(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163073
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】作業車両のための制御システム及び制御方法
(51)【国際特許分類】
A01B 69/00 20060101AFI20241114BHJP
B62D 6/00 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
A01B69/00
B62D6/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024076130
(22)【出願日】2024-05-08
(31)【優先権主張番号】23315175.2
(32)【優先日】2023-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ゼルビーノ, ファルヴィオ
【テーマコード(参考)】
2B043
3D232
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043AB11
2B043BA07
2B043BB01
2B043BB11
2B043BB12
2B043DC01
2B043DC03
2B043EA01
2B043EA06
2B043EA15
2B043ED01
2B043EE01
3D232CC20
3D232DA04
3D232DA87
3D232GG04
3D232GG11
(57)【要約】
【課題】走行装置(18)を有する作業車両(10)の制御システムを提供する。
【解決手段】走行装置(18)を有する作業車両(10)の制御システムにおいて、前記作業車両(10)は前記走行装置(18)によって走行可能であり、操舵指令を実行するように前記走行装置(18)を制御するように構成された操舵制御ユニット(12)であって、第1方向制御ユニット(21)からの第1操舵指令及び第2方向制御ユニット(22)からの第2操舵指令を受信するように構成された操舵制御ユニット(12)と、前記操舵制御ユニット(12)が前記第1操舵指令を実行し、前記第2操舵指令を無視する第1モードと、前記操舵制御ユニット(12)が前記第2操舵指令を実行し、前記第1操舵指令を無視する第2モードとを選択するセレクタ(14)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置(18)を有する作業車両(10)の制御システムであって、前記作業車両(10)は前記走行装置(18)によって走行可能であり、
操舵指令を実行するように前記走行装置(18)を制御するように構成された操舵制御ユニット(12)であって、第1方向制御ユニット(21)からの第1操舵指令及び第2方向制御ユニット(22)からの第2操舵指令を受信するように構成された操舵制御ユニット(12)と、
前記操舵制御ユニット(12)が前記第1操舵指令を実行し、前記第2操舵指令を無視する第1モードと、前記操舵制御ユニット(12)が前記第2操舵指令を実行し、前記第1操舵指令を無視する第2モードとを選択するセレクタ(14)と、
を備えることを特徴とする制御システム。
【請求項2】
前記操舵制御ユニット(12)による前記第1操舵指令の実行を可能にし、制限するように構成された第1係合スイッチ(23)と、
前記操舵制御ユニット(12)による前記第2操舵指令の実行を可能にし、制限するように構成された第2係合スイッチ(24)と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記セレクタ(14)は、前記第1モードにおいて、前記第1係合スイッチ(23)を作動させ、前記第2係合スイッチ(24)の作動を停止させ、前記第2モードにおいて、前記第1係合スイッチ(23)の作動を停止させ、前記第2係合スイッチ(24)を作動させるように構成される請求項2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記第1係合スイッチ(23)を作動させている間、前記第2係合スイッチ(24)の作動を停止させるようにさらに構成され、
任意的には、前記第1係合スイッチ(23)の作動時、前記第2係合スイッチ(24)の作動を停止させるように構成される請求項2又は3に記載の制御システム。
【請求項5】
前記第2係合スイッチ(24)を作動させているとき、前記第1係合スイッチ(23)の作動を可能にするようにさらに構成される請求項2又は3に記載の制御システム。
【請求項6】
前記第1係合スイッチ(23)を作動させているとき、前記第2方向制御ユニット(22)に無視信号を送信するようにさらに構成される請求項2又は3に記載の制御システム。
【請求項7】
前記セレクタ(24)が第3モードを選択できるようにさらに構成され、
前記制御システムは、前記第3モードにおいて、前記第1係合スイッチ(23)及び前記第2係合スイッチ(24)の作動を可能にし、前記操舵制御ユニット(12)に前記第1操舵指令を実行させ、前記第2操舵指令を無視させるように構成される請求項2又は3に記載の制御システム。
【請求項8】
前記セレクタ(14)は、前記第1方向制御ユニット(21)と前記第2方向制御ユニット(22)の両方がアクティブ状態であると判断されたとき、選択画面を表示するように構成された表示装置を含む請求項1~3のいずれかに記載の制御システム。
【請求項9】
前記第1方向制御ユニット(21)及び前記第2方向制御ユニット(22)は、前記作業車両(10)の位置及び前記作業車両(10)の予定ルートを入力値とする演算に基づいて操舵指令を生成するように構成される請求項1~3のいずれかに記載の制御システム。
【請求項10】
前記操舵制御ユニット(12)による前記第1操舵指令及び前記第2操舵指令の実行を阻止するように構成されたキラースイッチ(25)をさらに備える請求項1~3のいずれかに記載の制御システム。
【請求項11】
走行可能な走行装置(18)を備える作業車両(10)であって、
