IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社タカゾノの特許一覧

<>
  • 特開-包装装置 図1
  • 特開-包装装置 図2
  • 特開-包装装置 図3
  • 特開-包装装置 図4
  • 特開-包装装置 図5
  • 特開-包装装置 図6
  • 特開-包装装置 図7
  • 特開-包装装置 図8
  • 特開-包装装置 図9
  • 特開-包装装置 図10
  • 特開-包装装置 図11
  • 特開-包装装置 図12
  • 特開-包装装置 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162842
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】包装装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 41/16 20060101AFI20241114BHJP
   B65H 23/16 20060101ALI20241114BHJP
   B65H 19/10 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
B65B41/16 501A
B65H23/16
B65H19/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078771
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】593129342
【氏名又は名称】株式会社タカゾノ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩川 明弘
(72)【発明者】
【氏名】山林 尚史
【テーマコード(参考)】
3F064
3F104
【Fターム(参考)】
3F064BA16
3F104EA03
3F104EA10
3F104EA18
(57)【要約】
【課題】紙通し作業を容易に行なうことができる包装装置を提供する。
【解決手段】包装装置は、長尺シート状の包材21が巻回された包材ロール2から巻き出された包材21を用いて包装対象物を包装する包装部と、包材21が巻き掛けられた状態で可動範囲を往復移動可能なダンサーローラ11Aと、を備えている。ダンサーローラ11Aは、ダンサーローラ11Aが往復移動する方向のうちの一方の方向である付勢方向に付勢されている。包装装置は、付勢方向の下流端においてダンサーローラ11Aをロックするロック部をさらに備えている。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺シート状の包材が巻回された巻回体から巻き出された前記包材を用いて包装対象物を包装する包装部と、
前記包材が巻き掛けられた状態で可動範囲を往復移動可能な変位部材とを備え、
前記変位部材は、前記変位部材が往復移動する方向のうちの一方の方向である付勢方向に付勢されており、
前記付勢方向の下流端において前記変位部材をロックするロック部をさらに備える、包装装置。
【請求項2】
前記包材が前記巻回体に巻き取られるときに前記変位部材に作用する前記包材の張力が、前記ロック部による前記変位部材のロックを解除する、請求項1に記載の包装装置。
【請求項3】
前記ロック部は、磁石を有し、
前記変位部材は、前記磁石の磁力によりロックされる、請求項1または請求項2に記載の包装装置。
【請求項4】
前記可動範囲は、上下方向に延びる、請求項1または請求項2に記載の包装装置。
【請求項5】
前記変位部材は、重力により鉛直方向下向きに付勢されている、請求項4に記載の包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2005-53538号公報(特許文献1)には、下向きに移送される2枚の連続用紙を重ね合わせてヒートシールして薬剤収納室を形成し、この薬剤収納室にホッパーから薬剤を投入して密閉する薬剤包装装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-53538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
包装装置を用いた包装対象物の包装作業を開始するとき、包材の残量がなくなったとき、包装作業中に包材が切れる紙切れが生じたときなど、新たな包材を包装装置の内部に通す紙通し作業をすることがある。包装装置では、紙通し作業を容易に行なえることが求められている。
【0005】
本開示では、紙通し作業を容易に行なうことができる、包装装置が提案される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示にかかる包装装置は、長尺シート状の包材が巻回された巻回体から巻き出された包材を用いて包装対象物を包装する包装部と、包材が巻き掛けられた状態で可動範囲を往復移動可能な変位部材と、を備えている。変位部材は、変位部材が往復移動する方向のうちの一方の方向である付勢方向に付勢されている。包装装置は、付勢方向の下流端において変位部材をロックするロック部をさらに備えている。
【0007】
上記の包装装置において、包材が巻回体に巻き取られるときに変位部材に作用する包材の張力が、ロック部による変位部材のロックを解除してもよい。
【0008】
上記の包装装置において、ロック部は、磁石を有し、変位部材は、磁石の磁力によりロックされてもよい。
【0009】
上記の包装装置において、可動範囲は、上下方向に延びていてもよい。
