(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162958
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】光アイソレータの製造方法及び光アイソレータ
(51)【国際特許分類】
G02B 27/28 20060101AFI20241114BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
G02B27/28 A
G02B5/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023155813
(22)【出願日】2023-09-21
(31)【優先権主張番号】P 2023077674
(32)【優先日】2023-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】弁理士法人大阪フロント特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古山 忠仁
【テーマコード(参考)】
2H149
2H199
【Fターム(参考)】
2H149AA24
2H149BA02
2H149DA06
2H199AA02
2H199AA04
2H199AA14
2H199AA23
2H199AA33
2H199AA55
2H199AA87
2H199AA89
2H199AA90
(57)【要約】
【課題】偏光子における光透過軸の方向のずれを抑制することができる、光アイソレータの製造方法を提供する。
【解決手段】ファラデー素子2と、ファラデー素子2が内部に設けられる磁石7と、ファラデー素子2の光入射側に配置される第1の偏光子3と、ファラデー素子2の光出射側に配置される第2の偏光子4と、第1の偏光子3を収納する第1の偏光子ホルダ5と、第2の偏光子4を収納する第2の偏光子ホルダ6とを有する光アイソレータの製造方法であって、第1の偏光子ホルダ5に磁性体9を配置し、第1の偏光子ホルダ5と磁石7とを磁力によって吸着させる工程と、第1の偏光子ホルダ5と磁石7とを磁力によって吸着させる工程の後に、第1の偏光子ホルダ5を回転させることにより、第1の偏光子3の光透過軸の方向を調整する工程とを備えることを特徴とする。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファラデー素子と、前記ファラデー素子が内部に設けられる磁石と、前記ファラデー素子の光入射側に配置される第1の偏光子と、前記ファラデー素子の光出射側に配置される第2の偏光子と、前記第1の偏光子を収納する第1の偏光子ホルダと、前記第2の偏光子を収納する第2の偏光子ホルダと、を有する光アイソレータの製造方法であって、
前記第1の偏光子ホルダに磁性体を配置し、前記第1の偏光子ホルダと前記磁石とを磁力によって吸着させる工程と、
前記第1の偏光子ホルダと前記磁石とを磁力によって吸着させる工程の後に、前記第1の偏光子ホルダを回転させることにより、前記第1の偏光子の光透過軸の方向を調整する工程と、
を備える、光アイソレータの製造方法。
【請求項2】
前記第1の偏光子ホルダは、前記磁性体を配置するための穴部を有し、
前記第1の偏光子ホルダと前記磁石とを磁力によって吸着させる工程は、前記穴部に前記磁性体を配置することを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の光アイソレータの製造方法。
【請求項3】
前記穴部はねじ穴部であり、
前記磁性体は前記ねじ穴部に螺合可能なねじ溝部を有し、
前記第1の偏光子ホルダと前記磁石とを磁力によって吸着させる工程は、前記磁性体をねじ締めによって前記ねじ穴部に配置する工程を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の光アイソレータの製造方法。
【請求項4】
前記第1の偏光子ホルダと前記磁石とを磁力によって吸着させる工程の後に、前記磁性体と前記磁石との間の距離を調整する工程をさらに備える、
ことを特徴とする請求項3に記載の光アイソレータの製造方法。
【請求項5】
前記第1の偏光子の光透過軸の方向を調整する工程の後に、前記第1の偏光子ホルダを固定する工程を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の光アイソレータの製造方法。
【請求項6】
前記第1の偏光子ホルダを固定する工程の後に、前記磁性体を前記第1の偏光子ホルダから取り外す工程をさらに備える、
ことを特徴とする請求項5に記載の光アイソレータの製造方法。
【請求項7】
前記第1の偏光子ホルダを固定する工程の後に、前記第2の偏光子ホルダを固定する、
ことを特徴とする請求項5に記載の光アイソレータの製造方法。
【請求項8】
前記第1の偏光子ホルダと前記磁石とを磁力によって吸着させる工程では、前記磁性体が内部に配置された前記第1の偏光子ホルダを用意する工程を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の光アイソレータの製造方法。
【請求項9】
前記第1の偏光子ホルダと前記磁石とを磁力によって吸着させる工程の前に、前記第2の偏光子ホルダを固定する、
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の光アイソレータの製造方法。
【請求項10】
ファラデー素子と、前記ファラデー素子が内部に設けられる磁石と、前記ファラデー素子の光入射側に配置される第1の偏光子と、前記ファラデー素子の光出射側に配置される第2の偏光子と、前記第1の偏光子を収納する第1の偏光子ホルダと、前記第2の偏光子を収納する第2の偏光子ホルダと、を有する光アイソレータの製造方法であって、
前記第2の偏光子ホルダに磁性体を配置し、前記第2の偏光子ホルダと前記磁石とを磁力によって吸着させる工程と、
前記第2の偏光子ホルダと前記磁石とを磁力によって吸着させる工程の後に、前記第2の偏光子ホルダを回転させることにより、前記第2の偏光子の光透過軸の方向を調整する工程と、
を備える、光アイソレータの製造方法。
【請求項11】
光が通過する貫通孔を有する磁石と、
前記磁石の前記貫通孔内に設けられているファラデー素子と、
前記光が前記磁石の前記貫通孔を通過する方向を光軸方向としたときに、前記磁石の前記光軸方向における一方端面側に配置されている第1の偏光子、及び他方端面側に配置されている第2の偏光子と、
前記第1の偏光子を収納している第1の偏光子ホルダ及び前記第2の偏光子を収納している第2の偏光子ホルダと、
を備え、
前記第1の偏光子ホルダ内に、少なくとも1つの磁性体が配置されている、光アイソレータ。
【請求項12】
前記第1の偏光子ホルダ内に複数の前記磁性体が配置されている、請求項11に記載の光アイソレータ。
【請求項13】
前記第1の偏光子ホルダが穴部を有し、前記穴部内に前記磁性体が配置されている、請求項11に記載の光アイソレータ。
【請求項14】
前記穴部がねじ穴部であり、前記磁性体が前記ねじ穴部に螺合するねじ溝部を有する、請求項13に記載の光アイソレータ。
【請求項15】
前記第1の偏光子ホルダが、非磁性材料で構成されている、請求項11~14のいずれか1項に記載の光アイソレータ。
【請求項16】
光が通過する貫通孔を有する磁石と、
前記磁石の前記貫通孔内に設けられているファラデー素子と、
前記光が前記磁石の前記貫通孔を通過する方向を光軸方向としたときに、前記磁石の前記光軸方向における一方端面側に配置されている第1の偏光子、及び他方端面側に配置されている第2の偏光子と、
前記第1の偏光子を収納している第1の偏光子ホルダ及び前記第2の偏光子を収納している第2の偏光子ホルダと、
を備え、
前記第1の偏光子ホルダがねじ穴部を有し、前記ねじ穴部が空洞である光アイソレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光アイソレータの製造方法及び光アイソレータに関する。
【背景技術】
【0002】
光アイソレータは、光を一方向だけに伝搬し、反射して戻る光を阻止する磁気光学素子である。光アイソレータは、例えば、光通信システムやレーザー加工システム等に用いられるレーザー発振器に使用される。下記の特許文献1には、光アイソレータの一例が開示されている。この光アイソレータにおいては、ファラデー回転子の光軸方向における両端面にそれぞれ、偏光子が配置されている。ファラデー回転子と偏光子との間には、接着層が設けられている。例えば、出射面側の偏光子は、該偏光子の透過偏光方向が、入射面側の偏光子の透過偏光方向に対して45゜だけ傾くように配置され、接着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の光アイソレータの製造に際しては、偏光子をファラデー回転子の端面に配置してから接着するまでに、偏光子の角度がずれがちである。そのため、入射面側の偏光子における透過偏光方向、すなわち光透過軸の方向に対する、出射面側の偏光子における光透過軸の方向の傾きがずれるおそれがある。
【0005】
本発明は、偏光子における光透過軸の方向のずれを抑制することができる、光アイソレータの製造方法及び光アイソレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様1に係る光アイソレータの製造方法は、ファラデー素子と、前記ファラデー素子が内部に設けられる磁石と、前記ファラデー素子の光入射側に配置される第1の偏光子と、前記ファラデー素子の光出射側に配置される第2の偏光子と、前記第1の偏光子を収納する第1の偏光子ホルダと、前記第2の偏光子を収納する第2の偏光子ホルダと、を有する光アイソレータの製造方法であって、前記第1の偏光子ホルダに磁性体を配置し、前記第1の偏光子ホルダと前記磁石とを磁力によって吸着させる工程と、前記第1の偏光子ホルダと前記磁石とを磁力によって吸着させる工程の後に、前記第1の偏光子ホルダを回転させることにより、前記第1の偏光子の光透過軸の方向を調整する工程と、を備えることを特徴とする。
【0007】
態様2の光アイソレータの製造方法では、態様1において、前記第1の偏光子ホルダは、前記磁性体を配置するための穴部を有し、前記第1の偏光子ホルダと前記磁石とを磁力によって吸着させる工程は、前記穴部に前記磁性体を配置することを含むことが好ましい。
【0008】
態様3の光アイソレータの製造方法では、態様2において、前記穴部はねじ穴部であり、前記磁性体は前記ねじ穴部に螺合可能なねじ溝部を有し、前記第1の偏光子ホルダと前記磁石とを磁力によって吸着させる工程は、前記磁性体をねじ締めによって前記ねじ穴部に配置する工程を含むことが好ましい。
【0009】
態様4の光アイソレータの製造方法では、態様3において、前記第1の偏光子ホルダと前記磁石とを磁力によって吸着させる工程の後に、前記磁性体と前記磁石との間の距離を調整する工程をさらに備えることが好ましい。
