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特開2024-163007プラズモン免疫磁気ナノ粒子を用いた標的核酸の検出方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163007
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】プラズモン免疫磁気ナノ粒子を用いた標的核酸の検出方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6844 20180101AFI20241114BHJP
   G01N 33/543 20060101ALI20241114BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20241114BHJP
   C07K 17/14 20060101ALI20241114BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALI20241114BHJP
   C07K 16/18 20060101ALI20241114BHJP
   C07K 16/42 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
C12Q1/6844 Z
G01N33/543 541A
G01N33/543 595
G01N33/53 U ZNA
C07K17/14
C12Q1/686 Z
C07K16/18
C07K16/42
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024021037
(22)【出願日】2024-02-15
(31)【優先権主張番号】10-2023-0059804
(32)【優先日】2023-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 公開日:2023年2月15日 https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0925400522017531
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】510314208
【氏名又は名称】スンチュンヒャン ユニバーシティ インダストリー アカデミー コオペレーション ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジョンフン
【テーマコード(参考)】
4B063
4H045
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QQ05
4B063QQ20
4B063QQ42
4B063QR08
4B063QR62
4B063QS25
4B063QS39
4B063QX02
4B063QX10
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA63
4H045EA50
(57)【要約】
【課題】プラズモン免疫磁気ナノ粒子を用いた標的核酸の検出方法の提供を課題とする。
【解決手段】一態様によるプラズモン免疫磁気ナノ粒子を用いた標的核酸の検出方法は、低コストで、迅速かつ簡単に標的核酸の検出が可能であるところ、分子生物学、医療、生物分類など様々な分野に活用することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)捕捉抗体とプラズモン免疫磁気ナノ粒子(PIMN:Plasmonic immunomagnetic nanoparticles)を結合させる段階;
(b)検出抗体とストレプトアビジン(streptavidin)-核酸複合体を結合させる段階;
(c)前記捕捉抗体と結合したナノ粒子および前記検出抗体と結合した複合体を混合する段階;および
(d)前記混合したナノ粒子と複合体を分離する段階;
(e)前記複合体、プライマーおよび核酸重合酵素を用いて標的核酸を増幅させる段階;および
(f)標的核酸を検出する段階;を含む標的核酸の検出方法。
【請求項2】
前記(a)段階で前記プラズモン免疫磁気ナノ粒子は、磁性(magnetism)および光熱(photothermal)特性を有するものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記(a)段階で前記捕捉抗体は、前記ナノ粒子の表面に共有結合したものである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記(b)段階で前記検出抗体は、ビオチン化(biotinylation)したものである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記(c)段階で前記ナノ粒子と前記複合体は、サンドイッチ(sandwich)構造で混合したものである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記(e)段階で前記重合酵素は、Taqポリメラーゼ、VENTポリメラーゼ、DEEPVENTポリメラーゼ、PWOポリメラーゼおよびPfuポリメラーゼから成る群から選択される1つ以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記(e)段階で前記増幅は、光熱循環増幅を通じて行うものである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記(f)段階で前記検出は、比色分析、蛍光分析、ラマン分析およびゲル電気泳動から成る群から選択される1つ以上を用いて行うものである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
