IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
  • -プロテクタ 図1
  • -プロテクタ 図2
  • -プロテクタ 図3
  • -プロテクタ 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162852
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】プロテクタ
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20241114BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
H02G3/04 087
H02G3/04 037
B60R16/02 623U
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078788
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】北 幸功
(72)【発明者】
【氏名】須藤 博
(72)【発明者】
【氏名】菊田 高宗
(72)【発明者】
【氏名】藤高 綾那
【テーマコード(参考)】
5G357
【Fターム(参考)】
5G357DA06
5G357DA10
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD02
5G357DD06
5G357DE03
5G357DE10
(57)【要約】
【課題】乗員室内に配置されるワイヤハーネスを保護可能としたプロテクタを提供する。
【解決手段】プロテクタ10は、開口部24を有するとともにワイヤハーネスが収容される内側ケース20と、内側ケース20の開口部24を覆う外側ケース30と、を備える。外側ケース30は、内側ケース20に対して設置面15とは反対側を覆う覆い部31と、覆い部31からそれぞれ延出し、互いに対向する一対の外壁部32と、を有している。内側ケース20は、一対の外壁部32の間に取り付けられる。一対の外壁部32の各々は、プロテクタ10が設置面15に配置された状態で設置面15に当接可能な当接部33を有している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤハーネスを収容可能に構成され、車両における乗員室内の設置面に配置されるプロテクタであって、
開口部を有するとともに前記ワイヤハーネスが収容される内側ケースと、
前記内側ケースの前記開口部を覆う外側ケースと、を備え、
前記外側ケースは、前記内側ケースに対して前記設置面とは反対側を覆う覆い部と、前記覆い部からそれぞれ延出し、互いに対向する一対の外壁部と、を有し、
前記内側ケースは、前記一対の外壁部の間に取り付けられ、
前記一対の外壁部の各々は、前記プロテクタが前記設置面に配置された状態で前記設置面に当接可能な当接部を有している、
プロテクタ。
【請求項2】
前記内側ケースは、底壁と、前記底壁からそれぞれ延出し、前記プロテクタの幅方向に互いに対向する一対の側壁とを有し、
前記底壁と前記一対の側壁とは、互いが協働して前記ワイヤハーネスを収容する溝部を形成しており、
前記開口部は、前記一対の側壁の各々における前記底壁とは反対側の端部によって形成されている、
請求項1に記載のプロテクタ。
【請求項3】
前記覆い部は、前記開口部を覆っており、
前記内側ケースが前記一対の外壁部の間に取り付けられた状態において、前記一対の外壁部は、前記幅方向に沿って、前記一対の側壁のそれぞれの外側に位置する、
請求項2に記載のプロテクタ。
【請求項4】
前記内側ケースは、前記一対の側壁の間において前記底壁から延出するとともに、延出方向の先端部が前記覆い部に接触可能な延出壁を有している、
請求項3に記載のプロテクタ。
【請求項5】
前記覆い部は、前記溝部に向かって突出する補強リブを有し、
前記補強リブは、前記溝部内に収容された前記ワイヤハーネスに含まれる複数の電線の間に配置されるように構成されている、
請求項3に記載のプロテクタ。
【請求項6】
前記溝部の深さは、前記ワイヤハーネスが有する電線の外径よりも大きい、
請求項2に記載のプロテクタ。
【請求項7】
前記一対の外壁部の各々は、前記内側ケースを支持する支持部を有している、
