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特開2024-163072振動可能ツールを使用した、熱可塑性プラスチックの超音波及び振動溶着
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163072
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】振動可能ツールを使用した、熱可塑性プラスチックの超音波及び振動溶着
(51)【国際特許分類】
   B29C 65/08 20060101AFI20241114BHJP
   B29C 65/56 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
B29C65/08
B29C65/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】62
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024076117
(22)【出願日】2024-05-08
(31)【優先権主張番号】18/195,541
(32)【優先日】2023-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】501410126
【氏名又は名称】ブランソン・ウルトラソニックス・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディカー、マイケル
【テーマコード(参考)】
4F211
【Fターム(参考)】
4F211TA01
4F211TA06
4F211TN23
4F211TN75
(57)【要約】      (修正有)
【課題】熱可塑性ワークピースの超音波又は振動溶接、かしめ、スエージング、成形又はディゲーティングのためのシステム及び方法の提供。
【解決手段】システムは、面を有する振動可能ホーン302と、熱可塑性ワークピース306と、振動可能ホーンと熱可塑性ワークピースとの間に配置された振動可能ツール308とを含む。システムは、振動可能ホーンに通電して、振動可能ホーンから振動可能ツールを介して熱可塑性ワークピースにエネルギーを伝達して、熱可塑性ワークピースの溶接、かしめ、スエージング、成形、又はディゲーティングを誘導するように構成される。任意選択的に、振動可能ツールの上面及び/又は下面は、振動可能ホーン及び/又は熱可塑性ワークピースの三次元輪郭に相補的である三次元輪郭を有してもよい。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
面を有する振動可能ホーンと、
熱可塑性ワークピースと、
前記振動可能ホーンと前記熱可塑性ワークピースとの間に配置された振動可能ツールと、を含み、
前記システムは、前記振動可能ホーンに通電して、前記振動可能ホーンから、前記振動可能ツールを介して前記熱可塑性ワークピースにエネルギーを伝達して、前記熱可塑性ワークピースの溶接、かしめ、スエージング、成形、又はディゲーティングを誘導するように構成されている、システム。
【請求項2】
前記振動可能ツールは、上面及び下面を含み、前記システムは、前記振動可能ホーンが通電されたときに、前記振動可能ホーン及び前記熱可塑性ワークピースのうちの少なくとも一方を他方に対して移動させ、前記振動可能ツールの前記下面が前記熱可塑性ワークピースの上面に接触し、前記振動可能ツールの前記上面が前記振動可能ホーンの前記面に接触するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記熱可塑性ワークピースは、第1の部分及び第2の部分を備え、前記システムは、前記振動可能ホーンに通電して、前記第1の部分及び/又は前記第2の部分の溶接、かしめ、スエージング、成形、又はディゲーティングを誘導するように構成される、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の部分及び前記第2の部分は、前記熱可塑性ワークピースの前記溶接、かしめ、スエージング、成形、又はディゲーティングの前の前記熱可塑性ワークピースの別個の構成要素である、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記システムは、超音波周波数で前記振動可能ホーンに通電するように構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記熱可塑性ワークピースと前記振動可能ツールとを支持するように適合された固定具を更に備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記振動可能ツールの前記下面は、前記熱可塑性ワークピースの前記上面に相補的である、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記熱可塑性ワークピースの前記上面は、三次元輪郭を有し、前記振動可能ツールの前記下面は、前記熱可塑性ワークピースの前記上面の前記三次元輪郭に相補的である三次元輪郭を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記振動可能ホーンの前記面は、三次元輪郭を有し、前記振動可能ツールの前記上面は、前記振動可能ホーンの前記面の前記三次元輪郭に相補的である三次元輪郭を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記振動可能ホーンの前記面は、実質的に平面である、請求項1~9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
システムであって、
面を有する振動可能ホーンと、
熱可塑性ワークピースと、
前記振動可能ホーンと前記熱可塑性ワークピースとを接触させることなく、前記振動可能ホーンから前記熱可塑性ワークピースにエネルギーを伝達して、前記熱可塑性ワークピースの溶接、かしめ、スエージング、成形、又はディゲーティングを誘導するための手段、
を備える、システム。
【請求項12】
方法であって、
振動可能ツールを、振動可能ホーンと熱可塑性ワークピースとの間に配置することであって、前記振動可能ツールは、上面及び下面を有する、ことと、
前記振動可能ホーン及び前記熱可塑性ワークピースのうちの少なくとも一方を他方に対して移動させて、前記振動可能ツールの前記下面が、前記熱可塑性ワークピースの上面に接触し、その一方で、前記振動可能ツールの前記上面が、前記振動可能ホーンの面に接触するようにすることと、
前記振動可能ホーンに通電して、前記振動可能ホーンから、前記振動可能ツールを介して前記熱可塑性ワークピースにエネルギーを伝達し、前記熱可塑性ワークピースの溶接、かしめ、スエージング、成形、又はディゲーティングを誘導することと、
を含む、方法。
【請求項13】
前記熱可塑性ワークピースは、第1の熱可塑性ワークピースであり、前記方法は、前記第1の熱可塑性ワークピースの代わりに第2の熱可塑性ワークピースを配置することと、前記振動可能ホーン及び前記第2の熱可塑性ワークピースのうちの少なくとも一方を他方に対して移動させて、前記振動可能ツールの前記下面が前記第2の熱可塑性ワークピースの前記上面に接触し、その一方で、前記振動可能ツールの前記上面が前記振動可能ホーンの前記面に接触するようにすることと、前記振動可能ホーンに通電して、前記振動可能ホーンから前記振動可能ツールを介して前記第2の熱可塑性ワークピースにエネルギーを伝達して、前記第2の熱可塑性ワークピースの溶接、かしめ、スエージング、成形又はディゲーティングを誘導することと、を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