酸化鉄ナノクラスター(iron oxide nanocluster)、金ナノシェル(gold nanoshell)および抗体(antibody)を含む、多機能プラズモン免疫磁気ナノ粒子(Plasmonic immunomagnetic nanoparticles)。
【請求項10】
前記酸化鉄ナノクラスターは、磁性(magnetism)を有するものである、請求項9に記載のナノ粒子。
【請求項11】
前記金ナノシェルは、光熱(photothermal)特性を有するものである、請求項9に記載のナノ粒子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズモン免疫磁気ナノ粒子を用いた標的核酸の検出方法に関する。
本発明は、韓国科学技術情報通信部の支援で課題番号2022R1F1A1070162(1711171631)により完成された。
【背景技術】
【0002】
iPCR(Immuno-polymerase chain reaction)は、抗原-抗体相互作用の特異性とPCRの増幅能力を用いたタンパク質の超高感度定量化のための免疫分析法である。一般的に、iPCRは、PCRの幾何級数的増幅能力によりELISA(enzyme-linked immunosorbent assay)に比べて感度を数千~数億倍増加させることができる。しかしながら、iPCRに用いられる従来のqPCR熱循環器は、精巧であるが、高価であり、時間およびエネルギー消耗ペルチェ(Peltier)ベースの熱ブロックモジュールであるから、ポイントオブケア(POC:point of care)診断に適用が制限的であるという問題がある。
【0003】
最近では、プラズモンナノ物質(plasmonic nanomaterials)の光熱(photothermal)効果を用いた光子PCR(photonic PCR)が、速くかつ高い光熱変換能力を有するという点から、関心を集めている。しかしながら、光子PCRには、依然としていくつかの問題があり、広範囲なPCR適用が制限的である。
【0004】
これより、前述のような問題点を解決するために、本発明者らは、多機能プラズモン免疫磁気ナノ粒子(PIMN)を用いたプラズモン光熱定量iPCR(PPT-qiPCR)を開発した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一態様は、(a)捕捉抗体とプラズモン免疫磁気ナノ粒子(PIMN:Plasmonic immunomagnetic nanoparticles)を結合させる段階;
(b)検出抗体とストレプトアビジン(streptavidin)-核酸複合体を結合させる段階;
(c)前記捕捉抗体と結合したナノ粒子および前記検出抗体と結合した複合体を混合する段階;および
(d)前記混合したナノ粒子と複合体を分離する段階;
(e)前記複合体、プライマーおよび核酸重合酵素を用いて標的核酸を増幅させる段階;および
(f)標的核酸を検出する段階;を含む標的核酸の検出方法を提供することにある。
【0006】
他の態様は、酸化鉄ナノクラスター(iron oxide nanocluster)、金ナノシェル(gold nanoshell)および抗体(antibody)を含む、多機能プラズモン免疫磁気ナノ粒子(Plasmonic immunomagnetic nanoparticles)を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様は、(a)捕捉抗体とプラズモン免疫磁気ナノ粒子(PIMN:Plasmon
ic immunomagnetic nanoparticles)を結合させる段階;
(b)検出抗体とストレプトアビジン(streptavidin)-核酸複合体を結合させる段階;
(c)前記捕捉抗体と結合したナノ粒子および前記検出抗体と結合した複合体を混合する段階;および
(d)前記混合したナノ粒子と複合体を分離する段階;
(e)前記複合体、プライマーおよび核酸重合酵素を用いて標的核酸を増幅させる段階;および
(f)標的核酸を検出する段階;を含む標的核酸の検出方法を提供する。
【0008】
前記用語「ストレプトアビジン(streptavidin)」は、ストレプトミセス・アビジニイ(Streptomyces avidinii)で精製された52kDaタンパク質を意味する。
【0009】
前記用語「プライマー(primer)」は、DNA合成時に鋳型に相補的なもう1つの重合体ストランドが作られる開始点となる短い遺伝子配列を意味する。
【0010】
一実施形態において、前記(a)段階で前記プラズモン免疫磁気ナノ粒子は、磁性(magnetism)および光熱(photothermal)特性を有するものでありうる。
【0011】
前記用語「磁性(magnetism)」は、磁石が周囲物体に何らかの影響を及ぼすことを意味する。
【0012】
前記用語「光熱(photothermal)特性」は、光エネルギーを用いて所望の部位に特異的に刺激できる性質を意味する。
【0013】
前記用語「プラズモン免疫磁気ナノ粒子(PIMN:Plasmonic immunomagnetic nanoparticles)」は、磁性(magnetism)および光熱(photothermal)特性を有し、酸化鉄ナノクラスター(iron
