(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163025
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】ターボ機械を再起動するためのシステム及びプロセス
(51)【国際特許分類】
F01D 19/00 20060101AFI20241114BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20241114BHJP
F02C 7/26 20060101ALI20241114BHJP
F02C 7/18 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
F01D19/00 N
F02C7/00 A
F02C7/26 D
F02C7/18 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024065021
(22)【出願日】2024-04-12
(31)【優先権主張番号】18/196,011
(32)【優先日】2023-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/594,147
(32)【優先日】2024-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
(71)【出願人】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック、ガース カーチス
(72)【発明者】
【氏名】キングラー、ブレット ダリック
(72)【発明者】
【氏名】ブラック、キニース ダモン
(72)【発明者】
【氏名】ダネスク、ラドゥ イオアン
【テーマコード(参考)】
3G071
【Fターム(参考)】
3G071AB01
3G071BA22
3G071CA01
3G071FA06
3G071HA05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】望ましくない摩擦を生じることなく、可能な限り迅速にターボ機械の再起動を可能にする。
【解決手段】ターボ機械を再起動するためのシステム及びプロセスは、ターボ機械のプラントレベル制御システム又は直接制御システムによって実装される停止冷却保護プロセス(100)を含む。再起動のためのシステム及びプロセスは、ユニットの再起動前に回転構成要素を期待通りに確実に冷却する。この再起動のためのシステム及びプロセスは、回転構成要素の不適切な冷却が検出された場合、再起動の機能をロックアウトする。このロックアウトが有効である場合、回転構成要素が自然冷却されるように再起動を遅らせることが必要である、又はオペレータは構成要素を強制的に冷却することを決定することができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボ機械(10)を再起動するためのプロセスであって、前記プロセスは、
前記ターボ機械(10)が第1の所定の持続時間よりも長い時間停止しているかどうかを判断すること、
前記ターボ機械(10)が前記第1の所定の持続時間よりも長い時間オフラインであると決定されたことに応答して、ホイール空間(WS)温度が所定のWS温度閾値より高いかどうかを判断すること、
前記WS温度が前記所定のWS温度閾値よりも高いことに応答して、前記ターボ機械(10)の圧縮機吐出温度(CTD)が所定の圧縮機温度閾値よりも高いかどうかを判断すること、
前記CTDが前記所定の圧縮機温度閾値よりも低いことに応答して、再起動ロックアウトが作動しているかどうかを判断すること、及び
前記再起動ロックアウトが作動していないことに応答して、前記ターボ機械(10)の再起動を許可すること
を含む、プロセス。
【請求項2】
前記ターボ機械(10)が前記第1の所定の持続時間よりも短い時間オフラインであると判断されたことに応答して、前記ターボ機械(10)の再起動を許可することを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記WS温度が前記所定のWS温度閾値よりも高くないことに応答して、
前記ターボ機械(10)が第3の所定の持続時間よりも長い時間停止しているかどうかを判断すること、
前記ターボ機械(10)が前記第3の所定の持続時間よりも長い時間停止していることに応答して、前記ターボ機械(10)の冷却が完了したと判断すること及び前記ターボ機械(10)の再起動を許可すること、並びに
前記ターボ機械(10)が前記第3の所定の持続時間よりも短い時間停止していることに応答して、再起動ロックアウト信号を解除すること及び前記ターボ機械(10)の再起動を許可すること
を含む、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記CTDが前記所定の圧縮機閾値よりも高いことに応答して、
持続タイマーが第2の所定の持続時間よりも長いかどうかを判断すること、及び
前記持続タイマーが前記第2の所定の持続時間よりも長いことに応答して、前記再起動ロックアウトを作動すること
を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記持続タイマーが前記第2の所定の持続時間よりも短い時間であることに応答して、
前記再起動ロックアウトが作動しているかどうかを判断すること、及び
前記再起動ロックアウトが作動していないことに応答して、前記ターボ機械(10)の再起動を許可すること
を含む、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
前記第2の所定の持続時間は、約1分~約30分の範囲の時間である、請求項4に記載のプロセス。
【請求項7】
前記第1の所定の持続時間は約180分~300分の範囲の時間である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記所定のWS温度閾値は、93℃に、前記ターボ機械(10)の圧縮機入口温度から15℃を引いた温度を加算した温度である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
