(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163034
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】積層型インダクタ
(51)【国際特許分類】
H01F 17/04 20060101AFI20241114BHJP
H01F 27/29 20060101ALI20241114BHJP
H01F 17/00 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
H01F17/04 A
H01F27/29 123
H01F17/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024068699
(22)【出願日】2024-04-19
(31)【優先権主張番号】10-2023-0059741
(32)【優先日】2023-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梁 主 歡
(72)【発明者】
【氏名】金 材 勳
(72)【発明者】
【氏名】文 炳 チョル
(72)【発明者】
【氏名】鄭 藝 智
(72)【発明者】
【氏名】姜 仁 瑛
(72)【発明者】
【氏名】金 範 錫
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA01
5E070AB07
5E070BA12
5E070BB03
5E070CB02
5E070CB13
5E070EA01
5E070EB04
(57)【要約】
【課題】印刷方式で形成されたコイルの断面構造を改善した積層型インダクタを提供する。
【解決手段】本発明による積層型インダクタは、第1方向に対向する第1面及び第2面と、第1面と第2面とを連結し、第2方向に対向する第3面及び第4面と、第1面と第2面とを連結し、第3方向に対向する第5面及び第6面とを有して、磁性物質を含む本体と、本体の内部に配置される複数の内部電極と、本体の外部に配置される外部電極と、本体の第3面及び第4面をそれぞれ覆う側面カバー層と、を有し、複数の内部電極の少なくとも1つの内部電極は、第3方向に対向する第1電極面及び第2電極面と、第1電極面と第2電極面とを連結し、第3面、第4面、又は両方ともに平行な第3電極面と、を含み、第3電極面は、側面カバー層に接する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に対向する第1面及び第2面と、前記第1面と第2面とを連結し、第2方向に対向する第3面及び第4面と、前記第1面と第2面とを連結し、第3方向に対向する第5面及び第6面とを有して、磁性物質を含む本体と、
前記本体の内部に配置される複数の内部電極と、
前記本体の外部に配置される外部電極と、
前記本体の前記第3面及び第4面をそれぞれ覆う側面カバー層と、を有し、
前記複数の内部電極の少なくとも1つの内部電極は、前記第3方向に対向する第1電極面及び第2電極面と、前記第1電極面と前記第2電極面とを連結し、前記第3面、前記第4面、又は両方ともに平行な第3電極面と、を含み、
前記第3電極面は、前記側面カバー層に接することを特徴とする積層型インダクタ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの内部電極は、前記第2方向に対向する両側周縁を含み、
前記両側周縁の内の一側周縁は、前記第3電極面をなすことを特徴とする請求項1に記載の積層型インダクタ。
【請求項3】
前記内部電極は、前記一側周縁に向かってテーパ形状を有することを特徴とする請求項2に記載の積層型インダクタ。
【請求項4】
前記両側周縁の内の他側周縁において、前記第1電極面と前記第2電極面とが出会って鋭角をなすことを特徴とする請求項2に記載の積層型インダクタ。
【請求項5】
前記内部電極は、前記他側周縁に向かってテーパ形状を有することを特徴とする請求項4に記載の積層型インダクタ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの内部電極は、
前記両側周縁間の距離である幅を有し、
前記幅の60%に相当する範囲で測定した前記第1電極面と前記第2電極面との間の距離の平均値である第1厚さT1を有し、
前記第3電極面は、前記第3方向に沿った第2厚さT2を有し、
前記第1厚さT1に対する前記第2厚さT2の比は、0より大きくて1以下であることを特徴とする請求項2に記載の積層型インダクタ。
【請求項7】
前記第1厚さT1に対する前記第2厚さT2の比は、0より大きくて0.75以下であることを特徴とする請求項6に記載の積層型インダクタ。
【請求項8】
前記第1厚さT1に対する前記第2厚さT2の比は、0より大きくて0.48以下であることを特徴とする請求項6に記載の積層型インダクタ。
【請求項9】
前記第3電極面は、前記本体の前記第3面と同一面をなすか、又は前記第4面と同一面をなすことを特徴とする請求項3に記載の積層型インダクタ。
【請求項10】
前記第1方向に垂直な断面において、
前記第2方向に沿った前記側面カバー層の厚さDは、10μm以上かつ30μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の積層型インダクタ。
【請求項11】
前記本体と前記側面カバー層は、同一の材料からなることを特徴とする請求項1に記載の積層型インダクタ。
【請求項12】
前記本体と前記側面カバー層は、異なる材料からなることを特徴とする請求項1に記載の積層型インダクタ。
【請求項13】
前記側面カバー層は、
前記第3電極面に接する第1カバー層と、
前記第1カバー層を覆う第2カバー層と、を含み、
前記第1カバー層は、前記本体と異なる材料からなり、
前記第2カバー層は、前記本体と同一の材料からなることを特徴とする請求項1に記載の積層型インダクタ。
【請求項14】
前記第1カバー層に含まれる磁性粒子の粒径は、前記本体に含まれる磁性粒子の粒径の5%以上30%以下であることを特徴とする請求項13に記載の積層型インダクタ。
【請求項15】
前記外部電極は、前記本体の前記第1面と前記第2面において前記複数の内部電極に連結され、前記本体の前記第5面と前記第6面まで延長され、前記第1方向に対向する前記側面カバー層の両側周縁を覆うことを特徴とする請求項1に記載の積層型インダクタ。
【請求項16】
前記外部電極は、前記本体の前記第1面と前記第2面において前記複数の内部電極に連結され、前記本体の前記第5面と前記第6面まで延長され、
前記側面カバー層は、前記本体の前記第3面と前記第1面、前記第2面、前記第5面、及び前記第6面の境界で前記外部電極と接し、前記第4面と前記第1面、前記第2面、前記第5面、及び前記第6面の境界で前記外部電極と接することを特徴とする請求項1に記載の積層型インダクタ。
【請求項17】
前記外部電極は、前記本体の前記第5面又は前記第6面において前記複数の内部電極に連結され、
前記外部電極は、前記本体の前記第5面又は前記第6面の一部を覆い、
