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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162840
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】積層体、包装袋及び包装物品
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20241114BHJP
   B32B 7/022 20190101ALI20241114BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20241114BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
B32B27/32 Z
B32B7/022
B32B27/00 D
B65D65/40 D BRH
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078769
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100129296
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 博昭
(72)【発明者】
【氏名】三木 祐二
(72)【発明者】
【氏名】浦川 直也
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E086AA23
3E086AB01
3E086AD01
3E086BA15
3E086BB05
3E086BB41
3E086BB51
3E086BB90
3E086CA01
3E086CA35
4F100AA20D
4F100AK04A
4F100AK04C
4F100AK05A
4F100AK63C
4F100AT00A
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA07
4F100CB00B
4F100CB03C
4F100EC18B
4F100EH46B
4F100EH66D
4F100GB15
4F100JA11A
4F100JD02B
4F100JD02D
4F100JK07A
4F100JK07C
4F100JK10
(57)【要約】
【課題】衝撃後でもガスバリア性の劣化を抑制できる積層体、包装袋及び包装物品を提供すること。
【解決手段】基材層を含む基材フィルム、接着層、及びシーラント層を備え、基材層が、500MPaより大きい引張弾性率を有する第1ポリエチレンフィルムであり、シーラント層が、500MPa未満の引張弾性率を有する第2ポリエチレンフィルムであり、接着層が、基材フィルムの表面にガスバリア性接着剤を塗工して形成される層である、積層体。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層を含む基材フィルム、接着層、及びシーラント層を備え、
前記基材層が、500MPaより大きい引張弾性率を有する第1ポリエチレンフィルムであり、
前記シーラント層が、500MPa未満の引張弾性率を有する第2ポリエチレンフィルムであり、
前記接着層が、前記基材フィルムの表面にガスバリア性接着剤を塗工して形成される層である、積層体。
【請求項2】
前記シーラント層の引張弾性率に対する前記基材層の引張弾性率の比R1が2以上である、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記基材層の結晶化度が35%より大きい、請求項1に記載の積層体。
【請求項4】
30℃、70RH%における酸素透過度が200cc/m・day・atm以下である、請求項1に記載の積層体。
【請求項5】
前記シーラント層の厚みに対する前記基材層の厚みの比が0.1~1.0である、請求項1に記載の積層体。
【請求項6】
前記基材フィルムが、前記基材層と前記接着層との間にガスバリア層をさらに備える、請求項1に記載の積層体。
【請求項7】
前記積層体全体に占めるポリエチレン系樹脂の含有率が90質量%以上である、請求項1に記載の積層体。
【請求項8】
スタンディングパウチ、二方袋、三方袋、四方袋、合掌袋又はガゼット袋に用いられる、請求項1に記載の積層体。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の積層体を用いて得られる包装袋。
【請求項10】
請求項9に記載の包装袋と、