oxide nanocluster)、金ナノシェル(gold nanoshells)および抗体で構成されたナノ粒子を意味する。
【0014】
一実施形態において、前記(a)段階で前記捕捉抗体は、前記ナノ粒子の表面に共有結合したものでありうる。
【0015】
前記用語「捕捉抗体(capture antibody)」は、1つ以上の標的タンパク質(抗原)に特異的に結合できる抗体を意味する。
【0016】
前記用語「共有結合(covalent bond)」は、化学結合中に電子を原子が共有したときに生成される結合を意味する。
【0017】
一実施形態において、前記(b)段階で前記検出抗体は、ビオチン化(biotinylation)したものでありうる。
【0018】
前記用語「検出抗体(detection antibody)」は、前記捕捉抗体により捕捉された標的タンパク質(抗原)に結合できる抗体を意味する。
【0019】
一実施形態において、前記検出抗体がビオチン化することによって検出効率が増加する
ものでありうる。
【0020】
一実施形態において、前記(c)段階で前記ナノ粒子と前記複合体は、サンドイッチ(sandwich)構造で混合したものでありうる。
【0021】
一実施形態において、前記(d)段階で前記ナノ粒子と複合体は、磁気分離したものでありうる。
【0022】
一実施形態において、前記(e)段階で前記重合酵素は、Taqポリメラーゼ、VENTポリメラーゼ、DEEPVENTポリメラーゼ、PWOポリメラーゼおよびPfuポリメラーゼから成る群から選択される1つ以上でありうる。
【0023】
一実施形態において、前記(e)段階で前記増幅は、光熱循環増幅を通じて行うものでありうる。
【0024】
一実施形態において、前記(f)段階で前記検出は、比色分析、蛍光分析、ラマン分析およびゲル電気泳動から成る群から選択される1つ以上を用いて行うものでありうる。
【0025】
前記用語「比色分析」は、色試薬などを用いて光の特定波長の吸光度を測定し、化学化合物、溶液の濃度をテストしたり定量することを意味する。
【0026】
前記用語「蛍光分析」は、物質の蛍光性を用いた化学分析法であり、非蛍光物質である試料を化学反応によって蛍光物質に変化させて当該蛍光を分析することを意味する。
【0027】
前記用語「ラマン分析」は、光を用いて分子運動を生成(励起)し、このような相互作用を解析してサンプルを化学的に分析することを意味する。
【0028】
前記用語「ゲル電気泳動」は、ゲルマトリックス(gel matrix)に電流を流してDNA、RNA、タンパク質などを分離することを意味する。
【0029】
他の態様は、酸化鉄ナノクラスター(iron oxide nanocluster)、金ナノシェル(gold nanoshell)および抗体(antibody)を含む、多機能プラズモン免疫磁気ナノ粒子(Plasmonic immunomagnetic nanoparticles)を提供する。
【0030】
前記「酸化鉄ナノクラスター」、「金ナノシェル」、「抗体」、「プラズモン免疫磁気ナノ粒子」などは、前述した範囲内でありうる。
【0031】
一実施形態において、前記酸化鉄ナノクラスターは、磁性(magnetis m)を有するものでありうる。
【0032】
一実施形態において、前記金ナノシェルは、光熱(photothermal)特性を有するものでありうる。
【発明の効果】
【0033】
一態様によるプラズモン免疫磁気ナノ粒子を用いた標的核酸の検出方法は、低コストで、迅速かつ簡単に標的物質の検出が可能であるところ、分子生物学、医療、生物分類など様々な分野に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、IL-6検出のためのプラズモン免疫磁気ナノ粒子(plasmonic immunomagnetic nanoparticles)を用いたプラズモン光熱定量的免疫-PCR(plasmonic photothermal quantitative immuno-PCR)のワークフロー(workflow)概略図である。
図2a図2a~図2fは、PIMNの特性を確認した結果を示す図である。具体的には、図2aは、透過電子顕微鏡(TEM:Transmission electron microscopy)、PMN(Au:赤色、Fe:緑色)の高角環状暗視野(High-angle annular dark-field)および元素マッピングイメージ(elemental mapping images)および磁性ナノクラスターコアを確認した結果を示す図である。
図2b図2b~図2dは、それぞれ互いに異なる表面修飾段階でPMNの流体力学的直径分布(b)、ゼータ電位(c)およびUV-Visスペクトル(d)を確認した結果を示す図である。
図2c図2bのつづき。
図2d図2cのつづき。
図2e図2eは、PIMNの様々な光学密度を有する72℃~95℃間の1つの光熱循環の温度プロファイルを確認した結果を示す図である。
図2f図2fは、計算された加熱および冷却速度を確認した結果を示す図である。
図3a図3a~図3dは、酸化鉄(a)、(b)Fe@Au種子、(c)Fe@Auおよび(d)Fe@Au-MPAを走査電子顕微鏡(Scanning electron microscopy)を用いて確認したイメージを示す図である(スケールバー:500nm)。
図3b図3aのつづき。
図3c図3bのつづき。
図3d図3cのつづき。
図4図4は、Fe@AuのEDXパターン(A)とFeおよびFe@AuのXRDパターン(B)を示す図である。
