(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163079
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】拡散はんだのインクジェット印刷
(51)【国際特許分類】
H01L 21/52 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
H01L21/52 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024076497
(22)【出願日】2024-05-09
(31)【優先権主張番号】18/196,203
(32)【優先日】2023-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506236358
【氏名又は名称】インフィネオン テクノロジーズ オーストリア アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シュワブ, シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ハインリッヒ, アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ヴィレ, カタリーナ
【テーマコード(参考)】
5F047
【Fターム(参考)】
5F047AA01
5F047AA11
5F047BA14
5F047BA15
5F047BA17
5F047BA19
5F047BB11
5F047BB16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】インクジェット金属印刷プロセスによって、低コストで、高度なフレキシビリティを有する半導体デバイスを製造する方法を提供する。
【解決手段】半導体デバイスを製造する方法は、半導体ダイを設けることと、金属接合相手を設けることと、インクジェット金属印刷プロセスによって拡散はんだ付け可能領域を形成することと、金属接合相手と半導体ダイとの間に拡散はんだ付け可能領域を含むようアセンブリを形成することと、半導体ダイと金属接合相手との間の拡散はんだ付け可能領域からはんだ接合部を形成する拡散はんだ付けプロセスを実行することと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスを製造する方法であって、
半導体ダイを設けることと、
金属接合相手を設けることと、
インクジェット金属印刷プロセスによって拡散はんだ付け可能領域を形成することと、
前記金属接合相手と前記半導体ダイとの間に前記拡散はんだ付け可能領域を含むようアセンブリを形成することと、
前記半導体ダイと前記金属接合相手との間の前記拡散はんだ付け可能領域からはんだ接合部を形成する拡散はんだ付けプロセスを実行することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記インクジェット金属印刷プロセスを実行することが、
前記金属接合相手又は前記半導体ダイに第1の金属インクをインクジェット金属印刷することと、
前記金属接合相手又は前記半導体ダイに第2の金属インクをインクジェット金属印刷することと、
を含み、
前記第1の金属インクが第1の金属を含み、
前記第2の金属インクが第2の金属を含み、
前記第2の金属は、前記第1の金属よりも融点が高い、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の金属が、以下のうち、即ち、Sn、Zn、In、Ga、Bi、Cdのうちのいずれか1つであり、前記第2の金属が、以下のうち、即ち、Cu、Ag、Sb、Niのうちのいずれか1つである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記拡散はんだ付けプロセスを実行することが、前記アセンブリの温度を、前記はんだ接合部内に金属間相を形成する接合温度まで上げることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の金属インクをインクジェット金属印刷することが、前記金属接合相手上又は前記半導体ダイ上に前記第1の金属インクの第1の層を形成することを含み、前記第2の金属インクをインクジェット金属印刷することが、前記金属接合相手上又は前記半導体ダイ上に前記第2の金属インクの第2の層を形成することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の金属インクの前記第1の層が、前記金属接合相手上に形成され、前記第2の金属インクの前記第2の層が、前記半導体ダイ上に形成される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の金属インクをインクジェット金属印刷することが、前記半導体ダイ上又は前記金属接合相手上に前記第1の金属インクの第1の複数の液滴を形成することを含み、前記第2の金属インクをインクジェット金属印刷することが、前記半導体ダイ上又は前記金属接合相手上に前記第2の金属インクの第2の複数の液滴を形成することを含み、前記拡散はんだ付け可能領域では、前記第2の金属インクの前記第2の複数の液滴が、前記第1の金属インクの前記第1の複数の液滴の間に散在する、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記拡散はんだ付け可能領域では、前記第2の金属インクの前記液滴の面密度が前記第1の金属インクの前記液滴とは異なるように、前記第2の金属インクの前記第2の複数の液滴が、前記第1の金属インクの第1の複数の液滴の間に散在する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の複数の液滴又は前記第2の複数の液滴が前記拡散はんだ付け可能領域全体に不均質に分散されるように、前記第2の金属インクの前記第2の複数の液滴が、前記第1の金属インクの前記第1の複数の液滴の間に散在する、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記インクジェット金属印刷プロセスを実行することが、前記金属接合相手又は前記半導体ダイに第3のインクをインクジェット金属印刷することをさらに含み、
