(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163033
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】光拡散板の発泡軽量構造体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
G02B 5/02 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
G02B5/02 B
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024068420
(22)【出願日】2024-04-19
(31)【優先権主張番号】112117058
(32)【優先日】2023-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】523464705
【氏名又は名称】張雪莉
(71)【出願人】
【識別番号】517133219
【氏名又は名称】張瑞洋
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】張雪莉
(72)【発明者】
【氏名】張瑞洋
【テーマコード(参考)】
2H042
【Fターム(参考)】
2H042BA04
2H042BA20
(57)【要約】
【課題】光拡散板の発泡軽量構造体を提供する。
【解決手段】本発明に係る光拡散板は、順次連接する上表層と、第1発泡層と、第2発泡層と、下表層と、を備えている。前記第1発泡層の厚みは前記第2発泡層の厚みより薄く、前記第1発泡層の気泡の平均直径は前記第2発泡層の気泡の平均直径より小さい。前記上表層及び前記下表層は共に保護層から第1発泡層及び第2発泡層までを保護する作用を発生させる。第1発泡層は光の拡散を増加させるために用いられ、第2発泡層は光の透過率を増加させると共に、光拡散板の平均密度を低下させるために用いられている。第1発泡層及び第2発泡層の厚みまたはその気泡の平均直径を調節することで、光拡散板の平均密度、透光率、及びヘイズを調整する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光拡散板の発泡軽量構造体であって、
前記光拡散板は、順次連接する上表層と、第1発泡層と、第2発泡層と、下表層と、を備え、
前記第1発泡層の厚みは前記第2発泡層の厚みより薄く、
前記第1発泡層の気泡の平均直径は前記第2発泡層の気泡の平均直径より小さいことを特徴とする、
光拡散板の発泡軽量構造体。
【請求項2】
前記光拡散板の総厚みは1~5mmの間の範囲であり、平均密度は0.3~0.85g/cm3の間の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の光拡散板の発泡軽量構造体。
【請求項3】
前記第2発泡層と前記下表層との間には1層の前記第1発泡層を更に備えていることを特徴とする請求項2に記載の光拡散板の発泡軽量構造体。
【請求項4】
前記上表層と前記第1発泡層との間には1層の前記第2発泡層を更に備えていることを特徴とする請求項2に記載の光拡散板の発泡軽量構造体。
【請求項5】
前記上表層及び前記下表層の厚みは共に0.01~0.05mmの間の範囲であり、
前記第1発泡層の厚みは0.2~1mmの間の範囲であり、前記第1発泡層の気泡の平均直径は0.03~0.08mmの間の範囲であり、
前記第2発泡層の厚みは0.78~3.9mmの間の範囲であり、前記第2発泡層の気泡の平均直径は0.3~0.8mmの間の範囲であることを特徴とする請求項2に記載の光拡散板の発泡軽量構造体。
【請求項6】
前記上表層及び前記下表層の厚みは共に0.01~0.05mmの間の範囲であり、
前記第1発泡層の厚みは0.1~0.5mmの間の範囲であり、前記第1発泡層の気泡の平均直径は0.03~0.08mmの間の範囲であり、
前記第2発泡層の厚みは0.78~3.9mmの間の範囲であり、前記第2発泡層の気泡の平均直径は0.3~0.8mmの間の範囲であることを特徴とする請求項3に記載の光拡散板の発泡軽量構造体。
【請求項7】
前記上表層及び前記下表層の厚みは共に0.01~0.05mmの間の範囲であり、
前記第1発泡層の厚みは0.2~1mmの間の範囲であり、前記第1発泡層の気泡の平均直径は0.03~0.08mmの間の範囲であり、
