IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
  • -半導体装置および半導体装置の製造方法 図1
  • -半導体装置および半導体装置の製造方法 図2
  • -半導体装置および半導体装置の製造方法 図3
  • -半導体装置および半導体装置の製造方法 図4
  • -半導体装置および半導体装置の製造方法 図5
  • -半導体装置および半導体装置の製造方法 図6
  • -半導体装置および半導体装置の製造方法 図7
  • -半導体装置および半導体装置の製造方法 図8
  • -半導体装置および半導体装置の製造方法 図9
  • -半導体装置および半導体装置の製造方法 図10
  • -半導体装置および半導体装置の製造方法 図11
  • -半導体装置および半導体装置の製造方法 図12
  • -半導体装置および半導体装置の製造方法 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162863
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20241114BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
H01L29/80 U
H01L29/80 H
H01L21/88 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078807
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】早坂 明泰
【テーマコード(参考)】
5F033
5F102
【Fターム(参考)】
5F033GG02
5F033GG04
5F033HH07
5F033HH13
5F033HH17
5F033HH18
5F033JJ07
5F033JJ13
5F033JJ17
5F033KK07
5F033KK13
5F033PP15
5F033PP27
5F033PP28
5F033QQ07
5F033QQ13
5F033QQ24
5F033QQ28
5F033QQ37
5F033XX22
5F102GB01
5F102GB02
5F102GC01
5F102GD01
5F102GJ02
5F102GJ03
5F102GJ10
5F102GL04
5F102GM04
5F102GQ01
5F102GS01
5F102GS04
5F102GT01
5F102HC01
5F102HC16
(57)【要約】
【課題】微細化と放熱性の向上とを両立できる半導体装置および半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置は、第1面と、前記第1面とは反対の第2面とを有する基板と、前記第1面に接する半導体層と、前記半導体層の上に設けられた第1金属層と、前記第2面に接する第3面と、前記第3面とは反対の第4面とを有するダイヤモンド層と、を有し、前記基板は、前記第1面と、前記第2面とを備えた基部と、前記基部から前記第1面とは反対に向けて延びる凸部と、を有し、前記第1面に垂直な平面視で、前記凸部は前記第1金属層と重なり、前記凸部、前記基部および前記半導体層に、前記凸部、前記基部および前記半導体層を貫通し、前記第1金属層に達する貫通孔が形成されており、前記貫通孔の内側に設けられ、前記第1金属層に電気的に接続され、前記第4面を覆う第2金属層を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面とは反対の第2面とを有する基板と、
前記第1面に接する半導体層と、
前記半導体層の上に設けられた第1金属層と、
前記第2面に接する第3面と、前記第3面とは反対の第4面とを有するダイヤモンド層と、
を有し、
前記基板は、
前記第1面と、前記第2面とを備えた基部と、
前記基部から前記第1面とは反対に向けて延びる凸部と、
を有し、
前記第1面に垂直な平面視で、前記凸部は前記第1金属層と重なり、
前記凸部、前記基部および前記半導体層に、前記凸部、前記基部および前記半導体層を貫通し、前記第1金属層に達する貫通孔が形成されており、
前記貫通孔の内側に設けられ、前記第1金属層に電気的に接続され、前記第4面を覆う第2金属層を有する、半導体装置。
【請求項2】
前記ダイヤモンド層は、前記貫通孔の内壁面に連なる第5面を有し、
前記第2金属層は、前記第5面を覆う、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記凸部は、前記第4面に連なる第6面を有し、
