(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162875
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】ファイル
(51)【国際特許分類】
B42F 7/00 20060101AFI20241114BHJP
B42F 7/08 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
B42F7/00 L
B42F7/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078829
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000129437
【氏名又は名称】株式会社キングジム
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 ゆりの
【テーマコード(参考)】
2C017
【Fターム(参考)】
2C017QA08
2C017QA11
2C017QB06
(57)【要約】
【課題】展開状態及び折り畳み状態に遷移可能なファイルにおいて、折り畳み状態での利便性を向上させる技術を提供する。
【解決手段】一方向に延設されたシート部を有すると共に、前記シート部に被保持物を保持させる保持部を有する保持シート体と、前記シート部の延設方向における一端が接続された第一表紙体と、前記シート部の前記延設方向における他端が接続された第二表紙体と、前記第一表紙体と前記第二表紙体を係合する第一係合部とを備えるファイルであって、前記第一係合部が、前記第一表紙体における前記保持シート体の接続箇所と前記第二表紙体における前記保持シート体の接続箇所との距離を変化させるように、前記第一表紙体と前記第二表紙体の相対移動を可能にする移動機構を備える。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に延設されたシート部を有すると共に、前記シート部に被保持物を保持させる保持部を有する保持シート体と、
前記シート部の延設方向における一端が接続された第一表紙体と、
前記シート部の前記延設方向における他端が接続された第二表紙体と、
前記第一表紙体と前記第二表紙体を係合する第一係合部と、を備えるファイルであって、
前記シート部は、前記延設方向と直交する方向であって且つ前記被保持物を保持する面に沿う方向の折り目が、前記延設方向において複数設けられ、当該折り目で蛇腹折りに折り畳まれた折り畳み状態と、当該折り目の折りを戻して展開された展開状態とに遷移可能であり、
前記第一表紙体が、前記折り畳み状態の前記保持シート体に沿って閉じることが可能な主表紙部と、前記主表紙部と相対的に開閉が可能な副表紙部とを有し、
前記第一係合部が、
前記第二表紙体に前記副表紙部を沿わせた状態で前記第二表紙体と前記副表紙部とを係合し、
前記第一表紙体における前記保持シート体の接続箇所と前記第二表紙体における前記保持シート体の接続箇所との距離を変化させるように、前記第一表紙体と前記第二表紙体の相対移動を可能にする移動機構を備える、
ファイル。
【請求項2】
前記第一係合部が、前記第一表紙体と前記第二表紙体とを係脱可能に係合する請求項1に記載のファイル。
【請求項3】
前記第二表紙体が、前記折り畳み状態の前記保持シート体に沿って閉じることが可能な主表紙部と、前記主表紙部と相対的に開閉が可能な副表紙部とを有し、
前記ファイルが、前記第一表紙体の主表紙部に前記第二表紙体の前記副表紙部を沿わせた状態で前記第二表紙体と前記第一表紙体とを係合する第二係合部を有する、
請求項1に記載のファイル。
【請求項4】
前記第二係合部が、前記第二表紙体と前記第一表紙体とを係合する第二係合部材を備え、
前記移動機構が、前記第二表紙体における前記副表紙部に、当該第二表紙体における前記副表紙部の幅方向に沿って設けられ、前記第二係合部材をスライド移動可能に保持するスライド溝を備える
請求項3に記載のファイル。
【請求項5】
前記第一係合部が、前記第二表紙体と前記第一表紙体とを係合する第一係合部材を備え、
前記移動機構が、前記第一表紙体における前記副表紙部に、当該第一表紙体における前記副表紙部の幅方向に沿って設けられ、前記第一係合部材をスライド移動可能に保持するスライド溝を備える
請求項1~4の何れか1項に記載のファイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳み式のファイルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、透明ポケットを屈伸折り(経本折り)にした書類ファイルが記載されている。当該特許文献1では、透明ポケットを屈伸折りにたためるように屈曲部に折り目をつけて表紙へ取り付けると共に、透明ポケットの屈曲部の折り目は内側につけ、外側は開口部とし、両面の表紙に各々折り目と表紙蓋と止め具をつけることが記載されている。これにより特許文献1の書類ファイルは、不必要な箇所は折り畳んだまま必要箇所だけを一様に広げることができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭58-168464号公報
【特許文献2】実開昭59-7880号公報
【特許文献3】実開昭63-191073号公報
【特許文献4】実公平1-8383号公報
【特許文献5】実開昭61-188878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の書類ファイルは、透明ポケットを広げて見ることができるものの、透明ポケットが屈伸折りで畳まれた状態で冊子状のファイルのように1頁ずつ頁をめくような使い方はし難く利便性に改善の余地があった。
