(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162839
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】放熱部品および放熱部品を備えた回路構成体
(51)【国際特許分類】
H05K 7/20 20060101AFI20241114BHJP
F28D 15/02 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
H05K7/20 R
F28D15/02 L
F28D15/02 102C
F28D15/02 102H
F28D15/02 102Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078768
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】弁理士法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(72)【発明者】
【氏名】伊佐治 優介
【テーマコード(参考)】
5E322
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322DB09
5E322DB10
5E322EA10
5E322EA11
5E322FA01
(57)【要約】
【課題】発熱部品の端子部からバスバーを引き回すことなく、発熱部品の熱をより効率よく放熱することができる、放熱部品を開示する。
【解決手段】放熱部品10が、発熱部品12に熱的に接触する金属製のベース板部14と、ベース板部14を含んで構成されて、液密性を有し、且つ金属製で中空の密封容器16と、減圧された密封容器16内に密封された作動液18と、を備え、密封容器16が、ベース板部14から離隔する第1方向に突出する複数の中空フィン部20を有している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱部品に熱的に接触する金属製のベース板部と、
前記ベース板部を含んで構成されて、液密性を有し、且つ金属製で中空の密封容器と、
減圧された前記密封容器内に密封された作動液と、を備え、
前記密封容器が、前記ベース板部から離隔する第1方向に突出する複数の中空フィン部を有している、放熱部品。
【請求項2】
前記ベース板部が、前記発熱部品の端子部にボルト締結されるボルト締結部を有する、請求項1に記載の放熱部品。
【請求項3】
前記複数の中空フィン部が、前記ボルト締結部の周囲を囲って前記ベース板部から前記第1方向に突出する環状中空フィン部を含んでいる、請求項2に記載の放熱部品。
【請求項4】
前記複数の中空フィン部が、前記第1方向に交差する第2方向に隙間を隔てて並列配置された複数の平板状中空フィン部を含んでいる、請求項1または請求項2に記載の放熱部品。
【請求項5】
発熱部品と、
前記発熱部品が通電接続された通電回路と、
請求項1または請求項2に記載の放熱部品と、を含み、
前記放熱部品の前記ベース板部が、前記発熱部品に熱的に接触している、回路構成体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、放熱部品および放熱部品を備えた回路構成体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両には、リレー等の発熱部品を含む回路構成体が搭載されている。例えば、特許文献1には、バッテリの出力端子に接続される第1バスバーと負荷の入力端子に接続される第2バスバーと、第1/第2バスバー間に接続されるリレーがケースに収容されてなる回路構成体が開示されている。このような回路構成体では、発熱部品であるリレーで発生する熱を外部に放熱するため、リレーに接続されたバスバーをシート状の熱伝導部材と絶縁部材を介して放熱対象であるバッテリの筐体に圧接し、リレーの熱を筐体に伝熱する構造が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の構造では、バスバーを放熱対象であるバッテリの筐体に熱的に接触させるために、ケースの下面にバスバーの放熱部位を接触させる接触領域を確保し、接触領域においてバスバーの放熱部位を放熱対象に熱的に接触させている。ところが、発熱部位であるリレーからバスバーの放熱部位を接触させる接触領域までバスバーを引き回す必要があり、引き回す距離が長くなる分放熱効率が低下するおそれがあった。加えて、近年の車載部品の大電流化により、高電圧の回路構成体を構成するリレー等の発熱部品の発熱が増大しており、バスバーの一部を放熱部位として放熱対象に熱的に接触させるだけでは、発熱部品の放熱が不十分となる場合があった。
【0005】
そこで、発熱部品の端子部からバスバーを引き回すことなく、発熱部品の熱をより効率よく放熱することができる、放熱部品および放熱部品を備えた回路構成体を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の放熱部品は、発熱部品に熱的に接触する金属製のベース板部と、前記ベース板部を含んで構成されて、液密性を有し、且つ金属製で中空の密封容器と、減圧された前記密封容器内に密封された作動液と、を備え、前記密封容器が、前記ベース板部から離隔する第1方向に突出する複数の中空フィン部と、を有している、ものである。
【0007】
本開示の回路構成体は、発熱部品と、前記発熱部品が通電接続された通電回路と、本開示に係る放熱部品と、を含み、前記放熱部品の前記ベース板部が、前記発熱部品に熱的に接触している、ものである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、発熱部品の端子部からバスバーを引き回すことなく、発熱部品の熱をより効率よく放熱することができる、放熱部品および放熱部品を備えた回路構成体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る放熱部品を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示された放熱部品における分解斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1に示された放熱部品を発熱部品に取り付けた状態で示す斜視図である。