配置することは、前記振動可能ツールを、前記振動可能ホーンと複数の熱可塑性ワークピースとの間に配置することを含み、前記複数の熱可塑性ワークピースは、前記熱可塑性ワークピースを含み、移動することは、前記振動可能ホーン及び前記複数の熱可塑性ワークピースのうちの少なくとも1つを他方に対して移動させて、前記振動可能ツールの前記下面が、前記複数の熱可塑性ワークピースの前記上面に接触し、その一方で、前記振動可能ツールの前記上面が、前記振動可能ホーンの前記面に接触するようにすることを含み、通電することは、前記振動可能ホーンに通電して、エネルギーを前記振動可能ホーンから、前記振動可能ツールを介して前記複数の熱可塑性ワークピースに伝達して、前記複数の熱可塑性ワークピースのそれぞれの溶接、かしめ、スエージング、成形、又はディゲーティングを誘導することを含む、請求項12又は13(12)に記載の方法。
【請求項15】
前記熱可塑性ワークピースは、第1の部分及び第2の部分を備え、前記通電することは、前記第1の部分及び/又は前記第2の部分の溶接、かしめ、スエージング、成形、又はディゲーティングを誘導する、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の部分及び前記第2の部分は、前記通電することの前の前記熱可塑性ワークピースの別個の構成要素である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記通電することは、超音波周波数で前記振動可能ホーンを通電することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記熱可塑性ワークピースが、ランナを含み、前記移動させることが、前記振動可能ホーン及び前記熱可塑性ワークピースの少なくとも一方を他方に対して移動させて、前記振動可能ツールの前記下面が、前記ランナに接触し、その一方で、前記振動可能ツールの前記上面が、前記振動可能ホーンの前記面に接触するようにすることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
通電することは、前記振動可能ホーンに通電して、前記振動可能ホーンの振動方向に平行に延在する溶接部を、前記熱可塑性ワークピースに生成することを含み、前記溶接部は、前記振動可能ホーンの振動方向に平行に延在する、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記振動可能ツールの前記下面は、前記熱可塑性ワークピースの前記上面に対して相補的であり、前記通電中に前記振動可能ツールの前記下面と前記熱可塑性ワークピースの前記上面との間の実質的に均一な接触を許容する、請求項12~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記熱可塑性ワークピースの前記上面が、三次元輪郭を有し、前記振動可能ツールの前記下面が、前記熱可塑性ワークピースの前記上面の前記三次元輪郭に相補的である三次元輪郭を有し、前記通電中に前記振動可能ツールの前記下面と前記熱可塑性ワークピースの前記上面との間の実質的に均一な接触を許容する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記熱可塑性ワークピースの前記上面の前記三次元輪郭が、1つ以上の傾斜部分を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記振動可能ホーンの前記面が、三次元輪郭を有し、前記振動可能ツールの前記上面が、前記振動可能ホーンの前記面の前記三次元輪郭に相補的である三次元輪郭を有し、前記振動可能ツールの前記上面と前記振動可能ホーンの前記面との間の実質的に均一な接触を許容する、請求項12~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記振動可能ホーンの前記三次元輪郭が、1つ以上の傾斜部分を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記振動可能ホーンの前記面は、実質的に平面である、請求項12~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記振動可能ツールが、1種以上の金属を含む、請求項12~25のいずれかに一項に記載の方法。
【請求項27】
前記振動可能ツールが、1種以上の熱可塑性物質を含む、請求項12~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記振動可能ツールが、1種以上の熱硬化性プラスチックを含む、請求項12~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記振動可能ツールを製造することを更に含む、請求項12~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記製造することが、付加製造プロセスを使用して前記振動可能ツールを製造することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記通電中に、前記振動可能ツールを固定具で支持することを更に含む、請求項12~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記支持することは、前記通電中に、前記振動可能ツール及び前記熱可塑性ワークピースを、前記固定具内に支持することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記固定具が、前記振動可能ツールを配置するための調整可能な位置合わせ部材を含む、請求項31又は32に記載の方法。
【請求項34】
前記振動可能ツールが、前記ホーンに連結されていない、請求項12~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記振動可能ツールが、前記ホーンに連結されている、請求項12~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記振動可能ツールの前記下面は、前記熱可塑性ワークピースの前記上面に対して相補的であり、前記通電中に、前記振動可能ツールの前記下面と前記熱可塑性ワークピースの前記上面との間の実質的に均一な接触を許容する、請求項12~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記通電することは、前記振動可能ホーンに通電して、前記振動可能ホーンの前記振動方向に対して垂直に延在する溶接部を、前記熱可塑性ワークピースに生成することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項38】
熱可塑性ワークピースのための超音波溶接システムであって:
面を有する超音波ホーンと、
少なくとも第1の部分及び第2の部分を含む熱可塑性ワークピースであって、前記第1の部分及び前記第2の部分の各々が、上面及び下面を有し、前記第1の部分の前記上面が、三次元輪郭を有し、前記第1の部分の前記下面が、1つ以上の場所で前記第2の部分の前記上面に接触する、熱可塑性ワークピースと、
前記超音波ホーンの前記面と前記熱可塑性ワークピースの前記第1の部分の前記上面との間に配置された振動可能ツールであって、前記振動可能ツールは、上面及び下面を含み、前記振動可能ツールの前記下面が、前記熱可塑性ワークピースの前記第1の部分の前記上面の前記三次元輪郭に相補的である三次元輪郭を有する、振動可能ツールと、
を備え、
前記システムは、前記超音波ホーンに通電して、前記超音波ホーンから、前記振動可能ツールを介して前記1つ以上の場所にエネルギーを伝達し、前記熱可塑性ワークピースの前記第1の部分を前記熱可塑性ワークピースの前記第2の部分に超音波溶接するように構成されている、システム。
【請求項39】
前記超音波ホーンの前記面が、三次元輪郭を有し、前記振動可能ツールの前記上面が、前記超音波ホーンの前記面の前記三次元輪郭に相補的である三次元輪郭を有する、請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
前記超音波ホーンの前記面は、実質的に平面である、請求項38に記載のシステム。
【請求項41】
前記振動可能ツールの前記上面は、実質的に平面である、請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
