(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016284
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】原材料から球状化粉末を製造する方法
(51)【国際特許分類】
B22F 1/00 20220101AFI20240130BHJP
B22F 1/054 20220101ALI20240130BHJP
B22F 1/065 20220101ALI20240130BHJP
B22F 1/052 20220101ALI20240130BHJP
C22C 14/00 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
B22F1/00 R
B22F1/054
B22F1/065
B22F1/052
B22F1/00 M
B22F1/00 S
C22C14/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023198538
(22)【出願日】2023-11-22
(62)【分割の表示】P 2022537613の分割
【原出願日】2020-12-17
(31)【優先権主張番号】62/950,778
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515084719
【氏名又は名称】シックスケー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バドウェ,スニル バルチャンドラ
(72)【発明者】
【氏名】トゥルケッティ,スコット ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】レジダル,マッカルーフ
(57)【要約】
【課題】本明細書で開示されるのは、マイクロ波プラズマ処理を用いて原料材料を処理する方法、装置、及び組立品の実施形態である。具体的には、本明細書に開示される原料材料は、スクラップ材料、脱水素化又は非水素化原料材料、リサイクル後の使用済み粉末、及びガスアトマイズ粉末に係るものである。
【解決手段】マイクロ波プラズマ処理は、球状化、汚染物質の除去に使用することができる。マイクロ波プラズマ処理を経た供給材料は、高い粉末流動性が求められる積層造形又は粉末冶金(PM)用途などの様々な用途に使用することができるので有用である。
【選択図】
図12B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスアトマイズ工程により前もって製造された粉末をマイクロ波プラズマトーチに導入する
ことにより形成される複数の粒子であって、前記複数の粒子の各粒子は200ナノメーター未満の粒径を有する、複数の粒子、を含む球状化粉末であって、
前記複数の粒子は0.90超の
中央球形度を有し、
前記球形度
は式:
【数1】
【数2】
に従って算出され、
前記複数の粒子は、CpTi、TiAl、及びTi-6Al-4Vからなる群から選択される材料を含む、
球状化粉末。
【請求項2】
前記複数の粒子は0.95超の中央球形度を有する、請求項1に記載の球状化粉末。
【請求項3】
前記複数の粒子は0.99超の中央球形度を有する、請求項1に記載の球状化粉末。
【請求項4】
前記複数の粒子は約2重量%未満の酸素含有量を含む、請求項1に記載の球状化粉末。
【請求項5】
前記複数の粒子は15~63μmの粒径分布を有する、請求項1に記載の球状化粉末。
【請求項6】
前記複数の粒子は、前記ガスアトマイズ工程から保持される微細構造を有する内部コア部分、及び前記内部コア部分の前記微細構造とは異なる微細構造を有する外部シェル部分を含む、請求項1に記載の球状化粉末。
【請求項7】
前記内部コア部分が加工硬化微細構造を含む、請求項6に記載の球状化粉末。
【請求項8】
前記複数の粒子が、チタン、チタン合金、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、鉄、鉄合金、及びセラミックからなる群より選択される材料を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の球状化粉末。
【請求項9】
前記複数の粒子が、チタン又はチタン合金を含む、請求項6又は7に記載の球状化粉末。
【請求項10】
前記外部シェル部分がβ相微細構造であり、前記内部コア部分がα相微細構造である、請求項9に記載の球状化粉末。
【請求項11】
前記外部シェル部分がTi-6-4 β相微細構造であり、前記内部コア部分がTi-6-4 α相微細構造である、請求項10に記載の球状化粉末。
【請求項12】
前記外部シェル部分が混合相を含む、請求項6に記載の球状化粉末。
【請求項13】
炭素及び窒素が前記複数の粒子から除去されている、請求項1又は6に記載の球状化粉末。
【請求項14】
前記複数の粒子が銅又は銅合金を含む、請求項8に記載の球状化粉末。
【請求項15】
前記複数の粒子が鉄又は鉄合金を含む、請求項8に記載の球状化粉末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年12月19日に出願された米国仮特許出願第62/950778号明細書の35 U.S.C.セクション119(c)に基づく利益を主張し、その開示全体は、参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、概して、一部の実施形態において、スクラップ材料、脱水素化又は非水素化材料、再生使用粉末、又は特大ガスアトマイズ粉末を含む原料材料から、金属球状又は楕円状粉末製品を製造することに向けられている。
【背景技術】
【0003】
工業用粉末の形態を調製する一つの重要な態様として、従来の破砕法によって製造された不規則な形状の又は角張った粉末を、球状の低多孔性粒子に変える球状化プロセスがある。球状粉末は、形状が均一で、密度が高く、多孔性が低く、流動性が高く、タップ密度が高い。このような粉末は、射出成形、溶射コーティング、積層造形などの用途において優れた特性を示す。
【0004】
楕円状金属粉末、特にTiを含む金属粉末を作り出すには数多くの問題を伴う。所望の楕円状形状、所望のレベルの多孔性(例えば、非多孔性から高多孔性まで)、及び所望の組成及び微細構造を達成することが困難な場合がある。
【0005】
従来の球状化方法においては、1978年2月28日発行の特許文献1に記載されている熱アークプラズマと、2005年7月19日発行の特許文献2に記載されている高周波発生プラズマが使用されている。しかしながら、高周波及び熱アークプラズマの場合に起こる熱的不均一性という特有の問題のために、これら2つの方法は制約を受ける。
【0006】
熱アークプラズマの場合、電気アークが2つの電極間で生成し、プラズマ流路内にプラズマが発生する。プラズマはプラズマガスによりプラズマ流路から吹き出される。粉末は側面から垂直に又は斜めにプラズマプルーム内に注入され、そこでプラズマの高温熱によって溶かされる。溶けた粉末は表面張力で引っ張られながら球状化していき、冷却されて固まり、フィルターに集められる。熱アークプラズマの問題点は、プラズマを点火する電極が高温に曝されるため、電極が劣化し、プラズマプルームやプロセス材料が汚染されることである。又、熱プラズマはもともと温度勾配が大きい。このため、粉末をプラズマ中に横から投入すると、すべての粉末が同じ温度に曝されるわけではなくて、粉末の一部は球状化するも、不均一で気孔の多い粉末になってしまう。
【0007】
高周波誘導結合プラズマによって球状化させる場合、プラズマガス中で電場を誘起する磁場を変化させることによりプラズマを発生させ、電離、励起などのプラズマプロセスを経て、円筒状誘電体チューブ内でプラズマを持続させる。誘導結合プラズマは、アークやマイクロ波で発生させたプラズマと比較して、高周波エネルギーのプラズマへの結合効率が低く、プラズマ温度が低いことが知られている。プラズマを発生させる磁場の分布が不均一であるため、プラズマの温度勾配が大きく、プラズマの端(誘電体管の壁に近い部分)で最も温度が高く、中央部で最も温度が低いドーナツ状のプラズマになることが分かっている。又、誘電体チューブに巻かれた高周波コイルには高周波電圧がかかっているため、プラズマと高周波コイルの間には容量成分が発生する。この容量成分が大きな電界を作り出し、プラズマから誘電体内壁に向かってイオンを移動させるため、アーク放電や誘電体チューブの劣化、チューブ材料によるプロセス材料の汚染につながる。
【0008】
金属粉末粒子を、高い粉末流動性を必要とする積層造形又は粉末化冶金(PM)用途向けに使えるようにするためには、粒子が球状である必要があるが、このことは球状化プロセスによって達成することができる。このプロセスでは、高温環境下で粒子を溶かし、液体金属の表面張力で各粒子を球状に成形し、その後、冷却して再凝固させる。又、球状粉末は、さまざまな方法で直接製造することができる。そのひとつ、プラズマ回転電極(PRP)により、高流動性・高充填のチタン及びチタン合金粉末を製造することができるものの、該方法は高価であるとされている。又、楕円状のチタン及びチタン合金は、ガスアトマイズ法により製造されるが、当該系のセットアップが比較的複雑で、粉末中に孔が入ってしまう可能性がある。異形粉末の球状化方法としては、TEKNA社(Sherbrook、Quebec、Canada)の誘導結合プラズマ(ICP)を用いた球状化プロセスがあり、水素化物-脱水素物(HDH)プロセスで得られた角型粉末をガス内に巻き込み、高温プラズマ環境下に注入して粉末粒子を溶融させる。しかし、この方法では、プラズマが不均一なため、原料の球状化が不完全になるという問題がある。HDHプロセスでは、粉末を球状化する前に、水素化、脱水素化、脱酸素化など、いくつかの複雑な工程を必要とする。この工程には時間がかかりしかも多段階のプロセスであるため、このような方法で製造された金属粉のコストを押し上げる要因となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第4,076,640号明細書
【特許文献2】米国特許第6,919,527号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2018/0297122号明細書
【特許文献4】米国特許第8,748,785号明細書
【特許文献5】米国特許第9,932,673号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2018/0297122号明細書
【特許文献7】米国特許第8,748,785号明細書
【特許文献8】米国特許第9,932,673号明細書
【特許文献9】米国特許公開番号2013/0270261号明細書
【特許文献10】米国特許第8,748,785号明細書
【特許文献11】米国特許第9,023,259号明細書
【特許文献12】米国特許第9,259,785号明細書
【特許文献13】米国特許第9,206,085号明細書
【特許文献14】米国特許公開番号第2013/0270261号明細書
【特許文献15】米国特許第8,748,785号明細書
【特許文献16】米国特許出願公開第2018/0297122号明細書
【特許文献17】米国特許第8,748,785号明細書
【特許文献18】米国特許第9,932,673号明細書
【発明の概要】
【0010】
ガスアトマイズ工程により前もって製造された粉末から球状化粉末を製造する方法は、このガスアトマイズ工程により前もって製造された粉末を、マイクロ波プラズマトーチに導入する工程であって、このガスアトマイズ工程により前もって製造された粉末の平均粒径は、積層造形法(Additive manufacturing)のための範囲の外にある、工程;及びこのガスアトマイズ工程により前もって製造された粉末を、マイクロ波プラズマトーチ内で溶融及び球状化し、このガスアトマイズ工程により前もって製造された粉末の平均粒径及び粒径分布とは異なる平均粒径及び狭い粒径分布を有する球状化粉末粒子を形成する工程;を含む。
【0011】
いくつかの実施態様では、溶融及び球状化により、平均粒径が増大する。いくつかの実
施態様では、溶融及び球状化により平均粒径が減少する。いくつかの実施態様では、球状化粉末粒子の粒径分布が、ガスアトマイズ工程により前もって製造された粉末の粒径分布と比較して、10%~95%の少なくとも50%少ない。
【0012】
いくつかの実施態様では、球状化粉末の50パーセンタイル粒径が、ガスアトマイズ工程により前もって製造された粉末の50パーセンタイル粒径と比較して少なくとも40%減少する。いくつかの実施態様では、球状化粉末の50パーセンタイル粒径が、ガスアトマイズ工程により前もって製造された粉末の50パーセンタイル粒径と比較して、少なくとも50%減少する。
【0013】
いくつかの実施態様では、球状化粉末の50パーセンタイル粒径が、ガスアトマイズ工程から前もって製造された粉末の50パーセンタイル粒径と比較して、少なくとも40%増加する。いくつかの実施態様では、球状化粉末の50パーセンタイル粒径が、ガスアトマイズ工程により前もって製造された粉末の50パーセンタイル粒径と比較して少なくとも50%増加する。
【0014】
いくつかの実施態様では、ガスアトマイズ工程により前もって製造された粉末が、チタン、チタン合金、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、鉄、鉄合金、延性金属、延性金属合金、及びセラミックからなる群より選択される材料からなる。いくつかの実施態様では、溶融及び球状化中に、ガスアトマイズ工程により前もって製造された粉末から炭素及び窒素が除去される。いくつかの実施態様では、球状化粉末粒子が、溶融及び球状化の後で、ガスアトマイズ工程により前もって製造された粉末と同じレオロジー特性を保持する。
【0015】
本明細書で開示されるのは、金属スクラップ又は使用済み金属部品から球状化粉末を製造する方法の実施形態であり、該方法は以下のことを含む:金属、金属合金、チタン、チタン合金、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、鋼、及び鋼合金からなる群から選択される材料を含む金属スクラップ又は使用済み金属部品を提供し;金属スクラップ又は使用済み金属部品を粉砕して、マイクロ波プラズマプロセスにおける原料として使用するのに適した、予め決められた範囲の粒子体積を有する金属粒子を生成して;そして所定の粒子体積範囲内にある金属粒子をマイクロ波プラズマ処理し、球状化粉末を形成する。
【0016】
いくつかの実施形態では、所定の粒子体積範囲は、15~63μmとすることができる。いくつかの実施形態では、金属スクラップ又は使用済み金属部品には、マイクロ波プラズマ処理後も、球状化粉末に保持されている加工硬化微細構造が含まれ得る。いくつかの実施形態では、金属スクラップ又は使用済み金属部品の粉砕を、金属スクラップ又は使用済み金属部品を脆化させることなく行うことができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、金属スクラップ又は使用済み金属部品は、Ti6Al-4Vを含み得る。いくつかの実施形態では、金属スクラップ又は使用済み金属部品は、Al、Mg、Ti、及び/又はCuを含む合金元素を含むことができ、マイクロ波プラズマ処理後も、球状化粉末には依然としてAl、Mg、Ti、及び/又はCuが含まれている。いくつかの実施形態において、金属スクラップ又は使用済み金属部品は、鋭利な旋削物、鋸屑、研削屑、研削微粉、及び/又は洗浄ライン微粉を含み得る。いくつかの実施形態では、金属スクラップ又は使用済み金属部品が、粉砕後に予め決められた範囲の粒子体積を有する金属粒子となるような、サイズ及び/又はアスペクト比を有する前記粒子を粉砕用に選別することができる。