上記の包装装置において、変位部材は、重力により鉛直方向下向きに付勢されていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本開示の包装装置によると、紙通し作業を容易に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る包装装置の概略構成図である。
図2】ガイドローラの斜視図である。
図3】紙通し作業における、包材をガイドローラに通した状態を上方から見た模式図である。
図4】ガイドローラに沿って包材を移動させた状態を上方から見た模式図である。
図5】張力付与部付近を拡大して示す正面図である。
図6】張力付与部を後方下側から見た斜視図である。
図7】包材を交換するときのダンサーローラの配置を示す模式図である。
図8図7に示される状態での張力付与部を後方から見た模式図である。
図9】紙通し作業中のダンサーローラの配置を示す模式図である。
図10】紙通し作業完了後のダンサーローラの配置を示す模式図である。
図11図10に示される状態での張力付与部を後方から見た模式図である。
図12】側方カバー部の構成を示す斜視図である。
図13】開閉カバーを取り外した状態を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態について図に基づいて説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。実施形態から任意の構成が抽出され、それらが任意に組み合わされることも、当初から予定されている。
【0013】
[全体構成]
図1は実施形態に係る包装装置1の概略構成図である。
【0014】
包装装置1は、包装対象物を包装するために用いられる。包装対象物は、薬剤であり、具体的には固形の薬剤である。固形の薬剤としては、散剤、顆粒剤、錠剤、丸剤およびカプセル剤などが挙げられる。包装対象物は、固形の薬剤に限られない。包装対象物は、半固形の薬剤であってもよく、または、液状の薬剤であってもよい。
【0015】
包装装置1は、処方箋に基づいて薬剤を包装するための薬剤包装装置である。処方箋は、医師が患者に交付するものである。処方箋には、患者情報および薬剤情報が記載されている。患者情報は、患者の氏名および年齢を含む。薬剤情報は、薬名、分量、用法および用量を含む。このような処方箋に基づいて薬剤を1回の服用分ずつ包装するために、包装装置1が用いられる。
【0016】
包装装置1に、包材ロール2,3が取り付けられる。包材ロール2は、包材21がロール状に巻回されたものである。包材21は、包材ロール2から送り出される。包材ロール3は、包材31がロール状に巻回されたものである。包材31は、包材ロール3から送り出される。包材ロール2,3は、包材21,31が巻回された「巻回体」の一例に対応する。
【0017】
包装装置1は、包材ロール2から巻き出される包材21と、包材ロール3から巻き出される包材31とをヒートシールすることにより合体させて、薬剤が収容された分包袋19を形成する。包材21,31は、長尺シート状である。包装装置1は、包材搬送部9を備えている。包材搬送部9は、包材21,31に駆動力を作用し、包材21,31を搬送する。包材21,31は、その長手方向に搬送される。図1中の矢印は、包材21,31の搬送方向DRを示す。
【0018】
包材21の搬送方向DRの上流(包材ロール2に近い側)から下流(包材ロール2から離れる側)に向けて順に、ダンサーローラ11A、ガイドローラ12A,13Aが設けられている。ダンサーローラ11Aおよびガイドローラ12A,13Aは、搬送される包材21を案内するとともに、包材21に一定の張力を作用する機能を有している。包材31の搬送方向DRの上流(包材ロール3に近い側)から下流(包材ロール3から離れる側)に向けて順に、ダンサーローラ11B、ガイドローラ12B,13Bが設けられている。ダンサーローラ11Bおよびガイドローラ12B,13Bは、搬送される包材31を案内するとともに、包材31に一定の張力を作用する機能を有している。
【0019】
包装装置1は、包装部5を備えている。包装部5は、薬剤供給部6と、収容部形成部7と、ミシン目形成部8とを備えている。
【0020】
薬剤供給部6は、包材搬送部9によって搬送される包材21,31の間に、薬剤を供給する。図示しないホッパの先端が包材21と包材31との間に配置され、ホッパの先端から薬剤が包材21と包材31との間に投入される。薬剤は、処方箋に基づいて1回の服用分ずつ供給される。
【0021】
収容部形成部7は、包材搬送部9によって搬送される包材21,31を用いて、分包袋19を形成する。分包袋19には、薬剤が収容される。収容部形成部7は、包材21と包材31とを重ね合わせた状態で熱融着して、薬剤供給部6から供給される薬剤を1回服用分ごとに個包装化し、薬剤が内部に収容された包装物である分包袋19を形成する。
【0022】
ミシン目形成部8は、収容部形成部7に設けられている。ミシン目形成部8は、包材搬送部9によって搬送される包材21,31に、搬送方向DRに直交する方向に延びるミシン目を形成する。ミシン目は、複数の細孔が包材21,31の短手方向に連続して並んだものである。ミシン目は、包材21,31の長手方向において隣り合う分包袋19を仕切る位置に形成される。ミシン目に沿って包材21,31を切り裂くことで、隣り合う分包袋19が容易に分離される。
【0023】
包装装置1は、印刷部4をさらに備えている。印刷部4は、包材ロール3から巻き出され包材搬送部9によって搬送される包材31に、所定の情報を印刷する。所定の情報は、薬剤に関連する情報である。印刷部4は、包材31の搬送方向において、包装部5の上流に配置されている。印刷部4は、収容部形成部7による包材21,31の熱融着に先駆けて、薬剤に関連する情報を包材31に印刷する。薬剤に関する情報としては、患者名、服用時期、薬剤名および量(数量、重量)などが挙げられる。