【
図5】
図5は、
図4に示された放熱部品における分解斜視図である。
【
図6】
図6は、
図1に示された放熱部品を備える回路構成体を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、実施形態2に係る放熱部品を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、実施形態3に係る放熱部品を示す斜視図である。
【
図11】
図11は、実施形態4に係る放熱部品を示す斜視図である。
【
図13】
図13は、実施形態5に係る放熱部品を発熱部品に取り付けた状態で示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<本開示の実施形態の説明>
最初に、本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の放熱部品は、
(1)発熱部品に熱的に接触する金属製のベース板部と、前記ベース板部を含んで構成されて、液密性を有し、且つ金属製で中空の密封容器と、減圧された前記密封容器内に密封された作動液と、を備え、前記密封容器が、前記ベース板部から離隔する第1方向に突出する複数の中空フィン部を有している、ものである。
【0011】
本態様の放熱部品によれば、発熱部品に熱的に接触するベース板部と、ベース板部を含み、且つ液密性を有する密封容器を有しており、減圧された密封容器の内部に作動液が密封された構造を有している。さらに、密封容器が、ベース板部から離隔する第1方向(例えば、上方)に突出する複数の中空フィン部を有している。これにより、ベース板部に伝熱された発熱部品の熱が中空フィン部に伝熱され、中空フィン部の広い表面積を利用して中空フィン部に伝達された発熱部品の熱を空気中に効率よく放熱することができる。すなわち、中空フィン部の表面積を利用したヒートシンク型の放熱性能を発現することができる。
【0012】
さらに、密封容器の内部は減圧されて作動液が密封されていることから、発熱部品に熱的に接触するベース板部側が高温部となり作動液が熱を吸収して蒸発し、作動液蒸気が各中空フィン部の空洞を通って突出端部側の低温部に移動する。低温部(冷却部)で冷却された作動液蒸気が凝縮して液体に戻り、ベース板部側に収容される。このように複数の中空フィン部を有する密封容器が、ヒートパイプの機能を有することで、ベース板部側の熱を各中空フィン部の突出端部側に高速で移動させることができる。その結果、発熱部品の熱をベース板部から各中空フィン部の隅々まで効率よく伝えることができ、中空フィン部によるヒートシンク型の放熱性能を最大化することができるのである。
【0013】
このように、本態様の密封容器における複数の中空フィン部を用いることで、中空フィン部の表面積を利用した放熱性能を密封容器内の作動液の循環によって最大化することができ、その結果、従来構造のように発熱部品の端子部からバスバーを引き回すことなく、発熱部品の熱をより効率よく放熱することができる、放熱部品を提供できるのである。
【0014】
特に、本態様では、従来の放熱フィンの内部を中空にする中空フィン部を有する密封容器内を減圧して内部に作動液を密封するだけで、ヒートシンクの機能を、ヒートパイプの機能を利用して最大化する構造を提供できることから、単に別体のヒートシンクとヒートパイプとを連結させるよりも放熱部品の小型化を図ることも可能である。
【0015】
(2)上記(1)において、前記ベース板部が、前記発熱部品の端子部にボルト締結されるボルト締結部を有する、ことが好ましい。ベース板部が、発熱部品の熱が最も伝わる発熱部品の端子部にボルト締結されるボルト締結部を有していることから、放熱部品を、ベース板部のボルト締結部を介して伝熱効率よく発熱部品に熱的に接触させることができるからである。
【0016】
(3)上記(2)において、前記複数の中空フィン部が、前記ボルト締結部の周囲を囲って前記ベース板部から前記第1方向に突出する環状中空フィン部を含んでいる、ことが好ましい。複数の中空フィン部が、ベース板部に設けられたボルト締結部の周囲を囲んで突出する環状中空フィン部を含んでいることから、例えば発熱部品の端子部から円環状に伝達される発熱部品の熱を、ベース板部のボルト締結部に一層有利に伝熱しつつ、ヒートパイプ機能を利用して環状中空フィン部の突出端部まで速やかに伝達することができる。これにより、放熱部品の放熱性能の更なる向上を図ることができる。
【0017】
(4)上記(1)から(3)のいずれか1つにおいて、前記複数の中空フィン部が、前記第1方向に交差する第2方向に隙間を隔てて並列配置された複数の平板状中空フィン部を含んでいる、ことが好ましい。複数の平板状の中空フィン部が第1方向に交差する第2方向に隙間を隔てて並列配置されていることから、平板状の各中空フィン部の表面積をスペース効率よく確保して、中空フィン部の表面積を利用したヒートシンク型の放熱効果を向上させることができる。しかも各中空フィン部の内部には熱循環する作動液が密封されており、ヒートパイプ効果を利用して各中空フィン部の基端側に伝達される熱を突出先端部まで速やかに伝熱でき、中空フィン部による放熱性能の最大化も図られている。
【0018】
本開示の回路構成体は、
(5)発熱部品と、前記発熱部品が通電接続された通電回路と、上記(1)から(4)のいずれか1つに記載の放熱部品と、を含み、前記放熱部品の前記ベース板部が、前記発熱部品に熱的に接触している、ものである。
【0019】
本態様によれば、上記(1)から(4)のいずれか1つに記載の放熱部品が、発熱部品に熱的に接触していることから、上記(1)から(4)のいずれか1つに記載の放熱部品と同様の効果を享受して発熱部品の熱が安定して放熱される、回路構成体を提供することができる。
