(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162978
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】玩具部品及び玩具
(51)【国際特許分類】
A63H 3/16 20060101AFI20241114BHJP
A63H 3/36 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
A63H3/16
A63H3/36 G
A63H3/36 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023200108
(22)【出願日】2023-11-27
(62)【分割の表示】P 2023077349の分割
【原出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山上 篤史
(72)【発明者】
【氏名】上原 瑠哉
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150BA42
2C150CA01
2C150EH07
2C150EH16
2C150FB43
2C150FD08
(57)【要約】
【課題】パーツの組合せは固定的であり、玩具の種別に応じてパーツの組合せを変更することができない。
【解決手段】組み立て式の玩具の玩具部品であって、第1のパーツと、第2のパーツと、前記第1のパーツ及び前記第2のパーツと接続可能に構成された第3のパーツとを備え、前記第1のパーツと前記第2のパーツとは、前記第3のパーツと接続する第1の部分の構成が同一であり、かつ、パーツの一部の構成において互いに異なるように構成され、前記第1のパーツと前記第2のパーツとは、前記玩具の種別に応じて前記第3のパーツに対して組み換えて使用されるよう構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組み立て式の玩具の玩具部品であって、
第1のパーツと、第2のパーツと、
前記第1のパーツ及び前記第2のパーツと接続可能に構成された第3のパーツと
を備え、
前記第1のパーツと前記第2のパーツとは、前記第3のパーツと接続する第1の部分の構成が同一であり、かつ、パーツの一部の構成において互いに異なるように構成され、
前記第1のパーツと前記第2のパーツとは、前記玩具の種別に応じて前記第3のパーツに対して組み換えて使用されるように構成された、玩具部品。
【請求項2】
前記玩具の種別は、前記玩具の身長と身体的特徴とのうち少なくともいずれかである、請求項1に記載の玩具部品。
【請求項3】
前記パーツの一部の構成は、パーツの長さ、高さ、厚さ、奥行、幅のうち少なくともいずれかである、請求項1に記載の玩具部品。
【請求項4】
前記第1のパーツを前記第3のパーツと接続させた場合の前記玩具の全長が、前記第2のパーツを前記第3のパーツと接続させた場合の前記玩具の全長よりも短くなる、請求項1に記載の玩具部品。
【請求項5】
前記第1のパーツは第1のサブパーツを内部に含み、
前記第2のパーツは第2のサブパーツを内部に含み、
前記第1の部分は、前記第1のサブパーツ及び前記第2のサブパーツにおける突起部として構成され、
前記突起部は、前記第1のサブパーツ及び前記第2のサブパーツについてサイズ及び長さが同一に構成されている、請求項1に記載の玩具部品。
【請求項6】
前記第1のサブパーツ及び前記第2のサブパーツの長さは、それぞれ前記第1のパーツ及び前記第2のパーツの長さに対応する、請求項5に記載の玩具部品。
【請求項7】
前記第1のパーツ及び前記第2のパーツの表面は、前記第3のパーツと接続された際に前記第3のパーツの表面と連続するように構成されている、請求項1に記載の玩具部品。
【請求項8】
前記第1のパーツ及び前記第2のパーツの前記第1の部分とは異なる第2の部分で、前記第1のパーツ及び前記第2のパーツと接続可能に構成され、前記第3のパーツとは異なる第4のパーツを更に備え、
前記第1のパーツと前記第2のパーツとは、前記第2の部分の構成が同一である、請求項1に記載の玩具部品。
【請求項9】
前記第2の部分は、前記第1のパーツ及び前記第2のパーツにおける開口部として構成され、
前記開口部は、前記第1のパーツ及び前記第2のパーツについて開口の大きさ、及び、開口内部の構造が同一である、請求項8に記載の玩具部品。
【請求項10】
前記第1のパーツは第1のサブパーツを内部に含み、