前記第2金属層は、前記第6面を覆う、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体層および前記第1金属層の界面と前記第4面との間の距離は、前記貫通孔の最大径の4倍以上である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記基板は、炭化珪素基板または珪素基板である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
第1面と、前記第1面とは反対の第7面とを有する基板の前記第1面に接する半導体層を形成する工程と、
前記第7面に凹部を形成することで、前記基板に、前記第1面と、前記第1面とは反対の第2面とを備えた基部と、前記基部から前記第1面とは反対に向けて延びる凸部とを形成する工程と、
前記第2面に接する第3面と、前記第3面とは反対の第4面とを有するダイヤモンド層を形成する工程と、
前記半導体層の上に、前記第1面に垂直な平面視で、前記凸部と重なる第1金属層を形成する工程と、
前記凸部、前記基部および前記半導体層に、前記凸部、前記基部および前記半導体層を貫通し、前記第1金属層に達する貫通孔を形成する工程と、
前記貫通孔の内側に、前記第1金属層に電気的に接続され、前記第4面を覆う第2金属層を形成する工程と、
有する、半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記貫通孔を形成する工程は、前記凸部の端面の全体が露出した状態で前記凸部をエッチングする工程を有する、請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記貫通孔を形成する工程は、
前記凸部の端面の一部を覆うマスクを形成する工程と、
前記凸部の前記マスクから露出した部分をエッチングする工程と、
を有する、請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記ダイヤモンド層を形成する工程は、
前記凹部の内側および前記凸部の端面の上に第1ダイヤモンド層を堆積させる工程と、
前記第1ダイヤモンド層および前記凸部を研磨する工程と、
有する、請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
窒化ガリウム(GaN)系高電子移動度トランジスタ(high electron mobility transistor:HEMT)等の半導体装置では、動作速度の向上に伴って大きな発熱が生じる。そこで、放熱性の向上のためにダイヤモンド基板の上にHEMTを設けた半導体装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/255259号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のダイヤモンド基板を用いた半導体装置では、ダイヤモンド基板に微細な貫通孔を形成することができない。このため、微細化と放熱性の向上とを両立できない。
【0005】
本開示は、微細化と放熱性の向上とを両立できる半導体装置および半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の半導体装置は、第1面と、前記第1面とは反対の第2面とを有する基板と、前記第1面に接する半導体層と、前記半導体層の上に設けられた第1金属層と、前記第2面に接する第3面と、前記第3面とは反対の第4面とを有するダイヤモンド層と、を有し、前記基板は、前記第1面と、前記第2面とを備えた基部と、前記基部から前記第1面とは反対に向けて延びる凸部と、を有し、前記第1面に垂直な平面視で、前記凸部は前記第1金属層と重なり、前記凸部、前記基部および前記半導体層に、前記凸部、前記基部および前記半導体層を貫通し、前記第1金属層に達する貫通孔が形成されており、前記貫通孔の内側に設けられ、前記第1金属層に電気的に接続され、前記第4面を覆う第2金属層を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、微細化と放熱性の向上とを両立できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
図2図2は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その1)である。
図3図3は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その2)である。
図4図4は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その3)である。