ターボ機械(10)を再起動するためのコードを記憶した非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含む分散制御システムであって、前記コードは、請求項1から8のいずれか一項に記載のプロセスを実行するための命令を含む、分散制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、ターボ機械のガスタービンを再起動するためのプロセスに関する。より詳細には、本開示は、一般に、圧縮機の吐出温度が適切に冷却されているかを検出し、ガスタービンのコア流量がターボ機械の再起動のための最小流量要件を満たしているかどうかを検出するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
ターボ機械及び熱回収蒸気発生器(HRSG)を備えた複合サイクル発電所は電力網に接続されている。電力網は、変化する電力需要に対処するために柔軟な運転を必要としている。電力網サイクルの中には、電力網の電力需要に対処するために、低需要期にはターボ機械を停止させ、その後すぐに再起動させるように命令するものがある。ターボ機械と熱回収蒸気発生器(HRSG)の運転中、さまざまな部品が膨張し収縮する。例えば、熱膨張はタービンの運転に伴う比較的高い温度によって起こり、機械的膨張は内部の構成要素の回転に伴う向心力によって起こる。
【0003】
ターボ機械の構成要素は、異なる様々な速度で膨張し、収縮する。速度が変化するのは、構成要素の材料、ジオミトリ、位置、及び目的の違いによる。これらの違いは、一般に、ターボ機械の構成要素のクールダウンプロファイルに組み込まれており、再起動条件に考慮される。膨張速度と収縮速度の相違にさらに対応するために、ブレードの先端と対応するケーシングシュラウドとの間において、ターボ機械にクリアランスを設計することができ、一般に「先端クリアランス」と呼ばれる。先端クリアランスによって、ブレードがシュラウドに接触することなく膨張することができ、タービンの損傷リスクが低減する。
【0004】
しかし、先端クリアランスによって、加熱されたガスの一部が有用な仕事を行うことなくブレードを通り過ぎることが許容されてしまい、タービンの動作中のタービンの効率がかなり低下し、これによって、本来ならば利用可能であるはずのエネルギーが浪費される。同様のクリアランスが、圧縮機ブレードと圧縮機ケースとの間において、圧縮機に設計される場合があり、このクリアランスによって、空気が圧縮機ブレードを通り過ぎることが許容されてしまい、圧縮機の流量及び効率が低下する。
【0005】
停止中に、ターボ機械、HRSG、煙道ガススタックに含まれる高温ガスの自然対流、及びターボ機械の入口部における風速及び風向によって引き起こされる圧力差によって、圧縮機及び高温ガス経路を通じて、周囲空気の浸入が自然に誘発される。この周囲空気の浸入によって、ターボ機械及びHRSGが冷却され、これは、ターボ機械及びHRSGによって課される温度に関する動作上の制約によって、迅速な再起動に悪影響を及ぼす恐れがある。HRSG及び/又は排気が再起動のクールダウンプロファイルに考慮されていない場合、望ましくない摩擦が生じることなくターボ機械を再起動することに対して懸念が生じる恐れがある。
【0006】
膨張及び再起動が試みられると、ターボ機械の構成要素が依然として「膨張」状態にあるが、ステータケースが冷却されて収縮し、クリアランスがターボ機械の回転に適切でなくなり、望ましくない擦れが発生する恐れがある。擦れ及び収縮/膨張などの懸念は、HRSG及び/又は排気部をターボ機械に後で取り付けた結果生じることがあり、後で取付けられたHRSGの設計及び動作の態様は、ターボ機械の冷却構造に考慮されていない。
【0007】
このように、望ましくない摩擦を生じることなく、可能な限り迅速にターボ機械の再起動を可能にするために、ターボ機械は、煙突の最小ドラフト流量がターボ機械を再起動する場合に許容可能なレベルにあるかどうかを判断するように構成された制御プロセスを含むことが望ましい。
【発明の概要】
【0008】
以下に記載するすべての態様、例及び特徴は、技術的に可能な任意の方法で組み合わせることができる。
【0009】
本開示の一態様は、ターボ機械を再起動するためのプロセスを提供する。前記プロセスは、前記ターボ機械が第1の所定の持続時間よりも長い時間停止しているかどうかを判断すること、前記ターボ機械が前記第1の所定の持続時間よりも長い時間オフラインであると決定されたことに応答して、ホイール空間(WS)温度が所定のWS温度閾値より高いかどうかを判断すること、前記WS温度が前記所定のWS温度閾値よりも高いことに応答して、前記ターボ機械の圧縮機吐出温度(CTD)が所定の圧縮機温度閾値よりも高いかどうかを判断すること、前記CTDが前記所定の圧縮機温度閾値よりも低いことに応答して、再起動ロックアウトが作動しているかどうかを判断すること、及び前記再起動ロックアウトが作動していないことに応答して、前記ターボ機械の再起動を許可することを含む。
【0010】
本開示の別の態様は、先行する複数の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記ターボ機械が前記第1の所定の持続時間よりも短い時間オフラインであると判断されたことに応答して、前記ターボ機械の再起動を許可することを含む。
【0011】
本開示の別の態様は、先行する複数の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記WS温度が前記所定のWS温度閾値よりも高くないことに応答して、前記ターボ機械が第3の所定の持続時間よりも長い時間停止しているかどうかを判断すること、前記ターボ機械が前記第3の所定の持続時間よりも長い時間停止していることに応答して、前記ターボ機械の冷却が完了したと判断すること及び前記ターボ機械の再起動を許可すること、並びに前記ターボ機械が前記第3の所定の持続時間よりも短い時間停止していることに応答して、再起動ロックアウト信号を解除すること及び前記ターボ機械の再起動を許可することを含む。
【0012】
本開示の別の態様は、先行する複数の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記CTDが前記所定の圧縮機閾値よりも高いことに応答して、持続タイマーが第2の所定の持続時間よりも長いかどうかを判断すること、及び前記持続タイマーが前記第2の所定の持続時間よりも長いことに応答して、前記再起動ロックアウトを作動することを含む。
【0013】
