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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162851
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】プロテクタ
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20241114BHJP
   H02G 3/30 20060101ALI20241114BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
H02G3/04 087
H02G3/04 037
H02G3/30
B60R16/02 623T
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078787
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】藤高 綾那
(72)【発明者】
【氏名】須藤 博
(72)【発明者】
【氏名】北 幸功
(72)【発明者】
【氏名】菊田 高宗
【テーマコード(参考)】
5G357
5G363
【Fターム(参考)】
5G357DA06
5G357DB03
5G357DD02
5G357DD06
5G357DE03
5G357DE10
5G363AA16
5G363BA02
5G363DA13
5G363DC02
(57)【要約】
【課題】ワイヤハーネスの配置作業性を向上させることを可能としたプロテクタを提供する。
【解決手段】プロテクタ10は、車両の乗員室内に配置されるワイヤハーネス13に取り付けられる。プロテクタ10は、ワイヤハーネス13を収容するワイヤハーネス収容部21と、乗員室における内装部材15に連結される連結部22と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の乗員室内に配置されるワイヤハーネスに取り付けられるプロテクタであって、
前記ワイヤハーネスを収容するワイヤハーネス収容部と、
前記乗員室における内装部材に連結される連結部と、を備える、
プロテクタ。
【請求項2】
前記内装部材は、前記乗員室を形成する床部材に敷かれるフロアマットを含み、
前記連結部は、前記フロアマットの縁部に連結可能に構成されている、
請求項1に記載のプロテクタ。
【請求項3】
前記連結部は、前記フロアマットの縁部を前記フロアマットの厚さ方向に挟持する一対の挟持部を有している、
請求項2に記載のプロテクタ。
【請求項4】
前記内装部材は、前記乗員室を形成する床部材を含み、
前記連結部は、前記床部材に連結可能に構成されている、
請求項1に記載のプロテクタ。
【請求項5】
前記床部材は、前記床部材の表面の一部を形成するフロアカーペットと、前記フロアカーペットの表面上に重なる重なり部を有する床形成部材と、を含み、
前記連結部は、前記重なり部と前記フロアカーペットとの間に挿入されて前記重なり部に連結可能に構成されている、
請求項4に記載のプロテクタ。
【請求項6】
前記連結部は、前記重なり部に引っ掛かる係止部を有している、
請求項5に記載のプロテクタ。
【請求項7】
前記連結部を有するプロテクタ本体と、
前記ワイヤハーネス収容部の一部を形成し、前記プロテクタ本体とは別体をなす別体部材と、を備え、
前記別体部材は、前記ワイヤハーネスが配置される溝部を有し、
前記プロテクタ本体は、前記溝部の開口を塞ぐ蓋部を有している、
請求項1に記載のプロテクタ。
【請求項8】
前記内装部材は、前記乗員室を形成する床部材に敷かれるフロアマットを含み、
前記連結部は、前記蓋部と、前記蓋部と対向する対向部とを含み、
前記連結部は、前記蓋部と前記対向部とによって、前記フロアマットの縁部を前記フロアマットの厚さ方向に挟持可能に構成されている、
請求項7に記載のプロテクタ。
【請求項9】
前記別体部材は、底壁と、前記底壁からそれぞれ延出し、前記プロテクタの幅方向に互いに対向する一対の側壁とを有し、
前記底壁と前記一対の側壁とは、互いが協働して前記溝部を形成しており、
前記溝部の前記開口は、前記一対の側壁の各々における前記底壁とは反対側の端部によって形成されている、
請求項7に記載のプロテクタ。
【請求項10】
前記プロテクタ本体は、前記蓋部からそれぞれ延出し、前記幅方向に互いに対向する一対の外壁部を有し、
前記別体部材が前記一対の外壁部の間に取り付けられた状態において、前記一対の外壁部は、前記幅方向に沿って、前記一対の側壁のそれぞれの外側に位置する、
請求項9に記載のプロテクタ。
