(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162951
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】シート積載装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20241114BHJP
B65H 1/00 20060101ALI20241114BHJP
B41J 13/00 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
B41J2/01 305
B65H1/00 Z
B41J13/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023132890
(22)【出願日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】P 2023078120
(32)【優先日】2023-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 亜希
(72)【発明者】
【氏名】山口 拓也
(72)【発明者】
【氏名】福造 博
【テーマコード(参考)】
2C056
2C059
3F343
【Fターム(参考)】
2C056EA07
2C056FA13
2C056HA28
2C056HA29
2C056HA42
2C056HA46
2C059AA09
2C059AA26
3F343FA02
3F343FB04
3F343FC19
3F343GA01
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343HA01
3F343HA17
3F343HA32
3F343KB08
3F343KB17
(57)【要約】
【課題】給送モジュール内になるシートの吸湿を緩和する。
【解決手段】給送モジュール1000は、収納庫1100aと、収納庫に収納されたシートを搬送方向CDに搬送する給送部1102aと、閉じ位置と引き出し位置とに前後方向FRに収納庫を移動可能に保持する本体フレーム1200と、を備える。収納庫は、第一のユニットU1と第二のユニットU2を備える。第一のユニットは、収納庫フレーム1110と、収納庫フレームに収納されたシートの両端部を規制する一対のサイドガイド部1121及び1122と、を含む。第二のユニットは、本体フレームの収納庫位置決めコロ1205に係合するラッチ爪1158と、本体フレームの密閉面1207に対向して配置される内側面1152aと、を含む。第一のユニットと前記第二のユニットの相対位置は、変更可能である。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを収納する収納庫と、
前記収納庫に収納された前記シートを搬送方向に搬送する搬送手段と、
前記収納庫が後側に向かって押し込まれた閉じ位置と前記収納庫が前側に引き出された引き出し位置とに、前記搬送方向に直交する前後方向に前記収納庫を移動可能に保持する本体フレームと、
を備えるシート積載装置であって、
前記収納庫は、
前記収納庫に収納された前記シートの前記前後方向における両端部を規制する一対の側端部規制部材を含む第一のユニットと、
前記本体フレームに設けられた第一の位置決め部材に係合して前記前後方向に前記本体フレームに対して前記収納庫を位置決めする第二の位置決め部材と、前記本体フレームに設けられた第一の密閉面に対向して配置される第二の密閉面と、を含む第二のユニットと、
を備え、
前記シート積載装置は、更に、前記第一の密閉面と前記第二の密閉面の間に配置されるシール部材を備え、
前記第一のユニットと前記第二のユニットの相対位置は、変更可能であることを特徴とするシート積載装置。
【請求項2】
前記第一のユニットは、前記シートを収納する収納庫フレームを有し、
前記第二のユニットは、前記収納庫フレームに対する前記前後方向における位置を調整可能に前記収納庫フレームに取り付けられる支持部材を備えることを特徴とする請求項1に記載のシート積載装置。
【請求項3】
前記第二のユニットは、前記支持部材に取り付けられる前側板を含み、
前記収納庫フレームに対する前記前後方向における前記支持部材の前記位置を調整することにより、前記第一のユニットと前記第二のユニットの前記相対位置が変更可能であることを特徴とする請求項2に記載のシート積載装置。
【請求項4】
前記第二の位置決め部材は、前記支持部材及び前記前側板と一体的に前記前後方向に移動可能に構成されていることを特徴とする請求項3に記載のシート積載装置。
【請求項5】
前記シール部材は、前記第一の密閉面と前記第二の密閉面の一方に取り付けられ、
前記収納庫が前記閉じ位置にあるときに、前記シール部材は、前記第一の密閉面と前記第二の密閉面の他方に接触することを特徴とする請求項1に記載のシート積載装置。
【請求項6】
前記シール部材は、弾性を有することを特徴とする請求項1に記載のシート積載装置。
【請求項7】
前記第二の位置決め部材及び前記支持部材は、前記前側から見たときに前記シール部材によって囲まれた領域内で前記収納庫に設けられており、
前記第一の位置決め部材は、前記前側から見たときに前記シール部材によって囲まれた前記領域内で前記本体フレームに設けられていることを特徴とする請求項2に記載のシート積載装置。
【請求項8】
前記第一の位置決め部材と前記第二の位置決め部材の一方は、略円筒形状を有し、
前記第一の位置決め部材と前記第二の位置決め部材の他方は、前記略円筒形状に係合可能な引掛け形状を有することを特徴とする請求項1に記載のシート積載装置。
【請求項9】
前記第一のユニットは、
前記シートが積載されるシート積載面と、
前記シート積載面に積載された前記シートの前記搬送方向における後端部を規制する後端規制部材と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のシート積載装置。