前記第2のパーツは第2のサブパーツを内部に含み、
前記第1のサブパーツ及び前記第2のサブパーツは開口を有し、
前記第1のサブパーツ及び前記第2のサブパーツは、前記開口の大きさが同一に構成されており、
前記第1のサブパーツは第1のパーツの内部において、前記開口が前記開口部から視認できる位置に配置され、前記第2のサブパーツは第2のパーツの内部において、前記開口が前記開口部から視認できる位置に配置される、請求項9に記載の玩具部品。
【請求項11】
前記第1のパーツは、第3のサブパーツと第4のサブパーツとを含み、
前記第2のパーツは、第5のサブパーツと第6のサブパーツとを含み、
前記第3のサブパーツと前記第4のサブパーツとで構成される部位の幅または奥行は、前記第5のサブパーツと前記第6のサブパーツとで構成される部位の幅又は奥行よりも小さい、請求項1に記載の玩具部品。
【請求項12】
前記第1のパーツ及び前記第2のパーツは、パーツサイズを識別するための異なる標識をそれぞれ有する、請求項1に記載の玩具部品。
【請求項13】
前記標識は、前記第1のパーツ及び前記第2のパーツが他のパーツと接続された場合に外部に露出しないパーツ表面に付与されている、請求項12に記載の玩具部品。
【請求項14】
前記標識は、複数のサイズを個別に示すための複数の図形、模様、文字、又は、数字の組合せを含む、請求項12に記載の玩具部品。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1項に記載の玩具部品を含む組み立て式の玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玩具部品及び玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
組立て玩具(例えば、人形型の組立玩具)は、複数のパーツを組み合わせることで組み立てられる。例えば、特許文献1では、プラスチック製のパーツが表裏2個で1組となって各部位が組み立てられるプラスチックモデルが記載されている。当該プラスチック製のパーツに凹凸が形成されており、これを組み合わせることでパーツが結合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来技術では、パーツの組合せは固定的であり、玩具の種別に応じてパーツの組合せを変更することができない。
【0005】
本発明は、玩具の種別に応じてパーツの組合せを変更することを可能とする玩具部品及び玩具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つは、例えば組み立て式の玩具の玩具部品であって、第1のパーツと、第2のパーツと、前記第1のパーツ及び前記第2のパーツと接続可能に構成された第3のパーツとを備え、前記第1のパーツと前記第2のパーツとは、前記第3のパーツと接続する第1の部分の構成が同一であり、かつ、パーツの一部の構成において互いに異なるように構成され、前記第1のパーツと前記第2のパーツとは、前記玩具の種別に応じて前記第3のパーツに対して組み換えて使用されるよう構成されている。
【0007】
本発明の他の一つは、例えば上述の玩具部品を含む組み立て式の玩具である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、玩具の種別に応じてパーツの組合せを変更することを可能とする玩具部品及び玩具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】一実施形態に係る玩具体の外観正面の一例を示す図。
【
図1B】一実施形態に係る玩具体の外観側面の一例を示す図。
【
図2】一実施形態に係るサイズの異なる複数の玩具体の外観正面の一例を示す図。
【
図3】一実施形態に係るサイズの異なる玩具体の脚部の一部の構造の一例を示す図。
【
図4】一実施形態に係る、
図3に示す脚部を構成するパーツの構造を説明するための図。
【
図5A】一実施形態に係るサイズの異なる玩具体の胸部の構造の一例を示す図。
【
図5B】一実施形態に係るサイズの異なる玩具体の胸部の断面構造の一例を示す図。
【
図6】一実施形態に係る玩具体の玩具部品に付される、サイズを示す標識の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴うち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