【請求項11】
前記一対の外壁部の各々は、前記別体部材を支持する支持部を有している、
請求項10に記載のプロテクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プロテクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車両では、車両に対して電気機器を取り付ける場合、電気機器同士を繋ぐワイヤハーネスを、車両の乗員室内に配置することがある(例えば、特許文献1参照)。この場合、例えば、乗員室を構成する内装部材の内側などの露出しない位置にワイヤハーネスを配置することが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-151778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、ワイヤハーネスを内装部材の内側に配置する際には、内装部材の着脱作業が必要となる。このため、ワイヤハーネスを配置する作業が煩雑となる問題があった。
本開示の目的は、ワイヤハーネスの配置作業性を向上させることを可能としたプロテクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のプロテクタは、車両の乗員室内に配置されるワイヤハーネスに取り付けられるプロテクタであって、前記ワイヤハーネスを収容するワイヤハーネス収容部と、前記乗員室における内装部材に連結される連結部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示のプロテクタによれば、ワイヤハーネスの配置作業性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態におけるプロテクタを搭載した車両の模式図である。
図2図2は、第1実施形態におけるプロテクタの斜視図である。
図3図3は、第1実施形態におけるプロテクタの断面図である。
図4図4は、第2実施形態におけるプロテクタの斜視図である。
図5図5は、第2実施形態におけるプロテクタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のプロテクタは、
[1]車両の乗員室内に配置されるワイヤハーネスに取り付けられるプロテクタであって、前記ワイヤハーネスを収容するワイヤハーネス収容部と、前記乗員室における内装部材に連結される連結部と、を備える。
【0009】
この構成によれば、ワイヤハーネスを収容するプロテクタを、連結部にて内装部材に取り付けることが可能となる。その結果、ワイヤハーネスの配置作業性を向上させることが可能となる。また、上記のプロテクタによれば、ワイヤハーネス収容部にてワイヤハーネスを保護することが可能となる。
【0010】
[2]上記[1]において、前記内装部材は、前記乗員室を形成する床部材に敷かれるフロアマットを含み、前記連結部は、前記フロアマットの縁部に連結可能に構成されていてもよい。
【0011】
この構成によれば、ワイヤハーネスを収容するプロテクタをフロアマットの縁部に取り付けることが可能となる。したがって、内装部材を構成する例えばインテリアトリムなどを着脱することなく、ワイヤハーネスがプロテクタにて覆われて露出しない態様で、ワイヤハーネスを乗員室内に配置することが可能となる。
【0012】
[3]上記[2]において、前記連結部は、前記フロアマットの縁部を前記フロアマットの厚さ方向に挟持する一対の挟持部を有していてもよい。
この構成によれば、フロアマットの縁部を一対の挟持部に挟み込ませるだけで、プロテクタをフロアマットに容易に取り付けることが可能となる。
【0013】
[4]上記[1]において、前記内装部材は、前記乗員室を形成する床部材を含み、前記連結部は、前記床部材に連結可能に構成されていてもよい。
この構成によれば、乗員室を形成する床部材に対して、連結部にてプロテクタを取り付けることが可能となる。
【0014】
[5]上記[4]において、前記床部材は、前記床部材の表面の一部を形成するフロアカーペットと、前記フロアカーペットの表面上に重なる重なり部を有する床形成部材と、を含み、前記連結部は、前記重なり部と前記フロアカーペットとの間に挿入されて前記重なり部に連結可能に構成されていてもよい。
【0015】
この構成によれば、フロアカーペットと床形成部材の重なり部との間に連結部を挿入するだけで、プロテクタを床部材に容易に取り付けることが可能となる。
[6]上記[5]において、前記連結部は、前記重なり部に引っ掛かる係止部を有していてもよい。
【0016】
