(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162922
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】ポール、ポール装置、及びポールの立設構造
(51)【国際特許分類】
H02G 9/04 20060101AFI20241114BHJP
H02G 7/00 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
H02G9/04
H02G7/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078931
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121429
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(72)【発明者】
【氏名】山本 茂樹
【テーマコード(参考)】
5G367
5G369
【Fターム(参考)】
5G367AA03
5G367AD13
5G369BA03
5G369BA04
5G369BA07
5G369CA09
(57)【要約】
【課題】機能部材が取り付けられるポール本体内への配線・配管材の導入向きをその配設方向に対応して異なる方向に変更して地表に立設できるポールを提供する。
【解決手段】 ポールPは、側壁2を備え、機能部材に接続される電線管80が内部に通される筒状を成し、下端側に電線管80が通過可能な通過口9が形成され、上端側に機能部材を取り付ける取付部5が形成されたポール本体1と、ポール本体1の下端側を支持してポール本体1を設置面90に立設させる立設部32と電線管80が通過可能な連通口33とを有する台座30と、を備える。そして、ポールPは、ポール本体1の外面のうち1の方向を向く側部と、台座30の1の側壁とを、同一方向に向けた状態で立設可能であり、かつ、ポール本体1の前記1の側部を、当該ポール本体1の軸を中心に回動させて台座30の前記1の側部と異なる方向に向けた状態としても立設可能とした。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面に立設されて、当該設置面の上方に電気器具や水栓器具等の機能部材を設置するポールであって、
内部に前記機能部材に接続される配線・配管材が通される中空部を形成する側壁を有した筒状を成し、下端側に前記配線・配管材が通過可能な通過口が形成され、上端側に前記機能部材を取り付ける取付部が形成されたポール本体と、
前記設置面に載置される載置部と、前記ポール本体の下端側を支持して前記ポール本体を前記設置面に立設させる立設部と、側方に向けて開放し、前記通過口を介して前記ポール本体の内部と外部とを連通させ、前記配線・配管材が通過可能な1または複数の連通口と、を備えた台座と、
を備え、
前記ポール本体の側方を向く外面のうち1の方向を向く側部と、前記台座の1の側部とを、同一方向に向けた状態で立設可能であり、かつ、前記ポール本体の前記1の側部を、当該ポール本体の中心軸を回動軸として回動させて前記台座の前記1の側部と異なる方向に向けた状態としても立設可能であることを特徴とするポール。
【請求項2】
設置面に立設されて、当該設置面の上方に電気器具や水栓器具等の機能部材を設置するポールであって、
内部に前記機能部材に接続される配線・配管材が通される中空部を形成する側壁を有した筒状を成し、下端側に前記配線・配管材が通過可能な通過口が形成され、上端側に前記機能部材を取り付ける取付部が形成されたポール本体と、
前記設置面に載置される載置部と、前記ポール本体の下端側を支持して前記ポール本体を前記設置面に立設させる立設部と、側方に向けて開放し、前記通過口を介して前記ポール本体の内部と外部とを連通させ、前記配線・配管材が通過可能な1または複数の連通口と、を備えた台座と、
を備え、
前記ポール本体の軸心から見て、前記1または複数のうちの1の連通口が形成された方向に対する、前記取付部の位置する方向を、前記ポール本体の中心軸を回動軸として回動させて変更される異なる2つの方向のいずれの向きとしても立設可能であり、かつ、当該立設状態で前記1または複数のうちの少なくとも1の連通口が、前記配線・配管材を通過可能であることを特徴とするポール。
【請求項3】
前記ポール本体の通過口は、前記ポール本体の下端で軸方向に開放する下端開口からなり、
前記台座の立設部は、前記ポール本体の下端より下方に前記配線・配管材が通過可能な空間が形成された状態で、前記ポール本体を支持することを特徴とする請求項2に記載のポール。
【請求項4】
前記台座の立設部は、前記ポール本体の下端開口から内部へと挿入される内挿部を備え、
前記内挿部の下方に、前記配線・配管材が通る前記連通口が設けられ、
前記内挿部は、前記ポール本体の側壁の内面に沿って上方へと延びる板状を成すことを特徴とする請求項3に記載のポール。
【請求項5】
前記ポール本体の通過口は、前記ポール本体の側壁の周方向の異なる複数個所に貫通形成され、
前記台座の立設部の一部は、環状の周壁からなり、周方向の1の側方に前記連通口が形成され、前記配線・配管材の配設経路が内側に形成された枠状部を備え、
複数のうちの1の前記通過口と前記連通口とを同一方向とした際に、前記1の通過口以外の通過口は、前記枠状部と重合配置されて閉塞されることを特徴とする請求項2に記載のポール。
【請求項6】
前記異なる2つの方向のうち少なくとも1の向きとされた前記取付部の位置と異なる方向であって前記1の向きに直交する方向を含む範囲に、前記台座の1の連通口が位置することを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれかに記載のポール。
【請求項7】