【請求項10】
前記第一のユニットは、
前記一対の側端部規制部材の一方が前記前後方向の一方向に移動されると、前記一対の側端部規制部材の他方が前記一方向と反対の他方向に同じ距離だけ移動されるように、前記一対の側端部規制部材を連動させる連動手段を備える、ことを特徴とする請求項1に記載のシート積載装置。
【請求項11】
前記前側板の前記前側に固定された外装カバーを備えることを特徴とする請求項3に記載のシート積載装置。
【請求項12】
前記シール部材は、前記第一の密閉面と前記第二の密閉面の一方の密閉面に設けられ、磁力によって前記第一の密閉面と前記第二の密閉面の他方の密閉面に吸着されることを特徴とする請求項1に記載のシート積載装置。
【請求項13】
シートを収納する収納庫と、
前記収納庫を移動可能に保持する本体フレームと、
を備えるシート積載装置であって、
前記収納庫に設けられ、前記本体フレームに設けられた第一の密閉面に対向して配置される第二の密閉面と、
前記第一の密閉面と前記第二の密閉面の一方の密閉面に設けられ、他方の密閉面に磁力によって吸着されるシール部材と、を有する
ことを特徴とするシート積載装置。
【請求項14】
前記シール部材の内部に封入された磁石を有し、
前記他方の密閉面は、磁性体であることを特徴とする請求項13に記載のシート積載装置。
【請求項15】
前記シール部材は、前記収納庫が移動する方向に伸縮できる伸縮部を含み、
前記磁石は、前記伸縮部よりも前記他方の密閉面の側において前記シール部材に封入されることを特徴とする請求項14に記載のシート積載装置。
【請求項16】
前記シール部材は、磁力を有し、
前記他方の密閉面は、磁性体であることを特徴とする請求項13に記載のシート積載装置。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれか一項に記載のシート積載装置と、
前記シート積載装置に積載された前記シートに画像を形成する画像形成部と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを収納し、収納したシートを搬送するシート積載装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シート積載装置により搬送されるシートに画像を形成する画像形成装置において、シート積載装置により搬送されるシートが画像形成装置により形成される画像に対してシートの搬送方向に直交する幅方向に大きくずれることがある。画像が形成される基準位置に対するシートの幅方向の位置(以下、横レジ位置という)のずれは、シート積載装置の部品公差や設置時のずれに起因し、4~8mmになることもある。そこで、シートの横レジ位置のずれを補正するレジスト機構を備えたシート積載装置や形成される画像の横レジ位置のずれを補正する機構を備えた画像形成装置が提案されている。しかし、横レジ位置のずれが大きいと、シートの所望の位置に画像を形成できないことがある。
【0003】
そこで、特許文献1は、シート積載装置の本体フレームに対してシート収納庫の位置を幅方向である前後方向に調整可能であるシート積載装置を開示している。本体フレームに対するシート収納庫の位置を前後方向に調整することによって、画像とシートの横レジ位置のずれを補正することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像形成装置が高湿環境に設置された場合、シート積載装置内にある画像形成前のシートは、設置環境の水分を吸収し、波打ちが発生する。このような波打ちの発生によるシートの変形は、シートに形成される画像を劣化させることがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態によるシート積載装置は、
シートを収納する収納庫と、
前記収納庫に収納された前記シートを搬送方向に搬送する搬送手段と、
前記収納庫が後側に向かって押し込まれた閉じ位置と前記収納庫が前側に引き出された引き出し位置とに、前記搬送方向に直交する前後方向に前記収納庫を移動可能に保持する本体フレームと、
を備えるシート積載装置であって、
前記収納庫は、
前記収納庫に収納されたシートの前記前後方向における両端部を規制する一対の側端部規制部材を含む第一のユニットと、
前記本体フレームに設けられた第一の位置決め部材に係合して前記前後方向に前記本体フレームに対して前記収納庫を位置決めする第二の位置決め部材と、前記本体フレームに設けられた第一の密閉面に対向して配置される第二の密閉面と、を含む第二のユニットと、
を備え、
前記シート積載装置は、更に、前記第一の密閉面と前記第二の密閉面の間に配置されるシール部材を備え、
前記第一のユニットと前記第二のユニットの相対位置は、変更可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、シート積載装置内にあるシートの吸湿を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】収納庫が引き出された状態における給送モジュールの斜視図。
【
図7】密閉シールが吸着し接触する本体フレームのフレーム密閉面周りの斜視図。
【
図8】収納庫を本体フレームに格納する前後の密閉シールの上部の断面図。
【
図11】収納庫の右側から見た横レジ調整板を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態を用いて、本発明を説明する。なお、本発明の範囲は、以下に述べる実施形態に限定されるものではなく、また、本実施形態で説明される全ての構成が本発明の必須構成要件であると解釈されるべきではない。
【0010】
(インクジェット記録装置)
以下、添付図面を参照して、本実施形態による画像形成装置の一例としてインクジェット記録装置10について説明する。
