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2024-163067ネガ型感光性樹脂組成物及び硬化レリーフパターンの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163067
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】ネガ型感光性樹脂組成物及び硬化レリーフパターンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/027 20060101AFI20241114BHJP
   G03F 7/075 20060101ALI20241114BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20241114BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20241114BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
G03F7/027 514
G03F7/075 501
G03F7/004 501
H05K1/03 610N
G03F7/20 501
G03F7/20 521
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024075917
(22)【出願日】2024-05-08
(31)【優先権主張番号】P 2023078138
(32)【優先日】2023-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 都子
(74)【代理人】
【識別番号】100135895
【弁理士】
【氏名又は名称】三間 俊介
(74)【代理人】
【識別番号】100227352
【弁理士】
【氏名又は名称】白倉 加苗
(72)【発明者】
【氏名】矢本 和久
(72)【発明者】
【氏名】渋井 智史
(72)【発明者】
【氏名】村上 航平
【テーマコード(参考)】
2H197
2H225
【Fターム(参考)】
2H197CA05
2H197CE01
2H197HA03
2H197HA04
2H197HA05
2H225AC31
2H225AC35
2H225AC38
2H225AC64
2H225AC66
2H225AC70
2H225AD06
2H225AE04P
2H225AM77P
2H225AN33P
2H225AN61P
2H225AN80P
2H225AN82P
2H225AN84P
2H225BA05P
2H225CA11
2H225CB02
2H225CC01
2H225CC13
(57)【要約】
【課題】低硬化収縮性を有し、低温硬化後の膜物性が耐熱性、機械強度(硬化膜の伸度)、銅密着性及び酸素遮断性に優れる、ネガ型感光性樹脂組成物、並びにこれを用いた硬化レリーフパターンの製造方法の提供。
【解決手段】
(A)末端に重合性官能基を有するポリイミド、
(B)ウレア結合を有する重合性化合物、及び
(C)光重合開始剤
を含む、ネガ型感光性樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)末端に重合性官能基を有するポリイミド、
(B)ウレア結合を有する重合性化合物、及び
(C)光重合開始剤
を含む、ネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記(A)ポリイミドは、側鎖に重合性官能基を有さない、請求項1に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記(A)ポリイミド及び(B)重合性化合物は、同一のジアミンに由来する構造を有する、
請求項1又は2に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記(A)ポリイミド100質量部に対して、前記(B)重合性化合物の含有量が0.1~50質量部である、請求項1又は2に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記(A)ポリイミドの重量平均分子量Mwが3,000以上30,000以下である、請求項1又は2に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項6】
更に(D)ウレア結合を有さない重合性官能基を有するモノマーを含む、請求項1又は2に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項7】
更に(E)シランカップリング剤を含む、請求項1又は2に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項8】
更に(F)有機チタン化合物を含む、請求項1又は2に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項9】
更に(G)熱架橋剤を含む、請求項1又は2に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項10】
更に(H)防錆剤を含む、請求項1又は2に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項11】
以下の工程:
(1)請求項1又は2に記載のネガ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布して、感光性樹脂層を前記基板上に形成する工程と、
(2)前記感光性樹脂層を露光する工程と、
(3)前記露光後の感光性樹脂層を現像して、レリーフパターンを形成する工程と、
(4)前記レリーフパターンを加熱処理して、硬化レリーフパターンを形成する工程と
を含む、硬化レリーフパターンの製造方法。
【請求項12】
前記ネガ型感光性樹脂組成物を窒素雰囲気下、170℃において120分間ポストベークして得られる厚さ6μmの硬化フィルムの酸素透過度(cc/m・24h・atm)が1000未満である、請求項1又は2に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ネガ型感光性樹脂組成物及び硬化レリーフパターンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品の絶縁材料、及び半導体装置のパッシベーション膜、表面保護膜、層間絶縁膜等には、優れた耐熱性、電気特性及び機械特性を併せ持つポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、フェノール樹脂等が用いられている。これらの樹脂の中でも、感光性樹脂組成物の形態で提供されるものは、該組成物の塗布、露光、現像、及びキュアによる閉環処理(イミド化、ベンゾオキサゾール化)や熱架橋によって、耐熱性のレリーフパターン皮膜を容易に形成することができるため、従来の非感光型材料に比べて、大幅な工程短縮を可能にするという特徴を有しており、半導体装置の作成に用いられている。
【0003】
ところで、半導体装置(以下、「素子」とも言う)は、目的に合わせて、様々な方法でプリント基板に実装される。従来の素子は、素子の外部端子(パッド)からリードフレームまで細いワイヤで接続するワイヤボンディング法により作製されることが一般的であった。しかし、素子の高速化が進み、動作周波数がGHzまで到達した今日、実装における各端子の配線長さの違いが、素子の動作に影響を及ぼすまでに至った。そのため、ハイエンド用途の素子の実装では、実装配線の長さを正確に制御する必要が生じ、ワイヤボンディングではその要求を満たすことが困難となった。
【0004】
そこで、半導体チップの表面に再配線層を形成し、その上にバンプ(電極)を形成した後、該チップを裏返して(フリップ)、プリント基板に直接実装する、フリップチップ実装が提案されている。このフリップチップ実装では、配線距離を正確に制御できるため、高速な信号を取り扱うハイエンド用途の素子に、あるいは、実装サイズの小ささから携帯電話等に、それぞれ採用され、需要が急拡大している。
さらに最近では、前工程済みのウェハーをダイシングして個片チップを製造し、支持体上に個片チップを再構築してモールド樹脂で封止し、支持体を剥離した後に再配線層を形成するファンアウトウェハーレベルパッケージ(FOWLP)と呼ばれる半導体チップ実装技術が提案されている。FOWLPでは、再配線層が薄い膜厚で形成されるため、パッケージの高さを薄型化できるうえ、高速伝送や低コスト化できる利点がある。
【0005】
現在、FOWLPに多く使用されている感光性ポリイミド前駆体では、加熱によるイミド化工程が必要である。
一方、FOWLPでは薄型化される故に、工程中の加熱によりパッケージの反りが発生しやすく、反りを抑制する観点等から、素子の作成に用いられる感光性樹脂組成物には、硬化温度の益々の低温化が望まれ、200℃以下の硬化が好ましいとされる。
例えば、特許文献1にはポリイミド前駆体の200℃以下での低温硬化が開示されている。
また、低温での硬化において、感光性樹脂組成物が低硬化収縮性を有し、かつ、高い耐熱性を有することが反りの抑制に有効である。
【0006】
さらに、ポリアミドを含む感光性樹脂組成物を用いて基板上に膜を形成し、その膜を加熱して、ポリアミドを閉環させてポリイミドとする場合、閉環反応やそれに伴う脱水などにより膜が収縮してしまうことがあった。
加熱によるイミド化工程を不要として硬化収縮を抑制する観点から、例えば、特許文献2にはイミド環構造を有する溶媒可溶性のポリイミドを含有する感光性樹脂組成物が開示されている。
【0007】
加えて、反りの抑制に加え、素子の信頼性を高める観点から、感光性樹脂組成物には、銅との高い密着性、高い酸素遮断性が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2022-091355号公報
【特許文献2】特開2021-162834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1では、イミド化に伴い側鎖部分が揮発するため、硬化収縮が大きくなる課題があり、さらに低温硬化条件では、十分にイミド化が進まずに、耐熱性及び機械強度(硬化膜の伸度)が不十分という課題があった。
【0010】
また、特許文献2では、デバイスの信頼性に関する重要特性である、銅との密着性及び酸素遮断性が不十分であるという課題があった。
【0011】
本発明は、低硬化収縮性を有し、低温硬化後の膜物性が耐熱性、機械強度(硬化膜の伸度)、銅との密着性及び酸素遮断性に優れる、ネガ型感光性樹脂組成物、並びに硬化レリーフパターンの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち、本発明は以下の通りである。
【0013】
[1]
(A)末端に重合性官能基を有するポリイミド、
(B)ウレア結合を有する重合性化合物、及び
(C)光重合開始剤
を含む、ネガ型感光性樹脂組成物。
[2]
前記(A)ポリイミドは、側鎖に重合性官能基を有さない、[1]に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[3]
前記(A)ポリイミド及び(B)重合性化合物は、同一のジアミンに由来する構造を有する、[1]又は[2]に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[4]
前記(A)ポリイミド100質量部に対して、前記(B)重合性化合物の含有量が0.1~50質量部である、[1]~[3]の何れかに記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[5]
前記(A)ポリイミドの重量平均分子量Mwが3,000以上30,000以下である、[1]~[4]の何れかに記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[6]
更に(D)ウレア結合を有さない重合性官能基を有するモノマーを含む、[1]~[5]の何れかに記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[7]
更に(E)シランカップリング剤を含む、[1]~[6]の何れかに記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[8]
更に(F)有機チタン化合物を含む、[1]~[7]の何れかに記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[9]
更に(G)熱架橋剤を含む、[1]~[8]の何れかに記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[10]
更に(H)防錆剤を含む、[1]~[9]の何れかに記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[11]
以下の工程:
(1)[1]~[10]の何れかに記載のネガ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布して、感光性樹脂層を前記基板上に形成する工程と、
(2)前記感光性樹脂層を露光する工程と、
(3)前記露光後の感光性樹脂層を現像して、レリーフパターンを形成する工程と、
(4)前記レリーフパターンを加熱処理して、硬化レリーフパターンを形成する工程と
を含む、硬化レリーフパターンの製造方法。
[12]