【0010】
態様5の光アイソレータの製造方法では、態様1から態様4のいずれか1つの態様において、前記第1の偏光子の光透過軸の方向を調整する工程の後に、前記第1の偏光子ホルダを固定する工程を含むことが好ましい。
【0011】
態様6の光アイソレータの製造方法では、態様5において、前記第1の偏光子ホルダを固定する工程の後に、前記磁性体を前記第1の偏光子ホルダから取り外す工程をさらに備えることが好ましい。
【0012】
態様7の光アイソレータの製造方法では、態様5又は態様6において、前記第1の偏光子ホルダを固定する工程の後に、前記第2の偏光子ホルダを固定することが好ましい。
【0013】
態様8の光アイソレータの製造方法では、態様1から態様7のいずれか1つの態様において、前記第1の偏光子ホルダと前記磁石とを磁力によって吸着させる工程では、前記磁性体が内部に配置された前記第1の偏光子ホルダを用意する工程を含むことが好ましい。
【0014】
態様9の光アイソレータの製造方法では、態様1から態様8のいずれか1つの態様において、前記第1の偏光子ホルダと前記磁石とを磁力によって吸着させる工程の前に、前記第2の偏光子ホルダを固定することが好ましい。
【0015】
本発明の態様10に係る光アイソレータの製造方法は、ファラデー素子と、前記ファラデー素子が内部に設けられる磁石と、前記ファラデー素子の光入射側に配置される第1の偏光子と、前記ファラデー素子の光出射側に配置される第2の偏光子と、前記第1の偏光子を収納する第1の偏光子ホルダと、前記第2の偏光子を収納する第2の偏光子ホルダと、を有する光アイソレータの製造方法であって、前記第2の偏光子ホルダに磁性体を配置し、前記第2の偏光子ホルダと前記磁石とを磁力によって吸着させる工程と、前記第2の偏光子ホルダと前記磁石とを磁力によって吸着させる工程の後に、前記第2の偏光子ホルダを回転させることにより、前記第2の偏光子の光透過軸の方向を調整する工程と、を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明の態様11に係る光アイソレータは、光が通過する貫通孔を有する磁石と、前記磁石の前記貫通孔内に設けられているファラデー素子と、前記光が前記磁石の前記貫通孔を通過する方向を光軸方向としたときに、前記磁石の前記光軸方向における一方端面側に配置されている第1の偏光子、及び他方端面側に配置されている第2の偏光子と、前記第1の偏光子を収納している第1の偏光子ホルダ及び前記第2の偏光子を収納している第2の偏光子ホルダと、を備え、前記第1の偏光子ホルダ内に、少なくとも1つの磁性体が配置されていることを特徴とする。
【0017】
態様12の光アイソレータでは、態様11において、前記第1の偏光子ホルダ内に複数の前記磁性体が配置されていることが好ましい。
【0018】
態様13の光アイソレータでは、態様11又は態様12において、前記第1の偏光子ホルダが穴部を有し、前記穴部内に前記磁性体が配置されていることが好ましい。
【0019】
態様14の光アイソレータでは、態様13において、前記穴部がねじ穴部であり、前記磁性体が前記ねじ穴部に螺合するねじ溝部を有することが好ましい。
【0020】
態様15の光アイソレータでは、態様11から態様14のいずれか1つの態様において、前記第1の偏光子ホルダが、非磁性材料で構成されていることが好ましい。
【0021】
本発明の態様16に係る光アイソレータは、光が通過する貫通孔を有する磁石と、前記磁石の前記貫通孔内に設けられているファラデー素子と、前記光が前記磁石の前記貫通孔を通過する方向を光軸方向としたときに、前記磁石の前記光軸方向における一方端面側に配置されている第1の偏光子、及び他方端面側に配置されている第2の偏光子と、前記第1の偏光子を収納している第1の偏光子ホルダ及び前記第2の偏光子を収納している第2の偏光子ホルダと、を備え、前記第1の偏光子ホルダがねじ穴部を有し、前記ねじ穴部が空洞であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、偏光子における光透過軸の方向のずれを抑制することができる、光アイソレータの製造方法及び光アイソレータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光アイソレータの、光軸方向に沿う断面を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る光アイソレータの、光軸方向と直交する方向に沿う断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1の実施形態における、第1の偏光子ホルダ及び第1の偏光子の斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1の実施形態における、第1の偏光子ホルダ、第1の偏光子及び磁性体の、光軸方向に沿う断面を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の第1の実施形態に係る光アイソレータの斜視図である。
【
図6】
図6(a)及び
図6(b)は、本発明の光アイソレータの製造方法の第1の実施形態における、第1の偏光子ホルダ及び第2の偏光子ホルダを用意する工程までを説明するための、光軸方向に沿う断面を示す斜視図である。
【
図7】
図7(a)~
図7(c)は、本発明の光アイソレータの製造方法の第1の実施形態における、磁性体を配置する工程、磁性体と磁石との間の距離を調整する工程、及び第1の偏光子ホルダの角度を調整する工程を説明するための、光軸方向に沿う断面を示す斜視図である。
【
図8】
図8(a)及び
図8(b)は、本発明の光アイソレータの製造方法の第1の実施形態における、ケース部材及び各蓋部材に磁石及び各偏光子ホルダを収納する工程、及び当該収納後に第1の偏光子ホルダの角度を調整する工程を説明するための、光軸方向に沿う断面を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、本発明の光アイソレータの製造方法の第1の実施形態における、第1のファイバコリメータ及び第2のファイバコリメータを配置する工程までを説明するための斜視図である。
【
図10】
図10は、本発明の光アイソレータの製造方法の一例における、第2の偏光子ホルダと磁石とを吸着させる工程、及び第2の偏光子ホルダの角度を調整する工程を説明するための、光軸方向に沿う断面を示す斜視図である。
【
図11】
図11は、本発明の第1の実施形態の第1の変形例に係る光アイソレータの、光軸方向に沿う断面を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、本発明の第1の実施形態の第2の変形例に係る光アイソレータの斜視図である。
【
図13】
図13は、本発明の第2の実施形態に係る光アイソレータの、光軸方向に沿う断面を示す斜視図である。
【
図14】
図14(a)~
図14(c)は、本発明の光アイソレータの製造方法の第2の実施形態を説明するための、光軸方向に沿う断面を示す斜視図である。
【
図15】
図15は、本発明の第3の実施形態に係る光アイソレータの、光軸方向に沿う断面を示す斜視図である。
【
図16】
図16は、本発明の第3の実施形態における、第1の偏光子ホルダ、第1の偏光子及び磁性体の光軸方向に沿う断面を示す斜視図である。
【
図17】
図17(a)~
図17(c)は、本発明の光アイソレータの製造方法の第3の実施形態を説明するための、光軸方向に沿う断面を示す斜視図である。
【
図18】
図18は、本発明の第4の実施形態に係る光アイソレータの斜視図である。
【
図19】
図19は、本発明の第4の実施形態に係る光アイソレータの、光軸方向に沿う断面を示す斜視図である。
【
図20】
図20は、本発明の第5の実施形態に係る光アイソレータの斜視図である。
【
図21】
図21は、本発明の第5の実施形態に係る光アイソレータの、光軸方向に沿う断面を示す斜視図である。
【
図22】
図22は、本発明の第5の実施形態に係る光アイソレータの、光軸方向に沿う断面であって、
図21に示す断面とは別の断面を示す斜視図である。
【
図23】
図23は、本発明の第6の実施形態に係る2連結光アイソレータの斜視図である。
【0024】
以下、好ましい実施形態について説明する。但し、以下の実施形態は単なる例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、各図面において、実質的に同一の機能を有する部材は同一の符号で参照する場合がある。
【0025】
(光アイソレータ)
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光アイソレータの、光軸方向に沿う断面を示す斜視図である。
図2は、第1の実施形態に係る光アイソレータの、光軸方向と直交する方向に沿う断面図である。
【0026】
図1に示すように、光アイソレータ1は、ファラデー素子2と、1対の偏光子としての第1の偏光子3及び第2の偏光子4と、第1の偏光子ホルダ5及び第2の偏光子ホルダ6と、磁石7と、管部材8と、複数の磁性体9とを備える。
【0027】
磁石7は角筒状の形状を有する。磁石7は、貫通孔7aを有する。該貫通孔7aを光が通過する。以下においては、光が磁石7の貫通孔7aを通過する方向を光軸方向とする。
【0028】
磁石7は、より具体的には、第1の端面7b及び第2の端面7cと、側面7dとを有する。第1の端面7b及び第2の端面7cは、光軸方向において互いに対向している。第1の端面7bは、磁石7の光軸方向における一方端面である。第2の端面7cは、磁石7の光軸方向における他方端面である。第1の端面7b及び第2の端面7cに、側面7dが接続されている。第1の端面7b及び第2の端面7cの双方において、貫通孔7aが開口している。
【0029】
図2に示すように、磁石7における貫通孔7aの、光軸方向と直交する方向に沿う断面の形状は、正方形である。なお、貫通孔7aの該断面の形状は上記に限定されず、例えば円形などであってもよい。磁石7の形状も角筒状に限定されず、例えば円筒状などであってもよい。
【0030】
磁石7の貫通孔7a内には、管部材8が設けられている。本実施形態では、管部材8は金属パイプである。管部材8は円筒状の形状を有する。管部材8は貫通孔8aを有する。該貫通孔8aを光が通過する。管部材8における貫通孔8aの、光軸方向と直交する方向に沿う断面の形状は、円形である。本実施形態では、管部材8の材料としてSUS304が用いられている。もっとも、管部材8の材料は上記に限定されない。
【0031】
図1に戻り、管部材8内には、ファラデー素子2が設けられている。より具体的には、管部材8の貫通孔8a内における、磁石7の貫通孔7a内に位置している部分に、ファラデー素子2が配置されている。なお、管部材8は必ずしも設けられていなくともよい。この場合、磁石7の貫通孔7a内にファラデー素子2が設けられていればよい。
【0032】
