IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士機械製造株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-印刷装置 図1
  • 特開-印刷装置 図2
  • 特開-印刷装置 図3
  • 特開-印刷装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162865
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41F 15/08 20060101AFI20241114BHJP
   B41F 15/44 20060101ALI20241114BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
B41F15/08 303E
B41F15/44 B
H05K3/34 505D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078810
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 毅
【テーマコード(参考)】
2C035
5E319
【Fターム(参考)】
2C035AA06
2C035FD01
2C035FD04
2C035FD15
2C035FD19
2C035FD42
5E319AA03
5E319AB05
5E319AC01
5E319BB05
5E319CC33
5E319CD26
5E319GG15
(57)【要約】
【課題】独立した2つのスキージユニットを備えるものにおいて、簡易な構成により各スキージの傾斜角度を変更する。
【解決手段】印刷装置は、第1昇降軸と、第2昇降軸と、第1スキージユニットと、第2スキージユニットとを備える。第1スキージユニットは、第1スキージと、第1揺動軸を支点に第1スキージを支持する第1支持部材と、第1スキージに第1揺動軸と同軸に固定された第1ピニオンギヤと、第1揺動軸に直交する方向に第1支持部材に固定された第1ラックギヤとを含む。第2スキージユニットは、第2スキージと、第2揺動軸を支点に第2スキージを支持する第2支持部材と、第2スキージに第2揺動軸と同軸に固定されると共に第1ラックギヤと噛合可能な第2ピニオンギヤと、第2揺動軸に直交する方向に第2支持部材に固定されると共に第1ピニオンギヤと噛合可能な第2ラックギヤとを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降可能な第1昇降軸と、
昇降可能な第2昇降軸と、
第1スキージ部材と、前記第1昇降軸に取り付けられると共に前記第1昇降軸に直交する第1揺動軸を支点に前記第1スキージ部材を揺動可能に支持する第1支持部材と、前記第1スキージ部材に対して前記第1揺動軸と同軸に固定された第1ピニオンギヤと、前記第1揺動軸に直交する方向に延在するように前記第1支持部材に対して固定された第1ラックギヤと、を含む第1スキージユニットと、
第2スキージ部材と、前記第2昇降軸に取り付けられると共に前記第2昇降軸に直交する第2揺動軸を支点に前記第2スキージ部材を揺動可能に支持する第2支持部材と、前記第2スキージ部材に対して前記第2揺動軸と同軸に固定されると共に前記第1ラックギヤと噛合可能な第2ピニオンギヤと、前記第2揺動軸に直交する方向に延在するように前記第2支持部材に対して固定されると共に前記第1ピニオンギヤと噛合可能な第2ラックギヤと、を含む第2スキージユニットと、
を備える印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記第1支持部材は、前記第1昇降軸に着脱可能に取り付けられ、
前記第2支持部材は、前記第2昇降軸に着脱可能に取り付けられる、
印刷装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の印刷装置であって、
操作者の操作に基づいて前記第1スキージ部材または前記第2スキージ部材の傾斜角度が変更されるように前記第1昇降軸または前記第2昇降軸の昇降を制御する制御部を備える、
