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特開2024-163098ロータリートランス用の回転式整流器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163098
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】ロータリートランス用の回転式整流器
(51)【国際特許分類】
   H02K 19/36 20060101AFI20241114BHJP
   H01F 38/18 20060101ALI20241114BHJP
   H02M 7/32 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
H02K19/36 B
H01F38/18 Z
H01F38/18 P
H02M7/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024077385
(22)【出願日】2024-05-10
(31)【優先権主張番号】10 2023 112 455.2
(32)【優先日】2023-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】506292974
【氏名又は名称】マーレ インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】MAHLE International GmbH
【住所又は居所原語表記】Pragstrasse 26-46, D-70376 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ペーター コツロフスキー
(72)【発明者】
【氏名】ペニョ トパロフ
【テーマコード(参考)】
5H006
5H619
【Fターム(参考)】
5H006BB05
5H006HA05
5H006HA08
5H006HA10
5H619BB01
5H619BB06
5H619BB13
5H619PP36
(57)【要約】      (修正有)
【課題】半導体ユニットの簡単な組付けと、作用する遠心力について最適化された位置決めとを組み合わせた回転式整流器を提供する。
【解決手段】複数の、好ましくは少なくとも4つの半導体ユニット(HLE)と、少なくとも1つのコンタクト要素とを備えた、ロータリートランス用の回転式整流器(RGR)に関する。半導体ユニット(HLE)は、印加される交流電圧が整流されるように相互接続されている。少なくとも1つの注型材料(VM)により、半導体ユニット(HLE)および/またはコンタクト要素が少なくとも部分的に取り囲まれる。半導体ユニット(HLE)は、回転軸線に対して傾斜されかつこの回転軸線の方を向いた、回転式整流器の面(GF)に配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の、好ましくは少なくとも4つの半導体ユニット(HLE)と、少なくとも1つのコンタクト要素(KTE)とを備えた、ロータリートランス(RTF)用の回転式整流器(RGR)であって、
前記半導体ユニット(HLE)は、印加される交流電圧が整流されるように相互接続されており、
少なくとも1つの注型材料(VM)により、前記半導体ユニット(HLE)および/または前記コンタクト要素(KTE)が少なくとも部分的に取り囲まれ、
前記半導体ユニット(HLE)は、回転軸線(RA)に対して傾斜されかつ前記回転軸線(RA)の方を向いた、前記回転式整流器(RGR)の面(GF)に配置されている、回転式整流器(RGR)。
【請求項2】
前記半導体ユニット(HLE)は、半導体デバイスおよび/または集積回路および/または半導体チップおよび/または半導体ダイ(HLD)であるかまたはこれらを含む、請求項1記載の回転式整流器(RGR)。
【請求項3】
複数のコンタクト要素(KTE)が設けられており、
前記コンタクト要素(KTE)は、バスバー(BB)であり、
それぞれの半導体ユニット(HLE)は、前記バスバー(BB)の少なくとも1つに接続されている、ことを特徴とする、請求項1または2記載の回転式整流器(RGR)。
【請求項4】
前記回転式整流器(RGR)は支持要素(TE)に組み付けられており、かつ/または