前記システムは、前記超音波ホーンが通電されたときに、前記超音波ホーンの振動方向に対して垂直に延在する溶接部を、前記熱可塑性ワークピース内に生成するように構成されている、請求項38~41のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項43】
前記超音波ホーンが通電されると、前記超音波ホーン及び前記熱可塑性ワークピースのうちの少なくとも一方を他方に対して移動させて、前記振動可能ツールの前記下面が、前記熱可塑性ワークピースの前記第1の部分の前記上面に接触し、前記振動可能ツールの前記上面が、前記超音波ホーンの前記面に接触するように構成されている、請求項38~42のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項44】
前記超音波ホーンが通電されると前記振動可能ツール及び前記熱可塑性ワークピースの位置を維持するように構成された固定具を更に備える、請求項38~43のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項45】
前記固定具は、調整可能な位置合わせ部材を備える、請求項44に記載のシステム。
【請求項46】
前記振動可能ツールは、前記ホーンに連結されていない、請求項38~45のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項47】
前記第1の部分及び前記第2の部分は、前記第1の部分が前記第2の部分に超音波溶接される前の前記熱可塑性ワークピースの、別個の構成要素である、請求項38~46のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項48】
前記第1の部分の前記上面の前記三次元輪郭及び前記振動可能ツールの前記下面の前記三次元輪郭の各々が、1つ以上の傾斜部分を含む、請求項38~47のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項49】
前記振動可能ツールは、熱可塑性プラスチック又は熱硬化性プラスチックを含む、請求項38~48のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項50】
熱可塑性ワークピースのための超音波溶接システムであって:
面を有する超音波ホーンであって、前記面が三次元輪郭を有する、超音波ホーンと、
少なくとも第1の部分及び第2の部分を含む熱可塑性ワークピースであって、前記第1の部分及び前記第2の部分の各々が、上面及び下面を有し、前記第1の部分の前記下面が、1つ以上の場所で前記第2の部分の前記上面に接触する、熱可塑性ワークピースと、
前記超音波ホーンと前記熱可塑性ワークピースの前記第1の部分の前記上面との間に配置された振動可能ツールであって、前記振動可能ツールは上面及び下面を含み、前記振動可能ツールの前記上面は、前記超音波ホーンの前記面の前記三次元輪郭に相補的である三次元輪郭を有する、振動可能ツールと、
を備え、
前記システムは、前記超音波ホーンに通電して、前記超音波ホーンから、前記振動可能ツールを介して前記1つ以上の場所にエネルギーを伝達し、前記熱可塑性ワークピースの前記第1の部分を前記熱可塑性ワークピースの前記第2の部分に超音波溶接するように構成されている、システム。
【請求項51】
前記熱可塑性ワークピースの前記第1の部分の前記上面が三次元輪郭を含み、前記振動可能ツールの前記下面が、前記熱可塑性ワークピースの前記第1の部分の前記上面の前記三次元輪郭に相補的である三次元輪郭を有する、請求項50に記載のシステム。
【請求項52】
前記熱可塑性ワークピースの前記第1の部分の前記上面が、実質的に平面であり、前記振動可能ツールの前記下面が、実質的に平面である、請求項50に記載のシステム。
【請求項53】
超音波溶接の方法であって、
振動可能ツールを、面を有する超音波ホーンと、少なくとも第1の部分及び第2の部分を有する熱可塑性ワークピースとの間に配置することであって、前記熱可塑性ワークピースの前記第1の部分は、三次元輪郭を有する上面を有し、前記振動可能ツールは、上面と、前記熱可塑性ワークピースの前記第1の部分の前記上面の前記三次元輪郭に相補的である三次元輪郭を有する下面とを有する、ことと;
前記超音波ホーン及び前記熱可塑性ワークピースのうちの少なくとも一方を他方に対して移動させて、前記振動可能ツールの前記下面が、前記熱可塑性ワークピースの前記第1の部分の前記上面に接触し、その一方で、前記振動可能ツールの前記上面が、前記超音波ホーンの前記面に接触するようにすることと
前記超音波ホーンに通電して、前記超音波ホーンから、前記振動可能ツールを介して前記熱可塑性ワークピースにエネルギーを伝達し、前記熱可塑性ワークピースの前記第1の部分と前記第2の部分との間に溶接部を形成することと、
を含む、方法。
【請求項54】
前記超音波ホーンの前記面が、三次元輪郭を有し、前記振動可能ツールの前記上面が、前記超音波ホーンの前記面の前記三次元輪郭に相補的である三次元輪郭を有する、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記超音波ホーンの前記面が、実質的に平面であり、前記振動可能ツールの前記上面が、実質的に平面である、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記振動可能ツールが、第1の振動可能ツールであり、前記方法が、前記第1の振動可能ツールの三次元スキャンを取得することと、前記三次元スキャンを使用して、第2の振動可能ツールを生成することと、を更に含む、請求項53に記載の方法。
【請求項57】
前記取得することは、前記第1の振動可能ツールの前記下面が、使用を通じて、前記熱可塑性ワークピースの前記第1の部分の前記上面の形状に実質的に適合した後に、前記第1の振動可能ツールの三次元スキャンを取得することを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
超音波溶接の方法であって、前記方法は、
振動可能ツールを、面を有する超音波ホーンと、少なくとも第1の部分及び第2の部分を有する熱可塑性ワークピースとの間に配置することであって、前記超音波ホーンの前記面は三次元輪郭を有し、前記振動可能ツールが、下面と、前記超音波ホーンの前記面の前記三次元輪郭に相補的である三次元輪郭を有する上面とを有する、ことと、
前記超音波ホーン及び前記熱可塑性ワークピースのうちの少なくとも一方を他方に対して移動させ、前記振動可能ツールの前記下面が、前記熱可塑性ワークピースの前記第1の部分の前記上面に接触し、その一方で、前記振動可能ツールの前記上面が、前記超音波ホーンの前記面に接触するようにすることと、
前記超音波ホーンに通電して、前記超音波ホーンから、前記振動可能ツールを介して前記熱可塑性ワークピースにエネルギーを伝達し、前記熱可塑性ワークピースの前記第1の部分と前記第2の部分との間に溶接部を形成することと、
を含む、方法。
【請求項59】
前記熱可塑性ワークピースの前記第1の部分の前記上面が、三次元輪郭を有し、前記振動可能ツールの前記下面が、前記熱可塑性ワークピースの前記第1の部分の前記上面の前記三次元輪郭に相補的である三次元輪郭を有する、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記熱可塑性ワークピースの前記第1の部分の前記上面が、実質的に平面であり、前記振動可能ツールの前記下面が、実質的に平面である、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
前記振動可能ツールが、第1の振動可能ツールであり、前記方法が、前記第1の振動可能ツールの三次元スキャンを取得することと、前記三次元スキャンを使用して第2の振動可能ツールを生成することと、を更に含む、請求項58に記載の方法。
【請求項62】