前記包装袋内に収容される内容物とを備える、包装物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層体、包装袋及び包装物品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、循環型社会の構築を求める声の高まりとともに、高いリサイクル性を有する包装材料が求められている。しかしながら、従来の包装材料は、異種の樹脂材料からなる層の積層体で構成されており、使用後に樹脂材料ごとに分離することが困難であるため、それぞれの材料ごとにリサイクルすることが困難であった。したがって、従来の包装材料を用いて形成された包装袋などの包装体は、折角回収したとしても、燃やして熱として回収利用する以外になく、近年の地球環境保護の立場からは、相容れないものとなっているのが現状である。
【0003】
そのため、リサイクル性の観点からは、包装材料は、同種の樹脂材料からなる層を有する積層体で構成されることが望まれる。このような積層体として、例えば基材と、接着層と、ヒートシール層とを備え、基材及びヒートシール層をポリエチレンから構成した積層体が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-55157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に記載の積層体は、高いリサイクル性を有するものの、落下等による衝撃後のガスバリア性の点で改善の余地を有していた。
【0006】
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、高いリサイクル性を有しつつ、衝撃後でもガスバリア性の劣化を抑制できる積層体、包装袋及び包装物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面は、基材層を含む基材フィルム、接着層、及びシーラント層を備え、前記基材層が、500MPaより大きい引張弾性率を有する第1ポリエチレンフィルムであり、前記シーラント層が、500MPa未満の引張弾性率を有する第2ポリエチレンフィルムであり、前記接着層が、前記基材フィルムの表面にガスバリア性接着剤を塗工して形成される層である、積層体を提供する。
上記積層体によれば、高いリサイクル性を有しつつ、衝撃後でもガスバリア性の劣化を抑制できる。
【0008】
上記積層体によって上記効果が得られる理由は定かではないが、以下のとおりではないかと本開示の発明者らは推察する。
すなわち、一般に接着剤は機械的結合(アンカー効果)、化学的相互作用又は物理的相互作用(分子間力)により接着されるが、ガスバリア性接着剤を基材フィルムの表面に塗工して接着層を形成すると、接着層は、接着の主要因と考えられる機械的結合及び物理的相互作用により、接着剤の塗工面側でないシーラント層よりも、ガスバリア性接着剤の塗工面側である基材フィルムの表面に対して強く働くと考えられる。これは、基材フィルムの表面に塗工する時のガスバリア性接着剤は高い流動性を有し、基材フィルム表面の凹凸に追従するためである。その結果、接着層と基材フィルム表面との間で接触する表面積が大きくなり、接着層は、基材フィルム表面に強く固着すると考えられる。このため、積層体が衝撃を受けて基材フィルムの基材層に歪みが加えられても、基材層は500MPaよりも高い引張弾性率を有するため、基材層に加えられる歪みは小さくなり、基材層を有する基材フィルムの歪みも小さくなり、基材フィルムの表面に強く固着している接着層に加えられる歪みも小さくなる。また、接着層に衝撃に伴って過大な応力が加えられても、その応力が、低い引張弾性率を有するシーラント層によって緩和される。このため、接着層にクラックが形成されにくくなる。その結果、接着層のガスバリア性の劣化が抑制され、積層体としてのガスバリア性の劣化も抑制される。また、基材層が第1ポリエチレンフィルムであり、シーラント層が第2ポリエチレンフィルムであるため、積層体は、高いリサイクル性を有することが可能となる。
以上のことから、本開示の積層体によって上記効果が得られるのではないかと本開示の発明者らは推察する。
【0009】
上記積層体において、前記シーラント層の引張弾性率に対する前記基材層の引張弾性率の比R1が2以上であることが好ましい。
この場合、衝撃後でも積層体のガスバリア性の劣化をより十分に抑制できる。
【0010】
上記積層体において、前記基材層の結晶化度が35%より大きいことが好ましい。
この場合、基材層の結晶化度が35%以下である場合に比べて、積層体の耐衝撃性を効果的に向上させることができる。
【0011】
上記積層体は、30℃、70RH%における酸素透過度が200cc/m・day・atm以下であることが好ましい。
この場合、30℃、70RH%における酸素透過度が200cc/m・day・atmを超える場合に比べて、当該積層体を用いて包装袋を作製し、包装袋内に内容物を収容して包装物品を作製した場合に酸素による内容物の劣化を効果的に抑制することができる。
【0012】
上記積層体において、前記シーラント層の厚みに対する前記基材層の厚みの比が0.1~1.0であることが好ましい。
シーラント層の厚みに対する基材層の厚みの比が0.1以上であると、引張弾性率が高く剛性が高い基材層の割合が相対的に高くなるため、積層体の剛性をより向上させることができる。また、シーラント層の厚みに対する基材層の厚みの比が1.0以下であると、引張弾性率が低く柔軟性が高いシーラント層の割合が相対的に高くなるため、積層体の衝撃吸収性をより向上させることができる。
