(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163035
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】2Dライダーベースのマーカーを用いた移動ロボットの客体追跡方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G05D 1/244 20240101AFI20241114BHJP
G06T 7/70 20170101ALI20241114BHJP
G05D 1/242 20240101ALI20241114BHJP
G05D 1/43 20240101ALI20241114BHJP
G05D 1/686 20240101ALI20241114BHJP
【FI】
G05D1/244
G06T7/70 B
G05D1/242
G05D1/43
G05D1/686
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024068956
(22)【出願日】2024-04-22
(31)【優先権主張番号】10-2023-0059938
(32)【優先日】2023-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】520493430
【氏名又は名称】忠北大学校産学協力団
【氏名又は名称原語表記】CHUNGBUK NATIONAL UNIVERSITY INDUSTRY-ACADEMIC COOPERATION FOUNDATION
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク、 テヒョン
(72)【発明者】
【氏名】イ、 ジュンヒョク
【テーマコード(参考)】
5H301
5L096
【Fターム(参考)】
5H301AA01
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301GG08
5H301QQ08
5L096AA09
5L096BA05
5L096CA04
5L096DA02
5L096FA32
5L096FA52
5L096FA66
5L096FA67
5L096FA69
5L096GA51
5L096JA03
5L096MA07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】2Dライダーベースのマーカーを用いた移動ロボットの客体追跡方法及び装置を開示する。
【解決手段】本開示の一側面によると、2Dライダーベースのマーカーを用いた移動ロボットの対象客体姿勢推定のための方法として、移動ロボットの2Dライダーセンサを用いて距離データ及び反射強度(intensity)を含む第1のポイントクラウドデータを獲得する過程と、前記第1のポイントクラウドデータの中から客体に付着されたマーカーに含まれる高輝度反射物質に対応する第2のポイントクラウドデータを抽出する過程と、前記第2のポイントクラウドデータを少なくとも1つのクラスターにクラスターリングする過程と、前記少なくとも1つのクラスターの中から対象客体に対応する対象クラスターを識別する過程、及び、前記対象クラスターの変化に基づいて前記対象客体の姿勢を推定する過程と、を含む方法を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2Dライダーベースのマーカーを用いた移動ロボットの対象客体姿勢推定のための方法であって、
移動ロボットの2Dライダーセンサを用いて距離データ及び反射強度(intensity)を含む第1のポイントクラウドデータを獲得する過程と、
前記第1のポイントクラウドデータの中から客体に付着されたマーカーに含まれる高輝度反射物質に対応する第2のポイントクラウドデータを抽出する過程と、
前記第2のポイントクラウドデータを少なくとも1つのクラスターにクラスターリングする過程と、
前記少なくとも1つのクラスターの中から対象客体に対応する対象クラスターを識別する過程、及び、
前記対象クラスターの変化に基づいて前記対象客体の姿勢を推定する過程と、
を含む方法。
【請求項2】
前記客体に付着されたマーカーは、
少なくとも1つの互いに異なるサイズを有する複数の高輝度反射材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記抽出する過程は、
前記第1のポイントクラウドデータの中から反射強度の値が閾値より高いポイントクラウドデータを前記第2のポイントクラウドデータとして抽出する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記クラスターリングする過程は、
前記第2のポイントクラウドデータに対して距離ベースのクラスターリングを遂行する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記識別する過程は、
