(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162873
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】換気扇
(51)【国際特許分類】
F24F 7/10 20060101AFI20241114BHJP
H02G 3/14 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
F24F7/10 101F
H02G3/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078825
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003568
【氏名又は名称】弁理士法人加藤国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸田 吉保
【テーマコード(参考)】
5G361
【Fターム(参考)】
5G361AA06
5G361AC03
(57)【要約】
【課題】保護カバーが容易には外れない構成の換気扇を提供する。
【解決手段】換気扇100は、電線接続装置11の天面部44、右側面部45及び左側面部46のそれぞれ一部を覆う天面部55、右側面部55及び左側面部56、並びに外部電源電線21と結線される電線接続装置11の結線部分47aを覆う正面部51を有する保護カバー31を備える。電線接続装置11の右側面部45及び右側面部46の各々は引掛け爪48を有する。保護カバー31の右側面部55及び右側面部56の各々は引掛け爪48と嵌合する爪引掛け穴58を有する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気の吸気口及び排気口が形成された筐体と、
前記吸気口から前記筐体の中に流入し前記排気口から流出する気流を形成するファンと、
前記ファンを駆動するモーターと、
第1の天面部及び互いに対向する第1の側面部及び第2の側面部を有し、前記モーターに接続されるモーター電源線と外部電源に接続される外部電源電線とを電気的に接続するための電線接続装置と、
前記第1の天面部の一部を覆う第2の天面部、前記第1の側面部の一部を覆う第3の側面部、前記第2の側面部の一部を覆う第4の側面部、及び前記外部電源電線と結線される前記電線接続装置の結線部分を覆う正面部を有する保護カバーとを備え、
前記第1の側面部及び前記第2の側面部の各々は引掛け爪を有し、
前記第3の側面部及び前記第4の側面部の各々は前記引掛け爪と嵌合する爪引掛け穴を有することを特徴とする換気扇。
【請求項2】
前記保護カバーの前記正面部は前記外部電源電線を通すための切欠きを有することを特徴とする請求項1に記載の換気扇。
【請求項3】
前記引掛け爪は、前記正面部と直交する向きに前記正面部から離れるにつれて前記第1の側面部及び前記第2の側面部の各々から外側の方向への高さが高くなる傾斜面を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の換気扇。
【請求項4】
折り曲げれた一枚の板金で構成された前記保護カバーは、前記第3の側面部及び前記第4の側面部にそれぞれ連続して設けられ、各々前記第2の天面部の外側の面の一部と重なる第1の天面固定部及び第2の天面固定部を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の換気扇。
【請求項5】
前記引掛け爪は、前記第2の天面部と直交する向きに前記第2の天面部から離れるにつれて前記第1の側面部及び前記第2の側面部の各々から外側の方向への高さが高くなる傾斜面を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の換気扇。
【請求項6】