前記第2発泡層の厚みは0.39~1.95mmの間の範囲であり、前記第2発泡層の気泡の平均直径は0.3~0.8mmの間の範囲であることを特徴とする請求項4に記載の光拡散板の発泡軽量構造体。
【請求項8】
前記第1発泡層は光拡散剤に交換可能であることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の光拡散板の発泡軽量構造体。
【請求項9】
スクリュー押出機に分配器を結合するか、インモールド複合方式で4層または5層構造の光拡散板を製造し、前記光拡散板は、順次連接する上表層と、第1発泡層と、第2発泡層と、下表層と、を備え、
前記第1発泡層及び前記第2発泡層の原料組成はハイポリマー透明材料及び発泡剤を含み、
前記ハイポリマー透明材料は、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、またはポリエチレンテレフタレートのうちから何れか1種類が選択され、前記ハイポリマー透明材料がポリスチレンである場合、原料組成は強化剤または透明な熱可塑性エラストマーを更に含み、
前記ハイポリマー透明材料がポリカーボネートである場合、原料組成は強化剤を更に含み、強化剤の添加比率は原料組成の1~20wt%の間の範囲であることを特徴とする、
光拡散板の発泡軽量構造体の製造方法。
【請求項10】
前記第1発泡層には膨張性マイクロスフィアまたは発泡剤を採用し、発泡後の孔径が0.003~0.005mmの間の範囲である吸熱型または/及び放熱型発泡剤であり、発泡剤の用量は第1発泡層の原料組成の0.5~2wt%の間の範囲であり、
前記第2発泡層には粒径が0.050~0.090mmの間の範囲である吸熱型または/及び放熱型発泡剤を採用し、発泡剤の用量は第2発泡層の原料組成の0.7~6wt%の間の範囲であり、
前記インモールド複合方式の口型の背圧は2~25Mpaの間の範囲であり、口型の温度は160~230℃の間の範囲であることを特徴とする請求項9に記載の光拡散板の発泡軽量構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光拡散板に関し、詳しくは、光拡散板の発泡軽量構造体及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光拡散板は化学的または物理的手段により、光線が進行途中に屈折率(密度)が異なる2つの媒体に遭遇すると、屈折、反射、及び散乱という物理現象が発生した。PMMA、PC、PS、PP、hips等の基材の基礎に無機または有機光拡散剤を添加するか、基材表面のマイクロ特徴構造のアレイ配列により光線を人為的に調整することで、光線が異なる方向へ屈折、反射、及び散乱し、こうすることで光の進行経路を変更し、入射光が充分に色分散し、光学的に拡散する効果を実現している。光拡散板は液晶表示、LED照明、及び結像表示システムにおいて広く応用されており、その主な機能は、入射光を充分に散乱させ、より柔らかく、均一な照射効果を実現することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在すでに開示されている発泡光拡散板の特許及び技術では、気泡を光拡散のための媒体とし、そのヘイズを高め、光拡散効率を高めているが、1種類の気泡の孔径の大きさ及び板材の厚みに制限されるため、光の透過率及びヘイズにも影響が及んだ。厚みが変わらない状況では、密度が低くなると、2種類の状況が発生した。
1.気泡の数量が増え、気泡が小さくなる。
2.気泡の数量は変わらないが、気泡が大きくなる。
周知のように、気泡が増えて小さくなると、光はこれらの気泡を透過する際に更に多くの屈折を形成し、光透過率を低下させ、最終的にはディスプレイの輝度が低下した。厚みが変わらず、気泡が大きくなり、重量が軽くなると、光透過率が高まるが、光のヘイズが低下し、これにより拡散率も要求(90~94%)を満たせなくなった。現在すでに量産されているこれらの光拡散発泡板の密度は、0.8~0.85g/cm3の間の範囲にしか到達できず、光透過率も40~50%の間の範囲までしか到達できなかった。密度が0.8g/cm3より低くなると、光透過率が40%未満になるか、ヘイズが90%未満となり、現在業界において要求されている水準に達しなかった。
【0004】
