(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162952
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】美容手術用メッシュアセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/04 20060101AFI20241114BHJP
A61B 17/06 20060101ALI20241114BHJP
A61L 17/04 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
A61B17/04
A61B17/06 510
A61L17/04
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023136864
(22)【出願日】2023-08-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-17
(31)【優先権主張番号】10-2023-0059541
(32)【優先日】2023-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】523323745
【氏名又は名称】ユン サン-ジュン
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユン サン-ジュン
【テーマコード(参考)】
4C081
4C160
【Fターム(参考)】
4C081AC02
4C081BB08
4C081BC02
4C081CA161
4C081CA171
4C081CA191
4C081DA06
4C081DC03
4C160BB30
(57)【要約】 (修正有)
【課題】組織挙上のための美容手術用メッシュアセンブリを提供する。
【解決手段】美容手術用メッシュアセンブリ10は、互いに交差する方向に編まれている複数の螺旋状の線材を含み、内側に所定の直径の通路を形成するメッシュスリーブ100と、一方向に延びて上記通路内に位置するコア200と、一側に向かって傾斜する方向にコア200の外周面から突出して、線材間の空間を通ってメッシュスリーブ100の外側に延びる突起250と、を含むことができる。メッシュアセンブリ10は、一般手術用糸に比べて格段に高い強度を有し、手術部位に高い強度で堅く係合することができ、組織挙上などの施術において高い活用度を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに交差する方向に編まれている複数の螺旋状の線材を含み、内側に所定の直径の通路を形成するメッシュスリーブと;
第1の方向に延びて前記通路内に位置するコアと;
一側に向かって傾斜する方向に前記コアの外周面から突出して、前記線材間の空間を通って前記メッシュスリーブの外側に延びる突起と;
前記メッシュスリーブと前記コアとの間で前記突起を束縛して、前記突起が前記通路の内部にあるように前記突起を取り囲むカバーフィルムと、を含み、
前記メッシュスリーブが手術部位に挿入された後に前記カバーフィルムが除去されると、前記突起が前記メッシュスリーブの外部に突出するように構成され、
前記コアには収容溝が形成されており、前記突起の端部は、その外側に屈曲した形状の屈曲部が形成され、その内側に鋭い形状の尖部が形成されており、
前記突起が前記カバーフィルムによって束縛された状態では、前記突起の尖部が前記収容溝内に挿入され、前記屈曲部が前記カバーフィルムに向かう、メッシュアセンブリ。
【請求項2】
前記メッシュスリーブは、加水分解可能な材料により形成される、請求項1に記載のメッシュアセンブリ。
【請求項3】
前記メッシュスリーブは、ポリジオキサノン、ポリ乳酸、ポリ-L-ラクチド、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシブチレート、ポリ-D-ラクチド及びポリ-DL-ラクチドからなる群から選択される1つ以上の重合体を含有する材料により形成される、請求項2に記載のメッシュアセンブリ。
【請求項4】
前記カバーフィルムは、前記コアの周りに螺旋状に巻き取られる、請求項1に記載のメッシュアセンブリ。
【請求項5】
前記カバーフィルムは、前記コアを取り囲む管状に形成される、請求項1に記載のメッシュアセンブリ。
【請求項6】
前記第1の方向に沿って延び、内部にチャネル空間が形成されており、前記チャネル空間内に前記メッシュスリーブ及び前記コアを収容するように構成された針を更に含む、請求項1に記載のメッシュアセンブリ。
【請求項7】