図1は、インクジェット記録装置10の断面図である。インクジェット記録装置10は、枚葉式であり、反応液とインクとの2液を用いてシートにインク像(画像)を形成する。インクジェット記録装置10は、給送モジュール(シート積載装置)1000、プリントモジュール2000、乾燥モジュール3000、定着モジュール4000、冷却モジュール5000、反転モジュール6000及び排出積載モジュール7000を備える。給送モジュール1000から給送されるシートは、搬送経路に沿って搬送され、各モジュールで処理がなされ、排出積載モジュール7000へ排出される。
【0011】
(給送モジュール)
給送モジュール1000は、それぞれ複数枚のシートを収納する3つの収納庫(シート収納庫)1100a、1100b及び1100cを備える。収納庫1100a、1100b及び1100cは、給送モジュール1000の前側へ引き出し可能に構成されている。収納庫1100a、1100b及び1100cに収納されたシートは、搬送手段としての給送部1102a、1102b及び1102cにより一枚ずつプリントモジュール2000へ搬送方向CDに搬送される。給送部1102a、1102b及び1102cのそれぞれは、分離ユニットとしての分離ベルト及び搬送ローラを含む。収納庫1100a、1100b及び1100cに積載されたシートは、分離ベルト及び搬送ローラにより1枚ずつ給送され、プリントモジュール2000へ搬送される。なお、収納庫1100a、1100b及び1100cの数は、3つに限定されるものではなく、1つ、2つ又は4つ以上であってもよい。
【0012】
(プリントモジュール)
プリントモジュール2000は、作像前レジ補正部2100、プリントベルトユニット2200及び記録部(画像形成部)2300を備える。給送モジュール1000から搬送されたシートは、作像前レジ補正部2100によりシートの傾きや位置が補正され、プリントベルトユニット2200へ搬送される。搬送経路に関してプリントベルトユニット2200に対向する位置に記録部2300が配置される。記録部2300は、搬送されるシートに対して上方から記録ヘッドによりシート上に記録処理(印字)を行なってインク像(画像)を形成するシート処理部である。シートは、プリントベルトユニット2200により吸着搬送されることにより、記録ヘッドとのクリアランス(プリントギャップ)が確保される。
【0013】
記録ヘッドは、搬送方向CDに沿って複数並べられている。本実施形態において、記録部2300は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)及びBk(ブラック)の4色に加えて反応液に対応した計5つのライン型記録ヘッドを有する。なお、色数及び記録ヘッドの数は、5つに限定されるものではなく、1つ、2つ、3つ、4つ又は6つ以上であってもよい。インクジェット方式は、発熱素子を用いた方式、ピエゾ素子を用いた方式、静電素子を用いた方式、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子を用いた方式等の様々な方式を採用することができる。各色のインクは、インクタンク(不図示)からそれぞれインクチューブを介して記録ヘッドへ供給される。記録部2300によってインク像が形成されたシートは、プリントベルトユニット2200により記録部2300の下流側に配置されたインラインスキャナ(不図示)へ搬送される。インラインスキャナ(不図示)は、記録部2300によってシートに形成されたインク像のズレや色濃度を検出し、検出結果は、その後に形成されるインク像を補正するために用いられる。
【0014】
(乾燥モジュール)
乾燥モジュール3000は、デカップリング部3200、乾燥ベルトユニット3300及び温風吹付部3400を備える。乾燥モジュール3000は、記録部2300でシート上に付与されたインクに含まれる液体分を減少させ、シートとインクとの定着性を高めるユニットである。プリントモジュール2000の記録部2300によりインク像が形成されたシートは、乾燥モジュール3000内に配置されたデカップリング部3200へ搬送される。デカップリング部3200は、上方から風圧を与えてベルト上にシートを弱く保持し、ベルトの摩擦力によりシートを搬送する。これによって、プリントベルトユニット2200上でインク像が形成されているシートがずれることを防ぐ。デカップリング部3200から搬送されたシートは、乾燥ベルトユニット3300により吸着搬送されながら、乾燥ベルトユニット3300の上方に配置された温風吹付部3400から熱風を吹き付けられてシートのインク付与面が乾燥される。なお、乾燥方式は、熱風を付与する方式の他に、電磁波(紫外線や赤外線など)をシートの表面に照射する方式、発熱体の接触による伝導伝熱方式又はこれらの方式を組み合わせた方式であってもよい。
【0015】
(定着モジュール)
定着モジュール4000は、定着ベルトユニット4100及び第一の反転部4200を備える。定着ベルトユニット4100は、乾燥モジュール3000から搬送されたシートを、加熱した上ベルトユニットと下ベルトユニットの間を通過させることで、インクをシートに定着させることができる。定着モジュール4000の両面搬送部には、シートの表裏を反転させる第一の反転部4200が設けられている。
【0016】
(冷却モジュール)
冷却モジュール5000は、定着モジュール4000から搬送された高温のシートを冷却する複数の冷却部5100を備える。冷却部5100は、外気をファンで冷却ボックス内に取り込んで、冷却ボックス内の圧力を高め、搬送ガイドに形成されたノズルから噴き出す風をシートに当てることにより、シートを冷却する。冷却部5100は、搬送経路に対して両側に配置され、シートを両面から冷却する。
【0017】