磁石7の第1の端面7b側に第1の偏光子3が配置されている。一方で、磁石7の第2の端面7c側に第2の偏光子4が配置されている。すなわち、第1の偏光子3及び第2の偏光子4は、ファラデー素子2を光軸方向において挟み互いに対向している。本実施形態では、光が第1の偏光子3側から入射し、ファラデー素子2を通り、第2の偏光子4側から出射される。
【0033】
第1の偏光子3及び第2の偏光子4はそれぞれ、光透過軸を有する。第1の偏光子3を通った光は、光透過軸に応じた直線偏光となる。ファラデー素子2は、直線偏光の偏光面を回転させる。ファラデー素子2が偏光面を回転させる角度が、回転角である。第2の偏光子4における光透過軸の、第1の偏光子3における光透過軸に対する角度は、回転角と等しくされている。
【0034】
本実施形態においては、第1の偏光子3及び第2の偏光子4はいずれも、偏光ビームスプリッタ(PBS)である。よって、P偏光またはS偏光が、第1の偏光子3を通りファラデー素子2に入射する。第2の偏光子4は、P偏光及びS偏光のうち、ファラデー素子2に入射する方を、光軸方向に通過させるように配置されている。もっとも、第1の偏光子3及び第2の偏光子4はPBSに限定されるものではない。
【0035】
第1の偏光子3は第1の偏光子ホルダ5に収納されている。第1の偏光子ホルダ5は、磁石7の第1の端面7bに配置されている。一方で、第2の偏光子4は第2の偏光子ホルダ6に収納されている。第2の偏光子ホルダ6は、磁石7の第2の端面7cに配置されている。本実施形態においては、第1の偏光子ホルダ5及び第2の偏光子ホルダ6と磁石7とは、接着剤により固定されている。もっとも、第1の偏光子ホルダ5及び第2の偏光子ホルダ6と磁石7との形態は、接着剤によって固定された形態には限定されない。例えば、第1の偏光子ホルダ5及び第2の偏光子ホルダ6と磁石7とが接着剤により固定されておらず、かつ第1の偏光子ホルダ5及び第2の偏光子ホルダ6と磁石7とが磁力で吸着していてもよい。あるいは、本発明においては、第1の偏光子ホルダ5及び第2の偏光子ホルダ6が接着剤によって固定される対象が、磁石7以外であってもよい。
【0036】
図3は、第1の実施形態における、第1の偏光子ホルダ及び第1の偏光子の斜視図である。
図4は、第1の実施形態における、第1の偏光子ホルダ、第1の偏光子及び磁性体の、光軸方向に沿う断面を示す斜視図である。
【0037】
図3に示すように、第1の偏光子ホルダ5は、基部5Aと、1対の支持部5Bとを有する。基部5A上に1対の支持部5Bが設けられている。第1の偏光子3は、第1の偏光子ホルダ5の基部5A上に設けられており、かつ1対の支持部5Bにより挟持されている。
【0038】
本実施形態では、基部5Aは円筒状の形状を有する。
図4に示すように、基部5Aは貫通孔5aを有する。第1の偏光子3は、基部5Aの貫通孔5aを塞ぐように配置されている。
図3に示すように、各支持部5Bは略半円柱状の形状を有する。よって、各支持部5Bの側面は、平面状の側面と、曲面状の側面とを含む。各支持部5Bは、平面状の側面によって、第1の偏光子3を支持している。もっとも、支持部5Bの個数及び形状は上記に限定されるものではない。第1の偏光子3を支持するように、支持部5Bが構成されていればよい。
【0039】
基部5A及び1対の支持部5Bは一体として構成されている。なお、基部5A及び1対の支持部5Bが個別に構成され、かつ基部5A及び1対の支持部5Bが接合されていてもよい。第1の偏光子ホルダ5の材料としては、非磁性材料を採用することが好ましい。本実施形態においては、非磁性材料である、アルミニウム合金が用いられている。もっとも、第1の偏光子ホルダ5の材料は上記に限定されない。
【0040】
第1の偏光子ホルダ5は複数の穴部5bを有する。
図4に示すように、複数の穴部5bのうち1つの穴部5bは、基部5A及び一方の支持部5Bを貫通している。他の1つの穴部5bは、基部5A及び他方の支持部5Bを貫通している。これらのように、各穴部5bは、第1の偏光子ホルダ5を貫通している貫通穴である。なお、各穴部5bは、必ずしも第1の偏光子ホルダ5を貫通していなくともよい。各穴部5bは凹部であってもよい。
【0041】
各穴部5bは、本実施形態ではねじ穴部である。各穴部5b内に磁性体9が配置されている。磁性体9は、具体的には、止めねじである。よって、磁性体9は駆動部9a及びねじ溝部を有する。駆動部9aは、磁性体9における、六角レンチ等の治具を嵌合させる部分である。磁性体9の駆動部9aは、磁性体9における、
図1に示す磁石7に近い方の端部側、及び磁石7から遠い方の端部側のうち、磁石7から遠い方の端部側に位置している。ねじ溝部は、具体的には、ねじ穴部に螺合可能な溝部である。磁性体9の材料としては、磁性を帯びることが可能な材料であれば特に限定はされないが、本実施形態においては、クロムモリブデン鋼が用いられている。
【0042】
なお、磁性体9は止めねじに限定されない。そして、第1の偏光子ホルダ5における穴部5bは、ねじ穴部に限定されない。穴部5bは、磁性体9を配置するために設けられていればよい。
【0043】
図1に示す第2の偏光子ホルダ6も、第1の偏光子ホルダ5と同様に構成されている。なお、第1の偏光子ホルダ5及び第2の偏光子ホルダ6のうち少なくとも第1の偏光子ホルダ5内に、少なくとも1つの磁性体9が配置されていることが好ましい。第2の偏光子ホルダ6内に磁性体9が配置されている場合、第2の偏光子ホルダ6内に、少なくとも1つの磁性体9が配置されていればよい。第1の偏光子ホルダ5には磁性体9が配置されておらず、第2の偏光子ホルダ6のみに磁性体9が配置されていてもよい。
【0044】
第2の偏光子ホルダ6の貫通孔を塞ぐように、第2の偏光子4が配置されている。第1の偏光子ホルダ5及び第2の偏光子ホルダ6の貫通孔は、磁石7の貫通孔7aと連通している。第1の偏光子ホルダ5及び第2の偏光子ホルダ6の貫通孔、並びに磁石7の貫通孔7aを光が通過する。
【0045】
なお、第1の偏光子ホルダ5の貫通孔5a内に、上記管部材8の一方端部を含む部分が位置している。第2の偏光子ホルダ6の貫通孔内に、管部材8の他方端部を含む部分が位置している。管部材8の残りの部分は、磁石7の貫通孔7a内に位置している。
【0046】
図5は、第1の実施形態に係る光アイソレータの斜視図である。
【0047】
光アイソレータ1は、ケース部材12、第1の蓋部材13、第2の蓋部材14、第1のファイバコリメータ15及び第2のファイバコリメータ16をさらに備える。ケース部材12は角筒状の形状を有する。よって、ケース部材12においては、複数の平面状の側面同士が、稜線部により接続されている。同様に、第1の蓋部材13及び第2の蓋部材14も角筒状の形状を有する。
【0048】
図1に示すように、磁石7、第1の偏光子ホルダ5及び第2の偏光子ホルダ6は、ケース部材12、第1の蓋部材13及び第2の蓋部材14に収納されている。具体的には、第1の蓋部材13は、第1の偏光子ホルダ5の周囲を覆うように設けられている。より具体的には、第1の蓋部材13の内壁面は段差部を有する。これにより、第1の蓋部材13の内径は一定ではない。一方で、
図3に示す第1の偏光子ホルダ5においても、基部5A及び各支持部5Bにより、段差部が構成されている。第1の蓋部材13の内壁面と、第1の偏光子ホルダ5における基部5Aの側面、及び各支持部5Bの曲面状の側面とが、互いに嵌合している。
【0049】
同様に、第2の蓋部材14は、第2の偏光子ホルダ6の周囲を覆うように設けられている。第2の蓋部材14の内壁面と、第2の偏光子ホルダ6における基部の側面、及び各支持部における曲面状の側面とが、互いに嵌合している。
【0050】
ケース部材12は、第1の蓋部材13の周囲の一部、第2の蓋部材14の周囲の一部、及び磁石7の周囲を覆うように設けられている。なお、第1の蓋部材13は側面13dを有する。第1の蓋部材13において、側面13dは、ケース部材12の内壁面と対向している。そして、側面13dは段差部を有する。これにより、第1の蓋部材13の外径は一定ではない。ケース部材12と、第1の蓋部材13とが互いに嵌合している。具体的には、ケース部材12の内壁面及び光軸方向における一方端部と、第1の蓋部材13の側面13dの一部及び段差部とが、互いに嵌合している。
【0051】
同様に、ケース部材12と、第2の蓋部材14とが互いに嵌合している。本実施形態においては、第1の蓋部材13及び第2の蓋部材14と、ケース部材12とは、ねじ留めにより固定されている。なお、第1の蓋部材13及び第2の蓋部材14と、ケース部材12との固定の手段はねじ留めに限定されない。
【0052】
他方、
図2に示すように、ケース部材12の内壁面と、磁石7の側面7dとの間には、空隙部Aが設けられている。ケース部材12の内壁面と、磁石7の側面7dとの間の距離は、例えば、1mm程度である。
【0053】
図1に戻り、上記のように、第1の蓋部材13及び第2の蓋部材14は、角筒状の形状を有する。光は、第1の蓋部材13における開口している部分を通り、第1の偏光子3に入射する。一方で、第1の偏光子3から出射された光は、第2の蓋部材14における開口している部分を通る。
【0054】
ケース部材12、第1の蓋部材13及び第2の蓋部材14の材料としては、アルミニウム合金が用いられている。もっとも、ケース部材12、第1の蓋部材13及び第2の蓋部材14の材料は上記に限定されない。
【0055】
第1の偏光子ホルダ5側に第1のファイバコリメータ15が設けられている。具体的には、第1の蓋部材13に第1のファイバコリメータ15が、ねじ留めにより固定されている。第2の偏光子ホルダ6側に第2のファイバコリメータ16が設けられている。具体的には、第2の蓋部材14に第2のファイバコリメータ16が、ねじ留めにより固定されている。もっとも、第1のファイバコリメータ15の固定、及び第2のファイバコリメータ16の固定の手段はねじ留めに限定されない。
【0056】
光は、第1のファイバコリメータ15を経て、第1の偏光子3に入射する。光は、第1の偏光子3を通り、直線偏光となってファラデー素子2に入射する。そして、ファラデー素子2を通った光の偏光面が回転する。ファラデー素子2から出射された光は、第2の偏光子4に入射する。第2の偏光子4を通った光が、第2のファイバコリメータ16を経て、光アイソレータ1から光ファイバに導光される。
【0057】
このように、光アイソレータ1においては、ファラデー素子2の光入射側に、第1のファイバコリメータ15及び第1の偏光子3が配置されている。ファラデー素子2の光出射側に、第2のファイバコリメータ16及び第2の偏光子4が配置されている。なお、ファラデー素子2の光入射側に、第2のファイバコリメータ16及び第2の偏光子4が配置されていてもよく、ファラデー素子2の光出射側に、第1のファイバコリメータ15及び第1の偏光子3が配置されていてもよい。
【0058】