この構成によれば、床形成部材の重なり部に引っ掛かる連結部の係止部によって、フロアカーペットと重なり部との間から連結部が抜けることを抑制することが可能となる。
[7]上記[1]から[6]のいずれかにおいて、前記プロテクタは、前記連結部を有するプロテクタ本体と、前記ワイヤハーネス収容部の一部を形成し、前記プロテクタ本体とは別体をなす別体部材と、を備え、前記別体部材は、前記ワイヤハーネスが配置される溝部を有し、前記プロテクタ本体は、前記溝部の開口を塞ぐ蓋部を有していてもよい。
【0017】
この構成によれば、別体部材の溝部とプロテクタ本体の蓋部とによって、ワイヤハーネスを覆うことが可能となる。したがって、ワイヤハーネスがプロテクタから露出しないように構成することが可能となる。
【0018】
[8]上記[7]において、前記内装部材は、前記乗員室を形成する床部材に敷かれるフロアマットを含み、前記連結部は、前記蓋部と、前記蓋部と対向する対向部とを含み、前記連結部は、前記蓋部と前記対向部とによって、前記フロアマットの縁部を前記フロアマットの厚さ方向に挟持可能に構成されていてもよい。
【0019】
この構成によれば、蓋部と対向部との間にフロアマットの縁部を挟み込ませるだけで、プロテクタをフロアマットに容易に取り付けることが可能となる。また、蓋部と対向部との間でフロアマットを挟持する構成とすることで、ワイヤハーネス収容部、および、ワイヤハーネス収容部に収容されたワイヤハーネスを、フロアマットの裏側に隠れた位置に配置することが可能となる。
【0020】
[9]上記[7]または[8]において、前記別体部材は、底壁と、前記底壁からそれぞれ延出し、前記プロテクタの幅方向に互いに対向する一対の側壁とを有し、前記底壁と前記一対の側壁とは、互いが協働して前記溝部を形成しており、前記溝部の前記開口は、前記一対の側壁の各々における前記底壁とは反対側の端部によって形成されていてもよい。
【0021】
この構成によれば、底壁と一対の側壁とによって、別体部材の溝部を形成することが可能となる。
[10]上記[9]において、前記プロテクタ本体は、前記蓋部からそれぞれ延出し、前記幅方向に互いに対向する一対の外壁部を有し、前記別体部材が前記一対の外壁部の間に取り付けられた状態において、前記一対の外壁部は、前記幅方向に沿って、前記一対の側壁のそれぞれの外側に位置していてもよい。
【0022】
この構成によれば、別体部材の各側壁がプロテクタ本体の各外壁部によって覆われるため、ワイヤハーネス収容部の剛性を向上させることが可能となる。
[11]上記[10]において、前記一対の外壁部の各々は、前記別体部材を支持する支持部を有していてもよい。
【0023】
この構成によれば、各外壁部の支持部によって、別体部材が一対の外壁部の間から脱落することを抑制することが可能となる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のプロテクタの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。なお、本明細書の説明で使用される「筒状」は、周方向全周にわたって連続して周壁が形成されたものだけではなく、複数の部品を組み合わせて筒状をなすものや、C字状のように周方向の一部に切り欠きなどを有するものも含む。また、「筒状」の形状には、円形、楕円形、及び、尖ったまたは丸い角を有する多角形が含まれる。
【0024】
また、本明細書における「対向」とは、面同士又は部材同士が互いに正面の位置にあることを指し、互いが完全に正面の位置にある場合だけでなく、互いが部分的に正面の位置にある場合を含む。また、本明細書における「対向」とは、2つの部分の間に、2つの部分とは別の部材が介在している場合と、2つの部分の間に何も介在していない場合の両方を含む。
【0025】
(第1実施形態)
以下、プロテクタの第1実施形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態のプロテクタ10は、車両11の乗員室12内に配置されるワイヤハーネス13に取り付けられる。ワイヤハーネス13は、1本または複数本の電線14(図2参照)を含む。本実施形態では、ワイヤハーネス13は、4本の電線14を含む。ワイヤハーネス13は、共に車両11に取り付けられる第1電気機器E1と第2電気機器E2とを電気的に接続する。
【0026】
第1電気機器E1としては、例えば、撮像装置などのセンサ装置が挙げられる。第1電気機器E1は、例えば、車両11のバックドアなど、車両11における乗員室12の後方寄りの位置に設けられる。
【0027】