印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、印刷装置について開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、第1昇降軸と第2昇降軸とを昇降させるスキージ駆動部と、第1昇降軸と第2昇降軸の昇降動作によって水平軸回りに回動する揺動部材を含むリンク機構と、2枚のブレードを保持すると共に揺動部材に装着されたスキージユニットと、スキージ駆動部を制御することによりスキージユニットの回転方向の姿勢と高さとを制御する制御部と、を備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2019/208213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の印刷装置では、2枚のブレードが装着された1つの揺動部材を揺動させるものであり、独立した2つのスキージユニットについて各スキージの傾斜角度を変更することは何ら言及されていない。
【0005】
本開示は、独立した2つのスキージユニットを備えるものにおいて、簡易な構成により各スキージの傾斜角度を変更することが可能な印刷装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本開示の印刷装置は、
昇降可能な第1昇降軸と、
昇降可能な第2昇降軸と、
第1スキージ部材と、前記第1昇降軸に取り付けられると共に前記第1昇降軸に直交する第1揺動軸を支点に前記第1スキージ部材を揺動可能に支持する第1支持部材と、前記第1スキージ部材に対して前記第1揺動軸と同軸に固定された第1ピニオンギヤと、前記第1揺動軸に直交する方向に延在するように前記第1支持部材に対して固定された第1ラックギヤと、を含む第1スキージユニットと、
第2スキージ部材と、前記第2昇降軸に取り付けられると共に前記第2昇降軸に直交する第2揺動軸を支点に前記第2スキージ部材を揺動可能に支持する第2支持部材と、前記第2スキージ部材に対して前記第2揺動軸と同軸に固定されると共に前記第1ラックギヤと噛合可能な第2ピニオンギヤと、前記第2揺動軸に直交する方向に延在するように前記第2支持部材に対して固定されると共に前記第1ピニオンギヤと噛合可能な第2ラックギヤと、を含む第2スキージユニットと、
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本開示の印刷装置では、第1ピニオンギヤは、第1昇降軸に取り付けられた第1支持部材に対して揺動可能な第1スキージ部材に固定され、第1ピニオンギヤと噛合する第2ラックギヤは、第2昇降軸に取り付けられた第2支持部材に固定される。また、第2ピニオンギヤは、第2昇降軸に取り付けられた第2支持部材に対して揺動可能な第2スキージ部材に固定され、第2ピニオンギヤと噛合する第1ラックギヤは、第1昇降軸に取り付けられた第1支持部材に固定される。このため、第1昇降軸を第2昇降軸よりも下降させることで、両者の昇降差により第1スキージ部材の傾斜角度を変更することができる。また、第2昇降軸を第1昇降軸よりも下降させることで、両者の昇降差により第2スキージ部材の傾斜角度を変更することができる。この結果、独立した2つのスキージユニットを備えるものにおいて、簡易な構成により各スキージの傾斜角度を変更することが可能な印刷装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の印刷装置の概略構成図である。
図2】第1および第2スキージユニットの外観斜視図である。
図3】第1スキージユニットのアタック角度の変更の様子を示す説明図である。
図4】第2スキージユニットのアタック角度の変更の様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示を実施するための形態を説明する。
【0011】
図1は、本実施形態の印刷装置10の概略構成図であり、図2は、第1および第2スキージユニット40,50の外観斜視図である。なお、図1の左右方向は印刷方向を示し、前(手前)後(奥)方向は基板搬送方向を示す。
【0012】