また、冷却モジュール5000は、搬送経路切換え部5200を備える。搬送経路切換え部5200は、シートを反転モジュール6000へ搬送する場合と両面印刷時に使用する両面搬送経路1400へ搬送する場合とに従って、シートの搬送経路を切り換える。両面印刷時、シートは、搬送経路切換え部5200により冷却モジュール5000の下方の搬送経路5300へ搬送される。シートは、搬送経路5300から、定着モジュール4000内の搬送経路4300、乾燥モジュール3000内の搬送経路3500、プリントモジュール2000内の搬送経路2400を介して給送モジュール1000内の両面搬送経路1400へ搬送される。シートは、両面搬送経路1400から、再度、プリントモジュール2000の作像前レジ補正部2100、プリントベルトユニット2200及び記録部2300へ搬送され、記録部2300によりインク像が形成される。
【0018】
(反転モジュール)
反転モジュール6000は、第二の反転部6400を有する。第二の反転部6400は、搬送されるシートの表裏を反転させる。これによって、反転モジュール6000は、排出されるシートの表裏向きを変更することができる。
【0019】
(排出積載モジュール)
排出積載モジュール7000は、トップトレイ7200と積載部7500を備える。排出積載モジュール7000は、反転モジュール6000から搬送されたシートをトップトレイ7200又は積載部7500に積載して整列する。
【0020】
(給送モジュールの構成)
次に、給送モジュール1000の構成について説明する。
図2は、収納庫1100aが引き出された状態における給送モジュール1000の斜視図である。本実施形態において収納庫1100a、1100b及び1100cは同じ構造を有するので、以下、収納庫1100aについて説明する。しかし、収納庫1100a、1100b及び1100cは、必ずしも同じ構造を有する必要はない。例えば、収納庫1100a、1100b及び1100cは、シートの最大積載枚数が異なるようにそれぞれの高さが異なるように構成されてもよい。
【0021】
収納庫1100aは、給送モジュール1000の本体フレーム(給送フレーム)1200に対して引き出し可能に装着される。収納庫1100aは、本体フレーム1200に設けられた左側板1202と右側板1203にスライドレール1201を介して保持される。収納庫1100aは、本体フレーム1200の後側に向かって押し込まれた閉じ位置(装着位置)と、本体フレーム1200の前側に引き出された引き出し位置との間を前後方向FRに移動可能に本体フレーム1200によって保持される。収納庫1100aが引き出し位置にある状態において、収納庫1100aにシートを追加及び交換することができる。
【0022】
収納庫1100aには、2つの引き出し位置がある。1つ目は、ユーザーがシートを補給したり交換したりするための第一の引き出し位置である。2つ目は、サービスマンが部品を交換したりメンテナンスを行ったりするための第二の引き出し位置である。
【0023】
(収納庫)
次に、収納庫1100aの構成について説明する。
図3は、収納庫1100aの斜視図である。収納庫1100aには、その壁面を構成する収納庫フレーム1110が設けられている。収納庫フレーム1110の右側部1110a及び左側部1110bには、それぞれ二つのレール用穴部1113が設けられている。レール用穴部1113をスライドレール1201のリベット1220(後述する
図10(a))に引掛けることによって、収納庫1100aは、スライドレール1201によって保持される。収納庫フレーム1110の右側部1110a及び左側部1110bには、横レジ調整板(支持部材)1151a及び1151bがそれぞれ設けられている。横レジ調整板1151a及び1151bは、収納庫フレーム1110に対する前後方向FRの位置が調整可能に収納庫フレーム1110の右側部1110a及び左側部1110bに取り付け可能である。
【0024】
プリントモジュール2000の記録部2300は、プリントヘッドを有する。プリントヘッドとシートの間のクリアランスであるプリントギャップは、画像品位に大きく影響する。シートの変形などによりプリントギャップがなくなってしまう状態は、ヘッドタッチといわれている。ヘッドタッチは、成果物の品位を低下させるのみならず、プリントヘッドの破損にも繋がることがある。インクジェット記録装置10が高湿環境に設置された場合、収納庫1100a内の画像形成前のシートは、設置環境の水分を吸収し、波打ちが発生する。このような波打ちの発生によるシートの変形は、プリントギャップの減少に繋がる。そこで、インクジェット記録装置10が高湿環境に設置された場合にも、高湿環境の空気が収納庫1100a内へ流入しないようにある程度密閉して収納庫1100a内のシートが設置環境の水分を吸収することを低減する必要がある。以下、収納庫1100aを密閉するための密閉板(前側板)1152について説明する。
【0025】
収納庫1100aには、密閉板(前側板)1152が設けられている。密閉板1152の前側には、外装カバー1153が固定されている。密閉板1152の後側には、密閉シール1154が固定される。給送モジュール1000には、本体フレーム1200に対する収納庫1100aの前後方向FRの位置決めを行うためのラッチユニット(1158、1205(
図7))が設けられている。ラッチユニット(1158、1205(
図7))は、引掛け形状を有するラッチ爪(前側板側位置決め部)1158と、収納庫位置決めコロ(給送フレーム側位置決め部)1205(
図7)と、を含む。密閉板1152には、ラッチ爪1158が取り付けられている。つまり、密閉板1152には、外装カバー1153と密閉シール1154とラッチ爪1158が一体的に取り付けられている。密閉板1152、密閉シール1154及びラッチ爪1158は、一体として密閉板ユニット1156(後述する
図4)を構成する。
【0026】