前記ポール本体の側壁は、外面軸方向に幅をもって延びる少なくとも2つの平面部を有し、前記少なくとも2つの平面部のうちの1または複数に前記取付部が形成されていることを特徴とする請求項6に記載のポール。
【請求項8】
前記台座を覆う化粧カバーを更に備え、
前記化粧カバーには、前記配線・配管材が通される化粧カバー開口が形成され、当該化粧カバー開口は、前記台座の1の連通口と対向配置された状態で前記台座を覆うことを特徴とする請求項6に記載のポール。
【請求項9】
前記台座の立設部は、前記ポール本体の側壁と重合する重合板部を有し、
当該重合板部には、前記ポール本体と連結すべく前記側壁を貫通する連結ボルトが挿通されるボルト通孔が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のポール。
【請求項10】
設置面に立設されて、当該設置面の上方に電気器具や水栓器具等の機能部材を設置するポールと、当該ポールの下端側を覆い化粧する化粧カバーと、からなるポール装置であって、
前記ポールは、内部に前記機能部材に接続される配線・配管材が通される中空部を有し、下端側に前記配線・配管材が通過可能な通過口が形成され、上端側に前記機能部材を取り付ける取付部が形成され、
前記化粧カバーは、前記ポールの下端側が貫通する貫通部を有した上壁と、前記上壁の周囲から垂下した略環状の垂下壁と、を備え、前記垂下壁の一部に、前記機能部材に接続される前記配線・配管材が通される化粧カバー開口が形成され、
前記化粧カバー開口の向きを、前記ポールの外周り方向の異なる2つの方向のいずれに向けても、前記ポールの前記通過口を含む下端側を覆うことが可能であることを特徴とするポール装置。
【請求項11】
前記ポールは、前記設置面に固定される固定部材が貫通する固定部を備えた板状の固定板を備え、前記化粧カバーは、前記固定部材を覆うとともに、前記垂下壁の先端は前記固定板に載置されることを特徴とする請求項10に記載のポール装置。
【請求項12】
請求項6に記載のポールが立設され、1の前記機能部材が前記取付部に取り付けられ、前記配線・配管材が、当該1の機能部材が取り付けられた前記取付部の位置と反対方向または直交方向に位置する前記台座の1の連通口から前記ポール本体内へと配設されていることを特徴とするポールの立設構造。
【請求項13】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のポールが立設され、2つの前記機能部材が前記ポール本体の側壁の周方向にずれた位置に取り付けられており、
前記2つの機能部材にそれぞれ接続される配線・配管材が、前記台座の1の連通口を通過し、前記通過口を介して前記ポール本体の内部へと配設されて、前記2つの機能部材と接続されていることを特徴とするポールの立設構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外に立設され、電気器具や水栓器具などの機能部材が設置されるポール、ポール装置、及びポールの立設構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
屋外で防水コンセントやインターホンなどの電気器具や水栓器具を設置するためにポールが設置されている。この種のポールとして、例えば特許文献1に記載の給電柱が知られている。この給電柱は、下端が土中に埋設された状態で立設され、中空筒状に形成されており、下端側に設けられた長溝の導入孔からケーブル保護管が内部に配管されて上端側の機器配置部に接続されている。
【0003】
また、特許文献2に記載の電源ポールは、下部を地中に埋設して立設するポールと、ポールに設けられる器具本体とを備え、ポールに下端から上方に切り欠き状に形成した電源引込部が設けられている。
【0004】
ポールはこれらの下部を地中に埋設する方法で設置する他、ポールの下端を埋設せずに設置面に立設する方法で設置することもでき、この場合は、ケーブル保護管が土中内に配管されずに地表に露出した状態でポールまで配管される。この方法で設置する場合は、埋設工事が不要であり、施工完了が早いメリットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-205235号公報
【特許文献2】特開平11-243630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
下端が土中に埋設された状態でポールを立設する場合は、土中に配管されたケーブル保護管の配管経路と導入孔が形成された側とが異なっていても、大きく迂回させて配管したり、特許文献2に記載されているように、土中内に位置する筒下端開口からケーブル保護管を内部に導入してもよいため、配管経路の方向性に自由度がある。
【0007】
しかし、地表に露出した状態でポールを設置し、地表にケーブル保護管を配管する場合において、これを迂回させる必要があるときは、このケーブル保護管によってポール周辺の見栄えが損なわれるという不具合があった。
また、給電柱の下端側のケーブル保護管の導入孔が形成された側と機器配置部が形成された側は一義的に定められており、機器配置部の向きによって導入孔の向きが決定されるため、導入孔の向きに合わせた配管経路にする必要があり、施工性が悪かった。
【0008】
そこで、本発明は、立設されるポールにおいて、コンセント器具等の機能部材が取り付けられるポール本体内への配線・配管材の導入向きを配線経路、配管経路に対応して異なる方向に変更して立設することができるポール、ポール装置、及びポールの立設構造の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1のポールは、設置面に立設されて、当該設置面の上方に電気器具や水栓器具等の機能部材を設置するものであって、
内部に前記機能部材に接続される配線・配管材が通される中空部を形成する側壁を有した筒状を成し、下端側に前記配線・配管材が通過可能な通過口が形成され、上端側に前記機能部材を取り付ける取付部が形成されたポール本体と、