本開示の別の態様は、先行する複数の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記持続タイマーが前記第2の所定の持続時間よりも短い時間であることに応答して、前記再起動ロックアウトが作動しているかどうかを判断すること、及び前記再起動ロックアウトが作動していないことに応答して、前記ターボ機械(10)の再起動を許可することを含む。
【0014】
本開示の別の態様は、先行する複数の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記第2の所定の持続時間は、約1分~約30分の範囲の時間である。
【0015】
本開示の別の態様は、先行する複数の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記第1の所定の持続時間は約180分~300分の範囲の時間である。
【0016】
本開示の別の態様は、先行する複数の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記所定のWS温度閾値は、93℃に、前記ターボ機械の圧縮機入口温度から15℃を引いた温度を加算した温度である。
【0017】
本開示の別の態様は、先行する複数の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記WS温度は、前記第1の前方ホイール空間の熱電対によって測定される、前記ターボ機械の第1の前方ホイール空間の温度である。
【0018】
本開示の別の態様は、ターボ機械を再起動するためのコードを記憶した非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含む分散制御システムであって、前記コードは
前記ターボ機械が第1の所定の持続時間よりも長い時間停止しているかどうかを判断すること、
前記ターボ機械が前記第1の所定の持続時間よりも長い時間オフラインであると決定されたことに応答して、ホイール空間(WS)温度が所定のWS温度閾値より高いかどうかを判断すること、
前記WS温度が前記所定のWS温度閾値よりも高いことに応答して、前記ターボ機械の圧縮機吐出温度(CTD)が所定の圧縮機温度閾値よりも高いかどうかを判断すること、
前記CTDが前記所定の圧縮機温度閾値よりも低いことに応答して、再起動ロックアウトが作動しているかどうかを判断すること、及び
前記再起動ロックアウトが作動していないことに応答して、前記ターボ機械の再起動を許可すること
を実行するための命令を含む。
【0019】
本開示の別の態様は、先行する複数の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記ターボ機械が前記第1の所定の持続時間よりも短い時間オフラインであると判断されたことに応答して、前記ターボ機械(10)の再起動を許可することを含む。
【0020】
本開示の別の態様は、先行する複数の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記WS温度が前記所定のWS温度閾値よりも高くないことに応答して、前記ターボ機械が第3の所定の持続時間よりも長い時間停止しているかどうかを判断すること、前記ターボ機械が前記第3の所定の持続時間よりも長い時間停止していることに応答して、前記ターボ機械の冷却が完了したと判断すること及び前記ターボ機械の再起動を許可すること、並びに前記ターボ機械が前記第3の所定の持続時間よりも短い時間停止していることに応答して、再起動ロックアウト信号を解除すること及び前記ターボ機械の再起動を許可することを含む。
【0021】
本開示の別の態様は、先行する複数の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記CTDが前記所定の圧縮機閾値よりも高いことに応答して、持続タイマーが第2の所定の持続時間よりも長いかどうかを判断すること、及び前記持続タイマーが前記第2の所定の持続時間よりも長いことに応答して、前記再起動ロックアウトを作動することを含む。
【0022】
本開示の別の態様は、先行する複数の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記持続タイマーが前記第2の所定の持続時間よりも短い時間であることに応答して、前記再起動ロックアウトが作動しているかどうかを判断すること、及び前記再起動ロックアウトが作動していないことに応答して、前記ターボ機械の再起動を許可することを含む。
【0023】
本開示の別の態様は、先行する複数の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記第2の所定の持続時間は、約1分~約30分の範囲の時間である。
【0024】
本開示の別の態様は、先行する複数の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記第1の所定の持続時間は約180分~300分の範囲の時間である。
【0025】
本開示の別の態様は、先行する複数の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記所定のWS温度閾値は、93℃に、前記ターボ機械の圧縮機入口温度から15℃を引いた温度を加算した温度である。
【0026】
本開示の別の態様は、先行する複数の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記WS温度は、前記第1の前方ホイール空間の熱電対によって測定される、前記ターボ機械の第1の前方ホイール空間の温度である。
【0027】
本開示に記載される2つ以上の態様(本概要に記載されるものを含む)を組み合わせて、本明細書に具体的に記載されない実施態様を構成することができる。
【0028】
1つ又は複数の実施態様の詳細は、図面及び以下の発明を実施するための形態に記載されている。他の特徴、目的及び利点は、発明を実施するための形態及び図面並びに特許請求の範囲から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本開示のこれらの特徴及び他の特徴は、本開示の様々な実施形態を示す図面と共に、本開示の様々な態様の以下の発明を実施するための形態から、より容易に理解される。
【
図1】本開示の実施形態による、排気ファン/排気スタック及びターボ機械の構成の概略図を示す。
【
図2】本開示の実施形態による、ターボ機械が再起動できるかどうかを判断するためのプロセスのフローチャートである。
【0030】
