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特開2024-162929可変吸気長ノンスロットルエンジン。
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  • 特開-可変吸気長ノンスロットルエンジン。 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162929
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】可変吸気長ノンスロットルエンジン。
(51)【国際特許分類】
   F02D 9/02 20060101AFI20241114BHJP
   F01L 7/02 20060101ALI20241114BHJP
   F01L 1/34 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
F02D9/02 D
F01L7/02
F01L1/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023086533
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】597037913
【氏名又は名称】輿石 文次
(71)【出願人】
【識別番号】507048271
【氏名又は名称】輿石 直人
(71)【出願人】
【識別番号】507048259
【氏名又は名称】輿石 美智子
(72)【発明者】
【氏名】輿石 文次
【テーマコード(参考)】
3G018
3G065
【Fターム(参考)】
3G018AA05
3G018AB08
3G018AB17
3G018BA09
3G018CA13
3G018DA34
3G018DA70
3G018EA31
3G018EA32
3G018FA01
3G018GA07
3G065AA04
3G065DA04
3G065GA05
3G065GA15
3G065HA07
3G065KA33
3G065KA36
3G065KA37
(57)【要約】      (修正有)
【課題】4ストロークエンジンに簡単な機構を加えることにより、一回の吸気行程で吸気する空気量を変更可能とし、スロットルを用いることなく自在に負荷を制御する。
【解決手段】ノンスロットル動作はTDCでシリンダー内への吸気を開始し、任意のクランク角で吸気を停止することで実現できる。シリンダー内への吸気の制御を直列に配置した二つのバルブで行うことで可変吸気長動作を行いノンスロットル動作を実現する。吸気の開始と遮断を120度程度の開口角の通気窓をもつ円筒型シャッターバルブをクランク軸の半分の速度で同期回転させ、通気の開始と遮断を繰り返す。クランク軸が吸気行程のTDCを通過する時に同期回転円筒型シャッターバルブが開き始めることでシリンダー内への空気流入を開始する。可変範囲角が広く正確なVVT機構によりエンジンの吸気バルブカムシャフトの回転位相をクランク軸の回転位相に対して吸気長を可変することができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
広い可動範囲と正確な移相制御を可能とするVVT(バリアブルバルブタイミング)を持つ吸気バルブカムシャフトを有し、各シリンダー毎の吸気ポペットバルブの上流にクランク軸の回転数の半分の速度で回転し開閉を繰り返す円筒型回転シャッターバルブを設けてある4ストロークDOHCエンジン。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火花点火エンジンの負荷制御に関する技術である。
【背景技術】
【0002】
従来、殆どの火花点火エンジンは、シリンダー内への空気流入の開始と遮断を単一のポペットバルブで行い、一回の吸気で行う吸気空気量の制御はスロットルバルブの開度変更により行っている。
一部のエンジンは揺動カムを用いたロストモーション機構により吸気動作の途中で吸気ポペットバルブを閉じることで負荷制御を行うエンジンもあるが、シリンダー内への空気の流入の開始と遮断は単一のポペットバルブで行っていた。
【先行技術文献】
特開2014-005756
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はできるだけ簡単な仕組みで吸入空気量を制御することで、スロットルバルブを廃止する、それにより吸気損失の削減を行う。
【課題を解決するための手段】
【0008】
空気の流入開始と遮断を直列に配置した二つのバルブで別々に行うことで問題を解決する。
各シリンダーの吸気ポペットバルブの上流に回転円筒型のシャッターバルブを設けることで、吸気が行われるのは回転筒型ャッターバルブとポペットバルブの双方が同時に開いている時のみであることを利用する。
【0010】
【発明の詳細な説明】
【0012】
回転円筒型シャッターバルブはクランク軸の半分の速度で同期回転するようになっている。
(回転円筒型シャッターバルブ窓の開口角)×2+吸気カムの作用角<360度であることが望ましい。
以下、円筒の通気窓は中心から120度の開口角として説明する。。
つまりTDCから通気窓が開き始めクランク軸が120度回転した時点で通気窓の面先は最大となり、240度回転すると通気を遮断する。
つまり吸気が開始されるのは必ずピストンがTDCを通過してからであり、空気を遮断するのは吸気ポペットバルブの閉じる位置で決められる。
これによりクランク軸が排気行程にある間は、たとえ吸気ポペットバルブが開いた状態でも吸気は遮断されている。
つまりクランク軸が吸気のTDCを通過して初めて吸気動作が可能になるということである。
【0014】
クランク軸がTDC通過後は吸気ポペットバルブのリフトが閉じるまで吸気は続き、リフトが閉じた後は吸気行程であっても吸気は遮断される。
無負荷位置から高回転全負荷まで吸気カムシャフトのVVTの位相角を変更することでバルブリフトのカーブが移動しバルブフトの閉じる位置を変更する。
これによりピストンが吸気をするTDCからの距離を任意に変更することが可能になる。