前記作業車両(10)が前記走行装置(18)によって走行可能であり、
請求項1~3のいずれかに記載の制御システムを備えている作業車両(10)。
【請求項12】
前記第1方向制御ユニット(21)及び、任意的には、前記第2方向制御ユニット(22)は、前記作業車両の車載部品である請求項11に記載の作業車両(10)。
【請求項13】
走行装置(18)を有する作業車両(10)の制御方法であって、前記作業車両(10)は前記走行装置(18)によって走行可能であり、
操舵指令を実行するように前記走行装置(18)を制御するように構成された操舵制御ユニット(12)において、前記操舵制御ユニット(12)が第1方向制御ユニット(21)からの第1操舵指令と、第2方向制御ユニット(22)からの第2操舵指令とを受信するように構成された場合、
前記操舵制御ユニット(12)が前記第1操舵指令を実行し、前記第2操舵指令を無視する第1モードと、前記操舵制御ユニット(12)が前記第2操舵指令を実行し、前記第1操舵指令を無視する第2モードとを選択するセレクタ(14)を操作するステップを含む作業車両の制御方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法のステップを実行するための指令を含むコンピュータ・プログラム・セットであって、少なくとも1つのコンピュータによって実行されるコンピュータ・プログラム・セット。
【請求項15】
請求項13に記載の方法のステップを実行するための指令を含むコンピュータ・プログラム・セットを記録したコンピュータによって読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両の技術分野に関し、特に、車輪や無限軌道等の走行装置を有する作業車両のための制御システム及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の設計では、車両は、車両のキャビン内にいる運転者によって操作された操舵輪によって操縦される。近年、運転者がいくつかのタスク、特に最も反復的又は容易なタスクを実行することを回避するために、制御ユニットによって送信された指令に基づいて車両を操縦することが提案されている。このようなシステムは満足できるものであることが証明されているものの、まだ改善の余地がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
この点に関し、本願の開示内容は、走行装置を有する作業車両の制御システムに関し、作業車両は走行装置によって走行可能であり、制御システムは、
操舵指令を実行するように走行装置を制御するように構成された操舵制御ユニットであって、第1方向制御ユニットからの第1操舵指令及び第2方向制御ユニットからの第2操舵指令を受信するように構成された操舵制御ユニットと、
操舵制御ユニットが第1操舵指令を実行し、第2操舵指令を無視する第1モードと、操舵制御ユニットが第2操舵指令を実行し、第1操舵指令を無視する第2モードとを選択するセレクタと、を備える。
【0004】
作業車両とは、単に乗客や荷物を移動させるだけでなく、例えば、土木作業、農作業、荷揚げ等の作業を行うことができる車両であり、トラクタ、テレハンドラ、移動式クレーン、芝刈り機、収穫機、その他の農業用車両等がある。
【0005】
上記のとおり、移動装置は、車輪、キャタピラトラック(無限軌道)等のように、作業車が地面に対して移動することを可能にする構成部品を含む。
【0006】
操舵制御ユニットは、少なくとも2つの方向制御ユニット、すなわち第1方向制御ユニット及び第2方向制御ユニットからの指令を受信する。以下、「第1」又は「第2」の用語を付せずに記載された構成要素(例えば、方向制御ユニット、操舵指令、モード等)は、第1の要素及び第2の要素のいずれか又は両方を示すことができる。逆に、一般的な複数形は、適宜、単数形で表すことができる。
【0007】
方向制御ユニットは、手動による操舵輪とは対照的に、デジタル式に及び/又は自動的に操舵指令を生成するように構成することができる。方向制御ユニットは、操舵指令を生成するように構成された1つ又はそれ以上のプロセッサを含むものであってもよい。
【0008】
操舵制御ユニットが操舵指令を実行する場合、操舵制御ユニットは、作業車両の走行が操舵指令に従うように走行装置を制御する。操舵制御ユニットは、操舵指令を、方向制御ユニットが出力したフォーマットから走行装置が実行可能なフォーマットに変換することができる。
【0009】
セレクタは、物理的なものであってもよいし、デジタル式のものであってもよい。セレクタは、実際に選択を実行するために複数の動作、例えば、複数の選択画面上で複数の選択を必要とする場合がある。セレクタは、作業車両のオペレータ及び/又は運転者が操作
できるものであってもよい。特に、セレクタは、作業車両上に、例えば作業車両のキャビン内に設けられてもよい。変形例では、セレクタは、作業車両から離れた場所、例えば(携帯可能であるか否かを問わず)ユーザ端末上に設けられてもよい。
【0010】
提案された制御システムによれば、作業車両は、例えば、作業車両の異なるサブシステム及び/又はアクセサリに関する、1つだけでなく2つ又はそれ以上の方向制御ユニットからの指示を受信することができ、セレクタは、操舵制御ユニットを介して、いずれかの方向制御ユニットが実際に作業車両の操舵を制御するかを適切に制御することを可能にする。したがって、制御システムは、作業車両を制御する上で高い柔軟性を提供する。
【0011】
任意的には、制御システムは、操舵制御ユニットによる第1操舵指令の実行を可能にし、制限するように構成された第1係合スイッチと、操舵制御ユニットによる第2操舵指令の実行を可能にし、制限するように構成された第2係合スイッチと、をさらに備える。すなわち、第1係合スイッチは、操舵制御ユニットによる第1操舵指令の実行を可能にし、制限するように構成され、第2係合スイッチは、操舵制御ユニットによる第2操舵指令の実行を可能にし、制限するように構成される。係合スイッチは、セレクタとは独立してオペレータが操作できるものであってもよい。ただし、セレクタは、係合スイッチに影響を与えるものであってもよい。