【0018】
本明細書でさらに開示されることは、約x~約yの所望の粒度分布を有する球状化粉末
を製造する方法の実施形態であり、ここでxは粒径分布の低端を表し、yは粒径分布の高端を表し、該方法は以下のことを包含する:金属スクラップ又は使用済み金属部品を粉砕又は破砕することによって得られる金属粒子を、マイクロ波プラズマトーチに導入すること、ここで、この導入金属粒子の大部分は約4/3π(x/2)3~約4/3π(y/2)3の体積を有し、かつこの導入金属粒子は2:1~200:1の集合平均又は中央アスペクト比を有する;そして、マイクロ波プラズマトーチ内で金属粒子を溶解及び球状化させて、約x~約yの所望する粒径分布を持つ球状化粉末を形成する。
【0019】
いくつかの実施形態では、xは5μmに等しく、yは45μmに等しく、前述の導入された金属粒子の大部分は、約65.45μm3~約47,712.94μm3の体積とす
ることができる。いくつかの実施形態では、集合平均又は中央アスペクト比は、5:1~20:1の間であり得る。いくつかの実施形態では、集合平均又は中央アスペクト比は、10:1~100:1の間であり得る。いくつかの実施形態では、金属粒子をマイクロ波プラズマトーチに導入するのには、金属粒子をマイクロ波プラズマトーチの排気中に、又はマイクロ波プラズマトーチのプルーム中に導入することが含まれ得る。
【0020】
本明細書でさらに開示されるのは、使用済み粉末から球状化粉末を製造する方法の実施形態であり、この方法は:以前に使用された粉末粒子をマイクロ波プラズマトーチに導入すること、ここで、以前に使用された粉末粒子はサテライト、凝集体又は汚染物を含み;そしてマイクロ波プラズマトーチ内で以前に使用された粉末粒子を溶解及び球状化して、凝集体、汚染物及びサテライトを取り除いた球状化粉末粒子を形成すること、を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、以前に使用された粉末粒子は、サテライト、凝集体、及び汚染物を含み得る。いくつかの実施形態では、以前に使用された粉末粒子を、金属、金属合金、チタン、チタン合金、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、鋼、鋼合金、延性金属、延性金属合金、及びセラミックからなる群から選択される材料とすることができる。いくつかの実施形態において、炭素及び窒素を、溶融及び球状化の間に、以前に使用された粉末粒子から除去することができる。いくつかの実施形態では、以前に使用された粉末粒子を、レーザー焼結、電子ビーム溶融、フィラメント溶融堆積、指向性エネルギー堆積、粉末床溶融、及びバインダージェッティングからなる群から選択される積層造形プロセスから形成することができる。いくつかの実施形態では、球状化粉末粒子は、溶融及び球状化の後、以前に使用された粉末粒子と同じレオロジー特性を保持することができる。
【0022】
本明細書でさらに開示されるのは、脱水素チタン又は非水素化チタン又はチタン合金を含む供給材料から球状化粉末を製造する方法の実施形態であり、この方法には、脱水素チタン又は非水素化チタン又はチタン合金粒子を含む供給材料を、マイクロ波プラズマトーチに導入すること;及びマイクロ波プラズマトーチによって発生するプラズマ内で、粒子を溶解及び球状化させて球状化粉末を形成することが含まれる。
【0023】
いくつかの実施形態では、供給材料は、水素化-脱水素(HDH)プロセスによって処
理されたチタン又はチタン合金粒子を含むことができる。いくつかの実施形態において、球状化粉末は、少なくとも0.75の中央球形度を有する粒子からなることができる。いくつかの実施形態では、球状化粉末は、粒径分布範囲の下限として5~45μm、粒径分布範囲の上限として15~105μmの粒度分布を有し得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、1つ以上の処理変数を設定することにより、球状化粒子内にマルテンサイト微細構造を形成することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の処理変数を設定すれば、球状化粒子において等軸微細構造を形成することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の処理変数を設定することにより、球状化粉末中に少なく
とも2つの領域を形成することができて、しかも各領域は異なる微細構造を有する。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの領域には、コア部分及びスキン部分が含まれ得、スキン部分を、供給材料の微細構造とは異なる微細構造を持つものとすることができる。いくつかの実施形態では、供給材料を1.0μm以上300μm以下の粒径を持つものとすることができる。いくつかの実施形態では、供給材料をTi6Al-4Vを含むものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本開示によるマイクロ波プラズマ処理前の、金属旋削物の形状をした金属スクラップ供給原料の実施形態例を示す図である。
【
図2】本開示によるマイクロ波プラズマ処理後の、金属旋削物の形状の金属スクラップ供給原料の実施形態例を示す図である。
【
図3】本開示によるマイクロ波プラズマ処理前の、金属旋削物サンプルについてのL/W(アスペクト比)のプロットの一例を示す図である。
【
図4】本開示によるマイクロ波プラズマ処理を用いて、金属スクラップ/合金を再利用する方法の実施形態例を示す図である。
【
図5】本開示によるマイクロ波プラズマ処理を用いて、水素化物-脱水素物(HDH)生成原料を処理する方法の実施形態例を示す図である。
【
図6】本開示によるマイクロ波プラズマ処理前の、使用済み粉末CoCr供給原料の実施形態例を示す図である。
【
図7】本開示によるマイクロ波プラズマ処理前の、使用済み粉末CoCr供給原料の実施形態例を示す図である。
【
図8】本開示によるマイクロ波プラズマ処理後の、使用済み粉末CoCr供給原料の実施形態例を示す図である。
【
図9】本開示によるマイクロ波プラズマ処理後の、使用済み粉末CoCr供給原料の実施形態例を示す図である。
【
図10】本開示による楕円状粒子を製造する方法を例示する実施形態の図である。
【
図11】本開示の実施形態による、楕円状の、金属又は金属合金粉末の製造に使用することができるマイクロ波プラズマトーチの実施形態を示す図である。
【
図12A】本開示のサイドフィードホッパーの実施形態による、楕円状の、金属又は金属合金粉末の製造に使用することができるマイクロ波プラズマトーチの実施形態を示す図である。
【
図12B】本開示のサイドフィードホッパーの実施形態による、楕円状の、金属又は金属合金粉末の製造に使用することができるマイクロ波プラズマトーチの実施形態を示す図である。
【
図13】本開示に係る、所望の微細構造を有するチタン系(例えば、チタン、チタン合金)楕円状粒子を製造する方法の実施形態例を示す図である。
【
図14】本開示の実施形態に係る、粒子微細構造を改変する方法の実施形態例を示す図である。
【
図15】本開示の実施形態による、改変後の粒子の実施形態を例示する図である。
【
図18】以前に使用された粉末(左)及び本開示の実施形態に係る球状化粉末(右)を示す図である。
【
図19】ガスアトマイズ法により形成された特大の粒子を示す図である。
【
図20】ガスアトマイズ法により形成された特大粒子の物理的特性データを示す図である。
【
図21】本明細書に開示される方法の実施形態を実施した後の特大のガスアトマイズ粒子を示す。
【
図22】本明細書に開示される方法の実施形態を実施した後の特大ガスアトマイズ粒子についてのデータを示す図である。
【
図23】本開示方法の実施形態における微細構造の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書で開示されるのは、マイクロ波プラズマ処理を用いて原料材料を球状化する方法、装置、及びアセンブリの実施形態である。各々異なる原料材料は、所望の球状化を達成する上で、マイクロ波プラズマトーチ処理の場合と同様に、最初の原料、それ自身に関する重要、特殊かつ固有の要件を有している。具体的には、本明細書に開示される原料材料は、スクラップ材料、脱水素原料材料又は非水素原料材料、再生使用粉末、及びガスアトマイズ工程によって前もって製造された粉末に関連し、これらの原料は、最初の前処理又は特定のプラズマ処理を必要とする場合がある。本明細書に開示されるように、マイクロ波プラズマトーチ内における処理には、マイクロ波プラズマトーチ、マイクロ波プラズマトーチのプラズマプルーム、及び/又はマイクロ波プラズマトーチの排気部に原料を供給することが含まれ得る。その場所は、使用される供給原料の種類によって異なる場合がある。さらに、原料を、それぞれ異なる要件に応じて選択することができる。要件の例としては、アスペクト比、粒径分布(PSD)、化学、密度、直径、球形度、酸化程度、硬度、及び延性がある。
【0027】
スクラップ材料
本明細書で開示されるのは、金属/合金スクラップ及び/又は金属/合金からなる使用済み部品を再利用する方法、装置及び組立品の実施形態(例えば、墓場からゆりかごへ又はスクラップからプレミアムへ)である。特に、本開示の実施形態では、旋削物などの金属スクラップ又は使用済み金属部品を使って、(水素化又は極低温の使用などによる)脆化させずに、マイクロ波プラズマ処理用の原料を作成することができる。具体的には、スクラップ又は使用済み金属部品を-いくつかの実施形態では粉砕されなくてもよいが-所望の体積の原料粒子又は旋削物粒子に粉砕することができる。そして、原料又は旋削物を、マイクロ波プラズマ処理用の原料として使用することで、最終的には球状化粉末を形成することができ、さらに、積層造形プロセスなどの異なるプロセスで使用することも可能となる。しかし、スクラップ材は、マイクロ波プラズマ処理向けに適した原料として加工するのが極めて困難である。
【0028】
いくつかの実施形態では、本方法には、特定用途に適した所望の粒径分布とするために、1)原料サイズ/アスペクト比の選択、2)脆化させるような工程を使わないで延性片を割砕する粉砕アプローチ、及び3)最終的に所望する粒子体積、のこれらの間の相関関係を吟味することが含まれ得る。いくつかの実施形態では、原料は粉砕の前に脆化する。そのため、ユーザーは、供給原料のサイズ/アスペクト比及び採用する粉砕アプローチを選択する場合に影響してくる、元のスクラップの粉砕後の、所望する粒子の粒子体積を特定することができる。
【0029】
最終の特定用途としては挙げることができるのは、例えば、15~45μm(又は約15~約45μm)、又は15~63μm(又は約15~約63μm)又は20~63μm(又は約20~約63μm)の粒径分布(PSD)を供するレーザー床融解、45~105μm(又は約45~約105μm)又は105~150μm(又は約105~約150μm)の粒径分布を供する電子ビーム処理、又は金属射出成形(MIM)である。いくつかの実施形態では、PSDを、供給原料中の粒子のD50として表すことができる。いくつかの実施形態では、供給原料は、ジェットミリング、湿式ミリング、又はボールミリングによって処理される。いくつかの実施形態において、供給原料のPSDは、15~15μm、15~45μm、20~63μm、45~105μm、又は105~150μmである。PSDは、レーザー粉末床溶融、直接エネルギー蒸着、バインダージェット印刷、金属射出成形、及び熱間等方圧プレスなどの粉末加工技術に応じて調整することができる
。
【0030】
元のスクラップ又は使用済み金属部品は、鋭い旋削物(例えば、高アスペクト比、高表面積、薄い、又はスパゲッティ状の材料を有するもの、スクラップ集合体)、鋸屑(高アスペクト比、薄い材料)、研削屑(低アスペクト比の粉末状の材料)、研削微粉、又は洗浄ライン微粉(低アスペクト比の、厚板又は薄板状の材料)とすることができ、粉砕工程などで特定のPSDの供給原料に分解し、この供給原料を球状及び緻密な粉末にマイクロ波プラズマ処理することができる。いくつかの実施形態では、スクラップは、3Dプリント部品(失敗した3Dプリント部品など)又は鋳物(失敗した鋳物など)であってよい。いくつかの実施形態では、投入材料は、洗浄ライン微粉、鋸屑、研削屑であってよい。いくつかの実施形態では、入力材料は、研削、粉砕、切削、又は旋削のようなプロセスによる使用済み部品又はスクラップ部品であってよいが、これらに限定されない。
図1には、プラズマ処理前の金属旋削材料の例が示されている。
図2では、プラズマ処理後の金属旋削材が例示されている。
【0031】
いくつかの実施形態では、機械加工プロセスを経た得られた高アスペクト比の旋削物を、マイクロ波プラズマ溶融工程に供給する原料として使用し、球状粉末を製造する。いくつかの実施形態において、旋削物の平均アスペクト比は、2:1(又は約2:1)、3:1(又は約3:1)、5:1(又は約5:1)、10:1(又は約10:1)、20:1(又は約20:1)、100:1(又は約100:1)、又は200:1(又は約200:1)である。いくつかの実施形態では、旋削物の平均アスペクト比は、1:1(又は約1:1)、3:1(又は約3:1)、5:1(又は約5:1)、10超:1(又は約10:1)、20超:1(又は約20:1)、100超:1(又は約100:1)、又は200超:1(又は約200:1)よりも大きい。いくつかの実施形態では、旋削物の平均アスペクト比は、3:1(又は約3:1)、5:1(又は約5:1)、10超:1(又は約10:1)、20超:1(又は約20:1)、100超:1(又は約100:1)、又は200超:1(又は約200:1)よりも小さい。
【0032】
いくつかの実施形態では、大部分の旋削物のアスペクト比は、2:1(又は約2:1)、3:1(又は約3:1)、5:1(又は約5:1)、10:1(又は約10:1)、20:1(又は約20:1)、100:1(又は約100:1)、又は200:1(又は約200:1)である。いくつかの実施形態では、大部分の旋削物のアスペクト比は、1:1(又は約1:1)、3:1(又は約3:1)、5:1(又は約5:1)、10超:1(又は約10:1)、20超:1(又は約20:1)、100超:1(又は約100:1)、又は200超:1(又は約200:1)より大きさ比である。いくつかの実施形態では、大部分の旋削物のアスペクト比は、3:1(又は約3:1)、5:1(又は約5:1)、10超:1(又は約10:1)、20超:1(又は約20:1)、100超:1(又は約100:1)、あるいは200超:1(又は約200:1)より小さい。
【0033】
いくつかの実施形態では、75%超の旋削物のアスペクト比は、2:1(又は約2:1)、3:1(又は約3:1)、5:1(又は約5:1)、10:1(又は約10:1)、20:1(又は約20:1)、100:1(又は約100:1)、又は200:1(又は約200:1)である。いくつかの実施形態では、75%超の旋削物のアスペクト比は、1:1(又は約1:1)、3:1(又は約3:1)、5:1(又は約5:1)、10超:1(又は約10:1)、20超:1(又は約20:1)、100超:1(又は約100:1)、あるいは200超:1(又は約200:1)より大きい比である。いくつかの実施形態では、75%超の旋削物のアスペクト比は、3:1(又は約3:1)、5:1(又は約5:1)、10超:1(又は約10:1)、20超:1(又は約20:1)、100超:1(又は約100:1)、又は200超:1(又は約200:1)より小さい比である。