また、各図において、紙面における上下左右方向を、本実施形態における部品(またはパーツ)の上下左右方向として、本文中の説明の際に用いることとする。なお本発明は、以下に説明する実施形態おいて成形材料としてABS(アクリロニトリル (Acrylonitrile)・ブタジエン (Butadiene)・スチレン (Styrene))樹脂及び、SBC(スチレン(styrene)・ブタジエン(butadiene)共重合体(copolymer)、スチレン系特殊透明樹脂)等を例示するがこれに限定されず、他の材質(ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、軟質樹脂、金属等)の利用を排除するものではない。
【0012】
<玩具体の外観>
まず、
図1A及び
図1Bを参照して、本実施形態に係る玩具体100の外観構成の一例について説明する。
図1Aは玩具体100の外観正面を示す。
図1Bは玩具体100の外観側面を示す。なお、上下、左右、前後の矢印については図における玩具体の向きを示し、他の図面についても同様である。
【0013】
玩具体100は、複数のパーツを組み合わせて構成することができる。また、玩具体100の外観は、例えば、人形型でも動物型でもよい。玩具体100は、頭部101、胸部102、右腕部103、左腕部104、腹部105、腰部106、及び右脚部107、左脚部108を備える。玩具体100は、可動フィギアなどの可動式の玩具体であり、各パーツは他の部材との関係で生じる制限領域の範囲内で可動させることができる。頭部101は胸部102に球形状の連結部材によって連結される(以下では、ボールジョイントとも称する。)。
【0014】
胸部102は、バスト部102a、鎖骨部102b及び衣装部102cに分離することができ、さらに右腕部103及び左腕部104が球形状の連結部材で連結される。右腕部103は、右肩部103aと右腕本体部103bとで構成され、左腕部104は、左肩部104aと左腕本体部104bとで構成される。また、胸部102の下部において腹部105が連結される。胸部102、腕部103、104の詳細な構成については後述する。腹部105には腰部106が連結される。腰部106には右脚部107及び左脚部108が連結され、スカート等の装飾部パーツで覆われる。右脚部107は、右股関節部107aと右脚本体部107bとで構成され、左脚部108は、左股関節部108aと左脚本体部108bとで構成される。
【0015】
以下では、頭部101、胸部102、及び右腕部103、左腕部104を含む上半身を上体部と称する。また、腰部106、右脚部107、左脚部108を含む下半身を下体部と称する。上体部及び下体部は腹部105を介して連結される。また、胸部102、腹部105、及び腰部106をまとめて胴体部とも称する。以下では、本実施形態に係る可動構造として、主に脚部及び股関節の構造について説明する。しかしながら、本発明を限定する意図はなく、以下で説明する可動構造は、脚部や股関節に限らず、他の関節部、例えば腕部を連結する肩関節や胸関節などの関節部に適用することも可能である。
【0016】
<サイズの異なる玩具体の外観>
次に、
図2を参照して、本実施形態に係るサイズの異なる玩具体100の外観の違いを説明する。本実施形態において、サイズには、玩具体100が表すキャラクタの身長(或いは全長)やその他の身体的特徴(バスト、ウエスト、ヒップ等)が含まれる。
図2では、玩具体100のサイズを、身長の大きさに応じてS、M、L、LLの四種類に分類することとする。以下、玩具体のサイズといった場合には、この身長のサイズを指しているものである。一方、身体的特徴についてサイズといった場合には、例えば胸部102であればバストサイズのことを指しているものとする。
【0017】
なお、本実施形態においては同じ身長でも身体的特徴が異なっていてもよい。例えば、身長がSサイズの玩具体100について、バストサイズをS、M、Lのいずれかとすることができる。また、身長及び身体的特徴が同じであっても、顔や髪型が異ならせることで玩具体100が示すキャラクタの種別を異ならせることができる。
【0018】
図2(a)は小サイズの玩具体100Sの外観の一例を示す。
図2(b)は中サイズの玩具体100Mの外観の一例を示す。
図2(c)は大サイズの玩具体100Lの外観の一例を示す。
図2(d)は特大サイズの玩具体100LLの外観の一例を示す。
図2の例では、身長が小さいほど、身体的特徴も小さい例で説明するが、身長の大きさと身体的特徴の大きさは必ずしも一致していなくてよい。
