(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163107
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】デリックバラストを備えたクレーン
(51)【国際特許分類】
B66C 23/76 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
B66C23/76 B
B66C23/76 D
【審査請求】有
【請求項の数】31
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024077643
(22)【出願日】2024-05-13
(31)【優先権主張番号】10 2023 112 413.7
(32)【優先日】2023-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】597120075
【氏名又は名称】リープヘル-ヴェルク エーインゲン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Liebherr-Werk EhingenGmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ノルツ クレメンス
(72)【発明者】
【氏名】ハブ エンゲルベルト
(72)【発明者】
【氏名】クライ マティアス
(72)【発明者】
【氏名】イエヒル マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ウェンガー ハンス ヨアヒム
(72)【発明者】
【氏名】シュトレーベレ マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ディーシュ レオニ
【テーマコード(参考)】
3F205
【Fターム(参考)】
3F205AA07
3F205CA01
3F205CA04
3F205CA09
3F205DA01
3F205GA01
3F205GA03
3F205GA05
3F205GA07
3F205GA09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】クレーンのバラストワゴン用の重量物運搬装置の使用を可能にし、クレーン操作の高安全性の要件を満たすとともにクレーンシステムの損傷のリスクを最小化する。
【解決手段】移動可能な下部台車12、上部構造体14、ブーム16、デリックブーム18、上部構造体に接続されたガイド20、及びデリックバラスト40を備え、デリックバラストは、バラスト要素41を積み重ねるためにバラストブレーシングを介してデリックブームに接続され且つガイドを介して上部構造体に接続されるバラストプレート42、及びバラストワゴン44を有する。バラストワゴンは独自駆動装置と独自駆動制御部を備えた標準の重量物運搬装置50を備える。本発明ではバラストプレート42またはバラストワゴン44に接続装置を介してガイド20が接続され、接続装置はバラストワゴンとガイドの間の相対動作と反対に作用する力を検出する計測装置を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能な下部台車(12)と、前記下部台車(12)に回転可能に取り付けられた上部構造体(14)と、前記上部構造体(14)に上下動可能に接続されたブーム(16)と、前記上部構造体(14)に旋回可能に接続されるとともにブーム(16)を補強するデリックブーム(18)と、クレーン制御部(90)と、前記上部構造体(14)に接続されたガイド(20)と、デリックバラスト(40)とを備え、前記デリックバラスト(40)が、バラスト要素(41)を積み重ねるためのバラストプレート(42)であってバラストブレーシング(30)を介して前記デリックブーム(18)に接続されるとともに前記ガイド(20)を介して前記上部構造体(14)に接続されるバラストプレート(42)とバラストワゴン(44)とを有し、前記バラストワゴン(44)が、独自の駆動装置及び独自の駆動制御部(54)を備えた標準の重量物運搬装置(50)を備えたクレーン(10)であって、
前記ガイド(20)が、接続装置(60)を介して前記バラストプレート(42)または前記バラストワゴン(44)に接続され、前記接続装置(60)が、前記バラストワゴン(44)と前記ガイド(20)との間の相対動作と反対に作用する力を検出するように構成された計測装置を有し、且つ
前記クレーン制御部(90)は、制御接続部を介して前記重量物運搬装置(50)の前記駆動制御部(54)に接続され、前記計測装置によって検出された力に応じて、前記重量物運搬装置(50)を制御及び/または調節するように構成されていることを特徴とすることを特徴とするクレーン(10)。
【請求項2】
請求項1に記載のクレーン(10)において、
前記ガイド(20)は、前記デリックバラスト(40)によって発生する力が、前記ガイド(20)によって伝達される第1の力と、前記バラストブレーシング(30)によって伝達される第2の力とに分割されるように構成され、前記計測装置が、前記第1の力及び前記第2の力を伝達する前記ガイド(20)及び前記バラストブレーシング(30)の構造体の外部に、特に下方に配置されるクレーン(10)。
【請求項3】
請求項1または2に記載のクレーン(10)において、
前記計測装置は、少なくとも1つの第1アクチュエータ(1)、特に第1油圧シリンダを有し、この第1アクチュエータ(1)によって、ガイド(20)の長手方向におけるバラストワゴン(44)とガイド(20)との間の相対動作と反対に作用する長手方向力を検出することができ、好ましくは、第1アクチュエータ(1)は、長手方向力が所定の限界力よりも小さい第1の力範囲において、ガイド(20)とバラストワゴン(44)とを長手方向において堅固に接続するように構成され、前記クレーン制御部(90)が、長手方向力が最小になるように、検出された長手方向力に応じて、前記重量物運搬装置(50)を制御及び/または調節するように構成されているクレーン(10)。
【請求項4】
請求項3記載のクレーン(10)において、
前記第1アクチュエータ(1)は、長手方向力が所定の限界力を超える第2の力範囲において、ガイド(20)とバラストワゴン(44)との間の相対動作に応じるように構成され、前記計測装置は好ましくは第1位置センサを有し、これにより、ガイド(20)に対するバラストワゴン(44)の位置の変化、特に第1アクチュエータ(1)の長さまたは角度の変化を第2の力範囲において検出することができ、前記クレーン制御部(90)は、第1位置センサによって検出された位置の変化に対応して前記クレーン(10)及び/または前記バラストワゴン(44)の動作を停止または制限するように構成されているクレーン(10)。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のクレーン(10)において、
前記計測装置は、少なくとも1つの第2アクチュエータ(2)、特に第2油圧シリンダを備え、この第2アクチュエータ(2)によって、バラストワゴン(44)とガイド(20)との間の回転動作と反対に作用するトルクを検出でき、好ましくは、第2アクチュエータ(2)は、トルクが所定の限界トルクよりも小さい第1のトルク範囲においてガイド(20)とバラストワゴン(44)との間で回転可能な堅固に接続を行うように構成され、前記クレーン制御部(90)は、トルクが最小化されるように、検出された長手方向力に応じて前記重量物運搬装置(50)を制御及び/または調節するように構成されるクレーン(10)。
【請求項6】
請求項5に記載のクレーン(10)において、
前記第2アクチュエータ(2)は、トルクが所定の限界トルクを超える第2モーメントの範囲において、ガイド(20)とバラストワゴン(44)との間の相対回転に応じるように構成され、前記計測装置は、好ましくは第2位置センサを有し、これにより、ガイド(20)に対するバラストワゴン(44)の位置の変化、特に前記第2アクチュエータ(2)の長さまたは角度の変化を第2の力範囲において検出可能であり、前記クレーン制御部(90)は、前記第2位置センサによって検出された位置の変化に応じて前記クレーン(10)及び/または前記バラストワゴン(44)の動作を停止または制限するように構成されているクレーン(10)。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のクレーン(10)において、
前記接続装置(60)は、前記ガイド(20)と前記バラストプレート(42)の間に配置され、前記ガイド(20)に堅固に接続された連結部(23)を有するクレーン(10)。
【請求項8】
請求項7に記載のクレーン(10)において、
前記接続装置(60)は、前記バラストプレート(42)に接続される可動要素(62)を有し、前記可動要素は、連結部(23)に対してガイド(20)の長手方向へ移動可能に取り付けられ、特に転がり軸受または滑り軸受(64)を介して移動可能に取り付けられ、前記可動要素は、好ましくは前記バラストブレーシング(30)を前記ガイド(20)に接続するとともに前記ガイド(20)または前記連結部(23)に配置される接続手段(34)の下方に配置されるクレーン(10)。
【請求項9】
請求項3及び8に記載のクレーン(10)において、
少なくとも1つの第1アクチュエータ(1)が、一方では可動要素(62)に連結され、他方ではガイド(20)に、特に連結部(23)に連結され、前記第1アクチュエータ(1)は、好ましくは、可動要素(62)と連結部(23)との間の相対動作を所定の限界力まで阻止するように構成された油圧シリンダとして構成されているクレーン(10)。
【請求項10】
請求項8または9に記載のクレーン(10)において、
前記接続装置(23)は、前記バラストプレート(42)が回転装置を有し、この回転装置により、前記バラストプレートが垂直軸の周りで回転可能できるように前記ガイド(20)に接続され、前記回転装置は、好ましくは前記可動要素(62)に配置される旋回軸受(66)を有するクレーン(10)。
【請求項11】
請求項5及び10に記載のクレーン(10)において、
前記旋回軸受(66)は、前記接続装置(60)、特に前記可動要素に接続された第1軸受部(67)と、前記バラストプレート(42)に接続された第2軸受部(68)とを有し、少なくとも1つの第2アクチュエータ(2)が、一方では前記可動要素(62)に連結され、他方では前記バラストプレート(42)に連結され、特に一方では前記第1軸受部(67)に、且つ/または他方では前記第2軸受部(68)に接続され、前記第2アクチュエータ(2)は、好ましくは、前記軸受部(67、68)間の相対回転を所定の限界トルクまで阻止するように構成された油圧シリンダまたはモータとして構成されるクレーン(10)。