【0012】
係合スイッチは、物理的なものであってもデジタル式のものであってもよい。係合スイッチは、操舵指令の実行を実際に可能にし、制限するための複数の動作、例えば複数の画面上での複数の選択を必要とするものであってもよい。係合スイッチは、作業車両のオペレータ及び/又は運転者が操作できるものであってもよい。特に、係合スイッチは、作業車両上、例えば作業車両キャビン内に設けられてもよい。変形例では、セレクタは、作業車両から離れた場所、例えば(携帯可能であるか否かを問わず)ユーザ端末上に設けられてもよい。
【0013】
任意的には、セレクタは、第1モードにおいて、第1係合スイッチを作動させ(activated)、第2係合スイッチの作動を停止させ(deactivated)、第2モードにおいて、第1係合スイッチの作動を停止させ、第2係合スイッチを作動させるように構成される。以下の説明において、第1係合スイッチは、作動させた(activated)ときに第1操舵指令の実行を可能にし、作動を停止させた(deactivated)ときに第1操舵指令の実行を制限(又は禁止)する。第2係合スイッチについても同様である。しかしながら、いずれの係合スイッチに関し、逆の状況も含まれる。
【0014】
このような特徴により、セレクタは、係合スイッチを用いて、第1操舵指令及び第2操舵指令のいずれか一方のみが有効であることを保証する。
【0015】
任意的には、制御システムは、第1係合スイッチを作動させている間、第2係合スイッチの作動を停止させるようにさらに構成される。すなわち、第1係合スイッチは、第2係合スイッチよりも優先され、第1係合スイッチの作動を自発的に停止させるまで、第2係合スイッチを作動させることはできない。この実施形態では、オペレータが第1モードから第2モードに切り換えたい場合、第2モードを作動させる前に第1モードの作動を停止させなければならない。
【0016】
任意的には、制御システムは、第1係合スイッチの作動時、第2係合スイッチの作動を停止させるように構成される。すなわち第1係合スイッチが第2係合スイッチに優先する。
【0017】
任意的には、制御システムは、第2係合スイッチを作動させているとき、第1係合スイ
ッチの作動を可能にするようにさらに構成される。換言すると、第2係合スイッチの作動を先に停止させることなく、第1係合スイッチを操作するだけで第2モードから第1モードに直接的に切り換えることができる。
【0018】
これらの規定により、第1操舵指令と第2操舵指令との間の優先順位ルールを適切に実施することができる。
【0019】
任意的には、制御システムは、第1係合スイッチを作動させているとき、第2方向制御ユニットに無視信号を送信するようにさらに構成される。無視信号は、第2指令が無視されることを第2の方向制御ユニットに示すように構成される。無視信号は、第2方向制御ユニットに依存して適切なフォーマットを有する。つまり、第2方向制御ユニットは、第2操舵指令が無視されていることを認識することができ、例えば、計算負荷を節約するために第2操舵指令(第2操舵指令信号)の出力を停止することにより、適切に応答することができる。
【0020】
任意的には、制御システムは、セレクタが第3モードを選択できるようにさらに構成され、制御システムは、第3モードにおいて、第1係合スイッチ及び第2係合スイッチの作動を可能にし、操舵制御ユニットに第1操舵指令を実行させ、第2操舵指令を無視させるように構成される。第3モードは、セレクタの中立位置に対応し、第1係合スイッチ及び第2係合スイッチの両方が作動可能である。この中立位置において、デフォルトでは、第1操舵指令が実行され、第2操舵指令は無視される。言い換えれば、デフォルトでは、操舵制御ユニットは、任意の係合スイッチを選択する場合、すなわちいつでも任意の係合スイッチが選択される場合を除いて、第1モードと同様に動作する。
【0021】
第3モードは、実際の選択に対応し、そして/又は第1モードも第2モードも選択されていない状態に対応することができる。場合によっては、セレクタは、3位置切換の物理スイッチであってもよい。
【0022】
任意的には、セレクタは、第1方向制御ユニットと第2方向制御ユニットの両方がアクティブ状態(active)であると判断されたとき、選択画面を表示するように構成された表示装置を含む。以下、「アクティブ状態(active)」とは、方向制御ユニットが操舵指令を送信している状態であることを意味する。方向制御ユニットのうちの一方が、アクティブ状態でないとき、運転者に選択肢を提示する必要はない。すなわち運転者は、適切な場合にのみモードを選択するように要求される。
【0023】
セレクタについて上記説明したように、表示装置は、車載ディスプレイであってもよいし、そうでなくてもよい。例えば表示装置は、離れたところにある表示装置であってもよく、例えば適当なソフトウェア(例えばアプリケーション)を備えた運転者のスマートフォンのようなユーザ端末であってもよい。
【0024】
これらの実施形態において、第3モードは、選択画面を無視することに相当する。ボタン、キー又はタッチパッドのような入力手段を用いて選択を行ってもよい。
【0025】
任意的には、表示装置は、選択されたモードを表す情報を表示するように構成される。表示装置は、選択した後、例えば、いずれのモードが選択されたかを示すアイコン、模様又はテキストを表示することができる。
【0026】
任意的には、第1方向制御ユニット及び第2方向制御ユニットは、作業車両の位置及び作業車両の予定ルートを入力値とする演算に基づいて操舵指令信号を生成するように構成される。このような方向制御ユニットは、操作者が介入することなく方向が計算されるた
め、「自動操舵」制御ユニットと呼ばれることがある。
【0027】
先に概説したように、作業車両に搭載された2つの自動操舵装置は、所望のタスクを実行するための格別の柔軟性をもたらす。
【0028】