【0019】
これらのサイズの異なる玩具体100Sから100LLは、サイズに関わらず共通のパーツとサイズ固有のパーツとを組み合わせることにより構成することができる。共通のパーツは、例えば、右腕本体部103b、左腕本体部104b、右脚本体部107b、左脚本体部108bとすることができる。また、腹部105、腰部106を共通とすることもできるが、
図2では、玩具体100S、100Mの間、100L、100LLの間でそれぞれ共通としている。ユーザはサイズ固有のパーツを入れ替えることで、玩具体100のサイズを例えば100Sから100Lに変更したり、玩具体のサイズを維持したままで、玩具体100のスタイルを変更したりする(例えば、バストサイズをSからM或いはLに変更する)ことができる。
【0020】
頭部や顔についてはキャラクタの識別のために当然に固有のパーツとすることができるが、右股関節部107a、左股関節部108aは、各サイズについて固有とすることができる。よって、玩具体100Sは、右股関節部107as、左股関節部108as、玩具体100Mは右股関節部107am、左股関節部108am、玩具体100Lは右股関節部107al、左股関節部108al、玩具体100LLは右股関節部107all、左股関節部108allを有する。これらの股関節部はサイズ毎に長さ(高さ)が異なる以外は基本的な構成は共通である。このようにして股関節部の長さを変えることによりそれぞれの玩具体100の身長を変えることができる。また、股関節部は衣装により隠すことができるので、脚の長さが違っても見るものに違和感を感じさせることが無い。
【0021】
また、
図2では、玩具体100Sと100Mとについて、共通の右肩部103as、左肩部104asを使用し、玩具体100Lと100LLとについては、共通の右肩部103al、左肩部104alを使用している。右肩部103a、左肩部104aは、それぞれ肩関節部を含み、胸部102との接続を行う部位である。また、右肩部103aは右腕部103の長さの一部を担っており、右肩部103aの長さが長くなると、共通で用いられる右腕本体部103bの長さとの合計で、右腕部103の長さが長くなる。よって、右肩部103aをサイズごとに用意すると、LLサイズの玩具体100LLでは右腕の長さが目立ってしまい、違和感を感じさせることにもなりかねない。左腕部104についても同様である。このように腕の長さが伸び過ぎると違和感が生じ、また人形体としてアンバランスな印象を与えるおそれがあるため、長さについてはある程度共通化させることとしている。
図2では、S、Mサイズ、L、LLサイズでそれぞれ共通としたがSからLLサイズまでで全て共通としてもよい。
【0022】
また、玩具体100Sと100Mとについて、共通のバスト部102as、鎖骨部102bsを使用し、玩具体100Lと100LLとについては、共通のバスト部102al、鎖骨部102blを使用しているが、バスト部102aと鎖骨部102bについては、サイズ毎に用意してもよい。
図2では衣装部102cを省略しているが、衣装部の構成を含めて玩具体100の種類ごとに用意してもよい。また、衣装部102cの構成はデザイン共通としてもよいし、キャラクタごとに異なるデザインとしてもよい。
【0023】
更に、バスト部102a、鎖骨部102b及び衣装部102cは連結されて胸部102を構成しているので、サイズを合わせることで視覚的な違和感を感じさないようにすることができる。例えば、バスト部102asと鎖骨部102blとを組み合わせた場合、或いは、バスト部102alと鎖骨部102bsを組み合わせた場合、バスト部と鎖骨部との接続面が上手くつながらないため視覚的な違和感が発生する。このような事態を防止するため、バスト部、鎖骨部及び衣装部は同じサイズで組み合わせることが望ましい。
【0024】
<脚部の構成例>
次に
図3を参照して、本実施形態に係る玩具体100の脚部107のサイズの違いについて説明する。
図3(a)は、玩具体100Sの脚部107の外観の一例を示す図である。
図3(b)は、玩具体100Mの右脚部107の外観の一例を示す図である。玩具体100Sと100Mとで、右脚本体部107bは共通である。但し、
図3では、脚部107bを膝上のみを示し、膝下を省略しているが膝下も共通である。一方、右股関節部107asと107amとでは、高さが異なっていることが分かる。ユーザは右股関節部107asと107amとを交換することにより、玩具体の脚部107の構成を変更することができる。