図5図5は、PPT-qiPCRのためのホームビルド(home-build)装置を示す図である。
図6図6は、PIMMがない溶液の温度プロファイルを確認した結果を示す図である。
図7図7は、35回の光熱循環前後の熱安定性を確認した結果を示す図である。
図8図8は、標的IL-6(1,000pg/ml)、互いに異なる量のSG染料(A)、3%アガロースゲル電気泳動分析(B)および蛍光スペクトル(SG7x)を用いたリアルタイムPPT-qiPCRの増幅曲線を確認した結果を示す図である。
図9図9は、IL-6(1,000pg/ml)および互いに異なる濃度のPIMNから得たリアルタイムPPT-qiPCRの増幅曲線を確認した結果を示す図である。
図10a図10a~図10gは、PIMNを用いたPPT-qiPCR特性を確認した結果を示す図である。具体的には、図10aは、リアルタイムおよび終点蛍光二重読み出し(end-point fluorescence dual-readout)を用いたPPT-qiPCRの概略図である。
図10b図10bは、代表的な光熱増幅温度プロファイルを確認した結果を示す図である。
図10c図10cは、互いに異なる濃度のIL-6(1000、100、50、10、5、1pg・mL-1)でPPT-qiPCRのリアルタイム増幅曲線を確認した結果を示す図である。
図10d図10dは、リアルタイム増幅曲線のCq値を確認した結果を示す図である。
図10e図10eは、図10cと同じサンプルでPPT-qiPCRの終点蛍光曲線を確認した結果を示す図である(赤色と黒色プロットは、それぞれ磁気分離前後の終点蛍光信号)。
図10f図10fは、PPT-qiPCRの蛍光およびゲル電気泳動イメージである(レーン1-9:0、0.25、0.05、0.5、1、10、100、500、1000pg・mL-1)。
図10g図10gは、PPT-qiPCR[PBS緩衝液、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、ヘモグロビン(Hb)]の選択性試験を行った結果を示す図である。
図11図11は、濃度の異なるターゲットとナノ粒子の固定濃度による蛍光消光効果を示す図である。
図12a図12a~図12cは、IL-6検出のための比色PPT-qiPCRを行った結果を示す図である。具体的には、図12aは、終点比色PPT-qiPCRのワークフロー概略図である。
図12b図12bは、終点比色PPT-qiPCRを行った結果のイメージである。
図12c図12cは、650nmで終点比色PPT-qiPCR溶液の吸光度プロットを確認した結果を示す図である。
図13図13は、MES緩衝液の添加によるiPCR緩衝液のpH変化(A)とTMB濃度による35回熱循環後に測定された吸光度を比較(B)した結果を示す図である。
図14図14は、照射時間(irradiation time)の最適化を確認した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明する。しかしながら、これらの実施例は、本発明を例示的に説明するためのものであって、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例0036】
1.実験材料および実験方法
【0037】
(1)実験材料
塩化第二鉄を6水和物(FeCl・6HO)、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(3-aminopropyltrimethoxysilane)(APTMS)、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムクロライド(THPC:tetrakis(hydroxymethyl)phosphonium chloride)、水素テトラクロロ金(III)酸三水和物(hydrogen tetrachloroaurate trihydrate)(HAuCl・3HO)、酢酸ナトリウム(sodium acetate)、クエン酸三ナトリウム二水和物(trisodium citrate dihydrate)、炭酸カリウム(potassium carbonate)(KCO)およびウシ血清アルブミン(BSA:bovine serum albumin)は、Sigma-Aldrichから購入した。ホルムアルデヒド(Formaldehyde)(HCHO)は、TCI Companyから得、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(3,3’、5,5’-tetramethylbenzidine)(TMB)および3-メルカプトプロピオン酸(3-Mercaptopropionic acid)(MPA)は、Energy chemicalから購入した。精製された抗ヒトIL-6抗体(クローンMQ2-13A5、ラットモノクロナール)、ビオチン(Biotin)抗ヒトIL-6抗体(クローンMQ2-39C3、ラットモノクロナール)、組換えヒトIL-6および精製されたストレプトアビジン(