前記第3のインクが、前記第1の金属及び前記第2の金属とは異なる融剤及び/又は第3の金属を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記インクジェット金属印刷プロセスを実行することが、マルチヘッドプリンタを使用して、前記第1の金属インクと前記第2の金属インクを同時に印刷することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記アセンブリを形成することが、ダイアタッチツールを使用することを含み、前記インクジェット金属印刷プロセスを実行することが、前記ダイアタッチツールに組み込まれたプリンタヘッドを使用することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記金属接合相手が金属ダイアタッチ構造であり、前記はんだ接合部が、前記金属ダイアタッチ構造と、前記半導体ダイの裏面との間の接続を形成する、請求項2に記載の方法。
【請求項14】
前記拡散はんだ付け可能領域が、前記金属ダイアタッチ構造から離れる方向に向く凹面又は凸面を含むよう形成される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記金属接合相手が金属相互接続要素であり、前記はんだ接合部が、前記金属相互接続要素と前記半導体ダイの端子との間の接続を形成する、請求項2に記載の方法。
【請求項16】
半導体デバイスを製造する方法であって、
半導体ダイを設けることと、
金属ダイアタッチ構造を設けることと、
第1の金属相互接続要素を設けることと、
第1の拡散はんだ付け可能領域、及び第2の拡散はんだ付け可能領域を形成することと、
前記金属ダイアタッチ構造と前記半導体ダイとの間に前記第1の拡散はんだ付け可能領域を含み、かつ前記半導体ダイと前記第1の金属相互接続要素との間に第2の前記拡散はんだ付け可能領域を含むよう、アセンブリを形成することと、
前記半導体ダイと前記金属接合相手との間の前記第1の拡散はんだ付け可能領域から第1のはんだ接合部を形成し、かつ前記半導体ダイと前記第1の金属相互接続要素との間の前記第2の拡散はんだ付け可能領域から第2のはんだ接合部を形成する拡散はんだ付けプロセスを実行することと、
を含み、
前記第1の拡散はんだ付け可能領域及び前記第2の拡散はんだ付け可能領域の少なくとも一方が、インクジェット金属印刷プロセスによって形成される、方法。
【請求項17】
前記第2の拡散はんだ付け可能領域が、前記インクジェット金属印刷プロセスによって形成される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の拡散はんだ付け可能領域が、スクリーン印刷によって形成される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記半導体ダイが、パワートランジスタ・ダイとして構成される、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記半導体ダイは、当該半導体ダイの主表面上に第1の端子及び第2の端子がそれぞれ配置されており、前記第1の端子がゲート端子であり、前記第2の端子が負荷端子であり、前記第2の拡散はんだ付け可能領域が、前記第1の端子上に形成され、前記方法が、第2の金属相互接続要素を設けることと、前記第2の端子上に第3の拡散はんだ付け可能領域を形成することと、前記半導体ダイと前記第2の金属相互接続要素との間に前記第3の拡散はんだ付け可能領域を含むよう、前記アセンブリを形成することと、前記第3の拡散はんだ付け可能領域から第3のはんだ接合部を形成する前記拡散はんだプロセスを実行すること、をさらに含み、前記第2の拡散はんだ付け可能領域及び前記第3の拡散はんだ付け可能領域がそれぞれ、前記インクジェット金属印刷プロセスによって形成される、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
半導体技術の進歩において、熱的及び電気的性能の果たす役割はますます大きくなっている。これらのファクタに、小型化及び性能向上が加わると、高性能のダイ(チップ)アタッチプロセス及び材料が必要となる。拡散はんだ付け(Diffusion soldering)は、そのようなダイアタッチ(die attach)プロセスのひとつである。拡散はんだ付けは、様々な金属を拡散させて金属間相を形成することで、はんだ接合部の形成に関与する。この金属間相は、隣接する材料よりも融点が高く、はんだ接合部の機械的強度を主に担っている。拡散はんだ付けプロセスを適切に実行するには、はんだ接合部を形成するために使用されるプリはんだ(pre-solder)材料の組成及幾何学的特性を慎重に較正することが必要となる。拡散はんだ付けの現在の技術では、高価な特殊な装置であって、場合によっては必要となりうる精密な形状及び/又は超薄層を形成するのにあまり適さない特殊な装置を使用している。従って、拡散はんだ付け技術の改良が求められている。
【発明の概要】
【0002】
当業者は、以下の明細書の詳細な説明を読み、添付の図面を見れば、さらなる特徴及び利点が分かるであろう。
【0003】
半導体デバイスの製造方法が開示される。一実施形態によれば、本方法は、半導体ダイを設けることと、金属接合相手を設けることと、インクジェット金属印刷プロセスによって拡散はんだ付け可能領域を形成することと、金属接合相手と半導体ダイとの間に拡散はんだ付け可能領域を含むようアセンブリを形成することと、半導体ダイと金属接合相手との間の拡散はんだ付け可能領域からはんだ接合部を形成する拡散はんだ付けプロセスを実行することとを含む。
【0004】
他の実施形態によれば、本方法は、半導体ダイを設けることと、金属ダイアタッチ構造を設けることと、第1の金属相互接続要素を設けることと、第1の拡散はんだ付け可能領域、及び第2の拡散はんだ付け可能領域を形成することと、金属ダイアタッチ構造と半導体ダイとの間に第1の拡散はんだ付け可能領域を含み、かつ半導体ダイと第1の金属相互接続要素との間に第2の拡散はんだ付け可能領域を含むよう、アセンブリを形成することと、半導体ダイと金属接合相手との間の第1の拡散はんだ付け可能領域から第1のはんだ接合部を形成し、かつ半導体ダイと第1の金属相互接続要素との間の第2の拡散はんだ付け可能領域から第2のはんだ接合部を形成する拡散はんだ付けプロセスを実行することと、を含み、第1の拡散はんだ付け可能領域及び第2の拡散はんだ付け可能領域の少なくとも一方が、インクジェット金属印刷プロセスによって形成される。
【0005】