請求項1に記載のプロテクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プロテクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車両では、車両に対して電気機器を取り付ける場合、電気機器同士を繋ぐワイヤハーネスを、車両の乗員室内に配置することがある(例えば、特許文献1参照)。この場合、例えば、乗員室を構成する内装部材の内側などの露出しない位置にワイヤハーネスを配置することが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-151778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、ワイヤハーネスを内装部材の内側に配置する際には、内装部材の着脱作業が必要となるため、ワイヤハーネスを配置する作業が煩雑となる問題があった。そこで、ワイヤハーネスを乗員室内に簡単に配置するには、ワイヤハーネスを乗員室内に露出した状態で配置することが考えられる。その場合には、ワイヤハーネスを如何にして保護するかを検討する必要がある。
【0005】
本開示の目的は、乗員室内に配置されるワイヤハーネスを保護可能としたプロテクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のプロテクタは、ワイヤハーネスを収容可能に構成され、車両における乗員室内の設置面に配置されるプロテクタであって、開口部を有するとともに前記ワイヤハーネスが収容される内側ケースと、前記内側ケースの前記開口部を覆う外側ケースと、を備え、前記外側ケースは、前記内側ケースに対して前記設置面とは反対側を覆う覆い部と、前記覆い部からそれぞれ延出し、互いに対向する一対の外壁部と、を有し、前記内側ケースは、前記一対の外壁部の間に取り付けられ、前記一対の外壁部の各々は、前記プロテクタが前記設置面に配置された状態で前記設置面に当接可能な当接部を有している。
【発明の効果】
【0007】
本開示のプロテクタによれば、乗員室内に配置されるワイヤハーネスを保護することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態におけるプロテクタを搭載した車両の模式図である。
図2図2は、同実施形態におけるプロテクタの斜視図である。
図3図3は、同実施形態におけるプロテクタの断面図である。
図4図4は、変更例におけるプロテクタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のプロテクタは、
[1]ワイヤハーネスを収容可能に構成され、車両における乗員室内の設置面に配置されるプロテクタであって、開口部を有するとともに前記ワイヤハーネスが収容される内側ケースと、前記内側ケースの前記開口部を覆う外側ケースと、を備え、前記外側ケースは、前記内側ケースに対して前記設置面とは反対側を覆う覆い部と、前記覆い部からそれぞれ延出し、互いに対向する一対の外壁部と、を有し、前記内側ケースは、前記一対の外壁部の間に取り付けられ、前記一対の外壁部の各々は、前記プロテクタが前記設置面に配置された状態で前記設置面に当接可能な当接部を有している。
【0010】
この構成によれば、乗員室内の設置面に配置されるワイヤハーネスをプロテクタによって保護することが可能となる。また、プロテクタの各外壁部における当接部が設置面に当接することで、プロテクタが上から踏まれたとしても、一対の外壁部の間に配置された内側ケースに力が掛かりにくくなる。このため、内側ケースおよび内側ケースに収容されたワイヤハーネスをより好適に保護することが可能となる。
【0011】
[2]上記[1]において、前記内側ケースは、底壁と、前記底壁からそれぞれ延出し、前記プロテクタの幅方向に互いに対向する一対の側壁とを有し、前記底壁と前記一対の側壁とは、互いが協働して前記ワイヤハーネスを収容する溝部を形成しており、前記開口部は、前記一対の側壁の各々における前記底壁とは反対側の端部によって形成されていてもよい。
【0012】
この構成によれば、底壁と一対の側壁とによって、ワイヤハーネスを収容するための内側ケースの溝部を形成することが可能となる。
[3]上記[2]において、前記覆い部は、前記開口部を覆っており、前記内側ケースが前記一対の外壁部の間に取り付けられた状態において、前記一対の外壁部は、前記幅方向に沿って、前記一対の側壁のそれぞれの外側に位置していてもよい。
【0013】
この構成によれば、内側ケースの各側壁が外側ケースの各外壁部によって覆われることで、プロテクタの剛性を好適に向上させることが可能となる。
[4]上記[3]において、前記内側ケースは、前記一対の側壁の間において前記底壁から延出するとともに、延出方向の先端部が前記覆い部に接触可能な延出壁を有していてもよい。
【0014】