実装環境に依存するが、方向制御ユニットは、センサデータ等のさらなる入力信号を取得してもよい。例えば、作業車両の位置信号がGPSなどの全地球航法衛星システム(GNSS)によって提供される場合、方向制御ユニットは、GNSSによって特定された位置からの潜在的なオフセット(ずれ量)を修正するためのデータを入力値としてさらに取得してもよい。別の具体例として、方向制御ユニットは、走行装置の角度及び/又は速度を入力値として取得してもよい。
【0029】
任意的には、制御システムは、操舵制御部による第1操舵指令及び第2操舵指令の実行を阻止するように構成されたキラースイッチをさらに備える。そのような場合、手動操舵のみが実施可能である。セレクタ及び係合スイッチの実装に関する上記説明は、キラースイッチに適用される。
【0030】
操舵指令の実行を禁止することは、例えば、方向制御ユニットが操舵指令信号の出力を阻止したり、方向制御ユニットと操舵制御ユニットとの間の通信を阻止したり、操舵制御ユニットからの操舵指令信号の受信を阻止したり、又は操舵制御ユニットが受信した操舵指令を無視するようにするなど、多くの方法で実施することができる。
【0031】
本願の開示内容は、走行可能な走行装置を備える作業車両に関し、作業車両が走行装置によって走行可能であり、作業車両は、上記説明した制御システムを備えている。
【0032】
任意的には、第1方向制御ユニット及び/又は第2方向制御ユニットは、作業車両の車載部品である。
【0033】
車載部品とは、方向制御ユニットが遠隔ユニットではなく、作業車両上に実装されていることを意味する。車載ユニットは、作業車両の内部又は外部に設けられてもよい。例えば、第2方向制御ユニットは、インプルメント(より一般的には、作業車両の外部にある構成部品)の管理ユニットに属するものであってもよく、第1方向制御ユニットは、車両ナビゲーションシステムに属するものであってもよい。車載されていない方向制御ユニットは、例えば適当な無線通信を介して、他の方法で作業車両に接続されるものであってもよい。一実施形態では、複数の作業車両で作業を行うために、作業車両は、別の作業車両に搭載された方向制御ユニットからの操舵指令信号を受信してもよい。また、車載の方向制御ユニットは、作業車両に一体化されていてもよいし、作業車両に取り外し可能に固定されていてもよい。
【0034】
さらに本願の開示内容は、走行装置を有する作業車両の制御方法に関し、作業車両は走行装置によって走行可能であり、この制御方法は、操舵指令を実行するように走行装置を制御するように構成された操舵制御ユニットにおいて、操舵制御ユニットが第1方向制御ユニットからの第1操舵指令と、第2方向制御ユニットからの第2操舵指令とを受信するように構成された場合、操舵制御ユニットが第1操舵指令を実行し、第2操舵指令を無視する第1モードと、操舵制御ユニットが第2操舵指令を実行し、第1操舵指令を無視する第2モードとを選択するセレクタを操作するステップを含む。
【0035】
この方法(以下、制御方法と称する)は、コンピュータで実施することができ、制御システムに関して上記説明した任意の特徴を有することができる。
【0036】
さらに本願の開示内容は、上記説明した制御方法のステップを実行するための指令を含むコンピュータ・プログラム・セットであって、少なくとも1つのコンピュータに記録され、これによって実行されるコンピュータ・プログラム・セットに関する。このプログラムは、任意のプログラミング言語を使用することができ、ソースコード、オブジェクトコード、又はソースコードとオブジェクトコードの中間のコード(部分的にコンパイルされたフォーム等)、又は他の任意の望ましいフォームをとることができる。
【0037】
さらに本願の開示内容は、コンピュータによって読み取り可能であり、コンピュータに記録され、上記説明した制御方法のステップを実行するための指令を含む少なくとも1つのコンピュータプログラムを記録した記録媒体に関する。記録媒体は、プログラムを記憶することができる任意の物又は装置であってもよい。記録媒体は、例えば、CD-ROM若しくはマイクロ電子回路ROM等のROMのような記憶手段、又は例えばディスク(フロッピーディスク)若しくはハードディスク等の磁気記憶手段であってもよい。
【0038】
択一的には、記録媒体は、プログラムが組み込まれた集積回路であってもよく、この回路は、問題の方法を実行するように適合されているか、又はその実行において使用される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
本発明及びその利点は、非限定的な実施例として示される実施形態の以下の詳細な説明を読むことによって、より十分に理解されるであろう。この説明は、添付の図面を参照している。
【
図1】一実施形態における制御システム及び作業車両を示す図である。
【
図2】第1モードにおける
図1の制御システムの動作を示す
図1に係る図である。
【
図3】第2モードにおける
図1の制御システムの動作を示す
図1に係る図である。
【
図4】第3モードにおける
図1の制御システムの動作を示す
図1に係る図である。
【
図5】キラーモードにおける
図1の制御システムの動作を示す
図1に係る図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
一実施形態に係る作業車両10を
図1に概略的に示す。作業車両10は、走行装置18を備え、走行装置18によって作業車両10が移動することができる。本実施形態では、走行装置18は車輪として表現されるが(以下、車輪18ともいう)、任意の走行装置、例えば無限軌道であってもよい。
【0041】
より一般的には、作業車両10は、上述したように、作業を行うことができる任意の車両であってもよい。
【0042】
図1は、作業車両10の制御システムをさらに示す。本実施形態では、制御システムは作業車両10に搭載されて示されているが、制御システムの一部又は全部を遠隔システムとして構成することができる。制御システムは、走行装置18を介して作業車両10の走行方向(例:ステアリング)を制御することを目的とする。