原材料価格の高騰により、製品の利益率が圧迫される中、光透過率及び光拡散性能を保証しつつ、製品のコストを如何に抑制するかが、解決が切に求められている問題であった。
【0005】
従来の既知の技術から進んで、光拡散板の発泡軽量構造体を更に解決するため、多層共押出成形技術、気泡構造層という異なる技術を採用し、光の透過率及び光の拡散ヘイズを制御可能にする新規の技術方法を実現する。
【0006】
そこで、本発明者は上記の欠点が改善可能と考え、鋭意検討を重ねた結果、合理的設計で上記の課題を効果的に改善する本発明の提案に至った。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みて本発明者の鋭意研究により成されたものであり、その目的は、光拡散板の発泡軽量構造体及びその製造方法を提供することにある。つまり、光拡散シートのコストを下げるためには、光が透過する気泡の数量を増やし、光の散乱及び損耗を減らす必要がある。試験を経て証明されたことは、厚みが変わらない状況において、密度が低下し、気泡が大きくなると、気泡の数量が減少し、光透過率が高まるが、ヘイズは低下する。厚みが変わらず、密度が低下し、気泡が小さくなると、気泡の数量が増え、光透過率が低下するが、ヘイズは高くなる。この2種類の状況において、光拡散またはヘイズの変化は光拡散板の業界の要求を満たすには不利になるが、但し、現在すでに工業化が進んだ発泡光拡散板の重量を減らすには有利になる。よって、本発明は、前述の基礎に薄い1層または1層以上の細い気泡の発泡を組み合わせ、優れた光拡散及び適合する光透過率を形成し、且つ光拡散板の重量を効果的に減少させる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様である光拡散板の発泡軽量構造体は、前記光拡散板は、順次連接する上表層と、第1発泡層と、第2発泡層と、下表層と、を備え、前記第1発泡層の厚みは前記第2発泡層の厚みより薄く、前記第1発泡層の気泡の平均直径は前記第2発泡層の気泡の平均直径より小さい。前記上表層及び前記下表層は共に保護層から第1発泡層及び第2発泡層までを保護する作用を発生させる。第1発泡層は光の拡散を増加させるために用いられ、第2発泡層は光の透過率を増加させると共に、光拡散板の平均密度を低下させるために用いられている。
【0009】
また、本発明に係る光拡散板の発泡軽量構造体において、前記光拡散板の総厚みは1~5mmの間の範囲であり、平均密度は0.3~0.85g/cm3の間の範囲である。
【0010】
また、本発明に係る光拡散板の発泡軽量構造体において、前記第2発泡層と前記下表層との間には前記第1発泡層を更に備えている。
【0011】
また、本発明に係る光拡散板の発泡軽量構造体において、前記上表層と前記第1発泡層との間には前記第2発泡層を更に備えている。
【0012】
また、本発明に係る光拡散板の発泡軽量構造体において、前記上表層及び前記下表層の厚みは共に0.01~0.05mmの間の範囲である。前記第1発泡層の厚みは0.2~1mmの間の範囲であり、前記第1発泡層の気泡の平均直径は0.03~0.08mmの間の範囲である。前記第2発泡層の厚みは0.78~3.9mmの間の範囲であり、前記第2発泡層の気泡の平均直径は0.3~0.8mmの間の範囲である。
【0013】
また、本発明に係る光拡散板の発泡軽量構造体において、前記上表層及び前記下表層の厚みは共に0.01~0.05mmの間の範囲である。前記第1発泡層の厚みは0.1~0.5mmの間の範囲であり、前記第1発泡層の気泡の平均直径は0.03~0.08mmの間の範囲である。前記第2発泡層の厚みは0.78~3.9mmの間の範囲であり、前記第2発泡層の気泡の平均直径は0.3~0.8mmの間の範囲である。
【0014】
また、本発明に係る光拡散板の発泡軽量構造体において、前記上表層及び前記下表層の厚みは共に0.01~0.05mmの間の範囲である。前記第1発泡層の厚みは0.2~1mmの間の範囲であり、前記第1発泡層の気泡の平均直径は0.03~0.08mmの間の範囲である。前記第2発泡層の厚みは0.39~1.95mmの間の範囲であり、前記第2発泡層の気泡の平均直径は0.3~0.8mmの間の範囲である。
【0015】
また、本発明に係る光拡散板の発泡軽量構造体において、前記第1発泡層は光拡散剤に交換可能である。光拡散剤は無機光拡散剤及び/または有機光拡散剤であり、無機光拡散剤はナノ硫酸バリウム、炭酸カルシウム、二酸化ケイ素等を含み、有機光拡散剤はアクリル型、スチレンモノマー型、アクリル樹脂型、有機ケイ素粒子等を含む。