図5図5は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その4)である。
図6図6は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その5)である。
図7図7は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その6)である。
図8図8は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その7)である。
図9図9は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その8)である。
図10図10は、第2実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
図11図11は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その1)である。
図12図12は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その2)である。
図13図13は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その3)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
〔1〕 本開示の一態様に係る半導体装置は、第1面と、前記第1面とは反対の第2面とを有する基板と、前記第1面に接する半導体層と、前記半導体層の上に設けられた第1金属層と、前記第2面に接する第3面と、前記第3面とは反対の第4面とを有するダイヤモンド層と、を有し、前記基板は、前記第1面と、前記第2面とを備えた基部と、前記基部から前記第1面とは反対に向けて延びる凸部と、を有し、前記第1面に垂直な平面視で、前記凸部は前記第1金属層と重なり、前記凸部、前記基部および前記半導体層に、前記凸部、前記基部および前記半導体層を貫通し、前記第1金属層に達する貫通孔が形成されており、前記貫通孔の内側に設けられ、前記第1金属層に電気的に接続され、前記第4面を覆う第2金属層を有する。
【0011】
ダイヤモンド層の第3面が基部の第2面に接するため、半導体層にて生じた熱がダイヤモンド層に伝達しやすい。また、貫通孔は凸部、基部および半導体層に形成されており、貫通孔の形成のためにダイヤモンド層を加工する必要はない。このため、微細な貫通孔を容易に形成できる。従って、微細化と放熱性の向上とを両立できる。
【0012】
〔2〕 〔1〕において、前記ダイヤモンド層は、前記貫通孔の内壁面に連なる第5面を有し、前記第2金属層は、前記第5面を覆ってもよい。この場合、ダイヤモンド層をマスクとして用いながら貫通孔を形成できる。従って、貫通孔の形成のためのマスクが必要とされず、マスクを用いる場合と比べて工程数を少なくできる。
【0013】
〔3〕 〔1〕において、前記凸部は、前記第4面に連なる第6面を有し、前記第2金属層は、前記第6面を覆ってもよい。この場合、第2金属層と凸部との間に大きな接触面積を確保しやすく、良好な密着性を得やすい。
【0014】
〔4〕 〔1〕から〔3〕のいずれかにおいて、前記半導体層および前記第1金属層の界面と前記第4面との間の距離は、前記貫通孔の最大径の4倍以上であってもよい。この場合、径が小さい貫通孔が得られ、微細化に好適である。
【0015】
〔5〕 〔1〕から〔4〕のいずれかにおいて、前記基板は、炭化珪素基板または珪素基板であってもよい。この場合、特に貫通孔を形成しやすい。
【0016】
〔6〕 本開示の他の一態様に係る半導体装置の製造方法は、第1面と、前記第1面とは反対の第7面とを有する基板の前記第1面に接する半導体層を形成する工程と、前記第7面に凹部を形成することで、前記基板に、前記第1面と、前記第1面とは反対の第2面とを備えた基部と、前記基部から前記第1面とは反対に向けて延びる凸部とを形成する工程と、前記第2面に接する第3面と、前記第3面とは反対の第4面とを有するダイヤモンド層を形成する工程と、前記半導体層の上に、前記第1面に垂直な平面視で、前記凸部と重なる第1金属層を形成する工程と、前記凸部、前記基部および前記半導体層に、前記凸部、前記基部および前記半導体層を貫通し、前記第1金属層に達する貫通孔を形成する工程と、前記貫通孔の内側に、前記第1金属層に電気的に接続され、前記第4面を覆う第2金属層を形成する工程と、有する。
【0017】