【0034】
いくつかの実施形態では、90%超の旋削物のアスペクト比は、2:1(又は約2:1)、3:1(又は約3:1)、5:1(又は約5:1)、10:1(又は約10:1)、20:1(又は約20:1)、100:1(又は約100:1)、又は200:1(又は約200:1)である。いくつかの実施形態では、90%超の旋削物のアスペクト比は、1:1(又は約1:1)、3:1(又は約3:1)、5:1(又は約5:1)、10超:1(又は約10:1)、20超:1(又は約20:1)、100超:1(又は約100:1)、もしくは200超:1(又は約200:1)、より大きい比である。いくつかの実施形態では、90%超の旋削物のアスペクト比は、3:1(又は約3:1)、5:1(又は約5:1)、10超:1(又は約10:1)、20超:1(又は約20:1)、100超:1(又は約100:1)、又は200超:1(又は約200:1)より小さい比である。
【0035】
いくつかの実施形態では、供給原料の体積分布を、処理粉末に対して所望するPSDの体積分布とほぼ等しくなるように調整する。体積は、4/3*π*r3に基づいて計算され、ここで「r」は処理粉末の半径である。いくつかの実施形態では、原料粒子の大部分は、約4/3π(x/2)3~約4/3π(y/2)3の範囲内の体積を有し、xは所望の粒径分布の下端であり、yは所望の粒径分布の上端である。いくつかの実施形態では、実質的に全ての原料粒子は、約4/3π(x/2)3~4/3π(y/2)3の範囲内の体積を有する。一例では、前処理及び処理供給原料の体積分布は、処理粉末の所望する粒径分布、5~45μmに対応して、約65.45μm3~約47,712.94μm3の間であり得る。いくつかの実施形態では、前処理供給原料の平均アスペクト比又は中央アスペクト比は、まとめて、2:1~200:1の間、3:1~200:1の間、4:1~200:1の間、又は5:1~200:1のとすることができる。しかし、開示されるいずれの比率/直径は体積計算に使用することができる。一例として、処理後の粒径分布は、5~45μmとすることができる。他の粒径分布も考えられ、たとえば、粒径分布範囲の低端として、5~45μmの粒径分布及び粒径分布範囲の高端として15~105μmの粒径分布(例えば、5~15μm、15~45μm、45~105μm)とすることが
できるが、これらに限定されない。
【0036】
いくつかの実施形態では、原料の体積分布は、最終の球状化粉末と同じにすることができる。いくつかの実施形態では、供給原料の全体体積は、最終の球状化粉末と概ね同じにすることができる。いくつかの実施形態では、原料の全体容積は、最終の球状化粉末の1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、又は20%以内(又は約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、又は約20%)とすることができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、供給原料は、概して球状であってもよく、概して非球状であってもよい。例えば、供給原料は、不定形の供給原料、立方体、フィラメント、ワイヤなどであってもよい。
【0038】
これらのアスペクト比は単に例示的なものであり、他のアスペクト比も同様に使用することができる。
図3は、高アスペクト比をもつ旋削物サンプルの例示図である。この図において、L/W(アスペクト比)は、高アスペクト比をもつ旋削物サンプル中の個々の粒子に対してプロットされる。アスペクト比はL/Wで示されている。見てわかるように、アスペクト比は約1:1~15:1まであり、ほとんどの粒子は1:1~7:1の間に収まっている。ただし、これは単なる一例であり、他のアスペクト比を用いることも可能である。
【0039】
機械加工工程を経て得られる旋削物を、まず収集し、機械加工油及び他の不純物を除去洗浄し、次に篩い分けを行って、サイズを減らすためにさらなる処理が必要な大きなサイ
ズのものから、直接原料として使用できる小さな粒子/旋削物を分離する。旋削物をさらに所望の大きさにする方法として、粉砕加工が例示される。この粉砕処理後の生成物を、その後、異なるサイズに再び篩い分けて、球状化向けの供給原料として使用できるように、所望のサイズの生成物を選択する。使用する材料は、金属及び金属合金原料を使用して部品を製造する任意の除去法からのものを選択することができる。
【0040】
より具体的には、いくつかの実施形態では、スクラップは、プラズマ処理工程に導入される前に前処理されてもよい。例えば、スクラップを、大きな凝集体を除去するために篩い分けて、プラズマ処理向けの所望のサイズを有するものとして選択してもよい。いくつかの実施形態において、スクラップを、汚染物除去のために、水、界面活性剤、洗剤、溶媒、又は酸などの任意の化学物質で洗浄してもよい。いくつかの実施形態において、スクラップが任意の磁性材料で汚染されている場合、磁気を使って洗浄してもよい。いくつかの実施形態では、洗浄によりセラミック及び油などの汚染物質が除去される。いくつかの実施形態では、スクラップを、前処理して脱酸化してもよい。いくつかの実施形態では、他の元素又は化合物を添加して、使用部品の化学を補完又は改質してもよい。いくつかの実施形態では、スクラップを、微粉を除去するために脱塵し得る。いくつかの実施形態では、前処理は行わなくてもよい。これらの前処理技術の全てを、粉砕処理後のスクラップ原料にも適用することができる。
【0041】
いくつかの実施形態において、粉砕される材料は、チタン又はチタン合金であってよい。使用することができる特定のチタンは、商業向け純チタン(CpTi)(CpTiとして知られている)、TiAl、Ti-6Al-4V(Ti-6-4)であるが、この特定のチタン材料/合金は、本開示において制限されるものではない。チタンの粉砕は特に問題であり得る、というのは、チタンは高度に延性であるため、単に曲がったり形状が変わったりするだけであり、水素化又は低温化などによる脆化処理なしでは、適度な粉末として分解されないであろうからである。しかしながら、本開示の実施形態によれば、そのいった脆化処理なしでチタン又はチタン合金を粉砕することができる。このことは、特定の体積/サイズ/アスペクト比を有する材料のみを選択するなど、粉砕されるスクラップ材料を理解し、さらに材料を適切に選択することによって可能となる。
【0042】
図4では、金属/合金のスクラップを再利用するためのプロセス100のフローチャートを例示する。ブロック102において、金属/合金スクラップを受け取ることができる。いくつかの実施形態では、金属/合金スクラップは、旋削物、洗浄ライン微粉、鋸屑、研削屑であって良い。金属/合金スクラップは、研削、粉砕、切断、又は旋削のようなプロセスによって使用されるか、又はスクラップ部品とすることができるが、これらに限定されるものではない。ブロック104において、金属/合金スクラップを、洗浄することができる。いくつかの実施形態では、水、界面活性剤、洗剤、溶剤、又は汚染を除去するための酸などの他の任意の化学物質を用いて洗浄する。いくつかの実施形態では、洗浄により、機械加工油及び他の不純物を除去する。いくつかの実施形態では、クリーニングの必要はない。
【0043】
ブロック106/108において、金属/合金スクラップを、大きすぎる破片と、原料として使用するのに充分小さい破片とを選別するために、篩にかけることができる。もし、原料として使用するのに十分な大きさの破片であれば、ブロック112に進むことができる。大きすぎる場合は、ブロック110でより小さな金属/合金スクラップに粉砕し、粒径を調整することができる。いくつかの実施形態では、粉砕を、ジェット粉砕、湿式粉砕、及び/又はボール粉砕とすることができる。粉砕後の金属屑/合金をさらに篩い分けるためにブロック106を繰り返すことができる。あるいは、ブロック112において、粉砕後の金属屑/合金を供給原料として使用できる準備が整ったことを決定することができる。
【0044】
ブロック112/114において、供給原料として使用する準備ができている粉砕後の金属スクラップ/合金を、マイクロ波プラズマ処理することができる。マイクロ波プラズマ処理は、以下に説明され、
図11及び
図12A~Bにも示される。
【0045】
上述したように、スクラップ材料は、原料として準備するのが極めて複雑である場合がある。
【0046】
脱水素化又は非水素化供給材料
本開示の一態様は、マイクロ波生成プラズマを使用した金属及び金属合金の球状化プロセスを含む。このプロセスでは、金属及び/又は金属合金からなる容易に入手可能な、既存の予備選別された又は予備選別されていない原料を供給材料として使用する。粉末原料を、不活性及び又は還元性及び/又は酸化性のガス内に巻き込み、マイクロ波プラズマ環境下に注入する。原料を高温のプラズマ中に注入して球状化し、不活性ガスで満たされたチャンバー内に放出し、密閉ドラムに向かわせてそこで保管する。該プロセスは、大気圧下、部分真空下、又は大気圧よりわずかに高い圧力下で行うことができる。これに替わる実施形態では、該プロセスを、低、中、又は高真空環境下で行うことができる。該プロセスは連続的に実行することができ、ドラムは、球状化金属又は金属合金粒子で満たされると交換する。さらに、マイクロ波プラズマプロセスにおいて均質性が確保されているのであれば、粒子凝集を完全に抑えることができないまでも減らせるので、少なくとも元の供給材料の粒径分布を維持することができる。しかし、原料のサイズ基準は厳格なため、原料を適切にサイジングすることが困難な場合がある。異なる処理方法を採用する場合であれば、異なる原料サイズ基準を使うことが可能となる。
【0047】
いくつかの実施形態では、水素化物-脱水素物(HDH)プロセスを使用して、大きな
金属又は金属合金片を、破砕、粉砕、及び選別を介してより細かい粒径分布をもつようにリサイジングすることができる。金属・合金粉末は、粗大な金属粉末や金属・合金スクラップなどのバルク原料を、水素を含む雰囲気下、高温(~700℃)で数日間加熱するHDHプロセスにより製造することができる。これにより、脆い金属水素化物が生成するが、これは容易に微破砕できるので、最終ユーザーの求める所望の粒度分布になるように篩い分けることができる。これを粉末冶金用に利用するには、金属水素化物粉末を真空中で一定時間加熱して、金属から水素を解離・除去する必要がある。その後、脱水素された粉末を篩い分けるが、その際、焼結の過程で発生する大粒子の凝集体を取り除く必要がある。その結果、通常不規則あるいは角ばった形状の粉末が得られる。この粉末を脱酸工程にかけ、篩い分けやハンドリングの際に取り込まれる酸化物を除去する。このようなHDHプロセスでは、粗く不規則な形状の粒子しか得られない。このようなHDHプロセスの後に、マイクロ波プラズマプロセスに関する、本明細書に開示の球状化プロセスなどを行って、これらの粒子を楕円状にする必要がある。
【0048】
開示のHDHプロセスの実施形態は、主として固相バッチプロセスとして実施される。一塊の金属粉末を真空炉内のルツボ(複数可)に装填することができる。炉は、部分真空下にまでポンプダウンすることができるので、不活性ガスで繰り返しパージングし、望ましくない酸素を除去する。不活性ガスは、粉末粒子間の空間を通過するため拡散が遅く、場合によっては最終製品を汚染してしまう酸素を完全に除去することは困難である。粉末を機械的に攪拌することによって、酸素をより完全に除去できる場合がある。
【0049】
酸素パージに続いて、水素添加を開始することができる。炉内を水素ガスで満たし、高温で数日間加熱し、完全金属水素化物を形成する。金属水素化物は脆いので、そのバルク材料を微粉末に粉砕すれば、所望する粒度分布を持つものを選別することができる。
【0050】
次の工程は脱水素化である。選別した水素化物粉末を真空炉に装填した後、部分真空下で加熱し、金属水素化物から水素が解離するのを促進させ、H2ガスと脱水素化金属を形成させる。H2が粒子から離れやすい粒子表面では脱水素化が急速に進む。しかし、粉末のバルク内では、H2が表面に到達して粒子から離れる前に、固体のバルク内まで拡散させる必要がある。バルク内を通過し拡散させることは、完全に脱水素化するに比較的長い反応時間を要する、律速なプロセス、すなわち「ボトルネック」となる。脱水素に必要な時間と処理温度であれば、粒子間のシンタリングを引き起こすのに十分であり、その結果、最終製品中に大粒子の凝集体が形成される。この凝集体は後工程の篩い分けにより除去することができる。粉末を炉から取り出す前に、十分に冷却することで安全性を確保し、かつ汚染を抑制することができる。大型炉が持つ熱質量であっても、十分に冷却させるのに数分から数時間かかることがある。冷却された粉末を、その後、別の機械で球状化することができる。いくつかの実施形態では、原料は、非水素化材料であってよい。いくつかの実施形態では、材料はHDHを経由していなくても、いかなる水素化も行わずとも開始する。このことは、いくつかの実施形態では、開示のプラズマプロセス内で実施することができる。
【0051】
図5は、HDH供給により、球状化チタン粉末(200)を製造する実施形態を示す図である。
図5の左側のプロセスフロー(201)には、HDHプロセス(200)とチタン粉末の球状化とを組み合わせたプロセス例を示す。このプロセスは、チタン原材料(工程a、205)を水素化処理(工程b、210)することから始まり、次にサイズに合わせて破砕及び篩い分けする(工程c、215)。純チタンを脱水素処理によって回収する(工程d、220)。その後、凝集体と不純物の選別を行い、顧客が指定するサイズに篩い分けする(工程e、225)。その後、粉末は脱酸工程を経て、篩い分けと選別工程で取り込んだ酸素を減らす又は除去する。脱酸素は、特に50μm以下の粒子のような、体積に対する表面比率の大きい小粒子サイズのものに有効である(工程f、230)。その後、チタン粒子を球状化し(工程g、235)、回収する(工程h、240)。同様のプロセスを用いて、純チタン粉末の代わりに、Ti6-4のようなTi合金を作成することができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、粉末を不活性ガス内に巻き込み、約4000K~8000Kの範囲内で実質的に均一な温度プロファイルの下、部分真空の状態で、マイクロ波生成プラズマ環境(235)内に注入する。密閉チャンバー内のプロセスを、大気圧又は大気圧よりわずかに高い圧力下で行うことができ、大気中の酸素がプロセスに漏れ入る可能性を排除することができる。粒子をプラズマ中で溶かし、液体の表面張力により球状化し、プラズマを出た後に再固体化する。その後、粒子を不活性雰囲気下、密閉ドラムに回収する(140)。プラズマ内で、粉末粒子を十分に加熱して溶かし、液体金属の対流を誘発させることで、可逆反応に従って水素の解離が起こる(HDHプロセスの後に残っている場合)、以下、M=任意の金属である。
【0053】
MxHy←→(x)M+(y/2)H2
【0054】
部分真空下では、金属から水素を解離して水素ガスを形成させることは好ましく、上記反応を右方向に駆動する。液体金属からの水素の解離の速度は、対流が起こるため迅速であり、そのため、H2は、それが粒子から急速に離れることができる液体表面に継続的に導入される
