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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162924
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】応援用うちわ
(51)【国際特許分類】
   A45B 27/00 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
A45B27/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078936
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】517168679
【氏名又は名称】株式会社プロモ
(74)【代理人】
【識別番号】100101742
【弁理士】
【氏名又は名称】麦島 隆
(72)【発明者】
【氏名】中沢 直哉
【テーマコード(参考)】
3B104
【Fターム(参考)】
3B104ZC01
(57)【要約】
【課題】拍手と同様の動作を行って打音を発生すると同時に、風を起こすことのできる応援用うちわを提供する。
【解決手段】紙製の板状体10に、その長手方向に直交する方向に沿って設けられた複数の折り目14a~14cを有し、板状体10の長手方向の両端部付近に把持部20,30を有する。折り目14a~14cで折り曲げることにより、折り目14a~14cを挟んで隣接する接触面15a,15b同士が対向可能となる。把持部20,30をもって、接触面15a,15b同士を近づけたり遠ざけたりすると、接触面15a,15b同士が接触し合った際に打音が発生すると共に、接触面15a,15b間の空気が圧縮されて押し出され風が発生する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状体と、
前記板状体の長手方向の両端部付近にそれぞれ設けられた把持部と
を有し、
前記板状体は、
前記各把持部間であって、前記長手方向に所定間隔をおいて、かつ、前記長手方向に直交する前記板状体の幅方向に沿って設けられた複数の折り目と、
前記折り目のそれぞれを介して隣接し、隣接するもの同士が接触し合うことにより打音を発生すると共に、風を起こす機能を果たす複数の接触面と
を備えた応援用うちわ。
【請求項2】
前記各把持部は左右の手によってそれぞれ把持され、
前記左右の手を互いに近づけたり離したりする動作の繰り返しに伴って、前記接触面同士が接触し合って、前記打音と前記風を発生させる請求項1記載の応援用うちわ。
【請求項3】
前記各把持部が、前記板状体の長手方向の両端部に位置する各幅方向端縁から外方に突出するように設けられた柄部である請求項1記載の応援用うちわ。
【請求項4】
前記板状体が紙製である請求項1記載の応援用うちわ。
【請求項5】
前記柄部が紙製である請求項3記載の応援用うちわ。
【請求項6】
前記板状体の長手方向の両端部に位置する各幅方向端縁の内側に孔部が形成されており、前記孔部から前記幅方向端縁までの部位が前記把持部を構成する請求項1記載の応援用うちわ。
【請求項7】
前記折り目は、前記長手方向の中央位置と、前記中央位置と前記各把持部との間の各中途位置との3箇所に設けられ、前記中央位置の折り目を谷折りとし、前記各中途位置の2箇所の折り目を山折りとして折り曲げられる請求項1記載の応援用うちわ。
【請求項8】
前記板状体の表面又は裏面は、文字、図柄部を含む任意の表示を施すことが可能である請求項1記載の応援用うちわ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、応援用うちわに関する。
【背景技術】
【0002】
スポーツ、コンサート、演劇などの各種イベントにおいて、選手や演者を応援するため、扇部の骨に貼られた地紙に、応援対象の選手や演者の名前やニックネーム、その他の言葉、似顔絵等を表示したり任意の装飾を施したりした応援用のうちわが一般に知られている。
【0003】
また、特許文献1では、扇形紙材の形状を特殊なものとすると共に、折り線を放射状に設けて、ハリセンのような形状でありながら、扇子のように展開でき、扇子としての機能を果たすと共に、筒状にしてメガフォンのように使用したり、ハリセンとして使用したりすることができる簡易扇子が開示されている。