ダイヤモンド層を加工せずとも、凸部、基部および半導体層に貫通孔を形成でき、貫通孔の内側に第2金属層を形成できる。このため、微細な貫通孔を容易に形成できる。また、ダイヤモンド層の第3面が基部の第2面に接するため、半導体層にて生じた熱がダイヤモンド層に伝達しやすい。従って、微細化と放熱性の向上とを両立できる。
【0018】
〔7〕 〔6〕において、前記貫通孔を形成する工程は、前記凸部の端面の全体が露出した状態で前記凸部をエッチングする工程を有してもよい。この場合、貫通孔の形成のためのマスクが必要とされず、マスクを用いて凸部をエッチングする場合と比べて工程数を少なくできる。
【0019】
〔8〕 〔6〕において、前記貫通孔を形成する工程は、前記凸部の端面の一部を覆うマスクを形成する工程と、前記凸部の前記マスクから露出した部分をエッチングする工程と、を有してもよい。この場合、マスクを用いて高精度で貫通孔を形成できる。
【0020】
〔9〕 〔6〕から〔8〕のいずれかにおいて、前記ダイヤモンド層を形成する工程は、前記凹部の内側および前記凸部の端面の上に第1ダイヤモンド層を堆積させる工程と、前記第1ダイヤモンド層および前記凸部を研磨する工程と、有してもよい。この場合、ダイヤモンドの堆積の量の制御が容易である。
【0021】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の実施形態について詳細に説明するが、本開示はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。また、以下の説明では、XYZ直交座標系を用いるが、当該座標系は、説明のために定めるものであって、半導体装置の姿勢について限定するものではない。また、任意の点からみて、+Z側を上方、上側または上ということがあり、-Z側を下方、下側または下ということがある。
【0022】
(第1実施形態)
第1実施形態について説明する。第1実施形態はGaN系高電子移動度トランジスタ(high electron mobility transistor:HEMT)を含む半導体装置に関する。
【0023】
〔半導体装置の構成〕
第1実施形態に係る半導体装置の構成について説明する。図1は、第1実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【0024】
図1に示すように、第1実施形態に係る半導体装置1は、主として、基板10と、半導体層15と、複数のゲート電極21と、複数のソース電極22Sと、複数のドレイン電極22Dと、エッチングストッパ23と、複数のソース配線32Sと、複数のドレイン配線32Dと、裏面電極51と、複数のダイヤモンド層40とを有する。
【0025】
基板10は、例えば炭化珪素(SiC)基板である。基板10は、基部11と、複数の凸部12とを有する。基部11は、第1面11Aと、第1面11Aとは反対の第2面11Bとを有する。第2面11Bは第1面11Aの下方(-Z側)にある。第1面11Aは上面であり、第2面11Bは下面である。凸部12は、基部11から第1面11Aとは反対に向けて延びる。
【0026】
半導体層15は基部11の第1面11Aに接する。半導体層15は基部11の上に設けられている。半導体層15は、例えばガリウム(Ga)を含む窒化物半導体層である。窒化物半導体層は、電子走行層(チャネル層)および電子供給層(バリア層)等の高電子移動度トランジスタの一部を構成する。
【0027】
ソース電極22Sおよびドレイン電極22Dは半導体層15の上に設けられている。ソース電極22Sおよびドレイン電極22Dは、Y軸方向に平行に延びる。ソース電極22Sおよびドレイン電極22Dは、X軸方向に交互に並んでいる。ソース電極22Sは、第1面11Aに垂直な平面視で凸部12と重なる。ソース電極22Sおよびドレイン電極22Dは、例えばアルミニウム(Al)電極である。Al電極は半導体層15とオーミック接触する。
【0028】
ソース電極22Sに開口部25が形成されている。開口部25から半導体層15が露出する。第1面11Aに垂直な平面視で、開口部25の内側にエッチングストッパ23が形成されている。エッチングストッパ23は半導体層15に接する。エッチングストッパ23は、例えば、上方に向かって順に積層されたニッケル(Ni)層および金(Au)層を有する。凸部12は、第1面11Aに垂直な平面視でエッチングストッパ23と重なる。エッチングストッパ23は第1金属層の一例である。
【0029】
凸部12、基部11および半導体層15に、凸部12および基部11および半導体層15を貫通し、エッチングストッパ23に達する貫通孔50が形成されている。
【0030】
凸部12は、Z軸方向に平行な断面視で、面12Aおよび12Bを有する。面12Aおよび12Bは互いの-Z側の端部で繋がる。面12Aは貫通孔50の内壁面に相当する。面12Bは基部11の第2面11Bに繋がる。面12Bは曲面であってもよい。面12Aと面12Bとの間の距離は、基部11に近い部分ほど大きくなっている。