折り曲げられた一枚の板金で構成された前記保護カバーは、前記第3の側面部及び前記第4の側面部にそれぞれ連続して設けられ、各々前記正面部の外側の面の一部と重なる第1の正面固定部及び第2の正面固定部を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の換気扇。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はモーター電源線と外部電源電線とを電気的に接続する電線接続装置に保護カバーが取付けられる換気扇に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、モーター取付板の上面に設置され、外部電源電線が接続される電線接続装置、電線接続装置を覆う電線接続装置カバー、及び、モーター取付板の上面に設置され、電線接続装置の結線部を覆う埃侵入抑制カバーを備えるダクト用換気扇が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
外部電源電線と結線される電線接続装置の結線部分は、作業者或いはエンドユーザーによって不用意に触れられないようにするため、埃侵入抑制カバーが容易に外れない構成が必要である。しかし埃侵入抑制カバーがどのようにモーター取付板に取付けられ、モーター取付板からどのように取外されるのか、特許文献1では言及されていない。
【0005】
本開示の目的は、保護カバーが容易には外れない構成の換気扇を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る換気扇は、第1の天面部及び互いに対向する第1の側面部及び第2の側面部を有し、ファンを駆動するモーターに接続されるモーター電源線と、外部電源に接続される外部電源電線とを電気的に接続するための電線接続装置と、第1の天面部の一部、第1の側面部の一部及び第2の側面部の一部をそれぞれ覆う第2の天面部、第3の側面部及び第4の側面部、及び外部電源電線と結線される電線接続装置の結線部分を覆う正面部を有する保護カバーとを備える。第1の側面部及び第2の側面部の各々は引掛け爪を有する。第3の側面部及び第4の側面部の各々は引掛け爪と嵌合する爪引掛け穴を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る換気扇によれば、保護カバーを容易に取外すことができない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る換気扇であって、天井に取付けられた換気扇100の断面図である。
【
図2】実施の形態1に係る換気扇であって、化粧グリル12が取外されている換気扇100の底面図である。
【
図3】実施の形態1に係る換気扇であって、外部電源電線21が取外されている換気扇100の部分斜視図である。
【
図4】実施の形態1に係る換気扇であって、外部電源電線21が取付けられた換気扇100の部分斜視図である。
【
図5】実施の形態1に係る換気扇であって、保護カバー31が取付けられた換気扇100の部分斜視図である。
【
図7】電線接続装置11の右側面部45の引掛け爪48をZ軸-方向に見た断面図である。
【
図9】折り曲げ加工前の保護カバー31の展開図である。
【
図10】保護カバー31を電線接続装置11に取付ける方法を説明するための模式図である。
【
図11】引掛け爪48が爪引掛け穴58に嵌合された状態をZ軸-方向に見た断面図である。
【
図12】実施の形態2に係る換気扇に備えられる電線接続装置61の部分斜視図である。
【
図13】電線接続装置61の右側面部45の引掛け爪68をX軸+方向に見た断面図である。
【
図14】実施の形態2に係る換気扇に備えられる保護カバー71の斜視図である。
【
図15】折り曲げ加工前の保護カバー71の展開図である。
【
図16】保護カバー71を電線接続装置61に取付ける方法を説明するための模式図である。
【
図17】引掛け爪68が爪引掛け穴78に嵌合された状態をX軸+方向に見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、図面及び以下の説明において、同一のもの及び実質的に同一のものには同一の符号を付し、同一の符号を付したものの説明は繰り返さない。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る換気扇100であって、天井25に取付けられた状態にある換気扇100の断面図である。