図面の各要素は、必ずしも互いに縮尺どおりではない。類似した参照符号は、対応する同様の部品を示している。様々な図示される実施形態の特徴は、互いを排除しない限り組み合わせることができる。実施形態が図面に描かれており、以下の明細書の記載において詳述される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】一実施形態に係る、インクジェット金属印刷プロセスによって拡散はんだ付け可能領域を形成することを含む半導体デバイスの製造方法を概略的に示す。
【
図2】一実施形態に係る、インクジェット金属印刷プロセスを使用して、金属インクの層を形成することにより拡散はんだ付け可能領域を形成することを含む半導体デバイスの製造方法を示す。
【
図3】一実施形態に係る、インクジェット金属印刷プロセスによって形成しうる拡散はんだ付け可能領域の実施形態を示す。
【
図4】一実施形態に係る、インクジェット金属印刷プロセスを使用して、金属インクの液滴を形成することにより拡散はんだ付け可能領域を形成することを含む半導体デバイスの製造方法を示す。
【
図5】一実施形態に係る、インクジェット金属印刷プロセスによって形成しうる液滴パターンの実施形態を示す。
【
図6】一実施形態に係る、半導体ダイの両側に複数のはんだ接合部を含み、はんだ接合部の少なくとも一方がインクジェット金属印刷プロセスによって形成される半導体デバイスの製造方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
インクジェット金属印刷プロセスによって拡散はんだ付け可能領域を形成することを含む半導体デバイスの製造方法の実施形態が、本明細書において記載される。インクジェット金属印刷プロセスは、はんだ材料の適用に関して数多くの利点を提供する。例えば、インクジェット金属印刷は、他のタイプの拡散はんだ適用技術よりも低コストで実行することができる。さらに、インクジェット金属印刷は、他の技術に比べて高度なフレキシビリティを提供する。特に、はんだ材料の組成は、2つのはんだ接合部の間でも、同じはんだ接合部の部分領域の間でも容易に変えることができる。さらに、インクジェット金属印刷によって、他の技術よりも分解能が高く及び/又は面積が小さく及び/又は間隔がより近い拡散はんだ付け可能領域の形成が可能となる。これにより、ダイボンドパッドと金属相互接続要素と間のはんだ接続といった、他の技術では必ずしも可能ではない位置で拡散はんだ付けを使用することが可能となる。さらに、インクジェット金属印刷は、既存の組立ラインに簡単に組み込むことができる。
【0008】
図1を参照すると、半導体デバイスの製造方法100が示されている。方法100の第1のステップ102が、半導体ダイを設けることを含む。半導体ダイは、様々なデバイス構成を有しうる。上記デバイス構成は、様々な材料技術を含む。例えば、半導体ダイは、IV族元素半導体、IV-IV族化合物半導体材料、III-V族化合物半導体材料、又はII-VI族化合物半導体材料からの半導体材料を含みうる。IV族元素半導体の半導体材料の例には、特に、ケイ素(Si)及びゲルマニウム(Ge)が含まれる。IV-IV族化合物半導体材料の例には、特に、炭化ケイ素(SiC)及びシリコンゲルマニウム(SiGe)が含まれる。III-V族化合物半導体材料の例には、特に、ヒ化ガリウム(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)、リン化ガリウム(GaP)、リン化インジウム(InP)、窒化インジウムガリウム(InGaN)、ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)が含まれる。II-VI族化合物半導体材料の例には、特に、テルル化カドミウム(CdTe)、テルル化カドミウム水銀(CdHgTe)、テルル化カドミウムマグネシウム(CdMgTe)が含まれる。
【0009】
一実施形態によれば、半導体ダイが、ディスクリートパワーデバイス(discrete power device)として構成される。ディスクリートパワーデバイスとは、高負荷電圧及び/又は高電流、即ち、少なくとも100V(ボルト)、少なくとも600V、少なくとも1200V、又はそれより高い電圧、及び/又は少なくとも1A(アンペア)、少なくとも10A、少なくとも50A、少なくとも100A、又はそれより高い電流に対応すると評価される能動素子を含むダイを指している。ディスクリートパワーデバイスの例には、パワーMOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)、HEMT(高電子移動度トランジスタ)、パワーダイオードなどが含まれる。ディスクリートパワーデバイスとして構成された半導体ダイは、半導体ダイの互いに反対を向く主表面と裏面に配置された負荷端子(例えば、ソースとドレイン、コレクタとエミッタ、カソードとアノードなど)間を流れる垂直方向の負荷電流を制御する垂直型デバイス(vertical device)として構成されうる。代替的に、ディスクリートパワーデバイスとして構成された半導体ダイは、半導体ダイの同じ主表面上に配置された負荷端子間を流れる水平方向の負荷電流を制御する水平型デバイス(lateral device)として構成されうる。
【0010】
半導体デバイスを製造する方法100における第2のステップ104は、金属接合相手を設けることを含む。金属接合相手は、はんだ接続を介して半導体ダイと機械的かつ(任意選択的に)電気的に接続可能な金属アタッチ表面を有するものであれば何でもよい。金属接合相手は、半導体ダイの端子との導電性接続を形成するために使用される導電性素子とすることができ、及び/又は、半導体ダイから熱を奪うよう構成された熱伝導性素子とすることができる。金属接合相手は、例えば、Cu、Ni、Ag、Au、Pd、Pt、NiV、NiP、NiNiP、NiP/Pd、Ni/Au、NiP/Pd/Au、又はNiP/Pd/AuAgを含むことができ、及び/又はこれらでめっきされうる。
【0011】
一実施形態によれば、金属接合相手が金属ダイアタッチ構造である。金属ダイアタッチ構造(metal die attach structure)という用語は、半導体ダイの取り付けに対応するために使用されるダイアタッチ表面を含む金属基板を表すことを意図している。例えば、金属ダイアタッチ構造は、回路キャリア、例えばDBC(direct bonded copper、直接接合銅)基板、AMB(active metal brazed、活性金属ろう付け)基板、IMS(insulated metal substrate、絶縁金属基板)、又はPCB(printed circuit board、プリント回路基板)からの構造化された金属パッドに対応しうる。他の例において、金属ダイアタッチ構造は、モールド半導体パッケージのリードフレームの一部を形成するダイパッドに対応しうる。