前記ネガ型感光性樹脂組成物を窒素雰囲気下、170℃において120分間ポストベークして得られる厚さ6μmの硬化フィルムの酸素透過度(cc/m・24h・atm)が1000未満である、[1]~[10]の何れかに記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、低硬化収縮性を有し、低温硬化後の膜物性が耐熱性、機械強度(硬化膜の伸度)、銅との密着性及び酸素遮断性に優れる、ネガ型感光性樹脂組成物、並びに硬化レリーフパターンの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施形態について詳細に説明する。本開示を通じ、一般式において同一符号で表されている構造は、分子中に複数存在する場合、別途規定しない限りそれぞれ独立して選択され、互いに同一であっても、異なっていてもよい。
また、異なる一般式において共通する符号で表されている構造もまた、別途規定しない限りそれぞれ独立して選択され、互いに同一であっても、異なっていてもよい。
【0016】
以下の説明において、段階的な記載の数値範囲における上限値又は下限値は、ほかの段階的な記載の数値範囲における上限値又は下限値に置き換わってよい。
また、以下の説明において、ある数値範囲における上限値又は下限値は、実施例に記載の値に置き換わってよい。
さらに、以下の説明における用語「工程」について、独立した工程はもちろん、他の工程と明確に区別できない場合でも、その「工程」の機能が達成されれば本用語に含まれうる。
【0017】
<ネガ型感光性樹脂組成物>
本開示のネガ型感光性樹脂組成物(以下、「感光性樹脂組成物」と称する)は、(A)末端に重合性官能基を有するポリイミド、(B)ウレア結合を有する重合性化合物及び(C)光重合開始剤を含有する。
本開示のネガ型感光性樹脂組成物は、所望により、上記の成分以外に、(D)ウレア結合を有さない重合性官能基を有するモノマー、(E)シランカップリング剤、(F)有機チタン化合物、(G)熱架橋剤、(H)防錆剤から選択される添加剤、及びその他の成分をさらに含有してもよい。
【0018】
(A)末端に重合性官能基を有するポリイミド
本開示の(A)末端に重合性官能基を有するポリイミドは、下記式(1):
【化1】
{式(1)中、Xは四価の有機基であり、Yは二価の有機基であり、nは2~150の整数である。}
で表される構造を含むことが好ましい。
【0019】
本開示のポリイミドは、低硬化収縮性及び耐熱性の観点から、ポリアミック酸又はポリアミック酸エステル構造を実質的に含まないことが好ましい。
本開示において、ポリアミック酸又はポリアミック酸エステル構造を「実質的に含まない」とは、例えばポリイミドのイミド化率が90%以上、好ましくは95%以上であることを意味する。
ポリイミドのイミド化率は公知の方法で測定できるが、例えば以下の方法で算出できる。まず、ポリイミドの赤外吸収スペクトルを測定し、イミド構造の吸収ピーク(1780cm-1付近、1377cm-1付近)の存在を確認する。次に、そのポリイミドを350℃で1時間熱処理し、熱処理後のポリイミドの赤外吸収スペクトルを測定し、1377cm-1付近のピーク強度を熱処理前のポリイミドの強度と比較することで、ポリイミドのイミド化率を算出できる。
【0020】
式(1)中のXの構造は既知のテトラカルボン酸二無水物に由来する構造であれば特に限定はしないが、例えば下記式(2)で表されるテトラカルボン酸二無水物に由来する構造が挙げられる。
【化2】
【0021】
本開示のネガ型感光性樹脂組成物から得られる硬化膜の耐熱性と、ポリイミドの溶剤溶解性の観点から、Xのテトラカルボン酸二無水物に由来する構造において脂環式構造を有することが好ましい。また、硬化膜の伸度の観点から、Xのテトラカルボン酸二無水物に由来する構造において芳香族構造を有することが好ましい。
【0022】
式(1)中のYの構造は既知のジアミンに由来する構造であれば特に限定はしないが、例えば下記式(3)~(4)で表されるジアミンに由来する構造が挙げられる。
【化3】
【化4】
【0023】
また、本開示のネガ型感光性樹脂組成物から得られる硬化膜の伸度と、ポリイミドの溶剤溶解性の観点から、式(3)~(4)のジアミンに由来する構造において、下記式(5)~(11)で表されるジアミンに由来する構造が好ましく、硬化膜の耐熱性の観点から、下記式(12)~(15)で表されるジアミンに由来する構造が好ましい。
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【0024】
本開示の重合性官能基は、一態様においてラジカル重合性官能基であり、典型的には炭素-炭素二重結合部位である。重合性官能基としては特に限定されないが、エチレン性不飽和結合を有する官能基であることが好ましい。
(A)末端に重合性官能基を有するポリイミドは、好ましくは主鎖又は側鎖の末端に重合性官能基を有し、より好ましくは主鎖の末端に重合性官能基を有する。本開示のネガ型感光性樹脂組成物は(A)末端に重合性官能基を有するポリイミドを含むことにより、銅との密着性に優れ、酸素遮断性を高めることができる。
なお、(A)末端に重合性官能基を有するポリイミドは、側鎖の末端に重合性官能基を有してもよいが、硬化膜の伸度及び保管安定性の観点から側鎖の末端に重合性官能基を有さないことが好ましい。
【0025】
重合性官能基の具体例としては、下記式(16)~(18)で表されるものが挙げられる。
【化16】
(R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、及び炭素数1~3の1価の有機基から選択され、Rはヘテロ原子を含んでもよい炭素数1~20の有機基であり、kは1~2の整数である。Rは、水素原子、及び炭素数1~4の有機基であり、*は(A)ポリイミドの末端との結合部位を示す。)
本開示で、有機基とは炭素数1以上の基を意味する。
【化17】
(式中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、及び炭素数1~3の1価の有機基である。また、*は(A)ポリイミドの末端との結合部位を示す。)
【化18】
(式中、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~3の1価の有機基であり、jは2~10の整数である。また、*は(A)ポリイミドの末端との結合部位を示す。)
【0026】
式(16)で示される構造のより詳細な具体例としては、下記式(19)~(22)で表されるものが挙げられる。
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
(式(19)~(22)中の*は(A)ポリイミドの末端との結合部位を示す。)
【0027】
式(17)で示される構造のより詳細な具体例としては、下記式(23)及び(24)で表されるものが挙げられる。
【化23】
【化24】
(式(23)~(24)中の*は(A)ポリイミドの末端との結合部位を示す。)
【0028】
式(18)で示されるもののより詳細な具体例としては、下記式(25)~(28)で表されるものが挙げられる。
【化25】
【化26】
【化27】
【化28】
(式(25)~(28)中の*は(A)ポリイミドの末端との結合部位を示す。)
【0029】
酸素遮断性の観点から、ポリイミドの末端の重合性官能基は、ウレア結合をポリマーとの連結基として有することが好ましい。詳細な具体例としては、上記式(19)~(22)で表されるものが挙げられる。
【0030】
(A)ポリイミドの分子量分布(Mw/Mn)は、1.0以上1.9以下であることが好ましい。製造効率の観点から、(A)ポリイミドの分子量分布の下限値は1.15以上がより好ましく、1.25以上がさらに好ましい。(A)ポリイミドの分子量分布の上限値は解像性の観点から上限値は1.6以下がより好ましく、1.5以下がさらに好ましい。
【0031】
(A)ポリイミドの重量平均分子量(Mw)は、(A)ポリイミドが後述の(I)溶媒に溶解する範囲であれば特に限定しないが、本開示のネガ型感光性樹脂組成物から得られる硬化膜の銅密着性及び耐熱性の観点から、3,000以上30,000以下が好ましい。
硬化膜の伸度の観点から、(A)ポリイミドの重量平均分子量の下限値は4,000以上がより好ましく、5,000以上がさらに好ましい。また、(A)ポリイミドの重量平均分子量の上限値は、ポリイミドの溶媒への溶解性の観点から25,000以下がより好ましく、20,000以下が特に好ましい。
(A)ポリイミドの重量平均分子量は、例えば後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
【0032】
<末端に重合性官能基を有するポリイミドの製造方法>
(A)末端に重合性官能基を有するポリイミドは、例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを反応させて得られるポリアミド酸を、加熱処理で脱水閉環してポリイミドの主鎖末端に反応性基を有するポリイミドを得て、次いで、主鎖末端に反応性基を有するポリイミドに、末端に重合性官能基を有する化合物を反応させることにより得ることができる。
本開示で、反応性基とは、ポリイミドの主鎖末端のテトラカルボン酸二無水物由来のカルボキシル基又は酸無水物基、あるいはポリイミドの主鎖末端のジアミン由来のアミノ基を意味する。
なお、ポリイミド(A)の末端の変性率は、実施例記載の方法で測定する。
【0033】
ポリアミド酸を、加熱処理で脱水閉環させる温度は、特に限定はしないが、低温だと閉環反応が完結しないため、その下限値は150℃以上が好ましく、160℃以上が更に好ましい。一方、高温だと副反応が進行するため、その上限値は200℃以下が好ましく、180℃がより好ましい。
【0034】
テトラカルボン酸二無水物としては特に限定しないが、具体例としては、ビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物(BCD)、4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物(BPADA)、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物及び4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物などが挙げられる。
【0035】
ジアミンとしては特に限定しないが、具体例としては2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-Q)、6-(4-アミノフェノキシ)[1,1’-ビフェニル]-3-アミン(PDPE)、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(BAPS)、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(BAFL)、2,2’-ジメチルベンジジン、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)及び2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(HFBAPP)などが挙げられる。
【0036】
末端に重合性官能基を有する化合物は、イソシアネート系化合物、クロライド系化合物、及びアルコール系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
イソシアネート系化合物の具体例としては、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、2-アクリロイルオキシエチルイソシアナート、1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート及び2-(2-メタクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアナートなど、
クロライド系化合物の具体例としては、アクリロイルクロライド及びメタクロイルクロライドなど、
アルコール系化合物の具体例としては、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(2-ヒドロキシエチルメタクリレート:HEMA)、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸4-ヒドロキシエチル及びアクリル酸4-ヒドロキシエチルなどがそれぞれ挙げられる。
【0037】
イソシアネート系化合物は、脱水閉環したポリイミドのアミノ基と反応し、ウレア結合を形成する。
クロライド系化合物は、脱水閉環したポリイミドのアミノ基と反応し、アミド結合を形成する。
アルコール系化合物は、脱水閉環したポリイミドのカルボキシル基と反応し、エステル結合を形成する。
【0038】
イソシアネート系化合物を反応させる方法は特に限定しないが、室温下で撹拌することで脱水閉環したポリイミドのアミノ基と反応させることができる。
【0039】
クロライド系化合物を反応させる方法としては特に限定しないが、脱水閉環したポリイミド溶液を氷冷し、クロライド系化合物を滴下によって加えることで脱水閉環したポリイミドのアミノ基と反応させることができる。
【0040】
アルコール系化合物を反応させる方法としては特に限定しないが、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)などの縮合剤や、p-トルエンスルホン酸などのエステル化触媒を用いて脱水閉環したポリイミドのカルボキシル基と反応させることができる。
【0041】
(A)ポリイミドの製造において、反応を均一系で効率的に行うために反応溶媒を用いてもよい。
