(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163014
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】シート搬送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 7/12 20060101AFI20241114BHJP
B65H 29/62 20060101ALI20241114BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
B65H7/12
B65H29/62
G03G15/00 480
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024039125
(22)【出願日】2024-03-13
(31)【優先権主張番号】P 2023078126
(32)【優先日】2023-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 亜希
(72)【発明者】
【氏名】吉田 英史
【テーマコード(参考)】
2H072
3F048
3F053
【Fターム(参考)】
2H072AA04
2H072AA09
2H072AA16
2H072AA22
2H072AB22
2H072CA01
2H072CB01
2H072CB05
2H072EA14
2H072JA04
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA13
3F048BB03
3F048CC01
3F048DA06
3F048DC00
3F048DC12
3F048EA01
3F048EA12
3F048EB22
3F048EB28
3F053EA01
3F053EC02
3F053ED03
3F053ED18
3F053LA01
3F053LB03
(57)【要約】
【課題】シート搬送路を短くしても、重送したシートをできるだけシート排出部へ排出する。
【解決手段】ペーパーデッキ101は、シート積載部110aに積載されたシートを給送する給送部120aと、給送部120aにより給送されたシートが搬送されるシート搬送路250とシート搬送路から分岐したエスケープ搬送路251との分岐部231の上流であって且つ分岐部までの経路長さが搬送可能なシートの長さより短い検知位置DPで、シートの重送を検知する重送検知器233aと、重送検知器により重送が検知された場合に、シートをエスケープ搬送路を介してエスケープトレイへ排出する第1モードと、シートをエスケープトレイへ排出せずにシート搬送路に停止させる第2モードと、を実行可能なCPU301と、を備える。CPU301は、重送検知器が重送を検知したタイミングに従って第1モードと第2モードを切り替える(S600)。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを積載するシート積載部と、
前記シート積載部に積載された前記シートを給送するシート給送手段と、
前記シート給送手段により給送された前記シートが搬送されるシート搬送路と、
分岐部において前記シート搬送路から分岐した退避搬送路と、
前記退避搬送路を搬送される前記シートを排出するシート排出部と、
前記分岐部よりも搬送方向における上流であって且つ前記分岐部までの前記シート搬送路における経路長さが搬送可能な前記シートよりも短い検知位置で、前記シート給送手段により給送された前記シートの重送を検知する重送検知手段と、
前記重送検知手段により前記重送が検知された場合に、前記重送が検知された前記シートを前記退避搬送路を介して前記シート排出部へ排出する第1モードと、前記重送が検知された前記シートを前記シート排出部へ排出せずに前記シート搬送路に停止させる第2モードと、を実行可能な制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記重送検知手段が前記重送を検知したタイミングに従って前記第1モードと前記第2モードを切り替えることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記重送検知手段は、前記シート給送手段による1回の給送動作中に複数回の重送検知動作を実行し、
前記制御手段は、前記重送が検知されたときの前記重送検知動作の回数に従って前記第1モードと前記第2モードを切り替えることを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記重送が検知されたときの前記重送検知動作の前記回数が所定閾値より小さい場合に前記第1モードを実行し、
前記制御手段は、前記回数が前記所定閾値以上である場合に前記第2モードを実行することを特徴とする請求項2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記シート積載部は、複数のシート積載部を含み、
前記シート給送手段は、複数のシート給送手段を含み、
前記重送検知手段は、複数の重送検知手段を含み、
前記制御手段は、前記複数の重送検知手段のいずれかにより前記重送が検知された場合に、前記重送が検知された前記タイミングに従って前記第1モードと前記第2モードを切り替え、