【0013】
上記積層体においては、前記基材フィルムが、前記基材層と前記接着層との間にガスバリア層をさらに備えることが好ましい。
この場合、積層体のガスバリア性がより向上する。このため、当該積層体を用いて包装袋を作製し、包装袋内に内容物を収容して包装物品を作製した場合に酸素等のガスによる内容物の劣化を効果的に抑制することができる。
【0014】
上記積層体全体に占めるポリエチレン系樹脂の含有率は90質量%以上であることが好ましい。
この場合、積層体がより高いリサイクル性を有することが可能となる。
【0015】
上記積層体が、スタンディングパウチ、二方袋、三方袋、四方袋、合掌袋又はガゼット袋に用いられてよい。
【0016】
また、本開示の他の側面は、上述した積層体を用いて得られる、包装袋を提供する。
この包装袋によれば、高いリサイクル性を有しつつ、衝撃後でもガスバリア性の劣化を抑制できる。
【0017】
また、本開示のさらに他の側面は、上述した包装袋と、前記包装袋内に収容される内容物とを備える包装物品を提供する。
この包装物品によれば、衝撃後でもガスバリア性の劣化を抑制できる。このため、酸素等のガスによる内容物の劣化が長期間にわたって抑制される。また、内容物を排出した後に残る包装袋は、高いリサイクル性を有することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、高いリサイクル性を有しつつ、衝撃後でもガスバリア性の劣化を抑制できる積層体、包装袋及び包装物品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示に係る積層体の一実施形態を示す断面図である。
図2】本開示に係る包装物品の一実施形態を示す断面図である。
図3】本開示に係る積層体の他の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0021】
<積層体>
まず本開示に係る積層体の一実施形態について図1を参照しながら説明する。図1は、本開示に係る積層体の一実施形態を示す断面図である。
【0022】
図1に示すように、積層体100は、基材層10を含む基材フィルム60、接着層20、及び、シーラント層30をこの順に備える。基材層10は、500MPaより大きい引張弾性率を有する第1ポリエチレンフィルムであり、シーラント層30は、500MPa未満の引張弾性率を有する第2ポリエチレンフィルムであり、接着層20が、基材フィルム60の表面にガスバリア性接着剤を塗工して形成される層である。
【0023】
上記積層体100によれば、高いリサイクル性を有しつつ、衝撃後でもガスバリア性の劣化を抑制できる。
【0024】
以下、基材フィルム60、接着層20、シーラント層30及び積層体100について詳細に説明する。
【0025】
(基材フィルム)
基材フィルム60は、基材層10を含む。図1では、基材フィルム60は、基材層10で構成されている。
【0026】
基材層10としての第1ポリエチレンフィルムは、500MPaより大きい引張弾性率を有する。第1ポリエチレンフィルムの引張弾性率は、好ましくは600MPa以上であり、より好ましくは700MPa以上であり、特に好ましくは800MPa以上である。第1ポリエチレンフィルムの引張弾性率が600MPa以上であると、積層体100のガスバリア性をより向上させることができる。
第1ポリエチレンフィルムの引張弾性率は、好ましくは3000MPa以下であり、より好ましくは2500MPa以下であり、特に好ましくは1500MPa以下である。第1ポリエチレンフィルムの引張弾性率が3000MPa以下であると、積層体100のガスバリア性をより向上させることができる。
【0027】
シーラント層30の引張弾性率に対する基材層10の引張弾性率の比R1は1より大きければ特に制限されるものではないが、R1は、好ましくは2以上であり、より好ましくは3以上である。
R1が2以上であると、衝撃後でもガスバリア性の劣化をより十分に抑制できる。
【0028】
R1は好ましくは15以下であり、より好ましくは10以下である。
R1が15以下であると、衝撃後でもガスバリア性の劣化をより十分に抑制できる。
【0029】
基材層10の結晶化度は、特に制限されるものではないが、好ましくは35%より大きく、より好ましくは40%以上であり、特に好ましくは50%以上である。基材層10の結晶化度が35%より大きいと、基材層10の結晶化度が35%以下である場合に比べて、基材層10がより高い剛性を有し、基材層10の塑性変形に伴う歪が小さくなり、積層体100に加わった瞬間衝撃にて発生した歪に対して基材層10の変形が抑制され、基材層10にクラックが生じにくくなる。