反応溶媒としては、テトラカルボン酸二無水物、ジアミン、及び末端に重合性官能基を有する化合物を均一に溶解又は懸濁できるものであれば特に限定はしないが、γ-ブチロラクトン(GBL)、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルアセトアセトアミド、1,3-ジメチル―2-イミダゾリジノン、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)及びN-エチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。
【0042】
(A)ポリイミドは、特開2012-194520号公報などに記載の既知の方法で精製を行ってもよい。例えば、(A)ポリイミドを溶媒(I)に溶解した溶液を水に滴下して再沈殿して未反応物を除去する方法、濾別して反応溶媒に不溶の縮合剤などを除去する方法、イオン交換樹脂によって触媒を除去する方法などが挙げられる。これら精製を行った後、(A)ポリイミドは既知の方法で乾燥を行い、粉末状態として単離してもよい。
【0043】
(A)ポリイミドは、本開示のネガ型感光性樹脂組成物の全固形分質量を基準として、好ましくは、20~70質量%、より好ましくは25~65質量%含まれる。
【0044】
(B)ウレア結合を有する重合性化合物
本開示のネガ型感光性樹脂組成物は、(B)ウレア結合を有する重合性化合物を含むことにより、本開示のネガ型感光性樹脂組成物は銅への密着性及び酸素遮断性に優れる。
(B)ウレア結合を有する重合性化合物を使用することで上記の効果が発揮される理由は定かではないが、本発明者らは以下のように考えている。
(B)ウレア結合を有する重合性化合物中のウレア部位は、銅表面との強い相互作用を示す。さらに(B)ウレア結合を有する重合性化合物中の重合性部位がポリイミド末端と反応することで、(B)ウレア結合を有する重合性化合物が、感光性樹脂組成物と銅表面との間で結合剤のように働き、銅への密着性を向上させる。
また、ウレア部位は、銅だけでなく、ウレア部位同士にも強い相互作用があるため、感光性樹脂組成物中の(A)ポリイミド及び(B)ウレア結合を有する重合性化合物が密にパッキングされるため、酸素遮断性を向上させる。
【0045】
(B)ウレア結合を有する重合性化合物は、光又は熱により重合する重合性官能基を有する化合物であれば特に限定されず使用することができるが、ラジカル重合性化合物であることが好ましい。(B)ウレア結合を有する重合性化合物の重合性官能基は、1個でもよく、2個以上でもよい。
【0046】
(B)ウレア結合を有する重合性化合物は、例えば、下記式(29)で表される化合物が挙げられる。
【化29】
{式(29)中、Eはジアミン由来の構造を示す。Z及びZはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、連結基となるウレア結合と、重合性官能基とを含む1価の有機基を示し、r及びsはそれぞれ0~2の整数であり、かつr+s≧1を満たす。}
【0047】
(B)ウレア結合を有する重合性化合物は、例えば、ジアミンとイソシアネート化合物から合成することができる。式(29)中のEはジアミン由来の構造、Z及びZはイソシアネート化合物由来の構造を示す。
【0048】
式(29)中のEの構造は既知のジアミンに由来する構造であれば特に限定はしないが、例えば下記式(30)~(31)のジアミンに由来する構造が好ましい。
【化30】
【化31】
【0049】
また、式(30)~(31)のジアミンに由来する構造において、本開示のネガ型感光性樹脂組成物から得られる硬化膜の伸度の観点から、下記式(32)~(38)のジアミンに由来する構造が好ましい。さらに、硬化膜の耐熱性の観点から、下記式(39)~(42)のジアミンに由来する構造が好ましい。
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】
【化37】
【化38】
【化39】
【化40】
【化41】
【化42】
【0050】
また、(A)ポリイミドとの相溶性の観点から、(A)ポリイミドと、(B)ウレア結合を有する重合性化合物は、同一のジアミンに由来する骨格(構造)を有することが好ましく、式(30)~(31)のジアミンに由来する構造を有することがより好ましい。
(B)ウレア結合を有する重合性化合物が(A)ポリイミドとの相溶性に優れると、(A)ポリイミドの末端の重合性官能基と(B)ウレア結合を有する重合性化合物の重合性官能基が反応し易くなり、(A)ポリイミド及び(B)重合性化合物を含む感光性樹脂組成物を硬化させてなる硬化膜の機械強度(伸度)が良好になり易くなるため好ましい。
【0051】
式(29)中のZ及びZの構造は既知のイソシアネート化合物に由来する構造であれば特に限定はしないが、例えば下記式(43)~(46)のイソシアネート化合物に由来する構造が挙げられる。
【化43】
【化44】
【化45】
【化46】
(式(43)~(46)中の*は(A)ジアミンとの結合部位を示す。)
【0052】
<(B)ウレア結合を有する重合性化合物の製造方法>
(B)ウレア結合を有する重合性化合物は、例えばジアミン化合物由来のアミノ基とイソシアネート化合物由来のイソシアネート基を反応させることで製造することができる。
なお、(B)ウレア結合を有する重合性化合物の変性率は、実施例記載の方法で測定する。
【0053】
ジアミン化合物とイソシアネート化合物を反応させる温度は、特に限定はされないが、例えば室温で10時間程度撹拌することで反応させることができる。
【0054】
ジアミン化合物としては特に限定しないが、具体例としては4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-Q)、6-(4-アミノフェノキシ)ビフェニル-3-アミン(PDPE)、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(BAPS)、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(BAFL)、2,2’-ジメチルベンジジン、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)及び2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(HFBAPP)などが挙げられる。
本開示のネガ型感光性樹脂組成物から得られる硬化膜の伸度の観点から、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-Q)及び6-(4-アミノフェノキシ)ビフェニル-3-アミン(PDPE)が好ましく、耐熱性の観点から9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(BAFL)が好ましい。
【0055】
イソシアネート化合物としては特に限定しないが、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、2-アクリロイルオキシエチルイソシアナート、1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート及び2-(2-メタクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアナートなどが挙げられる。
【0056】
(B)ウレア結合を有する重合性化合物の製造において、反応を均一系で効率的に行うために反応溶媒を用いてもよい。
反応溶媒としては、ジアミン、イソシアネート化合物及びウレア結合を有する重合性化合物を均一に溶解又は懸濁できるものであれば特に限定はしない。
反応溶媒としては、例えば、γ-ブチロラクトン(GBL)、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルアセトアセトアミド、1,3-ジメチル―2-イミダゾリジノン、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N-エチル-2-ピロリドン及びN,N-ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。
【0057】
銅密着性及び酸素遮断性の観点から、(A)ポリイミド100質量部に対して、(B)ウレア結合を有する重合性化合物を0.1質量部~60質量部含むことが好ましく、又は0.1質量部~50質量部含むことが好ましく、1質量部~60質量部含むことがより好ましく、2質量部~50質量部含むことが更に好ましく、3質量部~40質量部含むことが特に好ましい。
(B)ウレア結合を有する重合性化合物の含有量の下限値は、銅密着性の観点から、(A)ポリイミド100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましく、2質量部以上であることが更に好ましく、3質量部以上であることが特に好ましい。
(B)ウレア結合を有する重合性化合物の含有量の上限値は、硬化収縮の抑制(低硬化収縮性)及び硬化膜の伸度の観点から、(A)ポリイミド100質量部に対して、50質量部以下であることがより好ましく、40質量部以下であることが更に好ましい。
【0058】
本実施形態に係るネガ型感光性樹脂組成物は、酸素遮断性の観点から、ネガ型感光性樹脂組成物を硬化させて硬化膜とした際の酸素透過度(cc/m・24h・atm)が1000未満であることが好ましく、500以上1000未満であることがより好ましく、200以上500未満であることが更に好ましく、200未満が特に好ましい。
【0059】
(酸素遮断性)
本実施形態に係るネガ型感光性樹脂組成物を硬化させてなる硬化膜の酸素遮断性は、以下の方法で測定する。
本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物をプリベークすることにより、厚み7μm程度の硬化前のフィルムを形成する。このフィルムに窒素雰囲気下、170℃において120分間ポストベークによる硬化を行って、厚み6μm程度(一態様において、厚み5.0~7.0μm)の硬化フィルム(一態様において、硬化膜)を調製する。
ガス透過率測定装置(GTRテック社製、製品名:GTR-10XF(等圧・GC)を用いて、JIS K 7126-2の等圧・GC法に準じて、酸素透過度(cc/m・24h・atm)を測定する。
【0060】
<(C)光重合開始剤>
(C)光重合開始剤は、活性光線によりラジカルを発生し、エチレン性不飽和基含有化合物等を重合することができる化合物である。
活性光線でラジカルを発生する開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、N-アルキルアミノアセトフェノン、オキシムエステル、アクリジン、ホスフィンオキサイド及びロフィン等の構造を含む化合物が挙げられる。
具体例としては、ベンゾフェノン、N,N,N’,N’-テトラメチル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N,N’,N’-テトラエチル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン、4-メトキシ-4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-プロパノン-1、アクリル化ベンゾフェノン及び4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド等の芳香族ケトン;
ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル及びベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;
ベンゾイン、メチルベンゾイン及びエチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;
1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-2-(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(O-アセチルオキシム)(BASFジャパン(株)製、Irgacure Oxe02)、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-3-シクロペンチルプロパン-1,2-ジオン-2-(o-ベンゾイルオキシム)(常州強力新電子材料(株)製、PBG305)、1-(6-О-メチルベンゾイル-9-エチルカルバゾール-3-イル)-(3-シクロペンチルアセトン)-1-オキシムアセテート(常州強力新電子材料(株)製、TR-PBG-304)、商品名:TR-PBG-3057(常州強力新電子材料(株)製)、1,2-プロパンジオン,3-シクロヘキシル-1-[9-エチル-6-(2-フラニルカルボニル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,2-(O-アセチルオキシム)(日興ケムテック(株)製、製品名:TR-PBG-326)、商品名:NCI-831((株)ADEKA製)等のオキシムエステル化合物;
ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;
9-フェニルアクリジン及び1,7-ビス(9,9’-アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体;
N-フェニルグリシン等のN-フェニルグリシン誘導体;
クマリン化合物;
オキサゾール化合物;
2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド化合物、
