a1と外側面34a2の上部、中央部及び下部のそれぞれに連接される上端面34a3、側端面34a4,34a5及び下端面34a6とを有する。
また、カバー体の34aの中央部には、軸支孔34dが形成されている。
【0051】
カバー体34aは、本体部20の第2ヘッド部材22に形成された凹状の案内溝22e内に収容され、この案内溝22eで上下方向に移動可能に案内(摺動案内)される。具体的には、カバー体34aの前方の側端面34a4及び後方の側端面34a5は、それぞれ、案内溝22eの前方の壁部22e1及び後方の壁部22e2に当接状態で上下方向に案内(摺動)される。
したがって、車輪40は、本体部20に対して安定して上下動することができる。
【0052】
また、カバー体34aは、第2ヘッド部材22に形成された長孔22dの大きさよりも大きく、かつ、カバー体34aが案内溝22eに対して最も下方に位置する下位置から、最も上方に位置する上位置の間で上下動する状態において、長孔22dの全てを覆う大きさに形成されている。
したがって、第2ヘッド部材22に形成された長孔22dは、キャスター1の移動時において、常にカバー体34aによって覆われてカバーされることから、収容凹部22c内への塵埃等の異物や雨水等の液体の侵入を防止することができ、長期にわたって安定した緩衝部材30の性能を維持することができる。
【0053】
[内側円筒部]
内側円筒部34bは、カバー体34aの内側面34a1から内側に略水平方向に延びるように形成されている。この内側円筒部34bの内部には、軸支孔34dが形成されており、この軸支孔34dに車輪40の車軸41を嵌合させて支持する。
また、内側円筒部34bは、本体部20の第2ヘッド部材22に形成された長孔22dに上下方向にスライド可能に案内支持される。
したがって、車輪40は、本体部20に対して安定して上下動することができる。
【0054】
[外側円筒部]
外側円筒部34cは、カバー体34aの外側面34a2から外側に略水平方向に延びるように形成されている。この外側円筒部34cの内部には、軸支孔34dが形成されており、この軸支孔34dに車輪40の車軸41を嵌合させて支持する。
また、外側円筒部34cの端部は、例えば、
図3に示すように、軸受42の内輪(不図示)に当接する車輪40の位置決め部として機能する。
したがって、車輪40は、緩衝部材30に対して安定して支持されることから、長期にわたって車輪40の安定した回動性能を維持することができる。
【0055】
(キャスターの製造方法)
次に、上述したキャスター1の組付け工程(製造方法)の一例について説明する。
図8には、キャスター1の組付け工程の一例を示す工程図が示されている。
【0056】
[第1工程]
第1工程st1は、本体部20の第2ヘッド部材22に形成された収容凹部22c(
図4参照)に、緩衝部材30(
図6参照)の第1可動部材31、弾性体32及び閉塞部材33を収容し装着する工程からなる。この場合、予め、第1可動部材31と、弾性体32と、閉塞部材33とを組み合わせて一体化した状態で収容凹部22cに収容することができる。
【0057】
この第1工程st1は、第2ヘッド部材22の上方から、開口部22c1を通して緩衝部材30の各部材を収容するため、その作業が容易であり、キャスター1の製造性を向上させることができる。
【0058】
また、この第1工程st1において、弾性体32として、それぞれバネ定数の異なる複数のコイルバネが用意されている場合、キャスター1の取り付け対象となる被取付体に応じて選択的に適用することができる。例えば、大型、中型、小型の各スーツケース用にバネ定数を設定した3種類のコイルバネを事前に準備し、これらのコイルバネを、共通化して使用される第1可動部材31と閉塞部材33に対して選択的に組み付けることで、バリエーションのあるキャスター1の製造性を向上させることができる。
【0059】
[第2工程]
第2工程st2は、閉塞部材33を収容凹部22cの開口部22c1に固定する工程からなる。
図2に示すように、閉塞部材33の後側係止部33bに形成された突起部33b1を、収容凹部22cの後側受入れ凹部22c7に収容支持(係止)させた状態で、閉塞部材33の前側係止部33aを下方に押圧する。
【0060】
前側係止部33aの下面33a2が、前側受入れ凹部22c6の下面22c61に当接すると、閉塞部材33の閉塞部材側貫通孔33a1と、第2ヘッド部材の本体側貫通孔22fが連通する状態となる。この状態で、連結ピン35(
図6(b)参照)を挿通して閉塞部材33を収容凹部22cの開口部22c1に取り付け固定する。
【0061】
