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特開2024-163084計画データによって示される姿勢で解剖学的要素の画像を生成する技術
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163084
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】計画データによって示される姿勢で解剖学的要素の画像を生成する技術
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/10 20160101AFI20241114BHJP
   A61B 17/70 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
A61B34/10
A61B17/70
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024076704
(22)【出願日】2024-05-09
(31)【優先権主張番号】23172535.9
(32)【優先日】2023-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】521535973
【氏名又は名称】ストライカー ヨーロピアン オペレーションズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Stryker European Operations Limited
【住所又は居所原語表記】Anngrove, IDA Business & Technology Park, Carrigtwohill, County Cork, T45HX08 Ireland
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(74)【代理人】
【識別番号】100215142
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 徹
(72)【発明者】
【氏名】クリスティーナ コリコット
(72)【発明者】
【氏名】マリア マヌエル カルヴァーリョ デ フレイタス マルティンス
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL24
4C160LL39
(57)【要約】      (修正有)
【課題】患者の身体の解剖学的要素の描写を含む画像を生成するための技術を提供する。
【解決手段】患者の身体の解剖学的要素の描写を含む画像を生成するための技術であり、この方法は、コンピューティングシステムによって実行され、以下を含む。患者の身体の少なくとも1つの解剖学的要素の医用画像データを取得すること、少なくとも1つの解剖学的要素に関連づけられた少なくとも3つの計画位置を示す計画データを取得することであって、ここで計画位置の1つ以上が少なくとも1つの計画されている医療用インプラントに関連づけられること、医用画像データ及び計画データに基づいて、少なくとも3つの計画位置によって定義される姿勢をとっている少なくとも1つの解剖学的要素の描写を含む画像を生成すること。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の身体の解剖学的要素の描写を含む画像を、コンピューティングシステムによって、生成する方法であって、
患者の身体の少なくとも1つの解剖学的要素の医用画像データを取得することと、
前記少なくとも1つの解剖学的要素に関連づけられた少なくとも3つの計画位置を示す計画データを取得することであって、ここで前記計画位置の1つ以上が少なくとも1つの計画されている医療用インプラントに関連づけられることと、
前記医用画像データ及び前記計画データに基づいて、前記少なくとも3つの計画位置によって定義される姿勢をとっている前記少なくとも1つの解剖学的要素の描写を含む画像を生成することと
を含む方法。
【請求項2】
前記少なくとも3つの計画位置の2つ以上が前記生成された画像の画像平面に対応する又は平行な同一平面の中に存在するように前記画像が生成される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記計画位置の2つ以上が、同一の計画されている医療用インプラントに関連づけられている請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記同一の計画されている医療用インプラントに関連づけられた前記計画位置の少なくとも2つが、前記同一の計画されている医療用インプラントの向きを定義する直線上に存在する請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記同一の計画されている医療用インプラントに関連づけられた前記計画位置の少なくとも3つが、前記同一の計画されている医療用インプラントの向きを定義する平面内に存在する請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの解剖学的要素の描写の向きを合わせることによって、
(i)前記同一の計画されている医療用インプラントの向きを示す直線と
(ii)前記生成された画像の垂直又は水平の画像軸が
なす角が少なくとも1つの予め定められた基準を満たすように、前記画像が生成される請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記同一の計画されている医療用インプラントに関連付けられた複数の前記計画位置が前記生成された画像の前記画像平面に対応する又は平行な同一平面の中に存在するように、前記画像が生成される請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも3つの計画位置が、少なくとも2つのペアの計画位置を含み、それぞれのペアが異なる計画されている医療用インプラントに関連づけられている請求項1に記載の方法。
【請求項9】
それぞれの計画位置のペアの前記計画位置が、そのペアと関連づけられる前記計画されている医療用インプラントの向きを定義する直線上に存在する請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも2つの計画位置のペアの前記計画位置が、前記生成された画像の画像平面に対応する又は平行な同一平面に存在するように、前記画像が生成される請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの解剖学的要素の描写の向きを合わせることによって、
(i)前記異なる医療用インプラントの向きを示す直線がなす角の2等分線と
(ii)前記生成された画像の垂直又は水平の画像軸が