【請求項12】
請求項7に記載のクレーン(10)において、
前記接続装置(60)は、旋回可能に取り付けられた少なくとも2つのロッカーアーム(70)を有し、前記ロッカーアーム(70)を介して前記接続装置(60)が前記バラストプレート(42)に移動可能に接続され、前記ロッカーアーム(70)は、前記連結部(23)に対する前記バラストプレート(42)の動作を前記ガイド(20)の長手方向において許容するとともに、特に前記バラストプレート(42)または前記バラストプレート(42)に連結された中間部材に直接に連結され、前記ロッカーアーム(70)は、好ましくは、前記バラストブレーシング(30)を前記ガイド(20)に接続するとともに前記ガイド(20)または前記連結部(23)に配置された接続手段(34)の下方に配置されているクレーン(10)。
【請求項13】
請求項3及び12に記載のクレーン(10)において、
少なくとも1つの第1アクチュエータ(1)が、一方ではロッカーアーム(70)または前記ロッカーアーム(70)によって動作可能な中間部材に連結され、他方では前記ガイド(20)、特に前記連結部(23)に連結され、前記第1アクチュエータ(1)は、好ましくは前記ロッカーアーム(70)の旋回動作を所定の限界力まで阻止するように構成された油圧シリンダとして構成されているクレーン(10)。
【請求項14】
請求項5及び請求項12または13に記載のクレーン(10)において、
前記接続装置(60)は、前記バラストプレート(42)を前記ガイド(20)に垂直軸の周りで回転可能に接続する回転装置を有し、前記回転装置は、前記連結部(23)または前記ロッカーアーム(70)を前記バラストプレート(42)に接続する中間部材に配置されるとともに互いに対して回転可能な2つの軸受部(67,68)を備えた旋回軸受(66)を有し、前記軸受部(67,68)は好ましくは少なくとも1つの第2アクチュエータ(2)を介して直接的または間接的に連結され、前記第2アクチュエータは、前記軸受部(67,68)間の相対回転を所定の限界トルクまで阻止するように構成されているクレーン(10)。
【請求項15】
請求項5及び請求項12または13に記載のクレーン(10)において、
前記接続装置(60)は、前記連結部(23)に対する前記バラストプレート(42)の回転を許容するように構成された少なくとも4つのロッカーアーム(70)を有し、前記連結部(23)が、少なくとも1つの第2アクチュエータ(2)を介して、少なくとも1つのロッカーアーム(70)または前記ロッカーアーム(70)を前記バラストプレート(42)に接続する中間部材に連結されているクレーン(10)。
【請求項16】
請求項3及び15に記載のクレーン(10)において、
少なくとも2つの第2アクチュエータ(2)を備え、これらの第2アクチュエータ(2)は、それぞれ、一方では前記連結部(23)に接続され、他方では前記ロッカーアーム(70)の1つに連結され、同時に第1アクチュエータ(1)として機能し、前記第2アクチュエータ(2)は、特に、前記バラストプレート(42)が前記連結部(23)に対して相対的に回転するときに異なる負荷がかかるように構成され、前記クレーン制御部(90)は、検出された負荷の差異に応じて前記重量物運搬装置(50)を制御及び/または調節するように構成されているクレーン(10)。
【請求項17】
請求項1から6のいずれか1項に記載のクレーン(10)において、
前記接続装置(60)が、前記バラストプレート(42)と前記重量物運搬装置(50)との間に配置され、前記バラストプレート(42)に接続された第1アダプタ部(81)と、前記ガイド(20)の長手方向において前記第1アダプタ部(81)に対して移動可能な第2アダプタ部(82)とを有する少なくとも1つのアダプタ要素(80)を有し、前記第1及び第2アダプタ部(81、82)には好ましくは油圧シリンダとして構成される少なくとも1つの第1アクチュエータ(1)が連結され、所定の限界力まで前記アダプタ部(81、82)間の相対動作を阻止するように構成されるクレーン(10)。
【請求項18】
請求項5及び17に記載のクレーン(10)において、
前記ガイド(20)の長手方向軸線に対して横方向に間隔をあけて配置され且つそれぞれが少なくとも1つの第1アクチュエータ(1)を有する少なくとも2つのアダプタ要素(80)を有し、前記アダプタ要素(80)は、前記第2アダプタ部(82)が各第1アダプタ部(81)に対して横方向へ旋回できるように構成され、好ましくは、前記第1アクチュエータ(1)は、同時に前記第2アクチュエータ(2)としても機能するとともに前記バラストワゴン(44)が回転するときに前記バラストプレート(42)に対して異なる負荷がかかるように配置され、前記クレーン制御部(90)は、検出された負荷の差異に応じて前記重量物運搬装置(50)を制御及び/または調節するように構成されているクレーン(10)。
【請求項19】
請求項17または18に記載のクレーン(10)において、
前記ガイド(20)は、前記ガイド(20)の残りの構造体に堅固に接続された連結部とバラストプレート(42)に接続された旋回部(29)とを有するヘッド部材(24)を有し、前記旋回部(29)は、前記バラストプレート(42)に連結された第1旋回要素と、前記連結部に連結された第2旋回要素とを有し、前記第1旋回要素及び第2旋回要素は、前記ガイド(20)の長手方向軸線と平行に延びる旋回軸の周りで互いに旋回可能に取り付けられ、前記旋回軸の周りでの前記バラストプレート(42)の回転を許容し、前記バラストブレーシング(30)が好ましくは接続手段(34)により前記バラストプレート(42)に直接に接続されるクレーン(10)。
【請求項20】
請求項1または2に記載のクレーン(10)において、
前記接続装置(60)は、前記ガイド(20)と前記バラストプレート(42)との間に配置されるとともに、前記ガイド(20)に堅固に接続された連結部(23)を有し、前記計測装置は、少なくとも1つの力計測用ボルト(3)を有し、これによって、前記ガイド(20)の長手方向における前記バラストワゴン(44)と前記ガイド(20)との間の相対動作と反対に作用する長手方向力を検出でき、前記クレーン制御部(90)は、好ましくは、長手方向力が最小になるように、検出された長手方向力に応じて前記重量物運搬装置(50)を制御及び/または調節するように構成されているクレーン(10)。
【請求項21】
請求項5及び20に記載のクレーン(10)において、
前記接続装置(50)が、互いに対して回転可能な2つの軸受部(67,68)を備えた回転装置を有し、この軸受部(67,68)を介して前記バラストプレート(42)が垂直軸の周りで回転可能に連結部(23)に接続され、前記軸受部(67,68)は、好ましくは、少なくとも1つの第2アクチュエータ(2)を介して直接的または間接的に互いに連結され、前記第2アクチュエータ(2)は、前記軸受部(67,68)間の回転を所定の限界トルクまで阻止するように構成されているクレーン(10)。
【請求項22】
請求項20に記載のクレーン(10)において、
前記連結部(23)が前記バラストプレート(42)に堅固に接続され、前記計測装置が少なくとも2つの力計測用ボルト(3)を有し、前記力計測用ボルト(3)は、バラストプレート(42)がガイド(20)に対して回転するときに異なる負荷がかかるように配置され、前記クレーン制御部(90)は、検出された負荷の差異に応じて前記重量物運搬装置(50)を制御及び/または調節するように構成されているクレーン(10)。
【請求項23】
請求項20から22のいずれか1項に記載のクレーン(10)において、
前記連結部(23)が、前記バラストブレーシング(30)を接続装置(60)に接続する接続手段(34)を有し、少なくとも1つの力計測用ボルト(3)は、前記接続手段(34)の下方に位置するボルト接続部の一部であり、好ましくは前記バラストプレート(42)に対する連結部(23)のボルト接続部の一部、または前記バラストプレート(42)に接続された中間部材(25)に対する前記連結部(23)のボルト接続部の一部であるクレーン(10)。
【請求項24】
請求項1から23のいずれか1項に記載のクレーン(10)において、
さらに、少なくとも1つのリギングブロック(86)と、前記少なくとも1つのリギングブロック(86)及び/または前記ガイド(20)にバラストリギング(30)を特に関節態様で接続するための第1及び第2接続手段(87,88)とを有し、さらに、前記少なくとも1つのリギングブロック(86)を前記バラストプレート(42)に取り付けるための第3接続手段(85)を有し、前記バラストプレート(42)は前記バラストワゴン(44)から取り外すことができ、前記少なくとも1つのブレーシングブロック(86)及び前記バラストプレート(42)は、前記ブレーシングブロック(86)が取り付けられているときと前記バラストワゴン(44)から分離されたときとに、前記デリックバラスト(40)を吊り下げ式バラストとして使用できるように構成されているクレーン(10)。
【請求項25】
請求項1から24のいずれか1項に記載のクレーン(10)において、
前記ガイド(20)は長さ調節可能に構成され、前記ガイド(20)は、好ましくは上部構造体(14)に接続されたリンク部材(21)と、前記リンク部材(21)と前記接続装置(60)との間に着脱可能に設置できる少なくとも1つの中間部材(22)とを有し、且つ/または、一方が他方の内部に変位可能に取り付けられた少なくとも2つのセクション(27,28)を備えた伸縮部材(26)を有するクレーン(10)。
【請求項26】
請求項1から25のいずれか1項に記載のクレーン(10)において、
前記バラストプレート(42)が、前記バラストワゴン(44)に、特に少なくとも1つの重量物運搬装置(50)に直接に配置され、これに対して接続要素(52)で着脱可能に接続されるクレーン(10)。
【請求項27】
請求項1から26のいずれか1項に記載のクレーン(10)において、
前記ガイド(20)が、水平軸の周りで旋回可能に前記上部構造体(14)に取り付けられ、且つ/または、前記デリックバラスト(40)の重心と上部構造体の回転軸との水平距離が、前記デリックブーム(18)の先端と前記上部構造体の回転軸との水平距離よりも大きいクレーン(10)。
【請求項28】
請求項1から27のいずれか1項に記載のクレーン(10)において、
制御接続部が、前記クレーン制御部(90)と重量物運搬装置(50)の駆動制御部(54)との間の2つの別々の、特に多様なデータ接続部(91、92)を有し、好ましくは、第1データ接続部(91)がデータバスを有し、及び/または第2データ接続部(92)がセーフティリレー接点を備えた少なくとも1つのセーフティスイッチング装置(93、94)を有するクレーン(10)。