第2電気機器E2としては、例えば、電子制御ユニット(ECU)などが挙げられる。第2電気機器E2は、例えば、乗員室12の前方近傍の位置における乗員室12の内部または外部に設けられる。なお、乗員室12は、車両11において運転手を含む搭乗者が搭乗する部屋である。
【0028】
第1電気機器E1と第2電気機器E2とを接続するワイヤハーネス13は、乗員室12内に配索される。プロテクタ10は、ワイヤハーネス13の長さ方向の所定の範囲を覆うことで、乗員室12内に配索されるワイヤハーネス13を保護する。また、プロテクタ10は、ワイヤハーネス13を乗員室12における内装部材15(図3参照)に保持する。
【0029】
図3に示すように、乗員室12の内装部材15は、例えば、乗員室12を形成する床部材16と、床部材16に敷かれるフロアマット17とを含む。床部材16は、例えば、不織布にて形成されたサイレンサなどの吸遮音部材の上面に設けられるフロアカーペットや、フロアカーペットの縁部に設けられるステップトリムなどを含む。本実施形態のプロテクタ10は、内装部材15に含まれるフロアマット17に取付可能に構成されている。
【0030】
(プロテクタ10の構成)
図2および図3に示すように、プロテクタ10は、ワイヤハーネス13を収容するワイヤハーネス収容部21と、内装部材15に連結される連結部22とを備える。ワイヤハーネス収容部21は、ワイヤハーネス13の長さ方向に沿った長尺状をなしている。すなわち、ワイヤハーネス収容部21は、ワイヤハーネス13の長さ方向における広い範囲を覆っている。本実施形態のプロテクタ10における連結部22は、例えば、フロアマット17の縁部17aに連結可能に構成されている。
【0031】
プロテクタ10は、例えば、連結部22を有するプロテクタ本体30と、プロテクタ本体30とは別体をなす別体部材40とから形成されている。別体部材40は、ワイヤハーネス収容部21の一部を形成している。プロテクタ本体30および別体部材40の各々は、例えば合成樹脂にて形成されている。
【0032】
(連結部22の構成)
プロテクタ本体30の連結部22は、蓋部31と、蓋部31と対向する対向部32とを含む。詳しくは、連結部22は、例えば、プロテクタ10の幅方向における蓋部31の一端から延出する中間部33を有している。対向部32は、中間部33から延びて蓋部31と対向する。蓋部31と対向部32とは一対の挟持部を構成する。蓋部31、対向部32および中間部33を含む連結部22は、ワイヤハーネス13の長さ方向から見た形状が例えば略U字状をなしている。連結部22は、蓋部31と対向部32とによって、フロアマット17の縁部17aをフロアマット17の厚さ方向に挟持可能に構成されている。対向部32は、蓋部31から離れる方向に撓むことが可能である。これにより、対向部32は、蓋部31との間でフロアマット17の縁部17aを弾性的に挟み込むようになっている。
【0033】
プロテクタ本体30は、蓋部31からそれぞれ延出する一対の外壁部34を有している。外壁部34は、例えば、蓋部31の幅方向両端部からそれぞれ延出している。一対の外壁部34は、ワイヤハーネス収容部21の一部を形成している。一対の外壁部34は、プロテクタ10の幅方向において互いに対向する。一対の外壁部34の間には別体部材40が設けられる。
【0034】
ワイヤハーネス収容部21と連結部22とは、ワイヤハーネス収容部21の高さ方向において並設されている。なお、ワイヤハーネス収容部21の高さ方向は、別体部材40の底壁41とプロテクタ本体30の蓋部31とが対向する方向であって、例えば各外壁部34が延びる方向である。また、プロテクタ10がフロアマット17に取り付けられた状態において、ワイヤハーネス収容部21と連結部22とは、床部材16の上面に対する垂直方向において並設されている。ワイヤハーネス収容部21および連結部22の各々は、ワイヤハーネス13の長さ方向に沿った長尺状をなしている。なお、連結部22は、ワイヤハーネス収容部21の長さ方向の全体にわたって設けられていてもよいし、ワイヤハーネス収容部21の長さ方向に対して部分的に設けられていてもよい。
【0035】
(別体部材40の構成)
ワイヤハーネス収容部21の一部を形成する別体部材40は、ワイヤハーネス13の長さ方向に沿った長尺状をなしている。別体部材40は、底壁41と、底壁41からそれぞれ延出する一対の側壁42とを有している。一対の側壁42は、プロテクタ10の幅方向に互いに対向する。底壁41と一対の側壁42は、別体部材40における溝部43を形成している。底壁41および一対の側壁42の各々は、例えば、別体部材40の長さ方向の全体に設けられている。別体部材40の横断面形状は、例えば、別体部材40の長さ方向全体にわたって一様をなしている。
【0036】