【0012】
一実施形態によれば、金属接合相手が金属相互接続要素である。金属相互接続要素という用語は、金属接合面と接合されて、金属接合面への電気接続を形成するよう適合された導電性構造を表すことを意図している。金属相互接続要素は、半導体ダイの端子に接合され得、又は回路キャリアからの金属パッド又はリードフレーム表面といった他の金属接合面に接合されうる。金属相互接続要素の例には、ボンドワイヤ、相互接続クリップ、リボン、及びクリップフレームが含まれる。
【0013】
半導体デバイスを製造する方法100における第3のステップ106は、拡散はんだ可能領域を形成することを含む。拡散はんだ付け可能領域とは、拡散はんだ付けプロセスによってはんだ接合部を形成するために必要な属性(例えば、組成、厚さ、大きさなど)を備えたプリはんだ(pre-solder)材料の領域である。拡散はんだ付けプロセスによってはんだ接合部を形成するために必要な特性を備えたはんだ組成物の例として、Sn、Zn、In、Ga、Bi、Cd、Cu、Ag、Sb、Ni及びこれらの合金を含むはんだ材料が挙げられる。拡散はんだ付けプロセスによってはんだ接合部を形成するために必要な属性を備えた特定のはんだ組成物には、いくつか例を挙げると、Sn/Ag/Cu、Sn/Ag、Sn/Ag/Sb、Sn/Sb、Sn/Cu、AuSn、NiSn、CuSn、InCu、InNi、ZnSnが含まれる。拡散はんだ付けプロセスによってはんだ接合部を形成できるはんだ厚さの例には、200μm未満、150μm未満、100μm未満などの厚さが含まれる。上記の厚さの値は、例えば、50μm未満、例えば、30μm以下、25μm以下、20μm以下など、大幅により小さいとすることができ、このことで、拡散はんだ付けプロセスの間に接合相手に機械的圧力を加えることが必要とならずに、はんだ接合部の形成が容易になりうる。
【0014】
拡散はんだ付け可能領域は、インクジェット金属印刷プロセスによって形成される。インクジェット金属印刷とは、プリンタヘッドが堆積表面面に直接インクを塗布し、これにより堆積表面上の所望の位置にインクの層又は液滴を生成する技術を指している。金属堆積によって使用されるインクは、印刷された構造において最終的に固体金属として形成される金属の濃度を含みうる。金属は、粒子の形状により、特に、対応する固体金属より低い溶融温度を有するよう構成されたナノ粒子として提供されうる。代替的に、金属が、金属塩によって提供されてよく、当該金属塩は、印刷された金属構造を形成するために金属に還元される。インクは、金属がその中を浮遊する溶媒を含みうる。溶媒は、水、又はトルエン若しくはエチレングリコール(EG)といった有機溶媒を含みうる。インクは、接着促進剤、結合剤等といった他の添加剤も含みうる。インクジェット金属印刷プロセスのプリンタヘッドは、所望の形状寸法でインクの領域を形成するために作動される(動かされる)。インクジェット金属印刷プロセスは、スクリーン印刷といった他のタイプの金属堆積プロセスでは実現できない高い分解能で、金属領域を堆積させることができる。例えば、インクジェット金属印刷によって形成される金属構造の最小幅が、20μm、15μm、10μm、又はそれより小さいオーダーでありうる。
【0015】
一実施形態によれば、インクジェット金属印刷プロセスを実行することが、第1の金属インクをインクジェット金属印刷することと、第2の金属インクをインクジェット金属印刷することと、を含み、第1の金属インクが第1の金属を含み、第2の金属インクが第2の金属を含み、第2の金属は、第1の金属よりも融点が高い。第1の金属は、拡散はんだ付けプロセスの接合温度において、例えば400℃以下の温度で液化する低融点金属でありうる。第1の金属の例には、Sn、Zn、In、Ga、Bi、Cd、及びこれらの合金が含まれる。第2の金属は、拡散はんだ付けプロセスの接合温度では必ずしも液化しない融点が比較的高い金属でありうる。第2の金属の例には、Cu、Ag、Sb、Ni、及びこれらの合金が含まれる。インクジェット金属印刷プロセスが、金属接合相手又は半導体ダイに第1の金属インクを印刷することを含みうる。同様に、インクジェット金属印刷プロセスが、金属接合相手又は半導体ダイに第2の金属インクを印刷することを含みうる。このように、第1の金属インク及び第2の金属インクは、それぞれ金属接合相手に印刷することができ、それぞれ半導体ダイに印刷することができ、又は、2つの異なる表面に印刷することができ、即ち、第1の金属インクが金属接合相手に形成され、第2の金属インクが半導体ダイに形成され、若しくはその逆も然りである。インクジェット金属印刷プロセスは、第1の金属インク及び第2の金属インクを順次印刷すること含むことができ、即ち、最初に第1の金属インクを形成し、続いて第2の金属インクを形成し、又はその逆も然りである。他の実施形態において、インクジェット金属印刷プロセスを実行することが、マルチヘッドプリンタを使用して、第1の金属インクと第2の金属インクを同時に印刷することを含む。インクジェット金属印刷プロセスは、インクが印刷されている間の溶媒への浮遊金属粒子の溶解を加速させるために、金属インクを印刷する前に半導体ダイ又は金属接合相手を加熱することを含みうる。
【0016】
一実施形態によれば、インクジェット金属印刷プロセスは、第3のインクをインクジェット印刷することをさらに含む。第3のインクは、第1の金属及び第2の金属とは異なる第3の金属を含む金属インクでありうる。例えば、第3の金属は、他の低融点金属、例えば、Sn、Zn、In、Ga、Bi、Cd、及びこれらの合金を含みうる。代替的に、第3のインクが、材料のはんだ付け性/濡れ性を補助するために使用される融剤を含みうる。第3のインクは、金属接合相手上又は半導体ダイ上に形成されうる。同様に、インクジェット金属印刷プロセスは、追加のインク、例えば、第4のインク、第5のインクなどを塗布することを含むことができ、上記のインクのそれぞれは、異なる金属及び/又は更なる添加剤を含みうる。代替的に、第3のインク及びその後続のインクが、以前に堆積したインクと同一でありうる。例えば、第3のインクが第1のインクと同一であることがあり、第4のインクが第2のインクと同一であることもあり、これにより、これらのインクは、交互になった層として印刷される。本明細書に記載の拡散はんだ付け可能領域は、本明細書に記載の実施形態に従って第1の金属インク及び/又は第2の金属インクが形成されたのと同じやり方で、任意の数の追加のインク、例えば、第3のインク、第4のインク、第5のインク等をインクジェット印刷することによって、形成されうると理解されたい。