前記タイミングを判定する基準は、前記複数の重送検知手段の少なくとも2つ以上で異なることを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記基準は、前記シート搬送路と前記退避搬送路との前記分岐部から前記複数のシート給送手段までのそれぞれの距離に従って異なることを特徴とする請求項4に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
前記シート搬送路における検知位置に前記シートが有るか否かを検知するシート検知手段を備え、
前記制御手段は、前記重送検知手段が前記重送を検知したときの前記シート検知手段の検知結果に基づいて前記第1モードと前記第2モードを切り替えることを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項7】
シートを積載するシート積載部と、
前記シート積載部に積載された前記シートを給送するシート給送手段と、
前記シート給送手段により給送された前記シートが搬送されるシート搬送路と、
分岐部において前記シート搬送路から分岐する退避搬送路と、
前記退避搬送路を搬送される前記シートを排出するシート排出部と、
前記分岐部よりも搬送方向における上流であって且つ前記分岐部までの前記シート搬送路における経路長さが搬送可能な前記シートよりも短い検知位置で、前記シート給送手段により給送された前記シートの重送を検知する重送検知手段と、
前記重送検知手段により前記重送が検知された場合に、前記重送が検知された前記シートを前記退避搬送路を介して前記シート排出部へ排出する第1モードと、前記重送が検知された前記シートを前記シート排出部へ排出せずに前記シート搬送路に停止させる第2モードと、を実行可能な制御手段と、
前記分岐部よりも前記搬送方向における下流において、前記シート搬送路を搬送された前記シートに画像を形成する画像形成部と、
を備え、
前記制御手段は、前記重送検知手段が前記重送を検知したタイミングに従って前記第1モードと前記第2モードを切り替えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重送したシートをシート排出部へ排出するシート搬送装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、シートに画像を形成するプリンタなどの画像形成装置において、シートを給送する際に複数枚重なった状態で給送してしまう重送という問題が知られている。重送が発生すると、重なって搬送されたシート(以下、重送シートともいう)が成果物に画像が形成されていない白紙のシートとして紛れ込んでしまう。特に、画像が形成されたシートに製本処理やステイプル処理を施す場合には、製本やステイプルされた成果物の中に白紙のシートが介在してしまうという問題がある。そこで、重送検知手段を搭載し、重送シートを検知したら通常の搬送路から分岐するように設けられたエスケープ搬送路へ重送シートを排出するシート搬送装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1のシート搬送装置は、第1モードと第2モードとで動作可能である。第1モードにおいては、重送検知手段が重送シートを検知したら、重送シートは、通常の搬送路から分岐するように設けられたエスケープ搬送路へ排出される。第2モードにおいては、重送シートが薄紙などの所定の種類のシートである場合に、搬送路上でユーザーが排出処理を行いやすい位置にシートが停止される。特許文献1のシート搬送装置は、第1モードと第2モードを切り替えることにより、ダウンタイムを小さくすることができる。近年、シート搬送装置及び画像形成装置は、より高い生産性と小型化のニーズが高まっている。その為、搬送路をできる限り短くし、シート搬送装置の小型化を行う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、搬送路を短くすると、重送シートを検知してから搬送路を通常の搬送路からエスケープ搬送路へ切り替える時間が短くなり、エスケープ搬送路に重送シートを搬送できないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施例によるシート搬送装置は、
シートを積載するシート積載部と、
前記シート積載部に積載された前記シートを給送するシート給送手段と、
前記シート給送手段により給送された前記シートが搬送されるシート搬送路と、
分岐部において前記シート搬送路から分岐した退避搬送路と、
前記退避搬送路を搬送される前記シートを排出するシート排出部と、
前記分岐部よりも搬送方向における上流であって且つ前記分岐部までの前記シート搬送路における経路長さが搬送可能な前記シートよりも短い検知位置で、前記シート給送手段により給送された前記シートの重送を検知する重送検知手段と、
前記重送検知手段により前記重送が検知された場合に、前記重送が検知された前記シートを前記退避搬送路を介して前記シート排出部へ排出する第1モードと、前記重送が検知された前記シートを前記シート排出部へ排出せずに前記シート搬送路に停止させる第2モードと、を実行可能な制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記重送検知手段が前記重送を検知したタイミングに従って前記第1モードと前記第2モードを切り替えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、シート搬送路を短くしても、重送したシートをできるだけシート排出部へ排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】給送部から搬送ローラ対までのシート搬送路の拡大図。