【0005】
本開示の技術は、展開状態及び折り畳み状態に遷移可能なファイルにおいて、折り畳み状態での利便性を向上させる技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本開示のファイルは、
一方向に延設されたシート部を有すると共に、前記シート部に被保持物を保持させる保持部を有する保持シート体と、
前記シート部の延設方向における一端が接続された第一表紙体と、
前記シート部の前記延設方向における他端が接続された第二表紙体と、
前記第一表紙体と前記第二表紙体を係合する第一係合部と、を備えるファイルであって、
前記シート部は、前記延設方向と直交する方向であって且つ前記被保持物を保持する面に沿う方向の折り目が、前記延設方向において複数設けられ、当該折り目で蛇腹折りに折り畳まれた折り畳み状態と、当該折り目の折りを戻して展開された展開状態とに遷移可能であり、
前記第一表紙体が、前記折り畳み状態の前記保持シート体に沿って閉じることが可能な主表紙部と、前記主表紙部と相対的に開閉が可能な副表紙部とを有し、
前記第一係合部が、
前記第二表紙体に前記副表紙部を沿わせた状態で前記第二表紙体と前記副表紙部とを係合し、
前記第一表紙体における前記保持シート体の接続箇所と前記第二表紙体における前記保持シート体の接続箇所との距離を変化させるように、前記第一表紙体と前記第二表紙体
の相対移動を可能にする移動機構を備える。
【0007】
前記係合部は、前記第一表紙体と前記第二表紙体とを係脱可能に係合してもよい。
【0008】
前記ファイルにおいて、
前記第二表紙体が、前記折り畳み状態の前記保持シート体に沿って閉じることが可能な主表紙部と、前記主表紙部と相対的に開閉が可能な副表紙部とを有し、
前記ファイルが、前記第一表紙体の主表紙部に前記第二表紙体の前記副表紙部を沿わせた状態で前記第二表紙体と前記第一表紙体とを係合する第二係合部を有してもよい。
【0009】
前記ファイルにおいて、
前記第二係合部が、前記第二表紙体と前記第一表紙体とを係合する第二係合部材を備え、
前記移動機構が、前記第二表紙体における前記副表紙部に、当該第二表紙体における前記副表紙部の幅方向に沿って設けられ、前記第二係合部材をスライド移動可能に保持するスライド溝を備えてもよい。
【0010】
前記ファイルにおいて、
前記第一係合部が、前記第二表紙体と前記第一表紙体とを係合する第一係合部材を備え、
前記移動機構が、前記第一表紙体における前記副表紙部に、当該第一表紙体における前記副表紙部の幅方向に沿って設けられ、前記第一係合部材をスライド移動可能に保持するスライド溝を備えてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本開示の技術によれば、展開状態及び折り畳み状態に遷移可能なファイルにおいて、折り畳み状態での利便性を向上させる技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施形態に係るファイルの斜視図である。
【
図8】
図8は、第一表紙体の第一表紙部と第二表紙体の第三表紙部を係合した状態でファイルを開いた場合の表紙体外側面を示す図である。
【
図9】
図9は、第二表紙体の第一表紙部と第一表紙体の第三表紙部を係合した状態でファイルを開いた場合の表紙体外側面を示す図である。
【
図10】
図10は、第一表紙体のヒンジ周辺を示す平面図である。
【
図11】
図11は、第一表紙体の凸型ボタンと第二表紙体の凹型ボタンの取付位置付近を示す模式断面図である。
【
図12】
図12は、第二表紙体の凸型ボタンと第一表紙体の凹型ボタンの取付位置付近を示す模式断面図である。
【
図15】
図15は、被保持物が保持された状態を示す保持部付近の模式断面図である。
【
図16】
図16は、ファイルを閉じた状態から第二表紙体を開いた状態とした場合のファイルを示す図である。
【
図17】
図17は、保持シート体を左右見開きで開いた状態を示す図である。
【
図18】
図18は、第一表紙体と第二表紙体の係合を外し、保持シート体を展開した状態を示す図である。
【
図19】
図19は、移動機構によって第一表紙体と第二表紙体とを相対移動させた状態を示す図である。
【
図20】
図20は、ファイルを開いた際、移動機構によって第一表紙体と第二表紙体とを相対移動させる前の状態を示す図である。
【
図21】
図21は、ファイルを開いた際、移動機構によって第一表紙体と第二表紙体とを相対移動させた後の状態を示す図である。
【
図22】
図22は、変形例1に係るファイルの構成を示す図である。
【
図23】
図23は、変形例2に係るファイルの構成を示す図である。
【
図24】
図24は、変形例2に係るファイルの内側(保持シート体が設けられている側)を開いた状態で示す図である。
【
図25】
図25は、変形例2に係るファイルを開いた場合の外側面(第二面)を示す図である。
【
図26】
図26は、変形例2に係るファイルのボタン対を外して展開する途中の状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本発明は実施形態の構成に限定されない。
図1は、本実施形態に係るファイル1の斜視図、
図2は、ファイル1の正面図、
図3は、ファイル1の右側面図、
図4は、ファイル1の平面図、
図5は、ファイル1の底面図、
図6は、ファイル1の背面図、
図7は、ファイル1の左側面図、
図8は、第一表紙体の第一表紙部と第二表紙体の第三表紙部を係合した状態でファイルを開いた場合の表紙体外側面を示す図、
図9は、第二表紙体の第一表紙部と第一表紙体の第三表紙部を係合した状態でファイルを開いた場合の表紙体外側面を示す図である。なお、本実施形態では、
図1における上下方向(Y軸方向)を「ファイルの上下方向」とし、