密閉板ユニット1156は、横レジ調整板1151a及び1151bに一体的に取り付けられる。例えば、密閉板1152は、横レジ調整板1151a及び1151bに設けられた第一の係合部に係合可能な第二の係合部を備え、第二の係合部を第一の係合部に係合して横レジ調整板1151a及び1151bに一体的に取り付けられてもよい。密閉板1152は、横レジ調整板1151a及び1151bにネジによって一体的に取り付けられてもよい。密閉板1152は、横レジ調整板1151a及び1151bと一体に保持される。これによって、ラッチ爪1158は、横レジ調整板1151a及び1151b並びに密閉板1152と一体的に保持される。
【0027】
(密閉板ユニット)
次に、密閉板ユニット1156の構成について説明する。
図4は、密閉板ユニット1156の斜視図である。ラッチ爪1158は、ラッチ台1159を介してラッチ軸1160に固定される。ラッチ軸1160は、ラッチ軸支持台1161によって回転可能に保持される。ラッチ軸支持台1161は、密閉板1152に固定されている。ラッチ軸1160には、リンクアーム1162が固定されている。密閉板1152には、ソレノイド1163がソレノイド支板1164を介して固定されている。ソレノイド支板1164とリンクアーム1162の間には、ソレノイドばね1165が配置されている。ソレノイドばね1165は、給送モジュール1000を右側から見て時計回り方向にラッチ軸1160を付勢する。
【0028】
密閉板1152の後側面である内側面(シート収納庫側密閉面)1152aには、直接に又は他の部材を介して、弾性を有する密閉シール(シール部材)1154が設けられている。
図5は、密閉シール1154の斜視図と断面図である。
図5(a)は、密閉シール1154の斜視図である。
図5(b)は、
図5(a)の線VB-VBに沿って取った密閉シール1154の断面図である。密閉シール1154は、パッキン1167と、パッキン1167の内部に封入された磁石1168とにより構成されている。パッキン1167は、ゴムなどの弾性材料から作られていてもよい。本実施形態において、パッキン1167の材質は、PVC(ポリ塩化ビニル)である。パッキン1167は、PVCで伸縮可能に作られている。パッキン1167の色は、灰色である。磁石1168は、柔軟性を有するゴム磁石である。パッキン1167の内部に設けられた空間である磁石封入部1170に磁石1168が封入される。
【0029】
パッキン1167には、パッキン被保持部1169が2か所設けられている。パッキン被保持部1169の2か所が挟みこまれることで、パッキン1167は、密閉板1152上に保持される。パッキン1167には、吸着面1171が設けられている。パッキン1167には、パッキン伸縮部1172が設けられている。パッキン伸縮部1172は、収納庫1100aが移動する方向(前後方向FR)に伸縮可能な伸縮部であるとよい。パッキン伸縮部1172の形状が変化することでパッキン被保持部1169と吸着面1171の距離は、パッキン伸縮部1172の形状が変形できる範囲内で可変となる。吸着面1171が強磁性体の部材に接触すると、パッキン1167の内部にある磁石1168の磁力によって吸引力が働き、強磁性体の部材は、パッキン1167の吸着面1171に吸着される。また、パッキン1167は、
図5(b)の断面図に示されている形状で押出成形されている。
【0030】
4本(上部、下部、右部、左部)のパッキン1167は、その中に磁石1168を封入した状態でパッキン結合部1173において溶着されて1本に繋がった密閉シール1154を形成する。パッキン結合部1173において、パッキン1167の端部は、45度の角度で傾斜している。二つのパッキン1167の45度の角度で傾斜したそれぞれの端部は、パッキン結合部1173で溶着される。磁石1168の端部は、パッキン結合部1173におけるパッキン1167の45度の角度で傾斜した端部に合わせて45度の角度で傾斜している。しかし、パッキン結合部1173の角度は、45度以外の角度であってもよい。
【0031】
次に、密閉シール1154の固定方法について説明する。
図6は、密閉シール1154の上部の固定方法を示す断面図である。なお、密閉シール1154の下部、右部及び左部の固定方法は、密閉シール1154の上部の固定方法と同様であるので説明を省略する。パッキン保持板(外)1174は、密閉板1152に対して溶接部1177で溶接され固定されている。密閉シール1154のパッキン被保持部1169の一方(外側)は、パッキン保持板(外)1174と密閉板1152の内側面1152aとの間に挟みこまれる。パッキン被保持部1169の他方(内側)は、密閉板1152の内側面1152aとパッキン保持板(内)1175との間に挟みこまれる。この状態で、パッキン保持板(内)1175は、密閉板1152に対してビス1176によって固定される。同様にして、密閉シール1154の下部、右部及び左部も密閉板1152に対して固定される。このようにして、密閉シール1154は、密閉板1152に対して固定される。なお、密閉シール1154の上部と下部においては、パッキン保持板(外)1174を密閉板1152に対して溶接して固定することにより、固定用ビスを用いた場合に生じる高さ方向のビスの出張りを無くすことができる。この結果、収納庫1100aの高さを低くすることができる。
【0032】
次に、密閉シール1154が磁力で吸着し接触する本体フレーム1200の構成を説明する。
図7は、密閉シール1154が吸着し接触する本体フレーム1200のフレーム密閉面1207周りの斜視図である。本体フレーム1200において収納庫1100aが入る空間の外縁4箇所(上、下、右及び左)には、それぞれフレーム密閉面1207が設けられている。フレーム密閉面1207は、磁性体であるとよく、例えば、鋼板などの強磁性体で作られているとよい。フレーム密閉面1207は、本体フレーム1200に対してビス(不図示)により固定されている。本体フレーム1200が強磁性体である場合には、フレーム密閉面1207は、本体フレーム1200の一部であってもよい。4箇所のフレーム密閉面1207は、前後方向FRにおいて同一平面上に配置されている。これは、4箇所のフレーム密閉面1207が密閉シール1154の吸着面1171に一つの平面内で吸着し接触することで隙間が空きにくくするためである。