【0004】
特許文献2では、フラッグを折りたたみ可能とし、旗として使用する際は、フラッグを展開した状態とし、フラッグを折りたたむことにより、うちわとして使用できるフラッグ付きうちわが開示されている。
【0005】
また、非特許文献1のように、棒状のバルーンを2本用い、2本のバルーンをたたき合って応援するグッズも知られている。さらに、非特許文献2のように、蛇腹状に折られた紙の一端をテープ等で巻いて握り部とし、反対側は扇子状に開くようにしたいわゆるハリセン状のもので、一方の手で握り部をもって、扇子状に開いた部分を他方の手や体に繰り返し当てるようにすることで音を出して応援するグッズも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3074444号公報
【特許文献2】特開平8-329号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】株式会社プロモのホームページ、商品名:「スティックバルーン」(令和5年5月2日検索)URL:https://promoshop.jp/SHOP/63528/list.html
【非特許文献2】株式会社プロモのホームページ、商品名:「応援ボードハリセン」(令和5年5月2日検索)URL:https://promoshop.jp/SHOP/509420/1113791/list.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
応援対象の名前やニックネーム等を表示したうちわは、基本的には、地紙に何らかの表示が施されているだけで、一般的なうちわと機能は変わらない。非特許文献1及び非特許文献2のものは、いずれも打音を発することで応援するものであり、うちわとしての機能を有していない。
【0009】
一方、特許文献1のものは扇子のような機能を果たすことができると共に、ハリセンとして音を出す使い方ができるほかメガフォンとしての機能を発揮させることもできるが、応援時に音を出そうとする場合、あくまでハリセンのような使い方をする必要がある。特許文献2ののものは、うちわとしての機能を有するものの、その他の機能としては、展開してフラッグとして使うことができるに過ぎない。
【0010】
ところで、応援する際には、スポーツ観戦やコンサートにおける選手や演者の入退場時、選手の好プレー時、演目の開始や終了時等において拍手を送ることが一般的であるが、これらの会場は人が密集しており、夏場に限らず、温度や湿度の高い会場が多く、観客も興奮しており、暑さを感じやすい。よって、拍手を送る動作をしつつ、自らに風を送ることができれば便利である。しかるに、上記従来の技術では、これらの機能を両立したものはない。
【0011】
本発明は上記に鑑みなされたものであり、拍手を送る動作を行いつつ、自らに風を送ることができる応援用うちわを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の応援用うちわは、
板状体と、
前記板状体の長手方向の両端部付近にそれぞれ設けられた把持部と
を有し、
前記板状体は、
前記各把持部間であって、前記長手方向に所定間隔をおいて、かつ、前記長手方向に直交する前記板状体の幅方向に沿って設けられた複数の折り目と、
前記折り目のそれぞれを介して隣接し、隣接するもの同士が接触し合うことにより打音を発生すると共に、風を起こす機能を果たす複数の接触面と
を備える。
【0013】
前記各把持部は左右の手によってそれぞれ把持され、
前記左右の手を互いに近づけたり離したりする動作の繰り返しに伴って、前記接触面同士が接触し合って、前記打音と前記風を発生させることが好ましい。
【0014】
前記各把持部が、前記板状体の長手方向の両端部に位置する各幅方向端縁から外方に突出するように設けられた柄部であることが好ましい。
前記板状体が紙製であることが好ましい。また、前記柄部も紙製であることが好ましい。
【0015】
前記板状体の長手方向の両端部に位置する各幅方向端縁の内側に孔部が形成されており、前記孔部から前記幅方向端縁までの部位が前記把持部を構成することも好ましい。
【0016】
前記折り目は、前記長手方向の中央位置と、前記中央位置と前記各把持部との間の各中途位置との3箇所に設けられ、前記中央位置の折り目を谷折りとし、前記各中途位置の2箇所の折り目を山折りとして折り曲げられることが好ましい。