【0017】
有利に、インクジェット金属印刷プロセスによって、各金属インクの体積及び割合の正確な制御が可能となる。例えば、完成した拡散はんだ付け可能領域は、第1の金属インクの体積が第2の金属インクとは異なりうる。別個に又は組み合わせにおいて、完成した拡散はんだ付け可能領域は、第1の金属の分子量が第2の金属とは異なりうる。このことは、第1の金属インクと第2の金属インクを別々にインクジェット金属印刷することによって成され得、ここで、2つのインクは、拡散はんだ付けプロセスが実行される前に、混合してプリはんだ領域(pre-solder region)となる。以下の実施形態では、上記の特性を備えた拡散はんだ付け可能領域を得るための可能なやり方のほんの一部が表される。
【0018】
一実施形態によれば、第1の金属インクをインクジェット印刷することが、第1の金属インクの第1の層を形成することと、第2の金属インクの第2の層を形成すること、とを含む。この場合、第1の金属インクの第1の層及び第2の金属インクの第2の層は、拡散はんだ付け可能領域の領域を占める連続層の金属インクである。これらの層は、はんだ付けプロセスの前又は最中に混ざり合う。第1の金属インクの第1の層が、第2の金属インクの第2の層と同じ面積及び厚さを有しうる。代替的に、第1の金属インクの第1の層が、第2の金属インクの第2の層と異なる大きさ及び/又は厚さを有しうる。第1の金属インクの第1の層が、金属接合相手又は半導体ダイに印刷されうる。同様に、第1の金属インクの第2の層が、金属接合相手又は半導体ダイに印刷されうる。一実施形態において、第1金属インクの第1の層及び第2の金属インクの第2の層がそれぞれ、同じ表面上に形成され、即ち、金属接合相手上又は半導体ダイ上に形成され、ここで、第2の金属インクの第2の層は、第1の金属インクの第1の層上に直接的に形成される。他の実施形態において、第1の金属インクの第1の層と第2の金属インクの第2の層が、それぞれ異なる表面上に形成され、即ち、第1の金属インクの第1の層が金属接合相手に印刷され、第2の金属インクの第2の層が半導体ダイに印刷され、又はその逆も然りである。この場合は、金属接合相手と半導体ダイが一緒に組み立てられると、金属インクが互いに結合する。
【0019】
一実施形態によれば、インクジェット金属印刷プロセスを実行することが、半導体ダイ上又は金属接合相手上に第1の金属インクの第1の複数の液滴を形成することと、半導体ダイ上又は金属接合相手上に第2の金属インクの第2の複数の液滴を形成することと、を含み、拡散はんだ付け可能領域では、第2の金属インクの第2の複数の液滴が、第1の金属インクの第1の複数の液滴の間に散在する。この場合に、インクジェット印刷は、各種の金属インクの複数のセル、即ち液滴を形成することであって、拡散はんだ付け可能領域内で上記複数のセルが互いに重なり合うように、各タイプの金属インクの複数のセル、即ち液滴を形成することを含む。別の言い方をすれば、インクジェット印刷は、第1の金属インクの複数の液滴及び第2の金属インクの複数の液滴を、拡散はんだ付け可能領域内に両種の液滴が存在するように、同じ表面上に又は互いに対向する2つの表面の同じ領域内に形成することを含む。第1の金属インクの液滴は、規則的なパターンに従って、例えば、格子パターン、六角形パターンなどに従って形成することができる。同様に、第2の金属インクの液滴は、規則的なパターンに従って、例えば、格子パターン、六角形パターンなどに従って形成することができる。同じ表面に印刷される場合には、2つのパターンが互いに重なり合えるように、第2の金属インクの液滴の位置を第1の金属インクの液滴の位置からずらすことができる。第1の金属インクのパターンと第2の金属インクのパターンは、互いに同一であってよい。結果的に、拡散はんだ付け可能領域では、第1の金属インクの体積が第2の金属インクと同じである。代替的に、第1の金属インクのパターンと第2の金属インクのパターンは、何らかの形で異なり得、例えば、液滴の大きさ、液滴間の間隔、液滴の数などが異なりうる。
【0020】
一実施形態によれば、拡散はんだ付け可能領域では、第2の金属インクの液滴の面密度が第1の金属インクの液滴とは異なるように、第2の金属インクの第2の複数の液滴が、第1の金属インクの第1の複数の液滴の間に散在する。即ち、拡散はんだ付け可能領域では、第2の金属インクの液滴の全体数が第1の金属インク液滴より少ないように、第2の金属インクの液滴が、第1の金属インクの液滴よりも大きな間隔をとって形成される。このようにして、液滴間の所望の比率、ひいては金属インクの体積比を得ることができ、例えば、3:1の比率は、第2の金属インクの1滴ごとに3滴の第1の金属インクが存在するパターンによって得ることができ、4:1の比率は、第2の金属インクの1滴ごとに4滴の第1の金属インクが存在するパターンによって得ることができる、といった具合である。
【0021】
一実施形態によれば、第1の複数の液滴又は第2の複数の液滴が拡散はんだ付け可能領域全体に不均質に分散されるように、第2の金属インクの第2の複数の液滴が、第1の金属インクの第1の複数の液滴の間に散在する。即ち、液滴は、拡散はんだ付け可能領域の1の部分領域内では、拡散はんだ付け可能領域の他の部分領域内よりも高い密度で形成される。第2の金属インクの液滴を例にとると、拡散はんだ付け可能領域の第1の部分領域が、1の量(例えば、5滴)を含んでよく、同じ大きさの拡散はんだ付け可能領域の第2の部分領域が、異なる量(例えば、2滴)を含んでよい。このようにして、インクの液滴は、例えば拡散はんだ付け可能領域の外縁付近の、拡散はんだ付け可能領域の所望の位置で、より高い濃度に向かって偏らせることができる。
【0022】
半導体デバイスを製造する方法100における第4のステップ108は、金属接合相手と半導体ダイとの間に拡散はんだ付け可能領域を含むよう、アセンブリを形成することを含む。本ステップでは、半導体ダイと金属接合相手が互いに結合されて、はんだ接合部の形成のために必要な配置において拡散はんだ付け可能領域を提供する。例えば、アセンブリを形成することが、金属ダイアタッチ構造に相当する金属接合相手に半導体ダイを取り付けること、即ち、ダイアタッチプロセスを含みうる。一実施形態において、ダイアタッチプロセスが、ダイアタッチツールを使用することを含み、インクジェット金属印刷プロセスを実行することが、ダイアタッチツールに組み込まれたプリンタヘッドを使用することを含む。このように、はんだ付けツールを、最小限の費用で既存のツールに簡単に組み込むことが可能である。他の実施例において、アセンブリを形成することが、金属相互接続要素として構成された金属接合相手を半導体ダイに載置することを含みうる。