2,2‘-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5‘-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール等のロフィン化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(C)光重合開始剤は、単独又は2種以上混合して用いることもできる。上記の光重合開始剤の中では、特に解像性の観点から、オキシムエステル化合物がより好ましい。
【0061】
(C)光重合開始剤の含有量は、(A)ポリイミド100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましい。(C)光重合開始剤の含有量の下限値は、光硬化性の観点から、(A)ポリイミド100質量部に対して、2質量部以上であることがより好ましい。
(C)光重合開始剤の含有量の上限値は、レリーフパターンの底部硬化の観点から、(A)ポリイミド100質量部に対して、20質量部以下であることがより好ましい。
【0062】
(D)ウレア結合を有さない重合性官能基を有するモノマー
硬化レリーフパターンの解像度向上、及び熱硬化時の硬化収縮を抑制させるために、本開示の感光性樹脂組成物は、(D)ウレア結合を有さない重合性官能基を有するモノマーを任意に含むことができる。
(D)ウレア結合を有さない重合性官能基を有するモノマー(一態様において、ラジカル重合性化合物)としては、(C)光重合開始剤によりラジカル重合反応する(メタ)アクリル化合物が好ましい。(D)ウレア結合を有さない重合性官能基を有するモノマーは、分子中に重合性官能基を1つ含む単官能モノマー(D1)及び/又は分子中に重合性官能基を2つ以上含む多官能モノマー(D2)を含むことがより好ましい。
【0063】
特に以下に限定するものではないが、単官能モノマー(D1)としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシブチルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコールメタクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、m-フェノキシベンジルアクリレート、o-フェニルフェノキシエチルアクリレート、4-メタクリロイルオキシベンゾフェノン、EO(エチレンオキサイド)変性パラクミルフェノールアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、6-アクリルアミドヘキサン酸、及びトリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
多官能モノマー(D2)としては、例えば、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレートをはじめとする、エチレングリコール又はポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール又はポリプロピレングリコールのジ(メタ)アクリレート、グリセロールのジ(メタ)アクリレート若しくはトリ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールのジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールのジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのジ(メタ)アクリレート、
(メタ)アクリルアミドとその誘導体、
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールのジ(メタ)アクリレート若しくはトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート若しくはテトラ(メタ)アクリレート、これら化合物のエチレンオキサイド(例えば、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル)又はプロピレンオキサイド付加物や
製品名:KRM7735(ダイセル・オルネクス社製)、製品名:EBECRYL230(ダイセル・オルネクス社製)、製品名:EBECRYL4491(ダイセル・オルネクス社製)、製品名:EBECRYL8413(ダイセル・オルネクス社製)、製品名:EBECRYL8411(ダイセル・オルネクス社製)、製品名:EBECRYL8402(ダイセル・オルネクス社製)、製品名:EBECRYL8465(ダイセル・オルネクス社製)、製品名:EBECRYL8667(ダイセル・オルネクス社製)、製品名:EBECRYL4740(ダイセル・オルネクス社製)、製品名:KRM9276(ダイセル・オルネクス社製)などのウレタンアクリレート等、
トリス-(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートアクリレートの化合物を挙げることができる。
これらのラジカル重合性化合物の中では硬化収縮の抑制の観点からはラジカル重合性官能基を3つ以上有する化合物を含むことが好ましい。
また、これらのモノマーは、単官能モノマー(D1)の重量比率と多官能モノマー(D2)の重量比率は、コート時平坦性の観点から0.01より大きいことが好ましく、キュア後平坦性の観点から、1.5未満であることが好ましい。
【0064】
感光性樹脂組成物中の(D)ウレア結合を有さない重合性官能基を有するモノマーの含有量は、(A)ポリイミド100質量部に対して、0.5質量部~100質量部であることが好ましい。
(D)ウレア結合を有さない重合性官能基を有するモノマーの含有量の下限値は、光硬化性の観点から、(A)ポリイミド100質量部に対して、5質量部以上であることがより好ましく、10質量部以上であることが更に好ましく、20質量部以上であることが特に好ましい。
(D)ウレア結合を有さない重合性官能基を有するモノマーの含有量の上限値は、銅密着性とパターンの底部硬化の観点から、(A)ポリイミド100質量部に対して、60質量部以下であることがより好ましく、50質量部以下であることが更に好ましい。
【0065】
(E)シランカップリング剤
硬化レリーフパターンの銅密着性を向上させるために、本開示のネガ型感光性樹脂組成物は、(E)シランカップリング剤を任意に含むことができる。
(E)シランカップリング剤は、下記一般式(47):
【化47】
又は式(48):
【化48】
で表される構造を有することが好ましい。
式(47)及び(48)中、R10はエポキシ基、フェニルアミノ基、ウレイド基、イソシアネート基及びイソシアヌル基を含む置換基からなる群から選択される少なくとも1種であり、R11は炭素数1~4のアルキル基であり、R12はヒドロキシル基又は炭素数1~4のアルキル基であり、aは1~3の整数であり、iは1~6の整数である。
【0066】
一般式(47)及び(48)において、aは、1~3の整数であれば限定されないが、金属再配線層との接着性などの観点から、2又は3が好ましく、3がより好ましい。iは1~6の整数であれば限定されないが、金属再配線層との接着性の観点から、1以上4以下が好ましい。解像性の観点から、2以上5以下が好ましい。
【0067】
10は、エポキシ基、フェニルアミノ基、ウレイド基、イソシアネート基及びイソシアヌル基からなる群のいずれかの構造を含む置換基であれば限定されない。これらの中で、解像性や金属再配線層の接着性の観点から、フェニルアミノ基を含む置換基、及びウレイド基を含む置換基からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、フェニルアミノ基を含む置換基がより好ましい。
11は炭素数1~4のアルキル基であれば限定されない。メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基及びt-ブチル基などを例示することができる。
12は、ヒドロキシル基、又は炭素数1~4のアルキル基であれば限定されない。炭素数1~4のアルキル基としては、R11と同様のアルキル基を例示することができる。
【0068】
エポキシ基を含有するシランカップリング剤としては、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン及び3-グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどを例示することができる。
フェニルアミノ基を含有するシランカップリング剤としては、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシランを例示することができる。
ウレイド基を含有するシランカップリング剤としては、3-ウレイドプロピルトリアルコキシシランを例示することができる。
イソシアネート基を含有するシランカップリング剤としては、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシランを例示することができる。
【0069】
ネガ型感光性樹脂組成物中の(E)シランカップリング剤の含有量は、(A)ポリイミド100質量部に対して、0.2質量部~10質量部である。
(E)シランカップリング剤の含有量の下限値は、銅密着性の観点から、(A)ポリイミド100質量部に対して、0.5質量部以上であることがより好ましく、1質量部以上であることが更に好ましい。
析出による異物発生の観点から、(E)シランカップリング剤の含有量の上限値は、(A)ポリイミド100質量部に対して、8質量部以下であることがより好ましく、6質量部以下であることが更に好ましい。
【0070】
(F)有機チタン化合物
硬化膜の耐薬品性を向上させるために、本開示のネガ型感光性樹脂組成物は、(F)有機チタン化合物を任意に含むことができる。
【0071】
(F)有機チタン化合物としては、チタン原子に有機基が共有結合又はイオン結合を介して結合しているものが挙げられる。有機チタン化合物の具体例を、以下のI)~VII)に示す:
I)チタンキレート化合物:具体的な例は、チタン(IV)オキシドアセチルアセトナート、チタニウムビス(トリエタノールアミン)ジイソプロポキサイド、チタニウムジ(n-ブトキサイド)ビス(2,4-ペンタンジオネート、チタニウムジイソプロポキサイドビス(2,4-ペンタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス(エチルアセトアセテート)等である。
【0072】
II)テトラアルコキシチタン化合物:例えば、チタニウムテトラ(n-ブトキサイド)、チタニウムテトラエトキサイド、チタニウムテトラ(2-エチルヘキソキサイド)、チタニウムテトライソブトキサイド、チタニウムテトライソプロポキサイド、チタニウムテトラメトキサイド、チタニウムテトラメトキシプロポキサイド、チタニウムテトラメチルフェノキサイド、チタニウムテトラ(n-ノニロキサイド)、チタニウムテトラ(n-プロポキサイド)、チタニウムテトラステアリロキサイド、チタニウムテトラキス[ビス{2,2-(アリロキシメチル)ブトキサイド}]等である。
【0073】
III)チタノセン化合物:例えば、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムトリメトキサイド、ビス(η-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)ビス(2,6-ジフルオロフェニル)チタニウム、ビス(η-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル)チタニウム等である。
【0074】
IV)モノアルコキシチタン化合物:例えば、チタニウムトリス(ジオクチルホスフェート)イソプロポキサイド、チタニウムトリス(ドデシルベンゼンスルホネート)イソプロポキサイド等である。
【0075】
V)チタニウムオキサイド化合物:例えば、チタニウムオキサイドビス(ペンタンジオネート)、チタニウムオキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、フタロシアニンチタニウムオキサイド等である。
【0076】
VI)チタニウムテトラアセチルアセトネート化合物:例えば、チタニウムテトラアセチルアセトネート等である。
【0077】
VII)チタネートカップリング剤:例えば、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート等である。
【0078】
(F)有機チタン化合物としては、上記I)チタンキレート化合物、II)テトラアルコキシチタン化合物及びIII)チタノセン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが、より良好な耐薬品性を奏するという観点から好ましい。
特に、チタニウムジイソプロポキサイドビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムテトラ(n-ブトキサイド)、ビス(η-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル)チタニウム及びチタン(IV)オキシドアセチルアセトナートが好ましい。
【0079】
本開示のネガ型感光性樹脂組成物が(F)有機チタン化合物を含む場合、(F)有機チタン化合物の含有量は、(A)ポリイミド100質量部に対し、0.05質量部以上10質量部以下が好ましい。
(F)有機チタン化合物の含有量の下限値は、得られる硬化膜の耐熱性及び耐薬品性の観点から、(A)ポリイミド100質量部に対して、0.5質量部以上がより好ましい。
(F)有機チタン化合物の含有量の上限値は、ネガ型感光性樹脂組成物の保存安定性の観点から、(A)ポリイミド100質量部に対して、2質量部以下がより好ましい。