【0031】
半導体装置1は絶縁膜61を有する。絶縁膜61は半導体層15の上面を覆う。例えば、絶縁膜61は窒化シリコン(SiN)膜等の窒化膜である。絶縁膜61に、複数の開口部61Sと、複数の開口部61Dと、複数の開口部61Gとが形成されている。開口部61S、開口部61Dおよび開口部61GはY軸方向に平行に延びる。開口部61Sおよび開口部61Dは、X軸方向に交互に並んでいる。開口部61Sからソース電極22Sの一部が露出し、開口部61Dからドレイン電極22Dの一部が露出する。開口部61Gは、X軸方向で隣り合う開口部61Sと開口部61Dとの間に設けられている。開口部61Gから半導体層15の一部が露出する。
【0032】
ゲート電極21はY軸方向に平行に延びる。ゲート電極21は、絶縁膜61の開口部61Gを覆い、開口部61Gを通じて半導体層15にショットキー接触している。ゲート電極21は、互いに隣り合うソース電極22Sとドレイン電極22Dとの間に設けられている。ゲート電極21は、例えば、上方に向かって順に積層されたNi層およびAu層を有する。
【0033】
ソース配線32Sはソース電極22Sおよびエッチングストッパ23の上にある。ソース配線32Sはソース電極22Sおよびエッチングストッパ23に接している。ソース電極22Sとエッチングストッパ23とがソース配線32Sを介して電気的に接続されている。ドレイン配線32Dはドレイン電極22Dの上にある。ドレイン配線32Dはドレイン電極22Dに接している。ソース配線32Sおよびドレイン配線32Dは、例えば、シード層と、シード層の上のめっき層とを有する。例えば、シード層はチタン(Ti)層を含み、めっき層はAu層を含む。複数のソース配線32Sが互いに接続されていてもよく、複数のドレイン配線32Dが互いに接続されていてもよい。
【0034】
ダイヤモンド層40は、第2面11Bに接する第3面40Aと、第3面40Aとは反対の第4面40Bとを有する。第4面40Bは第3面40Aの下方(-Z側)にある。第3面40Aは上面であり、第4面40Bは下面である。ダイヤモンド層40の厚さ、すなわち第3面40Aと第4面40Bとの間の距離は、基部11を基準とした凸部12の高さよりも大きい。言い換えると、第4面40Bは凸部12の端面よりも基部11から離れている。ダイヤモンド層40は、貫通孔50の内壁面、つまり凸部12の面12Aに連なる第5面40Cを有する。第5面40Cは曲面であってもよい。
【0035】
裏面電極51は、エッチングストッパ23の下面と、貫通孔50の内壁面と、ダイヤモンド層40の第5面40Cおよび第4面40Bとに形成されている。裏面電極51は、エッチングストッパ23に接するともに、第5面40C、第4面40Bおよび貫通孔50の内壁面を覆う。裏面電極51は、例えば、シード層およびめっき層を有する。例えば、シード層は、ニッケルクロム(NiCr)層と、NiCr層の下側に設けられたAu層とを有し、めっき層はAuめっき層を有する。Auめっき層の下側にNiCr層が設けられていてもよい。裏面電極51は第2金属層の一例である。
【0036】
〔半導体装置の製造方法〕
次に、第1実施形態に係る半導体装置1の製造方法について説明する。図2から図9は、第1実施形態に係る半導体装置1の製造方法を示す断面図である。
【0037】
まず、図2に示すように、例えば有機金属気相成長(metal organic chemical vapor deposition:MOCVD)法により、基板10の上に半導体層15を形成する。基板10は、第1面11Aと、第1面11Aとは反対の第7面11Cとを有する。第7面11Cは第1面11Aの下方(-Z側)にある。第1面11Aは上面であり、第7面11Cは下面である。半導体層15は第1面11Aに接する。
【0038】
次に、図3に示すように、基板10の第7面11Cにマスク71を形成する。マスク71は、基板10の凸部12を形成する部分を覆う。
【0039】
次に、図4に示すように、基板10を第7面11Cからエッチングして凹部13を形成する。凹部13の形成では、例えばフッ素(F)を含む反応性ガスを用いた基板10の反応性イオンエッチング(reactive ion etching:RIE)を行う。この結果、基板10に、基部11と、凸部12とが形成される。基部11は、第1面11Aと、第1面11Aとは反対の第2面11Bとを備え、凸部12は、基部11から第1面11Aとは反対に向けて延びる。この時、凹部13の内壁面は凹面となり、凸部12はくびれた部分を含む。
【0040】