【0024】
包装装置1は、線引き装置10をさらに備えている。線引き装置10は、搬送される包材21に、包材21の搬送方向DRに延びる線を引くために使用される。線引き装置10は、包材21に、複数色の線を印字可能である。印刷部4によって包材31に印刷される薬剤に関連する情報に対応させて、線引き装置10が包材21に特定の色の線を引くことができる。たとえば線引き装置10は、服用時期に応じて赤、黒、青、緑などのそれぞれ異なる色の線を引くことができる。
【0025】
包装装置1は、側方カバー部71,72と、上方カバー部81,82とをさらに備えている。側方カバー部71は、ダンサーローラ11Aとガイドローラ12Aとの間の包材21の経路を、側方から覆っている。側方カバー部72は、ダンサーローラ11Bとガイドローラ12Bとの間の包材31の経路を、側方から覆っている。上方カバー部81は、ガイドローラ12Aとガイドローラ13Aとの間の包材21の経路を、上方から覆っている。上方カバー部82は、ガイドローラ12Bとガイドローラ13Bとの間の包材31の経路を、上方から覆っている。
【0026】
[ガイドローラ]
図2は、ガイドローラ12A,12B,13A,13Bの斜視図である。図2および後続の図3,4を参照して、ガイドローラ12A,12B,13A,13Bの詳細について説明する。
【0027】
ガイドローラ12A,12B,13A,13Bは、全体として細長い略棒状の形状を有している。ガイドローラ12A,12B,13A,13Bは、一方の端部である基端41と、他方の端部である先端42とを有している。ガイドローラ12A,12B,13A,13Bは、基端41において、包装装置1の本体に取り付けられる。ガイドローラ12A,12B,13A,13Bは、包装装置1の前後方向に延びるように配置される。基端41が前後方向における後端を構成し、先端42が前後方向における前端を構成する。先端42は、曲面形状を有している。典型的には先端42は、球面の一部形状を有している。
【0028】
ガイドローラ12A,12B,13A,13Bは、包材通過部43と、仮置き部44とを有している。
【0029】
包材通過部43は、包材搬送部9によって搬送される包材21,31が通過する、ガイドローラ12A,12B,13A,13Bの一部分である。包材通過部43は、ガイドローラ12A,12B,13A,13Bの基端41側の部分を構成している。
【0030】
仮置き部44は、包材21,31を包材通過部43に通す紙通し作業中に包材21,31を仮置きできる、ガイドローラ12A,12B,13A,13Bの一部分である。仮置き部44は、ガイドローラ12A,12B,13A,13Bの先端42側の部分を構成している。
【0031】
包装装置1の前後方向において、後側に包材通過部43が配置されており、前側に仮置き部44が配置されている。仮置き部44の少なくとも一部が、図1に示される印刷部4および線引き装置10よりも、前方に配置されている。紙通し作業を行なう作業者は、前側から包装装置1にアクセスする。したがって作業者は、包材通過部43へのアクセスよりも仮置き部44へのアクセスがより容易とされている。
【0032】
包材通過部43は、円筒状の外形を有している。仮置き部44は、包材通過部43と同心の、円筒状の外形を有している。図2に示される中心線Lは、包材通過部43および仮置き部44のなす円筒形状の中心線である。
【0033】
仮置き部44は、包材通過部43よりも大径に形成されている。仮置き部44の外周面と包材通過部43の外周面とは、先端42側から基端41側へ向かうに従って径が小さくなるテーパ面で接続されている。テーパ面を介して、仮置き部44の外周面と包材通過部43の外周面との段差が、滑らかに接続されている。
【0034】
包材通過部43は、回転自在に構成されている。中心線Lは、包材通過部43の回転中心である。仮置き部44もまた、回転自在に構成されている。中心線Lは、仮置き部44の回転中心である。包材通過部43と仮置き部44とは、一体に回転可能に構成されている。包材通過部43と仮置き部44とは、一体の部材として成形されてもよく、この場合ガイドローラ12A,12B,13A,13Bを容易に製造できる。または、包材通過部43とは別の部材として仮置き部44を成形した後に、仮置き部44を包材通過部43に取り付けてもよい。包材通過部43と仮置き部44とは、相対移動不能に固定されていてもよい。または、包材通過部43と仮置き部44とは、互いに相対回転可能に連結されていてもよい。
【0035】
図3は、紙通し作業における、包材21をガイドローラ12A,13Aに仮置きした状態を上方から見た模式図である。紙通し作業を行なう作業者は、包材ロール2から包材21を引き出して、ダンサーローラ11A、ガイドローラ12Aおよびガイドローラ13Aに、順に包材21を回し掛ける。
【0036】
ガイドローラ12Aとガイドローラ13Aとの間の包材21の経路の上方に、線引き装置10が配置されている。ガイドローラ12A,13Aが仮置き部44を有しており、従来よりもガイドローラ12A,13Aが長手方向に延長されているので、仮置き部44の少なくとも一部が、線引き装置10よりも手前側(図3,4においては図中の下側)に突き出している。紙通し作業の妨げとなる線引き装置10を回避して、線引き装置10よりも前側でガイドローラ12A,13A(仮置き部44)に包材21を仮置きすることが可能とされている。これにより、紙通し作業の作業性が向上されている。
【0037】
