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2024-162905ナビゲーションシステム及びナビゲーション方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162905
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】ナビゲーションシステム及びナビゲーション方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/36 20060101AFI20241114BHJP
   G07C 5/00 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
G01C21/36
G07C5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078884
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000155469
【氏名又は名称】株式会社野村総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】大栄 義博
(72)【発明者】
【氏名】箕浦 航
(72)【発明者】
【氏名】林 雅敏
(72)【発明者】
【氏名】今村 祐太郎
(72)【発明者】
【氏名】那須 史尋
(72)【発明者】
【氏名】辰本 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】橋本 岳士
【テーマコード(参考)】
2F129
3E138
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129CC16
2F129DD20
2F129DD21
2F129EE79
2F129FF02
2F129FF21
2F129FF32
2F129FF63
2F129FF75
2F129GG17
2F129HH12
2F129HH17
3E138AA07
3E138MA01
3E138MB08
3E138MB10
3E138MC12
3E138MD05
3E138MF09
(57)【要約】
【課題】誤った地点に案内してしまうことを抑制しつつも目的地まで案内することができるナビゲーションシステムを提供する。
【解決手段】ナビゲーションシステムでは、データセンタ200と、複数の車両と、が通信ネットワークを介して接続されている。データセンタ200は、複数の車両のうち、ナビゲーション装置によって目的地到着までの経路案内ができない目的地を設定して前記目的地に到着した第1車両101から、ドライブレコーダで撮影した映像のデータを受信して記憶装置に記憶する。データセンタ200は、複数の車両のうち、前記目的地をナビゲーション装置に設定した第2車両102に、記憶装置に記憶されている映像のデータを送信する。第2車両102のナビゲーション装置は、目的地の周辺で経路案内を終了させたあとに、受信した映像を再生することによって目的地までの案内を行う。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶装置と処理装置とを備えたデータセンタと、
ドライブレコーダとナビゲーション装置とを備えた複数の車両と、が通信ネットワークを介して接続されたナビゲーションシステムであり、
前記データセンタの前記処理装置が、
前記複数の車両のうち、前記ナビゲーション装置によって目的地到着までの経路案内ができない目的地を前記ナビゲーション装置に設定して前記目的地に到着した第1車両から、経路案内が終了してから前記第1車両が前記目的地に到着するまでの期間において前記ドライブレコーダで撮影した映像のデータを受信して前記記憶装置に記憶することと、
前記複数の車両のうち、前記目的地を前記ナビゲーション装置に設定した第2車両に、前記記憶装置に記憶されている前記映像のデータを送信することと、を実行し、
前記映像のデータを受信した前記第2車両の前記ナビゲーション装置が、前記目的地の周辺で経路案内を終了させたあとに、前記映像を再生することによって前記目的地までの案内を行うこと、を実行する
ナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記第2車両の前記ナビゲーション装置が、前記映像を再生することによって前記目的地までの案内を行う際に、前記第2車両が既定時間後に到達する地点において撮影された画像を表示するように、前記第2車両の速度に合わせて前記映像の再生速度を調整する
請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記データセンタの前記処理装置が、