【0020】
<本開示の実施形態の詳細>
本開示の放熱部品および放熱部品を備える回路構成体の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0021】
<実施形態1>
以下、本開示の実施形態1の放熱部品10について、
図1から
図6を用いて説明する。実施形態1の放熱部品10は発熱部品(例えば、リレー12)に熱的に接触し、ヒートパイプの作用を利用して、発熱部品(例えば、リレー12)において発生する熱を空気中に放熱するものである。なお、放熱部品10は任意の向きで配置することができるが、以下、上下方向、左右方向、前後方向の各方向は、それぞれ図中に示される上下方向、左右方向、前後方向として説明する。また、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材については符号を省略する場合がある。
【0022】
<放熱部品10>
放熱部品10を発熱部品であるリレー12に取り付ける前の単品状態を
図1から
図3に示すとともに、放熱部品10をリレー12に取り付けた状態を
図4,5に示す。放熱部品10は、発熱部品(リレー12)に熱的に接触する金属製のベース板部14と、ベース板部14を含んで構成されて、液密性を有し、且つ金属製で中空の密封容器16と、減圧された密封容器16内に密封された作動液18(
図2中において二点鎖線で図示)と、を備えている。そして、密封容器16が、ベース板部14から離隔する第1方向(実施形態1では上方)に突出する複数の中空フィン部20を有している。実施形態1では、複数の中空フィン部20がそれぞれ扁平状に広がっている。
【0023】
<ベース板部14>
実施形態1では、ベース板部14が平面視において略矩形状とされている。ベース板部14の材質は金属であれば限定されるものではないが、例えばアルミニウム(アルミニウム合金を含む)や銅(銅合金を含む)により形成される。ベース板部14の長さ方向一方の端部(前端部)には、後述するボルト44が挿通されるボルト挿通孔22が形成されている。ベース板部14においてボルト挿通孔22の周囲の部分が、後述するようにリレー12の端子部50にボルト締結されるボルト締結部23である。また、平面視においてベース板部14の中央部分には、密封容器16を減圧するための減圧用筒部24が一体的に形成されている。実施形態1では、減圧用筒部24がベース板部14から下方に突出しており、減圧用筒部24の内孔がベース板部14の板厚方向一方の面(上面)に開口している。
【0024】
なお、減圧用筒部24は、密封容器16の減圧後、例えば突出基端部(減圧用筒部24の上端部)で潰すまたはねじ切るように切断されることで、減圧用筒部24の下方への開口部が封止されて、密封容器16の液密性が確保されるようになっている。すなわち、
図1から
図3に示される状態では、密封容器16は厳密には密封状態ではない。また、密封容器16の減圧後には減圧用筒部24は切断されることから、
図4,5等に示される放熱部品10のリレー12への取付状態では、放熱部品10において減圧用筒部24が示されていない。
【0025】
<密封容器16>
密封容器16は、下方に開口する容器本体26を備えており、容器本体26の下方開口部28が上記ベース板部14で覆蓋されることで構成されている。なお、上述のように、密封容器16の減圧後、ベース板部14の減圧用筒部24における下方開口部が封止されることで密封容器16が密封状態とされるようになっている。
【0026】
容器本体26は、全体にわたって比較的薄肉で、且つ略一定の厚さ寸法を有しており、ダイカストにより形成されている。容器本体26の材質は金属であれば限定されるものではないが、実施形態1では、アルミニウム(アルミニウム合金を含む)により形成されている。容器本体26は、前述の複数の中空フィン部20を有しており、実施形態1では、これら複数の中空フィン部20が、第1方向(上下方向)に交差する第2方向(前後方向)に隙間30を隔てて並列配置された複数の平板状中空フィン部32を含んでいる。特に、実施形態1では、容器本体26に設けられる各中空フィン部20が全て(実施形態1では5つ)平板状中空フィン部32とされている。これら各平板状中空フィン部32は、所定の左右方向寸法を有している。
【0027】
具体的には、各平板状中空フィン部32における前後方向両側、上方、左右方向両側がそれぞれ比較的薄肉の壁部により構成されている。これにより、各平板状中空フィン部32は内部に空間を有する中空状とされており、この内部空間がそれぞれ下方に開口している。なお、実施形態1における容器本体26はダイカストにより形成されていることから、各平板状中空フィン部32を構成する壁部は抜きテーパを備えており、各平板状中空フィン部32における前後方向両側および左右方向両側の壁部が、それぞれ下方になるにつれて前後方向外方および左右方向外方に傾斜している。
【0028】
また、前後方向で並列配置された各平板状中空フィン部32が、それぞれ下端部において接続されている。すなわち、容器本体26において前後方向に並列する各平板状中空フィン部32が設けられることにより、容器本体26には上方に位置する山部34と下方に位置する谷部36とが設けられている。これら山部34と谷部36とは前後方向で交互に設けられており、前後方向で隣り合う山部34,34の間が、各平板状中空フィン部32間の隙間30である。また、各谷部36は、上下方向において、容器本体26の下方開口部28までは達しておらず、各平板状中空フィン部32の内部空間は、各平板状中空フィン部32の基端部分(下方部分)で相互に連通している。この結果、容器本体26は、下方開口部28において下方に開口する1つの空間を有している。
【0029】
