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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162864
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20241114BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20241114BHJP
   H01L 29/417 20060101ALI20241114BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
H01L29/80 F
H01L21/28 301R
H01L29/50 J
H01L29/80 H
H01L21/90 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078808
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】新江 定憲
【テーマコード(参考)】
4M104
5F033
5F102
【Fターム(参考)】
4M104AA04
4M104AA07
4M104BB05
4M104BB09
4M104BB17
4M104CC01
4M104CC03
4M104DD34
4M104DD68
4M104EE06
4M104EE12
4M104EE14
4M104EE15
4M104EE17
4M104FF17
4M104FF18
4M104GG12
5F033GG02
5F033HH08
5F033HH13
5F033JJ18
5F033JJ19
5F033JJ33
5F033KK08
5F033KK18
5F033KK21
5F033PP06
5F033PP19
5F033QQ13
5F033QQ23
5F033RR01
5F033RR04
5F033TT02
5F033XX22
5F102GB01
5F102GC01
5F102GD01
5F102GJ02
5F102GL04
5F102GM04
5F102GQ01
5F102GS01
5F102GS04
5F102GT01
5F102GV05
5F102GV06
5F102GV07
5F102GV08
5F102HC01
5F102HC11
5F102HC19
(57)【要約】
【課題】放熱性を向上できる半導体装置および半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置は、基板と、前記基板の上に設けられた半導体層と、前記半導体層の上に設けられた第1主電極および第2主電極と、前記半導体層の上で、前記第1主電極と前記第2主電極との間に設けられた制御電極と、前記制御電極に直接接触すると共に、前記第1主電極を覆う第1絶縁層と、前記第1絶縁層の上に設けられた第2絶縁層と、前記第1絶縁層および前記第2絶縁層を貫通し、前記第1主電極に電気的に接続され、前記第1絶縁層に直接接触する第1導電層と、前記第2絶縁層の上に設けられ、前記第1導電層に直接接触する第2導電層と、を有し、前記第1絶縁層は、窒化アルミニウムを含む。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の上に設けられた半導体層と、
前記半導体層の上に設けられた第1主電極および第2主電極と、
前記半導体層の上で、前記第1主電極と前記第2主電極との間に設けられた制御電極と、
前記制御電極に直接接触すると共に、前記第1主電極を覆う第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の上に設けられた第2絶縁層と、
前記第1絶縁層および前記第2絶縁層を貫通し、前記第1主電極に電気的に接続され、前記第1絶縁層に直接接触する第1導電層と、
前記第2絶縁層の上に設けられ、前記第1導電層に直接接触する第2導電層と、
を有し、
前記第1絶縁層は、窒化アルミニウムを含む、半導体装置。
【請求項2】
前記第1絶縁層は、前記半導体層に直接接触する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
フッ素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対する前記第1絶縁層の耐性は、フッ素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対する前記第2絶縁層の耐性よりも高い、請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1主電極と前記第1絶縁層との間に設けられ、前記第1導電層が貫通する第3絶縁層を有し、
塩素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対する前記第3絶縁層の耐性は、塩素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対する前記第1絶縁層の耐性よりも高い、請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1主電極と前記第2導電層との間において、
前記第1主電極と前記第1絶縁層との間の距離は、前記第2導電層と前記第1絶縁層との間の距離よりも大きい、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1主電極は、前記第1導電層および前記第3絶縁層に直接接触する第3導電層を有し、
フッ素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対する前記第3導電層の耐性は、フッ素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対する前記第3絶縁層の耐性よりも高い、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第3導電層はチタン層である、請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1絶縁層および前記第2絶縁層を貫通し、前記第2主電極に電気的に接続され、前記第1絶縁層に直接接触する第4導電層と、
前記第2絶縁層の上に設けられ、前記第4導電層に直接接触する第5導電層と、
を有する、請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第2主電極と前記第1絶縁層との間に設けられ、前記第4導電層が貫通する第4絶縁層を有し、
塩素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対する前記第4絶縁層の耐性は、塩素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対する前記第1絶縁層の耐性よりも高い、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第2主電極と前記第5導電層との間において、