前記支持要素(TE)は、ロータ(RT)との結合に使用される結合要素(VBE)を有する、ことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の回転式整流器(RGR)。
【請求項5】
前記支持要素(TE)はアルミニウム製であり、
前記支持要素(TE)は回転対称である、ことを特徴とする、請求項4記載の回転式整流器(RGR)。
【請求項6】
前記結合要素(VBE)は、取外し可能な結合要素、特にねじ結合部である、ことを特徴とする、請求項4または5記載の回転式整流器(RGR)。
【請求項7】
前記回転式整流器(RGR)は前記支持要素(TE)と共に構成ユニットとしてあらかじめ作製されて設けられており、前記構成ユニットは、前記結合要素(VBE)を介して前記ロータ(RT)に結合可能である、ことを特徴とする、請求項4から6までのいずれか1項記載の回転式整流器(RGR)。
【請求項8】
前記支持要素(TE)は、少なくとも1つの切欠き部(AUS)を有し、
前記切欠き部(AUS)は、前記支持要素(TE)の前記回転軸線に対して45°±40°の角度で、好ましくは45°±20°の角度で配向されている少なくとも1つの面を有し、
前記半導体ユニット(HLE)の少なくとも1つは、少なくとも1つの前記面に配置されている、ことを特徴とする、請求項4から7までのいずれか1項記載の回転式整流器(RGR)。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項記載の回転式整流器(RGR)を備えた、ロータリートランス(RTF)のロータ(RT)。
【請求項10】
ロータリートランス(RTF)用の回転式整流器(RGR)を製造する方法であって、前記方法には、
a)前記ロータリートランス(RTF)の回転軸線(RA)に対して傾斜されかつ前記回転軸線(RA)の方を向いた少なくとも1つの面(GF)を備えた中実の支持要素(TE)を製造するステップと、
b)少なくとも1つの前記面の少なくとも1つに複数の半導体ユニット(HLE)を取り付けるステップと、
c)前記半導体ユニット(HLE)を鋳造するステップと、
d)結合要素(VBE)を介してロータリートランス(RTF)のロータ(RT)に前記回転式整流器(RGR)を固定するステップと、
が含まれている、方法。
【請求項11】
ステップb)ではボンディングおよび/またはクランプおよび/またはろう付けおよび/または焼成を用いて、複数の前記半導体ユニット(HLE)を取り付ける、請求項10記載の、回転式整流器(RGR)を製造する方法。
【請求項12】
ステップd)における前記回転式整流器(RGR)の前記固定には、
ねじ結合を用いて前記回転式整流器(RGR)を機械式に固定することが含まれており、
前記回転式整流器(RGR)の前記半導体ユニット(HLE)と、前記ロータに配置されている別の電子構成要素とを電気的に接続することが含まれている、ことを特徴とする、請求項10または11記載の、回転式整流器(RGR)を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の、好ましくは少なくとも4つの半導体ユニットと、少なくとも1つのコンタクト要素とを備えた、ロータリートランス用の回転式整流器と、回転式整流器を備えたロータリートランスのロータとに関する。本発明はさらに、ロータリートランス用の回転式整流器を製造する方法に関する。
【0002】
独国特許出願公開第102020216485号明細書には、誘導型他励式同期機械用の電気整流器が示されている。この電気整流器では、プリント基板に電気整流器回路が配置されている。ここでは整流ダイオードは、回転軸の近傍において中空円筒体の外面に配置されている。回転軸の近傍に配置することは、回転速度が低いことに起因して有利である。しかしながら、中空円筒体の外面に配置されることに起因して、遠心力は整流ダイオードに不利に作用してしま、対応するダイオードハウジングによって整流ダイオードを保護しなければならない。
【0003】
本発明が取り組む課題は、冒頭で述べた形式の回転式整流器用に、改善された実施形態または少なくとも択一的な実施形態を提示することであり、特に、半導体ユニットの簡単な組付けと、作用する遠心力について最適化された位置決めとを組み合わせることである。
【0004】
この課題は、本発明にしたがい、独立請求項の対象によって解決される。実施形態の説明は、従属請求項の対象である。