そして、容器本体26の下方開口部28がベース板部14で覆われて、容器本体26とベース板部14とが相互に固定されることで密封容器16において1つの内部空間38が構成される。前述のように、密封容器16の減圧前は内部空間38が減圧用筒部24の内孔と連通しており、当該内孔を通じて内部空間38が外部空間と連通している。また、容器本体26の下方開口部28は、平面視においてベース板部14よりも小さい大きさとされており、容器本体26とベース板部14とを相互に固定することで、下方開口部28の全体がベース板部14により覆蓋されるようになっている。なお、容器本体26とベース板部14とは、それらの重ね合わせ面が液密的に封止されれば固定方法は限定されるものではなく、例えば溶接やろう付け、半田付け等が採用され得る。
【0030】
さらに、各平板状中空フィン部32の下端部には外周側に環状に広がるフランジ状部40が設けられているとともに、当該フランジ状部40は前方に大きく延び出している。これにより、容器本体26は、平面視においてベース板部14と略同じ大きさの矩形状とされており、フランジ状部40における前方に大きく延び出した部分により、ベース板部14におけるボルト締結部23と重ね合わされるボルト締結部41が構成されている。ボルト締結部41においてベース板部14におけるボルト挿通孔22と対応する位置には、ボルト挿通孔42が形成されている。この結果、容器本体26とベース板部14とが重ね合わされて固定された状態では、両ボルト挿通孔22,42が上下方向で連通しており、これら両ボルト挿通孔22,42に対してボルト44が挿通されるようになっている。
【0031】
上記のような形状とされた容器本体26に対して作動液18を注入して、容器本体26とベース板部14とを固定する。あるいは、容器本体26とベース板部14とを固定した後、減圧用筒部24を通じて密封容器16の内部空間38に作動液18を注入する。その後、減圧用筒部24に対して、例えば真空ポンプ等を接続して、内部空間38を略真空状態とする。なお、内部空間38に作動液18が存在する状態で内部空間38を略真空状態とする方法は、公知の方法が採用され得る。内部空間38の減圧後、減圧用筒部24を突出基端部で切断することにより、実施形態1の放熱部品10が得られる。
【0032】
なお、密封容器16の内部空間38に密封される作動液18としては、一般にヒートパイプの作動液として用いられる液体が採用されて、例えばフロン(代替フロンを含む)系の冷媒や水、アルコール等が採用され得る。内部空間38が略真空状態とされることで、作動液18の蒸発や凝縮が生じ易くなる。
【0033】
<発熱部品(リレー12)への取付状態>
図4,5に示されるように、実施形態1では、発熱部品が機械的なリレー12とされており、リレー12が、例えば後述する回路構成体56におけるケース等から構成される筐体46上に支持されている。特に、実施形態1では、リレー12の本体部48における上面に一対の端子部50,50が設けられており、リレー12が筐体46上において縦向きに載置されている。これら各端子部50は、リレー12の本体部48における上面において前後両側に設けられている。
【0034】
そして、リレー12の各端子部50には、通電回路としてのバスバー52が接続されており、リレー12と各バスバー52とが通電接続されている。すなわち、各バスバー52においてリレー12と接続される側の端部にはボルト挿通孔54が形成されており、各ボルト挿通孔54と各端子部50とが位置合わせされた状態で、各ボルト挿通孔54および各端子部50にボルト44が挿通されて締結されることで、リレー12に対して各バスバー52が通電接続されている。これにより、リレー12に対してバスバー52を通じて給電されて、リレー12への通電に伴ってリレー12が発熱するようになっている。
【0035】
このようなリレー12に対して実施形態1の放熱部品10が取り付けられており、放熱部品10のベース板部14がリレー12に対して熱的に接触している。具体的には、各バスバー52をリレー12に固定する際に各バスバー52上に放熱部品10が載置されて、各放熱部品10におけるボルト挿通孔22,42と各バスバー52におけるボルト挿通孔54とリレー12における各端子部50が位置合わせされる。そして、これら各ボルト挿通孔22,42,54にボルト44が挿通されて各端子部50に締結されることで、各ベース板部14が各バスバー52および各ボルト44を介してリレー12に対して熱的に接触している。要するに、各ベース板部14および各容器本体26における各ボルト締結部23,41が、リレー12の各端子部50に対してボルト締結されている。
【0036】
なお、
図4,5に示される態様では、リレー12における各端子部50から各バスバー52が前後方向外方に延びており、各バスバー52上に載置される各放熱部品10も各バスバー52と同方向に延びる向きで配置されている。これにより、各放熱部品10における各ベース板部14が略全面にわたって各バスバー52に重ね合わされて、各ベース板部14と各バスバー52との接触面積が大きく確保されている。この結果、各バスバー52に伝達される熱も各放熱部品10を通じて効率的に放熱される。
【0037】
<回路構成体56>
実施形態1の放熱部品10を備えた回路構成体56の具体的な一例を
図6に示す。回路構成体56は、例えば電気接続箱等であり、電気接続箱のケース等からなる筐体46に対して、発熱部品としてのリレー12およびヒューズ58が固定されている。なお、リレー12に対して各放熱部品10を取り付ける態様は、前述の
図4,5に示される態様と同様であることから、説明を省略する。ヒューズ58に対して放熱部品10を取り付ける態様も、リレー12に対して各放熱部品10を取り付ける態様と基本的には同様である。すなわち、回路構成体56は、発熱部品(リレー12およびヒューズ58)と、発熱部品が通電接続された通電回路(各バスバー52)と、放熱部品10とを含んでいる。
【0038】
ヒューズ58は、本体部60から前後両側に端子部62が突出している。そして、端子部62に設けられる図示しないボルト挿通孔と各バスバー52におけるボルト挿通孔54と各放熱部品10における各ボルト挿通孔22,42とが位置合わせされて、これら各ボルト挿通孔22,42,54にボルト44が挿通されて締結される。これにより、各放熱部品10のベース板部14がヒューズ58に対して各ボルト44を介して熱的に接触する。なお、
