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特開2024-16294通信制御装置、移動体、基地局、及び通信制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016294
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】通信制御装置、移動体、基地局、及び通信制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/18 20090101AFI20240131BHJP
   H04W 72/54 20230101ALI20240131BHJP
   H04W 24/08 20090101ALI20240131BHJP
   H04W 88/12 20090101ALI20240131BHJP
   H04B 17/373 20150101ALI20240131BHJP
【FI】
H04W28/18 110
H04W72/08
H04W24/08
H04W88/12
H04B17/373
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020179047
(22)【出願日】2020-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】515130201
【氏名又は名称】株式会社Preferred Networks
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100118876
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 順生
(72)【発明者】
【氏名】浅井 大史
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA23
5K067DD43
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
5K067LL11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】通信の品質の低下を抑制する通信制御装置、移動体、基地局及び通信制御方法を提供する。
【解決手段】複数の移動体Mに各々設けられた通信装置10と、複数の基地局20と、通信制御装置30と、サーバ(受信装置)とを備える通信システムにおいて、通信制御装置は、第1通信装置の環境情報と、第1通信装置(通信装置10)及び第2通信装置(基地局20)間の通信品質情報と、第3通信装置(通信装置10)の環境情報とに基づき、第3通信装置及び第2通信装置間の通信品質を予測する予測部と、予測された通信品質に基づき、第3通信装置又は第2通信装置の少なくとも一方から送信するデータを冗長化させる冗長化制御部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1通信装置の環境情報と、前記第1通信装置及び第2通信装置間の通信品質情報と、第3通信装置の環境情報とに基づき、前記第3通信装置及び前記第2通信装置間の通信品質を予測する予測部と、
予測された前記通信品質に基づき、前記第3通信装置又は前記第2通信装置の少なくとも一方から送信するデータを冗長化させる制御部と、
を備えた通信制御装置。
【請求項2】
前記第1通信装置の環境情報と、前記第1通信装置及び第2通信装置間の通信品質情報とに基づき、環境情報に対する通信品質の予測モデルを生成するモデル生成部を備え、
前記予測部は、前記第3通信装置の環境情報と、前記予測モデルに基づき、前記通信品質を予測する
請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項3】
前記予測部は、第1期間における前記第3通信装置の前記環境情報から、前記第1期間より後の第2期間における前記通信品質を予測する
請求項1又は2に記載の通信制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、予測された前記通信品質が低いほど、前記データの冗長度を高くする
請求項1~3のいずれか一項に記載の通信制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記データを繰り返し送信する回数を増やすことにより前記データの冗長度を高くする
請求項4に記載の通信制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記データの符号化率を小さくすることにより、前記データの冗長度を高くする
請求項4に記載の通信制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記データの符号化により生成される冗長化データを前記第3通信装置又は前記第1通信装置が送信するタイミングを、予測された前記通信品質に基づき調整する
請求項6に記載の通信制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記データの送信間隔を変更する
請求項1~7のいずれか一項に記載の通信制御装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記データの送信系統の個数を変更する
請求項1~8のいずれか一項に記載の通信制御装置。
【請求項10】
前記第1通信装置は第1移動体に設けられ、前記第3通信装置は第2移動体に設けられている
請求項1~9のいずれか一項に記載の通信制御装置。
【請求項11】
前記第2通信装置は、基地局である
請求項10に記載の通信制御装置。
【請求項12】
前記第1通信装置及び前記第3通信装置は、基地局である、
請求項10に記載の通信制御装置。
【請求項13】
前記第1移動体及び前記第2移動体は、車両である
請求項10~12のいずれか一項に記載の通信制御装置。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の通信制御装置を備えた移動体。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか一項に記載の通信制御装置を備えた基地局。
【請求項16】
第1通信装置の環境情報と、前記第1通信装置及び第2通信装置間の通信品質情報と、第3通信装置の環境情報とに基づき、前記第3通信装置及び前記第2通信装置間の通信品質を予測し、
予測された前記通信品質に基づき、前記第3通信装置又は前記第2通信装置の少なくとも一方から送信するデータを冗長化させる
通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信制御装置、移動体、基地局、及び通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通信システムの普及と高速化により、自動運転やロボットの遠隔操作および遠隔医療などミッションクリティカルな分野への通信システムの応用が期待されている。ミッションクリティカルな分野では、高い信頼性のデータ通信技術が求められる。特に自動運転やロボットの遠隔操作などの移動体の通信においては通信品質が時々刻々と変化するため、信頼性の向上が急務である。
【0003】
無線通信における信頼性を向上させる技術として、Automatic Repeat Request (ARQ) と呼ばれる無線区間での自動再送制御や、Forward Error Correction (FEC) と呼ばれるエラー訂正技術、またはこれらの組み合わせた Hybrid ARQ (HARQ) が知られている。FECは再送による遅延が許容されないリアルタイム通信で広く用いられているが、エラー訂正を行う冗長化率を過剰に取り過ぎると、通信帯域幅を冗長に使用してしまうため非効率的である。
【0004】
輻輳制御にFECを使う技術として、利用可能な帯域を推定し、FECの冗長化率を変化させる技術がある。また、過去の通信状況から通信エラー率を推定し、冗長化率を決定する技術もある。
【0005】
上述した技術は、1対1の固定端末間の通信における帯域幅又は通信品質の履歴からエラー率を推定するなどして、冗長化率を決定している。しかしながら、移動体の通信では、固定端末間の通信と異なり、過去の自端末の通信状況から将来の通信状況を推定することは困難である。特に移動地が基地局、周波数帯又は電波環境の異なる場所に移動した場合は、自端末の通信状況が移動前と大きく異なるため、移動前の通信状況を推定に用いることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-159368号公報