【0005】
ここでは、複数の、好ましくは少なくとも4つの半導体ユニットと、少なくとも1つのコンタクト要素とを備えた、ロータリートランス用の回転式整流器が提案されており、半導体ユニットは、印加される交流電圧が整流されるように相互接続されており、少なくとも1つの注型材料により、半導体ユニットおよび/またはコンタクト要素が少なくとも部分的に取り囲まれ、半導体ユニットは、回転軸線に対して傾斜しかつこの回転軸線の方を向いた面に配置されている。
【0006】
ロータリートランスは、1次コイルに対して2次コイルが自由に回転可能な変圧器である。ロータリートランスは、一部では、(「回転」と「変圧器」との合成語である)“Drehtransformator“(3相誘導電圧調整器)とも称される。しかしながら本明細書は、ロータリートランスと、3相変圧器の特別な構造形態であって同様に一部では“Drehtransformator“と称される構造形態とは区別されるべきであり、この“Drehtransformator“を意味しない。ロータリートランスのロータは、2次コイルを含んでおり、好ましくは回転軸線の周りに回転対称に組み付けられている。あらゆる変圧器の場合と同様に、ロータリートランスにおいてもエネルギは、誘導を用いて1次側から2次側に伝送される。したがって、ロータリートランスは、回転構成部材に電気エネルギを伝送すべきあらゆる場所で使用可能であり、この際に回転しない要素との機械的接触を必要としない。
【0007】
ロータリートランスは、誘導型他励式同期機械に使用可能である。誘導型他励式同期機械には、ロータ磁界を生成するためにそのロータにおいて直流電圧が必要である。この過程は、ロータ励磁と称される。
【0008】
従来、同期機械では、ロータにおける磁界は、永久磁石を介して生成されるか、または炭素ブラシ・スリップリングコンタクトを介する電力供給により、コイルを介して生成される。これについての欠点として判明したのは、まさに高回転数時にはこの炭素ブラシが、摩耗に起因して消磨し、その際に望ましくない導電性炭素粉塵を発生しまう可能性があることである。
【0009】
これに対し、ロータリートランスは、ロータのコイルにおける電流に対し、非接触に、ひいては低損失でロータにエネルギを伝送することができる。このような同期機械は、希土類を含有する永久磁石なしに機能し、また誘導型エネルギ伝送に起因して、スライディングコンタクトを用いたエネルギ伝送の場合に該当する、対応する損失も有しない。
【0010】
ロータリートランスが、誘導型他励式同期機械において使用される場合、1次側は誘導型他励式同期機械のステータにあり、2次側はそのロータにある。
【0011】
ここではエネルギ伝送は、ロータにおける2次コイルに交流電圧を誘導する交番磁界の形態で行われる。この交流電圧は、ロータの別のコイルにおいて磁界を生成するために、整流されなければならない。このために、ロータには回転式整流器が必要となる。この回転式整流器は、パワーエレクトロニクス半導体デバイスを含み、また回転するロータに生じている大きな遠心力に対して設計されていなければならない。
【0012】
回転式整流器は、複数の半導体デバイスを有する。これは、パワーエレクトロニクス構成部材、特に整流ダイオードまたはトランジスタであってもよい。半導体ユニットは、単一の半導体デバイスであってもよいし、または半導体ユニットは、複数の半導体デバイス、特に回路全体を有していてもよい。
【0013】
半導体ユニットの他に別の電子構成部材が設けられていてもよい。この別の電子構成部材は、半導体デバイスおよび/または例えば抵抗器および/またはコンデンサであってもよい。別の電子回路が設けられていてもよい。別の電子構成部材および/または電子回路も同様に、回転軸線に対して傾けられて、この回転軸線の方を向いた面に配置されていてもよい。電子回路は、例えば、高周波振動を減衰するためのRC素子および/またはいわゆる「スナバ」であってもよい。
【0014】