ガイドローラ12A,13Aを長手方向に延長した延長部が仮置き部44を構成しているので、部品点数の増加も最小にでき、コスト最小で紙通し性を向上することができる。
【0038】
仮置き部44が回転自在に構成されているので、包材ロール2から引き出されてダンサーローラ11Aおよびガイドローラ12Aで2回折り返された包材21を、軽い負荷で引くことができる。紙通し作業中に包材21に負荷がかかりガイドローラ12A,13Aから外れたり、包材21が切れたりする不具合を、確実に抑制することができる。
【0039】
図4は、ガイドローラ12A,13Aに沿って包材21を移動させた状態を上方から見た模式図である。図3に示される、ガイドローラ12A,13Aの仮置き部44に包材21を仮置きした状態から、仮置きされた包材21をガイドローラ12A,13Aに沿って包装装置1の奥側(後側。図3,4においては図中の上側)にスライド移動させる。図4中の白抜き矢印は、包材21のスライド移動の方向を示す。このようにして、図4に示されるように、包装対象物を包装するときに搬送される包材21が通過する包材通過部43に包材21を移動させて、紙通し作業を完了することができる。
【0040】
仮置き部44が包材通過部43よりも大径に形成されているので、包材21をスライドさせて包材通過部43に位置合わせすることが容易になる。包材21が包材通過部43に収まった後に、包材通過部43から包材21がずれることが抑制されている。包材通過部43から包材21が前側にずれたとしても、ずれた包材21は仮置き部44で支持されるので、ガイドローラ12A,13Aから包材21が外れることを抑制することができる。
【0041】
図3,4を参照して包材21の紙通し作業について説明したが、包材31の紙通し作業時にも、紙通し作業の妨げとなる印刷部4を回避して印刷部4よりも前側でガイドローラ12B,13B(仮置き部44)に包材31を仮置きすることができ、包材31を奥側にスライドさせて包材通過部43に包材31を配置することができる。これにより、紙通し作業の作業性を向上できる効果を、同様に得ることができる。
【0042】
[ダンサーローラのロック]
図5は、張力付与部51付近を拡大して示す正面図である。包材ロール2は、被装着部50に装着されている。被装着部50は、包装装置1の前後方向(図5においては紙面垂直方向)に延びている。被装着部50は、包装装置1の本体から、包装装置1の前方に突き出している。包材ロール2は、被装着部50に対して相対回転不能に、被装着部50に取り付けられる。図示しない巻出巻取モータの回転駆動力が被装着部50に伝達されて、被装着部50が回転する。被装着部50と一体に包材ロール2が回転することにより、包材ロール2から包材21が巻き出されたり、包材21が包材ロール2へ巻き取られたりする。
【0043】
張力付与部51は、図1にも示されるダンサーローラ11Aを含んで構成されている。包材21は、ダンサーローラ11Aに巻き掛けられる。包材ロール2から巻き出された包材21をダンサーローラ11Aが押圧することで、張力付与部51は包材21に張力を付与する。図6は、張力付与部51を後方下側から見た斜視図である。張力付与部51は、スライダー52と支持部54とをさらに含んでいる。
【0044】
支持部54は、上板55と、下板56と、前板57とを有している。支持部54の少なくとも下板56は、磁性体材料で形成されている。典型的には、支持部54は鉄鋼材料で形成されている。前板57に、上下方向に延びる案内孔58が形成されている。ダンサーローラ11Aは、案内孔58に沿って、上下方向に移動する。ダンサーローラ11Aは、包材ロール2に対して相対移動する。ダンサーローラ11Aは、包装部5および包材搬送部9に対して相対移動する。
【0045】
案内孔58は、ダンサーローラ11Aが往復移動可能な可動範囲を規定する。ダンサーローラ11Aの可動範囲は、上下方向に延びている。ダンサーローラ11Aは、包材21が巻き掛けられた状態で上下方向に往復移動可能であり、重力により鉛直方向下向きに付勢されている。ダンサーローラ11Aは、ダンサーローラ11Aが往復移動する方向(上下方向)のうちの一方の方向(下方向)に付勢されている。ダンサーローラ11Aは、「変位部材」の一例に対応する。鉛直方向下向きの方向は、「付勢方向」の一例に対応する。案内孔58の最下端が、「付勢方向の下流端」の一例に対応する。
【0046】
スライド棒59は、上下方向に延びている。スライド棒59は、上板55に支持されている上端と、下板56に支持されている下端とを有している。スライド棒59は、スライダー52を、上下方向に移動可能に支持している。スライダー52は、スライド棒59に沿って、上下方向に往復移動可能である。
【0047】
ダンサーローラ11Aは、支持部54の前板57よりも前側に配置されている。スライダー52は、前板57よりも後側に配置されている。スライダー52とダンサーローラ11Aとは、連結部53によって連結されている。連結部53は、案内孔58を貫通して配置されている。スライダー52は、連結部53を介して、ダンサーローラ11Aを支持し、ダンサーローラ11Aと一体に上下方向に移動可能である。
【0048】
スライダー52の下面に、磁石60が固定されている。磁石60は、たとえば永久磁石である。磁石60は、スライダー52およびダンサーローラ11Aと一体に、上下方向に移動可能である。磁石60は、支持部54の下板56の上方に配置されている。磁石60は、下板56と上下方向に向き合うように配置されている。
【0049】