前記針は、前記第1の方向に直交する第2の方向に沿って圧着された部分を含み、前記圧着された部分において、前記チャネル空間の断面は前記第2の方向には減少した幅を有し、前記第1の方向と前記第2の方向に直交する第3の方向には増加した幅を有する、請求項6に記載のメッシュアセンブリ。
【請求項8】
前記針は、丸め処理された先端部を含み、前記先端部の側面に前記チャネル空間に連通する開口部が形成されている、請求項6に記載のメッシュアセンブリ。
【請求項9】
前記針は、鋭い切断面を有する先端部を含み、前記切断面には、前記チャネル空間に連通する開口部が形成されている、請求項6に記載のメッシュアセンブリ。
【請求項10】
前記メッシュスリーブと前記コアの少なくとも1つがその端部に係合されている針を更に含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のメッシュアセンブリ。
【請求項11】
前記メッシュアセンブリは、2つの針を含み、前記メッシュスリーブと前記コアとは同じ長さに延び、前記2つの針は、前記メッシュスリーブと前記コアの両側端部に各々係合される、請求項10に記載のメッシュアセンブリ。
【請求項12】
前記針は、屈曲した形状を有する縫合針である、請求項10に記載のメッシュアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用具に関し、具体的には、組織挙上のための美容手術用メッシュアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
医学技術が発達し、現代人の生活水準が高まるにつれて、美容手術に対する関心度が増加している。美容手術の代表的な例の一つとして、フェイスリフト(face lift:顔面挙上)が挙げられ、これには、垂れ下がった皮膚を引っ張ったりしわを伸ばしたりする施術が含まれる。
【0003】
フェイスリフトなどの美容手術のための様々な技法及び用具が開発された。過去に一般的に使用された方法には、患者の皮膚を切開して除去し、皮膚を引っ張って再縫合する方法が含まれる。近年、糸を用いた方法が開発されており、皮膚の下に挿入される糸を用いて組織を引っ張ることによって、皮膚のたるみやしわを除去することが可能である。ただし、糸は切れたり、結び目が解けたりする恐れがあり、皮膚組織に堅く係合しないため、引っ張る効果が落ちることもあり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明は、上述した問題点を解決するために導き出されたもので、本発明の目的は、高い強度を有し、手術部位に堅く係合することができ、美容手術に活用できる美容手術用メッシュアセンブリを提供することにある。
【0005】
本発明の他の目的は、以下に述べられる実施例に基づいて更に明確になるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の一態様に係る美容手術用メッシュアセンブリは、互いに交差する方向に編まれている複数の螺旋状の線材を含み、内側に所定の直径の通路を形成するメッシュスリーブと;第1の方向に延びて上記通路内に位置するコアと;一側に向かって傾斜する方向に上記コアの外周面から突出して、上記線材間の空間を通って上記メッシュスリーブの外側に延びる突起と、を含むことができる。
【0007】
本発明に係る美容手術用メッシュアセンブリは、以下のような実施例を1つ又はその以上備えることができる。例えば、上記メッシュスリーブは、加水分解可能な材料により形成されることができる。上記メッシュスリーブは、例えば、ポリジオキサノン、ポリ乳酸、ポリ-L-ラクチド、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシブチレート、ポリ-D-ラクチド及びポリ-DL-ラクチドからなる群から選択される1つ以上の重合体を含有する材料により形成されることができる。
【0008】
美容手術用メッシュアセンブリは、上記メッシュスリーブと上記コアとの間に上記突起を束縛して、上記突起が上記通路の内部にあるように上記突起を取り囲むカバーフィルムを更に含むことができる。上記メッシュスリーブが手術部位に挿入された後に上記カバーフィルムが除去されると、上記突起が上記メッシュスリーブの外部に突出するように構成されることができる。
【0009】
一部の実施例では、上記カバーフィルムが上記コアの周りに螺旋状に巻き取られてもよい。一部の実施例では、上記カバーフィルムが上記コアを取り囲む管状に形成されてもよい。
【0010】
上記コアには収容溝が形成されることができ、上記突起の端部は、その外側に屈曲した形状の屈曲部が形成され、その内側に鋭い形状の尖部が形成されることができる。上記突起が上記カバーフィルムによって束縛された状態では、上記突起の尖部が上記収容溝内に挿入され、上記屈曲部が上記カバーフィルムに向かうとができる。