前記設置面に載置される載置部と、前記ポール本体の下端側を支持して前記ポール本体を前記設置面に立設させる立設部と、側方に向けて開放し、前記通過口を介して前記ポール本体の内部と外部とを連通させる1または複数の連通口と、を備えた台座と、
を備え、
前記ポール本体の側方を向く外面のうち1の方向を向く側部と、前記台座の1の側部とを、同一方向に向けた状態で立設可能であり、かつ、前記ポール本体の前記1の側部を、ポール本体の中心軸を回動軸として回動させて前記台座の前記1の側部と異なる方向に向けた状態としても立設可能なものである。
【0010】
請求項2のポールは、請求項1のポールと比較して、
ポール本体の軸心から見て、1または複数のうちの1の連通口が形成された方向に対する、取付部の位置する方向を、前記ポール本体の軸を中心に回動させて変更される異なる2つの方向のいずれの向きとしても立設可能であり、かつ、当該立設状態で前記1または複数のうちの少なくとも1の連通口が、前記配線・配管材を通過可能なものである。
ここで、異なる2つの方向とは、厳密に特定の1の向きに対して異なる2つのみの向きを意味するのではなく、広く、ポール本体の中心軸を回動軸として回動させて変更される向きのことを意味し、特定の1の向きに対する、反対方向、直交方向、これ以外の方向など異なる2以上の方向を意味する。
【0011】
請求項3のポールは、特に、ポール本体の通過口が、前記ポール本体の下端で軸方向に開放する下端開口からなり、
台座のの立設部は前記ポール本体の下端より下方に前記配線・配管材が通過可能な空間が形成された状態で、前記ポール本体を支持する。
これにより、外部から台座の連通口を通過した配線・配管材をポール本体の側壁と干渉することなくポール本体の下端から導いて内部に配管することができる。
【0012】
請求項4のポールは、特に、台座の立設部が、ポール本体の下端開口から内部へと挿入される内挿部を備え、
前記内挿部の下方に、配線・配管材が通る連通口が設けられ、
前記内挿部は、前記ポール本体の側壁の内面に沿って上方へと延びる板状を成す。
これにより、ポール本体は、側壁の内面が台座の内挿部に沿って安定して立設させることができる。
【0013】
請求項5のポールは、特に、ポール本体の通過口が、前記ポール本体の側壁の周方向の異なる複数個所に貫通形成され、
前記台座は、環状の周壁からなり、周方向の1の側方に連通口が形成された枠状部を備え、
複数のうちの1の通過口と連通口とを同一方向とした際に、前記1の通過口以外の通過口は、前記枠状部における前記連通口を除く部分と重合配置されて閉塞される。
これにより、台座の連通口は1の側方のみに形成されているので、この連通口と同一方向のポール本体の1の通過口以外の通過口は、外部に露出することなく台座の枠状部と重合配置されて閉塞される。このため、ポール本体の1の通過口以外の通過口から異物が侵入するのを防止できる。
【0014】
請求項6のポールは、特に、異なる2つの方向のうち少なくとも1の向きとされた前記取付部の位置と異なる方向であって前記1の向きに直交する方向を含む範囲に、前記台座の1の連通口が位置する。
これにより、取付部の位置と直交する方向に台座の連通口が位置する場合は、例えば壁際にポールを設置し、壁と反対側に露出コンセントや水栓等の機能部材を配置した際に、壁際に沿って配設した配線・配管材を迂回させることなく導入できる。また、壁際に配設できて配線・配管材が邪魔にならない。
また、取付部の位置と反対の方向に台座の連通口が位置する場合は、機能部材を操作する側と反対側に配線・配管材を配設できて、機能部材を操作する際に配線・配管材は邪魔にならない。
更に、機能部材のある側と違う側で配管材を配設できて見栄えが良い。
【0015】
請求項7のポールは、特に、ポール本体の側壁が、外面軸方向に幅をもって延びる少なくとも2つの平面部を有し、前記少なくとも2つの平面部のうちの1または複数に前記取付部が形成されている。
【0016】
請求項8のポールは、特に、台座を覆う化粧カバーを更に備え、
前記化粧カバーは、前記配線・配管材が通される化粧カバー開口が形成され、当該化粧カバー開口が前記台座の1の通過口と対向配置された状態で前記台座を覆う。
これにより、化粧カバーがポールの下端側を覆うので、外観が向上するとともに、配線・配管材と台座の連通口との隙間や連通口が複数設けられている場合に配線・配管材が挿通されていない連通口から内部に塵埃等の異物が侵入するのを防止できる。
【0017】
請求項9のポールは、特に、台座の立設部が、ポール本体の側壁と重合する重合板部を有し、
当該重合板部には、前記ポール本体と連結すべく前記側壁を貫通する連結ボルトが挿通されるボルト通孔が形成されている。
【0018】
請求項10のポール装置は、設置面に立設されて、当該設置面の上方に電気器具や水栓器具等の機能部材を設置するポールと、当該ポールの下端側を覆い化粧する化粧カバーと、からなるものであって、
前記ポールは、内部に前記機能部材に接続される配線・配管材が通される中空部を有し、下端側に前記配線・配管材が通過可能な通過口が形成され、上端側に前記機能部材を取り付ける取付部が形成され、
前記化粧カバーは、前記ポールの下端側が貫通される貫通部を有した上壁と、前記上壁の周囲から垂下した略環状の垂下壁と、を備え、前記垂下壁の一部に、前記機能部材に接続される前記配線・配管材が通される化粧カバー開口が形成され、
前記化粧カバー開口の向きを、前記ポールの外周り方向の異なる2つの方向のいずれに向けても、前記ポールの前記通過口を含む下端側を覆うことが可能なものである。
【0019】
請求項11のポール装置は、特に、ポールが、前記設置面に固定される固定部材が貫通する固定部を備えた板状の固定板を備え、前記化粧カバーは、前記固定部材を覆うとともに、前記垂下壁の先端は前記固定板に載置される。