この構成によれば、延出壁によって内側ケースの剛性を向上させることが可能となる。また、例えば、外側ケースの覆い部が外力によって内側ケースの溝部に向かって撓んだときに、その外力を延出壁で受けることが可能となる。
【0015】
[5]上記[3]または[4]において、前記覆い部は、前記溝部に向かって突出する補強リブを有し、前記補強リブは、前記溝部内に収容された前記ワイヤハーネスに含まれる複数の電線の間に配置されるように構成されていてもよい。
【0016】
この構成によれば、補強リブによって、外側ケースの成型時における覆い部の反りなどの変形を抑制することが可能となる。また、補強リブは、溝部内に収容された複数の電線の間に配置されるように構成されるため、補強リブが電線に干渉することを抑制可能となる。
【0017】
[6]上記[2]から[5]のいずれかにおいて、前記溝部の深さは、前記ワイヤハーネスが有する電線の外径よりも大きく設定されていてもよい。
この構成によれば、プロテクタの内面と電線との間にクリアランスを設定することが可能となる。これにより、電線が内側ケースと外側ケースとによって挟み込まれることを抑制することが可能となる。
【0018】
[7]上記[1]から[6]のいずれかにおいて、前記一対の外壁部の各々は、前記内側ケースを支持する支持部を有していてもよい。
この構成によれば、各外壁部の支持部によって、内側ケースが一対の外壁部の間から脱落することを抑制することが可能となる。
【0019】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のプロテクタの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。なお、本明細書の説明で使用される「筒状」は、周方向全周にわたって連続して周壁が形成されたものだけではなく、複数の部品を組み合わせて筒状をなすものや、C字状のように周方向の一部に切り欠きなどを有するものも含む。また、「筒状」の形状には、円形、楕円形、及び、尖ったまたは丸い角を有する多角形が含まれる。
【0020】
また、本明細書における「対向」とは、面同士又は部材同士が互いに正面の位置にあることを指し、互いが完全に正面の位置にある場合だけでなく、互いが部分的に正面の位置にある場合を含む。また、本明細書における「対向」とは、2つの部分の間に、2つの部分とは別の部材が介在している場合と、2つの部分の間に何も介在していない場合の両方を含む。
【0021】
図1に示すように、本実施形態のプロテクタ10は、車両11の乗員室12内に配置されるワイヤハーネス13に取り付けられる。ワイヤハーネス13は、例えば複数本の電線14(図2参照)を含む。本実施形態では、ワイヤハーネス13は、4本の電線14を含む。ワイヤハーネス13は、共に車両11に取り付けられる第1電気機器E1と第2電気機器E2とを電気的に接続する。
【0022】
第1電気機器E1としては、例えば、撮像装置などのセンサ装置が挙げられる。第1電気機器E1は、例えば、車両11のバックドアなど、車両11における乗員室12の後方寄りの位置に設けられる。
【0023】
第2電気機器E2としては、例えば、電子制御ユニット(ECU)などが挙げられる。第2電気機器E2は、例えば、乗員室12の前方近傍の位置における乗員室12の内部または外部に設けられる。なお、乗員室12は、車両11において運転手を含む搭乗者が搭乗する部屋である。
【0024】
第1電気機器E1と第2電気機器E2とを接続するワイヤハーネス13は、乗員室12内に配索される。プロテクタ10は、ワイヤハーネス13の長さ方向の所定の範囲を覆うことで、乗員室12内に配索されるワイヤハーネス13を保護する。
【0025】
図3に示すように、ワイヤハーネス13を収容するプロテクタ10は、乗員室12内の設置面15に配置される。設置面15は、例えば乗員室12の床面であり、プロテクタ10は当該床面に載置される。
【0026】
(プロテクタ10の構成)
図2および図3に示すように、プロテクタ10は、内側ケース20と、外側ケース30とを備える。内側ケース20および外側ケース30は、互いに別体をなしている。内側ケース20および外側ケース30の各々は、例えば合成樹脂にて形成されている。プロテクタ10は、内側ケース20と外側ケース30とが組み合わされることで、ワイヤハーネス13を収容可能な筒状をなす。したがって、内側ケース20と外側ケース30とによって、ワイヤハーネス13の外周全体を覆うことが可能となる。
【0027】
(内側ケース20の構成)