【0011】
メッシュアセンブリは、上記第1の方向に沿って延び、内部にチャネル空間が形成されており、上記チャネル空間内に上記メッシュスリーブ及び上記コアを収容するように構成された針を更に含むことができる。
【0012】
上記針は、上記第1の方向に直交する第2の方向に沿って圧着された部分を含むことができ、上記圧着された部分において、上記チャネル空間の断面は、上記第2の方向には減少した幅を有し、上記第1の方向と上記第2の方向に直交する第3の方向には増加した幅を有することができる。
【0013】
上記針は、丸め処理された先端部を含むことができ、上記先端部の側面に上記チャネル空間に連通する開口部が形成されることができる。あるいは、上記針が鋭い切断面を有する先端部を含むことができ、上記切断面に上記チャネル空間に連通する開口部が形成されることができる。
【0014】
メッシュアセンブリは、上記メッシュスリーブと上記コアの少なくとも1つがその端部に係合されている針を更に含んでもよい。例えば、上記メッシュアセンブリが2つの針を含み、上記メッシュスリーブと上記コアとは同じ長さに延び、上記2つの針は、上記メッシュスリーブと上記コアの両側端部に各々係合することができる。上記針は、屈曲した形状を有する縫合針であってもよい。
【発明の効果】
【0015】
以上で説明したような本発明の課題を解決するための手段によれば、以下のような事項を含む様々な効果を期待することができる。ただし、本発明は、以下の効果を全て発揮してこそ初めて成立するものではない。
【0016】
本発明の一実施例に係るメッシュアセンブリは、一般手術用糸に比べて格段に高い強度を有し、手術部位に高い強度で堅く係合することができ、組織挙上などの施術において高い活用度を有する。
【0017】
本発明の一実施例に係るメッシュアセンブリは、メッシュスリーブの外部に突出する突起が周囲の手術部位の組織に係合する位置をより細かく調整できるようにして、施術の成功率を著しく高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1の実施例に係る美容手術用メッシュアセンブリを例示的に示す側面図である。
【
図2】
図1に示す美容手術用メッシュアセンブリにおいてメッシュスリーブを拡張した状態を例示的に示す側面図である。
【
図3A】
図1に示す美容手術用メッシュアセンブリの一部を例示的に示す図である。
【
図3B】
図1に示す美容手術用メッシュアセンブリの一部を例示的に示す図である。
【
図4】本発明の第2の実施例に係る美容手術用メッシュアセンブリの一部を例示的に示す断面図である。
【
図5】本発明の第3の実施例に係る美容手術用メッシュアセンブリの一部を例示的に示す断面図である。
【
図6】本発明の第3の実施例に係る美容手術用メッシュアセンブリの一部を例示的に示す断面図である。
【
図7】本発明の第4の実施例に係る美容手術用メッシュアセンブリの一部を例示的に示す側面図である。
【
図8】本発明の一実施例に係る美容手術用メッシュアセンブリの針を例示的に示す斜視図である。
【
図10】本発明の一実施例に係る美容手術用メッシュアセンブリの針を例示的に示す斜視図である。
【
図12】本発明の一実施例に係る美容手術用メッシュアセンブリの針を例示的に示す斜視図である。
【
図14】本発明の第5の実施例に係る美容手術用メッシュアセンブリの一部を例示的に示す側面図である。
【
図15】本発明の第5の実施例に係る美容手術用メッシュアセンブリの一部を例示的に示す側面図である。
【
図16】本発明の第6の実施例に係る美容手術用メッシュアセンブリの一部を例示的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、様々な変換を加えることができ、複数の実施例を有することができるので、特定の実施例を図面に例示し、詳細な説明において詳しく説明しようとする。しかしながら、これは、本発明を特定の実施例について限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変換、均等物または代替物を含むものと理解されるべきである。本発明を説明するに当たり、関連する公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を曖昧にすると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0020】
