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特開2024-162975簡易トイレ及びそれに用いる制御ユニット
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  • 特開-簡易トイレ及びそれに用いる制御ユニット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162975
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】簡易トイレ及びそれに用いる制御ユニット
(51)【国際特許分類】
   A47K 11/03 20060101AFI20241114BHJP
   C02F 11/02 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
A47K11/03
C02F11/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023190511
(22)【出願日】2023-11-08
(31)【優先権主張番号】P 2023077470
(32)【優先日】2023-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】507152202
【氏名又は名称】吉村 清己
(71)【出願人】
【識別番号】594079349
【氏名又は名称】広瀬 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(74)【代理人】
【識別番号】100222324
【弁理士】
【氏名又は名称】西野 千明
(72)【発明者】
【氏名】吉村 清己
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】川口 啓太
(72)【発明者】
【氏名】師岡 知弘
(72)【発明者】
【氏名】縄田 和生
(72)【発明者】
【氏名】尾張 伸行
(72)【発明者】
【氏名】村田 博光
(72)【発明者】
【氏名】広田 一郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 和揮
(72)【発明者】
【氏名】今村 祥宏
【テーマコード(参考)】
2D036
4D059
【Fターム(参考)】
2D036AA02
2D036BA01
2D036BA33
2D036CB05
2D036DA03
2D036DA05
4D059AA01
4D059BA03
4D059BA56
4D059BK01
4D059CB24
(57)【要約】
【課題】新たに仮設する簡易トイレのみならず、従来から市販されている簡易トイレにも簡単に接続でき、衛生的で環境負荷の小さい簡易トイレ及びそれに用いる制御ユニットの提供を目的とする。
【解決手段】便器と、排泄物を微生物にて分解処理するための一次処理槽と二次処理槽とを有し、
前記一次及び二次処理槽の空間部に過熱蒸気を供給する過熱蒸気発生機を有していることを特徴とする
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器と、排泄物を微生物にて分解処理するための一次処理槽と二次処理槽とを有し、
前記一次及び二次処理槽の空間部に過熱蒸気を供給する過熱蒸気発生機を有していることを特徴とする簡易トイレ。
【請求項2】
前記一次処理槽は排泄物を微生物にて分解し、汚泥層とその上側に一次分離層を形成するものであり、
二次処理槽は前記一次分離層を受水し、さらに沈殿層と二次分離層を形成するものであり、
前記二次分離層の水をポンプアップし、前記便器の洗浄水に使用することを特徴とする請求項1記載の簡易トイレ。
【請求項3】
前記一次及び二次処理槽の空間部に過熱蒸気を供給することで低酸素空間になり、硫黄化合物の発生を抑え、過熱蒸気によりアンモニア等の臭いを消臭するものであることを特徴とする請求項2記載の簡易トイレ。
【請求項4】
前記過熱蒸気は、その給水に水素水を用いたことを特徴とする請求項3記載の簡易トイレ。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の簡易トイレに接続する制御ユニットであって、
前記制御ユニットは、過熱蒸気発生機、散気用ブロアー、及び送水ポンプユニットとの各機器と、外部からの電源接続部及び前記各機器の制御部とを有することを特徴とする簡易トイレ用制御ユニット。
【請求項6】
前記外部からの電源接続部は、太陽光電源、充電バッテリー電源、ポータブル発電機電源及び商用電源のいずれかであることを特徴とする請求項5記載の簡易トイレ用制御ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮設トイレ等として簡易的に設置される簡易トイレ及びそれに適した制御ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
建設現場、土木工事現場、屋外レジャー、各種イベント会場、さらには避難所等において、さらには農場や山中等において、一時的に仮設される簡易トイレがある。
これらの簡易、仮設型のトイレにおいては、近くに下水道がないので臭う、汚い、使いたくない等の不快なイメージが強く、改善が強く望まれている。
【0003】
特許文献1には、処理槽内に屎尿を分解する微生物を繁殖させた木質細片を収容する技術を開示するが、分解処理に時間がかかり、発生する臭いの処理も大変である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-305008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、新たに仮設する簡易トイレのみならず、従来から市販されている簡易トイレにも簡単に接続でき、衛生的で環境負荷の小さい簡易トイレ及びそれに用いる制御ユニットの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る簡易トイレは、便器と、排泄物を微生物にて分解処理するための一次処理槽と二次処理槽とを有し、前記一次及び二次処理槽の空間部に過熱蒸気を供給する過熱蒸気発生機を有していることを特徴とする。
【0007】
