(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162979
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】いちご栽培用冷温水ホース間隔維持具
(51)【国際特許分類】
A01G 22/05 20180101AFI20241114BHJP
A01G 7/00 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
A01G22/05 A
A01G7/00 601Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023202218
(22)【出願日】2023-11-29
(31)【優先権主張番号】10-2023-0060824
(32)【優先日】2023-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】523452735
【氏名又は名称】パク、ギョン イル
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】パク、ギョン イル
【テーマコード(参考)】
2B022
【Fターム(参考)】
2B022AA03
2B022AB15
2B022DA17
(57)【要約】 (修正有)
【課題】いちご栽培用ポットで栽培されているいちご母株又は個別ポットで生育されているいちご子苗の根冠部が生育に適した温度を維持するために設置される冷温水ホースがいちごの根冠部に最大限近づく状態を維持するようにするために、それぞれの個別ポットに沿って配置される複数の冷温水ホース間の間隔を一定にするためのいちご栽培用冷温水ホース間隔維持具を提供する。
【解決手段】間隔維持具1は、個別ポットの規格や個別ポットの間の離隔距離によって冷温水ホースの間の間隔を調節するように冷温水ホースが挿入される複数のホルダー10、20の間の間隔を調節するための間隔調節部30を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦横に複数の個別ポット(P1、P2、P3、P4)が形成されたいちご栽培用ポットP上に各個別ポット(P1、P2、P3、P4)に沿って設置される冷温水ホース(H1、H2)の間の間隔を一定に維持するための冷温水ホース間隔維持具(1)であって、
前記間隔維持具(1)は、前記個別ポット(P1、P2、P3、P4)の規格、個別ポット(P1、P2、P3、P4)の間の離隔距離又はいちご母株や子苗の大きさによって冷温水ホース(H1、H2)の間の間隔を調節するように、冷温水ホース(H1、H2)が挿入される複数の開放型リング形のホルダー(10、20)の間の間隔を調節するための間隔調節部(30)を含み、前記間隔調節部(30)は、それぞれのホルダー(10、20)から一体に延びる延長片(32、34)が互いに嵌合状態を成し、前記延長片(32、34)には所定の間隔ごとに雄型の結合突起(33)及び雌型の結合孔(35)が形成され、前記結合突起(33)と結合孔(35)との結合位置を変更することによって両側ホルダー(10、20)の間の間隔を調節し、前記一方の延長片(32)は平板状になり、他方の延長片(34)は上下部に前記一方の延長片(32)の上下部をガイドするためのベンディング部(34a、34b)が形成され、前記ベンディング部(34a、34b)には補助結合溝(35a)が一定の間隔で形成され、前記一方の延長片(32)には前記補助結合溝(35a)に係合される補助結合突起(33a)が形成されることを特徴とする、いちご栽培用冷温水ホース間隔維持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いちご栽培の際、母株の根冠部、又は、いちご育苗の際、母株から子苗を移植するとき、子苗の根付き及び子苗の成長に重要ないちご子苗の根冠部の温度を成長に応じて調節することで、病虫害に強く丈夫な子苗を得るために設置されるいちご栽培用冷温水ホースがいちご子苗の根冠部に最大限近づく状態を安定的に維持するための冷温水ホース間隔維持具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、いちごは施設ハウス内で栽培される。