複数の第1車両から受信した同一の目的地についての複数の映像のデータを前記記憶装置に蓄積することと、
前記記憶装置に蓄積した前記同一の目的地についての前記複数の映像のデータから、前記第2車両に送信する映像のデータを選択して、前記第2車両に送信する映像のデータを更新することと、を実行する
請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記データセンタの前記処理装置が、
前記第1車両から受信した前記映像のデータと、前記記憶装置に蓄積されている同一の目的地についての前記複数の映像のデータとを比較して、受信した前記映像のデータが、前記記憶装置に蓄積されている前記同一の目的地についての前記複数の映像のデータから大きく乖離していると判定した場合には、受信した前記映像のデータを削除する
請求項3に記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
記憶装置と処理装置とを備えたデータセンタと、
ドライブレコーダとナビゲーション装置とを備えた複数の車両と、が通信ネットワークを介して接続されたナビゲーションシステムにおけるナビゲーション方法であり、
前記データセンタの前記処理装置が、前記複数の車両のうち、前記ナビゲーション装置によって目的地到着までの経路案内ができない目的地を前記ナビゲーション装置に設定して前記目的地に到着した第1車両から、経路案内が終了してから前記第1車両が前記目的地に到着するまでの期間において前記ドライブレコーダで撮影した映像を受信して、前記記憶装置に記憶させる第1ステップと、
前記データセンタの前記処理装置が、前記複数の車両のうち、前記目的地を前記ナビゲーション装置に設定した第2車両に、前記記憶装置に記憶されている前記映像を送信する第2ステップと、
前記第2車両の前記ナビゲーション装置が、前記目的地の周辺で経路案内を終了させたあとに、前記映像を再生して前記目的地までの案内を行う第3ステップと、を含む
ナビゲーション方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ナビゲーションシステム及びナビゲーション方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ナビゲーションシステムが開示されている。このナビゲーションシステムは、車両に搭載されるナビゲーション装置を含んでいる。ナビゲーションシステムは、ナビゲーション装置の表示部に経路を表示して、乗員に経路を提示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-77296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ナビゲーションシステムは、山間部の山道の先に目的地がある場合など、目的地までの道路の情報が存在しない場合には、目的地までの経路案内ができずに途中で経路案内を終了させてしまう。ナビゲーションシステムが用いている位置情報には誤差がある。そのため、ナビゲーションシステムは、誤った地点に案内してしまうことを避けるために目的地周辺で経路案内を終了させてしまう。例えば、ナビゲーションシステムは、建物が密集している住宅街に目的地がある場合には、目的地周辺で経路案内を終了させてしまう。
【0005】
誤った地点に案内してしまうことを抑制しつつも目的地まで案内することができるナビゲーションシステム及びナビゲーション方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するためのナビゲーションシステムは、記憶装置と処理装置とを備えたデータセンタと、ドライブレコーダとナビゲーション装置とを備えた複数の車両と、が通信ネットワークを介して接続されたナビゲーションシステムである。このナビゲーションシステムにおいて、前記データセンタの前記処理装置は、前記複数の車両のうち、前記ナビゲーション装置によって目的地到着までの経路案内ができない目的地を前記ナビゲーション装置に設定して前記目的地に到着した第1車両から、経路案内が終了してから前記第1車両が前記目的地に到着するまでの期間において前記ドライブレコーダで撮影した映像のデータを受信して前記記憶装置に記憶する。前記データセンタの前記処理装置は、前記複数の車両のうち、前記目的地を前記ナビゲーション装置に設定した第2車両に、前記記憶装置に記憶されている前記映像のデータを送信する。前記映像のデータを受信した前記第2車両の前記ナビゲーション装置は、前記目的地の周辺で経路案内を終了させたあとに、前記映像を再生することによって前記目的地までの案内を行う。
【0007】