図1における左右方向(X軸方向)を「ファイルの左右方向」とし、
図1における紙面と垂直な方向(Z軸方向)を「ファイルの奥行き方向」とする。なお、これらの方向は、本実施形態に係る説明の便宜上、一例として示したものであり、これに限定されるものではない。なお、上下方向の長さを「高さ」、左右方向の長さを「幅」とも称す。ファイル1は、表紙体100と保持シート体30とを備える。表紙体100は、互いに係脱可能に構成された第一表紙体10と第二表紙体20とを備える。ファイル1は、書類や楽譜、写真といったシート状の被保持物を保持シート体30に保持することができる。ファイル1は、
図1~
図7のように第一表紙体10と第二表紙体20が係合して閉じた状態では、第一表紙体10及び第二表紙体20が、保持シート体30の外周を囲み、保持シート体30が保持した被保持物を保護する。また、本実施形態のファイル1は、第一表紙体10と第二表紙体20の係合を外すことで、後述のように、被保持物を保持した保持シート体30の各ページを左右見開きで閲覧可能とすることや、3ページ以上を一列に展開して閲覧可能にできる。
【0014】
[表紙体]
第一表紙体10は、第一表紙部(主表紙部)11と第二表紙部12と第三表紙部(副表紙部)13とがヒンジ14・15を介して連設されている。
図10は、第一表紙体10のヒンジ14・15周辺を示す模式平面図である。
図10において、状態Aは、第一表紙体10を開いた状態、状態Bは、第一表紙体10を閉じた状態を示す。本実施形態の第一表紙部11、第二表紙部12及び第三表紙部13は、夫々樹脂材料から形成された平板状の部材である。ヒンジ14は、第一表紙部11と第二表紙部12の境界に設けられ、ヒンジ15は、第二表紙部12と第三表紙部13の境界に設けられる。
【0015】
ヒンジ14は、第一表紙体10の第一面101において上下方向に沿って設けられた二本の溝14A,14Bを有している。同様に、ヒンジ15は、第一表紙体10の第一面(内側面)101において上下方向に沿って設けられた二本の溝15A,15Bを有している。なお、第一面101は、ファイル1を閉じた場合にファイルの内側(保持シート体30側)に向けられる面である。また、第一表紙体10において、第一面101と反対側の面、即ち、ファイル1を閉じた場合にファイル1の外側に向けられる面が、第二面103である。例えば、第一表紙体10は、一枚の樹脂平板の第一面101に、この上下方向に沿って溝14A,14B,15A,15Bが形成され、この溝14A,14B,15A,15Bが形成された部分をヒンジ14,15としたものであってもよい。この第一表紙体10において、溝14A,14B、15A,15Bが設けられた部分の厚さは、他の部分と比べて薄くなっており、この部分を折り目として曲げ伸ばし(開閉)が可能となっている。例えば、第一表紙体10は、第一表紙部11、第二表紙部12及び第三表紙部13が一つの平面に沿うように開いた姿勢(
図10の状態A)をとることができる。また、第一表紙体10は、第一表紙部11に対して直交する方向に第二表紙部12を曲げ、この第二表紙部12に対して直交する方向に第三表紙部13を曲げた姿勢(
図10の状態B)をとることができる。以下、第一表紙体10を状態Aの姿勢とすることを「開く」、状態Bの姿勢とすることを「閉じる」とも称す。なお、
図10の例において、ヒンジ14,15は、夫々二本の溝14A,14B,15A,15Bを備えたが、これに限らず、溝の数は一本であっても、三本以上であってもよい。また、ヒンジ14,15は、溝14A,14B,15A,15Bによる構成に限定されるものではない。例えば、第一表紙体10が紙製の場合、上下方向に沿って線状に圧縮し、この部分を折り目として、ヒンジ14,15を構成してもよい。また、第一表紙体10が、金属等、剛性の高い材料で形成される場合、第一表紙部11、第二表紙部12及び第三表紙部13が夫々別体に形成され、蝶番を介して第一表紙部11、第二表紙部12及び第三表紙部13が連結された構成であってもよい。
【0016】
図9に示されるように、第一表紙部11の外側面(第二面)103には、第一表紙部11の左右方向においてヒンジ14と反対側の第一端辺111側に、補助シート112が貼設されている。
図9では、補助シート112が、第一表紙部11の第一端辺111に沿って設けられているが、これに限らず、凹型ボタン161の取り付けが可能となるように、凹型ボタン161の取付位置付近に設けられればよい。なお、補助シート112の材質は特段限定されるものではないが、本実施形態では、第一表紙部11と同じ樹脂平板が用いられている。このように、補助シート112が第一表紙部11に重ねて設けられた部分の第一表紙体10の厚さは、第一表紙部11のみの部分よりも厚くなっている。なお、本実施形態では、補助シート112が、第一表紙部11と同じ厚さであるため、補助シート112が設けられた部分の第一表紙体10の厚さは、第一表紙部11のみの部分と比べて2倍となっている。
【0017】
第一表紙体10は、第二表紙体20と互いに係脱可能に係合するスナップボタンを備えている。第一表紙体10に設けられたスナップボタン(第一ボタン)には、凹型ボタン161と、凸型ボタン162とがあり、本実施形態では、第一表紙部11の補助シート112が貼付された範囲において二つの凹型ボタン161が第一表紙部11の上下方向に間隔を空けて配置されている。一方、第一表紙体10の第三表紙部13には、上下方向に間隔を空けて二つの凸型ボタン162が配置されている。また、第三表紙部13には、凸型ボタン162をスライド移動可能に保持するスライド溝131が設けられている。スライド溝131は、第三表紙部13の内側から外側にかけて貫通した長孔である。また、スライド溝131は、第三表紙部13の幅方向、即ち第三表紙部13に沿い、且つ第三表紙部13の上下方向と直交する方向に沿って形成されている。