【特許文献2】特開2006-109325号公報
【特許文献3】特表2008-522545号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】M. Nagy et al., “Congestion Control using FEC for Conversational Multimedia Communication,” ACM MMSys’14, 2014
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示は、通信の品質の低下を抑制する通信制御装置、移動体、基地局及び通信制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本実施形態の通信制御装置は、第1通信装置の環境情報と、前記第1通信装置及び第2通信装置間の通信品質情報と、第3通信装置の環境情報とに基づき、前記第3通信装置及び前記第2通信装置間の通信品質を予測する予測部と、予測された前記通信品質に基づき、前記第3通信装置又は前記第2通信装置の少なくとも一方から送信するデータを冗長化させる制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る通信システムのブロック図。
図2】移動体の通信装置、基地局及び通信制御装置のブロック図。
図3】環境データベースの一例を示す図。
図4】通信品質データベースの一例を示す図。
図5】移動体がハンドオーバーにより接続先を他の基地局に切り替える様子を示した図。
図6】移動体から送信するデータを冗長化させる例を示した図。
図7】本実施形態に係る通信システムの動作シーケンスの一例を示す図。
図8】通信制御装置が予測モデルを生成する動作の一例のフローチャート。
図9】通信制御装置が移動体の将来の時刻の通信品質を予測し、データを冗長化させる動作の一例のフローチャート。
図10】変形例6に係る通信システムの一例のブロック図。
図11】第2実施形態に係る通信システムの一例を示すブロック図。
図12】各実施形態における各装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本開示の実施形態について説明する。図面は、本開示の実施形態を一例として模式的に示すものであり、本開示の実施形態は、図面に開示された形態に限定されるものではない。複数の図において同一の要素には同一の符号を付し、説明済みの要素の説明は適宜省略する。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る通信システムのブロック図である。図1の通信システムは、複数の移動体Mに設けられた通信装置10と、複数の基地局20と、通信制御装置30と、サーバ(受信装置)40とを備える。移動体M又は通信装置10は1つ以上のアンテナ11を備えている。基地局20は1つ以上のアンテナ21を備えている。通信制御装置30は1つ以上のアンテナ31を備えている。サーバ40はアンテナを備えていてもよい。
【0013】
移動体Mは、車両、船舶、飛行体(飛行機又はドローン等)、エレベータ、モバイル端末(スマートフォン、タブレット端末、ノートPC等)など、任意の移動体である。車両の例として、自動車、ロボット又は電車等がある。本実施形態では移動体Mが自動車である場合を想定する。自動車は、ユーザの運転を支援する機能を有する自動車、及び自律的に判断して走行する自動運転車のいずれでもよい。
【0014】
移動体Mの通信装置10は、通信ネットワークを介して、少なくとも1つの基地局20に無線で接続されている。通信ネットワークは、一例として、モバイルネットワーク又は無線LAN(Local Area Network)等の無線ネットワークである。モバイルネットワークの例として、3Gネットワーク,LTEネットワーク、次世代(5G)ネットワークなどがあるが、ネットワークの種類は何でもよい。通信ネットワークは、複数種類のネットワークを含んでいてもよい。この場合、移動体Mの通信装置10が、通信に用いるネットワークを複数種類のネットワークから選択してもよい。また通信ネットワークは有線のネットワークであることも排除されない。
【0015】
移動体Mの通信装置10は基地局20にデータ、一例としてデータを含むパケットを送信する。なお、パケットは情報の伝送単位を一般的に表現したものであり、特定のプロトコルの情報伝送単位に限定されず、例えば、フレーム、データグラム、セグメントなどの他の用語に置き換えてもよい。通信装置10が送信するデータの宛先装置は基地局20、他の移動体Mの通信装置10、又はサーバ40である。サーバ40は、データを収集する通信装置(受信装置)である。サーバ40は、基地局20と有線又は無線の通信ネットワーク50を介して接続されている。データの宛先装置が基地局20以外の場合、すなわち宛先装置のアドレスが基地局20のアドレスと異なる場合、基地局20は、宛先装置のアドレスに応じてデータを転送する。
【0016】
移動体Mの通信装置10は基地局20にデータを送信する他、基地局20からデータを受信してもよい。通信装置10が基地局20からデータを受信する場合、データの送信元(生成元)は基地局20でもよいし、他の通信装置(他の移動体Mの通信装置10、又はサーバ40等)でもよい。以下の説明において、移動体Mに設けられた通信装置10が接続又は通信することを、移動体Mが接続又は通信すると記載する場合がある。本実施形態では、移動体Mからの情報収集を目的として移動体M又は通信装置10を情報収集用のデータを送信する送信装置、基地局20又はサーバ40を、当該データを受信する受信装置とする形態を中心として説明する。但し、本実施形態はこの形態に限定されない。例えば移動体Mにおけるソフトウェアアップデートや地図(例えば高精細度地図)の更新のために、基地局20又がサーバ40から移動体へ更新用のデータを送信する場合に、基地局20又はサーバ40をデータを送信する送信装置、移動体M又は通信装置10を、データを受信装置とする形態も可能である。この場合、以下の説明における移動体Mの送信装置としての役割と基地局20又はサーバ40の受信装置としての役割を入れ替えればよい。
【0017】
移動体Mは、通信ネットワークを介して、通信制御装置30と無線で接続されている。通信ネットワークの具体例は、基地局20の場合と同様である。移動体Mが通信制御装置30と接続される通信ネットワークは、移動体Mが基地局20と接続される通信ネットワークと同じであっても、異なってもよい。移動体Mは、通信制御装置30と直接通信する他、基地局20を介して通信制御装置30と通信してもよい。
【0018】
基地局20は、移動体Mに設けられた通信装置10と所定の接続プロセスを行うことにより、通信装置10と無線で接続する。基地局20は、接続した通信装置10と通信する。基地局20は、データの中継を行う中継装置の一例である。基地局20は、通信装置10又は他の通信装置からデータを受信し、受信したデータの宛先装置が自局の場合は、受信したデータを処理する。基地局20は、受信したデータの宛先装置が自局以外の場合は、受信したデータを当該宛先装置に転送する。
【0019】
基地局20は、他の基地局20とバックボーンのネットワークを介して接続されている。バックボーンのネットワークは有線のネットワークでも無線のネットワークでもよい。
【0020】
基地局20は、移動体Mとの接続の電波状況(例えば電波強度等)に応じて、移動体Mが接続する基地局を自局から他の基地局に切り替えるハンドオーバーに関する処理を行う。例えば、基地局20は、移動体Mの切り替え先の基地局を移動体Mの位置情報等に基づき決定する。基地局20は、決定した基地局と移動体Mとの間でハンドオーバーの手続きを行うことで、移動体Mの接続先を他の基地局に移動体Mの通信を途切れさせないよう切り替える。
【0021】
通信制御装置30は、移動体Mが基地局20に送信するデータ、又は基地局20が移動体Mに送信するデータを冗長化させる制御を行う。例えば、通信制御装置30は、基地局20及び移動体M間の電波状況が今後低くなることが予想される場合に、事前にデータの冗長化を行わせることで、電波状況が悪くなった場合にも、通信品質の低下を抑制する。電波状況が今後低くなることが予測される例として、ハンドオーバーが見込まれる場合や、高速道路を走行中の移動体Mがトンネルなど電波状況の悪い環境をこの先、走行することが見込まれる場合などがある。