図7は、包材21を交換するときのダンサーローラ11Aの配置を示す模式図である。図8は、図7に示される状態での張力付与部51を後方から見た模式図である。ダンサーローラ11Aに包材21が巻き掛けられておらず、ダンサーローラ11Aに包材21の張力が作用しない状態では、ダンサーローラ11Aは、自重で下方向に付勢されることで、案内孔58の最下端に移動する。
【0050】
この状態で、磁石60が支持部54の下板56に接触する。磁石60は、磁力によって下板56に付着する。磁石60の磁力により、ダンサーローラ11Aは、案内孔58の最下端にロックされる。磁石60と、磁性体である下板56とは、案内孔58の最下端でダンサーローラ11Aをロックする「ロック部」の一例に対応する。
【0051】
ダンサーローラ11Aが自重で下方向に付勢されており、包材21がダンサーローラ11Aに巻き掛けられていない状態で、ダンサーローラ11Aの自重の作用でダンサーローラ11Aは下方へ移動する。ダンサーローラ11Aが案内孔58の最下端に到達し、その位置でダンサーローラ11Aが磁石60の磁力でロックされる。そのため、ダンサーローラ11Aを手動でロックしなくてもよい。ダンサーローラ11Aのロックのための構成を簡素化できるので、包装装置1を安価な構成にできる。
【0052】
図9は、紙通し作業中のダンサーローラ11Aの配置を示す模式図である。紙通し作業を行なう作業者は、包材ロール2から包材21を引き出して、ダンサーローラ11Aに包材21を巻き掛け、さらに包材21を引き出して、ガイドローラ12A,13Aに順に包材21を巻き掛ける。包材21が引き出されることで、包材ロール2は、図9中の曲線矢印で示される回転方向R1に回転する。図9では、包材ロール2は、反時計回り方向に回転する。このときには巻出巻取モータは駆動しておらず、被装着部50に巻出巻取モータの回転駆動力は伝達されない。
【0053】
紙通し作業中に作業者が包材21を引き出すことにより、ダンサーローラ11Aに包材21の張力が作用する。このときにダンサーローラ11Aに作用する張力の鉛直方向上向きの成分よりも、磁石60の磁力が大きいように、磁石60は選定されている。そのため、紙通し作業中には、磁力によるダンサーローラ11Aのロックは解除されない。紙通し作業中には、ダンサーローラ11Aは、案内孔58の最下端に位置したままとされる。
【0054】
紙通し作業中にダンサーローラ11Aのロックが保持されているので、包材ロール2から引き出した包材21にダンサーローラ11Aが作用する張力を低減できる。包材21を引き出す作業者がダンサーローラ11Aの張力を重く感じることを抑制できるとともに、包材21が引き戻されることを抑制でき、紙通し作業の作業性を向上することができる。作業者が包材21を引き出す力で包材ロール2は容易に回転するので、作業者が負荷を感じることがより確実に抑制されている。
【0055】
図10は、紙通し作業完了後のダンサーローラ11Aの配置を示す模式図である。図11は、図10に示される状態での張力付与部51を後方から見た模式図である。
【0056】
包装装置1による包装対象物の包装作業中、包材21は、包材搬送部9によって間欠的に搬送される。包材搬送部9による包材21の搬送が実行されている間、包材ロール2は停止しており、包材21が包材ロール2から巻き出されることはない。包材搬送部9が分包袋19の1つ分の長さだけ包材21を搬送することにより、包材ロール2から包材搬送部9へ至るまでの搬送方向DRにおける包材21の長さが、1つの分包袋19の長さ分短くなる。この包材21の長さの変化を、ダンサーローラ11Aを上方向に移動させることにより、調整している。この調整により、包材21に所定の張力が付与された状態を一定に維持しつつ、包材21を搬送することができる。
【0057】
包材21の搬送を停止している間に、収容部形成部7による包材21,31の熱融着、ミシン目形成部8による包材21,31(分包袋19)へのミシン目の形成、および図示しない切断部による分包袋19の切断などの、所定動作が行なわれる。
【0058】
包材21の搬送を停止している間に、巻出巻取モータが駆動される。被装着部50に巻出巻取モータの回転駆動力が伝達されて包材ロール2が回転することにより、包材21が包材ロール2から巻き出される。このとき包材搬送部9による包材21の搬送は停止しているので、包材ロール2から巻き出された包材21は、包材ロール2から包材搬送部9へ至るまでの包材21の長さを元に戻すために用いられる。分包袋19の1つ分の長さだけ包材21が巻き出されると、巻出巻取モータが停止される。包材21が包材ロール2から巻き出されることで、ダンサーローラ11Aは下向きに移動する。
【0059】
このように、包材搬送部9による包材21の搬送と、包材ロール2からの包材21の巻き出しとを交互に繰り返すことにより、包材21に予め定められた張力が付与された状態を維持したまま、包材21を適切に搬送することができる。包材21に張力を付与することにより、包材21の弛みの発生が抑制され、包材21が搬送されるときの包材21のずれおよび皺寄りなどが抑制される。
【0060】
包装装置1による包装対象物の包装が開始されるとき、図10に示されるように、包材ロール2への包材21の巻き取りが実行される。巻出巻取モータが被装着部50に回転駆動力を伝達することにより、包材ロール2は包材21を巻き取る方向(図10中の曲線矢印で示される回転方向R2。図10では時計回り方向)に回転する。
【0061】