本実施形態の印刷装置10は、スクリーンマスクM上のはんだSをスキージ(第1スキージ41または第2スキージ51)によりローリングさせることにより、はんだSをスクリーンマスクM上の形成されたパターン孔Hに押し込んで、スクリーンマスクM下の基板Pに印刷するものである。この印刷装置10は、図1に示すように、筐体11と、基板搬送装置21と、バックアップ装置25と、スクリーンマスク台12と、印刷ヘッド30と、制御装置90と、を備える。
【0013】
基板搬送装置21は、図1に示すように、筐体11の下段部に設けられている。基板搬送装置21は、図1の手前から奥へと延びるレーン22を有し、ベルトコンベア装置の駆動によってレーン22に沿って基板Pを搬送する。
【0014】
バックアップ装置25は、図1に示すように、筐体11の下段部に設けられている。バックアップ装置25は、図示しない昇降装置により上下動が可能なバックアップテーブル26と、バックアップテーブル26上に複数設置されて基板Pを裏面からバックアップするバックアップピン27と、を備える。
【0015】
スクリーンマスク台12は、図1に示すように、筐体11の中段部に設けられ、スクリーンマスクMを水平姿勢で支持する。
【0016】
印刷ヘッド30は、図1に示すように、筐体11の上段部に設けられている。印刷ヘッド30は、ヘッド本体31と、第1スキージユニット40と、第2スキージユニット50と、ヘッド本体31を水平方向(印刷方向)に移動させるヘッド移動装置80と、を備える。
【0017】
ヘッド本体31は、第1スキージユニット40を昇降させる第1スキージ昇降装置60と、第2スキージユニット50を昇降させる第2スキージ昇降装置70と、を有する。
【0018】
第1スキージ昇降装置60は、第1昇降軸61と、ボールねじナット62と、モータ63と、を備える。第1昇降軸61は、上下に延在するボールねじ軸を含み、ヘッド本体31に回転可能かつ上下動可能に保持される。ボールねじナット62は、第1昇降軸61(ボールねじ軸)に螺合されると共にヘッド本体31に回転自在に保持される。モータ63は、ヘッド本体31に固定され、ボールねじナット62を正逆両回転方向に回転駆動する。第1スキージ昇降装置60は、モータ63によりボールねじナット62を正回転駆動することにより、第1昇降軸61を下降させ、モータ63によりボールねじナット62を逆回転駆動することにより、第1昇降軸61を上昇させる。
【0019】
第2スキージ昇降装置70は、第2昇降軸71と、ボールねじナット72と、モータ73と、を備える。第2昇降軸71は、上下に延在するボールねじ軸を含み、ヘッド本体31に回転可能かつ上下動可能に保持される。ボールねじナット72は、第2昇降軸71(ボールねじ軸)に螺合されると共にヘッド本体31に回転自在に保持される。モータ73は、ヘッド本体31に固定され、ボールねじナット72を正逆両回転方向に回転駆動する。第2スキージ昇降装置70は、モータ73によりボールねじナット72を正回転駆動することにより、第2昇降軸71を下降させ、モータ73によりボールねじナット72を逆回転駆動することにより、第2昇降軸71を上昇させる。
【0020】
ヘッド移動装置80は、移動軸81と、ボールねじナット82と、モータ83と、を備える。移動軸81は、水平方向(印刷方向)に延在するボールねじ軸を含み、筐体11の上段部に固定される。ボールねじナット82は、移動軸81(ボールねじ軸)に螺合されると共にヘッド本体31に回転自在に保持される。モータ83は、ヘッド本体31に固定され、ボールねじナット82を正逆両回転方向に回転駆動する。ヘッド移動装置80は、モータ83によりボールねじナット82を正回転駆動することにより、ヘッド本体31を印刷方向一方側へ移動させ、モータ83によりボールねじナット82を逆回転駆動することにより、ヘッド本体31を印刷方向他方側へ移動させる。
【0021】