streptavidin)は、BioLegendから購入した。正方向プライマー(5’-CATCGTCTGCCTGTCATGGGCTGTTAAT-3’:配列番号1)、逆方向プライマー(5’-TCGCCAGCTTCAGTTCTCTGGCATTT-3’:配列番号2)および5’末端にビオチンラベル付き112-塩基対(bp)X-DNA標的は、Integrated DNA Technologies(Coralville,IA,USA)から購入した。Dream Taq DNA重合酵素(0.05U・μL-1)、反応緩衝液(MgCl、4mM)、dNTP混合物(それぞれ0.4mM)およびMES緩衝液(8μL、BupHTM MES緩衝食塩水パック、28390、0.1M MES、0.9%塩化ナトリウム、pH4.7)は、Thermo Fisher Scientificから購入し、SYBR(登録商標)Green I(497nmで励起状態および530nmで放出)は、Molecular Probes,Inc.から購入した。Quick-Load(登録商標)紫色低分子量DNAラダー(DNA ladder)、Quick-Load(登録商標)紫色1kb DNAは、ラダーおよびゲルローディング染料(紫色、6x)は、New England BioLabs,Inc.から購入した。PMNおよびその他の中間体の形態およびサイズ分布は、透過電子顕微鏡(TEM:transmission electron microscope,Tecnai 12,Philips)およびField放出TEM(FE-TEM,JEM-F200,JEOL)UV-Vis吸収スペクトルは、Cary
60 UV-Vis Spectrophotometer(Agilent Technologies,USA)でモニタリングした。
【0038】
(2)磁性ナノ粒子(magnetic nanoparticles)およびプラズモン磁性ナノ粒子(PMN:plasmonic magnetic nanoparticles)の合成
【0039】
まず、0.34gのFeCl・6HO、0.6gの酢酸ナトリウムおよび0.11gのクエン酸三ナトリウム二水和物をエチレングリコール(10mL)に溶解させ、混合物を攪拌し、2時間超音波処理した後、テフロン(登録商標)ライニングステンレススチールオートクレーブ(Teflon-lined stainless-steel autoclave)で密封した。オートクレーブは、200℃で加熱し、12時間維持し、磁性生成物を磁力分離で収集し、エタノール(ethanol)/脱イオン水(DIW:deionized water)で3回洗浄し、使用前に60℃で乾燥させた。PMNの場合、以前に[Fast and sensitive immuno-PCR assisted by plasmonic magnetic nanoparticles,Appl Mater Today,23(2021)]説明したのと同じ合成方法を用いた。
【0040】
(3)PPT-qiPCR光学装置
【0041】
赤外線LED(850nmピーク波長、金属コアPCBに装着、8.5W正格電力、700mA順方向電流で3.8W放射フラックス、12.4V順方向電圧、LZ4-40R608、LEDエンジン、CA,USA)、青色LED(460nmピーク波長、金属コアPCBに装着、10W電力等級、700mA順方向電流および14V順方向電圧で3.9W放射フラックス、LZ4―40B208、LED Engine、CA,USA)、IR温度計(OPTCSTCLT15)、青色LED(5mm、480nmピーク波長、3.2V順方向電圧、20mA順方向電流、4.1cd、C503B-BCN-V0Z0461、CREE,Inc.,NC,USA)、FITC放出フィルター(中心波長=475nm、バンド幅=35nm、MF475-35、Thorlabs,Inc.,NJ,USA)、分光光度計(CCS200、Thorlabs,Inc.,NJ)、USA)および光ファイバー(M0065-51-0034、Thorlabs,Inc.,N
J,USA)を用いてPPT-qiPCR光学装置を構築した。LabVIEWプログラムは、電源供給装置、LEDを用いた熱循環、冷却ファン、蛍光測定および温度測定を制御した。
【0042】
(4)PMNの表面カルボキシル化(PMN-MPA)
【0043】
磁性ナノ粒子およびPMNの合成は、以前の研究(Fast and sensitive immuno-PCR assisted by plasmonic magnetic nanoparticles,Appl Mater Today,23(2021))と同様に進めた。PMN(0.25mL、1mg・mL-1 in DIW)および3-メルカプトプロピオン酸(0.5μL、MPA)を混合した後、混合物を30分間超音波処理し、1,500gで8分間遠心分離した後、DIWで洗浄し、最終的にDIW(1mg・mL-1)に再分散した。
【0044】
(5)プラズモン免疫磁気ナノ粒子(PIMN:Plasmonic immunomagnetic nanoparticles)の製造
【0045】
捕捉抗体は、カルボジイミド(carbodiimide)カップリングを通じてPMNに接合させた。具体的には、PMN-MPA(20μL、1mg・mL-1 in DIW)、N-(3-Dimethylaminopropyl)-N’-ethylcarbodimide hydrochloride(25μL、10mg・mL-1 in pH 5.5MES緩衝液)および抗ヒトIL-6 Ab(10μL、0.5mg・mL-1 in pH5.5 MES緩衝液)を1時間混合した。ナノ粒子の残りの活性部位は、ウシ血清アルブミン(BSA、2.0wt%)を用いて遮断し、過量の捕捉抗体およびBSAを除去するために、PBS(0.05wt% Tween-20)で生成物を洗浄し、PBSに再懸濁させ、4℃で保管した。
【0046】
(6)PCRチューブの免疫分析法
【0047】