上記課題を解決するためのナビゲーション方法は、記憶装置と処理装置とを備えたデータセンタと、ドライブレコーダとナビゲーション装置とを備えた複数の車両と、が通信ネットワークを介して接続されたナビゲーションシステムにおけるナビゲーション方法である。このナビゲーション方法は、前記データセンタの前記処理装置が、前記複数の車両のうち、前記ナビゲーション装置によって目的地到着までの経路案内ができない目的地を前記ナビゲーション装置に設定して前記目的地に到着した第1車両から、経路案内が終了してから前記第1車両が前記目的地に到着するまでの期間において前記ドライブレコーダで撮影した映像を受信して、前記記憶装置に記憶させる第1ステップを含む。このナビゲーション方法は、前記データセンタの前記処理装置が、前記複数の車両のうち、前記目的地を前記ナビゲーション装置に設定した第2車両に、前記記憶装置に記憶されている前記映像を送信する第2ステップを含む。このナビゲーション方法は、前記第2車両の前記ナビゲーション装置が、前記目的地の周辺で経路案内を終了させたあとに、前記映像を再生して前記目的地までの案内を行う第3ステップを含む。
【発明の効果】
【0008】
このナビゲーションシステム及びナビゲーション方法は、誤った地点に案内してしまうことを抑制しつつも目的地まで案内することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態のナビゲーションシステムの構成を示す模式図である。
図2図2は、実施形態のナビゲーションシステムにおけるドライブレコーダの画像の例を示す図である。
図3図3は、実施形態のナビゲーションシステムにおけるデータセンタと、第1車両及び第2車両と、の処理の流れを示すシーケンス図である。
図4図4は、実施形態のナビゲーションシステムにおける車両のナビゲーション装置が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
図5図5は、実施形態のナビゲーションシステムにおけるデータセンタが到着情報を受信したときに実行する処理の流れを示すフローチャートである。
図6図6は、実施形態のナビゲーションシステムにおけるデータセンタが映像要求を受信したときに実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、ナビゲーションシステムの一実施形態について、図1図6を参照して説明する。
<ナビゲーションシステム10の構成>
図1に示すように、ナビゲーションシステム10は、複数の車両100と、データセンタ200とによって構成されている。データセンタ200は、通信ネットワーク300を介して、複数の車両100と通信可能に接続されている。各車両100は、ドライブレコーダ110と、ナビゲーション装置120と、を備えている。
【0011】
図2は、ドライブレコーダ110によって撮影される映像の例を示している。ドライブレコーダ110は、図2に示すように、運転席から見える車両前方の映像を撮影して記録する。ナビゲーション装置120は、衛星測位システムの受信機と、通信装置と、ディスプレイと、入力装置と、地図情報などのデータを記憶した記憶装置と、を備えて構成されている。
【0012】
ドライブレコーダ110とナビゲーション装置120は互いに情報をやり取りできるように接続されている。ドライブレコーダ110は、撮影した映像のデータとともに、撮影した日時の情報及び撮影した地点の位置情報を記憶装置に記憶する。
【0013】
データセンタ200は、プログラムが記憶されている記憶装置220と、記憶装置220に記憶されているプログラムを実行して各種の処理を実行する処理装置210とを備えている。なお、処理装置210は、プロセッサを含んでいる。
【0014】
データセンタ200は、通信装置230を備えている。通信装置230は、ネットワークアダプタなどのハードウェア、各種の通信用ソフトウェア、又はこれらの組合せとして実装されている。そして、通信装置230は、通信ネットワーク300を介した有線又は無線の通信を実現できるように構成されている。データセンタ200は、複数のコンピュータを用いて構成され得る。例えば、データセンタ200は、複数のサーバ装置によって構成され得る。
【0015】
ナビゲーション装置120が用いている衛星測位システムによる位置情報には、例えば、数メートルの誤差がある。そのため、ナビゲーション装置120は、誤った地点に案内してしまうことを避けるために目的地周辺で経路案内を終了させることがある。図2に示した映像が撮影された地点のように建物が密集している住宅街では、ナビゲーション装置120は、目的地周辺で経路案内を終了させる。
【0016】
ナビゲーションシステム10は、目的地周辺で経路案内が終了したあと、他の車両100のドライブレコーダ110で撮影した映像をナビゲーション装置120で再生することによって目的地までの案内を行う。
【0017】