本実施形態の特徴は、第1の偏光子ホルダ5内に、少なくとも1つの磁性体9が配置されていることにある。それによって、偏光子における光透過軸の方向のずれを抑制することができる。より具体的には、第1の偏光子3における光透過軸、及び第2の偏光子4における光透過軸がなす角の角度のずれを抑制することができる。この詳細を、以下において、光アイソレータ1の製造方法の例と共に説明する。
【0059】
(光アイソレータの製造方法)
(製造方法の第1の実施形態)
図6(a)及び
図6(b)は、本発明の光アイソレータの製造方法の第1の実施形態における、第1の偏光子ホルダ及び第2の偏光子ホルダを用意する工程までを説明するための、光軸方向に沿う断面を示す斜視図である。
図7(a)~
図7(c)は、光アイソレータの製造方法の第1の実施形態における、磁性体を配置する工程、磁性体と磁石との間の距離を調整する工程、及び第1の偏光子ホルダの角度を調整する工程を説明するための、光軸方向に沿う断面を示す斜視図である。
図8(a)及び
図8(b)は、光アイソレータの製造方法の第1の実施形態における、ケース部材及び各蓋部材に磁石及び各偏光子ホルダを収納する工程、及び当該収納後に第1の偏光子ホルダの角度を調整する工程を説明するための、光軸方向に沿う断面を示す斜視図である。
図9は、光アイソレータの製造方法の第1の実施形態における、第1のファイバコリメータ及び第2のファイバコリメータを配置する工程までを説明するための斜視図である。
【0060】
まず、
図6(a)に示す、磁石7、管部材8及びファラデー素子2を用意する。次に、磁石7の貫通孔7a内に管部材8を配置する。このとき、管部材8の両端部は、磁石7の貫通孔7aの外に位置している。次に、管部材8内にファラデー素子2を配置する。もっとも、管部材8内にファラデー素子2を配置した後に、管部材8の一部が磁石7の貫通孔7a内に位置するように、管部材8を配置してもよい。
【0061】
一方で、
図6(b)に示す、第1の偏光子3、第2の偏光子4、第1の偏光子ホルダ5及び第2の偏光子ホルダ6を用意する。次に、第1の偏光子ホルダ5内に第1の偏光子3を収納する。具体的には、第1の偏光子ホルダ5の貫通孔5aを塞ぐように、第1の偏光子3を配置する。同様に、第2の偏光子ホルダ6内に第2の偏光子4を収納する。
【0062】
次に、
図7(a)に示すように、磁石7の第1の端面7bに、第1の偏光子ホルダ5を配置する。具体的には、第1の偏光子ホルダ5の貫通孔5a内に、管部材8の一部が位置するように、第1の偏光子ホルダ5を配置する。
【0063】
次に、第1の偏光子ホルダ5の複数の穴部5b内にそれぞれ、磁性体9を配置する。より具体的には、穴部5bとしてのねじ穴部に、磁性体9をねじ締めによって配置する。磁性体9には、磁石7側に向かう磁力が加えられる。これにより、第1の偏光子ホルダ5には、磁石7側に向かう力が加えられる。そして、磁力によって、第1の偏光子ホルダ5が磁石7に吸着する。
【0064】
第1の偏光子ホルダ5と磁石7とを磁力によって吸着させる工程の後に、
図7(a)中の両矢印Lによって示すように、磁性体9と、磁石7との間の距離を調整する。なお、本実施形態では、磁性体9は止めねじであり、第1の偏光子ホルダ5の穴部5bはねじ穴部である。磁性体9の駆動部9aと六角レンチ等の治具とを嵌合させ、磁性体9を回転させることにより、磁性体9を磁石7に近づけ、または磁性体9を磁石7から遠ざける。これにより、磁性体9と、磁石7との間の磁力を調整する。それによって、第1の偏光子ホルダ5の磁石7に対する吸着力を調整する。
【0065】
同様に、
図7(b)に示すように、磁石7の第2の端面7cに、第2の偏光子ホルダ6を配置する。なお、
図7(b)に示す断面には、第2の偏光子ホルダ6の穴部は位置していない。次に、第2の偏光子ホルダ6の複数の穴部内にそれぞれ、磁性体9を配置する。次に、第2の偏光子ホルダ6と磁石7とを磁力によって吸着させる。次に、磁性体9と、磁石7との間の距離を調整する。
【0066】
次に、
図7(c)中の両矢印R1により示すように、第1の偏光子ホルダ5を磁石7に設置する角度を調整する。具体的には、第1の偏光子ホルダ5を、光軸方向に延びる軸を中心に摺動させ、回転させることによって、上記角度を調整する。より具体的には、本実施形態では、管部材8を中心軸として第1の偏光子ホルダ5を摺動させ、回転させる。これにより、第1の偏光子3の光透過軸の方向を調整する。
【0067】
ここで、本実施形態においては、第1の偏光子ホルダ5内に磁性体9が配置されている。そして、磁力によって、第1の偏光子ホルダ5が磁石7に吸着している。これにより、第1の偏光子ホルダ5を磁石7に設置する角度を調整した後においても、該角度にずれが生じ難い。
【0068】
同様に、第2の偏光子ホルダ6を磁石7に設置する角度を調整する。具体的には、磁石7に対して第2の偏光子ホルダ6を摺動させ、回転させる。これにより、第2の偏光子4の光透過軸の方向を調整する。
【0069】
次に、第1の偏光子ホルダ5及び磁石7を固定する。本実施形態では、具体的には、第1の偏光子ホルダ5及び磁石7を接着剤により固定する。その後、第2の偏光子ホルダ6及び磁石7を固定する。本実施形態では、具体的には、第2の偏光子ホルダ6及び磁石7を接着剤により固定する。なお、本実施形態では、第1の偏光子ホルダ5及び磁石7を磁力によって吸着させることにより光透過軸の方向を調整した後に、接着剤の塗布を行っているが、この形態には限定されない。例えば、第1の偏光子ホルダ5と磁石7との間に予め接着剤を設けた後、接着剤の接着力を発揮させる前に、第1の偏光子ホルダ5及び磁石7を磁力によって吸着させてもよい。次に、接着剤を介して、磁石7に対して第1の偏光子ホルダ5を摺動させることで、光透過軸の方向の調整を行ってもよい。その後に接着剤の接着力を発揮させることで、第1の偏光子ホルダ5と磁石7とを固定してもよい。
【0070】
次に、
図8(a)に示す、ケース部材12、第1の蓋部材13及び第2の蓋部材14を用意する。次に、ケース部材12内に磁石7を配置する。次に、第1の偏光子ホルダ5を覆うように、第1の蓋部材13を配置する。具体的には、第1の蓋部材13の内壁面と、第1の偏光子ホルダ5の基部5Aにおける側面、及び1対の支持部5Bにおける曲面状の側面とを互いに嵌合させる。同時に、ケース部材12の内壁面及び光軸方向における一方端部と、第1の蓋部材13の側面13dの一部及び段差部とを互いに嵌合させる。
【0071】
同様に、第2の偏光子ホルダ6を覆うように、第2の蓋部材14を配置する。具体的には、第2の蓋部材14と、第2の偏光子ホルダ6とを互いに嵌合させる。同時に、ケース部材12と、第2の蓋部材14とを互いに嵌合させる。
【0072】
次に、第1の蓋部材13及びケース部材12を固定する。本実施形態では、第1の蓋部材13及びケース部材12をねじ留めにより固定する。なお、このねじ留めには、ねじ17が用いられている。同様に、第2の蓋部材14及びケース部材12をねじ留めにより固定する。
【0073】
次に、
図8(b)中の両矢印R2により示すように、外部に出射される直線偏光の角度を調整する。具体的には、第2の偏光子4における光透過軸の方向を調整する。もっとも、第1の偏光子3及び第2の偏光子4における位置同士の関係、及び光透過軸の方向同士の関係は、
図7(c)に示した工程において固定されている。よって、この工程においては、第1の偏光子3における光透過軸、及び第2の偏光子4における光透過軸がなす角の角度に変化は生じない。
【0074】
この工程では、より具体的には、第2の偏光子ホルダ6が第2の蓋部材14及びケース部材12に収納された状態において、第2の偏光子ホルダ6を光軸方向に延びる軸を中心に回転させる。これにより、第2の偏光子4における光透過軸の方向を調整し、外部に出射される直線偏光の角度を調整する。なお、第2の偏光子ホルダ6を回転させるに伴い、磁石7及び第1の偏光子ホルダ5も同時に回転する。
【0075】
本実施形態では、ケース部材12の内壁面と、磁石7の側面7dとの間に空隙部が設けられている。これにより、
図8(b)に示す、当該調整が可能とされている。
【0076】
次に、ケース部材12及び第2の偏光子ホルダ6を、
図9に示すねじ18を用いて固定する。具体的には、本実施形態では、ねじ18をケース部材12の稜線部に留めるに際し、第2の偏光子ホルダ6に該ねじ18を当接させることによって、ケース部材12及び第2の偏光子ホルダ6を固定する。同様に、ケース部材12及び第1の偏光子ホルダ5を、別のねじ18を用いて固定する。
【0077】
次に、
図9に示すように、第1のファイバコリメータ15及び第2のファイバコリメータ16を用意する。次に、第1のファイバコリメータ15を第1の蓋部材13に固定する。本実施形態では、第1の蓋部材13及び第1のファイバコリメータ15をねじ留めにより固定する。同様に、第2の蓋部材14及び第2のファイバコリメータ16をねじ留めにより固定する。以上により、
図1に示す光アイソレータ1を得る。なお、上記の製造方法は一例であって、光アイソレータ1の製造方法は上記に限定されない。
【0078】
本実施形態では、第1の偏光子ホルダ5内に、少なくとも1つの磁性体9が配置されている。それによって、第1の偏光子ホルダ5を磁石7に固定する前においても、磁力によって、第1の偏光子ホルダ5を磁石7に吸着させることができる。これにより、第1の偏光子ホルダ5を磁石7に設置する角度を調整した後においても、第1の偏光子ホルダ5を磁石7に固定するまで、該角度にずれが生じ難い。よって、第1の偏光子3における光透過軸の方向にずれが生じ難い。従って、第1の偏光子3における光透過軸、及び第2の偏光子4における光透過軸がなす角の角度のずれを抑制することができる。
【0079】
第1の偏光子ホルダ5内及び第2の偏光子ホルダ6内にそれぞれ、少なくとも1つの磁性体9が配置されていることが好ましい。それによって、第2の偏光子4における光透過軸の方向を調整した後においても、該方向のずれが生じ難い。従って、第1の偏光子3における光透過軸、及び第2の偏光子4における光透過軸がなす角の角度のずれをより確実に抑制することができる。
【0080】
第1の偏光子ホルダ5内に複数の磁性体9が配置されていることが好ましい。それによって、第1の偏光子ホルダ5の磁石7に対する吸着力を、広い範囲において、より確実に高めることができる。よって、第1の偏光子3における光透過軸の方向のずれを、効果的に抑制することができる。
【0081】
図7(a)に示すように、磁性体9の駆動部9aが、磁性体9における磁石7に近い方の端部側、及び磁石7から遠い方の端部側のうち、磁石7から遠い方の端部側に位置していることが好ましい。それによって、磁力により第1の偏光子ホルダ5を磁石7に吸着させた状態において、磁性体9と、磁石7との間の距離を調整することができる。よって、第1の偏光子ホルダ5の磁石7側に対する吸着力を好適な大きさに、より確実に調整することができる。
【0082】