前記側面カバー層は、前記本体の前記第1面、前記第2面、前記第3面、及び前記第4面を覆うことを特徴とする請求項1に記載の積層型インダクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型インダクタに関し、特に、コイルの断面構造を改善した積層型インダクタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モバイル機器の機能の多様化とともに消費電力が増加するにつれ、モバイル機器内バッテリの使用時間を増やすために、電力半導体(power management integrated circuit:PMIC)の周辺に損失が少なくて効率に優れた受動部品が採用されている。
【0003】
一方、製品をスリム(slim)化し部品配置の自由度を高めるために、ロープロファイル(low profile)パワーインダクタ(power inductor)に対する要求が大きくなっている。
パワーインダクタは、大きく、構造及び工法により積層型、薄膜型、巻線型に分けられる。
【0004】
積層型インダクタは、磁性体又は低誘電率を有する誘電材料からなる複数のシートに金属パターンをそれぞれ印刷した後、それぞれの金属パターンが互いに連結されてコイルをなすようにしつつ複数のシートを積層する方式で製造される。
【0005】
金属パターンを印刷して形成したコイルは、断面の周縁が尖った形状を有するが、その場合、磁路(magnetic path)面積が減少する可能性がある。
コイル断面の形状が尖っていて層間整列(alignment)公差が発生することもあるので、寄生容量(parasitic capacitance)による周波数特性の低下及びインダクタンスばらつき(variation)の危険性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記従来の積層型インダクタにおける問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、印刷方式で形成されたコイルの断面構造を改善した積層型インダクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた本発明による積層型インダクタは、第1方向に対向する第1面及び第2面と、前記第1面と第2面とを連結し、第2方向に対向する第3面及び第4面と、前記第1面と第2面とを連結し、第3方向に対向する第5面及び第6面とを有して、磁性物質を含む本体と、前記本体の内部に配置される複数の内部電極と、前記本体の外部に配置される外部電極と、前記本体の前記第3面及び第4面をそれぞれ覆う側面カバー層と、を有し、前記複数の内部電極の少なくとも1つの内部電極は、前記第3方向に対向する第1電極面及び第2電極面と、前記第1電極面と前記第2電極面とを連結し、前記第3面、前記第4面、又は両方ともに平行な第3電極面と、を含み、前記第3電極面は、前記側面カバー層に接することを特徴とする。
【0008】
前記少なくとも1つの内部電極は、前記第2方向に対向する両側周縁を含み、前記両側周縁の内の一側周縁は、前記第3電極面をなすことが好ましい。
前記内部電極は、前記一側周縁に向かってテーパ形状を有することが好ましい。
前記両側周縁の内の他側周縁において、前記第1電極面と前記第2電極面とが出会って鋭角をなすことが好ましい。
前記内部電極は、前記他側周縁に向かってテーパ形状を有することが好ましい。
前記少なくとも1つの内部電極は、前記両側周縁間の距離である幅を有し、前記幅の60%に相当する範囲で測定した前記第1電極面と前記第2電極面との間の距離の平均値である第1厚さT1を有し、前記第3電極面は、前記第3方向に沿った第2厚さT2を有し、前記第1厚さT1に対する前記第2厚さT2の比は、0より大きくて1以下であることが好ましい。
前記第1厚さT1に対する前記第2厚さT2の比は、0より大きくて0.75以下であることが好ましい。
前記第1厚さT1に対する前記第2厚さT2の比は、0より大きくて0.48以下であることが好ましい。
前記第3電極面は、前記本体の前記第3面と同一面をなすか、又は前記第4面と同一面をなすことが好ましい。
【0009】
前記第1方向に垂直な断面において、前記第2方向に沿った前記側面カバー層の厚さDは、10μm以上かつ30μm以下であることが好ましい。
前記本体と前記側面カバー層は、同一の材料からなることが好ましい。
前記本体と前記側面カバー層は、異なる材料からなることが好ましい。
前記側面カバー層は、前記第3電極面に接する第1カバー層と、前記第1カバー層を覆う第2カバー層と、を含み、前記第1カバー層は、前記本体と異なる材料からなり、前記第2カバー層は、前記本体と同一の材料からなることが好ましい。
前記第1カバー層に含まれる磁性粒子の粒径は、前記本体に含まれる磁性粒子の粒径の5%以上30%以下であることが好ましい。
前記外部電極は、前記本体の前記第1面と前記第2面において前記複数の内部電極に連結され、前記本体の前記第5面と前記第6面まで延長され、前記第1方向に対向する前記側面カバー層の両側周縁を覆うことが好ましい。
前記外部電極は、前記本体の前記第1面と前記第2面において前記複数の内部電極に連結され、前記本体の前記第5面と前記第6面まで延長され、前記側面カバー層は、前記本体の前記第3面と前記第1面、前記第2面、前記第5面、及び前記第6面の境界で前記外部電極と接し、前記第4面と前記第1面、前記第2面、前記第5面、及び前記第6面の境界で前記外部電極と接することが好ましい。
前記外部電極は、前記本体の前記第5面又は前記第6面において前記複数の内部電極に連結され、前記外部電極は、前記本体の前記第5面又は前記第6面の一部を覆い、前記側面カバー層は、前記本体の前記第1面、前記第2面、前記第3面、及び前記第4面を覆うことが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る積層型インダクタによれば、印刷方式で形成したコイルの断面の周縁に扁平面を形成することによって、磁路面積の減少を防止し、直流抵抗及びインダクタンスばらつきの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態による積層型インダクタの概略構成を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示した積層型インダクタの外部電極が除去された状態を概略的に示す斜視図である。
【
図3】
図2に示した積層型インダクタの側面カバー層が除去された状態を概略的に示す斜視図である。
【
図4】
図2のIV-IV’線に沿って切断した断面図である。
【
図5】
図4に示した積層型インダクタの側部電極を概略的に示す部分拡大図である。
【
図6】
図3に示した積層型インダクタを概略的に示す分解斜視図である。
【
図7】
図1に示した積層型インダクタの内部電極と側面カバー層の配置を概略的に示す平面図である。
【
図8】本発明の他の実施形態による積層型インダクタの概略構成を示す斜視図である。
【
図9】
図8に示した積層型インダクタの内部電極と側面カバー層の配置を概略的に示す平面図である。
【
図10】本発明のさらに他の実施形態による積層型インダクタの概略構成を示す斜視図である。
【
図11】