【請求項29】
請求項28に記載のクレーン(10)において、
前記制御接続部は、前記クレーン(10)に配置された第1非常停止スイッチ(106)と前記重量物運搬装置(50)に配置された第2非常停止スイッチ(108)とを備えた2つの非常停止信号チェーンを有し、前記クレーン制御部(90)は、好ましくは2つの非常停止スイッチのうちの1つが作動したときに、クレーン(10)及び重量物運搬装置(50)の全ての動作を停止させるように構成されているクレーン(10)。
【請求項30】
請求項1から29のいずれか1項に記載のクレーン(10)において、
さらに、前記デリックバラスト(40)、特に前記バラストプレート(42)の傾斜を検出するための少なくとも1つのセンサを備えた傾斜検出装置を有し、前記クレーン制御部(90)は、好ましくは、前記傾斜検出装置によって得られるデータに基づいて現在の地形の傾斜が補正されるように、前記重量物運搬装置(50)を制御及び/または調節するように構成され、特に、正の地形傾斜が検出されると前記重量物運搬装置(50)の駆動部の駆動圧力を増加させ、負の地形傾斜が検出されると駆動圧力を減少させるクレーン(10)。
【請求項31】
請求項30に記載のクレーン(10)において、
さらに、前記バラストワゴン(44)及び/または前記バラストプレート(42)に配置された少なくとも1つのアクチュエータを備え、前記アクチュエータによって、前記バラストプレート(42)及び/または前記バラストワゴン(44)を地面に対して上昇または旋回させることができ、前記クレーン制御部(90)は、前記バラストプレート(42)が水平の向きに保持されるように、前記傾斜検出装置によって得られるデータに基づいて少なくとも1つのアクチュエータを制御及び/または調節するように構成されているクレーン(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に係るクレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のクレーンはデリッククレーンとしても知られており、一般的にはクローラシャシを有する。追加のデリックバラストにより、これらのクレーンは、特に重い荷物を持ち上げて移動するように構成されている。これらのクレーンでは、メインブーム(一般的にはラチスブーム(格子ブーム)であり、以下では「ブーム」と称する)とデリックブームが、調節可能なケーブルブレーシングシステムにより互いに接続されている。デリックブームは、長さ調整可能なデリックブレーシングを介して上部構造体の後端または後部に連結される。デリックブレーシングを調整する(すなわち、長くしたり短くしたりする)ことにより、上部構造体に対するデリックブームの傾きを設定できる。クレーンの作業中、デリックブームの角度は通常は変化しない。メインブームのラフィング動作(上下動作、傾動動作)は、ブームとデリックブームの間のラフィングケーブルシステム(引き込みケーブルシステム、上下動作用ケーブルシステム)の調整によって行われる。
【0003】
そのため、ブームが積載している荷重によりブームがブームシステムに加えるモーメントは、デリックブームで吸収する必要がある。しかも、「クレーン」システムの全体は安定していなければならない。つまり、全体の重心が傾動端の内側になければならない。これは、重い荷物を持ち上げる場合には、上部構造体のバラストだけでは可能にはならない。このため、追加のバラストとしてデリックバラストが必要になる。デリックバラストは、可変長のバラストブレーシングを介してデリックブームの自由端に接続される。バラストブレーシングの長さは、例えば油圧プルシリンダを使って調整できる。
【0004】
従来、吊り下げ式バラスト、またはバラスト要素を積み重ねた状態でフロア上を移動できるバラストワゴンの形態のデリックバラストが知られている。吊り下げ式バラストは、一般に、床に設置するか、または可変長バラストブレーシングで吊り下げるかの2つの動作モードを採用することができる。これらの2つの状態は、通常、吸収すべき負荷のモーメントによって決定される。
【0005】
上部構造体の回転軸または上部構造体の回転軸とデリックバラストの重心との間の水平距離は、バラスト半径と呼ばれる。吊り下げ式バラストのバラスト半径は、デリックブームの傾きにより、または上部構造体の後部と吊り下げ式バラストとの間のガイドにより調整できる。この種の吊り下げ式バラストの欠点は、吊り下げ式バラストが地面から持ち上げられているときにしか、完全なシステムとしてのクレーンを動作または回転させることができないことである。また、吊り下げ式バラストの全質量は、それが地面にある限りは「有効」でないことに留意されたい。バラスト張力調整システムのプルシリンダは、吊り下げ式バラストの全質量のうちの必要な部分を「取り込み」、ブームシステムに送り込む。必要でない質量は地上に残り、クレーンの吊り上げに関わらない。
【0006】
デリックバラストが、バラスト要素を積み重ねたバラストワゴンの形態で構成される場合、デリックバラストはバラストワゴンの上に載り、バラストワゴンはデリックバラスト全体の一部となる。吊り下げ式バラストを超える付加的な効果は、クレーン及びデリックバラストシステムの全体を移動させることが可能なことである。クレーンは回転可能なままであり、移動させることも可能である。バラストワゴンの役割は、一つはクレーンの移動を確実にし、他の一つではデリックバラストの不要質量を地面に移すことである。
【0007】
従来知られているバラストワゴンの解決手段は、通常はクレーン製造業者による高価な自社設計であった。これらはクレーン制御システムに組み込まれ、取り扱いが比較的容易であった。クレーンのオペレータは、多くの場合、比較的多数の標準的な重量物運搬装置を有する。これらは、独自の駆動部と駆動制御部を備えた移動式運搬システムであり、非常に多くの荷の運搬と移動が可能である。そしてこれまでかなりの間、このような重量物運搬装置をクレーン用のバラストワゴンとして使用する取り組みが行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで一つ問題となるのは重量物運搬装置の独立制御であり、その理由は、その駆動制御がクレーン操作の高安全性領域用に構成されていないからである。主な問題は、クレーンと重量物運搬装置の間に強固な接続構造が必要なことである。これは、クレーンと重量物運搬装置の間の非常に大きな力であっても伝達できるものでなければならない。そのような大きな力は、クレーンとバラストワゴンが同期して動かないとクレーン運転中のリスクに繋がることがあり、部品を損傷させることもある。このため、バラストワゴンとして重量物運搬装置を操作することが現在は認められておらず、それらを使用することはクレーンオペレータのリスクとなる。
【0009】
したがって、本発明は、この種のクレーンのバラストワゴン用の重量物運搬装置の使用を可能にし、クレーン操作の高安全性の要件を満たすとともにクレーンシステムの損傷のリスクを最小化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、この目的は、請求項1の特徴を有するクレーンによって達成される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項及び以下の説明に明記されている。
【0011】
したがって、移動可能な下部台車と、下部台車に回転可能に取り付けられた上部構造体と、上部構造体に上下動(傾動)可能に接続されたブームと、上部構造体に関節態様で接続されたデリックブームと、クレーン制御システムと、上部構造体に接続されたガイドと、デリックバラストとを備えるクレーンを提案する。下部台車は、クローラシャシを有するようにしてもよい。ブームは、デリックブームにより、好ましくは前述したように長さ調整可能なケーブルブレーシングシステムにより補強される。デリックブームは、好ましくは、前述のように、特に長さ調整可能なデリックブレーシングを介して上部構造体に接続される。
【0012】
デリックバラストは、複数のバラスト要素を積み重ねることが可能なバラストプレートを有する。バラストパレットとも呼ばれるバラストプレートは、一方でバラストブレーシングを介してデリックブームに連結され、他方で前記ガイドを介して上部構造体に、特に上部構造体の後部に接続される。バラストブレーシングは可変長に構成され、それぞれがプルシリンダを備えた2本のブレーシングストランドを有するようにしてもよい。ガイドは、少なくとも部分的に堅固な構造として構成すること、例えば格子構造として構成することが好ましい。
【0013】
デリックバラストはバラストワゴンも有し、このバラストワゴンは、独自の駆動部及び駆動制御部を備えた少なくとも1つの標準の重量物運搬装置を備える。その独自の駆動装置により、重量物運搬装置は重量物運搬車両とも呼ばれる。重量物運搬装置は、特に、複数の車軸を備えた運搬台、またはSPMT(「自走式モジュラー型運搬装置)である。クレーンのオペレータの多くは、橋梁の要素や掘削装置の部品などの重量物を移動させるために、前々からこのような重量物運搬装置の多数を使用している。
【0014】
特に、バラストプレートは、重量物運搬装置の運搬台の上に配置または固定される。重量物運搬装置は1000トンを超える積載量を有することができるが、より小さな最大積載量の重量物運搬装置を使用することも当然ながら可能である。
【0015】
バラストワゴンは、連結された複数の重量物運搬装置を備えてもよい。したがって、以下において、バラストワゴンまたは「その」重量物運搬装置に言及する場合に、連結された複数の重量物運搬装置である可能性、または重量物運搬装置を組み合わせたものである可能性も含まれる。
【0016】
本発明によれば、ガイドは接続装置を介してバラストプレートまたはバラストワゴンに接続される。これは機械的な接続を意味する。接続装置は、バラストワゴンとガイドとの間の相対動作と反対に作用する力を検出するように構成された計測装置を有する。この力を以下では制御力と呼ぶ。
【0017】
制御力は、クレーンまたはガイドとバラストワゴンの不均一動作または非同期動作から生じる。例えば、上部構造体が上部構造体の回転軸の周りで回転すると、上部構造体に接続されたガイドが旋回する。バラストワゴンは、接続装置を介してデリックバラストに接続されたガイドの動きに対応する動きで追従して、ガイドまたはデリックブームに過大な横荷重がかからないようにしなければならない。例えば、バラストワゴンの動きが速すぎる場合(すなわち、バラストワゴンがガイドより先に動く場合)、もしくは遅すぎる場合(すなわち、ガイドがバラストワゴンより先に動く場合)、またはバラストワゴンが障害物に衝突した場合に、ガイドとバラストワゴンの間で固定接続がなされていないと相対的な動作が発生する。