前記少なくとも1つのクラスターの形態を予め設定された形態と比較して前記対象客体に対応する対象クラスターを識別する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記推定する過程は、
前記対象クラスターに含まれるポイントクラウドデータのポイントの位置情報に基づいて前記対象クラスターを第1のグループ及び第2のグループに分ける過程と、
前記第1のグループに含まれるポイントクラウドデータのポイントの個数と前記第2のグループに含まれるポイントクラウドデータのポイントの個数との比率を獲得する過程、及び、
前記比率の変化に基づいて前記対象客体の姿勢を推定する過程と、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記推定された対象客体の姿勢に基づいて前記移動ロボットの挙動を制御する過程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
2Dライダーベースのマーカーを用いた移動ロボットの対象客体姿勢推定のための装置であって、
移動ロボットの2Dライダーセンサを用いて距離データ及び反射強度を含む第1のポイントクラウドデータを獲得する獲得部と、
前記第1のポイントクラウドデータの中から客体に付着されたマーカーに含まれる高輝度反射物質に対応する第2のポイントクラウドデータを抽出する前処理部と、
前記第2のポイントクラウドデータを少なくとも1つのクラスターにクラスターリングするクラスターリング部と、
前記少なくとも1つのクラスターの中から対象客体に対応する対象クラスターを識別する識別部、及び、
前記対象クラスターの変化に基づいて前記対象客体の姿勢を推定する姿勢推定部と、
を含む装置。
【請求項9】
前記客体に付着されたマーカーは、
少なくとも1つの互いに異なるサイズを有する複数の高輝度反射材料を含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記前処理部は、
前記第1のポイントクラウドデータの中から反射強度の値が閾値よりも高いポイントクラウドデータを前記第2のポイントクラウドデータとして抽出する、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記クラスターリング部は、
前記第2のポイントクラウドデータに対して距離ベースのクラスターリングを遂行する、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記識別部は、
前記少なくとも1つのクラスターの形態を予め設定された形態と比較して前記対象客体に対応する対象クラスターを識別する、請求項8に記載の装置。
【請求項13】
前記姿勢推定部は、
前記対象クラスターに含まれるポイントクラウドデータのポイントの位置情報に基づいて前記対象クラスターを第1のグループ及び第2のグループに分け、前記第1のグループに含まれるポイントクラウドデータのポイントの個数と前記第2のグループに含まれるポイントクラウドデータのポイントの個数との比率を獲得し、前記比率の変化に基づいて前記対象客体の姿勢を推定する、請求項8に記載の装置。
【請求項14】
前記推定された対象客体の姿勢に基づいて前記移動ロボットの挙動を制御する制御部を含む、請求項8に記載の装置。
【請求項15】
命令語が保存された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体であって、前記命令語は、前記コンピュータによって実行されるとき、前記コンピュータに対し、
移動ロボットの2Dライダーセンサを用いて距離データ及び反射強度を含む第1のポイントクラウドデータを獲得する過程と、
前記第1のポイントクラウドデータの中から客体に付着されたマーカーに含まれる高輝度反射物質に対応する第2のポイントクラウドデータを抽出する過程と、
前記第2のポイントクラウドデータを少なくとも1つのクラスターにクラスターリングする過程と、
前記少なくとも1つのクラスターの中から対象客体に対応する対象クラスターを識別する過程、及び、
前記対象クラスターの変化に基づいて前記対象客体の姿勢を推定する過程と、
を実行するようにすることを特徴とするコンピュータ可読の記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、2Dライダーベースのマーカーを用いた移動ロボットの客体追跡方法及び装置に関する。より詳しくは、2Dライダーベースのマーカーを用いて移動ロボットが対象客体を識別して姿勢を推定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
以下に記述される内容は、単に本実施例に関連される背景情報のみを提供するだけで従来技術を構成するものではない。
【0003】