本出願で使用した用語は、単に特定の実施例を説明するために使用されたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に異なる意味でない限り、複数の表現を含む。本出願において、"含む"又は"有する"などの用語は、明細書上に記載されている特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするだけであり、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものの存在又は付加可能性を予め排除するわけではないと理解されるべきである。
【0021】
第1、第2などの用語は、様々な構成要素を説明するために使用することができるが、上記構成要素らは、上記用語によって限定されてはならない。上記用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで使用される。
【0022】
以下、添付の図面を参照して、本発明に係る実施例を詳しく説明することとし、添付の図面を参照して説明するにあたり、図面符号に関係なく、同一又は対応する構成要素は、同じ参照番号を付し、これに対する重複する説明は省略する。
【0023】
図1及び
図2は、本発明の第1の実施例に係る美容手術用メッシュアセンブリ10を例示的に示す側面図であり、
図3は、本発明の第1の実施例に係る美容手術用メッシュアセンブリ10の一部を例示的に示す図である。
【0024】
図1~
図3を参照すると、本発明の第1の実施例に係る美容手術用メッシュアセンブリ10は、主にメッシュスリーブ100、コア200及び突起250を含むことができる。図示していないが、美容手術用メッシュアセンブリ10の先端には、カヌラ挿入管、スーチャー(Suture)ニードルなどの針が設けられてもよく、メッシュスリーブ100とコア200のいずれか1つ又は両方が針(図示せず)に係合することができる。
【0025】
メッシュスリーブ100は、複数の螺旋状の線材110を含むことができ、これらは、互いに交差する方向に編まれて3次元形状をなすことができる。もちろん、メッシュスリーブ100に要求される直径に応じて螺旋状に延びる線材110以外の線材が更に含まれてもよい。メッシュスリーブ100は、基本的には、内側に所定の直径の通路を形成して円柱に類似した形状を形成することができる。メッシュスリーブ100は、例えば、1.8mmから4.5mmの外径を有することができるが、本発明がメッシュスリーブ100の直径によって限定されるものではない。
【0026】
メッシュスリーブ100は、使用される用途に応じて異なる材料により形成されることができ、本発明の一実施例では、メッシュスリーブ100が加水分解可能な材料により形成されることができる。例えば、メッシュスリーブ100は、ポリジオキサノン(PDO; polydioxanone)を含有する材料により形成されることができる。ポリジオキサノンは、生体適合性高分子材料であり、加水分解によって分解され、生成物の大部分は尿中に排出される。ポリジオキサノンは、一般に6ヶ月以内に分解されて消え、異物反応を起こさないことが知られている。同様に、メッシュスリーブ100は、ポリ乳酸(PLA; polylactic acid)、ポリ-L-ラクチド(PLLA; poly-L-lactide)、ポリカプロラクトン(PCL; polycaprolactone)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA; polyhydroxyalkanoate)、ポリヒドロキシブチレート(PHB; polyhydroxybutyrate)、ポリ-D-ラクチド(poly-D-lactide)及びポリ-DL-ラクチド(PDLLA; poly-DL-lactide)のうちの1つ以上の重合体を含有する材料により形成されることができる。
【0027】
コア200は、一方向に延びることができ、コア200の少なくとも一部は、メッシュスリーブ100の内側に、すなわち、メッシュスリーブ100の通路内に位置してもよい。コア200は、メッシュスリーブ100の通路の直径よりも小さい直径に形成することができる。コア200は、例えば、0.4mmから2.0mmの外径を有することができるが、本発明がメッシュスリーブ100の直径によって限定されるものではない。
図3には、コア200の断面がほぼ円形状を有するように示されているが、一部の実施例では、より平らな形態で具現されてもよい。もちろん、本発明がコア200の断面によって限定されるものではない。
【0028】
突起250は、一側に向かって傾斜する方向にコア200の外周面から突出するように構成することができる。好ましい実施例において、突起250は、その端部がメッシュスリーブ100の外部に延びられる長さに形成されることができる。すなわち、突起250の端部は、メッシュスリーブ100を構成する線材110の間に形成される空間120を通過してメッシュスリーブ100の外部に位置することができる。