【0023】
一実施形態によれば、アセンブリは、複数の拡散はんだ付け可能領域を備えて形成され、これらの拡散はんだ付け可能領域の少なくとも1つが、インクジェット金属印刷によって形成される。その一例として、アセンブリを形成することは、半導体ダイの裏面が金属ダイアタッチ構造に向くように半導体ダイを取り付けることと、半導体ダイの主表面上の端子の上に、1つ以上の金属相互接続要素を形成することと、を含む。拡散はんだ付け可能領域が、半導体ダイの裏面と金属ダイアタッチ構造との間に設けられ、追加の拡散はんだ付け可能領域が、半導体ダイの主表面上の各端子と、対応する金属相互接続との間に設けられ、ここで、拡散はんだ付け可能領域の少なくとも1つが、本明細書に記載のインクジェット金属印刷プロセスによって形成される。任意選択的に、拡散はんだ付け可能領域のうちの幾つかが、スクリーン印刷又はスピンコーティングといった他のタイプの金属堆積プロセスによって形成されうる。
【0024】
半導体デバイスを製造する方法100における第5のステップ110が、
半導体ダイと金属接合相手との間の拡散はんだ付け可能領域からはんだ接合部を形成する拡散はんだ付けプロセスを実行することを含む。拡散はんだ付けとは、はんだ材料を、はんだ接合部内に金属間相を形成する接合温度まで上げるプロセスを指し、ここで、反応の主なしくみは、金属間相(intermetallic phase)を形成するための2つの異なる金属原子の拡散である。金属間相は、未反応のはんだ金属より融点が高く、これにより、はんだ接合部は凝固したままとなり、接合温度を超えて加熱しない限り溶融しない。
【0025】
一実施形態によれば、拡散はんだ付けプロセスは、拡散はんだ付け可能領域が間に配置された半導体ダイ及び金属接合相手を、真空オーブン内に配置することを含む。ギ酸といった酸化防止剤を真空オーブンに導入して、金属接合面及び/又は拡散はんだ付け可能領域で存在しうる酸化を取り除くことで、濡れ性を上げてはんだリフローを向上させることができる。その後、真空オーブンの温度は、例えば真空条件下において加熱要素によって、拡散はんだ付け可能領域をリフローさせる接合温度を超えて上げることができる。この加熱ステップの条件は、拡散はんだ付け可能領域が溶融し、半導体ダイ及び金属接合相手の金属接合面と反応して金属間相を含むはんだ接合部を形成するように、選択される。上記金属間相のそれぞれは、融点が、はんだ接合部の残りの材料を上回り、かつはんだ付け温度を上回る。金属間相は、2つの異なる金属で構成させており構成元素とは異なる結晶構造を有する化合物である。例えば、Cuベースの金属表面間に設けられたSnベースのはんだ材料の場合、はんだ接合部はCuSnの金属間相を含むことができ、当該CuSnの金属間相では、合金化されたCuSn又は金属Cu及び金属Snとは結晶学的特性が異なり、合金化されたCuSn又は金属Cu及び金属Snよりも融点が高い。
【0026】
一実施形態によれば、拡散はんだ付けは、例えば可動プレス機からの、機械的圧力を加えることなく実行される。代わりに、拡散はんだ付け可能領域の厚さ及び組成は、金属間相の割合が高いはんだ接合部が温度のみによって形成されるように、選択される。例えば、拡散はんだ付け可能領域は厚さを50μm未満とすることができ、実施形態では、30μm以下、25μm以下、20μm以下などでありうる。上記の厚さレベルにおいて、大量の金属間相が、実質的にはんだ接合部の厚さにわたって又は当該厚さに亘って完全に形成され、これにより、引張強度が高いはんだ接合部であって、高温での処理により引き起こされる熱膨張力に対して耐久性があるはんだ接合部が形成される。
【0027】
一実施形態によれば、任意選択的に、乾燥ステップが、インクジェット印刷ステップの一部又は全ての後に実行されうる。例えば、1のインクジェット層を印刷した後で、他の層を印刷する前に上記1の層を完全に乾燥させ又は部分的に乾燥させるのが有利である場合ある。他の例において、乾燥させることは、全インクジェット層が印刷された後であるが拡散はんだ付けが行われる前に、実行することが可能であろう。乾燥させることは、印刷された層を乾燥させるのを単に一時休止することを含みうるであろうし、又は、乾燥を促進するために追加のステップを取ることができるであろうし、例えば、乾燥プロセスを早めるために、印刷された層を加熱すること若しくは当該層に向かって空気を方句付けることが行われうるであろう。
【0028】
図2を参照すると、一実施形態に係る、拡散はんだ付け可能領域が金属インクのインクジェット金属印刷層によって形成される方法が示されている。各方法ステップについての下側の図は、アセンブリの側面図を表しており、各方法ステップについての上側の図は、アセンブリの対応する平面図を表している。第1のステップ200において、金属ダイスアタッチ構造201が設けられる。第2のステップ202において、第1の金属インクの第1の層203が、インクジェット金属印刷によって、金属ダイアタッチ構造201上に形成される。第3のステップ204において、第2の金属インクの第2の層205が、インクジェット金属印刷によって、金属ダイアタッチ構造201上の第1の金属インクの第1の層203の上に形成される。第4のステップ206において、半導体ダイ207が、第1の金属インクの第1の層203及び第2の金属インクの第2の層205に対応する拡散はんだ付け可能領域に載置される。続いて、拡散はんだ付けプロセスが実行されて、半導体ダイ207と金属ダイアタッチ構造201との間の拡散はんだ付け可能領域からはんだ接合部209が形成される。
【0029】
図3を参照すると、拡散はんだ付け可能領域の2つの代替構成が示されている。
図3Aの実施形態では、拡散はんだ付け可能領域が、金属ダイアタッチ構造201から離れる方向に向く凹面を含むよう形成される。
図3Bの実施形態では、拡散はんだ付け可能領域が、金属ダイアタッチ構造201から離れる方向に向く凸面を含むよう形成される。これらの形状のどちらか一方を使用して、例えば材料のCTE(熱膨張係数)の違いからアセンブリ内で発生しうる反りを補正することができる。
【0030】