より具体的には、ナビゲーションシステム10において、データセンタ200は、第1車両101から、経路案内が終了してから目的地に到着するまでの期間においてドライブレコーダ110で撮影した映像のデータを受信して記憶装置220に記憶している。第1車両101は、複数の車両100のうち、目的地到着までの経路案内ができない目的地をナビゲーション装置120に設定して目的地に到着した車両である。データセンタ200は、記憶装置220に記憶されている映像のデータを第2車両102に送信する。第2車両102は、複数の車両100のうち、前記目的地をナビゲーション装置120に設定した車両100である。第2車両102のナビゲーション装置120は、前記目的地の周辺で経路案内を終了させたあとに、映像を再生することによって前記目的地までの案内を行う。
【0018】
<ナビゲーションシステム10における映像のデータの送受信>
次に、データセンタ200と、第1車両101及び第2車両102との映像のデータの送受信について図3を参照して説明する。
【0019】
図3に示すように、ナビゲーションシステム10では、データセンタ200が、第1車両101及び第2車両102と映像のデータの送受信を行う。これによりナビゲーションシステム10は、第1車両101のドライブレコーダ110で撮影された映像のデータを、第2車両102に提供することができる。
【0020】
図3に示すように、第1車両101から映像のデータの提供を受ける処理と、第2車両102に映像のデータの提供を行う処理とは、並行して行われる。
図3の上段に示すように、第1車両101から映像のデータの提供を受ける処理では、まず、第1車両101が、設定した目的地に到着したことを示す到着情報をデータセンタ200に送信する。到着情報を受信したデータセンタ200は、映像のデータの提供を要求する映像要求を第1車両101に対して送信する。映像要求を受信した第1車両101において、映像のデータの送信が許諾された場合には、第1車両101は、映像のデータをデータセンタ200に送信する。映像のデータを受信したデータセンタ200は、受信した映像のデータを記憶装置220に記憶する。
【0021】
図3の下段に示すように、第2車両102に映像のデータを提供する処理では、第2車両102が、映像のデータの提供を要求する映像要求をデータセンタ200に対して送信する。第2車両102から要求されている映像に該当する映像のデータが記憶装置220に記憶されている場合には、データセンタ200は、該当する映像のデータを第2車両102に送信する。
【0022】
以下、図4図6を参照して、上記のような映像を用いた案内を実現するために、車両100において実行される処理の流れと、データセンタ200において実行される処理の流れと、をより具体的に説明する。
【0023】
<車両100のナビゲーション装置120が実行する処理>
図4は、車両100において実行する一連の処理の流れを示している。この一連の処理は、車両100のナビゲーション装置120によって実行される。この一連の処理が実行されるのは、衛星測位システムを利用した経路案内が目的地周辺で終了してしまう目的地が設定されたときに、実行される。この一連の処理は、ナビゲーション装置120による衛星測位システムを利用した経路案内と並行して実行される。
【0024】
図4に示すように、この一連の処理を開始すると、ナビゲーション装置120は、まずステップS100の処理において、データセンタ200に映像要求を送信して映像のデータの提供を要求する。具体的には、ナビゲーション装置120は、設定された目的地の情報を含む信号を映像要求としてデータセンタ200に送信する。
【0025】
次に、ステップS110の処理において、ナビゲーション装置120は、映像のデータを受信したか否かを判定する。ステップS110の処理において、ナビゲーション装置120が映像のデータを受信したと判定した場合(ステップS110:YES)には、処理はステップS120へと進む。ナビゲーション装置120が受信する映像のデータは、後述するように、ナビゲーション装置120に設定されている目的地と同一の目的地に到着した第1車両101から提供された映像のデータである。
【0026】
ステップS120の処理において、ナビゲーション装置120は、経路案内を終了したか否かを判定する。経路案内が終了していない場合(ステップS120:NO)には、ステップS120の処理が繰り返される。そして、目的地周辺で経路案内が終了した場合(ステップS120:YES)には、処理はステップS130へと進む。
【0027】
ステップS130の処理において、ナビゲーション装置120は、データセンタ200から受信した映像を再生することによって案内を行う。このとき、ナビゲーション装置120は、車両100が数秒後に通過する位置で撮影した画像がディスプレイに表示されるように、車両100の速度に合わせて映像の再生速度を調整する。これにより、車両100のドライバは、第1車両101が実際に走行した経路を、映像によって確認することができる。こうして映像の再生による案内を開始すると、処理はステップS140へと進む。