【0029】
図3を参照すると、本発明の一実施例に係るメッシュアセンブリ10において、突起250は、コア200を基準にして上部と下部に形成されることができる。すなわち、突起250は、コア200から両方向にのみ突出することができる。これにより、突起250が形成されたコア200が平らに配置されることが可能になる。したがって、メッシュアセンブリ10は、必要により拡張されない限り、患者の皮下組織に挿入された状態で正面に大きく突出しないように適用されることができる。
【0030】
突起250が一側に向かって傾斜している構成から、メッシュアセンブリ10は、他側に向かって移動するのに比べて一側に向かって移動することが難しくなる。すなわち、メッシュアセンブリ10が一側に向かって移動するときには、突起250の端部が周囲組織に引っ掛かって移動を妨げるが、他側に向かって移動するときには、突起250の端部が周囲組織に引っ掛からなくて移動が妨げられない。これを考慮して、メッシュアセンブリ10の針(図示せず)は、突起250が傾斜した方向とは反対の方向に係合することができる。
【0031】
本発明の一実施例に係るメッシュアセンブリ10が縫合又は組織の挙上用途に使用される場合、メッシュスリーブ100の外部に突出する突起250は、メッシュアセンブリ10を必要な位置に固定する役割をすることができる。突起250は、メッシュアセンブリ10を手術部位の組織に堅く係合させて分離されないようにする。したがって、医療従事者がメッシュアセンブリ10に力を加えると、メッシュアセンブリ10は周辺の組織を効果的に引っ張ることになる。
【0032】
メッシュスリーブ100は、複数の線材110が編まれて形成されるので、一般の糸に比べて格段に高い張力を負担できるようになる。また、メッシュスリーブ100は、線材110によって立体形状を形成するものであり、線材110の間の空間120が大きな面積を占めるので、手術部位で組織が再生される際にメッシュスリーブ100の内側に成長することになり、メッシュスリーブ100が手術部位に一体化することができる。メッシュスリーブ100は、加水分解可能な材料により形成されている場合、体内で分解されて除去されることができ、加水分解可能な材料により形成されていない場合、移植物として体内に残ることができる。
【0033】
一方、
図2でのように、本発明の一実施例に係るメッシュスリーブ100では、メッシュスリーブ100を拡張して使用することができる。メッシュスリーブ100は、線材110が編まれて構成されるので、一側と他側から押圧すると、メッシュスリーブ100の中間部位を膨らませて拡張させることができる。これは、例えば、メッシュスリーブ100の他側が突起250のうちの1つに引っ掛かるようにした後、メッシュスリーブ100の一側を押圧することによって達成することができる。メッシュスリーブ100の拡張された形態は、当該部位で移植物の役割を果たすことができる。一部の実施例では、メッシュスリーブ100の内側にフィラーなどの機能剤を注入することができる。
【0034】
図4は、本発明の第2の実施例に係る美容手術用メッシュアセンブリ20の一部を例示的に示す断面図である。本発明の第2の実施例に係る美容手術用メッシュアセンブリ20は、上述した第1の実施例に係る美容手術用メッシュアセンブリ10と多数の共通点を有し、以下では第2の実施例に係るメッシュアセンブリ20の相違点を中心に説明する。第1の実施例に関して説明した特徴は、第2の実施例に適用することができ、同様に第2の実施例に関して説明した特徴は、第1の実施例に適用することができる。第2の実施例を説明する際に言及される一部の参照番号は、第1の実施例に当該参照番号が適用された構成要素に対応する構成要素を指すものである。
【0035】
図4を参照すると、本発明の第2の実施例に係る美容手術用メッシュアセンブリ20は、主にメッシュスリーブ100、コア200、突起250及びカバーフィルム310を含むことができる。メッシュスリーブ100、コア200及び突起250は、第1の実施例で説明したものと実質的に同じであるので、重複する説明は省略する。
【0036】
カバーフィルム310は、メッシュスリーブ100とコア200との間において突起250を束縛する部材に該当する。カバーフィルム310は、突起250を取り囲むことによって、突起250がメッシュスリーブ100の外部に突出せずにメッシュスリーブ100の通路の内部に位置するようにすることができる。
図4に示す実施例では、カバーフィルム310がコア200の周りに螺旋状に巻き取られる方式に具現されており、突起250がコア200に接触するように突起250を束縛している。
【0037】
