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特開2024-162861検出システム、センサ端末、及び無線基地局
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162861
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】検出システム、センサ端末、及び無線基地局
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/38 20180101AFI20241114BHJP
   H04W 92/18 20090101ALI20241114BHJP
   H04W 24/10 20090101ALI20241114BHJP
   H04B 17/24 20150101ALI20241114BHJP
   H04B 17/309 20150101ALI20241114BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20241114BHJP
【FI】
H04W4/38
H04W92/18
H04W24/10
H04B17/24
H04B17/309
G06N20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078803
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山崎 良太
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA23
5K067BB27
5K067EE02
5K067EE10
(57)【要約】
【課題】CSI情報を取得できない無線通信システムにおいても、状態イベント監視し、検出する。
【解決手段】状態イベントを検出する検出システムであって、無線パケットを送信する第1の無線装置と、前記無線パケットを受信する第2の無線装置と、少なくとも前記第1の無線装置と無線通信可能な無線基地局と、前記第2の無線装置が受信したパケットから、前記第1の無線装置が送信したセンサパケットを抽出するセンサパケット抽出部と、前記抽出されたセンサパケットを使用して実世界の情報を示す状態イベントを検出するセンシング処理を実行するセンシング処理部とを備え、前記センサパケットは、通信制御に用いられるパケットであり、周辺環境によって内容が変わるパケットである。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
状態イベントを検出する検出システムであって、
無線パケットを送信する第1の無線装置と、
前記無線パケットを受信する第2の無線装置と、
少なくとも前記第1の無線装置と無線通信可能な無線基地局と、
前記第2の無線装置が受信したパケットから、前記第1の無線装置が送信したセンサパケットを抽出するセンサパケット抽出部と、
前記抽出されたセンサパケットを使用して実世界の情報を示す状態イベントを検出するセンシング処理を実行するセンシング処理部とを備え、
前記センサパケットは、通信制御に用いられるパケットであり、周辺環境によって内容が変わるパケットであることを特徴とする検出システム。
【請求項2】
請求項1に記載の検出システムであって、
前記第1の無線装置を有する無線端末と、
前記第2の無線装置を有するセンサ端末とを備え、
前記センサ端末は、前記無線端末から送信されたセンサパケットを受信し、前記受信したセンサパケットを使用してセンシング処理を実行することを特徴とする検出システム。
【請求項3】
請求項2に記載の検出システムであって、
1台の前記センサ端末と複数台の前記無線端末を備え、
前記センサ端末は前記第1の無線装置及び前記第2の無線装置を有し、
前記無線端末は前記第1の無線装置を有し、
前記センサ端末の前記第1の無線装置は、第1のセンサパケットを送信し、
前記無線端末の前記第1の無線装置は、第2のセンサパケットを送信し、
前記センサ端末の前記第2の無線装置は、前記第1のセンサパケット及び前記第2のセンサパケットを受信することを特徴とする検出システム。
【請求項4】
請求項3に記載の検出システムであって、
前記センシング処理に使用され学習モデルを作成するモデル作成部を備え、
前記モデル作成部は、
ラベル情報と前記第1のセンサパケットから、センシング処理に使用される第1の学習モデルを作成し、
前記無線端末毎に、ラベル情報と前記第2のセンサパケットから、前記センシング処理に使用される第2の学習モデルを作成し、
前記センシング処理部は、
前記第1のセンサパケットを使用するセンシング処理では前記第1の学習モデルを使用してセンシング結果を導出し、
前記第2のセンサパケットを使用するセンシング処理では前記第2の学習モデルを使用してセンシング結果を導出し、
前記導出された複数のセンシング結果に基づいて、状態イベントを検出することを特徴とする検出システム。
【請求項5】
請求項4に記載の検出システムであって、
前記センシング処理部は、前記導出された複数のセンシング結果に多数決判定を行い、一つの状態イベントを検出することを特徴とする検出システム。
【請求項6】
請求項1に記載の検出システムであって、
前記第1の無線装置及び前記第2の無線装置を有する1台のセンサ端末を備え、
当該センサ端末は、前記第1の無線装置から送信されたセンサパケットを前記第2の無線装置で受信し、前記受信したセンサパケットを使用してセンシング処理を実行することを特徴とする検出システム。
【請求項7】
請求項1に記載の検出システムであって、
前記第1の無線装置を有する無線端末と、
前記第2の無線装置を有する無線基地局とを備え、
前記無線基地局は、前記第1の無線装置から送信されたセンサパケットを前記第2の無線装置で受信し、前記受信したセンサパケットを使用してセンシング処理を実行することを特徴とする検出システム。
【請求項8】
請求項1に記載の検出システムであって、
前記検出された状態イベントを表示するための表示データを出力する結果出力部を備え、
前記結果出力部は、前記検出された状態イベントを含む最新のセンシング結果と、過去のセンシング結果と、前記センサパケットに含まれる信号対雑音比と振幅値と位相値に関する情報との少なくとも一つを表示するための表示データを出力することを特徴とする検出システム。
【請求項9】
請求項1に記載の検出システムであって、
前記センシング処理を制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、
設定されたタイミングに従ってセンサリクエストを前記第1の無線装置へ送信し、
前記第1の無線装置は、前記センサリクエストに従って、前記センサパケットを送信し、
前記第2の無線装置は、前記センサパケットを受信し、
前記センシング処理部は、前記第2の無線装置が受信したセンサパケットを使用して前記センシング処理を実行することを特徴とする検出システム。
【請求項10】
請求項1に記載の検出システムであって、
各々が前記第1の無線装置及び前記第2の無線装置を有する複数のセンサ端末を備え、
前記複数のセンサ端末の前記第1の無線装置は、前記センサパケットを送信し、
前記複数のセンサ端末の前記第2の無線装置は、前記複数のセンサ端末の前記第1の無線装置が送信したセンサパケットを受信することを特徴とする検出システム。
【請求項11】
請求項10に記載の検出システムであって、