【
図5】検知回数と超音波受信レベルの関係を示す図。
【
図6】実施例1においてCPUが実行する重送検知処理のフローチャート。
【
図7】実施例1においてCPUが実行する重送処理のフローチャート。
【
図8】実施例1におけるシート搬送路及びエスケープ搬送路の拡大図。
【
図9】実施例2においてCPUが実行する重送処理のフローチャート。
【
図12】実施例3においてCPUが実行する重送検知処理のフローチャート。
【
図13】実施例3においてCPUが実行する重送処理のフローチャート。
【
図14】実施例3におけるシート搬送路及びエスケープ搬送路の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
【実施例0010】
(画像形成装置)
実施例1における画像形成装置としてのプリンタ1の全体構成について
図1に基づいて説明をする。
図1は、実施例1のプリンタ1の断面図である。
図1に示すように、画像形成装置であるプリンタ1は、シートに画像を形成する装置本体100と、装置本体100に対してシートを給送するペーパーデッキ101を備えている。シート搬送装置(シート給送ユニット)としてのペーパーデッキ101は、装置本体100に対して着脱可能に接続されている。ペーパーデッキ101は、装置本体100内に設けられたシートカセット(シート給送部)61、62、63及び64よりも多量のシートを積載可能な大容量スタッカである。本実施例において、ペーパーデッキ101は、装置本体100に接続されているが、ペーパーデッキ101は、装置本体100と一体に形成されてプリンタ1を構成してもよい。あるいは、ペーパーデッキ101は、中継搬送部(不図示)を介してプリンタ1に接続されてもよい。
【0011】
(装置本体)
装置本体100の上部には、原稿の画像を読み取る走査光学系を有する画像読取部21が設けられている。画像読取部21の下側には、記録媒体としてのシートに画像を形成する画像形成部22が設けられている。画像形成部22の下方には、シートを収容して装置本体100の正面側から出し入れ可能に装着されるフロントローディング形式の複数のシートカセット61、62、63及び64が設けられている。
【0012】
画像形成部22は、イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックKの各色の画像を形成する画像形成ステーション23Y、23M、23C、23Kを備えている。画像形成部22は、画像形成ステーション23Y、23M、23C、23Kが中間転写ベルト31に沿って並設されたタンデム式である。イエローの画像形成ステーション23Yは、感光ドラム11Yと、感光ドラム11Yの周りに帯電装置12Y、露光装置13Y、現像装置14Y、一次転写ローラ35Y及びクリーニングブレード15Yを備えている。
【0013】
帯電装置12Yは、感光ドラム11Yの表面を所定の電位に帯電させ、露光装置13Yは、帯電装置12Yによって一様に帯電された感光ドラム11Yの表面に静電潜像を形成する。また、現像装置14Yは、感光ドラム11Y上に形成された静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する。一次転写ローラ35Yは、感光ドラム11Y及び中間転写ベルト31との間に一次転写ニップを形成し、転写バイアスが印加されることによって、感光ドラム11Y上のトナー像を中間転写ベルト31上に転写するように構成されている。また、クリーニングブレード15Yは、一次転写ニップの下流側で感光ドラム11Yの表面に当接し、一次転写後に感光ドラム11Yの表面上に残留した残留トナーを除去するように構成されている。なお、他の画像形成ステーション23M、23C、23Kは、使用しているトナーの色を除いて、イエローの画像形成ステーション23Yと基本的に同様の構成を有するので、それらの説明を省略する。
【0014】
中間転写ベルト31は、ブラックの画像形成ステーション23Kの下流側で二次転写内ローラ32及び二次転写外ローラ41と共に中間転写ベルト31の表面上に形成されたトナー像をシートへ転写する二次転写部T2を形成している。シートの搬送方向において、二次転写部T2の下流には、定着装置3が設けられている。トナー像が転写されたシートは、定着装置3によって加圧及び加熱されてトナー像がシートに定着され、シートに画像が形成される。
【0015】
プリンタ1が画像読取部21によって読み取られた画像情報に従ってシートに画像を形成する場合、画像読取部21は、画像情報を光電変換して露光装置13Y、13M、13C及び13Kへ送信する。画像形成ステーション23Y、23M、23C、23Kは、画像情報に従って各色のトナー像を形成する。画像形成ステーション23Yにおいて、感光ドラム11Yの表面上に形成されたトナー像は、一次転写ローラ35Yによって中間転写ベルト31の表面上に転写される(一次転写)。同様に、画像形成ステーション23M、23C及び23Kは、それぞれの色のトナー像を中間転写ベルト31の表面上に転写する。中間転写ベルト31の表面上に重ね合わされたトナー像は、二次転写部T2でシートカセット61~64又はペーパーデッキ101から給送されたシートの表面上に転写される(二次転写)。
【0016】