本開示の図面は必ずしも一定の縮尺で示されていないことに留意されたい。図面は、本開示の典型的な態様のみを示すことを意図しており、したがって、本開示の範囲を限定するものとして考慮されるべきではない。図面において、同様の番号は、図面間で同様の要素を表す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
先ず初めに、本主題を明確に説明するためには、ターボ機械の例示的な用途において関連する機械の構成要素に言及し説明するときに、特定の用語を選択することが必要になる。用語の選択をする場合、可能な限り、一般的な業界用語が、その業界で受け入れられている意味と一致する態様で使用され、採用される。特に明記しない限り、上記の用語は、本出願の文脈及び特許請求の範囲と一致する広い解釈が与えられるべきである。当業者は、多くの場合、特定の構成要素がいくつかの異なる用語又は重複する用語を使用して言及される場合があることを理解することができる。本明細書において単一の部品として説明されているものは、別の文脈では、複数の構成要素を含むことがあり、また、複数の構成要素を構成するものとして言及されることがある。あるいは、本明細書において複数の構成要素を含むものとして説明されているものは、他の箇所では単一の部品として言及されることがある。
【0032】
更に、本明細書では、いくつかの記述用語が規則的に使用される場合があり、発明を実施するための形態の始めにこれらの用語を定義しておくことが有益である。これらの用語と用語の定義は、特に明記しない限り、以下の通りである。本明細書において、「下流」及び「上流」は、流体(ターボ機械を流れる作業流体など)の流れの相対的な方向、又は、例えば、燃焼器を流れる空気若しくはターボ機械の複数の構成要素システムのうちの1つを流れる冷却媒体の流れの相対的な方向を示す用語である。「下流」という用語は流体の流れの方向に対応し、「上流」という用語は、その流体の流れとは反対の方向を表す。「前方」及び「後方」という用語は、他に特別なことがない限り、方向を表し、「前方」はターボ機械の前部側又は圧縮機端側を表し、「後方」はターボ機械の後部側又はタービン端側を表す。本明細書において、「ターボ機械」及び「ガスタービン」という用語は、圧縮機部と、燃焼部と、膨張タービン部とを含むガスタービンエンジン(例えば、発電用に使用されるガスタービンエンジン)を表すために交換可能に使用される。
【0033】
中心軸に対して半径方向の異なる位置に配置された部品を説明することが要求されることがある。「軸の」という用語は、軸(例えば、ターボ機械の軸)に平行な動き又は位置を表す。「半径の」という用語は、軸(例えば、ターボ機械の軸)に垂直な動き又は位置を表す。この場合において、第1の構成要素が第2の構成要素よりも軸の近くに存在している場合、本明細書では、第1の構成要素は、第2の構成要素の「半径方向内側に」又は「内側に」存在すると記載することができる。一方、第1の構成要素が第2の構成要素よりも軸から遠くに存在する場合、本明細書では、第1の構成要素は第2の構成要素の「半径方向外側に」又は「外側に」存在すると記載することができる。最後に、「周方向の」という用語は、軸の周りの動き又は位置(例えば、ターボ機械の軸の周りに延在するケーシングの周方向内面における動き又は位置)を表す。上に示したように、このような用語は、ターボ機械の軸に関連して適用できることが理解される。
【0034】
更に、本明細書では、以下に説明するように、いくつかの記述用語が規則的に使用される場合がある。「第1」、「第2」、及び「第3」という用語は、ある構成要素を別の構成要素と区別するために交換可能に使用することができ、個々の構成要素の位置及び重要度を意味することを意図するものではない。
【0035】
明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明することを目的としており、本開示を限定することを意図するものではない。本明細書において、単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」、及び「この(the)」は、文脈が明らかに複数形を含むことを示していない限り、複数形を含むことも意図している。「含む、有する、備える(comprises)」及び/又は「含んでいる、有している、備えている(comprising)」という用語は、本明細書で使用される場合、言及された特徴、整数、工程、動作、要素、及び/又は構成要素が存在していることを特定しているが、1つ又は複数の他の特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらのグループの存在及び追加を排除しないことが更に理解される。「任意選択の」又は「任意選択で」は、その後に記述される事象が発生しても発生しなくてもよいこと、又はその後に記述される特徴が存在しても存在しなくてもよいこと、及びその記述が、事象が発生する又はその特徴が存在する例、その事象が発生しない又はその特徴が存在しない例を含むことを意味する。
【0036】
ある要素又は層が、別の要素又は層「に接触する」、「に係合されている」、「に接続されている」、「に結合されている」、「に取り付けられている」ものとして言及されている場合、ある要素又は層は、他の要素又は層に、直接的に接触する、係合する、接続する、結合する、又は取り付けられるものであってもよいし、介在する要素又は層が存在していてもよい。対照的に、ある要素が、別の要素又は層「に直接的に接触」、「に直接的に係合」、「に直接的に接続」、又は「に直接的に結合」しているものとして言及されている場合、介在する要素及び層は存在していない。要素間の関係を説明するために使用される他の言葉は、同じように解釈されるべきである(例えば、「間に」と「直接的に間に」、「隣接する」と「直接的に隣接する」など)。本明細書において、「及び/又は」という用語は、列挙された関連する複数の項目のうちの1つ以上の項目のあらゆる組合せを含む。本明細書では、「結合する」及び「取り付ける」という種類の動詞は、互いに交換可能に使用することができる。
【0037】
本開示によって具体化されるように、ターボ機械及びHRSGができるだけ迅速に再起動できるようにするため、ターボ機械及びHRSGを流れる誘引通風を積極的に制御することができる。従来、この通風に対抗するために、ターボ機械圧縮機の可変インレットガイドベーン(すなわち、ターボ機械を流れる空気流を制御するために圧縮機の入口に設けられたベーン)が閉じられる、並びに/又は吸気ダンパ及びルーバ(例えば、圧縮機の上流の入口部に設けられる)及び/又はスタックダンパ(例えば、スタックに設けられる)が閉じられる。この従来の方法では、ターボ機械と場合によってはHRSGを流れる自然通風が減少する恐れがある。しかし、本明細書で説明するように、ターボ機械内の漏洩によって、相当量の誘引自然通風が流れるようにすることができる。