作動の際、誘導型他励式同期機械のロータは、ひいてはロータリートランスのロータも、15000rpm~20000rpmのオーダの回転数を有することがある。このような回転数では、ロータの全てのコンポーネントに、ひいては回転式整流器の全てのコンポーネントにも極めて大きな高い遠心力が作用する。したがって、ロータリートランスの構成において重要であるのは、遠心力により、不利な影響が、可能な限りに少なく及ぼされるように電気半導体ユニットを配置することである。この際に有利であるのは、回転軸線に対して傾斜しかつ回転軸線の方を向いた面に半導体ユニットを配置することである。回転運動時の遠心力は、半径方向で回転軸線から外側に向かって作用する。したがって、遠心力については、この力により、半導体ユニットが、配置されている面に向かってさらに押し付けられる配置が理想的である。これは例えば、中空円筒体の内側面に配置する場合である。この際には、遠心力は完全に垂直力としてそれぞれの半導体ユニットに作用することになる。しかしながらこのような配置は、半導体ユニットの組付けについては比較的煩雑である。作製については、平坦な面における配置が理想的である。しかしながらこの際には、遠心力は完全に側方から半導体ユニットに作用してしまい、剥離、せん断、または滑ってしまうリスクが生じて得る。したがって、傾斜面における配置は、2つの要求についての最適解である。回転軸線に対する面の傾斜は、傾斜面が外側に向かって傾斜しておりかつ回転軸線と傾斜面とが互いに鋭角を成すように構成可能である。有利な変形形態では、回転軸線と傾斜面との間の角度は、45°±20°である。同様に重要であるのは、面が回転軸線の方を向いていることである。面は、3次元体の1つの面である。回転軸線の方を向いた面は、3次元体において、回転運動に対して、(しかしながら必ずしも3次元体に対してではない)内側にある面である。面は、回転軸線に対して傾斜しているため、面の法線ベクトルと、回転軸線とは、互いに垂直でも平行でもない。したがって、面の法線ベクトルは、回転軸線に対して平行な成分と、回転軸線に対して垂直な成分とに分解可能である。ここでは、回転軸線に対して垂直の成分は、回転軸線の向きに配向されており、回転軸線から離れる向きに配向されていない。このような傾斜では、平坦に配置する場合と同様に相変わらず面の「上に」半導体ユニットを被着することができ、この際には中空円筒体の内側面に被着するための手間のかかる手順が必要となることがない。構成部材に作用する遠心力は同時に、2つの成分に分解される。傾斜面に対して垂直な成分は、法線力として作用して、有利には構成部材を面に押し付け、傾斜面に対して平行な成分だけは不利に作用するが、構成部材の滑りまたは剥離を生じさせるほどに十分に大きくはない。
【0015】
半導体ユニットは例えば、「ボンディング」またはクランプまたはろう付けまたは焼結を用いてそれぞれの面に被着させることができる。
【0016】
半導体ユニットが回転式整流器のそれぞれの面に配置されているということは、これらの半導体ユニットが、それぞれの面と直接に接触していなければならないことを意味しない。一般に重要であるのは、半導体ユニットが、導電性材料から成る面に対して、電気的に絶縁されることである。したがって、半導体ユニットとそれぞれの面との間には、絶縁層、例えばプリント基板または電気絶縁性かつ熱伝導性の「サーモパッド」等を配置することができる。
【0017】
半導体ユニットは、付加的なハウジングなしに、それぞれ面に被着することができ、また注型材料によって保護することができる。有利には、全ての半導体ユニットは同じ注型材料に配置されていてもよく、すなわち、これらの注型材料を介して互いに結合されていてもよい。
【0018】
注型材料は、有害な外的影響に対して半導体ユニットを保護することができる。注型材料は、電気絶縁性かつ熱伝導性であってもよい。例えば、エポキシ樹脂ベース、シリコーンベース、ポリウレタンベース、またはアクリレートベースの注型材料が使用可能である。それぞれ別の注型材料により、それぞれの半導体ユニットと、少なくとも1つのコンタクト要素とを少なくとも部分的に取り囲むことが可能である。注型材料が、複数の半導体ユニットの複数または全てと、少なくとも1つのコンタクト要素とを少なくとも部分的に取り囲むことが可能である。
【0019】
コンタクト要素は、半導体ユニット内に実現された電気構成部材に、回転式整流器の外側から電気的に接触接続できるようにするのに適している。少なくとも1つのコンタクト要素は、このコンタクト要素が、少なくとも1つの側において、注型材料の外側から接触接続できるように注型材料に配置可能である。1つまたは複数の構成要素または構成ユニットは例えば、ボンディングワイヤを介して同一のコンタクト要素と接続可能である。