サービス型モビリティ(MaaS,Mobility as a Service)は今後市場規模が大きくなると予想され、このような予想に基づいて主に移動ロボット(mobile robot)が人を追跡して人を助けたり、コラボレーションしたりする役割を遂行するようになる。
【0004】
移動ロボットは、工場、物流センター、博物館、レストラン、商業施設、空港、又はスマートファームなど、様々な所で物を積んで移動したり、移動しながら人々に情報又はサービスを提供したりするのに利用される。特に、空港、商業施設、工場などで人が移動ロボットに物を載せて移動する場合、移動ロボットは人を追って移動することができる。移動ロボットが自動で人を認識して追跡することで、人は物をカートのような運搬装置に載せて運搬装置を動かすために運搬装置を直接制御する必要がないという利点がある。
【0005】
移動ロボットがこのような役割を遂行するためには、人を認識して追跡することができなければならず、安全距離を確保しなければならない。また、群衆の多い環境でも安定的に人を追跡することができなければならない。
【0006】
客体認識及び/又は追跡を行うために、ディープラーニングベースの方法(例えば、マスクRーCNN、YOLO、SSDなど)が一般に使用される。しかしながら、ディープラーニングベースの方法は高性能のハードウェアが必要で移動ロボットの価格を上昇させるという問題がある。
【0007】
カメラのようなイメージセンサの場合、照明変化、低解像度、遮蔽(occlusion)などの要因によって撮影されたイメージから客体認識の精度が低下することがある。ライダー(LIDAR,LIght Detection And Ranging)センサは、レーザーパルスを撮影して戻ってくる時間を測定して反射体との距離を測定するセンサで、高い精度を有するが、比較的高価である。
【0008】
したがって、移動ロボットが対象客体(target object)を認識して追跡するに際して費用対効果が高く強靭なシステムを構成することができる技術が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本開示は、客体に付着されるマーカー及び移動ロボットに装着される2Dライダーセンサを用いて移動ロボットが客体を認識して追跡することができる技術を提供することに一目的がある。
【0010】
本開示は、高輝度反射材料を含むマーカーを用いて客体を検出し、客体の姿勢を推定することができる技術を提供することに一目的がある。
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されていないまた他の課題は、以下の記載から通常の技術者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示の一側面によると、2Dライダーベースのマーカーを用いた移動ロボットの対象客体姿勢推定のための方法であって、移動ロボットの2Dライダーセンサを用いて距離データ及び反射強度(intensity)を含む第1のポイントクラウドデータを獲得する過程と、前記第1のポイントクラウドデータの中から客体に付着されたマーカーに含まれる高輝度反射物質に対応する第2のポイントクラウドデータを抽出する過程と、前記第2のポイントクラウドデータを少なくとも1つのクラスターにクラスターリングする過程と、前記少なくとも1つのクラスターの中から対象客体に対応する対象クラスターを識別する過程、及び、前記対象クラスターの変化に基づいて前記対象客体の姿勢を推定する過程と、を含む方法を提供する。
【0013】
本開示の他側面によると、2Dライダーベースのマーカーを用いた移動ロボットの対象客体姿勢推定のための装置であって、移動ロボットの2Dライダーセンサを用いて距離データ及び反射強度を含む第1のポイントクラウドデータを獲得する獲得部と、前記第1のポイントクラウドデータの中から客体に付着されたマーカーに含まれた高輝度反射物質に対応する第2のポイントクラウドデータを抽出する前処理部と、前記第2のポイントクラウドデータを少なくとも1つのクラスターにクラスターリングするクラスターリング部と、前記少なくとも1つのクラスターの中から対象客体に対応する対象クラスターを識別する識別部、及び、前記対象クラスターの変化に基づいて前記対象客体の姿勢を推定する姿勢推定部と、を含む装置を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本開示の実施例によると、移動ロボットの客体認識及び追跡のための費用対効果の高いシステムを構成することができる効果がある。
【0015】
本開示の実施例によると、移動ロボットの客体認識及び追跡の精度を向上させ、演算コストを減らせる効果がある。
【0016】
本開示の効果は以上で言及された効果に制限されず、言及されていないまた他の効果は以下の記載から通常の技術者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本開示の一実施例に係る2Dライダーベースのマーカーを用いた移動ロボットの対象客体姿勢推定のための装置の構成図である。