これは、いちごが温度に敏感であるので、外気温度に関係なく生育に適した温度である20~23度を一定に維持する必要がある。上述したいちごの生育に適した温度は、いちご母株又は子苗の生長点である冠部及び根部(以下、「根冠部」と略称する)に相当する位置の温度を基準としなければならない。この温度を一定に維持するために、施設ハウス全体をこの温度に維持しようとする場合、かなりのエネルギー費用がかかるという問題があることはもちろんのこと、施設ハウス内の栽培空間の温度を設定温度に合わせても、個別ポット内の土壌を経ていちごの根冠部に伝達されるから、適正温度として伝達されず、これと反対に根冠部に適した温度にセットすれば、施設ハウス内の全体空間温度が必要以上に高くなるか又は低くなり、むしろ植物の水分を蒸発させるか又は冷害を及ぼすなどの他の問題を引き起こすことになる。
【0003】
最近では、これを解決するために、特許文献1又は特許文献2に開示されているように、いわゆる「冠部冷暖房システム」によって、冷温水ホースやパッドを栽培用ポット上に長く設置することにより、個別ポットで栽培されている子苗の根冠部を一定の温度に維持することができるようにしている。
【0004】
一方、上述した冷温水ホースやパッドは子苗の根冠部に最大限近づく状態を維持する場合にのみ、いちごが元気に生育することができるが、柔軟性材質からなる冷温水ホースが長く延びており、別途の整列手段を備えていないから、隣接した個別ポットに沿って平行な状態を維持することができず、くねくねと設置されるので、ある個別ポットでは冷温水ホースがいちご子苗の根冠部に近づく状態を成すこともあるが、他の個別ポットでは冷温水ホースがいちご子苗の根冠部から遠く離隔した状態を成すので、すべての個別ポットで生育されているそれぞれのいちご子苗を効率的に一定の温度に維持することが難しいという問題点が見つかった。
【0005】
さらに、いちご栽培用又は育苗用ポットは製造業者別に規格が異なって個別ポットの大きさ及び個別ポット間の離隔間隔が異なるように製作されるので、規格の異なる栽培用又は育苗用ポットに関係なく、根冠部のための冷温水ホースを各個別ポットで生育されているいちご子苗の根冠部に最大限近づく状態を維持するための手段が必要な状況である。
【0006】
また、特許文献3にも、植物の生育や育苗に必要な温度条件を、植物に悪影響を与えないながら正確に提供することができるいちご冠部温度制御装置が開示されているが、それぞれの個別ポットの下部にコイル形に配管を連結する方式でなされているから、その製作及び設置にかなりの費用がかかるので、現実化することができない状況である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国登録実用新案第20-0493088号公報
【特許文献2】韓国公開実用新案第20-2022-0002906号公報
【特許文献3】韓国登録特許第10-1938390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前述した問題点を解決するために案出されたものであり、本発明の目的は、いちご栽培用ポットで栽培されているいちご母株又は個別ポットで生育されているいちご子苗の根冠部が生育に適した温度を維持するために設置される冷温水ホースがいちごの根冠部に最大限近づく状態を維持するようにするために、それぞれの個別ポットに沿って配置される複数の冷温水ホース間の間隔を一定にするためのいちご栽培用冷温水ホース間隔維持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するために、本発明は、縦横に複数の個別ポットが形成されたいちご栽培用ポット上に各個別ポットに沿って設置される冷温水ホースの間の間隔を一定に維持するための冷温水ホース間隔維持具であって、前記間隔維持具は、個別ポットの規格、個別ポットの間の離隔距離又はいちご母株や子苗の大きさによって冷温水ホースの間の間隔を調節するように、冷温水ホースが挿入される複数のホルダーの間の間隔を調節するための間隔調節部を含むいちご栽培用冷温水ホース間隔維持具を提供する。
【0010】
好適な実施例で、前記複数のホルダーは冷温水ホースが挿入されるための開放型リング形になり、前記間隔調節部は、それぞれのホルダーから一体に延びる延長片が互いに嵌合状態を成し、所定の間隔ごとに雄型の結合突起及び雌型の結合孔が形成され、結合突起と結合孔との結合位置を変更することにより、両ホルダーの間の間隔を調節することができる。