【0080】
(G)熱架橋剤
硬化膜の硬化収縮を抑制する観点から、本開示のネガ型感光性樹脂組成物は、(G)熱架橋剤を任意に含むことができる。
【0081】
本開示で(G)熱架橋剤とは、熱により付加反応、又は縮合重合反応を起こす化合物を意味する。これらの反応は(A)ポリイミドと(G)熱架橋剤、(G)熱架橋剤同士、及び(G)熱架橋剤と後述されるその他の成分の組み合わせで起き、その反応温度としては、150℃以上が好ましい。
【0082】
(G)熱架橋剤の例としては、アルコキシメチル化合物、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ビスマレイミド化合物、アリル化合物、及びブロックイソシアネート化合物等が挙げられる。硬化収縮抑制の観点から(G)熱架橋剤は窒素原子を含むことが好ましい。
【0083】
アルコキシメチル化合物の例としては、下記一般式(49)~(50)で表される化合物が挙げられるが、この限りではない。
【化49】
【化50】
【0084】
エポキシ化合物の例としては、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルやビスフェノールA型基を含むエポキシ化合物や水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル(たとえば共栄社化学(株)製、商品名:エポライト4000)等が挙げられる。
オキセタン化合物としては、1,4-ビス{[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、ビス[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテル、4,4’-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メチル]ビフェニル、4,4′-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)ビフェニル、エチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)ジフェノエート、トリメチロールプロパントリス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ポリ[[3-[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]プロピル]シラセスキオキサン]誘導体、オキセタニルシリケート、フェノールノボラック型オキセタン、1,3-ビス[(3-エチルオキセタンー3-イル)メトキシ]ベンゼン、商品名:OXT121(東亞合成株式会社製)及び商品名:OXT221(東亞合成株式会社製)等が挙げられる。
ビスマレイミド化合物としては、1,2-ビス(マレイミド)エタン、1,3-ビス(マレイミド)プロパン、1,4-ビス(マレイミド)ブタン、1,5-ビス(マレイミド)ペンタン、1,6-ビス(マレイミド)ヘキサン、2,2,4-トリメチル-1,6-ビス(マレイミド)ヘキサン、N,N’-1,3-フェニレンビス(マレイミド)、4-メチル-N,N’-1,3-フェニレンビス(マレイミド)、N,N’-1,4-フェニレンビス(マレイミド)、3-メチル-N,N’-1,4-フェニレンビス(マレイミド)、4,4’-ビス(マレイミド)ジフェニルメタン、3,3’-ジエチル-5,5’-ジメチル-4,4’-ビス(マレイミド)ジフェニルメタン及び2,2-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンが挙げられる。
アリル化合物としては、アリルアルコール、アリルアニソール、安息香酸アリルエステル、桂皮酸アリルエステル、N-アリロキシフタルイミド、アリルフェノール、アリルフェニルスルフォン、アリルウレア、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、イソシアヌル酸ジアリル、トリアリルアミン、イソシアヌル酸トリアリル、シアヌル酸トリアリル、トリアリルアミン、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸トリアリル、トリメリト酸トリアリル、トリアリルホスフェート、トリアリルホスファイト及びクエン酸トリアリルなどが挙げられる。
ブロックイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート系ブロックイソシアネート;商品名:デュラネートSBN-70D、SBB-70P、SBF-70E、TPA-B80E、17B-60P、MF-B60B、E402-B80B、MF-K60B、及びWM44-L70G(以上旭化成(株)製、)、
商品名:タケネートB-882N(三井化学(株)製)、商品名:7960、7961、7982、7991、及び7992(Baxenden社製)など)、
トリレンジイソシアネート系ブロックイソシアネート(三井化学(株)製、商品名:タケネートB-830など)、
4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネ-ト系ブロックイソシアネート(三井化学(株)製、商品名:タケネートB-815N)、(大榮産業(株)製、商品名:ブロネートPMD-OA01、及びPMD-MA01)など、
1,3―ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン系ブロックイソシアネート(三井化学(株)製、商品名:タケネートB-846N)、(東ソー(株)製、商品名:コロネートBI-301、2507、及び2554)など、
イソホロンジイソシアネート系ブロックイソシアネート(Baxenden社製、商品名:7950、7951、及び7990など)が挙げられる。
これら化合物の中で、保存安定性の観点から、ブロックイソシアネート化合物やビスマレイミド化合物が好ましい。(G)熱架橋剤は単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0085】
ネガ型感光性樹脂組成物中の(G)熱架橋剤の含有量は、(A)ポリイミド100質量部に対して、0.2質量部~40質量部であることが好ましい。
(G)熱架橋剤の含有量の下限値は、耐薬品性の観点から、(A)ポリイミド100質量部に対して、1質量部以上であることがより好ましく、2質量部以上であることが更に好ましい。
(G)熱架橋剤の含有量の上限値は、ネガ型感光性樹脂組成物の保存安定性の観点から、(A)ポリイミド100質量部に対して、30質量部以下であることがより好ましく、20質量部以下であることが更に好ましい。
【0086】
(H)防錆剤
本開示のネガ型感光性樹脂組成物を用いて銅又は銅合金からなる基板上に硬化膜を形成する場合には、銅の変色を抑制するために、本開示のネガ型感光性樹脂組成物は、(H)防錆剤を任意に含んでもよい。(H)防錆剤としては、アゾール化合物及びプリン化合物等が挙げられる。
【0087】
アゾール化合物としては、例えば、1H-トリアゾール、5-メチル-1H-トリアゾール、5-エチル-1H-トリアゾール、4,5-ジメチル-1H-トリアゾール、5-フェニル-1H-トリアゾール、4-t-ブチル-5-フェニル-1H-トリアゾール、5-ヒドロキシフェニル-1H-トリアゾール、フェニルトリアゾール、p-エトキシフェニルトリアゾール、5-フェニル-1-(2-ジメチルアミノエチル)トリアゾール、5-ベンジル-1H-トリアゾール、ヒドロキシフェニルトリアゾール、1,5-ジメチルトリアゾール、4,5-ジエチル-1H-トリアゾール、1H-ベンゾトリアゾール、2-(5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]-ベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3-t-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-ベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、5-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、4-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、4-カルボキシ-1H-ベンゾトリアゾール、5-カルボキシ-1H-ベンゾトリアゾール、3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、1H-テトラゾール、5-メチル-1H-テトラゾール、5-フェニル-1H-テトラゾール、5-アミノ-1H-テトラゾール及び1-メチル-1H-テトラゾール等が挙げられる。
【0088】
特に好ましくは、5-アミノ-1H-テトラゾール、トリルトリアゾール、5-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、及び4-メチル-1H-ベンゾトリアゾールが挙げられる。これらのアゾール化合物は、1種で用いても2種以上の混合物で用いても構わない。
【0089】
プリン化合物の具体例としては、例えば、プリン、アデニン、グアニン、ヒポキサンチン、キサンチン、テオブロミン、カフェイン、尿酸、イソグアニン、2,6-ジアミノプリン、9-メチルアデニン、2-ヒドロキシアデニン、2-メチルアデニン、1-メチルアデニン、N-メチルアデニン、N,N-ジメチルアデニン、2-フルオロアデニン、9-(2-ヒドロキシエチル)アデニン、グアニンオキシム、N-(2-ヒドロキシエチル)アデニン、8-アミノアデニン、6-アミノ‐8-フェニル‐9H-プリン、1-エチルアデニン、6-エチルアミノプリン、1-ベンジルアデニン、N-メチルグアニン、7-(2-ヒドロキシエチル)グアニン、N-(3-クロロフェニル)グアニン、N-(3-エチルフェニル)グアニン、2-アザアデニン、5-アザアデニン、8-アザアデニン、8-アザグアニン、8-アザプリン、8-アザキサンチン、8-アザヒポキサンチン等、及びこれらの誘導体が挙げられる。
【0090】
特に好ましくは、8-アザアデニンが挙げられる。これらのプリン化合物は、1種で用いても2種以上の混合物で用いても構わない。
【0091】
本開示のネガ型感光性樹脂組成物が(H)防錆剤を含有する場合、(H)防錆剤の含有量は、(A)ポリイミド100質量部に対し、0.01質量部以上20質量部以下が好ましい。
(H)防錆剤の下限値は、ネガ型感光性樹脂組成物を銅又は銅合金の上に形成した場合に、銅又は銅合金表面の変色が抑制されることから、0.03質量部以上がより好ましく、0.05質量部以上であることが更に好ましい。(H)防錆剤の上限値は、光感度の観点から10質量部以下がより好ましく、5質量部以下が更に好ましい。
【0092】
本開示のネガ型感光性樹脂組成物は、上記(A)~(H)成分以外のその他成分を更に含有していてもよい。(A)~(H)成分以外のその他成分としては、限定されないが、例えば、熱重合開始剤、可塑剤、ヒンダードフェノール化合物、接着助剤、増感剤、熱重合禁止剤、熱塩基発生剤及び溶媒等が挙げられる。
【0093】
本開示のネガ型感光性樹脂組成物は、熱重合開始剤を含有してもよい。
熱重合開始剤は熱でラジカルを発生する化合物のことであり、例えば、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、及びパーオキシケタール等の有機過酸化物やアゾニトリル、アゾエステル、及びアゾアミド等のアゾ系重合開始剤が挙げられる。これらの中でも耐薬品性の観点から、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド(例えば、ジクミルペルオキシド)が好ましい。
【0094】
本開示のネガ型感光性樹脂組成物が熱重合開始剤を含有する場合、その含有量は、(A)ポリイミド100質量部に対し、0.1質量部以上10質量部以下が好ましい。
熱重合開始剤の含有量の下限値は、耐薬品性の観点から、(A)ポリイミド100質量部に対して、0.5質量部以上がより好ましい。
熱重合開始剤の含有量の上限値は、ネガ型感光性樹脂組成物の保存安定性の観点から、(A)ポリイミド100質量部に対して、5質量部以下がより好ましい。
【0095】
本開示のネガ型感光性樹脂組成物は、可塑剤を含有してもよい。
可塑剤としては、例えば、フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ジフェニルに代表されるフタル酸エステル化合物や、
イソフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)、イソフタル酸ジシクロヘキシル、イソフタル酸ジフェニルに代表されるイソフタル酸エステル化合物や、
テレフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)、テレフタル酸ジシクロヘキシル、テレフタル酸ジフェニルに代表されるテレフタル酸エステル化合物や、
トリメリット酸トリス(2-エチルヘキシル)、トリメリット酸トリシクロヘキシル、トリメリット酸トリフェニルに代表されるトリメリット酸エステル化合物や、
ピロメリット酸テトラキス(2-エチルヘキシル)、ピロメリット酸テトラシクロヘキシル、ピロメリット酸テトラフェニルに代表されるピロリメット酸化合物や、
マロン酸ビス(2-エチルヘキシル)、マロン酸ジシクロヘキシル、マロン酸ジフェニルに代表されるマロン酸エステル化合物や、
コハク酸ビス(2-エチルヘキシル)、コハク酸ジシクロヘキシル、コハク酸ジフェニルに代表されるコハク酸エステル化合物や、