【
図2】
図2は、本開示の一実施例に係る、互いに異なるサイズを有する複数の高輝度反射物質が配置されたマーカーを示す例示図である。
【
図3】
図3は、客体の姿勢変化に伴う高輝度反射物質に対応するポイントクラウドデータのポイントの個数変化を示す例示図である。
【
図4】2Dライダーセンサと客体が垂直に位置するときにおける左側高輝度反射物質に対応するポイントの個数と右側高輝度反射物質に対応するポイントの個数との比を説明するための例示図である。
【
図5】
図5は、2Dライダーセンサと客体が垂直に位置しながら2Dライダーセンサと客体との間の距離が変わる場合、ポイントの個数は変化するが比は同じに維持されることを説明するための例示図である。
【
図6】
図6a及び
図6bは、客体の姿勢変化による左/右高輝度反射物質に対応するポイントの個数が変化して比(ratio)が変わることを説明するための例示図である。
【
図7】
図7は、本開示の一実施例に係る、2Dライダーベースのマーカーを用いた移動ロボットの対象客体姿勢推定のための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の一部の実施例を例示的な図面を用いて詳しく説明する。各図面の構成要素に参照符号を付加するにあたり、同一の構成要素に対しては、たとえ異なる図面上に表示されても可能な限り同一の符号を有するようにしていることに留意されたい。なお、本開示を説明するにあたり、関連される公知の構成又は機能に関する具体的な説明が本開示の要旨を曖昧にすると判断される場合には、その詳しい説明は省く。
【0019】
本開示による実施例の構成要素を説明するにあたり、第1、第2、i)、ii)、a)、b)などの符号を使用する場合がある。このような符号は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものであり、その符号によって該当構成要素の本質又は順番や順序等が限定されない。明細書である部分がある構成要素を「含む」又は「備える」と言うとき、これは、明示的に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。さらに、本明細書に記載された「部」、「モジュール」などの用語は、少なくとも1つの機能や動作を処理する単位を意味し、これはハードウェアやソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの結合で具現される。
【0020】
添付された図面と共に以下に開示される発明の説明は、本発明の例示的な実施形態を説明しようとするものであり、本発明が実施され得る唯一の実施形態を示そうとするものではない。
【0021】
本開示は、センサベースで、すなわち、2Dライダーセンサ及び追跡対象客体に付着されたマーカーを用いて追跡対象客体の姿勢を推定して行動を予測することにより、費用対効果的で強靭な客体追跡技術を提供する。ここで、追跡対象客体は、人だけでなく他の移動ロボットなどを含んでもよいが、これに限定されない。
【0022】
本明細書で言及されるマーカー(marker)は、客体に付着されて互いに異なるサイズを有する複数の高輝度反射材料を含む。マーカーは、一定の方向に整列された複数の高輝度反射材料を含む。マーカーは、2Dライダーセンサの感知範囲内で客体の特定の位置(例えば、背中又は肘)に付着される。マーカー認識の精度を高めるために、移動ロボットの2Dライダーセンサと同じ又は近似の高さを有する位置にマーカーを付着することが望ましい。
【0023】
さらに、客体を識別するために客体ごとに互いに異なる形態のマーカーが使用される。例えば、各マーカーはバーコードのような形態を有するが、これらに限定されない。
【0024】
図1は、本開示の一実施例に係る2Dライダーベースのマーカーを用いた移動ロボットの対象客体姿勢推定のための装置(以下「対象客体姿勢推定装置」)の構成図である。
【0025】
図1を参照すると、対象客体姿勢推定装置(target object pose estimation apparatus,10)は獲得部(acquisition unit,110)、前処理部(preprocessing unit,120)、クラスターリング部(clustering unit,130)、識別部(identification unit,140)及び姿勢推定部(pose estimation unit,150)の全部又は一部を含む。
【0026】
図1に図示された対象客体姿勢推定装置10は、本開示の一実施例によるものであり、他の実施例で一部の構成が追加、変更、又は削除される。例えば、他の実施例で、対象客体の推定された姿勢に基づいて移動ロボットの挙動を制御する制御部(図示せず)をさらに含む。
【0027】