これにより、化粧カバーは、垂下壁の先端が固定板に載置されるので、固定部材を含め台座全体を覆い、外観が向上する。
【0020】
請求項12のポールの立設構造は、請求項6に記載のポールが立設され、1の前記機能部材が前記取付部に取り付けられ、前記配線・配管材が、当該1の機能部材が取り付けられた前記取付部の位置と反対方向または直交方向に位置する前記1の連通口から前記ポール本体内へと配設されているものである。
【0021】
請求項13のポールの立設構造は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のポールが立設され、2つの機能部材がポール本体の側壁の周方向にずれた位置に取り付けられており、
前記2つの機能部材にそれぞれ接続される配線・配管材の全てが、台座の1の連通口を通過し、前記通過口を介して前記ポール本体の内部へと配設されて、前記2つの機能部材と接続されたものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、下端側に配線・配管材の通過口が形成されたポール本体と、通過口を介してポール本体の内部と外部とを連通させる連通口を備えた台座と、を備えたポールにおいて、台座の1の連通口が形成された方向に対するポール本体の取付部の位置する方向を、ポール本体の中心軸を回動軸として回動させて変更される異なる2つの方向のいずれに向けても、ポール本体を立設可能であり、かつ、この立設状態で連通口に配線・配管材を通過可能になっているから、ポール本体内への配線・配管材の導入向きを異なる方向に変更して立設することができる。
【0023】
その結果、ポールの下端を埋設せずに設置面に立設する方法で設置することにより、ポールの下端及び配線・配管材を土中内に埋設する工事が不要であり施工を早く行うことができる。そして、特に、ポールへと配線、配管する配線・配管材をポール本体の取付部の向きに合わせて迂回させなくてもよいので、整然と配線、配管できてポール周辺の見栄えが向上し、また、ポール本体に導入する向きに合わせた配線経路、配管経路にする必要がないので施工性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図3】(a)は
図1のポール本体内に取り付けられる管保持部材の斜視図、(b)は管保持部材に電線管の端部を取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図4】
図1のポール内に電線管を配管した状態を示し、(a)は斜視図、(b)は(a)のA-A切断線による断面図である。
【
図5】(a)は
図4のポールに機能部材を取り付ける前の状態を示す斜視図、(b)は機能部材を取り付けた後の状態を示す斜視図である。
【
図6】(a)は
図4のポールに取り付けられる化粧カバーを斜め上方から見た斜視図、(b)は斜め下方から見た斜視図、(c)は化粧カバーをポールに取り付けたポール装置の斜視図、(d)は(c)のB-B切断線による断面図である。
【
図7】
図6のポール装置を建物の壁際に設置した状態を示す斜視図である。
【
図9】本発明の別の実施形態のポールを示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態のポールを図に基づいて説明する。
本実施形態のポールは、屋外で地面等の設置面に立設され、設置面の上方に防水コンセントやインターホンなどの電気器具や水栓器具等の機能部材を設置するためのものである。本実施形態のポールは、下端が地中に埋設されるものではなく、全体が地表(設置面上)に露出した状態で設置されるものであり、電気器具等の機能部材に接続される配線・配管材は、ポールへの導入口まで土中に埋設されることなく地表(設置面上)に沿って配線、配管される。なお、本実施形態では、ポールは給電用ポールとして用いられるものを例示し、配線材としてケーブルを、配管材として内部にケーブルが配線される電線管を例示する。以下、各構成部材について説明する。
【0026】
図1及び
図2において、ポールPは、防水コンセント等の機能部材70に接続される配線・配管材が内部に通される中空部を有した筒状を成すポール本体1と、設置面90に載置されてポール本体1の下端側を支持する台座30とを備えている。
【0027】
ポール本体1は、
図2に示すように、横断面が正方形状をなす中空筒体で形成され、外周面が軸方向に連続する側壁2を備え、側壁2は外面軸方向に幅をもってすなわち所定の幅を有して
図2の上下方向に延びる4つの平面部2aを有している。ポール本体1は、上下両端が開口する中空の四角筒体の上端開口3に複数の蓋部材取付孔4が形成され、蓋部材取付孔4にビス14が取着されることによって蓋部材10が着脱可能に取り付けられている。蓋部材10は正方形状の平面板からなる蓋部材本体11の周囲3辺に垂直下方に屈曲したフランジ12が形成され、フランジ12には蓋部材取付孔4に螺着されるビス14が挿通される挿通孔13が設けられている。蓋部材10は、ポール本体1と分離したものであって、上下方向に垂直移動させてポール本体1の上端開口3に着脱可能に取り付けるものであるが、ポール本体1と一体であって取り外しできなくてもよい。
【0028】
ポール本体1の上端側において側壁2の4つの平面部2aのうちの1つには機能部材70を取り付けるための取付部5が設けられている。取付部5は、1つの平面部2aに少なくともケーブル81が挿通可能な矩形状の取付窓6が形成され、その外面に器具取付枠20が固定ビス22を介して着脱可能に固定されて成る。取付窓6の上辺縁部及び下辺縁部のそれぞれの幅方向中間位置には固定ビス22が取着可能な雌ネジ部からなる固定孔7が形成されている。
【0029】