【0018】
また、第二表紙体20は、第一表紙部(主表紙部)21、第二表紙部22、第三表紙部(副表紙部)23、ヒンジ24・25、凹型ボタン261と、凸型ボタン262、及び補助シート212を備えている。なお、凹型ボタン261及び凸型ボタン262は、本実施形態における第二ボタンである。本実施形態の第二表紙体20は、第一表紙体10と同形状であり、第二表紙体20の各部、例えば、第一表紙部21、第二表紙部22、第三表紙部23、ヒンジ24・25、凹型ボタン261と、凸型ボタン262、及び補助シート212の構造及び動作は、前述した第一表紙体10の第一表紙部11、第二表紙部12、第三表紙部13、ヒンジ14・15、凹型ボタン161と、凸型ボタン162、及び補助シート112の構造及び動作と同じであるため再度の説明を省略する。
【0019】
図11は、第一表紙体10の凸型ボタン162と第二表紙体20の凹型ボタン261の取付位置付近を示す模式断面図である。第一表紙体10の凸型ボタン162は、外装部1621と内側係合部1622とを備えている。外装部1621は、第三表紙部13の外側に取り付けられ、概ね円板状の鍔部1623と結合用のロッド部1624とを備える。外装部1621は、第三表紙部13と接する側の面(内側面)の中央に、ロッド部1624が立設されている。内側係合部1622は、第三表紙部13の内側に取り付けられ、概ね円板状の鍔部1625と円筒状の係合凸部1626とを備えている。鍔部1625は、第三表紙部13と接する側の面(外側面)と反対側の面(内側面)の中央に、係合凸部1626が立設されている。この係合凸部1626の内側には、鍔部1625の外側面にかけて貫通した結合用孔1627が設けられている。内側係合部1622は、結合用孔1627の位置と、第三表紙部23におけるスライド溝131の位置とを合わせて、鍔部1625の外側面を第三表紙部13の第一面101に当接させた状態で配置される。そして、外装部1621は、ロッド部1624が第三表紙部13のスライド溝131に挿通され、内側係合部1622の結合用孔1627にロッド部1624の先端が嵌入されて、内側係合部1622と結合される。これにより凸型ボタン162は、外装部1621の鍔部1623と内側係合部1622の鍔部1625が第三表紙部13を挟持し、第三表紙部13に対して取り付けられる。ここで、凸型ボタン162は、ロッド部1624がスライド溝131に嵌っているため、スライド溝131に沿って移動可能である。即ち、凸型ボタン162と第三表紙部13は、相対的にスライド可能となっている。
【0020】
第二表紙体20の凹型ボタン261は、内側部材2611と外側係合部材2612とを備えている。内側部材2611は、概ね円板状の鍔部2613と結合用のロッド部2614とを備える。内側部材2611は、補助シート212と接する側の面の中央に、ロッド部2614が立設されている。外側係合部材2612は、補助シート212の外側に取り付けられ、概ね円板状の鍔部2615を備えている。鍔部2615は、外側面の中央に係合凹部2616が設けられ、内側面の中央に結合用孔2617が設けられている。なお、第二表紙体20の第一表紙部21には、凹型ボタン261が取り付けられる位置に、内側部材2611の収容部214として、円形の孔が第一表紙部21の内側から外側にかけて貫通して設けられている。また、補助シート212には、ロッド部2614を通す取付用孔213が収容部214と同軸に設けられている。外側係合部材2612は、結合用孔2617の位置と、補助シート212における取付用孔213の位置とを合わせて、鍔部2615の内側面を補助シート212の外側面に当接させた状態で配置される。そして、内側部材2611は、ロッド部2614が第一表紙部21の収容部214及び補助シート212の取付用孔213に挿入され、外側係合部材2612の結合用孔2617にロッド部2614の先端が嵌入されて外側係合部材2612と結合される。これにより凹型ボタン261は、内側部材2611の鍔部2613と外側係合部材2612の鍔部2615とによって補助シート212を挟持し、補助シート212を介して第一表紙部21に固定される。このとき内側部材2611の鍔部2613が第一表紙部21の収容部214内に収容されるので、第一表紙部21の内側に鍔部2613が突出することが抑えられる。なお、凹型ボタン261を補助シート212に取り付けて内側部材2611を収容部214に収
容する構成は必須ではなく、補助シート212及び収容部214を省略し、凹型ボタン261を第一表紙部21に直接取り付けてもよい。
【0021】
第一表紙体10の凸型ボタン162は、内側係合部1622の係合凸部1626が、第二表紙体20の凹型ボタン261における係合凹部2616と係脱可能に係合する。本実施形態において、これら凸型ボタン162と凹型ボタン261との対は、ボタン対16とも称される。第一表紙体10と第二表紙体20は、ボタン対16(162・261)によって連結した状態と、別離した状態とをとることが可能になっている。第一表紙体10の凸型ボタン162は、スライド溝131に沿って第三表紙部13と相対的に移動可能となっているため、第一表紙体10の凸型ボタン162と第二表紙体20の凹型ボタン261が係合した場合、凹型ボタン261が固定された第二表紙体20と、第三表紙部13を含む第一表紙体10とがスライド溝131に沿って相対移動可能となる。本実施形態では、第三表紙部13に設けられたスナップボタンを凸型ボタン162、第一表紙部21に設けられたスナップボタンを凹型ボタン261としたが、これに限らず、第三表紙部13に設けられたスナップボタンを凹型ボタン、第一表紙部21に設けられたスナップボタンを凸型ボタンとしてもよい。
【0022】