第1の実施例に関して説明したように、メッシュアセンブリ10の突起250は、メッシュスリーブ100の外部に突出し、また一側に向かって傾斜するように形成されており、周囲の組織に引っ掛かって強い係合を提供することができ、また、メッシュスリーブ100の拡張が要求される場合、メッシュスリーブ100の他側の端部を固定するために使用することもできる。一方、コア200に形成された突起250は、一側の方向に傾斜した形状を有するので、メッシュアセンブリ10が他側に移動することは妨げない一方、一側に移動することは妨げることができる。したがって、メッシュアセンブリ10を必要な部位に配置する際には注意が要求されるが、これは、必要な位置を乗り越えて他側の方向にさらに移動すると、メッシュアセンブリ10を一側の方向に移動させて位置を調整することが難しいからである。
【0038】
本発明の第2の実施例に係る美容手術用メッシュアセンブリ20は、カバーフィルム310を更に含むことによって、必要になるまで突起250がメッシュアセンブリ20の移動を妨げないようにすることができる。メッシュアセンブリ20を使用する医療従事者は、メッシュスリーブ100とコア200との間において突起250の上にカバーフィルム310が配置された状態でメッシュアセンブリ20を手術部位に挿入することができ、メッシュスリーブ100とコア200とが必要な位置に配置されると、カバーフィルム310を除去することができる。
【0039】
カバーフィルム310が螺旋状に巻き取られているので、医療従事者は、カバーフィルム310の端部をつかみ、コア200の周りに回転させながらカバーフィルム310を分離することができる。カバーフィルム310が除去されることによって、突起250はメッシュスリーブ100の外部に突出し、メッシュアセンブリ20の周りの組織に引っ掛かり、強い係合を提供することができる。
【0040】
図5及び
図6は、本発明の第3の実施例に係る美容手術用メッシュアセンブリ30の一部を例示的に示す断面図である。本発明の第3の実施例に係る美容手術用メッシュアセンブリ30は、上述した第1及び第2の実施例に係る美容手術用メッシュアセンブリ10、20と多数の共通点を有し、以下では第2の実施例に係るメッシュアセンブリ30の相違点を中心に説明する。第1又は第2の実施例に関して説明した特徴は、第3の実施例に適用することができ、同様に第3の実施例に関して説明した特徴は、第1及び第2の実施例に適用することもできる。第3の実施例を説明する際に言及される一部の参照番号は、第1及び/又は第2の実施例に当該参照番号が適用された構成要素に対応する構成要素を指すものである。
【0041】
図5及び
図6を参照すると、本発明の第3の実施例に係る美容手術用メッシュアセンブリ30は、主にメッシュスリーブ100、コア200、突起250及びカバーフィルム320を含むことができる。メッシュスリーブ100は、第1の実施例で説明したものと実質的に同じであるので、重複する説明は省略する。
【0042】
本発明の第3の実施例に係るメッシュアセンブリ30では、カバーフィルム310が、
図6でのようにコア200を取り囲む管状に形成されることができる。突起250とコア200とが所定の幅を有するカバーフィルム320の内側に位置すると、突起250がコア200に密着してメッシュスリーブ100の外部に突出しなくなり、メッシュアセンブリ30の移動を妨げない。メッシュアセンブリ20を用いる医療従事者は、メッシュスリーブ100とコア200との間において突起250の上にカバーフィルム320が配置された状態でメッシュアセンブリ30を手術部位に挿入することができ、メッシュスリーブ100とコア200が必要な位置に配置されると、カバーフィルム320を除去することができる。
【0043】
カバーフィルム320が管状にコア200と突起250を取り囲んでいるので、医療従事者は、カバーフィルム320の端部を引っ張ることによってコア200からカバーフィルム320を剥がすことができる。カバーフィルム320が除去されることによって、突起250はメッシュスリーブ100の外部に突出して、メッシュアセンブリ30の周りの組織に引っ掛かり、強い係合を提供することができる。
【0044】
図5に示すように、本発明の第3の実施例に係るメッシュアセンブリ30では、突起250の端部は、その内側には尖部252が形成され、外側には屈曲部254が形成されることができる。尖部252は、鋭い点又は線状の角を形成することができ、屈曲部254は、緩やかな屈曲を形成することができる。また、突起250がコア200に密着した状態で、突起250とコア200との間の連結部256も緩やかな屈曲を形成することができる。
【0045】
