(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162966
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】子宮内腔癒着および炎症性疾患の予防および/または治療におけるコラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物および/またはNLRP3遺伝子ノックアウトおよび/またはNLRP3阻害剤MCC950の適用
(51)【国際特許分類】
A61K 38/39 20060101AFI20241114BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20241114BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241114BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20241114BHJP
A61K 31/734 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
A61K38/39
A61P29/00
A61P43/00 111
A61P15/00
A61P43/00 121
A61K31/734
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023182148
(22)【出願日】2023-10-23
(31)【優先権主張番号】202310518255.6
(32)【優先日】2023-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202310600623.1
(32)【優先日】2023-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523402235
【氏名又は名称】新郷医学院
【氏名又は名称原語表記】Xinxiang Medical University
【住所又は居所原語表記】No. 601 Jinsui Road, Hongqi District, Xinxiang City, He’nan Province, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】孫 永▲くん▼
(72)【発明者】
【氏名】任 文杰
(72)【発明者】
【氏名】潘 瑩
(72)【発明者】
【氏名】王 現偉
(72)【発明者】
【氏名】任 峰
(72)【発明者】
【氏名】林 俊堂
(72)【発明者】
【氏名】郭 志坤
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA22
4C084BA44
4C084DA40
4C084MA02
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA81
4C084ZB11
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA26
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA81
4C086ZB11
4C086ZC75
(57)【要約】 (修正有)
【課題】子宮内腔癒着を予防し、かつ/または治療するための薬物を提供する。
【解決手段】コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物であって、コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを含み、コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物は、抗炎症効能と抗線維化効能とを有することを特徴とする、前記コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物を提供する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物であって、
コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを含み、コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物は、抗炎症効能と抗線維化効能とを有することを特徴とする、前記コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物。
【請求項2】
前記コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物は、NLRP3インフラマソームの活性化を阻害し、具体的には、NLRP3およびASCならびに下流の炎症因子カスパーゼ(Caspase)‐1、IL‐1βおよびIL‐18のタンパク質発現を減少させることを特徴とする
請求項1に記載のコラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物。
【請求項3】
前記コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物は、NLRP3およびASCならびに下流の炎症因子カスパーゼ‐1、IL‐1βおよびIL‐18の活性化および放出を減少させることを特徴とする
請求項1に記載のコラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物。
【請求項4】
コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとの質量割合は、1~10:1であることを特徴とする
請求項1に記載のコラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物。
【請求項5】
コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとの質量割合は、2:1であることを特徴とする
請求項4に記載のコラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物。
【請求項6】
注射可能型薬物であって、
請求項1~5のいずれか1項に記載のコラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物は、子宮内腔癒着の予防および治療に使用されることを特徴とする、前記注射可能型薬物。
【請求項7】
コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物の調製方法であって、
コラーゲンペプチド粉末を取り、滅菌水を加え、均一に攪拌して、コラーゲンペプチド溶液を得る段階S1と、
段階S1で得られたコラーゲンペプチド溶液にアルギン酸ナトリウム粉末を加え、コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとの質量割合が1~10:1となるように均一に攪拌して、コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた注射可能型混合物を得る段階S2とを含むことを特徴とする、前記コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物の調製方法。
【請求項8】
子宮内腔癒着を予防し、かつ/または治療するための薬物であって、
NLRP3阻害剤MCC950は、子宮内腔癒着の予防および/または治療に適用されることを特徴とする、前記子宮内腔癒着を予防し、かつ/または治療するための薬物。
【請求項9】
NLRP3阻害剤MCC950は、NLRP3インフラマソーム活性化を阻害し、具体的には、NLRP3およびASCならびに下流の炎症因子カスパーゼ‐1、IL‐1βおよびIL‐18のタンパク質発現を減少させ、NLRP3およびASCならびに下流の炎症因子カスパーゼ‐1、IL‐1βおよびIL‐18の活性化および放出を減少させ、子宮内膜損傷、炎症反応および線維化程度を軽減することを特徴とする
請求項8に記載の子宮内腔癒着を予防し、かつ/または治療するための薬物。
【請求項10】
予防および/または治療方法は、標的予防および/または標的治療であることを特徴とする
請求項9に記載の子宮内腔癒着を予防し、かつ/または治療するための薬物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物医学の技術分野に関し、具体的には、子宮内腔癒着および炎症性疾患の予防および/または治療における注射可能型コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物および/またはNLRP3遺伝子ノックアウトおよび/またはNLRP3阻害剤MCC950の適用および薬物に関する。
【背景技術】
【0002】
出産適齢期の女性の子宮内膜は、性ホルモンの作用により周期的に脱落、修復および再生を繰り返し、ここで、子宮内膜の修復によって瘢痕が形成されることはない。しかしながら、子宮内膜の基底層が損傷した後、子宮内膜修復の障害を引き起こしやすく、子宮内腔癒着が形成される。子宮内腔癒着(intrauterine adhesion、IUA)は、女性の生殖系によく見られる子宮内膜線維化疾患であり、主に子宮内膜の損傷または感染によって子宮内膜基底層の損傷を引き起こし、異常な炎症反応を誘発し、大量のコラーゲン線維が子宮腔内に沈着され、子宮内膜線維化を引き起こし、主な症状は、子宮閉塞、骨盤痛、月経異常、閉経、続発性不妊、妊娠異常等であり、女性の心身の健康に深刻な影響を及ぼす。現在、IUAの有効な治療法はまだ不足しているため、IUAを効果的に予防し、IUA合併症を減少することは、IUA患者の生活の質を向上させる上で重要な臨床的意義を有する。NLRP3インフラマソームは、免疫調節および炎症反応に関与するタンパク質複合体であり、主に、NLRP3受容体タンパク質、アポトーシス関連スペック様タンパク質(Apoptosis-associated speck-like protein containing a CARD、ASC)およびエフェクタータンパク質システインのアスパルターゼ-前駆体(Pro-カスパーゼ-1)の三つの異なるタイプのタンパク質で構成され、体の免疫および疾患の発症に重要な役割を果たす。本発明は、NLRP3インフラマソームが腎臓、肝臓、肺等の複数の臓器における線維化の発生および進行に関与し、NLRP3インフラマソームの活性化を阻害することによって、炎症反応および線維化の程度を軽減できることを見出した。しかしながら、IUAにおけるNLRP3インフラマソームの役割はまだ報告されていない。本発明は、コラーゲンペプチド(collagen peptides、CP)およびアルギン酸ナトリウム(sodium alginate、SA)が抗炎症、創傷治癒促進等の機能を有することを示すが、IUAも対する作用機序にはさらなる発明が必要である。
【0003】