図12は、第二表紙体20の凸型ボタン262と第一表紙体10の凹型ボタン161の取付位置付近を示す模式断面図である。なお、凸型ボタン262及び凹型ボタン161は、ボタン対16の凸型ボタン162及び凹型ボタン261と同じ形状であり、
図12における外装部2621,内側係合部2622,鍔部2623,ロッド部2624,鍔部2625,係合凸部2626,結合用孔2627,内側部材1611,外側係合部材1612,鍔部1613,ロッド部1614,鍔部1615,係合凹部1616,結合用孔1617は、
図11における外装部1621,内側係合部1622,鍔部1623,ロッド部1624,鍔部1625,係合凸部1626,結合用孔1627,内側部材2611,外側係合部材2612,鍔部2613,ロッド部2614,鍔部2615,係合凹部2616,結合用孔2617と同様であるため、再度の説明を省略する。
【0023】
第二表紙体20の凸型ボタン262は、内側係合部2622の係合凸部2626が、第一表紙体10の凹型ボタン161における係合凹部1616と係脱可能に係合する。本実施形態において、これら凸型ボタン262と凹型ボタン161との対は、ボタン対26とも称される。第一表紙体10と第二表紙体20は、ボタン対26(262・161)によって連結した状態と、分離した状態とをとることが可能になっている。第二表紙体20の凸型ボタン262は、スライド溝231に沿って第三表紙部23と相対的に移動可能となっているため、第二表紙体20の凸型ボタン262と第一表紙体10の凹型ボタン161が係合した場合、凹型ボタン161が固定された第一表紙体10と、第三表紙部23を含む第二表紙体20とがスライド溝231に沿って相対移動可能となる。本実施形態では、第三表紙部23に設けられたスナップボタンを凸型ボタン262、第一表紙部11に設けられたスナップボタンを凹型ボタン161としたが、これに限らず、第三表紙部23に設けられたスナップボタンを凹型ボタン、第一表紙部11に設けられたスナップボタンを凸型ボタンとしてもよい。
【0024】
ボタン対16と、第一表紙体10及び第二表紙体20のボタン対16が取り付けられた部分(スライド溝131など)は、本実施形態における第一係合部を構成している。また、ボタン対26と、第一表紙体10及び第二表紙体20のボタン対26が取り付けられた部分(スライド溝231など)は、本実施形態における第二係合部を構成している。なお、ボタン対16(162・261)は、第一係合部材の一形態である。また、ボタン対26(262,161)は、第二係合部材の一形態である。係合部材は、スナップボタンに限らず、ホックや、面ファスナ、磁石等によって第一表紙体10と第二表紙体20とを係合するものであってもよい。また、スライド溝131,231や凸型ボタン162,26
2は、本実施形態の移動機構を構成している。なお、本実施形態では第三表紙部13,23にスライド溝131,231を設けたが、これに限らず、補助シート112,212における取付用孔113,213、及び第一表紙部11,21における収容部114,214をスライド溝(長孔)とし、凹型ボタン161,261が取付用孔113,213及び収容部114,214に沿って移動する構成であってもよい。また、移動機構は、第一表紙部11に凹型ボタン161,261を移動方向に沿って複数設け、第三表紙部13,23の凸型ボタン162,262を取り付ける凹型ボタン161,261を変えることで第一表紙体10及び第二表紙体20を相対的に移動させる構成であってもよい。また、係合部として面ファスナを用い、この面ファスナを係合する位置を変えることで第一表紙体10及び第二表紙体20を相対的に移動させる構成であってもよい。
【0025】
[保持シート体]
図13は、保持シート体30の展開状態を示す図、
図14は、ファイル1の展開途中を示す図である。
図13に示すように、保持シート体30は、一方向(延設方向)に延設された帯状のベースシート(シート部)31と、ベースシート31に書類等の被保持物を保持させる保持部32とを備えている。また、ベースシート31の延設方向における両端部には、保持シート体30を第一表紙体10又は第二表紙体20と接続する接続部39を備えている。
図13では、保持シート体30において被保持物を保持する第一面301を示している。保持シート体30は、少なくともベースシート31の第一面301側に保持部32を備え、ベースシート31の第一面301に沿って被保持物が保持される。また、本実施形態の保持シート体30は、ベースシート31において第一面301の反対側に位置する第二面302にも保持部32を備え、ベースシート31の第二面302側にも被保持物を保持することが可能である。本実施形態の保持部32は、ベースシート31と同様のシートであり、ベースシート31の上下端にそれぞれ接着や溶着などの方法によって接合されている。
図15は、被保持物40が保持された状態を示す保持部32付近の模式断面図である。ベースシート31の上部に設けられた保持部32は、上端側の一部321がベースシート31と接合され、下端322側は接合されていないため、この下端(自由端)322側から保持部32とベースシート31との間に挿入された被保持物40を保持できるようになっている。また、ベースシート31の下部に設けられた保持部32も同様に、下端側の一部がベースシート31と接合され、上端(自由端)側から保持部32とベースシート31との間に挿入された被保持物40を保持できるようになっている。
【0026】
ベースシート31は、一端部311が接続部39を介して第一表紙体10の第一表紙部11に接続され、他端部312が接続部39を介して第二表紙体20の第一表紙部21に接続される。例えば、ベースシート31の一端部311は、第一表紙体10のヒンジ14と近接した位置に上下方向に沿って第一表紙部11に接続される。また、ベースシート31の他端部312は、第二表紙体20のヒンジ24と近接した位置に上下方向に沿って第一表紙部21に接続される。