機能化されたナノ粒子ベースの免疫測定法は、次のように行った:25μL IL-6試料を様々な濃度(1000、500、100、10、1、0.1、0.05、0.025、0pg・mL-1)でPIMN(12.5μL、0.2mg・mL-1、6OD)およびビオチン抗ヒトIL-6検出抗体(12.5μL、0.005mg・mL-1)と混合した。振とう器で1時間培養した後、磁力分離を用いてPBS(0.05wt% Tween-20)で3回洗浄した。あらかじめ接合されたストレプトアビジン-dsDNA複合体は、ストレプトアビジン(2.5μL、10μg・mL-1)とビオチン-dsDNA(9.4μL、0.1μM)を室温で30分間混合(1:2の割合)して獲得した。その後、あらかじめ接合されたストレプトアビジン-dsDNA複合体をさらに30分間混合した。dsDNAテンプレートで形成されたサンドイッチ免疫複合体をPBS(0.05wt% Tween-20)で数回洗浄し、バックグラウンドノイズを減らし、非特異的相互作用を防止した。その後、さらなるPCR反応のために、複合体溶液を5μL PBSに再分散させた。
【0048】
(7)PPT-qiPCR用PCR混合物の準備
【0049】
PCR増幅のための10μL反応混合物は、次の通りである:PCRバッファー(1μL、10×)、正方向プライマー(0.5μL、10μM)、逆方向プライマー(0.5μL、10μM)、dNTPs(0.2μL、10μM)、DNA重合酵素(0.3μL、5 U・μL-1)、SYBR Green I(0.5μL、140x in DMSO)、PIMN-サンドイッチ(5μL、15OD)、ヌクレアーゼのない水(2μL
)およびミネラルオイル(10μL、混合物)。PPT-qiPCRは、95℃(5秒)での初期変性、95℃(1秒)と72℃(8秒)の間の35回光熱循環の二段階で行い、72℃で1秒間アニーリング/延長する間にリアルタイムで530nmで蛍光放出信号を測定し、反応をモニタリングした。増幅後、生成物溶液をTBE緩衝液(5μL、0.5x)およびローディング緩衝液(3μL、6x)と混合し、アガロースゲル(3%)電気泳動分析を行った。
【0050】
(8)比色分析(Colorimetric assay)
【0051】
PPT-qiPCR後、MES緩衝液(9μL、0.1M、pH4.7)およびTMB(1μL、最終濃度3mM)を増幅されたPCR反応混合物10μLに添加した。Blue-Ledを用いて生成された混合物を10分間照射した。
【0052】
2.実験結果
【0053】
(1)多機能プラズモン免疫磁気ナノ粒子(Multifunctional plasmonic immunomagnetic nanoparticles)およびプラズモン光熱循環(plasmonic photothermocycle)
【0054】
1)多機能プラズモン免疫磁気ナノ粒子
【0055】
多機能プラズモン免疫磁気ナノ粒子(PIMN:plasmonic immunomagnetic nanoparticles)は、磁気特性のためのFeナノクラスター(nanoclusters)、プラズモン光熱変換(plasmonic photothermal conversion)のための金ナノシェル(gold nanoshells)および免疫反応のための抗体で構成される(図1)。マグネタイト(magnetite)Feナノクラスターは、溶媒熱反応を通じて準備した(図2aおよび図3a)。その後、金シェル層の成長のために、コロイド金シードをFeナノクラスターに付着した(図3b)。付着した金シード(Fe@Au seeds)は、連続的な金シェルを形成する核形成サイトの役割をし、得られたプラズモン磁性Fe@Auナノ粒子は、PMNで表示した(図2aおよび図3c)。その後、電子顕微鏡イメージを通じて磁気コアが金シェルで完全に覆われていることを確認した(図2a)。X線粉末回折(XRD:X-ray powder diffraction)パターンを通じて磁気コアと金シェルの結晶性を確認し、磁気コアとPMN間の他のパターンは、PMNのコア-シェル構造をさらに支援することを確認した(図4)。また、電子顕微鏡および動的光散乱を用いた粒子分析を通じてPMNが108.7±10.4nmの均一なサイズを有する単分散であることを確認した(図2bおよび図3c)。ナノ粒子の表面に捕捉抗体を固定させるために、スルフヒドリル(sulfhydryl)およびカルボニル(carboxyl)グループを含む二作用性3-メルカプトプロピオン酸(bifunctional 3-Mercaptopropionic acid)(MPA)をPMNと抗体間のリンカーに導入させた。PMNは、まず、半共有金-硫黄(Au-S)結合を通じてMPAで修飾された後、抗体がカルボジイミドカップリング(carbodiimide coupling)によりナノ粒子の表面に共有結合されることを確認した。修飾プロセスは、UV-Visスペクトル、ゼータ電位およびDLS分析を通じてモニタリングした(図2b~図2d)。表面電位は、PMNでMPAを修飾した後、負数(-39.9mV)となり、負電荷を帯びた数多くのカルボキシルグループの修飾を示すことを確認した。捕捉抗体の修飾後、正の方向にζ-電位の相当な移動を確認し、PMNで抗体が接合することを確認した。PMNの流体力学的半径およびLSPRピーク拡張の増加を通じてPMNで抗体が成功裏に修飾されることを確認し、IR波長でPMNの強い吸収は、IR光源を光熱変換に使用できるようにし(図2d)、長期間の光の露出
による蛍光染料(SYBR(C)緑色、SG)の光退色を防止することを確認した。
【0056】
2)プラズモン光熱循環
【0057】