【0022】
冗長化に関する制御の例として、送信するデータの冗長度(冗長化率)を変更することがある。冗長度を変更する例として、同じデータを送信する回数を変更すること、又は、データに符号化(例えば消失訂正符号化)を行う場合の符号化率を変更することなどがある。また、冗長化に関する制御の他の例として、データを送信する時間間隔を変更すること、データ送信に用いる送信系統の個数を変更することなどもある。冗長化に関する制御の詳細は後述する。
【0023】
図2は、移動体Mの通信装置10、基地局(通信装置)20及び通信制御装置30のブロック図である。
【0024】
[移動体Mの通信装置10]
移動体Mの通信装置10は、送信バッファ部101、冗長化部102、通信部103、環境情報取得部104、通信部105及び1つ以上のアンテナ11(図1参照)を備えている。送信バッファ部101は移動体Mに設けられたセンサ装置12に接続されている。センサ装置12は1つ以上のセンサを含む。通信装置10は、一例として本実施形態に係る第1通信装置及び第3通信装置に対応する。
(第2通信装置)
【0025】
センサの例は、カメラ、GPS、自動車の走行情報の検知センサ(LiDAR(Light Detecting And Ranging)、速度センサ、加速度センサなど)、自動車の制御情報(エンジン回転状態、アクセルの踏み込み状態など)の検出センサ、急ブレーキの検出センサ、障害物(落下物、前方車両)の検出センサなどを含む。センサは、時系列に一定間隔でデータを出力するものでも、イベントが発生したタイミングなど、特定のタイミングでデータを出力するものでもよい。センサの例は上記のものに限定されない。例えば、センサは、自動車の搭乗者等のユーザから操作部を介して入力されるデータを検出するものでもよい。
【0026】
送信バッファ部101は、センサで検出されたデータを取得し、取得したデータを内部の記憶領域に格納する。センサで検出されたデータは、例えばセンサの属性情報、検出時刻及びデータ本体を含む。送信バッファ部101は、データを取得した順序を管理しており、受け取った順序でデータを出力する。送信バッファ部101は、所定サイズの記憶領域を有する記憶装置であり、一例として、メモリ又はハードディスクなどの記録媒体により構成される。
【0027】
環境情報取得部104は、例えば、一定の時間間隔又は特定のイベントが発生したタイミング等で、移動体Mの環境情報を取得する。環境情報は、移動体の通信品質に相関する情報である。環境情報の例として、移動体Mの位置を特定する情報、現在時刻を特定する情報、接続している基地局20との電波の状況に関する情報、気象情報、道路の交通情報、及び、移動体の動作情報などがある。移動体Mの位置を特定する情報の例として、移動体Mに設けられているGPS(Global Positioning System)による緯度経度、移動体Mが走行している道路の情報、道路に設けられているキロポスト、道路のレーン情報などがある。基地局20との電波状況に関する情報の例として、基地局20からの電波強度、電波の方位、通信に使用している電波の周波数帯域などの情報がある。気象情報の例として、天候(晴れ、雨、雪、台風など)、温度、湿度、雲の位置などがある。例えば、上空の湿度や雲の影響で電波伝搬特性が変わる。気象情報は衛星通信や成層圏通信への応用もありうる。道路の交通情報の例として、渋滞又は混雑などの情報がある。渋滞のように周りに車が多いと通信の衝突確率が高くなる。動作情報の例として、移動体のステアリングやアクセル、速度などの動作の情報又は動作の履歴(ログ)がある。例えば移動体の速度が速くなると、パケロスが高くなる。動作の履歴から移動体が走行している環境又は道路等を推定してもよい。
【0028】
通信部105は、通信制御装置30の通信部305と通信する。通信部105は、環境情報取得部104で取得された環境情報を、通信制御装置30の通信部305に送信する。また、通信部105は、通信制御装置30の通信部305から、移動体の通信装置10から送信するデータの冗長化の方法を指示する情報(冗長化指示情報)を受信する。
【0029】
冗長化部102は、送信バッファ部101から送信するデータを読み出す。データの読み出しは、例えばデータの提供先のアプリケーションの時間制約に応じたレートで行う。アプリケーションの例は、高精細度地図を生成するアプリケーション、エンジン制御の最適化モデルを生成するアプリケーション、道路安全情報を生成するアプリケーションなどを含む。一例として、高精細度地図を生成するアプリケーション、及びエンジン制御の最適化モデルを生成するアプリケーションでは、データ送信の時間制約は長い(1時間、1日など)。一方、道路安全情報を生成するアプリケーションでは、データ送信の時間制約が短い(例えば10秒以下など)。一例として、時間制約の短いデータは、優先度の高いデータに対応し、時間制約の長いデータは、優先度の低いデータに対応する。
【0030】
冗長化部102は、冗長化指示情報に従って、読み出したデータを冗長化する。冗長化の例として、ここでは冗長化指示情報に示される冗長度で、データを複製する。例えば、冗長度を、冗長化後の送信データ数(送信パケット数)と冗長化前の送信データ数(送信パケット数)の比と定義する。この場合、冗長度が2であれば、読み出した各データを2回送信し、冗長度が1.5であれば、2つに1個の割合で、同じデータを2回送信する。複数回送信されたデータのうちいずれか1つのデータが受信側で正しく受信されれば、残りのデータがロスしたとしても問題はない。よって冗長化によって、通信品質の低下を抑制できる。
【0031】
通信部103は、基地局20の通信部201と通信する。通信部103は冗長化部102で冗長化されたデータを基地局20の通信部201に送信する送信系統を含む。通信部103は、一例として、各種通信プロトコル(例えば物理層、データリンク層、IP層、トランスポート層等)の処理を行い、パケットを生成する。通信部103は、パケットを変調及びDA変換してアナログ信号とし、アナログ信号から所望帯域の信号を抽出する。通信部103は、抽出した信号を無線周波数へアップコンバートし、無線周波数の信号をアンプで増幅する。通信部103は、増幅した無線周波数の信号を、アンテナ11を介して送信する。通信部103は、送信するデータに対して消失訂正符号化、又は消失訂正符号以外の誤り訂正符号で符号化を行ってもよい。符号化を行うプロトコル層は、物理層、データリンク層、IP層、トランスポート層、アプリケーション層等のいずれでもよい。独自に定義した通信プロトコルを用いる場合、当該通信プロトコルの層で符号化を行ってもよい。
【0032】
消失訂正符号の例は、RS符号、レートレス符号、BCH符号、噴水符号、Tornado符号、LT(Luby Transform)符号、Raptor符号、RaptorQ符号、Zigzag decodable code、ZD噴水符号またはXOR符号などを含む。消失訂正符号以外の誤り訂正符号の例は、畳み込み符号、ターボ符号、LDPC符号、Polar符号などを含む。
【0033】
データを冗長化する他の例として、消失訂正符号の符号化率を変更してもよい。例えば、符号化率を低くすることで、生成する冗長パケット(又はパリティパケット)の個数を多くする。生成した冗長パケットのうち、符号化率に応じた規定個数以上の冗長パケットが受信側に届けば、受信側でデータを正しく復号できるため、冗長化によって通信品質の低下を抑制できる。
【0034】
またデータの冗長化の他の例として、通信部103に送信系統を複数設け(例えば送信系統1、送信系統2)、冗長化部102は、送信する複数のデータを送信系統1と送信系統2で分散してもよい。この際、送信系統1がモバイル回線を用い、送信系統2がモバイル回線とは異なる通信方式、例えば無線LANを用いるなど、各送信系統で異なる通信方式を用いてもよい。この場合、基地局20側でも、複数の送信系統に対応して、通信部201に複数の受信系統を備える必要がある。複数の送信系統で分散してデータを送信することで、データ(パケット)のロスがバースト的に発生した場合にも、ロスするパケット数を抑制することができる。
【0035】
またデータの冗長化の他の例として、冗長化部102は、通信部103からデータを送信させる送信間隔(送信レート)を変更してもよい。例えばデータの送信間隔を小さくすることで、基地局20との電波状況が悪い場合に、データの送信成功の確率を高めることができる。
【0036】
[基地局20]