【0025】
このように玩具体100のサイズに応じて股関節部の高さを変えることにより脚部107の長さが変わり、その結果として玩具体100の身長が変わる。股関節部107aは接続部301と結合しているが、当該接続部301は玩具体100のサイズに関わらず共通である。
図3は玩具体100Sと100Mについて脚部107の構成を示したが玩具体100Lと100LLについても同様である。
【0026】
このように、本実施形態では玩具体100のサイズに固有のパーツ(或いは、サイズ毎に異なるパーツ)と、サイズに関わらず共通のパーツとを用いるため、固有のパーツであっても、共通のパーツとの接続部は同一の形態で作成されている。
図3では、右股関節部107asと107amとは高さ(或いは長さ)が異なるものの、右脚本体部107bとの接続部分は同様に構成されており、また、接続部301との結合部分も同様に構成されている。
【0027】
次に、
図4を参照して、
図3に示した右股関節部107aの内部構造について説明する。
図4(a)は、右股関節部107asと右股関節部107amとの比較を示している。点線で示している通り、右股関節部107asの頂部と右股関節部107amの頂部とを一致させると、右股関節部107asよりも右股関節部107amの方が下方向に伸びていることが分かる。但し、右股関節部107as及び右股関節部107amに設けられた開口部401の構成は、開口の大きさ及び内部の構造を含め共通である。
【0028】
次に
図4(b)は、股関節部107asと107amの内部に配置されるサブパーツ107csと107cmの外観の一例を示す。サブパーツ107cs、107cmは、それぞれ開口402と突起部403とを有しており、開口402と突起部403はそれぞれ共通の大きさ及び形状を有する。但し、サブパーツ107csと107cmとは、股関節部107asと107amの高さに対応して、長さが異なっている。点線で示している通り、サブパーツ107csの頂部とサブパーツ107cmの頂部とを一致させると、サブパーツ107csよりもサブパーツ107cmの方が下方向に伸びていることが分かる。このとき突起部403の長さ及び形状は共通である。これは、右脚本体部107bとの接続を共通に行うためである。また、股関節部107asと107amには底部に開口が設けられており、当該底部開口からサブパーツ107cs、107cmをそれぞれ挿入すると、開口402が開口部401の開口に位置し、底部開口から突起部403が突出する。このように、サイズに固有の玩具部品においても、共通部分と固有部分とが存在しており、他のパーツとの接続においてはサイズ違いの他の玩具部品との互換性が保たれている。
【0029】
<胸部の構成例>
次に、
図5A及び
図5Bを参照して、本実施形態に係る玩具体100の胸部102の構造及びサイズの違いによるパーツ構成の違いついて説明する。
図5A(a)は、玩具体100S、100Mの胸部102sの外観の一例を示す図である。
図5A(b)は、玩具体100L、100LLの胸部102lの外観の一例を示す図である。ユーザはパーツを交換することにより、玩具体の胸部102の構成を胸部102sと胸部102lとのいずれかに変更することができる。なお、玩具体100Sと100M、玩具体100Lと100LLとで、胸部102の構成を共通としているが、玩具体100のサイズに応じて異ならせてもよい。
図5B(a)は、
図5A(a)に示した胸部102のA-A断面図である。
図5B(b)は、
図5A(b)に示した胸部102のB-B断面図である。
【0030】
本実施形態において、胸部102は、バストのサイズに応じたバスト部102a、鎖骨部102b、衣装部102cを含むように構成される。胸部102はその他、骨格を構成する部材を含むことができる。
図5Aでは、バスト部102as、鎖骨部102bs、衣装部102csの組合せと、バスト部102alと、鎖骨部102bl、衣装部102clとの組み合わせを示している。これらのパーツが接続する部分は、バストサイズに固有の奥行(或いは、幅、厚み、膨らみ等)を有するように構成されているため、パーツを入れ替えた場合には接続面が連続せず、視覚的な違和感を生じさせるので、サイズ毎の組み合わせにより胸部102を構成することが望ましい。また、上述の脚部107においてはパーツの長さ或いは高さが違っていたが、胸部102の構成においては、パーツの奥行や幅或いは膨らみが異なるように構成されている。
【0031】
例えば、