図6に示される態様では、各端子部62の下方に各バスバー52が重ね合わされているとともに、各端子部62の上方に各放熱部品10が重ね合わされている。この結果、各バスバー52と各放熱部品10におけるベース板部14とは直接的には接触しておらず(各ボルト44を介して間接的に接触している)、上下方向で隙間を隔てて離隔している。
【0039】
実施形態1の放熱部品10および放熱部品10を備えた回路構成体56では、放熱部品10が内部空間38に作動液18が密封された密封容器16を備えており、当該密封容器16が複数の中空フィン部20を備えている。この密封容器16の下方部分は、発熱部品(リレー12やヒューズ58)に熱的に接触するベース板部14により構成されている。
【0040】
すなわち、リレー12やヒューズ58が通電に伴って発熱することで、これらリレー12やヒューズ58に熱的に接触するベース板部14に熱が伝達される。この結果、密封容器16の下方部分が加温されて、内部空間38内の下方部分において作動液18が蒸発し内部空間38内を上方へ移動するとともに、上方へ移動した作動液18の蒸気が各中空フィン部20の内面に接触することで液体に凝縮する。このように作動液18が気体から液体に凝縮する際に熱が放出されて、この熱が各中空フィン部20の壁部を通じて外部空間へと放熱される。これにより、発熱部品(リレー12やヒューズ58)において発生する熱に対する放熱部品10による放熱が実現される。それゆえ、従来構造のように発熱部品の端子部から放熱対象までバスバーを引き回すことがなく、発熱部品(リレー12やヒューズ58)の端子部50,62に放熱部品10を設けるという簡単な構造をもって放熱機構が構成され得る。なお、各中空フィン部20の内面に接触して液体へと凝縮された作動液18は、各中空フィン部20の内面を伝って下方へと流動し、この結果、作動液18の蒸発と凝縮が連続して生じるようになっている。
【0041】
特に、従来構造のヒートパイプを電気接続箱等の回路構成体に設ける場合、リレー等の発熱部品の端子部にヒートパイプが接続されることとなるが、一般にヒートパイプは発熱部品の加温により高温となる高温部が下方に位置するとともに、作動液が凝縮されて放熱される低温部が上方に位置することとなる。それゆえ、従来構造のヒートパイプでは上下方向に長く延びざるを得ず、回路構成体や周辺の部材の形状や配置等によってはヒートパイプを設けることが困難となる場合があった。それに対して、実施形態1の放熱部品10においては、ヒートパイプ型の放熱機構を採用しつつも、中空フィン部20が複数設けられており、蒸発した作動液18が接触して外部空間へと放熱するための各中空フィン部20の内面および外面の面積を十分大きく確保することができる。これにより、例えば従来構造のヒートパイプに比して放熱性能の向上を図ることができて、上下方向の寸法を比較的小さくすることができることから、電気接続箱等の回路構成体56に対しても、実施形態1の放熱部品10を比較的容易に採用することができる。
【0042】
また、密封容器16において放熱の機能を発揮する容器本体26はダイカストにより形成されており、その壁部(要するに、各中空フィン部20の壁部)が比較的薄肉に形成されている。これにより、各中空フィン部20における伝熱効率が向上されるとともに、一定の領域において山部34と谷部36の繰り返し構造(要するに、中空フィン部20)をより多く設けることができる。このように中空フィン部20をより多く設けることで更なる放熱効率の向上が図られるだけでなく、所定数の中空フィン部20を設ける際には、密封容器16、ひいては放熱部品10の小型化も図られる。そして、このように放熱効率が向上されることで、リレー12やヒューズ58における発熱がより速やかに放熱され得て、例えば回路構成体56においてリレー12やヒューズ58の発熱に伴う不具合が発生するおそれを低減させることができる。
【0043】
ベース板部14は、発熱部品(リレー12やヒューズ58)の端子部50,62にボルト締結されるボルト締結部23を有している。これにより、リレー12やヒューズ58において発生する熱を、ボルト44を介してベース板部14に効率的に伝達することができて、放熱効率の向上が図られる。
【0044】
実施形態1では、各中空フィン部20がそれぞれ平板状中空フィン部32とされており、各平板状中空フィン部32が第2方向(前後方向)で隙間30を隔てて並列配置されている。このように各中空フィン部20の外形状が平板状とされることで、所定領域においてより多くの中空フィン部20を配置して放熱効率の向上を図ることができたり、所定数の中空フィン部20をより小さな領域に配置して放熱部品10の小型化を図ることができる。
【0045】
<実施形態2>
以下、本開示の実施形態2の放熱部品70について、
図7を用いて説明する。実施形態2の放熱部品70は、実施形態1の放熱部品10と基本的な構造は同様であるが、密封容器72を構成するベース板部74においてボルト締結部78が前後方向両側に設けられているとともに、容器本体76においてボルト締結部80が前後方向両側に設けられている。なお、以下の説明において、前記実施形態と実質的に同一の部材および部位には、図中に、前記実施形態と同一の符号を付すことにより詳細な説明を省略する。
【0046】
すなわち、実施形態2の放熱部品70では、例えば前後両側のうちの少なくとも一方(例えば、前方部分)の各ボルト締結部78,80において、発熱部品の端子部(例えば、リレー12の端子部50)にボルト締結される。なお、前後両側のうちの他方(例えば、後方部分)の各ボルト締結部78,80は、例えば通電回路としてのバスバー52を介して、または介することなく、発熱部品以外の部材にボルト締結されてもよいし、前後方向一方に締結される発熱部品とは別の発熱部品の端子部(例えば、ヒューズ58の端子部62)にボルト締結されてもよい。これにより、発熱部品への通電に伴う発熱が各中空フィン部20(各平板状中空フィン部32)を通じて外部空間へ放熱されることから、実施形態1と同様の効果が発揮され得る。
【0047】