【0020】
半導体ユニットは好ましくは、半導体デバイスおよび/または集積回路および/または半導体チップおよび/または半導体ダイであるか、またはこれを含んでいる。
【0021】
集積回路は、比較的薄い半導体シートに実現されている回路である。集積回路は、回路が上に実現されている実際の半導体シートとハウジングとから構成されていてもよい。回路が上に実現されている実際の半導体シートは、チップまたは半導体チップまたはダイまたは半導体ダイとも称することができる。半導体ユニットは本発明では、注型材料によって保護されるため、必ずしもハウジングを必要としない。したがって好ましくは、チップまたはマイクロチップまたは半導体チップまたはダイまたは半導体ダイが使用される。
【0022】
集積回路、半導体チップおよび半導体ダイは、半導体デバイスを有していてもよい。
【0023】
半導体デバイスは、パワーエレクトロニクス構成部材、特に整流ダイオードまたはトランジスタであってもよい。
【0024】
集積回路、半導体チップおよび半導体ダイはさらに、コンデンサおよび/または抵抗器を有していてもよい。
【0025】
半導体ダイが、具体的な構成部材、例えば整流ダイオードまたはトランジスタ等を実現し、別の構成部材、例えばコンデンサおよび/または抵抗器等が別に実現されることも可能である。
【0026】
半導体ユニットは例えば、セラミック基板に作製可能である。セラミック基板には、導電性材料、例えば銅等から成る複数の小さなプレートを並べて配置することができる。この半導体デバイスは、より小さなプレートに配置することができる。様々な構成要素および/または比較的小さなプレート間には、ボンディングワイヤまたははんだ接続部が設けられていてもよい。
【0027】
半導体デバイスには、作動時に50Aまでのオーダで電流が流れることがある。
【0028】
有利な1つの変形形態では、複数のコンタクト要素が設けられており、コンタクト要素はバスバーであり、それぞれの半導体ユニットはバスバーの少なくとも1つに接続されている。
【0029】
半導体ユニットは、ワイヤボンディングを用い、ボンディングワイヤを介して別のコンポーネントに接続可能である。ボンディングワイヤは例えば、アルミニウム、銅または金から成っていてもよく、10μm~500μmの直径を有していてもよい。半導体ユニットは、択一的な導電性コンタクトを用いて、別のコンポーネントに接続されてもよい。導電性材料から成る多くの場合に縦長の部品は、バスバーと称され、その機能は、複数の導体をこれに接続することができ、ひいては電気的に相互接続し、共通の1つの接続部を介して接触接続することができることである。バスバーは、直流電流レールと称することができる。この際には、短い期間の間、交流電流が直流電流レールを介して交流電流が流れることも可能であり、この際にこれが不都合な作用を生じてしまうことはない。
【0030】
これらのコンタクト要素は、ロータリートランスの別の構成部材によって簡単に接触接続できるように配置されている。特に、コンタクト要素は、注型材料内に配置された構成要素、例えば半導体ユニットに対する電気的な端子が外部へ導かれ、バスバーを介して外部から接触接続できるように配置されていてもよい。対応するコンタクト要素は、構成ユニットが、別の要素によって、対応する回転式整流器に簡単に接触接続可能であるため、有利である。
【0031】
回転式整流器は有利には、支持要素に組み付けられており、かつ/または支持要素は、ロータとの結合に使用される結合要素を有する。ここでは、ロータは、ロータリートランスの回転部分であってもよい。ここでは、ロータは、誘導型他励式同期機械のロータであってもよく、誘導型他励式同期機械は、ロータリートランスを有し、ロータリートランスの回転部分は、誘導型他励式同期機械のロータに配置されている。対応する回転式整流器の全ての要素が、ロバストな構成ユニットにおいて利用できることは有利である。対応する支持要素を用いて、構成ユニットをあらかじめ作製することができ、かつロータとコンパクトに結合することができる。
【0032】
支持要素がアルミニウム製であり、支持要素が回転対称であることが考えられる。有利には、作用する遠心力を良好に受け止めることができ、また有利には、ロータリートランス用のロータの別の要素に結合することができるように、支持要素はロバストな材料から作製されている。またアルミニウムは特に、良好な熱伝導率と同時に高い機械的強度によっても優れている。回転対称の支持要素は有利には、ロータにおける配置に適している。支持要素は、ロータリートランスの回転軸を収容するのに適した中央の円筒状の切欠き部を伴って、円筒状に実現されていてもよい。