前記板状体の表面又は裏面は、文字、図柄部を含む任意の表示を施すことが可能であることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の応援用うちわは、板状体に、その長手方向に直交する方向に沿って設けられた複数の折り目を有し、板状体の長手方向の両端部付近に把持部を有する。そして、折り目で折り曲げることにより、折り目を挟んで隣接する接触面同士が対向可能となる。この状態で把持部をもって、接触面同士を近づけたり遠ざけたりすると、接触面同士が接触し合った際に打音が発生すると共に、接触面間の空気が圧縮されて押し出され風が発生する。よって、本発明の応援用うちわは、応援時の拍手の代わりとなる打音と暑さをしのぐための風の両方を同時に発生させることができる。一般のうちわの場合、風を発生させることはできるが、拍手をしようとする場合には邪魔になり、うちわを持っている手を離す必要があり、その間、うちわを保管するための入れ物が必要となる。しかし、本発明によれば、うちわを把持したまま、拍手代わりの打音と風を同時に発生させることができ便利である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1(a)は、本発明の一の実施形態に係る応援用うちわの展開状態を示す平面図であり、図1(b)は、折り目から折り曲げた状態の応援用うちわを示す斜視図である。
図2図2(a)~(d)は、上記一の実施形態に係る応援用うちわの使用方法を説明するための図であり、(a)は把持部を把持した左右の手を遠ざけた状態を示し、(b)は把持部を把持した左右の手を近づけた状態を示し、(c)は、風の方向を説明するための図であり、(d)は、(a)~(c)とは持ち方を変えた例を説明するための図である。
図3図3(a)は、本発明の他の実施形態に係る応援用うちわの展開状態を示す平面図であり、図3(b)は、折り目から折り曲げた状態の応援用うちわを示す斜視図である。
図4図4(a)~(c)は、上記他の実施形態に係る応援用うちわの使用方法を説明するための図であり、(a)は把持部を把持した左右の手を遠ざけた状態を示し、(b)は把持部を把持した左右の手を近づけた状態を示し、(c)は、(a)~(b)とは持ち方を変えた例を説明するための図である。
図5図5(a),(b)は、板状体の他の態様を示した図であり、図5(c)は、上記実施形態に係る応援用うちわを片手で使用する例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に示した実施形態に基づき本発明を説明する。図1及び図2は、本発明の一の実施形態に係る応援用うちわ1を説明するための図である。これらの図に示したように、本実施形態の応援用うちわ1は、板状体10及び把持部20,30を有して構成されている。
【0020】
板状体10は、所定の長さを幅を有している。長さ及び幅は制限されるものではなく、また、本実施形態では平面視で略長方形に形成されているが、各外縁部は必ずしも直線状のものに限定されるものではなく、例えば、図1に示したように、長手方向の両端部10a,10aに位置する幅方向端縁11,11が外方に膨出する略円弧状に形成されているものでもよい。幅方向端縁11,11が、波状に形成されていたりしてもよく、さらには、長辺に相当する長手方向端縁12,12も略円弧状や波状等種々の形状とすることができる(図5(b)参照)。また、いずれも、中途に切り込みが入れられたり、適宜部位のみ突出していたりする形状とすることもでき、ある程度の長さと幅を有するものであれば全く限定されない。加工方法は任意であり、カッティング、打抜き加工等を採用できる。
【0021】
板状体10は、紙、合成樹脂等を用いて形成することができる。但し、紙製とすることにより、合成樹脂製と比較して、製造から廃棄・焼却されるまでの環境負荷を小さくすることができる点で有利であり、また、製造コストも低くなる。板状体10を構成する紙としては、耐久性の点から厚紙であることが好ましい。厚紙の種類は限定されるものではなく、板紙(ボール紙)、画用紙、ダンボール等を用いることができる。これらを複数枚重ね合わせたものであってもよい。いずれにしても、後述する接触面同士を繰り返し接触させて打音や風を発生させても、容易にへたらない程度の剛性、耐久性できることから、を有するものが用いられる。また、牛乳パック等の再生紙を用いることもできる。
【0022】