前記センシング処理を制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、
前記複数のセンサ端末が受信したセンサパケットの重複及び欠落を、当該センサパケットの受信タイミングに従って判定し、
重複するセンサパケット削除し、
欠落したセンサパケットを補完し、
重複削除及び欠落補完後のセンサパケットを使用して、センシング処理に使用する学習モデルを作成し、
前記センシング処理部は、重複削除及び欠落補完後のセンサパケットを使用してセンシング結果を導出することを特徴とする検出システム。
【請求項12】
請求項1に記載の検出システムであって、
前記第1の無線装置及び前記第2の無線装置を有するセンサ端末を備え、
前記第1の無線装置は、第1のセンサパケットを送信し、
前記第2の無線装置は、前記第1のセンサパケット及び当該検出システムで管理されない管理外無線端末が送信する管理外センサパケットを受信し、
前記センシング処理部は、前記第2の無線装置が受信した第1のセンサパケット及び前記管理外センサパケットを使用して前記センシング処理を実行することを特徴とする検出システム。
【請求項13】
請求項12に記載の検出システムであって、
センシング処理に使用する学習モデルを作成するモデル作成部を備え、
前記モデル作成部は、
ラベル情報と前記第1のセンサパケットから、センシング処理に使用する第1の学習モデルを作成し、
前記ラベル情報と前記管理外センサパケットから、センシング処理に使用する第2の学習モデルを作成し、
前記センシング処理部は、
前記第1のセンサパケットを使用するセンシング処理では前記第1の学習モデルを使用してセンシング結果を導出し、
前記管理外センサパケットを使用するセンシング処理では前記第2の学習モデルを使用してセンシング結果を導出し、
前記導出された複数のセンシング結果に基づいて、状態イベントを検出することを特徴とする検出システム。
【請求項14】
請求項13に記載の検出システムであって、
前記モデル作成部は、
正答データを用いて、前記作成した第2の学習モデルの優劣を表す正答率を計算し、
前記計算された正答率が所定の閾値より低い第2の学習モデルを不採用と判定することを特徴とする検出システム。
【請求項15】
請求項13に記載の検出システムであって、
前記モデル作成部は、前記管理外センサパケットの特性値を取得し、前記取得した特性値の変動量が所定の閾値より大きい管理外無線端末が送信した管理外センサパケットを使用して作成された第2の学習モデルを不採用と判定し、
前記特性値は、位相、振幅、信号対雑音比の少なくとも一つであることを特徴とする検出システム。
【請求項16】
無線パケットを用いて状態イベントを検出するセンサ端末であって、
前記無線パケットを無線基地局に送信する第1の無線装置と、
前記無線パケットを受信する第2の無線装置と、
前記第2の無線装置が受信したパケットから、前記第1の無線装置が送信したセンサパケットを抽出するセンサパケット抽出部と、
前記抽出されたセンサパケットを使用して実世界の情報を示す状態イベントを検出するセンシング処理を実行するセンシング処理部とを備え、
前記センサパケットは、通信制御に用いられるパケットであり、周辺環境によって内容が変わるパケットであることを特徴とするセンサ端末。
【請求項17】
無線パケットを用いて状態イベントを検出する無線基地局であって、
前記無線パケットを送受信する無線端末と通信し、
前記無線端末が送信したパケットからセンシング処理に使用するセンサパケットを抽出するセンサパケット抽出部と、
前記抽出されたセンサパケットを使用して実世界の情報を示す状態イベントを検出するセンシング処理を実行するセンシング処理部とを備え、
前記センサパケットは、通信制御に用いられるパケットであり、周辺環境によって内容が変わるパケットであることを特徴とする無線基地局。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、状態イベントを監視し、検出する検出システム、センサ端末及び無線基地局に関する。
【背景技術】
【0002】
無線を用いて状態イベントを検出し、監視するために、チャネル状態情報の分類に基づいてイベントを検出する技術が特許文献1、非特許文献1、非特許文献2に記載されている。
【0003】
特許文献1には、イベントを検出するための装置に関する構成が記載されている。特許文献1に記載の装置は、プロセッサと、プロセッサにより実行される場合に、チャネル状態情報(CSI)を分類し、かつ、監視段階の間に取得されたCSIの分類に基づいてイベントを検出するための分類器を、プロセッサにトレーニングさせる命令を確認する記憶装置とを含む。分類器のトレーニングは、検出されるべき既知のイベント毎に、会場内の無線送信機と無線受信機との間の無線マルチパスチャネルのトレーニングCSIであって、送信機から無線マルチパスチャネルを介して受信機へ送信された一つ以上のプロービング信号から導出されるトレーニングCSIを、既知のイベントが会場で発生する期間の間に取得することと、既知のイベント及び各イベントに関連付けられたトレーニングCSIに基づいて、分類器をトレーニングすることとを含む。
【0004】
非特許文献1には、Compressed Beamforming Reportパケット(以下CBRパケット)に関する記載がある。CBRパケットは、WiFi5以降に規格が定められており、MIMO通信に用いられる伝搬行列Hを特異値分解したV行列の情報を伝達する。また、非特許文献2には、非特許文献1の技術を拡張し、WLAN-Sencingの実現に向けた通信規格に関する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開2017/100706号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】IEEE Std 802.11-2016, Part11:Wireless LAN Medium Access Control(MAC) and Physical Layer (PHY) Specifications
【非特許文献2】IEEE802.11bf Part 11: Wireless LAN Medium Access Control (MAC) and Physical Layer (PHY) Specifications Amendment: Enhancements for Wireless Local Area Network (WLAN) Sensing), https://standards.ieee.org/ieee/802.11bf/10365/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1は、無線通信システムが発する電波のチャネル状態情報(CSI)の分類に基づいてイベントを検出するための分類器が記載されているが、CSIを取得できない無線通信システムの場合の無線イベントを検出し、監視する方法について、何ら考慮されていない。
【0008】
また、非特許文献1及び非特許文献2に記載されるCBRパケットを利用したセンシングシステムをオフィスや工場などの環境へ導入する場合、CBRパケットを取得し、保存する無線基地局又は無線端末を新たに導入する必要がある。このとき、既にWiFi機器が導入されているオフィスや工場などの環境に、新しいWiFi機器の導入が困難な場合がある。そのため、既設のWiFi機器や通信システムへ影響を与えないように、センシング機能を実現するための機器だけの設置が望ましい。