図1は、説明の便宜上、対象客体姿勢推定装置10を装置として図示したものであり、他の実施例で、対象客体姿勢推定装置10及びその各構成要素は、ハードウェア又はソフトウェアで具現されたり、ハードウェア及びソフトウェアの結合で具現されたりする。さらに、各構成要素の機能がソフトウェアで具現され、1つ以上のプロセッサが各構成要素に対応するソフトウェアの機能を実行するように具現されてもよい。
【0028】
獲得部110は、移動ロボットの2Dライダーセンサを用いてポイントクラウドデータを獲得する。ポイントクラウドデータは、距離データ及び反射強度(intensity)を含む。反射強度は、2Dライダーセンサに受信される、反射されて戻ってくる信号の強度を意味する。ポイントクラウドデータは、感知されたポイントの2D座標情報を含む。
【0029】
前処理部120は、獲得部110によって獲得したポイントクラウドデータの中から客体に付着されたマーカーに含まれる高輝度反射物質に対応するポイントクラウドデータを抽出する。これは、客体に付着されたマーカーに含まれる高輝度反射物質によって反射されたポイントクラウドデータのみを対象客体の識別及び姿勢推定に使用するためである。
【0030】
前処理部120は、獲得したポイントクラウドデータの中から反射強度の値が閾値より高いポイントクラウドデータを客体に付着されたマーカーに含まれる高輝度反射物質に対応するポイントクラウドデータとして抽出する。反射強度の値が閾値より高いポイントクラウドデータは、客体に付着されたマーカーに高輝度反射物質から反射されたものと判断できるからである。閾値は、例えば、高輝度反射物質に対応する反射強度として想定される最小の値である。
【0031】
図2は、本開示の一実施例に係る、互いに異なるサイズを有する複数の高輝度反射物質が配置されたマーカーを示す例示図である。
【0032】
図2を参照すると、マーカー20、複数の高輝度反射物質21a、21b及びポイントクラウドデータ31が図示される。前処理部120により、ポイントクラウドデータ31の中から高輝度反射物質21a、21bに反射されたポイントのみが抽出される。
【0033】
前処理部120は、ポイントクラウドデータに対してノイズ除去、ダウンサンプリングなどをさらに遂行することができる。
【0034】
クラスターリング部130は、前処理されたポイントクラウドデータを少なくとも1つのクラスターにクラスターリングする。すなわち、前処理されたポイントクラウドデータを客体ごとのマーカーに対応するポイントのグループに分ける。
【0035】
クラスターリング部130は、前処理されたポイントクラウドデータに対して距離ベースのクラスターリングを遂行する。例えば、類似度尺度として、ユークリディアン(Euclidean)距離、マンハッタン(Manhattan)距離、ミンコスキー(Minkowski)距離、チェビシェフ(Chevyshev)距離、密度などを使用でき、クラスターリングアルゴリズムとしてK平均(Kー Means)アルゴリズムなどを使用できるが、これに限定されない。
【0036】
識別部140は、少なくとも1つのクラスターの中から対象客体に対応する対象クラスターを識別する。対象客体(target object)は、移動ロボットの追従対象である客体を言い、対象客体は、付着されたマーカーによって識別される。対象クラスターとは、対象客体に付着されたマーカーを感知したポイントのクラスターを言う。
【0037】
識別部140は、少なくとも1つのクラスターの形態を予め設定された形態と比較して対象客体に対応する対象クラスターを識別する。複数のクラスターが存在しても客体ごとに互いに異なる形態のマーカーが用いられるので、複数のクラスターの中から移動ロボットに予め設定された形態と最も類似するクラスターを対象クラスターとして識別する。
【0038】
姿勢推定部150は、対象クラスターに基づいて対象客体の姿勢を推定する。
【0039】
対象クラスターに含まれるポイントクラウドデータのポイントを通る直線に対する法線ベクトルを算出し、算出された法線ベクトルに基づいて対象客体の姿勢を推定することもできる。しかしながら、法線ベクトルを用いた姿勢推定は、人の移動しようとする方向を予測することができるが、姿勢推定には難しさが存在する。
【0040】
姿勢推定部150は、対象クラスターに含まれるポイントクラウドデータのポイントを互いに異なるサイズの複数の高輝度反射物質のそれぞれに対応するグループに分け、各グループに含まれるポイントの個数間の比率の変化を用いて対象客体の姿勢を推定する。
【0041】
まず、客体の位置及び/又は方向に応じて客体に付着されたマーカーに含まれる高輝度反射物質に対応するポイントクラウドデータのポイントの変化を見てみる。
【0042】
客体が時計回り又は反時計回りに回転して姿勢が変わる場合、2Dライダーセンサと高輝度反射物質との間の距離が変わるため、マーカーに含まれる高輝度反射物質に対応するポイントクラウドデータのポイント個数が変わり得る。したがって、マーカーに含まれる高輝度反射物質に対応するポイントクラウドデータのポイントの個数の変化に基づき、客体の姿勢変化を推定する。