【0011】
好適な実施例で、前記一方の延長片は平板状になり、他方の延長片は上下部に前記一方の延長片の上下部をガイドするためのベンディング部が形成され、前記ベンディング部には補助結合溝が一定の間隔で形成され、前記一方の延長片には前記補助結合溝に係合される補助結合突起が形成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の実施例によれば、個別ポットの規格が異なり、各個別ポット間の間隔が異なるように製作された多様な種類のいちご栽培ポット上に、いちご子苗の根冠部が一定の温度を維持するようにするための冷温水ホースを長く設置する場合、冷温水ホースが各個別ポットのいちご子苗の根冠部に最大限近づく状態を維持するように冷温水ホース間の間隔を一定に維持するので、各個別ポットで生育されているいちご子苗が均一に生長することができるようになる有用な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1実施例による冷温水ホース間隔維持具の斜視図である。
【
図2】
図1に示す冷温水ホース間隔維持具の分離状態を示す分解図である。
【
図3】
図1に示す冷温水ホース間隔維持具の間隔調節状態を示す図である。
【
図4】
図1に示す間隔維持具を使用していちご栽培ポット上に冷温水ホースを平行に設置した状態を示す断面図である。
【
図5】本発明の第2実施例による冷温水ホース間隔維持具の斜視図である。
【
図6】
図5に示す冷温水ホース間隔維持具の分離状態を示す分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を限定しない好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図1~
図3は本発明の第1実施例による冷温水ホース間隔維持具を示し、
図4は本実施例による間隔維持具の使用状態を示している。
【0016】
図1~
図4に示すように、本実施例は、縦横に複数の個別ポットP1、P2、P3、P4が形成されたいちご栽培用ポットP上に、各個別ポットP1、P2、P3、P4に沿って設けられる冷温水ホースH1、H2の間の間隔を一定に維持するための冷温水ホース間隔維持具1であって、前記間隔維持具1は、前記個別ポットP1、P2、P3、P4の規格、個別ポットP1、P2、P3、P4の間の離隔距離又はいちご母株や子苗の大きさによって冷温水ホースH1、H2の間の間隔を調節することができるように、冷温水ホースH1、H2が挿入される複数のホルダー10、20の間の間隔を調節するための間隔調節部30を含むことを特徴とする。
【0017】
本実施例において、前記複数のホルダー10、20は冷温水ホースH1、H2が挿入されるための開放型リング状になり、前記間隔調節部30は、それぞれのホルダー10、20から一体に延びる延長片32、34が互いに嵌合状態を成し、所定の間隔ごとに雄型の結合突起33及び雌型の結合孔35が形成され、よって前記結合突起33と結合孔35との結合位置を変更することによって両側ホルダー10、20の間の間隔を調節することができるようになっている。
【0018】
前記ホルダー10、20に挿入される冷温水ホースH1、H2は、冷温水が供給されないときには平たく折り畳まれた状態なので、初期の設置過程でホルダー10、20の狭い開放部を通して内側に挿入可能であり、ホルダー10、20に挿入された状態で冷温水が供給されると、断面円形に膨張して安定的に挿入された状態を維持するようになる。
【0019】
本実施例において、前記一方の延長片32に雄型の結合突起33が形成され、他方の延長片34に雌型の結合孔35が形成されている。前記雄型の結合突起33及び雌型の結合孔35は約1cmの間隔で3個が2列に形成される。前記一方の延長片32は平板状に形成され、他方の延長片34は上下部に前記一方の延長片32の上下部をガイドするためのベンディング部34a、34bが形成されている。前記ベンディング部34a、34bには補助結合溝35aが一定の間隔で形成され、前記一方の延長片32には、前記補助結合溝35aと係合される補助結合突起33aが形成されている。
【0020】