【0027】
ベースシート31は、延設方向と直交する方向であって、且つ被保持物を保持する面301,302に沿う方向(上下方向)の折り目313が、延設方向において略等間隔に複数設けられている。また、ベースシート31は、複数の折り目313のうち、
図13の紙面手前側に折られたもの(山折り)と、
図13の紙面奥側に折られたもの(谷折り)とが交互に配置されるように、所謂蛇腹折りで折り畳まれる。換言すると、ベースシート31は、第二面302面同士を対向させるように折られる折り目(山折り)と、第一面301面同士を対向させるように折られる折り目(谷折り)とが、交互に形成されるように蛇腹折りされる。ベースシート31は、柔軟な薄肉のシートであり、
図11に示される折り畳み状態と、
図13のように各折り目313の折りを戻した(展開した)展開状態とに、遷移可能である。折り畳み状態のベースシート31は、ベースシート31の各折り目313によって区分された各領域314が略平行となるように重ねられる。本実施形態では、ベ
ースシート31の各領域314に夫々保持部32が設けられ、この領域314毎に被保持物の保持が可能となっている。以下、このベースシート31(保持シート体30)の各折り目313によって区分された各領域314をページとも称す。
図12の例では、保持シート体30が、所謂蛇腹折り6山で折られ、第一面301と第二面302が夫々7ページに区分されている。なお、保持シート体30のページ数は、特段限定されるものではなく、複数であればよい。各ページの幅(延設方向の長さ)や高さ(上下方向の長さ)は、A4やB5といった定型用紙のサイズに応じて設定されてもよい。例えば、本実施形態のファイル1は、A4サイズの用紙が1ページに収まるように各ページの幅及び高さが設定されている。このため、A3サイズの用紙を2ページに亘って(跨って)保持することもできる。
【0028】
[使用例]
図16は、ファイル1を閉じた状態から第二表紙体20を開いた状態とした場合のファイル1を示す図、
図17は、保持シート体を左右見開きで開いた状態を示す図である。非閲覧時のファイル1は、例えば
図5に示されるように、保持シート体30が折り畳まれ、この保持シート体30の背面に沿うように、第一表紙体10の第一表紙部11が配置されると共に、保持シート体30の正面に沿うように、第二表紙体20の第一表紙部21が配置され、ボタン対16(162・261)及びボタン対26(262,161)が係合され、閉じた状態とされる。これにより、第一表紙体10と第二表紙体20は、互いに連結されて、折り畳み状態の保持シート体30を囲むことで、保持シート体30が不意に展開してしまうことや、外的要因によって保持シート体30及び被保持物が損傷することを防止できる。
【0029】
ファイル1は、例えば、
図5のように閉じた状態から、ボタン対16(162・261)の係合が外されると、
図16のように、第二表紙体20を開くことが可能になる。
図16の例では、ファイル1を机や書見台の上に置いた場合のように、第一表紙体10の第一表紙部11と第二表紙体20の第一表紙部21が、同一平面に沿うように開かれている。この場合、保持シート体30の一端が接続された第一表紙体10の接続箇所19と、保持シート体30の他端が接続された第二表紙体20の接続箇所29との間隔が、移動機構によって狭くなるように調整される。なお、この移動機構による調整の詳細については、後述する。
【0030】
図16では、保持シート体30が、第一面301をユーザ側(表紙体と反対側)に向けて配置され、この第一面301において最もユーザ側のページに保持した被保持物42をユーザに対して見せることができるようにしている。また、第一表紙部21の第一面201には、上辺215及び下辺216に沿って保持部27が設けられている。保持部27は、保持シート体30の保持部32と同様のシートであり、第一表紙部21の上下端にそれぞれ接着や溶着などの方法によって接合されている。このため、
図16の状態では、第一表紙部21の保持部27に保持された被保持物41が、保持シート体30に保持された被保持物42と左右見開きでユーザから視認できるようになっている。なお、
図16では、被保持物41,42の保持部32,27に挟まれた部分が破線で示されたが、本実施形態では、保持部32,27が透明な材料で形成されているので、この保持部32,27で覆われた部分(破線部分)に記載された図柄も保持部32,27を通して視認可能となっている。また、
図16では、第二表紙体20の第一表紙部21に設けられた保持部27が示されているが、第一表紙体10の第一表紙部11にも同様に保持部27が設けられている。
【0031】
折り畳み状態の保持シート体30は、冊子のページをめくるように、各ページの小口にあたる折り目313が、当該ページのノド側に位置する折り目313を軸として線対称の位置へ移動されることで、
図17に示すように次のページを開くことができる。以下、こ
の操作を単にページをめくるとも称す。
【0032】
図17の状態では、保持シート体30における二つのページが左右に並んで配置され、当該ページに保持された被保持物43,44が見開きで見られるようになっている。同様に保持シート体30の各ページがめくられると、最も外側に位置したページに保持された被保持物43,44が見開きで見られる。即ち、
図8、
図16、
図17のように、第二表紙体20の凸型ボタン262と第一表紙体10の凹型ボタン161が係合され、第一表紙体10の凸型ボタン162と第二表紙体20の凹型ボタン261の係合が外された状態で、第二表紙体20が開かれると、保持シート体30の第一面301における各ページと第一表紙部21の第一面201に保持された被保持物のうち、ページめくりによって最も外側に位置した二枚が、左右見開きで見られるようになる。また、