【0043】
図3に図示されたように、客体が時計回りに回転した場合を示す左側マーカーに含まれる左側高輝度反射物質に対応するポイントクラウドデータのポイントの個数が減少されることを確認することができる。客体が反時計回りに回転した場合を示す右側マーカーに含まれる右側高輝度反射物質に対応するポイントクラウドデータのポイントの個数が減少されることを確認することができる。
【0044】
図4を参照すると、2Dライダーセンサと客体が垂直に位置するときにおける、高輝度反射物質のそれぞれに対応するポイントの個数、複数の高輝度反射物質に対応するポイントの平均位置、及び平均位置と高輝度反射材料の各々間の距離が図示される。左側高輝度反射物質に対応するポイントの個数と、右側高輝度反射物質に対応するポイントの個数との比n
r:n
lは3:6であることが確認できる。また、比n
r:n
lから式1のように距離間の比を算出する。
【0045】
【0046】
ここで、nlは左側高輝度反射物質に対応するポイントの個数であり、nrは右側高輝度反射物質に対応するポイントの個数であり、dinit(l)は左側及び右側高輝度反射物質に対応するポイントの平均位置と左側高輝度反射物質間の距離であり、dinit(r)は、左側及び右側の高輝度反射物質に対応するポイントの平均位置と右側高輝度反射物質との間の距離である。
【0047】
2Dライダーセンサと客体が垂直に位置する限り、比n
r:n
lは、客体と2Dライダーセンサとの間の距離に関係なく一定に維持される。すなわち、
図5のように、客体と2Dライダーセンサとの間の距離によって高輝度反射物質のそれぞれに対応するポイントの個数は変わるが、比n
r:n
lは6:3又は4:2に一定に維持される。
【0048】
姿勢推定部150は、対象クラスターの変化として、右側高輝度反射物質に対応するポイントの個数nrと、左側高輝度反射物質に対応するポイントの個数nlとの比(nr:nl)の変化を監視する。姿勢推定部150は、この比が変化した場合に、対象客体が時計周りに回転して姿勢が変化したか、反時計周りに回転して姿勢が変化したかを推定する。客体が時計回り又は反時計回りに回転して姿勢が変化する場合には、比nr:nlが変わることになる。
【0049】
図6aを参照すると、客体が時計回りに回転して姿勢が変わった場合の比n
r:n
lは6:1となり、
図4の客体が2Dライダーセンサと垂直に位置するときの比6:3と異なることが確認できる。
【0050】
図6bを参照すると、客体が反時計回りに回転して姿勢が変わった場合の比n
r:n
lは3:3となり、
図4の客体が2Dライダーセンサと垂直に位置するときの比6:3と異なることが確認できる。
【0051】
したがって、比nr:nlが変わると、客体の姿勢が変化したと推定する。客体の回転方向及び回転角度は、式(2)と式(3)のように算定される。姿勢推定部150は、右側高輝度反射物質に対応するポイントクラウドデータのポイントの個数nrと左側高輝度反射物質に対応するポイントクラウドデータのポイントの個数nlとの比率(nr:nl)が変化した場合に、下記式(3)を解くことにより、客体が2Dライダーセンサに垂直に位置する姿勢を基準とした対象客体の回転角度θを算出することにより対象客体の姿勢を推定する。
【0052】
【0053】
ここで、rotは、客体が2Dライダーセンサと垂直に位置する姿勢を基準とした客体の回転方向であり、dinit(l)及びdinit(r)のそれぞれは、客体が2Dライダーセンサと垂直に位置する場合に式1によって算出された距離であり、dl及びdrのそれぞれは、客体が回転して2Dライダーセンサと垂直に位置しない場合に式1によって算出された距離である。
【0054】
【0055】
ここで、θは、客体が2Dライダーセンサに垂直に位置する姿勢を基準とした客体の回転角度である。
【0056】
上述したように客体と2Dライダーセンサとの間の距離が一定でなくても比nr:nlは一定であるため、客体と2Dライダーセンサとの間の距離に関係なく客体の姿勢を適切に推定することができる。
【0057】
姿勢推定部150は、対象クラスターに含まれるポイントクラウドデータのポイントの位置情報に基づいて対象クラスターを第1のグループ及び第2のグループに分ける。例えば、左側高輝度反射物質21aに対応するポイントを第1のグループに、右側高輝度反射物質21bに対応するポイントを第2のグループに分ける。
【0058】
姿勢推定部150は、第1のグループに含まれるポイントクラウドデータのポイントの個数と第2のグループに含まれるポイントクラウドデータのポイントの個数との比率を獲得する。
【0059】
姿勢推定部150は、以前時点の比率と現在時点の比率の変化に基づいて対象客体の姿勢を推定する。姿勢推定部150は、上述した式(1)ないし式(3)を用いて対象客体の回転方向及び回転角度を算出して姿勢を推定する。
【0060】