【0009】
本発明は前述の課題を鑑みてなされたものであり、CSI情報を取得できない無線通信システムにおいても、状態イベント監視し、検出できる検出システム、センサ装置及び無線基地局の提供を目的とする。また、既設の無線装置及び通信システムへの影響を与えず、簡易な後付け設置工事でセンシング機能を実現できる検出システム、センサ装置及び無線基地局の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明の代表的な一例を示せば以下の通りである。すなわち、状態イベントを検出する検出システムであって、無線パケットを送信する第1の無線装置と、前記無線パケットを受信する第2の無線装置と、少なくとも前記第1の無線装置と無線通信可能な無線基地局と、前記第2の無線装置が受信したパケットから、前記第1の無線装置が送信したセンサパケットを抽出するセンサパケット抽出部と、前記抽出されたセンサパケットを使用して実世界の情報を示す状態イベントを検出するセンシング処理を実行するセンシング処理部とを備え、前記センサパケットは、通信制御に用いられるパケットであり、周辺環境によって内容が変わるパケットであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、無線イベントを的確に検出し、監視できる。前述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明によって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係るイベント検出システムの構成を示す図である。
図2】第1実施形態に係るセンサ端末の構成を示す図である。
図3】第1実施形態に係る無線基地局の構成を示す図である。
図4】第1実施形態に係るセンサ端末の構成を示す図である。
図5】第1実施形態に係るイベント検出システムが実行するセンシング処理を示す図である。
図6】イベント検出結果を出力するモニタ画面の例を示す図である。
図7】第2実施形態に係るイベント検出システムの構成を示す図である。
図8】第2実施形態に係るイベント検出システムが実行するセンシング処理を示す図である。
図9】第2実施形態において、センシングパケットの送信間隔を制御する処理のフローチャートである。
図10図9に示すセンシングパケットの送信間隔が制御された通信のシーケンス図である。
図11】第3実施形態に係るイベント検出システムの構成を示す図である。
図12】第3実施形態において、欠落したデータを補完する処理を示す図である。
図13】第4実施形態に係るイベント検出システムの構成を示す図である。
図14】第4実施形態において、管理外無線端末が送信する管理外センサパケットを利用するセンシング処理を示す図である。
図15】第4実施形態において、管理外無線端末が送信する管理外センサパケットを利用するセンシング処理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の実施の形態においては、便宜上その必要があるときは、複数のセクション又は実施の形態に分割して説明する。以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。なお、以下の実施の形態において、その構成要素(処理ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須ではない。
【0014】
また、以下の実施の形態における各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路その他のハードウェアとして実現しても良い。また、後述する各構成、機能、処理部、処理手段等は、コンピュータ上で実行されるプログラムとして実現しても良い。すなわち、ソフトウェアとして実現しても良い。各構成、機能、処理部、処理手段等を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリやハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、ICカード、SDカード、DVD等の記憶媒体に格納することができる。
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一又は関連する符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一又は同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0016】
<第1実施形態>
[システム構成]
第1実施形態のイベント検出システム200は、サーバ201と、センサ端末206と、無線基地局204と、無線端末205とで構成される。以下、本発明の第1実施形態に係るイベント検出システム200について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1は、イベント検出システム200の構成を示す図である。
【0018】
イベント検出システム200は、サーバ201、無線基地局204、無線端末205、及びセンサ端末206とで構成される。サーバ201と無線基地局204とは、外部ネットワーク202及びネットワークハブ203を介して接続される。ネットワークハブ203と無線基地局204は、イーサネット等で有線接続される(207)。無線基地局204と無線端末205は、無線電波208で通信する。センサ端末206は、無線電波208を受信し、解析することでイベントを検出する。
【0019】
サーバ201は、イベント検出システム200(例えば、センシング処理のタイミング)を制御する制御装置である。無線端末205は、無線基地局204との間でユーザデータを送信又は受信する装置である。センサ端末206、状態イベントを検出するためにセンサ端末206自身や無線基地局204が送信したセンサパケットを受信する装置である。センサ端末206は、ユーザデータを送受信してもよい。
【0020】
図2は、第1実施形態に係るセンサ端末206の構成を示す図である。図2では、センサ端末206が送信した非センサパケットを受信して解析する。
【0021】
センサ端末206は、無線デバイス1(102)と、無線デバイス2(103)を有する。無線デバイス1(102)は、無線基地局100と無線通信を行い、センサパケット104及び非センサパケット105を送受信する。センサパケット104は、通信制御に用いられるパケットであり、周辺環境によって内容が変わるパケットである。例えば、WiFiにおいてMIMOの情報を含むCBRパケットをセンサパケット104として使用できる。非センサパケット105は、センサパケット104以外のパケットであり、例えばセンサ端末206がセンシングした結果を上位の装置に送信するためのパケットや、ユーザデータを転送するパケットである。また、無線デバイス2(103)は、無線デバイス1(102)が送受信するセンサパケット104及び非センサパケット105を受信し、パケットデータ106として保存する。その後、センサ端末206のセンサパケット抽出部107は、保存されたパケットデータ106からセンサパケット104を抽出し、センサパケットデータ108をメモリに格納する。センシング処理部109は、メモリに格納されたセンサパケットデータ108にセンシング処理を実行する。結果出力部111は、センシング処理で導出されるセンシング結果110を出力する。センシング結果は、センシング対象となる人や物体の状態である。以上に説明した構成をオフィスや工場などの環境で実現することを想定すると、無線基地局204は、センサ端末206と共に導入する必要はなく、既設の無線基地局204がある場合、1台のセンサ端末206を導入すれば、センシング機能を実現できる。この構成によって、新しい無線基地局204の導入に制約がある環境でも、センサ端末206の新しい導入によって、センシング機能を実現できる。