【0018】
本発明に係る接続装置によって得られるガイドとバラストワゴンまたはバラストプレートとを接続することにより、この不均一動作または非同期動作に起因する力が発生し、この力は計測装置によって検出されてバラストワゴンの動作を制御するために使用される。本発明によれば、クレーン制御部は、制御接続部(ここでは特にデータ接続部を指す)を介して重量物運搬装置の駆動制御部に接続され、計測装置によって検出された制御力に応じて重量物運搬装置を制御及び/または調節するように構成される。以下において、単に重量物運搬装置の「制御」に言及する場合、それは制御及び/または調節または閉ループ制御のそれぞれを指すことを表している。
【0019】
したがって、本発明によれば、クレーンもしくはガイドに対するバラストワゴンの位置の変化、またはバラストワゴンとクレーンとの相対的な動作を検出して重量物運搬装置を制御するために使用するのではなく、むしろ、クレーンとバラストワゴンとの非同期動作から生じる力が検出される。このことにより、ガイドとデリックバラストとを安定して接続し、しかも堅固に接続することができる。ガイドとバラストワゴンの間の実際の相対動作は、バラストワゴンを制御するためにもはや必要ではなくなる。したがって、操舵エラーや地形の影響を補正することができ、バラストワゴンまたは重量物運搬装置を軌道へ「強制的に」入れることができる。
【0020】
さらに、本発明に係る解決手段では、クレーン及び重量物運搬装置の制御システムが互いに接続され、言い換えると、クレーン制御システムと重量物運搬装置の駆動制御システムとの間で通信が行われる。これにより、重量物運搬装置の駆動制御システムがクレーン制御システムに統合され、重量物運搬装置をクレーン制御システムのみによって制御できる。このことにより、クレーンとデリックのバラストシステムの全体の制御が簡素化され、対応する検出可能な制御力をもたらす動作シーケンスに直接かつ最適に反応することが可能になる。これにより、重量物運搬装置の強力な駆動によってガイドまたはデリックブームに過大な横荷重が導入される状況を回避することが可能になる。
【0021】
接続装置は、好ましくは、ガイドとバラストプレート、またはガイドとバラストワゴンの間に、少なくとも1つの動作自由度を有する械的接続をもたらし、この動作自由度には、例えばガイドの長手方向軸に平行な相対的並進動作、及び/または垂直軸(ガイドとバラストプレートが水平配置の場合に好ましくは垂直軸)の周りでの相対回転がある。相対的な動作は、所定の力範囲で固定接続をもたらすために1つまたは複数のアクチュエータでロックすることができ、代わりに、発生する力を検出してクレーン制御システムによって重量物運搬装置を制御するのに使用することができる。代案として、接続装置は、ガイドとバラストプレートを、またはガイドとバラストワゴンを堅固に接続できる。この場合、発生する力のみを測定して重量物運搬装置の制御に使用することが好ましい。
【0022】
可能な実施形態では、ガイドは、デリックバラストによって発生する力が、ガイドに導入されるかガイドを通して伝達される第1の力と、バラストブレーシングに導入されるかバラストブレーシングを通じて伝達される第2の力とに分割されるように構成される。バラストブレーシングを自由端に接続することが好ましいデリックブームとともに、デリックバラストの質量に起因する非常に大きな力が伝達される力の三角形ができる。デリックの質量に起因するこれらの力、すなわちガイドとバラストブレーシングを介してクレーンに導入される力の成分も、特に計測装置によって検出されてクレーン制御システムによる重量物運搬装置の制御の基礎となる制御力よりもかなり大きい。
【0023】
これらの大きな力が計測装置による制御力の検出を妨げないように、計測装置は、第1及び第2の力を伝達するガイド及びバラストブレーシングの構造体の外部に、すなわち前述の力の三角形の外部に配置される。これにより、クレーン制御システムによる重量物運搬装置の制御の基礎である制御力の効果的な検出が可能になるだけでなく、そのような大きな力のために構成する必要のない、より簡素なセンサシステムを使用することも可能になる。さらに、この構成により、計測装置の感度が向上する(より大きな力のために構成された測定システムは、より小さな力を検出するときには精度が低下する)。
【0024】
計測装置は、第1及び第2の力を伝達するガイド及びバラストブレーシングの構造体の下に配置することが好ましく、バラストブレーシングをデリックバラストに接続する接続手段(つまり、特にガイド、バラストプレートまたは接続装置)の下に配置することが好ましい。「下方」、「上方」、「下部」、「上部」などの表示は、クレーンとデリックバラストが平坦な水平面上にある場合を示していることに留意されたい。さらに、「下方」という表示は、関連の構成部品が平面視で重なる位置になければならないという意味ではなく、単に「下方」の構成部品が「上方」の構成部品よりも地面からの距離が小さいという意味である。
【0025】
外部での測定、特に前述の力の三角形の下方での測定により、大きなバラスト半径、つまりデリックバラスト上のバラストブレーシングの接続手段が平面視で上部構造体の回転軸からデリックブームの自由端よりも大きく離れた位置にあるためにバラストブレーシングが鉛直方向に延在せずに斜めに延在する状況をも可能になる。このことにより、同じ質量のデリックバラストで、より大きなモーメント、ひいてはより大きなクレーンの最大積載量を実現できることになる。
【0026】
さらに他の可能な実施形態では、計測装置が少なくとも1つの第1アクチュエータを有することによって、ガイドの長手方向に作用する制御力(本明細書では長手方向力ともいう)を検出することができるようになる。少なくとも1つの第1アクチュエータは、油圧シリンダとして構成することが好ましいが、他のタイプのアクチュエータ、例えば油圧モータも原理的には可能である。特に、その力は、アクチュエータに組み込まれた対応するセンサ(例えば圧力センサ)により検出される。
【0027】
好ましくは、第1アクチュエータは、長手方向力が所定の限界力よりも小さい第1の力範囲において、ガイドとバラストワゴンを長手方向に堅固に接続するように構成される。長手方向力が大きすぎない第1の力範囲では、第1アクチュエータはバラストワゴンを「軌道上に」維持し、非同期動作に起因する相対動作を阻止する。第1アクチュエータがこの相対的な動きに対してもたらす抵抗は、第1アクチュエータにおいて対応する力の増加(例えば、油圧シリンダのシリンダ室の1つにおける圧力の増加)をもたらし、これは計測装置によって検出され、制御力としてクレーン制御システムで利用可能になる。
【0028】
所定の限界力は、例えば、対応するように構成または設定された圧力開放弁から得ることができる。制御力に相当する圧力が圧力開放弁に設定された限界圧力を超えて上昇すると弁が開き、第1アクチュエータの圧力または力がさらに上昇するのが阻止される。そしてアクチュエータは「すり抜け」る(スリップスルー)。
【0029】
クレーン制御システムは、長手方向の力が最小になるように、検出された長手方向力に応じて重量物運搬装置を制御及び/または調節するように構成することが好ましい。したがって、長手方向力がまだ比較的小さい第1の力範囲では、長手方向力は、重量物運搬装置を制御するための制御変数として使用される。クレーン制御システムは、長手方向力が再び減少するように、長手方向力を記録し、重量物運搬装置のどの動きを開始しなければならないかを決定する。この制御範囲により、一般的にクレーンの動作やバラストワゴンの動作を止める必要はない。重量物運搬装置の補正制御は、好ましくは自動で、すなわちクレーンの操縦者が介入せずに行われる。したがって、既存のシステムと比較して、手動で、またはクレーンの動作を止めた後に介入する必要性がはるかに少なくなる。したがって、多くの場合にシャットダウンを回避できる。
【0030】
さらに可能な実施形態では、第1アクチュエータは、長手方向力が所定の限界力を超える第2の力範囲において、ガイドとバラストワゴンとの間の相対動作に応じるように構成される。こうして長手方向力が大きくなりすぎた場合、第1アクチュエータは、非同期移動の結果生じるクレーンまたはガイドに対するバラストワゴンの相対動作を許容(解放)するので、力のさらなる増大、ひいてはクレーンの構成部品の損傷を防止する。この相対動作は、例えば、上述のように適切に設定された圧力開放弁により開放することができる。
【0031】
ここで許容された相対動作は、クレーン制御部によって認識され、適切な措置が開始される。この目的のために、計測装置は第1位置センサを有することが好ましく、それよって、ガイドに対するバラストワゴンの位置の変化を検出できる。好ましくは、第1アクチュエータの長さまたは角度の変化(例えば油圧シリンダの伸縮動作)が直接検出される。あるいは、バラストワゴンとガイドの相対位置の変化を、他の任意のポイントで検出することもできる。この目的のために、例えば光学距離センサ、磁気近接センサなど、任意のセンサを使用することができる。
【0032】
クレーン制御システムは、第1位置センサによって検出された位置の変化に対応して、クレーン及び/またはバラストワゴンの動作を停止または制限するように構成される。その後、クレーン制御システムにより重量物運搬装置の補正動作を手動または自動で行うことができ、これにより、第1アクチュエータを再びブロックし、クレーンとデリックバラストの連結体の動作を継続できる。
【0033】
上述した制御のためには、長手方向力だけでなく、例えば、(障害物に衝突するか、または地形の落差によって先に移動するなどの理由で)バラストワゴンが同期して動作しない場合に上部構造体が回転するときに生じる、ガイドの長手方向に対して横方向に作用する力またはモーメントも考慮することが好ましい。
【0034】
したがって、さらに他の可能な実施形態では、計測装置が少なくとも1つの第2アクチュエータを備え、この第2アクチュエータによって、バラストワゴンとガイドとの間の回転動作と反対に作用するトルクを検出できる。このトルクは、以下では制御トルクとも呼ばれ、ガイドの縦軸に平行に作用しない制御力を伴い、そして以下では横方向力とも呼ばれる。z軸周りのこのようなトルクは、例えば上部構造体の回転及びそれに対応するバラストワゴンの円動作中に、クレーンの回転中心と重量物運搬装置の回転中心とが(例えば重量物運搬装置の操舵エラーのために)乖離する場合、またはクレーンもしくは重量物運搬装置が牽引もしくは平行動作中に中心からずれて作用する障害物に衝突する場合に生じ得る。
【0035】