一方、コア200には、収容溝202を形成することができる。収容溝202は、突起250の突出長さだけ突起250の連結部256から離隔した位置に凹みに形成することができ、突起250がコア200に密着した際に突起250の先端部の尖部252が挿入されるように構成することができる。
【0046】
図6を参照すると、カバーフィルム320が管状にコア200と突起250とを取り囲む状態では、突起250の尖部252がコア200に形成された収容溝202内に挿入されることができ、突起250の外側の屈曲部254のみが外側に向けることができる。突起250の連結部256と屈曲部254とが外側に向けてカバーフィルム320に接触し、突起250の尖部252はカバーフィルム320に接触しないので、医療従事者がカバーフィルム320を引っ張ると、カバーフィルム320は引っ掛かりなしで容易に移動することができる。
【0047】
カバーフィルム320が引っ張られて突起250の周りから剥がされると、突起250は、外側に伸びて
図5でのようにメッシュスリーブ100の外側に延びることができ、メッシュアセンブリ30の周りの組織に堅く係合することができる。突起250がより容易に外部に突出するように、メッシュスリーブ100を構成する螺旋状の線材110のピッチ(pitch)は、突起250の間隔に比例することができる。
【0048】
本発明の一部の実施例では、カバーフィルム320が加水分解可能な材料又は溶解性材料により形成されることができ、医療従事者によってメッシュアセンブリ30が挿入された後、手術部位でカバーフィルム320が分解又は溶解されるによって、突起250が外部に突出されるようにすることができる。
【0049】
図7は、本発明の第4の実施例に係る美容手術用メッシュアセンブリ40の一部を例示的に示す側面図である。
図7を参照すると、本発明の第4の実施例に係る美容手術用メッシュアセンブリ40は、上述した第1~第3の実施例に係る美容手術用メッシュアセンブリ10、20、30のいずれか1つに加えて、針400を更に含むことができる。すなわち、美容手術用メッシュアセンブリ40は、メッシュスリーブ100、コア200、カバーフィルム310、320及び針400を含むことができる。
【0050】
コア200が延びる一方向を第1の方向とすると、針400は、第1の方向に沿って延びることができ、その内部にチャネル空間420が形成されてもよい。本明細書において、針400という用語は注射針に限定されるものではなく、カヌラ挿入管、スーチャーニードル、カテーテルなどを含んで、内側にチャネル空間420を有するあらゆる種類のツールを包括するものである。
【0051】
チャネル空間420は、針400の後端部に位置する開口部430から針400の先端部に位置する開口部440まで続くことができる。
図7に示すように、メッシュスリーブ100、コア200及びカバーフィルム310、320は、針400のチャネル空間420に挿入されることができる。メッシュスリーブ100、コア200及びカバーフィルム310、320は、チャネル空間420の後端部側の開口部430に進入して、先端部側の開口部440まで又はそれを乗り越えて通過するように挿入されることができる。針400の後端部には、使用上の便宜のために連結口500を更に備えることができる。
【0052】
図8及び
図9は、本発明の一実施例に係る美容手術用メッシュアセンブリ40に適用可能な針400Aを例示的に示す。本発明の一実施例によれば、針400Aは、圧着された部分450を含むことができる。ここで、圧着された部分450という用語は、針400Aの形状を描写するためのものであり、実際に針400Aの本体410を圧縮して形成されるべきではない。
【0053】
針400が延びる方向を第1の方向とし、第1の方向に直交する方向を第2の方向、第1の方向と第2方向の両方に直交する方向を第3の方向とすると、圧着された部分450において、針400の本体410は、第2の方向に圧着され、その断面が第2の方向には減少した幅を有することができ、第3の方向にはむしろ増加した幅を有することができる。
【0054】
本発明の一実施例に係るメッシュアセンブリ40では、突起250がコア200から突出するように形成されているので、突起250を含むコア200の断面は、特定の方向(すなわち、第3の方向)への幅が他の方向(すなわち、第2の方向)への幅よりも大きい。もし、針400のチャネル空間420が円形断面を維持し、増加した内径を有して、その内部にメッシュスリーブ100とコア200とを収容すると、針400の全体的な直径が過剰に大きくなる可能性があり、これは患者の施術部位に増加した大きさの穴を形成して、瘢痕の発生可能性を高めることができる。
【0055】