iPCRの核心である熱循環過程は、プラズモンナノ粒子の光熱効果を用いて時間を短縮させることができる。家で作ったIR-LED装置は、PIMNの光熱変換を研究するために製造した(図5)。IMNを含む溶液温度を測定し、非接触IR温度計で記録した。図2eに示されたように、PIMNの様々な光学密度(OD)で72℃と95℃の間の1つの光熱周期の代表的な温度プロファイルを確認した。また、PIMN ODが5から15に増加するにつれて、加熱ランプ速度の線形上昇を確認した。一周期の最も短い光熱循環時間は、加熱速度が9.32±0.13℃/sであり、冷却速度が6.45±0.10℃/sである15ODサンプルの場合、6秒であることを確認した(図2f)。金ナノ粒子によって吸収された光エネルギーが熱発生の他に主なエネルギー損失チャネルがないという点を勘案するとき、加熱速度の線形増加を期待することができる。温度正確度は、95℃および72℃で72.03±0.35℃および94.88±0.21℃であり、15.0OD以上では、加熱速度が大きく向上しないことを確認した。前述のような結果は、ナノ粒子濃度が増加するにつれて、粒子間カップリングによる光透過深さまたはプラズモン共鳴の変化によることを確認した。また、IR-LED照射下でナノ粒子なしでは温度変化がないことを確認し(図6)、PIMNは、熱循環後、優れた熱安定性を示すことを確認した(図7)。
【0058】
(2)リアルタイム(real-time)および終点蛍光二重読み出し(end-point fluorescence dual-readout)を用いた定量的免疫分析
【0059】
増幅された核酸をリアルタイムで定量化できるリアルタイムPCR(real-time PCR)のモニタリング機能は、分子診断においてゴールドスタンダードとして使用され、蛍光ベースのポイントオブケア診断用バイオセンサー(point-of-care biosensor)、マルチプレックスPCR(multiplex PCR)および免疫PCR(immuno-PCR)においてベンチマーク(benchmark)技術である。金ナノ粒子は、効率的な蛍光漂白剤と知られているので、蛍光信号を増加させるために、PIMNとSG染料の濃度を最適化した。ラムダDNA(Lambda DNA)は、PIMNを用いたPPT-qiPCRで増幅し、増幅曲線とゲル電気泳動分析結果からPIMNとSG染料濃度間の最適条件を決定した。その結果、固定されたPIMN濃度(7.5OD)で蛍光信号は、SG染料濃度(x1~x7)に比例することを確認したが、染料濃度をx10 SG染料に増加させる場合、増幅反応が抑制されることを確認した(図8)。したがって、SG染料濃度をx7に固定した。しかしながら、PIMN濃度が15.0ODであるとき、最も速い発熱速度を示したが、この濃度では、蛍光消光程度が7.5ODより高かったため(図9図10c)、その後には、ナノ粒子の濃度を7.5ODに固定した。
【0060】
その後、PIMNを用いた迅速かつ敏感なリアルタイムPPT-qiPCRは、最適化された条件(図10a)でヒトIL-6の様々な濃度で用いた。PIMNに標識された抗ヒトIL-6モノクロナール捕捉抗体およびビオチニル化された抗ヒトIL-6モノクロナール検出抗体を用いてサンドイッチ型免疫分析法を通じてヒトIL-6を検出した。ヒトIL-6の連続希釈物を捕捉抗体および検出抗体とともに培養し、サンドイッチ構造を構築し、洗浄した後、ビオチニル化された検出抗体をあらかじめ接合されたストレプトアビジン-DNA鋳型と組み立てて、後期PCR反応(later PCR reaction)で信号プローブとして使用した。また、3回洗浄した後、プライマーと重合酵素を含むPCR反応混合物をPCRチューブに添加し、IR-LED装置を用いて超高速リア
ルタイムPPT-qiPCRを行った。初期変性温度(95℃で5秒)および変性(1秒、95℃)とアニーリング/延長(8秒、72℃)の間の二段階の35回光熱循環を非接触IR温度計で制御した。その後、プローブDNAの増幅を示す各サイクルの蛍光信号を青色LEDと分光光度計を用いてリアルタイムでモニタリングした。増幅反応は、温度プロファイルによって10分未満に完了することを確認した(図10b)。加熱ブロックでPCRチューブを介して反応溶液に熱を伝達する商業用熱循環器に比べて、ナノ粒子が均一に分散した本発明のシステムは、熱が反応混合物全体に直接均一に分布することができるので、格別に速い熱循環が可能であることを確認した。PPT-qiPCR対IL-6濃度のリアルタイム増幅信号をプロットするグラフは、一般的なqPCR増幅曲線を示し、定量化周期(Cq:quantification cycle)番号を決定するのに使用した(図10c)。Cq値は、5~1000pg・mL-1のIL-6濃度と一貫した線形関係を示すことを確認し(図3D->10d)、リアルタイムPPT-qiPCRの達成された感度および動的範囲は、商用ELISAキットと比較し、下記表1に示した(表1)。
【0061】
【表1】

【0062】