図10に示した積層型インダクタの内部電極と側面カバー層の配置を概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明に係る積層型インダクタを実施するための形態の具体例を図面を参照しながら説明する。
【0013】
図面において本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一又は類似の構成要素については同一の参照符号を付した。
また、添付図面において一部の構成要素は誇張されたり省略されたり又は概略的に示され、各構成要素の大きさは実際の大きさを完全に反映するものではない。
添付した図面は本明細書に開示した実施形態を容易に理解できるようにするためのものに過ぎず、添付した図面によって本明細書に開示された技術的思想が制限されず、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物あるいは代替物を含むことが理解されなければならない。
【0014】
第1、第2などのような序数を含む用語は、多様な構成要素を説明するのに使用できるが、前記構成要素は前記用語によって限定されない。
用語は1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用される。
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上」にあるとする時、これは、他の部分の「直上」にある場合のみならず、その中間に他の部分がある場合も含む。
逆に、ある部分が他の部分の「直上」にあるとする時には、中間に他の部分がないことを意味する。
さらに、基準となる部分の「上」にあるというのは、基準となる部分の上又は下に位置することであり、必ずしも重力の反対方向の「上」に位置することを意味するのではない。
明細書全体において、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、1つ又はそれ以上の他の特徴や、数字、段階、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものの存在又は付加の可能性を予め排除しないことが理解されなければならない。
したがって、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
また、明細書全体において、「平面上」とする時、これは対象部分を上から見た時を意味し、「断面上」とする時、これは対象部分を垂直に切断した断面を横から見た時を意味する。
さらに、明細書全体において、「連結される」とする時、これは2以上の構成要素が直接的に連結されることだけを意味するのではなく、2以上の構成要素が他の構成要素を介して間接的に連結されること、物理的に連結されることだけでなく電気的に連結されること、又は位置や機能により異なる名称で称されたものの一切を意味する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態による積層型インダクタの概略構成を示す斜視図であり、
図2は、
図1に示した積層型インダクタの外部電極が除去された状態を概略的に示す斜視図であり、
図3は、
図2に示した積層型インダクタの側面カバー層が除去された状態を概略的に示す斜視図である。
図1、
図2、及び
図3を参照すると、本実施形態による積層型インダクタ100は、本体12と、複数の内部電極20と、第1及び第2外部電極(13、14)と、第1及び第2側面カバー層(30、31)とを含む。
【0016】
本体12は、磁性物質を含み、磁性粒子と磁性粒子との間に介在するエポキシやポリイミドなどの熱硬化性樹脂からなる。
磁性粒子は、磁気特性を示すフェライト(ferrite)粒子や金属磁性粒子であり得る。
【0017】
フェライト粒子は、例えば、Mg-Zn系、Mn-Zn系、Mn-Mg系、Cu-Zn系、Mg-Mn-Sr系、Ni-Zn系などのスピネル型フェライト、Ba-Zn系、Ba-Mg系、Ba-Ni系、Ba-Co系、Ba-Ni-Co系などの六方晶型フェライト類、Y系などのガーネット型フェライト及びLi系フェライトの少なくとも1つ以上であり得る。
金属磁性粒子は、鉄(Fe)、シリコン(Si)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)及びニッケル(Ni)からなる群より選択された1種以上を含み得る。
例えば、金属磁性粒子は、純鉄、Fe-Si系合金、Fe-Si-Al系合金、Fe-Ni系合金、Fe-Ni-Mo系合金、Fe-Ni-Mo-Cu系合金、Fe-Co系合金、Fe-Ni-Co系合金、Fe-Cr系合金、Fe-Cr-Si系合金、Fe-Si-Cu-Nb系合金、Fe-Ni-Cr系合金、Fe-Cr-Al系合金の少なくとも1つ以上であり得る。
金属磁性粒子は、非晶質又は結晶質であり得る。
例えば、金属磁性粒子は、Fe-Si-B-Cr系非晶質合金であってもよいが、本実施形態がこれに限定されるものではない。
【0018】
フェライト及び金属磁性粒子はそれぞれ、平均直径が約0.1μm~30μmであるが、本実施形態がこれに限定されるものではない。
本明細書上において、粒径又は平均直径は、D90又はD50などと表現される粒度分布を意味する。
金属磁性粒子は、2種類以上の異なる金属磁性粒子である。
ここで、金属磁性粒子の種類が異なるというのは、金属磁性粒子が平均直径、組成、成分比、結晶性及び形状の少なくとも1つにおいて互いに区別されることを意味する。
絶縁性樹脂は、エポキシ(epoxy)、ポリイミド(polyimide)、液晶結晶性ポリマー(Liquid Crystal Polymer)などを単独で又は混合して含み得るが、これに限定されるものではない。
【0019】
本体12は、略六面体形状からなるが、本実施形態がこれに限定されるものではない。
焼成(sintering)時、磁性粉末などの収縮によって、本体12は、完全な六面体形状ではないが、実質的に六面体形状を有し得る。
例えば、本体12は、略直方体形状であるが、角部や頂点に相当する部分が丸い形状であってもよい。
【0020】
本実施形態を明確に説明するために方向を定義すれば、図面に表示されたL、W、及びTは、それぞれ、積層型インダクタ100の長手方向、幅方向、及び厚さ方向を示す軸を指す。
厚さ方向(T軸方向)は、シート形状を有する構成要素の広い面に垂直な方向である。
例えば、厚さ方向(T軸方向)は、内部電極20が積層される方向である。
長手方向(L軸方向)は、シート形状を有する構成要素の広い面に並行する方向であって、厚さ方向(T軸方向)と交差(又は直交)する方向である。
例えば、長手方向(L軸方向)は、第1外部電極13と第2外部電極14が対向する方向である。
幅方向(W軸方向)は、シート形状を有する構成要素の広い面に並行する方向に厚さ方向(T軸方向)及び長手方向(L軸方向)と同時に交差(又は直交)する。
本実施形態では、説明の便宜のために、厚さ方向(T軸方向)に対向する二面を上面121及び下面122と定義し、長手方向(L軸方向)に対向する二面を第1端部面128及び第2端部面129と定義し、幅方向(W軸方向)に対向する二面を第1及び第2側面126、127と定義する。