より詳細には、例えば、上記吸着力が小さすぎると、第1の偏光子3における光透過軸の方向のずれを抑制する効果が小さくなるおそれがある。一方で、上記吸着力が大きすぎると、第1の偏光子ホルダ5を回転させ難くなり、第1の偏光子3における光透過軸の方向を調整し難くなるおそれがある。本実施形態においては、上記吸着力を好適な大きさに調整することができる。従って、第1の偏光子3における光透過軸、及び第2の偏光子4における光透過軸がなす角の角度のずれを容易に抑制することができる。
【0083】
第1の偏光子ホルダ5の穴部5bが、ねじ穴部であることが好ましい。これにより、磁性体9と、磁石7との間の距離を短くすること、及び長くすることの双方を容易に行うことができる。よって、磁性体9と、磁石7との間の磁力の大きさを容易に調整することができる。従って、第1の偏光子ホルダ5の磁石7側に対する吸着力を容易に調整することができる。
【0084】
なお、穴部5bは必ずしもねじ穴部ではなくともよい。この場合にも、例えば、磁性体9を外部から押圧することにより、磁石7との間の距離を調整することができる。もっとも、上記のように、穴部5bがねじ穴部であることが好ましい。
【0085】
穴部5bは、例えば、凹部であるねじ穴部であってもよい。この場合、例えば、穴部5bは、第1の偏光子ホルダ5における磁石7側に位置している部分、及び該部分と対向している部分のいずれにおいて開口していてもよい。もっとも、穴部5bが、第1の偏光子ホルダ5における磁石7側に位置している部分と対向している部分において、開口していることが好ましい。それによって、磁力により第1の偏光子ホルダ5を磁石7に吸着させた状態において、磁性体9と、磁石7との間の距離を調整することができる。
【0086】
他方、特に、磁性体9と磁石7との間の距離を調整する必要がない場合においては、穴部5bはねじ穴部ではなくてもよい。この場合、穴部5bは丸穴には限定されず、開口部の形状が四角形、六角形等の多角形状である穴部5bでもよい。また、予め磁性体9と磁石7との距離が決まっている場合については、穴部5bは凹部であることが好ましい。あるいは、この場合において、穴部5bを、磁性体9が磁石7と直接接触しないように、途中で段差を設けた貫通穴として構成してもよい。
【0087】
本実施形態のように、管部材8が設けられていることが好ましい。この場合には、第1の偏光子3の光透過軸の方向を調整するに際し、管部材8を中心軸として、第1の偏光子ホルダ5を回転させればよい。これにより、当該調整に際し、第1の偏光子ホルダ5の位置ずれが生じ難い。同様に、第2の偏光子4の光透過軸の方向を調整するに際しても、第2の偏光子ホルダ6の位置ずれが生じ難い。もっとも、管部材8が設けられていない場合であったとしても、磁石7と第1の偏光子ホルダ5とを磁力によって吸着することで仮固定することができる。そのため、第1の偏光子ホルダ5の貫通孔5aと磁石7の貫通孔7aとを摺動させながら位置合わせすることができるため、位置合わせが容易となる。
【0088】
図2に示すように、ケース部材12の内壁面と、磁石7の側面7dとの間に、空隙部Aが設けられていることが好ましい。それによって、
図1に示すケース部材12、第1の蓋部材13及び第2の蓋部材14に、磁石7、第1の偏光子ホルダ5及び第2の偏光子ホルダ6が収納された後においても、外部に出射される直線偏光の角度を調整することができる。従って、光アイソレータ1における、外部に出射される直線偏光の角度の精度を高くすることができる。
【0089】
第1の蓋部材13及び第1の偏光子ホルダ5が互いに嵌合している部分、並びに第2の蓋部材14及び第2の偏光子ホルダ6が互いに嵌合している部分における、光軸方向から見たときの形状が円形であることが好ましい。それによって、ケース部材12、第1の蓋部材13及び第2の蓋部材14に、磁石7、第1の偏光子ホルダ5及び第2の偏光子ホルダ6が収納された後においても、外部に出射される直線偏光の角度を容易に調整することができる。加えて、磁石7、第1の偏光子ホルダ5及び第2の偏光子ホルダ6を好適に収納することができる。
【0090】
管部材8の肉厚が、0.1mm以下であることが好ましく、0.08mm以下であることがより好ましく、0.05mm以下であることがさらに好ましく、0.045mm以下であることがより一層好ましい。それによって、光アイソレータ1の大型化を招くことなく、光アイソレータ1における、光学的に有効となる径を大きくすることができる。
【0091】
一方で、管部材8の肉厚が、0.03mm以上であることが好ましく、0.035mm以上であることがより好ましい。この場合、管部材8の強度を十分とすることができる。
【0092】
ケース部材12の材料として、Al-Mg系の合金であるA5052、またはAl-Mg-Si系の合金であるA6063が用いられていることが好ましい。それによって、ケース部材12の強度を好適に高めることができる。ケース部材12の材料として、A6063が用いられていることがより好ましい。この場合には、押し出し成型によって、角筒状の部材を容易に得ることができる。よって、特にケース部材12を容易に得ることができ、生産性を高めることができる。さらに、ケース部材12の強度を高めることができ、かつ厚みを薄くすることができる。
【0093】
なお、ケース部材12の材料として、A5052を用いる場合には、例えば、切削加工によりケース部材12を形成すればよい。もっとも、ケース部材12の材料は上記に限定されない。例えば、ケース部材12の材料として、Al-Mg-Si系の合金であるA6061なども好適に用いることができる。
【0094】
ケース部材12の肉厚が、1mm以上、3.5mm以下であることが好ましい。この場合には、光アイソレータ1の小型化を進めることができる。ケース部材12の材料として、A6063が用いられている場合には、ケース部材12の厚みが上記範囲である場合においても、ケース部材12の強度を高めることができる。特に、ケース部材12の材料として、A6063が用いられ、かつケース部材12の厚みが、1mm以上、3.5mm以下であることが好ましい。それによって、光アイソレータ1の小型化をより確実に進めることができ、かつ光アイソレータ1をより確実に破損し難くすることができる。
【0095】
ところで、
図7(c)に示した、第2の偏光子ホルダ6と磁石7とを固定する工程は、第1の偏光子ホルダ5及び磁石7を固定する工程の後に行うことに限定されない。例えば、
図10に示すように、第1の偏光子ホルダ5と磁石7とを磁力によって吸着させる工程の前に、第2の偏光子ホルダ6と磁石7とを固定してもよい。この場合、例えばまず、第2の偏光子ホルダ6内に磁性体9を配置する。次に、第2の偏光子ホルダ6と、磁石7とを磁力によって吸着させる。次に、磁性体9と、磁石7との間の距離を調整する。次に、第2の偏光子ホルダ6を磁石7に設置する角度を調整する。具体的には、磁石7に対して第2の偏光子ホルダ6を摺動させ、回転させる。これにより、第2の偏光子4の光透過軸の方向を調整する。その後、
図7(a)~
図7(c)に示した工程を行えばよい。
【0096】
光アイソレータの構成は、
図1に示す第1の実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、第1の偏光子ホルダ5及び第2の偏光子ホルダ6のうち、第1の偏光子ホルダ5内のみに磁性体9が配置されていてもよい。この場合においても、第1の偏光子ホルダ5と、磁石7とを磁力によって吸着させる工程を用いることによって、第1の偏光子3における光透過軸の方向にずれを生じ難くすることができる。従って、第1の偏光子3における光透過軸、及び第2の偏光子4における光透過軸がなす角の角度のずれを抑制することができる。なお、この場合、第2の偏光子ホルダ6は、穴部を有していてもよく、あるいは穴部を有していなくともよい。
【0097】
一方で、第1の偏光子ホルダ5及び第2の偏光子ホルダ6のうち、第2の偏光子ホルダ6内のみに磁性体9が配置されていてもよい。この場合においても、第2の偏光子ホルダ6と、磁石7とを磁力によって吸着させる工程を用いることによって、第2の偏光子4における光透過軸の方向にずれを生じ難くすることができる。従って、第1の偏光子3における光透過軸、及び第2の偏光子4における光透過軸がなす角の角度のずれを抑制することができる。なお、この場合、第1の偏光子ホルダ5は、穴部5bを有していてもよく、あるいは穴部5bを有していなくともよい。
【0098】
さらに、以下において、第1の実施形態の第1の変形例及び第2の変形例に係る光アイソレータを示す。第1の変形例及び第2の変形例においても、第1の実施形態と同様に、第1の偏光子における光透過軸、及び第2の偏光子における光透過軸がなす角の角度のずれを抑制することができる。
【0099】
(光アイソレータ)
(第1の変形例)
図11は、第1の実施形態の第1の変形例に係る光アイソレータの、光軸方向に沿う断面を示す斜視図である。
【0100】
本変形例は、2本の管部材8A及び管部材8Bが設けられている点において、第1の実施形態と異なる。本変形例は、ファラデー素子2が、管部材8Aの貫通孔内及び管部材8Bの貫通孔内のいずれにも配置されていない点においても、第1の実施形態と異なる。なお、ファラデー素子2は磁石7の貫通孔7a内に配置されている。上記の点以外においては、本変形例の光アイソレータ1Aは第1の実施形態の光アイソレータ1と同様の構成を有する。
【0101】
管部材8A及び管部材8Bは、ファラデー素子2を挟み互いに対向している。管部材8Aの一方端部を含む部分は、磁石7の貫通孔7a内に位置している。管部材8Aの残りの部分は、第1の偏光子ホルダ5の貫通孔5a内に位置している。管部材8Bの一方端部を含む部分は、磁石7の貫通孔7a内に位置している。管部材8Bの残りの部分は、第2の偏光子ホルダ6の貫通孔内に位置している。
【0102】
本変形例の光アイソレータ1Aを製造するに際しては、
図6(a)に示す工程において、管部材8の代わりに、
図11に示す2本の管部材8A及び管部材8Bを用意すればよい。そして、例えば、磁石7の貫通孔7a内にファラデー素子2を配置した後、ファラデー素子2を挟むように、磁石7の貫通孔7a内に、管部材8A及び管部材8Bのそれぞれの一部を配置すればよい。その後の工程は、光アイソレータの製造方法の第1の実施形態と同様にして行えばよい。なお、
図6(b)に示す第1の偏光子ホルダ5は、第1の偏光子ホルダ5の貫通孔5a内に、
図11に示す管部材8Aの一部が位置するように配置すればよい。第2の偏光子ホルダ6は、第2の偏光子ホルダ6の貫通孔内に、管部材8Bの一部が位置するように配置すればよい。
【0103】
本変形例においても、第1の実施形態と同様に、第1の偏光子3の光透過軸の方向を調整するに際し、管部材8Aを中心軸として第1の偏光子ホルダ5を回転させればよい。これにより、該調整に際し、第1の偏光子ホルダ5の位置ずれが生じ難い。第2の偏光子4の光透過軸の方向を調整するに際し、管部材8Bを中心軸として第2の偏光子ホルダ6を回転させればよい。これにより、第2の偏光子4の光透過軸の方向を調整するに際しても、第2の偏光子ホルダ6の位置ずれが生じ難い。