包材21が包材ロール2に巻き取られるときにダンサーローラ11Aに作用する包材21の張力が、ダンサーローラ11Aに鉛直方向上向きの力を作用する。ダンサーローラ11Aに作用する包材21の張力が、磁石60の磁力よりも大きくなるように、磁石60および巻出巻取モータが設計されている。そのため、包材21の張力によって、磁力によるダンサーローラ11Aのロックが解除される。ダンサーローラ11Aと一体に、スライダー52および磁石60が上方に移動する。図11に示されるように、磁石60は支持部54の下板56から離れて、磁石60と下板56との間に隙間が形成される。磁石60の磁力が、ダンサーローラ11Aの移動を妨げなくなる。ダンサーローラ11Aは、包材21の搬送および巻き出しに伴って、自在に上下移動することが可能になる。
【0062】
包材21を巻き取る動作によってダンサーローラ11Aのロックが解除されるので、ロック解除に専用部材を設けなくてもよくなり、包装装置1を安価な構成にできる。
【0063】
上記の説明においては、ダンサーローラ11Aを上下方向に移動可能とし、ダンサーローラ11Aを自重で鉛直方向下向きに付勢し、ダンサーローラ11Aの可動範囲の最下端でダンサーローラ11Aをロックし、包材21を包材ロール2に巻き取るときの張力でダンサーローラ11Aのロックを解除する例について説明した。このようにすることで包装装置1の構成を簡素化できるので望ましいが、この例に限られるものではない。ダンサーローラ11Aは、どの位置でロックされてもよいし、どのようにロック解除されてもよい。
【0064】
たとえば、ダンサーローラ11Aは、可動範囲の上端でロックされてもよい。ダンサーローラ11Aは、自重でなくばねなどの付勢部材によって付勢されてもよい。ダンサーローラ11Aの移動方向は、上下方向でなくてもよい。ダンサーローラ11Aの移動方向を水平方向とし、その可動範囲の一方の端部に向けて付勢部材がダンサーローラ11Aを付勢して、当該端部をダンサーローラ11Aのロック位置としてもよい。ダンサーローラ11Aをロック位置から移動させてロック解除するための構成を、別に設けてもよい。
【0065】
図5~11を参照してダンサーローラ11Aについて説明したが、包材31に張力を付与するダンサーローラ11Bを、ダンサーローラ11Aと同様の構成とすることで、紙通し作業の作業性を向上でき包装装置1を安価にできる効果を、同様に得ることができる。
【0066】
[包材の防塵]
包材21,31は、分包袋19を形成したときに分包袋19の内面となる面(以下、分包紙内面と称する)と、分包紙内面と反対側の、分包袋19の外面となる面(以下、分包紙外面と称する)とを有している。分包紙内面は、ダンサーローラ11A,11Bとガイドローラ12A,12Bとの間の経路では包装装置1の外側に向いており、ガイドローラ12A,12Bとガイドローラ13A,13Bとの間の経路では上に向いている。
【0067】
包装装置1の停止中などに、飛散性の薬品、ホコリなどの浮遊塵が分包紙内面に付着し、コンタミネーションが発生する可能性がある。特に、ガイドローラ12A,12Bとガイドローラ13A,13Bとの間の横方向の経路においては、分包紙内面が上を向くため、浮遊塵が分包紙内面に積もりやすくなっている。包材21,31を浮遊塵から保護してコンタミネーションの発生を抑制するため、図1に示されるように、実施形態の包装装置1は、側方カバー部71,72と、上方カバー部81,82とを備えている。
【0068】
図12は、側方カバー部72の構成を示す斜視図である。側方カバー部72は、ベース73と、開閉カバー74とを有している。包材31の分包紙外面はベース73に対向しており、包材31の分包紙内面は開閉カバー74に対向している。ベース73は包材31の分包紙外面を覆い、開閉カバー74は包材31の分包紙内面を覆っている。
【0069】
図13は、開閉カバー74を取り外した状態を拡大して示す斜視図である。ベース73の上端部と下端部とに、上下方向に延びる支持軸75が設けられている。開閉カバー74は、支持軸75を中心として、ベース73に対して回転可能である。紙通し作業中に、開閉カバー74を回転させることにより、開閉カバー74を開いて包材31の経路を露出させて、ダンサーローラ11Bとガイドローラ12Bとの間に包材31を容易に通せるようにすることができる。紙通し作業が完了した後に、開閉カバー74を反対方向に回転させることにより、開閉カバー74を閉じて包材31を開閉カバー74で覆って分包紙内面を露出させなくして、分包紙内面への異物の付着を抑制することができる。
【0070】
ベース73は、平面視において角張った平たいC字状の形状を有している。ベース73のC字の内部に、包材31が配置される。包材31の分包紙外面は、ベース73のC字の底部に向いて配置される。包材31の端面は、ベース73のC字の底部の両端から突き出る壁部に向いて配置される。図13に示されるように、ベース73の壁部に、通気穴76が形成されている。通気穴76は、ベース73の壁部に複数形成されている。複数の通気穴76は、上下方向に並んで配置されている。複数の通気穴76は、包材31の搬送方向DRに沿って並んで配置されている。
【0071】
図13に示される破線矢印は、通気穴76から吹き出る空気の流れを示す。通気穴76が空気の吹き出し口とされることにより、エアカーテンが形成される。通気穴76から空気を吹き出すことで、包材31付近を陽圧にし、包材31の分包紙内面に浮遊塵を寄せ付けない構造とすることができる。
【0072】
エアカーテンのみで分包紙内面への異物の付着を防止できる効果が十分に見込める場合には、開閉カバー74を設けなくてもよい。紙通し作業のために開閉カバー74を開閉する作業が不要になるので、紙通し作業をより容易に行なうことが可能になる。
【0073】
通気穴76から吹き出す空気を、予め除湿した空気にすることで、包材31の両面を均一に脱湿して、包材31のカール(湾曲)を抑制することができる。
【0074】