上記のように、リアルタイム定量検出を確認した後、さらに高い感度を達成するために、PPT-qiPCRシステムに現場終点蛍光測定を適用した。簡単な磁気分離で溶液からPIMNを除去することができるので、蛍光消光を大きく減らすことができる。PPT-qiPCR反応後、PIMNは、磁石で反応チューブの底で獲得し、530nmでアムプリコンの現場終点蛍光信号を測定し、IL-6濃度に対してプロットした(図10e)。磁気分離を含む現場終点蛍光信号の測定は、15秒内に完了することを確認した(図10bおよび図10e)。また、前記結果から分かるように、蛍光消光の除去によって現場終点PPT-qiPCRは、検出範囲(0.05~1000pg・mL-1)を広げ、感度を向上させた。また、定量化プロットも、正しい線形性を示すことを確認した。図10fに示した磁気分離前後の蛍光イメージと図11に示したナノ粒子濃度依存的蛍光信号を通じて蛍光消光の減少がナノ粒子の除去によるものであることを確認した。[FL]=32208+4269log[C](R=0.989)の相関式(FL:530nmでのSGの蛍光信号、C:IL-6の濃度)から計算された分析LODは、21.3fg・mL-1(3σBlank)であることを確認した。また、前記表1に示されたように、商業用ELISA分析キットのLODと比較するとき、PPT-qiPCRは、約100倍さらに低い感度を示すことを確認した。PIMNを用いた免疫磁気過程は、マイクロタイタープレート(microtiter plates)を用いた商用ELISAキットに比べて、抗原捕捉後、洗浄が可能で、分析溶液の柔軟なサンプリングと洗浄時間の短縮、非特異的結合および背景信号の減少を可能にすることを確認した。また、非特異的標的タンパク質に対するPPT-qiPCRの選択性を調査した結果、図10gに示されたように、ブランクおよび非特異的標的と区別される蛍光信号がなく、優れた選択性を示すこと
を確認した。
【0063】
(3)比色(Colorimetric)検出
【0064】
比色バイオセンサー(colorimetric biosensor)は、作動が容易であり、信号感知のための高価な複雑な装備を除去できるので、POC診断および資源が制限された国家に最も適合したプラットフォームの1つである。PCRの幾何級数的増幅力を維持しつつ、ELISAで一般的に使用される発色基質を用いた比色検出にシステムを拡張した(図12a)。PPT-qiPCR方法が視覚的に識別可能な比色検出方法に適用可能であることを立証するために、活性酸素種(reactive oxygen
species)を生成するDNA-SG複合体の光触媒特性を活用した。特に、TMBの酸化は、青色LEDの下方から放出されるとき、DNA-SG複合体で生成された一重項酸素(singlet oxygen)により誘導され得、生成された一重項酸素は、TMBの酸化を触媒して色相変化を起こし、一重項酸素の量は、増幅された標的DNAの量に直結している。
【0065】
まず、活性酸素種を生成するDNA-SGのpH、TMB濃度および光照射時間による光触媒活性をSG濃度を×7に固定して照射した。TMB酸化を示す650nmでの吸光度強度をモニタリングし、溶液のpHを調節するためにPPT-qiPCR後にMES緩衝液(pH4.7)を添加した。その結果、DNA-SGを用いたTMB酸化の最適pHは、5.0であることを確認し、HRP(horseradish peroxidase)と比較し(図13A)、標的DNAの有無による吸光度の変化は、3mM TMB濃度で最も大きいことを確認した(図13B)。光照射時間が10分以上の場合には、吸光度が大きく増加しなかったため(図14)、10分の露出時間でpHおよびTMB濃度をそれぞれ5.0および3mMにしてさらなる実験を行った。免疫磁気分析およびIL-6の連続希釈を用いたPPT-qiPCR後、MESバッファーのTMB溶液をPCRチューブに添加し、比色検出を確認した。その後、10分間青色LEDを照射した後、DNA-SGは、TMB酸化を誘導し、PMNを15秒間磁気分離して、色相の変化を確認した。DNA-SGの光触媒活性程度は、増幅されたアムプリコンの量と直接的な関連があるので、増幅されたPCR産物の量による色相の変化および彩度を用いて標的を定量することができることを確認した。図12bに示されたように、無色から青色への転換は、対象の存在または不在に対する信頼できる指標の役割をするのに対し、青色の強度は、対象集中の証拠の役割をした。UV-Vis分光光度計を用いて色相読み取り値をより正確に定量化した(図12c)。650nmでの吸光度とIL-6濃度の間の関係をプロットし、曲線は、[Abs]=1.46+0.67log[C](R=0.99)方程式と強い線形相関関係を示すことを確認した(Abs:TMBの吸光度酸化、C:IL-6の濃度)。比色方法は、蛍光終点分析と同様に、0.05pg・mL-1から1ng・mL-1までの広い検出範囲と39.5fg・mL-1のLODを立証した。したがって、0.05pg・mL-1程度の低い標的も、目視で検出することができることを確認した。増幅されたPPT-qiPCRは、アガロースゲル電気泳動(図10f)によりさらに特性化され、IL-6濃度が増加するにつれてバンド強度の明確な変化を確認した。
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図2f
図3a
図3b
図3c
図3d
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10a
図10b
図10c
図10d
図10e
図10f
図10g
図11
図12a
図12b
図12c
図13
図14
【配列表】
2024163007000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2024-05-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、プラズモン免疫磁気ナノ粒子を用いた標的核酸の検出方法に関する。
本発明は、韓国科学技術情報通信部課題番号:NRF-2022R1F1A1070162(1711171631、1711186785及び課題番号:2023-DD-UP-0007)及び韓国教育部(課題番号:NRF-2021R1A6A1A03039503(1345362911))により支援を受けて完成された。