【0104】
さらに、本変形例においては、管部材8A及び管部材8Bは、ファラデー素子2を挟むように配置されている。それによって、光アイソレータ1Aの製造に際し、ファラデー素子2の位置を固定させることができる。従って、ファラデー素子2の位置ずれが生じ難い。なお、本変形例においては、管部材8A及び管部材8Bを、ファラデー素子2から離して配置していてもよい。すなわち、管部材8A及び管部材8Bは、ファラデー素子2と接触させてもよく、接触させなくともよい。
【0105】
(第2の変形例)
図12は、第1の実施形態の第2の変形例に係る光アイソレータの斜視図である。
【0106】
本変形例は、第1のファイバコリメータ及び第2のファイバコリメータが設けられていない点において、第1の実施形態と異なる。上記の点以外においては、本変形例の光アイソレータ1Bは第1の実施形態の光アイソレータ1と同様の構成を有する。光アイソレータ1Bは、フリースペースの光アイソレータとして用いることができる。
【0107】
本変形例の光アイソレータ1Bを製造するに際しては、例えば、第1のファイバコリメータ及び第2のファイバコリメータを配置する工程を行わない点以外においては、光アイソレータの製造方法の第1の実施形態と同様の方法を用いることができる。
【0108】
(第2の実施形態)
図13は、第2の実施形態に係る光アイソレータの、光軸方向に沿う断面を示す斜視図である。
【0109】
本実施形態は、第1の偏光子ホルダ5内及び第2の偏光子ホルダ6内に磁性体が配置されていない点において、第1の実施形態と異なる。上記の点以外においては、本実施形態の光アイソレータ21は第1の実施形態の光アイソレータ1と同様の構成を有する。
【0110】
光アイソレータ21における第1の偏光子ホルダ5は、第1の実施形態と同様の穴部5bを有する。穴部5bはねじ穴部である。光アイソレータ21を製造するに際し、第1の偏光子3における光透過軸の方向を調整する工程においては、磁性体が穴部5b内に配置されている。よって、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、第1の偏光子3における光透過軸、及び第2の偏光子4における光透過軸がなす角の角度のずれを抑制することができる。なお、第1の偏光子ホルダ5と磁石7とを固定した後に、磁性体が取り外される。以下において、光アイソレータ21の製造方法の例を説明する。
【0111】
(光アイソレータの製造方法)
(製造方法の第2の実施形態)
光アイソレータの製造方法の第2の実施形態においては、光アイソレータの製造方法の第1の実施形態と共通する部分が多い。そのため、第2の実施形態の説明には、第1の実施形態の説明に用いた図面及び符号を援用することとする。
【0112】
本実施形態においては、第1の偏光子ホルダ5及び磁石7を固定する工程までは、
図6(a)、
図6(b)、
図7(a)~
図7(c)に示した工程と同様にして行う。
図7(c)を援用して示すように、第2の実施形態においても、磁性体9を第1の偏光子ホルダ5内に配置した状態で、第1の偏光子ホルダ5を磁石7に設置する角度を調整する。これにより、第1の偏光子3の光透過軸の方向を調整する。磁力によって、第1の偏光子ホルダ5が磁石7に吸着しているため、第1の偏光子ホルダ5を磁石7に設置する角度を調整した後においても、該角度にずれが生じ難い。
【0113】
同様に、磁性体9を第2の偏光子ホルダ6内に配置した状態で、第2の偏光子ホルダ6を磁石7に設置する角度を調整する。これにより、第2の偏光子4の光透過軸の方向を調整する。
【0114】
次に、第1の偏光子ホルダ5及び磁石7を固定する。本実施形態では、具体的には、第1の偏光子ホルダ5及び磁石7を接着剤により固定する。同様に、第2の偏光子ホルダ6及び磁石7を接着剤により固定する。
【0115】
図14(a)~
図14(c)は、光アイソレータの製造方法の第2の実施形態を説明するための、光軸方向に沿う断面を示す斜視図である。
【0116】
図14(a)に示すように、第1の偏光子ホルダ5と磁石7とを固定した後に、磁性体を第1の偏光子ホルダ5から取り外す。同様に、第2の偏光子ホルダ6と磁石7とを固定した後に、磁性体を第2の偏光子ホルダ6から取り外す。
【0117】
次に、
図14(b)に示すように、ケース部材12内に磁石7を配置する。次に、第1の偏光子ホルダ5を覆うように、第1の蓋部材13を配置する。同様に、第2の偏光子ホルダ6を覆うように、第2の蓋部材14を配置する。次に、第1の蓋部材13及びケース部材12をねじ留めにより固定する。同様に、第2の蓋部材14及びケース部材12をねじ留めにより固定する。
【0118】
次に、
図14(c)中の両矢印R2により示すように、第2の偏光子ホルダ6を、光軸方向に延びる軸を中心に回転させることによって、第2の偏光子ホルダ6の角度を調整する。これにより、第2の偏光子4における光透過軸の方向を調整し、外部に出射される直線偏光の角度を調整する。
【0119】
図13に示す光アイソレータ21においては、第1の偏光子ホルダ5が、穴部5bとしてのねじ穴部を有する。よって、製造工程においては、
図7(c)を援用して示したように、ねじ穴部内に磁性体9を配置することができる。これにより、磁力によって第1の偏光子ホルダ5を磁石7に吸着させながら、第1の偏光子ホルダ5を磁石7に設置する角度を調整することができる。よって、第1の偏光子3及び第2の偏光子4の角度のずれを抑制することができる。従って、第1の偏光子3における光透過軸及び第2の偏光子4における光透過軸がなす角の角度のずれを抑制することができる。
【0120】
さらに、第1の偏光子ホルダ5における穴部5bがねじ穴部であることによって、第1の偏光子ホルダ5と磁石7とを固定した後に、磁性体9を第1の偏光子ホルダ5から取り外すことができる。磁性体9を取り外した後のねじ穴部である穴部5bは、
図13に示す通り、空洞である。
【0121】
(光アイソレータ)
(第3の実施形態)
図15は、第3の実施形態に係る光アイソレータの、光軸方向に沿う断面を示す斜視図である。
図16は、第3の実施形態における、第1の偏光子ホルダ、第1の偏光子及び磁性体の光軸方向に沿う断面を示す斜視図である。
【0122】
図15に示す本実施形態は、止めねじとしての磁性体9の駆動部9aの位置において、第1の実施形態と異なる。具体的には、本実施形態は、
図16に示すように、駆動部9aが、磁性体9における磁石7に近い方の端部側、及び磁石7から遠い方の端部側のうち、磁石7に近い方の端部側に位置している点において、第1の実施形態と異なる。なお、本実施形態における磁性体9の位置は、第1の実施形態における磁性体9の位置よりも、磁石7に近い。上記の点以外においては、本実施形態の光アイソレータ31は第1の実施形態の光アイソレータ1と同様の構成を有する。
【0123】
図15に示す光アイソレータ31を製造するに際し、第1の偏光子3の光透過軸の方向を調整する工程においては、磁性体9が穴部5b内に配置されている。よって、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、第1の偏光子3における光透過軸、及び第2の偏光子4における光透過軸がなす角の角度のずれを抑制することができる。以下において、光アイソレータ31の製造方法の例を説明する。
【0124】
(光アイソレータの製造方法)
(製造方法の第3の実施形態)
図17(a)~
図17(c)は、光アイソレータの製造方法の第3の実施形態を説明するための、光軸方向に沿う断面を示す斜視図である。
【0125】
まず、
図17(a)に示す、磁石7、管部材8及びファラデー素子2を用意する。次に、磁石7の貫通孔7a内に管部材8を配置する。このとき、管部材8の両端部は、磁石7の貫通孔7aの外に位置している。次に、管部材8内にファラデー素子2を配置する。
【0126】
一方で、
図17(b)に示す、第1の偏光子3、第2の偏光子4、第1の偏光子ホルダ5及び第2の偏光子ホルダ6を用意する。第1の偏光子ホルダ5を用意するに際し、磁性体9が内部に配置された第1の偏光子ホルダ5を用意する。このとき、例えば、第1の偏光子ホルダ5を作製し、その後、第1の偏光子ホルダ5の複数の穴部5b内にそれぞれ、磁性体9を配置すればよい。本実施形態においては、磁性体9の駆動部9aが、磁性体9における磁石7に近い方の端部側、及び磁石7から遠い方の端部側のうち、磁石7から近い方の端部側に位置するように、磁性体9を配置する。もっとも、磁性体9の駆動部9aが、磁性体9における磁石7に近い方の端部側、及び磁石7から遠い方の端部側のうち、磁石7から遠い方の端部側に位置するように、磁性体9を配置してもよい。
【0127】
同様に、第2の偏光子ホルダ6を用意するに際し、磁性体9が内部に配置された第2の偏光子ホルダ6を用意する。
【0128】
次に、第1の偏光子ホルダ5内に第1の偏光子3を収納する。具体的には、第1の偏光子ホルダ5の貫通孔5aを塞ぐように、第1の偏光子3を配置する。同様に、第2の偏光子ホルダ6内に第2の偏光子4を収納する。
【0129】
次に、
図17(c)に示すように、磁石7の第1の端面7bに、第1の偏光子ホルダ5を配置する。具体的には、第1の偏光子ホルダ5の貫通孔5a内に、管部材8の一部が位置するように、第1の偏光子ホルダ5を配置する。同様に、磁石7の第2の端面7cに、第2の偏光子ホルダ6を配置する。
【0130】
次に、
図17(c)中の両矢印R1により示すように、第1の偏光子ホルダ5を磁石7に設置する角度を調整する。これにより、第1の偏光子3の光透過軸の方向を調整する。同様に、第2の偏光子ホルダ6を磁石7に設置する角度を調整する。これにより、第2の偏光子4の光透過軸の方向を調整する。
【0131】
次に、第1の偏光子ホルダ5及び磁石7を接着剤により固定する。同様に、第2の偏光子ホルダ6及び磁石7を接着剤により固定する。その後の工程は、光アイソレータの製造方法の第1の実施形態と同様にして行うことができる。
【0132】
本実施形態においても、第1の偏光子ホルダ5を磁石7に設置する角度を調整するに際し、磁力によって、第1の偏光子ホルダ5が磁石7に吸着している。これにより、第1の偏光子ホルダ5を磁石7に設置する角度を調整した後においても、該角度にずれが生じ難い。従って、第1の偏光子3における光透過軸及び第2の偏光子4における光透過軸がなす角の角度のずれを抑制することができる。
【0133】
本実施形態のように、第1の偏光子ホルダ5を用意するに際し、磁性体9が内部に配置された第1の偏光子ホルダ5を用意する場合においても、第1の偏光子ホルダ5と磁石7とを固定した後に、磁性体9を第1の偏光子ホルダ5から取り外してもよい。この場合、磁性体9の駆動部9aが、磁性体9における磁石7に近い方の端部側、及び磁石7から遠い方の端部側のうち、磁石7から遠い方の端部側に位置するように、磁性体9が配置されていればよい。そして、第1の偏光子ホルダ5の穴部5bが、第1の偏光子ホルダ5における磁石7側に位置している部分と対向している部分において、開口していればよい。また、磁性体9が内部に配置された第1の偏光子ホルダ5を用意する場合において、例えば、第1の偏光子ホルダ5を樹脂材料で構成する場合、第1の偏光子ホルダ5を成形する際に磁性体9を予め埋め込むこともできる。