少なくとも1つの第2アクチュエータは好ましくは油圧シリンダとして構成されるが、他のタイプのアクチュエータ、例えば油圧モータも原理的には使用可能である。特に、検出はアクチュエータに内蔵された対応するセンサ(例えば圧力センサ)を介して行われる。好ましくは、第2アクチュエータは、制御トルクが所定の限界トルクよりも小さい第1のトルク範囲において、ガイドとバラストワゴンとが回転に関して堅固に接続されるように構成される。制御トルクは対応する制御力へ容易に変換でき、所定の限界トルクは対応する限界力へ変換できるので、制御トルク及び制御力、限界トルク及び限界力、さらにトルク範囲及び力範囲という用語は、以下において互換性のあるものとして用いられる。特に、変換は簡単な変換因子を使用して行えるため、制御システムでモーメントまたは力のいずれが用いられているかは重要ではない。
【0036】
制御トルクまたは横方向力がさほど大きくない第1のモーメント範囲では、第2アクチュエータはバラストワゴンを「軌道上に」保持し、非同期動作から生じる相対動作を阻止する。第2アクチュエータがこの相対動作に与える抵抗は、第2アクチュエータにおける力の対応する増加(例えば、油圧シリンダのシリンダ室内の圧力の増加)をもたらし、それは計測装置によって検出されて、制御力または制御トルクとしてクレーン制御システムに与えられる。
【0037】
例えば、対応して構成または設定された圧力開放弁により、所定の制限トルクをもたらすことができる。制御トルクに対応する圧力が圧力制限弁に設定された限界圧力よりも上昇すると、弁が開き、第2アクチュエータにおける圧力または力のさらなる上昇が防止される。
【0038】
好ましくは、クレーン制御システムは、非同期動作から生じるトルクが最小化されるように、検出された制御トルクに応じて重量物運搬装置を制御及び/または調節するように構成される。検出された長手方向力に基づく制御/調節に関する説明が、これにも同様に適用されるので、繰り返しは必要としない。
【0039】
原則として、長手方向力のみを少なくとも1つの第1アクチュエータを介して検出してバランスすること、または横方向力または横方向モーメトのみを少なくとも1つの第2アクチュエータを介して検出することが考えられる。しかしながら、第1及び第2アクチュエータの両方が存在し(または、単一つのアクチュエータが第1及び第2アクチュエータの両方としてとして機能し)、長手方向力及び横方向力の両方、またはそれらのモーメントが検出されてバランスすることが好ましい。
【0040】
さらに他の可能な実施形態において、第2アクチュエータは、検出された制御トルクが所定の限界トルクを超える第2のモーメントの範囲においてガイドとバラストワゴンとの間の相対回転に応じるように構成される。制御トルクまたは対応する横方向力が大きくなりすぎた場合、第2アクチュエータがクレーンまたはガイドに対する非同期動作から生じるバラストワゴンの動作を許容し、力のさらなる増大、ひいてはクレーン構成部品の損傷が阻止される。この相対動作は、例えば、前述したように、適切に設定された圧力開放弁によって許容することができる。
【0041】
ここで許容された相対動作は、クレーン制御部によって認識され、適切な措置が開始される。この目的のために、計測装置は、好ましくは第2位置センサを有し、これにより、第2の力範囲におけるガイドに対するバラストワゴンの位置変化を検出できる。好ましくは、第2アクチュエータの長さまたは角度の変化(例えば油圧シリンダの伸縮動作)が直接的に検出される。あるいは、バラストワゴンとガイドの相対位置の変化を、他の任意のポイントで検出することもできる。この目的のためには、例えば光学式距離センサ、磁気式近接センサまたは誘導センサなど、任意のセンサを使用することができる。
【0042】
クレーン制御システムは、第2位置センサによって検出された位置の変化に応じてクレーン及び/またはバラストワゴンの動作を停止または制限するように構成される。その後、クレーン制御システムにより重量物運搬装置の補正動作を手動または自動で行うことができるので、第2アクチュエータを再び遮断してクレーン-デリック-バラストの連結体の動作を継続できる。
【0043】
さらに他の可能な実施形態では、接続装置がガイドとバラストプレートの間に配置され、この接続装置はガイドに堅固に接続される(例えばボルト接続される)連結部を有する。接続装置は好ましくはガイドの一部であるが、特定の実施形態ではバラストプレートの一部と考えることもできる。
【0044】
さらに他の可能な実施形態では、接続装置は、バラストプレートに連結される可動要素を有する。可動要素は、連結部に対してガイドの長手方向へ移動可能に取り付けられるので、クレーンまたはガイドに対するバラストワゴンの特定の動作が可能になる(動作できる場合)。バラストワゴンまたは重量物運搬装置が、クレーンに対してガイドの長手方向と平行に動作する場合、可動要素が解放されたとき(すなわち、例えばアクチュエータによってブロックされていない場合)に、連結部に対する可動要素の対応の動作が生じる。可動要素は、例えば、転がり軸受またはすべり軸受を介して、接続装置の連結部の上または連結部の中に変位可能に取り付けることができる。連結部は、可動要素をガイドするための対応するガイド要素またはレールを有していてもよい。
【0045】
可動要素は、バラストブレーシングをガイドに接続する接続手段の下方に配置することが好ましい。接続手段は、ガイド自体に、または連結部に配置することができる。このことにより、可動要素の移動に対抗する制御力を検出する計測装置が、前述の三角形の力の下方に配置されるという前述の効果が得られる。可動要素は板状にすることができる。
【0046】
さらに他の可能な実施形態では、少なくとも1つの第1アクチュエータが、一方では可動要素に、他方ではガイドに連結される。特に、第1アクチュエータは連結部に接続される。第1アクチュエータは、好ましくは油圧シリンダとして構成され、可動要素と連結部との間の相対動作を所定の限界力まで阻止するように構成される。その一方、第1アクチュエータは、長手方向力が所定の限界力を超えると相対動作を許容する。特に、油圧シリンダはガイドの長手方向軸と平行に配置される。
【0047】
さらに他の可能な実施形態では、接続装置が回転装置を有し、この回転装置により、バラストプレートが垂直軸の周りで回転できるようにガイドに接続される。「垂直」という用語は、クレーンが平坦な水平面上に立てられ、また、特にガイドが水平の向きに配置されている状況を指す。回転装置は旋回軸受を有し、この旋回軸受は、好ましくは可動要素に配置され、特にバラストワゴンの方を向く可動要素の下側に配置される。その結果、可動要素と旋回軸受の連結体により、ガイドの長手方向(クレーンに向かう方向またはクレーンから離れる方向)におけるバラストワゴンとクレーンとの間の相対動作と、クレーンに対するバラストワゴンの回転との両方が可能になる。
【0048】
さらに他の可能な実施形態では、旋回軸受は、接続装置に接続された第1軸受部と、バラストプレートに接続された第2軸受部とを有する。前記接続は、それぞれ直接的でも間接的でもよい。例えば、第2軸受部はバラストプレートに直接に接続してもよいし、例えばバラストプレートに接続される中間部材に接続してもよい。特に、第1軸受部は可動要素に接続される。
【0049】
少なくとも1つの第2アクチュエータが、一方では可動要素に、他方ではバラストプレートに連結される。第2アクチュエータは、第1軸受部及び/または第2軸受部に連結することができ、好ましくは、両方の軸受部を一緒に連結し、それによって2つの軸受部間の回転を直接に監視または検出し、必要に応じてその回転を阻止する。第2アクチュエータは、好ましくは油圧シリンダとして構成されるが、代わりに回転アクチュエータ(例えば油圧モータ)として構成してもい。第2アクチュエータは、軸受部間の相対回転を所定の限界トルクまで阻止し、より大きな制御トルクで回転を許容するように構成される。
【0050】
その他の可能な実施形態では、前述した可動要素の代わりに、接続装置は、回動可能に取り付けられた少なくとも2つのロッカーアームを有し、このロッカーアームを介して接続装置がバラストプレートに(直接または間接的に)移動可能に接続される。ロッカーアームは、好ましくは連結部に直接取り付けられる。最も簡素な例では、各ロッカーアームは水平旋回軸の周りで連結部及び/またはバラストワゴン(またはバラストプレートに接続された中間部材)に旋回可能に取り付けることができる。
【0051】
この実施形態では、変位可能な可動要素の代わりに、ロッカーアームによってバラストプレートが連結部に対してガイドの長手方向へ移動可能になる。ロッカーアームは、バラストプレートに直接に接続することができ、またはバラストプレートに接続された中間部材に例えばボルト接続で接続することができる。ロッカーアームは好ましくは接続手段の下に配置され、この接続手段によりバラストブレーシングがガイドに接続される。接続手段は、ガイド自体に配置するか、または連結部に配置することができる。この結果、計測装置が前述の力の三角形の下方に配置されるという先に説明した効果が得られる。
【0052】
ロッカーアームは細長い形状の同一の構成にすることができる。個々に独立して動作可能な複数のロッカーアームを設けることができる。その代わりに、複数のロッカーアームを(例えばロッカーアームに関節接続された連結要素を介して)互いに接続して関節動作を行うようにしてもよい。
【0053】
さらに他の可能な実施形態では、少なくとも1つの第1アクチュエータが、一方でロッカーまたはロッカーによって動作可能な中間部材に連結され、他方でガイド、特に連結部に連結される。第1アクチュエータは、好ましくは油圧シリンダの形態であり、ロッカーアームの旋回動作を所定の限界力まで阻止するように構成されている。したがって、少なくとも1つの第1アクチュエータが、所定の限界力まではロッカーアームを固定位置に保持し、長手方向力が所定の限界力を超えたときにのみ揺動または相対動作を許容する。
【0054】
原則的に、各ロッカーアームに第1アクチュエータを割り当てることができる。あるいは、1つまたは複数のロッカーアーム自体は、第1アクチュエータに連結しなくてもよい。第1アクチュエータが第1の力の範囲でロッカーアームをブロックするため、他のロッカーアームは動作できず、クレーンに対するバラストワゴンの長手方向位置が固定される。
【0055】
ガイドの長手方向への可動性が揺動することによって可能になる実施形態においてであっても、z軸に関するモーメントを検出するため、そして第1モーメントの範囲における相対的な回転動作を阻止可能にするために、特に垂直回転軸周りでのクレーンまたはガイドに対するバラストワゴンの回転の形で、さらなる動作の自由度があることが望ましい。
【0056】