二次転写部T2でトナー像が転写されたシートは、定着装置3によって加熱及び加圧され、トナー像がシートの表面上に融着される。ユーザーによって指定された画像形成モードが片面画像形成モードである場合、画像が形成されたシートは、排出口50から装置本体100の外へ排出される。一方、ユーザーによって指定された画像形成モードが両面画像形成モードである場合、片面に画像が形成されたシートは、反転パス52へ搬送され、両面パス85を通って再度、画像形成部22へ搬送される。
【0017】
(ペーパーデッキ)
ペーパーデッキ101の構成について説明する。
図1に示すように、ペーパーデッキ101は、大容量のシート積載部110a、110b及び110cと、シート積載部110a、110b及び110cにそれぞれ対応する給送部120a、120b及び120cとを備えている。複数のシート積載部110a、110b及び110cのそれぞれの容量は、装置本体100に設けられたシートカセット61、62、63及び64のそれぞれの容量よりも大きい。複数の給送部120a、120b及び120cは、シート積載部110a、110b及び110cに積載されたシートを給送する複数のシート給送手段を構成する。給送部120a、120b及び120cは、
図2に示す第1給送ファン236a、第2給送ファン236b及び第3給送ファン236cによりシート積載部110a、110b及び110c上のシートを捌き、ベルトに吸着して搬送する吸着搬送手段である。
【0018】
ペーパーデッキ101は、シート搬送路250と、シート搬送路250から分岐するエスケープ搬送路251(退避搬送路)と、を備えている。シート積載部110a、110b及び110cから給送されたシートは、シート搬送路250を通って装置本体100へ搬送される。シート搬送路250上には、複数の搬送ローラ対205、206、207、208、209、210、211、212、213及び214が配置されている。複数の搬送ローラ対205、206、207、208、209、210、211、212、213及び214は、シート積載部110a、110b及び110cから給送されたシートを装置本体100へ搬送する。なお、本実施例において、シート搬送路とは、シートカセット61、62、63及び64並びにシート積載部110a、110b及び110cから給送され、画像が形成され、排出口50から装置本体100の外へ排出されるまでにシートが通る経路をいう。シート搬送路250は、ペーパーデッキ101におけるシート搬送路を構成している。
【0019】
一方、シート積載部110a、110b及び110cから二枚以上重なって給送されたシート(重送シート)は、エスケープ搬送路251を通ってエスケープトレイ232(退避トレイ)へ排出される。エスケープ搬送路251は、搬送ローラ対213の下流側の分岐部231でシート搬送路250の中途部から上方へ分岐している。エスケープ搬送路251には、シートを搬送するシート搬送手段としてのエスケープ搬送ローラ対215(退避搬送ローラ対)が配置されている。エスケープ搬送ローラ対215によって搬送されたシートは、エスケープ搬送路251の終端部からペーパーデッキ101の上面に設けられたエスケープトレイ232(シート排出部)へ排出される。
【0020】
ペーパーデッキ101の上部には、ペーパーデッキ101の右側の入口253からシート搬送路250へ延在するシート搬送路252が設けられている。シート搬送路252は、搬送ローラ対213の上流側でシート搬送路250に合流する。シート搬送路252には、搬送ローラ対216、217、218、219及び220が設けられている。ペーパーデッキ101の右側には、さらに、別のペーパーデッキが拡張して連接可能である。拡張したペーパーデッキから給送されるシートは、入口253から搬送ローラ対216、217、218、219及び220によってシート搬送路252を通ってシート搬送路250へ搬送され、装置本体100へ搬送される。
【0021】
給送部120a、120b及び120cにより給送されたシートをシート搬送路250へ搬送する搬送ローラ対205、206及び207の下流には、重送検知器233a、233b及び233cが設けられている。重送検知器233a、233b及び233cは、二枚以上のシートが重なって給送される重送を検知する重送検知手段である。以下の説明において、複数の重送検知器233a、233b及び233cを区別する必要がない場合、複数の重送検知器233a、233b及び233cを包括的に重送検知器233という。重送検知器233によって二枚以上のシートが重なって給送される重送が検知された場合、重送シートは、分岐部231でシート搬送路250から分岐したエスケープ搬送路251を通って重送シート排出部としてのエスケープトレイ232へ排出される。重送検知器233aの検知位置DP(
図4(a))から分岐部231までの搬送路の経路長さは、搬送可能なシートの搬送方向における長さよりも短い。重送検知器233bの検知位置から分岐部231までの搬送路の経路長さは、搬送可能なシートの搬送方向における長さよりも短い。重送検知器233cの検知位置から分岐部231までの搬送路の経路長さは、搬送可能なシートの搬送方向における長さよりも短い。
【0022】