【0016】
また、上記目的を達成するために、本発明の別の態様である光拡散板の発泡軽量の製造方法は、スクリュー押出機に分配器を結合するか、インモールド複合方式で4層または5層構造の光拡散板を製造し、前記光拡散板は、順次連接する上表層と、第1発泡層と、第2発泡層と、下表層と、を備えている。前記第1発泡層及び前記第2発泡層の原料組成はハイポリマー透明材料及び発泡剤を含む。前記ハイポリマー透明材料は、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、またはポリエチレンテレフタレートのうちから何れか1種類が選択され、前記ハイポリマー透明材料がポリスチレンである場合、原料組成は強化剤または透明な熱可塑性エラストマーを更に含む。前記ハイポリマー透明材料がポリカーボネートである場合、原料組成は強化剤を更に含み、強化剤の添加比率は原料組成の1~20wt%の間の範囲である。
【0017】
また、本発明に係る光拡散板の発泡軽量構造体の製造方法において、前記第1発泡層には膨張性マイクロスフィアまたは発泡剤を採用し、発泡後の孔径が0.003~0.005mmの間の範囲である吸熱型または/及び放熱型発泡剤であり、発泡剤の用量は第1発泡層の原料組成の0.5~2wt%の間の範囲である。前記第2発泡層には粒径が0.050~0.090mmの間の範囲である吸熱型または/及び放熱型発泡剤を採用し、発泡剤の用量は第2発泡層の原料組成の0.7~6wt%の間の範囲である。前記インモールド複合方式の口型の背圧は2~25Mpaの間の範囲であり、口型の温度は160~230℃の間の範囲である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施例に係る光拡散板の発泡軽量構造体を示す概略構成図である。
【
図2】本発明の第2実施例に係る光拡散板の発泡軽量構造体を示す概略構成図である。
【
図3】本発明の第3実施例に係る光拡散板の発泡軽量構造体を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、記述した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0020】
(第1実施例)
図1は本発明の第1実施例に係る光拡散板の発泡軽量構造体を示す概略構成図である。順次連接する上表層1と、第1発泡層2と、第2発泡層3と、下表層4と、を備えている。第1発泡層2の厚みは第2発泡層3の厚みより薄く、第1発泡層2の気泡の直径は第2発泡層3の気泡の直径より小さい。上表層及び下表層は共に保護層からコア層(コア層とは上表層1と下表層4との間にある構造層であり、第1実施例では第1発泡層2及び第2発泡層3である)までを保護する作用を発生させる。第1発泡層2の気泡は光の拡散を増加させるために用いられ、第2発泡層3の気泡は光の透過率を増加させると共に、発泡光拡散板の平均密度を低下させるために用いられている。
【0021】
第1実施例では、光拡散板は上下2つの表層の間に1層の第1発泡層2が設置され、1層の第2発泡層3が増設されてコア層の4層構造板材を構成している。より詳しくは、第1実施例の発泡光拡散板の総厚みは1~5mmの間の範囲であり、上表層1及び下表層4の厚みは共に0.01~0.05mmの間の範囲である。第1発泡層2の厚みは0.2~1mmの間の範囲であり、気泡の平均直径は0.03~0.08mmの間の範囲である。第2発泡層3の厚みは0.78~3.9mmの間の範囲であり、気泡の平均直径は0.3~0.8mmの間の範囲である。
【0022】
第1実施例に係る光拡散板の平均密度は0.3~0.85g/cm3の間の範囲に制御可能であり、光透過率は40~60%の間の範囲に制御可能であり、ヘイズは92~96%の間の範囲に制御可能である。具体的に説明すると、第1発泡層2及び第2発泡層3のそれぞれの厚みまたはその気泡の直径を調節することで、光拡散板の平均密度、光透過率、及びヘイズを調整し、必要な光拡散板を獲得することができる。表1は、第1実施例に係る光拡散板の異なる厚み、平均密度、ヘイズ、及び光透過率の関係を示す表である。
【0023】
<表1 第1実施例に係る総厚み、平均密度の異なる光拡散板のヘイズ及び光透過率>
【0024】
(第2実施例)