図2において基地局20は、通信部201、中継判断部202、通信部203、再構成部205、受信バッファ部206、データ処理部207、通信品質測定部208、及び通信部209を備えている。再構成部205、受信バッファ部206及びデータ処理部207を含む受信装置が、基地局20の外部に単独の装置として設けられ、基地局20と有線又は無線で接続されてもよい。基地局20は、一例として本実施形態に係る第2通信装置に対応する。
【0037】
通信部201は、移動体Mの通信部103と通信する。一例として通信部201は、移動体Mの通信部103から送信されるデータ(パケット)を受信する。通信部201は、例えば、受信したパケットの物理層及びデータリンク層の処理を行う。
【0038】
中継判断部202は、処理後のパケットのヘッダ(例えばIPヘッダ)に基づき、宛先装置が自基地局20か否かを判断し、自基地局20の場合は、受信されたパケットを再構成部205に渡す。自基地局20でない場合は、パケットのヘッダに基づきパケットの中継先を決定する。通信部203は、決定された中継先に基づきパケットのヘッダ(例えばデータリンク層のヘッダおよび物理層のヘッダ)を生成及び付加し、パケットを送信する。パケットの中継先は、一例として、他の移動体M、他の基地局、又はサーバ(受信装置)40等である。
【0039】
再構成部205は、中継判断部202から渡されたパケットから、データを復元し、復元したデータを受信バッファ部206に提供する。冗長化によって同じデータが複数回受信された場合、複数の同じデータのうちの1つのみを受信バッファ部206に提供する。消失訂正符号化されたパケットを受信した場合は、使用された消失訂正符号に対応する復号化方式によりパケットの復号を行い、復号されたデータを受信バッファ部206に提供する。データの取得又は復元に失敗した場合は、再構成部205は、通信部201を介して、パケットの再送要求を移動体Mに送信してもよい。
【0040】
受信バッファ部206は、再構成部205から提供されたデータをバッファリングする。受信バッファ部206は、バッファリングしているデータを、受け取った順序でデータ処理部207に出力する。受信バッファ部206は、所定サイズの記憶領域を有する記憶装置である。受信バッファ部206は、一例として、メモリ又はハードディスクなどの記録媒体により構成される。
【0041】
データ処理部207は、受信バッファ部206から提供されたデータを処理する。データ処理部207は、一例として、アプリケーションとCPUとを備えており、CPUがアプリケーションを実行する。アプリケーションの例として、高精細度地図の生成、エンジン制御の最適化モデルの生成、道路安全情報の生成などがあるが、これらは一例に過ぎず、他にも様々なアプリケーションがある。例えばデータを収集及び蓄積するアプリケーションでもよい。
【0042】
通信品質測定部208は、通信部201及び移動体Mの通信部103間の通信に基づき、通信品質を測定する。一例として、移動体Mから受信するパケットのロス率(パケットロス率)又は移動体Mから受信するデータのロス率(データロス率)を測定してもよい。一例として、通信品質測定部208は、データリンク層等でパケットロス率を測定する。または、通信部201で移動体Mから受信する信号の電波強度(例えばRSSI:Received Signal Strength Indicator)を測定してもよい。通信品質の測定は、一定時間ごとに行ってもよいし、パケットの受信ごとに行ってもよいし、その他のタイミングで行ってもよい。
【0043】
通信部209は、通信制御装置30の通信部304と通信する。通信部209は、通信品質測定部208で測定された通信品質を表す情報(通信品質情報)を、通信制御装置30の通信部304に送信する。一例として、通信部209は、通信品質情報を、移動体Mの識別情報と、自基地局20の識別情報と、測定時刻(タイムスタンプ)と関連付けて、通信部304に送信する。測定時刻は、実際に通信品質を測定した時刻、又は、通信品質の測定に用いたパケット(又はデータ)を受信した時刻でもよい。あるいは、通信部209は、移動体Mから受信したパケットにパケットの送信時刻等の情報が含まれる場合は、当該送信時刻等を測定時刻としてもよい。
【0044】
図2に示した再構成部205、受信バッファ部206及びデータ処理部207は、移動体Mから送信するデータの宛先装置がサーバ40等の他の装置であれば、当該他の装置も備え、同様の動作を行う。
【0045】
[通信制御装置30]
通信制御装置30は、情報取得部301、予測部302、冗長化制御部(制御部)303、通信部304、通信部305、及びモデル記憶部306を備えている。図2の例では、通信制御装置30は、基地局20及び通信装置10とは別の装置であるが、通信装置30が、基地局20又は通信装置10に含まれていてもよい。
【0046】
通信部304は、基地局20の通信部209と通信する。通信部305は、一例として基地局20の通信部209から通信品質情報を受信し、通信品質情報を情報取得部301に提供する。
【0047】
通信部305は、移動体Mにおける通信装置10の通信部105と通信する。一例として通信部305は、移動体M(第1移動体)における通信装置10の通信部105から環境情報を受信し、受信した環境情報を情報取得部301に提供する。また通信部305は、冗長化制御部303により生成される冗長化指示情報を、移動体Mにおける通信装置10の通信部105に送信する。
【0048】
情報取得部301は、環境情報を格納する環境データベースと、通信品質情報を格納する通信品質データベースとを保持している。情報取得部301は、通信部305から提供される環境情報を環境データベースに格納し、通信部209から提供される通信品質情報を通信品質データベースに格納する。通信品質データベースには基地局と移動体間の通信の通信品質の履歴が格納されている。環境データベースには移動体の環境情報の履歴(移動体に設けられる通信装置10の環境情報の履歴)が格納されている。
【0049】
図3は、環境データベースの一例を示す。移動体MのIDと、環境情報が取得された時刻と、環境情報とが格納されている。図3の例では、環境情報として経度と緯度で特定される位置情報が格納されている。前述したように環境情報は、移動体Mが走行している道路の情報、道路に設けられているキロポスト、道路のレーン情報などでもよい。
【0050】
図4は、通信品質データベースの一例を示している。基地局のIDと、移動体のIDと,通信品質の測定時刻と、通信品質情報とが格納されている。図4の例では、M001のIDの移動体(移動体M001)が、B031のIDの基地局(基地局B031)と通信している途中で、ハンドオーバーにより接続先の基地局を基地局B032に切り替えた場合の例が示されている。
【0051】
予測部302は、環境情報データベースと通信品質データベースとに基づき、環境情報から通信品質を予測するモデル(予測モデル)を生成する(学習フェーズ)。例えば時刻t1~tn(nは2以上の整数)の環境情報から、時刻t1+Δt(t1+Δtはtnより後の将来の時刻)の通信品質を予測するモデルを生成する。モデルとして、過去の時刻の環境情報から将来の時刻の通信品質を回帰する回帰モデルを用いることができる。回帰モデルの例として、ニューラルネットワーク、重回帰モデル、回帰木(決定木)などがある。予測部302は環境情報に対し通信品質の予測モデルを生成するモデル生成部を含む。予測部302は予測モデルの生成後、定期的又は任意のタイミングで、新たに取得された環境情報及び通信品質情報に基づき、予測モデルを更新してもよい(更新フェーズ)。
【0052】
モデル記憶部306は、予測部302によって生成又は更新された予測モデルを記憶する。モデル記憶部306は、所定サイズの記憶領域を有する記憶装置であり、一例として、メモリ又はハードディスクなどの記録媒体により構成される。
【0053】
予測部302は、冗長化の制御対象となる移動体M(第2移動体)における通信装置10(第3通信装置)から環境情報を取得する。予測部302は、取得した移動体Mの環境情報と、予測モデルとに基づき、移動体Mの通信品質を予測する(予測フェーズ)。例えば予測部302は、環境情報を所定時間間隔で取得し、各取得から一定時間後の移動体Mの通信品質を予測する。
【0054】
予測フェーズと更新フェーズと同時並行的に行う場合は、移動体Mの環境情報は予測モデルの生成又は更新のために情報取得部301に送信されるとともに、移動体Mの通信品質の予測のために、予測部302に送信されてもよい。予測フェーズを行い、更新フェーズを行わない場合は、移動体Mの環境情報は予測部302に送信され、情報取得部301に送信されなくてよい。また、複数の移動体Mのうち予測モデルの生成に用いる環境情報を取得する移動体Mをサンプリングする場合は、サンプリング対象外の移動体Mからは環境情報を取得しなくてもよい。