【0033】
択一的には、支持要素が、良好な熱伝導率と同時にも十分な機械的強度を有する別の材料から構成されていることが可能である。
【0034】
結合要素は好ましくは、取外し可能な結合要素、特にねじ結合部である。例えば、支持要素は、複数のねじを介してロータリートランスのロータに結合可能であってもよい。このために、それぞれ1つのねじを取り付けるのに適した複数のねじ孔が、支持要素にもロータにも設けられていてもよい。ねじ孔は、ねじ山を有するか、またはこれを有さずに実現されていてもよい。
【0035】
択一的には支持要素は、プレス嵌めを用いてロータのシャフトに取り付けられてもよい。これは、ねじ締結と組み合わせることができるか、またはただ1つの固定選択肢として実現することができる。
【0036】
好ましい実施形態では、回転式整流器は、支持要素と共にあらかじめ作製された構成ユニットとして設けられており、構成ユニットは、結合要素を介してロータに結合可能である。回転式整流器の対応するあらかじめの作製は、これにより、残りのロータリートランスとは別にこの回転式整流器を作製することができ、交換も簡単にできるため、有利である。
【0037】
支持要素は有利には、少なくとも1つの切欠き部を有し、この切欠き部は、支持要素の回転軸線に対して45°±40°の角度で、好ましくは45°±20°の角度で配向されている少なくとも1つの面を有し、半導体ユニットの少なくとも1つは、少なくとも1つの面に配置されている。切欠き部は、例えば中心において円形であってもよく、ここにはロータ軸を挿入するための切欠き部を形成することができる。切欠き部は、回転軸線に沿って支持要素を完全に貫通することができる。切欠き部は、角錐台に類似して実現されていてもよい。切欠き部は、回転軸線に沿って一方の端部に向かって広がっていてもよい。切欠き部は、その細い端部に円形の横断面を有し、かつその広い端部に矩形、特に正方形の横断面を有していてもよい。この切欠き部により、支持要素に1つ以上の傾斜面もしくは傾いた面が得られる。これらの面は、支持要素の回転軸線に対して45°±40°の角度で、好ましくは45±-20°の角度で配向されていてもよい。これらの面は、切欠き部が円形の横断面を有する端部において湾曲していてもよく、かつ切欠き部が矩形の横断面を有する端部において平坦であってもよい。これらの切欠き部は、その上に半導体ユニットを配置するのに適していてもよい。
【0038】
本発明はさらに、本発明に係る回転式整流器を備えた、ロータリートランスのロータに関する。ロータは、ロータリートランスの回転部分であり、この回転部分内もしくは回転部分には2次コイルが配置されている。ロータの2次コイルには交流電圧が誘導され、この交流電圧が、回転式整流器において整流される。したがって、本発明による回転式整流器は、ロータに組み込まれているか、または取外し可能または取外し不能にロータに結合されている。
【0039】
本発明にはさらに、ロータリートランス用の本発明による回転式整流器を製造する方法が含まれている。本製造方法には、
a)ロータリートランスの回転軸線に対して傾斜されかつ回転軸線の方を向いた少なくとも1つの面を備えた中実の支持要素を製造するステップと、
b)少なくとも1つの面の少なくとも1つに複数の半導体ユニットを取り付けるステップと、
c)半導体ユニットを鋳造するステップと、
d)結合要素を介してロータリートランスのロータに回転式整流器を固定するステップとが含まれている。
【0040】
本発明に係る方法によって可能になるのは、ロータリートランスおよびそのロータとは完全に独立して、支持要素に回転式整流器を作製することである。最後のステップにおいて初めて、回転式整流器がロータに取り付けられる。
【0041】
この際には、中実の支持要素において1つまたは複数の切欠き部が実現される。中央の切欠き部は、傾斜して配置された複数の面を有する。さらに、中実の支持要素は、例えばねじを配置するための別の切欠き部を有していてもよい。
【0042】