図2は、化粧グリル12が取外されている換気扇100の底面図である。
図3は、外部電源電線21が取外されている前の換気扇100の部分斜視図である。
図4は、外部電源電線21が取付けられた換気扇100の部分斜視図である。
図5は、保護カバー31が取付けられた換気扇100の斜視図である。
【0011】
換気扇100としてダクト用換気扇が例示される。換気扇100は、天井25に設けられた開口を通じて天井裏に配置され、室内外を連通させるダクト14を通じて屋外に排気する。換気扇100は、換気扇ボディ2と、ダクト接続口8と、送風機1と、モーター取付板22と、ファンケーシング5とを有する。換気扇ボディ2は空気の吸気口2c及び排気口2bを形成する筐体である。吸気口2cは換気扇100の底部に設けられ、換気扇100が天井25に取付けられた際、換気される部屋の側を向く。
図2は吸気口2cを見た換気扇100の底部の外観に当たる。排気口2bは換気扇ボディ2の側部に設けられ、吸気口2cとは直交する方向を向く。ダクト接続口8は換気扇ボディ2の側部に取付けられ、換気扇ボディ2の外側面から延び、気流の吐出口となる排気口2bをダクト14に連通する位置まで延長する。
【0012】
送風機1は、換気する空気を流通させる換気駆動体であり、モーター3と、モーター3の駆動軸に差込結合されたファン4とから構成されている。ファン4は、吸気口2cから換気扇ボディ2の中に流入して排気口2bから流出する気流を形成する。モーター3はモーター取付板22にねじにより固定され、ファン4を駆動する。ファンケーシング5は、モーター取付板22にねじにより固定され、送風機1により発生する気流の風路を形成する。ファンケーシング5は下面が開放されて吸込口6が形成されている。吸気口2cから吸込口6を介してファンケーシング5内に吸い込まれた空気は、送風機1によってファンケーシング5の内壁に沿って排気口2bに送られ、ダクト接続口8及びダクト14を介して屋外へ排気される。
【0013】
換気扇ボディ2は、天井25に開けられた本体埋込穴26に埋込まれ、換気扇ボディ2のフランジ2aに設けられたねじ穴27を通じて天井25にねじが打ち込まれることで天井25に固定される。換気扇ボディ2の天面28は開口を有する。送風機1及びファンケーシング5が取付けられたモーター取付板22が換気扇ボディ2内に挿入されて換気扇ボディ2の天面28にねじ30によりねじ留めされる。天面28の開口からモーター3の一部が突出し、ファン4及びファンケーシング5が換気扇ボディ2の内側に収容される。
【0014】
換気扇100は、ファンケーシング5といった内部部品が見えて見栄えが悪くならないように意匠部品である化粧グリル12を備える。化粧グリル12は、本体取付用のスプリング13を2本備える。ファンケーシング5の吸込口6が形成された側の面にスプリング固定部7が2か所に形成されている。2本のスプリング13をそれぞれスプリング固定部7に引っ掛けることにより化粧グリル12が換気扇ボディ2に固定される。これにより化粧グリル12は換気扇100の室内に向く側を覆う。
【0015】
ダクト接続口8は、径の異なる段状の外形を有している。ダクト接続口8の外形が径の異なる段状であることにより、径が異なるダクト14に接続することが可能であるとともに、テーピングなどの作業性が向上する。ダクト接続口8内には、風圧にて開閉するシャッター9が設けられている。シャッター9は、換気扇100の運転時には風圧で開き、停止時はシャッター9の自重でダクト接続口8を閉鎖する。ダクト接続口8内にシャッター9を設けることで、換気扇100の停止時に屋外からの外風が室内に侵入するのを防止することができる。ダクト14は、屋外まで延びており建物の屋外外壁に備えたフードなどと連結し、住宅内の空気を換気する換気風路を形成している。
【0016】
換気扇100は、電線接続装置11及び保護カバー31を備える。電線接続装置11は、