前記第2主電極と前記第1絶縁層との間の距離は、前記第5導電層と前記第1絶縁層との間の距離よりも大きい、請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第2主電極は、前記第1導電層および前記第4絶縁層に直接接触する第6導電層を有し、
フッ素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対する前記第6導電層の耐性は、フッ素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対する前記第4絶縁層の耐性よりも高い、請求項9に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第6導電層はチタン層である、請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
基板の上に半導体層を形成する工程と、
前記半導体層の上に第1主電極および第2主電極を形成する工程と、
前記半導体層の上で、前記第1主電極と前記第2主電極との間に制御電極を形成する工程と、
前記制御電極に直接接触すると共に、前記第1主電極を覆う第1絶縁層を形成する工程と、
前記第1絶縁層の上に第2絶縁層を形成する工程と、
前記第1絶縁層および前記第2絶縁層に、前記第1絶縁層および前記第2絶縁層を貫通し、前記第1主電極に達するコンタクトホールを形成する工程と、
前記コンタクトホール内に、前記第1主電極に電気的に接続され、前記第1絶縁層に直接接触する第1導電層を形成する工程と、
前記第2絶縁層の上に、前記第1導電層に直接接触する第2導電層を形成する工程と、
を有し、
前記第1絶縁層は、窒化アルミニウムを含む、半導体装置の製造方法。
【請求項14】
フッ素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対する前記第1絶縁層の耐性は、フッ素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対する前記第2絶縁層の耐性よりも高く、
前記コンタクトホールを形成する工程は、
フッ素を含む反応性ガスを用いたエッチングにより、前記第2絶縁層を貫通し、前記第1絶縁層に達する第1開口部を形成する工程と、
前記第1絶縁層の前記第1開口部から露出した部分のエッチングにより、前記第1絶縁層を貫通する第2開口部を形成する工程と、
を有する、請求項13に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記第1主電極および前記第2主電極を形成する工程と前記第1絶縁層を形成する工程との間に、前記第1主電極の上に第3絶縁層を形成する工程を有し、
塩素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対する前記第3絶縁層の耐性は、塩素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対する前記第1絶縁層の耐性よりも高く、
前記第1絶縁層は、前記第3絶縁層を覆い、
前記第2開口部を形成する工程は、塩素を含む反応性ガスを用いて前記第1絶縁層の前記第1開口部から露出した部分をエッチングする工程を有する、請求項14に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記第1主電極を形成する工程は、前記第3絶縁層に直接接触する第3導電層を形成する工程を有し、
フッ素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対する前記第3導電層の耐性は、フッ素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対する前記第3絶縁層の耐性よりも高く、
前記コンタクトホールを形成する工程は、フッ素を含む反応性ガスを用いた前記第3絶縁層の前記第2開口部から露出した部分のエッチングにより、前記第3絶縁層を貫通する第3開口部を形成する工程を有する、請求項15に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高電子移動度トランジスタ(high electron mobility transistor:HEMT)を含む半導体装置においては、ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極が絶縁層により覆われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-017647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、高出力化および高周波化に伴って発熱量が増加する傾向にある。このため、放熱性の更なる向上が望まれる。
【0005】
本開示は、放熱性を向上できる半導体装置および半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の半導体装置は、基板と、前記基板の上に設けられた半導体層と、前記半導体層の上に設けられた第1主電極および第2主電極と、前記半導体層の上で、前記第1主電極と前記第2主電極との間に設けられた制御電極と、前記制御電極に直接接触すると共に、前記第1主電極を覆う第1絶縁層と、前記第1絶縁層の上に設けられた第2絶縁層と、前記第1絶縁層および前記第2絶縁層を貫通し、前記第1主電極に電気的に接続され、前記第1絶縁層に直接接触する第1導電層と、前記第2絶縁層の上に設けられ、前記第1導電層に直接接触する第2導電層と、を有し、前記第1絶縁層は、窒化アルミニウムを含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、放熱性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
図2図2は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その1)である。
図3図3は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その2)である。
図4図4は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その3)である。
図5図5は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その4)である。
図6図6は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その5)である。
図7図7は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その6)である。