閉塞部材33は、後側係止部33bの突起部33b1が収容凹部22cの後側受入れ凹部22c7に係止されるとともに、前側係止部33aの閉塞部材側貫通孔33a1と第2ヘッド部材22の本体側貫通孔22fに連結ピン35が挿通されることで、第2ヘッド部材22に不動に取り付け固定される。
この連結ピン35は、例えば、前側係止部33aの閉塞部材側貫通孔33a1と第2ヘッド部材22の本体側貫通孔22fに挿通後、カシメ付けられて取り外し不能に固定される。
この状態で、弾性体32は、
図2に示すように、閉塞部材33と第1可動部材31との間で圧縮された状態となり、第1可動部材31を収容凹部22cの底壁面22c5に押圧するように付勢する。
【0062】
[第3工程]
第3工程st3は、左右の第2可動部材34(
図5参照)を本体部20に装着する工程からなる。第2可動部材34の内側円筒部34bを、本体部20の第2ヘッド部材22に形成した長孔22dの底部に載置(当接)した状態で挿入する。この状態で、内側円筒部34bの中心と、収容凹部22c内に収容されている第1可動部材31(
図6参照)の側部側貫通孔31a7の中心とは、略一致しているので、第2可動部材34を本体部20に向かって水平方向に押圧するだけでよい。
【0063】
内側円筒部34bは、内側円筒部34bの先端が、第1可動部材31の側部側貫通孔31a7と中央側貫通孔の31a6の境目に当接するまで押圧され、第1可動部材31の側部側貫通孔31a7に嵌め合わされて固定された状態となる。また、第2可動部材34のカバー体34aは、第2ヘッド部材22に形成された凹状の案内溝22e内に収容された状態(
図3参照)となる。
【0064】
なお、上述した第2工程st2前に、第3工程st3を行うようにしてもよい。この場合には、第2可動部材34を本体部20に装着して第1可動部材に連結固定した後、閉塞部材33を連結ピン35により収容凹部22cの開口部22c1に固定することになる。
【0065】
[第4工程]
第4工程st4は、左右の車輪40(
図3参照)を本体部20に装着する工程からなる。左右の車輪40のホイール43に形成された軸孔43b及び軸受42の中心と、第2ヘッド部材22に装着した第2可動部材34の軸支孔34dの中心とを略一致させた状態で、一方の車輪40側から車軸41を挿通して左右の車輪40を本体部20に装着する。
【0066】
具体的には、車軸41の一端に形成されたフランジ状の頭部41aが一方の車輪40の軸受42の一側面に当て止めされた状態で、車軸41の他端41bを他方の車輪40の軸受42に対してカシメ付けるようにして装着することができる。
さらに、ホイール43にホイールキャップ45を装着する。具体的には、ホイールキャップ45に設けられた複数の鉤形状の係止部45a(
図7参照)を、ホイール43に形成した複数の係止孔43cに係止させることで取り付け固定する。
【0067】
[第5工程]
第5工程st5は、基台部10(
図2参照)を本体部20に装着する工程からなる。基台部10の底部に設けられた旋回軸11を、本体部20の第1ヘッド部材21に形成された軸孔21aに挿通して装着する。これにより、本体部20は、基台部10に対して回動に支持されることになる。この支持は、嵌め合いなどの公知の支持構造を適用することができる。
この第5工程st5により、キャスター1の組付け工程(製造方法)が終了する。
【0068】
以上説明したように、本発明に係るキャスター1は、凹凸部又は段差部を有する路面を移動する場合でも、そのような路面をスムーズに通過することができるとともに、凹凸部又は路面の段差部を通過する際に発生する騒音や振動を好適に低減することができる。さらに、長期にわたって安定したサスペンション機能を発揮するとともに、耐久性や製造性にも優れている。
【0069】
<その他の変形例>
上記実施形態において、閉塞部材33は、閉塞部材33に形成された閉塞部材側貫通孔33a1と、本体部20の第2ヘッド部材22に本体側貫通孔22fとに挿通された連結ピン35により開口部22c1に固定されているが、その固定の構造に限定されない。閉塞部材33は、本体部20の第2ヘッド部材22の開口部22c1に不動に取り付け固定される公知の固定手段を採用することができる。
【0070】
また、上記実施形態において、閉塞部材33を固定する連結ピン35は、閉塞部材33の前側係止部33aの閉塞部材側貫通孔33a1と第2ヘッド部材22の本体側貫通孔22fに挿通後、カシメ付けられて取り外し不能に固定され、閉塞部材33を第2ヘッド部材22に対して着脱不能に固定するものであるが、この閉塞部材33を第2ヘッド部材22に対して着脱自在に固定するように構成してもよい。