【0021】
積層型インダクタ100の長さは、積層型インダクタ100の幅方向(W軸方向)中央部での長手方向(L軸方向)-厚さ方向(T軸方向)の断面(cross-section)に対する光学顕微鏡又はSEM(Scanning Electron Microscope)写真を基準として、前述した断面写真に示された積層型インダクタ100の長手方向(L軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、長手方向(L軸方向)に平行な複数の線分の長さの内の最大値を意味する。
あるいは、積層型インダクタ100の長さは、前述した断面写真に示された積層型インダクタ100の長手方向(L軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、長手方向(L軸方向)に平行な複数の線分の長さの内の最小値を意味する。
あるいは、積層型インダクタ100の長さは、前述した断面写真に示された積層型インダクタ100の長手方向(L軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、長手方向(L軸方向)に平行な複数の線分の少なくとも2つの線分の長さの算術平均値を意味する。
【0022】
積層型インダクタ100の厚さは、積層型インダクタ100の幅方向(W軸方向)中央部での長手方向(L軸方向)-厚さ方向(T軸方向)の断面(cross-section)に対する光学顕微鏡又はSEM(Scanning Electron Microscope)写真を基準として、前述した断面写真に示された積層型インダクタ100の厚さ方向(T軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、厚さ方向(T軸方向)に平行な複数の線分の長さの内の最大値を意味する。
あるいは、積層型インダクタ100の厚さは、前述した断面写真に示された積層型インダクタ100の厚さ方向(T軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、厚さ方向(T軸方向)に平行な複数の線分の長さの内の最小値を意味する。
あるいは、積層型インダクタ100の厚さは、前述した断面写真に示された積層型インダクタ100の厚さ方向(T軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、厚さ方向(T軸方向)に平行な複数の線分の少なくとも2つの線分の長さの算術平均値を意味する。
【0023】
積層型インダクタ100の幅は、積層型インダクタ100の厚さ方向(T軸方向)中央部での長手方向(L軸方向)-幅方向(W軸方向)の断面(cross-section)に対する光学顕微鏡又はSEM(Scanning Electron Microscope)写真を基準として、前述した断面写真に示された積層型インダクタ100の幅方向(W軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、幅方向(W軸方向)に平行な複数の線分の長さの内の最大値を意味する。
あるいは、積層型インダクタ100の幅は、前述した断面写真に示された積層型インダクタ100の幅方向(W軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、幅方向(W軸方向)に平行な複数の線分の長さの内の最小値を意味する。
あるいは、積層型インダクタ100の幅は、前述した断面写真に示された積層型インダクタ100の幅方向(W軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、幅方向(W軸方向)に平行な複数の線分の少なくとも2つの線分の長さの算術平均値を意味する。
【0024】
一方、積層型インダクタ100の長さ、幅、及び厚さそれぞれは、マイクロメーター(micrometer)測定法で測定してもよい。
マイクロメーター測定法は、Gage R&R(Repeatability and Reproducibility)されたマイクロメーターで零点を設定し、マイクロメーターのチップの間に本実施形態による積層型インダクタ100を挿入し、マイクロメーターの測定レバー(lever)を回して測定する。
一方、マイクロメーター測定法で積層型インダクタ100の長さを測定する時、積層型インダクタ100の長さは、1回測定された値を意味することもでき、複数回測定された値の算術平均を意味することもできる。
これは、積層型インダクタ100の幅及び厚さの測定にも同一に適用可能である。
【0025】
複数の内部電極20は、本体12の内部において厚さ方向(T軸方向)に積層され、側部電極21と、リード部22とを含む。
側部電極21は、内部電極20の一部分であって、内部電極20が本体12の第1側面126や第2側面127に接し、露出する部分を含む一部の領域を指す。
リード部(22、22)は、内部電極20が第1外部電極13及び第2外部電極14に電気的に接続される部分である。
複数の内部電極20が互いに接続されてなるコイル構造においてコイルの両端にそれぞれリード部22が配置される。
リード部(22、22)は、本体12の第1端部面128及び第2端部面129からそれぞれ露出する部分である。
【0026】
第1外部電極13及び第2外部電極14は、本体12の外部に配置され、内部電極20に接続される。
つまり、第1外部電極13及び第2外部電極14は、内部電極20のリード部(22、22)にそれぞれ接続される。
第1及び第2外部電極(13、14)は、導電性金属を含む導電性ペーストによって形成される。
第1及び第2外部電極(13、14)は、例えば、本体を導電性ペーストにディッピング(dipping)する方式で形成される。
導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、金(Au)、又はこれらの合金を含むことができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0027】
第1外部電極13は、本体12の第1端部面128において内部電極20のリード部22に連結され、上面121、下面122、第1側面126、及び第2側面127まで延長される。
第2外部電極14は、本体12の第2端部面129において内部電極20のリード部22に連結され、上面121、下面122、第1側面126、及び第2側面127まで延長される。
例えば、第1及び第2外部電極13、14は、本体12の長手方向(L軸方向)の両端部に配置され、第1外部電極13は、第1前面部133及び第1バンド部135を含み、第2外部電極14は、第2前面部143及び第2バンド部145を含む。
第1前面部133は、本体12の第1端部面128を覆い、内部電極20のリード部22と接続されて電気的に接続される部分である。
第2前面部143は、本体12の第2端部面129を覆い、内部電極20のリード部22と接続されて電気的に接続される部分である。
【0028】
第1バンド部135は、第1前面部133から本体12の長手方向(L軸方向)に沿って延長され、本体12の上面121の一部及び下面122の一部と、第1側面カバー層30の一部及び第2側面カバー層31の一部とを覆う。