特に、放熱部品70の前後両側の各ボルト締結部78,80に対して発熱部品の端子部(例えば、リレー12やヒューズ58の端子部50,62)がボルト締結される場合には、2つの発熱部品における発熱を1つの放熱部品70により放熱することもできて、部品点数を削減することも可能となる。なお、ベース板部74や容器本体76において各ボルト締結部78,80の形状は限定されるものではなく、放熱部品70が適用される回路構成体中の電気経路に合わせて、上下方向、左右方向、前後方向の各方向に屈曲していてもよい。
【0048】
<実施形態3>
以下、本開示の実施形態3の放熱部品90について、
図8から
図10を用いて説明する。実施形態3の放熱部品90においても、基本的な構成は実施形態1と同様であるが、実施形態3では、複数の中空フィン部92が、ボルト締結部94の周囲を囲ってベース板部96から第1方向(上方)に突出する環状中空フィン部98を含んでいる。
【0049】
具体的には、実施形態3では、下端部に設けられたベース板部96を含んで容器本体100が構成されているとともに、ベース板部96からは上方にフィン本体部102が突出している。フィン本体部102は全体として略有底の筒形状であり、底部がベース板部96により構成されているとともに、上端部には上方開口部104が形成されている。そして、この上方開口部104が、平面視において上方開口部104と同形状とされた蓋部106により覆蓋されて、容器本体100と蓋部106とが相互に固定されることにより、密封容器108が構成されるようになっている。これら容器本体100と蓋部106の重ね合わせ面は液密的に封止されており、密封容器108の内部空間110には作動液18が密封されている。容器本体100と蓋部106とはいずれも金属製であり、実施形態3では、容器本体100がアルミニウム(アルミニウム合金を含む)によるダイカストによって形成されている。蓋部106の材質は限定されないが、例えばアルミニウム(アルミニウム合金を含む)や銅(銅合金を含む)によって形成される。容器本体100と蓋部106とは、例えば溶接やろう付け、半田付けによって固定され得る。
【0050】
ベース板部96は平面視において略矩形状であり、ベース板部96の中央部分には、板厚方向(上下方向)で貫通するボルト挿通孔112が形成されている。実施形態3では、ボルト挿通孔112に対してボルト44が挿通されて発熱部品の端子部(例えば、リレー12の端子部50)に締結されることから、ベース板部96におけるボルト挿通孔112の周囲の部分により上記ボルト締結部94が構成されている。そして、このボルト締結部94の外周側には上方に突出するボルト挿通筒部114が設けられており、ボルト44の締結時にはボルト挿通筒部114を通じてボルト44が挿通されるようになっている。すなわち、ベース板部96の中央部分において、ボルト挿通筒部114とボルト挿通孔112との径方向間を環状に広がる部分がボルト締結部94である。
【0051】
フィン本体部102は、全体として平面視においてベース板部96よりも僅かに小さい略矩形状の外形を有する筒状の部分であり、略一定の厚さ寸法を有して周方向に延びる周壁部116を有している。すなわち、周壁部116よりも内周側の中央部分に上記ボルト挿通筒部114が設けられている。この周壁部116の長さ方向(前後方向)両側部分、要するにボルト挿通筒部114の前後方向外方において、左右両側の壁部には、左右方向内方に窪む内方突出部118が設けられている。
【0052】
これにより、周壁部116において各内方突出部118の形成位置では左右方向寸法が小さくされており、フィン本体部102(周壁部116)は各内方突出部118により前後方向で3つの部分に区切られている。そして、前後方向で3つの部分に区切られたフィン本体部102の上方開口部104が蓋部106により覆蓋されることにより、放熱部品90において3つの中空フィン部92が形成されるようになっている。なお、
図10にも示されるように、左右方向両側の内方突出部118,118は左右方向で相互に接触しておらず、フィン本体部102における3つの部分(各中空フィン部92)は、各内方突出部118における左右方向間の空間を通じて相互に連通している。
【0053】
ここで、フィン本体部102における前後方向で区切られた3つの部分において、中央の部分は、上述のように内周側にボルト挿通筒部114が配置されていることから、前後方向両側の部分に比べて前後方向寸法が大きくされている。それゆえ、フィン本体部102における中央の部分は、全体として、平面視において外形状が矩形(略正方形状)とされた矩形筒形状とされている。また、フィン本体部102における前後方向両端の部分は、前後方向寸法が比較的小さくされており、平面視において外形状が前後方向寸法に比して左右方向寸法の方が大きな略長円形状とされている。これにより、フィン本体部102の上方開口部104が蓋部106により覆蓋された際には、3つの中空フィン部92のうち中央の部分において環状中空フィン部98が構成されているとともに、前後方向両端の部分において平板状中空フィン部32,32が構成されている。
【0054】
換言すれば、周壁部116において各内方突出部118が設けられることにより、周壁部116において外周側に突出する山部34と外周側に開口する谷部36とが形成されており、周壁部116の左右方向両側において、これら山部34と谷部36とが前後方向で交互に設けられている。それゆえ、周壁部116において前後方向で隣接する山部34,34間には空間が設けられており、フィン本体部102の上方開口部104が蓋部106により覆蓋された際には、平板状中空フィン部32と環状中空フィン部98との間に隙間120が形成されるようになっている。
【0055】