器具取付枠20は、矩形板状に形成され、外形全体が取付窓6より僅かに大きい矩形板からなり、中央には取付窓6と同程度の大きさの矩形状の取付口21が形成されている。取付口21の上方及び下方の幅方向中間位置には、固定ビス22が挿通される長孔からなる固定孔23が形成されている。そして、上側の固定孔23の真上及び下側の固定孔23の真下には雌ネジ部24が形成されている。雌ネジ部24は、外方に所定高さで膨出する台形板状の取付座25の中央に機能部材70を取り付けるためのねじ孔26が設けられて成る。
【0030】
側壁2の各平面部2aの下端部には台座30に組み付けて連結固定するための連結ボルト44が貫通する連結孔8が形成されている。また、ポール本体1の下端側には、軸方向に開放する下端開口からなる通過口9が形成されており、通過口9は電線管80が下方からポール本体1内に挿入され通過可能となっている。
【0031】
台座30は、
図2に示すように、設置面90に載置される載置部31と、ポール本体1を設置面90に立設させる立設部32と、側方に向けて開放し、ポール本体1の通過口9を介してポール本体1の内部と外部とを連通させて電線管80を通過可能とする大きさからなる1つの連通口33と、を備えている。載置部31は、平面視四角形状であって中央部に底部開口35が形成された固定板34で形成されており、4隅部に長孔からなる固定部36が放射状に形成され、固定部36には図示しないが固定部材であるアンカーボルトが挿通される。載置部31の中央の底部開口35の3辺の周縁からは矩形板部からなる立設部32が垂直に立設されている。立設部32の下半部は、周の一部を欠く略環状の周壁37からなり、周方向の1の側方のみに連通口33が形成され、この連通口33を通過しポール本体1の通過口9へと連続させる電線管80の配設経路を内側に構成した枠状部38を備えている。
【0032】
立設部32の上端からは内部側に向けて水平方向に折り曲げられた平板面からなる段部平面39が形成されており、段部平面39の内部には正方形状の開口40が形成されている。段部平面39にはポール本体1の下端が載置される。段部平面39の開口40の周縁4箇所は垂直に切起こされ、ポール本体1の下端の通過口9から内部へと挿入される内挿部41が形成されている。内挿部41は、ポール本体1の側壁2の内面に沿って上方へと延びる板状を成しており、より詳細には、側壁2と重合する重合板部42からなり、各重合板部42の中央にはポール本体1の側壁2の連結孔8を貫通する連結ボルト44が挿通されるボルト通孔43が形成されている。台座30は、ポール本体1の下端を段部平面39上に載置し、連結ボルト44をポール本体1の側壁2の連結孔8及びボルト通孔43に挿通しナット45を取り付けることにより、ポール本体1に連結されて組付けられ、ポール本体1を設置面90上に直立状態に安定して立設させる。
【0033】
ポール本体1が台座30に組付けられた後は、立設部32は、ポール本体1の側壁2の下端側の外面が台座30の連通口33を通過する電線管80と干渉しないように、ポール本体1の下端より下方に電線管80が通過可能な空間が形成された状態で、ポール本体1を支持する。
【0034】
そして、立設部32によるポール本体1の支持においては、ポール本体1の軸心から見て、1の連通口33が形成された方向に対する、取付部5の位置する方向を、ポール本体1の中心軸を回動軸として回動させて変更される異なる2つの方向のいずれに向けても、台座30によりポール本体1を立設可能であり、かつ、立設状態で1の連通口33が電線管80を通過可能となっている。
【0035】
ここで、ポールPの構成を別言すれば、ポール本体1の側方を向く外面のうちの1つの方向を向く外面の側部と、台座30の1の側部とを、同一方向に向けた状態で立設可能であり、かつ、ポール本体1の前記1の側部を、ポール本体1の立設方向の軸を中心に回動させて台座30の前記1の側部と異なる方向に向けた状態としても立設可能である、ということもできる。
【0036】
ポール本体1の内部における立設部32の上方であって取付部5の僅かに下方には、台座30の連通口33からポール本体1内を上方に向けて配管された電線管80の端部80aをポール本体1内の所定位置に維持するように保持する管保持部材50が取り付けられる。管保持部材50を
図3に示す。管保持部材50は、ポール本体1の内部に水平方向に配置される平面視正方形板状の基板51の周縁から周壁52が垂直上方に立設され、各周壁52の中間部は上方に開放するコ字状に切欠かれた開口53が形成されている。この開口53は電線管80を管保持部材50に取り付ける作業を行う際の手指の挿入空間ともなる。基板51の対辺間の間隔はポール本体1の周壁52の対向する内面間の間隔と略同一に形成されている。
【0037】
基板51の下面の周縁各辺の両端部には垂直下方に突出する短冊状の弾性突片54が設けられており、その先端には鈎状突起54aが形成されている。弾性突片54は管保持部材50がポール本体1内に配置されたとき、鈎状突起54aが側壁2の内面に弾性的に当接するので、管保持部材50はがたつくことなく安定して配置される。
【0038】
基板51には電線管80の端部80aが下方から貫通状態に差し込まれる通孔55が複数、本実施形態では4つ設けられている。通孔55は、所定高さの円形筒体で形成され、内径は電線管80の外径より僅かに小さい大きさに形成されており、電線管80を押し込むことにより電線管80は通孔55の内壁に押し付けられ保持される。本実施形態では、管保持部材50には2本の電線管80が接続され、4つの通孔55のうち使用されない対角方向の2つの通孔55は、その上端開口がノックの打ち抜きにより除去可能な閉塞部55aで閉塞されている。閉塞部55aは、管保持部材50より下方の空間内の湿気や塵埃等の異物が機能部材70の付近まで上昇するのを防止する。電線管80を増設して通孔55に接続するときには、ノックの打ち抜きにより閉塞部55aを除去して使用することができる。なお、電線管80は通孔55に単に差し込むだけでなく、接続部を形成して電線管80の端部80aを接続し保持するようにしてもよい。