【0033】
次に、収納庫1100aを本体フレーム1200に収納したときの密閉シール1154による密閉状態を説明する。
図8(a)は、収納庫1100aを本体フレーム1200に格納する前の密閉シール1154の上部の断面図である。
図8(b)は、収納庫1100aを本体フレーム1200に格納した後の密閉シール1154の上部の断面図である。ユーザーが収納庫1100aを本体フレーム1200に収納すると磁石1168の磁力によって、磁石1168とフレーム密閉面1207の間に吸引力が働く。この吸引力によって磁石1168とフレーム密閉面1207が吸着面1171を挟み込むようにして、フレーム密閉面1207と吸着面1171が接触する。密閉シール1154の下部、右部及び左部も同様にフレーム密閉面1207に接触する。この結果、収納庫1100aの内部と外部の間の空気や水分の移動は、密閉シール1154によって遮断され、収納庫1100aの内部が密閉される。この結果、高湿環境においての収納庫1100aの内部への水分移動を抑制でき、収納庫1100aの内部に収納されたシートの束の吸水量を減らし、シートの波打ちを抑制することができる。
【0034】
また、収納庫1100aを本体フレーム1200に格納したときの前後方向FRの密閉板1152の位置とフレーム密閉面1207の位置が部品公差や横レジ調整によって多少ずれる場合がある。その場合にも、パッキン伸縮部1172の形状が変形できる範囲内で、密閉板1152とフレーム密閉面1207の間の距離のずれ量を吸収することができる。ずれ量を吸収する際には、パッキン伸縮部1172の形状が変形するが、パッキン伸縮部1172は、PVC(又はゴム)などの非常に柔らかい材料から作られているため反力はほとんど発生しない。このため、密閉シール1154は、密閉板1152などの接触部品にほとんど反力を与えない。この結果、密閉板1152の変形によって隙間が発生するリスクを無くすことができる。
【0035】
また、本実施形態による密閉シール1154の構成において、パッキン1167の内部の磁石封入部1170には、磁石1168が封入されている。しかし、パッキン1167そのものが磁力を有していてもよい。また、パッキン1167を密閉板1152に固定する方法は、2か所のパッキン被保持部1169が板金(密閉板1152、パッキン保持板(外)1174、パッキン保持板(内)1175)の間に挟み込まれる方法に限らない。パッキン1167を密閉板1152に両面テープで固定するなど、別の方法であってもよい。密閉シール1154を密閉板1152の内側面(第二の密閉面)1152aに固定する固定部材は、両面テープに限らず、接着剤などの他の固定部材であってもよい。上記の通り、密閉シール1154に磁力を利用した構成を説明してきた。しかし、密閉シール1154は、磁力を有していない構成であってもよい。例えば、密閉シール1154は、ゴムや発泡スポンジなどの弾性部材であってもよい。
【0036】
収納庫1100aが本体フレーム1200に押し込まれた閉じ位置で、密閉シール1154は、本体フレーム1200に設けられたフレーム密閉面(給送フレーム側密閉面)1207に接触する。密閉板1152の内側面(第二の密閉面)1152aは、本体フレーム1200の前側面であるフレーム密閉面(第一の密閉面)1207に対向して配置される。密閉シール1154は、本体フレーム1200の前側面であるフレーム密閉面(第一の密閉面)1207と密閉板1152の内側面1152aとの間で所定量だけ潰された状態で収納庫1100aと外気の間を密閉する。
【0037】
ラッチ爪(第二の位置決め部材)1158と密閉板1152の内側面(第二の密閉面)1152aは、第二のユニットU2を構成する(
図4、
図11)。横レジ調整板1151a及び1151b並びにラッチ爪1158は、前側から見たときに密閉シール1154によって囲まれた領域内で収納庫1100aに設けられているとよい。収納庫位置決めコロ1205(後述する
図10(a))は、前側から見たときに密閉シール1154によって囲まれた領域内で本体フレーム1200に設けられているとよい。
【0038】
本実施形態において、密閉シール1154は、密閉板1152の内側面1152aに固定されている。しかし、密閉シール1154は、本体フレーム1200のフレーム密閉面1207に固定されていてもよい。ただし、一般的に、密閉シール1154は、高さ方向に一定の大きさが必要である。高さ方向における密閉シール1154の大きさは、密閉シール1154が吸着接触するフレーム密閉面1207の高さ方向における大きさよりも大きくなることが多い。本実施形態では、密閉シール1154は、密閉板1152に固定されている。このため、収納庫1100aを引き出すときに密閉シール1154が本体フレーム1200に固定された部品に干渉することがない。一方、フレーム密閉面1207は、高さ方向において密閉シール1154よりも小さいことが多い。そのため、フレーム密閉面1207に密閉シール1154が固定された場合、密閉シール1154が収納庫1100aの内部部品に干渉する可能性がある。このため、逆の関係にした場合(密閉シール1154を本体フレーム1200のフレーム密閉面1207に固定した場合)と比較すると、本実施形態は、収納庫1100aの内部部品の干渉に対してクリアランスマージンが取りやすい構成となっている。
【0039】
密閉シール1154は、内側面1152aとフレーム密閉面1207の一方の密閉面に取り付けられ、収納庫1100aが閉じ位置にあるときに密閉シール1154が内側面1152aとフレーム密閉面1207の他方の密閉面に接触可能であればよい。収納庫1100aが本体フレーム1200に押し込まれた閉じ位置で、密閉シール1154は、内側面1152aとフレーム密閉面1207の間を密閉する。
【0040】
(収納庫フレーム)
次に、収納庫フレーム1110の構成について説明する。
図9は、収納庫フレーム1110及びその内部構造の斜視図である。