従って、本発明の注射可能型コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物を損傷したマウス子宮内膜に適用して、IUAの形成に対するその影響を調査し、IUAの臨床予防および治療の新しい治療アイデアを提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は子宮内腔癒着を予防し、かつ/または治療するための薬物を設計し、本発明が解決する技術的課題は、従来技術において子宮内腔癒着の予防および治療における、注射可能型コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物が適用されていないことである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の技術的問題を解決するために、本発明は、次のような解決策を採用する。
【0006】
コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを含み、コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物は、抗炎症効能と抗線維化効能とを有することを特徴とする、コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物。
【0007】
好ましくは、前記コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物は、NLRP3インフラマソームの活性化を阻害し、具体的には、NLRP3およびASCならびに下流の炎症因子カスパーゼ‐1、IL‐1βおよびIL‐18のタンパク質発現を減少させる。
【0008】
好ましくは、前記コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物は、NLRP3およびASCならびに下流の炎症因子カスパーゼ‐1、IL‐1βおよびIL‐18の活性化および放出を減少させる。
【0009】
好ましくは、コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとの質量割合は、1~10:1である。
【0010】
好ましくは、コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとの質量割合は、2:1である。
【0011】
コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物は、子宮内腔癒着の予防および治療に使用される、注射可能型薬物。
【0012】
コラーゲンペプチド粉末を取り、滅菌水を加え、均一に攪拌して、コラーゲンペプチド溶液を得る段階S1と、段階S1で得られたコラーゲンペプチド溶液にアルギン酸ナトリウム粉末を加え、コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとの質量割合が1~10:1となるように均一に攪拌して、コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた注射可能型混合物を得る段階S2とを含む、コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物の調製方法。
【0013】
NLRP3遺伝子ノックアウトおよび/またはNLRP3阻害剤MCC950ならびに子宮内腔癒着の予防および治療におけるその適用。NLRP3遺伝子ノックアウトおよび/またはNLRP3阻害剤MCC950は、NLRP3インフラマソームの阻害、子宮内膜損傷、炎症反応および線維化程度の軽減に使用されることができる。
【0014】
好ましくは、前記NLRP3遺伝子ノックアウトおよび/またはNLRP3阻害剤MCC950は、NLRP3インフラマソーム活性化を阻害し、具体的には、NLRP3およびASCならびに下流の炎症因子カスパーゼ‐1、IL‐1βおよびIL‐18のタンパク質発現を減少させ、NLRP3およびASCならびに下流の炎症因子カスパーゼ‐1、IL‐1βおよびIL‐18の活性化および放出を減少させる。子宮内膜損傷、炎症反応および線維化程度を軽減する。
【0015】
NLRP3阻害剤MCC950が、子宮内腔癒着の予防および/または治療に適用されることを特徴とする、子宮内腔癒着を予防し、かつ/または治療するための薬物。
【0016】
好ましくは、NLRP3阻害剤MCC950は、NLRP3インフラマソーム活性化を阻害し、具体的には、NLRP3およびASCならびに下流の炎症因子カスパーゼ‐1、IL‐1βおよびIL‐18のタンパク質発現を減少させ、NLRP3およびASCならびに下流の炎症因子カスパーゼ‐1、IL‐1βおよびIL‐18の活性化および放出を減少させ、子宮内膜損傷、炎症反応および線維化程度を軽減する。
【発明の効果】
【0017】
当該コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物、ならびに子宮内腔癒着の予防および治療におけるその適用は、次のような有益な効果を有する。
【0018】
(1)本発明は、コラーゲンペプチド粉末およびアルギン酸ナトリウム粉末をベースにしており、全組成物が子宮内腔癒着に使用するのに科学的且つ合理的な注射可能型材料に配合される。実験結果は、注射可能型コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物がNLRP3インフラマソーム発現を阻害することにより、子宮内膜損傷後の炎症反応を効果的に阻害し、子宮内膜修復を加速し、マウス生殖能力を改善することができることを示す。
【0019】
(2)本発明は、子宮内腔癒着の予防および治療における、注射可能型コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物の作用機序を開示し、注射可能型コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物を使用して、子宮内腔癒着の予防および治療のための信頼できる実験的根拠を提供する。