【0039】
更に、各周壁52の下端の幅方向中間部には断面略逆U字形で少し細長の半筒孔からなる下方移動規制部56が形成されている。下方移動規制部56は、取付部5に形成された固定孔7の雌ネジ部に螺入された、器具取付枠20を取り付けるための固定ビス22の、ポール本体1内へと突出する軸部の先端に係止して、管保持部材50を下方から支持して下方への移動を規制し、高さ方向の一定位置に保持する。
図3(b)は電線管80の端部80aを管保持部材50で保持した状態を示す。
【0040】
ポールPは、台座30を覆う化粧カバー60を更に備えたものとすることもできる。化粧カバー60は、
図6に示すように、ポール本体1の下端側が貫通する貫通部62を有した上壁61と、上壁61の周囲から垂下した略環状の垂下壁63と、を備え、垂下壁63の一部に、電線管80が通される化粧カバー開口64が形成されている。垂下壁63の先端は、台座30の固定板34に載置される。化粧カバー60は、化粧カバー開口64が台座30の1つの連通口33に対向配置された状態で台座30全体を覆う。また、化粧カバー60は、化粧カバー開口64の向きを、ポールPの外周り方向の異なる2つの方向のいずれに向けても、通過口9を含んでポールPの下端側を覆うことが可能となっている。
なお、ポールPにその下端側を覆う化粧カバー60が取り付けられたものは、請求項のポール装置PAを構成する。
【0041】
次に、上記のように構成された本実施形態のポール装置PAを設置し、ポールPの内部に電線管80を配設し、機能部材70を取り付け、電線管80内のケーブル81を接続する方法を説明する。
まず、
図7(a)に示すように、建物の壁面91と反対側の側壁2の平面部2aに機能部材70の取付部5が位置するようにポール装置PAを設置し、建物の壁面91に平行して地上に配設された電線管80を、台座30において壁面91と平行する方向に臨む連通口33から挿入し、電線管80内のケーブル81を機能部材70に接続する場合を説明する。
【0042】
最初に、台座30の連通口33が建物の壁面91と平行する方向を向いた状態で台座30を設置面90に載置し、アンカーボルトを台座30の固定板34の固定部36に挿通し載置面90に打ち込んで固定する。次に、台座30の連通口33から電線管80を挿入し、
図3(b)に示すように、管保持部材50の通孔55に電線管80の端部80aを差し込んで取り付ける。このとき、電線管80は、取り扱い性などの点からある程度の長さ、好ましくは端部80aが取付窓6に臨む程度の長さで切断しておくのが望ましい。電線管80が長かった場合は、ポール本体1の上端開口3から手指を入れて端部80aを保持しつつ取付窓6からカッターで切断しておくとよい。
【0043】
なお、電線管80の切断に関し、本発明のポールPは、ポール本体1と台座30とが分離しているので、設置位置に固定した台座30に電線管80を配管した状態で、電線管80の立ち上がり長さすなわちポール本体1内の長さを目視により簡単に調整できて便利である。したがって、ポール本体1を台座30に仮組立てした状態で、電線管80が長すぎたら、ポール本体1を取り外して切断することもできる。
【0044】
続いて、ポール本体1を、内部に電線管80を挿入しつつ管保持部材50の上方からこれを被せるようにして下降させ、下端を台座30の段部平面39上に載置する。そして、側壁2の下端部の連結孔8に連結ボルト44を挿通し更に台座30の重合板部42のボルト通孔43に挿通した後、ナット45を締め付けて、
図4に示すように、ポール本体1を台座30に組付ける。
【0045】
そして、ポール本体1の取付窓6から操作して、あるいは蓋部材10を取り外してポール本体1の上端開口3を開放させた状態とし上端開口3から操作して、ポール本体1内の管保持部材50を引き上げるなどして、取付窓6の下側の固定孔7より少し上方に位置させる。この状態において、管保持部材50は、弾性突片54がポール本体1の内面に弾性的に押圧されて前記位置に保持される。
【0046】
この途中で、器具取付枠20の固定孔23に固定ビス22を挿通し、ポール本体1の上下一対の固定孔7,7にねじ込んで取付窓6の外面に器具取付枠20を取り付ける。器具取付枠20を取り付けた後は、下側の固定ビス22の軸部の先端は管保持部材50の下方移動規制部より少し下方においてポール本体1の内部に挿通され突出する。この後、下方移動規制部56の半筒孔の上部内面が固定ビス22の先端部の上面に当接するまで管保持部材50を下方に少し移動させる。これにより、下方移動規制部56は固定ビス22と係止するので、下方への移動位置が特定され、押し下げすぎが防止され、管保持部材50は取付窓5の少し下方付近の所定位置に維持される。
【0047】
ここで、管保持部材50のポール本体1内への挿入については、次のようにしてもよい。すなわち、建物の壁面91に沿って配設された長尺の電線管80に加え、図示しないが、管保持部材50から台座30の外側に突出する程度までの長さの短尺の電線管80を別途に用意し、ポール本体1内にまだ管保持部材50が収容されていない状態で、この短尺の電線管80を台座30の連通口33から挿入してポール本体1の上端開口3付近まで通し、あるいは上端開口3から下降させて連通口33から引き出した後、連通口33の外方で長尺の電線管80と接続するとともに、ポール本体1の内部上方とか上端開口3付近で、短尺の電線管80と管保持部材50とを接続してもよい。接続後、管保持部材50を電線管80とともにポール本体1内で押し下げて取付窓6に臨む程度の位置に保持させる。
【0048】
次に、化粧カバー開口64が電線管80の配設方向を向いた状態で、ポール本体1の上方から化粧カバー60を下降させて台座30の全体に被せ、垂下壁63の下端を固定板34上に載置する。化粧カバー60を台座30に取り付けた状態を
図6に示す。この後、ポール本体1の上端開口3に蓋部材10を取り付ける。