つまり、本体12の第1側面126及び第2側面127において、第1側面カバー層30の一部分及び第2側面カバー層31の一部分は、第1バンド部135によって覆われる。
第2バンド部145は、第2前面部143から本体12の長手方向(L軸方向)に沿って延長され、本体12の上面121及び下面122の一部と、本体12の第1側面カバー層30及び第2側面カバー層31の一部とを覆う。
つまり、本体12の第1側面126及び第2側面127において、第1側面カバー層30の一部分及び第2側面カバー層31の一部分は、第2バンド部145によって覆われる。
【0029】
第1及び第2外部電極(13、14)は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、又はこれらの合金などの導電性物質で形成されるが、これに限定されるものではない。
第1及び第2外部電極(13、14)は、複数の電極層を含む。
例えば、第1及び第2外部電極(13、14)は、第1電極層と、第1電極層を覆う第2電極層と、第2電極層を覆う第3電極層とを含む。
第1電極層は、銅(Cu)を含み得、導電性樹脂層であり得る。
導電性樹脂層は、電気伝導性を確保するための導電性金属及び衝撃吸収のための樹脂を含む。
樹脂は、接合性及び衝撃吸収性を有し、導電性金属粉末と混合してペーストを作れるものであれば特に制限されず、例えば、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、又はポリイミド樹脂を含む。
導電性金属は、例えば、銅(Cu)、スズ(Sn)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、タングステン(W)、チタン(Ti)、これらの合金、又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0030】
このように、第1及び第2外部電極(13、14)は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、金(Au)、又はこれらの合金を含み得、複数の層を含み得る。
例えば、第1及び第2外部電極(13、14)は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ニッケル/銅(Ni/Cu)、パラジウム/ニッケル(Pd/Ni)、パラジウム/ニッケル/銅(Pd/Ni/Cu)、銅/ニッケル/銅(Cu/Ni/Cu)形態の組み合わせからなる。
場合によっては、最外層をスズ(Sn)で構成してもよい。
スズメッキ層は、相対的に低い溶融点を有するので、第1及び第2外部電極(13、14)の基板実装容易性を向上させることができる。
一般に、スズメッキ層は、スズ(Sn)-銅(Cu)-銀(Ag)の合金ペーストを含むソルダ(solder)により基板上の電極パッドに結合される。
つまり、スズメッキ層は、熱処理(reflow)工程時、ソルダと互いに溶融して結合される。
【0031】
第1側面カバー層30及び第2側面カバー層31は、本体12の第1側面126と第2側面127をそれぞれ覆う。
つまり、第1側面カバー層30は、本体12の第1側面126を覆い、第2側面カバー層31は、本体12の第2側面127を覆う。
一方、側部電極21の位置によって側部電極21の一部分が第1側面126から露出するか、第2側面127から露出される。
第1側面126から露出した部分は、第1側面カバー層30によって覆われ、第2側面127から露出した部分は、第2側面カバー層31によって覆われる。
言い換えれば、側部電極21の露出した部分は、第1側面カバー層30や第2側面カバー層31に接する。
第1及び第2側面カバー層(30、31)は、側部電極21に伝導性異物が流入するのを防止して積層型インダクタ100の信頼性を向上させることができる。
【0032】
以下、
図4及び
図5を参照して、積層型インダクタ100の内部電極20の構造をより詳しく説明する。
図4は、
図2のIV-IV’線に沿って切断した断面図であって、幅方向(W軸方向)-厚さ方向(T軸方向)の断面を示し、
図5は、
図4に示した積層型インダクタの側部電極を概略的に示す部分拡大図である。
図4及び
図5を参照すると、それぞれの側部電極21は、第1電極面211と、第2電極面212と、第3電極面215とを含む。
【0033】
第1電極面211と第2電極面212は、厚さ方向(T軸方向)に対向する。
第3電極面215は、第1電極面211と第2電極面212とを連結し、第1側面126、第2側面127又は両方ともに平行である。
それぞれの側部電極21は、幅方向(W軸方向)に対向する第1周縁217及び第2周縁219を含む。
つまり、側部電極21の幅方向(W軸方向)の両端にはそれぞれ、第1周縁217と第2周縁219が存在する。
第1周縁217は、第3電極面215をなし、側部電極21は、第1周縁217に向かってテーパ形状を有する。
例えば、第1周縁217に向かうほど、第1電極面211と第2電極面212との間の距離が減少する。
第2周縁219は、第1電極面211と第2電極面212とが出会って鋭角をなす部分であり、側部電極21は、第2周縁219に向かってテーパ形状を有する。
例えば、第2周縁219に向かうほど、第1電極面211と第2電極面212との間の距離が減少する。
【0034】
それぞれの側部電極21は、第1周縁217と第2周縁219との間の距離である幅W1を有し、幅W1の60%に相当する範囲で測定した第1電極面211と第2電極面212との間の距離の平均値である第1厚さT1を有する。
例えば、
図5を参照する時、側部電極21の幅W1の20%に相当する範囲を、側部電極21の左側と右側でそれぞれ除いた範囲内の同一の間隔で離隔した10個の地点で第1電極面211と第2電極面212との間の距離を測定した後、算術平均値を取って第1厚さT1を得ることができる。
第3電極面215は、第2厚さT2を有する。
第2厚さT2は、第3電極面215の厚さ方向(T軸方向)の両端部間の距離である。
第1厚さT1に対する第2厚さT2の比は、0より大きくて1以下であり得る。
または、第1厚さT1に対する前記第2厚さT2の比は、0より大きくて0.75以下であり得る。
または、第1厚さT1に対する前記第2厚さT2の比は、0より大きくて0.48以下であり得る。
第1厚さT1に対する第2厚さT2の比が1に近いほど、側部電極21の形状は長方形に近づく。
つまり、第3電極面215側のテーパ部分が平らになる。
【0035】
第3電極面215は、その位置によって本体12の第1側面126と同一面をなすか、第2側面127と同一面をなす。
つまり、
図4の左側にある側部電極21の第3電極面215は、第1側面126と同一面をなし、
図4の右側にある側部電極21の第3電極面215は、第2側面127と同一面をなす。
一方、第3電極面215は、本体12の第1側面126に露出し、かつ、第1側面カバー層30によって覆われる面であるか、又は、本体12の第2側面127に露出しかつ、第2側面カバー層31によって覆われる面である。
【0036】