【0055】
上述したように、原料のサイジングを行うのが困難な場合がある。HDHプロセスにより、特定のサイズ基準を満たす供給原料が得られるプロセスを採用することができる。
【0056】
使用済み粉末のリサイクル
本明細書に開示の実施態様は、後処理した、又は歩留まり回収物のような、使用済み粉末(例えば、廃棄物副産物)をリサイクル/再利用/再生する方法、装置、及び組立品である。以前に使用された粉末は、積層造形プロセスなどの製造工程を既に経た粉末であり得る。いくつかの実施形態では、以前に使用された粉末は、積層造形プロセスなどの特定のプロセス用に使う上で許容できない粒子サイズを有する、前もって製造された粉末である。特に、本開示の実施形態では、使用済み粉末を採取し、それをマイクロ波プラズマプロセス用の原料に変換して最終の球状化粉末を形成し、それを積層造形プロセス、金属射出成形(MIM)、又は高温静水圧プレス(HIP)プロセスなどの異なるプロセスで使用することができるようにする。このことは、過度に大きな粒子を生成し得るガスアトマイズ工程を使用して製造された粉末に対して特に有用であり得る。したがって、一部の実施形態では、大粒子及び/又は奇形粒子を再球状化することができる。使用済み粉末によってはそれぞれ品質が異なる場合があるので、使用済み粉末を原料として利用することが困難な場合がある。供給原料は、汚染されていたり、サイズが不適切であったり、加工が全くできなかったりすることがある。
【0057】
いくつかの実施形態では、粉末を、プラズマ処理に導入する前に前処理してもよい。例えば、粉末を、大きな凝集体を除去するために篩い分けし、プラズマ処理用に所望サイズのものを選択してもよい。いくつかの実施形態では、粉末を、汚染物除去ために、水、界面活性剤、洗剤、溶媒、又は酸などの他の任意の化学物質で洗浄してもよい。いくつかの実施形態では、粉末を、任意の磁性材料で汚染されている場合、磁気を使って洗浄してもよい。いくつかの実施形態では、粉末を前処理して脱酸化することができる。いくつかの実施形態では、粉末の化学的性質を補完又は改質するために、他の元素又は化合物を添加することができる。いくつかの実施形態では、粉末を、微粉除去のために脱塵することができる。いくつかの実施形態では、前処理を行わなくてもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、前処理によって粉末/粒子が使用不能になり得るので、以前に使用された粉末を改質して、供給原料としてより使えるようすることができる。いくつかの実施形態では、フローを乱し/減少させ得る「サテライト」を除去することができる。さらに、使用粉末を凝集体化し、そして、開示のプロセスにより、粉末中の粒子を分離することができる。いくつかの実施形態では、有機物などの汚染物質を除去し得る。いくつかの実施形態において、炭素、窒素、酸素、及び水素を、開示のプロセスによって、以前に使用された粉末から除去することができる。いくつかの実施形態では、人工物を除去することができる。開示のプロセスにより、又使用粉末の流動性を改善することができる。いくつかの実施形態では、使用済み粉末の表面テクスチャを調整して表面粗さを減少させ、粉末の流動性を改善することができる。いくつかの実施形態では、流動性を、サテライトを吸収することによって改善することができる。いくつかの実施形態においては、滞留時間及び電力レベルを変更し、バルク粉末の化学的性質への影響が最小限になるように、サテライトを吸収するか又は蒸発させることができる。
【0059】
概して、開示される方法の実施形態では、例えば、もともと球状であったがものが以前のプロセス中に球状でなくなった粒子を有する粉末など、前プロセス由来の粉末を再び球状にすることができる。これらの以前の工程には、ガスアトマイズ、レーザーベッド融合、電子ビーム溶融、及びバインダージェッティングが含み得るが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施形態において、使用済み粉末を、電子ビームプロセスにより得られるより大きな粉末廃棄物で、その後で、レーザー適用により小粉末化するものとすることができる。いくつかの実施形態では、使用済み粉末を、ガスアトマイズ工程により得られるより大きな粉末廃棄物で、その後で、レーザー適用により小粉末化するものとすることができる。いくつかの実施形態では、使用後の粉末中に凝集体が存在し、そのため、酸素含有量が増加し仕様外となり、煤及び無機材料による汚染が起こり、及び/又は非球状となる変形を伴う場合がある。これらの実施形態では、粉末は、処理なしで再利用す
ることができない。
【0060】
いくつかの実施形態において、PSDは、最小直径1μm及び最大直径22μm、又は最小5μm及び最大15μm、又は最小15μm及び最大45μm、又は最小22μm及び最大44μmを有するものであり、又は最小20μm~最大63μm、又は最小44μm~最大70μm、又は最小70μm~最大106μm、又は最小105μm~最大150μm、又は最小106μm~最大300μmである。理解されるように、これらの上限値及び下限値は、例示の目的でのみ記載され、これに替わるPSD値を他の実施形態において使用してもよい。いくつかの実施形態において、開示の処理方法には、使用粉末にAl、Mg、Ti、及びCuなどの合金元素、特に高揮発性元素が保有される。
【0061】
本開示では、改善された仕様を有する新鮮な粉末を製造するための、上述の使用済み粉末の再生について説明する。マイクロ波発生プラズマを用いたマイクロ波プラズマプロセスは、上述の使用済み粉末を再生し、より良い仕様を持つように使用されるので、これらの粉末を上述の粉末冶金工程への原料として再び使用することができる。
図18は、以前に使用された粉末1802(左)と球状化粉末1804(右)とを比較した図である。
【0062】
いくつかの実施形態では、使用済み粉末の処理を介しても、粒径分布は維持され得る。いくつかの実施形態では、粒径分布を、サテライトを吸収することによって改善/収斂し得る。いくつかの実施形態では、粒径分布を、大きな凝集体を再球状化させることによって改善/収斂することができる。例えば、15~45ミクロンの粒径分布が呈されるレーザー粉末床の場合では、使用粉末は、a)マイクロ波プラズマプロセスによって吸収又は蒸発される5重量%のサテライト、及びb)大きな奇形凝集体を含み得るが、これらは両
方とも開示されるプロセスの実施形態によって除去され得る。一例として、レーザー粉末床の場合では、45~106μmの粒径分布を持つ粉末を、15~45μmに低減することができる。いくつかの実施形態では、粒径分布は、粉末中の粒子のD50とすることができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、使用済み粉末の処理を介して、粒径を変化させることができる。いくつかの実施形態では、粒子サイズ直径を減少させることができる。いくつかの実施形態では、粒子サイズ直径を大粒子の表面部を部分的に蒸発させることによって減少させることで、より小さな直径サイズを持つ粒子を生成することができる。例えば、45~106μmの粒子サイズ直径を持つ電子ビーム粉末床から得られる粉末を、レーザー床積層造形プロセスで使用される、15~45μmの粒子サイズを持つ粉末を製造するために使用することができる。
【0064】
図19は、ガスアトマイゼーション(GA)プロセスにより形成された粉末を示し、1902では100倍の倍率のものを、1904では1000倍の倍率のものが示されている。図示された粉末は、約2.483g/ccの見かけ密度、ホールフローなし、及び約0.106重量%の酸素及び約0.016重量%の窒素を含む組成のものとすることができる。
図20は、
図19の粉末の粒径分布図である。
図21は、本開示の実施形態により形成された粉末を例示する図であり、2102では100倍の倍率のものを、2104では1000倍の倍率のものが示される。
図21に例示される粉末は、約0.076重量%の酸素及び約0.011重量%の窒素を含む組成物を含み得る。
図22は、
図21の粉末の粒径分布図である。ガスアトマイズ工程では、広範囲の粒径を持つ粒子が形成され、通常、平均的に粒子が細かすぎたり粗すぎたりするので、どちらかと言えば使用不可能である。しかし、本開示の実施形態では、使用不可能なサイズの粒子を、積層造形プロセスなどの異なるプロセスで使用することができる粒子サイズに変換することができる。
【0065】
図に示すように、本明細書に開示の方法は、粒径分布を大幅に収斂させることができ、
同時に粉末の全体サイズを減少させることができる。例えば、粒子の50パーセンタイルは約34μmであるのに対し、粉末のほうは元々、粒子の50パーセンタイルが52μmである場合である。したがって、平均粒径を減少させることができる(又は他の実施形態において必要に応じて増加させることができる。)。さらに、全体の粉末分布は狭くなり、元の粒子が21~101μm(10%~95%)に及んでいるのに対し、処理後の粒子は23~58μm(10%~95%)となっている。
【0066】
いくつかの実施形態では、粒子サイズの50パーセンタイルは、10、20、30、40、50、60、又は70%(又は約10、約20、約30、約40、約50、約60、又は約70%)だけ減少することが可能である。いくつかの実施形態では、粒子サイズの50パーセンタイルは、10、20、30、40、50、60、又は70%(又は約10、約20、約30、約40、約50、約60、又は約70%)より大きく低減され得る。いくつかの実施形態では、粒子サイズの50パーセンタイルは、10、20、30、40、50、60、又は70%(又は約10、約20、約30、約40、約50、約60、又は約70%)未満減少させることができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、10%~95%の粒径分布は、10、20、30、40、50、60、又は70%(又は約10、約20、約30、約40、約50、約60、又は約70%)だけ減少させることができる。いくつかの実施形態では、10%~95%の粒径分布は、10、20、30、40、50、60、又は70%(又は約10、約20、約30、約40、約50、約60、又は約70%)より大きく低減することが可能である。いくつかの実施形態では、10%~95%の粒径分布は、10、20、30、40、50、60、又は70%(又は約10、約20、約30、約40、約50、約60、又は約70%)未満減少させることができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、ガスアトマイズ法などにより以前に使用された粉末は、積層造形プロセスなどの製造プロセスで使用するには、その粒子サイズが小さすぎ得る。したがって、本開示の実施形態を、粒子の全体サイズを大きくさせるのに使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、粒子サイズの50パーセンタイルは、10、20、30、40、50、60、又は70%(又は約10、約20、約30、約40、約50、約60、又は約70%)だけ増加させることができる。いくつかの実施形態では、粒子サイズの50パーセンタイルは、10、20、30、40、50、60、又は70%(又は約10、約20、約30、約40、約50、約60、又は約70%)より大きく増加することが可能である。いくつかの実施形態では、粒子サイズの50パーセンタイルは、10、20、30、40、50、60、又は70%(又は約10、約20、約30、約40、約50、約60、又は約70%)未満増加させることができる。
【0069】
プラズマガスは、粉末の材料に応じて使用することができる。一例として、窒化物を容易に形成しない金属及び金属合金の場合、窒素ガスを使用することができる。一例としてはインコネル(登録商標)718の処理の場合であり、窒素プラズマ環境で実行すると、処理粉末は化学的に変化せず、バルク粉末への窒素の取り込みを呈さない。
【0070】
窒素と容易に反応する金属及び金属合金の場合、アルゴン、アルゴン/ヘリウム混合ガスなどの希ガスを使用することができる。又、これらの希ガスに水素ガスを混合して、プラズマの均一性を高めることができる。窒素と反応しやすい金属合金の例としては、チタン合金Ti6%Al-4%V(重量比)が挙げられる。
【0071】
ある場合には、アルゴン及びアルゴン/水素混合物のような希ガス及び混合物を使用すると、粉末とプラズマガス間のいかなる反応も起こらない。他の実施態様では、処理粉末が上記のガスと反応しない場合に、窒素を使用することができる。
【0072】
使用済み粉末/粒子の再調整には、レーザー焼結プロセスで生じる人工物の除去が含まれ得る。さらに、例えば、ビルドライン外のレーザプロセスでの、過熱により生じるサテライト及び凝集材料を除去することができる。積層プロセス、粉末床溶融及びバインダージェッティングなど、使用済み粒子を形成する特定のプロセスとしては限定されず、他のプロセスがすでに元の粒子に対して実行されていてもよい。
【0073】
使用済み粉末/粒子の再調整により、いくつかの実施形態において、粉末/粒子のレオロジー特性(かさ密度、流動性など)を元のものに回復させることができる。実際、いくつかの実施形態では、使用済み粉末/粒子の再調整により、レオロジー特性を向上させることもできる。このことは、サテライトを表面溶融及び粒子のバルクへ取り込み、表面上のあらゆるサテライト除去することで達成できる。場合によっては、粒子の完全溶融により、粒子は緻密化し、あらゆる孔が消失する。粒子の完全溶融化は、プラズマの粉末密度を高め、滞留時間を延長することで達成できる。又、粉末を球状化することで、流動性を高めることができる。角張った形状の粉末は非常に流れ難いものの、形状が球状になるにつれて流動性が高くなる。
図6及び
図7は、加工前の、サテライトを含むCoCrの試料を示す図である。
図8及び
図9は、流動性を25%(又は約25%)改善することができる、サテライトが除去されたマイクロ波プラズマ処理後のCoCrの試料を示す図である。
図6及び
図8は、それぞれ、マイクロ波プラズマ処理前及び処理後の同粉末を示す。同様に、
図7及び
図9は、それぞれ、マイクロ波プラズマ処理前及び処理後の同粉末を示す。いくつかの実施形態において、サテライトは、より大きな粒子に吸収され得る。
【0074】
サテライトは、定義された粒径分布内にあるサイズを持った主粉末粒子であり、主粉末粒子の直径よりも、粒径分布外にあるはるかに小さい直径の小粒子が、焼結又は他の物理プロセスのいずれかによって当該主粉末粒子に凝集したものである。
【0075】
凝集体は、合体してより大きな粒子を形成する、2つ以上の粒子であり得る。
【0076】
さらに、再調整では、再調整中の酸素の取り込みを最低限にすることができる。このことは、例えば、水素又は還元剤の添加、閉環境での運転、又は高温での運転によって達成することができる。いくつかの実施形態では、大気圧下で不活性ガスを使用することができる。いくつかの実施形態では、低酸素環境を採用することができる。
【0077】
いくつかの実施形態では、合金成分化学又はマイナー成分化学を変更しないでおくことができる。いくつかの実施形態では、低溶融温度を有する特定の元素は、粉末から除去することができる。
【0078】