基材層10の結晶化度は100%以下であればよい。基材層10の結晶化度は、好ましくは90%以下であり、より好ましくは80%以下である。基材層10の結晶化度が90%以下であると、基材層10の結晶化度が90%より大きい場合に比べて、基材層10がより柔軟性に優れ、より高い衝撃吸収性を有する。このため、積層体100は、より優れた耐衝撃性を有することが可能となる。
なお、基材層10が複数の層の積層体である場合には、基材層10の結晶化度は、最表面の層の結晶化度とする。
【0030】
基材層10の結晶化度は、平行ビーム法を用いたX線回折法によって求められる。具体的には、結晶化度は以下のようにして求められる。
先ず、基材層10のX線回折パターンを、リガク社製の広角X線回折装置を使用し、アウト・オブ・プレーン(Out-of-plane)測定で、回折角度10°~30°の範囲を2θ/θスキャンさせることで得る。X線としては特性X線CuKαを用い、X線は、多層膜ミラーにより平行化して基材層の表面に入射させ、回折されたX線は、平板コリメータを取り付けたシンチレーション検出器で検出される。
得られたX線回折パターンより、結晶成分のピーク面積と非晶成分のハローパターン面積とを求め、それら面積の合計を基準(100%)としたときの結晶成分のピーク面積の割合が基材層10の結晶化度(%)として算出される。
【0031】
基材層10の結晶化度は、基材層10に使用する樹脂フィルムの延長度合いや、樹脂フィルムの製造時又は製造後の熱履歴を制御することなどで調整することができる。例えば、製膜後に基材層10となる樹脂フィルムを徐冷すると基材層10の結晶化度は高まり、急冷すると基材層10の結晶化度は下がる。また、結晶核剤などの添加物を配合することで基材層10の結晶化度を向上させることも可能である。
【0032】
第1ポリエチレンフィルムは、ポリエチレン系樹脂を含む。ポリエチレン系樹脂は、エチレンを構成単位として含む樹脂である。ポリエチレン系樹脂としては、エチレンのホモポリマー、及び、エチレンと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。ポリエチレンに占めるエチレンの割合は、例えば80mol%以上である。
【0033】
他のモノマーとしては、例えばα-オレフィン、酢酸ビニル、アクリル酸エステルなどが挙げられる。
α-オレフィンは、炭素数が3~20の範囲内にあるオレフィンであってよい。α-オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン、3-メチル-1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、又は6-メチル-1-ヘプテンである。
ポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-プロピレン共重合体等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
ここで、高密度ポリエチレンは、密度が0.942g/cm以上であるポリエチレンであり、中密度ポリエチレンは、密度が0.930g/cm以上0.942g/cm未満であるポリエチレンであり、低密度ポリエチレンは、密度が0.910g/cm以上0.930g/cm未満であるポリエチレンであり、直鎖状低密度ポリエチレンは、密度が0.910g/cm以上0.930cm未満であるポリエチレンであり、超低密度ポリエチレンは、密度が0.910g/cm未満であるポリエチレンである。
なお、密度は、JIS K7112:1999に準拠した方法で得られる値である。
【0034】
上記ポリエチレン系樹脂は、化石燃料から得られる原料(モノマー)を用いて得られるポリエチレン系樹脂でも、バイオマス由来の原料(モノマー)を用いて得られるポリエチレン系樹脂でもよいが、環境負荷を低減する観点からは、バイオマス由来の原料を用いて得られるポリエチレン系樹脂であることが好ましい。あるいは、上記ポリエチレン系樹脂は、リサイクル樹脂であってもよい。リサイクル樹脂は、メカニカルリサイクル樹脂でもケミカルリサイクル樹脂でもよい。
【0035】
基材層10は、必要に応じて、フィラー、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、及び酸化防止剤等から選ばれる少なくとも一種の添加剤を含有してもよい。
【0036】
基材層10は、未延伸フィルムでも延伸フィルムでもよい。延伸フィルムは、一軸延伸フィルムでも二軸延伸フィルムでもよい。基材層10は、延伸フィルム及び未延伸のフィルムのどちらで構成されてもよい。また基材層10は、少なくとも一つの延伸フィルムと少なくとも一つの未延伸フィルムとが積層されているものであってもよい。基材層10は、二軸方向に延伸されたフィルムを有することによって、機械強度及び寸法安定性を向上することができる。
【0037】
基材層10には、接着層20との接着性を高めるために、接着層20側の面に、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理などの各種前処理を施したり、易接着層などのコート層を設けたりしてもよい。
【0038】