なす角が少なくとも1つの予め定められた条件を満たすように、前記画像が生成される請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記医用画像データが、ボリュメトリック画像データを含み、前記画像が前記ボリュメトリック画像データの断面を示す二次元画像として生成される請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記生成された画像が、前記少なくとも1つの計画されている医療用インプラントの少なくとも一部の描写を含む請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記医療用インプラントは、(i)脊椎ケージ、(ii)椎弓根固定スクリューなどの骨スクリュー、(iii)椎弓根固定フック 及び(iv)椎弓根固定バンドから選ばれる少なくとも1つの構成要素を含み、及び/又は
前記少なくとも1つの解剖学的要素が椎骨のような骨を含む請求項1に記載の方法。
【請求項15】
さらに前記生成された画像の表示を起動することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの解剖学的要素から選ばれた1つを示すユーザー入力を取得することをさらに含み、
前記画像が、前記選ばれた解剖学的要素に関連付けられた前記少なくとも3つの計画位置に基づき前記画像が生成される請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記医用画像データ及び前記計画データに基づいて複数の画像が生成され、各画像はそれぞれ同一の解剖学的要素に関連付けられた少なくとも3つの計画位置に基づいて生成され、前記選ばれた解剖学的要素に関連付けられた前記少なくとも3つの計画位置に基づいて生成された前記画像のみの表示が起動される請求項16に記載の方法。
【請求項18】
患者の身体の解剖学的要素の描写を含む画像を生成するための方法を実行するように構成された少なくとも1つのプロセッサーを含むシステムであって、
患者の身体の少なくとも1つの解剖学的要素の医用画像データを取得することと、
前記少なくとも1つの解剖学的要素に関連づけられた少なくとも3つの計画位置を示す計画データを取得することであって、ここで前記計画位置の1つ以上が少なくとも1つの計画されている医療用インプラントに関連づけられることと、
前記医用画像データ及び前記計画データに基づいて、前記少なくとも3つの計画位置によって定義される姿勢をとっている前記少なくとも1つの解剖学的要素の描写を含む画像を生成することと
によって画像生成を実行するシステム。
【請求項19】
さらに、以下の構成要素の少なくとも1つを含む請求項18に記載のシステム。
・前記医用画像データを生成するために構成された医用画像取得ユニット
・ユーザー入力を取得するために構成されたユーザー入力装置
・少なくとも前記生成された画像を表示するために構成された表示ユニット
【請求項20】
少なくとも1つのプロセッサー上で実行させたとき、患者の身体の解剖学的要素の描写を含む画像を生成する方法を、前記少なくとも1つのプロセッサーに以下によって実行させる命令を含むコンピュータプログラム。
・患者の身体の少なくとも1つの解剖学的要素の医用画像データを取得すること
・前記少なくとも1つの解剖学的要素に関連づけられた少なくとも3つの計画位置を示す計画データを取得することであって、ここで前記計画位置の1つ以上が少なくとも1つの計画されている医療用インプラントに関連づけられること
・前記医用画像データ及び前記計画データに基づいて、前記少なくとも3つの計画位置によって定義される姿勢をとっている前記少なくとも1つの解剖学的要素の描写を含む画像を生成すること
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、患者の身体の解剖学的要素の描写を含む画像を生成するための方法、システム、コンピュータプログラム及びキャリア媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の医用画像データ、例えばX線画像データ、磁気共鳴(MR)画像データ又はコンピュータ断層撮影(CT)画像データは、外科手術の計画を立てるために使用されることがある。例えば、患者の身体に関連する骨ネジ、骨プレート、脊椎ケージ、椎弓根スクリュー等の医療用インプラントの配置は、外科手術が行われる前に、患者の身体の術前の医用画像データに基づいて外科医によって計画されることがある。後の段階では、ユーザーは、患者の身体の一部と、任意ではあるが、計画されているインプラントとを表す画像が提供されることを望むことがある。
【0003】
患者の身体の一部が画像内で予め定められた姿勢を有することが望ましい場合がある。例えば、脊椎外科の分野では、外科医は、患者の身体の椎骨の棘突起が垂直に上方に伸びている状態で示されている画像に主に関心がある。いくつかの解決策では、椎骨を含む画像が提供され、ユーザーは、椎骨を予め定められた姿勢の(正しい)方向に向けるために画像の回転を変更することがある。別の解決策では、複雑なセグメンテーションアルゴリズムに依存して、医用画像データで表される患者の身体の特定部分の向きを決定する。
【発明の概要】
【0004】
前述の、又は、その他の問題の1つ以上を解決する技術が必要とされている。
【0005】
第1の態様によれば、患者の身体の解剖学的要素の描写を含む画像を生成する方法が提供される。本方法はコンピューティングシステムによって実行される。本方法は、コンピュータ実施方法又はデータ処理方法と呼んでもよい。本方法は外科的ステップを含むものではない。
【0006】
本方法は、患者の身体の少なくとも1つの解剖学的要素の医用画像データを得ることを含む。医用画像データは術前の医用画像データであってもよい。医用画像データは、X線画像データ、磁気共鳴(MR)画像データ又はコンピュータ断層撮影(CT)画像データを含んでもよいし、これらから構成されてもよい。
【0007】
本方法は、更に、計画データを取得することを含む。計画データは、医用画像データと計画データの両方を含むデータセットの一部であってもよい。
【0008】
計画データは、少なくとも1つの解剖学的要素に関連する少なくとも3つの計画位置を示す。(例えば、少なくとも3つの)計画位置のうちの1つ以上(例えば、全て)は、少なくとも1つの計画されている医療用インプラントに関連づけられている。その少なくとも3つの計画位置のうちの1つ又はそれ以上(例えば、全て)が1つ以上の医療用インプラントと関連付けられることにより、少なくとも1つの解剖学的要素に関連付けられる。計画位置のうちの1つ又はそれ以上(例えば、全て)は、(例えば、計画データに応じて)少なくとも1つの解剖学的要素に植め込まれる医療用プラント、及び/又は、(例えば、計画データに応じて)少なくとも1つの解剖学的要素に取り付けられる医療用プラント、及び/又は、(例えば、計画データに応じて)少なくとも1つの解剖学的要素と接触して配置される医療用プラントと関連付けられる。
【0009】