いくつかの実施形態では、以前に使用された粉末粒子を、金属又は金属合金とすることができる。いくつかの実施形態において、以前に使用された粉末粒子を、チタン又はチタン合金とすることができる。使用できる特定のチタンは、Ti(CpTiとして知られている。)、TiAl、Ti-6-4であり、特定のチタン材料/合金は、本開示では制限されない。他の材料も同様に使用することができ、例えば、他の延性材料を使用できる。いくつかの実施形態では、ニッケル及びニッケル合金、コバルト、及びコバルト合金、鋼、又はステンレス鋼を、以前に使用された粉末粒子とすることができ、これらの特定の材料は限定されない。いくつかの実施形態では、インコネル(登録商標)718及び625超合金などのニッケル金属/合金を使用することができる。いくつかの実施形態では、YSZ、MY、CoO、Al2O3-TiO2、ステンレス316L、及び17-4を使用することができる。
【0079】
上述したように、使用粉末は、原料として準備するのが極めて複雑である場合がある。
【0080】
球形度
いくつかの実施形態では、プラズマ処理により達成される最終粒子は、球状又は楕円状とすることができ、これらの用語は互換的に使用することができる。有利なことに、開示される異なる原料の各々について、重要かつ特定の本開示内容を適用することによって、原料の全てを球状粉末に変換することができる。
【0081】
本開示の実施形態は、実質的に球状又は楕円状である粒子、又は顕著な球状化を受けた粒子を製造することに向けられている。いくつかの実施形態では、球状、楕円状又は球状化された粒子は、ある閾値より大きい球形度を有する粒子を指す。粒子の球形度は、以下の式を用いて、粒子の体積と一致する体積Vを有する球体の表面積As,idealを計
算し、
【0082】
【0083】
そして、その理想化表面積と実測した粒子の表面積As,actualとを比較することで算出することができる。
【0084】
【0085】
いくつかの実施形態では、粒子は、0.5、0.6、0.7、0.75、0.8、0.9、0.91、0.95、又は0.99より大きい(又は約0.5、約0.6、約0.7、約0.75、約0.8、0.91、約0.95又は約0.99よりも大きい)の球形度を有し得る。いくつかの実施形態では、粒子は、0.75以上又は0.91以上(又は約0.75以上又は約0.91以上)の球形度を有することができる。いくつかの実施形態では、粒子は、0.5、0.6、0.7、0.75、0.8、0.9、0.91、0.95、又は0.99未満(又は約0.5、約0.6、約0.7、約0.75、約0.8、0.91、約0.95又は約0.99未満)の球形度を有することができる。いくつかの実施形態では、粒子が前述の球形度のいずれかの値以上の球形度を有する場合、その粒子は球状、楕円状、又は球状化されていると考えられ、いくつかの好ましい実施形態では、粒子は、その球形度が約0.75以上又は約0.91以上の場合、球状であると考えられる。
【0086】
いくつかの実施形態では、所定の粉末内の全粒子の中央球形度を、0.5、0.6、0
.7、0.75、0.8、0.9、0.91、0.95、又は0.99より大きいものとすることができる(又は約0.5、約0.6、約0.7、約0.75、0.8、0.91、約0.95又は約0.99よりも大きいものとすることができる。)。いくつかの実施形態では、所定の粉末内の全粒子の中央球形度は、0.5、0.6、0.7、0.75、0.8、0.9、0.91、0.95、又は0.99未満(又は約0.5、約0.6、約0.7、約0.75、約0.8、0.91、約0.95又は約0.99未満)のものとすることができる。いくつかの実施形態では、所定の粉末について測定した全粒子又は閾値パーセント(以下の分数のいずれかによって記述される)を持つ粒子が、前述の球形度のいずれかの値以上の中央球形度を有する場合、粉末は球状化されていると考えられ、いくつかの好ましい実施形態では、全粒子又は閾値パーセントにある粒子が、0.75以上、又は約0.91以上の中央球形度を有する場合、粉末は球状化していると見なされる。
【0087】
いくつかの実施形態では、上記のような所定の球形度の閾値以上になり得る粉末内の粒子の割合を、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は99%(又は約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、又は約99%)よりも大きくすることができる。いくつかの実施形態では、上述のような所定の球形度の閾値以上になり得る粉末内の粒子の割合を、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は99%未満(又は約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、又は99%未満)とすることができる。
【0088】
粒径分布及び球形度は、SEM、光学顕微鏡、動的光散乱、レーザー回折、画像解析ソフトウェアを用いたマニュアル測定、例えば同じ材料部分又はサンプルの少なくとも3つの画像を使って、画像当たり約15~30回の測定を行う測定、及び他の任意の技術によるなど、任意かつ既知の適切な技術を使って決定することができる。
【0089】
いくつかの実施形態は、問題のある粒子(「悪い粒子」)のみが開示されたプロセスで使用される。例えば、問題のある粒子を、これ以上処理することなくマイクロ波プラズマプロセスの原料として使用され得る粒子(「良い粒子」)から分離することができる。いくつかの実施形態では、良好な粒子と悪い粒子の両方をプロセスに投入することができる。
【0090】
積層造形、溶射及びコールドスプレーコーティングなどの粉末冶金工程では、大量の廃棄粉末が生成する。場合によっては、それらの粉末の形態は、元の新鮮な粉末からは変化しており、サテライト、部分溶融部及び/又は他の汚染物質を含み得る。その結果、粉末の流動性、タップ性、嵩比重が低下したり、炭素や窒素が混入したりすることがあり、同じ工程で使用できなくなることがある。このような粉末を再利用することで、経済的なメリットやコストダウンが可能になる。
【0091】
使用済み部品を含むいくつかの実施形態では、この使用済み部品をプラズマプロセスに導入する前に前処理してもよい。例えば、使用済み部品中の大きな凝集体を篩い分けて除去し、プラズマ処理用として所望するサイズを有するものに選別してもよい。いくつかの実施形態では、使用済み部品を、汚染物除去のために、水、界面活性剤、洗剤、溶剤、又は酸などの他の任意の化学物質で洗浄してもよい。いくつかの実施形態において、使用済み部品が任意の磁性材料で汚染されている場合、磁気を使って洗浄してもよい。いくつかの実施形態では、使用済み部品を脱酸化するために前処理し得る。いくつかの実施形態では、使用済み部品の化学的性質を補完又は改質するために、他の元素又は化合物を添加することができる。いくつかの実施形態では、使用済み部品に含まれる微粉を除去するために、脱塵し得る。いくつかの実施形態では、前処理は行わなくてもよい。これらの前処理技術の全ては、粉砕処理後の粉末にも適用することができる。
【0092】
材料粉砕を行ういくつかの実施形態では、粉砕される材料を、チタン又はチタン合金とすることができる。使用することができる特定のチタンは、Ti(CpTiとして知られている)、TiAl、Ti-6-4であり、これらの特定のチタン材料/合金は本開示において限定されない。チタンは、高度に延性であるため、単に曲がったり形状を変えたりするだけであり、水素化又は低温化などで脆化しないと、適切な粉末として分解されないであろうため、特に粉砕する時に問題が起こることがある。しかしながら、本開示の実施形態では、そのような脆化処理を行わないでもチタン又はチタン合金を粉砕することができる。このことは、特定の体積/サイズ/アスペクト比を有する材料のみを選択するなど、粉砕するスクラップ材料を理解したうえで材料を適切に選択することに達成できる。
【0093】
他の材料、例えば他の延性材料も同様に使用することができる。いくつかの実施形態では、ニッケル及びニッケル合金、鋼、ステンレス鋼、銅、銅合金、及びハステロイ(登録商標)を使用することができ、このような特定の材料は限定されない。いくつかの実施形態では、インコネル(登録商標)718及び625超合金のようなニッケル金属/合金を使用することができる。いくつかの実施形態では、材料中の酸素含有量は、反応性材料の場合には数ppm~約2%の範囲内にある必要があり、非反応性材料の場合には数ppm~約1%の範囲内にある必要がある。
【0094】
材料の粉砕を行ういくつかの実施形態では、材料に対して、加工硬化した微細構造などの特定の有利な特性が提供される手順を施すことができる。本開示の実施形態により、加工硬化した微細構造をマイクロ波プラズマ処理中保持することで、該加工硬化した材料を保持したままの球状化粉末製品を最終的に形成することができる。このことは、粒子の外側表面のみをマイクロ波プラズマ処理することで可能となり、それによって内部の加工硬化された微細構造を保持することができる。しかし、いくつかの実施形態では、マイクロ波プラズマ処理中、粒子を継続して加熱/溶融して、微細構造を元々の構造から変化させる。
【0095】
シェラー方程式を使い、全幅半値(FWHM)から粒径を計算することができる。得られた粒径から示唆されることは、ガスアトマイズ粉末のリサイクル、使用済み粉末のリサイクル、又は墓場からゆりかごまでのプロセスのような上記のプロセスのいずれの場合においても、原料の元の微細構造からプラズマ処理後の微細構造において、少なくとも一部分の微細構造がいかにして維持され得るのかということである。式を以下に示す:
【0096】
【0097】
ここで、B:特定の2θにおけるピーク幅(ラジアン)、θ:ブラッグ角、K:シェラー定数、0.62~2.08、λ:使用したX線の波長、L:平均結晶子サイズである。一例を挙げると、以下のようになる。
2θ=22.230°のピークに対して、
立方晶の場合、K=0.94と仮定、
ピークにおけるFWHM(全幅半値)=4.0度
ピークにおけるB(22.230°)=0.06981 rad
λ=1.5406A=0.15406nmとすると、
【0098】
【0099】
図16は、微細構造が保持された粒子の粒径の計算結果を示す図である。XRDスペクトルにおける様々なピークの角度は、粉末中に見出される平均結晶子サイズを計算するために使用されている。図示されるように、粉末は、例えば、球状化粉末の粒径として、200、150、100、50、40、30、20、10又は5未満(又は約200、150、100、50、40、30、20、10又は5未満)と、様々なナノメーターの粒径を示し得る。
【0100】
図17では、前処理及び後処理で粒状構造が異なる場合を示している。図示されるように、粒子の粒径を、球状化後にナノスケールまで著しく減少させることができる。例えば、GA粉末1702には、目に見えるミクロンサイズの粒が含まれている。一方、ボールミル後の原料1704には、ミクロンスケールの粒が見えないようなナノスケール構造が含まれ得る。いくつかの実施形態では、プラズマ処理後の球状化粉末1706には、ミクロンスケールの粒が見えないようなナノスケール構造が含まれ得る。さらに、
図23では、構造2302と構造2304との間で、樹枝状構造(上)を均質化及び低減/除去する方法が、又は構造2306と構造2308との間で、析出物(下)を低減するなど、プラズマ処理によって微細構造を改善できる方法が示されている。
【0101】
このように、加工硬化した(又は他の微細構造を持つ)金属及び金属合金供給材料を急速に加熱することで、バルクに影響を与えることなく粒子の表面のみを溶かし、微細構造に影響を与えることなく球状化させることで、微細構造を保持し得る。原料材料を、機械加工プロセス中に硬化された旋削物、又は硬化された材料で作られ、球状化プロセス用の原料として使用するために所望サイズに粉砕される大きなスクラップ片とすることができる。
【0102】
材料の粉砕を行ういくつかの実施形態では、粉砕機を使って、所定の所望する体積に応じて、粉砕可能な材料の厚さを決めることができる。
【0103】
したがって、本開示のいくつかの実施形態において、ユーザーは、材料を脆化させずに所望の体積に粉砕することができる延性材料の断片を選択し、次に、最初に材料を脆化させる必要のない材料を粉砕して、マイクロ波プラズマトーチ用の供給材料として使用できる、所望の体積を有する粒子をそれぞれ製造することができる。その後、ユーザーは粒子をプラズマトーチに導入し、粉末を楕円状にしながら加工硬化したミクロ組織を保持するように処理することができる。
【0104】
スクラップ材料を含むいくつかの実施形態では、延性金属及び/又は金属合金からなるスクラップ材料を、材料硬化を避ける工程で粉砕する。次に、粉砕プロセス上にある延性生成物を、異なるサイズ分布に篩い分けし、マイクロ波プラズマ溶融プロセスで球状化する原料として使用する。原料粒子の延性を維持するために、加熱及び冷却速度を、プラズマ中及びプラズマ残光中の粒子の滞留時間を通して制御することができる。
【0105】
開示されるプロセスの実施形態には、電力密度、ガスフロー及び滞留時間が制御されるマイクロ波生成プラズマ中に、粉末供給機を使用して粉末を供給することが含まれ得る。プラズマ中の粉末の電力密度、流量、及び滞留時間などのプロセスパラメータは、融点及び熱伝導率などの粉末材料の物理的特性に依存し得る。電力密度は、20W/cm3~5
00W/cm3(又は約20W/cm3~約500W/cm3)の範囲とすることができる。全ガス流量は0.1cfm~50cfm(又は約0.1cfm~約50cfm)の範囲に、滞留時間は1ms~10秒(又は約1ms~約10秒)に調整することができる。この範囲にあるプロセスパラメータにより、融点と熱伝導率の範囲の広い材料を使う場合の処理パラメータが包含される。
【0106】
スクラップ材を含むいくつかの実施形態では、スクラップ材を、工場床から直接運び込まれる材料とすることができる。いくつかの実施形態では、油、グリース、又は他の材料などの任意の残存する汚染物質を、開示プロセスの前又は間(粉砕前、粉砕中、又はマイクロ波プラズマ溶融中のいずれか)に除去することができる。
【0107】
いくつかの実施形態では、例えばチタンスクラップの場合、酸素を制御する能力は、利点となり得る。
【0108】
材料粉砕を行ういくつかの実施形態では、粉砕を水中で行うことができる。水中でチタンをせん断していくと、無垢のチタン表面が酸化され、酸素レベルが増加する。
【0109】
異なる用途の場合には、異なる環境ガスを使用することができる。一例として、窒化物を容易に形成しない金属や金属合金の場合、窒素ガスを使用することができる。一例として、インコネル(登録商標)718を処理する場合、窒素プラズマ環境下で行なっても、処理粉末は化学的に変化せず、バルク粉末への窒素の取り込みを呈さない。
【0110】
いくつかの実施形態では、供給原料を、角型粉末、角型チップ、不規則粉末、及びスポンジ状粉末などの様々な形態とすることができる。供給原料に対して粉砕、破砕、クリーニング、洗浄、乾燥及び選別などの処理を行う場合、サイズ、ガス含有量、純分汚染及び化学に関する特定の基準を満たすように供給原料を処理することができるが、処理方法はこれらに限定されるものではない。洗浄には、有機物、セラミック、又は他の金属汚染物を除去することが含まれる。
【0111】
いくつかの実施形態では、ニッケル又はニッケル合金、鋼又は鋼合金、コバルト又はコバルト合金、及びチタン又はチタン合金を、本開示の実施形態で使用することができ、この特定の材料は限定されるものではない。いくつかの実施形態では、セラミックを使用することができる。
【0112】