姿勢推定部150によって推定された対象客体の姿勢は、カルマンフィルタ(Kalman filter)を用いて対象客体の次の状態を予測して推定するのに使用される。
【0061】
制御部(図示せず)は、推定された対象客体の姿勢に基づいて移動ロボットの挙動を制御する。制御部は、推定された姿勢に基づいて対象客体の行動を予測して対象客体を追跡するように移動ロボットの挙動を制御する。
【0062】
図7は、本開示の一実施例に係る、2Dライダーベースのマーカーを用いた移動ロボットの対象客体姿勢推定のための方法のフローチャートである。
【0063】
図7を参照すると、対象客体姿勢推定装置10は、移動ロボットの2Dライダーセンサを用いて距離データ及び反射強度(intensity)を含む第1のポイントクラウドデータを獲得する(S710)。ポイントクラウドデータは、感知されたポイントの2D座標情報を含む。
【0064】
対象客体姿勢推定装置10は、第1のポイントクラウドデータの中から客体に付着されたマーカーに含まれる高輝度反射物質に対応する第2のポイントクラウドデータを抽出する(S720)。第1のポイントクラウドデータの中から反射強度の値が閾値より高いポイントクラウドデータを第2のポイントクラウドデータとして抽出する。
【0065】
対象客体姿勢推定装置10は、第2のポイントクラウドデータを少なくとも1つのクラスターにクラスターリングする(S730)。第2のポイントクラウドデータに対して距離ベースのクラスターリングを遂行する。
【0066】
対象客体姿勢推定装置10は、少なくとも1つのクラスターの中から対象客体に対応する対象クラスターを識別する(S740)。少なくとも1つのクラスターの形態を予め設定された形態と比較して対象客体に対応する対象クラスターを識別する。
【0067】
対象客体姿勢推定装置10は、対象クラスターの変化に基づいて対象客体の姿勢を推定する(S750)。対象クラスターに含まれるポイントクラウドデータのポイントを互いに異なるサイズの複数の高輝度反射物質のそれぞれに対応するグループに分け、各グループに含まれるポイントの個数間の比率の変化を用いて対象客体の姿勢を推定する。
【0068】
対象客体姿勢推定装置10は、推定された対象客体の姿勢に基づいて移動ロボットの挙動を制御する(S760)。
【0069】
本開示の例示的な実施例に記述された少なくとも一部の構成要素は、DSP(Digital Signal Processor)、プロセッサ、コントローラ、ASIC(Application-Specific IC)、プログラマブルロジック素子(FPGAなど)、その他の電子素子の中の少なくとも1つ又はそれらの組み合わせが含まれるハードウェア要素として具現される。さらに、例示的な実施例で記述された少なくとも一部の機能(function)又は処理過程(process)はソフトウェアで具現され、ソフトウェアは記録媒体に保存される。本開示の例示的な実施例に記述された少なくとも一部の構成要素、機能、そして処理過程は、ハードウェアとソフトウェアの結合で具現される。
【0070】
本開示の例示的な実施例による方法は、コンピュータで実行されるプログラムで作成され、磁気保存媒体、光学的判読媒体、デジタル保存媒体などの様々な記録媒体でも具現される。
【0071】
本明細書に説明された各種技術の具現は、デジタル電子回路組織で、又はコンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアで、又はそれらの組み合わせで具現される。具現は、データ処理装置、例えばプログラマブルプロセッサ、コンピュータ、又は複数のコンピュータの動作による処理のため、又はその動作を制御するため、コンピュータプログラム製品、すなわち情報キャリア、例えば機械判読可能保存装置(コンピュータ判読可能媒体)又は電波信号で有形的に具体化されたコンピュータプログラムとして具現される。上述のコンピュータプログラムのようなコンピュータプログラムは、コンパイルされた、又はインタープリトされた言語を含む任意の形態のプログラミング言語で記録され、スタンドアロンプログラムとして、又はモジュール、構成要素、サブルーチン、又はコンピューティング環境での使用に適した他のユニットとして含む任意の形態で展開される。コンピュータプログラムは、1つのサイトで1つのコンピュータ又は複数のコンピュータ上で処理されるように、又は複数のサイトにわたって分配されて通信ネットワークによって相互接続されるように展開される。
【0072】