内側ケース20は、ワイヤハーネス13の長さ方向に沿った長尺状をなしている。内側ケース20は、各電線14を含むワイヤハーネス13を収容可能な溝部21を有している。溝部21は、ワイヤハーネス13の長さ方向に沿って延びている。溝部21は、内側ケース20が有する底壁22と一対の側壁23とによって形成されている。
【0028】
一対の側壁23は、プロテクタ10の幅方向に互いに対向するように、底壁22から延出している。底壁22および一対の側壁23の各々は、例えば、内側ケース20の長さ方向の全体に設けられている。底壁22と一対の側壁23とを含む内側ケース20は、横断面形状が略U字状に形成されている。また、内側ケース20の横断面形状は、例えば、内側ケース20の長さ方向全体にわたって一様をなしている。
【0029】
内側ケース20の溝部21は、一対の側壁23の各々における底壁22とは反対側の端部によって形成される開口部24を有している。開口部24は、例えば、プロテクタ10の高さ方向の上方に向かって開口している。各電線14は、例えば、開口部24から溝部21に収容される。なお、例えば、プロテクタ10はその高さ方向が設置面15に対して略垂直をなすように設置面15に配置される。
【0030】
内側ケース20の溝部21内には、ワイヤハーネス13の各電線14が配置される。複数の電線14は、例えば、溝部21内においてプロテクタ10の幅方向に沿って並ぶように配置される。電線14を含むワイヤハーネス13は、プロテクタ10の長さ方向における溝部21の両端からプロテクタ10の外部に引き出される。溝部21の深さは、ワイヤハーネス13が有する各電線14の外径よりも大きく設定されている。すなわち、プロテクタ10の内面と電線14との間には、クリアランスを設定されている。なお、溝部21の深さは、開口部24の開口方向に沿った方向における溝部21の寸法である。すなわち、本実施形態における溝部21の深さは、プロテクタ10の高さ方向における溝部21の寸法である。
【0031】
内側ケース20は、一対の側壁23の間において底壁22から延出する延出壁25を有している。延出壁25は、例えば、内側ケース20の長さ方向に沿って直線状をなしている。延出壁25は、プロテクタ10の幅方向において各側壁23と対向している。延出壁25は、例えば、プロテクタ10の幅方向における底壁22の中央部に設けられている。底壁22に延出壁25が形成されていることで、底壁22の剛性が向上されている。
【0032】
(外側ケース30の構成)
外側ケース30は、内側ケース20における溝部21の開口部24を覆うように構成されている。外側ケース30は、覆い部31と、覆い部31からそれぞれ延出する一対の外壁部32とを備える。覆い部31と一対の外壁部32とを含む外側ケース30は、横断面形状が略U字状に形成されている。
【0033】
覆い部31は、内側ケース20に対して設置面15とは反対側を覆っている。本実施形態では、覆い部31は、内側ケース20に対し、プロテクタ10の高さ方向の上側を覆っている。また、本実施形態では、覆い部31は、例えば、内側ケース20の開口部24を覆っている。
【0034】
内側ケース20の延出壁25は、その延出方向の先端部が覆い部31に接触可能に構成されている。なお、覆い部31に外力が加わっていない状態において、延出壁25の先端部が覆い部31に接触していてもよい。また、覆い部31に外力が加わっていない状態において、延出壁25の先端部と覆い部31との間にクリアランスが設定されていてもよい。この場合、外力などによって覆い部31が内側ケース20の溝部21に向かって撓んだときに、覆い部31が延出壁25の先端部に接触可能であればよい。
【0035】
本実施形態の延出壁25は、溝部21内の収容空間を複数に分割している。本実施形態の延出壁25の個数は、例えば1つである。したがって、延出壁25は、例えば、溝部21内の収容空間を2つに分割している。溝部21における延出壁25にて分割された2つの収容空間には、例えば、複数の電線14がそれぞれ収容される。本実施形態では、当該2つの収容空間にそれぞれ2本の電線14が収容される。
【0036】
(一対の外壁部32の構成)
外壁部32は、例えば、覆い部31の幅方向両端部からそれぞれ延出している。各外壁部32は、例えば、プロテクタ10の高さ方向に沿って延出している。一対の外壁部32は、プロテクタ10の幅方向において互いに対向する。一対の外壁部32の間には内側ケース20が取り付けられている。外側ケース30の一対の外壁部32は、プロテクタ10の幅方向における一対の側壁23の外側にそれぞれ位置している。
【0037】