図5Bに示すように、バスト部102asと102alとでは、玩具体100のバストの大きさを反映するようにパーツの奥行(或いは幅)d1、d2の値が異なっている。ここでは、バストサイズがより大きいバスト部102alの奥行d2の方がバスト部102asの奥行d1よりも大きい。それに伴い、バスト部102aの上側に位置する鎖骨部102bも、鎖骨部102bsよりも、102blの方が、バスト部102aとの接続面付近の膨らみが大きくなっている。具体的には、鎖骨部102blではバスト部102alの接続面付近において傾きがなだらかになって、端部が玩具体100の外側に突出しているのに対し、鎖骨部102bsではバスト部102asの接続面付近において傾きがより急になっており、端部が玩具体100のより内側に位置している。これはバストのサイズを反映したものである。また、衣装部102cについても、バスト部102aと鎖骨部102bとの境において、衣装部102csよりも102clの方がふくらみが大きくなっている。このことは、
図5Bにおいて断面で示す衣装部102csと102clのうち、102clの方が玩具体100の正面外側に位置していることからも明らかである。なお、胸部102は、腹部105と接続するための接続部501を有しており、接続部501の構成は、サイズに関わらず共通である。
【0032】
<パーツサイズの識別>
次に、
図6を参照して、パーツサイズの識別方法について説明する。
図6は、個々のパーツがどのサイズに対応しているかを示す標識の例を示している。例えばパーツのランナーにパーツサイズを示すこともできるが、ランナーから取り外してしまった後はサイズを単体で判別することが困難になるため、個々のパーツにサイズを識別するための標識を付与している。ユーザはパーツを変更する際に当該標識を確認することでパーツがどのサイズに対応しているかを容易に判断可能となる。
【0033】
図6(a)、(b)は、
図4(b)に示したサブパーツ107cs、107cmの外観を別の角度から示した図である。
図6(a)はサブパーツ107csを示しており、ここには三角形の標識601が付与されている。また、
図6(b)はサブパーツ107cmを示しており、ここには丸形の標識602が付与されている。即ち、三角形はSサイズを示し、丸形はMサイズを示す。その他、四角形はLサイズ、星形はLLサイズを示すこととしてもよい。
【0034】
図6(c)は、筒状のパーツについてサイズを示す標識を付与する例を示しており、ここでは丸形の標識603が付与されている。よって、このパーツはMサイズようのパーツであることが分かる。
【0035】
続く
図6(d)から(f)は、同じ衣装パーツを示しているが、モールドで示される線の本数が異なっている。
図6(d)の標識604は1本、
図6(e)の標識605は2本、
図6(f)の標識606は3本である。このようにして本数を変えることにより、どのサイズの衣装パーツであるかを示すことができる。ここでは、1本をSサイズ、2本をMサイズ、3本をLサイズとすることができる。
図6では、示していないが4本をLLサイズとしてもよい。
【0036】
サイズの表記については、上述の方法以外にもジャンケンのグー、チョキ、パーの図柄や、動物を用いてもよい。或いは、1輪車、2輪車、3輪車、4輪車のような図柄であってもよい。また、アルファベット(A、B、C)、アラビア数字(1、2、3)、ローマ数字(I、II、III)、ギリシア文字(α、β、γ等)で表してもよい。また、サイズを示す標識はパーツの内側に配置することができる。
【0037】
なお、標識の組合せは、異なるパーツについて共通に利用することもできる。或いは、パーツの部位に応じて肩関節は幾何学的形状(例えば、三角形、丸形、四角形等)、股関節はアラビア数字、といった具合で異ならせてもよい。
【0038】
上述のように、玩具体を構成するパーツ(玩具部品)を共通部分とサイズ固有の部分とに分けることで、ユーザは玩具体のサイズやスタイルを簡易に変更することが可能となる。例えば、右股関節部107aを入れ替えることにより脚部107の長さを容易に変更することが可能となり、その結果として玩具体のサイズを変更することができる。また、胸部102を構成するパーツを交換することにより、バストサイズをSからM或いはLに変更することができる。また、例えば、サイズ固有のパーツをセット販売することにより、人形玩具全体を購入しなくとも、ユーザは玩具体のサイズやスタイルを変更して楽しむことができるので、遊戯性を向上させることができる。
【0039】