図8図8は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その7)である。
図9図9は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その8)である。
図10図10は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その9)である。
図11図11は、第2実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
図12図12は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その1)である。
図13図13は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その2)である。
図14図14は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その3)である。
図15図15は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その4)である。
図16図16は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その5)である。
図17図17は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その6)である。
図18図18は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その7)である。
図19図19は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その8)である。
図20図20は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その9)である。
図21図21は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その10)である。
図22図22は、第3実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
図23図23は、第4実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
図24図24は、第5実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
〔1〕 本開示の一態様に係る半導体装置は、基板と、前記基板の上に設けられた半導体層と、前記半導体層の上に設けられた第1主電極および第2主電極と、前記半導体層の上で、前記第1主電極と前記第2主電極との間に設けられた制御電極と、前記制御電極に直接接触すると共に、前記第1主電極を覆う第1絶縁層と、前記第1絶縁層の上に設けられた第2絶縁層と、前記第1絶縁層および前記第2絶縁層を貫通し、前記第1主電極に電気的に接続され、前記第1絶縁層に直接接触する第1導電層と、前記第2絶縁層の上に設けられ、前記第1導電層に直接接触する第2導電層と、を有し、前記第1絶縁層は、窒化アルミニウムを含む。
【0011】
半導体装置の動作時に半導体層の制御電極の近傍において熱が発生しやすい。この熱は、基板に向かって拡散するだけでなく、制御電極に向かっても拡散する。第1絶縁層が制御電極に直接接触し、第1絶縁層は第1導電層に直接接触し、第1導電層は第2導電層に直接接触する。このため、制御電極に達した熱は、第1絶縁層および第1導電層を介して第2導電層に伝達される。また、第1絶縁層が窒化アルミニウムを含む。窒化アルミニウムは高い熱伝導率を有するため、高効率で第2導電層から排熱できる。つまり、放熱性を向上できる。
【0012】
〔2〕 〔1〕において、前記第1絶縁層は、前記半導体層に直接接触してもよい。この場合、半導体層内で発生した熱をより高効率で第2導電層まで伝達できる。
【0013】
〔3〕 〔1〕または〔2〕において、フッ素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対する前記第1絶縁層の耐性は、フッ素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対する前記第2絶縁層の耐性よりも高くてもよい。この場合、第1導電層の形成のためのコンタクトホールを容易に形成しやすい。
【0014】
〔4〕 〔1〕から〔3〕のいずれかにおいて、前記第1主電極と前記第1絶縁層との間に設けられ、前記第1導電層が貫通する第3絶縁層を有し、塩素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対する前記第3絶縁層の耐性は、塩素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対する前記第1絶縁層の耐性よりも高くてもよい。この場合、第1導電層の形成のためのコンタクトホールを容易に形成しやすい。
【0015】
〔5〕 〔4〕において、前記第1主電極と前記第2導電層との間において、前記第1主電極と前記第1絶縁層との間の距離は、前記第2導電層と前記第1絶縁層との間の距離よりも大きくてもよい。この場合、第1主電極と第1絶縁層との間の距離が第2導電層と第1絶縁層との間の距離よりも小さい場合と比べて、第1導電層における熱の伝達経路を短くできるため、熱をより高効率で第2導電層まで伝達できる。
【0016】
〔6〕 〔4〕または〔5〕において、前記第1主電極は、前記第1導電層および前記第3絶縁層に直接接触する第3導電層を有し、フッ素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対する前記第3導電層の耐性は、フッ素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対する前記第3絶縁層の耐性よりも高くてもよい。この場合、第1導電層の形成のためのコンタクトホールを容易に形成しやすい。
【0017】
〔7〕 〔6〕において、前記第3導電層はチタン層であってもよい。この場合、第3導電層にフッ素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対して高い耐性を得やすい。
【0018】
〔8〕 〔1〕から〔7〕のいずれかにおいて、前記第1絶縁層および前記第2絶縁層を貫通し、前記第2主電極に電気的に接続され、前記第1絶縁層に直接接触する第4導電層と、前記第2絶縁層の上に設けられ、前記第4導電層に直接接触する第5導電層と、を有してもよい。この場合、熱の伝達経路が増えるため、より高い放熱性が得られる。
【0019】