図10を参照して説明したダンサーローラ11Aと同様に、包装対象物の包装作業中に、ダンサーローラ11Bは上下方向に往復移動する。このダンサーローラ11Bの往復移動の経路の下端まで開閉カバー74を下に延ばすことで、包材31の分包紙内面が露出することを抑制できるので、分包紙内面への異物の付着をより確実に抑制することができる。
【0075】
ダンサーローラ11Bおよびガイドローラ12B,13Bは、包材31の分包紙外面に接触し、包材31の分包紙内面には接触しない。包材31の分包紙内面に接触する部材が低減されていることで、分包紙内面の防塵により有利な構成とされている。
【0076】
図12,13を参照して側方カバー部72について説明したが、包材21を側方から覆う側方カバー部71を上述した側方カバー部72と左右対称な構成にすることで、包材21を同様に防塵することができる。包材21,31を上方から覆う上方カバー部81,82の下面に通気穴を形成して、包材21,31の分包紙内面に向けて空気を吹き出してエアカーテンを形成することで、包材21,31を防塵でき分包紙内面への異物の付着を抑制できる効果を、同様に得ることができる。
【0077】
[作用および効果]
上述した説明と一部重複する記載もあるが、実施形態の包装装置1の特徴的な構成および作用効果についてまとめて記載すると、以下の通りである。
【0078】
図1に示されるように、包装部5は、長尺シート状の包材21,31を用いて包装対象物を包装する。包材搬送部9は、包材21,31を、包材21,31の長手方向に搬送する。ガイドローラ12A,13Aは、搬送される包材21を案内する。ガイドローラ12B,13Bは、搬送される包材31を案内する。図2に示されるように、ガイドローラ12A,12B,13A,13Bは、包材通過部43と、仮置き部44とを有している。包材通過部43は、ガイドローラ12A,12B,13A,13Bの基端41側の部分を構成する。包材搬送部9によって搬送される包材21,31が、包材通過部43を通過する。仮置き部44は、ガイドローラ12A,12B,13A,13Bの先端42側の部分を構成する。図3,4に示されるように、包材21,31を包材通過部43に通す紙通し作業中に、包材21,31を仮置き部44に仮置きすることが可能である。
【0079】
包材21,31の紙通し作業中に、作業の妨げとなる印刷部4、線引き装置10などのユニットを回避して、ガイドローラ12A,12B,13A,13Bに包材21,31を仮置きすることができる。紙通し作業中に包材21,31がガイドローラ12A,12B,13A,13Bから外れることを抑制でき、紙通し作業の作業性を向上できる。仮置き部44に仮置きされた包材21,31をガイドローラ12A,12B,13A,13Bに沿ってスライドさせることにより、包材21,31を包材通過部43に容易に位置合わせすることができる。したがって、紙通し作業を容易に行なうことができる。
【0080】
図1~4に示されるように、ガイドローラ12A,12B,13A,13Bは、包装装置1の前後方向に延び、前後方向における前側に仮置き部44が配置されていてもよい。紙通し作業を行なう作業者は、前側から包装装置1にアクセスする。作業者がアクセス容易な位置に仮置き部44を配置することで、紙通し作業のときに包材21,31を仮置き部44に仮置きすることが容易になる。ガイドローラ12A,12B,13A,13Bの包材通過部43に包材21,31を通す作業を、より容易に行なうことができる。
【0081】
図2に示されるように、仮置き部44は包材通過部43よりも大径に形成されていてもよい。径の大きい仮置き部44から径の小さい包材通過部43へ包材21,31をスライドさせて、包材21,31を包材通過部43に容易に配置することができる。包材通過部43から仮置き部44に包材21,31がずれることを、抑制することができる。
【0082】
図2に示されるように、仮置き部44は回転自在に構成されていてもよい。包材21,31を仮置き部44に仮置きした状態で包材21,31をさらに引き出すときに、仮置き部44が回転することで、軽い力で包材21,31を引き出すことができる。したがって、紙通し作業を容易に行なうことができる。
【0083】
図2に示されるように、包材通過部43と仮置き部44とが一体に回転可能に構成されていてもよい。このようなガイドローラ12A,12B,13A,13Bは、容易に製造が可能である。
【0084】
図1に示されるように、包装部5は、長尺シート状の包材21,31が巻回された包材ロール2,3から巻き出された包材21,31を用いて、包装対象物を包装する。図5に示されるように、ダンサーローラ11Aは、包材21が巻き掛けられた状態で可動範囲を往復移動可能である。ダンサーローラ11Aは、ダンサーローラ11Aが往復移動する方向(上下方向)のうちの一方の方向である付勢方向(下方向)に付勢されている。図8に示されるように、磁石60と支持部54の下板56とは、ダンサーローラ11Aの可動範囲の下端において、ダンサーローラ11Aをロックする。
【0085】
図9に示されるように、紙通し作業中に、ダンサーローラ11Aはロックされた状態とされる。これにより、包材ロール2から引き出した包材21にダンサーローラ11Aが作用する張力を低減できる。包材21を引き出す作業者がダンサーローラ11Aの張力を重く感じることを抑制でき、紙通し作業の作業性を向上できる。したがって、紙通し作業を容易に行なうことができる。
【0086】
ダンサーローラ11Aをロックする位置が、ダンサーローラ11Aが付勢されている方向の下流端とされている。そのため、図7に示されるように、包材21の張力がダンサーローラ11Aに作用しなくなると、ダンサーローラ11Aは、自然にロック位置へ移動して、ロック位置でロックされる。ダンサーローラ11Aを手動でロックする必要がなく、ダンサーローラ11Aのロックのための構成を簡素化できるので、安価な包装装置1を実現することができる。