シーラント層30の厚みに対する基材層10の厚みの比R2は特に制限されるものではないが、R2は、好ましくは0.1以上であり、より好ましくは0.15以上であり、特に好ましくは0.20以上である。
R2が0.1以上であると、引張弾性率が高く剛性が高い基材層10の割合が相対的に高くなるため、積層体100の剛性をより向上させることができる。
【0039】
R2は好ましくは1.0以下であり、より好ましくは0.7以下であり、より一層好ましくは0.4以下であり、特に好ましくは0.3以下である。
R2が1.0以下であると、引張弾性率が低く柔軟性が高いシーラント層30の割合が相対的に高くなるため、積層体100の衝撃吸収性をより向上させることができる。
【0040】
基材層10の厚さは、特に制限されず、例えば10μm以上200μm以下である。環境負荷低減のための材料削減の観点、及び、優れた耐熱性、耐衝撃性及びガスバリア性を得る観点から、基材層10の厚さは、20μm以上、25μm以上、30μm以上又は40μm以上でもよい。また基材層10の厚さは、100μm以下、60μm以下、又は50μm以下でもよい。基材層10の厚さの割合は、例えば、積層体100の厚さの5%以上である。
【0041】
(接着層)
接着層20は、基材フィルム60とシーラント層30とを接着する層であり、基材フィルム60の表面にガスバリア性接着剤を塗工して形成される層である。積層体100が接着層20を有することで、基材層10とシーラント層30との密着性をより高めることができ、基材層10とシーラント層30との剥離を抑制できる。
【0042】
ガスバリア性接着剤とは、硬化後に得られる接着層20の酸素透過度を150cc/m・day・atm以下とすることが可能な接着剤である。
【0043】
ガスバリア性接着剤は、積層体100のガスバリア性をより十分に向上させる観点からは、接着層20の酸素透過度を100cc/m・day・atm以下とする接着剤であることが好ましく、80cc/m・day・atm以下とする接着剤であることがより好ましく、50cc/m・day・atm以下とする接着剤であることが好ましい。このようなガスバリア性接着剤の具体例としては、三菱ガス化学株式会社製の「マクシーブ」、DIC株式会社製の「Paslim」等が挙げられる。
【0044】
また、接着層20は、バイオマス成分を含んでも含まなくてもよいが、環境負荷を低減する観点から、バイオマス成分を含むことが好ましい。バイオマス成分としては、具体的にはDIC株式会社製の「ディックドライ BMシリーズ」、及び東洋インキ株式会社製の「ECOADシリーズ」が挙げられる。
なお、バイオマス成分は、ガスバリア性接着剤の成分として含まれてもよく、ガスバリア性接着剤以外の成分として含まれてもよい。
【0045】
ガスバリア性接着剤は、有機溶剤を含む接着剤でも、有機溶剤を含まない接着剤でもよいが、環境負荷を低減する観点から、有機溶剤を含まない接着剤(無溶剤型接着剤)であることが好ましい。
【0046】
接着層20の厚さは特に制限されず、例えば1μm以上であってよい。接着層20の厚さを2μm以上とすることで、十分な接着強度を得ることができる。接着層20の厚さは2μm以上であってもよい。接着層20の厚さは50μm以下であってよく、5μm以下であってもよく、3μm以下であってもよい。
【0047】
(シーラント層)
シーラント層30は、500MPa未満の引張弾性率を有する第2ポリエチレンフィルムである。第2ポリエチレンフィルムはポリエチレン系樹脂を含む。ポリエチレン系樹脂としては、基材層10で用いられるポリエチレン系樹脂と同様のものを用いることができる。ポリエチレン系樹脂としては、直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。
【0048】
シーラント層30の引張弾性率は、500MPa未満であればよいが、積層体100の耐衝撃性をより向上させる観点からは、400MPa以下であることが好ましく、300MPa以下であることがより好ましい。
【0049】
シーラント層30の引張弾性率は50MPa以上であってよく、100MPa以上であってもよい。シーラント層30の引張弾性率が150MPa以上であると、シーラント層30の引張弾性率が150MPa未満である場合はフィルムとしての成膜適正およびフィルム加工におけるハンドリングが悪く、生産性が低くなる。
【0050】
シーラント層30の結晶化度は特に制限されるものではないが、20%以下でよく、15%以下であってもよく、13%以下であってもよい。シーラント層30の結晶化度が20%以下であると、シーラント層30の結晶化度が20%より大きい場合に比べて、シーラント層30がより柔軟性に優れ、より高い衝撃吸収性を有する。このため、積層体100は、より優れた耐衝撃性を有することが可能となる。
なお、シーラント層30が複数の層の積層体である場合には、シーラント層30の結晶化度は、最表面の層の結晶化度とする。
シーラント層30の結晶化度は、基材層10の結晶化度と同様にして求められる。