また、板状体10は、表面及び裏面の少なくとも一方への文字や図柄部を含む任意の表示を施すことができる。この場合、合成樹脂製のものよりも紙製のものの方が、手書き、印刷のいずれの手段によっても容易に表示できる。任意の表示としては、応援する選手・演者・グループ・チーム等の名前や名称、それらのシンボルマーク、観覧席においてオーダー可能な飲料や料理のメニュー表(図5(a)参照)、当該試合や公演のスポンサー名、試合会場や公演会場などの施設名等を挙げることができる。観客が自ら印刷等により施すこともできるし、施設提供側やスポンサーサイドで印刷等して来場者に配布したりすることもできる。
【0023】
また、図5(a)に示したように、板状体10の一部に切り取り線などによって切り取り可能な切り取り片13を設けることもできる。この切り取り片13は、例えば、チケットとしたり、景品等の引換券としたりすることができる。
【0024】
図1(a)に示したように、板状体10には、その長手方向に所定間隔をおいて、長手方向に直交する板状体10の幅方向に沿って複数の折り目14a,14b,14cが形成されている。折り目14a,14b,14cは、例えば、スジ押し加工により形成できる。折り目14a,14b,14cの形成位置や形成数は必ずしも限定されるものではないが、板状体10の長手方向の両端部付近に設けられる2つの把持部20,30を持って、把持部20,30同士を近づけたり離したりすることで、打音と風が発生しやすい位置が選定される。折り目の数が多すぎる場合には、折り目部分における反力が強くなり、打音時の音が小さくなったり、また、風も起こしにくくなったりする。そこで、本実施形態では、板状体10の中央位置に第1折り目14aが設けられ、第1折り目14aと一方の把持部20との間の中途位置に第2折り目14bが設けられ、第1折り目14aと他方の把持部30との間の中途位置に第3折り目14cが設けられている。
【0025】
本実施形態では、図1(b)に示したように、中央位置の第1折り目14aを谷折りとし、第2折り目14b及び第3折り目14cを山折りとして用いられる。これにより、第1折り目14aを挟んで隣接する板状体10の表面が、第1接触面15a及び第2接触面15bとなる。また、第2折り目14bを挟んで隣接する板状体10の裏面が第3接触面15c及び第4接触面15dとなり、第3折り目14cを挟んで隣接する板状体10の裏面が第5接触面15e及び第6接触面15fとなる。
【0026】
また、板状体10は、折り曲げられていない展開状態(図1(a)の状態)においては、長手方向の長さが、観客席等において隣席に着席している観客に接触しない長さとすることが好ましい。具体的には、40~80cmの範囲とすることが好ましく、45~65cmの範囲とすることがより好ましい。また、相互に接触させた際に所定の打音と風を発生させることができる程度の面積とするために、板状体10の幅は、8~40cmの範囲とすることが好ましく、10~30cmの範囲とすることがより好ましい。
【0027】
把持部20,30は、板状体10の長手方向の両端部10a,10a付近にそれぞれ設けられる。本実施形態では、両端部10a、10a付近に固着される要(ギボシ)部20a,30aと、要部20a,30aから延びる柄部20b,30bとを備えて構成されている。要部20a,30aの板状体10の両端部10a,10a付近への固着方法としては、接着等を用いることができるが、素材によっては溶着等の手段を用いることも可能である。柄部20b,30bは、要部20a,30aと同じ素材から一体に形成してもよいが、別体に成形した後に、両者を接着、溶着、テープ状のもので一体化することもできる。
【0028】
要部20a,30a及び柄部20b,30bとしては、紙、木材、合成樹脂等を用いて形成できる。但し、環境負荷の観点からは紙又は木材が好ましいが、製作コストを考慮すると板状体10と同様に紙を用いることが好ましい。本実施形態では、要部20a,30a及び柄部20b,30bを紙から一体に加工している。使用する紙は、板状体10と同様に、柄部20b,30bを把持して煽ぐ際に、柄部20b,30bが要部20a,30aとの境界から容易に折れたりしないような剛性、耐久性を有する厚紙を用いることが好ましい。柄部20b,30bの形状は、本実施形態では、所定幅で所定の長さの略長方形に加工したものであるが、指を沿わせることができるくぼみのついた形状、中間部のみ細くした形状など、種々の形状とすることができ、限定されるものではない。