【0022】
図2に示すセンシング処理は、センサ端末206でなく、サーバ201で実行してもよい。
【0023】
図3は、第1実施形態に係る無線基地局204の構成を示す図である。図3では、無線端末205が送信した非センサパケット305を無線基地局204が受信して解析する。
【0024】
無線基地局204は、無線デバイス1(302)と、無線デバイス2(303)を有する。無線デバイス1(302)は、無線端末205と無線通信を行い、センサパケット304及び非センサパケット305を送受信する。センサパケット304は、通信制御に用いられるパケットであり、周辺環境によって内容が変わるパケットである。例えば、WiFiにおいてMIMOの情報を含むCBRpktをセンサパケット304として使用できる。非センサパケット305は、センサパケット304以外のパケットであり、例えばセンサ端末206がセンシングした結果を上位の装置に送信するためのパケットである。また、無線デバイス2(303)は、無線デバイス1(302)が送受信するセンサパケット304及び非センサパケット305を受信し、パケットデータ306として保存する。その後、無線基地局204のセンサパケット抽出部307は、保存されたパケットデータ306から非センサパケット305を抽出し、センサパケットデータ308をメモリに格納する。センシング処理部309は、メモリに格納されたセンサパケットデータ308にセンシング処理を実行する。結果出力部311は、センシング処理で導出されるセンシング結果310を出力する。以上に説明した無線基地局204の構成は、図2に示すセンサ端末206の構成を、無線基地局204に適用したものである。オフィスや工場などの環境に新しく無線基地局を設置可能な場合、図3に示す構成の無線基地局204を導入することで、センシング機能を実現できる。
【0025】
図4は、第1実施形態に係るセンサ端末206の構成を示す図である。図4では、無線端末205が送信した非センサパケットをセンサ端末206が受信して解析する。一般に無線端末205は無線基地局204の通信範囲に広く設置されていることから、無線端末205が設置された広域の状態が分かる特徴がある。
【0026】
センサ端末206は、無線デバイス403を有する。無線端末205は、無線基地局204と無線通信を行い、センサパケット404及び非センサパケット405を送受信する。センサパケット404は、通信制御に用いられるパケットであり、周辺環境によって内容が変わるパケットである。例えば、WiFiにおいてMIMOの情報を含むCBRpktをセンサパケット404として使用できる。非センサパケット405は、センサパケット404以外のパケットであり、例えばセンサ端末206がセンシングした結果を上位の装置に送信するためのパケットである。無線デバイス403は、無線端末205が送受信するセンサパケット404及び非センサパケット405を受信し、パケットデータ406として保存する。その後、センサ端末206のセンサパケット抽出部407は、保存されたパケットデータ406からセンサパケット404を抽出し(407)、センサパケットデータ408をメモリに格納する。センシング処理部409は、メモリに格納されたセンサパケットデータ408にセンシング処理を実行する。結果出力部411は、センシング処理で導出されるセンシング結果410を出力する。以上に説明したセンサ端末206の構成は、図2に示すセンサ端末206の構成を、無線通信機能とセンサ機能で分離して、センサ機能を除去した構成である。この構成において、センサ端末206は固定的に設置されていることが望ましい。センサ端末206が移動する装置であれば、センサ端末206の移動によってセンサパケットに含まれるセンサ情報が変動するため、センサパケットの変化がセンサ端末206の移動によるものか、センシング対象の変化によるものかが不明となり、センシング機能の実現が困難になる。
【0027】
なお、図2図3図4に示すセンサ端末206、無線基地局204、センサ端末206の構成は、複数の装置でセンシング処理を実行してもよいが、少なくとも一つの装置でセンシング処理を実行すれば、全ての装置でセンシング処理を実行しなくてもよい。
【0028】
図5は、第1実施形態に係るイベント検出システム200が実行するセンシング処理を示す図である。
【0029】
センシング処理は、学習モード500と運用モード501に大別される。学習モード500では、教師データとして、ラベル情報502と学習用センサパケットデータ503の組がセンシング機械学習モデル作成部504に入力される。ラベル情報502は、センシング対象となる人や物体の状態を表す情報である。ラベル情報502と、その状態において送受信されたセンサパケットデータを学習用センサパケットデータ503として使用する。センシング機械学習モデル作成部504は、この二つを学習して、センシングに用いる機械学習モデル505を作成する。
【0030】
運用モード501では、学習モード500で作成された機械学習モデル505をセンサパケットに適用して分類結果を推測する。運用モード501では、運用中に受信した運用センサパケットデータ506がセンシング機械学習分類処理部507に入力される。運用センサパケットデータ506は送受信時の状態が未知であり、センシング機械学習分類処理部507は、学習済み機械学習モデル505を用いて、運用センサパケットデータ506の送受信時のセンシング対象となる人や物体の状態を推定する。得られたセンシング結果508が、状態イベントの検出結果である。以上に説明した処理によって、センシング処理が実行される。
【0031】
図6は、結果出力部111、311、411が出力するイベント検出結果を出力するモニタ画面600の例を示す図である。
【0032】
結果出力部111、311、411は、センシング結果601、センシング履歴602、及びセンシングパケットデータ詳細情報603をモニタ画面600に表示するための表示データを出力する。センシング結果601は、センシング対象となる人や物体の状態である。センシング履歴602は、センシング対象となる人や物体の過去の状態であり、検出日時を示すタイムスタンプとセンシング対象の状態との組のデータである。センシングパケットデータ詳細情報603は、受信した非センサパケットで計測された特性値(例えば、信号対雑音比、振幅、位相)であり、サブキャリア毎の振幅値や位相値が分かるように表示するとよい。また、信号対雑音比の時間変化を表示してもよい。これらの情報は、センサ端末206に表示装置が接続された状態で、表示される形態でもよい。また、センシング結果の情報がセンサ端末206からサーバ201へ送信され、サーバ201に接続された表示装置に表示してもよい。
【0033】