【0038】
図1は、ガスタービン1などのターボ機械システム10(以下、ターボ機械10)の概略図を示す。ガスタービン1は、流体の流れに対して直列に、入口部16、圧縮機部、燃焼部、タービン(すなわち、膨張タービン)部、及び排気システム17を含んでいる。入口部16は、ターボ機械10に流入する作動流体(例えば、空気)を浄化し、又は調節するための一連のフィルタ、冷却コイル、水分分離器、及び/又はその他の装置を含むことができる。空気は、圧縮機部の圧縮機に流れ、圧縮機では、回転ブレードと静止ノズルの段が、空気に運動エネルギーを徐々に付与し、高エネルギー状態において圧縮された高圧(HP)空気を生成する。回転ブレードはロータディスクに接続されており、ロータディスクは、圧縮機部を貫通するシャフトの前方部分に結合されていてもよいし、シャフトの前方部分を形成していてもよい。空気は、通常、燃料と混合され、燃焼部の、圧縮機部に動作可能に結合された少なくとも1つの燃焼器内で可燃性混合物を形成する。可燃性混合物は燃焼され、高温高圧の燃焼ガスを生成する。
【0039】
燃焼ガスは、燃焼部に動作可能に結合されたタービン部の膨張タービンを流れ、仕事を生成する。例えば、タービン部は、各ロータディスクから半径方向外向きに延在する複数のロータブレードであって、各ロータディスクに相互に連結された複数のロータブレードを含んでいる。各ロータディスクは、順に、シャフトの、タービン部を貫通する後方部分に結合されていてもよいし、シャフトの後方部分を形成していてもよい。シャフトの後方部分は、シャフトの前方部分に直接的又は間接的に結合され、タービンブレード及び後方部分が回転すると圧縮機ブレード及び前方部分に回転が付与される。タービン部は、シャフトの後方部分とロータブレードを円周方向に取り囲む外側ケーシングをさらに含み、それによってタービン部を通る高温ガス経路が少なくとも部分的に画定される。タービン部は複数の静止ベーンを含んでおり、複数の静止ベーンは、ロータブレードと複数の段の形態で配置されており、燃焼ガスの流れをロータブレードに向けている。
【0040】
回転ブレードが取り付けられている各ロータディスクと、静止ノズルが取り付けられている対応する静止ダイアフラムとの間の軸方向の空間は、「ホイール空間」(本明細書では「WS」と略記する)として画定されている。各段は、熱電対によって温度を監視することができる2つのホイール空間を有しており、2つのホイール空間は、所定の段の静止ノズルと回転ブレードとの間の前方ホイール空間と、所定の段の回転ブレードと後段の静止ノズルとの間の後方ホイール空間とを含んでいる。例えば、第1の前方ホイール空間(FFWS)は、第1の静止ダイヤフラムと第1のロータディスクとの間の領域である。
【0041】
図1において、排気フレーム送風機11、12によって生成された冷却流の一部は、排気システム17のガスタービン排気フレーム15に注入することができる。冷却流の当該部分は、排気システム17から排出され、ガスタービン入口部16に逆流しないと予想される。一部のターボ機械では、排気フレーム送風機は、ユニット(例えば、ガスタービン1の燃焼器)の炎が消えた後所定の時間(約4時間など)だけオン状態を維持するように設計することができる。
【0042】
ガスタービン入口部16から流入してガスタービン排気システム17から排出されるガスタービンの最小コア流量を維持するために、ガスタービン1の火炎が消えた後に第2の流れ(図示せず)が必要とされる場合がある。
【0043】
本開示によって具体化されるように、クリアランスギャップは、燃焼停止後の予想される冷却プロファイルでモデル化される。ガスタービンの適切なコア流量が維持されない場合、回転構成要素の冷却が予想よりも遅くなる恐れがあり、これによって、後で再起動するときに、クリアランスに余裕がなくなる及び/又は構成要素が擦れてしまうという恐れがある。さらに、適切で信頼性の高いコア流量を維持することは、ターニングギアの運転中又はターボ機械再起動中に、ロータとステータのクリアランスに悪影響を及ぼす恐れのある歪みを生じさせるガスタービン流路内の成層化を低減するのに有利である。ガスタービンの最小コア流量は、回転構成部品の適切な冷却が確実に行われるように、火炎が消えた後長時間(例えば、約24時間)維持される必要がある場合があり、ガスタービン1のダウンタイムが長くなる。
【0044】
ガスタービンの下流の排気システムの設計では、これら2つの停止流量要件を考慮する必要がある。これらの停止要件を満たすように設計された或るタイプの排気システムは、排気スタックに接続されたカウンタバランス式ダンパドア20であって、圧力勾配が観察されたときに開くカウンタバランス式ダンパドア20を利用することができる。このタイプの排気システムに接続されたターボ機械が停止すると、ガスタービン排気システム17からの熱風によって、浮力駆動ドラフト流が発生する。この煙突ドラフト流によって、排気システム17に負圧源が生成され、カウンタバランス式ダンパドア20が開くことがある。排気が冷却されると、浮力駆動ドラフト流は減少し、カウンタバランス式ダンパドア20は自然に閉じる。
【0045】
カウンタバランス式ダンパドア20に接続されたプラントレベルの分散型制御システム(DCS)25によって実施可能な停止冷却保護プロセスが提供される。DCS25によって実施されるこのプロセスによって、ユニット再起動前に回転構成要素に供給される煙突ドラフト流を、確実に、望ましくない摩擦を回避するのに十分なドラフト流にすることができる。本開示によって具体化される停止冷却保護プロセスは、ガスタービン1の下流の排気流路にダンパドア20を含むプラント構成に対するターボ機械のソフトウェアに適用される。この停止冷却保護プロセスは、実施形態の特定の態様では、回転構成要素の冷却が適切ではないことが検出された場合に、ターボ機械の再起動を禁止する。この禁止が有効である場合、ターボ機械の再起動を遅延させて、回転構成要素が自然に冷却されるようにする、又は、ターボ機械のオペレータがターボ機械のクランク冷却を選択することによってターボ機械の構成要素を強制的に冷却することができる。
【0046】