本実施例において、分岐部231は、ペーパーデッキ101に設けられているので、分岐部231は、シートの搬送方向において、装置本体100の画像形成部22の上流に位置する。したがって、重送シートは、画像形成部22に搬送されることなく、エスケープトレイ232へ排出される。なお、重送シート以外のシートも、エスケープトレイ232へ排出されることがある。例えば、プリンタ1でジャムが発生した場合に、ペーパーデッキ101の内部に残留しているジャムシート以外のシート(滞留シート)は、エスケープ搬送路251を通ってエスケープトレイ232へ排出されてもよい。
【0023】
本実施例において、重送検知器233は、超音波発振器5と超音波受信器6とによって構成される超音波センサである。超音波発振器5から発振された超音波は、2枚以上のシートが重なっている重送シートを通過すると減衰し、減衰した超音波が超音波受信器6によって受信される。重送検知器233によって検知される超音波の減衰度合いに基づいて、重送検知器233を通過するシートが重送シートであるか否かが検知される。なお、重送検知器233は、必ずしも超音波センサである必要はない。重送検知器233は、例えば、光センサであってもよい。
【0024】
(制御装置)
実施例1のペーパーデッキ101の制御手段としての制御装置300の構成について説明する。
図2は、実施例1の制御装置300のブロック図である。
図2に示すように制御装置300は、各種演算を実行する演算手段としてのCPU(中央演算処理装置)301と、記憶手段を構成するROM(リードオンリーメモリ)302及びRAM(ランダムアクセスメモリ)303を備えている。RAM303は、CPU301のワーキングエリアとして機能する。ROM302には、ペーパーデッキ101の制御に使用される各種プログラムが保存されている。CPU301、ROM302及びRAM303は、バス型接続の通信線304によって接続されている。
【0025】
制御装置300は、重送検知器233a、233b及び233cに電気的に接続されている。制御装置300は、第1駆動モーター234a、第2駆動モーター234b及び第3駆動モーター234cに電気的に接続されている。第1駆動モーター234aは、搬送ローラ対205~214及び給送部120a、120b、120cのシートを吸着して搬送する搬送ベルトを駆動する。第2駆動モーター234bは、搬送ローラ対216~220を駆動する。第3駆動モーター234cは、エスケープ搬送ローラ対215を駆動する。制御装置300は、第1給送ファン236a、第2給送ファン236b及び第3給送ファン236cに電気的に接続されている。制御装置300は、搬送路切替器235に電気的に接続されている。
【0026】
(搬送路切替器)
搬送路切替器235について、
図3を用いて説明する。
図3は、搬送路切替器235の動作を説明する図である。搬送路切替器235は、分岐部231に設けられた切替部材(フラッパ)237を有する。切替部材237の姿勢は、第1位置FPと第2位置SPとの間で移動可能である。切替部材237の位置は、ソレノイド(不図示)によって第1位置FPと第2位置SPに切り替えられる。
図3(a)に示すように、切替部材237が第1位置FPに位置する場合、シートは、シート搬送路250へ搬送される。
図3(b)に示すように、切替部材237が第2位置SPに位置する場合、シートは、エスケープ搬送路251へ搬送される。
【0027】
ここで、ROM302の中には、重送検知器233a、233b及び233cがシートの重送を検知した際に実行される重送処理プログラムP1が保存されている。本実施例では、重送検知器233aは、シート積載部110aから給送されたシートの重送を検知する。重送検知器233bは、シート積載部110bから給送されたシートの重送を検知する。重送検知器233cは、シート積載部110cから給送されたシートの重送を検知する。
【0028】
装置本体100の定着装置3でジャムが発生した場合、ペーパーデッキ101の搬送ローラ対210や211によって挟持された滞留シートは、エスケープ搬送路251を介してエスケープトレイ232へ自動排出される。滞留シートを自動排出する場合、制御装置300は、第3駆動モーター234cによりエスケープ搬送ローラ対215を駆動する。滞留シートがエスケープトレイ232へ自動排出されるので、ユーザーがペーパーデッキ101のドアを開けることなく搬送ローラ対210や211に滞留したシートを容易に除去することができる。重送検知器233a、233b又は233cによりシートの重送が検知された場合、制御装置300は、第3駆動モーター234cによりエスケープ搬送ローラ対215を駆動し、エスケープ搬送路251を介して重送シートをエスケープトレイ232へ排出する。
【0029】
(重送検知器)
図4は、給送部120aから搬送ローラ対212までのシート搬送路250の拡大図である。
図4(a)、
図4(b)及び
図4(c)は、シート400が給送部120aから給送される様子を時系列で示している。重送検知器233aは、上述した通り、超音波発振器5と超音波受信器6とによって構成されている。超音波受信器6は、超音波発振器5から発振された超音波を受信する。CPU301は、超音波受信器6によって受信された超音波の減衰レベルに基づいて、給送部120aから給送されたシート400が重送しているか否かを判断する。したがって、超音波の発振、受信及び判断を行う必要があるので、1回の重送検知動作には所定の時間がかかる。本実施例では、1回の重送検知動作にかかる所定の時間(以下、サンプリング時間Sという)を25ミリ秒(ms)とする。重送検知器233aは、シート400が重送検知器233aを通過する間にサンプリング時間Sの間隔(所定の時間間隔)で重送検知動作を実行する。また、本実施例におけるシート400の搬送速度Vは、1000mm/secとする。給送部120aによる1回の給送動作中に、重送検知器233aは、複数回の重送検知動作を実行する。