図1に描かれた接続線は、さまざまな構成要素間の機能的関係を示すが、構成要素が互いに物理的に接続されていないこと(例えば無線で)も、構成要素が他の中間モジュール及び図示されていないモジュールを介して互いに接続されていることも排除しない。
【0043】
制御システムは、操舵制御ユニット12及びセレクタ14を含む。操舵制御ユニット12及び/又はセレクタ14は、以下に詳述する機能を実行するためのハードウェア又はソフトウェアとして実装されてもよい。以下に説明する機能が得られるならば、実装自体は当業者の能力の範囲内で変更可能である。
【0044】
1つ又はそれ以上のセンサは、参照符号16で統合的に記載されるが、作業車両10に関するデータを提供するために、作業車両10上に設けられ、及び/又は遠隔的に設けられてもよい。例えば、センサ16は、位置センサ、姿勢センサ、車輪角センサなどのいずれか1つを含むものであってもよい。
【0045】
位置センサは、作業車両10の現在位置を特定するように構成されるものであってもよい。一実施形態では、位置センサは、GPS受信機、ディファレンシャルGPS受信機、リアルタイム・キネマティック(RTK)システムに接続されたGPS受信機などのGNSS(Global Navigation Satellite System)装置を含むものであってもよい。
【0046】
姿勢センサは、作業車両10の方位及び傾きの少なくとも一方を検知するように構成されるものであってもよい。姿勢センサは、傾きセンサ及び/又はジャイロスコープを含んでもよい。姿勢センサは、作業車両10の潜在的な位置のずれ(オフセット)又は移動(ドリフト)を補正するように構成するものであってもよい。
【0047】
車輪角センサは、基準方向に対する1つ又はそれ以上の車輪18の角度(操舵角)を検知するように構成するものであってもよい。車輪角センサは、車輪18の車軸に取り付けてもよい。車輪角センサは、車輪18の実際の操舵方向に関するフィードバックを提供するように構成するものであってもよい。
【0048】
操舵制御ユニット12は、操舵指令を実行するために、走行装置18、例えば車輪を制御するように構成される。例えば、操舵制御ユニット12は、ステアリングコラム、ひいては操舵輪を物理的に回転させるために、作業車両10のステアリングコラムに取り付けられたモータを制御するものであってもよい。別の実施例では、操舵制御ユニット12は、作業車両10の油圧ステアリングシステムに流体的に(作動油を介して)接続されたバルブブロック(制御弁ブロック)を制御するものであってもよい。他の実施形態も実施可能である。
【0049】
本実施形態では、操舵制御ユニット12は、複数の方向制御ユニットからの操舵指令(操舵指令信号)を受信する。具体的には、操舵制御ユニット12は、第1方向制御ユニット21から第1操舵指令を受信し、第2方向制御ユニット22から第2操舵指令を受信することができる。
【0050】
一実施形態では、操舵制御ユニット12は、決定モジュール12a及び実行モジュール12bなどの複数の構成部品を含むものであってもよい。決定モジュール12aは、方向制御ユニット21、22から操舵指令(操舵指令信号)を受信し、いずれの操舵指令を実行すべきかを決定することができる。この決定は、とりわけ、セレクタ14によって選択されたモードに基づいて行うことができる。そして、決定モジュール12aは、実行すべき操舵指令を実行モジュール12bに転送することができる。このように、実行モジュール12bは、一度に1種類の指令のみを受信する。実行モジュール12bは、例えば、上述のように、受信した指令を実行する。決定モジュール12a及び実行モジュール12bは、単一のユニットとして形成されてもよいし、別々のユニットとして形成されてもよい。
【0051】
上述のように、第1方向制御ユニット21及び第2方向制御ユニット22は、計算に基づいてそれぞれ別の操舵指令(操舵指令信号)を生成するように構成されてもよい。計算に際して、作業車両10の場所又は位置、及び作業車両10の計画ルート(走行予定ルート)を入力してもよい。より一般的には、計算に際して、例えば1つ又は複数のセンサ16で取得される任意の必要な情報を入力してもよい。
【0052】
すなわち本実施形態では、第1方向制御ユニット21及び第2方向制御ユニット22は、いわゆる自動操舵制御装置である。第1方向制御ユニット21及び第2方向制御ユニット22は、作業車両10の現在位置及び予定ルート、例えば作業車両10が進むべき経路(ルート)に基づいて、作業車両10が予定ルートに沿って走行するように車輪18を操作(操舵)するための指令を算出する。第1方向制御ユニット21及び第2方向制御ユニット22は、それぞれが有する可能性のある(潜在的に)異なる目的及び制約に基づいて、異なる操舵指令(操舵指令信号)を出力することができる。
【0053】
第1方向制御ユニット21は、作業車両10の車載部品であってもよいし、そうでなくてもよい。一例として、第1方向制御ユニット21は、作業車両10のナビゲーションシステムに属するもの(ナビゲーションシステムの一部を構成するもの)であってもよい。ナビゲーションシステムは、作業車両の製造業者又は第三者によって提供されるものであってもよい。一実施形態では、第1方向制御ユニット21は、作業車両10に一体に構成され、通常の動作において作業車両10から切り離せないものであってもよい。
【0054】
第2方向制御ユニット22は、作業車両10の車載構成部品であってもよいし、そうでなくてもよい。一例として、第2方向制御ユニット22は、インプルメントの管理ユニット(インプルメント制御ユニット)等、作業車両10の外部の構成部品に属するもの(インプルメント制御ユニット等の一部を構成するもの)であってもよい。管理ユニットは、作業車両10の内部(例えばキャビン内)、作業車両10の外部(例えば屋根上又は作業車両10の下)、又はインプルメント自体に配置されるものであってもよい。このインプルメントを用いて、作業車両10は特定の作業を行うことができる。