図9(a)は、収納庫フレーム1110の斜視図である。
図9(b)は、収納庫フレーム1110を取り外した内部構造の斜視図である。収納庫1100aは、その内部構造として、一対のサイドガイド部1121及び1122と、一対のサイドガイド部1121及び1122を操作する操作部1125と、後端ガイド部1130と、リフター板1140と、を有する。一対のサイドガイド部1121及び1122は、搬送方向CDに直交する前後方向FR(幅方向)に関するシートの両端部の位置を規制する側端部規制部材である。収納庫フレーム1110と一対のサイドガイド部1121及び1122は、第一のユニットU1を構成する。後端ガイド部1130は、シートの搬送方向CDに関するシートの後端部の位置を規制する後端規制部材である。リフター板1140は、昇降可能に構成されている。リフター板1140は、駆動モーター(不図示)の駆動力によって上昇してリフター板(シート積載面)1140上に積載されたシートの束を上昇させる。
【0041】
ここで、一対のサイドガイド部1121及び1122を操作する操作部1125の構成について説明する。一対のサイドガイド部1121及び1122には、前後方向FRに平行に伸びたラック部材1123及び1124が設けられている。ラック部材1123及び1124は、前後方向FRに移動可能に収納庫フレーム1110によって保持されている。ラック部材1123及び1124には、互いに対面する側面にラック歯1123a及び1124aが刻まれている。ラック歯1123a及び1124aは、ラック部材1123と1124の間に配置された歯車1126に噛み合っている。一対のサイドガイド部1121及び1122の一方を前後方向FRの一方向に移動させると、一対のサイドガイド部1121及び1122の他方へ歯車1126を介して力が伝わる。一対のサイドガイド部1121及び1122の他方は、一方向と反対の他方向に同じ距離だけ移動される。つまり、連動手段としての歯車1126は、一対のサイドガイド部1121及び1122が、互いに反対の方向へ同じ距離だけ移動するように、一対のサイドガイド部1121及び1122を連動させる。
【0042】
収納庫1100aの前側で収納庫フレーム1110の上部に、手動により回転可能な操作部1125が設けられている。操作部1125は、回転軸1127により歯車1126と同軸上に接続されている。ユーザーが操作部1125を操作することにより、歯車1126が回転し、ラック部材1123及び1124を介して一対のサイドガイド部1121及び1122が前後方向FRに移動する。これによって、前後方向FRにおける一対のサイドガイド部1121及び1122の間の幅を、収納庫1100aに積載されるシートの幅に従って広げたり狭めたりすることができる。
【0043】
収納庫フレーム1110の右側部1110a及び左側部1110bにそれぞれ設けられた横レジ調整板1151a及び1151bは、収納庫フレーム1110に対して前後方向FRに位置を調整して取り付け可能である。横レジ調整板1151a及び1151bのそれぞれには、前後方向FRに長い2つの長穴(隙間)1114が設けられている。横レジ調整板1151a及び1151bのそれぞれの2つの長穴1114は、右側部1110a及び左側部1110bのそれぞれに設けられた横レジ調整ピン1157に嵌め込まれる。これによって、横レジ調整板1151a及び1151bの位置は、収納庫フレーム1110に対して給送モジュール1000の前後方向FRに調整可能である。横レジ調整板1151a及び1151bは、前後方向FRにおける位置が調整された後に、横レジ調整板ビス1166によって右側部1110a及び左側部1110bにそれぞれ固定される。
【0044】
(本体フレーム)
次に、給送モジュール1000の本体フレーム1200の構成について説明する。
図10は、本体フレーム1200の構成の説明図である。
図10(a)は、本体フレーム1200の内部構成の斜視図である。給送フレームとしての本体フレーム1200は、収納庫1100aを前後方向FRに移動可能に保持するように構成されている。本体フレーム1200の右側板1203の内面には、ラッチ爪1158の引掛け形状に係合可能な略円筒形状を有する収納庫位置決めコロ1205が回転可能に設けられている。本体フレーム1200の後側板1204には、収納庫加圧ばね1206が設けられている。収納庫1100aが本体フレーム1200に挿入されると、収納庫1100aは、収納庫加圧ばね1206から給送モジュール1000の前側へ向かう方向に力を受ける。この状態で、ラッチ爪(第二の位置決め部材)1158が収納庫位置決めコロ(第一の位置決め部材)1205に係合すると、前後方向FRにおける収納庫1100aの位置が決まる。
【0045】
本実施形態において、引掛け形状を有するラッチ爪1158は密閉板1152に設けられ、略円筒形状を有する収納庫位置決めコロ1205は本体フレーム1200に設けられている。しかし、引掛け形状を有するラッチ爪が給送フレーム側位置決め部として本体フレーム1200に設けられ、略円筒形状を有する位置決めコロが前側板側位置決め部として密閉板1152に設けられていてもよい。
【0046】
画像形成装置としてのインクジェット記録装置10が高湿環境に設置された場合に高湿環境の空気が収納庫1100aへ流入しないように密閉することで収納庫1100aに収納されたシートが設置環境の水分を吸収することを低減することが望ましい。一方、収納庫1100aは、ユーザーによるシート補給作業の際に引き出される。そこで、本実施形態では、収納庫1100aが本体フレーム1200内へ押し込まれた閉じ位置にあるときに、収納庫1100aは、収納庫1100aと本体フレーム1200との間の密閉シール1154により密封される。
【0047】