第1スキージユニット40は、第1昇降軸61に着脱可能に取り付けられ、第1昇降軸61と共に昇降する。図2に示すように、第1スキージユニット40は、第1スキージ41と、第1スキージホルダ42と、第1スキージホルダ支持プレート43と、第1スキージホルダ固定ボルト44と、第1ピニオンギヤ46と、第1ラックギヤ47と、を備える。第1スキージホルダ42は、第1スキージ41を保持するものであり、第1スキージホルダ支持プレート43に支点ピン45を介して取り付けられている。支点ピン45は、水平面における印刷方向に直交する方向に設けられ、第1スキージホルダ42(第1スキージ41)は、第1スキージホルダ支持プレート43に対して支点ピン45を支点に揺動可能である。第1ピニオンギヤ46は、扇状のギヤであり、支点ピン45(揺動軸)と同軸となるように第1スキージホルダ42に固定されている。第1ラックギヤ47は、支点ピン45(揺動軸)に直交する方向に延在するように第1スキージホルダ支持プレート43に固定されている。第1スキージホルダ支持プレート43は、第1スキージホルダ固定ボルト44が取り付けられている。第1スキージホルダ固定ボルト44は、第1スキージユニット40(第1スキージホルダ支持プレート43)を第1昇降軸61に対して着脱するのに用いられる。
【0022】
第2スキージユニット50は、第2昇降軸71に着脱可能に取り付けられ、第2昇降軸71と共に昇降する。図2に示すように、第2スキージユニット50は、第2スキージ51と、第2スキージホルダ52と、第2スキージホルダ支持プレート53と、第2スキージホルダ固定ボルト54と、第2ピニオンギヤ56(図4参照)と、第2ラックギヤ57と、を備える。第2スキージホルダ52は、第2スキージ51を保持するものであり、第2スキージホルダ支持プレート53に支点ピン55を介して取り付けられている。支点ピン55は、水平面における印刷方向に直交する方向に設けられ、第2スキージホルダ52(第2スキージ51)は、第2スキージホルダ支持プレート53に対して支点ピン55を支点に揺動可能である。第2ピニオンギヤ56は、扇状のギヤであり、支点ピン55(揺動軸)と同軸となるように第2スキージホルダ52に固定されている。第2ラックギヤ57は、支点ピン55(揺動軸)に直交する方向に延在するように第2スキージホルダ支持プレート53に固定されている。第2スキージホルダ支持プレート53は、第2スキージホルダ固定ボルト54が取り付けられている。第2スキージホルダ固定ボルト54は、第2スキージユニット50(第2スキージホルダ支持プレート53)を第2昇降軸71に対して着脱するのに用いられる。
【0023】
第1スキージユニット40と第2スキージユニット50とは、第1スキージユニット40が第1昇降軸61に取り付けられ、第2スキージユニット50が第2昇降軸71に取り付けられた状態で、互いに向かい合い、第1ピニオンギヤ46と第2ラックギヤ57とが噛合すると共に第1ラックギヤ47と第2ピニオンギヤ56とが噛合する。
【0024】
制御装置90は、CPUを中心としたマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、ROMやRAM、入出力ポート等を備える。制御装置90には、操作者の操作が入力される入力装置91からの入力信号が入力される。また、制御装置90からは、基板搬送装置21やバックアップ装置25、第1スキージ昇降装置60(モータ63)、第2スキージ昇降装置70(モータ73)、ヘッド移動装置80(モータ83)への制御信号が出力される。
【0025】
こうして構成された印刷装置10では、制御装置90は、第1スキージ昇降装置60および第2スキージ昇降装置70を制御して第1スキージ41を下降させると共に第2スキージ51を上昇させた状態で、ヘッド移動装置80のモータ83を制御してヘッド本体31を印刷方向一方側に水平移動させることにより、スクリーンマスクM上のはんだSを印刷方向一方側に移動させて往動印刷を行なう。また、制御装置90は、第1スキージ昇降装置60および第2スキージ昇降装置70を制御して第2スキージ51を下降させると共に第1スキージ41を上昇させた状態で、ヘッド移動装置80のモータ83を制御してヘッド本体31を印刷方向他方側に水平移動させることにより、スクリーンマスクM上のはんだSを印刷方向他方側に移動させて復動印刷を行なう。
【0026】