コンピュータプログラムの処理に適したプロセッサは、一例として、汎用及び特殊目的のマイクロプロセッサの両方、及び任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つ以上のプロセッサを含む。一般に、プロセッサは判読専用メモリ又はランダムアクセスメモリ、又はその両方から命令語及びデータを受信する。コンピュータの要素は、命令語を実行する少なくとも1つのプロセッサ及び、命令語及びデータを保存する1つ以上のメモリデバイスを含む。一般に、コンピュータは、データを保存する1つ以上の大量保存装置、例えば磁気、磁気光ディスク、又は光ディスクを含んだり、これらからデータを受信するか、これらにデータを送信するか、又は両方になるように結合されたりもする。コンピュータプログラム命令語及びデータを具体化するのに適した情報キャリアは、一例として半導体メモリ装置、例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、及び磁気テープのような磁気媒体(Magnetic Media)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD(Digital Video Disk)のような光記録媒体(Optical Media)、フロプティカルディスク(Floptical Disk)のような磁気光媒体(Magneto-Optical Media)、ロム(ROM,Read Only Memory)、ラム(RAM,Random Access Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)などを含む。プロセッサ及びメモリは、特別目的の論理回路組織によって補充されたり、それに含まれたりする。
【0073】
プロセッサは、オペレーティングシステム(Operating System)及び、前記オペレーティングシステム上で遂行されるソフトウェアアプリケーションを遂行する。さらに、プロセッサデバイスは、ソフトウェアの実行に応答してデータをアクセス、保存、操作、処理及び生成することもできる。理解の便宜のために、プロセッサデバイスは1つが使用されると説明されている場合もあるが、該当技術分野で通常の知識を有する者は、プロセッサデバイスが複数個の処理要素(processing element)及び/又は複数タイプの処理要素を含み得ることが分かる。例えば、プロセッサデバイスは、複数個のプロセッサ、又は1つのプロセッサ及び1つのコントローラを含む。さらに、パラレルプロセッサ(parallel processor)のような他の処理構成(processing configuration)も可能である。
【0074】
さらに、非一時的コンピュータ判読可能媒体(non-transitory computer-readable media)は、コンピュータによってアクセスされる任意の可用媒体であり、コンピュータ保存媒体及び伝送媒体の両方を含む。
【0075】
本明細書は多数の特定の具現物の細部事項を含むが、それらはいかなる発明や請求可能なものの範囲に対しても制限的なものとして理解されるべきではなく、むしろ特定の発明の特定の実施形態に特有である特徴に関する説明として理解されるべきである。個別的な実施形態の文脈で本明細書に記述された特定の特徴は、単一の実施形態で組み合わせて具現されてもよい。逆に、単一の実施形態の文脈で記述した様々な特徴も、個別的に、あるいは任意の適切な下位組み合わせでも複数の実施形態で具現可能である。さらに、特徴が特定の組み合わせで動作し、初期にそのように請求されたもののように描写されてもよいが、請求された組み合わせからの1つ以上の特徴は一部の場合にその組み合わせから排除され、その請求された組み合わせは下位組み合わせや、下位組み合わせの変形物に変更される。
【0076】
同様に、特定の順で図面での動作を描写しているが、これは、所望の結果を得るために図示された特定の順や順次的な順でそのような動作を遂行しなければならない、又はすべて図示された動作が遂行されなければならないものとして理解されてはならない。特定の場合、マルチタスクと並列プロセッシングが有利である。さらに、上述の実施形態の様々な装置コンポーネントの分離は、そのような分離をすべての実施形態で要求するものとして理解されるべきではなく、説明したプログラムコンポーネントと装置は、一般に単一のソフトウェア製品に一緒に統合されたり、多重ソフトウェア製品にパッケージされたりすることを理解しなければならない。
【0077】
一方、本明細書と図面に開示された本発明の実施例は、理解を助けるために特定の例を提示したに過ぎず、本発明の範囲を限定しようとするものではない。ここに開示された実施例以外にも、本発明の技術的思想に基づいた他の変形例が実施可能であることは、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に自明である。
【0078】
本実施例の保護範囲は、特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等の範囲内にある全ての技術思想は、本実施例の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0079】
110 獲得部 120 前処理部
130 クラスターリング部 140 識別部
150 姿勢推定部