〔9〕 〔8〕において、前記第2主電極と前記第1絶縁層との間に設けられ、前記第4導電層が貫通する第4絶縁層を有し、塩素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対する前記第4絶縁層の耐性は、塩素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対する前記第1絶縁層の耐性よりも高くてもよい。この場合、第4導電層の形成のためのコンタクトホールを容易に形成しやすい。
【0020】
〔10〕 〔9〕において、前記第2主電極と前記第5導電層との間において、前記第2主電極と前記第1絶縁層との間の距離は、前記第5導電層と前記第1絶縁層との間の距離よりも大きくてもよい。この場合、第2主電極と第1絶縁層との間の距離が第5導電層と第1絶縁層との間の距離よりも小さい場合と比べて、第4導電層における熱の伝達経路を短くできるため、熱をより高効率で第5導電層まで伝達できる。
【0021】
〔11〕 〔9〕または〔10〕において、前記第2主電極は、前記第1導電層および前記第4絶縁層に直接接触する第6導電層を有し、フッ素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対する前記第6導電層の耐性は、フッ素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対する前記第4絶縁層の耐性よりも高くてもよい。この場合、第4導電層の形成のためのコンタクトホールを容易に形成しやすい。
【0022】
〔12〕 〔11〕において、前記第6導電層はチタン層であってもよい。この場合、第6導電層にフッ素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対して高い耐性を得やすい。
【0023】
〔13〕 本開示の他の一態様に係る半導体装置の製造方法は、基板の上に半導体層を形成する工程と、前記半導体層の上に第1主電極および第2主電極を形成する工程と、前記半導体層の上で、前記第1主電極と前記第2主電極との間に制御電極を形成する工程と、前記制御電極に直接接触すると共に、前記第1主電極を覆う第1絶縁層を形成する工程と、前記第1絶縁層の上に第2絶縁層を形成する工程と、前記第1絶縁層および前記第2絶縁層に、前記第1絶縁層および前記第2絶縁層を貫通し、前記第1主電極に達するコンタクトホールを形成する工程と、前記コンタクトホール内に、前記第1主電極に電気的に接続され、前記第1絶縁層に直接接触する第1導電層を形成する工程と、前記第2絶縁層の上に、前記第1導電層に直接接触する第2導電層を形成する工程と、を有し、前記第1絶縁層は、窒化アルミニウムを含む。
【0024】
半導体装置の動作時に半導体層の制御電極の近傍において熱が発生しやすい。この熱は、基板に向かって拡散するだけでなく、制御電極に向かっても拡散する。第1絶縁層が制御電極に直接接触し、第1絶縁層は第1導電層に直接接触し、第1導電層は第2導電層に直接接触する。このため、制御電極に達した熱は、第1絶縁層および第1導電層を介して第2導電層に伝達される。また、第1絶縁層が窒化アルミニウムを含む。窒化アルミニウムは高い熱伝導率を有するため、高効率で第2導電層から排熱できる。つまり、放熱性を向上できる。
【0025】
〔14〕 〔13〕において、フッ素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対する前記第1絶縁層の耐性は、フッ素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対する前記第2絶縁層の耐性よりも高く、前記コンタクトホールを形成する工程は、フッ素を含む反応性ガスを用いたエッチングにより、前記第2絶縁層を貫通し、前記第1絶縁層に達する第1開口部を形成する工程と、前記第1絶縁層の前記第1開口部から露出した部分のエッチングにより、前記第1絶縁層を貫通する第2開口部を形成する工程と、を有してもよい。この場合、第1開口部の形成の際に、第1絶縁層がエッチングストッパとして機能する。従って、コンタクトホールを容易に形成しやすい。
【0026】
〔15〕 〔14〕において、前記第1主電極および前記第2主電極を形成する工程と前記第1絶縁層を形成する工程との間に、前記第1主電極の上に第3絶縁層を形成する工程を有し、塩素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対する前記第3絶縁層の耐性は、塩素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対する前記第1絶縁層の耐性よりも高く、前記第1絶縁層は、前記第3絶縁層を覆い、前記第2開口部を形成する工程は、塩素を含む反応性ガスを用いて前記第1絶縁層の前記第1開口部から露出した部分をエッチングする工程を有してもよい。この場合、第2開口部の形成の際に、第3絶縁層がエッチングストッパとして機能する。従って、コンタクトホールを容易に形成しやすい。
【0027】
〔16〕 〔15〕において、前記第1主電極を形成する工程は、前記第3絶縁層に直接接触する第3導電層を形成する工程を有し、フッ素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対する前記第3導電層の耐性は、フッ素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対する前記第3絶縁層の耐性よりも高く、前記コンタクトホールを形成する工程は、フッ素を含む反応性ガスを用いた前記第3絶縁層の前記第2開口部から露出した部分のエッチングにより、前記第3絶縁層を貫通する第3開口部を形成する工程を有してもよい。この場合、第3開口部の形成の際に、第3導電層がエッチングストッパとして機能する。従って、コンタクトホールを容易に形成しやすい。
【0028】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の実施形態について詳細に説明するが、本開示はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。
【0029】
(第1実施形態)
第1実施形態について説明する。第1実施形態は窒化ガリウム(GaN)系高電子移動度トランジスタ(high electron mobility transistor:HEMT)を含む半導体装置に関する。
【0030】
[半導体装置の構成]
まず、第1実施形態に係る半導体装置の構成について説明する。図1は、第1実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【0031】
図1に示すように、第1実施形態に係る半導体装置1は、基板10と、半導体層20と、ゲート電極30Gと、ソース電極130Sと、ドレイン電極130Dとを有する。半導体装置1は、更に、絶縁層41、43および44と、導電プラグ51Sおよび51Dと、ソース配線52Sと、ドレイン配線52Dとを有する。
【0032】