したがって、本実施例による間隔維持具1は左右のホルダー10、20の間の間隔を個別ポットの間の間隔又は個別ポットの大きさまたはいちご母株や子苗の大きさに合わせて1cm単位で多段に調節することができ、結合突起33及び補助結合突起33aと結合孔35及び補助結合溝35aとの間の立体的な雌雄結合によって安定的な間隔調節状態を維持することができる。
【0021】
図4に示すように、いちご栽培ポットPには複数の個別ポットP1、P2、P3、P4が縦横に所定の間隔で離隔して形成されており、それぞれの個別ポットP1、P2、P3、P4にはいちご子苗が根付いた状態で成長している。上述した冷温水ホースH1、H2はいちご子苗の根冠部に最大限近づく状態を維持しなければならない。本実施例によれば、左右に平行に設置される冷温水ホースH1、H2が間隔維持具1によって一定の間隔を維持することができるので、冷温水ホースH1、H2は長手方向に各個別ポットP1、P2、P3、P4のいちご子苗の根冠部に最大限近づく状態を安定的に維持することができる。
【0022】
図4で、左側2列の個別ポットP1、P2にはそれぞれ一つずつの冷温水ホースH1、H2が設置され、個別ポットP1、P2の間に間隔維持具1が配置されることで、前記冷温水ホースH1、H2が互いに平行な状態を維持するようになり、個別ポットP1、P2で栽培されているいちご子苗の根冠部に最大限近づく状態になるので、子苗の生長に最適の温度になるようにする。
図4で、右側2列の個別ポットP3、P4にはそれぞれ2列ずつの冷温水ホースH1、H2が各個別ポットP3、P4に栽培されているいちご子苗の根冠部の左右両側に近づく状態を安定的に維持することができる。ここで、間隔維持具1の左右のホルダー10、20の間の間隔を個別ポットの規格、個別ポットの間の間隔、いちご子苗の根冠部の大きさなどによって適宜調節して使えば良い。
【0023】
図5及び
図6は本発明の第2実施例による冷温水ホース間隔維持具1を示す。本実施例において、前記複数のホルダー10、20は、上述した第1実施例と同様に、冷温水ホースH1、H2が挿入されるための開放型リング形になり、前記間隔調節部30は、それぞれのホルダー10、20から一体に延びる延長片32、34が互いに嵌合状態を成す。一方の延長片32は平板状になり、他方の延長片34は前記平板状延長片32が挿入される平たい四角トンネル形になる。前記一方の延長片32の上下端部には弾性フック形の結合突起33が形成され、前記他方の延長片34の上下部には前記弾性フック形の結合突起33が挿入される雌型の結合孔35が長手方向に所定の間隔で形成されている。よって、前記結合突起33と結合孔35との結合位置を変更することによって両ホルダー10、20の間の間隔を調節することができる。
【0024】
前記弾性フック形の結合突起33は、挿入及び離脱の過程で両手で掴んで外力で押すかまたは引くことによって結合孔35に対して挿入又は離脱され、外力がかからない状態では結合突起33が結合孔35に弾性的に挿入された状態を維持するようになる。
【0025】
図面で、結合孔35は約1cmの間隔で3個のみが形成されているが、本発明はこれに限定されず、結合孔の個数及び形成間隔は多様に変形可能であるというのは言うまでもない。
【0026】
また、上述した実施例では、間隔維持具が平たい形態を成し、栽培用ポットの上部の空間を最小限に占有するようにすることにより、いちごの幹や葉などとの干渉を最小化することができるようになっているが、本発明はこれに限定されず、間隔維持具の厚さも十分な耐久性を有するように比較的厚く製作されることもできるというのは言うまでもない。
【0027】
上述した実施例では、本発明の冷温水ホース間隔維持具がいちご子苗の生長のための個別ポットに使用されるものとして説明されているが、本発明はこれに限定されず、
図7に示すように、いちご収穫のための母株が植栽された栽培用ポットP’においても、いちご母株の左右側に2列の冷温水ホースH1、H2を平行に設置するための用途にも使用することができるというのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0028】
1 冷温水ホース間隔維持具
10 ホルダー
20 ホルダー
30 間隔調節部
32 延長片
33 結合突起
33a 補助結合突起
34 延長片
34a、34b ベンディング部
35 結合孔
35a 補助結合溝
H1、H2 冷温水ホース
P、P’ いちご栽培用ポット
P1、P2、P3、P4 個別ポット