本方法は、更に、医用画像データ及び計画データに基づいて、少なくとも3つの計画位置によって定義される姿勢(例えば、位置及び向きの少なくとも一方)をとっている少なくとも1つの解剖学的要素の描写(例えば、描出又はレンダリング)を含む画像を生成することを含む。姿勢は、生成された画像の座標系に対する、例えば、生成された画像の垂直及び/又は水平の画像軸に対する、少なくとも1つの解剖学的要素の配列と呼ぶことも可能である。姿勢は、少なくとも1つの解剖学的要素をセグメント化(分割)する必要なく決定することができる。少なくとも1つの解剖学的要素の姿勢は、この解剖学的要素に関連する計画位置のみによって定義されても、決定されてもよい。
【0010】
画像は、少なくとも3つの計画位置の2つ以上が生成された画像の画像平面に対応する同一平面又は平行な平面(例えば、仮想面又は切断面)の中に存在するように生成することができる。
【0011】
計画位置のうちの2つ以上は、同一の計画されている医療用インプラントに関連づけられてもよい。同一の計画されている医療用インプラントに関連付けられた計画位置の少なくとも2つが、同一の計画されている医療用インプラントの向きを定義する直線上に配置することができる(例えば、少なくとも2次元又は3次元で)。その直線は、同一の計画されている医療用インプラントの長手方向軸、対称軸及び/又は挿入軌道に対応させることができる。
【0012】
同一の計画されている医療用インプラントに関連づけられた前記計画位置の少なくとも3つは、同一の計画されている医療用インプラントの向きを定義する平面内に存在してもよい(例えば、少なくとも2次元又は3次元で)。その平面は、同一の計画されている医療用インプラントの外面の一部でも、同一の計画されている医療用インプラントの中心面でも、同一の計画されている医療用インプラントの対称面及び/又は同一の計画されている医療用インプラントの接触面でもよい。同一の計画されている医療用インプラントに関連づけられる少なくとも3つの計画位置を含む平面は、画像平面に対応したものでも、画像平面に平行な平面でもよい。
【0013】
画像は、少なくとも1つの解剖学的要素の描写の向きを合わせること(例えば、回転又は整列)や少なくとも1つの解剖学的要素の描写を含むこと(例えば、生成又は投射)によって、(i)同一の計画されている医療用インプラントの向きを示す直線と(ii)生成された画像の垂直又は水平の画像軸がなす角が少なくとも1つの予め定められた基準を満たすように、画像を生成することができる。
【0014】
画像は、同一の計画されている医療用インプラントに関連付けられた複数(例えば、全て)の計画位置が、生成された画像の画像平面に対応する又は平行な同一平面の中に存在するように、生成することが可能である。この同一平面は、同一の計画されている医療用インプラントに関連付けられた計画位置の複数(例えば、全て)を含んでいてもよい。
【0015】
少なくとも3つの計画位置は、少なくとも2つのペアの計画位置を含み、それぞれのペアが異なる計画されている医療用インプラントに関連づけられている。
【0016】
各ペアの計画位置は、そのペアに関連付けられた計画されている医療用インプラントの向きを定義する(例えば、それぞれの)直線上に存在することができる。その直線は、その組に関連付けられた計画されている医療用インプラントの長手方向軸、対称軸及び/又は挿入軌道に対応させることができる。
【0017】
画像は、少なくとも2つの計画位置のペア(例えば、全てのペア)の計画位置が、生成された画像の画像平面に対応する又は平行である同一平面に存在するように生成することができる。画像平面は、少なくとも2つのペアの計画位置を含むことができる。
【0018】
画像は、(i)異なる医療用インプラントの向きを示す線(例えば、直線)がなす角を二等分する角二等分線と(ii)生成された画像の垂直又は水平の画像軸がなす角が、少なくとも1つの予め定められた条件を満たすように、少なくとも1つの解剖学的要素の描写の向きを合わせる(例えば、回転又は整列)、又は、含めることによって生成することができる。少なくとも1つの予め定められた条件は、少なくとも1つの予め定められた基準と異なっていてもよく、対応したものでもよい。
【0019】
医用画像データはボリュメトリック画像データを含むことも可能である。画像は、ボリュメトリック画像データの(例えば画像平面に沿った)断面を表す二次元画像として生成することも可能である。生成された画像は、(例えば、画像平面と交差している)少なくとも1つの計画されている医療用インプラントの(例えば、それぞれの)少なくとも一部の(例えば、輪郭の)描写を含むことも可能である。
【0020】
医療用インプラントは、(i)脊椎ケージ、(ii)椎弓根固定スクリューなどの骨スクリュー、(iii)椎弓根固定フック 及び(iv)椎弓根固定バンドから選ばれる少なくとも1つの構成要素を含むことができる。少なくとも1つの解剖学的要素には、椎骨のような骨を含むことができる。
【0021】
本方法は、生成された画像を保存することをさらに含むことができる。さらに、本方法は、生成された画像の表示を始動させることを含むことができる。
【0022】
本方法は、少なくとも1つの解剖学的要素から選ばれた1つを指示するユーザー入力を取得することをさらに含むことができる。そのユーザー入力は、外科器具又はポインターの追跡された姿勢に対応することができる。
【0023】
画像は、選択された解剖学的要素に(例えば、選択された解剖学的要素にのみに)関連付けられた少なくとも3つの計画位置に(例えば、少なくとも3つの計画位置のみに)基づいて生成することが可能である。
【0024】
少なくとも1つの解剖学的要素が2つ以上ある場合のそれぞれについては、各々の画像を生成することが可能である。それぞれの画像は、それぞれの解剖学的要素に関連付けられた医用画像データ及び計画位置に基づいて生成することができる。それぞれの画像が、同一の各解剖学的要素に関連付けられた少なくとも3つの計画位置に基づいて生成されるので、複数の画像(例えば、それぞれの画像)が、医用画像データ及び計画データに基づいて(例えば、画像生成ステップが繰り返される過程の中で、又はその繰り返しによって)生成される。選択された解剖学的要素に関連付けられた少なくとも3つの計画位置に基づいて生成された画像のみが表示されるように起動することも可能である。
【0025】
本方法は、ユーザー入力に従って表示される画像を更新することを含むことができる。例えば、第1の椎骨の描写を含む第1の生成された画像は、ユーザー入力としてのポインター又は手術器具の第1の追跡される姿勢に基づいて表示されるように起動させることができる。その後、異なる第2の椎骨の描写を含む第2の生成された画像が、ユーザー入力としてのポインター又は手術器具の異なる第2の姿勢に基づいて表示されるように起動させることができる。
【0026】
第2の態様では、システムが提供される。このシステムは、少なくとも1つのプロセッサーを備えるので、処理システムと一般に呼ぶことも可能である。少なくとも1つのプロセッサーは、本方法を第1の態様にしたがって実行するように構成されている。
【0027】
システムは、以下の少なくとも1つの構成要素をさらに含むことができる。