【0134】
(光アイソレータ)
(第4の実施形態)
図18は、第4の実施形態に係る光アイソレータの斜視図である。
図19は、第4の実施形態に係る光アイソレータの、光軸方向に沿う断面を示す斜視図である。
【0135】
図18に示す光アイソレータ41は、フリースペースの光アイソレータとして用いることができる。
図19に示すように、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、第1の偏光子ホルダ45内に、少なくとも1つの磁性体9が配置されている。それによって、第1の偏光子3における光透過軸の方向のずれを抑制することができる。以下において、本実施形態の構成の詳細を説明する。
【0136】
磁石7は、ケース部材12、第1の蓋部材43及び第2の蓋部材44に収納されている。ケース部材12と、第1の蓋部材43とが互いに嵌合している。具体的には、ケース部材12の内壁面及び光軸方向における一方端部と、第1の蓋部材43の側面の一部及び段差部とが、互いに嵌合している。同様に、ケース部材12と、第2の蓋部材44とが互いに嵌合している。本実施形態においては、第1の蓋部材43及び第2の蓋部材44と、ケース部材12とは、ねじ留めにより固定されている。なお、第1の蓋部材43及び第2の蓋部材44と、ケース部材12との固定の手段はねじ留めに限定されない。
【0137】
ケース部材12の内壁面と、磁石7の側面7dとの間には、空隙部が設けられている。ケース部材12の内壁面と、磁石7の側面7dとの間の距離は、例えば、1mm程度である。
【0138】
第1の蓋部材43は角筒状の形状を有する。より具体的には、第1の蓋部材43は凹部43cを有する。凹部43cの底部は、第1の蓋部材43における磁石7側の面と対向している。凹部43cの底部には、貫通孔43aと、複数のねじ穴部43bとが設けられている。光は、貫通孔43aを通りファラデー素子2に入射する。
【0139】
同様に、第2の蓋部材44は角筒状の形状を有する。より具体的には、第2の蓋部材44は凹部44cを有する。凹部44cの底部は、第2の蓋部材44における磁石7側の面と対向している。凹部44cの底部には、貫通孔44aと、複数のねじ穴部44bとが設けられている。ファラデー素子2から出射された光が、貫通孔44aを通る。なお、上記管部材8は、磁石7の貫通孔7a内、第1の蓋部材43の貫通孔43a内及び第2の蓋部材44の貫通孔44a内にわたり設けられている。
【0140】
磁石7の第1の端面7bは第1の蓋部材43に当接している。一方で、磁石7の第2の端面7cと第2の蓋部材44との間には、空隙部が設けられている。より詳細には、第2の蓋部材44における複数のねじ穴部44bは、凹部44cの底部を貫通している。各ねじ穴部44b内にはねじ48が設けられている。複数のねじ48は磁石7の第2の端面7cに当接している。そして、複数のねじ48により、磁石7が第1の蓋部材43側に固定されている。
【0141】
第2の蓋部材44と同様に、第1の蓋部材43の複数のねじ穴部43bも、凹部43cの底部を貫通している。もっとも、ねじ穴部43b内には、ねじ48は設けられていない。本実施形態のように、第1の蓋部材43にねじ穴部43bが設けられている場合には、第1の蓋部材43及び第2の蓋部材44として同じ蓋部材を用いることができる。よって、生産性を高めることができる。なお、第1の蓋部材43には、ねじ穴部43bは設けられていなくともよい。
【0142】
第1の蓋部材43の凹部43c内に、第1の偏光子ホルダ45の一部が設けられている。第1の偏光子ホルダ45の他の一部は、凹部43c外に位置している。第1の偏光子ホルダ45は、基部45A及び1つの支持部45Bを有する。
【0143】
基部45A及び支持部45Bは円筒状の形状を有する。基部45A及び支持部45Bの貫通孔は連通している。基部45Aの外径及び支持部45Bの外径は同じである。そして、基部45A及び支持部45Bは一体として構成されている。そのため、第1の偏光子ホルダ45の側面は段差部を有しない。第1の偏光子ホルダ45は円筒状の形状を有する。第1の偏光子ホルダ45の側面における、第1の蓋部材43の凹部43c内に位置している部分は、第1の蓋部材43の内壁と接している。
【0144】
図18に示すように、第1の偏光子ホルダ45の側面には開口部が設けられている。もっとも、第1の偏光子ホルダ45の側面に開口部は設けられていなくともよい。
【0145】
図19に示すように、第1の偏光子ホルダ45における支持部45Bの貫通孔は、第1の偏光子3を支持するように設けられている。すなわち、支持部45Bの内壁は第1の偏光子3と接している。具体的には、第1の偏光子3における、光軸方向において互いに対向している面を1対の端面、双方の端面に接続されている面を側面としたときに、支持部45Bは、第1の偏光子3における側面と、一方の端面とを支持している。
【0146】
より具体的には、支持部45Bの貫通孔は、光軸方向と直交する方向に沿う寸法が、互いに異なる部分を有する。これにより、支持部45Bの内壁において段差部が設けられている。該段差部において、第1の偏光子3における一方の端面が支持されている。本実施形態では、支持部45Bにおいて、該段差部よりも光入射側における貫通孔の上記寸法が、基部45A側における貫通孔の上記寸法よりも小さい。
【0147】
なお、支持部45Bにおいては、貫通孔の、光軸方向と直交する方向に沿う断面の形状は、内壁の段差部が位置している部分を境界として変化している。該段差部よりも光入射側においては、支持部45Bにおける貫通孔の上記断面の形状は、円形である。他方、該段差部よりも基部45A側においては、支持部45Bにおける貫通孔の上記断面の形状は、矩形である。
【0148】
第1の偏光子ホルダ45においては、基部45Aにも貫通孔が設けられている。基部45A及び支持部45Bの貫通孔は連通している。これにより、第1の偏光子ホルダ45の貫通孔が構成されている。光軸方向から見たときに、基部45Aの貫通孔の外周縁は、支持部45Bの貫通孔の外周縁よりも外側に位置している。本実施形態では、第1の偏光子3の一部が支持部45Bにより支持されており、第1の偏光子3の残りの部分が、基部45Aの貫通孔内に位置している。
【0149】
第1の偏光子ホルダ45は複数の穴部45bを有する。本実施形態では、各穴部45bは、第1の蓋部材43側に開口している凹部である。各穴部45bは、基部45A及び支持部45Bにわたり設けられている。各穴部45bはねじ穴部である。各穴部45b内に磁性体9が配置されている。なお、各穴部45bは貫通穴であってもよい。
【0150】
第2の偏光子ホルダ46は、第1の偏光子ホルダ45と同様に構成されている。第2の偏光子ホルダ46の一部は、第2の蓋部材44の凹部44c内に設けられている。第2の偏光子ホルダ46の他の一部は、凹部44c外に位置している。第2の偏光子ホルダ46の側面における、第2の蓋部材44の凹部44c内に位置している部分は、第2の偏光子ホルダ46の内壁と接している。第2の偏光子ホルダ46内に第2の偏光子4が収納されている。第2の偏光子4は、第2の偏光子ホルダ46の支持部により支持されている。第2の偏光子ホルダ46における
図19に示す断面以外の部分に、複数の穴部が設けられている。該複数の穴部にそれぞれ、磁性体9が配置されている。
【0151】
光アイソレータ41は基板49を有する。基板49に、ケース部材12、第1の蓋部材43及び第2の蓋部材44が、ねじ留めにより固定されている。より具体的には、当該ねじ留めに用いられる一部のねじ穴は、基板49、第1の蓋部材43及びケース部材12において連通している。他の一部のねじ穴は、基板49、第2の蓋部材44及びケース部材12において連通している。なお、光アイソレータ41は基板49を有しなくともよい。
【0152】
磁性体9には、磁石7側に向かう磁力が加えられる。これにより、第1の偏光子ホルダ45には、磁石7側に向かう力が加えられる。本実施形態においては、磁石7及び第1の偏光子ホルダ45の間に第1の蓋部材43が設けられている。よって、第1の偏光子ホルダ45は、磁力によって第1の蓋部材43に吸着している。言い換えれば、第1の偏光子ホルダ45は、磁力によって、第1の蓋部材43を介して間接的に磁石7に吸着している。第1の偏光子ホルダ45と第1の蓋部材43とは、接着剤によって固定されていない。
【0153】
もっとも、第1の偏光子ホルダ45と第1の蓋部材43とが、接着剤によって固定されていてもよい。この場合には、例えば、
図13に示した第2の実施形態と同様に、第1の偏光子ホルダ45の穴部45bが貫通穴であり、かつ第1の偏光子ホルダ45内に磁性体9が配置されていない構成であってもよい。より詳細には、光アイソレータ41を製造するに際し、第1の偏光子ホルダ45と第1の蓋部材43とを固定した後に、磁性体9を第1の偏光子ホルダ45から取り外してもよい。
【0154】
第2の偏光子ホルダ46は第2の蓋部材44に、磁力によって吸着している。言い換えれば、第2の偏光子ホルダ46は、第2の蓋部材44を介して間接的に、磁石7に吸着している。第2の偏光子ホルダ46と第2の蓋部材44とは、接着剤によって固定されていない。
【0155】
もっとも、第2の偏光子ホルダ46と第2の蓋部材44とが、接着剤によって固定されていてもよい。この場合には、例えば、第2の偏光子ホルダ46の穴部が貫通穴であり、かつ第2の偏光子ホルダ46内に磁性体9が配置されていない構成であってもよい。より詳細には、光アイソレータ41を製造するに際し、第2の偏光子ホルダ46と第2の蓋部材44とを固定した後に、磁性体9を第2の偏光子ホルダ46から取り外してもよい。
【0156】
図1に示す第1の実施形態では、第1の偏光子ホルダ5及び第2の偏光子ホルダ6は、磁力によって、直接的に磁石7に吸着している。もっとも、本発明においては、
図19に示すように、第1の偏光子ホルダ45及び第2の偏光子ホルダ46が、間接的に磁石7に吸着していてもよい。
【0157】
本実施形態の光アイソレータ41を製造するに際しては、例えばまず、磁石7をケース部材12、第1の蓋部材43及び第2の蓋部材44に収納する。このとき、ケース部材12及び第1の蓋部材43をねじ留めにより固定する。ケース部材12及び第2の蓋部材44をねじ留めにより固定する。さらに、ケース部材12、第1の蓋部材43及び第2の蓋部材44と、基板49とをねじ留めにより固定する。
【0158】
次に、磁石7の貫通孔7a内、第1の蓋部材43の貫通孔43a内及び第2の蓋部材44の貫通孔44a内に、管部材8を配置する。次に、管部材8内にファラデー素子2を配置する。もっとも、管部材8内にファラデー素子2を配置した後に、管部材8を上記各貫通孔内に配置してもよい。あるいは、管部材8を磁石7の貫通孔7a内に配置した後に、磁石7をケース部材12、第1の蓋部材43及び第2の蓋部材44に収納してもよい。