前記取得することは、前記第1の振動可能ツールの前記上面が、使用を通じて、前記超音波ホーンの前記面の形状に実質的に適合した後に、前記第1の振動可能ツールの三次元スキャンを取得することを含む、請求項61に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、振動可能ツールを使用した熱可塑性物質の超音波及び振動溶接、かしめ、スエージング、成形、及びディゲーティングに関する。
【背景技術】
【0002】
このセクションは、本開示に関連する背景情報(ただし、必ずしも先行技術ではない)を提供する。
【0003】
超音波溶接は、高周波超音波振動を使用して2つ以上の部品を接合するためのプロセスである。例えば、図1に示すように、2つの熱可塑性部品10、12は、固定具14(アンビル又はネストと呼ばれることもある)と超音波ホーン16(ソノトロードと呼ばれることもある)との間に挟持され得る。ホーン16は、2つのプラスチック部品10、12の界面で溶融を引き起こす超音波エネルギーを放射し、溶接部20を作り出す。
【0004】
図1に示されるホーン16に加えて、超音波溶接機は、コンバータ、トランスデューサ、及び/又はブースタ(集合的に超音波スタックと称されることもある)、並びに部品10、12を圧力下で一つに保持するためのプレス、超音波発生器、及び/又はコントローラを含んでもよい。
【0005】
図1に示すように、部品10の上面22は平坦(すなわち、平面)であってもよい。同様に、部品10の上面22に接触して超音波エネルギーを供給する、超音波ホーン16の面24も平坦であってもよい。代替的に、部品10の上面22は、三次元輪郭(すなわち、1つ以上の山及び谷を伴う)を有してもよい。その場合、超音波ホーン16の面24は、図2に示すように、部品10の上面22の三次元輪郭に相補的である、三次元のカスタム輪郭を有するように提供(例えば、機械加工又は鋳造)されてもよい。
【0006】
典型的には、超音波ホーンは、ホーンを垂直方向(矢印26によって示される)に移動させるプレスに連結され、その結果、ホーンは、ワークピースと接触している伸長位置(例えば、図1に示されるような)と、ホーンがワークピースから離間している後退位置(例えば、図2に示されるような)との間を移動する。
【0007】
溶接フィルムは、超音波ホーン16と部品10の上面22との間に使用されて、バッファとして作用し、ホーン16が部品10上に望ましくない目に見えるマークをつけてしまうのを防止することができる。これらのフィルムは、典型的には、ロール又はスプール上に提供され、ホーンと溶接されるべき各新しい部品との間に溶接フィルムの新しいセグメントを引っ張るフィルムフィーダ機構において使用される。溶着フィルムの各セグメントは1回だけ使用されるので、超音波溶着プロセス中に望ましくない量の廃棄物が発生し得る。加えて、薄く、可撓性を有するというその性質のゆえに、溶接フィルムは、自らの上に折り重なりやすく、部品10上に望ましくない目に見えるマークをもたらす恐れがある。
【発明の概要】
【0008】
このセクションは、本開示の一般的な概要を提供するものであり、その全範囲又はその特徴の全ての包括的な開示ではない。
【0009】
本開示の教示によれば、振動可能ツールは、振動可能ホーンと熱可塑性ワークピースとの間に配置されて、エネルギーをホーンから、振動可能ツールを介してワークピースに伝達し得る。振動可能ツールは、熱可塑性ワークピースのマーキングを低減又は防止し得るが、長期間又は無期限に使用して、多数の熱可塑性ワークピースを、連続してかつ/又は同時に処理することができる。振動可能ツールの上面は、平坦面のホーンと境界面を構成するように、平坦であってもよい。代替的に、振動可能ツールの上面は、ホーンの三次元輪郭に相補的である三次元輪郭を有してもよい。同様に、振動可能ツールの下面は、熱可塑性ワークピース上の平坦な表面又は三次元輪郭と境界面を構成するように、平坦であっても、三次元輪郭を有していてもよい。このようにして、振動可能ツールは、平坦面又は起伏のある輪郭のホーンと共に使用して、ホーン面に対して相補的又は非相補的である表面を有する熱可塑性ワークピースを加工することができる。
【0010】
本開示の一態様によれば、システムは、面を有する振動可能ホーン、熱可塑性ワークピース、及び振動可能ホーンと熱可塑性ワークピースとの間に配置された振動可能ツールを含む。システムは、振動可能ホーンに通電して、振動可能ホーンから、振動可能ツールを介して熱可塑性ワークピースにエネルギーを伝達して、熱可塑性ワークピースの溶接、かしめ、スエージング、成形、又はディゲーティングを誘導するように構成される。
【0011】
本開示の別の一態様によれば、システムは、面を有する振動可能ホーン、熱可塑性ワークピース、及び振動可能ホーンと熱可塑性ワークピースとを接触させることなく振動可能ホーンから熱可塑性ワークピースにエネルギーを伝達して、熱可塑性ワークピースの溶接、かしめ、スエージング、成形、又はディゲーティングを誘導するための手段を含む。
【0012】
本開示の別の一態様によれば、方法は、上面及び下面を有する振動可能ツールを、振動可能ホーンと熱可塑性ワークピースとの間に配置することと、振動可能ホーン及び熱可塑性ワークピースのうちの少なくとも一方を他方に対して移動させて、振動可能ツールの下面が熱可塑性ワークピースの上面に接触し、その一方で、振動可能ツールの上面が振動可能ホーンの面に接触するようにすることと、を含む。本方法は更に、振動可能ホーンに通電して、振動可能ホーンから、振動可能ツールを介して熱可塑性ワークピースにエネルギーを伝達し、熱可塑性ワークピースの溶接、かしめ、スエージング、成形、又はディゲーティングを誘導することを含む。
【0013】
追加的に又は代替的に、方法は、ツールを複数回使用して複数の熱可塑性ワークピースを処理すること、及び/又はツールを使用して複数の熱可塑性ワークピースを同時に処理することを含んでもよい。
【0014】
追加的に又は代替的に、熱可塑性ワークピースは、第1の部分及び第2の部分を含んでもよく、本方法は、振動可能ツールを使用して、第1の部分及び/又は第2の部分の、溶接、かしめ、スエージング、成形、又はディゲーティングを誘導することを含んでもよい。
【0015】
追加的に又は代替的に、熱可塑性ワークピースはランナを含んでもよく、本方法は、振動可能ホーン及び熱可塑性ワークピースのうちの少なくとも一方を他方に対して移動させて、振動可能ツールの下面が、ランナに接触し、その一方で、振動可能ツールの上面が、振動可能ホーンの面に接触するようにすることを含んでもよい。
【0016】
追加的に又は代替的に、本方法は、超音波周波数で振動可能ホーンに通電することを含んでもよい。
【0017】
追加的に又は代替的に、本方法は、振動可能ホーンに通電して、振動可能ホーンの振動方向に平行又は垂直に延在する溶接部を熱可塑性ワークピース内に生成することを含んでもよい。
【0018】
追加的に又は代替的に、振動可能ツールの下面は、熱可塑性ワークピースの上面に対して相補的であってもよく、それによって、通電中に、振動可能ツールの下面と熱可塑性ワークピースの上面との間の実質的に均一な接触を許容にしてもよい。
【0019】
追加的に又は代替的に、熱可塑性ワークピースの上面は、三次元輪郭を有してもよく、振動可能ツールの下面は、熱可塑性ワークピースの上面の三次元輪郭に相補的である三次元輪郭を有してもよい。
【0020】
追加的に又は代替的に、振動可能ホーンの面は、三次元輪郭を有してもよく、振動可能ツールの上面は、ホーン面の三次元輪郭に相補的である三次元輪郭を有してもよい。
【0021】
追加的に又は代替的に、振動可能ホーンの面は、実質的に平面であってもよい。
【0022】
追加的に又は代替的に、振動可能ツールは、1つ以上の金属、熱可塑性物質、及び/又は熱硬化性プラスチックを含んでもよい。
【0023】
追加的に又は代替的に、本方法は、付加的又は除去的製造プロセスを使用して、振動可能ツールを生産することを含んでもよい。
【0024】
追加的に又は代替的に、本方法は、通電中に、振動可能ツール及び/又は熱可塑性ワークピースを固定具で支持することを含んでもよい。更に、固定具は、1つ以上の調整可能な位置合わせ部材を含んでもよい。
【0025】
追加的に又は代替的に、振動可能ツールは、ホーンに連結されてもよい。
【0026】