また、シーラント層30の結晶化度は、基材層10の結晶化度と同様にして調整することが可能である。
【0051】
シーラント層30は、基材層10の融点よりも低い融点を有することが好ましい。この場合、積層体100のヒートシール時に、基材層10の溶融を抑制しながらシーラント層30を熱融着させることが可能となる。また、積層体100を加熱することで、基材層10及びシーラント層30を容易に分離することができ、基材層10及びシーラント層30の各々についてマテリアルリサイクルを容易に行うことができる。
【0052】
シーラント層30は、必要に応じて、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤、静電防止剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
【0053】
シーラント層30の厚さは、特に制限されるものではなく、積層体100の用途などによって適宜調整される。シーラント層30の厚さは、例えば10μm以上、25μm以上、30μm以上、40μm以上又は50μm以上でよい。また、シーラント層30の厚さは、200μm以下、180μm以下、160μm以下、150μm以下、120μm以下又は100μm以下であってよい。
【0054】
(積層体)
積層体100の30℃、70RH%における酸素透過度は特に制限されるものではないが、200cc/m・day・atm以下であることが好ましい。
この場合、30℃、70RH%における酸素透過度が200cc/m・day・atmを超える場合に比べて、当該積層体100を用いて包装袋を作製し、包装袋内に内容物を収容して包装物品を作製した場合に酸素による内容物の劣化を効果的に抑制することができる。
【0055】
積層体100の30℃、70RH%における酸素透過度は、より好ましくは100cc/m・day・atm以下であり、特に好ましくは50cc/m・day・atm以下である。
【0056】
積層体100において、基材層10及びシーラント層30はいずれもポリエチレン系樹脂を含む。この場合、積層体100全体に占めるポリエチレン系樹脂の割合は特に制限されるものではないが、90質量%以上であることが好ましい。積層体100全体に占めるポリエチレン系樹脂の割合を90質量%以上とすることにより、積層体100がより高いリサイクル性を有することが可能となる。
積層体100全体に占めるポリエチレン系樹脂の割合は、より好ましくは75質量%以上であり、特に好ましくは90質量%である。
【0057】
<包装物品>
次に、本開示の包装物品の実施形態について図2を参照して説明する。図2は、本開示の包装物品の一実施形態を示す断面図である。
【0058】
図2に示すように、包装物品500は、包装袋400と、包装袋400内に収容される内容物Cとを備える。包装袋400は、一対の積層体100を用いて得られる。包装袋400は、例えば一対の積層体100のシーラント層30同士を向き合わせ、周縁部を接着させることにより得られる。包装袋400は、内容物Cを収容する収容部と、収容部の周囲に設けられる接着部とで構成されている。接着部は、対向する積層体100のシーラント層30同士を接着してなる部分であり、収容部は、対向する積層体100のシーラント層30同士を接着していない部分である。
【0059】
包装物品500によれば、衝撃後でもガスバリア性の劣化を抑制できる。このため、酸素等のガスによる内容物Cの劣化が長期間にわたって抑制される。また、内容物Cを排出した後に残る包装袋400は、高いリサイクル性を有することが可能となる。
【0060】
(内容物)
内容物Cは、特に制限されるものではなく包装袋400の用途に応じて適宜選択すればよい。内容物Cは特に制限されるものではなく、内容物Cとしては、例えば食品、シャンプー、リンス、ボディソープ、洗剤などが挙げられる。
【0061】
(包装袋)
包装袋400を構成する一対の積層体100は、互いに同一の構成でもよく、互いに異なる構成を有してもよい。
【0062】
包装袋400は、ハーフカット線を備えてもよく、ハーフカット線の両端又は片端に易開封加工部をさらに備えていてもよい。易開封加工部としては、傷痕群、V字状、U字状又はI字状等のノッチが挙げられる。
【0063】
包装袋400の接着部においては、一対の積層体100のシーラント層30同士がヒートシールにより直接接着されてもよく(図2参照)、接着剤によって互いに接着されてもよい。
【0064】
(包装物品の製造方法)
次に、積層体100を用いて包装物品500を製造する方法について説明する。
【0065】
まず一対の積層体100を準備する。そして、一対の積層体100のシーラント層30同士を対向させ、シーラント層30同士を接着する。このとき、積層体の周縁部の一部を、コの字状をなすように接着させて接着部を形成するとともに、接着されていない部分(未接着部)を形成する。このようにして、未接着部により形成される開口を有する包装袋が得られる。
【0066】