基板10は、例えば炭化珪素(SiC)基板である。半導体層20は基板10の上に設けられている。半導体層20は、例えばガリウム(Ga)を含む窒化物半導体層である。窒化物半導体層は、電子走行層(チャネル層)および電子供給層(バリア層)等の高電子移動度トランジスタの一部を構成する。半導体層20内に2次元電子ガス(two dimensional gas:2DEG)が存在し、2DEGが存在する部分がチャネルとして機能する。
【0033】
ソース電極130Sは半導体層20の上に設けられている。ソース電極130Sは、例えば、タンタル(Ta)層31Sと、アルミニウム(Al)層32Sと、Ta層33Sとを有する。Ta層31Sは半導体層20の上に設けられている。Al層32SはTa層31Sの上に設けられている。Ta層33SはAl層32Sの上に設けられている。ソース電極130Sは半導体層20にオーミック接触する。ソース電極130Sは第1主電極または第2主電極の一例である。
【0034】
ドレイン電極130Dは半導体層20の上に、ソース電極130Sから離れて設けられている。ドレイン電極130Dは、例えば、Ta層31Dと、Al層32Dと、Ta層33Dとを有する。Ta層31Dは半導体層20の上に設けられている。Al層32DはTa層31Dの上に設けられている。Ta層33DはAl層32Dの上に設けられている。ドレイン電極130Dは半導体層20にオーミック接触する。ドレイン電極130Dは第1主電極または第2主電極の一例である。
【0035】
絶縁層41は、ソース電極130Sとドレイン電極130Dとの間で半導体層20の上に設けられている。絶縁層41は、例えば窒化シリコン(SiN)層である。絶縁層41の厚さは、例えば5nm以上500nm以下である。絶縁層41に開口部40Gが形成されている。開口部40Gから半導体層20が露出する。ゲート電極30Gは絶縁層41の上に設けられている。ゲート電極30Gの一部は開口部40Gの内側にあり、ゲート電極30Gは開口部40Gを通じて半導体層20に直接接触する。ゲート電極30Gは半導体層20にショットキー接触する。ゲート電極30Gは、断面視でT型形状を有する。ゲート電極30Gは、例えば、ニッケル(Ni)層と、Ni層の上に設けられた金(Au)層とを含む。ゲート電極30Gは制御電極の一例である。
【0036】
絶縁層43は、ゲート電極30G、絶縁層41、半導体層20、ソース電極130Sおよびドレイン電極130Dを覆う。絶縁層43は、ゲート電極30G、絶縁層41、半導体層20、ソース電極130Sおよびドレイン電極130Dに直接接触する。絶縁層43は窒化アルミニウム(AlN)を含む。例えば、絶縁層43がAlN層であってもよい。AlNの熱伝導率は、その組成にもよるが20W/(m・K)以上であり、一般に使用されているSiNの熱伝導率よりも高い。絶縁層43の厚さは、例えば5nm以上1000nm以下である。絶縁層43は第1絶縁層の一例である。
【0037】
絶縁層44は絶縁層43の上に設けられている。フッ素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対する絶縁層43の耐性は、フッ素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対する絶縁層44の耐性よりも高い。絶縁層44は、例えば酸化シリコン(SiO)層である。絶縁層44の厚さは、例えば50nm以上5000nm以下である。絶縁層44は第2絶縁層の一例である。
【0038】
絶縁層43および44に、複数のコンタクトホール40Sおよび40Dが形成されている。コンタクトホール40Sおよび40Dは絶縁層43および44を貫通する。コンタクトホール40Sからソース電極130Sが露出し、コンタクトホール40Dからドレイン電極130Dが露出する。導電プラグ51Sはコンタクトホール40S内に設けられており、導電プラグ51Dはコンタクトホール40S内に設けられている。導電プラグ51Sおよび51Dは、いずれも、例えば、密着膜と、密着膜の上に設けられたタングステン(W)膜とを含む。密着膜は、例えば、窒化チタン(TiN)膜と、TiN膜の上に設けられたTi膜とを含む。導電プラグ51Sは、絶縁層43および44を貫通し、ソース電極130Sに電気的に接続されている。導電プラグ51Sは絶縁層43に直接接触する。導電プラグ51Dは、絶縁層43および44を貫通し、ドレイン電極130Dに電気的に接続されている。導電プラグ51Dは絶縁層43に直接接触する。導電プラグ51Sは第1導電層または第4導電層の一例であり、導電プラグ51Dは第1導電層または第4導電層の一例である。
【0039】
ソース配線52Sは絶縁層44の上に設けられている。ソース配線52Sは複数の導電プラグ51Sに直接接触する。ドレイン配線52Dは絶縁層44の上に設けられている。ドレイン配線52Dは複数の導電プラグ51Dに直接接触する。ソース配線52Sおよびドレイン配線は、いずれも、例えばAu層またはAl層を含む。ソース配線52Sは第2導電層または第5導電層の一例であり、ドレイン配線52Dは第2導電層または第5導電層の一例である。
【0040】
[半導体装置の製造方法]
次に、第1実施形態に係る半導体装置1の製造方法について説明する。図2から図10は、第1実施形態に係る半導体装置1の製造方法を示す断面図である。
【0041】
まず、図2に示すように、例えば有機金属気相成長(metal organic chemical vapor deposition:MOCVD)法により、基板10の上に半導体層20を形成する。次に、半導体層20の上にソース電極130Sおよびドレイン電極130Dを形成する。ソース電極130Sおよびドレイン電極130Dの形成では、例えば、成長マスクを用いた蒸着法によるTa層、Al層およびTa層の成長を行い、その後に成長マスクを除去する。つまり、ソース電極130Sおよびドレイン電極130Dは、例えば蒸着およびリフトオフにより形成できる。
【0042】
次に、図3に示すように、半導体層20、ソース電極130Sおよびドレイン電極130Dを覆う絶縁層41Aを形成する。絶縁層41Aは、例えばプラズマCVD法により形成できる。絶縁層41Aは、例えばSiN層である。絶縁層41Aの厚さは、例えば5nm以上500nm以下である。
【0043】
次に、絶縁層41Aのエッチングを行うことにより、図4に示すように、開口部40Gが形成された絶縁層41を絶縁層41Aから形成する。絶縁層41の形成では、例えばレジストパターンをマスクとして用いた絶縁層41Aの反応性イオンエッチング(reactive ion etching:RIE)を行う。絶縁層41AのRIEの際には、例えばフッ素を含む反応性ガスが用いられる。
【0044】
次に、図5に示すように、絶縁層41の上にゲート電極30Gを形成する。ゲート電極30Gの形成では、例えば、成長マスクを用いた蒸着法によるNi層およびAu層の成長を行い、その後に成長マスクを除去する。つまり、ゲート電極30Gは、例えば蒸着およびリフトオフにより形成できる。
【0045】