例えば、上記連結ピン35に代えて、例えば、操作具により回動な螺合手段(ネジ、ボルト等)を用いて閉塞部材33を第2ヘッド部材22に固定すればよい。
この場合、本体部20から閉塞部材33を取り外して、緩衝部材30の清掃等のメンテナンス作業や弾性体32等の部品交換を容易に行うことができる。
【0071】
また、上記実施形態において、第2可動部材34のカバー体34aは、本体部20の第2ヘッド部材22に形成された凹状の案内溝22e内に収容されて、この案内溝22eで上下方向に移動可能に案内されるように構成したが、この構成に限定されない。
例えば、上記案内溝22eに代えて、カバー体34aの前後の側端面34a4,34a5を上下方向に案内する上下方向に延びる前後一対のリブや突状部を第2ヘッド部材22の左右の側面22bに形成してもよい。
【0072】
また、上記実施形態において、第2可動部材34は、カバー体34aの外側面34a2から外側に略水平方向に延びるように形成される外側円筒部34cを有するが、この外側円筒部34cを除いて第2可動部材34を構成してもよい。この場合においても、第2ヘッド部材22に形成された長孔22dは、キャスター1の移動時において、常にカバー体34aによって覆われてカバーされるとともに、内側円筒部34bは、本体部20の第2ヘッド部材22に形成された長孔22dに上下方向にスライド可能に案内支持されることから、収容凹部22c内への塵埃等の異物や雨水等の液体の侵入を防止することができ、長期にわたって安定した緩衝部材30の性能を維持することができるとともに、車輪40を、本体部20に対して安定して上下動することができる。
【0073】
また、上記実施形態において、第2可動部材34の内側円筒部34bの先端部は、第1可動部材31に形成された側部側貫通孔31a7に嵌め合わされて固定されているが、この構成に限定されない。例えば、第1可動部材31に側部側貫通孔31a7が形成されず、中央側貫通孔の31a6のみが貫通孔として形成されている場合には、第2可動部材34の内側円筒部34bの先端部を、第1可動部材31の側面31a2に当接させるように配設すればよい。
【0074】
また、本発明は上述した具体的構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【0075】
<総括>
以上のとおり、上記実施形態では以下の発明を開示している。
(1)
被取付体の底部に取り付けられる基台部と、前記基台部の下部に旋回可能に設けられる本体部と、前記本体部に緩衝部材を介して設けられる左右一対の車輪と、を備えたキャスターであって、前記本体部は、前記本体部の上面に形成された開口部で開口する略鉛直状に延びる収容凹部と、前記収容凹部の下部に連通するとともに、前記本体部の左右の側面に貫通する縦長の長孔と、を有し、前記緩衝部材は、前記収容凹部内に上下動可能に支持される第1可動部材と、前記開口部を閉塞する閉塞部材と、前記第1可動部材と前記閉塞部材との間に配置される弾性体と、を有し、前記左右一対の車輪は、前記長孔に挿通された車軸の左右の端部にそれぞれ回動自在に連結されるとともに、前記車軸の中央部は、前記第1可動部材に形成された貫通孔に支持されることを特徴とするキャスター(
図1~
図7参照)。
(2)
前記本体部には、前記側面と前記収容凹部の内面とを水平に貫通する本体側貫通孔が形成され、前記閉塞部材には、前記本体側貫通孔に連通する閉塞部材側貫通孔が形成され、前記閉塞部材は、前記閉塞部材側貫通孔と前記本体側貫通孔に挿通された連結ピンにより前記開口部に固定されることを特徴とする上記(1)記載のキャスター(
図2、
図4及び
図6参照)。
(3)
上下方向に延びる板状のカバー体と、前記カバー体の内側面から略水平方向に延びる内側円筒部と、前記カバー体の外側面から略水平方向に延びる外側円筒部と、を有する左右一対の第2可動部材をさらに備え、前記第2可動部材は、前記カバー体、前記内側円筒部及び前記外側円筒部に形成された略水平方向に貫通する軸支孔を有するとともに、この軸支孔で前記車軸を挿通して支持し、前記内側円筒部は、前記本体部の前記長孔に対して上下動可能に設けられるとともに、前記カバー体は、前記長孔を前記側面側から覆うように設けられることを特徴とする上記(1)又は(2)記載のキャスター(
図3及び
図5参照)。
(4)
前記内側円筒部の先端部は、前記第1可動部材に形成された前記貫通孔に嵌め合わされて固定されていることを特徴とする上記(3)記載のキャスター(
図3参照)。
(5)