ステップb)では、傾斜して配置された少なくとも1つの面の少なくとも1つに半導体ユニットを取り付ける。ここでは、本発明の決定的な利点が示される。半導体ユニットは、(支持要素の回転軸を垂直軸線として見ると)、上から直接、支持要素に挿入することができ、傾斜して配置された面に固定することができる。面が同様に垂直である場合、つまり回転軸線に対して平行である場合には、中空円筒体の内側面に配置しなければならず、これは、組付けが明らかにより困難である。これと対照的に、半導体ユニットが取り付けられる面を、回転軸線に対して垂直に配置することも同様に不利である。作製は確かにより簡単になるであろうが、作動時に半導体ユニットに作用する遠心力は、大きく、また角度が不利になってしまい、構成部材が剥離してしまう危険性がある。傾斜面における配置により、2つの欠点が最小化される。支持要素に上方から挿入もしくは取り付けることが可能でありながら、作動時に遠心力が、半導体ユニットの固定に過度に悪影響を及ぼすことはない。
【0043】
傾斜面に半導体ユニットを配置する前に、中間ステップa2)を行うことができ、このステップa2)では、凸凹もしくは粗さを少なくするために、半導体ユニットを配置すべき箇所において面を後処理する。
【0044】
ステップb)では、半導体ユニットの他にさらに別の電子構成部材を取り付けることができる。
【0045】
ステップb)において半導体ユニットが回転式整流器のそれぞれの面に配置されることは、半導体ユニットがそれぞれの面と直接に接触しなければならないことを意味しない。一般に重要であるのは、半導体ユニットが、導電性材料から成る面に対して、電気的に絶縁されることである。したがって、半導体ユニットとそれぞれの面との間には、絶縁層、例えばプリント基板または電気絶縁性かつ熱伝導性の「サーモパッド」等を配置することができる。
【0046】
ステップc)では、半導体ユニットの鋳造を行う。注型材料は例えば、エポキシ樹脂ベース、シリコーンベース、ポリウレタンベース、またはアクリレートベースであってもよい。注型コンパウンドはこの場合、直接に支持要素の切欠き部に注ぐことができる。その後、この材料は硬化する。
【0047】
ステップd)では、支持要素に回転式整流器を含む作製したロバストな構成部材をロータリートランスのロータに取り付けることができる。このために、例えばねじ等の結合要素が使用される。
【0048】
ステップb)では好ましくは、ボンディングおよび/またはクランプおよび/またはろう付けおよび/または焼成を用いて複数の半導体ユニットを取り付ける。
【0049】
ボンディングは、特定の結合プロセスのことをいう。
【0050】
半導体ユニットのボンディングは特に、いわゆるチップボンディングであってもよい。ここでは、チップもしくはダイがベースプレートまたはその他の支持材料に固定される。チップもしくはダイはここでは、接着、ろう付けまたは合金化を介して支持材料と結合可能である。半導体ユニットはこの場合、ワイヤボンディングによって別のコンポーネントに接続可能である。半導体ユニットはここでは、支持要素の面に直接にボンディングされるか、または例えばセラミック基板にボンディング可能である。
【0051】
焼結の際、半導体ユニットは、高温において、また選択的には高圧において、焼結材料、例えばフィルムまたはペーストを使用して支持要素に結合可能である。
【0052】
有利には、ステップd)における回転式整流器の固定には、ねじ結合を用いた回転式整流器の機械式の固定と、回転式整流器の半導体ユニットと、ロータに配置されている別の電子構成要素との電気的な接続とが含まれている。回転式整流器は、機械的にも電気的にもロータに接続されなければならない。機械的な結合は有利には、ねじ結合を介して行うことができる。択一的または付加的には、機械的な結合は、プレス嵌めを介して行われてもよい。電気的な接続は例えば、注型材料の外側に配置されておりかつ半導体ユニットに導電的に接続されているコンタクト要素を介して半導体ユニットが接触接続されることによって行うことができる。
【0053】
本発明の好ましい実施例を図面に示し、以下の説明において詳説する。同じ参照符号は、同じまたは類似の、または機能的に同じのコンポーネントに関連する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】本発明による回転式整流器の斜視図である。
図2】本発明による回転式整流器の平面図である。