図1の実施例では、第2方向制御ユニット22は、作業車両10の外部に取り付けられていることを示すが、第2方向制御ユニット22は、作業車両10の内部に設けることもできるし、作業車両10に無線接続された遠隔構成部品(作業車両10から離れたところにある構成部品)として設けることもできる。
【0055】
操舵制御ユニット12によっていずれの操舵指令が実行されるかを制御するために、スイッチ23、24、25を設けてもよい。具体的には、第1係合スイッチ23は、第1操舵指令の実行を可能にし、制限するように構成される。すなわち、第1係合スイッチ23を作動させると(activated)、操舵制御ユニット12は、第1操舵指令に従って走行装置18を制御し、第1係合スイッチ23の作動を停止させると(deactivated)、操舵制御ユニット12は、第1操舵指令に従って走行装置18を制御しない(例えば、第1操舵指令を無視する)。例えば、第1係合スイッチ23は、決定モジュール12aに信号を送信することができ、決定モジュール12aは、それに応じて走行装置18を制御し、第1操舵指令の実行を可能にし、又は制限する。
【0056】
同様に、第2係合スイッチ24は、第2操舵指令の実行を可能にし、制限するように構成される。すなわち、第2係合スイッチ24を作動させると(activated)、操舵制御ユニット12は、第2操舵指令に従って走行装置18を制御し、第2係合スイッチ24の作動を停止させると(deactivated)、操舵制御ユニット12は、第2操舵指令に従って走行装置18を制御しない(例えば、第2操舵指令を無視する)。例えば、第2係合スイッチ24は、決定モジュール12aに信号を送信することができ、決定モジュール12aは、それに応じて走行装置18を制御し、第2操舵指令の実行を可能にし、又は制限する。
【0057】
キラースイッチ25は、操舵制御ユニット12が第1操舵指令及び第2操舵指令を実行しないように構成される。キラースイッチ25は、決定モジュール12aに接続することができる。
【0058】
スイッチ23、24、25は、当該技術分野でそれ自体公知の手段、例えば物理的スイ
ッチ又はデジタルスイッチを用いて実施することができる。
【0059】
セレクタ14は、
図2~
図5を参照してより詳細に説明するが、少なくとも2つ、ここでは3つのモードの間で選択することができる。これらのモードは、セレクタ14を用いた選択に基づいて、操舵制御ユニット12により実施することができる。
【0060】
一実施形態では、セレクタ14は表示装置を含む。表示装置は、第1方向制御ユニット及び第2方向制御ユニットの両方がアクティブ状態である(active)と判断されたとき、選択画面を表示することができる。表示装置は、第1モードと第2モードの選択肢をオペレータに提供することができる。オペレータが第1モード又は第2モードを選択しない場合、セレクタ14は、デフォルト(初期設定)として第3モードを維持する。表示装置の実施可能な入力機能に関係なく、表示装置は、いずれのモードが選択されたか、又はモード変更が行われたことを表示するように構成するものであってもよい。
【0061】
図2~
図5は、選択されたモードに応じて強調された部分を含む
図1と同じ図を示す。すべてのモードにおいて、第1方向制御ユニット21及び第2方向制御ユニット22の両方がアクティブ状態である、すなわち、操舵指令(操舵指令信号)を生成することができると仮定される。セレクタ14は、基本的に、競合し、相反する可能性のある操舵指令の実行を制御するものであってもよい。しかしながら、変形例では、第1方向制御ユニット21及び第2方向制御ユニット22の両方がアクティブ状態である必要はない。例えば、操舵制御ユニット12は、セレクタ14によって選択されたモードに基づいて、例えば以下に説明するように信号を無視して、操舵指令を送信しないように第1方向制御ユニット21及び第2方向制御ユニット22のいずれかに信号を送信してもよい。
【0062】
図2は、オペレータがセレクタ14を用いて選択することができる第1モードにおける制御システムの動作を示す。第1モードでは、操舵制御ユニット12は、第1操舵指令を実行し、第2操舵指令を無視する。上記のスイッチが設けられている場合、第1モードに切り替えられたセレクタ14は、第1係合スイッチ23を作動させ(activate)、第2係合スイッチ24の作動を停止させてもよい(deactivate)。
【0063】
図2に示すように、第1方向制御ユニット21からの操舵指令は、操舵制御ユニット12から車輪18に送信される。具体的には、決定モジュール12aは、セレクタ14から第1モードで動作するように指令されると、第1方向制御ユニット21からの操舵指令を実行モジュール12bに送信し、実行モジュール12bはそれに応じて車輪18を制御するように構成されてもよい。上述のように、操舵制御ユニット12は、第1操舵指令を車輪18に送信する前に処理することができる。
【0064】
第1係合スイッチが動作状態にある間は、第2係合スイッチ24の作動は禁止される。そのため、
図2に示す第2係合スイッチ24はハッチングが付されている。すなわち、第1係合スイッチ23は、第2係合スイッチ24よりも優先され、第1係合スイッチ23の作動が停止される(deactivated)まで、第2係合スイッチ24自体を再び作動させる(reactivated)ことはできない。例えば、(第2係合スイッチ24が物理的なスイッチの場合)第2係合スイッチ24のバックライトをオン又はオフにすることによって、又は(第2係合スイッチ24がデジタルスイッチの場合)第2係合スイッチ24の上部に禁止サインを表示することによって、第2係合スイッチ24を作動させることができないことを任意の方法で示すことができる。
【0065】
第1係合スイッチ23が作動している(動作状態にある)とき、又はより一般的には、セレクタ14が第1モードを選択したとき、制御システム、特に操舵制御ユニット12及び特に決定モジュール12aは、無視信号を第2方向制御ユニット22に送信するように
構成することができる。したがって、第2方向制御ユニット22は、第2操舵指令がいずれにせよ実行されないことを認識して、その動作を適応させることができる。