・医用画像データを生成するように構成された医用画像取得ユニット
・ユーザー入力(例えば、少なくとも3つの計画位置のうちの1つ以上を定義する、及び/又は、計画位置のサブセットを示す、及び/又は、少なくとも1つの解剖学的要素のうちの選択された1つを示す)を取得するために構成されたユーザー入力装置
・少なくとも生成された画像を表示するために構成された表示ユニット
【0028】
第3の態様では、コンピュータプログラムが提供される。コンピュータプログラムは、少なくとも1つのプロセッサー(例えば、第2の態様に従ったシステムの少なくとも1つのプロセッサー)で実行させたとき、少なくとも1つのプロセッサーに第1の態様に従った方法を実行させる命令を含む。コンピュータプログラムは、キャリア媒体に格納されてもよいし、キャリア媒体によって搬送されてもよい。キャリアは、電子信号、光信号、無線信号、又は(例えば、非一時的)コンピュータ可読記憶媒体のうちの1つとすることができる。
【0029】
第4の態様では、記憶媒体が提供される。記憶媒体は、非一時的コンピュータ記憶媒体とすることができる。この記憶媒体は、第3の態様に従ったコンピュータプログラムを記憶するものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本開示のさらなる詳細、効果、及び態様は、図と併せて得られる以下の実施形態から明らかになる。
図1】本開示のシステムの概略図である。
図2】本開示のフローチャートである。
図3】典型的な医用画像データと2つの計画されている医療用インプラント提示に基づくレンダリング画像を示す。
図4図3のレンダリング画像及び平面の表示を示す。
図5図4に示された平面に沿った断面画像と、計画されている2つの医療用インプラントの外形の表示を示す。
図6図5の断面像と角の二等分線の表示を示す。
図7図7は、角二等分線に基づいて回転させた図6の断面像を示す。
図8図8は、2つの隣接する椎骨の間に配置される予定の医療用インプラントとしての脊椎ケージを示す。
図9a】椎骨に取り付けられる予定の医療用インプラントとしての脊髄スリングと脊髄クランプを示す。
図9b】椎骨に取り付けられる予定の医療用インプラントとしての脊髄スリングと脊髄クランプを示す。
図9c】椎骨に取り付けられる予定の医療用インプラントとしての脊髄スリングと脊髄クランプを示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して典型的な実施形態について説明する。同じ参照番号は、同じ又は類似の構造的特徴を示すために使用される。
【0032】
図1は、本開示のシステム100の概略図を示す。システム100は、少なくとも1つのメモリ6及び少なくとも1つの有線及び/又は無線インターフェース8と通信可能なように接続された少なくとも1つのプロセッサー4を備えるコンピューティングユニット2を備える。システム100又はコンピューティングユニット2は、一般に「コンピューティングシステム」と呼ばれることがある。コンピューティングユニット2の個々のコンポーネントが、例えば仮想機能として、クラウドコンピューティングプラットフォームの一部であることも可能である。コンピューティングユニット2は、手術ナビゲーションシステムの一部であってもよい。
【0033】
システム100は、さらに、表示ユニット10、サーバ又はデータストレージ12、追跡ユニット14及び医用画像取得ユニット16を備え、それぞれ有線又は無線接続を介してコンピューティングユニット2に接続される。表示ユニット10は、手術室のスタンドに取り付けられてもよいし、頭部装着型拡張現実感提示装置の一部であってもよい。データストレージ12は、病院の画像保管管理システム(PACS)の一部であってもよく、X線画像、CT画像データ、及び/又は、MR画像データなどの医用画像データを格納してもよい。追跡ユニット14は、(例えば、ステレオ)カメラ又は電磁場発生器を備えることができ、追跡ユニット14の視界に入っているユーザー及び/又は装置18(例えば、追跡マーカを備えている)を追跡(例えば、位置特定)するように構成してもよい。追跡ユニット14は、患者の身体22に対して固定の空間関係を有する患者マーカ20を追跡するように構成することができる。これにより、コンピューティングユニット2は、追跡される器具18と患者身体22の相対的な姿勢を決定することが可能になる。医用画像取得ユニット16は、透視撮像装置、Cアームスキャナ、又はMRスキャナであってもよく、患者の身体22の少なくとも一部分の医用画像データを取得又は生成するように構成されてもよい。ディスプレイ10は、ユーザー入力を取得するためのタッチスクリーンとして構成されてもよい。ユーザー入力はまた、例えば追跡される器具18の姿勢に基づいて、追跡ユニット14を介して取得されてもよい。患者の身体22は、複数の解剖学的要素24、例えば椎骨などの骨を含む。
【0034】
図2は、本開示の方法のフローチャートを示す。この方法は、システム100によって、例えば少なくとも1つのプロセッサー4によって実行することができる。少なくとも1つのメモリ6(例えば、非一時的コンピュータ記憶媒体として構成されている)は、少なくとも1つのプロセッサー4によって実行される場合に、少なくとも1つのプロセッサー4に本明細書に記載の方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラムを保存することができる。
【0035】
図2に示される方法は、患者の身体22の解剖学的要素24の描写を含む画像を生成するための方法である。
【0036】
この方法は、患者の身体22の少なくとも1つの解剖学的要素24(例えば、解剖学的要素24を含む)の医用画像データを取得するステップ202を含む。
【0037】
医用画像データは、術前の医用画像データであってもよい。医用画像データは、(例えば、術前の)患者画像データと呼ばれることがある。医用画像データは、X線画像データ、磁気共鳴(MR)画像データ、又はコンピュータ断層撮影(CT)画像データを含んでもよいし、又は、それらから構成されてもよい。医用画像データは、二次元及び/又は三次元の画像データを含んでもよいし、又は、それらから構成されてもよい。医用画像データは、ボリュメトリック画像データを含んでもよいし、又はそれから構成されてもよい。
【0038】
少なくとも1つの解剖学的要素24は、四肢、骨、又は器官を含むことができる。少なくとも1つの解剖学的要素24のそれぞれは、同じ物理的及び/又は生物学的特性を有することができる。物理的特性は、(例えば、医用画像データの生成に使用される放射線の)透過率、(例えば、医用画像データの生成に使用される放射線の)吸収率、水又は水素の濃度のうちの1つ以上を含むことができる。生物学的特性には、生物学的な素材の種類(例えば、骨、組織、又は体液)、組織の種類(例えば、神経組織又は筋肉組織)、又は生物学的機能(例えば、血管機能又はリンパ機能)のうちの1つ又は複数を含むことができる。バリエーションの1つとして、少なくとも1つの解剖学的要素24のそれぞれは、骨、例えば椎骨を含んでもよいし、骨から構成されてもよい。