窒素と容易に反応する金属及び金属合金の場合、アルゴン、アルゴン/ヘリウム混合ガスなどの希ガスを使用することができる。又、これらの希ガスに水素ガスを混合して、プラズマの均一性を高めることができる。窒素と反応しやすい金属合金の例として、チタン合金Ti6%Al-4%V(重量比)が挙げられる。
【0113】
マイクロ波プラズマ処理
プロセスパラメータを原料の初期状態に応じて最適化することにより、球状化を達成することができる。各原料特性に対して、プロセスパラメータを、特定の結果を得るために最適化することができる。特許文献3、特許文献4、及び特許文献5には、本開示のプロセス、特にマイクロ波プラズマ処理に使用できる特定の処理技術が開示されている。したがって、特許文献6、特許文献7、及び特許文献8は、その全体が参照により援用され、記載されている技術は、本明細書に記載の原料に適用可能であると考えられるはずである。
【0114】
本開示の一態様は、マイクロ波生成プラズマを用いた金属及び金属合金の球状化プロセスを含む。粉末原料を不活性ガス及び/又は還元性ガス環境中に巻き込み、マイクロ波プ
ラズマ環境中に注入する。高温のプラズマ(又はプラズマプルームや排気)に投入した原料を球状化し、不活性ガスで充満したチャンバーに放出し、密閉ドラムに導き、そこで保管する。このプロセスは、大気圧下、部分真空下、又は大気圧よりわずかに高い圧力下で行うことができる。これに替わる実施形態においては、このプロセスを、低、中、又は高真空環境下で行うことができる。該プロセスは連続的に実行することができ、ドラムは球状化した金属又は金属合金粒子で満杯になったときに交換する。
【0115】
球状化した金属及び金属合金の冷却速度を制御することによって、粉末の微細構造に戦略的な影響を与えることができる。例えば、α相チタン合金を急冷する場合、アシキュラー(マルテンサイト)構造が形成・促進される。中程度の冷却速度では、ウィドマンシュテッテン組織、遅い冷却速度では等軸組織が形成される。冷却ガス流量、滞留時間、冷却ガス組成などのプロセスパラメータを制御することで、金属及び金属合金のミクロ組織を制御することができる。これらの構造を形成するのに必要となる正確な冷却速度は、材料内の合金元素の種類と量に大きく左右される。
【0116】
冷却速度を、特にマイクロ波プラズマプルームの持つ、均一加熱を持続する能力と組み合わせることにより、最終的な微細構造を制御することができる。そのため、前述の方法を、金属(例えば、Ti6-4のようなチタン及びチタン合金)原料を処理する場合に適用できる。例えば、特定方法の場合、金属水素化物原料を使用することができるが、この微細構造を制御する方法はこれに限定されない。特に、本技術によって構築される方法としては、粉末として非水素化物原料の使用が挙げられる。例えば、金属チタン及び様々なチタン金属合金を原料ソースとして利用することができる。これらの材料を破砕又は粉砕して、マイクロ波プラズマトーチ内で処理して粒子を生成させることができる。
【0117】
冷却処理パラメータとしては、冷却ガスの流量、高温部における球状化粒子の滞留時間、及び冷却ガスの組成又はガス調製が挙げられるが、これらに限定されるものではない。例えば、粒子の冷却速度又はクエンチング速度を、冷却ガスの流速を増加させることによって増加させることができる。プラズマから出た球状化粒子を通過する冷却ガスの流速が速いほど、クエンチング速度は速くなり、それによって特定の所望の微細構造を閉じ込めることができる。又、プラズマの高温部における粒子の滞留時間を調整することで、得られる微細構造を制御することができる。すなわち、粒子がプラズマに曝される時間の長さによって、粒子の溶融程度(すなわち、粒子の最内部又はコアと比較して、粒子の表面が溶融している)が決定される。その結果、溶融の程度により凝固に必要な冷却の程度は影響を受けるが、これこそ冷却プロセスパラメータとなる。粒子の溶融程度により、粒子全体又はその一部に微細構造上の変化をもたらすことができる。滞留時間の調整は、高温部での粒子注入速度、流量(及び層流、乱流などの条件)等の操作変数を調整することにより行うことができる。又、装置変更によっても滞留時間を調整することができる。例えば、高温部の断面積を変更することにより滞留時間を調整することができる。
【0118】
変化させたり制御したりすることができる別の冷却処理パラメータとしては、冷却ガス組成が挙げられる。ある種の冷却ガスは、他のガスよりも熱伝導性が高い。例えば、ヘリウムは熱伝導性が高いガスとされている。冷却ガスの熱伝導率が高いほど、球状粒子は迅速に冷却/クエンチされる。冷却ガス組成を制御する(例えば、熱伝導率の高いガスと低いガスの量又は比率を制御する)ことにより、冷却速度を制御することができる。
【0119】
冶金学で知られているように、金属の微細構造は、金属の組成と、材料の加熱・冷却・クエンチングによって決定される。本技術では、原料材料の組成を選択(又は把握)し、原料を、マイクロ波プラズマトーチで実現されるような、温度プロファイルが均一でかつ制御されているプラズマに曝露し、次いで冷却パラメータを選択・制御することにより、ミクロ構造が制御された球状化金属粒子が達成される。又、金属材料の相は、原料の組成
(純度、合金元素の組成など)や熱処理に依存する。チタンは、α相(六方最密充填結晶構造)とβ相(体心立方構造)という2つの異なる相を有している。又、チタンはα+β相の混合相を持つこともある。異なる結晶構造は異なる機械的応答をもたらす。チタンは同素体であるため、熱処理によってα相とβ相を特定の割合で含有させることができる。望ましい微細構造では、結晶粒(例:マルテンサイトと等軸)が示されるだけでなく、異なる相の量と位置とが粒子全体で示される。
【0120】
一の例示的な実施形態においては、不活性ガスにより粉末金属供給物を取り囲んで継続的にパージし、粉末供給ホッパー内の酸素を除去する。次いで、連続量の粉末を供給し、不活性ガス内に巻き込み、そして脱水素のため、又は球状化粒子の組成/純度を維持するために、マイクロ波生成プラズマ内に供給する。一例として、マイクロ波生成プラズマを、特許文献9、及び/又は特許文献10、特許文献11、特許文献12、及び特許文献13に記載されるように、マイクロ波プラズマトーチを用いて生成してもよく、これらの各々は参照によりその全体が本書に援用されるものとする。いくつかの実施形態では、粒子を、マイクロ波生成プラズマ内で4,000~8,000Kの均一な温度プロファイル下に曝す。いくつかの実施形態では、粒子を、マイクロ波生成プラズマ内で、3,000~8,000Kの均一な温度プロファイル下に曝す。プラズマトーチ内で粉末粒子は急速に加熱され、溶融する。液体の対流により、H2は溶融粒子全体に拡散・加速され、そして粒子から離脱しようとする液体金属水素化物の表面に(H2)連続的にもたらされることによって、固体プロセスに対して、各粒子が固体プロセス環境内に滞留する必要のある時間が短くなる。粒子をアルゴンなどの不活性ガス内に巻き込むので、粒子同士の接触は概して少なく、粒子凝集の発生を大幅に抑制することができる。したがって、プロセス後に篩い分けを行う必要性が大幅に低減又は排除され、得られる粒径分布を、入力した供給材料の粒径分布と実質的に同じになるようにすることができる。例示的な実施形態においては、供給材料の粒径分布は、最終製品においても維持される。
【0121】
プラズマ、プラズマプルーム、又は排気部内で、溶融金属を液体の表面張力により実質的に球状化する。マイクロ波生成プラズマにおいては実質的に均一な温度プロファイルが呈されるので、90%を超える粒子の球状化が達成され得る(例えば、91%、93%、95%、97%、99%、100%)。プラズマから出た粒子を、冷却した後、回収ビンに入れる。収集ビンが満杯になれば、プロセスを止めないで、必要に応じて取り出して空のビンと交換することができる。
【0122】
一の例示的な実施形態においては、不活性ガスで粉末金属供給物の周囲を持続的にパージして、粉末供給ホッパー内の酸素を除去する。次いで、粉末を連続供給し、不活性ガス内に巻き込み、球状化粒子の組成/純度を維持するために、マイクロ波生成プラズマ内に供給する。一例では、マイクロ波生成プラズマを、特許文献14、及び/又は特許文献15の記載に従って、マイクロ波プラズマトーチを用いて生成してもよく、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に援用されるものとする。いくつかの実施形態では、粒子を、マイクロ波生成プラズマ内で4,000~8,000Kの均一な温度プロファイル下に曝す。プラズマトーチ内で粉末粒子を急速に加熱し溶融する。プロセス内の粒子をアルゴンなどの不活性ガス内に巻き込まぬため、粒子間接触は概して最小限に抑えられので、粒子凝集の発生を大幅に低減することができる。したがって、工程後に篩い分けを行う必要性が大幅に低減又は排除されるので、得られる粒度分布を、入力供給材料の粒径分布と実質的に同じにすることができる。例示的な実施形態において、供給材料の粒径分布は、最終製品においても維持される。
【0123】
プラズマ内では、溶融金属を実質的に液体の表面張力により球状化する。マイクロ波生成プラズマでは実質的に均一な温度プロファイルが呈されるので、90%を超える粒子の球状化が達成され得る(例えば、91%、93%、95%、97%、99%、100%)
。実施形態においては、マイクロ波生成プラズマで処理することによって、球状化及び調整手順(例えば、変更、操作、制御)に伴う微細構造の両方がもたらされるか、又はいくつかの例においては、その構造は一部制御される。プラズマから出た後、粒子は冷却されて回収ビンに入る。収集ビンが満杯になると、プロセスを停止させることなく、必要に応じて取り出して空のビンと交換することができる。
【0124】
図10は、本開示の一実施形態による、球状粉末を製造する方法(250)例のフローチャートである。この実施形態では、プロセス(250)は、供給材料をプラズマトーチ(255)に導入することによって開始される。いくつかの実施形態では、プラズマトーチは、マイクロ波発生プラズマトーチ又はRFプラズマトーチである。プラズマトーチ内で、供給材料を、上述したように、材料を溶融させるプラズマに曝す(260)。溶融材料は、上述したように、表面張力により球状化する(260b)。プラズマから出た後、製品を冷却し、固化して球形状に固定し、その後、回収する(265)。
【0125】
上述したように、プラズマトーチを、マイクロ波生成プラズマ又はRFプラズマトーチとすることができる。一の例示的な実施形態において、AT-1200回転粉末供給機(Thermach Inc.から入手可能)を使って、粉末の供給速度を良好な範囲に制御することができる。これに替わる実施形態においては、粉末を、流動床フィーダーなどの他の適切な手段を用いてプラズマに供給することができる。供給材料を、一定の速度で導入しても良いし、その速度を、後続の処理工程中で粒子凝集が起こらないように調整してもよい。別の例示的な実施形態では、処理される供給材料を、最初にその直径に従って篩い分けて、最小直径1μm及び最大直径22μm、又は最小5μm及び最大15μm、又は最小15μm及び最大45μm、又は最小22μm及び最大44μm、又は最小20μm及び最大63μm、又は最小44μmと最大70μm、又は最小70μmと最大106μm、又は最小105μm及び最大150μm、又は最小106μm及び最大300μmとする。理解されるように、これらの上限値及び下限値は例示の目的でのみ提供されており、他の実施形態ではこれに替わるサイズ分布値を適用することができる。このようにすることにより、プラズマのホットゾーンの上方にある軽粒子が再循環しなくなり、そして、プラズマに存在するプロセスエネルギーが確保されて、粒子を気化させずに十分に溶かすことができる。事前選別により、材料を気化させずに粒子を溶融させるのに必要なマイクロ波電力を効率的に割り当てることができる。
【0126】
いくつかの実施形態では、ビンの環境及び/又は密閉要件を慎重に制御する。すなわち、粉末の汚染又は潜在的酸化を防止するために、ビンの環境及び又は密封状態を、用途に合わせて調整する。ある実施形態では、ビンを真空下におく。一実施形態では、ビンを本技術に従って生成した粉末で充填した後、密閉する。一実施形態では、ビンを、例えばアルゴンのような不活性ガスで再充填する。連続プロセスが故に、ビンは充填された後、プラズマプロセスを停止しないでも、ビンを必要に応じて取り外して空のビンと交換することができる。
【0127】
本開示に従った方法及びプロセスを、球状金属粉末又は球状金属合金粉末を製造するのに使用することができる。例えば、出発供給材料がチタン材料である場合、得られる粉末は球状チタン粉末となる。出発原料がチタン合金材料である場合、得られる粉末は球状のチタン合金粉末となる。原料に出発チタン合金材料を使用するのを特徴とする一実施形態では、得られる球状チタン合金粉末は、4~7重量%のアルミニウム(例えば、5.5~6.5%のAl)(又は約4~約7%、又は約5.5~約6.5%)及び3~5重量%のバナジウム(例えば、3.5~約4.5%)(又は約3~約5%、又は約3.5~約4.5%のバナジウム)を有する球状化粒子を含む。いくつかの実施形態では、材料は、この段落に記載された重量%の10%以内(+/-10%)の組成を有してよい。いくつかの実施形態では、供給材料はTiAl6-V4(又はTi-6-4)であってよく、溶融及
び球状化を、球状化粉末が本明細書で論じるようにTiAl6-V4を含むように制御する。例えば、いくつかの実施形態では、最初の供給原料及び最終粉末の両方ともがTiAl6-V4である。いくつかの実施形態では、出発原料及び最終粉末が異なる組成となるようにすることができるが、それでも本明細書で議論されるTiAl6-V4内にある。いくつかの実施形態では、出発原料及び最終粉末で異なる組成となるようにすることできる。
【0128】
いくつかの実施形態では、マイクロ波プラズマ処理などの本明細書で議論される処理では、溶融中に原料からアルミニウムが逸失するのを防止及び/又は最小化するように制御することができるので、これにより所望の組成/微細構造が維持され得る。
【0129】
図11は、本開示の実施形態による、楕円状金属又は金属合金粉末の製造に使用できるマイクロ波プラズマトーチ2を例示している。上述したように、金属供給材料9、10を、マイクロ波生成プラズマ11を持続させるマイクロ波プラズマトーチ3内に導入し得る。一の例示的な実施形態では、マイクロ波放射源1を介したプラズマ11の点火に先立って、プラズマトーチ内に流動状態を作り出すために、入口5を介して巻込みガス流及びシース流(下向き矢印)を注入し得る。いくつかの実施形態では、巻込み流及びシース流は共に軸対称で層流であり、他の実施形態では、ガス流は渦巻く。供給材料9を、マイクロ波プラズマトーチ内に軸方向に導入し、そこで、材料をプラズマ方向に向かわせるガス流によって、巻き込ませる。上述したように、ガス流を、ヘリウム、ネオン、アルゴンなどの周期表の希ガス列からなるものとすることができる。マイクロ波で生成されたプラズマ内で、材料を球状化するために、供給材料を溶融する。入口5を使ってプロセスガスを導入し、粒子9、10を軸12に沿ってプラズマ11に向かって巻き込みながら加速する。まず、プラズマトーチ内の環状ギャップを介して作られるコア層流(矢印の上部セット)を用いて、粒子9を巻込みながら加速する。第2の層流(矢印の下側のセット)を第2の環状ギャップを介して作り出し、層状シース流を誘電体トーチ3の内壁に提供し、高温ゾーン6及びプラズマ11からの熱放射により内壁を溶融するのから保護する。例示的な実施形態では、層流により、粒子9、10を軸12にできるだけ近い経路に沿ってプラズマ11に向け、それらをプラズマ内の実質的に均一な温度下に曝す。いくつかの実施形態では、粒子10が、プラズマ付着が起こり得るプラズマトーチ3の内壁に到達しないように、適切な流れ条件を存在させる。粒子9、10を、ガス流によってマイクロ波プラズマ11に向かって誘導し、それぞれが均質に熱処理を受けられようにする。マイクロ波生成プラズマの様々なパラメータと粒子パラメータを、所望の結果を得るように調整することができる。これらのパラメータは、マイクロ波電力、供給材料サイズ、供給材料挿入速度、ガス流量、プラズマ温度、滞留時間、及び冷却速度を含み得る。いくつかの実施形態では、冷却又はクエンチング速度は、プラズマ11を出る際で10