別体部材40の溝部43内には、ワイヤハーネス13の各電線14が配置される。複数の電線14は、例えば、溝部43内においてプロテクタ10の幅方向に沿って並ぶように配置される。電線14を含むワイヤハーネス13は、ワイヤハーネス収容部21の長さ方向における溝部43の両端からプロテクタ10の外部に引き出される。別体部材40の溝部43は、上方に開口する開口44を有している。開口44は、一対の側壁42の各々における底壁41とは反対側の端部によって形成されている。各電線14は、例えば、開口44から溝部43に収容される。
【0037】
プロテクタ本体30の蓋部31は、別体部材40の上方に位置する。すなわち、蓋部31は、溝部43の開口44を塞ぐ。ワイヤハーネス収容部21は、プロテクタ本体30の蓋部31と、別体部材40の底壁41および一対の側壁42とによって筒状をなしている。そして、筒状をなすワイヤハーネス収容部21の内部に電線14を含むワイヤハーネス13が収容される。したがって、別体部材40の溝部43とプロテクタ本体30の蓋部31とによって、ワイヤハーネス13の外周を覆うことが可能となる。なお、本実施形態の蓋部31は、連結部22の一部を形成するとともに、ワイヤハーネス収容部21の一部を形成している。
【0038】
別体部材40は、プロテクタ本体30における一対の外壁部34の間に取り付けられている。プロテクタ本体30の一対の外壁部34は、プロテクタ10の幅方向における一対の側壁42の外側にそれぞれ位置している。
【0039】
一対の外壁部34の各々は、別体部材40を支持する支持部34aを有している。支持部34aは、例えば、各外壁部34の下端部に設けられている。各支持部34aは、各外壁部34から幅方向内側に突出している。各支持部34aは、ワイヤハーネス収容部21の長さ方向に沿った長尺状をなしている。これにより、支持部34aを含む各外壁部34は、ワイヤハーネス収容部21の長さ方向に沿ったレール状をなす。なお、各支持部34aは、ワイヤハーネス収容部21の長さ方向の全体にわたって設けられていてもよいし、ワイヤハーネス収容部21の長さ方向に対して部分的に設けられていてもよい。
【0040】
別体部材40は、一対の外壁部34の間に対して、ワイヤハーネス収容部21の長さ方向に沿って組付可能である。別体部材40がワイヤハーネス収容部21に対して長さ方向に沿って組み付けられる場合には、別体部材40は、レール状をなす一対の外壁部34によってガイドされる。
【0041】
各支持部34aは、別体部材40の各側壁42に対してワイヤハーネス収容部21の高さ方向に引っ掛かるように構成されている。各支持部34aは、例えば、各側壁42の下端部に引っ掛かるようになっている。これにより、別体部材40が一対の外壁部34の間から高さ方向の下側に脱落することが抑制されている。
【0042】
第1実施形態の作用について説明する。
車両11に第1電気機器E1を取り付ける場合、第1電気機器E1から延びるワイヤハーネス13を乗員室12内に配置する際にプロテクタ10を用いる。
【0043】
ワイヤハーネス13にプロテクタ10を取り付ける際には、まず、プロテクタ本体30から取り外された状態の別体部材40の溝部43にワイヤハーネス13を収容する。その後、ワイヤハーネス13が収容された別体部材40をプロテクタ本体30の一対の外壁部34の間に組み付ける。これにより、筒状をなすワイヤハーネス収容部21の内部にワイヤハーネス13が収容される。
【0044】
次に、ワイヤハーネス13が収容された状態のプロテクタ10を、フロアマット17に取り付ける。このとき、フロアマット17の縁部17aを、プロテクタ本体30の一対の挟持部の間、すなわち、蓋部31と対向部32との間に挿入する。これにより、対向部32の弾性によってフロアマット17の縁部17aが挟み込まれ、プロテクタ10がフロアマット17の縁部17aに固定される。プロテクタ10がフロアマット17の縁部17aに取り付けられた状態において、ワイヤハーネス収容部21は、フロアマット17と床部材16との間に位置する。これにより、ワイヤハーネス収容部21およびワイヤハーネス13が、フロアマット17の裏側に隠れた位置に配置される。
【0045】
第1実施形態の効果について説明する。
(1-1)プロテクタ10は、ワイヤハーネス13を収容するワイヤハーネス収容部21と、乗員室12における内装部材15に連結される連結部22とを備える。この構成によれば、ワイヤハーネス13を収容するプロテクタ10を、連結部22にて内装部材15に取り付けることが可能となる。その結果、ワイヤハーネス13の配置作業性を向上させることが可能となる。また、ワイヤハーネス収容部21は、ワイヤハーネス13の長さ方向に沿った長尺状をなしている。このため、ワイヤハーネス13の長さ方向における広い範囲をワイヤハーネス収容部21によって保護することが可能となる。