以上に説明したように、本発明の第1実施形態によると、センサ端末206又は無線端末205が送信したセンサパケットをセンサ端末206又は無線基地局204が受信し、センシング対象となる人や物体の状態をセンシングできる。特に、センサ端末206がセンサパケットを受信する場合、無線基地局204は既設の装置を使用でき、少なくても1台のセンサ端末206を現場へ設置することで、センシング機能を実現できる。そして、センシングのために新たな無線ネットワークを構築せずに、既設のシステムへの影響を最小限に抑制してセンシング機能を実現できる。
【0034】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態のイベント検出システムは、第1実施形態(図1)と同様に、サーバ201と、センサ端末206と、無線基地局204と、無線端末205とで構成される。第2実施形態では、一つのセンサ端末206と、複数の無線端末が設けられる。第2実施形態では、前述した第1実施形態との相違を主に説明し、第1実施形態と同じ構成及び処理には同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
【0035】
[システム構成]
図7は、第2実施形態に係るイベント検出システムの構成を示す図である。
【0036】
第2実施形態では、無線基地局700に、センサ端末1(206)、無線端末2(205)、無線端末N(205)が接続している。無線端末205は、複数台が無線基地局204に接続されており、接続台数は限定されない。センサ端末206は、図2に示す構成と同じ構成であり、無線デバイス1(102)と、無線デバイス2(103)を有する。無線デバイス1(102)は、センサパケット1(708)を送信し、無線デバイス2(705)でセンサパケット1(708)を受信する。無線端末2(205)は、無線デバイス706を有し、無線デバイス706がセンサパケット2(709)を送信する。センサパケット2(709)はセンサ端末206に受信される。同様に、無線端末N(205)は、無線デバイス707を有し、無線デバイス707がセンサパケットN(710)を送信する。センサパケットN(710)はセンサ端末206に受信される。第2実施形態では、センサ端末206がセンサパケット1からセンサパケットNの全てを受信する。
【0037】
図8は、第2実施形態に係るイベント検出システム200が実行するセンシング処理を示す図である。
【0038】
センシング処理は、サーバ201が実行するものとして説明するが、サーバ201以外の装置(例えばセンサ端末)がセンシング処理を実行してもよい。センシング処理は、学習モードと運用モードに大別される。学習モードでは、ラベル情報801と学習用センサ1パケットデータ802との組、ラベル情報801と学習用センサ2パケットデータ803との組、及び、ラベル情報801と学習用センサNパケットデータ804との組が教師データとしてセンシング機械学習モデル作成部805に入力される。ラベル情報801は、センシング対象となる人や物体の状態を表す情報である。ラベル情報801と、その状態において送受信されたセンサパケットデータ802~804を学習用センサパケットデータとして使用する。センシング機械学習モデル作成部805は、これらのデータを学習して、センシングに用いる機械学習モデル806~808を作成する。このとき、学習用センサ1パケットデータ802に関して、学習モデル1(806)を作成し、学習用センサ2パケットデータ803に関して、学習モデル2(807)を作成し、学習用センサNパケットデータ804に関して、学習モデルN(808)を作成する。なお、センサ端末206の識別情報を含むラベル情報801を教師データとして使用すると無線端末205やセンサ端末206毎に学習モデルを作成しなくても、センサ端末206毎のセンシング結果を導出できる学習モデルを作成できる。
【0039】
運用モードでは、センシング処理部109が、学習モードで作成された複数の機械学習モデル806~808をセンサパケットごとに適用して分類結果を推測する。例えば、センサ1パケットデータ708が入力として与えられたとき、分類器1(811)は、学習モデル1(806)を用いて、センサ1パケットデータ708の送受信時のセンシング対象物(人、物体)の状態を推定し、センシング結果1(812)を出力する。学習モデル1(806)は、学習用センサ1パケットデータ802を使って作成された機械学習モデルである。同様に、センサ2パケットデータ709が入力として与えられたとき、分類器2(815)は、学習モデル2(807)を用いて、センサ2パケットデータ709の送受信時のセンシング対象物(人、物体)の状態を推定し、センシング結果2(816)を出力する。学習モデル2(807)は、学習用センサ2パケットデータ803を使って作成された機械学習モデルである。また、センサNパケットデータ710が入力として与えられたとき、分類器3(819)は、学習モデルN(808)を用いて、センサNパケットデータ710の送受信時のセンシング対象物(人、物体)の状態を推定し、センシング結果N(820)を出力する。学習モデルN(808)は、学習用センサNパケットデータ804を使って作成された機械学習モデルである。
【0040】
総合判定部821は、このようにして得られた複数のセンシング結果812、816、820を総合判定して、一つのセンシング結果822を得る。例えば、多数決判定や、正解データで計算した正答率による重み係数を考慮した判定によって総合判定ができる。
【0041】
第2実施形態では、無線端末及びセンサ端末が複数設置されている構成において、無線端末やセンサ端末ごとに学習モデルを作成し、センサパケットデータを分類する。無線の伝搬環境が設置場所や設置環境によって、センサ端末が取得するセンサパケットの内容が異なる。このため、複数のセンサ端末から得られるセンサパケットから一つの学習モデルを作成すると、状態を正しく分類できない場合がある。センサごとに学習モデルを作成することで、状態を正しく分類できる学習モデルを作成でき、高精度でセンシングできる。
【0042】
図9は、第2実施形態において、センシングパケットの送信間隔を制御する処理のフローチャートである。なお、図9に示す処理は、前述した第1実施形態にも適用できる。図9に示す処理は、サーバ、無線基地局、通信端末のいずれでもよい。
【0043】
処理を開始(900)後、センサパケットの送信間隔を設定する(901)。その後に、センシング開始指示があれば(902)、センサリクエストパケットを送信する(903)。
【0044】
センサリクエストパケットの送信後、設定された送信間隔が経過したら(904)、次のセンサリクエストパケットを送信する(903)。
【0045】
また、センシングの停止指示があれば(905)、センサリクエストパケットの送信を停止する。
【0046】
この処理の繰り返しによって、例えば、送信間隔が1秒と設定されれば、1秒間隔でセンサリクエストパケットを送信でき、1秒間隔でセンサパケットを送信できる。
【0047】
図10は、図9に示すセンシングパケットの送信間隔が制御された通信のシーケンス図である。
【0048】
図10に示すシーケンスでは、サーバ201、無線基地局204、無線端末1(205)、無線端末N(205)、センサ端末1(206)の間で通信し、及びセンサパケットを送受信する。サーバ201は、送信間隔を設定後、無線端末1(205)宛にセンサリクエスト1を送信する。センサリクエスト1は、無線基地局204を経由して無線端末1(205)へ送信される。無線端末1(205)は、センサリクエスト1を受信して、センサパケット1を返送する。センサパケット1は、センサ端末1(206)によって受信される。センサ端末1(206)は、受信したセンサパケット1を無線基地局204を経由してサーバ201へ送信する。サーバ201は、受信したセンサパケット1に対するセンシング処理を実行する。