次に、図5に示すように、マスク71を除去し、ダイヤモンド層41を凹部13の内側に堆積させる。ダイヤモンド層41は、例えば700℃以上1100℃以下の温度環境下でCVD法により形成できる。成長の初期段階でダイヤモンド層41は非晶質または多結晶の部分を含むが、ダイヤモンド層41の大部分は単結晶となる。ダイヤモンド層41は凸部12の端面を覆うように形成してよい。ダイヤモンド層41は第1ダイヤモンド層の一例である。
【0041】
次に、図6に示すように、ダイヤモンド層41および凸部12を研磨する。この結果、ダイヤモンド層41から、第2面11Bに接する第3面40Aと、第3面40Aとは反対の第4面40Bとを有するダイヤモンド層40が形成される。ダイヤモンド層40の側面は凹部13の内壁面に沿った凸面となる。
【0042】
次に、図7に示すように、半導体層15の上面の上に、ソース電極22S、ドレイン電極22D、絶縁膜61、開口部61S、開口部61D、開口部61G、ゲート電極21、開口部25エッチングストッパ23、ソース配線32Sおよびドレイン配線32Dを形成する。この時、エッチングストッパ23は、半導体層15の上に、第1面11Aに垂直な平面視で、凸部12と重なるように形成する。
【0043】
次に、図8に示すように、凸部12、基部11および半導体層15に、凸部12、基部11および半導体層15を貫通し、エッチングストッパ23に達する貫通孔50を形成する。この時、凸部12の端面の全体が露出した状態で凸部12がエッチングされる。貫通孔50の形成では、例えばFを含む反応性ガスを用いた凸部12、基部11および半導体層15のRIEを行う。この時、凸部12のくびれた部分よりも下方では、凸部12の全体が除去され、凸部12のくびれた部分より上方では、ダイヤモンド層40をマスクとして凸部12、基部11および半導体層15が順次異方性エッチングされる。この結果、凸部12の一部が残存する。残存した凸部12は、面12Aおよび面12Bを有する。面12Bは凹部13(図4参照)の内壁面の一部である。また、ダイヤモンド層40は貫通孔50の内壁面に連なる第5面40Cを有する。
【0044】
次に、図9に示すように、裏面電極51を形成する。裏面電極51は、エッチングストッパ23の下面と、貫通孔50の内壁面と、ダイヤモンド層40の第5面40Cおよび第4面40Bとに形成される。裏面電極51の形成では、例えば、シード層を形成した後、シード層の上にめっき層を形成する。シード層の形成では、例えば、NiCr層をスパッタ法により形成し、その後にAu層を形成する。めっき層としては、例えばAuめっき層を形成する。めっき層の形成後にNiCr層をスパッタ法により形成してもよい。
【0045】
このようにして、第1実施形態に係る半導体装置1を製造することができる。
【0046】
第1実施形態に係る半導体装置1においては、ダイヤモンド層40の第3面40Aが基部11の第2面11Bに接するため、半導体層15にて生じた熱がダイヤモンド層40に伝達しやすい。また、ダイヤモンド層40を加工せずとも、凸部12、基部11および半導体層15に貫通孔50を形成でき、貫通孔50の内側に裏面電極51を形成できる。このため、微細な貫通孔50を容易に形成できる。従って、微細化と放熱性の向上とを両立できる。
【0047】
特に、貫通孔50の形成の際に、凸部12の端面の全体が露出した状態で凸部12がエッチングされるため、貫通孔50の形成のためのマスクが必要とされず、マスクを用いて凸部12をエッチングする場合と比べて工程数を少なくできる。このようなエッチングの結果、ダイヤモンド層40が貫通孔50の内壁面に連なる第5面40Cを有し、裏面電極51が第5面40Cを覆うようになる。
【0048】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、主として基板10の構成の点で第1実施形態と相違する。
【0049】
〔半導体装置の構成〕
第2実施形態に係る半導体装置の構成について説明する。図10は、第2実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【0050】
図10に示すように、第2実施形態に係る半導体装置2では、貫通孔50の径が第1実施形態よりも小さく、ダイヤモンド層40の側面の全体が凸部12に接する。第1実施形態とは異なり、ダイヤモンド層40は貫通孔50の内壁面に連なる第5面40Cを有していない。凸部12はダイヤモンド層40の第4面40Bに連なる第6面12Cを有する。第6面12Cは、例えば第4面40Bと面一である。基部11を基準とした凸部12の高さが、ダイヤモンド層40の厚さと等しい。裏面電極51が凸部12の第6面12Cを覆っている。
【0051】
第2実施形態の他の構成は第1実施形態と同一である。