次に、包装袋の開口から内容物Cを充填する。その後、未接着部において積層体100のシーラント層30同士を接着させて、未接着部も接着部とする。このようにして、包装袋400とその中に収容された内容物Cとを備える包装物品500を製造することができる。
【0067】
以上、本開示の好適な実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、本開示の積層体では、図3に示す積層体200のように、基材フィルム60は、基材層10と接着層20との間にガスバリア層50をさらに備えてもよい。基材フィルム60がガスバリア層50をさらに有すると、積層体200のガスバリア性がより向上する。
ガスバリア層50は、例えば水蒸気又は酸素などのガスに対するバリア性を有する。
【0068】
ガスバリア層50は、無機化合物を含む。無機化合物は、金属及び無機酸化物の少なくとも一方を含む。
金属としては、アルミニウム、シリコンなどが挙げられる。無機酸化物としては、酸化アルミニウム及びシリカなどが挙げられる。
ガスバリア層50は、真空蒸着法などによって作製することができる。
【0069】
基材フィルム60は、図3に示すように、例えば基材層10とガスバリア層50との間にさらに印刷層を備えてもよい。印刷層は、印刷層の再溶融時に着色すること、及び臭いが発生することを抑制する観点から、塩素を含まなくてもよい。印刷層は、環境配慮の観点から、バイオマス材料により形成されていてもよい。
【0070】
印刷層は、例えば、ウレタン系、アクリル系、ニトロセルロース系、又はゴム系などのバインダー樹脂に、各種顔料、可塑剤、乾燥剤、及び安定剤などを添加してなるインキを用いて形成される層である。この印刷層によって、文字、絵柄などを表示することができる。
【0071】
インキは、水性インキであっても油性インキであってもよいが、水性インキであることが好ましい。水性インキは、水又はアルコールを溶剤に使用するため、環境負荷をより低減することができる。特に、接着剤が無溶剤型接着剤である場合には、インキとして水性インキを使用すると、環境負荷を大幅に低減することができる。また、インキは、バイオマスインキであってもバイオマスインキでなくてもよいが、環境負荷を低減する観点からは、バイオマスインキであることが好ましい。ここで、バイオマスインキとは、綿、パルプ、米ぬか、植物油、被子植物の種などの生物由来の資源(バイオマス)から得られた成分を含むインキをいう。
【0072】
基材層10とガスバリア層50とは、図3に示すように、接着層40によって接着されてもよいが、基材層10とガスバリア層50とが直接接着されてもよい。
【0073】
さらに、図2に示す包装物品500において、包装袋400は一対の積層体100を用いて形成されているが、積層体100に代えて積層体200を用いてもよい。また、包装袋は、一枚の積層体100,200を、シーラント層30を内側にして折り畳み、重なり合う周縁部同士を接着させて製造してもよい。
【0074】
図2に示す包装物品500において、包装袋400の形状は、スタンディングパウチ形状の包装袋、二方袋、三方袋、四方袋、合掌袋又はガゼット袋でもよい。包装袋400は、口栓、又は帯状の突起部と帯状の溝部が嵌合することによって繰り返し密封することが可能な合成樹脂製のファスナーを備えていてもよい。
【0075】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示の概要は以下のとおりである。
[1]基材層を含む基材フィルム、接着層、及びシーラント層を備え、前記基材層が、500MPaより大きい引張弾性率を有する第1ポリエチレンフィルムであり、前記シーラント層が、500MPa未満の引張弾性率を有する第2ポリエチレンフィルムであり、前記接着層が、前記基材フィルムの表面にガスバリア性接着剤を塗工して形成される層である、積層体。
[2]前記シーラント層の引張弾性率に対する前記基材層の引張弾性率の比R1が2以上である、[1]に記載の積層体。
[3]前記基材層の結晶化度が35%より大きい、[1]又は[2]に記載の積層体。
[4]30℃、70RH%における酸素透過度が200cc/m・day・atm以下である、[1]~[3]のいずれかに記載の積層体。
[5]前記シーラント層の厚みに対する前記基材層の厚みの比が0.1~1.0である、[1]~[4]のいずれかに記載の積層体。
[6]前記基材フィルムが、前記基材層と前記接着層との間にガスバリア層をさらに備える、[1]~[5]のいずれかに記載の積層体。
[7]前記積層体全体に占めるポリエチレン系樹脂の含有率が90質量%以上である、[1]~[6]のいずれかに記載の積層体。
[8]スタンディングパウチ、二方袋、三方袋、四方袋、合掌袋又はガゼット袋に用いられる、[1]~[7]のいずれかに記載の積層体。
[9][1]~[8]のいずれかに記載の積層体を用いて得られる包装袋。
[10][9]に記載の包装袋と、前記包装袋内に収容される内容物とを備える、包装物品。
【実施例0076】