図3に示されるように、モーター取付板22の上面に設置され、モーター電線23と接続する。電線接続装置11は、
図4に示されるように、外部電源電線21と接続される。電線接続装置11は、モーター3に接続されるモーター電線23と外部電源に接続される外部電源電線21とを電気的に接続するためのものであり、外部電源電線21を通じて供給される電力を、モーター電線23を介してモーター3に供給する。電気エネルギーがモーター3のシャフトの回転運動に変換される。モーター3が回転運動をファン4に伝えることでファン4が回転し、ファンケーシング5で形成された風路内に空気の流れが形成される。
【0017】
電線接続装置11は天面部及び互いに対向する2つの側面部を有し、2つの側面部の各々は引掛け爪48が設けられる。引掛け爪48は側面部からその外側に突出する形状を有する。外部電源電線21と結線される結線部分は電線接続装置11から露出している。この結線部分を保護するため、保護カバー31は電線接続装置11に取付けられ、結線部分の露出部分を覆う。具体的には、保護カバー31は正面部、天面部及び互いに対向する2つの側面部を有する。
図5に示されるように、保護カバー31の天面部が電線接続装置11の天面部の一部を覆い、保護カバー31の2つの側面部が電線接続装置11の2つの側面部の一部をそれぞれ覆い、保護カバー31の正面部が電線接続装置11から露出する結線部分を覆う。保護カバー31の2つの側面部に爪引掛け穴が設けられる。電線接続装置11の2つの引掛け爪48が保護カバー31の2つの爪引掛け穴にそれぞれ嵌合される。
【0018】
図3から
図5は保護カバー31の取付手順を示している。モーター取付板22は換気扇ボディ2から取外されている状態で、作業者は、モーター電線23が接続された電線接続装置11に外部電源電線21を接続し、その後、保護カバー31を電線接続装置11に取付ける。そしてその後に作業者は、モーター取付板22を天井裏に設置された換気扇ボディ2に取り付ける。以下、電線接続装置11及び保護カバー31について詳述する。
【0019】
図6は、電線接続装置11の部分斜視図である。電線接続装置11は、設置部材43、複数の速結端子47及び収納カバー40を備える。モーター取付板22に取付けられた設置部材43に複数の速結端子47が搭載され、直方体の形状をなす収納カバー40は複数の速結端子47を覆うように設置部材43に取付けられる。複数の速結端子47はモーター電線23と外部電源電線21とを電気的に接続する。速結端子47の個数はモーター電線23及び外部電源電線21の各々を構成する電線数に応じる。ここでは2個の速結端子47が、モーター電線23の2本の電線と外部電源電線21の2本の電線とをそれぞれ接続する。
【0020】
収納カバー40は正面部41、天面部44、右側面部45及び左側面部46を有し、1枚の板金が加工されて形成される。天面部44は設置部材43と平行に設けられる。右側面部45及び左側面部46は互いに平行であり、各々は天面部44とは直交する。正面部41は天面部44、右側面部45及び左側面部46の各々と直交する。また図示されないが、収納カバー40は、正面部51と平行であり、天面部44、右側面部45及び左側面部46の各々とは直交する背面部を有する。正面部41、天面部44、右側面部45、左側面部46及び背面部は電線接続装置11のそれぞれ正面部、天面部、右側面部、左側面部及び背面部と言い換えることができる。
【0021】
モーター電線23は背面部を貫通し、モーター電線23の2本の電線が速結端子47にそれぞれ接続されている。速結端子47は正面部41の側から露出される。作業者が工具なしに外部電源電線21を速結端子47の結線部分47aに挿入することにより、外部電源電線21の2本の電線は速結端子47の内部でそれぞれ固定される。この固定により外部電源電線21がモーター電線23と電気的に接続される。また各速結端子47は解除ボタン47bを有する。作業者が解除ボタン47bを押すことにより、外部電源電線21は速結端子47からの固定が解除され、作業者は工具なしで外部電源電線21を速結端子47から引き抜くことができる。