グルタル酸ビス(2-エチルヘキシル)、グルタル酸ジシクロヘキシル、グルタル酸ジフェニルに代表されるグルタル酸エステル化合物や、
アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジシクロヘキシル、アジピン酸ジフェニルに代表されるアジピン酸エステル化合物や、
ピメリン酸ビス(2-エチルヘキシル)、ピメリン酸ジシクロヘキシル、ピメリン酸ジフェニルに代表されるピメリン酸エステル化合物や、
スベリン酸ビス(2-エチルヘキシル)、スベリン酸ジシクロヘキシル、スベリン酸ジフェニルに代表されるスベリン酸エステル化合物や、
アゼライン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アゼライン酸ジシクロヘキシル、アゼライン酸ジフェニルに代表されるアゼライン酸エステル化合物や、
セバシン酸ビス(2-エチルヘキシル)、セバシン酸ジシクロヘキシル、セバシン酸ジフェニルに代表されるセバシン酸エステル化合物や、
プロピオン酸テトラヒドロフルフリル、酪酸テトラヒドロフルフリル、イソ酪酸テトラヒドロフルフリルに代表される脂肪族酸テトラヒドロフルフリル化合物、
製品名:ディスパロン 230(楠木化成株式会社製)、製品名:ディスパロン L-1983N(楠木化成株式会社製)に代表されるアクリル系重合物、
製品名:ディスパロン 1711EF(楠木化成株式会社製)に代表されるシリコーン系化合物、製品名:ディスパロン U-158(楠木化成株式会社製)や
製品名:ディスパロン U-160(楠木化成株式会社製)に代表されるフッ素系化合物が挙げられる。
これら化合物の中でも(A)ポリイミドとの相溶性の観点からフタル酸エステル化合物、イソフタル酸エステル化合物、テレフタル酸エステル化合物、ピロリメット酸エステル化合物、トリメリット酸エステル化合物、マロン酸エステル化合物、コハク酸エステル化合物、グルタル酸エステル化合物、アジピン酸エステル化合物、ピメリン酸エステル化合物、スベリン酸エステル化合物、アゼライン酸エステル化合物、セバシン酸エステル化合物及び脂肪族酸テトラヒドロフルフリル化合物が好ましい。
【0096】
本開示のネガ型感光性樹脂組成物が可塑剤を含有する場合、可塑剤の含有量は、(A)ポリイミド100質量部に対し、0.5質量部以上40質量部以下が好ましい。
可塑剤の含有量の下限値は、コート時平坦性の観点から、(A)ポリイミド100質量部に対して、1質量部以上がより好ましい。
可塑剤の含有量の上限値は、キュア時平坦性の観点から、(A)ポリイミド100質量部に対して、30質量部以下がより好ましい。
【0097】
本開示のネガ型感光性樹脂組成物は、銅表面上の変色を抑制するために、ヒンダードフェノール化合物を任意に含んでもよい。
ヒンダードフェノール化合物としては、例えば、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2,5-ジ-t-ブチル-ハイドロキノン、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネ-ト、イソオクチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4、4’-メチレンビス(2、6-ジ-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオ-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2-チオ-ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマミド)、2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、ペンタエリスリチル-テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-イソシアヌレート、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5-トリス(3-ヒドロキシ-2,6-ジメチル-4-イソプロピルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-s-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス[4-(1-エチルプロピル)-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス[4-トリエチルメチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(3-ヒドロキシ-2,6-ジメチル-4-フェニルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,5,6-トリメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-5-エチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-6-エチル-3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-6-エチル-3-ヒドロキシ-2,5-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-5,6-ジエチル-3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,5-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン及び1,3,5-トリス(4-t-ブチル-5‐エチル-3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
これらの中でも、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン等が特に好ましい。
【0098】
本開示のネガ型感光性樹脂組成物がヒンダードフェノール化合物を含む場合、その含有量は、(A)ポリイミド100質量部に対し、0.1質量部以上20質量部以下が好ましい。
ヒンダードフェノール化合物の含有量の下限値は、銅又は銅合金の上にネガ型感光性樹脂組成物を形成した場合に、銅又は銅合金の変色及び腐食が防止されることから、(A)ポリイミド100質量部に対して、0.5質量部以上がより好ましい。
ヒンダードフェノール化合物の含有量の上限値は、光感度の観点から、(A)ポリイミド100質量部に対して、10質量部以下がより好ましい。
【0099】
ネガ型感光性樹脂組成物を用いて形成される膜と基材との接着性向上のために、本開示のネガ型感光性樹脂組成物は、シランカップリング剤以外にその他の接着助剤を任意に含んでもよい。その他接着助剤としては、アルミニウム系接着助剤等を使用することができる。
【0100】
アルミニウム系接着助剤としては、例えば、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)及びエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等を挙げることができる。
【0101】
本開示のネガ型感光性樹脂組成物が接着助剤を含有する場合、接着助剤の含有量は、(A)ポリイミド100質量部に対し、0.01質量部以上25質量部以下が好ましい。
接着助剤の含有量の下限値は密着性の観点から、(A)ポリイミド100質量部に対して、0.5質量部以上がより好ましい。
接着助剤の含有量の上限値は、ネガ型感光性樹脂組成物の保存安定性の観点から、(A)ポリイミド100質量部に対して、20質量部以下がより好ましい。
【0102】
本開示のネガ型感光性樹脂組成物は、光感度を向上させるために、増感剤を任意に含んでもよい。
増感剤としては、例えば、ミヒラーズケトン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,5-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)シクロペンタン、2,6-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)-4-メチルシクロヘキサノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p-ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p-ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2-(p-ジメチルアミノフェニルビフェニレン)-ベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニルビニレン)ベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニルビニレン)イソナフトチアゾール、1,3-ビス(4’-ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3’-カルボニル-ビス(7-ジエチルアミノクマリン)、3-アセチル-7-ジメチルアミノクマリン、3-エトキシカルボニル-7-ジメチルアミノクマリン、3-ベンジロキシカルボニル-7-ジメチルアミノクマリン、3-メトキシカルボニル-7-ジエチルアミノクマリン、3-エトキシカルボニル-7-ジエチルアミノクマリン、N-フェニル-N’-エチルエタノールアミン、N-フェニルジエタノールアミン、N-p-トリルジエタノールアミン、N-フェニルエタノールアミン、4-モルホリノベンゾフェノン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、2-メルカプトベンズイミダゾール、1-フェニル-5-メルカプトテトラゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ナフト(1,2-d)チアゾール及び2-(p-ジメチルアミノベンゾイル)スチレン等が挙げられる。これらは単独又は、複数で、例えば2~5種類の組合せで用いることができる。
【0103】
本開示のネガ型感光性樹脂組成物が、光感度を向上させるための増感剤を含有する場合、増感剤の含有量は、(A)ポリイミド100質量部に対し、0.1質量部以上25質量部以下であることが好ましい。
【0104】
本開示のネガ型感光性樹脂組成物は、特に溶媒を含む溶液の状態で保存するときの、粘度及び光感度の安定性を向上させるために、熱重合禁止剤を任意に含んでもよい。
熱重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、N-ニトロソジフェニルアミン、p-tert-ブチルカテコール、フェノチアジン、N-フェニルナフチルアミン、エチレンジアミン四酢酸、1,2-シクロヘキサンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、2,6-ジ-tert-ブチル-p-メチルフェノール、5-ニトロソ-8-ヒドロキシキノリン、1-ニトロソ-2-ナフトール、2-ニトロソ-1-ナフトール、2-ニトロソ-5-(N-エチル-N-スルホプロピルアミノ)フェノール、N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩及びN-ニトロソ-N(1-ナフチル)ヒドロキシルアミンアンモニウム塩等を用いることができる。
【0105】
本開示のネガ型感光性樹脂組成物は、熱塩基発生剤を任意に含んでもよい。
【0106】
本開示のネガ型感光性樹脂組成物は、溶媒(I)を任意に含んでもよい。溶媒(I)は、(A)ポリイミド、(C)光重合開始剤を均一に溶解又は懸濁させうる溶媒であれば限定されない。
溶媒(I)としては、γ-ブチロラクトン(GBL)、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフルフリルアルコール、アセト酢酸エチル、N,N-ジメチルアセトアセトアミド、ε-カプロラクトン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N-エチル-2-ピロリドン及びN,N-ジメチルアセトアミドなどを例示することができる。これらの溶媒(I)は一種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0107】
溶媒(I)は、ネガ型感光性樹脂組成物の所望の塗布膜厚及び粘度に応じて、適量を用いることができる。溶媒(I)の含有量は、(A)ポリイミド100質量部に対して、例えば30~1000質量部の範囲、好ましくは140~1,000質量部の範囲で用いることができる。
【0108】
溶媒(I)が、オレフィン系二重結合を有さないアルコールを含有する場合、前記反応溶媒を含めた全溶媒中に占める、オレフィン系二重結合を有さないアルコールの含有量は、5~50質量%であることが好ましい。溶媒(I)の含有量の上限値は、ネガ型感光性樹脂組成物の保存安定性の観点から、全溶媒中、10質量%以上がより好ましい。溶媒(I)の含有量の下限値は、(A)ポリイミドの溶解性の観点から、全溶媒中、30質量%以下がより好ましい。
【0109】
<硬化レリーフパターンの製造方法>
本開示の硬化レリーフパターンの製造方法は、
(1)上述した本開示のネガ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布して、感光性樹脂層を基板上に形成する工程(樹脂層形成工程)と、
(2)感光性樹脂層を露光する工程(露光工程)と、