【0159】
一方で、第1の偏光子ホルダ45を用意する。次に、第1の偏光子ホルダ45の複数の穴部45b内にそれぞれ、磁性体9を配置する。次に、第1の偏光子ホルダ45内に第1の偏光子3を収納する。同様に、第2の偏光子ホルダ46を用意する。次に、第2の偏光子ホルダ46の複数の穴部内にそれぞれ、磁性体9を配置する。次に、第2の偏光子ホルダ46内に第2の偏光子4を収納する。
【0160】
次に、第1の蓋部材43の凹部43c内に、第1の偏光子ホルダ45の一部が位置するように、第1の偏光子ホルダ45を配置する。そして、磁力によって、第1の偏光子ホルダ45を、第1の蓋部材43を介して間接的に磁石7に吸着させる。
【0161】
次に、第1の偏光子ホルダ45を、第1の蓋部材43に対して摺動させ、回転させる。具体的には、第1の偏光子ホルダ45を、光軸方向に延びる軸を中心として回転させる。そして、第1の蓋部材43の凹部43cにおける底部及び内壁に対して、第1の偏光子ホルダ45を摺動させる。これにより、第1の偏光子3の光透過軸の方向を調整する。第1の偏光子ホルダ45は、第1の蓋部材43を介して間接的に磁石7に吸着している。それによって、第1の偏光子ホルダ45を第1の蓋部材43に設置する角度を調整した後においても、該角度にずれが生じ難い。
【0162】
同様に、第2の蓋部材44の凹部44c内に、第2の偏光子ホルダ46の一部が位置するように、第2の偏光子ホルダ46を配置する。そして、磁力によって、第2の偏光子ホルダ46を、第2の蓋部材44を介して間接的に磁石7に吸着させる。
【0163】
次に、第2の偏光子ホルダ46を、第2の蓋部材44に対して摺動させ、回転させる。具体的には、第2の偏光子ホルダ46を、光軸方向に延びる軸を中心として回転させる。そして、第2の蓋部材44の凹部44cにおける底部及び内壁に対して、第2の偏光子ホルダ46を摺動させる。これにより、第2の偏光子4の光透過軸の方向を調整する。第2の偏光子ホルダ46は、第2の蓋部材44を介して間接的に磁石7に吸着している。それによって、第2の偏光子ホルダ46を第2の蓋部材44に設置する角度を調整した後においても、該角度にずれが生じ難い。従って、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、第1の偏光子3における光透過軸、及び第2の偏光子4における光透過軸がなす角の角度のずれを抑制することができる。
【0164】
第1の偏光子3の光透過軸の方向を調整した後に、第1の偏光子ホルダ45を、第1の蓋部材43に、接着剤により固定しても構わない。本発明において、第1の偏光子ホルダを固定する工程は、第1の偏光子ホルダを、磁石及び第1の蓋部材のうち一方に固定する工程であればよい。
【0165】
同様に、第2の偏光子4の光透過軸の方向を調整した後に、第2の偏光子ホルダ46を、第2の蓋部材44に、接着剤により固定しても構わない。本発明において、第2の偏光子ホルダを固定する工程は、第2の偏光子ホルダを、磁石及び第2の蓋部材のうち一方に固定する工程であればよい。
【0166】
第1の偏光子ホルダ45の穴部45bは、貫通穴であり、かつねじ穴部であってもよい。この場合、第1の偏光子ホルダ45と、第1の蓋部材43とを接着剤により固定した後、第1の偏光子ホルダ45から磁性体9を取り外してもよい。第2の偏光子ホルダ46においても同様である。
【0167】
ところで、本実施形態においては、第1の偏光子ホルダ45は管部材8に接していない。もっとも、第1の偏光子ホルダ45の側面における第1の蓋部材43の凹部43c内に設けられている部分が、第1の蓋部材43における内壁に接している。より具体的には、光軸方向から見たときの、第1の偏光子ホルダ45の外周縁の形状、及び第1の蓋部材43の凹部43cの外周縁の形状は、円形である。第1の蓋部材43の凹部43cは、第1の偏光子ホルダ45を回転させるに際し、第1の偏光子ホルダ45の側面が第1の蓋部材43の内壁に対して摺動するように構成されている。それによって、第1の偏光子ホルダ45を回転させるに際して、第1の偏光子ホルダ45の位置ずれが生じ難い。
【0168】
同様に、第2の蓋部材44の凹部44cは、第2の偏光子ホルダ46を回転させるに際し、第2の偏光子ホルダ46の側面が第2の蓋部材44の内壁に対して摺動するように構成されている。それによって、第2の偏光子ホルダ46を回転させるに際して、第2の偏光子ホルダ46の位置ずれが生じ難い。
【0169】
なお、第1の偏光子ホルダ45の側面は、第1の蓋部材43の内壁に必ずしも接していなくともよい。第2の偏光子ホルダ46の側面は、第2の蓋部材44の内壁に必ずしも接していなくともよい。
【0170】
(第5の実施形態)
図20は、第5の実施形態に係る光アイソレータの斜視図である。
図21は、第5の実施形態に係る光アイソレータの、光軸方向に沿う断面を示す斜視図である。
図22は、第5の実施形態に係る光アイソレータの、光軸方向に沿う断面であって、
図21に示す断面とは別の断面を示す斜視図である。なお、
図22においては、第1の偏光子ホルダ45及び第2の偏光子ホルダ46の角度が、
図20及び
図21に示す該角度と異なる場合を示している。
【0171】
図20に示す光アイソレータ51は、フリースペースの光アイソレータとして用いることができる。
図21に示すように、本実施形態は、第1の蓋部材53及び第2の蓋部材54がねじ穴部を有しない点において、第4の実施形態と異なる。本実施形態は、
図18に示した基板49が設けられていない点においても、第4の実施形態と異なる。上記の点以外においては、本実施形態の光アイソレータ51における基本的な構成は、第4の実施形態の光アイソレータ41における構成と同様である。なお、
図22に示すように、ケース部材12には、ケース部材12を基板などに固定することができるように、ねじ穴部が設けられている。もっとも、ケース部材12にねじ穴部は設けられていなくともよい。
【0172】
図21に示すように、本実施形態においても、第1の偏光子ホルダ45に複数の穴部45bが設けられている。複数の穴部45bにそれぞれ、磁性体9が配置されている。それによって、第4の実施形態と同様に、第1の偏光子3における光透過軸の方向のずれを抑制することができる。加えて、第2の偏光子ホルダ46における
図21及び
図22に示す断面以外の部分にも、複数の穴部が設けられている。第2の偏光子ホルダ46の複数の穴部にそれぞれ、磁性体9が配置されている。それによって、第2の偏光子4における光透過軸の方向のずれを抑制することができる。従って、第1の偏光子3における光透過軸、及び第2の偏光子4における光透過軸がなす角の角度のずれを抑制することができる。
【0173】
(2連結光アイソレータ)
(第6の実施形態)
図23は、第6の実施形態に係る2連結光アイソレータの斜視図である。
【0174】
本明細書において2連結光アイソレータとは、2個の光アイソレータが連結された光アイソレータである。本実施形態の2連結光アイソレータ60は、基板49と、2個の光アイソレータ51とを有する。基板49に、2個の光アイソレータ51が固定されている。双方の光アイソレータ51は、第5の実施形態に係る光アイソレータ51である。そのため、本実施形態の説明には、第5の実施形態の説明に用いた符号及び図面を援用することとする。
【0175】
図23に示すように、一方の光アイソレータ51の第2の偏光子ホルダ46と、他方の光アイソレータ51の第1の偏光子ホルダ45とが隣接している。
図20を援用して示す、一方の光アイソレータ51における第2の偏光子4を通った光が、他方の光アイソレータ51における第1の偏光子3を通るように、双方の光アイソレータ51が配置されている。一方の光アイソレータ51における第2の偏光子4の光透過軸の方向と、他方の光アイソレータ51における第1の偏光子3の光透過軸の方向とは同じである。
【0176】
各光アイソレータ51は、本発明に係る光アイソレータであるため、各光アイソレータ51において、偏光子における光透過軸の方向のずれを抑制することができる。加えて、2連結光アイソレータ60を用いた場合、光が、2組の第1の偏光子3及び第2の偏光子4を通過する。それによって、2連結光アイソレータ60のアイソレーション性能を高めることができる。
【0177】
本実施形態では、各光アイソレータ51におけるファラデー素子2は、直線偏光の偏光面を45°回転させる。例えば、2連結光アイソレータ60において、2個の光アイソレータ51におけるファラデー素子2は、直線偏光の偏光面を同じ方向に回転させてもよい。この場合には、2連結光アイソレータ60において、直線偏光の偏光面は90°回転する。
【0178】
あるいは、例えば、2連結光アイソレータ60において、2個の光アイソレータ51におけるファラデー素子2は、直線偏光の偏光面を互いに逆方向に回転させてもよい。この場合には、2連結光アイソレータ60において、光が最初に第1の偏光子3を通過したときにおける直線偏光の偏光面の角度と、最後に第2の偏光子4を通過したときにおける直線偏光の偏光面の角度とは同じである。
【0179】
本発明に係る2連結光アイソレータを構成する各光アイソレータは、第5の実施形態の光アイソレータ51に限定されない。本発明に係る2連結光アイソレータを構成する各光アイソレータは、本発明に係る光アイソレータであればよい。本発明に係る光アイソレータにおいては、偏光子における光透過軸の方向のずれを抑制することができる。よって、本発明に係る2連結光アイソレータでは、一方の光アイソレータの第2の偏光子における光透過軸の方向と、他方の光アイソレータの第1の偏光子における光透過軸の方向との間において、ずれが生じ難い。従って、本発明に係る2連結光アイソレータにおいては、アイソレーション性能をより確実に高めることができる。
【符号の説明】
【0180】
1…光アイソレータ
1A…光アイソレータ
1B…光アイソレータ
2…ファラデー素子
3…第1の偏光子
4…第2の偏光子
5…第1の偏光子ホルダ
5A…基部
5B…支持部
5a…貫通孔
5b…穴部
6…第2の偏光子ホルダ
7…磁石
7a…貫通孔
7b…第1の端面
7c…第2の端面
7d…側面
8…管部材
8A…管部材
8B…管部材
8a…貫通孔
9…磁性体
9a…駆動部
12…ケース部材
13…第1の蓋部材
13d…側面
14…第2の蓋部材
15…第1のファイバコリメータ
16…第2のファイバコリメータ
17…ねじ
18…ねじ
21…光アイソレータ
31…光アイソレータ
41…光アイソレータ
43…第1の蓋部材
43a…貫通孔
43b…ねじ穴部
43c…凹部
44…第2の蓋部材
44a…貫通孔
44b…ねじ穴部
44c…凹部
45…第1の偏光子ホルダ
45A…基部
45B…支持部
45b…穴部
46…第2の偏光子ホルダ
48…ねじ
49…基板
51…光アイソレータ
53…第1の蓋部材
54…第2の蓋部材
60…2連結光アイソレータ
A…空隙部