ここで、第1ピニオンギヤ46は第1昇降軸61に取り付けられた第1スキージホルダ支持プレート43に対して揺動可能な第1スキージホルダ42に固定され、第1ピニオンギヤ46と噛合する第2ラックギヤ57は第2昇降軸71に取り付けられた第2スキージホルダ支持プレート53に固定されている。したがって、制御装置90は、第1スキージ昇降装置60のモータ63と第2スキージ昇降装置70のモータ73とを制御して、第1昇降軸61を第2昇降軸71よりも下降させると共に第1昇降軸61と第2昇降軸71との昇降差ΔZを調整することで、第2スキージ51をスクリーンマスクMから退避させつつ、第1スキージ41のスクリーンマスクMに対する傾斜角度(アタック角度)θを調整することができる(図3参照)。また、第2ピニオンギヤ56は第2昇降軸71に取り付けられた第2スキージホルダ支持プレート53に対して揺動可能な第2スキージホルダ52に固定され、第2ピニオンギヤ56と噛合する第1ラックギヤ47は第1昇降軸61に取り付けられた第1スキージホルダ支持プレート43に固定されている。したがって、制御装置90は、第1スキージ昇降装置60のモータ63と第2スキージ昇降装置70のモータ73とを制御して、第2昇降軸71を第1昇降軸61よりも下降させると共に第1昇降軸61と第2昇降軸71との昇降差ΔZを調整することで、第1スキージ41をスクリーンマスクMから退避させつつ、第2スキージ51のスクリーンマスクMに対する傾斜角度(アタック角度)θを調整することができる(図4参照)。
【0027】
アタック角度θの調整は、作業者が入力装置91を操作して目標アタック角度θtagを入力することで行なわれる。制御装置90は、目標アタック角度θtagが入力されると、目標アタック角度θtagに基づいて目標の昇降差ΔZを導出する。昇降差ΔZの導出は、目標アタック角度θtagと昇降差ΔZとの関係を示すマップなどを用いて行なうことができる。制御装置90は、目標の昇降差ΔZを導出すると、往動印刷時において、導出した昇降差ΔZで第1スキージ41がスクリーンマスクMに接触するように第1昇降軸61の目標昇降位置Z1tagと第2昇降軸71の目標昇降位置Z2tagとを設定し、設定した目標昇降位置Z1tagで第1昇降軸61が昇降するようモータ63を制御すると共に設定した目標昇降位置Z2tagで第2昇降軸71が昇降するようモータ73を制御する。
【0028】
同様に、制御装置90は、復動印刷時において、昇降差ΔZで第2スキージ51がスクリーンマスクMに接触するように第1昇降軸61の目標昇降位置Z1tagと第2昇降軸71の目標昇降位置Z2tagとを設定し、設定した目標昇降位置Z1tagで第1昇降軸61が昇降するようモータ63を制御すると共に設定した目標昇降位置Z2tagで第2昇降軸71が昇降するようモータ73を制御する。作業者は、目標アタック角度θtagを少しずつ変更しながら、試し印刷を行なってその印刷結果を確認することを繰り返すことにより、最適なアタック角度を容易に見つけ出すことができる。
【0029】
さらに、本実施形態では、第1昇降軸61と第1スキージユニット40(第1スキージホルダ支持プレート43)とは第1スキージホルダ固定ボルト44により着脱可能に取り付けられ、第2昇降軸71と第2スキージユニット50(第2スキージホルダ支持プレート53)とは第2スキージホルダ固定ボルト54により着脱可能に取り付けられる。このため、第1昇降軸61と第2昇降軸71とに、アタック角度が固定されたスキージホルダを有するスキージユニットに交換することもできる。したがって、本実施形態の第1スキージユニット40および第2スキージユニット50を用いて最適なアタック角度θを見つけ出した後、そのアタック角度でスキージが固定されたスキージホルダを有するスキージユニットに交換することができる。本実施形態の第1スキージユニット40および第2スキージユニット50では、作業者の操作によりアタック角度を変更できるため、アタック角度が固定されたスキージユニットを用いて印刷処理を行なうことにより、作業者の誤操作等により、意図せずにアタック角度が変更されてしまうのを防止することができる。
【0030】