【0029】
把持部20,30は、柄部20b,30bが幅方向端縁11,11からそれぞれ外方に突出する方向となるように設けられる。すなわち、要部20a,30aを幅方向端縁11,11に沿って固着し、板状体10の長手方向の延長線上に柄部20b,30bを突出させる。
【0030】
次に、本実施形態の応援用うちわ1の使用方法について説明する。まず、図2(a)に示したように、第1折り目14aを谷折りにして、第2折り目14b及び第3折り目14cを山折りにし、その状態で把持部20,30の各柄部20b,30bを左右の手でそれぞれ把持する。使用者が拍手をするような姿勢をとると、各柄部20b,30bが下向きになり、第2折り目14b及び第3折り目14cはいずれも上側になる。この状態で、使用者が拍手を行うように、すなわち、左右の手を近づけたり遠ざけたりする動作を行う。図2(b)に示したように、左右の手を近づけ、第1折り目14aを介して隣接している第1接触面15a及び第2接触面15bが接触すると、打音が発生する。
【0031】
各柄部20b,30bが下向きになっている状態では、図2(c)に示したように、板状体10の一方の長手方向方向端縁12が使用者の面前となっている。よって、左右の手を近づけたり遠ざけたりすることで第1接触面15a及び第2接触面15bが接触しようとすると、その間の空気が圧縮される。この圧縮された空気が長手方向端縁12から使用者方向に押し出され、風となって使用者に当たる。これにより、応援時において、左右の手で拍手を行う場合と同様の動作により、打音と風が同時に生じることになる。使用者は、何も持っていない状態で拍手を行う際と同様の動作を行っただけで、打音に加えて風に当たることができ、人が密集し、暑さを感じやすい観客席等における応援用具として適している。
【0032】
また、左右の手を近づけることで、第3接触面15c及び第4接触面15d間、第5接触面15e及び第6接触面15f間も近づく。但し、これらは各柄部20b,30bを把持している手同士がぶつかると、それ以上接近できなくなるため、これらの接触面15c~15fの隣接するもの同士の接触による打音は発生しにくいが、隣接するもの同士が接近することにより空気がある程度圧縮されることから、それらの接触面15c~15fに対応する長手方向端縁12方向からも空気が押し出され、その部位からも使用者に向かう風が生じる。
【0033】
但し、図2(d)に示したように、柄部20a,20bを把持した状態で、山折りとなっている第2折り目14b及び第3折り目14cを使用者の面前に位置させて使用することも可能である。この場合も、第1接触面15a及び第2接触面15bが接触することで打音が発生し、両者が近づくことで、空気が圧縮されて使用者方向に押し出され風が発生する。
【0034】
なお、各柄部20b,30bを、各端部10a,10b寄りの第4接触面15d及び第6接触面15f(第4接触面15d及び第6接触面15fの反対側に位置する面15g,15hの位置(図1(a),(b)参照))における長手方向端縁12から幅方向に沿って外方に突出する方向に設けた場合には、把持部20,30の各柄部20b,30bから第2折り目14b又は第3折り目14cまでの距離が短くなり、柄部20b,30bを近づけたり遠ざけたりする動作の際に、第4接触面15d及び第6接触面15fのしなりが小さくなることから打音時の音量や風量が小さくなる。よって、把持部20,30の各柄部20b,30bは、上記のように、長手方向に突出する方向に設けることが好ましい。
【0035】
図3及び図4は、本発明の他の実施形態を説明するための図である。本実施形態では、把持部40,50を次のような構成としている。すなわち、板状体10の長手方向の両端部10a,10aに位置する各幅方向端縁11,11の内側に孔部41,51を形成する。この孔部41,51から幅方向端縁11,11までの部位を把持部40,50としている。この把持部40,50は、通常、孔部41,51に左右の手のいずれかの指(例えば親指)を挿入し、孔部41,51に挿入した以外の指により、幅方向端縁11,11を抱えるようにしてこの把持部40,50を握る(図4(a)参照)。
【0036】