以上のように、本実施形態による積層型インダクタでは、側部電極21の第3電極面215が第1側面126及び/又は第2側面127に平行であるので、磁路(magnetic path)面積を十分に確保できる。
さらに、第3電極面215が本体12の第1側面126及び/又は第2側面(126、127)と同一の平面をなすので、層間整列(alignment)公差も減少する。
これによって、積層型インダクタの直流抵抗(Rdc)が低くなり、インダクタンスばらつきも減少する。
本実施形態とは異なり、内部電極の外側端部が尖った形状の場合には、磁路面積(magnetic path)が減少し、層間整列公差が発生し得るので、寄生容量(parasitic capacitance)による周波数特性の低下及びインダクタンスばらつきの危険性がある。
【0037】
一方、幅方向(W軸方向)に沿って測定した第1及び第2側面カバー層(30、31)の厚さDは、10μm以上かつ30μm以下である。
ここで、Dは、長手方向(L軸方向)中央部での幅方向(W軸方向)-厚さ方向(T軸方向)の断面(cross-section)に対する光学顕微鏡又は走査電子顕微鏡(scanning electron microscope:SEM)写真を基準として、前述した断面写真に示された積層型インダクタ100の第1側面126で同じ間隔で離れた10個の地点で測定した、第1側面カバー層30の厚さの算術平均値を意味する。
または、Dは、前述した断面写真に示された積層型インダクタ100の第2側面127で同じ間隔で離れた10個の地点で測定した、第2側面カバー層31の厚さの算術平均値を意味する。
第1及び第2側面カバー層30、31の厚さDが10μm未満であれば、厚さが不十分でインダクタの信頼性低下の問題が発生し得る。
例えば、バレル(barrel)研磨工程時、側面カバー層が物理的に破壊されることがある。
さらに、第1及び第2側面カバー層(30、31)の厚さDが10μm未満であれば、耐電圧特性が低下する危険性もある。
(表1参照)
【0038】
【0039】
一方、第1及び第2側面カバー層(30、31)の厚さDが30μmを超えると、厚さが過度に厚くなって、カバー層の具備による効果が相殺される。
他方、第1側面カバー層30は、内側カバー層301と、外側カバー層302とを含む。
内側カバー層301は、側部電極21の第3電極面215に接し、内側カバー層301は、本体12と異なる材料からなる。
例えば、内側カバー層301に含まれる磁性粒子の粒径は、本体12に含まれる磁性粒子の粒径の5%以上30%以下であり得る。
この場合、内側カバー層301の強度が増加し、容量特性が向上できる。
【0040】
外側カバー層302は、内側カバー層301を覆う。
外側カバー層302は、本体12と同一の材料からなるので、第3電極面215の形成過程で切り取られた部分の容量を保存することができる。
第2側面カバー層31は、内側カバー層311と、外側カバー層312とを含む。
内側カバー層311は、側部電極21の第3電極面215に接し、内側カバー層311は、本体12と異なる材料からなる。
例えば、内側カバー層311に含まれる磁性粒子の粒径は、本体12に含まれる磁性粒子の粒径の5%以上30%以下であり得る。
この場合、内側カバー層311の強度が増加し、容量特性が向上できる。
外側カバー層312は、内側カバー層311を覆う。
外側カバー層312は、本体12と同一の材料からなるので、第3電極面215の形成過程で切り取られた部分の容量を保存することができる。
【0041】
図6は、
図3に示した積層型インダクタを概略的に示す分解斜視図であり、
図7は、
図1に示した積層型インダクタの内部電極と側面カバー層の配置を概略的に示す平面図である。
図1、
図4、
図6、及び
図7を併せて参照すると、本体12は、複数のシート124を厚さ方向(T軸方向)に積層した後、焼成過程を経て形成される。
【0042】
シート124は、磁性物質を含み、磁性粒子と磁性粒子との間に介在するエポキシやポリイミドなどの熱硬化性樹脂からなる。
本体12内において厚さ方向(T軸方向)に沿った両端のシート124の外側に第1カバー層123及び第2カバー層125がそれぞれ配置される。
つまり、本体12内において最下部にあるシート124の下部に所定厚さの第1カバー層123が配置され、最上部にあるシート124の上部に第2カバー層125が配置される。
【0043】
第1カバー層123及び第2カバー層125は、シート124と同一の組成を有し、内部電極20が形成されないシートを本体12の最上部のシート124の上部と最下部のシート124の下部にそれぞれ1つ以上積層して形成される。
第1及び第2カバー層(123、125)は、強磁性特性を有する磁性体であり、例えば、NiOを含み、NiとZnのモル比がほぼ1:1に近いNi-Cu-Zn系フェライト(ferrite)からなる。
したがって、第1及び第2カバー層(123、125)は、透磁率と飽和磁化が高い磁性を有する。
第1及び第2カバー層(123、125)は、積層型インダクタの内部電極20を保護して信頼性を向上させると同時に、積層型インダクタの磁性特性を向上させることができる。
【0044】
複数の内部電極20は、複数のシート124上にそれぞれ形成され、接続部(ビア)25を介して互いに連結されてコイル構造を形成する。
導電性ペーストをシート124の表面に印刷して内部電極20を形成する。
第1及び第2側面カバー層(30、31)は、シート124と同一の組成を有してもよく、異なる組成を有してもよい。
第1及び第2側面カバー層(30、31)がシート124と同一の組成を有する場合には、鉄(Fe)、ケイ素(Si)、炭素(C)、酸素(O)、水素(H)などを含み得る。
第1及び第2側面カバー層(30、31)がシート124と異なる組成を有する場合には、シート124は、鉄(Fe)、ケイ素(Si)、炭素(C)、酸素(O)、水素(H)などを含み得、第1及び第2側面カバー層(30、31)は、炭素(C)、酸素(O)、水素(H)などを含み得る。
ただし、本実施形態はこれに限定されず、シートと側面カバー層は、多様な材料からなる。
【0045】
本実施形態による積層型インダクタを製造する過程で、複数のシート124に導電性ペーストを印刷して内部電極20をそれぞれ形成し、複数のシート124と第1及び第2カバー層(123、125)とを積層して本体12を形成した後、本体12の幅方向(W軸方向)の両端部を切断する。
この過程で、内部電極20の一部分も共に切断可能である。
本体12の切断された面は、第1及び第2側面(126、127)になり、内部電極20の切断された面は、第3電極面215になる。
この場合、本体12の第1側面126又は第2側面127と側部電極21の第3電極面215は、同一の平面をなす。
【0046】
図8は、本発明の他の実施形態による積層型インダクタの概略構成を示す斜視図であり、
図9は、
図8に示した積層型インダクタの内部電極と側面カバー層の配置を概略的に示す平面図である。
図8及び
図9に示した積層型インダクタの構成要素の内の
図1に示した積層型インダクタの構成要素と同一であるかそれに対応する構成要素には同一の図面符号を記載し、当該構成要素に関する重複する説明は省略する。