ここで、本実施例の主要な要素と発明の開示の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。即ち、本実施形態の第1昇降軸61が本開示の第1昇降軸に相当し、第2昇降軸71が第2昇降軸に相当し、第1スキージユニット40が第1スキージユニットに相当し、第1スキージ41と第1スキージホルダ42とが第1スキージ部材に相当し、第1スキージホルダ支持プレート43が第1支持部材に相当し、支点ピン45が第1揺動軸に相当し、第1ピニオンギヤ46が第1ピニオンギヤに相当し、第1ラックギヤ47が第1ラックギアに相当し、第2スキージユニット50が第2スキージユニットに相当し、第2スキージ51と第2スキージホルダ52とが第2スキージ部材に相当し、第2スキージホルダ支持プレート53が第2支持部材に相当し、支点ピン55が第2揺動軸に相当し、第2ピニオンギヤ56が第2ピニオンギヤに相当し、第2ラックギヤ57が第2ラックギアに相当する。また、制御装置90が制御部に相当する。
【0031】
なお、本開示は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0032】
例えば、上述した実施形態では、印刷装置10は、スクリーンマスクMを用いて基板PにはんだSを印刷するものとしたが、これに限定されるものではなく、接着剤や導電ペーストを印刷する等、スクリーンマスクMを用いて印刷対象に粘性流体を印刷するものであればよい。
【0033】
以上説明したように、本開示の印刷装置では、第1ピニオンギヤは、第1昇降軸に取り付けられた第1支持部材に対して揺動可能な第1スキージ部材に固定され、第1ピニオンギヤと噛合する第2ラックギヤは、第2昇降軸に取り付けられた第2支持部材に固定される。また、第2ピニオンギヤは、第2昇降軸に取り付けられた第2支持部材に対して揺動可能な第2スキージ部材に固定され、第2ピニオンギヤと噛合する第1ラックギヤは、第1昇降軸に取り付けられた第1支持部材に固定される。このため、第1昇降軸を第2昇降軸よりも下降させることで、両者の昇降差により第1スキージ部材の傾斜角度を変更することができる。また、第2昇降軸を第1昇降軸よりも下降させることで、両者の昇降差により第2スキージ部材の傾斜角度を変更することができる。この結果、独立した2つのスキージユニットを備えるものにおいて、簡易な構成により各スキージの傾斜角度を変更することが可能な印刷装置とすることができる。
【0034】
こうした本開示の印刷装置において、前記第1支持部材は、前記第1昇降軸に着脱可能に取り付けられ、前記第2支持部材は、前記第2昇降軸に着脱可能に取り付けられてもよい。こうすれば、第1スキージユニットと第2スキージユニットの交換や、異なるタイプのスキージユニットの取付を容易に行なうことができる。
【0035】
また、本開示の印刷装置において、操作者の操作に基づいて前記第1スキージ部材または前記第2スキージ部材の傾斜角度が変更されるように前記第1昇降軸または前記第2昇降軸の昇降を制御する制御部を備えてもよい。こうすれば、アタック角度を容易に調整することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本開示は、印刷装置の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0037】
10 印刷装置、11 筐体、12 スクリーンマスク台、21 基板搬送装置、22 レーン、25 バックアップ装置、26 バックアップテーブル、27 バックアップピン、30 印刷ヘッド、31 ヘッド本体、40 第1スキージユニット、41 第1スキージ、42 第1スキージホルダ、43 第1スキージホルダ支持プレート、44 第1スキージホルダ固定ボルト、45 支点ピン、46 第1ピニオンギヤ、47 第1ラックギヤ、50 第2スキージユニット、51 第2スキージ、52 第2スキージホルダ、53 第2スキージホルダ支持プレート、54 第2スキージホルダ固定ボルト、55 支点ピン、56 第2ピニオンギヤ、57 第2ラックギヤ、60 第1スキージ昇降装置、61 第1昇降軸、62 ボールねじナット、63 モータ、70 第2スキージ昇降装置、71 第2昇降軸、72 ボールねじナット、73 モータ、80 ヘッド移動装置、81 移動軸、82 ボールねじナット、83 モータ、90 制御装置、91 入力装置、H パターン孔、M スクリーンマスク、P 基板、S はんだ。
図1
図2
図3
図4