【0022】
ここで正面部41から背面部に向かう向きをX軸+方向、右側面部45から左側面部46に向かう向きをY軸+方向、及び、設置部材43から天面部44に向かう向きをZ軸+方向とする。各軸の+方向と反対の向きを各軸の-方向とする。
【0023】
引掛け爪48は右側面部45及び左側面部46の各々に設けられる。
図7は右側面部45の引掛け爪48をZ軸-方向に見た断面図である。引掛け爪48は、右側面部45から外側(つまりY軸-方向)に突出する。具体的には引掛け爪48は、正面部41の直交する向き(つまりX軸+方向)に正面部41から離れるにつれて右側面部45からその外側(つまりY軸-方向)への高さが高くなる傾斜面を持つ形状である。大きさ比に関し、右側面部45の板金厚さt:引掛け爪48の突出高さH:引掛け爪48の長さW=1:2:6程度である。板金厚さtは0.5mm程度である。引掛け爪48は板金から押し出し成型で形成される。左側面部46の引掛け爪48は、右側面部45の引掛け爪48と面対称な形状であり、左側面部46から外側(つまりY軸+方向)に突出する形状であり、正面部41から離れる方向(つまりX軸+方向)に向かうにつれて左側面部46からその外側(つまりY軸-方向)への高さが高くなる傾斜面を持つ形状である。
【0024】
図8は保護カバー31の斜視図であり、
図9は折り曲げ加工前の保護カバー31の展開図である。保護カバー31は正面部51,天面部54、右側面部55及び左側面部56を有し、一枚の板金が折り曲げられて直方体状に形成される。正面部51は、外部電源電線21を通すための切欠き59を有する。右側面部55及び左側面部56の各々には、引掛け爪48と嵌合する爪引掛け穴58が設けられる。爪引掛け穴58は板金の打ち抜き加工により形成される。
【0025】
右側面部55、左側面部56及び天面部54は正面部51のそれぞれ異なる辺と繋がっているが、天面部54は右側面部55及び左側面部56と離間している。保護カバー31はさらに天面固定部52及び53を備える。天面固定部52は右側面部55に連続して設けられ、天面固定部53は左側面部56に連続して設けられる。右側面部55、左側面部56及び天面部54の各々と正面部51との境界部分、右側面部55と天面固定部52との境界部分、及び、左側面部56と天面固定部53との境界部分がそれぞれ折り曲げられる。この折り曲げ加工によって保護カバー31は、天面部54、右側面部55及び左側面部56の各々が正面部51と直交し、右側面部55及び左側面部56が互いに平行となり、且つ天面固定部52及び53の各々が天面部54の外側の面の一部と重なる構成に組み立てられる。天面固定部52及び53は、天面部54と右側面部55及び左側面部56とをそれぞれ固定する機能を有する。
【0026】
図10は、保護カバー31を電線接続装置11に取付ける方法を説明するための模式図である。換気扇100を施工する過程において、作業者がモーター取付板22に取付けられた電線接続装置11に外部電源電線21を接続した後、切欠き59に外部電源電線21を通しながら、
図10に示すように、保護カバー31を電線接続装置11の正面部41からX軸+方向に嵌め込む。簡略化のため、
図10では外部電源電線21は省略されている。
【0027】
具体的に説明すると、右側面部55及び左側面部56の内面間の間隔は収納カバー40の右側面部55及び左側面部56の外面間の間隔と一致する。保護カバー31は、電線接続装置11の天面部44、右側面部45及び左側面部46をそれぞれ天面部54、右側面部55及び左側面部56で覆いながらX軸+方向に嵌め込まれる。引掛け爪48が爪引掛け穴58に引っ掛けられることにより保護カバー31は電線接続装置11に固定される。引掛け爪48の突出形状は、Z軸の方向に見て正面部41の側が鋭角となる三角形状である。保護カバー31がX軸+方向に嵌め込む際に、右側面部55及び左側面部56が引掛け爪48によりそれぞれの外側の方向(それぞれY軸-方向及び+方向)に弾性変形で徐々に押し広げられながら保護カバー31は嵌め込まれる。保護カバー31を電線接続装置11に取付ける際、工具は不要である。