図8及び
図9を参照すると、積層型インダクタ200は、本体12と、複数の内部電極20と、第1及び第2外部電極(213、214)と、第1及び第2側面カバー層(30、31)とを含む。
【0047】
第1外部電極213は、本体12の第1端部面128において内部電極20のリード部に連結され、上面121まで延長される。
第2外部電極214は、本体12の第2端部面129において内部電極20のリード部に連結され、上面121まで延長される。
例えば、第1及び第2外部電極(213、214)は、本体12の長手方向(L軸方向)の両端部に配置される。
第1外部電極213は、第1前面部2133と、第1バンド部2135とを含み、第2外部電極214は、第2前面部2143と、第2バンド部2145とを含む。
【0048】
第1前面部2133は、本体12の第1端部面128を覆い、内部電極20のリード部と接続されて電気的に接続される部分である。
第2前面部2143は、本体12の第2端部面129を覆い、内部電極20のリード部と接続されて電気的に接続される部分である。
第1バンド部2135は、第1前面部2133から長手方向(L軸方向)に沿って延長され、本体12の上面121の一部を覆う。
第2バンド部2145は、第2前面部2143から長手方向(L軸方向)に沿って延長され、本体12の上面121の一部を覆う。
【0049】
このように、外部電極(213、214)は、本体12の第1側面126及び第2側面127までは延長されない。
したがって、本体12の第1側面126は、第1側面カバー層30によって全部覆われ、第2側面127は、第2側面カバー層31によって全部覆われる。
長手方向(L軸方向)に沿った第1側面カバー層30の両端部側領域は、第1前面部2133及び第1バンド部2135と接し、長手方向(L軸方向)に沿った第2側面カバー層31の両端部側領域は、第2前面部2143及び第2バンド部2145と接する。
本実施形態において、側部電極21の形状は、
図1に示した積層型インダクタの側部電極の形状と同一であるので、それと同一又は類似の効果を有する。
【0050】
図10は、本発明のさらに他の実施形態による積層型インダクタの概略構成を示す斜視図であり、
図11は、
図10に示した積層型インダクタの内部電極と側面カバー層の配置を概略的に示す平面図である。
図10及び
図11に示した積層型インダクタの構成要素の内の
図1に示した積層型インダクタの構成要素と同一であるかそれに対応する構成要素には同一の図面符号を記載し、当該構成要素に関する重複した説明は省略する。
図10及び
図11を参照すると、積層型インダクタ300は、本体12と、複数の内部電極20と、第1及び第2外部電極(313、314)と、第1及び第2側面カバー層(30、31)と、第1及び第2端部カバー層(33、35)とを含む。
【0051】
第1及び第2外部電極(313、314)は、本体12の厚さ方向(T軸方向)の一面、つまり、下面122に配置され、長手方向(L軸方向)に沿った下面122の両端部の一部分をそれぞれ覆う。
第1外部電極313は、内部電極20の一側と接続されて電気的に接続される部分であり、第2外部電極314は、内部電極20の他側と接続されて電気的に接続される部分である。
第1及び第2外部電極(313、314)が本体12の下面122の一部にのみに配置されるので、本体12の第1端部面128、第2端部面129、第1側面126と第2側面127には外部電極(313、314)が配置されない。
したがって、本体12の第1側面126は、第1側面カバー層30によって全部覆われ、第2側面127は、第2側面カバー層31によって全部覆われる。
また、本体12の第1端部面128は、第1端部カバー層33によって全部覆われ、第2端部面129は、第2端部カバー層35によって全部覆われる。
【0052】
内部電極20は、側部電極(21、21)と、端部電極(23、23)と、を含む。
側部電極21は、本体12の第1側面126に露出し、側部電極21は、本体12の第2側面127に露出する。
例えば、側部電極21は、第1側面126に接するか、又は、第1側面126と同一面をなし、側部電極21は、第2側面127に接するか、又は第2側面127と同一面をなす。
端部電極23は、本体12の第1端部面128に露出し、端部電極23は、本体12の第2端部面(128、129)に露出する。
例えば、端部電極23は、第1端部面128に接するか、又は第1端部面128と同一面をなし、端部電極23は、第2端部面129に接するか、又は第2端部面129と同一面をなす。
端部電極23の一側が外部電極(313、314)に電気的に接続可能であり、この接続は、公知の多様な方式で行われる。
例えば、端部電極23から本体12の厚さ方向(T軸方向)に沿ってリード部が延長されて、外部電極(313、314)に連結される。
本実施形態において、側部電極21の形状は、
図1に示した積層型インダクタの側部電極の形状と同一であるので、それと同一又は類似の効果を有する。
【0053】
以下、本発明の具体的な実施例を提示する。
ただし、下記に記載の実施例は発明を具体的に例示又は説明するためのものに過ぎず、これによって発明の範囲が制限されてはならない。
【0054】
[製造例:コイル電子部品の製造]
<実施例1>
コイル電子部品の側部電極の第1厚さT1に対する第3電極面の第2厚さT2の比が0.03である、コイル電子部品を製造する。
<実施例2>
コイル電子部品の側部電極の第1厚さT1に対する第3電極面の第2厚さT2の比が0.05であることを除けば、実施例1と同様である。
<実施例3>
コイル電子部品の側部電極の第1厚さT1に対する第3電極面の第2厚さT2の比が0.08であることを除けば、実施例1と同様である。
<実施例4>
コイル電子部品の側部電極の第1厚さT1に対する第3電極面の第2厚さT2の比が0.10であることを除けば、実施例1と同様である。
<実施例5>
コイル電子部品の側部電極の第1厚さT1に対する第3電極面の第2厚さT2の比が0.13であることを除けば、実施例1と同様である。
<実施例6>
コイル電子部品の側部電極の第1厚さT1に対する第3電極面の第2厚さT2の比が0.15であることを除けば、実施例1と同様である。
<実施例7>
コイル電子部品の側部電極の第1厚さT1に対する第3電極面の第2厚さT2の比が0.18であることを除けば、実施例1と同様である。
<実施例8>
コイル電子部品の側部電極の第1厚さT1に対する第3電極面の第2厚さT2の比が0.20であることを除けば、実施例1と同様である。
<実施例9>
コイル電子部品の側部電極の第1厚さT1に対する第3電極面の第2厚さT2の比が0.23であることを除けば、実施例1と同様である。
<実施例10>
コイル電子部品の側部電極の第1厚さT1に対する第3電極面の第2厚さT2の比が0.25であることを除けば、実施例1と同様である。
<実施例11>
コイル電子部品の側部電極の第1厚さT1に対する第3電極面の第2厚さT2の比が0.28であることを除けば、実施例1と同様である。
<実施例12>
コイル電子部品の側部電極の第1厚さT1に対する第3電極面の第2厚さT2の比が0.30であることを除けば、実施例1と同様である。
<実施例13>