図4を参照すると、一実施形態に係る、拡散はんだ付け可能領域が金属インクのインクジェット金属印刷液滴によって形成される方法が示されている。各方法ステップについての下側の図は、アセンブリの側面図を表しており、各方法ステップについての上側の図は、アセンブリの対応する平面図を表している。第1のステップ400において、金属ダイスアタッチ構造201が設けられる。第2のステップ402において、第1の金属インクの第1の複数の液滴403が、インクジェット金属印刷によって、金属ダイアタッチ構造201上に形成される。この場合、第1の複数の液滴403は、格子パターンで形成されており、当該格子パターンでは、液滴のそれぞれが、垂直方向及び水平方向に互いに規則的に間隔をとって配置されている。第3のステップ404において、第2の金属インクの第2の複数の液滴405が、インクジェット金属印刷によって、金属ダイアタッチ構造201上に形成される。この場合、第2の金属インクの第2の複数の液滴405は、第1の複数の液滴403と同様に格子パターンで形成されているが、但し、第2の複数の液滴405の位置は、第1の複数の液滴403の位置からずれており、これにより、2つの金属インクの相互的散在(interspersion)が生じる。第4のステップ406において、半導体ダイ207が、第1の金属インクの第1の複数の液滴403及び第2の金属インクの第2の複数の液滴405に対応する拡散はんだ付け可能領域に載置される。続いて、拡散はんだ付けプロセスが実行されて、半導体ダイ207と金属接合相手との間にある拡散はんだ付け可能領域からはんだ接合部209が形成される。
【0031】
図5を参照すると、第1の金属インクと第2の金属インクの相互的散在の2つの代替構成が示されている。
図5Aの例において、拡散はんだ付け可能領域では、第2の金属インクの液滴の面密度が第1の金属インクの液滴とは異なるように、第2の金属インクの第2の複数の液滴405が、第1の金属インクの第1の複数の液滴403の間に散在している。より詳細には、第2の複数の液滴405は、第1の複数の液滴403のように格子パターンで形成されているが、液滴間の間隔がより大きい。その結果、拡散はんだ付け可能領域内では、第1の金属インクの液滴の密度が、第2の金属インクの液滴よりも高い。
図5Bの例では、第2の複数の液滴が拡散はんだ付け可能領域全体に不均質に分散されるように、第2の金属インクの第2の複数の液滴405が、第1の金属インクの第1の複数の液滴403の間に散在している。特に、第2の複数の液滴405は、拡散はんだ付け可能領域の外縁付近にリング形状のパターンで形成され、ここで、取付領域の中央領域には第2の金属インクの液滴が存在しない。その結果、第2の金属インクは上記外縁付近に集中している。このコンセプトを使用して、完全に形成されたはんだ接合部209の範囲内の所望の位置で、金属間相の集中を形成することができる。
【0032】
図6を参照すると、一実施形態に係る、複数の拡散はんだ付け可能領域が1つのアセンブリ内に形成され、拡散はんだ付け可能領域のうちの少なくとも1つが金属インクのインクジェット金属印刷層によって形成される方法が示されている。各方法ステップについての下側の図は、アセンブリの側面図を表しており、各方法ステップについての上側の図は、アセンブリの対応する平面図を表している。第1のステップ600において、半導体ダイ207が金属ダイアタッチ構造201に取り付けられたアセンブリが設けられ、ここで、第1の拡散はんだ付け可能領域211が、半導体ダイ207の裏面と金属ダイアタッチ構造201との間に配置されている。第2のステップ602において、第2の拡散はんだ付け可能領域213、及び第3の拡散はんだ付け可能領域215が、金属ダイアタッチ構造201から離れる方向に向く半導体ダイ207の主表面上に設けられる。第2の拡散はんだ付け可能領域213は、半導体ダイ207の第1の端子217上に形成されており、第3の拡散はんだ付け可能領域215は、半導体ダイ207の第2の端子219上に形成されている。一実施形態によれば、半導体ダイ207が、パワートランジスタ・ダイであり、第1の端子217がゲート端子であり、第2の端子219が負荷端子、例えば、ソース端子、エミッタ端子などである。第3のステップ604において、第2の金属相互接続要素221が、第2の拡散はんだ付け可能領域213上に設けられ、第3の金属相互接続要素223が、第3の拡散はんだ付け可能領域215上に設けられる。続いて、拡散はんだ付けプロセスが実行されて、第1の拡散はんだ付け可能領域211、第2の拡散はんだ付け可能領域213、及び第3の拡散はんだ付け可能領域215のそれぞれからはんだ接合部209が形成される。
【0033】
図6の実施形態では、第1の拡散はんだ付け可能領域211、第2の拡散はんだ付け可能領域213、及び第3の拡散はんだ付け可能領域215のうちのいずれか1つが、インクジェット金属印刷によって形成されうる。一実施形態において、第1の拡散はんだ付け可能領域211が、スクリーン印刷によって形成される。この場合、第1の拡散はんだ付け可能領域211の大きさ及び厚さが、スクリーン印刷技術に適しうる。その一方で、第2の拡散はんだ付け可能領域213、及び第3の拡散はんだ付け可能領域215は、インクジェット金属印刷プロセスによって形成される。これらの領域に対しては、半導体ダイ207の比較的小さいフィーチャ(feature)及び/又は間隔がより狭いフィーチャ上にはんだ材料を形成するために要求される精度のために、インクジェット金属印刷が好適でありうる。
【0034】
本開示はそのように限定されていないが、付番された以下の実施例が、本開示の1つ以上の態様を示す。
【0035】
実施例1.半導体デバイスを製造する方法であって、半導体ダイを設けることと、金属接合相手を設けることと、インクジェット金属印刷プロセスによって拡散はんだ付け可能領域を形成することと、金属接合相手と半導体ダイとの間に拡散はんだ付け可能領域を含むようアセンブリを形成することと、半導体ダイと金属接合相手との間の拡散はんだ付け可能領域からはんだ接合部を形成する拡散はんだ付けプロセスを実行することと、を含む、方法。
【0036】
実施例2.インクジェット金属印刷プロセスを実行することが、金属接合相手又は半導体ダイに第1の金属インクをインクジェット金属印刷することと、金属接合相手又は半導体ダイに第2の金属インクをインクジェット金属印刷することと、を含み、第1の金属インクが第1の金属を含み、第2の金属インクが第2の金属を含み、第2の金属は、第1の金属よりも融点が高い、実施例1に記載の方法。
【0037】
実施例3.第1の金属が、以下のうち、即ち、Sn、Zn、In、Ga、Bi、Cdのうちのいずれか1つであり、第2の金属が、以下のうち、即ち、Cu、Ag、Sb、Niのうちのいずれか1つである、実施例2に記載の方法。
【0038】
実施例4.拡散はんだ付けプロセスを実行することが、アセンブリの温度を、はんだ接合部内に金属間相を形成する接合温度まで上げることを含む、実施例2に記載の方法。
【0039】