【0028】
図11は、引掛け爪48が爪引掛け穴58に嵌合された状態をZ軸-方向に見た断面図である。引掛け爪48が爪引掛け穴58に嵌め込まれると、引掛け爪48により押し広げられた右側面部55及び左側面部56は弾性変形で元の状態に戻る。引掛け爪48のX軸-方向の先端48aが爪引掛け穴58のX軸+方向の端部58aに引っ掛かることによって、保護カバー31がX軸-方向に外れることが抑制される。この作用は引掛け爪48が爪引掛け穴58に嵌合される左側面部56でも同様である。
【0029】
図10に戻り、Z軸に沿う爪引掛け穴58と天面部54の内面との距離が、Z軸に沿う引掛け爪48と天面部44の外面との距離に一致するように爪引掛け穴58及び引掛け爪48は形成される。保護カバー31が電線接続装置11に嵌め込まれる際、保護カバー31の天面部54が電線接続装置11の天面部44に接した状態で保護カバー31はX軸+方向に押し込まれる。爪引掛け穴58及び引掛け爪48のそれぞれZ軸の位置が一致するので爪引掛け穴58と引掛け爪48とを容易に嵌合させることができる。
【0030】
また、X軸に沿う爪引掛け穴58と正面部51の内面との距離は、X軸に沿う引掛け爪48と正面部41の外面との距離に一致するように爪引掛け穴58及び引掛け爪48は形成される。これにより、保護カバー31が電線接続装置11に嵌め込まれた際に、正面部51が正面部41に接した状態で保護カバー31は固定されるので、保護カバー31が引掛け爪48を中心にY軸周りに回転して電線接続装置11から外れるのを抑制することができる。
【0031】
保護カバー31は、引掛け爪48が爪引掛け穴58に引っ掛けられた状態では、X軸-方向への移動はもとよりZ軸+方向への移動も阻害されるため、ねじその他の固定具を使うことなく電線接続装置11に固定される。換気扇100の保守等において保護カバー31を電線接続装置11から取外す場合、工具なしには取外しは困難である。作業者は、ドライバー等の工具を使って、引掛け爪48を内側に押し込む右側面部55及び左側面部56を右側面部45及び左側面部46からそれぞれ浮かせることにより引掛け爪48を爪引掛け穴58から外し、電線接続装置11の右側面部45及び左側面部46の各内面に入れ込む。これにより保護カバー31が引掛け爪48より外側に広げられ、作業者は保護カバー31を電線接続装置11から引き抜くことができる。
【0032】
以上のように、本実施の形態に係る換気扇100では、電線接続装置11の右側面部45及び左側面部46の各々に引掛け爪48が設けられ、その右側面部45及び左側面部46をそれぞれ覆う保護カバー31の右側面部55及び左側面部56の各々に、引掛け爪48と嵌合する爪引掛け穴58が設けられる。保護カバー31は電線接続装置11から取外す際には工具なしには取外すことができない。よって保護カバー31を容易に外すことはできず、外部電源電線との結線部分に簡単にはアクセスすることができなくなる。
【0033】
引掛け爪48は、正面部41と直交する向きに正面部41から離れるにつれて右側面部45及び左側面部46の各々からの外側への高さが高くなる傾斜面を有する。保護カバー31が電線接続装置11の正面部41から押し込まれると、引掛け爪48が保護カバー31の右側面部45及び左側面部46を押し広げながら移動し、爪引掛け穴58に嵌合する。よって作業者は工具なしに保護カバー31を電線接続装置11に取付けることができるため、換気扇100の施工時の作業性は損なわれない。
【0034】
折り曲げれた一枚の板金で構成された保護カバー31は、右側面部55及び左側面部56にそれぞれ連続して設けられた天面固定部52及び53を有する。天面固定部52及び53により右側面部55及び左側面部56が撓むことが抑制されるので、保護カバー31は引掛け爪48が爪引掛け穴58から外れることを防止する。また正面部51と右側面部55及び左側面部56の各々との間に隙間が生じたとしても、天面固定部52及び53がその隙間を覆うので、電線接続装置11の中に指は入らない。
【0035】
実施の形態2.