ここで、仮に、収納庫1100aに収納されたシートの位置の横レジ位置のずれを補正するために単に収納庫1100aの位置を前後方向FRに調整したとする。そうすると、収納庫1100aと本体フレーム1200の間に設けられた密閉シール1154の潰れ量が変化してしまうという課題が懸念される。密閉シール1154の潰れ量が変化すると密閉不良につながる恐れがある。例えば、密閉シール1154の潰れ量が不足すると、収納庫1100aと本体フレーム1200の間の密閉不足を生じる。逆に、密閉シール1154を潰しすぎると、密閉シール1154の劣化を生じる。その結果、インクジェット記録装置10が設置された高湿環境から水蒸気が収納庫1100aへ流入し、シートの波打ちが発生することがある。そこで、本実施形態では、密閉シール1154の潰れ量を変化させずに横レジ調整を行うことができるように、以下で述べるように構成している。
【0048】
(横レジ調整板の調整機構)
収納庫フレーム1110と一対のサイドガイド部1121及び1122を含む第一のユニットU1は、ラッチ爪1158と密閉板1152の内側面1152aを含む第二のユニットU2に対する相対位置を変更可能に構成されている。横レジ調整板(支持部材)1151a及び1151bは、第一のユニットU1に対する前後方向FRにおける位置を調整可能に収納庫フレーム1110に取り付けられる。これによって、第二のユニットU2に対する第一のユニットU1の相対位置が変更可能である。次に、横レジ調整板1151aの調整機構について説明する。
図11は、収納庫1100aの右側から見た横レジ調整板1151aを示す図である。横レジ調整板1151aは、横レジ調整板ビス1166を緩めることにより、密閉板ユニット1156に対して収納庫フレーム1110(第一のユニットU1)の前後方向FRにおける位置を調整できる。最大調整量は、横レジ調整ピン1157に対する横レジ調整板1151aに設けられた長穴1114の隙間の寸法によって設定可能である。最大調整量は、通常必要となる横レジ調整量である4~8mm程度に設定される。横レジ調整を行うと、収納庫フレーム1110が密閉板ユニット1156に対して移動するので、密閉に関わる密閉シール1154の潰れ量は変化しない。したがって、横レジ調整を行っても、安定した密閉性を保つことができる。
【0049】
外装カバー1153(
図2及び
図3)は、密閉板1152の前側に位置決め固定されているため、従来、横レジ調整後に必要であった外装カバー調整も不要となる。なお、外装カバー1153の微小な調整を行うために、外装カバー1153と密閉板1152の間に調整機構を設けてもよい。
【0050】
なお、以上の説明では、横レジ調整板(支持部材)1151a及び1151bを介して、収納庫フレーム1110に対しての、密閉板1152やラッチ爪1158の位置を調整する形態を例示した。しかし、本体フレーム1200に対して、収納庫フレーム1110に支持されたシートの横レジ調整ができればよいので、例えば、以下のようにしてもよい。即ち、一対のサイドガイド部1121及び1122と歯車1126とをサイド規制ユニット(第一のユニット)とする(
図9)。そして、密閉板1152やラッチ爪が設けられた収納庫フレーム1110(第二のユニット)に対して、一対のサイドガイド部1121及び1122と歯車1126とを一体的に、収納庫フレーム1110に対して前後方向FRにおいて位置調整できるようにする。
【0051】
図11を参照して、ラッチ爪1158には、2つの長穴1181及び2つの長穴1182が設けられている。2つの長穴1181は、ラッチ台1159に設けられた2つのピン1183にそれぞれ嵌め込まれる。これによって、ラッチ台1159に対するラッチ爪1158の前後方向FRの位置を調整するために、ラッチ爪1158は、ラッチ台1159に対して前後方向FRに移動可能である。ラッチ爪1158の前後方向FRの位置が調整された後、2つの長穴1182にビス1184をそれぞれ通してビス1184によりラッチ爪1158をラッチ台1159に固定する。このように、ラッチ爪1158の位置は、ラッチ台1159に対して前後方向FRに調整可能である。ラッチ台1159に対するラッチ爪1158の前後方向FRにおける位置を変更することにより、密閉シール1154の潰し量を変更することが可能である。
【0052】
本実施形態によれば、本体フレーム1200に対して、収納庫フレーム1110に支持されたシートの横レジ調整を可能としつつ、密閉板1152と本体フレーム1200の間のクリアランスを一定に保つことができる。これにより、密閉シール1154の潰れ量を所定量に安定して保持することができるので、密閉板1152と本体フレーム1200の間の密閉を維持することができる。したがって、給送モジュール1000が高湿環境に設置された場合にも、シートの波打ちを抑制することができる。本実施形態によれば、本体フレーム1200に対する収納庫フレーム1110の位置を調整可能にしつつ、本体フレーム1200に対する密閉板1152の位置を一定に保つことができる。本実施形態によれば、第一のユニットU1と第二のユニットU2の相対位置を変更可能にしつつ、収納庫1100aが閉じ位置にあるときのフレーム密閉面1207と密閉板1152の内側面1152aの距離を一定に保つことができる。よって、本実施形態によれば、給送モジュール1000内にあるシートの吸湿を緩和することができる。なお、画像形成装置の一例としてインクジェット方式を用いたインクジェット記録装置10を説明したが、本実施形態による画像形成装置は、電子写真方式を用いた電子写真画像形成装置であってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1000 給送モジュール
1100a、1100b、1100c 収納庫
1102a、1102b、1102c 給送部
1110 収納庫フレーム
1121、1122 サイドガイド部
1151a、1151b 横レジ調整板
1152 密閉板
1152a 内側面
1154 密閉シール
1158 ラッチ爪
1200 本体フレーム
1205 収納庫位置決めコロ
1207 密閉面
CD 搬送方向
FR 前後方向
U1 第一のユニット
U2 第二のユニット