+3℃/秒以上である。上述したように、この特定の実施形態では、ガス流は層流であるが、これに替わる実施形態では、渦流又は乱流を使用して、供給材料をプラズマに向かわせることができる。
【0130】
図12A及びBでは、
図11の実施形態に示されるような上部供給ホッパーではなく、側面供給ホッパーを含み、下流供給が可能なマイクロ波プラズマトーチを例示している。したがって、この実施態様では、供給原料をマイクロ波プラズマトーチの「プルーム」又は「排気部」で処理するために、供給原料をマイクロ波プラズマトーチアプリケータの後に注入する。したがって、マイクロ波プラズマトーチのプラズマをプラズマトーチの出口端で係合させ、
図11で議論した上部供給(又は上流供給)とは対照的に、供給原料を下流供給できるようにする。この下流供給によれば、材料がホットゾーンライナー壁に堆積するようなことは一切起こらず、ホットゾーン6が継続的に保持されるため、トーチ寿命を延命させることができる。さらに、温度レベル及び滞留時間を正確に設定することによって、粉末に最適な溶融温度下でプラズマプルームを下流で係合させることができる。例えば、マイクロ波粉末、ガス流、及びプラズマプルームを包含するクエンチング容器の圧
力を使ってプルーム長さを調整することにより可能となる。さらに、下流アプローチによれば、ワイヤ供給材料を代わりに使用して、アルミニウム、インコネル(登録商標)、チタン、モリブデン、タングステン、及びレニウムを含み得る金属などの球状化材料を製造することができる。この球状化法は、セラミックスと金属の両方に適用することができる。
【0131】
下流球状化法では、2つの主要なハードウェア構成を利用することで安定したプラズマプルームを確立することができる。それらは、例えば、特許文献16に記載されているような環状トーチ、又は特許文献17及び特許文献18に記載されている渦巻状トーチなどである。
図12A及び
図12Bの両方では、環状トーチ又は渦巻状トーチのいずれかを用いて実施することができる方法の実施形態を示す。プラズマトーチの出口でプラズマプルームと緊密に結合されている供給システムを使って、粉末をプロセスの均質性保持のために、軸対称に供給する。他の供給構成としては、プラズマプルームを取り囲む1つ又はいくつかの個別の供給ノズルが挙げられる。原料粉末は、どの方向からでもプラズマ内に入ることができ、そしてプラズマの周囲360°に供給され得る。原料粉末は、特定温度の測定及び粒子が十分に溶融するのにかかる滞留時間を推定できる、プラズマプルーム長さに沿った特定の位置で、プラズマ内に入ることができる。溶融後の粒子をプラズマから密閉チャンバーに入れ、そこでクエンチング後、回収する。
【0132】
金属の供給材料314は、マイクロ波プラズマトーチ302に導入することができる。金属の供給材料314をマイクロ波プラズマトーチ302、プルーム、又は排気部に供給する前に、ホッパー306を金属の供給材料314の貯蔵用に使用することができる。供給材料314を、プラズマトーチ302の長手方向に対して任意の角度で注入することができる。その角度は、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、又は55度である。いくつかの実施形態では、原料を、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、又は55度より大きい角度で注入することができる。いくつかの実施形態では、供給原料を、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、又は55度より小さい角度で注入することができる。これに替わる実施形態において、供給原料を、プラズマトーチの長手方向軸に沿って注入し得る。マイクロ波放射を、導波管304を通してプラズマトーチに導入できる。供給材料314をプラズマチャンバ310に供給し、プラズマトーチ302により発生したプラズマと接触するように配置する。供給材料は、プラズマ、プラズマプルーム、又はプラズマ排気と接触すると溶融する。供給材料314をプラズマチャンバ310内に依然留まっている間で、容器312に回収される前に、冷却し、固化する。あるいは、依然溶融相状態にある供給材料314をプラズマチャンバ310から出して、プラズマチャンバの外で冷却及び凝固することができる。いくつかの実施形態では、正圧下で使用しても使用しなくてもよいクエンチングチャンバを用いてもよい。
図11とは別に説明したが、
図12A及びBに示すような実施形態においては、
図11の実施形態と同様の特徴及び条件使用を使用するものと理解される。
【0133】
いくつかの実施形態では、下流注入法を実施するにあたって、下流渦流、拡張球状化、又はクエンチングを使用することができる。下流渦流とは、粉末を管の壁から離した状態でプラズマトーチの下流に導入することができる追加の渦流構成要素を指す。拡張球状化とは、粉末の滞留時間を長くするために、プラズマチャンバを拡張することを指す。いくつかの実施態様では、下流渦流、拡張球状化、又はクエンチングを使用しなくてもよい。いくつかの実施態様では、下流渦流、拡張球状化、又はクエンチングのうちの1つを使用してもよい。いくつかの実施形態では、下流渦流、拡張球状化、又はクエンチングのうちの2つを使用してもよい。
【0134】
下からの粉末注入により、マイクロ波領域内でプラズマチューブがコーティングされる
のを減らせる又は回避することができる。過度にコーティングされると、マイクロ波エネルギーがプラズマ高温領域内に供給されなくなって、プラズマ結合が減少する。時には、プラズマが消滅して不安定になることもある。プラズマ強度の低下は粉末の球状化レベルの低下を意味する。そこで、原料をマイクロ波領域の下方で供給し、プラズマトーチの出口でプラズマプルームと係合させることにより、この領域でのコーティングがなくなり、マイクロ波粉末とプラズマとの結合をプロセス中一定に保った状態で、充分な球状化が達成される。
【0135】
したがって、有利なことに、下流アプローチにより、コーティングの問題が低減されるため、この方法を長時間実行することが可能となる。さらに、下流アプローチでは、コーティングを最小限に抑える必要がないため、より多くの粉末を注入することが可能となる。
【0136】
図13では、調整済みの又は所望の微細構造を有する球状化チタン粒子を製造する方法(500)について例示する。該方法500には、例えば、チタン供給材料(例えば、チタン又はチタン合金)などの金属供給材料を処理して所望の微細構造を有する球状化金属粒子を作成する、いくつかの処理工程が含まれる。工程510において、粒子を含む金属(例えば、チタン系)の供給材料を、プラズマトーチに供給する。粒子は、供給原料材料を破砕、すり潰す、又は粉砕することにより製造することができる。一般に、供給原料粒子は、1μm~300μmの平均粒径を有する。工程515において、粒子をマイクロ波生成プラズマに曝し、供給原料粒子の少なくとも表面部分を溶かす。粒子の溶融部分でもって、粒子の球状化が可能になる。工程520において、球状化粒子を、ヘリウム、窒素、アルゴン又はそれらの組み合わせ/混合ガスなどの不活性ガス下に曝露する。工程525では、冷却処理変数/条件を設定・維持し、所望の微細構造を達成する。例えば、粒子全体がマルテンサイト微細構造となるよう所望する実施形態では、冷却処理条件を急速冷却に対して設定する。その結果、原料粒子全体が溶融できるような、高温部における粒子の滞留時間が確保され、冷却ガス流量は最速に設定され、冷却ガスの組成を構成するヘリウムの量は、利用可能な最大値に設定される。球状化粒子を、選択した冷却条件下で曝した後、工程530で球状化粉末を回収する。
【0137】
図14では、金属の供給原料材料を改質し、球状化後の形状及び所望の微細構造を持たせる方法(600)を例示している。該600の方法には、例えば、チタン供給材料(例えば、チタン又はチタン合金)などの金属供給材料を処理して、所望の微細構造を有する球状化金属粒子を作成する、いくつかの処理工程が含まれる。この方法では、供給原料材料(例えば、99.9%純チタン、Ti-6Al-4Vなど)の化学組成の知見と、熱処理条件全体の制御手順とを組み合わせると、金属供給原料材料とは異なる所望の微細構造を有する楕円状粒子を実現することが可能となる。工程610では、Ti系供給原料材料の組成を選択又は分析し、その組成を決定する。工程615では、最終製品に対して所望する微細構造を決定する。例えば、球状化粒子全体にα相99%純Tiの等軸微細構造を所望すると決定する場合がある。その場合、マルテンサイト組織が生成する冷却速度よりも遅い冷却速度を採用することが必要となる。冷却処理パラメータとして、冷却ガス流量、滞留時間、及び/又は冷却ガスの組成などを選択(工程620)することによって、原料材料の組成に基づいたような微細構造が達成される。概して、最終製品の微細構造は、元の供給原料材料と異なる。すなわち、本方法の利点は、所望の微細構造を有する球状化粒子を作成する上で、供給材料を効率的に処理できるという点である。冷却パラメータを選択又は決定した後、工程625において、供給原料粒子をマイクロ波発生プラズマ中で溶融して、粒子を球状化する。球状化した粒子を不活性ガスに曝し(工程630)、決定又は選択した冷却パラメータを適用して、所望の微細構造を形成する。
【0138】
球状化粒子(最終製品)に対して所望する微細構造は、最終製品使用時の要求及び材料
特性に応じて調整することができる。例えば、所望する微細構造として、改善された延性を提供するものであってもよい(概して、α相に関連する)。別の例では、所望する微細構造として、α+β相又はβ相の島を有するαの領域又はその逆を含む構造に関連する場合がある。理論に拘束されるものではないが、本開示の方法によれば、マイクロ波生成プラズマが均一な温度プロファイルを有し、ホットゾーンにおける細かい制御、及び冷却処理パラメータの選択及び調整が可能となるため、球状化粒子の相全体を制御することができると信じられる。
【0139】
本技術の方法を用いれば、様々な微細構造、結晶構造、及び微細構造及び/又は結晶構造の異なる領域を持った粒子を製造することができる。したがって、新しい楕円状チタン粒子を効率的に製造することができる。例えば、本技術では、高温部及び冷却部の処理パラメータを制御することができるため、作業者は、楕円状粒子内に複数の領域を形成することが可能である。
図15は、そのような実施形態を示す図である。この図は、2つの異なる領域を有する楕円状粒子を示している。外側又はシェル領域715及び内側コア710である。この粒子に対する元のチタン供給材料は、純チタンα-相粉末であった。供給材料の粒子の表面部分のみを溶融させ、球状化が起こり得るような条件(温度、滞留時間など)でプラズマに曝した。適切な冷却速度を適用することで、シェル領域がβ相に変態でき、コア領域がα相として保持された。いくつかの実施形態では、Ti-6-4については、シェルと内部コアの両方がTi-6-4である。いくつかの実施形態では、Ti-6-4を維持するなど、コアの組成/微細構造を保持し、シェルの組成/微細構造を変更することができる。
【0140】
図示されていないが、別の実施形態では、供給原料粒子全体を溶融し、冷却パラメータを選択・適用して、供給原料材料と同じ相を有する(例えば、α相を保持する)、又は新しい相又は相の混合物に変換される結晶構造を創り出すことができる。同様に、冷却処理パラメータを選択・適用することにより、粒子全体に同じ微細構造を有する、又は2つ以上の領域(例えば、シェル領域、コア領域)に様々な微細構造を有する楕円状粒子を創り出すことが可能である。
【0141】
追加の番号付けされた実施形態
本開示の特定の実施形態は、本明細書の最後に提示される請求項、又は後日提示される他の請求項に包含される。追加の実施形態は、以下の番号付けされた実施形態群に包含される。
【0142】
実施の形態1.金属スクラップ又は使用済み金属部品から球状化粉末を製造する方法であって、
前記金属スクラップ又は使用済み金属部品を粉砕又は破砕することによって得られた金属粒子をマイクロ波プラズマトーチに導入すること、及び
前記マイクロ波プラズマトーチ内で前記金属粒子を溶融及び球状化し、球状化粉末を形成すること、
を含む方法。
実施の形態2.前記粉砕又は破砕された粒子が、所望の粒径分布を有する、実施形態1に記載の方法。
実施形態3.前記所望の粒径分布が15~63μmである、実施形態2に記載の方法。
実施形態4.前記粉砕又は破砕された粒子が、所望の範囲の粒子体積を有する、実施形態1に記載の方法。
実施形態5.前記金属スクラップ又は使用済み金属部品を脆化させることなく、前記粒子を粉砕又は破砕する、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
実施形態6.前記金属スクラップ又は使用済み金属部品を粉砕又は破砕して、前記金属粒子を生成することをさらに含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
実施形態7.前記金属スクラップ又は使用済み金属部品が、チタン又はチタン合金を含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
実施形態8.前記金属スクラップ又は使用済み金属部品が、ニッケル又はニッケル合金を含む、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
実施形態9.前記金属スクラップ又は使用済み金属部品が、コバルト又はコバルト合金を含む、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
実施形態10.前記金属スクラップ又は使用済み金属部品が、鋼又は鋼合金を含む、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0143】
実施形態11.前記金属スクラップ又は使用済み金属部品が、延性金属又は金属合金を含む、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
実施形態12.前記金属粒子は、除去加工から生じる粉砕後の旋削物からなる、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
実施形態13.前記金属スクラップ又は使用済み金属部品が、シャープ旋削物、鋸屑、研削屑、研削微粉末、及び/又は洗浄ライン微粉末からなる、実施形態1~11のいずれか1つに記載の方法。
実施形態14.前記金属粒子が、前記溶融及び球状化後に、加工硬化ミクロ構造が少なくとも部分的に保持される構造を含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
実施形態15.前記金属粒子の表面が部分的にのみ溶融される、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