したがって、さらに他の可能な実施形態では、接続装置は、バラストプレートをガイドに垂直軸の周りで回転可能になるように接続する回転装置を有し、回転装置は、連結部またはロッカーアームをバラストプレートに接続する中間部部材に配置されるとともに互いに対して回転可能な2つの軸受部を備えた旋回軸受を有する。可動要素を備えた実施形態に関して既に説明したように、軸受部は、直接的に接続する(すなわち、アクチュエータを軸受部に直接接続する)か、または間接的に接続する(すなわち、アクチュエータを、一端または両端においてそれぞれの軸受部に直接に接続するのではなく、連結部材またはバラストプレートに接続される中間部材のような、軸受部に接続された要素に接続する)ことができ、第2アクチュエータは、軸受部間の相対回転を所定の限界トルクまで阻止するように構成される。回転装置は、好ましくは、ロッカーアームとバラストプレートとの間で、例えば接続装置の連結部にロッカーアームを介して連結された中間部材に配置される。
【0057】
さらに他の可能な実施形態では、回転は、回転装置によって可能にするのではなく、ロッカーアーム自体によって可能にすることができる。この目的のために少なくとも4つのロッカーアームが設けられ、これらは特に個別のロッカーアームとして構成される。ロッカーアームは、連結部に対するバラストプレートの回転を許容するように構成される。これは、例えば、ロッカーアームを連結部及び/またはバラストプレートにリニアジョイントを介して取り付ける(1つの軸の周りでの可動)のではなく、ボールジョイント、ユニバーサルジョイント、または2つ以上の軸の周りでの旋回動作を許容する他のジョイント装置を介して取り付けることで可能にすることができる。その代わりに、ロッカーアームは、この可動性を可能にする付加的なジョイントを、それらの取り付けポイント間に有していてもよい。少なくとも1つの第2アクチュエータは、少なくとも1つのロッカーアームに直接連結されるか、またはロッカーアームをバラストプレートに接続する中間部材に連結される。
【0058】
さらに他の可能な実施形態では、少なくとも2つの第2アクチュエータが設けられ、各第2アクチュエータは、一方では連結部に接続され、他方ではロッカーアームの1つまたはロッカーアームをバラストプレートに接続する中間部材に連結されて同時に第1アクチュエータとして作用する。バラストワゴンの回転動作中に、複数のロッカーアームがガイドに対して異なる方向へ逸れることが、ここでは用いられる。異なる方向へ逸れるロッカーアームがそれぞれ第1アクチュエータに連結される場合、これらのアクチュエータは異なる負荷を受ける(例えば、油圧シリンダとして構成されたあるアクチュエータについて第1圧力室の圧力が上昇し、他のアクチュエータのについて他の圧力室の圧力が上昇する)。
【0059】
したがって、第2アクチュエータは、特に、バラストプレートが連結部に対して回転したときに異なる負荷を受けるように構成され、クレーン制御システムは、計測装置から異なる負荷(すなわち、制御トルクまたは力)を受け、それによって検出された負荷の差に応じて重量物運搬装置を制御及び/または調節するように構成される。
【0060】
別の可能な実施形態では、接続装置がガイドとバラストプレートとの間に配置されるのではなく、バラストプレートと重量物運搬装置との間に配置される。この場合、重量物運搬装置とバラストプレートとの間の相対動作が監視されて、特に阻止され、または必要に応じて第1アクチュエータ及び/または第2アクチュエータによって阻止が解除(動作が許容)される。バラストブレーシングは、バラストプレートに直接接続することができる。
【0061】
接続装置は、バラストプレートに接続された第1アダプタ部と、ガイドの長手方向において第1アダプタ部に対して移動可能で且つ重量物運搬装置に接続された第2アダプタ部とを有する少なくとも1つのアダプタ要素を有する。したがって、監視され、場合によって阻止/解除される相対動作は、少なくとも1つのアダプタ要素の2つのアダプタ部の間で行われる。
【0062】
少なくとも1つの第1アクチュエータは、好ましくは油圧シリンダとして構成され、第1及び第2アダプタ部に連結され、所定の限界力までアダプタ部間の相対動作を阻止するように構成される。アダプタ要素と第1アクチュエータは、それらの長手方向軸が特にガイドの長手方向軸と平行になるように方向付けられる。一方のアダプタ部を外側アダプタ部として、これに他方の内側アダプタ部を摺動可能に取り付けることができる。アダプタ部の間には、例えば滑り軸受や転がり軸受などの対応する軸受が嵌め込まれる。外側のアダプタ部は例えば重量物運搬装置に接続され、内側のアダプタ部はバラストプレートに接続される。逆の配置も考えられる。
【0063】
バラストプレートと重量物運搬装置との間に設置される中間アダプタまたはアダプタ要素によって可能となる、ガイドの長手方向に可動性を有する実施形態においても、z軸周りのモーメントを検出して第1のモーメント範囲における相対的な回転動作を阻止することができるようにするために、バラストプレートひいてはクレーンに対する重量物運搬装置の、特に垂直回転軸周りでの回転という形で、さらなる動作の自由度があることが好ましい。
【0064】
したがって、さらに他の可能な実施形態では、少なくとも2つのアダプタ要素が設けられ、これらのアダプタ要素は、ガイドの長手方向軸線に対して横方向に互いに間隔をあけて配置され、それぞれが少なくとも1つの第1アクチュエータを有する。アダプタ要素は、第2アダプタ部が第1アダプタ部に対してガイドの長手方向軸線に対して平行に変位可能であるだけでなく、特にアダプタ要素の長手方向軸線を含む平面(特に、これはバラストプレートまたは重量物運搬装置の運搬台に平行な平面である)において、その横方向へも旋回可能であるように構成される。この目的のために、適切に構成された軸受を第1アダプタ部と第2アダプタ部の間に設置することができ、これによってアダプタ部のこのような横方向の相対動作が可能になる。さらに、アダプタ部または軸受は、第2アダプタ部が横方向へ移動できるように、適切な遊びがなければならない。軸受は、この目的のために例えば球面にすることができる。アダプタ要素ごとに8つ以上の軸受ポイントを設けることができ、例えばアダプタ要素の各端部域に4つ、下部に2つ、上部に2つの軸受ポイントを設けることができる。
【0065】
好ましくは、複数の第1アクチュエータは、第2アクチュエータとしても機能するとともに、重量物運搬装置またはバラストワゴンがバラストプレートに対して回転するときに異なる負荷を受けるように配置される。クレーン制御システムは、検出された負荷の差に応じて、重量物運搬装置を制御及び/または調節するように構成される。異なる負荷が作用することの原理は、ロッカーアームを備えた実施形態に関して先に説明したものに対応する。
【0066】
他の可能な実施形態では、ガイドは、ガイドの残りの構造体に堅固に接続された連結部と、バラストプレートに連結された旋回部とを有するヘッド部材を有する。ヘッド部材は上部構造体に直接に接続することができる。あるいは、ヘッド部材をガイドのリンク部材に接続して、このリンク部材を上部構造体に接続すること、特に上部構造体に旋回可能に接続することもできる。または、ガイドの1つまたは複数の中間部材をヘッド部材とリンク部材の間に設置することもできる。
【0067】
旋回部は、バラストプレートに連結された第1旋回要素と、連結部に連結された第2旋回要素とを有する。連結部は、第2旋回要素に直接形成してもよく、第2旋回要素に連結される部品にしてもよい。2つの旋回要素は、ガイドの長手方向軸線と平行に延びる旋回軸の周りで互いに対して旋回可能に取り付けられる。旋回要素により、バラストプレートが前述の旋回軸の周りで回転可能になる。例えば、第1旋回要素は第2旋回要素内に回転可能に取り付けることができ、対応する軸受(例えば滑り軸受または転がり軸受)は好ましくは旋回要素の間に配置される。旋回要素は管状にすることができる。バラストブレーシングは、適切な接続手段によりバラストプレートに直接に接続することが好ましい。
【0068】
その代わりにできる実施形態では、接続装置がガイドとバラストプレートの間に配置される。ガイドの長手方向へ可動のバラストワゴンとガイドの連結と、第1及び/または第2アクチュエータによる対応する相対動作の検出と場合によって行われる阻止の代わりに、ガイドとバラストワゴンの間に、ガイドの長手方向へ堅固な接続部が設けられる。この目的のために、接続装置はガイドに堅固に接続された連結部を有する。連結部とガイドまたはバラストプレートは、直接的に接続または間接的に接続(例えば、1つまたは複数の堅固に接続された中間部材を介して接続)することができる。計測装置は、少なくとも1つの力計測用ボルトを有し、これによって、ガイドの長手方向におけるバラストワゴンとガイドとの間の相対動作と反対に作用する長手方向力を検出でき、クレーン制御部は、好ましくは、長手方向力が最小になるように、検出された長手方向力に応じて重量物運搬装置を制御及び/または調節するように構成される。力計測用ボルトの長手方向軸は、好ましくは、ガイドの長手方向軸に対して直角に方向付けられる。
【0069】
したがって、この実施形態では、ガイドの長手方向への相対動作を、所定の限界力を超えたときに解除するためのものではない。その代わりに、長手方向力は、接続装置の堅固なボルト接続部の一部である1つまたは複数の力計測用ボルトにより、重量物運搬装置の補正動作を制御するための制御力として直接に検出される。少なくとも1つの力計測用ボルトは、バラストブレーシングをガイドに接続する接続手段の下方に配置することが好ましい。
【0070】
好ましくは、接続装置は少なくとも1つの力計測用ボルトにより連結部に接続された中間部材を有し、この中間部材はバラストプレートに連結される。中間部材は箱形構造にすることができる。
【0071】
さらに他の可能な実施形態では、接続装置が、互いに対して回転可能な2つの軸受部を備えた回転装置を有し、この軸受部を介してバラストプレートが垂直軸の周りで回転可能に連結部に接続され、これら軸受部は、好ましくは直接的にまたは少なくとも1つの第2アクチュエータを介して間接的に互いに連結され、第2アクチュエータは軸受部間の回転を所定の限界トルクまで阻止するように構成される。したがって、連結部はバラストプレートに完全には堅固に接続されず、連結部に対するバラストワゴンの回転という形の動作の自由度がある。回転接続、制御トルクの検出、及び重量物運搬装置の対応する制御は、上述の実施形態と同様に構成することができる。
【0072】
さらに他の可能な実施形態では、連結部がガイドに堅固に接続されるだけでなく、バラストプレートに(直接的または間接的に)堅固に接続され、すなわち、接続装置を介してガイドとバラストワゴンの間に移動の自由度が得られない。それでもバラストワゴンの非同期動作から生じる制御トルクを検出して、それに応じて重量物運搬装置を制御できるようにするために、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも4つの力計測用ボルトが設けられ、これらの力計測用ボルトはバラストプレートがガイドに対して回転するときに異なる負荷がかかるように配置される。クレーン制御システムは、検出された負荷の差異に応じて重量物運搬装置を制御及び/または調節するように構成される。