図2は本発明の第2実施例に係る光拡散板の発泡軽量構造体を示す概略構成図である。第2実施例では、光拡散板は4層構造が5層構造に改変されており、上表層1と下表層4との間に3層の発泡層が設置され、コア層は本来の1層の第1発泡層2に1層の第2発泡層3が積層された2層構造であり、第1発泡層2-第2発泡層3-第1発泡層2の3層構造が形成されている。より詳しくは、第2実施例に係る光拡散板の総厚みは1~5mmの間の範囲であり、上表層1及び下表層4の厚みは共に0.01~0.05mmの間の範囲である。第1発泡層2の厚みは0.1~0.5mmの間の範囲であり、気泡の平均直径は0.03~0.08mmの間の範囲である。第2発泡層3の厚みは0.78~3.9mmの間の範囲であり、気泡の平均直径は0.3~0.8mmの間の範囲である。
【0025】
第2実施例に係る光拡散板の平均密度は0.3~0.85g/cm3の間の範囲に制御可能であり、光透過率は40~60%の間の範囲に制御可能であり、ヘイズは92~96%の間の範囲に制御可能である。具体的に説明すると、第1発泡層2及び第2発泡層3のそれぞれの厚みまたはその気泡の直径を調節することで、光拡散板の平均密度、光透過率、及びヘイズを調整し、必要な拡散板を獲得することができる。表2は、第2実施例に係る光拡散板の異なる厚み、平均密度、ヘイズ、及び光透過率の関係を示す表である。
【0026】
<表2 第2実施例に係る総厚み、平均密度が異なる光拡散板のヘイズ及び光透過率>
【0027】
(第3実施例)
図3は本発明の第2実施例に係る光拡散板の発泡軽量構造体を示す概略構成図である。第3実施例では、光拡散板は4層構造が5層構造に改変されており、上下2つの表層の間に3層の発泡層が設置され、コア層は本来の1層の第1発泡層2に1層の第2発泡層3を積層させた2層構造であり、第2発泡層3-第1発泡層2-第2発泡層3の3層構造が形成されている。より詳しくは、第3実施例に係る光拡散板の総厚みは1~5mmの間の範囲であり、上表層1及び下表層4の厚みは共に0.01~0.05mmの間の範囲である。第1発泡層2の厚みは0.2~1mmの間の範囲であり、気泡の平均直径は0.03~0.08mmの間の範囲である。第2発泡層3の厚みは0.39~1.95mmの間の範囲であり、気泡の平均直径は0.3~0.8mmの間の範囲である。
【0028】
第3実施例に係る光拡散板の平均密度は0.3~0.85g/cm3の間の範囲に制御可能であり、光透過率は40~60%の間の範囲に制御可能であり、ヘイズは92~96%の間の範囲に制御可能である。具体的に説明すると、第1発泡層2及び第2発泡層3のそれぞれの厚みまたはその気泡の直径を調節することで、光拡散板の平均密度、光透過率、及びヘイズを調整し、必要な発泡光拡散板を獲得することができる。表3は、第3実施例に係る光拡散板の異なる厚み、平均密度、ヘイズ、及び光透過率の関係を示す表である。
【0029】
<表3 本実施例に係る総厚み、平均密度が異なる光拡散板のヘイズ及び光透過率>
【0030】
本発明は、スクリュー押出機に分配器を結合するか、インモールド複合方式で4層または5層構造の光拡散板を製造する光拡散板の発泡軽量構造体の製造方法をさらに提供する。4層構造の光拡散板は順次連接する上表層1、第1発泡層2、第2発泡層3、下表層4である。5層構造の光拡散板は順次連接する上表層1、第1発泡層2、第2発泡層3、第1発泡層2、下表層4、或いは順次連接する上表層1、第2発泡層3、第1発泡層2、第2発泡層3、下表層4である。
【0031】
光拡散板の表層には本分野において一般的な材料及び技術が採用され、発泡層の原料組成はハイポリマー透明材料及び発泡剤を含む。ハイポリマー透明材料は、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、またはポリエチレンテレフタレート(PET)のうちの何れか1種類であり、ハイポリマー透明材料がポリスチレンである場合、原料組成は強化剤SEBS、透明TPE、或いはTPRを更に含む。ハイポリマー透明材料がポリカーボネートである場合、原料組成は強化剤MBSを更に含む。ハイポリマー透明材料がポリプロピレンまたはポリエチレンテレフタレートである場合、強化剤を添加する必要はない。第1発泡層2及び第2発泡層3の原料組成が強化剤を含む場合、強化剤の添加比率は原料組成の1~20wt%の間の範囲である。
【0032】