図3】本発明による回転式整流器の断面を示す斜視図である。
図4】本発明による回転式整流器の断面図である。
図5】回転式整流器を備えたロータの1つの実施例を示す縦断面図である。
【0055】
図1には、本発明による回転式整流器RGRの斜視図が示されている。回転式整流器RGRは、円筒状の支持要素TE上に、または円筒状の支持要素TE内に配置されている。支持要素TEは、中実に実現されているが、複数の切欠き部もしくは孔を有する。支持要素TEは、4つの結合孔VLと、中央の大きな1つの切欠き部AUSとを有する。中央の切欠き部AUSには部分的に注型材料VMが充填されている。切欠き部AUSは、支持要素をその回転軸線に沿って完全に貫通する。支持要素TEの一方の平坦側において、切欠き部は円形の横断面を有する。支持要素TEの他方の平坦側において、切欠き部は正方形の横断面を有する。切欠き部の横断面面積は、円形の横断面を有する平坦側から、正方形の横断面を有する平坦側に向かって連続的に増大している。これにより、傾斜した4つの面GFが生じるそれぞれの傾斜面には、複数の半導体ユニットHLEが配置されている。この実施例では、半導体ユニットHLE半導体は半導体ダイHLDである。この実施例では、傾斜面GFごとに、それぞれ3つの半導体ユニットHLEが配置されている。半導体ユニットHLEの他に、別の電子構成部材、例えばコンデンサまたは抵抗器が、傾斜面Fに配置されてもよい(図示せず)。半導体ユニットHLE内には、半導体ベースではない、電子構成部材、例えばコンデンサまたは抵抗器等の別の電子コンポーネントを実現することも可能である。半導体ユニットHLEは、ボンディングワイヤを介して、ここではバスバーBBとして実現されている接続要素に接続されている。バスバーBBは、外部から注型材料に配置されており、これにより、バスバーBBは外部から接触接続可能である。
【0056】
図2には、本発明による回転式整流器RGLの平面図が示されている。同じ参照符号は、同じまたは類似の要素に関連している。平面図において良好に見て取れるのは、切欠き部AUSの注型材料VMが、回転軸線RAの周りにさらに円筒状の貫通開口部DGを有することである。この貫通開口部DGには作動時に、ロータリートランスRTFのロータ軸を配置することができる。
【0057】
図3には、回転式整流器RGRの斜視図によって断面を見ることができる。この図では、注型材料VMにおける円筒状の貫通開口部DGが良好に見て取れ、注型材料VMは、支持要素TEの切欠き部AUSに配置されている。切欠き部AUSは、角錐台に類似して成形されていて、また一方の端部には正方形の横断面を有し、他方の端部には円形の横断面を有する。
【0058】
図4には、回転式整流器RGRの断面図が示されている。ここでは、半導体ユニットHLEが傾斜面GFにどのように配置されているかが特に良好に見て取れる。回転式整流器RGRが回転すると、遠心力が、回転軸線RAに対して垂直に半導体ユニットHLEに作用する。
【0059】
これにより、傾斜平面に対して垂直に作用する遠心力の成分によって、半導体ユニットはさらに平面に押し付けられる。これにより、傾斜平面に対して平行な、不利に作用し得る遠心力の成分が、格段に低減される。
【0060】
図5には、2つの異なる実施例a)およびb)における、誘導型他励式同期機械のロータRTの縦断面図が示されている。誘導型他励式同期機械には、ハウジングGHと、ステータST(図示せず)に対して相対的に、回転軸線RAの周りに回転可能に構成されかつ2次コイルSSPを有するロータRTとが含まれている。回転式整流器RGRは、あらかじめ作製された構成ユニットとして、実施例a)ではハウジングGHの内側に配置されており、実施例b)ではハウジングGHの外側に配置されている。ここでは、ロータの軸ARは、回転式整流器RGRを貫通する。
【符号の説明】
【0061】
RGR 回転式整流器
RTF ロータリートランス
FSM 誘導型他励式同期機械
GF 傾斜面
HLE 半導体ユニット
KTE コンタクト要素
VM 注型材料
VBE 注型構成ユニット
RA 回転軸線
AR ロータの軸
HLD 半導体ダイ
BB バスバー
TE 支持要素
RT ロータ
ST ステータ
AUS 切欠き部
VL 結合孔
GH ハウジング
SSP 2次コイル
DG 貫通開口部
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】