【0073】
好ましくは、クレーン制御部及び/または力計測用ボルトは、接続装置に作用する力のベクトルの位置または方向を決定するように構成され、クレーン制御部は、それが純粋な長手方向力もしくはトルクであるか、または長手方向力とトルクとの重ね合わせであるかを判定できる。
【0074】
さらに他の可能な実施形態では、連結部が、バラストブレーシングを接続装置またはガイドに接続する接続手段を有し、少なくとも1つの力計測用ボルトは、前記接続手段の下方に位置するボルト接続部の一部であり、好ましくはバラストプレートに対する連結部のボルト接続部の一部、またはバラストプレートに接続された中間部材に対する連結部のボルト接続部の一部である。その結果として、力計測用ボルトを、前述した力の三角形の外側に配置して、それに対応してより小さくし、またはより小さな力及びトルクを検出するように構成できる。
【0075】
さらに他の可能な実施形態では、クレーンは少なくとも1つのリギングブロックを備え、リギングブロックは、バラストブレーシングに接続するための第1接続手段と、バラストプレートに接続するための第2接続手段とを有する。したがって、必要に応じてブレーシングブロックをバラストプレートに取り付けることができ、バラストブレーシングを少なくとも1つのブレーシングブロックに接続できる。ブレーシングブロックとバラストブレーシングとの接続は関節接続にして、水平軸の周りで旋回動作を可能にすることができる。バラストプレートはバラストワゴンから取り外すこともでき、ブレーシングブロックとバラストプレートは、ブレーシングブロックがバラストワゴンに取り付けられているときとバラストワゴンから分離された後とに、デリックバラストを吊り下げ式バラストとして使用できるように構成されている。好ましくは、吊り下げ式バラストを安定した状態に保つために2つのブレーシングブロックが設けられる。
【0076】
このことにより、デリックバラストを吊り下げ式バラストに変更することができる。そうするためには、ブレーシングブロックをバラストプレートに取り付け、バラストブレーシングをブレーシングブロックの接続手段に接続し、バラストプレートをバラストワゴンまたは重量物運搬装置から分離して、バラスト要素が積み重ねられたバラストプレートを持ち上げることができるようにする。ブレーシングブロックは、バラストプレートを床に置いた状態で設置することができる。
【0077】
吊り下げ式バラストは、ガイドがあってもなくても使用できる。ガイドを取り付けた状態で使用する場合(すなわち、がいどが例えば前述の接続装置の1つによりバラストプレートに接続されたまま)、ブレーシングブロックとバラストブレーシングとの接続部、及び/またはブレーシングブロックとガイドとの接続部を関節接続にすることができる。その代わりに、吊り下げ式バラストをガイドなしで使用することができ、そのときは吊り下げ式バラストがデリックブームの自由端の下方に位置し、バラストブレーシングが実質的に鉛直方向へ延びる。
【0078】
さらに他の可能な実施形態では、ガイドは長さが調節可能に構成される。この目的のために、ガイドは、例えば、上部構造体に接続されたリンク部材と、リンク部材と接続装置との間に着脱可能に取り付けることができる少なくとも1つの中間部材とを有するようにしてもよい。そして、ガイドの長さは、対応する数の中間部材を取り付けたり取り外したりすることにより調整できる。
【0079】
それに代えて、またはそれに加えて、ガイドは、特にアクチュエータ(例えば伸縮シリンダ)により、互いに出し入れできるように取り付けられた少なくとも2つの部分を備えた伸縮部材を有するようにして、ガイドの長さを変えることができるようにしてもよい。伸縮部材は、ガイドのリンク部材に代えて、上部構造体に直接、特に関節接続で旋回可能に取り付けることができる。また、伸縮部材を中間部材にしてリンク部材とヘッド部材または接続装置との間に取り付け、ヘッド部材または接続装置をバラストプレートに接続することも考えられる。また、伸縮部材をヘッド部材または接続装置にして、バラストプレートに連結することも考えられる。前記ヘッド部材または前記接続装置は、変位可能な部分の1つに配置するようにしてもよい。さらに、その部分の1つがリンク部材を形成し、それに対して摺動可能に配置された部分がヘッド部材または接続装置を形成し、言い換えると伸縮部自体がガイドの全体を形成することも考えられる。前述の例において、接続装置は、前述の実施形態の1つに従って構成することができる。
【0080】
さらに他の可能な実施形態では、バラストプレートがバラストワゴンに、特に少なくとも1つの重量物運搬装置に直接に配置され、それに対して接続要素で着脱可能に接続される。したがって、バラストプレートは、種々の重量物運搬装置に取り付けることができ、バラストワゴンを使用せずに吊り下げ式バラストとして使用することもできる。
【0081】
別の可能な実施形態では、ガイドが上部構造体に水平軸の周りで旋回可能に、特にリンク部材によって取り付けられる。これにより、デリックバラストの高さを変更できる。それに代えて、またはそれに加えて、デリックバラストの重心と上部構造体の回転軸との水平距離(すなわちバラスト半径)が、デリックブームの先端と上部構造体の回転軸との水平距離よりも大きくなるように、クレーンのブレーシングを構成することができる。このことにより、同じ質量のデリックバラストでのクレーンの最大積載量が大きくなるが、デリックバラストによって加えられる力がバラストブレーシングを介して伝達される力成分とガイドを介して伝達される力成分とに分割されるため、ガイドへの負荷も大きくなる。したがって、計測装置は、これらの力成分とデリックブームを介して伝達される力によって形成される力の三角形の外側に配置すること、特にこの力の三角形の下方に配置することが好ましい。
【0082】
さらに他の可能な実施形態では、制御接続部が、クレーン制御ユニットと重量物運搬装置の駆動制御ユニットとの間に2つの別々のデータ接続部を、特に異なるデータ接続部を備えることが考えられる。ここで、第1データ接続部は、好ましくはデータバス、例えばCANバスを有するようにしてもよく、且つ/または第2データ接続部はセーフティリレー接点を備えた少なくとも1つのセーフティスイッチング装置を有するようにしてもよい。少なくとも1つのセーフティスイッチング装置は重量物運搬装置に設けることができ、少なくとも1つのセーフティスイッチング装置はクレーンに設けることができる。第2データ接続部は、それ自体が2つの別々のデータ接続部を有するようにしてもよく、このデータ接続部のそれぞれには、クレーン側のセーフティスイッチング装置または重量物運搬装置側のセーフティスイッチング装置が割り当てられる。
【0083】
セーフティスイッチング装置は、第1データ接続部を介して送信された信号(例えばコマンド)を受理または検証できるように、それぞれのレシーバに信号を送信するように構成できる。レシーバは、駆動制御ユニットまたはクレーン制御ユニットであってよい。したがって、第1データ接続部を介して送信されたコマンドは、対応のデータ通信が第2データ接続部を介して行われた場合にのみ実行される。このことにより、クレーン制御システムの安全性が向上する。
【0084】
さらに他の可能な実施形態では、制御接続部は、クレーンに配置された第1非常停止スイッチと、重量物運搬装置に配置された第2非常停止スイッチとを含む2つの非常停止信号チェーンを有する。クレーン制御部は、好ましくは2つの非常停止スイッチのうちの1つが作動したときに、クレーン及び重量物運搬装置の全ての動作を停止するように構成される。重量物運搬装置は、好ましくは少なくとも1つのセーフティスイッチ装置を介してクレーンの非常停止信号チェーンに電子的に連結される、独自の自己完結型の非常停止信号チェーンを有する。
【0085】
さらに他の可能な実施形態では、クレーンが、デリックバラストの傾き、特にバラストプレートの傾きを検出するための少なくとも1つのセンサを備えた傾き検出装置を有する。クレーン制御システムは、好ましくは傾斜検出装置によって得られるデータに基づいて現在の地形の傾斜が補正されるように、重量物運搬装置を制御及び/または調節するように構成される。これにより、例えば、負の傾斜(すなわち下り坂走行)において重量物運搬装置がクレーンよりも先に移動することを防止し、また、正の傾斜(すなわち上り坂走行)においてクレーンに対する重量物運搬装置の遅れを防止することができる。特に、クレーン制御は、正の地形勾配が検出された場合に重量物運搬装置の駆動部の駆動圧を増加させ、負の地形勾配が検出された場合に駆動圧を減少させるように構成される。駆動装置は、油圧駆動装置とすることができる。
【0086】
さらに他の可能な実施形態では、クレーンは、バラストワゴン及び/またはバラストプレートに配置された少なくとも1つのアクチュエータを備え、このアクチュエータによってバラストプレート及び/またはバラストワゴンを地面に対して上昇または旋回させることができる。例えば、バラストプレートの傾きを変化させるために、バラストプレートの区域をバラストワゴンに対して上昇させることができる。その代わりに、またはそれに加えて、バラストワゴンの軸を変化させることによってバラストプレートの傾きを変更することも可能である。これは、例えば、水平向きからずれたバラストプレートの傾きを補正するために用いることができる。この目的のために、クレーン制御システムは、バラストプレートが水平向きに保持されるように、傾き検出装置によって得られるデータに基づいて少なくとも1つのアクチュエータを制御及び/または調節するように構成される。あるいは、重量物輸送装置は、少なくとも1つの車軸に、その車軸に対して運搬台を持ち上げるためのアクチュエータを設けることができる。これは、重量物運搬装置に取り付けられたバラストプレートを水平にするためにも使用できる。
【0087】
本発明のさらに他の特徴、詳細及び効果は、図を参照して以下に説明する例示的な実施形態から得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【
図1】
図1は、第1の例示的な実施形態に係るクレーンの斜視図である。
【
図2】
図2は、クレーンのデリックバラストの側面図である。
【
図3】
図3は、発生する力及び伝達される力の概略の説明図である。
【
図4a】
図4aは、クレーンとデリックバラストの連結体の平面図であり、実行可能な移動モードを示す。
【
図4b】