本開示によって具体化されるように、煙突ドラフト要求信号は、ターボ機械の再起動の機能とは独立している。この煙突ドラフト要求信号は、他の複数の信号と共に、DCS25に統合され、スタックダンパ、スタック温度目標、又は他の排気システムをどのように制御するかが決定される。この煙突ドラフト要求信号は、適切な冷却ができるように、停止したターボ機械(ガスタービン1)が、排気システム17に負圧源を必要とする状態、及び/又は負圧源の恩恵を受けるような状態をDCS25に通知することが意図される信号である。
【0047】
図2(
図1を参照しながら説明される)は、ターボ機械を再起動するための条件が許容可能であるかどうかを判断するための、本開示によって具体化される停止冷却保護プロセス100のフローチャートである。
図2において、「No」は、決定ブロックにおいて「いいえ(否定的)」の判断であり、「Yes」は、決定ブロックにおいて「はい(肯定的)」の判断である。
【0048】
停止冷却保護プロセス100は、ステップ105において、ターボ機械10のフレームアウト又は他の停止を実行することから始まり、したがって、ターボ機械10は“オフライン”になる。ステップ110において、ターボ機械の停止時間の長さを計測するために、(永続的な)タイマーが開始する。タイマーが作動すると同時に、ステップ112において、ターボ機械10は冷却中であると認定され、続いて、ステップ114において、煙突ドラフト要求信号が生成され、DCS25に供給される。ターボ機械の停止時間の長さの計測をステップ110で開始しているタイマーを参照し、ステップ115において、DCS25は、ターボ機械10が第1の所定の持続時間「X」よりも長く停止されたかどうかを判断する、例えば、ステップ115において、時間がX分よりも長いことを判断するための解析が行われる。第1の所定の持続時間X分(以下、「第1の持続時間X」)は、一般に、ターボ機械10の設計特性(特に、排気フレーム送風機11、12の仕様)によって設定される。排気フレーム送風機の「オン」が要求されると、ターボ機械10の停止直後に冷却空気流が供給される。第1の持続時間Xの長さは変化させることができる。本開示によって具体化されるように、第1の所定の持続時間Xは、約180分から約300分の範囲とすることができる。本開示によって具体化されるように、第1の所定の持続時間Xは、約210分~270分の範囲とすることができる。第1の持続時間Xの例示的かつ非限定的な値としては、240分が挙げられる。
【0049】
ステップ150において、ターボ機械10が第1の持続時間Xよりも短い時間オフラインであったと判断されたことに応答して(ステップ115において「No」)、DCS25は、ターボ機械10の再起動を許可する。すなわち、ターボ機械10が停止していた時間が第1の持続時間Xよりも短い場合、ステップ150において、DCS25は再起動を許可する。
【0050】
しかし、ターボ機械10が第1の持続時間Xよりも長い時間オフラインであったと判断されたことに応答して(ステップ115で「Yes」)、DCS25は、ステップ120において、ホイールスペース(WS)温度が所定のWS温度閾値(WSTT)よりも高いかどうかを判断する。すなわち、ステップ115において、ターボ機械10が停止している時間が第1の持続時間Xより大きい場合、DCS25はステップ120に進み、WS温度が所定のWS温度閾値より大きいかどうかの判断が行われる。特定の非限定的な例では、ステップ120において、所定のWS温度閾値は、比較のために使用されるものであり、93℃(即ち、200°F)に、圧縮機入口温度(CTIM)から15℃(即ち59°F)を引いた温度を加えた合計値として定義される。ここで、本開示によって具体化されるように、15℃は正規化温度である。設計点は、典型的には、約15℃であり、停止冷却保護プロセス100は、ステップ120における判断を、設計点を基準に正規化する。
【0051】
WS温度が所定のWS温度閾値よりも高い(例えば、WS温度は、93℃(即ち200°F)に(圧縮機入口温度(CTIM)から15℃(即ち59°F)を引いた値)を加えた値よりも高い)と判断されたことに応答して(ステップ120において「Yes」)、DCS25は、ステップ125において、ターボ機械10の圧縮機吐出温度(CTD)が所定の圧縮機温度閾値(PCTT)よりも高いかどうかを判断する。特定の実施形態では、PCTTは、許容可能なCTD(ターボ機械の設計によって決定される温度である)に入口ダクトの周囲温度(ATID)を加えた温度に等しい。
【0052】
CTDがPCTT(ターボ機械の設計によって決定される温度である)よりも高い場合(ステップ125において「Yes」)、ステップ130において、DCS25は、タイマーをチェックし、消費時間が第2の所定の持続時間Y(以下、「第2の持続時間Y」)よりも長いかどうかを判断する。持続タイマーが第2の持続時間Yより長いことに応答して(ステップ130において「Yes」)、DCS25は、ステップ135において、再起動ロックアウトプロトコルを作動させ、処理をステップ120に戻す。したがって、ステップ130は、ターボ機械10がオフラインになってからの経過時間の持続時間が、ユニットの再起動をロックアウトするための限界値を超えるかどうかを判断し、ロックアウトになると、ステップ135において再起動が阻止される。本開示によって具体化される持続タイマーは、センサノイズに起因する誤検出事象を低減することができる。また、本開示によって具体化される持続タイマーは、必要に応じて、予想される冷却プロファイルを回復することができる排気条件を調整するための時間をプラントオペレータに示すことができる。
【0053】
第2の持続時間Yは、ターボ機械10及びその構成要素の特性によって指定することができる。実施形態の特定の態様では、第2の持続時間Yは、約1分~約30分の範囲とすることができ、約5分~約20分の範囲とすることができ、約10分とすることができる。
【0054】
前述のように、DCS25は、処理をステップ135からステップ120に戻す。停止冷却保護プロセス100は、本明細書で説明されるように、ステップ120から実行される。
【0055】
持続タイマーが第2の持続時間Yよりも短いことに応答して(ステップ130において「No」)、DCS25は、ステップ140において、再起動ロックアウトプロトコルが作動されているかどうかを判断する。同様に、CTDがPCTTより低いことに応答して(ステップ125において「No」)、DCS25は、ステップ140において、再起動ロックアウトプロトコルが作動されているかどうかを判断する。すなわち、本開示によって具体化されるDCS25が、ステップ125又はステップ130のいずれかで「No」と判断した場合、DCS25は、ステップ140において、再起動ロックアウトプロトコルが作動されているかどうかを判断する。「再起動ロックアウト」(又は「再起動ロックアウトプロトコル」)という用語は、オペレータの許可なしにターボ機械10を再起動することはできないことを意味する。再起動ロックアウトが作動されていない場合、DCS25は、ステップ150において、ターボ機械10の再起動を許可する。