【0055】
冗長化制御部303は、移動体Mの通信品質の予測値に基づき、移動体Mから送信するデータを冗長化させる制御を行う制御部である。冗長化制御部303は、通信品質が低いほど冗長度を高くする。例えば通信品質がパケットロス率の場合は、通信品質の予測値が閾値以上になった場合は、又は閾値以上の状態が一定時間以上継続した場合は、データ(又はパケット)の冗長度を上昇させる。閾値未満になったら又は閾値未満の状態が一定時間以上継続した場合は、データの冗長度を初期値(例えば冗長化しない値又は冗長度の低い値)に戻す。冗長度は、閾値に関連付けて事前に定めておく。閾値を複数設け、段階的に冗長度を変更してもよい。あるいは、通信品質の予測値が閾値以上になったら、冗長度を一定の傾きで上昇させ、一定時間経過後又は冗長度が所定値に達した後は、冗長度を一定としてもよい。通信品質の予測値が閾値未満になったら、一定の傾きで冗長度を低下させ、初期値になったら、冗長度を初期値で固定してもよい。また、閾値と比較する対象を通信品質の予測値の移動平均値など、統計値を用いてもよい。
【0056】
冗長化制御部303は、移動体Mに冗長化を指示する冗長化指示情報を生成し、冗長化指示情報を、通信部305を介して、移動体Mに送信する。例えば、冗長度をある値に上昇させること、冗長度をある値に低下させること、又は冗長度を初期値に戻すこと等を指示する。移動体Mにおける通信装置10の冗長化部102は、通信部105を介して、冗長化指示情報を受信し、冗長化指示情報に基づき、送信するデータの冗長化を行う。
【0057】
このように、冗長化制御部303は、通信品質の予測値が低くなった段階で(移動体Mの通信品質が実際に低下する前に)、移動体Mから送信するデータを冗長化させる。これにより、移動体Mの電波環境等が悪くなっても、データ送信の成功率を高めることができる。図5及び図6を用いて、具体例を説明する。
【0058】
図5は、移動体Mが基地局20_1と通信しながら走行し、途中でハンドオーバーにより接続先を基地局20_2に切り替える様子を示している。移動体Mは、例えばカメラで撮像したデータを、接続している基地局を介して、受信装置40に送信している。
【0059】
図6は、図5の場合において、通信制御装置30が移動体Mの環境情報に基づき通信品質を予測し、移動体Mに対してデータを冗長化させる例を示している。時刻0~時刻t12におけるパケットロス率の予測値は閾値A以上かつ閾値B未満であるため、冗長度を初期値より高い第1の値にしている。このとき冗長化パケットを含むパケット数が冗長化を行っていない初期状態よりも増加させられており(パケットの送信レートが初期の所定レートよりも上昇しており)、帯域幅は、初期状態のBW0からBW1に上昇している。このとき移動体Mは、例えば、基地局20_1のエリアのエッジに近づいている。時刻t11において、時刻t11から一定時間後の時刻t12以降のパケットロスの予測値が閾値(閾値B)以上となることが予測される。例えば時刻t12の近くでハンドオーバーが行われることが予測される。このため、時刻t11から冗長度を第2の値まで一定の傾きで上昇させる。これによりパケットの送信レートがさらに上昇し、上昇後の帯域幅はBW2となる。その後、時刻t13において、時刻t13から一定時間後の時刻t14以降のパケットロスの予測値が閾値(閾値A)未満になることが予測される。例えば移動体Mは時刻t14以降ではハンドオーバーにより、電波状況が安定することが予測される。このため、時刻t14から冗長度を初期値まで一定の傾きで減少させる。図6の例では冗長度を一定の傾きで上昇又減少させたが、冗長度を目的の値まで一度に変更してもよい。
【0060】
このように、本実施形態では通信品質が低くなってから冗長化するのではなく、通信品質の予測値が低くなった時点で冗長化を行う。これにより、電波環境が実際に悪くなっても、通信品質の低下を抑制することができる。またハンドオーバーにより使用する周波数帯域が変更されても、通信品質の低下を抑制することができる。なお、冗長化により、通信の使用帯域幅が大きくなるため、使用可能な帯域がその分減少することになる。また移動体Mの冗長化のための処理負荷が重くなる。よって、冗長度は移動体Mの通信品質の予測値に応じて適切に定めることが好ましい。
【0061】
図7は、本実施形態に係る通信システムの動作シーケンスの一例を示す。図7の例では、通信制御装置30が基地局20に含まれる場合の動作シーケンスが示されている。移動体Mが基地局20を介して受信装置40と通信(定帯域通信)を開始する(S101)。例えばカメラで撮像したデータを受信装置40で動作するアプリケーションに一定のレートで提供する。基地局20が、移動体Mとの間の通信が通信品質の低下(例えばパケットロス率が閾値以上になること)を予測すると、移動体Mのデータの冗長度を高くする冗長化指示情報を移動体Mに送信する(S102)。移動体Mは、冗長化指示情報に従って送信するパケットの冗長度を上昇させ、上昇後の冗長度でパケットの生成及び送信を行う(S103)。基地局20は、移動体Mとの間の通信の通信品質の上昇(例えばパケットロス率が閾値未満になること)を予測すると、移動体Mのデータの冗長度を低くする冗長化指示情報を移動体Mに送信する(S104)。ステップS104の基地局20は、ステップS102の基地局20と同じ基地局でもよいし、移動体Mがハンドオーバーを行った場合はハンドオーバー後の基地局でもよい。移動体Mは、冗長化指示情報に従って送信するデータの冗長度を低下させ、低下後の冗長度でパケットの生成及び送信を行う(S105)。
【0062】
図8は、通信制御装置30が予測モデルを生成する動作の一例のフローチャートである。通信制御装置30の情報取得部301は、移動体Mの環境情報の履歴と、移動体Mと基地局20間の通信品質情報の履歴を取得する(S111)。具体的には、移動体Mから取得した環境情報を環境データベースに格納し、移動体Mとの間で測定した通信品質情報を通信品質データベースに格納する。予測部302は、環境データベースと通信品質データベースとに基づき、ある期間の環境情報から当該期間より後の時刻の通信品質を予測する予測モデルを生成する(S112)。例えばある期間内の各時刻の環境情報から当該期間より後の時刻(将来の時刻)の通信品質を回帰する回帰モデルを生成する。予測部302は、予測モデルをモデル記憶部306に格納する。
【0063】
図9は、通信制御装置30が移動体Mの将来の時刻の通信品質を予測し、移動体Mが送信するデータを冗長化させる制御の動作の一例のフローチャートである。通信制御装置30の予測部302は、移動体Mから環境情報を取得する(S121)。予測部302は、第1期間の環境情報と、モデル記憶部306内の予測モデルとから、移動体Mの第1期間より後の第2期間の通信品質を予測する(S122)。第1期間及び第2期間はそれぞれ少なくとも1つの時刻を含む。冗長化制御部303は、通信品質の予測値に基づき、移動体が送信するデータを冗長化させる冗長化指示情報を生成し、冗長化指示情報を移動体Mに送信する(S123)。移動体Mは冗長化指示情報に従って、基地局20に送信するデータを冗長化する(例えば冗長度を高く又は低くする)。
【0064】
以上、本実施形態によれば1台以上の先行車の環境情報と通信品質情報とに基づき、過去の環境情報から将来の通信品質を予測する予測モデルを生成する。生成した予測モデルと、後続車の環境情報とから後続車の将来の通信品質を予測する。予測した通信品質に基づき、後続車が通信するデータを冗長化させる。これにより、後続車の電波環境が実際に悪くなっても、データが冗長化されているため、通信品質が低下することを阻止できる。
【0065】
(変形例1)
第1実施形態では移動体Mから基地局20に送信するデータを冗長化する例を記載したが、基地局20から移動体Mに送信するデータを冗長化してもよい。この場合、基地局20に冗長化部を設け、通信制御装置30は基地局20に冗長化指示情報を送信すればよい。また、移動体Mから基地局20に送信するデータ及び基地局20から移動体Mに送信するデータの双方を冗長化してもよい。
【0066】
(変形例2)
第1実施形態では移動体Mと基地局20間の通信品質を基地局20で測定したが、移動体Mで、移動体Mと基地局20間の通信品質を測定してもよい。この場合、移動体Mの通信装置10に通信品質測定部を設け、移動体Mで測定した通信品質情報を通信制御装置30に送信すればよい。