使用方法は上記実施形態と同様であり、図4(a),(b)に示したように、把持部40,50を支点として、第2折り目14b及び第3折り目14cが相互に接近したり離間したりするように動作させれば、第1接触面15a及び第2接触面15b間で打音が発生すると共に風が発生する。本実施形態では、例えば、孔部41,51に板状体10の表面側から親指を挿入するか、表面側から他の指例えば人差し指を挿入するかにより手首の向きが変わる。また、裏面側から挿入する場合にも挿入する指により手首の向きが変わる。いずれにしても、孔部41,51にいずれかの指をいずれかの方向から挿入し、他の指で把持部40,50を握った際に、手指に負担が生じないような向きに本実施形態の応援用うちわ1をセットする。
【0037】
例えば、図4(a),(b)に示したように、板状体10の表面側から孔部41,51に親指を挿入して把持部40,50を握った際には、第2折り目14b及び第3折り目14cを使用者の面前となる姿勢にした方が自然であり、その場合には、第1接触面15a及び第2接触面15bが接触し合って打音が発生すると、第2折り目14b及び第3折り目14c側から風が送られる。また、図4(c)に示したように、板状体10の表面側から孔部41,51に人差し指を挿入して把持部40,50を握った際には、長手方向端縁12を使用者の面前となる姿勢にした方が自然であり、その場合には、第1接触面15a及び第2接触面15bが接触し合って打音が発生すると、長手方向端縁12から外方に風が送られることになる。
【0038】
なお、上記の握り方はあくまで一例であり、手指、手首等に負担がかからない限り任意であることはもちろんである。また、孔部41,51は、本実施形態のように各端部10a,10a付近に1箇所形成するものに限らず、複数箇所形成してもよいし、孔部41,51の形状も楕円形、円弧状等、任意である。
【0039】
上記実施形態では、把持部40,50として、板状体10の両端部10a,10a付近に孔部4,51を設けているが、このような孔部41,51を設けない構成とすることもできる。握りやすくなるように、把持部40,50の部位だけ他の厚紙を積層することにより厚くした構成とすることもできる。また、幅方向端縁11,11に沿って手を添えることで両端部10a,10aを把持できれば、孔部41,51や厚みを厚くした部分などを設けない構成とすることも可能である。但し、孔部41,51や厚みを厚くした部分などを設けた方が把持しやすくなるため好ましいことはもちろんである。
【0040】
また、例えば、装飾用の所定形状の厚紙などを2つの接触面15a,15b等に付設するなどして、第1接触面15a及び第2接触面15bを相互に近づけたり遠ざけた際に、付設した厚紙などが外方に飛び出すような装飾を施し、使用時における楽しみを増す工夫を付加することもできる。
【0041】
また、上記実施形態では、使用時において、いずれも把持部20,30又は40,50を左右それぞれの手で把持し、両手による拍手に近い形で応援するものであるが、図5(c)に示したように、応援用うちわ1の把持部20,30同士(又は40,50同士)を重ね合わせて使用することも可能である。この場合、板状体10の表面のうち、第4接触面15d及び第6接触面15fの反対側に位置する面が最も外側の面15g,15hとなる。この状態で、把持部20,30(又は把持部40,50)を一方の手で一緒に把持して煽ぐように使用すれば、通常のうちわと同様に使用することが可能である。その際に、他方の空いている手や身体の一部に外側の面15g,15hのいずれかを当てれば、第1~第6接触面15a~15fの隣接するもの同士が接触し合って打音を発生させることもできる。
【0042】
本発明の応援用うちわ1は、このような使い方もできるため、応援時における様々なシチュエーションに対応できる。例えば、集中して観覧している際には、左右の手で各把持部20,30(又は把持部40,50)を握って拍手動作と同時に自らを煽ぐことができ、例えば飲料を片手に持ちつつ応援を行う場合には、把持部20,30(又は把持部40,50)を片手で持って打音と煽ぐ動作を行うことができるなど、汎用性に優れている。
【符号の説明】
【0043】
1 応援用うちわ
10 板状体
10a 端部
11 幅方向端縁
12 長手方向端縁
14a 第1折り目
14b 第2折り目
14c 第3折り目
15a 第1接触面
15b 第2接触面
15c 第3接触面
15d 第4接触面
15e 第5接触面
15f 第6接触面
20,30,40,50 把持部
20a,30a 要部
20b,30b 柄部
41,51 孔部
図1
図2
図3
図4
図5