【0020】
(3)本発明の研究によると、NLRP3遺伝子ノックアウトおよび/またはNLRP3阻害剤MCC950は、NLRP3インフラマソーム発現を阻害することにより、子宮内膜損傷後の炎症反応を効果的に阻害し、子宮内膜修復を加速することができることを発見した。本発明は、NLRP3遺伝子ノックアウトおよび/またはNLRP3阻害剤MCC950の抗炎症、抗線維化の作用機序を開示するだけでなく、子宮内腔癒着の予防および治療のための新しい選択肢も提供する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】子宮内腔癒着組織損傷に対する本発明によって提供される注射可能型コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物の修復作用の結果の比較図である。
【
図2】子宮内腔癒着組織線維化に対する本発明によって提供される注射可能型コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物の修復作用の結果の比較図である。
【
図3】子宮内腔癒着組織におけるNLRP3インフラマソームの活性化に対する本発明によって提供される注射可能型コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物の効果の結果の比較図である。
【
図4】子宮内腔癒着マウス血清における炎症因子レベルに対する本発明によって提供される注射可能型コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物の影響の比較図である。
【
図5】子宮内腔癒着生殖能力に対する本発明によって提供される注射可能型コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物の作用の結果の比較図である。
【
図6】子宮内腔癒着組織損傷に対する本発明によって提供されるNLRP3遺伝子ノックアウトおよび/またはNLRP3阻害剤MCC950の修復作用の結果の比較図である。
【
図7】子宮内腔癒着組織線維化に対する本発明によって提供されるNLRP3遺伝子ノックアウトおよび/またはNLRP3阻害剤MCC950の修復作用の結果の比較図である。
【
図8】子宮内腔癒着組織におけるNLRP3インフラマソーム活性化に対する本発明によって提供されるNLRP3遺伝子ノックアウトおよび/またはNLRP3阻害剤MCC950の作用の結果の比較図である。
【
図9】子宮内腔癒着マウス血清における炎症因子レベルに対する本発明によって提供されるNLRP3遺伝子ノックアウトおよび/またはNLRP3阻害剤MCC950の影響の比較図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<実施例1>
以下、
図1~
図5を参照して、本発明の実施例1についてさらに説明する。
【0023】
本発明のコラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物の原料薬物の組成と配合比は、コラーゲンペプチド5重量部およびアルギン酸ナトリウム2.5重量部である。本発明で使用される材料、即ち注射可能型コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物は、刺激が少なく、有効成分の含有量の決定、効果が顕著で、長期的に使用できるという利点を有する。
【0024】
本発明の注射可能型コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物の調製方法は、次のような段階を含む。段階1:5gのコラーゲンペプチド粉末を秤量し、100mlの滅菌水を加え、均一に攪拌して、5%の濃度のコラーゲンペプチド溶液を得る。段階2:段階1で得られた5%のコラーゲンペプチド溶液に2.5gのアルギン酸ナトリウム粉末を加え、均一に攪拌して、材料、即ち注射可能型コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物を得る。
【0025】
実験検証方法:
1.動物および試薬:
すべての動物実験は、新郷医科大学の論理審査および承認を通過した。C57/BL6Nマウスは、Henan SCBS Biotechnology Co.,Ltd.の動物実験センターから購入され、ライセンス番号はSCXK(河南省)2020-0005である。コラーゲンペプチドおよびアルギン酸ナトリウムは、Nantong YeMeng New Material Co., Ltd.から購入される。他の材料および試薬は、Beyotime、Solarbio 、Proteintech、Abcam等の会社から購入されるか、または別途記載される。
【0026】
2、マウスIUAモデルの確立:
このモデルの構築は、95%エタノールが子宮内膜に作用して子宮内膜の化学的損傷、炎症反応および線維化を引き起こすということに基づき、安定且つ効果的なマウスIUAモデルを構築する。発情周期が正常なマウスを選択し、マウスの発情期にモデルを作成し、操作段階は、次のとおりである。小動物呼吸麻酔機を使用して麻酔を実施し、マウスに2~3%濃度のイソフルラン麻酔剤を吸入させて麻酔を誘導した後、マウスを小動物の手術台に置き、1.5~2.5%のイソフルランを吸入し続けて麻酔を維持し、その後、注射器に接続された胃管栄養針を使用して子宮頚部を探索し、膣口からエタノールが流出するのが観察されるまで子宮頚部から95%エタノールを注入し、1分間維持した後、子宮腔内の残りのエタノールを洗い流すために子宮頚部から0.9%生理食塩水2mlを注射する。