実施例5.第1の金属インクをインクジェット金属印刷することが、金属接合相手上又は半導体ダイ上に第1の金属インクの第1の層を形成することを含み、第2の金属インクをインクジェット金属印刷することが、金属接合相手上又は半導体ダイ上に第2の金属インクの第2の層を形成することを含む、実施例2に記載の方法。
【0040】
実施例6.第1の金属インクの第1の層が、金属接合相手上に形成され、第2の金属インクの第2の層が、半導体ダイ上に形成される、実施例5に記載の方法。
【0041】
実施例7.第1の金属インクをインクジェット金属印刷することが、半導体ダイ上又は金属接合相手上に第1の金属インクの第1の複数の液滴を形成することを含み、第2の金属インクをインクジェット金属印刷することが、半導体ダイ上又は金属接合相手上に第2の金属インクの第2の複数の液滴を形成することを含み、拡散はんだ付け可能領域では、第2の金属インクの第2の複数の液滴が、第1の金属インクの第1の複数の液滴の間に散在する、実施例2に記載の方法。
【0042】
実施例8.拡散はんだ付け可能領域では、第2の金属インクの液滴の面密度が第1の金属インクの液滴とは異なるように、第2の金属インクの第2の複数の液滴が、第1の金属インクの第1の複数の液滴の間に散在する、実施例7に記載の方法。
【0043】
実施例9.第1の複数の液滴又は第2の複数の液滴が拡散はんだ付け可能領域全体に不均質に分散されるように、第2の金属インクの第2の複数の液滴が、第1の金属インクの第1の複数の液滴の間に散在する、実施例7に記載の方法。
【0044】
実施例10.インクジェット金属印刷プロセスを実行することが、金属接合相手又は半導体ダイに第3のインクをインクジェット金属印刷することをさらに含み、第3のインクが、第1の金属及び第2の金属とは異なる融剤及び/又は第3の金属を含む、実施例2に記載の方法。
【0045】
実施例11.インクジェット金属印刷プロセスを実行することが、マルチヘッドプリンタを使用して、第1の金属インクと第2の金属インクを同時に印刷することを含む、実施例2に記載の方法。
【0046】
実施例12.アセンブリを形成することが、ダイアタッチツールを使用することを含み、インクジェット金属印刷プロセスを実行することが、ダイアタッチツールに組み込まれたプリンタヘッドを使用することを含む、実施例2に記載の方法。
【0047】
実施例13.金属接合相手が金属ダイアタッチ構造であり、はんだ接合部が、金属ダイアタッチ構造と半導体ダイの裏面端子との間の接続を形成する、実施例2に記載の方法。
【0048】
実施例14.拡散はんだ付け可能領域が、金属ダイアタッチ構造から離れる方向に向く凹面又は凸面を含むよう形成される、実施例12に記載の方法。
【0049】
実施例15.金属接合相手が金属相互接続要素であり、はんだ接合部が、金属相互接続要素と半導体ダイの主側面端子との間の接続を形成する、実施例2に記載の方法。
【0050】
実施例16.半導体デバイスを製造する方法であって、半導体ダイを設けることと、金属ダイアタッチ構造を設けることと、第1の金属相互接続要素を設けることと、第1の拡散はんだ付け可能領域、及び第2の拡散はんだ付け可能領域を形成することと、金属ダイアタッチ構造と半導体ダイとの間に第1の拡散はんだ付け可能領域を含み、かつ半導体ダイと第1の金属相互接続要素との間に第2の拡散はんだ付け可能領域を含むよう、アセンブリを形成することと、半導体ダイと金属接合相手との間の第1の拡散はんだ付け可能領域から第1のはんだ接合部を形成し、かつ半導体ダイと第1の金属相互接続要素との間の第2の拡散はんだ付け可能領域から第2のはんだ接合部を形成する拡散はんだ付けプロセスを実行することと、を含み、第1の拡散はんだ付け可能領域及び第2の拡散はんだ付け可能領域の少なくとも一方が、インクジェット金属印刷プロセスによって形成される、方法。
【0051】
実施例17.第2の拡散はんだ付け可能領域が、インクジェット金属印刷プロセスによって形成される、実施例16に記載の方法。
【0052】
実施例18.第1の拡散はんだ付け可能領域が、スクリーン印刷によって形成される、実施例17に記載の方法。
【0053】
実施例19.半導体ダイが、パワートランジスタ・ダイとして構成される、実施例16に記載の方法。
【0054】
実施例20.半導体ダイは、当該半導体ダイの主表面上に第1の端子及び第2の端子がそれぞれ配置されており、第1の端子がゲート端子であり、第2の端子が負荷端子であり、第2の拡散はんだ付け可能領域が、第1の端子上に形成され、方法が、第2の金属相互接続要素を設けることと、第2の端子上に第3の拡散はんだ付け可能領域を形成することと、半導体ダイと第2の金属相互接続要素との間に第3の拡散はんだ付け可能領域を含むよう、アセンブリを形成することと、第3の拡散はんだ付け可能領域から第3のはんだ接合部を形成する拡散はんだプロセスを実行すること、をさらに含み、第2の拡散はんだ付け可能領域及び第3の拡散はんだ付け可能領域がそれぞれ、インクジェット金属印刷プロセスによって形成される、実施例16に記載の方法。
【0055】
「第1の(first)」、及び「第2の(second)」等の用語は、様々な要素、領域、セクションなどを説明するために使用されており、限定することを意図するものでもない。同様の用語が、説明全体を通して類似した要素を指す。
【0056】
本明細書では、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「含む(including)」、及び「備える(comprising)」等の用語は、記載された要素又は特徴の存在を示すオープンエンドの用語(open ended term)であるが、追加の要素又は特徴を排除するものではない。「1つの(a)、(an)」、及び「その(the)」という冠詞は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、単数形だけでなく複数形も含むものとする。
【0057】
本明細書に記載された様々な実施形態の特徴は、特に断りのない限り、互いに組み合わせることができると理解されたい。
【0058】
本明細書では特定の実施形態を図示し説明してきたが、当業者であれば、様々な代替の実施形態及び/又は同等の実施形態が、本発明の範囲を逸脱することなく、図示し説明した特定の実施形態と置き換えられることが明かであろう。本出願は、本明細書で論じられた特定の実施形態のあらゆる適応又は変形を対象とすることを意図している。従って、本発明は、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定されることが意図されている。
【外国語明細書】