【0030】
図4(a)は、重送検知を開始するタイミングの様子を示す図である。搬送方向CDにおけるシート400の先端部が重送検知器233aの検知位置DPを所定距離Bだけ抜けたタイミングで重送検知を開始する。シート400の先端部400tはシート400の搬送時の振動などによってバタつきが大きくなるので、シート400の先端部400tで重送検知を実行すると誤検知する可能性が高い。そこで、シート400の先端部400tが重送検知器233aを所定距離(バタつき安定距離)Bだけ抜けたタイミングで重送検知を開始する。本実施例では、所定距離Bは、20mmに設定されている。しかし、所定距離Bは、20mmに限定されるものではなく、シート400のバタつきの影響を受けない距離であればよい。
【0031】
重送検知を実行している間もシート400は搬送され、
図4(b)に示すような状態を経由し、最終的には、
図4(c)に示すように搬送方向CDにおけるシート400の後端部400rが重送検知器233aに到達する。
図4(a)の状態から
図4(c)の状態になるまでの時間は、搬送方向CDにおけるシート400の長さLによって異なる。したがって、シート400の先端部400tが重送検知器233aに到達した時から後端部400rが重送検知器233aを通過する時までに重送検知が実行される所定回数Cmax(最大検知回数)は、シート400の長さLによって異なる。所定回数Cmaxは、搬送方向CDにおけるシート400の長さL(mm)、所定距離B(mm)、シート400の搬送速度V(mm/秒)及びサンプリング時間S(秒)を用いて、以下の式(1)によって求められる。
【数1】
なお、本実施例では、1枚のシート搬送に対して所定回数Cmaxだけ重送検知動作を行い、重送が1回でも検知されるとその時点で重送が検知されたと判断する。
【0032】
図5は、検知回数Cnと超音波受信レベルの関係を示す図である。検知回数Cnは、1回の給送動作中に行われた重送検知動作の回数である。シートの単送すなわちシートが重送されていない状態では、超音波発振器5から発振された超音波はあまり減衰せず、超音波受信器6によって受信される超音波受信レベルは高い。一方、シートが重送されている状態では、超音波発振器5から発振された超音波は減衰し、超音波受信器6によって受信される超音波受信レベルは低い。そこで、超音波受信レベルに関するレベル閾値THを設け(
図5中の点線)、超音波受信レベルがレベル閾値THより高い領域を単送レベル領域とし、超音波受信レベルがレベル閾値TH以下である領域を重送レベル領域とする。CPU301は、超音波受信レベルとレベル閾値THを比較し、超音波受信レベルがレベル閾値THより高い場合、シートの単送すなわちシートが重送されていないと判断する。一方、超音波受信レベルがレベル閾値TH以下である場合、CPU301は、シートが重送されていると判断する。例えば、
図5においては、3回目の重送検知動作(検知回数Cn=3)で、CPU301は、シートが重送されていると判断する。
【0033】
(重送検知処理)
次に、
図6を用いて、制御手段としてのCPU301が実行する重送検知処理の動作を説明する。
図6は、実施例1においてCPU301が実行する重送検知処理のフローチャートである。CPU301は、ROM302に保存されたプログラムに従って重送検知処理を実行する。重送検知処理は、シートがシート積載部110a、110b又は110cから給送される毎に実行される。実施例1では、シートがシート積載部110aから給送された場合について説明する。
【0034】
重送検知処理が開始されると、S300で、CPU301は、検知回数Cnと所定回数Cmaxを初期化する。検知回数Cnは、現在何回目の重送検知を行うかを表すカウント値である。検知回数Cnは、RAM303に保持される。検知回数Cnには、初期値として1が設定される。所定回数Cmaxは、重送検知を最大何回行うかを表す値である。本実施例では、搬送方向CDに搬送される一枚のシート(重送の場合には重なった複数枚のシート)に対して重送検知を行う最大回数が所定回数Cmaxである。
【0035】
S301で、CPU301は、重送検知を開始できる初回重送検知位置にシートが到達したか否かを判断する。初回重送検知位置は、上述したように重送検知が受けるシートの先端部のバタつきの影響を低減するようにシートの先端部400tが重送検知器233aから所定距離Bだけ通過した位置である(
図4(a))。シートが初回重送検知位置に到達していない場合(S301でNO)、CPU301は、処理をS301へ戻し、シートの先端部が初回重送検知位置に到達するまで待つ。シートの先端部が初回重送検知位置に到達した場合(S301でYES)、CPU301は、処理をS302へ進める。S302で、CPU301は、重送検知を開始し、重送検知器233aの検知結果としての超音波受信レベルを読み取る。上述した通り、超音波発振器5から発振された超音波を超音波受信器6で受信し、CPU301は、超音波受信器6で受信した超音波受信レベルを読み取る。
【0036】
S303で、CPU301は、重送か否かを判断する。上述した通り、超音波の減衰レベルから重送か否かを判断する。