次に、図6に示すように、絶縁層43を、ゲート電極30G、絶縁層41、半導体層20、ソース電極130Sおよびドレイン電極130Dを覆うように形成する。絶縁層43は、例えばAlN層である。絶縁層43は、例えばプラズマCVD法または原子層堆積(atomic layer deposition:ALD)法により形成できる。
【0046】
次に、図7に示すように、絶縁層43の上に絶縁層44を形成する。絶縁層44は、例えばSiO層である。絶縁層44は、例えばプラズマCVD法により形成できる。化学機械的研磨(chemical mechanical polishing:CMP)等により絶縁層44の表面の平坦化を行ってもよい。
【0047】
次に、図8に示すように、絶縁層44に複数の開口部46Sおよび46Dを形成する。開口部46Sは絶縁層44のコンタクトホール40Sを形成する部分に形成し、開口部46Dは絶縁層44のコンタクトホール40Dを形成する部分に形成する。開口部46Sおよび46Dの形成では、例えばレジストパターンをマスクとして用いた絶縁層44のRIEを行う。絶縁層44のRIEの際には、例えばトリフルオロメタン(CHF)等のフッ素を含む反応性ガスが用いられる。このとき、フッ素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対する絶縁層43の耐性は、フッ素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対する絶縁層44の耐性よりも高いため、絶縁層44はほとんどエッチングされず、絶縁層44はエッチングストッパとして機能する。
【0048】
次に、図9に示すように、絶縁層43の、開口部46Sから露出した部分と、開口部46Dから露出した部分とのエッチングを行って開口部46Sおよび46Dを伸ばすことにより、絶縁層43および44に、複数のコンタクトホール40Sおよび40Dを形成する。コンタクトホール40Sおよび40Dは絶縁層43および44を貫通する。絶縁層43のエッチングでは、例えばレジストパターンをマスクとして用いた絶縁層43のRIEを行う。絶縁層43のRIEの際には、例えば塩素を含む反応性ガスおよびアルゴン(Ar)プラズマが用いられる。コンタクトホール40Sおよび40Dのうち、絶縁層44に形成された部分は第1開口部の一例であり、絶縁層43に形成された部分は第2開口部の一例である。
【0049】
次に、図10に示すように、コンタクトホール40S内に導電プラグ51Sを形成し、コンタクトホール40D内に導電プラグ51Dを形成する。導電プラグ51Sおよび51Dは、例えばCVD法により形成できる。次に、絶縁層44の上にソース配線52Sおよびドレイン配線52Dを形成する。ソース配線52Sは導電プラグ51Sに直接接触するように形成し、ドレイン配線52Dは導電プラグ51Dに直接接触するように形成する。ソース配線52Sおよびドレイン配線52Dの形成では、例えば、成長マスクを用いた蒸着法によるAu層の成長を行い、その後に成長マスクを除去する。つまり、ソース配線52Sおよびドレイン配線52Dは、例えば蒸着およびリフトオフにより形成できる。ソース配線52Sおよびドレイン配線52Dの形成において、Al層を絶縁層44、導電プラグ51Sおよび導電プラグ51Dの上面の全体に形成し、Al層のドライエッチングを行ってもよい。
【0050】
このようにして、第1実施形態に係る半導体装置1を製造できる。
【0051】
第1実施形態に係る半導体装置1においては、動作時に半導体層20のチャネルの近傍において熱が発生し、特にゲート電極30Gの近傍において熱が発生しやすい。ゲート電極30Gの近傍において発生した熱は、基板10に向かって拡散するだけでなく、ゲート電極30Gに向かっても拡散する。本実施形態では、絶縁層43がゲート電極30Gに直接接触し、絶縁層43は複数の導電プラグ51Sおよび51Dに直接接触し、複数の導電プラグ51Sはソース配線52Sに直接接触し、複数の導電プラグ51Dはドレイン配線52Dに直接接触する。このため、ゲート電極30Gに達した熱は、絶縁層43および複数の導電プラグ51Sを介してソース配線52Sに伝達されたり、絶縁層43および複数の導電プラグ51Dを介してドレイン配線52Dに伝達されたりする。また、絶縁層43が窒化アルミニウムを含む。窒化アルミニウムは高い熱伝導率を有するため、本実施形態によれば、高効率でソース配線52Sおよびドレイン配線52Dから排熱できる。つまり、本実施形態によれば、放熱性を向上できる。
【0052】
絶縁層43が半導体層20に直接接触していることで、半導体層20内で発生した熱をより高効率でソース配線52Sおよびドレイン配線52Dまで伝達できる。
【0053】
なお、ゲート電極30Gからの熱の伝達経路は、ソース配線52Sへの伝達経路またはドレイン配線52Dへの伝達経路のいずれか一方のみであってもよいが、二つの伝達経路があることで、より高い放熱性が得られる。
【0054】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。第2実施形態は、主としてソース電極、ドレイン電極および絶縁層の構成の点で第1実施形態と相違する。
【0055】
[半導体装置の構成]
まず、第2実施形態に係る半導体装置の構成について説明する。図11は、第2実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【0056】
図11に示すように、第2実施形態に係る半導体装置2は、ソース電極130Sに代えてソース電極230Sを有し、ドレイン電極130Dに代えてドレイン電極230Dを有する。また、半導体装置2は、更に、絶縁層42Sおよび42Dを有する。
【0057】
ソース電極230Sは半導体層20の上に設けられている。ソース電極230Sは、例えば、Ta層31Sと、Al層32Sと、Ta層33Sと、Ti層34Sとを有する。Ta層31Sは半導体層20の上に設けられている。Al層32SはTa層31Sの上に設けられている。Ta層33SはAl層32Sの上に設けられている。Ti層34SはTa層33Sの上に設けられている。Ti層34Sの厚さは、例えば5nm以上200nm以下である。ソース電極230Sは半導体層20にオーミック接触する。ソース電極230Sは第1主電極または第4導電層の一例である。Ti層34Sは第3導電層または第6導電層の一例である。
【0058】
ドレイン電極230Dは半導体層20の上に、ソース電極230Sから離れて設けられている。ドレイン電極230Dは、例えば、Ta層31Dと、Al層32Dと、Ta層33Dと、Ti層34Dとを有する。Ta層31Dは半導体層20の上に設けられている。Al層32DはTa層31Dの上に設けられている。Ta層33DはAl層32Dの上に設けられている。Ti層34DはTa層33Dの上に設けられている。Ti層34Dの厚さは、例えば5nm以上200nm以下である。ドレイン電極230Dは半導体層20にオーミック接触する。ドレイン電極230Dは第1主電極または第2主電極の一例である。Ti層34Dは第3導電層または第6導電層の一例である。
【0059】