【0056】
しかし、ステップ140において、DCS25は、再起動ロックアウトが作動されていると判断した場合(ステップ140において「Yes」)、フローはステップ120に戻る。
【0057】
ステップ120に関して、ステップ120における判断が、WS温度が所定のWS温度閾値よりも低いことを示す場合(ステップ120において「No」)、DCS25はステップ220に進む。ステップ220において、DCS25は、停止からの経過時間が第3の持続時間Zよりも長いかどうかの判断をする。第3の持続時間Zは、一般に、ターボ機械10の設計特性によって設定され、ターボ機械10が冷却を完了したとみなすことができる持続時間を示す(例えば、第3の持続時間Zは約240分とすることができる)。第3の持続時間がZ分より大きい場合、プロセスフローはステップ225に進む(冷却完了)。プロセスは、ステップ225から、ステップ230及び235に進む。ステップ230において、DCS25は煙突ドラフト要求信号を生成する。ステップ235において、DCS25は再起動ロックアウトプロトコルを解除し、その後、ステップ150において、ターボ機械の再起動を許可する。第3の経過時間が第3の持続時間Zよりも短い場合(ステップ220において「No」)、プロセスはステップ235に進み、DCS25によって再起動ロックアウトが解除され、ステップ150においてターボ機械10の再起動が許可される。
【0058】
ステップ230の煙突ドラフト要求信号は、ターボ機械の再起動能力とは独立している。この煙突ドラフト要求信号は、他の複数の信号とともに、DCS25に統合され、煙突ダンパー、煙突温度の目標値、又は他の排気システムを制御する方法を決定する。ステップ230の煙突ドラフト要求信号は、適切に冷却することができるように、ターボ機械が排気システムに負圧源を要求していることを示す。
【0059】
本明細書においてホイール空間(WS)温度に言及する場合、それぞれの前方ホイール空間又は後方ホイール空間内の温度を含む場合がある。特に、WS温度は、第1の前方ホイール空間(FFWS)温度であってもよいし、内部ロータ温度であってもよく、これらの温度は、それぞれの構成要素内に設置された熱電対によって測定される、又は、他の熱電対測定値若しくは運転パラメータからDCS25によって計算される。
【0060】
当業者には理解されるように、本開示は、コンピュータプログラム製品を利用することができるシステム、方法、又は制御として具体化することができる。したがって、本開示は、ハードウェアの実施形態、ソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)、又はソフトウェア及びハードウェアの態様を組み合わせた実施形態が含まれており、これらはすべて、本明細書において、一般に、「回路」、「モジュール」、又は「システム」と呼ぶことができる。さらに、本開示は、媒体に具現化されたコンピュータ使用可能プログラムコードを有する任意の有形的表現媒体に具現化された、コンピュータプログラムで可能な制御の形態をとることができる。
【0061】
本明細書の文脈では、コンピュータ使用可能媒体又はコンピュータ読取可能媒体は、命令実行システム、装置、若しくはデバイスによって使用されるプログラム、又は命令実行システム、装置、若しくはデバイスとともに使用されるプログラムを含む、記憶する、通信する、伝播する、又は伝送することができる任意の媒体とすることができる。1つ又は複数のコンピュータ使用可能媒体又はコンピュータ読取可能媒体の任意の組み合わせを利用することができる。コンピュータ使用可能媒体又はコンピュータ読取可能媒体は、例えば、電子的、磁気的、光学的、電磁的、赤外線、又は半導体のシステム、装置、デバイス、又は伝搬媒体とすることができるが、これらに限定されることはない。コンピュータ可読媒体の更に具体的な例(考えられる全てのものが含まれているわけではない)としては、1本又は複数本のワイヤを有する電気接続体、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバ、ポータブルコンパクトディスク・リードオンリーメモリ(CD-ROM)、光学記憶装置、伝送媒体(インターネット若しくはイントラネットをサポートするものなど)、又は磁気記憶装置が挙げられる。コンピュータ使用可能媒体又はコンピュータ読取可能媒体は、プログラムが印刷された紙又は他の適切な媒体もあり得ることに留意されたい。これは、プログラムを、例えば、紙又は他の媒体を光学的にスキャニングすることによって電子的に取り込み、その後、コンパイルし、翻訳し、必要に応じて、適切な方法で他の処理が行われ、コンピュータのメモリに格納することができるからである。コンピュータ使用可能媒体は、ベースバンド又は搬送波の一部として、コンピュータ使用可能プログラムコードが具現化された伝搬データ信号を含むことができる。コンピュータ使用可能プログラムコードは、任意の適切な媒体(無線、有線、光ファイバケーブル、RFなどを含むがこれらに限定されることはない)を使用して伝送することができる
【0062】
本開示の動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、オブジェクト指向プログラミング言語(Java、Smalltalk、C++など)及び従来の手続き型プログラミング言語(「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語など)を含む1つ又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述することができる。プログラムコードは、全てがユーザのコンピュータ上で実行されてもよいし、ユーザのコンピュータ上で部分的に実行されてもよいし、ユーザのコンピュータ上で部分的に実行されるとともにリモートコンピュータ上で部分的に実行されてもよいし、全てがリモートコンピュータ又はサーバ上で実行されてもよい。後者のシナリオでは、リモートコンピュータは、任意のタイプのネットワーク(ローカルエリアネットワーク(LAN)又はワイドエリアネットワーク(WAN)を含む)を通じてユーザのコンピュータに接続することができ、(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用してインターネットを通じて)外部のコンピュータに接続することもできる。