実施形態16.金属スクラップ又は使用済み金属部品から球状化粉末を製造する方法であって、
チタン、チタン合金、又は他の延性金属もしくは延性金属合金を含む金属スクラップ又は使用済み金属部品を提供すること;
前記金属スクラップ又は使用済み金属部品を粉砕して、マイクロ波プラズマプロセスの原料に使用するのに適した、予め決められた範囲の粒子体積を有する金属粒子を生成し、ここで、前記金属スクラップ又は使用済み金属部品が、前記粉砕後に予め決められた範囲の粒子体積を有する金属粒子となるような、サイズ及び/又はアスペクト比を有する前記粒子を前記粉砕用に選別し、前記金属スクラップ又は使用済み金属部品を脆化させずに前記粉砕を行う;及び
前記決められた範囲の粒子体積を有する金属粒子にマイクロ波プラズマプロセスを適用して、球状化粉末を形成すること、
を含む方法。
実施形態17.前記決定された粒子体積の範囲内に入るように粉砕するのに適したサイズ及び/又はアスペクト比を有する、前記金属スクラップ又は使用済み金属部品の一部分を選択することをさらに含む、実施形態16に記載の方法。
実施形態18.前記決定された粒子体積の範囲は、15~63μmである、実施形態16又は17に記載の方法。
実施形態19.前記金属スクラップ又は使用済み金属部品が、前記マイクロ波プラズマ処理を適用した後に球状化粉末に保持される加工硬化微細構造を含む、実施形態16~18のいずれか1つに記載の方法。
実施形態20.前記粉砕が水中で行われる、実施形態16~19のいずれか1つに記載の方法。
【0144】
実施形態21.前記球状化粉末を積層造形プロセスで処理することをさらに含む、実施形態16~20のいずれか1つに記載の方法。
実施形態22.前記金属スクラップ又は使用済み金属部品に対して水素化又は極低温を適用して、前記金属スクラップ又は使用済み金属部品を脆化させることなく粉砕することを含む、実施形態16~21のいずれか1つに記載の方法。
実施形態23.前記金属スクラップ又は使用済み金属部品が、除去加工から生じる旋削
物を含む、実施形態16~22のいずれか1つに記載の方法。
実施形態24.前記金属スクラップ又は使用済み金属部品が、Ti-6-4を含む、実施形態16~23のいずれか1つに記載の方法。
実施形態25.実施形態16~24のいずれか1つから得られる球状化粉末を使用することを含む、積層造形法。
実施形態26.実施形態16~24のいずれか1つから得られる球状化粉末を使用することを含む、レーザー床融合法。
実施形態27.実施形態16~24のいずれか1つから得られる球状化粉末を使用することを含む、電子ビーム製造法。
実施形態28.実施形態15~23のいずれか1つから得られる球状化粉末を用いることを含む、金属射出成形法。
実施形態29.金属スクラップ又は使用済み金属部品から球状化粉末を製造する方法であって、
金属スクラップ又は使用済み金属部品を提供すること;
前記金属スクラップ又は使用済み金属部品を粉砕して、マイクロ波プラズマプロセスの原料に使用するのに適した、予め決められた範囲の粒子体積を有する金属粒子を生成し、ここで、前記金属スクラップ又は使用済み金属部品が、前記粉砕後に予め決められた範囲の粒子体積を有する金属粒子となるような、サイズ及び/又はアスペクト比を有する前記粒子を前記粉砕用に選別し、前記金属スクラップ又は使用済み金属部品を脆化させずに前記粉砕を行うこと;及び
前記決定された粒子体積の範囲内にある金属粒子にマイクロ波プラズマプロセスを適用して、球状化粉末を形成すること、
を含む方法。
実施の形態30.実施形態1~24又は29のいずれかに記載の方法に従って製造された球状化粉末。
【0145】
実施形態31.使用済み粉末から球状化粉末を製造する方法であって、
マイクロ波プラズマトーチに、以前に使用された粉末粒子を導入すること;及び
前記マイクロ波プラズマトーチ内で、前記以前に使用された粉末粒子を溶融し、球状化粉末粒子を形成すること、
を含む方法。
実施形態32.前記以前に使用された粉末粒子は、所望の粒径分布を有する、実施形態31に記載の方法。
実施形態33.前記以前に使用された粉末粒子がサテライトを含み、前記サテライトが前記溶融及び球状化の間に除去される、実施形態31~32のいずれか1つに記載の方法。
実施形態34.前記以前に使用された粉末粒子が凝集体を含み、前記凝集体が前記溶融及び球状の間に除去される、実施形態31~33のいずれか1つに記載の方法。
実施形態35.前記以前に使用された粉末粒子が汚染物質を含み、前記汚染物質が前記溶融及び球状化の間に除去される、実施形態31~34のいずれか1つに記載の方法。
実施形態36.前記以前に使用された粉末粒子は、金属又は金属合金を含む、実施形態31~35のいずれか1つに記載の方法。
実施形態37.前記以前に使用された粉末粒子は、チタン又はチタン合金を含む、実施形態31~36のいずれか1つに記載の方法。
実施形態38.前記以前に使用された粉末粒子は、ニッケル又はニッケル合金を含む、実施形態31~36のいずれか1つに記載の方法。
実施形態39.前記以前に使用された粉末粒子は、延性金属又は金属合金を含む、実施形態31~36のいずれか1つに記載の方法。
実施形態40.前記以前に使用された粉末粒子は、コバルト又はコバルト合金を含む、実施形態31~36のいずれか1つに記載の方法。
【0146】
実施形態41.前記以前に使用された粉末粒子は、鋼及び鋼合金を含む、実施形態31~36のいずれか1つに記載の方法。
実施形態42.前記以前に使用された粉末粒子は、セラミックを含む、実施形態31~36のいずれか1つに記載の方法。
実施形態43.前記溶融及び球状化により、前記以前に使用された粉末粒子の流動性を改善する、実施形態31~42のいずれか1つに記載の方法。
実施形態44.前記溶融及び球状化により、前記以前に使用された粉末粒子の密度を増加させる、実施形態31~43のいずれか1つに記載の方法。
実施形態45.前記溶融及び球状化の間に、炭素、窒素及び/又は他の汚染物質が、前記以前に使用された粉末粒子から除去される、実施形態31~44のいずれか1つに記載
の方法。
実施形態46.希ガス、アルゴンガス、アルゴンガスと水素ガスの混合ガス、又は窒素ガスを、前記溶融及び球状化の間に使用する、実施形態31~45のいずれか1つに記載
の方法。
実施形態47.前記以前に使用された粉末粒子が、積層造形プロセスにより形成される、実施形態31~46のいずれか1つに記載の方法。
実施形態48.積層造形プロセスが、レーザー焼結、電子ビーム溶融、フィラメント溶融堆積、指向性エネルギー堆積、粉末床溶融、又はバインダージェッティングを含む、実施形態47に記載の方法。
実施形態49.前記球状化粉末粒子は、前記溶融及び球状化の後に、前記以前に使用された粉末粒子と同じレオロジー特性を保持する、実施形態31~48のいずれか1つに記
載の方法。
実施形態50.球状化粉末粒子において、合金成分化学及び/又副成分化学が10重量%未満であることが、前記以前に使用された粉末粒子と同じである、実施形態31~49のいずれか1つに記載の方法。
【0147】
実施形態51.前記以前に使用された粉末粒子が、楕円状でない粒子のみを実質上含む、実施形態31~50のいずれか1つに記載の方法。
実施形態52.前記以前に使用された粉末粒子が、実質的にサテライト、汚染物、及び/又は凝集体を有する粒子のみを含む、実施形態31~50のいずれか1つに記載の方法
。
実施形態53.前記以前に使用された粉末粒子が、楕円状でない粒子と、サテライト、汚染物、及び/又は凝集体を有さず楕円状である粒子とを含む、実施形態31~50のいずれか1つに記載の方法。
実施形態54.脱水素又は非水素化チタン又はチタン合金を含む供給材料から球状化粉末を製造する方法であって、
脱水素又は非水素化チタン又はチタン合金粒子を含む供給材料をマイクロ波プラズマトーチに導入すること;及び
前記マイクロ波プラズマトーチによって生成されたプラズマ内で前記粒子を溶融し、球状化し、球状化粉末を形成すること;
を含む方法。
実施形態55.前記供給材料が、水素化脱水素(HDH)プロセスによって処理されたチタン又はチタン合金粒子を含む、実施形態54に記載の方法。
実施形態56.前記球状化粉末は、少なくとも0.75の中央球形度を有する粒子を含む、実施形態54~55のいずれか1つに記載の方法。
実施形態57.前記球状化粉末が、少なくとも0.91の中央球形度を有する粒子を含む、実施形態54~56のいずれか1つに記載の方法。
実施形態58.前記球状化粉末は、15~45μmの粒径分布を有する、実施形態54~57のいずれか1つに記載の方法。
実施形態59.前記球状化粉末は、45~105μmの粒径分布を有する、実施形態5
4~58のいずれか1つに記載の方法。
実施形態60.前記球状化粒子を不活性ガスに曝露することをさらに含む、実施形態54~59のいずれか1つに記載の方法。
【0148】
実施形態61.前記球状化粒子の微細構造を調整するために、1つ以上の冷却処理変数を設定することをさらに含む、実施形態54~60のいずれか1つに記載の方法。
実施形態62.1つ以上の冷却処理変数を設定することに、冷却ガス流量を選択及び制御すること含む、実施形態61に記載の方法。
実施形態63.1つ以上の冷却処理変数を設定することに、前記プラズマ内の前記供給材料の粒子の滞留時間を選択し、制御することを含む、実施形態61に記載の方法。
実施形態64.1つ以上の冷却処理変数を設定することに、冷却ガス組成を選択し、制御することを含む、実施形態61に記載の方法。
実施形態65.前記冷却ガス組成が、高熱伝導率を呈すように選択される、実施形態64に記載の方法。
実施形態66.1つ以上の冷却処理変数が、前記球状化粒子においてマルテンサイト微細構造を形成するように設定される、実施形態61に記載の方法。
実施形態67.1つ以上の冷却処理変数が、前記球状化粒子においてウィドマンシュテッテン微細構造を形成するように設定される、実施形態61に記載の方法。
実施形態68.1つ以上の冷却処理変数が、前記球状化された粒子において等軸微細構を形成するように設定される、実施形態61に記載の方法。
実施形態69.1つ以上の冷却処理変数が、少なくとも2つの領域を形成し、各領域が異なる微細構造を有するように設定される、実施形態61に記載の方法。
実施形態70.前記少なくとも2つの領域が、コア部分及びスキン部分を含む、実施形態69に記載の方法。
【0149】
実施形態71.前記スキン部分が、前記供給材料の微細構造とは異なる微細構造を有する、実施形態70に記載の方法。
実施形態72.前記粒子の溶融及び球状化が、約4000K~8000Kの実質的に均一な温度プロファイル内で起こる、実施形態54~71のいずれか1つに記載の方法。
実施形態73.前記供給材料が、1.0μm以上300μm以下の粒径を有する、実施形態54~71のいずれか1つに記載の方法。
実施形態74.前記供給材料がTi-6-4を含み、前記溶融及び球状化が、球状化粉末がTi-6-4を含むように制御される、実施形態54~71のいずれか1つに記載の方法。
実施形態75.実施形態31~74のいずれかに記載の方法に従って製造された球状化粉末。
【0150】
前述の説明から、独特の原料を球状化粉末に変換する発明的な処理方法が開示されていることが理解されるであろう。いくつかの構成要素、技術及び態様をある程度の特殊性をもって説明してきたが、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される上述の特定の設計、構造及び方法論については、数多く変更を行うことができることは明白である。
【0151】
本開示にて別々に実施する文脈で説明されている特定の特徴は、単一の実施において組み合わせて実装することもできる。逆に、単一実施の文脈で説明される様々な特徴は、複数実施において別々に、又は任意の適当なサブコンビネーションとして実施することも可能である。さらに、上記のように、ある特徴が特定の組み合わせのもとで作用するものとして記載されることがあるが、クレームの組み合わせからなる1つ以上の特徴は、場合によっては、組み合わせから除外することができ、その組み合わせは、任意のサブコンビネ
ーション又は任意のサブコンビネーションのバリエーションとしてクレームすることができる。
【0152】
さらに、方法を特定の順序で図面に描いたり、明細書に記載したりすることがあるが、そのような方法は、望ましい結果を得るために、示された特定の順序で、又は連続した順序で実施する必要はなく、又すべての方法を実施する必要はない。描かれていない又は説明されていない他の方法も、例示的な方法及びプロセスに組み入れることができる。例えば、1つ以上の追加の方法を、説明された方法のいずれかの前、後、同時、又は間に実施することができる。さらに、他の実施態様において、方法を並べ替えたり、順序を変えたりすることができる。又、上述した実施態様における様々なシステム構成要素を分離することが、全ての実施態様においてそのような分離を必要とすると理解するべきではなく、記載された構成要素及びシステムは、概して単一の製品に一緒に統合することができ、又は複数の製品に梱包することができると理解するべきである。さらに、他の実施態様も本開示の範囲内である。
【0153】
「できる」、「できた」、「かもしれなかった」、又は「かもしれない」などの条件付き言語により、特段断りのない限り、又は記載される文脈内で理解される限り、概して、特定の実施形態が、特定の特徴、要素、及び/又は工程を含む又は含まないことが伝わるように意図される。したがって、このような条件付き言語によって、特徴、要素、及び/又は工程が、1つ以上の実施形態に何らかの形で必要なことが示唆されるようには意図されていない。
【0154】
「X、Y、及びZのうちの少なくとも1つ」というフレーズのような接続語は、特に断らない限り、アイテム、用語などがX、Y、又はZのいずれかであってもよいことを伝えのために、一般的に使われる文脈の中で理解される。したがって、そのような接続語により、特定の実施形態が、少なくとも1つのX、少なくとも1つのY、及び少なくとも1つのZの存在を必要とする、というようには概して意図されていない。
【0155】
本明細書で使用される「概ね」、「約」、「概して」、及び「実質的に」といった程度を表す言葉は、所望の機能を発現し続けるか又は所望の結果を達成する、記載の値、量、又は特性に近い値、量、又は特性を表している。例えば、用語「約」、「概して」、及び「実質的に」は、記載された値の10%以下以内、5%以下以内、1%以下以内、0.1%以下以内、及び0.01%以下以内である量を指すことがある。記載された量が0(例えば、none、no)である場合、上記記載された範囲は特定の範囲とすることができ、その値の特定%範囲内ではない。例えば、記載された値の10重量/体積%以下以内、
5重量/体積%以下以内、1重量/体積%以下以内、0.1重量/体積%以下以内、及び0
.01重量/体積%以下以内である。
【0156】
様々な実施形態に関連する任意の特定の特徴、態様、方法、特性、品質、属性、要素などの本明細書におけて開示されることは、本明細書に記載される他の全ての実施形態において使用することができる。さらに、本明細書に記載される任意の方法は、言及された工程を実行する上で、それに適した任意のデバイスを使用して実施され得ることが認識されるであろう。
【0157】
多数の実施形態及びそのバリエーションを詳細に説明したが、他の改良及び使用方法は当業者には明らかであろう。したがって、本明細書のユニークで発明的な開示又は特許請求の範囲から逸脱することなく、様々な応用、改良、材料、及び置換は等価物をすることができることを理解されたい。