【0067】
(変形例3)
第1実施形態では通信制御装置30は移動体Mに冗長度を指示する例を示したが、移動体M側で、変更後の冗長度を事前に把握している場合は、冗長化の開始又は終了の指示を冗長化指示情報として送信してもよい。
【0068】
(変形例4)
消失訂正符号化で符号化することによりデータを冗長化する場合に、符号化により生成される冗長化パケット(冗長化データ)を、通常のパケット(冗長化パケット以外のパケット)の送信から遅らせたタイミングで送信してもよい。具体的には、通信品質が低下されると予測されるタイミングからずらして冗長化パケットを送信してもよい。すなわち、冗長化データを送信するタイミングを、予測された通信品質に基づき調整する。これにより、ハンドオーバーなどにより接続先の基地局が切り替えられる際に、切り替えの間の時間にパケットがまとまって消失する可能性があるが、冗長化パケットを遅らせて送信することにより、データを復元できる可能性を高めることができる。
【0069】
(変形例5)
第1実施形態では通信制御装置30は、移動体M又は基地局20とは独立した装置であったが、前述したように、通信制御装置30が移動体M又は基地局20の内部に設けられていてもよい。通信制御装置30が移動体Mに設けられた場合、通信部105と通信部305間でのやり取りは、同一装置内における情報伝達で代替することができる。通信制御装置30が基地局20に設けられた場合、通信部209と通信部304間でのやり取りは同一装置内における情報伝達で代替することができる。
【0070】
(変形例6)
第1実施形態では移動体Mが自動車であり、通信装置10が自動車に設けられている場合の例を記載したが、変形例6では、移動体が、ユーザにより保持される携帯端末、タブレット装置、ノートPC及びスマートフォン等のユーザ端末である例を示す。この場合、通信装置10はユーザ端末に設けられる。
【0071】
図10は、変形例6に係る通信システムの一例のブロック図である。ユーザ宅の間取りが平面的に示されている。リビングルームに、アクセスポイント(AP)26が配置されている。宅内のユーザがユーザ端末16を保持している。AP26は無線LANを構成しており、ユーザ端末16と無線通信する。またAP26は、インターネット等の通信ネットワーク50に接続されている。AP26は図1の基地局(通信装置)20と同等の機能を有する。ユーザ端末16はAP26を中継装置として通信ネットワーク50上のサーバ(受信装置)40と通信可能である。ユーザ端末16はAP26を介して、又は別の回線を介して通信制御装置30と通信可能である。通信制御装置30は通信ネットワーク50に配置されている。通信制御装置30がユーザ端末16又はAP26内に設けられていてもよい。
【0072】
通信制御装置30は、図10のユーザ宅と同じ間取り又は近似した間取りの1人以上の他のユーザ宅におけるAP及びユーザ端末間の通信に基づき、通信品質の予測モデルを生成する。通信制御装置30は、生成した予測モデルを、図10のユーザ宅に対して適用する。
【0073】
通信制御装置30はユーザ端末16の環境情報(例えば宅内の移動履歴)と予測モデルとから、AP26及びユーザ端末16間の通信品質(電波環境)が悪くなると予測した場合、ユーザ端末16のデータの冗長度を高める。通信品質が悪くなる例として、ユーザ宅内においてAP26との電波環境が良い場所と、悪い場所がある場合に、ユーザが、電波環境の悪い場所(例えば浴室)に移動する場合がある。またユーザ端末16の環境情報(例えば宅内の移動履歴)から通信品質が良くなると予測した場合(例えばリビングに移動する場合など)、ユーザ端末16のデータの冗長度を低くする又は初期値に戻す。
【0074】
(第2実施形態)
第2実施形態では基地局(通信装置)20が移動体に設けられている場合を記載する。通信装置10はユーザ端末等の移動体に設けられていてもよいし、固定設置されていてもよい。
【0075】
図11は、第2実施形態に係る通信システムの一例を示すブロック図である。AP25がエレベータに設けられている。ユーザはビルの3Fのエレベータホールに存在し、ユーザ端末13を保持している。AP25は無線LANを構成しており、ユーザ端末13と無線通信する。またAP25は、インターネット等の通信ネットワーク50に接続されている。AP25は図1の基地局(通信装置)20と同等の機能を有し、さらに環境情報取得部104を備えている。ユーザ端末13に設けられている通信装置15は、図1の通信装置10と同様の構成を有するが、環境情報取得部104を備えていなくてもよい。
【0076】
ユーザ端末13は、エレベータ内のAP25を中継装置として用いて、通信ネットワーク50上のサーバ(受信装置)40と通信可能である。ユーザ端末13はAP25を介して、又は別の回線を介して通信制御装置30と通信可能である。
【0077】
エレベータが3F又はその付近に位置しているときはユーザ端末13の電波環境は良く、AP25と高品質の通信(例えばパケットロス等が少ない通信)が可能である。一方、エレベータが3Fから大きく離れると、ユーザ端末13の電波環境が悪くなり、通信品質が低下する(例えばパケットロス等が多くなる)。
【0078】
通信制御装置30は、他のユーザが3Fのエレベータホールに存在するときの当該他のユーザが保持するユーザ端末及びAP25間の通信に基づき、通信品質の予測モデルを生成する。この際、環境情報はAP25から取得する。環境情報の例としてはエレベータが位置する階数がある。通信制御装置30は通信品質の予測時おいて、例えば、3Fに位置するAP25がユーザ端末13と通信しているとする。通信制御装置30はAP25及びユーザ端末13間の通信品質が低下すると予測し(エレベータが1Fに向けて移動することが予測される場合など)、通信制御装置30は、AP25又はユーザ端末13が送信するデータの冗長度を高くする。これにより、エレベータが例えば1Fに到着して、AP25とユーザ端末13間の電波環境が悪くなっても、通信品質が低下することを防止できる。
【0079】
本実施形態では基地局25がエレベータに設けられていたが、基地局25が、飛行体(ドローン、飛行機等)、自動車等、他の移動体に設けられていてもよい。
【0080】
(第3実施形態)
前述した実施形態における各装置(通信装置10、通信装置20、通信制御装置30、又は受信装置40)の一部又は全部は、ハードウェアで構成されていてもよいし、CPU(Central Processing Unit)、又はGPU(Graphics Processing Unit)等が実行するソフトウェア(プログラム)の情報処理で構成されてもよい。ソフトウェアの情報処理で構成される場合には、前述した実施形態における各装置の少なくとも一部の機能を実現するソフトウェアを、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、又はUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の非一時的な記憶媒体(非一時的なコンピュータ可読媒体)に収納し、コンピュータに読み込ませることにより、ソフトウェアの情報処理を実行してもよい。また、通信ネットワークを介して当該ソフトウェアがダウンロードされてもよい。さらに、ソフトウェアがASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等の回路に実装されることにより、情報処理がハードウェアにより実行されてもよい。
【0081】
ソフトウェアを収納する記憶媒体の種類は限定されるものではない。記憶媒体は、磁気ディスク、又は光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク、又はメモリ等の固定型の記憶媒体であってもよい。また、記憶媒体は、コンピュータ内部に備えられてもよいし、コンピュータ外部に備えられてもよい。
【0082】
図12は、前述した実施形態における各装置(通信装置10、通信装置20、通信制御装置30、又は受信装置40)のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。各装置は、一例として、プロセッサ91と、主記憶装置92(メモリ)と、補助記憶装置93(メモリ)と、ネットワークインタフェース94と、デバイスインタフェース95と、を備え、これらがバス96を介して接続されたコンピュータ90として実現されてもよい。
【0083】