【0066】
図3は、オペレータがセレクタ14を用いて選択可能な第2モードにおける制御システムの動作を示す。第2モードにおいて、操舵制御ユニット12は、第2操舵指令を実行し、第1操舵指令を無視する。上記スイッチが設けられている場合、第2モードに切り換えられたセレクタ14は、第1係合スイッチ23の作動を停止し、第2係合スイッチ24を作動させることができる。
【0067】
図3に示すように、第2方向制御ユニット22からの操舵指令信号は、操舵制御ユニット12から車輪18に送信される。具体的には、決定モジュール12aは、セレクタ14から第2モードで動作するように指令されると、第2方向制御ユニット22からの操舵指令を実行モジュール12bに操舵指令信号を送信するように構成され、実行モジュール12bは、それに応じて車輪18を制御する。上述のように、操舵制御ユニット12は、車輪18に送信する前に第2操舵指令を処理することができる。
【0068】
図3において、
図2とは異なり、第1係合スイッチ23はハッチングが付されていない。これは、この実施例では、制御システムが、第2係合スイッチ24が作動しているにもかかわらず、第1係合スイッチ23を作動させることができるように構成されているためである。
【0069】
第1操舵指令に対する優先度が高いレベルで望まれる場合、制御システムは、第1係合スイッチ23の作動時に第2係合スイッチ24を非作動にするように構成することができる。そうすることにより、オペレータは、
図3の構成から
図2を参照して説明した構成に戻すことができる。
【0070】
図4は、オペレータがセレクタ14を用いて選択可能な第3モードにおける制御システムの動作を示す。この実施例では、上述のように、第3モードは明示的に選択される必要はなく、セレクタ14の中立位置に対応させることができる。例えば、第1方向制御ユニット21及び第2方向制御ユニット22の両方がアクティブ状態であると判断された場合にセレクタ14はポップアップウィンドウを表示し、オペレータが明示的に選択せずにポップアップウィンドウを無視又は閉じると、セレクタ14は第3モードを選択することになる。
【0071】
第3モードは、
図2を参照して説明した第1モードと類似しており、以下の相違点を除いて、再び詳細に説明しない。第3モードでは、第1モードと同様に、制御システムは、操舵制御ユニット12に第1操舵指令を実行させ、第2ステアリング指令を無視させるように構成される。しかしながら、第1モードとは異なり、制御システムは、第1係合スイッチ23及び第2係合スイッチ24の作動を可能にする(enable)ように構成されている。
図4を参照すると、操舵制御ユニット12が第1操舵指令を実行しても、第1係合スイッチ23及び第2係合スイッチ24の両方が作動させることができる状態に維持される。いずれかの係合スイッチの作動時、すなわち第1モード又は第2モードの選択時に、制御システムは、
図2及び
図3を参照して上述したように作業車両を制御することができる。
【0072】
図5は、キラーモードにおける制御システムの動作を示す。キラーモードは、キラースイッチ25が作動するモードである。上述したように、キラースイッチ25は、作動時に操舵制御ユニット12が第1操舵指令及び第2操舵指令を実行しないようにする。
図5に示すように、本実施形態では、キラースイッチ25が作動したときに、第1方向制御ユニット21及び第2方向制御ユニット22が操舵指令を出力することを禁止することによって、キラーモードを実現する。しかしながら、上述したように、他の実施形態が包含され
る。
【0073】
さらに、本願の開示内容は、走行可能な走行装置18を備えた作業車両10を制御する方法に関し、走行装置18によって作業車両10は走行可能であり、走行装置18を制御して操舵指令を実行するように構成された操舵制御ユニット12は、第1方向制御ユニット21から第1操舵指令を受信し、第2方向制御ユニット22から第2操舵指令を受信するように構成され、この方法は、操舵制御ユニット12が第1操舵指令を実行して第2操舵指令を無視する第1モードと、操舵制御ユニット12が第2操舵指令を実行して第1操舵指令を無視する第2モードとを選択するセレクタ14を操作するステップを含む。この方法は、特定の実施形態に係る作業車両10に関して説明されているが、他のタイプの制御システムに実施することができる。
【0074】
本願の開示内容は、特定の例示的な実施形態を参照しているが、特許請求の範囲によって定義される本発明の一般的な範囲から逸脱することなく、これらの実施形態に変更を加えることができる。例えば、係合スイッチ23、24に関して異なるモードが開示されているが、例えば、オペレータがセレクタ14の外部にある操舵指令ソースの中から選択することができない場合等には、このようなスイッチは必要ない。さらに、セレクタ14、第1係合スイッチ23、第2係合スイッチ24及び/又はキラースイッチ25は、異なる構成部品として記載されているが、共通のヒューマン・マシン・インターフェースによって具現化することができる。逆に、本明細書において単一のユニットとして示されている部品、例えば操舵制御ユニット12又は係合スイッチ23、24は、複数の構成部品によって具現化することができる。
【0075】
さらに、操舵制御ユニット12の構成に係る実施例を詳細に上記説明したが、他の構成も想定され、例えば、決定モジュール12aは、セレクタ14から第1モードで動作するように指示された場合に、第1方向制御ユニット21から実行モジュール12bへの操舵指令の(例えば直接的な)送信を可能にするように構成することができる。この変形例では、第1方向制御ユニット21は、操舵指令を決定モジュール12aに送信しないが、操舵指令を実行モジュール12bに送信するために、決定モジュール12aからイネーブル信号(許可信号)を受信することができる。この変形例が第1モードに適用されるか否かに関係なく、同じ変形例が、必要な修正を加えて、第2モード及び第2方向制御ユニット22に適用されてもよいし、適用されなくてもよい。
【0076】