本開示の別の一態様によれば、熱可塑性ワークピースのための超音波溶接システムは、面を有する超音波ホーンと、少なくとも第1の部分及び第2の部分を含む熱可塑性ワークピースとを含む。第1の部分及び第2の部分の各々が、上面及び下面を有する。第1の部分の上面は、三次元輪郭を有し、第1の部分の下面は、1つ以上の場所で第2の部分の上面に接触する。システムは、超音波ホーンの面と熱可塑性ワークピースの第1の部分の上面との間に配置された、振動可能ツールを更に含む。振動可能ツールは、上面及び下面を含む。振動可能ツールの下面は、熱可塑性ワークピースの第1の部分の上面の三次元輪郭に相補的である三次元輪郭を有する。システムは、超音波ホーンに通電して、超音波ホーンから、振動可能ツールを介して当該1つ以上の位置にエネルギーを伝達して、熱可塑性ワークピースの第1の部分を、熱可塑性ワークピースの第2の部分に超音波溶接するように構成される。
【0027】
本開示の別の一態様によれば、熱可塑性ワークピースのための超音波溶接システムは、面を有する超音波ホーンと、少なくとも第1の部分及び第2の部分を含む熱可塑性ワークピースとを含む。超音波ホーンの面は、三次元輪郭を有する。熱可塑性ワークピースの第1の部分及び第2の部分はそれぞれ、上面及び下面を有する。第1の部分の下面は、1つ以上の場所で第2の部分の上面に接触する。システムは、超音波ホーンと熱可塑性ワークピースの第1の部分の上面との間に配置された振動可能ツールを更に含む。振動可能ツールは、上面及び下面を含む。振動可能ツールの上面は、超音波ホーンの面の三次元輪郭に相補的である三次元輪郭を有する。システムは、超音波ホーンに通電して、超音波ホーンから、振動可能ツールを介して当該1つ以上の位置にエネルギーを伝達して、熱可塑性ワークピースの第1の部分を、熱可塑性ワークピースの第2の部分に超音波溶接するように構成される。
【0028】
本開示の更に別の一態様によれば、超音波溶接の方法は、振動可能ツールを、面を有する超音波ホーンと、少なくとも第1の部分及び第2の部分を有する熱可塑性ワークピースとの間に配置することを含む。熱可塑性ワークピースの第1の部分は、三次元輪郭を有する上面を有する。振動可能ツールは、上面と、熱可塑性ワークピースの第1の部分の上面の三次元輪郭に相補的である三次元輪郭を有する下面とを有する。本方法は、超音波ホーン及び熱可塑性ワークピースの少なくとも一方を他方に対して移動させて、振動可能ツールの下面が熱可塑性ワークピースの第1の部分の上面に接触し、その一方で、振動可能ツールの上面が超音波ホーンの面に接触するようにすることと、超音波ホーンに通電して、超音波ホーンから、振動可能ツールを介して熱可塑性ワークピースにエネルギーを伝達し、熱可塑性ワークピースの第1の部分と第2の部分との間に溶接部を形成することとを更に含む。
【0029】
本開示のまた更に別の一態様によれば、超音波溶接の方法は、振動可能ツールを、面を有する超音波ホーンと、少なくとも第1の部分及び第2の部分を有する熱可塑性ワークピースとの間に配置することを含む。超音波ホーンの面は、三次元輪郭を有する。振動可能ツールは、下面と、超音波ホーンの面の三次元輪郭に相補的である三次元輪郭を有する上面とを有する。本方法は、超音波ホーン及び熱可塑性ワークピースの少なくとも一方を他方に対して移動させて、振動可能ツールの下面が熱可塑性ワークピースの第1の部分の上面に接触し、その一方で、振動可能ツールの上面が超音波ホーンの面に接触するようにすることと、超音波ホーンに通電して、超音波ホーンから、振動可能ツールを介して熱可塑性ワークピースにエネルギーを伝達し、熱可塑性ワークピースの第1の部分と第2の部分との間に溶接部を形成することとを更に含む。
【0030】
更なる態様及び適用可能な更なる領域は、本明細書で提供される説明から明らかになるであろう。本開示の様々な態様は、個別に、又は1つ以上の他の態様と組み合わせて実装され得るということを理解されたい。本明細書における説明及び特定の例は、例示のみを目的とするものであり、本開示の範囲を限定するものではないということも理解されたい。更なる適用可能な領域は、本明細書で提供される説明から明らかになるであろう。この概要における説明及び特定の例は、例示のみを目的とするものであり、本開示の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本明細書で説明される図面は、すべての可能な実装形態ではなく、選択された実施形態の例示のみを目的としており、本開示の範囲を限定することを意図していない。
図1】従来技術による、超音波溶接システムの断面図である。
図2】従来技術による、起伏のある輪郭のホーンを有する超音波溶接システムの断面図である。
図3】本開示の一実施形態による、熱可塑性ワークピースの超音波又は振動溶接、かしめ、スエージング、成形、又はディゲーティングのためのシステムの断面図である。
図4】複数の熱可塑性ワークピースを同時に処理するためのシステムの断面図である。
図5】本開示の別の一実施形態による、スタッド溶接のためのシステムの断面図である。
図6】本開示の別の一実施形態による、超音波かしめのためのシステムの断面図である。
図7】本開示の別の一実施形態による、超音波ディゲーティングのためのシステムの断面図である。
図8】別の一実施形態による、相補的である起伏のある輪郭の表面を有する、ホーンと振動可能ツールとを含むシステムの断面図である。
図9】別の一実施形態による、相補的である起伏のある輪郭の表面を有する、振動可能ツールとワークピースとを含むシステムの断面図である。
図10】起伏のある輪郭の複数の表面を有する振動可能ツールを含むシステムの断面図である。
図11】起伏のある輪郭の複数の表面と均一な厚さとを有する振動可能ツールを含むシステムの断面図である。
図12】更に別の例示的一実施形態による、超音波かしめのために適合された振動可能ツールを含むシステムの断面図である。
図13】別の例示的一実施形態による、超音波スエージング及び成形のために適合された振動可能ツールを含むシステムの断面図である。
図14】起伏のある輪郭のワークピースを支持する、起伏のある輪郭の表面を有する固定具を含むシステムの断面図である。
図15】ポートを有するワークピースを収容するためのレリーフを有する振動可能ツールを含むシステムの断面図である。
図16】上面よりも狭い下面を有する振動可能ツールを含むシステムの断面図である。
図17】更に別の一例示的実施形態による、ねじりホーンを含むシステムの断面図である。
図18】熱可塑性シート又はフィルムと係合するための突起を有する振動可能ツールを含むシステムの断面図である。
図19】振動可能ツールを配置するための位置合わせガイドを有する固定具を含むシステムの等角投影図である。
図20】振動可能ホーンに連結された振動可能ツールを含むシステムの断面図である。
図21】本開示の更に別の例示的一実施形態による、起伏のある輪郭の振動可能ツールを有するシステムの等角投影図である。
図22図21に示される、起伏のある輪郭の振動可能なワークピースと起伏のある輪郭のツールとの上面図である。
図23】本開示のまた更に別の例示的一実施形態による、振動可能ツールを含む超音波溶接機の正面図である。
【0032】
対応する参照番号は、図面のいくつかの図を通して対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
例示的な実施形態は、添付の図面を参照してより完全に説明される。
【0034】
例示的な実施形態は、本開示が完全であり、その範囲を当業者に完全に伝えるように提供される。本開示の実施形態の完全な理解を提供するために、特定の構成要素、デバイス、及び方法の例などの多数の特定の詳細が記載される。特定の詳細が使用される必要がないこと、例示的な実施形態が多くの異なる形態で具現化され得ること、及びいずれも本開示の範囲を限定するように解釈されるべきでないことは、当業者には明らかであろう。いくつかの例示的な実施形態では、周知のプロセス、周知のデバイス構造、及び周知の技術は詳細に説明されない。
【0035】