図12のコンピュータ90は、各構成要素を一つ備えているが、同じ構成要素を複数備えていてもよい。また、図12では、1台のコンピュータ90が示されているが、ソフトウェアが複数台のコンピュータにインストールされて、当該複数台のコンピュータそれぞれがソフトウェアの同一の又は異なる一部の処理を実行してもよい。この場合、コンピュータそれぞれがネットワークインタフェース94等を介して通信して処理を実行する分散コンピューティングの形態であってもよい。つまり、前述した実施形態における各装置(通信装置10、通信装置20、通信制御装置30、又は受信装置40)は、1又は複数の記憶装置に記憶された命令を1台又は複数台のコンピュータが実行することで機能を実現するシステムとして構成されてもよい。また、端末から送信された情報をクラウド上に設けられた1台又は複数台のコンピュータで処理し、この処理結果を端末に送信するような構成であってもよい。
【0084】
前述した実施形態における各装置(通信装置10、通信装置20、通信制御装置30、又は受信装置40)の各種演算は、1又は複数のプロセッサを用いて、又は、ネットワークを介した複数台のコンピュータを用いて、並列処理で実行されてもよい。また、各種演算が、プロセッサ内に複数ある演算コアに振り分けられて、並列処理で実行されてもよい。また、本開示の処理、手段等の一部又は全部は、ネットワークを介してコンピュータ90と通信可能なクラウド上に設けられたプロセッサ及び記憶装置の少なくとも一方により実行されてもよい。このように、前述した実施形態における各装置は、1台又は複数台のコンピュータによる並列コンピューティングの形態であってもよい。
【0085】
プロセッサ91は、コンピュータの制御装置及び演算装置を含む電子回路(処理回路、Processing circuit、Processing circuitry、CPU、GPU、FPGA、又はASIC等)であってもよい。また、プロセッサ91は、専用の処理回路を含む半導体装置等であってもよい。プロセッサ91は、電子論理素子を用いた電子回路に限定されるものではなく、光論理素子を用いた光回路により実現されてもよい。また、プロセッサ91は、量子コンピューティングに基づく演算機能を含むものであってもよい。
【0086】
プロセッサ91は、コンピュータ90の内部構成の各装置等から入力されたデータやソフトウェア(プログラム)に基づいて演算処理を行い、演算結果や制御信号を各装置等に出力することができる。プロセッサ91は、コンピュータ90のOS(Operating System)や、アプリケーション等を実行することにより、コンピュータ90を構成する各構成要素を制御してもよい。
【0087】
前述した実施形態における各装置(通信装置10、通信装置20、通信制御装置30、又は受信装置40)は、1又は複数のプロセッサ91により実現されてもよい。ここで、プロセッサ91は、1チップ上に配置された1又は複数の電子回路を指してもよいし、2つ以上のチップあるいは2つ以上のデバイス上に配置された1又は複数の電子回路を指してもよい。複数の電子回路を用いる場合、各電子回路は有線又は無線により通信してもよい。
【0088】
主記憶装置92は、プロセッサ91が実行する命令及び各種データ等を記憶する記憶装置であり、主記憶装置92に記憶された情報がプロセッサ91により読み出される。補助記憶装置93は、主記憶装置92以外の記憶装置である。なお、これらの記憶装置は、電子情報を格納可能な任意の電子部品を意味するものとし、半導体のメモリでもよい。半導体のメモリは、揮発性メモリ、不揮発性メモリのいずれでもよい。前述した実施形態における各装置(通信装置10、通信装置20、通信制御装置30、又は受信装置40)において各種データを保存するための記憶装置は、主記憶装置92又は補助記憶装置93により実現されてもよく、プロセッサ91に内蔵される内蔵メモリにより実現されてもよい。例えば、前述した実施形態における一時記憶部140、240は、主記憶装置92又は補助記憶装置93により実現されてもよい。
【0089】
記憶装置(メモリ)1つに対して、複数のプロセッサが接続(結合)されてもよいし、単数のプロセッサが接続されてもよい。プロセッサ1つに対して、複数の記憶装置(メモリ)が接続(結合)されてもよい。前述した実施形態における各装置(通信装置10、通信装置20、通信制御装置30、又は受信装置40)が、少なくとも1つの記憶装置(メモリ)とこの少なくとも1つの記憶装置(メモリ)に接続(結合)される複数のプロセッサで構成される場合、複数のプロセッサのうち少なくとも1つのプロセッサが、少なくとも1つの記憶装置(メモリ)に接続(結合)される構成を含んでもよい。また、複数台のコンピュータに含まれる記憶装置(メモリ))とプロセッサによって、この構成が実現されてもよい。さらに、記憶装置(メモリ)がプロセッサと一体になっている構成(例えば、L1キャッシュ、L2キャッシュを含むキャッシュメモリ)を含んでもよい。
【0090】
ネットワークインタフェース94は、無線又は有線により、通信ネットワーク97に接続するためのインタフェースである。ネットワークインタフェース94は、既存の通信規格に適合したもの等、適切なインタフェースを用いればよい。ネットワークインタフェース94により、通信ネットワーク97を介して接続された外部装置98Aと情報のやり取りが行われてもよい。なお、通信ネットワーク97は、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、PAN(Personal Area Network)等の何れか、又は、それらの組み合わせであってよく、コンピュータ90と外部装置98Aとの間で情報のやり取りが行われるものであればよい。WANの一例としてインターネット等があり、LANの一例としてIEEE802.11やイーサネット(登録商標)等があり、PANの一例としてBluetooth(登録商標)やNFC(Near Field Communication)等がある。
【0091】
デバイスインタフェース95は、外部装置98Bと直接接続するUSB等のインタフェースである。
【0092】
外部装置98Aはコンピュータ90とネットワークを介して接続されている装置である。外部装置98Bはコンピュータ90と直接接続されている装置である。
【0093】
外部装置98A又は外部装置98Bは、一例として、入力装置であってもよい。入力装置は、例えば、カメラ、マイクロフォン、モーションキャプチャ、各種センサ、キーボード、マウス、又はタッチパネル等のデバイスであり、取得した情報をコンピュータ90に与える。また、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、又はスマートフォン等の入力部とメモリとプロセッサを備えるデバイスであってもよい。
【0094】
また、外部装置98A又は外部装置98Bは、一例として、出力装置でもよい。出力装置は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)、PDP(Plasma Display Panel)、又は有機EL(Electro Luminescence)パネル等の表示装置であってもよいし、音声等を出力するスピーカ等であってもよい。また、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、又はスマートフォン等の出力部とメモリとプロセッサを備えるデバイスであってもよい。
【0095】
また、外部装置98Aまた外部装置98Bは、記憶装置(メモリ)であってもよい。例えば、外部装置98Aはネットワークストレージ等であってもよく、外部装置98BはHDD等のストレージであってもよい。
【0096】
また、外部装置98A又は外部装置98Bは、前述した実施形態における各装置(通信装置10、通信装置20、通信制御装置30、又は受信装置40)の構成要素の一部の機能を有する装置でもよい。つまり、コンピュータ90は、外部装置98A又は外部装置98Bの処理結果の一部又は全部を送信又は受信してもよい。
【0097】
本明細書(請求項を含む)において、「a、b及びcの少なくとも1つ(一方)」又は「a、b又はcの少なくとも1つ(一方)」の表現(同様な表現を含む)が用いられる場合は、a、b、c、a-b、a-c、b-c、又はa-b-cのいずれかを含む。また、a-a、a-b-b、a-a-b-b-c-c等のように、いずれかの要素について複数のインスタンスを含んでもよい。さらに、a-b-c-dのようにdを有する等、列挙された要素(a、b及びc)以外の他の要素を加えることも含む。
【0098】