図12は、実施の形態2に係る換気扇に備えられる電線接続装置61の部分斜視図である。電線接続装置61は、引掛け爪48に代えて引掛け爪68を備える。引掛け爪68は右側面部45及び左側面部46の各々に設けられ、各側面部45及び46からその外側に突出する形状を有する。
【0036】
図13は、右側面部45の引掛け爪68をX軸+方向に見た断面図である。引掛け爪68は、右側面部45から外側(つまりY軸-方向)に突出する。具体的には引掛け爪68は、天面部44に直交する向き(つまりZ軸-方向)に天面部44から離れるにつれて右側面部45からその外側(つまりY軸-方向)への高さが高くなる傾斜面を持つ形状である。引掛け爪68は板金から押し出し成型で形成される。左側面部46の引掛け爪68は、右側面部45の引掛け爪68と面対称な形状であり、左側面部46から外側(つまりY軸+方向)に突出する形状であり、天面部44に直交する向き(つまりZ軸-方向)に天面部44から離れるにつれて左側面部46からその外側(つまりY軸+方向)への高さが高くなる傾斜面を持つ形状である。
【0037】
図14は、実施の形態2に係る換気扇に備えられる保護カバー71の斜視図であり、
図15は折り曲げ加工前の保護カバー71の展開図である。保護カバー71は正面部51、天面部54、右側面部55及び左側面部56を有し、一枚の板金が折り曲げられて直方体状に形成される。保護カバー71は爪引掛け穴58に代えて、引掛け爪68と嵌合する爪引掛け穴78を備える。爪引掛け穴78は右側面部55及び左側面部56の各々に設けられ、板金の打ち抜き加工により形成される。
【0038】
右側面部55、左側面部56及び正面部51は天面部54のそれぞれ異なる辺と繋がっているが、正面部51は右側面部55及び左側面部56と離間している。保護カバー71はさらに正面固定部72及び73を備える。正面固定部72は右側面部55に連続して設けられ、正面固定部73は左側面部56に連続して設けられる。右側面部55、左側面部56及び正面部51の各々と天面部54との境界部分、右側面部55と正面固定部72との境界部分、及び、左側面部56と正面固定部73との境界部分がそれぞれ折り曲げられる。この折り曲げ加工によって保護カバー71は、正面部51、右側面部55及び左側面部56の各々が天面部54と直交し、右側面部55及び左側面部56が互いに平行となり、且つ正面固定部72及び73の各々が正面部51の外側の面の一部と重なる構成に組み立てられる。正面固定部72及び73は、天面部54と右側面部55及び左側面部56とをそれぞれ固定する機能を有する。
【0039】
保護カバー71及び電線接続装置61は、換気扇100において保護カバー31及び電線接続装置11の代わりに設けられる。保護カバーが電線接続装置は取付けられる際、保護カバー31が電線接続装置11の正面部41から背面部の側へ嵌め込まれるのに対し、保護カバー71が電線接続装置61の天面部44から設置部材43の側へ嵌め込まれる点で実施の形態2は実施の形態1と異なる。以下、保護カバー71及び電線接続装置61が詳述されるが、説明のない部分は実施の形態1の保護カバー31及び電線接続装置11と同一の構成を有する。
【0040】
図16は、保護カバー71を電線接続装置61に取付ける方法を説明するための模式図である。作業者は、
図16に示すように、保護カバー71を電線接続装置61の天面部44からZ軸-方向に嵌め込み、切欠き59に外部電源電線21を通す。簡略化のため、
図16では外部電源電線21は省略されている。
【0041】
具体的に説明すると、保護カバー71は、電線接続装置61の正面部41、右側面部45及び左側面部46をそれぞれ正面部51、右側面部55及び左側面部56で覆いながらZ軸-方向に嵌め込まれる。引掛け爪68が爪引掛け穴78に引っ掛けられることにより保護カバー71が電線接続装置61に固定される。引掛け爪68の突出形状は、X軸の方向に見て天面部44の側が鋭角となる三角形状である。よって保護カバー71がZ軸-方向に嵌め込む際に、右側面部55及び左側面部56が引掛け爪68によりそれぞれの外側の方向(それぞれY軸-方向及び+方向)に弾性変形で徐々に押し広げられながら保護カバー71は嵌め込まれる。保護カバー71を電線接続装置61に取付ける際、工具は不要である。
【0042】