【0049】
同様に、サーバ201は、無線端末2(205)宛にセンサリクエスト2を送信する。センサリクエスト2は、無線基地局204を経由して無線端末2(205)へ送信される。無線端末2(205)は、センサリクエスト2を受信して、センサパケット2を返送する。センサパケット2は、センサ端末1(206)によって受信される。センサ端末1(206)は、受信したセンサパケット2を無線基地局204を経由してサーバ201へ送信する。サーバ201は、受信したセンサパケット2に対するセンシング処理を実行する。
【0050】
そして、設定された送信間隔の経過後に、サーバ201は、センサリクエスト1を送信する。
【0051】
以上の処理の繰り返しによって、センシングの間隔を任意のタイミングで制御できる。また、センシング処理は、一定周期で繰り返さなくても、任意のタイミングで、1度だけセンシングする形態でもよい。ここで説明したセンシング頻度は、物理的な状態が変化した際に、どの程度の応答性をもって状態変化を検出するかという目的に応じて設定される。短時間で検出する必要があるアプリケーション(侵入検知など)であれば、送信間隔を短く設定するとよい。
【0052】
また、説明したセンサリクエスト及びセンサパケットの実装例の一つとして、センサリクエストはPingデータでもよい。センサリクエストをPingデータとした場合、無線基地局は、Pingパケット送信の直前に、WiFi5以上の規格で定められているCBRP(Compressed Beamforming Report Request)パケットを送信する。無線端末205は、CBRRパケットを受信すると、CBR(Compressed Beamforming Report)パケットを送信する。このCBRパケットが、センサパケットとして使用される。このように、WiFi5のプロトコルにおけるPingパケットによって、センサリクエストとセンサパケットを実現してもよい。また、センサリクエスト及びセンサパケットに該当するプロトコルを実装しても、同じ機能を実現できる。
【0053】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態を説明する。第3実施形態のイベント検出システムは、第1実施形態(図1)と同様に、サーバ201と、センサ端末206と、無線基地局204とで構成される。第3実施形態では、複数のセンサ端末206が設けられるが、無線端末205は設けられていない。第3実施形態では、前述した第1実施形態との相違を主に説明し、第1又は第2実施形態と同じ構成及び処理には同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
【0054】
[システム構成]
図11は、第3実施形態に係るイベント検出システムの構成を示す図である。
【0055】
第3実施形態では、無線基地局1100に、センサ端末1(206)、センサ端末2(206)、センサ端末N(206)が接続している。センサ端末206は、複数台が無線基地局204に接続されており、接続台数を限定されない。センサ端末1~N(206)は、図2に示す構成と同じ構成であり、無線デバイス1(102)と、無線デバイス2(103)とを有する。センサ端末1(206)の無線デバイス1(102)はセンサパケット1(1110)を送信し、無線デバイス2(103)はセンサパケット1(1110)を受信する。このとき、センサ端末2(206)及びセンサ端末N(206)は、センサパケット1(1110)を受信する。同様に、センサ端末2(206)は、無線デバイス1(102)と、無線デバイス2(103)とを有する。センサ端末2(206)の無線デバイス1(102)はセンサパケット2(1111)を送信し、無線デバイス2(103)はセンサパケット2(1111)を受信する。このとき、センサ端末1(206)及びセンサ端末N(206)は、センサパケット2(1111)を受信する。また、センサ端末N(206)は、無線デバイス1(102)と、無線デバイス2(103)とを有する。センサ端末N(206)の無線デバイス1(102)はセンサパケット3(1112)を送信し、無線デバイス2(103)はセンサパケット3(1112)を受信する。このとき、センサ端末1(206)及びセンサ端末2(206)は、センサパケット3(1112)を受信する。第3実施形態では、各センサ端末が、各センサ端末が送信するセンサパケットを受信する。
【0056】
図12は、第3実施形態において、欠落したデータを補完する処理を示す図である。
【0057】
以下の説明において、補完処理は、サーバ201が実行するものとして説明するが、サーバ201以外の装置(例えばセンサ端末)が補完処理を実行してもよい。第3実施形態では、補完処理を実行するために、センサ1テーブル1201と、センサ2テーブル1202を有する。センサ1テーブル1201は、センサ端末1が取得したセンサパケットを記録し、センサ2テーブル1202は、センサ端末2が取得したセンサパケットを記録する。図11で説明したように、センサ1テーブル1201には、センサ端末1(206)が受信したセンサパケット1とセンサパケット2と、各センサパケットが取得された時刻情報T1~T3が記録される。同様に、センサ2テーブル1202には、センサ端末2(206)が受信したセンサパケット1とセンサパケット2と、各センサパケットが取得された時刻情報T1~T3が記録される。なお、センサ1テーブル1201、1202には、他のセンサパケット(例えばセンサパケットN)が記録されてもよい。
【0058】
センサパケットは、無線通信を介して取得されるため、何らかの理由によって、センサパケットが取得できないことがある。例えば、時刻T1でセンサパケットが取得され、時刻T2では何らかの理由でセンサパケットが取得されず、時刻T3、T4でセンサパケットが取得されることがある。このとき、時刻T2で取得されたセンサパケットがセンサ1テーブルに記録されている場合、センサ1テーブル1201に記録された時刻T2のセンサパケットを用いてセンサ2テーブル1202のデータを補完し、センシング処理を実行するとよい。
【0059】
第3実施形態の処理手順の一例を図12に示す。まず、センサ1テーブル1201のデータとセンサ2テーブル1202のデータを比較し(1203)、受信タイミングが同じするセンサパケットのうち一方を削除する(1204)。受信タイミングが異なるセンサパケットは、何らかの理由で欠落したセンサパケットなので、他方のセンサテーブルに記録されているセンサパケットを利用して欠落を補完した学習用センサパケットデータ503を生成し、学習モデルを作成する。運用モードでは、記録されているセンサパケットを利用して、欠落したセンサパケットを補完した運用センサパケットデータ506を生成し、分類器によって分類するセンシング機械学習分類処理を実行する(1205)。
【0060】
以上に説明した、第3実施形態における構成及び処理によって、センサパケットが欠落しても、欠落したセンサパケットを補完し、センシング処理を途中停止せずに継続できる。また、高精度でセンシングできる。