絶縁層42SはTi層34Sの上に設けられている。絶縁層42DはTi層34Dの上に設けられている。フッ素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対するTi層34Sおよび34Dの耐性は、フッ素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対する絶縁層42Sおよび42Dの耐性よりも高い。塩素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対する絶縁層42Sおよび42Dの耐性は、塩素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対する絶縁層43の耐性よりも高い。絶縁層42Sおよび42Dは、例えばSiO層である。絶縁層42Sおよび42Dの厚さは、例えば50nm以上5000nm以下である。絶縁層42Sは第3絶縁層または第4絶縁層の一例であり、絶縁層42Dは第3絶縁層または第4絶縁層の一例である。
【0060】
絶縁層43は、ゲート電極30G、絶縁層41、半導体層20、絶縁層42S、絶縁層42D、ソース電極230Sおよびドレイン電極230Dを覆う。絶縁層43は、ゲート電極30G、絶縁層41、半導体層20、絶縁層42S、絶縁層42D、ソース電極230Sおよびドレイン電極230Dに直接接触する。
【0061】
複数のコンタクトホール40Sは絶縁層42S、43および44に形成され、複数のコンタクトホール40Dは絶縁層42D、43および44に形成されている。コンタクトホール40Sは絶縁層42S、43および44を貫通し、コンタクトホール40Dは絶縁層42D、43および44を貫通する。コンタクトホール40Sからソース電極230Sが露出し、コンタクトホール40Dからドレイン電極230Dが露出する。導電プラグ51Sは、絶縁層42S、43および44を貫通し、ソース電極230Sに電気的に接続されている。導電プラグ51Dは、絶縁層42D、43および44を貫通し、ドレイン電極130Dに電気的に接続されている。
【0062】
第2実施形態の他の構成は、第1実施形態と同一である。
【0063】
[半導体装置の製造方法]
次に、第2実施形態に係る半導体装置2の製造方法について説明する。図12から図21は、第2実施形態に係る半導体装置2の製造方法を示す断面図である。
【0064】
まず、図12に示すように、第1実施形態と同じく、基板10の上に半導体層20を形成する。次に、半導体層20の上にソース電極230Sおよびドレイン電極230Dを形成する。ソース電極230Sおよびドレイン電極230Dの形成では、例えば、成長マスクを用いた蒸着法によるTa層、Al層、Ta層およびTi層の成長を行い、その後に成長マスクを除去する。つまり、ソース電極230Sおよびドレイン電極230Dは、例えば蒸着およびリフトオフにより形成できる。
【0065】
次に、図13に示すように、第1実施形態と同じく、開口部40Gが形成された絶縁層41と、ゲート電極30Gとを形成する。
【0066】
次に、図14に示すように、ゲート電極30G、絶縁層41、半導体層20、ソース電極230Sおよびドレイン電極230Dを覆う絶縁層42Aを形成する。絶縁層42Aは、例えばプラズマCVD法により形成できる。フッ素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対するTi層34Sおよび34Dの耐性は、フッ素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対する絶縁層42Aの耐性よりも高い。塩素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対する絶縁層42Aの耐性は、塩素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対する絶縁層43の耐性よりも高い。絶縁層42Aは、例えばSiO層である。
【0067】
次に、絶縁層42Aのエッチングを行うことにより、図15に示すように、Ti層34Sの上の絶縁層42Sと、Ti層34Dの上の絶縁層42Dとを絶縁層42Aから形成する。絶縁層42Sおよび42Dの形成では、例えばレジストパターンをマスクとして用いた絶縁層42Aのウェットエッチングを行う。絶縁層42Sおよび42Dの形成において、レジストパターンをマスクとして用いた絶縁層42AのRIEを行ってもよい。
【0068】
次に、図16に示すように、絶縁層43を、ゲート電極30G、絶縁層41、半導体層20、絶縁層42S、ソース電極230S、絶縁層42Dおよびドレイン電極230Dを覆うように形成する。
【0069】
次に、図17に示すように、第1実施形態と同じく、絶縁層43の上に絶縁層44を形成する。
【0070】
次に、図18に示すように、第1実施形態と同じく、絶縁層44に複数の開口部46Sおよび46Dを形成する。開口部46Sは絶縁層44のコンタクトホール40Sを形成する部分に形成し、開口部46Dは絶縁層44のコンタクトホール40Dを形成する部分に形成する。
【0071】
次に、図19に示すように、絶縁層43の、開口部46Sから露出した部分と、開口部46Dから露出した部分とのエッチングを行って開口部46Sおよび46Dを伸ばす。絶縁層43のエッチングでは、例えばレジストパターンをマスクとして用いた絶縁層43のRIEを行う。絶縁層43のRIEの際には、例えば塩素を含む反応性ガスおよびArプラズマが用いられる。このとき、塩素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対する絶縁層42Sおよび42Dの耐性は、塩素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対する絶縁層43の耐性よりも高いため、絶縁層42Sおよび42Dはほとんどエッチングされず、絶縁層42Sおよび42Dはエッチングストッパとして機能する。
【0072】
次に、図20に示すように、絶縁層42Sの開口部46Sから露出した部分のエッチングを行って開口部46Sを伸ばすことにより、絶縁層42S、43および44に、複数のコンタクトホール40Sを形成する。また、絶縁層42Dの開口部46Dから露出した部分のエッチングを行って開口部46Dを伸ばすことにより、絶縁層42D、43および44に、複数のコンタクトホール40Dを形成する。コンタクトホール40Sは絶縁層42S、43および44を貫通し、コンタクトホール40Dは絶縁層42D、43および44を貫通する。絶縁層42Sおよび42Dのエッチングでは、例えばレジストパターンをマスクとして用いた絶縁層42Sおよび42DのRIEを行う。絶縁層42Sおよび42DのRIEの際には、例えばCHF等のフッ素を含む反応性ガスが用いられる。このとき、フッ素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対するTi層34Sの耐性は、フッ素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対する絶縁層42Sの耐性よりも高いため、Ti層34Sはほとんどエッチングされず、Ti層34Sはエッチングストッパとして機能する。また、フッ素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対するTi層34Dの耐性は、フッ素を含む反応性ガスを用いたエッチングに対する絶縁層42Dの耐性よりも高いため、Ti層34Dはほとんどエッチングされず、Ti層34Dはエッチングストッパとして機能する。コンタクトホール40Sおよび40Dのうち、絶縁層44に形成された部分は第1開口部の一例であり、絶縁層43に形成された部分は第2開口部の一例であり、絶縁層42Sまたは42Dに形成された部分は第3開口部の一例である。