本開示を以下の実施例によりさらに具体的に説明するが、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0077】
(実施例1)
先ず、基材層として、厚さが30μm、引張弾性率が900MPa、結晶化度が23.2%、密度が0.947g/cmの高密度ポリエチレンからなる第1ポリエチレンフィルムを準備した。
次に、基材層の一方の面に、電子線加熱方式による真空蒸着装置により、無機化合物層として、厚さ30nmの酸化ケイ素(SiOx)蒸着膜を形成した。こうして基材フィルムを得た。
次に、基材フィルムの無機化合物層の表面上にガスバリア性接着剤を塗工し、乾燥させて厚さ2μmの接着層を形成した。このとき、ガスバリア性接着剤としては、酢酸エチルとメタノールとを質量比1:1で混合した溶媒23質量部に、三菱ガス化学株式会社製の「マクシーブC93T」16質量部と、三菱ガス化学株式会社製の「マクシーブM-100」5質量部とを混合した接着剤を用いた。そして、この接着層を介して、シーラント層として、厚さが100μm、引張弾性率が250MPaの直鎖状低密度ポリエチレンからなる第2ポリエチレンフィルムを基材層へ貼り合せた。
こうして積層体を作製した。
【0078】
(実施例2)
基材層として、厚さが25μm、引張弾性率が2000MPa、結晶化度が71.8%、密度が0.96g/cmである高密度ポリエチレンからなる第1ポリエチレンフィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にして積層体を作製した。
【0079】
(比較例1)
シーラント層として、厚さが30μm、引張弾性率が900MPa、結晶化度が23.2%、密度が0.947g/cmの高密度ポリエチレンからなる第2ポリエチレンフィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にして積層体を作製した。
【0080】
(比較例2)
基材層として、厚さが100μm、引張弾性率が250MPa直鎖状低密度ポリエチレンからなる第1ポリエチレンフィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にして積層体を作製した。
【0081】
<引張弾性率>
第1ポリエチレンフィルム及び第2ポリエチレンフィルム(以下、「ポリエチレンフィルム」ともいう)の引張弾性率は以下のようにして求めた。
すなわち、まずポリエチレンフィルムから、全長200mm、幅15mmの短冊状の部分を切り出して試験片とした。
上記のようにして準備した試験片を3本用意し、各試験片についての引張弾性率を以下のようにして求めた。
すなわち、試験片の両端をそれぞれ、引張試験機(JIS K7127に準ずる試験装置)の固定つかみ具と可動つかみ具に、つかみ具間距離が150mmとなるように取り付け、可動つかみ具を引張り速度50mm/分で移動させ、引張比例限度内における引張応力とこれに対応する歪みの比の値を引張弾性率として算出した。
そして、3つの試験片について算出した引張弾性率の相加平均値をポリエチレンフィルムの引張弾性率として求めた。結果は表1に示すとおりである。
また、第2ポリエチレンフィルムの引張弾性率Bに対する第1ポリエチレンフィルムの引張弾性率Aの比R1(=A/B)も求めた。結果を表1に示す。
【0082】
<衝撃後の積層体のガスバリア性>
(1)包装物品の準備
実施例及び比較例の積層体から、400mm×300mmの大きさの四角形状のシートを切り出し、半分に折り曲げ、重なり合う周縁部をヒートシールして包装袋を準備した。このとき、包装袋には、内容物を入れるための開口部が形成されるようにした。包装袋の寸法は200mm×300mmであった。次に、各包装袋に、開口部から水道水を1200mL充填した後、開口部を封止した。こうして包装物品を準備した。
(2)落袋試験
落袋試験は、上記のようにして得られた包装物品について、5℃の環境下で1日保管した後、1mの高さから10回落下させることにより行った。
(3)酸素透過度
落袋試験後の包装物品からそれぞれ、100mm×100mmの試験片を採取し、これらの試験片について酸素透過度測定装置(製品名「OX-TRAN2/20」、MOCON社製)を用い、温度30℃、相対湿度(RH)70%の条件で酸素透過度(単位:cc/m・day・atm)を測定した。このとき、酸素透過度の測定は、JIS K-7126-2に準拠して行った。そして、これらの試験片の酸素透過度の相加平均値を衝撃後の積層体の酸素透過度として算出した。結果を表1に示す。
【0083】
【表1】
【0084】
表1に示す結果より、実施例1~2の積層体は、比較例1~2の積層体に比べて、落袋試験後の酸素透過度が十分に低い値であった。
以上のことから、本開示の積層体によれば、衝撃後でもガスバリア性の劣化を抑制できることが確認された。
【符号の説明】
【0085】
10…基材層、20…接着層、30…シーラント層、50…ガスバリア層、60…基材フィルム、100、200…積層体、400…包装袋、500…包装物品、C…内容物。
図1
図2
図3