(3)露光後の感光性樹脂層を現像して、レリーフパターンを形成する工程(レリーフパターン形成工程)と、
(4)レリーフパターンを加熱処理して、硬化レリーフパターンを形成する工程(硬化レリーフパターン形成工程)と
を含む。
【0110】
(1)樹脂層形成工程
本工程では、本開示のネガ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、必要に応じてその後乾燥させて感光性樹脂層を形成する。
塗布方法としては、従来からネガ型感光性樹脂組成物の塗布に用いられていた方法、例えば、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷機等で塗布する方法、スプレーコーターで噴霧塗布する方法等を用いることができる。
【0111】
必要に応じて、ネガ型感光性樹脂組成物を含む塗膜を乾燥させることができる。
乾燥方法としては、風乾;オーブン又はホットプレートによる加熱乾燥;真空乾燥等の方法が用いられる。具体的には、風乾又は加熱乾燥の場合、20℃~150℃で1分~1時間の条件で乾燥を行うことができる。以上のとおりにして、基板上に感光性樹脂層を形成できる。
塗膜の厚み(以下、膜厚と称する)は、所望のポリイミドフィルムの厚さと感光性樹脂組成物中の(A)ポリイミドの含有量に応じて適宜調整すればよく、好ましくは1~500μm程度であり、特に好ましく3~100μm程度である。
【0112】
(2)露光工程
本工程では、感光性樹脂層を、コンタクトアライナー、ミラープロジェクション、ステッパー等の露光装置を用いて、パターンを有するフォトマスク又はレチクルを介して又は直接に、紫外線光源等により露光する。この露光により、ネガ型感光性樹脂組成物に含有される(A)ポリイミドが有する重合性官能基が、(C)光重合開始剤の作用によって架橋する。この架橋によって、露光部分が後述の現像液に不溶となるため、レリーフパターンの形成が可能となる。
【0113】
露光後、光感度の向上等の目的で、必要に応じて、任意の温度及び時間の組合せによる露光後ベーク(PEB)若しくは現像前ベーク又はこれらの双方を施してもよい。ベーク条件は、温度40℃~120℃であり、そして時間10秒~240秒であることが好ましいが、本開示のネガ型感光性樹脂組成物の諸特性を阻害するものでない限り、この範囲に限られない。
【0114】
(3)レリーフパターン形成工程
本工程では、露光後の感光性樹脂層のうち未露光部を現像除去してレリーフパターンを形成する。
露光(照射)後の感光性樹脂層を現像する現像方法としては、従来知られているフォトレジストの現像方法、例えば、回転スプレー法、パドル法、超音波処理を伴う浸漬法等の中から任意の方法を選択して使用することができる。現像の後、レリーフパターンの形状を調整する等の目的で、必要に応じて、任意の温度及び時間の組合せによる現像後ベークを施してもよい。
【0115】
現像に使用される現像液としては、例えば、ネガ型感光性樹脂組成物に対する良溶媒、又は良溶媒と貧溶媒との組合せが好ましい。
良溶媒としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ-ブチロラクトン及びα-アセチル-γ-ブチロラクトン等が好ましい。
貧溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、乳酸エチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート及び水等が好ましい。良溶媒と貧溶媒とを混合して用いる場合には、ネガ型感光性樹脂組成物中のポリマーの溶解性によって良溶媒に対する貧溶媒の割合を調整することが好ましい。現像液は、2種以上、例えば数種類の良溶媒及び貧溶媒を組合せて用いることもできる。
【0116】
(4)硬化レリーフパターン形成工程
本工程では、現像により得られたレリーフパターンを加熱処理して、感光成分を希散させることによって、ポリイミドからなる硬化レリーフパターンを形成する。
加熱処理の方法としては、例えば、ホットプレートによるもの、オーブンを用いるもの、温度プログラムを設定できる昇温式オーブンを用いるもの等種々の方法を選ぶことができる。
加熱処理は、例えば、160℃~350℃で30分~5時間の条件で行うことができる。加熱処理の温度は、好ましくは300℃以下、より好ましくは250℃以下、特に好ましくは200℃以下である。加熱硬化時の雰囲気気体としては空気を用いてもよく、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いることもできる。
【0117】
なお、露光後の感光性樹脂層は、(A)ポリイミドが有する重合性官能基及び(B)ウレア結合を有する重合性化合物等が架橋して形成された架橋構造を有する。
【0118】
<ポリイミド硬化膜>
本開示により、本開示のネガ型感光性樹脂組成物から形成される硬化膜も提供される。本開示の硬化膜は、本開示のネガ型感光性樹脂組成物の硬化物を含む。
【0119】
<半導体装置>
本開示では、上述したネガ型感光性樹脂組成物から得られる硬化レリーフパターンを有する、半導体装置も提供される。詳しくは、半導体素子である基材と、硬化レリーフパターンとを有する半導体装置が提供される。硬化レリーフパターンは、上述したネガ型感光性樹脂組成物を用いて上述した硬化レリーフパターンの製造方法によって製造されたものであってよい。
【0120】
本開示では、基材として半導体素子を用い、上述した本実施形態の硬化レリーフパターンの製造方法を工程の一部として含む、半導体装置の製造方法も提供される。この場合、本開示の硬化レリーフパターンの製造方法で形成される硬化レリーフパターンを、半導体装置の表面保護膜、層間絶縁膜、再配線用絶縁膜、フリップチップ装置用保護膜、又はバンプ構造を有する半導体装置の保護膜等として形成し、既知の半導体装置の製造方法と組合せることで製造することができる。
【0121】
<表示体装置>
本開示では、表示体素子と該表示体素子の上部に設けられた硬化膜とを備える表示体装置であって、該硬化膜は上述の硬化レリーフパターンである、表示体装置も提供される。ここで、当該硬化レリーフパターンは、当該表示体素子に直接接して積層されていてもよく、別の層を間に挟んで積層されていてもよい。該硬化膜は、例えば、TFT液晶表示素子及びカラーフィルター素子の、表面保護膜、絶縁膜、平坦化膜等;MVA型液晶表示装置用の突起;有機EL素子陰極用の隔壁;等に適用することができる。
【0122】
本開示のネガ型感光性樹脂組成物は、上記のような半導体装置への適用の他、多層回路の層間絶縁、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、液晶配向膜等の用途にも有用である。
【0123】
<ネガ型感光性樹脂組成物の製造方法>
一態様において、本開示のネガ型感光性樹脂組成物の製造方法は、上記「末端に重合性官能基を有するポリイミドの製造方法」に記載するような本開示の方法により(A)末端に重合性官能基を有するポリイミドを製造する工程を含む。
一態様において、本開示のネガ型感光性樹脂組成物の製造方法は(A)末端に重合性官能基を有するポリイミド、(B)ウレア結合を有する重合性化合物、及び(C)光重合開始剤を混合してネガ型感光性樹脂組成物を得る工程(以下、混合工程)を含む。
混合工程は、上述した(A)末端に重合性官能基を有するポリイミド、(B)ウレア結合を有する重合性化合物、(C)光重合開始剤及び(I)溶媒を混合して感光性樹脂組成物溶液を得る工程である。
混合工程において、(A)末端に重合性官能基を有するポリイミド、(B)ウレア結合を有する重合性化合物、(C)光重合開始剤及び(I)溶媒に関する記載は前記同様である。
【0124】
任意選択的に、上記で説明した(D)ウレア結合を有さない重合性官能基を有するモノマー(一態様において、ラジカル重合性化合物)、(E)シランカップリング剤、(F)有機チタン化合物、(G)熱架橋剤、(H)防錆剤から選択される添加剤、及びその他の成分をさらに含有してもよい。
【実施例0125】
以下、実施例により本実施形態を具体的に説明するが、本実施形態はこれに限定されるものではない。実施例、比較例、製造例及び合成例においては、ポリイミド、ポリイミド前駆体又はネガ型感光性樹脂組成物の物性を以下の方法に従って測定及び評価した。
【0126】
<測定及び評価方法>
(1)重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の測定
各樹脂の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて、下記の条件により測定した。また、分子量分布をMw/Mnとして計算した。
重量平均分子量を算出するための検量線は、スタンダードポリスチレン(Easical Type PS-1、アジレント・テクノロジー社製)を用いて作成した。
【0127】
<GPCの条件>
装置:HLC-8320GPC(東ソー社製)
溶離液:N-メチル-2-ピロリドン
臭化リチウム一水和物 30mmol/L
リン酸 50mmol/L
流速:0.5mL/min
カラム:TSK-GEL SUPER HM-H 2本/TSK-GEL SUPER H-RC 1本(東ソー社製)
カラム温度:40℃
検出器:UV-8320
【0128】
(2)低硬化収縮性の評価:硬化収縮率の測定方法
後述のネガ型感光性樹脂組成物を、6インチシリコンウェハー(フジミ電子工業株式会社製、厚み625±25μm)上に、コーターデベロッパー(D-Spin60A型、SOKUDO社製)を用いて回転塗布し、110℃で240秒間ホットプレートにてプリベークを行い、約7μm厚の硬化前のフィルムを形成した。
このフィルムに、プリズマGHI(ウルトラテック社製)により800mJ/cmのエネルギーを照射した。次いで、昇温プログラム式キュア炉(VF-2000型、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気下、170℃において120分間ポストベークによる硬化を行って、厚み6μmの硬化フィルム(一態様において、硬化膜)を調製した。
得られたフィルムのプリベーク後の膜厚を膜厚A、ポストベーク後の膜厚を膜厚Bとし、膜厚Aと膜厚Bを下記式に代入して、硬化収縮率を算出した。
硬化収縮率[%]={(膜厚A-膜厚B)/膜厚A}×100
【0129】
(3)耐熱性の評価:硬化フィルムのTgの測定方法
上記(2)の方法にて得られたポストベーク後のフィルムを用いて、以下の方法で耐熱性を測定した。
熱機械分析装置(セイコーインスツルメンツ社製、製品名:TMA/EXSTAR 6000)を用いて、得られた試験片(幅3mm)を、10℃/分の昇温速度で350℃まで加熱し、得られた試験片の熱膨張率を測定した。次いで、得られた測定結果に基づき、熱膨張率の変曲点から硬化膜のガラス転移温度(Tg)を算出した。Tgの単位は、℃である。
【0130】
(4)硬化膜の伸度の測定方法
上記(2)の方法にて得られたポストベーク後のフィルムを用いて、以下の方法で硬化膜の伸度を測定した。
得られた試験片について、引張試験機(オリエンテック社製、製品名:テンシロンUTM―II―20)を用い、23℃雰囲気下、JIS K 7161に準拠した方法で引張試験を実施し、試験片の引張伸び率(伸度)を測定した。引張試験における延伸速度は、40mm/分とした。硬化膜の伸度の単位は、%である。
【0131】
(5)銅密着性の測定方法及び評価方法
6インチシリコンウェハー(フジミ電子工業株式会社製、厚み625±25μm)上に、スパッタ装置(L-440S-FHL型、キヤノンアネルバ社製)を用いて200nm厚のTi、400nm厚のCuをこの順にスパッタした。続いて、このウェハー上に、後述の方法により調製した感光性樹脂組成物を、コーターデベロッパー(D-Spin60A型、SOKUDO社製)を用いて回転塗布し、110℃で240秒間ホットプレートにてプリベークを行い、Cu上にフィルムを形成した。
このフィルムに、プリズマGHI(ウルトラテック社製)により800mJ/cmのエネルギーを照射した。次いで、昇温プログラム式キュア炉(VF-2000型、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気下、170℃において2時間加熱処理することにより、Cu上に約6μm厚の感光性樹脂組成物からなる硬化フィルムを得た。
加熱処理後のフィルムにJIS K 5600-5-6規格のクロスカット法に準じて、銅基板/硬化フィルム間の密着性を以下の基準に基づき、評価した。
「優」:基板に接着している硬化フィルムの格子数が100超
「良」:基板に接着している硬化フィルムの格子数が80以上100以下
「可」:基板に接着している硬化フィルムの格子数が50以上80未満
「不可」:基板に接着している硬化フィルムの格子数が50未満
【0132】
(6)酸素遮断性の測定方法及び評価方法
上記(2)の方法にて得られたポストベーク後の硬化フィルムを用いて、以下の方法で酸素遮断性を測定した。
ガス透過率測定装置(GTRテック社製、製品名:GTR-10XF(等圧・GC)を用いて、JIS K 7126-2の等圧・GC法に準じて、酸素透過度(cc/m・24h・atm)を測定し、酸素遮断性を以下の基準に基づき、評価した。
「優」:酸素透過度(cc/m・24h・atm)が200未満
「良」:酸素透過度(cc/m・24h・atm)が200以上~500未満
「可」:酸素透過度(cc/m・24h・atm)が500以上~1000未満
「不可」:酸素透過度(cc/m・24h・atm)が1000以上
【0133】
<合成例1:ポリイミドA-1>
【化51】