前記本体部の前記側面には、前記長孔を取り囲むように凹状に形成された縦長の案内溝が形成されており、前記カバー体は、前記案内溝に収容されるとともに、上下方向にスライド可能に案内支持されることを特徴とする上記(3)又は(4)記載のキャスター(
図3、
図4及び
図5参照)。
【符号の説明】
【0076】
1:キャスター
10:基台部
20:本体部
21:第1ヘッド部材
22:第2ヘッド部材
22b:側面
22c:収容凹部
22c1:開口部
22d:長孔
22e:案内溝
22f:本体側貫通孔
30:緩衝部材
31:第1可動部材
32:弾性体
33:閉塞部材
33a1:閉塞部材側貫通孔
34:第2可動部材
34a:カバー体
34b:内側円筒部
34c:外側円筒部
35:連結ピン
40:車輪
41:車軸
【手続補正書】
【提出日】2023-07-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付体の底部に取り付けられる基台部と、
前記基台部の下部に旋回可能に設けられる本体部と、
前記本体部に緩衝部材を介して設けられる左右一対の車輪と、
を備えたキャスターであって、
前記本体部は、
前記本体部の上面に形成された開口部で開口する略鉛直状に延びる収容凹部と、
前記収容凹部の下部に連通するとともに、前記本体部の左右の側面に貫通する縦長の長孔と、を有し、
前記緩衝部材は、
前記収容凹部内に上下動可能に支持される第1可動部材と、
前記開口部を閉塞する閉塞部材と、
前記第1可動部材と前記閉塞部材との間に配置される弾性体と、を有し、
前記左右一対の車輪は、前記長孔に挿通された車軸の左右の端部にそれぞれ回動自在に連結されるとともに、前記車軸の中央部は、前記第1可動部材に形成された貫通孔に支持され、
上下方向に延びる板状のカバー体と、前記カバー体の内側面から略水平方向に延びる内側円筒部と、を有する左右一対の第2可動部材をさらに備え、
前記第2可動部材は、前記カバー体及び前記内側円筒部に形成された略水平方向に貫通する軸支孔を有するとともに、この軸支孔で前記車軸を挿通して支持し、
前記内側円筒部は、前記本体部の前記長孔に対して上下動可能に設けられるとともに、前記カバー体は、前記長孔を前記側面側から覆うように設けられる
ことを特徴とするキャスター。
【請求項2】
前記本体部には、前記側面と前記収容凹部の内面とを水平に貫通する本体側貫通孔が形成され、
前記閉塞部材には、前記本体側貫通孔に連通する閉塞部材側貫通孔が形成され、
前記閉塞部材は、前記閉塞部材側貫通孔と前記本体側貫通孔に挿通された連結ピンにより前記開口部に固定される
ことを特徴とする請求項1項記載のキャスター。
【請求項3】
前記内側円筒部の先端部は、前記第1可動部材に形成された前記貫通孔に嵌め合わされて固定されている
ことを特徴とする請求項1又は2記載のキャスター。
【請求項4】
前記本体部の前記側面には、前記長孔を取り囲むように凹状に形成された縦長の案内溝が形成されており、
前記カバー体は、前記案内溝に収容されるとともに、上下方向にスライド可能に案内支持されることを特徴とする請求項3記載のキャスター。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
このような課題に鑑みて、本発明の一つは、以下の構成を具備するものである。
被取付体の底部に取り付けられる基台部と、前記基台部の下部に旋回可能に設けられる本体部と、前記本体部に緩衝部材を介して設けられる左右一対の車輪と、を備えたキャスターであって、前記本体部は、前記本体部の上面に形成された開口部で開口する略鉛直状に延びる収容凹部と、前記収容凹部の下部に連通するとともに、前記本体部の左右の側面に貫通する縦長の長孔と、を有し、前記緩衝部材は、前記収容凹部内に上下動可能に支持される第1可動部材と、前記開口部を閉塞する閉塞部材と、前記第1可動部材と前記閉塞部材との間に配置される弾性体と、を有し、前記左右一対の車輪は、前記長孔に挿通された車軸の左右の端部にそれぞれ回動自在に連結されるとともに、前記車軸の中央部は、前記第1可動部材に形成された貫通孔に支持され、上下方向に延びる板状のカバー体と、前記カバー体の内側面から略水平方向に延びる内側円筒部と、を有する左右一対の第2可動部材をさらに備え、前記第2可動部材は、前記カバー体及び前記内側円筒部に形成された略水平方向に貫通する軸支孔を有するとともに、この軸支孔で前記車軸を挿通して支持し、前記内側円筒部は、前記本体部の前記長孔に対して上下動可能に設けられるとともに、前記カバー体は、前記長孔を前記側面側から覆うように設けられることを特徴とするキャスター。