変形例が第1モードに適用され、第2モードに適用されない実施形態では、決定モジュール12aは、セレクタ14から第1モードで動作するように指示された場合、第2方向制御ユニット22から受信した操舵指令をフィルタリング(フィルタ除去)し、セレクタ14から第2モードで動作するように指示された場合、第2方向制御ユニット22から実行モジュール12bへ操舵指令を送信し、イネーブル信号(許可信号)を第1方向制御ユニット21に送信しないように構成することができる。
【0077】
より一般的には、図示/開示されたさまざまな実施形態の個々の特徴は、追加的な実施形態において組み合わされてもよい。したがって、本願の明細書及び図面は、限定的な意味ではなく、例示的な意味で考慮されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置(18)を有する作業車両(10)の制御システムであって、前記作業車両(10)は前記走行装置(18)によって走行可能であり、
操舵指令を実行するように前記走行装置(18)を制御するように構成された操舵制御ユニット(12)であって、第1方向制御ユニット(21)からの第1操舵指令及び第2方向制御ユニット(22)からの第2操舵指令を受信するように構成された操舵制御ユニット(12)と、
前記操舵制御ユニット(12)が前記第1操舵指令を実行し、前記第2操舵指令を無視する第1モードと、前記操舵制御ユニット(12)が前記第2操舵指令を実行し、前記第1操舵指令を無視する第2モードとを選択するセレクタ(14)と、
を備えることを特徴とする制御システム。
【請求項2】
前記操舵制御ユニット(12)による前記第1操舵指令の実行を可能にし、制限するように構成された第1係合スイッチ(23)と、
前記操舵制御ユニット(12)による前記第2操舵指令の実行を可能にし、制限するように構成された第2係合スイッチ(24)と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の制御システム。
【請求項3】
前記セレクタ(14)は、前記第1モードにおいて、前記第1係合スイッチ(23)を作動させ、前記第2係合スイッチ(24)の作動を停止させ、前記第2モードにおいて、前記第1係合スイッチ(23)の作動を停止させ、前記第2係合スイッチ(24)を作動させるように構成される、請求項2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記第1係合スイッチ(23)を作動させている間、前記第2係合スイッチ(24)の作動を停止させるようにさらに構成され、
任意的には、前記第1係合スイッチ(23)の作動時、前記第2係合スイッチ(24)の作動を停止させるように構成される、請求項2又は3に記載の制御システム。
【請求項5】
前記第2係合スイッチ(24)を作動させているとき、前記第1係合スイッチ(23)の作動を可能にするようにさらに構成される、請求項2又は3に記載の制御システム。
【請求項6】
前記第1係合スイッチ(23)を作動させているとき、前記第2方向制御ユニット(22)に無視信号を送信するようにさらに構成される、請求項2又は3に記載の制御システム。
【請求項7】
前記セレクタ(24)が第3モードを選択できるようにさらに構成され、
前記制御システムは、前記第3モードにおいて、前記第1係合スイッチ(23)及び前記第2係合スイッチ(24)の作動を可能にし、前記操舵制御ユニット(12)に前記第1操舵指令を実行させ、前記第2操舵指令を無視させるように構成される、請求項2又は3に記載の制御システム。
【請求項8】
前記セレクタ(14)は、前記第1方向制御ユニット(21)と前記第2方向制御ユニット(22)の両方がアクティブ状態であると判断されたとき、選択画面を表示するように構成された表示装置を含む、請求項1~3のいずれかに記載の制御システム。
【請求項9】
前記第1方向制御ユニット(21)及び前記第2方向制御ユニット(22)は、前記作業車両(10)の位置及び前記作業車両(10)の予定ルートを入力値とする演算に基づいて操舵指令を生成するように構成される、請求項1~3のいずれかに記載の制御システム。
【請求項10】
前記操舵制御ユニット(12)による前記第1操舵指令及び前記第2操舵指令の実行を阻止するように構成されたキラースイッチ(25)をさらに備える、請求項1~3のいずれかに記載の制御システム。
【請求項11】
走行可能な走行装置(18)を備える作業車両(10)であって、
前記作業車両(10)が前記走行装置(18)によって走行可能であり、
請求項1~3のいずれかに記載の制御システムを備えている作業車両(10)。
【請求項12】
前記第1方向制御ユニット(21)及び、任意的には、前記第2方向制御ユニット(22)は、前記作業車両の車載部品である、請求項11に記載の作業車両(10)。
【請求項13】
走行装置(18)を有する作業車両(10)の制御方法であって、前記作業車両(10)は前記走行装置(18)によって走行可能であり、
操舵指令を実行するように前記走行装置(18)を制御するように構成された操舵制御ユニット(12)において、前記操舵制御ユニット(12)が第1方向制御ユニット(21)からの第1操舵指令と、第2方向制御ユニット(22)からの第2操舵指令とを受信するように構成された場合、
前記操舵制御ユニット(12)が前記第1操舵指令を実行し、前記第2操舵指令を無視する第1モードと、前記操舵制御ユニット(12)が前記第2操舵指令を実行し、前記第1操舵指令を無視する第2モードとを選択するセレクタ(14)を操作するステップを含む、作業車両の制御方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法のステップを実行するための指令を含むコンピュータ・プログラム・セットであって、少なくとも1つのコンピュータによって実行される、コンピュータ・プログラム・セット。
【請求項15】
請求項13に記載の方法のステップを実行するための指令を含むコンピュータ・プログラム・セットを記録した、コンピュータによって読み取り可能な記録媒体。
【外国語明細書】