ディーンスターク抽出装置を取り付け、窒素置換した三口フラスコに、N-メチルピロリドン(以下NMP)148gと6-(4-アミノフェノキシ)ビフェニル-3-アミン(以下PDPE)22.1g(0.08モル)を加え溶解させ、これに対してビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物(以下BCD)14.9g(0.06mol)及びトルエン43.8gを加えて180℃に加熱した。ディーンスターク抽出装置に理論量の水(2.16g)と添加したトルエン(43.8g)が抽出されたことを確認した後、加熱を止め室温まで冷却した。
得られた反応液を、2.0kgのエチルアルコールに滴下してポリマーを沈殿させ、濾別後、真空乾燥することにより、ポリイミドの粉末を得た。
得られたポリイミドにNMP148gを添加し溶解後、商品名;カレンズMОI(株式会社レゾナック製)2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート6.2g(0.04mol)を添加し、室温で10時間攪拌することでポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液を2.0kgの水に滴下してポリマーを沈殿させ、濾別後、真空乾燥することにより、末端に重合性官能基を有する溶媒可溶性ポリイミドA-1の粉末を得た。
A-1の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、Mwは10300、Mnは7400、Mw/Mnは1.39であった。また、末端の変性率はプロトンNMRの積分比率から99%であることを確認した。
【0134】
<合成例:ポリイミドA-2>
合成例1のPDPEを33.2g(0.12mol)に変え、カレンズMОIを18.6g(0.12mol)に変えた以外は合成例1の記載の方法と同様にして反応を行い、末端に重合性官能基を有する溶媒可溶性ポリイミドA-2を得た。
A-2の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、Mwは5300、Mnは4800、Mw/Mnは1.10であった。また、末端の変性率はプロトンNMRの積分比率から98%であることを確認した。
【0135】
<合成例3:ポリイミドA-3>
【化52】
合成例1のBCDを4,4’-オキシジフタル酸二無水物(以下ODPA)18.6g(0.06mol)に変えた以外は合成例1の記載の方法と同様にして反応を行い、末端に重合性官能基を有する溶媒可溶性ポリイミドA-3を得た。
A-3の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、Mwは12100、Mnは8600、Mw/Mnは1.41であった。また、末端の変性率はプロトンNMRの積分比率から99%であることを確認した。
【0136】
<合成例4:ポリイミドA-4>
合成例1のカレンズMОIを商品名;カレンズMOI-EG(株式会社レゾナック製)2-(2-メタクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアナート8.0g(0.04mol)に変えた以外は合成例1の記載の方法と同様にして反応を行い、末端に重合性官能基を有する溶媒可溶性ポリイミドA-4を得た。
A-4の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、Mwは11400、Mnは8500、Mw/Mnは1.34であった。また、末端の変性率はプロトンNMRの積分比率から100%であることを確認した。
【0137】
<合成例5:ポリイミドA-5>
合成例1のカレンズMОIを商品名;カレンズAOI(株式会社レゾナック製)2-アクリロイルオキシエチルイソシアナート5.6g(0.04mol)に変えた以外は合成例1の記載の方法と同様にして反応を行い、末端に重合性官能基を有する溶媒可溶性ポリイミドA-5を得た。
A-5の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、Mwは10600、Mnは7700、Mw/Mnは1.38であった。また、末端の変性率はプロトンNMRの積分比率から100%であることを確認した。
【0138】
<合成例6:ポリイミドA-6>
合成例1のカレンズMОIを商品名;カレンズBEI(株式会社レゾナック製)1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート9.6g(0.04mol)に変えた以外は合成例1の記載の方法と同様にして反応を行い、末端に重合性官能基を有する溶媒可溶性ポリイミドA-6を得た。
A-6の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、Mwは11900、Mnは8800、Mw/Mnは1.35であった。また、末端の変性率はプロトンNMRの積分比率から98%であることを確認した。
【0139】
<合成例7:ポリイミドA-7>
合成例1のPDPEを17.5g(0.06mol)に変え、カレンズMОIを1.0g(0.006mol)に変えた以外は合成例1の記載の方法と同様にして反応を行い、末端に重合性官能基を有する溶媒可溶性ポリイミドA-7を得た。
A-7の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、Mwは38700、Mnは27100、Mw/Mnは1.43であった。また、末端の変性率はプロトンNMRの積分比率から99%であることを確認した。
【0140】
<合成例:ポリイミドA-8>
合成例1のPDPEを49.7g(0.18mol)に変え、カレンズMОIを37.2g(0.24mol)に変えた以外は合成例1の記載の方法と同様にして反応を行い、末端に重合性官能基を有する溶媒可溶性ポリイミドA-8を得た。
A-8の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、Mwは2900、Mnは2700、Mw/Mnは1.07であった。また、末端の変性率はプロトンNMRの積分比率から99%であることを確認した。
【0141】
<合成例9:ポリイミドA-9>
【化53】
合成例1のカレンズMОIの添加を除くこと以外は合成例1の記載の方法と同様にして反応を行い、末端に重合性官能基を有さない溶媒可溶性ポリイミドA-9を得た。
A-9の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、Mwは10200、Mnは7200、Mw/Mnは1.42であった。また、末端の変性率はプロトンNMRの積分比率から0%であることを確認した。
【0142】
<合成例10:ポリイミド前駆体A-10>
ОDPA18.6g(0.06mol)を1L容量のセパラブルフラスコに入れγ-ブチロラクトン60gを加えた。次いでメタクリル酸2-ヒドロキシエチル15.6g(0.12mol)を入れ、攪拌しながらピリジン9.5g(0.12mol)を加えた後、オイルバスを用いて40℃にて5時間攪拌して、反応混合物を得た。反応終了後に室温まで放冷し、16時間放置した。
次に、得られた反応混合物を攪拌しながら、氷冷下において、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド24.2g(0.12mol)をγ-ブチロラクトン30gに溶解した溶液を40分かけて加え、続いてPDPE22.1g(0.08mоl)をγ-ブチロラクトン90gに溶解した溶液を、60分かけて加えた。室温で2時間攪拌した後、エチルアルコール180gを加えて更に1時間攪拌し、次に、γ-ブチロラクトン140gを加えた。反応混合物をろ過して、反応系中に生じた沈殿物を取り除き、反応液を得た。得られた反応液を1.4kgのエチルアルコールに加えて、粗ポリマーを沈殿させた。沈殿した粗ポリマーを濾取し、γ-ブチロラクトン180gに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を、2.0kgの水に滴下してポリマーを再沈殿させた。得られた再沈殿物を濾取した後、真空乾燥することにより、粉末状のポリイミド前駆体A-10を得た。
A-10の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、Mwは12700、Mnは6900、Mw/Mnは1.84であった。
【0143】
<合成例11:B-1>
【化54】
PDPE27.6g(0.10mol)を300mL容量のセパラブルフラスコに入れNMP58.6gを加えた。
攪拌しながら、氷冷下において、カレンズMOI:2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート31.0g(0.20mol)を加え、室温で10時間撹拌し、ウレア結合を有する重合性化合物B-1のNMP溶液を得た。
B-1の変性率はプロトンNMRの積分比率から100%であることを確認した。
【0144】
<合成例12:B-2>
合成例11のカレンズMОIをカレンズMОI―EG:2-(2-メタクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアナート39.8g(0.20mol)に変えた以外は合成例11の記載の方法と同様にして反応を行い、ウレア結合を有する重合性化合物B-2のNMP溶液を得た。
B-2の変性率はプロトンNMRの積分比率から100%であることを確認した。
【0145】
<合成例13:B-3>
合成例11のカレンズMОIをカレンズAOI:2-アクリロイルオキシエチルイソシアナート28.2g(0.20mol)に変えた以外は合成例11の記載の方法と同様にして反応を行い、ウレア結合を有する重合性化合物B-3のNMP溶液を得た。
B-3の変性率はプロトンNMRの積分比率から100%であることを確認した。
【0146】
<合成例14:B-4>
合成例11のカレンズMОIをカレンズBEI:1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート47.8g(0.20mol)に変えた以外は合成例11の記載の方法と同様にして反応を行い、ウレア結合を有する重合性化合物B-4のNMP溶液を得た。
B-4の変性率はプロトンNMRの積分比率から100%であることを確認した。
【0147】
<合成例15:B-5>
合成例11のPDPEを4,4'-ジアミノジフェニルエーテル20.0g(0.10mol)に変えた以外は合成例11の記載の方法と同様にして反応を行い、ウレア結合を有する重合性化合物B-5のNMP溶液を得た。
B-5の変性率はプロトンNMRの積分比率から100%であることを確認した。
【0148】
<実施例1>(ネガ型感光性樹脂組成物の調製)
以下の方法でネガ型感光性樹脂組成物を調製し、調製した組成物の評価を行った。
(A)末端に重合性官能基を有するポリイミドとしてA-1:100g、(B)ウレア結合を有する重合性化合物としてB-1:10g、(C)光重合開始剤としてTR-PBG-3057(商品名、常州強力電子新材料社製)(C-1):2gを、溶媒(I-1):N-メチル-2-ピロリドン(NMP)208gに溶解し、全固形分質量が35質量%であるネガ型感光性樹脂組成物とした。該組成物を、前述の方法に従って評価した。結果を表1に示す。
なお、特に断りのない限り、表に記載の数値の単位は質量部を示す。
【0149】
<実施例1~28及び比較例1~3>
表1に示すとおりのポリマーとその他の添加剤(B)~(I)を使用した以外は、実施例1と同様のネガ型感光性樹脂組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0150】
【表1-1】
【0151】
【表1-2】
【0152】
【表1-3】
【0153】
【表1-4】
【0154】
<その他の添加剤>
C-1:TR-PBG-3057(商品名;常州強力電子新材料社)
C-2:TR-PBG-304(商品名;常州強力電子新材料社)
D-1:テトラエチレングリコールジメタクリレート
D-2:トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート
D-3:ペンタエリスリトールテトラアクリレート
E-1:N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン
E-2:3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
F-1:チタン(IV)オキシドアセチルアセトナート
G-1:1,3-ビス(メトキシメチル)尿素
G-2:1,3,4,6-テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル
H-1:8-アザアデニン
H-2:5-アミノ-1H-テトラゾール
I-1:N―メチル-2-ピロリドン
【0155】
表1の評価結果をみると、本開示の要件を満たさない比較例1~3は、低硬化収縮性、耐熱性、硬化膜の伸度、銅密着性及び酸素遮断性の全てをバランスよく良好な性能を達成することは出来ない。
一方で、実施例1~28では低硬化収縮性、耐熱性、硬化膜の伸度、銅密着性及び酸素遮断性の全てにおいて優れた性能を示している。
【0156】
本開示において優れた性能とは、硬化収縮率に関しては6%以下であり、耐熱性に関しては235℃以上であり、硬化膜の伸度に関しては20%以上であり、銅密着性及び酸素遮断性において「可」以上であることを言う。
【産業上の利用可能性】
【0157】
本発明による感光性樹脂組成物を用いることで、低硬化収縮性を有し、低温硬化後の膜物性が耐熱性、機械強度(硬化膜の伸度)、銅との密着性及び酸素遮断性に優れる感光性樹脂組成物、並びにこれを用いた硬化レリーフパターンの製造方法及びポリイミド硬化膜を得ることができる。本発明は、例えば半導体装置、多層配線基板等の電気・電子材料の製造に有用な感光性材料の分野で好適に利用できる。