一対の外壁部32は、当接部33をそれぞれ有している。各当接部33は、各外壁部32の下端部に設定されている。各当接部33は、プロテクタ10が設置面15に配置された状態で当該設置面15に当接する。すなわち、本実施形態では、各外壁部32の高さ寸法が内側ケース20の高さ寸法以上に設定されている。なお、外壁部32の高さ寸法は、プロテクタ10の高さ方向における、覆い部31の下面から各外壁部32の上端までの寸法である。内側ケース20の高さ寸法は、プロテクタ10の高さ方向における、底壁22の下面から各側壁23の上端までの寸法である。
【0038】
一対の外壁部32の各々は、内側ケース20を支持する支持部34を有している。支持部34は、例えば、各外壁部32の下端部から幅方向内側に突出している。各支持部34は、プロテクタ10の長さ方向に沿った長尺状をなしている。これにより、支持部34を含む各外壁部32は、プロテクタ10の長さ方向に沿ったレール状をなす。なお、各支持部34は、プロテクタ10の長さ方向の全体にわたって設けられていてもよいし、プロテクタ10の長さ方向に対して部分的に設けられていてもよい。
【0039】
内側ケース20は、外側ケース30における一対の外壁部32の間に対して、プロテクタ10の長さ方向に沿って組付可能である。内側ケース20が外側ケース30に対して長さ方向に沿って組み付けられる場合には、内側ケース20は、レール状をなす一対の外壁部32によってガイドされる。
【0040】
各支持部34は、内側ケース20の各側壁23に対してプロテクタ10の高さ方向に引っ掛かるように構成されている。各支持部34は、例えば、各側壁23の下端部に引っ掛かるようになっている。これにより、内側ケース20が一対の外壁部32の間から高さ方向の下側に脱落することが抑制されている。
【0041】
外側ケース30の覆い部31は、溝部21に向かって突出する補強リブ35を有している。補強リブ35は、覆い部31から溝部21に向かって突出している。補強リブ35は、例えば、プロテクタ10の長さ方向に沿って延びる長尺状をなしている。また、補強リブ35は、例えば、プロテクタ10の長さ方向に沿った直線状をなしている。
【0042】
補強リブ35は、例えば複数設けられている。例えば、補強リブ35は、溝部21において延出壁25にて分割された収容空間の個数と同数設けられている。すなわち、本実施形態では、補強リブ35は2つ設けられている。補強リブ35は、溝部21内に収容された複数の電線14の間に配置されるように構成されている。
【0043】
本実施形態の効果について説明する。
(1)乗員室12内の設置面15に配置されるワイヤハーネス13をプロテクタ10によって保護することが可能となる。また、プロテクタ10において、外側ケース30における一対の外壁部32の各々は、プロテクタ10が設置面15に配置された状態で設置面15に当接可能な当接部33を有している。したがって、プロテクタ10の各外壁部32における当接部33が設置面15に当接することで、プロテクタ10が上から踏まれたとしても、一対の外壁部32の間に配置された内側ケース20に力が掛かりにくくなる。このため、内側ケース20および内側ケース20に収容されたワイヤハーネス13をより好適に保護することが可能となる。また、上記のように内側ケース20に力が掛かりにくくなるため、内側ケース20における形成材料の選択において、剛性が低い低コストの材料を選択できる等、選択の自由度が向上される。
【0044】
(2)内側ケース20は、底壁22と、底壁22から延出し、プロテクタ10の幅方向に互いに対向する一対の側壁23とを有している。底壁22と一対の側壁23とは、互いが協働してワイヤハーネス13を収容する溝部21を形成している。開口部24は、一対の側壁23の各々における底壁22とは反対側の端部によって形成されている。この構成によれば、底壁22と一対の側壁23とによって、ワイヤハーネス13を収容するための内側ケース20の溝部21を形成することが可能となる。
【0045】
(3)覆い部31は、内側ケース20における溝部21の開口部24を覆っている。内側ケース20が一対の外壁部32の間に取り付けられた状態において、一対の外壁部32は、幅方向に沿って、一対の側壁23のそれぞれの外側に位置する。この構成によれば、内側ケース20の各側壁23が外側ケース30の各外壁部32によって覆われることで、プロテクタ10の剛性を好適に向上させることが可能となる。
【0046】
(4)内側ケース20は、一対の側壁23の間において底壁22から延出する延出壁25を有している。延出壁25は、その延出方向の先端部が覆い部31に接触可能に構成されている。この構成によれば、延出壁25によって内側ケース20の剛性を向上させることが可能となる。また、例えば、外側ケース30の覆い部31が外力によって内側ケース20の溝部21に向かって撓んだときに、その外力を延出壁25で受けることが可能となる。