【0046】
(1-2)内装部材15は、乗員室12を形成する床部材16に敷かれるフロアマット17を含む。連結部22は、フロアマット17の縁部17aに連結可能に構成されている。この構成によれば、ワイヤハーネス13を収容するプロテクタ10をフロアマット17の縁部17aに取り付けることが可能となる。したがって、内装部材15を構成する例えばインテリアトリムなどを着脱することなく、ワイヤハーネス13がプロテクタ10にて覆われて露出しない態様で、ワイヤハーネス13を乗員室12内に配置することが可能となる。
【0047】
(1-3)連結部22は、蓋部31と、蓋部31と対向する対向部32とを含む。蓋部31と対向部32とは一対の挟持部を構成する。連結部22は、蓋部31と対向部32とによって、フロアマット17の縁部17aをフロアマット17の厚さ方向に挟持可能に構成されている。この構成によれば、一対の挟持部としての蓋部31と対向部32との間にフロアマット17の縁部17aを挟み込ませるだけで、プロテクタ10をフロアマット17に容易に取り付けることが可能となる。また、蓋部31と対向部32との間でフロアマット17を挟持する構成としたことで、蓋部31を含むワイヤハーネス収容部21およびワイヤハーネス13を、フロアマット17の裏側に隠れた位置に配置することが可能となる。
【0048】
(1-4)プロテクタ10は、連結部22を有するプロテクタ本体30と、ワイヤハーネス収容部21の一部を形成し、プロテクタ本体30とは別体をなす別体部材40とを備える。別体部材40は、ワイヤハーネス13が配置される溝部43を有する。プロテクタ本体30は、溝部43の開口44を塞ぐ蓋部31を有している。この構成によれば、別体部材40の溝部43とプロテクタ本体30の蓋部31とによって、ワイヤハーネス13を覆うことが可能となる。したがって、ワイヤハーネス13がプロテクタ10から露出しないように構成することが可能となる。
【0049】
(1-5)別体部材40は、底壁41と、底壁41からそれぞれ延出し、プロテクタ10の幅方向に互いに対向する一対の側壁42とを有する。底壁41と一対の側壁42とは、互いが協働して別体部材40の溝部43を形成している。溝部43の開口44は、一対の側壁42の各々における底壁41とは反対側の端部によって形成されている。この構成によれば、底壁41と一対の側壁42とによって、別体部材40の溝部43を形成することが可能となる。
【0050】
(1-6)プロテクタ本体30は、蓋部31からそれぞれ延出し、幅方向に互いに対向する一対の外壁部34を有する。別体部材40が一対の外壁部34の間に取り付けられた状態において、一対の外壁部34は、幅方向に沿って、一対の側壁42のそれぞれの外側に位置する。この構成によれば、別体部材40の各側壁42がプロテクタ本体30の各外壁部34によって覆われるため、ワイヤハーネス収容部21の剛性を向上させることが可能となる。
【0051】
(1-7)一対の外壁部34は、別体部材40を支持する支持部34aをそれぞれ有している。この構成によれば、各外壁部34の支持部34aによって、別体部材40が一対の外壁部34の間から脱落することを抑制することが可能となる。
【0052】
(第2実施形態)
以下、プロテクタの第2実施形態について説明する。以下の第2実施形態の説明では、第1実施形態との相違点について主に説明し、第1実施形態と同一の構成もしくは対応する構成に同一の符号を付して、その構成の説明の一部又は全部を省略する場合がある。
【0053】
図4および図5に示すように、第2実施形態のプロテクタ10Aは、ワイヤハーネス13を収容するワイヤハーネス収容部21と、乗員室12の内装部材15に連結可能な連結部51とを備える。
【0054】
図5に示すように、本実施形態の連結部51は、例えば、乗員室12を形成する床部材16に連結される。床部材16は、乗員室12の内装部材15に含まれる。床部材16は、床部材16の表面の一部を形成するフロアカーペット61と、床形成部材62とを含む。床形成部材62は、フロアカーペット61の表面上に重なる重なり部62aを有する。床形成部材62としては、例えば、フロアカーペット61の縁部に設けられるステップトリムや、車両11のスライドシートにおけるレール形成部材などが挙げられる。
【0055】