また、前述のように、蓋部106は、平面視が上方開口部104(周壁部116)と同形状とされており、所定の上下方向寸法を有する板形状として形成されている。蓋部106の前後方向中央部分は、フィン本体部102における前後方向中央部分に対応して平面視が矩形(略正方形状)とされた矩形板部122とされているとともに、前後方向両端部分は、フィン本体部102における前後方向両端部分に対応して平面視が長円形状とされた長円板部124,124とされている。これら矩形板部122と各長円板部124とは、それぞれ左右方向寸法が小さくされた接続部125により接続されている。そして、矩形板部122の中央部分には、ボルト挿通筒部114の内孔に対応して、上下方向で貫通する円形の貫通孔126が形成されている。さらに、一方(実施形態3では後方)の長円板部124には上方に突出する減圧用筒部24が設けられており、減圧用筒部24の内孔が上下方向で貫通して蓋部106の下面に開口している。
【0056】
作動液18が注入された容器本体100の上方開口部104に対して上方から蓋部106が重ね合わされて固定され、減圧用筒部24を通じて内部空間110を減圧後、減圧用筒部24を突出基端部(下端部)で切断することで密封容器108が形成されて、実施形態3の放熱部品90が完成する。そして、ベース板部96におけるボルト挿通孔112と発熱部品の端子部(例えば、リレー12の端子部50)とを位置合わせした状態で、上方から貫通孔126およびボルト挿通筒部114を通じてボルト44を挿通して締結する。これにより、放熱部品90が、ベース板部96が発熱部品(例えば、リレー12)に熱的に接触した状態で、発熱部品に取り付けられる。
【0057】
実施形態3においても、発熱部品において発生した熱を各中空フィン部92を通じて放熱する機構は実施形態1と同様であり、実施形態1と同様の効果が発揮され得る。また、実施形態3においても、各中空フィン部92を構成するフィン本体部102において山部34と谷部36が設けられて、各中空フィン部92における内周面および外周面の面積が十分大きく確保されることから、放熱効率の向上が図られる。特に、実施形態3では、放熱部品90の前後方向中央部分にボルト締結部94が設けられていることから、ボルト44を介して伝達される発熱部品(例えば、リレー12)由来の熱を、放熱部品90の全体から略均等に放熱させることができる。
【0058】
<実施形態4>
以下、本開示の実施形態4の放熱部品130について、
図11,12を用いて説明する。実施形態4の放熱部品130は、全体としては実施形態1の放熱部品10と同様の形状であるが、ベース板部132を含んで構成される容器本体134に対して、左右両側から金属製の蓋部136,136が固定されることで形成されている。
【0059】
容器本体134は、全体にわたって略一定の厚さ寸法を有しており、下端におけるベース板部132が、平面視において略矩形状とされている。容器本体134は、ベース板部132から上方に突出して山部34と谷部36とが前後方向で交互に設けられたフィン本体部138を有しており、ベース板部132とフィン本体部138とが一体的に形成されている。これらベース板部132とフィン本体部138とで囲まれた領域は容器本体134を左右方向で貫通しており、容器本体134の左右方向両側には側方開口部140が形成されている。また、ベース板部132はフィン本体部138よりも前方まで延び出しており、この前方に延び出した部分によりボルト挿通孔142を有するボルト締結部144が構成されている。実施形態4では、上記容器本体134が、アルミニウム(アルミニウム合金を含む)による押出成形により形成されている。各蓋部136の材質は限定されないが、実施形態3における蓋部106と同様の材質が採用され得る。
【0060】
そして、各蓋部136は、側方視(左右方向視)において容器本体134と同形状を有している。また、一方(実施形態4では右方)の蓋部136には、減圧用筒部24が右方に突出して一体的に形成されている。
【0061】
上述のような形状とされた容器本体134の各側方開口部140に対してそれぞれ左右方向外方から蓋部136を重ね合わせて、容器本体134と各蓋部136とを固定し、減圧用筒部24を通じた減圧後、減圧用筒部24を突出基端部(左端部)で切断する。これにより、実施形態4の密封容器146が形成されて、放熱部品130が完成する。
【0062】
実施形態4の放熱部品130においても、各中空フィン部20がそれぞれ平板状中空フィン部32とされており、第2方向(前後方向)で隙間30を隔てて並列配置されている。この結果、実施形態4の放熱部品130においても、実施形態1と同様の効果が発揮され得る。特に、実施形態4では、容器本体134が押出成形により形成されていることから、実施形態1のような抜きテーパは必要でなく、各中空フィン部20(各平板状中空フィン部32)における前後方向寸法や左右方向寸法をより小さくすることもできる。
【0063】
<実施形態5>
以下、本開示の実施形態5の放熱部品150について、
図13を用いて説明する。
図13では、放熱部品150が、発熱部品であるリレー12に取り付けられた状態で示されている。前記実施形態1から前記実施形態4では、リレー12が筐体46に対して縦向きで載置される状態について説明したが、実施形態5では、リレー12が筐体46に対して横向きに載置されている。すなわち、実施形態5では、リレー12の本体部48において一対の端子部50,50が前方に開口している。
【0064】
実施形態5における放熱部品150の基本的な構造は、実施形態1における放熱部品10と同様である。すなわち、実施形態5における密封容器152は、容器本体154における下方開口部28がベース板部156で覆蓋されることにより構成されている。なお、ベース板部156において、減圧用筒部24は、実施形態1と同様に設けられる。ベース板部156において容器本体154よりも前方に延び出す部分は下方に屈曲しており、この下方に延び出す部分によりボルト挿通孔158を有するボルト締結部160が構成されている。
【0065】
以上のような構造とされた実施形態5の放熱部品150においても、リレー12における一対の端子部50,50に対して、通電回路である各バスバー52のボルト挿通孔54と、各放熱部品150におけるボルト締結部160のボルト挿通孔158とが位置合わせされた状態で、各ボルト挿通孔54,158に各ボルト44が挿通されて各端子部50に締結されることで、各放熱部品150がリレー12に取り付けられる。