本発明の一実施例と同様に、針400に圧着された部分450を形成すると、チャネル空間420の断面が、第2方向には減少した幅を有し、第3方向には増加した幅を有するので、第2方向に小さな幅を有し、第3方向には大きな幅を有するコア200を収容するのに適している。本発明の一実施例では、実際に基本形態の針、例えば、18ゲージの針の一部を圧縮して圧着された部分450を形成することができる。
【0056】
図8及び
図9に示す例では、針400に複数の圧着された部分450が形成されている。圧着された部分450の位置及び個数は必要に応じて変更することができる。一方、針400の先端部412は丸め加工されており、鋭い角がなく滑らかな屈曲面のみを含む。チャネル空間420の前側開口部440は、先端部412の側面に形成されることができる。
【0057】
図10及び
図11は、本発明の一実施例に係る美容手術用メッシュアセンブリ40に適用可能な他の針400Bを例示的に示す。
図10及び
図11に示す針400Bでは、圧着された部分450が針400の本体410の大部分にわたって形成されており、圧着された部分450が前側開口部440まで延びている。
図10及び
図11に示す針400Bでは、針400の本体410の後端部は圧着されていない状態を維持するが、一部の実施例では、圧着された部分450がこの部分を含んで針400の本体410の全体にわたって形成されることができる。
【0058】
図12及び
図13は、本発明の一実施例に係る美容手術用メッシュアセンブリ40に適用可能な別の針400Cを例示的に示す。
図12及び
図13に示す針400Cでは、針400の先端部414が切断面を有する形態で形成されており、チャネル空間420の前側開口部440は、先端部414の切断面に形成されている。そのような構造は、圧着された部分450が先端部414までに続けるようにするという利点を有する。
【0059】
図14及び
図15は、本発明の第5の実施例に係る美容手術用メッシュアセンブリ50の一部を例示的に示す側面図である。
図14及び
図15を参照すると、本発明の第5の実施例に係る美容手術用メッシュアセンブリ50は、上述した第1~3の実施例に係る美容手術用メッシュアセンブリ10、20、30のいずれか1つに加えて、針600、610を更に含むことができる。すなわち、美容手術用メッシュアセンブリ50は、メッシュスリーブ100、コア200、カバーフィルム310、320及び針600、610を含むことができる。
【0060】
針600の端部には、メッシュスリーブ100とコア200の少なくとも1つが係合してもよい。すなわち、メッシュスリーブ100とコア200の両方の先端部が針600の後端に連結されてもよいが、メッシュスリーブ100のみが針600に係合されるか、コア200のみが係合される場合もある。針600、610は、必要に応じて様々な形状を有することができる。例えば、
図14では、針600が縫合針のような屈曲した形状を有し、
図15では、針610が基本の針のような直線状を有する。
図15の針610は、約100mmから400mmの長さを有することができる。
【0061】
一方、
図15に示すように、本発明の第5の実施例に係る美容手術用メッシュアセンブリ50において、針600、610がメッシュスリーブ100とコア200の両側の端部に係合されてもよい。例えば、メッシュスリーブ100とコア200は、同じ長さに延びることができ、これらのメッシュスリーブ100とコア200の両側の端部に各々針600、610が係合されてもよい。
【0062】
図16は、本発明の第6の実施例に係る美容手術用メッシュアセンブリ60の一部を例示的に示す側面図である。
図16を参照すると、本発明の第6の実施例に係る美容手術用メッシュアセンブリ60は、コア200、突起250及びカバーフィルム310、320を省略したまま、メッシュスリーブ100と針400、600、610とを含むことができる。この場合、針600は、屈曲した形状を有する縫合針であってもよく、メッシュスリーブ100は縫合糸の代わりに使用されてもよい。
【0063】
上記の本発明の実施例によれば、一般手術用の糸に比べて格段に高い強度を有し、手術部位に高い強度で堅く係合することができ、組織挙上などの施術において高い活用度を有するメッシュアセンブリ10,20、30、40、50、60が提供される。
【0064】
本発明の一実施例に係るメッシュアセンブリは、メッシュスリーブ100の外部に突出する突起250が周囲の手術部位の組織に係合する位置をより細かく調節できるようにし、施術の成功率を著しく高めることができる。
【0065】
以上では、本発明の一実施例を参照して説明したが、当該技術分野で通常の知識を有する者であれば、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に修正及び変更させることができることを理解できるだろう。