本明細書で使用される用語は、特定の例示的な実施形態のみを説明するためのものであり、限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数形も含むことが意図され得る。「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」という用語は、包括的であり、したがって、述べられた特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらの集団の存在又は追加を排除しない。本明細書で説明される方法ステップ、プロセス、及び動作は、実行の順序として具体的に特定されない限り、説明又は図示される特定の順序でのそれらの実行を必ず必要とするとは解釈されるべきではない。追加的又は代替的なステップが使用され得るということも理解されるべきである。
【0036】
第1、第2、第3などの用語は、様々な要素、構成要素、領域、層、及び/又はセクションを説明するために本明細書で使用され得るが、これらの要素、構成要素、領域、層、及び/又はセクションは、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、層又はセクションを別の領域、層又はセクションから区別するためにのみ使用され得る。「第1」、「第2」、及び他の数値用語などの用語は、本明細書で使用されるとき、文脈によって明確に示されない限り、シーケンス又は順序を暗示するものではない。したがって、以下で説明する第1の要素、構成要素、領域、層又はセクションは、例示的な実施形態の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、層又はセクションと呼ぶことができる。
【0037】
「内側(inner)」、「外側(outer)」、「真下(beneath)」、「下(below)」、「下部(lower)」、「上(above)」、「上部(upper)」などの空間的に相対的な用語は、本明細書では、図に示されるような1つの要素又は特徴の、別の要素又は特徴に対する関係を説明するにあたり、その説明を容易にするために使用され得る。空間的に相対的な用語は、使用又は動作中のデバイスの、図に示される向きに加えて、異なる向きを包含することが意図され得る。例えば、図中のデバイスがひっくり返された場合、他の要素又は特徴の「下(below)」又は「真下(beneath)」として説明される要素は、他の要素又は特徴の「上(above)」に配向されるであろう。したがって、例示的な用語「下(below)」は、上及び下の両方の向きを包含することができる。デバイスは、別様に配向されてもよく(90度又は他の配向で回転される)、本明細書で使用される空間的に相対的な記述用語は、それに応じて解釈される。
【0038】
本開示の1つの例示的な実施形態によるシステムが図3に示されており、参照番号300によって一般的に示されている。図3に示すように、システム300は、面304を有する振動可能ホーン302、熱可塑性ワークピース306、振動可能ホーン302と熱可塑性ワークピース306との間に配置された振動可能ツール308を含む。システム300は、振動可能ホーン302に通電して、振動可能ホーン302から、振動可能ツール308を介して熱可塑性ワークピース306にエネルギーを伝達して、熱可塑性ワークピースの溶接を誘導するように構成される。このようにして、振動可能ツール308は、溶接を誘導するために、必要に応じて振動可能ホーン302から熱可塑性ワークピース306にエネルギーを伝達するための中間装置として使用される。
【0039】
振動可能ツール308は、超音波ホーン302が熱可塑性ワークピース306に接触することを防止し、したがって、ホーンが熱可塑性ワークピース上に、目に見える望ましくないマークを生成することを防止する。加えて、以下で更に説明されるように、振動可能ツール308は、振動可能ツールが熱可塑性ワークピースに接触する場所で、熱可塑性ワークピースがマーキングされるのを回避又は抑制するように設計されもよい。
【0040】
図3に示すように、システム300は、熱可塑性ワークピースの第1の部分306Aを、熱可塑性ワークピースの第2の部分306Bに溶接するように適合されている。当業者には明らかなように、溶接前に、第1の部分306A及び第2の部分306Bは、別個の構成要素であってもよいし、同じ構成要素の異なる部分であってもよい。
【0041】
振動可能ツール308が、図3に示されるワークピース306の溶接を誘導するために使用されると、ツールは、(例えば、自動化された生産ラインプロセスにおいて)一連のワークピースにおいて溶接部を生成するために、何度も繰り返し使用され得る。同様に、振動可能ツール308を使用して、図4に示すように、複数のワークピース310、312、314に対して同時に溶接部を生成することができる。更に、振動可能ツール308は、長期間又は無期限に再使用可能であるので、溶接プロセスにおける廃棄物を低減するために、使い捨ての溶接フィルムの代わりに使用することができる。代替的に、溶接フィルムを、振動可能ツール308とワークピース306との間に配置して、ワークピースのマーキングを抑制することができる。
【0042】
図3に示すように、システム300は、溶接プロセス中に、熱可塑性ワークピース306の移動を支援及び/又は防止するための、固定具330も含むことができる。
【0043】
システム300は、好ましくは、振動可能ホーンが通電されると、振動可能ホーン302及び熱可塑性ワークピース306のうちの少なくとも一方を他方に対して移動させて、(図3に示すように)振動可能ツール308の下面316が熱可塑性ワークピース306の上面318に接触し、振動可能ツール308の上面320が振動可能ホーン302の面304に接触するように構成されている。例えば、システム300は、振動可能ホーン302を、伸長位置(図3に示される)と、ホーン302が振動可能ツール308から離間される(又は、以下で議論されるように、振動可能ツールがホーンに連結される場合、振動可能ツール308がワークピース306から離間される)後退位置との間で移動させるように構成されるプレスを含んでもよい。代替的に、システム300は、例えば、熱可塑性ワークピース306、又はワークピースを支持する固定具330を、伸長位置と後退位置との間で移動させるように構成されてもよい。
【0044】
システム300は、振動可能ホーン302を、超音波周波数(例えば、20~40kHz)で作動させて、ワークピース306の超音波溶接を誘導してもよい。代替的に、システムは、振動可能ホーンをより低い周波数で作動させて、ワークピースの振動溶接を誘導してもよい。当業者には明らかなように、ホーンの振動方向は、典型的には、超音波溶接の場合、(矢印324で示すように)溶接部322に対して垂直であり、振動溶接の場合、(矢印326で示すように)溶接部322に対して平行である。他の実施形態では、ホーンの振動方向は、特定の用途に応じて、円周方向又は他の方向であってもよい。
【0045】
図3のシステム300は、これらの教示の任意の所与の実装形態におけるワークピース及び/又は振動可能ツール308の構成に応じて、熱可塑性ワークピース306の複数の部分の間に連続的又は断続的な溶接を生成するために使用され得る。例えば、熱可塑性ワークピースの第1の部分306A及び第2の部分306Bは、図5に示すように、1つ以上のスタッド溶接接合部を形成するように構成されてもよい。ホーン302からの高周波超音波振動は、振動可能ツール308を介して熱可塑性ワークピースの第1の部分306Aに付与され、成形スタッド309を、締まり嵌めで穴311内に駆動する。
【0046】
本開示の教示は、超音波溶接及び振動溶接に限定されないが、それは、振動可能ツール308が、超音波かしめ、超音波スエージング及び成形、超音波ディゲーティングなどを含む他の用途に容易に適合され得るからである。例えば、熱可塑性ワークピース306は、図6に示すように、超音波かしめのためのプラスチックスタッド332(ボスと呼ばれることもある)を含んでもよい。スタッド332は、熱可塑性ワークピース306に対して所定の位置にロックされる構成要素334内の孔333を通って突出してもよい。ホーン302からの高周波超音波振動は、振動可能ツール308を介してスタッド332の頂部に付与され、スタッドを溶融し、部品334を所定位置にロックする。ワークピース306は熱可塑性であるが、部品334は、金属、異種プラスチックなどの異種材料であってもよい。当業者には明らかなように、超音波かしめ及び/又はスエージングを使用して、ワークピース306と部品334との間に、1つ以上の追加の部分又は部品を捕捉することもできる。