図5を用いて上述したように、CPU301は、超音波受信レベルとレベル閾値THを比較して超音波受信レベルがレベル閾値THより高い場合、シートが重送されていないと判断する。超音波受信レベルがレベル閾値TH以下である場合、シートが重送されていると判断する。重送ではないと判断された場合(S303でNO)、S305で、CPU301は、検知回数Cnを1インクリメントする。
【0037】
その後、S306で、CPU301は、検知回数Cnが所定回数Cmaxより大きいか否かを判断する。検知回数Cnが所定回数Cmaxより大きいと判断した場合(S306でYES)、CPU301は、重送検知処理を終了する。一方、検知回数Cnが所定回数Cmaxより大きくないと判断された場合(S306でNO)、CPU301は、処理をS302へ戻し、再度重送検知を行い、重送検知器233aから超音波受信レベルを読み取る。重送であると判断された場合(S303でYES)、S304で、CPU301は、重送処理を行う。
【0038】
(重送処理)
図7を用いて、実施例1においてCPU301が実行する重送処理の動作を説明する。
図7は、実施例1においてCPU301が実行する重送処理のフローチャートである。S600で、CPU301は、検知回数Cnが回数閾値Cth(所定閾値)より小さいか否かを判断する。回数閾値Cthは、重送シートをエスケープトレイ232へ搬送するか、エスケープトレイ232へ搬送せずに停止させるかを判断するための検知回数Cnに関する閾値である。本実施例において、回数閾値Cthは、50に設定される。回数閾値Cthの詳細については、後述する。CPU301は、重送シートをエスケープ搬送路251を介してエスケープトレイ232へ排出する第1モードと、重送シートをエスケープトレイ232へ排出せずにシート搬送路250上に停止させる第2モードと、を実行可能である。CPU301は、重送が検知されたときの重送検知動作の検知回数Cnが回数閾値Cthより小さい場合に第1モードを実行し、検知回数Cnが回数閾値Cth以上の場合に第2モードを実行する。
【0039】
検知回数Cnが回数閾値Cthより小さいと判断された場合(S600でYES)、CPU301は、S601において搬送路切替器235により搬送路をエスケープ搬送路251へ切り替える。具体的には、CPU301は、搬送路切替器235を制御して分岐部231に設けられた切替部材237の姿勢を第2位置SPへ切り替える。
【0040】
S602で、CPU301は、エスケープ搬送ローラ対215を駆動する。エスケープ搬送ローラ対215は、エスケープ搬送路251へ搬送されてきた重送シートをエスケープトレイ232へ排出する。S603で、CPU301は、重送シートがエスケープトレイ232へ排出されたか否かを判断する。重送シートがエスケープトレイ232へ排出されていない場合(S603でNO)、CPU301は、処理をS603へ戻し、重送シートがエスケープトレイ232へ排出されるまで待つ。具体的には、エスケープ搬送ローラ対215の下流に配置されたシート後端部検知器(シートセンサ)240が重送シートの後端部を検知するまで待つ。シート後端部検知器240によって重送シートの後端部が検知されると、重送シートがエスケープトレイ232へ排出されたと判断され(S603でYES)、CPU301は、処理をS604へ進める。
【0041】
S604で、CPU301は、エスケープ搬送ローラ対215を停止させる。その後、S605で、CPU301は、搬送路をシート搬送路250へ切り替える。具体的には、CPU301は、搬送路切替器235を制御して分岐部231の切替部材237の姿勢を第1位置FPへ切り替える。CPU301は、重送処理を終了する。
【0042】
S600で、検知回数Cnが回数閾値Cth以上(所定閾値以上)であると判断された場合(S600でNO)、CPU301は、第1駆動モーター234a及び第2駆動モーター234bを停止させる(S606)。これによって、重送シートは、エスケープトレイ232へ排出されずに停止される。CPU301は、重送処理を終了する。
【0043】
(回数閾値)
図8を用いて、回数閾値Cthについて説明する。
図8は、実施例1におけるシート搬送路250及びエスケープ搬送路251の拡大図である。
図8には、搬送ローラ対205及び212によって搬送方向CDに搬送されるシート400の先端部400tの位置が示されている。シート400をエスケープ搬送路251へ搬送するためには、分岐部231に設けられた切替部材237の姿勢を第2位置SPに切り変える必要がある。シート400の先端部400tが分岐部231に進入する前に切替部材237の姿勢を第2位置SPへ切り替える必要があるが、切替部材237の姿勢を第1位置FPから第2位置SPへ切り替えるには時間がかかる。本実施例において、切替部材237の姿勢が第1位置FPから第2位置SPへ切り替わるのに必要な時間を0.1secとする。シート400の搬送速度Vは、前述のとおり1000mm/secであるので、搬送方向CDとは逆方向に分岐部231から100mmの所定位置Aにシート400の先端部400tが到達する前に切替部材237の姿勢の切り替えが開始される必要がある。そのため、シート400の先端部400tが
図8に示す所定位置Aに到達する前に重送が検知されれば、シート400をエスケープ搬送路251へ搬送することが可能である。
【0044】