コイル電子部品の側部電極の第1厚さT1に対する第3電極面の第2厚さT2の比が0.33であることを除けば、実施例1と同様である。
<実施例14>
コイル電子部品の側部電極の第1厚さT1に対する第3電極面の第2厚さT2の比が0.35であることを除けば、実施例1と同様である。
<実施例15>
コイル電子部品の側部電極の第1厚さT1に対する第3電極面の第2厚さT2の比が0.38であることを除けば、実施例1と同様である。
<実施例16>
コイル電子部品の側部電極の第1厚さT1に対する第3電極面の第2厚さT2の比が0.40であることを除けば、実施例1と同様である。
<実施例17>
コイル電子部品の側部電極の第1厚さT1に対する第3電極面の第2厚さT2の比が0.43であることを除けば、実施例1と同様である。
<実施例18>
コイル電子部品の側部電極の第1厚さT1に対する第3電極面の第2厚さT2の比が0.45であることを除けば、実施例1と同様である。
<実施例19>
コイル電子部品の側部電極の第1厚さT1に対する第3電極面の第2厚さT2の比が0.48であることを除けば、実施例1と同様である。
<実施例20>
コイル電子部品の側部電極の第1厚さT1に対する第3電極面の第2厚さT2の比が0.50であることを除けば、実施例1と同様である。
<実施例21>
コイル電子部品の側部電極の第1厚さT1に対する第3電極面の第2厚さT2の比が0.53であることを除けば、実施例1と同様である。
<実施例22>
コイル電子部品の側部電極の第1厚さT1に対する第3電極面の第2厚さT2の比が0.55であることを除けば、実施例1と同様である。
<実施例23>
コイル電子部品の側部電極の第1厚さT1に対する第3電極面の第2厚さT2の比が0.58であることを除けば、実施例1と同様である。
<実施例24>
コイル電子部品の側部電極の第1厚さT1に対する第3電極面の第2厚さT2の比が0.60であることを除けば、実施例1と同様である。
<実施例25>
コイル電子部品の側部電極の第1厚さT1に対する第3電極面の第2厚さT2の比が0.63であることを除けば、実施例1と同様である。
<実施例26>
コイル電子部品の側部電極の第1厚さT1に対する第3電極面の第2厚さT2の比が0.65であることを除けば、実施例1と同様である。
<実施例27>
コイル電子部品の側部電極の第1厚さT1に対する第3電極面の第2厚さT2の比が0.68であることを除けば、実施例1と同様である。
<実施例28>
コイル電子部品の側部電極の第1厚さT1に対する第3電極面の第2厚さT2の比が0.70であることを除けば、実施例1と同様である。
<実施例29>
コイル電子部品の側部電極の第1厚さT1に対する第3電極面の第2厚さT2の比が0.73であることを除けば、実施例1と同様である。
<実施例30>
コイル電子部品の側部電極の第1厚さT1に対する第3電極面の第2厚さT2の比が0.75であることを除けば、実施例1と同様である。
<比較例1>
コイル電子部品の側部電極の第1厚さT1に対する第3電極面の第2厚さT2の比が0.78であることを除けば、実施例1と同様である。
<比較例2>
コイル電子部品の側部電極の第1厚さT1に対する第3電極面の第2厚さT2の比が0.80であることを除けば、実施例1と同様である。
<比較例3>
コイル電子部品の側部電極の第1厚さT1に対する第3電極面の第2厚さT2の比が0.83であることを除けば、実施例1と同様である。
<比較例4>
コイル電子部品の側部電極の第1厚さT1に対する第3電極面の第2厚さT2の比が0.85であることを除けば、実施例1と同様である。
<比較例5>
コイル電子部品の側部電極の第1厚さT1に対する第3電極面の第2厚さT2の比が0.88であることを除けば、実施例1と同様である。
<比較例6>
コイル電子部品の側部電極の第1厚さT1に対する第3電極面の第2厚さT2の比が0.90であることを除けば、実施例1と同様である。
<比較例7>
コイル電子部品の側部電極の第1厚さT1に対する第3電極面の第2厚さT2の比が0.93であることを除けば、実施例1と同様である。
<比較例8>
コイル電子部品の側部電極の第1厚さT1に対する第3電極面の第2厚さT2の比が0.95であることを除けば、実施例1と同様である。
<比較例9>
コイル電子部品の側部電極の第1厚さT1に対する第3電極面の第2厚さT2の比が0.98であることを除けば、実施例1と同様である。
【0055】
[実験例:コイル電子部品の容量損失]
実施例(1~30)と比較例(1~9)のコイル電子部品をそれぞれ30個ずつ製造した後、コイル電子部品の側部電極の第1厚さT1に対する第3電極面の第2厚さT2の比を測定し、コイル電子部品の容量損失が許容範囲(0~10%)内にあるかを確認した後、その結果を以下に示す表2にまとめる。
【0056】
【0057】
表2を参照すると、実施例(1~30)で製造されたコイル電子部品は、容量損失が10%未満であって許容範囲内にあることが分かる。
一方、比較例(1~)9で製造されたコイル電子部品は、容量損失が10%超過で許容範囲を外れていることが分かる。
これは、第3電極面の厚さを大きくするには、製造過程で切断される磁性体の体積を大きくしなければならないので、その分磁性体の体積損失が発生して、結局、容量損失につながりかねないからである。
【0058】
[実験例:コイル電子部品の直流抵抗(Rdc)]
実施例(1~30)と比較例(1~9)のコイル電子部品をそれぞれ30個ずつ製造した後、コイル電子部品の側部電極の第1厚さT1に対する第3電極面の第2厚さT2の比を測定し、コイル電子部品の直流抵抗が許容範囲(76mΩ以下)内にあるかを確認した後、その結果を以下に示す表3にまとめる。
【0059】
【0060】
表3を参照すると、実施例(1~19)で製造されたコイル電子部品は、直流抵抗が76mΩ以下であって許容範囲内にあることが分かる。
一方、実施例(20~30)と比較例(1~9)で製造されたコイル電子部品は、直流抵抗が76mΩ超過で許容範囲を外れていることが分かる。
これは、第3電極面の厚さを大きくすれば、製造過程で切断される側部電極、つまり、コイルの体積も大きくなって直流抵抗の増加につながりかねないからである。
【0061】
尚、本発明は、上述の実施形態に限られるものではない。本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【符号の説明】
【0062】
12 本体
13、213、313 第1外部電極
14、214、314 第2外部電極
20 内部電極
21 側部電極
22 リード部
23 端部電極
25 接続部(ビア)
30 第1側面カバー層
31 第2側面カバー層
33 第1端部カバー層
35 第2端部カバー層
100、200、300 積層型インダクタ
121 上面
122 下面
123 第1カバー層(下部)
124 シート
125 第2カバー層(上部)
126 第1側面
127 第2側面
128 第1端部面
129 第2端部面
133 第1前面部
135 第1バンド部
143 第2前面部
145 第2バンド部
211 第1電極面
213 第2電極面
215 第3電極面
301、311 内側カバー層
302、312 外側カバー層