本発明は、前記一次処理槽は排泄物を微生物にて分解し、汚泥層とその上側に一次分離層を形成するものであり、二次処理槽は前記一次分離層を受水し、さらに沈殿層と二次分離層を形成するものであり、前記二次分離層の水をポンプアップし、前記便器の洗浄水に使用することが好ましく、ここで、前記一次及び二次処理槽の空間部に過熱蒸気を供給することで低酸素空間になり、酸化による硫黄化合物の発生を抑え、過熱蒸気によりアンモニア等の臭いを消臭するものである。
【0008】
本発明は排泄物を微生物にて分解処理する一次処理槽の空間部に過熱蒸気を供給することで、空間部の空気が過熱蒸気で置換され、低酸素の還元空間にすることで微生物による分解生成物が酸化されるのを抑えることで、異臭性の化合物が抑制される。
また、過熱蒸気がアンモニア等の異臭性ガスを分解し、消臭する作用もある。
よって、前記過熱蒸気は、その給水に水素水を用いると、さらに還元性が向上する。
【0009】
本発明においては、一次処理槽及び二次処理槽に散気管を設置し、曝気処理すると微生物による分解が促進され、有機汚泥が大幅に減容される。
なお、簡易トイレが長期に使用され、処理水が基準の水位を超えると専門業者に依頼して汲み取り処理してもよい。
【0010】
本発明において、さらに特徴的なのは、請求項1~4のいずれかに記載の簡易トイレに接続する制御ユニットであって、前記制御ユニットは、過熱蒸気発生機、散気用ブロアー、及び送水ポンプユニットとの各機器と、外部からの電源接続部及び前記各機器の制御部とを有している点である。
これにより、新しく本発明に係る簡易トイレを設置する場合だけでなく、これまで市販されている簡易トイレや、既設簡易トイレに本発明に係る制御ユニットを接続するだけで処理槽の上部空間部を過熱蒸気で置換し、消臭化を図ることができる。
【0011】
この場合に、前記外部からの電源接続部は、太陽光電源、充電バッテリー電源、ポータブル発電機電源及び商用電源のいずれかであってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る簡易トイレあるいは制御ユニットを簡易トイレに接続することにより、排泄物の処理槽の空間部の空気を過熱蒸気で置換することで低酸素状態になる。
さらに、水素水を用いると還元状態が強化される。
過熱蒸気は100℃の水蒸気をさらに過熱し、350~500℃の過熱蒸気として処理槽の空間部に供給するので、アンモニア等の臭い成分を分解するとともに汚れが付きにくい作用もある。
また、外部電源として太陽光電源や太陽光パネルで得られた電気エネルギーを充電バッテリーに充電して使用すると、脱炭素化、SDG対応にも繋がる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る簡易トイレの構成例を示す。
図2】本発明に係る制御ユニットの構成例を示す。
図3】過熱蒸気発生機の構造例を示す。
図4】堆積した固形物をエアーで破砕する例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る簡易トイレの構成例を図1に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されない。
図示を省略した簡易トイレ室等に便器1を据え付ける。
便器の下側、例えばトイレ室の床下に一次処理槽2を設置する。
本実施例では、ロータンク6を設け、ボール部1aを洗浄する水洗式になっていて、ウォシュレット(登録商標)式便座1bとなっている。
【0015】
一次処理槽2は、底部側に汚泥層11を形成し、好気性と嫌気性の両方の分解作用を有する微生物が投入され、ブロアーVから送られるエアーを一次散気管21を介して曝気される。
汚泥層11の上部には水分の多い一次分離層12が形成されるが、その上部側の空間部2bには過熱蒸気発生機4から350~500℃の過熱蒸気が配続管4aを介して供給される。
過熱蒸気は空間部の空気と置換され、低酸素にするのが目的であり、1分間当たり前記空間部の容積の3~10倍程度の僅かでよい。
また、一次処理槽2の上部には汲み取り用の汲み取り口2aが設けられている。
一次処理槽2には、ベンチレーター式の排気管2cも設けられている。
【0016】
一次処理槽2のみで処理できる場合もあるが、本実施例では二次処理槽3を設け、一次処理槽2の汚泥水の一部をポンプPにて二次処理槽3に送水できるようになっている。
二次処理槽3には、沈殿層13とその上側に二次分離層14が形成される。
二次処理槽3にも二次槽気管22と過熱蒸気接続管4bが接続されている。
二次分離層14にて得られる上澄み液は、ポンプPによりロータンク6に送水され、トイレの洗浄水として使用される。
また、二次処理槽3には、オーバーフロー部3aを設けてもよい。
【0017】
水道水等に接続された給水タンク5を有し、ここから過熱蒸気発生機4及びウオッシュ用の水が供給される。
本実施例では、給水タンク5の内部に戸室石等で製作された水素発生材7が投入されている。
これにより、水素水過熱蒸気となる。
【0018】
図2に本発明に係る制御ユニットの構成例を模式的に示す。
タッチパネル式の制御盤となっていて、簡易トイレの付属機器の制御部を有している。
制御ユニットには過熱蒸気発生機4と、それに接続した過熱蒸気の供給管と散気用のエアブロー、汚泥水等の送水ポンプ及び外部電源との接続部が備えられている。
外部電源としては、図2に例を示した各種電源と接続あるいは切り換え可能になっている。
これにより、付属制御ユニットして単独で構成し、簡易トイレに接続できる。
【0019】
図3に過熱蒸気発生機4の構成例を示す。
容器体41の底部側に水Wの貯留部を有し、この部分に水蒸気を発生させるための加熱ヒーター42を備える。
ここで発生した約100℃の水蒸気は過熱ヒーター43,44にて350~500℃に過熱した乾燥蒸気が得られる。
【0020】
仮設トイレの使用状況によっては、図4に示すように便器の下側に固形排泄物が山状に積み上がるように堆積する場合があり、このようになると便槽の有効スペースが例えば30~40%程度に減少してしまう恐れもある。
そこで、図4に示したように堆積した固形排泄物に向けてエアーポンプにて圧力エアーを噴射して破砕させるのがよい。
圧力エアーは自動プログラム等により、1日当たり数回程度、行えば充分である。
【符号の説明】
【0021】
1 便器
2 一次処理槽
3 二次処理槽
4 過熱蒸気発生機
5 給水タンク
6 ロータンク
7 水素発生剤
11 汚泥層
12 一次分離層
13 沈殿層
14 二次分離層
21 一次散気管
22 二次散気管
図1
図2
図3
図4