【0028】
一方で、ステップS110の処理において、ナビゲーション装置120が映像のデータを受信できなかったと判定した場合(ステップS110:NO)にも、処理はステップS140へと進む。つまり、要求した映像のデータがデータセンタ200から受信できなかった場合には、ナビゲーション装置120は、映像の再生による案内を実行できない。そのため、ナビゲーション装置120は、映像の再生による案内を実行せずに、そのまま処理をステップS140へと進める。
【0029】
ステップS140の処理において、ナビゲーション装置120は、目的地に到着したか否かを判定する。例えば、ナビゲーション装置120は、車両100の駐車位置が目的地に相当する位置であり、且つ車両100のメインスイッチがオフにされたときに目的地に到着したと判定する。目的地に相当する位置とは、衛星測位システムを用いて把握している車両100の位置が目的地から、例えば、数メートル以内の範囲の位置である。
【0030】
ステップS140の処理において、ナビゲーション装置120が、目的地に到着していないと判定した場合(ステップS140:NO)には、ステップS140の処理が繰り返される。ステップS140の処理において、ナビゲーション装置120が、目的地に到着したと判定した場合(ステップS140:YES)には、処理はステップS150へと進む。ステップS150の処理において、ナビゲーション装置120は、データセンタ200に到着情報を送信する。到着情報には、設定されている目的地の情報が含まれている。
【0031】
次のステップS160の処理において、ナビゲーション装置120は、データセンタ200から映像要求を受信したか否かを判定する。ステップS160の処理において、ナビゲーション装置120が映像要求を受信したと判定した場合(ステップS160:YES)には、処理はステップS170へと進む。
【0032】
ステップS170の処理において、ナビゲーション装置120は、映像のデータの送信が許諾されたか否かを判定する。ナビゲーション装置120は、映像要求を受信すると、ドライバに映像のデータの送信を許諾するか否かを問い合わせる。例えば、ナビゲーション装置120は、ディスプレイにメッセージを表示して許諾するか否かの回答を求める。この問合せに対して、ドライバが許諾する意志を示す操作を行った場合には、ナビゲーション装置120は、映像のデータの送信が許諾されたと判定する。一方で、ドライバが許諾しない意志を示す操作を行った場合には、ナビゲーション装置120は、映像のデータの送信が許諾されなかったと判定する。
【0033】
ステップS170の処理において、ナビゲーション装置120が映像のデータの送信が許諾されたと判定した場合(ステップS170:YES)には、処理はステップS180へと進む。ステップS180の処理において、ナビゲーション装置120は、映像のデータをデータセンタ200に送信する。送信する映像のデータは、目的地周辺で経路案内が終了してから車両100が目的地に到着するまでの期間においてドライブレコーダ110で撮影した映像のデータである。
【0034】
こうしてステップS180の処理を通じて映像のデータをデータセンタ200に送信すると、ナビゲーション装置120は、この一連の処理を終了させる。
ステップS160の処理において、ナビゲーション装置120が映像要求を受信したと判定しなかった場合(ステップS160:NO)には、ナビゲーション装置120は、ステップS170及びステップS180の処理を実行せずにこの一連の処理を終了させる。つまり、データセンタ200からの映像要求が行われなかった場合には、ナビゲーション装置120は、映像のデータをデータセンタ200に送信せずにこの一連の処理を終了させる。
【0035】
ステップS170の処理において、ナビゲーション装置120が映像のデータの送信が許諾されなかったと判定した場合(ステップS170:NO)には、ナビゲーション装置120は、ステップS180の処理を実行せずにこの一連の処理を終了させる。つまり、ドライバが映像のデータの送信を許諾しなかった場合には、ナビゲーション装置120は、映像のデータをデータセンタ200に送信せずにこの一連の処理を終了させる。
【0036】
ステップS100~ステップS130の処理は、図3の下段に示した第2車両102としての処理に相当する。ステップS140~ステップS180の処理は図3の上段に示した第1車両101の処理に相当する。すなわち、車両100は、状況に応じて、映像のデータの提供を行う第1車両101として振る舞うことも、映像のデータの提供を受ける第2車両102として振る舞うこともある。
【0037】
<到着情報を受信したときにデータセンタ200が実行する処理>