【0039】
医用画像データは、医用画像取得ユニット16(例えば、Cアームスキャナ、MRスキャナ、又はX線装置)から取得され得る。医用画像データは、PACSの一部となり得る記憶ユニット12から取得されてもよい。あるいは、医用画像データは、携帯型記憶装置から取得されてもよい。
【0040】
この方法はさらに、計画データを取得するステップ204を含む。
【0041】
計画データは、少なくとも1つのメモリ6、データ記憶装置12、PACSシステム、及び/又は携帯記憶装置から取得することができる。計画データは、医用画像データと計画データの両方を含むデータセットの一部であってもよい。したがって、医用画像データを取得するステップ202及び計画データを取得するステップ204は、同時に実行することができる。図2と比較して、ステップ202と204の順序を変更することも可能である。
【0042】
計画データは、少なくとも1つの解剖学的要素24に関して、計画位置25(例えば、空間的位置、二次元的位置又は三次元位置)を少なくとも3つ示すものである。
【0043】
少なくとも3つの計画位置25は、少なくとも1つの解剖学的要素24の上又は内側に存在することによって、少なくとも1つの解剖学的要素24までの距離が予め定められている最大値よりも小さいことによって、及び/又は、少なくとも1つの解剖学的要素24への仮想的なリンク付け(医用画像データ及び/又は計画データによって示される仮想リンク。例えば、タグ)によって、少なくとも1つの解剖学的要素24に関連付けることができる。
【0044】
(例えば、少なくとも3つの)計画位置25のうちの1つ又は複数(例えば、すべて)は、少なくとも1つの計画されている医療用インプラント26に関連付けられる。
【0045】
一般的に、少なくとも3つの計画位置25のうちの1つ又は複数(例えば、すべて)は、(例えば、計画データに従って)少なくとも1つの解剖学的要素24に埋め込まれる、(例えば、計画データに従って)少なくとも1つの解剖学的要素24に取り付けられる、及び/又は(例えば、計画データに従って)少なくとも1つの解剖学的要素24に接触して配置される、1つ又は複数の医療用インプラント26と関連付けられることによって、少なくとも1つの解剖学的要素24と関連付けられ得る。医療用インプラント26に関連付けされる計画位置25の1つは、医療インプラント26の上、例えば、医療用インプラント26の遠位末端、近位末端、又は先端に位置してもよい。あるいは、又はそれに加えて、医療用インプラント26に関連付けされる計画位置25の1つは、医療インプラント26によって画定される軸又は平面(例えば、長手方向軸、対称軸、平面接触面又は対称面)上に位置してもよい。
【0046】
少なくとも3つの計画位置25は、医用画像データの画像座標系で定義されてもよいし、画像座標系との相関関係が既知である計画座標系で定義されてもよい。既知の相関関係は、画像位置合わせとされるもの、及び/又は、2つの座標系間の変換(例えば、回転及び/又は並進成分を含む)によって定義されてもよい。少なくとも3つの計画位置25は、計画位置25の複数のサブセットを含んでもよい。各サブセットは、3つ以上の計画位置25からなり、少なくとも1つの解剖学的要素24の異なる1つに関連付けられる。
【0047】
この方法は、少なくとも3つの計画位置によって定義される姿勢(例えば、少なくとも1つの位置及び方向)で存在する少なくとも1つの解剖学的要素24の描写(例えば、描出又はレンダリング画像)を含む画像を医用画像データ及び計画データに基づいて生成するステップ208をさらに含む。
【0048】
画像は、少なくとも1つの解剖学的要素24のうちの1つだけの表現を含むことができる。姿勢は、生成された画像の座標系における、例えば生成された画像の垂直及び/又は水平の画像軸における、少なくとも1つの解剖学的要素24の配列ということもできる。姿勢は、少なくとも1つの解剖学的要素24をセグメント化する必要はなく、決定することができる。少なくとも1つの解剖学的要素の姿勢は、生成された画像中に描出された少なくとも1つの解剖学的要素に関連付けられた少なくとも3つの計画位置25によって排他的に、すなわち、それによってのみ定義してもよい。
【0049】
画像は、少なくとも3つの計画位置25のうちの2つ以上が、生成される画像と同一の平面、もしくは、それに平行な(例えば、仮想)平面内に位置するように生成される。画像平面は、1つ又は複数の対象物(例えば、少なくとも1つの解剖学的要素24及び/又は医療インプラント26)が投影される平面に対応する。
【0050】
2つ以上の計画位置25は、同じ計画されている医療インプラント26に関連付けられる。
【0051】
同一の計画されている医療用インプラント26に関連付けられた計画位置25のうちの少なくとも2つは、その同一の計画されている医療用インプラント26の向きを(例えば、少なくとも2次元又は3次元で)定義する直線上に位置される。この直線は、その同一の計画されている医療用インプラント26の長手方向軸、対称軸、及び/又は挿入軌道と同じものとなる。直線によって画定されたその同一の計画されている医療用インプラントの方向は、長手方向の向き、主軸の向き、対称軸の向き、及び/又は埋め込みの向きに対応し得る。
【0052】
計画されている同一の医療用インプラント26に関連付けられた少なくとも3つの計画位置25は、計画されている同一の医療用インプラント26の方向を規定する1つの平面内に(例えば、少なくとも2次元、又は3次元で)位置し得る。この平面は、同一の計画されている医療用インプラント26の外表面部分、同一の計画されている医療用インプラント26の中心面、同一の医療用インプラントの対称面、及び/又は、同一の計画されている医療用インプラント26の接触面に対応するか又は平行であってもよい。その平面によって画定される同一の計画されている医療用インプラント26の向きは、同一の医療用インプラント26(例えば、その平面)の配列又は向き(例えば、角又は回転の)に対応するものである。
【0053】
画像は、少なくとも1つの解剖学的要素24の描写の向きを調整(例えば、回転又は整列)する又は含ませること(例えば、生成又は投影)で(i)同一の計画されている医療用インプラント26の向きを示す線(例えば、前記直線)と(ii)生成された画像の垂直又は水平の画像軸とがなす角度が予め定めた少なくとも1つの基準を満たすように生成される。予め定めた少なくとも1つの基準は、その角度が予め定めた範囲に収まる、及び/又は、予め定めた最大角度(例えば、10°、8°、5°、2°、1.5°もしくは1°の角度)よりも小さいものでよい。予め定めた少なくとも1つの基準は、角度が最小化される、及び/又は、ゼロであることであってもよい。これにより、計画されている医療インプラントが垂直及び水平の画像軸に対して望ましい向きを持つ画像、関連した少なくとも1つの解剖学的要素が望ましい向きで描写された画像が生成される。
【0054】