【0061】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態を説明する。第4実施形態のイベント検出システムは、第1実施形態(図1)と同様に、サーバ201と、無線端末205と、センサ端末206と、無線基地局204とで構成される。第4実施形態では、前述した第1実施形態との相違を主に説明し、第1から第3実施形態と同じ構成及び処理には同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
【0062】
[システム構成]
第4実施形態における無線端末は、無線端末205の他に、イベント検出システムで管理されない管理外無線端末1302、1303を含む。無線端末205は、前述したように、無線基地局204からのセンサリクエストに対してセンサパケット404を送信するが、管理外無線端末は、イベント検出システムの設置環境における運用形態が不明であり、無線基地局204からのセンサリクエストに応答しない無線端末である。例えば、新しくセンサ端末を導入した際に、その環境に既に設置され、運用されている無線端末である。
【0063】
図13は、第4実施形態に係るイベント検出システムの構成を示す図である。
【0064】
第4実施形態では、センサ端末206と、管理外無線端末として管理外センサ移動端末1302と、管理外センサ固定端末1303とが無線基地局204に接続している。センサ端末206は、図2に示す構成と同じ構成であり、無線デバイス1(102)と、無線デバイス2(103)とを有する。無線デバイス1(102)はセンサパケット1(1306)を送信し、無線デバイス2(103)はセンサパケット1(1306)を受信する。
【0065】
管理外センサ移動端末1302は、本実施形態のイベント検出システムの配下のセンサ端末として運用されていない、移動する無線端末である。管理外センサ移動端末1302は、無線基地局204と接続しており、管理外センサパケットM(1308)を送信する。管理外センサ固定端末1303は、本実施形態のイベント検出システムの配下のセンサ端末として運用されていない、固定的に設置された無線端末である。管理外センサ固定端末1303は、無線基地局204と接続しており、管理外センサパケットF(1307)を送信する。
【0066】
センサ端末206は、管理外センサパケットM(1308)及び管理外センサパケットF(1307)を受信する。第4実施形態では、センサ端末206は、無線端末205が送信したセンサパケット404を受信し、さらに、設置環境で稼働している管理外無線端末1302、1303が送信する管理外センサパケットを受信する。第4実施形態の管理外センサパケットは、無線端末205以外の端末が送信するパケットであり、管理外センサパケット1307、1308とセンサパケット404の内容は同じで、センシングに用いられる。
【0067】
図14は、第4実施形態において、管理外無線端末1302、1303が送信する管理外センサパケットを利用するセンシング処理を示す図である。
【0068】
管理外センサパケットを利用するセンシング処理は、サーバ201が実行するものとして説明するが、サーバ201以外の装置(例えばセンサ端末)がセンシング処理を実行してもよい。図14に示す形態では、サーバ201は、センサテーブル1401を有する。センサテーブル1401は、センサ端末206が取得したセンサパケットを記録する。例えば、センサテーブル1401は、受信時刻T1~T3において受信した、無線端末205が送信したセンサパケット404と、管理外無線端末1302、1303が送信した管理外センサパケットとを記録する。
【0069】
次に、サーバ201は、学習モードにおいて、ラベル情報1402と学習用センサパケットデータ1403との組、及び、ラベル情報1402と学習用管理外センサパケットデータ1404との組が教師データとしてセンシング機械学習モデル作成部1405に入力される。ラベル情報1402は、センシング対象となる人や物体の状態を表す情報である。ラベル情報1402と、その状態において送受信されたセンサパケットデータ1403~1404を学習用センサパケットデータとして使用する。センシング機械学習モデル作成部1405は、これらのデータを学習して、センシングに用いる機械学習モデル1406~1407を作成する。このとき、学習用センサパケットデータ1403に関して、学習モデル1(1406)を作成し、学習用管理外センサパケットデータ1404に関して、学習モデル2(1407)を作成する。
【0070】
運用モードでは、センシング処理部109が、学習モードで作成された複数の機械学習モデル1406~1407をセンサパケットごとに適用して分類結果を推測する。例えば、センサパケットデータ408が入力として与えられたとき、分類器1(1410)は、学習モデル1(1406)を用いて、センサパケットデータ408の送受信時のセンシング対象物(人、物体)の状態を推定し、センシング結果1(1411)を出力する。学習モデル1(1406)は、学習用センサパケットデータ1403を使って作成された機械学習モデルである。同様に、管理外センサパケットデータ1307、1308が入力として与えられたとき、分類器2(1414)は、学習モデル2(1407)を用いて、管理外センサパケットデータ1307、1308の送受信時のセンシング対象物(人、物体)の状態を推定し、センシング結果2(1415)を出力する。学習モデル2(1407)は、センサ2パケットデータを使って作成された機械学習モデルである。
【0071】
総合判定部1416は、このようにして得られた複数のセンシング結果1411、1415を総合判定して、一つのセンシング結果1417を得る。例えば、多数決判定や、正解データで計算した正答率による重み係数を考慮した判定によって総合判定ができる。
【0072】
図15は、第4実施形態において、管理外無線端末1302、1303が送信する管理外センサパケットを利用するセンシング処理を示す図である。前述した図14との違いは、図14に示す処理では管理外無線端末1302、1303を1種類として取り扱うが、図15に示す処理では管理外無線端末1302、1303を区別して複数種類として取り扱う。例えば、管理外無線端末に管理外センサ移動端末1302と管理外センサ固定端末1303の2種類がある場合、各無線端末の管理外センサパケットを識別し、固定端末の管理外センサパケットを利用してセンシング処理を行う。
【0073】
固定端末の管理外センサパケットを利用するセンシング処理は、サーバ201が実行するものとして説明するが、サーバ201以外の装置(例えばセンサ端末)がセンシング処理を実行してもよい。図15に示す形態では、サーバ201は、センサテーブル1501を有する。センサテーブル1501は、センサ端末206が取得したセンサパケットを記録する。例えば、センサテーブル1501は、受信時刻T1~T3において受信した、無線端末205が送信したセンサパケット404と、管理外センサ移動端末1302が送信した管理外センサパケットM(1308)と、管理外センサ固定端末1303が送信した管理外センサパケットF(1307)とを記録する。
【0074】