【0047】
本開示の教示はまた、図7に示されるように、超音波ディゲーティングを使用して、熱可塑性ワークピースの第1の部分306A及び第2の部分306Bを分離してもよい。この例では、第1部分306Aが、ランナとして構成され、第2部分306Bが、ランナから分離される構成要素である。ホーン302からの高周波超音波振動は、振動可能ツール308を介してランナ306Aに付与され、ゲートセクション336に、超音波エネルギーを導入して、ランナ306Aを部品306Bに接合する。これは、構成要素306Bが、ランナ306Aから分離するまで、構成要素306Bに周期的曲げモーメントを導入する。
【0048】
振動可能ツール308の上面及び下面は、それぞれホーン302の合わせ面及びワークピース306の合わせ面に対して相補的である形状を有することが好ましい。例えば、図3及び図4に示される実施形態において、振動可能ツール308の上面及び下面は、平坦なホーン面及び平坦なワークピースと係合するために平坦(すなわち、平面)である。他の実施形態では、振動可能ツール308は、起伏のある輪郭のホーン及び/又は起伏のある輪郭のワークピースとの境界面を構成するために、起伏のある輪郭の1つ以上の表面を有してもよい。
【0049】
例えば、振動可能ホーン302の面304が、三次元輪郭を有する場合、振動可能ツール308の上面320は、図8に示すように、ホーン面304の三次元輪郭に相補的である三次元輪郭を有してもよい。その結果、振動可能ツール308を使用して、図8に示すように、適合する輪郭を有するワークピースと係合するように設計された起伏のある輪郭のホーン302に、平坦な上面を有する本質的にいかなるワークピース306とも境界面を構成させることができる。
【0050】
代替的に、振動可能ツール308は、図9に示されるように、平坦面のホーン302と係合するための平坦な上面320と、起伏のある輪郭のワークピース306に相補的である起伏のある輪郭の下面316とを有してもよい。このようにして、振動可能ツール308は、平坦面のホーンに起伏のある輪郭のワークピースと境界面を構成させるために使用され、平坦面のホーンの潜在的な用途を著しく拡大することができる。同時に、振動可能ツールは、起伏のある輪郭のワークピースと境界面を構成するための起伏のある輪郭のホーンを設計及び製作する必要性を排除し得る。カスタム部品を製造するために起伏のある輪郭のホーン(複雑なFEA解析を必要とする)を製造する代わりに、振動可能ツール308は、平坦面のホーンに起伏のある輪郭のワークピースと境界面を構成させるために、わずかなコストで容易に適合又は製造され得る。同様に、平坦面のホーンに、異なる三次元輪郭を有する複数の異なるワークピースと境界面を構成させるために、様々な振動可能ツールが(例えば、3D印刷を介して)製造され得る。
【0051】
他の実施形態では、振動可能ツール308の下面316及び上面320はそれぞれ、起伏のある輪郭のホーン及び起伏のある輪郭のワークピースと係合するように起伏のある輪郭を有していてもよい。更に、ホーン面304の輪郭は、図10に示されるように、ワークピースの輪郭とは異なり、非相補的であってもよい。その結果、振動可能ツール308を使用して、一致する起伏のある輪郭を有するワークピースと接触するように設計された既存のホーン302に、一致しない起伏のある輪郭の上面を有する本質的にいかなるワークピースとも境界面を構成させ得る。
【0052】
代替的に、ホーン面304の輪郭は、図11に示すように、ワークピースに対して相補的であってもよい。その場合、振動可能ツール308は、起伏のある輪郭のホーン302に対して相補的である上面320と、起伏のある輪郭のワークピース306に対して相補的である下面316とを有し得る。振動可能ツール308はまた、均一な厚さ(すなわち、図11に示される例では、垂直方向の厚さ)を有してもよい。したがって、振動可能ツール308は、熱可塑性ワークピースのマーキングを低減又は抑制するために、例えば溶接フィルムの代わりに使用してもよい。
【0053】
振動可能ツール308はまた、種々の超音波かしめ構成を実装するために所望されるように、起伏のある輪郭を有していてもよい。例えば、図12に示すように、振動可能ツール308は、その下面316に、1つ以上のキャビティ340、342を備えていてもよい。ホーン302からの高周波超音波振動は、振動可能ツール308を介してスタッド332の上部に付与され、キャビティ340、342を溶融及び充填して、部品334を所定の位置にロックするヘッドを生成することができる。振動可能ツール308の上面は、図12に示されるように、平坦面のホーンと係合するように平坦であってもよい。代替的に、振動可能ツールの上面及びホーン面は、上述したような相補的である輪郭を有してもよい。上述したように、構成要素334は、金属、異種プラスチックなど、熱可塑性ワークピース306と比較して異種材料であってもよい。
【0054】
同様に、振動可能ツール308は、超音波スエージング及び成形を実行するために所望されるように、起伏のある輪郭を有していてもよい。例えば、図13に示すように、振動可能ツール308は、下面にキャビティ344を備え得る。ホーン302からの高周波超音波振動は、振動可能ツールを介して熱可塑性ワークピース306の壁346に付与され、別の構成要素334を覆うプラスチックの隆起部を溶融及び再形成し、構成要素334を機械的に捕捉する。振動可能ツール308の上面は、図13に示されるように、平坦面のホーンと係合するために平坦であってもよい。代替的に振動可能ツール308の上面及びホーン面は、上述したような相補的である輪郭を有してもよい。当業者には明らかなように、超音波かしめ及び/又はスエージングを使用して、ワークピース306と構成要素334との間に1つ以上の追加の部分又は構成要素を捕捉することもできる。
【0055】
振動可能ツール308が、起伏のある輪郭のホーン及び/又は起伏のある輪郭のワークピースにマッチするための起伏のある輪郭の表面を有する任意の実装形態においては、起伏のある輪郭の表面は、特定のワークピースの複雑かつ固有の表面形状(すなわち、起伏のある輪郭)に適合するように、必要に応じて、複数の隆起部分及び/又は陥凹部分(たとえば、リッジ部及び谷部)、曲線、段付き部分、及び/又は傾斜部分を含んでもよい。
【0056】
更に、振動可能ツール308は、図15に示されるように、ポート356との接触又は熱可塑性ワークピース306内の他の表面形状部との接触を回避するための1つ以上の開口部又はレリーフ領域354を含んでいてもよい。更に、図16に示すように、ワークピース306に接触する振動可能ツール308の部分は、ホーン302に接触する振動可能ツール308の部分よりも狭くてもよい。代替的に、ワークピース306に接触する振動可能ツール308の部分は、ホーン302に接触する振動可能ツールの部分と同じであるか又はそれより大きい幅を有していてもよい。
【0057】
更に、振動可能ツール308は、ねじれ振動可能ホーンと共に使用するように適合されてもよく、このねじれ振動可能ホーンは、ねじれ振動を与えるために円周方向に振動するものである。例えば、図17に示すように、振動可能ツール308は、ホーンから振動可能ツール308に振動エネルギーを伝達するために、ホーン302上の対応するキー表面形状部(例えば、スロット又は突起362)と係合するための1つ以上のキー表面形状部(例えば、突起又はスロット360)を含んでもよい。
【0058】
更に、振動可能ツール308の下面には、例えば図18に示すように、熱可塑性ワークピース306と接触するように適合された1つ以上の突起364、366が設けられてもよい。これは、ツール308が、熱可塑性材料を含む2枚以上のシート又はフィルム306A、306B(例えば、溶接のために十分な量の熱可塑性材料を含む織布若しくは不織布又は複合材)の超音波溶接又は振動溶接のために使用される場合を含む、種々の用途に望ましい場合がある。