【0027】
3.実験動物のグループ分けおよび処理:
(1)雌C57/BL6N48マウスをランダムに三つのグループ、それぞれ偽手術群、モデル群および治療群(CP+SA)に分け、各グループは、16匹である。モデル群では、上記の方法に従って、マウスの子宮頚部および子宮腔に95%エタノールを注射して子宮内膜損傷を引き起こし、IUAモデルを調製する。偽手術群では、マウスの子宮頚部から子宮腔に0.9%生理食塩水を注射する。治療群(CP+SA)では、マウスの子宮頚部から子宮腔に95%エタノールを注射してモデルを作成した後に子宮腔に5%CP+2.5%SA混合液を注射する。各群のマウスには、モデリング後に通常の餌および水を与える。
【0028】
4.サンプルの採取および処理:
モデリングから7日後に各群から8匹のマウスをランダムに選択し、2~3%イソフルラン吸入で麻酔し、眼球から血液を採取した後、遠心分離し、上部の血清を採取して、ELISA試験に使用するために凍結保存する。子宮組織を採取し、タンパク質含有量の測定に使用するために、組織の一部を-80℃で保存する。新たに調製した4%パラホルムアルデヒド溶液で組織の一部を固定し、従来のパラフィン包埋切片は、後続の組織形態学的染色および修正マッソン(Masson)トリクローム染色に使用される。
【0029】
5.子宮内膜の形態学的変化を観察するためのヘマトキシリンエオシン(HE)染色:
子宮組織切片を定期的に水で脱蝋し、ヘマトキシリンで5分間染色し、水道の流水で約10分間リンスし、エオシンで1分間染色し、脱水して透明にし、中性ガムでマウントし、次いで子宮内膜の病的形態学的変化を顕微鏡で観察し、10×4倍および10×20倍の顕微鏡で写真を撮影し、Image Jソフトウェアを使用して子宮内膜腺の数をカウントする。
【0030】
6.子宮内膜線維化の程度を観察するための修正マッソントリクローム染色:
子宮組織切片を定期的に水で脱蝋し、切片をBouin溶液で2時間媒染し、セレスタイトブルーで2分間染色し、マイヤー(Mayer)ヘマトキシリンで2分間染色し、酸性エタノール分別液で10秒分別し、リンモリブデン酸溶液で10分間処理し、アニリンブルーで5分間染色し、弱酸で2分間処理し、脱水して透明にし、中性ガムでシーリングした後、顕微鏡で子宮内膜線維化の程度を観察し、10×4倍および10×20倍の顕微鏡で写真を撮影し、Image Jソフトウェアを使用して各群の子宮内膜線維化の程度を分析および計算する。
【0031】
7.各群のマウスの子宮組織NLRP3、ASC、カスパーゼ-1、IL-1β、IL-18タンパク質発現状況を検出するウェスタンブロットイソノアッセイ(Western blot):
各群のマウスの子宮組織を均質化した後、タンパク質を抽出した後にタンパク質濃度を測定し、ゲル調製、サンプルローディング、電気泳動、エレクトロポレーション、ブロッキングを順番に実行し、対応する一次抗体および二次抗体をそれぞれインキュベートし、膜を洗浄後にAzure電気化学発光イメージングシステムで現像し、Image-Pro Plusソフトウェアを使用して、標的タンパク質および参照タンパク質のグレー値を分析および計算する。
【0032】
8.各群のマウスの血清IL-1βおよびIL-18の含有量を検出する酵素結合免疫吸着検定法(ELISA):
各群のマウスの血清を採取し、ELISA検出キットの操作手順に厳密に従って、各群のマウス血清IL-1βおよびIL-18の含有量を検出し、標準品濃度を縦軸として、OD値を横軸として、標準曲線を作成し、各血清サンプルで測定された指標のレベルを計算する。
【0033】
9.生殖能力検出:
7日間のモデリング後に残りの各群のマウスを雄マウスと雌マウスとの比率1:2に従って毎晩8時にケージに入れ、翌日午前8時に膣塗抹片を検査し、顕微鏡で精子が観察されたときに妊娠1日目としてマークし、マウスの妊娠状況を観察し、各群の妊娠マウスの数を記録し、妊娠14日目に妊娠マウスを屠殺し、胚の数を記録する。
【0034】
10.統計学的分析:
本発明のデータを平均数±標準偏差(x-±s)で表し、Image J、Image pro-plusを使用して定量的に分析し、GraphPad Prism 8.0を使用して統計学的分析およびグラフ化する。複数のグループ間のデータ比較は、一元配置分散分析(one way ANOVA)および多重比較検定を使用して分析される。
【0035】
結果:
図1は、子宮内腔癒着組織に対する注射可能型コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物の修復作用を示す。
【0036】
図1において、マウス子宮に対して、子宮内腔癒着モデリング後に、注射可能型コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物(CP+SA治療群)で処理され、HE染色によって、子宮内膜に対する注射可能型コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物の修復作用を検出する。
【0037】
モデル群と比較して、結果は、CP+SA治療群の子宮内膜損傷の程度が顕著に改善され、以前と比較して子宮内膜の厚さが増加し、炎症性細胞浸潤が減少され、子宮内膜腺の数も対応的に増加されることを示す。
【0038】
図2は、子宮内腔癒着組織における注射可能型コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物の抗線維化作用を示す。
【0039】