【0087】
図10,11に示されるように、包材21が包材ロール2に巻き取られるときにダンサーローラ11Aに作用する包材21の張力が、ダンサーローラ11Aのロックを解除してもよい。包材21を巻き取る動作によってダンサーローラ11Aのロックが解除されるので、ダンサーローラ11Aのロック解除のための専用部材を設けなくてもよい。包装装置1の構成を簡素化できるので、安価な包装装置1を実現することができる。
【0088】
図8に示されるように、ダンサーローラ11Aは、磁石60の磁力によりロックされてもよい。磁石60と、磁性体とによって、ダンサーローラ11Aをロックするロック部を簡単な構成で実現することができる。
【0089】
図5に示されるように、ダンサーローラ11Aの可動範囲は、上下方向に延びていてもよい。包装装置1の幅方向におけるダンサーローラ11Aの可動範囲を最小にすることで、包装装置1の幅方向の寸法を小さくできるので、包装装置1を設置するために必要な床面積を低減できる。包装装置1の設置位置の選定の自由度が高められ、床スペースを有効に活用することができる。
【0090】
図7に示されるように、ダンサーローラ11Aは、重力により鉛直方向下向きに付勢されていてもよい。ダンサーローラ11Aが自重で付勢される構成とすることで、ダンサーローラ11Aを付勢するための付勢部材を別に設けなくてもよい。包装装置1の構成を簡素化できるので、安価な包装装置1を実現することができる。
【0091】
図1に示されるように、包装装置1は、包材ロール2,3と包装部5との間の包材21,31の経路において、分包袋19を形成したときに分包袋19の内面となる分包紙内面を防塵している。包材21,31の搬送中、または包装装置1の停止中などに、包材21,31の分包紙内面に異物が付着することが抑制される。したがって、コンタミネーションの発生を抑制することができる。
【0092】
図1に示されるように、包材ロール2,3と包装部5との間の包材21,31の経路の一部が、側方カバー部71,72および上方カバー部81,82によって覆われている。側方カバー部71,72および上方カバー部81,82は、分包紙内面を覆い、分包紙内面を防塵する。包材21,31の分包紙内面を覆って分包紙内面を露出させなくすることで、分包紙内面への異物の付着を抑制することができる。
【0093】
図12に示されるように、側方カバー部72は、開閉可能な開閉カバー74を有している。開閉カバー74を開くことで、包材31の経路を露出させて、ダンサーローラ11Bとガイドローラ12Bとの間に包材31を容易に紙通しすることができる。開閉カバー74を閉じることで、包材31を露出させなくして、包材31を防塵することができる。
【0094】
図13に示されるように、側方カバー部72は、空気が吹き出る通気穴76を有している。通気穴76から空気を吹き出してエアカーテンを形成することで、包材31の分包紙内面に浮遊塵を寄せ付けない構造にでき、分包紙内面への異物の付着を抑制することができる。
【0095】
図1,12に示されるように、ダンサーローラ11Bおよびガイドローラ12B,13Bは、包材31の、分包袋19を形成したときに分包袋19の外面となる分包紙外面に接触する。包材31の分包紙内面に接触する部材が低減されているので、分包紙内面をより確実に防塵することができる。
【0096】
[付記]
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
【0097】
(付記1)
長尺シート状の包材が巻回された巻回体から巻き出された前記包材を用いて包装対象物を包装する包装部と、
前記包材が巻き掛けられた状態で可動範囲を往復移動可能な変位部材とを備え、
前記変位部材は、前記変位部材が往復移動する方向のうちの一方の方向である付勢方向に付勢されており、
前記付勢方向の下流端において前記変位部材をロックするロック部をさらに備える、包装装置。
【0098】
(付記2)
前記包材が前記巻回体に巻き取られるときに前記変位部材に作用する前記包材の張力が、前記ロック部による前記変位部材のロックを解除する、付記1に記載の包装装置。
【0099】
(付記3)
前記ロック部は、磁石を有し、
前記変位部材は、前記磁石の磁力によりロックされる、付記1または付記2に記載の包装装置。
【0100】
(付記4)
前記可動範囲は、上下方向に延びる、付記1から付記3のいずれか1つに記載の包装装置。
【0101】
(付記5)
前記変位部材は、重力により鉛直方向下向きに付勢されている、付記4に記載の包装装置。
【0102】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0103】
1 包装装置、2,3 包材ロール、4 印刷部、5 包装部、6 薬剤供給部、7 収容部形成部、8 ミシン目形成部、9 包材搬送部、10 線引き装置、11A,11B ダンサーローラ、12A,12B,13A,13B ガイドローラ、19 分包袋、21,31 包材、41 基端、42 先端、43 包材通過部、44 仮置き部、50 被装着部、51 張力付与部、52 スライダー、53 連結部、54 支持部、55 上板、56 下板、57 前板、58 案内孔、59 スライド棒、60 磁石、71,72 側方カバー部、73 ベース、74 開閉カバー、75 支持軸、76 通気穴、81,82 上方カバー部、DR 搬送方向、L 中心線、R1,R2 回転方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13