【0049】
続いて、
図5(a)に示すように、電線管80内のケーブル81を取付部5の取付窓6及び器具取付枠20の取付口21を通して外方に引き出し、側壁2の外方で機能部材70に接続し、その後、ケーブル81をポール本体1内に押し戻しながら機能部材70を器具取付枠20の外面にあてがい、図示しないがビスを機能部材70の取付孔71に挿通して器具取付枠20の雌ネジ部24のねじ孔26に螺着し、
図5(b)に示すように、機能部材70をポール本体1の取付部5に取り付け固定する。なお、
図5では、化粧カバー60は図示を省略してある。これにより、
図7(a)に示すように、ポール装置PAの設置、ポール本体1内への電線管80の配設、機能部材70の設置、電線管80内のケーブル81の接続が完了する。
【0050】
なお、上記ではポールPに化粧カバー60が取り付けられたポール装置PAの場合を説明しているが、
図4に示すように、化粧カバー60を取り付けないポールPとして設置し使用してもよい。また、上記各手順は前後してもよい。例えば、ポール本体1と台座30とを組付けた状態で台座30を設置面90に固定してもよい。また、組付けた状態で固定した後に、分解してポール本体1の取付部5の向きを変更するよう組み替えてもよい。
【0051】
次に、
図7(b)に示すように、建物の壁面91と反対側の側壁2の平面部2aに機能部材70の取付部5が位置するようにポール装置PAを設置し、建物の壁面91に沿って垂下してから地上において壁面91と直交する方向に配設された電線管80を、台座30において壁面91と対向する方向に臨む連通口33から挿入し、機能部材70を取り付け、電線管80内のケーブル81を接続する場合を説明する。この場合は、台座30を連通口33が建物の壁面91に対向する向きとして設置面90に固定し、以後は
図7(a)のポール装置PAと同様の手順でポール装置PAを設置し、機能部材70を取付部5に取り付ければよい。ここで、
図7(b)に示す場合も、
図7(a)と同じく、化粧カバー60を取り付けないポールPとして設置し使用してもよい。
【0052】
このように、ポールP及びポール装置PAは、
図7に例示したように、取付部5の位置を異なる2つの向きのうちの1の向きとされた機能部材70の正面の向きに対して、この向きと異なる反対方向や直交する方向に、台座30の1の連通口33を位置させることができ、取付部5と異なる方向に位置する1の連通口33から電線管80をポール本体1内へと配設することができる。
【0053】
なお、これらの態様は、請求項の、ポールPが立設され、1つの機能部材70が取付部5に取り付けられ、電線管80が、1つの機能部材70が取り付けられたポール本体1の取付部5の位置と反対方向または直交方向に位置する1つの連通口33からポール本体1内へと配設されて取り付けられる、ポールの立設構造を構成するものでもある。
【0054】
次に、本実施形態のポールPの作用を説明する。
従来の地表に全体が露出した状態で設置されるポールは、ポール本体と設置面90に載置される台座の部分とが一体に形成されていて、電線管80の導入口の向きと電線管80の配設経路の方向とが一致していない場合は、ポールの周りを迂回させて電線管80を導入口に配設しなければならず、ポール周辺の見栄えが損なわれたし、導入孔の向きに合わせた配管経路にする必要があって施工が容易ではなかった。
【0055】
これに対して、本実施形態のポールPは、ポール本体1と、電線管80の連通口33を備えた台座30と、が別体で構成され、台座30の連通口33が形成された方向に対するポール本体1の取付部5の位置する方向を、ポール本体1の立設方向の軸を中心に回動させて変更される異なる2つの方向のいずれに向けても、ポール本体1を台座30に組付けて立設することができるので、ポール本体1内への電線管80の導入向きを異なる方向に変更して立設することができる。これにより、地表の電線管80をポール本体1の取付部5の向きに合わせて迂回させなくてもよいので、整然と配線、配管できてポールP周辺の見栄えが向上し、また、ポール本体1に導入する向きに合わせた配線経路、配管経路にする必要がないので施工性が向上する。
【0056】
そして、ポール本体1の通過口9は、ポール本体1の下端で軸方向に開放する下端開口からなり、台座30の立設部32は、ポール本体1の下端より下方に電線管80が通過可能な空間が形成された状態でポール本体1を支持するので、台座30の連通口33が電線管80の配管方向に合わせてどの向きで載置されても、外部から台座30の連通口33を通過させた電線管80をポール本体1の側壁2と干渉することなくポール本体1の下端から導いて内部に配管することができる。
【0057】
更に、
図7(a)のポール装置PAのように建物の壁面91と反対側に機能部材70を設置した場合は、壁際に沿って配設した電線管80を迂回させることなくポール本体1内に導入できる。加えて、壁際に配設できて、電線管80が邪魔にならない。
また、
図7(b)に示すようにポール装置PAを設置した場合は、機能部材70を操作する側と反対側に電線管80を配設できるので、機能部材70を操作する際に電線管80が邪魔にならない。
加えて、
図7のポール装置PAは、機能部材70が取り付けられる側と違う側に電線管80を配設できるので見栄えが良い。
【0058】
そして、化粧カバー60を更に備えている場合は、アンカーボルト等の固定部材を含め台座30全体が覆われるので、見栄えが向上するとともに、台座30の連通口33と電線管80との隙間から塵埃等が侵入するのを防止することができる。
【0059】
ところで、上記実施形態のポールP及びポール装置PAは、1つの機能部材70が取り付けられるが、複数の機能部材70を取り付けることもできる。