実施例1において、重送検知器233aの位置から所定位置Aまでの道のり(距離)Dを2000mmとする。この場合、回数閾値Cthの最大値Cth(max)は、搬送速度V(1000mm/sec)、サンプリング時間S(25msec)、バタつき安定距離である所定距離B(20mm)を用いて、以下の式(2)によって求められる。回数閾値Cthは、最大値Cth(max)より小さい値にする必要がある。
【数2】
実施例1では、式(2)から回数閾値Cthの最大値Cth(max)は、79回となる。しかし、実際には、メカ公差(部品の寸法公差、幾何公差、組み立て公差)やCPU301の動作周波数のバラツキ等の誤差要因があるため、実施例1では、回数閾値Cthを50回に設定している。
【0045】
このように、重送を検知するタイミングは、重送が検知されるまでに重送検知が実行される検知回数Cnに換算される。検知回数Cnと回数閾値Cthを比較することによって重送したシートをエスケープトレイ232へ排出するかエスケープトレイ232へ排出せずに搬送路で停止させるかが判断される。本実施形態では、重送検知した時点でエスケープ搬送路251にシートを搬送することができる場合には、エスケープ搬送路251を介してシートをエスケープトレイ232に排出する。たとえば、重送検知した時点でシートの先端が分岐部231よりも下流側にあった場合には、シートは停止されることなる。したがって、重送シートをできるだけエスケープトレイ232へ排出することができるとともに、切替部材237の切り替えが間に合わない場合には重送シートをシート搬送路250に停止させることができる。これにより、成果物に重送シートを混入させることなくシート搬送路250を短くすることが可能となる。実施例1によれば、シート搬送路250を短くしても、重送シートをできるだけエスケープトレイ232へ排出することができる。
以下、実施例2を説明する。実施例1では、給送部120aから給送されたシート400の先端部400tが所定位置Aに到達する前に切替部材237の姿勢を第2位置SPへ切り替えるために回数閾値Cthを用いた。実施例2では、他の給送部120b又は120cからシート400が給送される場合の回数閾値Cthの設定方法を説明する。実施例2において、実施例1と同様の構造には同様の参照符号を付して説明を省略する。
他の給送部120b及び120cの構成が給送部120aの構成と異なる場合、それぞれの重送検知器233a、233b及び233cから所定位置Aまでの道のりDが同じであっても、バタつき安定距離である所定距離Bが異なることがある。所定距離Bが異なると、式(2)から最大値Cth(max)が異なるので、回数閾値Cthも給送部120a、120b及び120c毎に異なった値に設定される。実施例2では、給送部120a、120b及び120cの構成が同じであり、給送部120a、120b及び120cのそれぞれのバタつき安定距離である所定距離Bも同じであるとする。ただし、実施例2では、それぞれの重送検知器233a、233b及び233cから所定位置Aまでの道のりDが異なるものとする。
シート400の重送検知は、シート400を給送する給送部120a、120b又は120cに応じて重送検知器233a、233b又は233cの何れかによって行われる。つまり、シート400が給送部120aから給送される場合、重送検知器233aによって重送検知が行われる。シート400が給送部120bから給送される場合、重送検知器233bによって重送検知が行われる。シート400が給送部120cから給送される場合、重送検知器233cによって重送検知が行われる。実施例2においても、CPU301は、重送シートをエスケープ搬送路251を介してエスケープトレイ232へ排出する第1モードと、重送シートをエスケープトレイ232へ排出せずにシート搬送路250上に停止させる第2モードと、を実行可能である。CPU301は、複数の重送検知器233a、233b及び233c(複数の重送検知手段)のいずれかが重送を検知した場合に、重送が検知されたタイミングに従って第1モードと第2モードを切り替える。このタイミングを判定する基準は、複数の重送検知器233a、233b及び233cの少なくとも2つ以上で異なっているとよい。
実施例2において、メカ公差(部品の寸法公差、幾何公差、組み立て公差)、搬送時のシートのスリップ、CPU301の動作周波数のバラツキ等の誤差要因を考慮して、回数閾値Cthは、最大値Cth(max)の80%の値に設定される。
このように、複数の重送検知器233a、233b及び233cによって重送を検知するタイミングは、重送が検知されるまでに重送検知が実行される検知回数Cnに換算される。重送が検知されたときの検知回数Cnに基づいて、重送シートをエスケープトレイ232へ排出するかエスケープトレイ232へ排出せずにシート搬送路250に停止させるかが判断される。この判断は、検知回数Cnと回数閾値Cthとを比較することにより行われる。回数閾値Cthは、シートを給送するシート積載部110a、110b又は110cに対応する重送検知器233a、233b又は233cに従って変更される。したがって、いずれの給送部120a、120b又は120cからシートが給送されても、重送シートはできるだけエスケープトレイ232へ排出される。そして、切替部材237の切り替えが間に合わずに重送シートをエスケープトレイ232へ排出できない場合には、重送シートをシート搬送路250に停止させることができる。これにより、成果物に重送シートを混入させることなくシート搬送路250を短くすることが可能となる。実施例2によれば、シート搬送路250を短くしても、重送シートをできるだけエスケープトレイ232へ排出することができる。