マウス子宮に対して、子宮内腔癒着モデリング後に、注射可能型コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物(CP+SA治療群)で処理され、修正マッソントリクローム染色によって、子宮内膜線維化に対する注射可能型コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物の改善作用を検出する。
【0040】
モデル群と比較して、結果は、CP+SA治療群では、子宮内膜損傷の程度が顕著に改善され、子宮内膜線維化の程度が軽減されることを示す。
【0041】
図3は、子宮内腔癒着組織におけるNLRP3インフラマソーム活性化に対する注射可能型コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物の影響を示す。
【0042】
マウス子宮に対して、子宮内腔癒着モデリング後に、注射可能型コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物(CP+SA治療群)で処理され、モデリング7日後に、子宮組織を収集し、タンパク質を抽出して、ウェスタンブロッティング(Western bloting)を実行する。
【0043】
図3のA部分は、子宮内腔癒着組織におけるNLRP3含有量に対する注射可能型コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物の影響である。
【0044】
図3のB部分は、子宮内腔癒着組織におけるASC含有量に対する注射可能型コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物の影響である。
【0045】
図3のC部分は、子宮内腔癒着組織におけるカスパーゼ-1含有量に対する注射可能型コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物の影響である。
【0046】
図3のD部分は、子宮内腔癒着組織におけるIL-1β含有量に対する注射可能型コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物の影響である。
【0047】
図3のE部分は、子宮内腔癒着組織におけるIL-18含有量に対する注射可能型コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物の影響である。
【0048】
モデル群と比較して、結果は、CP+SA併用治療は、子宮内腔癒着マウスの子宮組織におけるNLRP3、ASC、カスパーゼ-1、IL-1β、IL-18タンパク質の発現を減少させることができることを示し、CP+SA併用治療は、NLRP3インフラマソーム経路を阻害することにより、子宮炎症および線維化を軽減する可能性があることを示す。
【0049】
図4は、子宮内腔癒着マウス血清における炎症因子レベルに対する注射可能型コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物の影響を示す。
【0050】
マウス子宮に対して、子宮内腔癒着モデリング後に、注射可能型コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物(CP+SA治療群)で処理され、モデリング7日後に、マウス血清を収集し、ELISA検出を実行する。
【0051】
図4のA部分は、子宮内腔癒着マウス血清におけるIL-1β含有量に対する注射可能型コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物の影響である。
【0052】
図4のB部分は、子宮内腔癒着マウス血清におけるIL-18含有量に対する注射可能型コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物の影響である。
【0053】
モデル群と比較して、結果は、CP+SA治療群の血清におけるIL-1βおよびIL-18のレベルが顕著に低下することを示す。
【0054】
図5は、子宮内腔癒着マウス生殖能力に対する注射可能型コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物の影響を示す。
【0055】
マウス子宮に対して、子宮内腔癒着モデリング後に、注射可能型コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物(CP+SA治療群)で処理され、モデリング7日後に、雄マウスと雌マウスとの比率1:2に従って毎晩8時にケージに入れ、翌日午前8時に膣塗抹片を検査し、顕微鏡で精子が観察されたときに妊娠1日目としてマークし、マウスの妊娠状況を観察し、各群の妊娠マウスの数を記録し、妊娠14日目に妊娠マウスを屠殺し、胚の数を記録する。
【0056】
図4のA部分は、子宮内腔癒着マウス妊娠数に対する注射可能型コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物の影響である。
【0057】
図4のB部分は、子宮内腔癒着マウスにおける妊娠後の胚の数に対する、注射可能型コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物の影響である。
【0058】
モデル群と比較して、結果は、CP+SA治療群のマウス妊娠数および妊娠後の胚の数が大幅に増加することを示し、CPとSAとの併用がマウスの生殖能力を効果的に改善できることを示唆する。
【0059】
<実施例2>
以下、
図6~
図9を参照して、本発明についてさらに説明する。
【0060】
本発明は、NLRP3インフラマソームによって媒介される子宮内腔癒着の予防および/または治療における、NLRP3遺伝子ノックアウトおよび/またはNLRP3阻害剤MCC950の適用を提供する。