本明細書(請求項を含む)において、「データを入力として/データに基づいて/に従って/に応じて」等の表現(同様な表現を含む)が用いられる場合は、特に断りがない場合、各種データそのものを入力として用いる場合や、各種データに何らかの処理を行ったもの(例えば、ノイズ加算したもの、正規化したもの、各種データの中間表現等)を入力として用いる場合を含む。また「データに基づいて/に従って/に応じて」何らかの結果が得られる旨が記載されている場合、当該データのみに基づいて当該結果が得られる場合を含むとともに、当該データ以外の他のデータ、要因、条件、及び/又は状態等にも影響を受けて当該結果が得られる場合をも含み得る。また、「データを出力する」旨が記載されている場合、特に断りがない場合、各種データそのものを出力として用いる場合や、各種データに何らかの処理を行ったもの(例えば、ノイズ加算したもの、正規化したもの、各種データの中間表現等)を出力とする場合も含む。
【0099】
本明細書(請求項を含む)において、「接続される(connected)」及び「結合される(coupled)」との用語が用いられる場合は、直接的な接続/結合、間接的な接続/結合、電気的(electrically)な接続/結合、通信的(communicatively)な接続/結合、機能的(operatively)な接続/結合、物理的(physically)な接続/結合等のいずれをも含む非限定的な用語として意図される。当該用語は、当該用語が用いられた文脈に応じて適宜解釈されるべきであるが、意図的に或いは当然に排除されるのではない接続/結合形態は、当該用語に含まれるものして非限定的に解釈されるべきである。
【0100】
本明細書(請求項を含む)において、「AがBするよう構成される(A configured to B)」との表現が用いられる場合は、要素Aの物理的構造が、動作Bを実行可能な構成を有するとともに、要素Aの恒常的(permanent)又は一時的(temporary)な設定(setting/configuration)が、動作Bを実際に実行するように設定(configured/set)されていることを含んでよい。例えば、要素Aが汎用プロセッサである場合、当該プロセッサが動作Bを実行可能なハードウェア構成を有するとともに、恒常的(permanent)又は一時的(temporary)なプログラム(命令)の設定により、動作Bを実際に実行するように設定(configured)されていればよい。また、要素Aが専用プロセッサ又は専用演算回路等である場合、制御用命令及びデータが実際に付属しているか否かとは無関係に、当該プロセッサの回路的構造が動作Bを実際に実行するように構築(implemented)されていればよい。
【0101】
本明細書(請求項を含む)において、含有又は所有を意味する用語(例えば、「含む(comprising/including)」及び有する「(having)等)」が用いられる場合は、当該用語の目的語により示される対象物以外の物を含有又は所有する場合を含む、open-endedな用語として意図される。これらの含有又は所有を意味する用語の目的語が数量を指定しない又は単数を示唆する表現(a又はanを冠詞とする表現)である場合は、当該表現は特定の数に限定されないものとして解釈されるべきである。
【0102】
本明細書(請求項を含む)において、ある箇所において「1つ又は複数(one or more)」又は「少なくとも1つ(at least one)」等の表現が用いられ、他の箇所において数量を指定しない又は単数を示唆する表現(a又はanを冠詞とする表現)が用いられているとしても、後者の表現が「1つ」を意味することを意図しない。一般に、数量を指定しない又は単数を示唆する表現(a又はanを冠詞とする表現)は、必ずしも特定の数に限定されないものとして解釈されるべきである。
【0103】
本明細書において、ある実施例の有する特定の構成について特定の効果(advantage/result)が得られる旨が記載されている場合、別段の理由がない限り、当該構成を有する他の1つ又は複数の実施例についても当該効果が得られると理解されるべきである。但し当該効果の有無は、一般に種々の要因、条件、及び/又は状態等に依存し、当該構成により必ず当該効果が得られるものではないと理解されるべきである。当該効果は、種々の要因、条件、及び/又は状態等が満たされたときに実施例に記載の当該構成により得られるものに過ぎず、当該構成又は類似の構成を規定したクレームに係る発明において、当該効果が必ずしも得られるものではない。
【0104】
本明細書(請求項を含む)において、「最大化(maximize)」等の用語が用いられる場合は、グローバルな最大値を求めること、グローバルな最大値の近似値を求めること、ローカルな最大値を求めること、及びローカルな最大値の近似値を求めることを含み、当該用語が用いられた文脈に応じて適宜解釈されるべきである。また、これら最大値の近似値を確率的又はヒューリスティックに求めることを含む。同様に、「最小化(minimize)」等の用語が用いられる場合は、グローバルな最小値を求めること、グローバルな最小値の近似値を求めること、ローカルな最小値を求めること、及びローカルな最小値の近似値を求めることを含み、当該用語が用いられた文脈に応じて適宜解釈されるべきである。また、これら最小値の近似値を確率的又はヒューリスティックに求めることを含む。同様に、「最適化(optimize)」等の用語が用いられる場合は、グローバルな最適値を求めること、グローバルな最適値の近似値を求めること、ローカルな最適値を求めること、及びローカルな最適値の近似値を求めることを含み、当該用語が用いられた文脈に応じて適宜解釈されるべきである。また、これら最適値の近似値を確率的又はヒューリスティックに求めることを含む。
【0105】
本明細書(請求項を含む)において、複数のハードウェアが所定の処理を行う場合、各ハードウェアが協働して所定の処理を行ってもよいし、一部のハードウェアが所定の処理の全てを行ってもよい。また、一部のハードウェアが所定の処理の一部を行い、別のハードウェアが所定の処理の残りを行ってもよい。本明細書(請求項を含む)において、「1又は複数のハードウェアが第1の処理を行い、前記1又は複数のハードウェアが第2の処理を行う」等の表現が用いられている場合、第1の処理を行うハードウェアと第2の処理を行うハードウェアは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。つまり、第1の処理を行うハードウェア及び第2の処理を行うハードウェアが、前記1又は複数のハードウェアに含まれていればよい。なお、ハードウェアは、電子回路、又は電子回路を含む装置等を含んでよい。
【0106】
本明細書(請求項を含む)において、複数の記憶装置(メモリ)がデータの記憶を行う場合、複数の記憶装置(メモリ)のうち個々の記憶装置(メモリ)は、データの一部のみを記憶してもよいし、データの全体を記憶してもよい。
【0107】
以上、本開示の実施形態について詳述したが、本開示は上記した個々の実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲において種々の追加、変更、置き換え及び部分的削除等が可能である。例えば、前述した全ての実施形態において、数値又は数式を説明に用いている場合は、一例として示したものであり、これらに限られるものではない。また、実施形態における各動作の順序は、一例として示したものであり、これらに限られるものではない。
【符号の説明】
【0108】
10 通信装置、11 アンテナ、12 センサ装置、13 ユーザ端末、15 通信装置、16 ユーザ端末、20 通信装置(基地局)、21 アンテナ、25 基地局、26 アクセスポイント(AP)、30 通信制御装置、31 アンテナ、40 受信装置、40 サーバ(受信装置)、50 通信ネットワーク、90 コンピュータ、91 プロセッサ、92 主記憶装置、93 補助記憶装置、94 ネットワークインタフェース、95 デバイスインタフェース、96 バス、97 通信ネットワーク、98A 外部装置、98B 外部装置、101 送信バッファ部、102 冗長化部、103 通信部、104 環境情報取得部、105 通信部、140 一時記憶部、201 通信部、202 中継判断部、203 通信部、205 再構成部、206 受信バッファ部、207 データ処理部、208 通信品質測定部、209 通信部、301 情報取得部、302 予測部、303 冗長化制御部、304 通信部、305 通信部、306 モデル記憶部
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