また、サイズ固有のパーツは、サイズ共通のパーツとの接続部分が共通に作成されているので、ユーザがサイズ固有のパーツを入れ替えた場合であっても、玩具体の外見において不連続な面が発生することなく、自然に大きさを変えることができる。
【0040】
<実施形態のまとめ>
上記実施形態は以下の玩具部品、玩具を少なくとも開示する。
(1) 組み立て式の玩具の玩具部品であって、
第1のパーツと、第2のパーツと、
前記第1のパーツ及び前記第2のパーツと接続可能に構成された第3のパーツと
を備え、
前記第1のパーツと前記第2のパーツとは、前記第3のパーツと接続する第1の部分の構成が同一であり、かつ、パーツの一部の構成において互いに異なるように構成され、
前記第1のパーツと前記第2のパーツとは、前記玩具の種別に応じて前記第3のパーツに対して組み換えて使用されるように構成された、玩具部品。
(2) 前記玩具の種別は、前記玩具の身長と身体的特徴とのうち少なくともいずれかである、(1)に記載の玩具部品。
(3) 前記パーツの一部の構成は、パーツの長さ、高さ、厚さ、奥行、幅のうち少なくともいずれかである、(1)または(2)に記載の玩具部品。
(4) 前記第1のパーツを前記第3のパーツと接続させた場合の前記玩具の全長が、前記第2のパーツを前記第3のパーツと接続させた場合の前記玩具の全長よりも短くなる、(1)から(3)のいずれか1つに記載の玩具部品。
(5) 前記第1のパーツは第1のサブパーツを内部に含み、
前記第2のパーツは第2のサブパーツを内部に含み、
前記第1の部分は、前記第1のサブパーツ及び前記第2のサブパーツにおける突起部として構成され、
前記突起部は、前記第1のサブパーツ及び前記第2のサブパーツについてサイズ及び長さが同一に構成されている、(1)から(4)のいずれか1つに記載の玩具部品。
(6) 前記第1のサブパーツ及び前記第2のサブパーツの長さは、それぞれ前記第1のパーツ及び前記第2のパーツの長さに対応する、(5)に記載の玩具部品。
(7) 前記第1のパーツ及び前記第2のパーツの表面は、前記第3のパーツと接続された際に前記第3のパーツの表面と連続するように構成されている、(1)から(6)のいずれか1つに記載の玩具部品。
(8) 前記第1のパーツ及び前記第2のパーツの前記第1の部分とは異なる第2の部分で、前記第1のパーツ及び前記第2のパーツと接続可能に構成され、前記第3のパーツとは異なる第4のパーツを更に備え、
前記第1のパーツと前記第2のパーツとは、前記第2の部分の構成が同一である、(1)から(7)のいずれか1つに記載の玩具部品。
(9) 前記第2の部分は、前記第1のパーツ及び前記第2のパーツにおける開口部として構成され、
前記開口部は、前記第1のパーツ及び前記第2のパーツについて開口の大きさ、及び、開口内部の構造が同一である、(8)に記載の玩具部品。
(10) 前記第1のパーツは第1のサブパーツを内部に含み、
前記第2のパーツは第2のサブパーツを内部に含み、
前記第1のサブパーツ及び前記第2のサブパーツは開口を有し、
前記第1のサブパーツ及び前記第2のサブパーツは、前記開口の大きさが同一に構成されており、
前記第1のサブパーツは第1のパーツの内部において、前記開口が前記開口部から視認できる位置に配置され、前記第2のサブパーツは第2のパーツの内部において、前記開口が前記開口部から視認できる位置に配置される、(9)に記載の玩具部品。
(11) 前記第1のパーツは、第3のサブパーツと第4のサブパーツとを含み、
前記第2のパーツは、第5のサブパーツと第6のサブパーツとを含み、
前記第3のサブパーツと前記第4のサブパーツとで構成される部位の幅または奥行は、前記第5のサブパーツと前記第6のサブパーツとで構成される部位の幅又は奥行よりも小さい、(1)から(10)のいずれか1つに記載の玩具部品。
(12) 前記第1のパーツ及び前記第2のパーツは、パーツサイズを識別するための異なる標識をそれぞれ有する、(1)から(11)のいずれか1つに記載の玩具部品。
(13) 前記標識は、前記第1のパーツ及び前記第2のパーツが他のパーツと接続された場合に外部に露出しないパーツ表面に付与されている、(12)に記載の玩具部品。
(14) 前記標識は、複数のサイズを個別に示すための複数の図形、模様、文字、又は、数字の組合せを含む、(12)または(13)に記載の玩具部品。
(15) (1)から(14)のいずれか1つに記載の玩具部品を含む組み立て式の玩具。
【0041】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。