【0073】
次に、図21に示すように、第1実施形態と同じく、コンタクトホール40S内に導電プラグ51Sを形成し、コンタクトホール40D内に導電プラグ51Dを形成する。次に、第1実施形態と同じく、絶縁層44の上にソース配線52Sおよびドレイン配線52Dを形成する。
【0074】
このようにして、第2実施形態に係る半導体装置2を製造できる。
【0075】
第2実施形態によっても第1実施形態と同じ効果が得られる。また、第2実施形態では、絶縁層44のエッチングの際に絶縁層43がエッチングストッパとして機能し、絶縁層43のエッチングの際に絶縁層42Sおよび42Dがエッチングストッパとして機能する。また、絶縁層42Sのエッチングの際にTi層34Sがエッチングストッパとして機能し、絶縁層42Dのエッチングの際にTi層34Dがエッチングストッパとして機能する。このため、コンタクトホール40Sおよび40Dを形成しやすい。例えば、絶縁層43のエッチングをハイパワーで行っても、ソース電極230Sおよびドレイン電極230Dへのダメージを防止できる。
【0076】
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。第3実施形態は、主として絶縁層42S、42Dおよび44の厚さの関係の点で第2実施形態と相違する。図22は、第3実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【0077】
図22に示すように、第3実施形態に係る半導体装置3では、ソース電極230Sとソース配線52Sとの間において、絶縁層42Sが絶縁層44よりも厚い。別の見方をすると、ソース電極230Sとソース配線52Sとの間において、ソース電極230Sと絶縁層43との間の距離L1Sは、ソース配線52Sと絶縁層43との間の距離L2Sよりも大きい。また、ドレイン電極230Dとドレイン配線52Dとの間において、絶縁層42Dが絶縁層44よりも厚い。別の見方をすると、ドレイン電極230Dとドレイン配線52Dとの間において、ドレイン電極230Dと絶縁層43との間の距離L1Dは、ドレイン配線52Dと絶縁層43との間の距離L2Dよりも大きい。
【0078】
第3実施形態の他の構成は、第2実施形態と同一である。
【0079】
第3実施形態によっても第2実施形態と同じ効果が得られる。また、第3実施形態では、距離L1Sが距離L2Sよりも大きいため、距離L1Sが距離L2Sよりも小さい場合と比べて、導電プラグ51Sにおける熱の伝達経路を短くできる。同じく、距離L1Dが距離L2Dよりも大きいため、距離L1Dが距離L2Dよりも小さい場合と比べて、導電プラグ51Dにおける熱の伝達経路を短くできる。従って、熱をより高効率でソース配線52Sおよびドレイン配線52Dまで伝達できる。なお、導電プラグ51Sおよび51Dに用いられる材料の一例であるタングステンの熱伝導率は150W/(m・K)程度である。
【0080】
(第4実施形態)
第4実施形態について説明する。第4実施形態は、主として絶縁層42S、42Dおよび43の構成の点で第2実施形態と相違する。図23は、第4実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【0081】
図23に示すように、第4実施形態に係る半導体装置4では、絶縁層42SがTi層34Sの上に局所的に形成され、絶縁層42DがTi層34Dの上に局所的に形成されている。コンタクトホール40Sは、第2実施形態と同じく、絶縁層42S、43および44に形成され、絶縁層42S、43および44を貫通する。また、コンタクトホール40Dは、第2実施形態と同じく、絶縁層42D、43および44に形成され、絶縁層42D、43および44を貫通する。隣り合う絶縁層42Sの間と、隣り合う絶縁層42Dの間とには絶縁層43が入り込んでいる。
【0082】
第4実施形態の他の構成は、第2実施形態と同一である。
【0083】
第4実施形態によっても第2実施形態と同じ効果が得られる。なお、コンタクトホール40Sが形成される部分にあれば、Ti層34Sが絶縁層42Sと同じく局所的に形成されていてもよく、コンタクトホール40Dが形成される部分にあれば、Ti層34Dが絶縁層42Dと同じく局所的に形成されていてもよい。
【0084】
(第5実施形態)
第5実施形態について説明する。第5実施形態は、主として絶縁層41の構成の点で第2実施形態と相違する。図24は、第5実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【0085】
図24に示すように、第5実施形態に係る半導体装置5では、ソース電極230Sとゲート電極30Gとの間で、半導体層20の全面が絶縁層41により覆われ、ドレイン電極230Dとゲート電極30Gとの間で、半導体層20の全面が絶縁層41により覆われている。絶縁層43は、ソース電極230Sとゲート電極30Gとの間およびドレイン電極230Dとゲート電極30Gとの間でも絶縁層41の上に設けられており、半導体層20から離れている。
【0086】
第5実施形態の他の構成は、第2実施形態と同一である。
【0087】
第5実施形態によっても、第2実施形態と同じく、ゲート電極30Gを通じて高効率で排熱できる。また、第5実施形態では、絶縁層41により半導体層20の表面を広範囲で保護しやすい。例えば、半導体層20の表面のダングリングボンドを低減しやすい。
【0088】
以上、実施形態について詳述したが、本開示は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形および変更が可能である。
【符号の説明】
【0089】
1、2、3、4、5:半導体装置
10:基板
20:半導体層
30G:ゲート電極
31D、31S、33D、33S:Ta層
32D、32S:Al層
34D、34S:Ti層
40D、40S:コンタクトホール
40G、46D、46S:開口部
41、41A、42A、42D、42S、43、44:絶縁層
51D、51S:導電プラグ
52D:ドレイン配線
52S:ソース配線
130D、230D:ドレイン電極
130S、230S:ソース電極
L1D、L1S、L2D、L2S:距離
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