図8に示すポールPは、2つの機能部材70が、その正面が互いに反対側を向くように、ポール本体1の側壁2の周方向にずれた位置に取り付けられる。この場合、2つの機能部材70に対応する2つの電線管80は、全て台座30の1つの連通口33を通過し、通過口9を介してポール本体1の内部へと配設され、各電線管80内のケーブル81は各機能部材70に接続される。ここで、
図8では、2つの機能部材70が反対側に取り付けられているが、直交する方向に取り付けてもよいし、3つ以上の機能部材70を取り付けてもよい。
なお、この態様は、請求項の複数の機能部材70が取り付けられるポールPの立設構造を構成するものでもある。
【0060】
また、上記実施形態のポール本体1は、通過口9が1つのみ設けられているが、これに限られるものではなく、
図9に示すように、通過口9は、ポール本体1の側壁2の同一高さ位置であって周方向の異なる複数個所に貫通形成してもよく、
図9に示すポール本体1では、通過口9は隣合う2箇所に貫通形成されている。この場合、台座30の立設部32は、環状の周壁37における1の側方のみに連通口33が形成された枠状部38を備えており、2つの通過口9のうちの1の通過口9aとこの連通口33とを同一方向とした際、この1の通過口9a以外の通過口9bは、枠状部38における連通口33以外の部分と重合配置されて閉塞される。このため、ポール本体の1の通過口9a以外の通過口9bからポール本体1内に異物が侵入するのが防止される。
【0061】
ここで、複数の通過口9が側壁2の同一高さ位置に形成されているのは、台座30に1つだけ設けられている連通口33に対する、ポール本体1の取付部5の位置する方向を、ポール本体1の軸を中心に回動させて変更される、異なる2つの方向のいずれに向けても、台座30の1つの連通口33に電線管80を通過可能とするためである。
【0062】
なお、本実施形態の台座30の連通口33は、1つのみ設けられているが、複数設けてもよい。
図8に示した、機能部材70が複数設けられている場合を含め、複数の電線管80がポール本体1に対して異なる方向から配管されることがあるため、連通口33は複数設けられることがある。この場合、上記の複数設けられている通過口9は、必ずしもポール本体1の側壁2の同一高さ位置に形成しなくてもよい場合がある。すなわち、連通口33を複数設けることにより、ポール本体1の軸を中心に回動させてポール本体1の取付部5に位置する方向をいずれに向けても、台座30のうちの少なくとも1つの連通口33に電線管80を通過可能な場合は、ポール本体1の複数の通過口9は必ずしも側壁2の同一高さ位置に形成しなくてもよい。
【0063】
この場合、ポール装置PAでは、化粧カバー60がポールPの下端側を覆うので、複数の連通口33のうち電線管80が挿通されていない連通口33も化粧カバー60の垂下壁63によって覆われて、外観が向上するとともに、この連通口33から塵埃等の異物が侵入するのが防止される。
【0064】
更に、上記実施形態のポール本体1の通過口9は、ポール本体1の下端に軸方向に開放する下端開口からなるが、
図9のポール本体1の通過口9a,9bのように、側壁2の下部に側方に開放する通過口9としてもよい。
【0065】
また、ポール本体1は、下端が台座30の立設部32の段部平面39に載置されて組付けられるものであるが、
図9に示すように、台座30の固定板34に直接載置されるものとしてもよい。加えて、ポール本体1は、下端側を台座30の周壁37に対して外嵌、内嵌いずれの状態としても組付けることができる。特に、内嵌して組付けた場合は、閉塞するポール本体1の通過口9を視認できなくすることができ、見栄えが良くなる。
【0066】
そして、台座30の固定板34は、中央部に底部開口35が形成されているが、開口が形成されていないものとしてもよい。この場合は、設置面90から地中の水分等が台座30及びポール本体1内に流入するのを防止できる。
【0067】
加えて、台座30の立設部32の内挿部41は、段部平面39の開口40の周縁から起立した山形の重合板部42で形成されているが、この形状、形態に限られるものではない。
【0068】
ポール本体1は、横断面が正方形状である筒体でなくてもよく、正五角形状、正六角形状、正八角形状等の正多角筒体、円形状の筒体などで形成してもよい。この場合、台座30に対してポール本体1の軸を中心に回動させて取付部5の位置する方向を変更可能とすべく、台座30の立設部32の周壁37もポール本体1の側壁2と同一形状、略同一の大きさに形成する。
【0069】
加えて、上記実施形態のポール本体1は、側壁2が軸方向に同一断面形状が連続する形状に形成されているが、これに限られるものではなく、ポール本体1における台座30との組付け箇所である下端側と、上端側の取付部5との各断面形状が異なるものであってもよい。例えば、ポール本体1の下端側は八角形で上端側は四角形にしたり、下端側は円形で上端側は四角形などにしてもよい。
【0070】
更に、上記実施形態のポールP及びポール装置PAにおいて、機能部材70は器具取付枠20を介さずに直接取付窓6に取り付けることもできる。
【0071】
なお、本実施形態では、配線材としてケーブル81を、配管材として電線管80を例示しているが、配線・配管材は、これらに限られるものではない。また、ポールPの立設される箇所は、例えば地下駐車場や自走式の立体駐車場、ビルの屋上などの場合もある。加えて、ポールは、給電用ポールとして用いられるものを例示しているが、給水用ポールなどとして用いるものもある。
【符号の説明】
【0072】
P:ポール、PA:ポール装置、1:ポール本体、2:側壁、2a:平面部、5:取付部、6:取付窓、9:通過口、20:器具取付枠、30:台座、31:載置部、32:立設部、33:連通口、34:固定板、36:固定部、37:周壁、38:枠状部、39:段部平面、41:内挿部、42:重合板部、43:ボルト通孔、44:連結ボルト、60:化粧カバー、61:上壁、62:貫通部、63:垂下壁、64:化粧カバー開口、70:機能部材、80:電線管、81:ケーブル、90:設置面。