第1発泡層2に膨張性マイクロスフィア発泡剤または粒径が0.003~0.005mmの間の範囲である吸熱型及び/または放熱型発泡剤を採用する場合、発泡剤の用量は第1発泡層2の原料の0.5~2wt%の間の範囲である。第1発泡層2に膨張性マイクロスフィア発泡剤を採用する場合、核形成剤を別途組み合わせる必要はない。第1発泡層2に吸熱型及び/または放熱型発泡剤を採用する場合、核形成剤を更に組み合わせて使用し、孔径が0.08mm未満である微小孔構造を生成するように誘発すると共に気泡の孔径の大きさを制御する。前述の核形成剤は炭酸カルシウムまたは二酸化ケイ素であり、核形成剤の用量は第1発泡層2の原料の0.1~3wt%の間の範囲である。
【0033】
第2発泡層3には粒径が0.05~0.09mmの間の範囲である吸熱型及び/または放熱型発泡剤を採用し、発泡剤の用量は第2発泡層3の原料の0.7~6wt%の間の範囲である。孔径が0.3~0.8mmの間の範囲に達し、孔径が小さくならないようにするために、第2発泡層3には核形成剤を使用できない。
【0034】
前述の吸熱型発泡剤は炭酸水素ナトリウムであり、放熱型発泡剤はアゾジカルボンアミドである。
【0035】
前記インモールド複合方式の口型の背圧は2~25MPaの間の範囲であり、口型の温度は160~230℃の間の範囲である。圧力が異なるため、圧力が低下する速度も異なり、圧力が大きくなると、圧力低下も速まり、気泡のサイズが小さくなり、圧力の違いを利用して気泡のサイズを調整可能である。口型の温度が160~230℃の間の範囲にある場合、材料を加工する際に好適な粘弾性が形成され、口型の圧力低下を組み合わせて予定の気泡の孔径を獲得することができる。
【0036】
3つのスクリュー押出機をそれぞれホストとし、3号機は第2発泡層3に対応させ、1号機は上表層1及び下表層4に対応させ、2号機は第1発泡層2に対応させる。1つの分配器により分層を複合させ、3つのスクリュー押出機が押し出した孔径の異なる材料及び非発泡の表層が3種類の構造層を獲得し、フラットダイにより押圧されることで、
図1、
図2、及び
図3に示す3種類の構造の光拡散板層が形成される。
3つのスクリュー押出機は共に、供給端から吐出端にかけて第1エリア、第2エリア、第3エリア、第4エリア、第5エリア、第6エリア、第7エリアの7つの加熱エリアを含み、そのうちの前記第1エリアの加熱温度は150~160℃の間の範囲であり、前記第2エリアの加熱温度は160~170℃の間の範囲であり、前記第3エリアの加熱温度は180~190℃の間の範囲であり、前記第4エリアの加熱温度は190~205℃の範囲であり、前記第5エリアの加熱温度は190~170℃の間の範囲であり、前記第6エリアの加熱温度は160~170℃の範囲であり、前記第7エリアの加熱温度は150~160℃の間の範囲である。フィルターエリアの加熱温度は150~160℃の間の範囲であり、分配器の加熱温度は150~160℃の間の範囲であり、ダイヘッド装置の加熱温度は150~200℃の間の範囲である(PC材料がこの基礎上でさらに30℃加熱される)。
【0037】
本発明の実施例では、発泡層の原料にはポリスチレン及び強化剤SEBSを採用し、強化剤の添加比率は原料の1~20wt%の間の範囲である。第1発泡層2には粒径が0.003~0.005mmの間の範囲である吸熱型発泡剤の炭酸水素ナトリウムを採用し、発泡剤の用量は本層の原料の0.5~2wt%の間の範囲であり、且つ二酸化ケイ素の核形成剤を採用して孔径が0.080mm未満の微小孔構造を生成するように誘発すると共に気泡の孔径の大きさを制御し、核形成剤の用量は第1発泡層の原料の0.1~3wt%の間の範囲である。第2発泡層3には粒径が0.05~0.09mmの間の範囲である放熱型発泡剤のアゾジカルボンアミドを採用し、発泡剤の用量は第2発泡層3の原料の0.7~6wt%の間の範囲である。孔径が0.3~0.8mmに達し、孔径が小さくならないようにするために、第2発泡層3には核形成剤を使用できない。
【0038】
本発明の実施例に係る光拡散板の製造方法は、下記ステップを含む。
1、各層の原料を配合比率に基づいて混合し、ミキサー中で均一に攪拌した後にストックする。
2、5層押出成形方式に対応した型を選択し、押出ヘッドを取り付けると共に、押出設備及び各回転部位が完成したかを確認検査する。
3、温度制御表を動作温度に調節し、円柱型に対して加温を行い、温度が設定値に達した後に30分間恒温に維持する。