大まかには吸気長≒空気吸入量となる。
つまり一回の吸気行程でシリンダー内に吸い込む空気の量を可変することでスロットルバルブを使うことなく負荷制御を行えることになる。
【実施例0030】
スロットルバルブの代わりに各シリンダーの吸気ポペットバルブの上流に、回転円筒型シャッターバルブを取り付ける。
円筒は中心から120度程度の通気窓を有している。
【動作の説明】
【0040】
回転円筒型シャッターバルブはクランク軸の半分の速度で回転し、TDCでシャッターが開き始める。
エンジン停止状態以外では、TDCにおいてポペットバルブはリフトしているのでピストンのTDCからの下降に従ってシリンダー内への吸気は開始される。
必要な負荷に合わせてVVTでカムシャフトの位相変更によりバルブリフトを閉じ、吸気を遮断する位置を決定する。
一般的なエンジンではVVTにより吸気カムシャフトの位相を変更し過ぎると、クランク軸がシリンダー内の燃焼ガス圧力が高い排気行程にあるうちに吸気ポペットバルブが開くことになり、酸素を含まない燃焼済みガスが吸気ポペットバルブを通じて吸気ポートに流れ込んでしまい、吸気行程で再びその燃焼ガスをシリンダー内に吸い込むことになり、正常な燃焼が行われなくなることがあるので、VVTによる吸気カムシャフトの位相角変更量の大きさには限界がある。
本発明では例えポペットバルブがTDC前の排気行程で開いたとしても、円筒型シャッターバルブが閉じているので、燃焼済みガスが吸気ポートに流れ込むことはない。
それゆえ燃焼ガスの残る吸気ポペットバルブの背面と円筒シャッタバルブの外面で作る容積は小さくするのが好ましい。
【本発明の効果】
【0050】
【吸気損失の削減】
【0052】
スロットルバルブは低負荷運転域において極めて大きな吸気損失を発生しているといわれている。
本発明では吸気ポペットバルブが閉じた地点以降のピストンの往復は単なる断熱膨張・圧縮であり、ピストンの位置が同じであるならシリンダー内の圧力も同じであるため吸気損失は発生しない。
これによりスロットルバルブによる負荷制御と比較して、低負荷になるほど断熱膨張・圧縮距離が長くなり、より一層吸気損失が減る、つまりその分エンジンの熱効率が向上することになる。
VVTは可動範囲が広く正確な移相変更を可能とする電動VVTを使うことが最適である。
【吸入空気量の最大化】
【0054】
スロットルを使うエンジンの場合は吸気ポペットバルブはピストンが下死点をかなり過ぎてから閉じるように設計されている、
これは高速回転域で全負荷運転する場合、スロットルが全開であってもピストンが下死点(BDC)に到達した時点でも吸気路の抵抗などでシリンダー内圧力は1気圧に達しておらず、ピストンがBDCを過ぎて圧縮行程に入ってもシリンダー内が1気圧に達っするまで吸気バルブを開けておくことでシリンダー内へ空気を流入させ、より多くの空気をシリンダー内に吸い込むたことでエンジンの最大出力を向上させるためである。
しかし逆に低回転域においてはBDCでのシリンダー内圧力は1気圧に近く、せっかく吸い込んだ空気を圧縮行程でピストンが押し出してしまい圧縮される空気容積が減少しトルクが減ることになる。
これをを防ぐためにVVTでエンジン回転数に応じて吸気ポペットバルブ駆動カムの軸の位相を変える方法があるが、コストと重量が増えバルブオーバーラップが変化する欠点がある。
本考案の場合はすでにVVTが使われており、これによる追加のコストや重量が殆ど発生しない。
VVTの回転位相を変更することで、部分負荷領域では吸気損失を削減し、高回転高負荷では空気吸入量の最大化を行うことができる。
【0055】
エンジンブレーキ効果がある。
本発明はノンスロットル動作をするエンジンであるが、吸気ポペットバルブの閉じ位置をTDC以前にすることで、エンジンは回転していても無負荷運転になるが、その場合は十分なエンジンブレーキ効果を発生する。
【ノッキングが発生しない】
【0056】
レシプロエンジンにおいてノッキングの発生は禁物であり、特に過給エンジンでは高過給運転時に過給(圧縮)による吸入空気温上昇に加えピストンによる圧縮加熱で混合気の温度が上がりすぎノッキングが発生しやすくなる、
それを防ぐためにインタークーラーが利用されるがそれでも出口温度は外気温より上がってしまう。
そのためあらかじめピストンによる圧縮比を下げる設計をすることがあり、それにより過給エンジンでは自然吸気エンジンに比べ膨張比が小さくなり熱効率が低下しやすい傾向がある。
可変吸気長エンジンではターボによる最大過給圧をできるだけ上げておき、水温・吸気温センサーやノックセンサーなどでノッキングの兆候を感知した場合、吸気長を短くすることでピストンによる圧縮加熱を減らすことでノッキングは起きなくなる。
【0058】
また吸気長の可変を利用しピストンの圧縮加熱温度を制御することで、これまで不可能とされていたHCCIエンジンにおいて着火タイミングの自在な制御ができる可能性もある。
【0060】
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1】は直列3気筒エンジン用の回転円筒型シャッター部である。
図2】は電動VVTのシステム図である
図3】はクランク軸方向から見た回転式吸気バルブ図である。回転円筒内への空気流入は円筒の軸方向あるいは背後から行う。クランクはTDCにありこの位置から回転すると円筒シャッター開口窓は開きはじめ、ピストンは下降し空気を吸い込む。
図4】は一般的なエンジンの排気バルブと吸気バルブのリフト図である
図5】は無負荷運転でエンジンブレーキ状態であり、クランク軸がTDCにある時の吸気バルブの閉じ位置はTDCより前である。
図6】は低回転・1/2負荷運転で、クランク軸が90度回転した位置で吸気バルブが閉じている図である
図7】は低回転・高負荷運転でクランク軸がBDCで吸気バルブが閉じている図である
図8】は高回転・高負荷運転においてクランク軸がBDCをかなり過ぎた位置で吸気バルブが閉じている図である VVTはカムシャフトの位相を図5から図8までの間で任意の位置を取ることで可変吸気長動作を行うノンスロットルエンジンとなる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8