次に、サーバ201は、学習モードにおいて、ラベル情報1502と学習用センサパケットデータ1503との組、及び、ラベル情報1502と学習用管理外センサパケットMデータ(1504)との組、及び、ラベル情報1502と学習用管理外センサパケットFデータ(1505)との組が教師データとしてセンシング機械学習モデル作成部1506に入力される。ラベル情報1502は、センシング対象となる人や物体の状態を表す情報である。ラベル情報1502と、その状態において送受信されたセンサパケットデータ1503~1505を学習用センサパケットデータとして使用する。センシング機械学習モデル作成部1506は、これらのデータを学習して、センシングに用いる機械学習モデル1507~1509を作成する。このとき、学習用センサパケットデータ1503に関して、学習モデル1(1507)を作成し、学習用管理外センサパケットMデータ1504に関して、学習モデルM(1508)を作成し、学習用管理外センサパケットFデータ1505に関して、学習モデルF(1509)を作成する。
【0075】
次に、作成した学習モデルM(1508)及び学習モデルF(1509)が移動端末のセンサパケットに基づくものか、固定端末のセンサパケットに基づくものであるかを判定する。図14に示す形態では、移動端末と固定端末を明示的に図示しているが、実際の環境においては、管理外無線端末が移動運用されているのか、固定運用されているのかが分からない場合がある。以下に説明する処理フローは、管理外無線端末が移動運用か固定運用か分からない場合でも、管理外センサパケット及び学習モデルの特性から、移動運用か固定運用かを推定し、固定運用と推定された管理外センサパケット及び学習モデルを採用する手順である。
【0076】
まず、作成した学習モデルのスコアを計算する(1510)。例えば、予め答えがわかっている正答データを分類器によって分類し、正答率を計算してスコアを計算してもよい。
【0077】
そして、学習モデルのスコアが所定の閾値より低いため当該端末が移動端末であると判定される場合、及び端末の属性から移動端末であると判定される場合(1511)、当該学習モデルを運用モードにおけるセンシングに利用しないと判定する(1512)。学習モデルのスコアが所定の閾値より高いため当該端末が固定端末であると判定される場合、及び端末の属性から固定端末であると判定される場合(1511)、当該学習モデルを採用する(1513)。
【0078】
また、パケットの位相、振幅、信号対雑音比などの特性値を取得し、これらの特性値によって管理外無線端末の属性を判定してもよい。例えば、特性値の変動量が所定の閾値より大きい場合に、管理外無線端末が移動端末であると判定するとよい。また、振幅はキャリア毎に値があるため、管理外無線端末が固定端末であるか移動端末であるかを正確に判定できる。
【0079】
移動端末の移動によって管理外センサパケットデータは大きな変動値を含むため、当該譜面センサパケットデータに基づいて作成される学習モデルは分類の精度が低下する。そのため、固定端末の管理外センサパケットデータに基づいて作成された学習モデルは、スコアが高いことが期待できる。このようにして選別した学習モデルを利用して、センシング処理を実行する。運用モードにおいて分類結果を推測するセンシング処理は、図8図14で説明した処理と同じである。
【0080】
第4実施形態では、管理外無線端末1302、1303が設置されている構成において、センサ端末ごとに学習モデルを作成し、センサパケットデータを分類する。このため、センサ端末の設置台数が少ない場合でも、既設の無線端末(管理外無線端末)が送信するセンサパケットを利用して、高精度でセンシングできる。
【0081】
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲の趣旨内における様々な変形例及び同等の構成が含まれる。例えば、前述した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに本発明は限定されない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えてもよい。また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えてもよい。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をしてもよい。
【0082】
また、前述した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により、ハードウェアで実現してもよく、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。
【0083】
各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に格納することができる。
【0084】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、実装上必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてよい。
【符号の説明】
【0085】
100 無線基地局
101 センサ端末
102、103、403 無線デバイス
104、304、404 センサパケット
105、305、405 非センサパケット
106、306、406 パケットデータ
107、307、407 センサパケット抽出部
108、308、408 センサパケットデータ
109、309、409 センシング処理部
110、310、410 センシング結果
111、311、411 結果出力部
200 イベント検出システム
201 サーバ
202 外部ネットワーク
203 ネットワークハブ
204 無線基地局
205 無線端末
206 センサ端末
208 無線電波
500 学習モード
501 運用モード
502 ラベル情報
503 学習用センサパケットデータ
504 センシング機械学習モデル作成部
505 機械学習モデル
506 運用センサパケットデータ
507 センシング機械学習分類処理部
508 センシング結果
600 モニタ画面
601 センシング結果
602 センシング履歴
603 センシングパケットデータ詳細情報
700 無線基地局
706 無線デバイス
707 無線デバイス
708 センサ1パケットデータ
709 センサ2パケットデータ
710 センサNパケットデータ
801 ラベル情報
802 学習用センサ1パケットデータ
803 学習用センサ2パケットデータ
804 学習用センサNパケットデータ
805 センシング機械学習モデル作成部
806 機械学習モデル1
807 機械学習モデル2
808 機械学習モデルN
812 センシング結果1
816 センシング結果2
820 センシング結果N
821 総合判定部
822 センシング結果
1100 無線基地局
1201 センサ1テーブル
1202 センサ2テーブル
1302 管理外センサ移動端末
1303 管理外センサ固定端末
1307、1308 管理外センサパケットデータ
1401 センサテーブル
1402 ラベル情報
1403 学習用センサパケットデータ
1404 学習用管理外センサパケットデータ
1405 センシング機械学習モデル作成部
1406 機械学習モデル1
1407 機械学習モデル2
1411 センシング結果1
1415 センシング結果2
1416 総合判定部
1417 センシング結果
1501 センサテーブル
1502 ラベル情報
1503 学習用センサパケットデータ
1504 学習用管理外センサパケットMデータ
1505 学習用管理外センサパケットFデータ
1506 センシング機械学習モデル作成部
1507 機械学習モデル1
1508 機械学習モデルM
1509 機械学習モデルF
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15