【0047】
(5)覆い部31は、溝部21に向かって突出する補強リブ35を有している。補強リブ35は、溝部21内に収容されたワイヤハーネス13に含まれる複数の電線14の間に配置されるように構成されている。この構成によれば、補強リブ35によって、外側ケース30の成型時における覆い部31の反りなどの変形を抑制することが可能となる。また、補強リブ35は、溝部21内に収容された複数の電線14の間に配置されるように構成されるため、補強リブ35が電線14に干渉することを抑制可能となる。
【0048】
(6)溝部21の深さは、ワイヤハーネス13が有する電線14の外径よりも大きく設定されていてもよい。この構成によれば、プロテクタ10の内面と電線14との間にクリアランスを設定することが可能となる。これにより、電線14が内側ケース20と外側ケース30とによって挟み込まれることを抑制することが可能となる。
【0049】
(7)一対の外壁部32は、内側ケース20を支持する支持部34をそれぞれ有している。この構成によれば、各外壁部32の支持部34によって、内側ケース20が一対の外壁部32の間から脱落することを抑制することが可能となる。
【0050】
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態のプロテクタ10は、複数の電線14が収容される構成であるが、これに限らず、例えば図4に示すように、プロテクタ10に電線14が1本のみ収容される構成であってもよい。なお、図4では、上記実施形態と同一の構成もしくは対応する構成に同一の符号を付している。なお、図4に示す例では、内側ケース20において延出壁25が省略されるとともに、外側ケース30において補強リブ35が省略されている。
【0051】
・上記実施形態では、外側ケース30は、横断面形状がU字状に形成されているとしたが、これに限定されず、他の形状に変更してもよい。なお、外側ケース30を他の形状に変更した場合でも、外側ケース30には、設置面15に当接される当接部33をそれぞれ有する一対の外壁部32を設ける必要がある。
【0052】
・上記実施形態では、内側ケース20は、横断面形状がU字状に形成されているとしたが、これに限定されず、他の形状に変更してもよい。
・上記実施形態では、内側ケース20の開口部24は、プロテクタ10の高さ方向の上方に向かって開口しているとしたが、これに限定されず、例えば、プロテクタ10の幅方向などの他の方向に開口するように設けてもよい。なお、開口部24がプロテクタ10の幅方向に向かって開口する構成の場合、当該開口部24は、外壁部32によって覆われる。また、開口部24がプロテクタ10の幅方向に向かって開口する構成の場合、外側ケース30の覆い部31は、内側ケース20においてプロテクタ10の幅方向に沿って延びる側壁23の上方を覆う構成となる。
【0053】
・上記実施形態の内側ケース20において、延出壁25を省略してもよい。
・上記実施形態の外側ケース30において、補強リブ35を省略してもよい。
・上記実施形態のプロテクタ10において、プロテクタ10が設置面15に配置された状態で、内側ケース20における長さ方向の少なくとも一部が設置面15に対して浮いた状態となるように構成されていてもよい。
【0054】
・上記実施形態のプロテクタ10において、内側ケース20および外側ケース30の少なくとも一方は、設置面15に対して固定される固定部を有していてもよい。
・内側ケース20および外側ケース30の形成材料は、合成樹脂に限定されるものではなく、例えば金属材料に変更してもよい。
【0055】
・ワイヤハーネス13に含まれる電線14の数は、上記実施形態に限定されるものではなく、3本以下、または5本以上であってもよい。
・プロテクタ10が配置される設置面15は、乗員室12の床面に限定されるものではなく、例えば、乗員室12の側壁や天井部材であってもよい。
【0056】
・今回開示された実施形態及び変更例はすべての点で例示であって、本発明はこれらの例示に限定されるものではない。すなわち、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0057】
10 プロテクタ
11 車両
12 乗員室
13 ワイヤハーネス
14 電線
15 設置面
20 内側ケース
21 溝部
22 底壁
23 側壁
24 開口部
25 延出壁
30 外側ケース
31 覆い部
32 外壁部
33 当接部
34 支持部
35 補強リブ
E1 第1電気機器
E2 第2電気機器
図1
図2
図3
図4