【0061】
具体的な例において、予防および/または治療は、標的予防および/または標的治療である。
【0062】
実験方法:
1.動物および試薬:
すべての動物実験は、新郷医科大学の論理審査および承認を通過した。C57/BL6Nマウスは、Henan SCBS Biotechnology Co.,Ltd.の動物実験センターから購入され、ライセンス番号はSCXK(河南省)2020-0005である。遺伝子ノックアウトマウスは、新郷医科大学のWang Xianwei教授のチームから提供され、NLRP3阻害剤MCC950は、GLPBIO会社から購入される。他の材料および試薬は、Beyotime、Solarbio 、Proteintech、Abcam等の会社から購入されるか、または別途記載される。
【0063】
2.マウスIUAモデルの確立:
このモデルの構築は、95%エタノールが子宮内膜に作用して子宮内膜の化学的損傷、炎症反応および線維化を引き起こすということに基づき、安定且つ効果的なマウスIUAモデルを構築する。発情周期が正常なマウスを選択し、マウスの発情期にモデルを作成し、操作段階は、次のとおりである。小動物呼吸麻酔機を使用して麻酔を実施し、マウスに2~3%濃度のイソフルラン麻酔剤を吸入させて麻酔を誘導した後、マウスを小動物の手術台に置き、1.5~2.5%のイソフルランを吸入し続けて麻酔を維持し、その後、注射器に接続された胃管栄養針を使用して子宮頚部を探索し、膣口からエタノールが流出するのが観察されるまで子宮頚部から95%エタノールを注入し、1分間維持した後、子宮腔内の残りのエタノールを洗い流すために子宮頚部から0.9%生理食塩水2mlを注射する。
【0064】
3.実験動物のグループ分けおよび処理:
(1)32匹の雌C57/BL6Nマウスをランダムに四つのグループ、それぞれ偽手術群、IUAモデル群およびNLRP3阻害剤MCC950群、各グループ8匹、ならびにNLRP3遺伝子ノックアウト(NLRP3-KO)群、8匹に分ける。モデル群では、上記の方法に従って、マウスの子宮頚部および子宮腔に95%エタノールを注射して子宮内膜損傷を引き起こし、IUAモデルを調製する。偽手術群では、マウスの子宮頚部から子宮腔に0.9%生理食塩水を注射する。NLRP3阻害剤MCC950群では、マウスの子宮頚部から95%アルコールを注射して1分間維持して子宮内膜を損傷させた後、生理食塩水で子宮腔内に残ったアルコールをリンスし、正常に飼育し、モデリング当日にNLRP3阻害剤MCC950を腹腔内注射し、注射容量は、10mg/Kgマウス体重であり、7日間の連続注射後にサンプルを収集する。NLRP3-KO群では、マウスの子宮頚部から95%アルコールを注射して1分間維持して子宮内膜を損傷させた後、生理食塩水で子宮腔内に残ったアルコールをリンスし、正常に飼育するだけで、モデリング7日後にサンプルを収集する。
【0065】
4.サンプルの採取および処理:
モデリングから7日後に各群からマウスを採取し、2~3%イソフルラン吸入で麻酔し、眼球から血液を採取した後、遠心分離し、上部の血清を採取して、ELISA試験に使用するために凍結保存する。子宮組織を採取し、タンパク質含有量の測定に使用するために、組織の一部を-80℃で保存する。新たに調製した4%パラホルムアルデヒド溶液で組織の一部を固定し、従来のパラフィン包埋切片は、後続の組織形態学的染色および修正マッソントリクローム染色に使用される。
【0066】
5.子宮内膜の形態学的変化を観察するためのヘマトキシリンエオシン(HE)染色:
子宮組織切片を定期的に水で脱蝋し、ヘマトキシリンで5分間染色し、水道の流水で約10分間リンスし、エオシンで1分間染色し、脱水して透明にし、中性ガムでマウントし、次いで子宮内膜の病的形態学的変化を顕微鏡で観察し、10×4倍および10×20倍の顕微鏡で写真を撮影し、Image Jソフトウェアを使用して子宮内膜腺の数をカウントする。
【0067】
6.子宮内膜線維化の程度を観察するための修正マッソントリクローム染色:
子宮組織切片を定期的に水で脱蝋し、切片をBouin溶液で2時間媒染し、セレスタイトブルーで2分間染色し、マイヤーヘマトキシリンで2分間染色し、酸性エタノール分別液で10秒分別し、リンモリブデン酸溶液で10分間処理し、アニリンブルーで5分間染色し、弱酸で2分間処理し、脱水して透明にし、中性ガムでシーリングした後、顕微鏡で子宮内膜線維化の程度を観察し、10×4倍および10×20倍の顕微鏡で写真を撮影し、Image Jソフトウェアを使用して各群の子宮内膜線維化の程度を分析および計算する。
【0068】
7.各群のマウスの子宮組織NLRP3、ASC、カスパーゼ-1、IL-1β、IL-18タンパク質発現状況を検出するウェスタンブロットイソノアッセイ(Western blot):
各群のマウスの子宮組織を均質化した後、タンパク質を抽出した後にタンパク質濃度を測定し、ゲル調製、サンプルローディング、電気泳動、エレクトロポレーション、ブロッキングを順番に実行し、対応する一次抗体および二次抗体をそれぞれインキュベートし、膜を洗浄後にAzure電気化学発光イメージングシステムで現像し、Image-Pro Plusソフトウェアを使用して、標的タンパク質および参照タンパク質のグレー値を分析および計算する。
【0069】
8.各群のマウスの血清IL-1βおよびIL-18の含有量を検出する酵素結合免疫吸着検定法(ELISA):
各群のマウスの血清を採取し、ELISA検出キットの操作手順に厳密に従って、各群のマウス血清IL-1βおよびIL-18の含有量を検出し、標準品濃度を縦軸として、OD値を横軸として、標準曲線を作成し、各血清サンプルで測定された指標のレベルを計算する。
【0070】
9.統計学的分析:
この研究のデータを平均数±標準誤差で表し、Image J、Image pro-plusを使用して定量的に分析し、GraphPad Prism 8.0を使用して統計学的分析およびグラフ化する。複数のグループ間のデータ比較は、一元配置分散分析(one way ANOVA)および多重比較検定を使用して分析される。
【0071】
10.結果:
図6は、子宮内腔癒着組織に対するNLRP3遺伝子ノックアウトおよび/またはNLRP3阻害剤MCC950の修復作用を示し、
図6において、マウス子宮に対して、子宮内腔癒着モデリング後に、NLRP3遺伝子ノックアウトおよび/またはNLRP3阻害剤MCC950で処理され、HE染色によって、子宮内膜に対する注射可能型コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物の修復作用を検出する。
【0072】
結果は、偽手術群と比較して、子宮内腔癒着モデル群では、子宮内膜が薄くなり、破壊され、子宮腔上皮が消失し、子宮内膜腺が減少し、モデル群と比較して、NLRP3遺伝子ノックアウトおよび/またはNLRP3阻害剤MCC950が適用された後、子宮内膜損傷の程度が顕著に改善され、以前と比較して子宮内膜の厚さが増加し、炎症性細胞浸潤が減少され、子宮内膜腺の数も対応的に増加されることを示す。
【0073】
図7は、子宮内腔癒着組織におけるNLRP3遺伝子ノックアウトおよび/またはNLRP3阻害剤MCC950の抗線維化作用を示し、マウス子宮内腔癒着をNLRP3遺伝子ノックアウトおよび/またはNLRP3阻害剤MCC950で処理した後、修正マッソントリクローム染色によって、子宮内膜線維化に対する注射可能型コラーゲンペプチドとアルギン酸ナトリウムとを組み合わせた混合物の改善作用を検出する。
【0074】
結果は、モデル群と比較して、NLRP3遺伝子ノックアウトおよび/またはNLRP3阻害剤MCC950群では、子宮内膜損傷の程度が顕著に改善され、子宮内膜線維化の程度が減少されることを示す。
【0075】
図8は、子宮内腔癒着組織におけるNLRP3インフラマソーム活性化に対するNLRP3遺伝子ノックアウトおよび/またはNLRP3阻害剤MCC950の影響を示し、マウス子宮内腔癒着をNLRP3遺伝子ノックアウトおよび/またはNLRP3阻害剤MCC950で処理した後、モデリング7日後に、子宮組織を収集し、タンパク質を抽出して、ウェスタンブロッティングを実行する。
【0076】
図8のA部分は、子宮内腔癒着組織におけるNLRP3含有量に対するNLRP3遺伝子ノックアウトおよび/またはNLRP3阻害剤MCC950の影響である。
【0077】
図8のB部分は、子宮内腔癒着組織におけるASC含有量に対するNLRP3遺伝子ノックアウトおよび/またはNLRP3阻害剤MCC950の影響である。
【0078】
図8のC部分は、子宮内腔癒着組織におけるカスパーゼ-1含有量に対するNLRP3遺伝子ノックアウトおよび/またはNLRP3阻害剤MCC950の影響である。
【0079】
図8のD部分は、子宮内腔癒着組織におけるIL-1β含有量に対するNLRP3遺伝子ノックアウトおよび/またはNLRP3阻害剤MCC950の影響である。
【0080】
図8のE部分は、子宮内腔癒着組織におけるIL-18含有量に対するNLRP3遺伝子ノックアウトおよび/またはNLRP3阻害剤MCC950の影響である。
【0081】
結果は、偽手術群と比較して、子宮内腔癒着群では、マウス子宮組織におけるNLRP3、ASC、カスパーゼ-1、IL-1βおよびIL-18の発現レベルが顕著に増加し、モデル群と比較して、NLRP3遺伝子ノックアウトおよび/またはNLRP3阻害剤MCC950の治療は、子宮内腔癒着マウス子宮組織におけるNLRP3、ASC、カスパーゼ-1、IL-1β、IL-18のタンパク質発現を減少させることができることを示し、NLRP3遺伝子ノックアウトおよび/またはNLRP3阻害剤MCC950は、NLRP3インフラマソーム経路を阻害することによって、子宮炎症および線維化を軽減する可能性があることを示す。
【0082】
図9は、子宮内腔癒着マウス血清における炎症因子レベルに対するNLRP3遺伝子ノックアウトおよび/またはNLRP3阻害剤MCC950の影響を示す。マウス子宮に対して子宮内腔癒着モデリングした後、NLRP3遺伝子ノックアウトおよび/またはNLRP3阻害剤MCC950で処理し、モデリング7日後に、マウス血清を収集し、ELISA検出を実行する。
【0083】
図9のA部分は、子宮内腔癒着マウス血清におけるIL-1β含有量に対するNLRP3遺伝子ノックアウトおよび/またはNLRP3阻害剤MCC950の影響である。
【0084】
図9のB部分は、子宮内腔癒着マウス血清におけるIL-18含有量に対するNLRP3遺伝子ノックアウトおよび/またはNLRP3阻害剤MCC950の影響である。
【0085】
図9のC部分は、子宮内腔癒着マウス血清におけるTNF-α含有量に対するNLRP3遺伝子ノックアウトおよび/またはNLRP3阻害剤MCC950の影響である。
【0086】
結果は、偽手術群と比較して、子宮内腔癒着モデル群における炎性因子IL-1β、IL-18、TNF-αのレベルが顕著に増加し、モデル群と比較して、NLRP3遺伝子ノックアウトおよび/またはNLRP3阻害剤MCC950群の血清におけるIL-1β、IL-18、TNF-αのレベルが顕著に減少することを示す。
【0087】
以上、添付図面を参照して本発明を例示的に説明したが、本発明の実施は、上記方法に限定されないことは明らかであり、本発明の方法概念および技術的解決策に様々な改良がおこなわれる限り、または改良なしに本発明の概念および技術的解決策を他の状況に直接適用する限り、それらは、すべて本発明の保護範囲内にある。