【0066】
実施形態5においても放熱機構は実施形態1と同様であることから、実施形態1と同様の効果が発揮され得る。特に、実施形態5では、各ベース板部156において、各容器本体154の下方開口部28を覆う部分(下方に延び出していない部分)はリレー12の本体部48上に重ね合わされており、リレー12における発熱は、各ボルト44および各ボルト締結部160を介してだけでなく、直接的にもヒートパイプを構成する各密封容器152の下端部へと伝達される。この結果、リレー12における発熱がより効率的に放熱され得る。
【0067】
<変形例>
以上、本開示の具体例として、実施形態1から実施形態5について詳述したが、本開示はこの具体的な記載によって限定されない。本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれるものである。例えば次のような実施形態の変形例も本開示の技術的範囲に含まれる。
【0068】
(1)前記実施形態1では、容器本体26における平面形状がベース板部14における平面形状と同形状とされて、容器本体26の下面が全面にわたってベース板部14に重ね合わされていたが、この態様に限定されるものではない。容器本体26においてベース板部14のボルト締結部23と重ね合わされるボルト締結部41は必須なものではなく、実施形態5のように容器本体は複数の中空フィン部のみを備える形状であってもよい。実施形態2についても同様である。反対に、前記実施形態5では、容器本体154が複数の中空フィン部20のみを備える形状とされていたが、ベース板部156と同様の形状とされてもよく、容器本体の前方部分において下方に延び出すボルト締結部が設けられていてもよい。
【0069】
(2)前記実施形態では、放熱部品10,70,90,130,150が発熱部品(リレー12やヒューズ58)に対してボルト44により取り付けられるようになっていたが、この態様に限定されるものではない。すなわち、ベース板部はボルト締結部を備えていなくてもよく、放熱部品のベース板部がリレーやヒューズの本体部に対して、熱伝導性部材(例えば接着性を有する熱伝導シート)を介して接着固定されるようになっていてもよい。また、放熱部品が発熱部品に対してボルト締結により固定される場合、前記実施形態2のように相互に離隔する2箇所において固定されてもよく、例えば実施形態3において環状中空フィン部98を前後方向で離隔する2箇所に設けてもよい。
【0070】
(3)前記実施形態1において、
図4から
図6にも示されるように、各放熱部品10は、各バスバー52の延びる方向と同方向に延びて固定されていたが、この態様に限定されるものではない。すなわち、放熱部品は、重ね合わされる通電回路(バスバー)とは異なる方向に延びていてもよく、例えば
図4から
図6に示されるように、バスバーが前後方向に延びる場合、放熱部品は発熱部品の端子部から左方や右方に延びていてもよい。なお、放熱部品は、通電回路に対して同方向に延びて直接的に重ね合わされることが好適である。これにより、ベース板部と通電回路との接触面積を大きく確保することができて、発熱部品における熱がボルトだけでなく、通電回路によってもベース板部に伝達され得る。
【0071】
(4)中空フィン部の数は複数であれば、前記実施形態に記載の態様に限定されるものではない。また、中空フィン部の形状も、前記実施形態に記載の態様に限定されるものではない。例えば、複数の中空フィン部として、実施形態3における前後方向両端部の中空フィン部92(平板状中空フィン部32)が前後方向で複数つながった形状が採用されてもよい。さらに、前記実施形態1,2,4,5では、複数の中空フィン部20がそれぞれ同形状とされていたが、放熱部品に設けられる複数の中空フィン部の形状はそれぞれ同形状でなくてもよい。例えば、各中空フィン部を構成する山部や谷部の上下方向位置が異ならされてもよいし、各中空フィン部の幅方向寸法が異ならされてもよい。
【0072】
(5)前記実施形態では、放熱部品10,70,90,130,150の内部空間38,110において、蒸発した作動液18が各中空フィン部20,92の内面に接触して放熱することで液体へと凝縮し、各中空フィン部20,92の内面を伝って下方へと流動していたが、この態様に限定されるものではない。各中空フィン部の内面には、例えば上下方向に延びる微細な溝や毛細管構造(ウイック)が設けられてもよく、液体へと凝縮した作動液は、これらの溝や毛細管構造を通じて下方に流動するようになっていてもよい。
【符号の説明】
【0073】
10 放熱部品(実施形態1)
12 リレー(発熱部品)
14 ベース板部
16 密封容器
18 作動液
20 中空フィン部
22 ボルト挿通孔
23 ボルト締結部
24 減圧用筒部
26 容器本体
28 下方開口部
30 隙間
32 平板状中空フィン部
34 山部
36 谷部
38 内部空間
40 フランジ状部
41 ボルト締結部
42 ボルト挿通孔
44 ボルト
46 筐体
48 本体部
50 端子部
52 バスバー(通電回路)
54 ボルト挿通孔
56 回路構成体
58 ヒューズ(発熱部品)
60 本体部
62 端子部
70 放熱部品(実施形態2)
72 密封容器
74 ベース板部
76 容器本体
78,80 ボルト締結部
90 放熱部品(実施形態3)
92 中空フィン部
94 ボルト締結部
96 ベース板部
98 環状中空フィン部
100 容器本体
102 フィン本体部
104 上方開口部
106 蓋部
108 密封容器
110 内部空間
112 ボルト挿通孔
114 ボルト挿通筒部
116 周壁部
118 内方突出部
120 隙間
122 矩形板部
124 長円板部
125 接続部
126 貫通孔
130 放熱部品(実施形態4)
132 ベース板部
134 容器本体
136 蓋部
138 フィン本体部
140 側方開口部
142 ボルト挿通孔
144 ボルト締結部
146 密封容器
150 放熱部品(実施形態5)
152 密封容器
154 容器本体
156 ベース板部
158 ボルト挿通孔
160 ボルト締結部