【0063】
本明細書において、本開示は、本開示の実施形態による方法、装置(システム)及びコンピュータプログラム製品のフローチャート図及び/又はブロック図を参照して説明される。フローチャート図及び/又はブロック図の各ブロック、並びにフローチャート図及び/又はブロック図のブロックの組合せは、コンピュータプログラム命令によって実施できることが理解される。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、特殊用途コンピュータ、又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供され、この命令は、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサによって実行され、フローチャート及び/又はブロック図のブロックで指定された機能/動作を実施するための手段を作成する。
【0064】
これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ可読媒体に記憶することもでき、コンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置に特定の方法で機能するように命令することができ、コンピュータ可読媒体に記憶された命令によって、製品(フローチャート及び/又はブロック図のブロックで指定された機能/動作を実施する命令手段を含む)が生成される。
【0065】
図中のフローチャート及びブロック図は、本開示の様々な実施形態によるシステム、方法、及びコンピュータプログラム製品の可能な実装についてのアーキテクチャ、機能、及び動作を示す。これに関して、フローチャート又はブロック図の各ブロックは、指定された論理機能を実装するための1つ又は複数の実行可能命令を構成する、モジュール、セグメント、又はコードの一部を表すことができる。また、一部の代替的な実装形態では、ブロックに記載された機能は、図に記載された順序とは異なる順序で実行されてもよいことに留意すべきである。例えば、連続するように示されている2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行されてもよいし、ブロックは、関係する機能に応じて、時には逆の順序で実行されてもよい。また、ブロック図及び/又はフローチャート図の各ブロック、並びにブロック図及び/又はフローチャート図のブロックの組合せは、指定された機能又は動作を実行する特別な目的のハードウェアベースのシステム、又は特別な目的のハードウェアとコンピュータ命令との組合せによって実装できることに留意されたい。
【0066】
本明細書で説明するように、様々なシステム及び構成要素は、データを「決定する(determining)」又は「取得する(obtaining)」ものとして説明されている。対応するデータは、任意のソリューションを使用して取得できることが理解される。例えば、対応するシステム/コンポーネントは、データを生成すること、及び/又はデータを生成するために使用すること、1つ又は複数のデータストア(例えば、データベース)からデータを検索すること、別のシステム/コンポーネントからデータを受け取ることなどができる。データが特定のシステム/コンポーネントによって生成されていない場合、図示されたシステム/コンポーネントとは別に、データを生成してシステム/コンポーネントに提供する及び/又はデータを記憶してシステム/コンポーネントによりアクセスできるようにする別のシステム/コンポーネントを実装できることが理解される。
【0067】
前述の図面は、本開示のいくつかの実施形態に従って関連付けられる処理の一部を示している。これに関して、これらの図面のフロー図内の各図又は各ブロックは、記載された方法の実施形態に関連するプロセスを表している。また、いくつかの代替的な実施態様において、図面又はブロックに示された動作は、図に記載された順序とは異なる順序で実行することができ、例えば、実際には、関係する動作に応じて、実質的に同時に実行されてもよいし、逆の順序で実行されてもよいことに留意すべきである。また、当業者であれば、処理を記述するブロックを追加してもよいことを認識する。
【0068】
本明細書及び特許請求の範囲を通じて使用される近似を表す文言は、関連する基本的機能に変化をもたらすことなく、差し支えない程度に変動し得る任意の量的表現を修飾するために適用することができる。したがって、1つの又は複数の用語(「およそ」、「約」、及び「実質的に」など)によって修飾された値は、明記された厳密な値に限定されるものではない。少なくとも一部の例では、近似を表す文言は、値を測定するための機器の精度に対応する場合がある。ここに記載されたこと並びに本明細書及び特許請求の範囲を通して、範囲の限定を組み合わせること及び/又は置き換えることが可能である。文脈又は文言が特に指示しない限り、このような範囲は識別され、それに包含される全ての部分範囲を含む。範囲の特定の値に適用される「約」は、当該範囲の両端の値に適用され、値を測定する機器の精度に特に依存しない限り、言及された値の+/-10%を示すことができる。
【0069】
特許請求の範囲におけるミーンズプラスファンクション又はステッププラスファンクションの要素すべての、対応する構造、材料、動作、及び均等物は、具体的に請求された他の請求要素と組み合わせてその機能を実施するための、一切の構造、材料、又は動作を包含することを意図している。本開示の記載は、例示及び説明の目的で提示されており、可能な全てのものを含んでいることも、開示された形態で本開示に限定することも意図するものではない。当業者には、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく多くの修正及び変形が明らかである。本開示の原理及び実際の用途を最適に説明し、他の当業者が本開示を理解し、特定の使用に適するような様々な修正を考えることができるように、本実施形態が選択され、かつ記載された。
【符号の説明】
【0070】
1 ガスタービン
10 ターボ機械
11 排気フレーム送風機
15 ガスタービン排気フレーム
16 入口部
17 排気システム
20 ダンパドア
25 分散型制御システム(DCS)
【外国語明細書】