図5は、到着情報を受信したときにデータセンタ200が実行する一連の処理の流れを示している。この一連の処理は、データセンタ200の処理装置210によって実行される。この一連の処理は、図3の上段に示したように、データセンタ200が第1車両101から到着情報を受信したときに、データセンタ200が実行する処理に相当する。
【0038】
図5に示すように、この一連の処理を開始すると、処理装置210は、まずステップS200の処理において、映像が必要か否かを判定する。例えば、処理装置210は、到着情報に含まれる目的地に対応する映像のデータが記憶装置220に記憶されていない場合には、映像が必要であると判定する。処理装置210は、到着情報に含まれる目的地に対応する映像のデータが記憶装置220に記憶されている場合であっても、そのデータが古い場合には、映像が必要であると判定する。一方で、処理装置210は、例えば、後述するステップS240の更新処理を通じて、到着情報に含まれる目的地に対応する映像のデータが更新されたばかりである場合には、映像が不要であると判定する。
【0039】
ステップS200の処理において、映像が必要であると処理装置210が判定した場合(ステップS200:YES)には、処理は、ステップS210へと進む。ステップS210の処理において、処理装置210は、到着情報を送信した車両100に対して映像要求を送信して映像のデータを要求する。
【0040】
次のステップS220の処理において、処理装置210は、映像のデータを受信したか否かを判定する。ステップS220の処理において、処理装置210が映像のデータを受信したと判定した場合(ステップS220:YES)には、処理はステップS230へと進む。データセンタ200が受信する映像のデータは、図3における第1車両101から受信する映像のデータである。このデータは、経路案内が終了してから第1車両101が目的地に到着するまでの期間においてドライブレコーダ110で撮影した映像のデータである。
【0041】
ステップS230の処理において、処理装置210は、受信した映像のデータを記憶装置220に記憶させる。次のステップS240の処理において、処理装置210は、更新処理を実行する。更新処理は、新たに記憶した映像のデータを評価して第2車両102に提供するための映像のデータを更新する処理である。処理装置210は、第2車両102に提供するための映像のデータとして既に記憶装置220に蓄積されている映像のデータと、受信した映像のデータとを比較してその結果に応じて第2車両102に提供するための映像のデータを更新する。処理装置210は、より短い経路で目的地に到達した映像のデータを採用することが好ましい。そのため、例えば、処理装置210は、より映像の長さが短いデータを第2車両102に提供するための映像のデータとして選択する。つまり、処理装置210は、目的地周辺で経路案内が終了してから目的地に到着するまでの時間が短い映像のデータを選択する。処理装置210は、新しい映像のデータを採用することが好ましい。そのため、例えば、処理装置210は、より新しいデータを、第2車両102に提供するための映像のデータとして選択する。
【0042】
更新処理は、同一の目的地についての映像のデータが記憶装置220に複数蓄積されてから実行してもよい。この場合、処理装置210は、同一の目的地についての複数の映像のデータから、1つの映像のデータを選択して、第2車両102に送信する映像のデータを更新する。例えば、更新処理は、処理装置210が、記憶装置220に蓄積した映像のデータをオペレータに示して、オペレータに1つの映像データを選択させる処理でもよい。例えば、更新処理は、処理装置210が、データの大きさ、撮影日時を含む予め決められた条件に合致するデータを選択する処理であってもよい。
【0043】
データセンタ200は、道に迷った末に目的地に到着した車両100から送信された映像のデータを受信することもある。データセンタ200は、一般的な車幅の車両が通行することのできない極端に道幅の狭い道路を通行して目的地に到着した車両100から送信された映像のデータを受信することもある。データセンタ200は、こうした第2車両102に送信する映像のデータとしては適切ではないデータを受信することもある。そのため、処理装置210は、受信した映像のデータが、記憶装置220に蓄積されている同一の目的地についての複数の映像のデータから大きく乖離していると判定した場合には、受信した映像のデータを削除する。こうした判定は、例えば、上記のようなオペレータによる判断の結果に基づいて行ってもよい。こうした判定は、例えば、処理装置210がAIによって映像のデータを解析してその結果に基づいて行ってもよい。
【0044】
ステップS240の更新処理を実行して、映像のデータを記憶装置220に記憶すると、処理装置210は、この一連の処理を終了させる。