図17は、引掛け爪68が爪引掛け穴78に嵌合された状態をX軸+方向に見た断面図である。引掛け爪68が爪引掛け穴78に嵌め込まれると、引掛け爪68により押し広げられた右側面部55及び左側面部56は弾性変形で元の状態に戻る。引掛け爪68のZ軸-方向の先端68aが爪引掛け穴78のZ軸-方向の端部78aに引っ掛かることによって、保護カバー71がZ軸+方向に外れることが抑制される。この作用は引掛け爪68が爪引掛け穴78に嵌合される左側面部56でも同様である。
【0043】
図16に戻り、X軸に沿う爪引掛け穴78と正面部51の内面との距離が、X軸に沿う引掛け爪68と正面部41の外面との距離に一致するように爪引掛け穴78及び引掛け爪68は形成される。保護カバー71が電線接続装置61に嵌め込まれる際、保護カバー71の正面部51が電線接続装置61の正面部41に接した状態で保護カバー71はZ軸-方向に押し込まれる。爪引掛け穴78と引掛け爪68とのZ軸の沿う高さが一致するので爪引掛け穴78と引掛け爪68とを容易に嵌合させることができる。
【0044】
また、Z軸に沿う爪引掛け穴78と天面部54の内面との距離は、Z軸に沿う引掛け爪68と天面部44の外面との距離に一致するように爪引掛け穴78及び引掛け爪68は形成される。これにより、保護カバー71を電線接続装置61に嵌め込んだ際に、天面部54が天面部44に接した状態で保護カバー71は固定されるので、保護カバー71が引掛け爪68を中心にY軸周りに回転して電線接続装置61から外れるのを抑制することができる。
【0045】
実施の形態1と同様、換気扇100の保守において保護カバー71を電線接続装置61から取外す場合、作業者は、ドライバー等の工具を使って、引掛け爪68を内側に押し込む右側面部55及び左側面部56を右側面部45及び左側面部46からそれぞれ浮かせることにより引掛け爪68を爪引掛け穴78から外し、電線接続装置61の右側面部45及び左側面部46の各内面に入れ込む。これにより保護カバー71が引掛け爪68より外側に広げられ、作業者は保護カバー71を電線接続装置61から引き抜くことができる。
【0046】
以上のように、本実施の形態に係る換気扇100では、実施の形態1と同様、引掛け爪68が爪引掛け穴78に嵌合するので、保護カバー71は電線接続装置61から取外す際には工具なしには取外すことができない。よって保護カバー71を容易に外すことはできず、外部電源電線との結線部分に簡単にはアクセスすることができなくなる。
【0047】
引掛け爪68は、天面部44と直交する向きに天面部44から離れるにつれて右側面部45及び左側面部46の各々からの外側への高さが高くなる傾斜面を有する。保護カバー71が電線接続装置61の天面部44から押し込まれると、引掛け爪68が保護カバー71の右側面部45及び左側面部46を押し広げながら移動し、爪引掛け穴78に嵌合する。よって作業者は工具なしに保護カバー71を電線接続装置61に取付けることができるため、換気扇100の施工時の作業性は損なわれない。
【0048】
折り曲げれた一枚の板金で構成された保護カバー71は、右側面部55及び左側面部56にそれぞれ連続して設けられた正面固定部72及び73を有する。正面固定部72及び73により右側面部55及び左側面部56が撓むことが抑制されるので、保護カバー71は引掛け爪68が爪引掛け穴78から外れることを防止する。また正面部51と右側面部55及び左側面部56の各々との間に隙間が生じたとしても、正面固定部72及び73がその隙間を覆うので、電線接続装置61の中に指は入らない。
【0049】
今回開示された実施の形態は例示的なものであり、実施の形態において、特許請求の範囲の記載から逸脱しない範囲で構成要素の変形、省略又は追加が可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 送風機、2 換気扇ボディ(筐体)、2b 排気口、2c 吸気口、3 モーター、4 ファン、5 ファンケーシング、8 ダクト接続口、11、61 電線接続装置、14 ダクト、21 外部電源電線、22 モーター取付板、23 モーター電線、31,71 保護カバー、40 収納カバー、41、51 正面部、43 設置部材、44、54 天面部、45、55 右側面部、46、56 左側面、47 速結端子、47a 結線部分、48、68 引掛け爪、52、53 天面固定部、58、78 爪引掛け穴、59 切欠き、72、73 正面固定部、100 換気扇。