4、3つのスクリュー押出機のうち、1つは上表層1及び下表層4に対応し、1つは上表層1、下表層4にそれぞれ連接される第1発泡層2に対応し、1つは第2発泡層3に対応する。それぞれ均一に攪拌した後の各層の混合材料を対応する供給口に投入する。各押出機のフィルターを交換し、計量ポンプを順次起動し、スクリューモーターを回転させ、計量ポンプの圧力、フィード速度、ホストの回転速度等のパラメーターを設定する。プラスチック材料が円柱を通過すると共に可塑化され、押出機により押し出される。ダイのリップを洗浄する。計量ポンプ、メインラインの速度、圧力等のパラメーターを調節し、押出を開始する。
5、3つのスクリュー押出機内の材料をそれぞれ溶融した後、型内に押し出して複合し、且つ型の吐出口から複合板材を押し出し、5層構造の光拡散板シート材を製造する。
【0039】
本実施例では、上表層及び下表層の製造には、本分野において一般的な材料及び手段を採用する。
【0040】
本実施例では、第1発泡層2を製造するスクリュー押出機は、供給端から吐出端にかけて第1エリア、第2エリア、第3エリア、第4エリア、第5エリア、第6エリア、第7エリアの7つの加熱エリアを含み、第1エリアの加熱温度は150~160℃の間の範囲であり、第2エリアの加熱温度は160~170℃の間の範囲であり、第3エリアの加熱温度は180~190℃の間の範囲であり、第4エリアの加熱温度は190~205℃の間の範囲であり、第5エリアの加熱温度は190~170℃の間の範囲であり、第6エリアの加熱温度は160~170℃の間の範囲であり、第7エリアの加熱温度は150~160℃の間の範囲である。フィルターエリアの加熱温度は150~160℃の間の範囲であり、分配器の加熱温度は150~160℃の間の範囲であり、ダイヘッド装置の加熱温度は150~200℃の間の範囲である。
第2発泡層3を製造するスクリュー押出機は、供給端から吐出端にかけて第1エリア、第2エリア、第3エリア、第4エリア、第5エリア、第6エリア、第7エリアの7つの加熱エリアを含み、第1エリアの加熱温度は150~160℃の間の範囲であり、第2エリアの加熱温度は160~170℃の間の範囲であり、第3エリアの加熱温度は180~190℃の間の範囲であり、第4エリアの加熱温度は190~205℃の間の範囲であり、第5エリアの加熱温度は190~170℃の間の範囲であり、第6エリアの加熱温度は160~170℃の間の範囲であり、第7エリアの加熱温度は150~160℃の間の範囲である。フィルターエリアの加熱温度は150~160℃の間の範囲であり、分配器の加熱温度は150~160℃の間の範囲であり、ダイヘッド装置の加熱温度は150~200℃の間の範囲である。インモールド複合方式の口型の背圧は2~25 MPaの間の範囲であり、口型の温度は160~230℃の間の範囲である。口型の温度が160~230℃の間の範囲である場合、材料を加工する際に好適な粘弾性を形成し、口型の圧力低下と組み合わせて予定の気泡の孔径を獲得可能になる。
【0041】
本発明の実施例では、前記第1発泡層2は光拡散剤に交換可能である。光拡散剤は無機光拡散剤及び/または有機光拡散剤でもよい。無機光拡散剤はナノ硫酸バリウム、炭酸カルシウム、二酸化ケイ素等を含み、有機光拡散剤はアクリル型、スチレンモノマー型、アクリル樹脂型、有機ケイ素粒子等を含む。
【0042】
従来技術と比べると、本発明は下記の利点を有している。
1、本発明には、気泡の平均直径が小さく、発泡層の厚みが薄い発泡層と、気泡の平均直径が大きく、発泡層の厚みが厚い発泡層の2種類の発泡層を結合する方式を採用し、光拡散板の構造を改善している。光拡散板の性能が従来の技術の水準に達するのを保証しつつ、その密度を0.3g/cm3まで低下させる。従来技術の0.85g/cm3と比較すると、低下幅は50%を超え、コストが明確に低下し、市場での競争において明らかな優位性を有している。
2、本発明は第1発泡層2及び第2発泡層3のそれぞれの厚みまたはその気泡の平均直径を調節することで、光拡散板の平均密度、光透過率、及びヘイズを調整し、光拡散板の平均密度を0.3~0.85g/cm3の間の範囲とし、光透過率を40~60%の間の範囲とし、ヘイズが92~96%の間の範囲とすることが可能である。
【0043】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0044】
1 上表層
2 第1発泡層
3 第2発泡層
4 下表層