図9に示すように、第一表紙体10の凸型ボタン162と第二表紙体20の凹型ボタン261が係合され、第二表紙体20の凸型ボタン262と第一表紙体10の凹型ボタン161の係合が外された状態で、第一表紙体10が開かれると、保持シート体30の第二面302における各ページと第一表紙部11の第一面101に保持された被保持物のうち、ページめくりによって最も外側に位置した二枚が、左右見開きで見られるようになる。
【0033】
また、
図18は、第一表紙体10と第二表紙体20の係合を外し、保持シート体30を展開した状態を示す図である。
図18では、保持シート体30の4ページが左右に並ぶように配置されている。これにより当該ページに保持された4ページ分の被保持物43~46が一覧可能となっている。このように本実施形態のファイル1は、所望のページを展開して見ることができるので、見開き2ページよりも多くのページを一覧したい被保持物の保持に好適である。例えば、ファイル1は、各ページに楽譜を保持している場合、一度の演奏で用いられる楽譜が3ページ以上であっても、演奏前に当該楽譜を保持したページが展開され、一度の演奏で用いられる楽譜を一覧可能にすることで、ユーザが演奏中にページをめくる煩わしさを解消することができる。
【0034】
[移動機構による第一表紙体と第二表紙体の相対移動]
本実施形態のファイル1は、スライド溝131,231や凸型ボタン162,262から構成される移動機構(スライド機構)により、第一表紙体10と第二表紙体20とが相対的に移動可能となっている。
図19は、移動機構によって第一表紙体10と第二表紙体20とを相対移動させた状態を示す図、
図20は、ファイルを開いた際、移動機構によって第一表紙体10と第二表紙体20とを相対移動させる前の状態を示す図、
図21は、ファイルを開いた際、移動機構によって第一表紙体10と第二表紙体20とを相対移動させた後の状態を示す図である。
【0035】
図2、
図6に示すようにファイルを閉じて、ボタン対16及びボタン対26が共に係合した状態では、
図4、
図5に示すように第一表紙体10と第二表紙体20が、折り畳み状態の保持シート体30の外周を囲むように配置される。このとき第一表紙体10及び第二表紙体20が保持シート体30を保護できるように、第一表紙体10及び第二表紙体20は、折り畳み状態の保持シート体30より一回り大きく形成される。但し、保持シート体30が第一表紙体10及び第二表紙体20の内側に無駄なく収まるように、第一表紙体10及び第二表紙体20の幅や高さは、折り畳み状態の保持シート体30における幅や高さと近い値に設定される。例えば、第一表紙部11,21の第一端辺111,211からヒンジ14,24までの長さ(左右の幅)が、保持シート体30における各ページの幅と近い長さとなっている。また、第二表紙部12,22における奥行き方向の長さは、折り畳み状態の保持シート体30における奥行き方向の長さ(背幅)に近い長さとなっている。そして、このような長さの関係となっている第一表紙体10及び第二表紙体20が、
図2、
図6のように閉じられた場合、移動機構を成す凸型ボタン162,262は、スライド溝131,231内において、第三表紙部13の第二端辺135,235側の端部に位置
する。この状態から、第一表紙体10の凸型ボタン162と第二表紙体20の凹型ボタン261との係合が外され、
図20のように、第一表紙体10の第一表紙部11と第二表紙体20の第一表紙部21が同一平面に沿うように開かれると、保持シート体30の第一表紙部11における接続箇所19から、保持シート体30の第一表紙部21における接続箇所29までの左右方向の長さ(間隔)LAが、保持シート体30の左右方向における1ページの長さ(幅)LBよりも長くなる。例えば、このときの接続箇所19・29の間隔LAは、第一表紙部11の長さに加えて、第二表紙部22やヒンジ24,25の長さを含むため、保持シート体30における1ページの幅LBよりも長くなる。この場合、第二表紙体20の第一表紙部21側にめくられたページは、接続箇所29を起点に第一表紙部21上に積み重ねられ、第一表紙部11上のページは接続箇所19を起点に積み重ねられるので、これらは、接続箇所19・29の間隔LAとページの幅LBの差分だけ隙間を空けて積み重ねられることになる。このため第一表紙部11上から第一表紙部21側にページP1がめくられると、当該ページP1と第一表紙部11側(
図20では右側)に隣接するページP2との境界を成す折り目313が、接続箇所29側に引っ張られる。このため引っ張られたページP2がめくれ上がり、視認し難い状態や被保持物に対する記載がし難い状態となって、利便性が低下してしまう。
【0036】
これに対し、本実施形態のファイル1は、移動機構によって第一表紙体10と第二表紙体20とを相対移動可能とし、ファイル1を開いた際、
図19の状態S1から状態S2となるように、第一表紙体10と第二表紙体20とを互いに引き寄せるように移動させることができる。
図19において、状態S1は、移動機構を成す凸型ボタン262が、スライド溝231内において、第二端辺235側の端部に位置した状態、即ち
図20の状態を示している。一方、
図19において、状態S2は、移動機構を成す凸型ボタン262が、スライド溝231内において、ヒンジ25側の端部に位置した状態、即ち
図21の状態を示している。このように本実施形態の移動機構は、状態S1から状態S2となるように第一表紙体10と第二表紙体20とを相対移動させることで、第一表紙体10と第二表紙体20の左右方向における長さ(幅)をスライド溝131,231の長さに相当する距離LCだけ縮めることができる。
【0037】
図21に示されるように、第一表紙体10と第二表紙体20の相対移動によって、接続箇所19・29の間隔LAと保持シート体30のページ幅LBとが略等しくなると、第一表紙部11上のページと、第二表紙部上のページが左右に隙間無く積み重ねられ、ページがめくられた際、次のページが引っ張られることがなくなり、ページのめくれ上がりが防止される。なお、