【0059】
任意の所与の実装形態において、固定具330は、例えば図3図13に示すように、熱可塑性ワークピース306を支持するための平坦面を含み得る。代替的に、固定具330は、例えば図14に示されるように、起伏のある輪郭のワークピース306を支持するための起伏のある輪郭の表面を有してもよく、又は例えば図15~17に示されるように、側壁370、372を含んでもよく、ワークピース306を間に保持してもよい。加えて、熱可塑性ワークピース306は、例えば図14図17に示されるように、任意の所与の実装形態において1つ以上のエネルギーダイレクタ350、352を含んでもよい。
【0060】
振動可能ツール308は、例えば図3及び図9に示されるように、ワークピース306上に載置されてもよく、ワークピース306によって配置されてもよい。追加的に又は代替的に、固定具330は、ワークピース306に対する振動可能ツール308の位置を維持するように適合されてもよい。例えば、図19の実施形態では、固定具330は、振動可能ツール308の位置をそれらの間に維持するための1つ以上の位置合わせガイド374を含む。位置合わせガイド374は、好ましくは、ガイドが振動可能ツールに接触しない伸長位置(ツール及び/又はワークピースが固定具から取り外され、かつ/又は固定具内に配置されることを許容するための位置)と、ガイド374が振動可能ツール308に接触し、振動可能ツールを適切な位置に保持する後退位置(図19に示される)との間で移動可能である。更に、位置合わせガイド374は、例えば、自動化された生産ラインを容易にするために作動され得る。追加的に又は代替的に、固定具330は、図19に示すように、ワークピース306に相補的である部分窪み376を含んでもよく、それにより、ワークピースを適切な位置に受け入れて保持してもよい。
【0061】
他の実施形態では、振動可能ツール308は、図20に示されるように、ホーン302に連結されてもよく、したがって、(ホーンが、矢印378によって図20に図示されるように、ワークピースに対して移動可能である場合には)ホーンとともに移動してもよい。振動可能ツール308は、ホーン302に緩く連結されてもよく、したがって、ツールはホーンと共振しなくてもよい。例えば、振動可能ツールは、ホーンに(例えば、締結具を用いて)連結されてもよいが、ツール308がホーン302とは独立して振動することができるようにホーンから間隔を空けて配置されてもよい。代替的に、振動可能ツール308は、振動可能ツールがホーンと共振するように、締結具(例えば、ねじ)、接着剤、溶接などの任意の適切な手段を介してホーン302に堅固に連結されてもよい。その場合、マイラーシート(BoPETなど)をホーンと振動可能ツールとの間に挿入することができる。
【0062】
振動可能ツール308は、ツールがホーンと共振する場合、最大量のエネルギーをワークピースに伝達することができる。一方、振動可能ツールがホーンと共振する場合、振動可能ツールは、振動可能ツールがワークピースに接触する場所で、ワークピースにマークを付ける可能性が高い。更に、振動可能ツール308が、溶接、かしめ、スエージング、成形、デゲートなどを達成するのに十分な量の振動エネルギーをワークピースに伝達するために振動可能ツール308がホーンと共振する必要はない。振動可能ツール308がホーン302と共振しない場合、ホーンは、亀裂の影響を受けにくく、振動可能ツールによって提供される減衰を補償するために、いくつかの実装形態において必要とされ得る、より高い振幅を許容し得る。
【0063】
振動可能ツール308は、金属(例えば、アルミニウム又は鋼)、熱可塑性物質(ガラス充填熱可塑性物質を含む)、熱硬化性プラスチック、炭素繊維などを含む任意の適切な材料(複数可)から作製されてもよい。一般に、材料(複数可)は、ツール308が必要な量のエネルギーをワークピースに伝達するのに十分な剛性を有するが、ワークピース上のマーキングを抑制するのに十分な柔軟性を有するように選択されるべきである。振動可能ツール308が、ABSプラスチックなどの硬質プラスチックを含むワークピースを処理するために使用される1つの例示的な実装形態では、振動可能ツールは、アルミニウム充填ナイロンSLS材料から形成される。振動可能ツール308が、ポリスチレンから形成されたワークピースなどのより柔らかいワークピースを処理するために使用される別の例示的な一実装形態では、振動可能ツールは、アルミニウム充填ナイロンSLS材料よりも柔らかい(すなわち、よりコンプライアントな)SLA熱硬化性プラスチックなどのより柔らかい材料から形成される。
【0064】
更に、振動可能ツール308は、付加製造(例えば、SLS又はSLAプリンタによる3D印刷を介して)、除去製造(例えば、CNC機械を使用して)、鋳造、成形等を含む、任意の好適なプロセスによって作製されてもよい。最良の結果のために、振動可能ツール308のための材料組成及び/又は製造技法は、加工されるワークピースの材料組成及び/又は形状に基づいて選択されることができる。
【0065】
振動可能ツール308が、ホーン又はワークピースの、起伏のある輪郭に完全には一致しない、起伏のある輪郭の1つ以上の表面を有する場合、振動可能ツール308は、振動可能ツールの摩耗により、振動可能ツールの起伏のある輪郭がホーン及び/又はワークピースの起伏のある輪郭に、より密接に一致するか又は沿うようになるまで、そのようなホーン及び/又はワークピースとともに繰り返し使用され得る。次いで、振動可能ツール308の三次元走査を行い、これを使用して、摩耗したツールの1つ以上の複製を、(例えば、手動で、又は3Dプリンタ若しくはCNC機械などを用いて)生成することができ、したがって、摩耗した工具の複製は、摩耗前の元の振動可能ツールと比較して、ホーン及び/又はワークピースの輪郭により密接に一致する。
【0066】
図21は、面304を有する振動可能ホーン302、熱可塑性ワークピース306、ホーン302とワークピース306との間に配置された振動可能ツール308、及び熱可塑性ワークピース306と振動可能ツール308とを支持するための固定具330を含むシステムの、別の一実施形態を示す。更に、振動可能ツール308の下面316は、図22に示すように、ワークピース306の上面318の複雑な三次元輪郭に相補的である、複雑な三次元輪郭を有する。
【0067】
明らかなように、本明細書に記載される振動可能ホーン302は、超音波溶接機における超音波スタックの一部であってもよい。例えば、図23は、超音波トランスデューサ404と、ブースタ406と、及び振動可能ホーン302とを含む超音波スタック402を含む超音波溶接機400を示す。溶接機400はまた、コントローラ408、及び好ましくはコントローラ408と一体化される電源を含んでもよい。代替的に、振動可能ホーン302は、振動溶接機などの一部であってもよい。振動可能ホーン302を有する任意の適切な溶接機械又は振動機械が、本明細書に記載される、溶接、かしめ、スエージング、成形、及びディゲーティング加工を実行するために使用されてもよい。
【0068】
本明細書に記載され、図に示される振動可能ツール308は、振動可能ホーンと熱可塑性ワークピースとの間の接触なしに、振動可能ホーンから熱可塑性ワークピースにエネルギーを伝達するための手段と考えられ得る。
【0069】
実施形態の前述の説明は、例示及び説明の目的で提供されている。網羅的であること、又は本開示を限定することは意図されていない。特定の実施形態の個々の要素又は特徴は、概して、その特定の実施形態に限定されないが、適用可能な場合、具体的に図示又は説明されていなくても、交換可能であり、選択された実施形態において使用されることができる。同じことが、多くの方法で変更されてもよい。そのような変形は、本開示からの逸脱と見なされるべきではなく、すべてのそのような修正は、本開示の範囲内に含まれるということが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23