プロテクタ10Aは、連結部51を有するプロテクタ本体30Aと、別体部材40とを備える。プロテクタ10Aにおいて、ワイヤハーネス収容部21と連結部51とは、プロテクタ10Aの幅方向において並設されている。連結部51は、例えば、一対の外壁部34の一方(外壁部34b)から延出されている。連結部51は、例えば、外壁部34bの下端からプロテクタ10Aの幅方向に沿って延出する延出部52と、延出部52から上方に突出する係止部53とを有している。延出部52は、ワイヤハーネス収容部21の高さ方向において、例えば別体部材40の底壁41と同位置に設けられている。
【0056】
連結部51は、フロアカーペット61と床形成部材62の重なり部62aとの間に挿入される。そして、係止部53が重なり部62aに引っ掛かることで、連結部51がフロアカーペット61と重なり部62aとの間から抜け出ることが抑制されている。床形成部材62は、例えば、床形成部材62の裏面から突出する被係止部62bを有している。係止部53は、被係止部62bに引っ掛かるように構成される。
【0057】
第2実施形態の効果について説明する。
(2-1)プロテクタ10は、ワイヤハーネス13を収容するワイヤハーネス収容部21と、乗員室12における内装部材15に連結される連結部51とを備える。この構成によれば、ワイヤハーネス13を収容するプロテクタ10を、連結部51にて内装部材15に取り付けることが可能となる。その結果、ワイヤハーネス13の配置作業性を向上させることが可能となる。
【0058】
(2-2)プロテクタ10Aの連結部51は、床部材16に連結可能に構成されている。この構成によれば、乗員室12を形成する床部材16に対して、連結部51にてプロテクタ10を取り付けることが可能となる。
【0059】
(2-3)床部材16は、床部材16の表面の一部を形成するフロアカーペット61と、フロアカーペット61の表面上に重なる重なり部62aを有する床形成部材62と、を含む。連結部51は、重なり部62aとフロアカーペット61との間に挿入されて重なり部62aに連結可能に構成されている。この構成によれば、フロアカーペット61と床形成部材62の重なり部62aとの間に連結部51を挿入するだけで、プロテクタ10を床部材16に容易に取り付けることが可能となる。
【0060】
(2-4)連結部51は、重なり部62aに引っ掛かる係止部53を有している。この構成によれば、床形成部材62の重なり部62aに引っ掛かる連結部51の係止部53によって、フロアカーペット61と重なり部62aとの間から連結部51が抜けることを抑制することが可能となる。
【0061】
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・第1実施形態のプロテクタ10において、ワイヤハーネス収容部21と連結部22とが、プロテクタ10の幅方向において並設されていてもよい。この場合、フロアマット17を挟持する一対の挟持部を、蓋部31とは別に設けてもよい。
【0062】
・第2実施形態のプロテクタ10Aを取り付ける対象は、乗員室12の床部材16に限定されない。例えば、プロテクタ10Aを取り付ける対象が、乗員室12の側壁や天井部材であってもよい。例えば、プロテクタ10Aを取り付ける対象が天井部材の場合、連結部51は、天井部材に含まれるルーフライニングとインテリアトリムとの間に挿入されるとともに、連結部51の係止部53が当該インテリアトリムに引っ掛かるように構成してもよい。
【0063】
・上記各実施形態のプロテクタ10,10Aにおいて、別体部材40が省略された構成であってもよい。すなわち、ワイヤハーネス収容部21の全体がプロテクタ本体30,30Aに備えられる構成であってもよい。
【0064】
・上記各実施形態のプロテクタ本体30,30Aにおいて、一対の外壁部34が省略された構成であってもよい。
・ワイヤハーネス13に含まれる電線14の数は、上記各実施形態に限定されるものではなく、3本以下、または5本以上であってもよい。
【0065】
・今回開示された各実施形態及び変更例はすべての点で例示であって、本発明はこれらの例示に限定されるものではない。すなわち、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0066】
10,10A プロテクタ
11 車両
12 乗員室
13 ワイヤハーネス
14 電線
15 内装部材
16 床部材
17 フロアマット
17a 縁部
21 ワイヤハーネス収容部
22,51 連結部
30,30A プロテクタ本体
31 蓋部(一対の挟持部の1つ)
32 対向部(一対の挟持部の1つ)
33 中間部
34(34b) 外壁部
34a 支持部
40 別体部材
41 底壁
42 側壁
43 溝部
44 開口
51 連結部
52 延出部
53 係止部
61 フロアカーペット
62 床形成部材
62a 重なり部
62b 被係止部
E1 第1電気機器
E2 第2電気機器
図1
図2
図3
図4
図5