図19~
図21では、第一表紙体10と第二表紙体20が、ボタン対26によって係合された状態で、凸型ボタン262及びスライド溝231から成る移動機構によって相対移動される例を示したが、
図9のように、第一表紙体10と第二表紙体20が、ボタン対16によって係合された場合も同様に、凸型ボタン162及びスライド溝131から成る移動機構によって第一表紙体10と第二表紙体20が相対移動される。即ち、本変形例のファイルは、
図9のように、第一表紙体10と第二表紙体20が、ボタン対16によって係合され、第一表紙部11と第一表紙部21が、同一平面に沿うように開かれた場合、凸型ボタン162及びスライド溝131から成る移動機構によって、保持シート体30の第一表紙部11に対する接続箇所19と第一表紙部21に対する接続箇所29との間隔LAがページ幅LBと略同じ長さに調整されることで、ページのめくれ上がりが防止される。
【0038】
上述のように、本実施形態によれば、展開状態及び折り畳み状態に遷移可能なファイル1において、折り畳み状態での利便性を向上させることができる。
【0039】
<変形例1>
図22は、変形例1に係るファイル1Aの構成を示す図である。本変形例は、前述の実
施形態と比べて、保持部32の構成が異なり、その他の構成は同じである。このため、同一の要素には同符号を付すなどして、再度の説明を省略する。
【0040】
図22に示されるように、ファイル1Aにおける保持部32Aは、保持シート体30における各ページの表面を概ね覆うように、各ページの上下端に亘って設けられている。保持部32Aは、上下端が、夫々ベースシート31の上下端に接着や溶着などの方法によって接合され、左右端は接合されていない。このため、保持部32Aは、左右端側からベースシート31との間に挿入された被保持物40を保持することができる。なお、本変形例の保持部32Aは、透明な材料で形成されているため、保持部32Aとベースシート31との間に保持された被保持物40は、保持部32Aを通して視認可能である。なお、保持部32Aは、上下がベースシート31と接合された構成に限られるものではなく、保持シート体30の1ページにおける上下左右の四辺のうち、三辺がベースシート31と接合された構成であってもよい。なお、第一表紙部11,21の第一面101,201に設けられた保持部27についても保持部32Aと同様に第一表紙部11,21の上下端に亘って第一面201を覆うように設けられてもよい。
【0041】
このように本例のファイル1Aは、保持部32をファイル1Aの上下端に亘って設けたことにより、定型サイズでない小さな被保持物であっても保持することができる。
【0042】
<変形例2>
図23は、変形例2に係るファイル1Bの構成を示す図、
図24は、変形例2に係るファイル1Bの内側(保持シート体30が設けられている側)を開いた状態で示す図、
図25は、変形例2に係るファイル1Bを開いた場合の外側面(第二面)を示す図、
図26は、ファイル1Bのボタン対16を外して展開する途中の状態を示す斜視図である。本変形例は、前述の実施形態と比べて、表紙体の構成が異なり、その他の構成は同じである。このため、同一の要素には同符号を付すなどして、再度の説明を省略する。
【0043】
ファイル1Bは、第一表紙体10Bと、第二表紙体20Bと、保持シート体30を備えている。第一表紙体10Bは、前述の実施形態における第一表紙体10と比べて、凹型ボタン161、補助シート112、及び収容部114を省略した構成である。また、本変形例の第二表紙体20Bは、前述の実施形態における第二表紙体20と比べて、第二表紙部22、第三表紙部23、ヒンジ24,25を省略した構成である。換言すると、第二表紙体20Bは、前述の実施形態における第一表紙部21を単体としたものと同等の構成である。
【0044】
図23~
図25の例において、ファイル1Bは、第一表紙体10Bと第二表紙体20Bとがボタン対16で係合され、ヒンジ14,15によって第一表紙体10Bと第二表紙体20Bとが開閉可能となっている。この場合に、凸型ボタン162及びスライド溝131から成る移動機構によって、第一表紙体10Bと第二表紙体20Bとが相対移動される構成は、前述の実施形態と同様であり、保持シート体30の各ページが見開きで示された際、ページのめくれ上がりが防止される。また、
図26のように、ファイル1Bは、ボタン対16の係合が外された場合に、保持シート体30が展開可能である構成も、前述の実施形態と同様である。
【0045】
本変形例によれば、前述の実施形態と比べて、表紙体の一部を省略した簡易な構成であっても、保持シート体30を折り畳み状態と展開状態とに遷移可能としつつ、折り畳み状態における利便性向上を図ることができる。
【0046】
<その他>
前述の実施形態及び変形例における各構成及びそれらの組み合わせ等は、一例であって
、本開示の主旨から逸脱しない範囲内で、適宜、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本開示は、実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0047】
1,1A,1B:ファイル
10,10B:第一表紙体
11,21:第一表紙部
12,22:第二表紙部
13,23:第三表紙部
14,24,15,25:ヒンジ
16,26:ボタン対
20,20B:第二表紙体
27:保持部
30:保持シート体
31:ベースシート
32,32A:保持部
39:接続部
100:表紙体
112,212:補助シート
113,213:取付用孔
114:収容部
131,231:スライド溝
214:収容部
313:折り目
314:領域