【0052】
〔半導体装置の製造方法〕
次に、第2実施形態に係る半導体装置2の製造方法について説明する。図11から図13は、第2実施形態に係る半導体装置2の製造方法を示す断面図である。
【0053】
まず、第1実施形態と同じく、ソース電極22S、ドレイン電極22D、絶縁膜61、開口部61S、開口部61D、開口部61G、ゲート電極21、開口部25エッチングストッパ23、ソース配線32Sおよびドレイン配線32Dの形成までの処理を行う(図7参照)。次に、図11に示すように、基板10の下面およびダイヤモンド層40の下面(第4面40B)にマスク72を形成する。マスク72は、基板10の貫通孔50を形成する部分に開口部73を有する。マスク72は、例えば、基板10に接するNiCr層と、NiCr層の上に設けられたAu層とを有する。Au層に開口部を形成する際にはドライエッチングを行い、NiCr層に開口部を形成する際にはウェットエッチングを行う。
【0054】
次に、図12に示すように、凸部12、基部11および半導体層15に、凸部12、基部11および半導体層15を貫通し、エッチングストッパ23に達する貫通孔50を形成する。貫通孔50の形成では、例えばFを含む反応性ガスを用いた凸部12、基部11および半導体層15のRIEを行う。この時、凸部12、基部11および半導体層15の開口部73から露出した部分が順次異方性エッチングされる。この結果、凸部12の一部が残存する。残存した凸部12は、面12Aおよび面12Bと、第6面12Cとを有する。第6面12Cはダイヤモンド層40の第4面40Bに連なる。
【0055】
次に、図13に示すように、マスク72を除去し、裏面電極51を形成する。裏面電極51は、エッチングストッパ23の下面と、貫通孔50の内壁面と、凸部12の第6面12Cと、ダイヤモンド層40の第4面40Bとに形成される。
【0056】
このようにして、第2実施形態に係る半導体装置2を製造することができる。
【0057】
第2実施形態に係る半導体装置2においても、ダイヤモンド層40の第3面40Aが基部11の第2面11Bに接するため、半導体層15にて生じた熱がダイヤモンド層40に伝達しやすい。また、ダイヤモンド層40を加工せずとも、凸部12、基部11および半導体層15に貫通孔50を形成でき、貫通孔50の内側に裏面電極51を形成できる。このため、微細な貫通孔50を容易に形成できる。従って、微細化と放熱性の向上とを両立できる。
【0058】
特に、貫通孔50の形成の際に、凸部12の端面の一部を覆うマスク72が形成され、凸部12のマスク72から露出した部分がエッチングされるため、高精度で貫通孔50を形成できる。このようなエッチングの結果、凸部12が第4面40Bに連なる第6面12Cを有し、裏面電極51が第6面12Cを覆うようになる。この場合、裏面電極51と凸部12との間に大きな接触面積を確保しやすく、良好な密着性を得やすい。
【0059】
なお、第1実施形態、第2実施形態のいずれにおいても、半導体層15およびエッチングストッパ23の界面と第4面40Bとの間の距離Lが、貫通孔50の最大径Dの4倍以上であると、微細化に好適である。距離Lが最大径Dの4.5倍以上であってもよく、5倍以上であってもよい。
【0060】
基板10は、炭化珪素基板に限定されず、珪素基板であってもよい。炭化珪素基板または珪素基板のいずれであっても、ダイヤモンドと比べて貫通孔50を形成しやすい。特に珪素基板は加工しやすい。また、炭化珪素基板を用いることで、高い耐圧を得やすい。
【0061】
また、製造過程において、凹部13の内側および凸部12の端面の上にダイヤモンド層41を堆積させ、その後にダイヤモンド層41および凸部12を研磨することで、ダイヤモンド層41の堆積の量の制御が容易となる。
【0062】
以上、実施形態について詳述したが、本開示は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形および変更が可能である。
【符号の説明】
【0063】
1、2:半導体装置
10:基板
11:基部
11A:第1面
11B:第2面
11C:第7面
12:凸部
12A、12B:面
12C:第6面
13:凹部
15:半導体層
21:ゲート電極
22D:ドレイン電極
22S:ソース電極
23:エッチングストッパ
25:開口部
32D:ドレイン配線
32S:ソース配線
40、41:ダイヤモンド層
40A:第3面
40B:第4面
40C:第5面
50:貫通孔
51:裏面電極
61:絶縁膜
61D、61G、61S:開口部
71、72:マスク
73:開口部
D:最大径
L:距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13