ステップS200の処理において、映像が不要であると処理装置210が判定した場合(ステップS200:NO)には、処理装置210はそのままこの一連の処理を終了させる。すなわち、この場合、処理装置210は、ステップS210~ステップS240の処理を実行せずに、この一連の処理を終了させる。また、ステップS220の処理において、処理装置210が映像のデータを受信できなかったと判定した場合(ステップS220:NO)には、処理装置210は、この一連の処理を終了させる。すなわち、この場合、処理装置210は、ステップS230の処理及びステップS240の処理を実行せずに、この一連の処理を終了させる。
【0045】
<映像要求を受信したときに、データセンタ200が実行する処理>
図6は、映像要求を受信したときにデータセンタ200が実行する一連の処理の流れを示している。この一連の処理は、データセンタ200の処理装置210によって実行される。この一連の処理は、図3の下段に示したように、データセンタ200が第2車両102から映像要求を受信したときに、データセンタ200が実行する処理に相当する。
【0046】
図6に示すように、この一連の処理を開始すると、処理装置210は、まずステップS300の処理において、記憶装置220に記憶されている複数の映像のデータの中から第2車両102に提供する映像のデータを検索する。具体的には、処理装置210は、映像要求に含まれている目的地の情報に基づいて、映像のデータを検索する。
【0047】
次のステップS310の処理において、処理装置210は、映像要求を送信した第2車両102に提供するための映像のデータがあるか否かを判定する。具体的には、映像要求を送信した第2車両102と同一の目的地を設定した状態で撮影された映像のデータが記憶装置220に記憶されていない場合には、処理装置210は、映像要求を送信した第2車両102に提供するための映像のデータがないと判定する。該当する映像のデータが記憶装置220に記憶されている場合には、処理装置210は、映像要求を送信した第2車両102に提供するための映像のデータがあると判定する。
【0048】
ステップS310の処理において、処理装置210が、映像要求を送信した第2車両102に提供するための映像のデータがあると判定した場合(ステップS310:YES)には、処理はステップS320へと進む。ステップS320の処理において、処理装置210は、映像要求を送信した第2車両102に、該当する映像のデータを送信する。こうして映像のデータを送信すると、処理装置210は、この一連の処理を終了させる。
【0049】
一方で、ステップS310の処理において、処理装置210が映像要求を送信した第2車両102に提供するための映像のデータがないと判定した場合(ステップS310:NO)には、そのままこの一連の処理を終了させる。すなわち、この場合には、処理装置210は、映像のデータを第2車両102に送信せずにこの一連の処理を終了させる。
【0050】
<実施形態の作用>
ナビゲーションシステム10において、データセンタ200の処理装置210は、図5を参照して説明した一連の処理を通じて、第1車両101から、ドライブレコーダ110で撮影した映像を受信して、記憶装置220に記憶させる。図5を参照して説明したこの一連の処理は、ナビゲーションシステム10によるナビゲーション方法における第1ステップである。
【0051】
そして、処理装置210は、図6を参照して説明した一連の処理を通じて第2車両102に、記憶装置220に記憶されている映像を送信する。図6を参照して説明したこの一連の処理は、ナビゲーションシステム10によるナビゲーション方法における第2ステップである。
【0052】
そして、車両100のナビゲーション装置120は、図4を参照して説明した一連の処理におけるステップS100~ステップS130の処理を通じて目的地の周辺で経路案内を終了させたあとに、受信した映像を再生して目的地までの案内を行う。すなわち、第2車両102のナビゲーション装置120は、目的地の周辺で経路案内を終了させたあとに、データセンタ200から受信した映像を再生して目的地までの案内を行う。この一連の処理は、ナビゲーションシステム10によるナビゲーション方法における第3ステップである。
【0053】
このようにナビゲーションシステム10は、第1ステップ、第2ステップ及び第3ステップを含むナビゲーション方法を実行する。こうしたナビゲーション方法を実行することにより、ナビゲーションシステム10は、地図による経路案内が終了してからは、第1車両101のドライブレコーダ110で撮影した映像を再生して目的地までの案内を行う。
【0054】
<実施形態の効果>
(1)ナビゲーションシステム10は、誤った地点に案内してしまうことを抑制しつつも目的地まで案内することができる。
【0055】