画像は、同一の計画されている医療インプラント26に関連付けられた複数(例えば、すべて)の計画位置25が、生成された画像の画像平面と同じ又は画像平面に平行な平面内に位置するように生成することができる。画像平面は、同じ計画されている医療インプラントに関連付けられた複数(例えば、すべて)の計画位置を含むことができる。
【0055】
少なくとも3つの計画位置25は、ペアごとに異なる計画されている医療インプラント26に関連付けられる少なくとも2つペアの計画位置25を含むこともできる。計画位置26の各ペアの計画位置25は、そのペアに関連づけられている計画されている医療インプラント26の向きを定義する(例えば、それぞれの)直線上に位置させることができる。この直線は、そのペアに関連付けられている計画されている医療用インプラント26の長手方向軸、対称軸、及び/又は挿入軌道に対応したものでもよい。画像は、計画位置25の少なくとも2つのペア(例えば、すべてのペア)の計画位置25が、生成された画像と同じ画像平面内に位置するように生成することができる。画像平面は、少なくとも2つのペアの計画位置25を含むことができる。
【0056】
画像は、(i)異なる医療用インプラント26の向きを示す線(例えば、直線)がなす角を二等分する角二等分線と(ii)生成された画像の垂直又は水平の画像軸とがなす角が、少なくとも1つの予め定めた条件を満たすように、少なくとも1つの解剖学的要素の描写の向きを合わせる(例えば、回転又は整列)、又は、含めることによって、生成することができる。少なくとも1つの予め定めた条件は、角度が予め定めた最大角度(例えば、10°、8°、5°、2°、1.5°又は1°の角度)より小さいとすることができる。少なくとも1つの予め定めた条件は、角度が最小化されている及び/又はゼロであるとすることができる。少なくとも1つの予め定めた条件は、少なくとも1つの予め定めた基準と異なっても、又はそれと同じものでもよい。角の二等分線の代わりに、オプションでそれぞれの優先順位値で重み付けされる計画位置との間の距離が最小化されるように決定される位置合わせ線を使用してもよい。位置合わせ線は計画位置に近接していると言ってもよい。どちらのアプローチでも、複数の計画されているインプラントが垂直及び水平の画像軸に対して所望の姿勢をとる画像、関連付けられた少なくとも1つの解剖学的要素を所望の姿勢で描写できる画像が得られる。
【0057】
医用画像データは、ボリュメトリック画像データを含むことができる。画像は、ボリュメトリック画像データの断面(例えば、画像平面に沿った)を表す二次元画像として生成できる。画像は、患者の身体を通して延びる(例えば、仮想の)平面を表すレンダリング画像として生成することができる。画像は、デジタルレンダリングされたX線像(DRR)であってもよい。
【0058】
生成された画像は、少なくとも1つの計画されている医療用インプラント26(例えば、それぞれの)の少なくとも一部(例えば、輪郭)の描写を含むことができる。生成された画像は、画像面と交差する少なくとも1つの計画されている医療インプラント26の一部の描写を含むことができる。生成された画像は、少なくとも1つの計画されている医療用インプラント26の(例えば、それぞれの)画像面との交差領域又は交差輪郭の描写を含むことができる。
【0059】
医療用インプラント26は、(i)脊椎ケージ、(ii)椎弓根固定スクリューなどの骨スクリュー、(iii)椎弓根固定フック、及び、(iv)椎弓根固定バンドから選ばれる少なくとも1つの構成要素を含むことができる。少なくとも1つの解剖学的要素には、椎骨のような骨を含むことができる。
【0060】
本方法は、生成された画像を保存することをさらに含むことができる。生成された画像は、少なくとも1つのメモリ6、データ記憶ユニット12、又は、別の記憶装置に記憶することができる。本方法は、生成された画像を受信機(例えば、PACSシステム、サーバ、又は携帯電話などのユーザー機器)に送信することを含むことができる。
【0061】
本方法は、生成された画像の表示を起動するオプションのステップ210をさらに含むことができる。画像は、スクリーン、拡張現実(AR)ディスプレイ、ヘッドマウント(例えば拡張現実)ディスプレイ(HMD)、又はタブレットコンピュータなどの表示ユニット10上に表示される起動させることができる。
【0062】
本方法は、少なくとも1つの解剖学的要素のうちの選択された1つを示すユーザー入力を取得するオプションのステップ206をさらに含むことができる。ユーザー入力は、ユーザーインターフェース(例えば、タッチスクリーン、コンピュータマウス、ジョイスティック、キーボード又はマイク)から取得することができる。ユーザーインターフェースは、表示ユニット10の一部であってもよく、又は追跡ユニット14によって実現されてもよい。すなわち、ユーザー入力は追跡ユニット14から取得することもできる。ユーザー入力は、器具又はポインター18の追跡された姿勢に対応することができる。例えば、この解剖学的要素24を選択するために、ユーザーは、ポインター18を使用して解剖学的要素24を指し示すことができる。別の例として、ユーザーは、計画されている医療インプラント26の1つに関連付けられた解剖学的要素24を選択するために、追跡器具やポインター18の向きを計画されている医療用インプラントの一つと関連付けられた姿勢に(例えば、計画されている椎弓根スクリューの挿入軌道に対応する姿勢に)調整する。
【0063】
画像は、選択された解剖学的要素24に(例えば、解剖学的要素24のみに)関連付けられた少なくとも3つの計画位置25に(少なくとも3つの計画位置25のみに)基づいて生成することができる。すなわち、画像を生成する際、他の解剖学的要素24に関連付けられた計画位置は考慮されなくてよい。
【0064】
少なくとも1つの解剖学的要素24の2つ以上のそれぞれについて、個々の画像が生成されてもよい。これらの画像のそれぞれが、医用画像データとそれぞれの解剖学的要素24に関連付けられた計画位置25とに基づいて生成される。複数の画像(例えば、それぞれの画像)が、医用画像データ及び計画データに基づいて(例えば、画像生成ステップが繰り返される過程において、又はその繰り返しによって)生成され、それぞれの画像が、同じそれぞれの解剖学的要素24に関連付けられた少なくとも3つの計画位置25に基づいて生成される。選択された解剖学的要素24に関連付けられた少なくとも3つの計画位置25に基づいて生成された画像のみが、表示されるように起動することができる。すなわち、解剖学的要素24の選択は、対応する画像が表示されるように起動するだけでなく、表示されるように起動される複数の生成された画像のうちの1つが選択されることにもなる。
【0065】
本方法は、(例えば、ステップ210で取得される)ユーザー入力に応じて表示される(例えば、表示されるように起動される)画像の更新を含むこともできる。例えば、第1の椎骨の表現を含む第1の生成された画像は、ステップ206で取得されたユーザー入力としてのポインター又は手術器具の第1の追跡された姿勢に基づいて、ステップ210で表示されるように起動される。その後、異なる第2の椎骨の描写を含む第2の生成された画像が、後の時点(例えば、ステップ206の後続の反復)でのユーザー入力として取得された手術器具のポインターの異なる第2の姿勢に基づいて、後に続くステップ210の反復で表示されるように起動される。