(2)第2車両102のナビゲーション装置120は、映像を再生することによって目的地までの案内を行う際に、既定時間後に到達する地点において撮影された画像を表示するように、第2車両102の速度に合わせて映像の再生速度を調整する。これにより、第2車両102のドライバは、既定時間後に到達する地点までの道路の見た目及び右左折の位置を把握しやすい。
【0056】
(3)データセンタ200の処理装置210は、複数の第1車両101から受信した同一の目的地についての複数の映像のデータを記憶装置220に蓄積する。処理装置210は、記憶装置220に蓄積した同一の目的地についての複数の映像のデータから、第2車両102に送信する映像のデータを選択して第2車両102に送信する映像のデータを更新する。ナビゲーションシステム10は、映像を更新するため、古い映像によって誤った案内がされてしまうことを抑制できる。
【0057】
(4)従来のナビゲーション装置のように地図を更新したり、表示するアニメーションを更新したりする場合には、地図の情報を書き換えたり、アニメーションを新たに作成したりする必要がある。これに対して、ナビゲーションシステム10は、記憶装置220に蓄積されている映像のデータを用いるため、速やかに案内に用いる映像を更新することができる。ナビゲーションシステム10は、案内に用いる情報の更新頻度を高めることができる。そのため、ナビゲーションシステム10は、新しい情報を用いて案内を行うことができる。
【0058】
(5)受信した映像のデータが、記憶装置220に蓄積されている同一の目的地についての複数の映像のデータから大きく乖離している場合には、案内に用いるには適切ではないデータである可能性が高い。
【0059】
データセンタ200の処理装置210は、第1車両101から受信した映像のデータと、記憶装置220に蓄積されている同一の目的地についての複数の映像のデータとを比較する。そして、処理装置210は、受信した前記映像のデータが、記憶装置220に蓄積されている同一の目的地についての複数の映像のデータから大きく乖離していると判定した場合には、受信した前記映像のデータを削除する。
【0060】
これにより、ナビゲーションシステム10は、案内に用いるには適切ではない可能性が高いデータを記憶装置220に蓄積しない。そのため、ナビゲーションシステム10は、適切ではない映像を用いて案内が行われてしまうことを抑制できる。さらに、案内に用いるには適切ではない可能性が高いデータを記憶装置220に蓄積しないことは、処理装置210が実行する案内に用いる映像を更新するための処理の負荷を低減することにもなる。
【0061】
(6)上記のナビゲーション方法は、ナビゲーション装置120に表示した地図による経路案内が終了してからは、実際に目的地に到着したことのある第1車両101のドライブレコーダ110で撮影した映像を再生して目的地までの案内を行う。そのため、上記のナビゲーション方法は、誤った地点に案内してしまうことを抑制しつつも目的地まで案内することができる。
【0062】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0063】
・上記のナビゲーションシステム10では、ナビゲーション装置120がドライバに映像のデータの送信を許諾するか否かを問い合わせて、第1車両101のドライバが許諾した場合に映像のデータを送信する。これに対して、ナビゲーションシステム10は、ドライバの許諾を必要とせずに映像のデータを送信する構成を採用したものであってもよい。
【0064】
・上記のナビゲーションシステム10において、車両100は、図4を参照して説明したように、第1車両101として振る舞うことも、第2車両102として振る舞うこともあった。これに対して、車両100の中には、映像の提供を受けるだけの車両、すなわち第2車両102としてのみ振る舞う車両があってもよい。その場合、映像の提供を受けるだけの車両は、ドライブレコーダ110を備えていなくてもよい。映像の提供を受けるだけの車両は、図4を参照して説明した一連の処理のうち、ステップS100~ステップS130までの処理のみからなる処理を実行する。
【0065】
・車両100の中には、映像を提供するだけの車両、すなわち第1車両101としてのみ振る舞う車両があってもよい。その場合、映像を提供するだけの車両は、図4を参照して説明した一連の処理のうち、ステップS140~ステップS180までの処理のみからなる処理を実行する。
【符号の説明】
【0066】
10…ナビゲーションシステム、100…車両、101…第1車両、102…第2車両、110…ドライブレコーダ、120…ナビゲーション装置、200…データセンタ、210…処理装置、220…記憶装置、230…通信装置、300…通信ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6