【0066】
次に、図3から図7を参照しながら、具体的な実施例に基づいて本方法を説明する。
【0067】
図3は、患者の身体22の一部の医用画像データ、この例では患者の脊椎の一部のレンダリング画像を示す。この例の医用画像データは、CTスキャナから取得された術前のCT画像データであり、レンダリング画像は、前後方向のビューを表している。図3に示すレンダリングの画像平面は、冠状面又は前頭面に対応すると言ってもよい。図3の例では、医用画像データは、解剖学的要素24として患者の身体22の複数の椎骨を対象に含んでいる。
【0068】
図3はまた、予めの計画位置25a-25dも示している。予めの計画位置25a,25bは、第1の医療用インプラントである計画されている第1の椎弓根スクリュー26aと関連づけられており、予めの計画位置25c,25dは、第2の医療用インプラントである計画されている第2の椎弓根スクリュー26bと関連付けられている。インプラント26a、26bはいずれも、同じ椎骨24に植え込まれるように計画されている。従って、インプラント26a,26bはいずれも同じ椎骨24に関連付けられ、予めの計画位置25a-25dもこの同じ椎骨24と関連付けられていると言うことができる。図3の例では、計画位置25aは計画されている椎弓根スクリュー26aの頭部に対応し、計画位置25bは同じ椎弓根スクリュー26aの先端部に対応する。従って、25a、25bの位置はいずれも、椎弓根スクリュー26aの中心長手方向スクリュー軸上に位置する。同じことが、椎弓根スクリュー26bの中心軸上に横たわる予定位置25c,25dについても当てはまる。位置25a,25bは第1のペアを形成し、位置25c,25dは第2のペアを形成する。
【0069】
図4は、図3と平面28を提示するレンダリング画像を示している。平面28は、予めの計画位置25a-25dによって画定される。図示の例では、すべての予めの計画位置25a-25dが平面28内にある。
【0070】
平面28を画定するためには、少なくとも3つの予めの計画位置25が必要である。2つの医療用インプラント26a、26bが同一平面内にない場合、インプラントの一方(例えば、26a)の2つの予めの計画位置(例えば、25a、25b)を、もう1つのインプラント(例えば、26b)の予めの計画位置の1つ(例えば、25c)と共に使用することができる。あるいは、1つの同じ医療用インプラント26に関連付けられた2つの予めの計画位置が、この同じ医療用インプラント26に関連付けられた解剖学的要素24に関連付けられた1つの付加的な予めの計画位置25と共に使用することができる。すなわち、平面28を画定するために使用される予めの計画位置の全ては、同じ解剖学的要素24に関連づけられてもよく、一つの医療用インプラント26には関連づけられてもよいし、関連づけられなくてもよい。この付加的な予めの計画位置25は、解剖学的ランドマーク上に位置する計画されている点、例えば、同じ医療用インプラント26が植め込まれる椎骨の棘突起上の点、又は計画されている軌道上に位置する点とすることができる。予めの計画位置は、他の組み合わせも可能である。もしくは、平面28は、予めの計画位置25のどれも平面28内に位置しないように、又はいくつかのみが平面28内に位置するように定義することも可能である。例えば、平面28は、すべての事前計画位置からの距離が等しくなるように画定することもできる。位置は、相関付けされた優先順位値とこれらの優先順位値に応じた平面28までの距離とすることも可能である。平面28を画定する他の変数も使用可能である。
【0071】
平面28は、患者の体22のボリュメトリックCT画像データを通る断面を規定し、生成される画像の画像平面に対応するものである。図5は、平面28を画像平面とした時の、CT画像データに基づいて生成したDRRを示す。この例では、2つの椎弓根スクリュー26a、26b及びこれらに関連付けられた予めの計画位置25a-25dがすべて画像平面内にある。また、図5は、個々のスクリュー26a,26bと平面28との交差している線に対応する椎弓根スクリュー26a,26bの外形27a,27bも示している。図4で示された生成された画像は、椎骨を描写するだけでなく、それに関連付けられたインプラント26a、26bも描写するので、ユーザーにとって有用である。にもかかわらず、この画像中の椎骨は外科医が通常望んでいる向きではない可能性がある。棘突起が垂直に延びる椎骨の向きになるように、画像が生成される又は回転できることが望まれる場合がある。
【0072】
図5の画像を手動で回転させる代わりに、本技術は、予めの計画位置によって定義された姿勢で椎骨が描写されるように表示される画像を生成することを可能にする。図6に示すように、位置25a、25b及び25c、25dのペアの1つをそれぞれ通って延びる直線30、32は、この目的のために使用することができる。すなわち、2つの直線30、32の間の角二等分線34を決定することができる。この角二等分線は図6にも示されている。図7に示すように、次に、角二等分線34が垂直な画像軸“y”と一直線になるように、すなわち、角二等分線34と垂直画像軸“y”との間の角度がゼロとなるように、画像を回転又は生成することができる。このアプローチは、計画されている椎弓根スクリューが関係する脊椎の処置の場合には、スクリューが椎骨の対称性により、棘突起に対して一般的に同様の角度で整列されるので、特に有効である。
【0073】
ここで説明する方法で得られる最終画像は、図7に示す画像と同じであるが、線30、32及び角二等分線34の表示は省略することができる。角二等分線の代わりに、より信頼性の高い計画位置に、より信頼性の低い計画位置に比較してより多くの重みを与える加重平均を使用することもできる。計画位置の信頼性(例えば、その優先値として示される)は、計画位置のタイプ(例えば、計画されているインプラントに関連付けられている、ランドマークに関連付けられている、計画されている軌道に関連付けられている、手動で計画されている、又は自動的に計画されている)に基づいて定義又は決定することもできる。
【0074】
図8の例では、予定位置25e-25gが脊椎ケージ26cと関連づけられている。計画位置25e-25gは、隣接する椎骨24と接触するように構成された外側接触面38、40に平行な脊椎ケージ26cの中央対称平面36a内にある。ケージ26cは中央対称面内で所定の向きを有し、この向きはケージ26cの長手方向延長部によって規定され、また計画位置25e-25gによっても規定される。図示された例では、計画されているケージ26cは、位置25gに関連づけられている一端を、予め定められた既知の解剖学的方向に向ける。したがって、隣接する椎骨24の向きは、特に予めの計画位置25e-25gに基づいて、ケージ26cの計画されている姿勢から導出することができる。これにより、解剖学的要素(例えば、ケージ26cに隣接する椎骨24の1つ)の描写が、画像内で所望の姿勢(例えば、棘突起が上方を向いている)を有するように画像を生成することもでき、所望の姿勢は、予めの計画位置25e-25gと平面36aの既知の向き、すなわち、予め定められた既知の解剖学的方向とによって定義することができる。このことは、本発明で開示される技術は、椎弓根スクリューだけでなく、医療用インプラント26としての脊椎ケージにも適用可能であることを示している。
【0075】
図9a-9cには、本発明で開示される技術において予めの計画位置に関連付けられ医療用インプラントとして使用可能な医療用インプラント26のさらなる例が図示されている。
【0076】
図9aは、椎骨に取り付けるように構成されたバンド又はスリング26dを示す。この場合、予めの計画位置25h-25jはスリング上に位置させ、スリングの対称面36bを規定してもよい。スリングは、予め定められた既知の解剖学的方向に延びる可能性があり、これは、対称面36bが、スリングに取り付けられる椎骨に対して予め定められた整列を有する可能性があることを意味する。脊椎ケージ26cの場合と同様に、この予め定められた整列は、画像平面及び椎骨の所望の回転を定義する対称面36bと共に使用して、取り付けられるべき椎骨の棘突起が生成された画像において垂直方向を向くようにすることができる。図9aには、スリング26dに取り付けられるように構成された脊椎ロッド38も示されている。
【0077】
図9bは2つの椎弓根フック26eを示し、それぞれ異なる椎骨に関連付けられている。フック26eは脊椎ロッド38を介して連結されている。この場合も、各フック26eは、それぞれのフック26eに関連づけられた椎骨の向きを示す予めの計画位置(図示せず)に関連付けることができる。次に、これらの位置は、椎骨の各々について、それぞれの椎骨が棘突起を上方に向けた所望の向きで描写される異なる画像の生成に使用することができる。
【0078】
図9cは、それぞれ異なる椎骨に関連付けられた椎弓根フック26eと椎弓根スクリュー26aの組み合わせを示す。フック26eはロッド38を介してスクリュー26aに取り付けられている。本発明に記載の技術により、図9cに示すようにインプラントの種類が異なっていたとしても、それぞれの椎骨に関連付けられた医療用インプラントに応じたそれぞれの画像を生成することができる。
【0079】
ユーザーは、追跡される器具18を患者の脊椎に沿って動かすことができる。器具18の現在の位置に基づいて、椎骨の1つを選択し、対応する画像を表示することができる。これにより、脊柱側弯症のために患者の実際の椎骨が互いに対してずれていても、個々の椎骨が常に望ましい向きを有する画像に基づいて、椎骨に対して器具18をナビゲートすることができる。
【0080】
一般的に、脊柱側弯症などの病状は、脊椎の正常な湾曲がねじれ、異常な側面への湾曲をもたらすることによって、脊椎の正常な湾曲が変形するものである。脊柱側湾症の最も一般的な手術は脊椎固定術である。脊椎固定術では、湾曲した脊椎やずれた脊椎を再整列させ、癒合させることで、1つの固い骨へと治療する。そのために、外科医は、治癒過程で脊椎の湾曲を修復するのに役立つロッド38の経路として機能する各椎骨に対して、2つの椎弓根スクリュー26a、26b、椎弓根スリング26d、又は椎弓根フック26eを計画する場合がある。あるいは、それに加えて、癒合させる椎骨の間に挿入する脊椎ケージ26cを計画することもできる。後の時点で、追跡器具18をナビゲートするためにナビゲーションシステムを使用する場合、外科医は解剖学的に普通ではない向きと格闘する可能性がある。なぜなら、一般的なスクリューの計画及び配置規則は、脊椎を所望の見慣れた向きで見た場合で定義され、計画されるからである。基本的に、椎骨の後側は、棘突起が垂直に伸びるように、画像内で上向きに表示されるべきである。これは、患者が手術用ベッドにうつ伏せで横たわった状態で、健康な脊椎がどのように見えるかを示している。各椎骨のビューをこの理想的な向きで揃えることで、ユーザーは目的の解剖学的構造を見慣れた配置で素早く見ることができるため、よりスムーズで効率的な計画とナビゲーションが可能になる。
【0081】
本開示は、予め計画されている項目(例えば、スクリューやKワイヤなどの医療用インプラント、軌道などの手技情報、又は、ユーザーが定義した関心点)に基づいて好ましい向きを予測することにより、手技におけるこの整列ステップの複雑さを軽減することができる。従って、ユーザーは、椎骨をその好ましい解剖学的方向に手作業で再配向するために、想像したり、時間をかけたりする必要がない。
【0082】
上記で説明したように、1組の計画項目(例えば、スクリュー、Kワイヤ、軌道、関心点)は、自動化されたプロセス及び/又は手動によるユーザー定義によって計画される。次いで、これらの計画項目又はそのサブセットの向き及び位置に基づいて一つの平面が、構築される。回転方位が、これらの計画項目又はそのサブセットの方位に基づいて構築される。構築された計画平面及び回転に世界/患者を方向付ける計画システムの方向が定義される。このオリエンテーションにより、ユーザーは、平面に対するビューの向きを好ましく維持し、ビューの回転を制御、例えば、計画している回転がビューにおいて上方を向くようにビューの回転を制御しすることで、患者データを 詳しく検討することができる。これらの計画項目の複数のグループは、自動化されたプロセス及び/又は手動によるユーザー定義によって構築及びグループ化することができる。例えば、椎骨に関する解剖学的情報がなくても、計画項目を椎骨レベルに割り当てることができる。これらのグループの各々に対して、計画システムの方向付けを構築することができる(例えば、平面と回転)。ユーザーは、方向付けを自動化されたプロセスを介すか(例えば、追跡される器具18を計画している項目に近接させることで)又は、手動で行うかの切り替えを行いながら、これらの計画システムの方向を1つ又は別の方向にと、ビューの方向を調整することができる。
【0083】
上記から明らかなように、本開示は、患者の身体の少なくとも1つの解剖学的要素の画像を好ましい向きで生成することを可能にする技術を提供する。向きは、計画データによって示される計画位置から導出されるので、解剖学的要素を好ましい向きに配置するために、計算コストのかかるセグメンテーション又は画像認識アルゴリズムを採用する必要はない。本発明で開示される技術によって生成される画像は、ユーザーにとって関心のある医療用インプラント、特に、画像中に描かれた少なくとも1つの解剖学的要素のために計画されている医療用インプラントを示すものでもある。ユーザー入力に基づいて、例えば患者の身体に対する追跡されたポインター又は手術器具の現在の姿勢に基づいて、生成された画像を選択することによって、表示される画像がユーザーにとって本当に関心のあるものであることが保証され得る。本発明に開示された技術に対する更なる修正及び利点は、当業者には明らかである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9a
図9b
図9c