図4bはクレーンとデリックバラストの連結体の平面図であり、実行可能な移動モードを示す。
【
図4c】
図4cは、クレーンとデリックバラストの連結体の平面図であり、実行可能な移動モードを示す。
【
図5】
図5は、第1の例示的な実施形態に係るクレーンの接続装置及びバラストプレートを有するガイドの斜視図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態の接続装置の斜視図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態の接続装置の
図6とは異なる斜視図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態の接続装置の可動要素の斜視図である。
【
図9】
図9は、第1の実施形態の接続装置を通る、ガイドの長手方向軸に沿った断面図である。
【
図10】
図10は、第1の実施形態の接続装置を通る、ガイドの長手方向軸に対して横方向の断面図である。
【
図11】
図11は、バラストプレートと重量物運搬装置に対する接続部の拡大斜視図である。
【
図12】
図12は、第2の例示的な実施形態に係る接続装置、バラストプレート及びバラストワゴンを備えたガイドの斜視図である。
【
図13】
図13は、第2の実施形態の接続装置の斜視図である。
【
図14】
図14は、第3の例示的な実施形態に係る接続装置、バラストプレート及びバラストワゴンを備えたガイドの斜視図である。
【
図15】
図15は、第3の実施形態のアダプタ要素の斜視図である。
【
図16】
図16は、第3の実施形態のアダプタ要素の長手方向軸線に沿った断面図である。
【
図17】
図17は、第3の例示的な実施形態に係るクレーンの全体斜視図である。
【
図18】
図18は、第4の例示的な実施形態に係る接続装置、バラストプレート及びバラストワゴンを備えたガイドの斜視図である。
【
図19】
図19は、第4の例示的な実施形態に係るクレーンの全体斜視図である
【
図20】
図20は、第5の例示的な実施形態に係る接続装置、バラストプレート及びバラストワゴンを有するガイドの側面図である。
【
図21】
図21は、デリックバラストが吊り下げ式バラストとして使用される第6の実施形態に係る接続装置、バラストプレート、及びバラストワゴンを有するガイドの側面図である。
【
図22】
図22は、クレーン及び重量物運搬装置の制御システムの概略図である。
【
図23】
図22は、クレーン及び重量物運搬装置のデータ接続の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0089】
図1は、本発明に係るクレーン10の第1の例示的な実施形態を示す全体斜視図である。このクレーン10は、メインブーム16(以下、単に「ブーム(ジブ)」という)としてラチスブームを備えたクローラクレーンであり、
図1にはブーム16のリンク部材のみが示されていて、このリンク部材は水平なラフィング軸(上下動作の中心軸)を中心として上部構造体14に関節接続されている。クレーン10は、クローラトラックを備えた下部台車12を有する。下部台車12は、クローラの下部台車の横方向の2つのクローラキャリア13によって地面に支持される。クレーン10は、2つのクローラキャリア13により移動可能である。この移動は直進走行で行うことができ、前方及び後方へ移動できる。クローラキャリア13は、クレーン10がカーブを移動できるように、クローラのトラックを異なる速度で動作させることもできる。
【0090】
下部台車12の上には、旋回装置を介して上部構造体14が垂直回転軸(本明細書では上部構造体回転軸ともいう)を中心として回転するように取り付けられている。ブーム16に加えて、クレーン10はデリックブーム18を備えており、このデリックブーム18も、水平旋回軸を中心として旋回できるように上部構造体14にヒンジ結合されている。上部構造体の後部には、複数のバラスト要素が積み重ねられた上部構造体バラスト15(ここで示す例示的な実施形態では横方向に2つのバラストスタックに分割されている)が配置されている。デリックブーム18は、図示していない可変長のケーブルブレーシングシステムを介してブーム16に連結されている。また、デリックブーム18は、可変長のデリックブレーシング19を介して上部構造体の後部に接続されている。上部構造体14への接続は、旋回可能に取り付けられた追加のブレーシングブロック11(AブロックまたはSAブロックとしても知られる)を介して行ってもよい(Aブロック11とデリックブレーシング19の間のケーブル固定は
図1には示されていない)。上部構造体14の前部にはオペレータ室を配置することができる。
【0091】
上部構造体バラスト15に加えて、クレーン10は、地上を移動可能なバラストワゴン44を備えたデリックバラスト40を有し、このデリックバラスト40にはバラストプレート42が取り付けられ、バラストプレートの上に複数のバラスト要素41が順に積み重ねられる。デリックバラスト40は、ガイド20を介して上部構造体の後部に接続され、可変長バラストブレーシング30を介してデリックブーム18の先端または自由端に接続される。ここで示している例示的な実施形態では、バラストブレーシング30はそれぞれが油圧プルシリンダ32有する平行な2本のブレースストランドを有し、各ブレースストランドが油圧プルシリンダ32を伸縮させることによりバラストブレーシング30のブレースストランドの長さを変更することができるので、デリックバラスト40を介して作用する重量を調整することができる。
【0092】
ケーブルブレーシングシステム、デリックブレーシング19、バラストブレーシング30、及びデリックバラスト40の機能について、例示的な実施形態に係るクレーン10にも適用される本明細書の序論を参照されたい。したがって、繰り返しの説明の多くを省略する。さらに、本明細書に示す例示的な実施形態では、デリックブーム18は、デリックブーム18の動きに追従し且つ対応の支持力をデリックブーム18に作用させる2つの油圧フォールバック(縮退運転)サポート17を設けることのできるフォールバック安全装置を介して、デリックブレーシング30の力に抗して所定の位置に保持される。ブーム16にも対応のフォールバック安全装置を設けることができる(
図17参照)。
【0093】
デリックバラスト40のバラストワゴン44は、従来技術で知られている標準の重量物運搬装置50(以下、SPMTと称する)を有し、このSPMTは、既に多くのクレーンオペレータ及びユーザが様々な目的で利用可能であり、独自の駆動制御を有する独自の駆動装置を備える。バラストワゴン44は、単一のSPMT50で構成してもよいし、互いに連結される(またはバラストプレート42を介して連結される)複数のSPMT50で構成してもよく、本願ではその数は重要ではない。特に、バラストプレート42は、SPMT50の搬送面または搬送台の上に配置される。
【0094】
SPMT50の駆動制御部は、安全関連のクレーン操作用に構成されておらず、SPMT50の非常に強い駆動でガイド20及びデリックブーム18に過大な力、特に横方向力が作用するおそれもあるため、本発明に係る解決手段では、SPMT50をクレーン制御部90で制御できるようにクレーン10及びSPMT50の制御システムが互いに接続される。さらに、クレーン10は、ガイド20の一部または独立した装置である接続装置60を備え、接続装置60は、クレーン10とバラストワゴン44の非同期動作から生じる力を検出することができる計測装置を有する。検出されるこれらの制御力FSはクレーン制御部90に伝達されて、そのクレーン制御部90でSPMT50を制御するために使用され、非同期の動作または一致しない動作が補われて、可能な限りで最も同期した走行動作が保証される。
【0095】
バラストワゴン44とクレーン10の非同期動作は、種々の理由または異なる状況で起こることがある。
図4a~
図4cは、本発明に係るクレーン10の3つの可能な動作モードを示す平面図であり、矢印100はクレーン10の走行方向を示し、矢印200はバラストワゴン44またはSPMT50の走行方向を示す。
【0096】
図4aは、クレーンシステムの牽引動作を示し、この場合、クレーン10(または下部台車12)とバラストワゴン44は、ガイド20の長手方向軸線と平行に同じ方向(つまり前進または後退)へ、一方が他方の後ろへ移動する。例えば、今、バラストワゴン44が片側で障害物に接触した場合、高い力またはトルクが許可なく発生し、クレーンの構成部品、特にガイド20の損傷に繋がることがある。これは、z軸周り及び/またはy軸周りのトルクの発生に繋がることがある(
図3参照)。
【0097】
図4bはクレーンシステムの平行移動を示しており、この場合、クレーン10(または下部台車12)及びバラストワゴン44は、ガイド20の長手方向軸線に対して横方向に同じ方向(すなわち、前進または後退)へ互いに位置がずれて移動する。ガイド20が回転装置を介してバラストワゴン44に接続されている場合、平行移動をガイド20の長手方向軸線に対して90°より小さい角度で行うこともできる。ここでバラストワゴン44が障害物に接触すると、ガイド20の長手方向軸線に対して横方向へ力が作用するため、z軸周り及びy軸周りにモーメントが生じ得る(
図3参照)。
【0098】
また、
図4cは上部構造体14の回転軸周りの回転(円動作とも呼ばれる)を示している。この場合、下部台車12は静止したままで、バラストワゴン44は、回転中心または操舵中心としての上部構造体の回転軸の周りで、上部構造体14の回転速度に適合した速度で動作することができる。バラストワゴン44が障害物に接触する可能性とは別に、バラストワゴン44の回転中心が上部構造体の回転軸と一致しない可能性、またはバラストワゴンの移動速度が速くなりすぎたり遅くなりすぎたりする可能性がある。その結果、z軸周りとy軸周りにモーメントが発生することもある(
図3参照)。
【0099】
また、デリックバラスト40の質量が大きいためにバラストワゴン44が地面に沈む(例えばガイド20の垂直の力がクレーン10の最大推進力まで増加する)と、またはバラストワゴン44がクレーン10よりも速く移動するかまたは遅く移動する(直進動作ではバラストワゴン44が下部台車12よりも速く/遅く移動し、回転動作/円形動作では上部構造体14が上部構造体の回転軸の周りを回転するよりも、またはコーナリング時に下部台車12がその回転中心の周りを移動するよりも、バラストワゴン44がSPMT50の回転中心の周りを速く/遅く移動する)と、どのような移動中でも大きな力やモーメントが発生する可能性がある。牽引時は、特にy軸周りにトルクが発生する可能性がある一方、旋回動作/円形動作しているときまたは平行に移動しているとき、及び一般に中心からずれて作用する障害物に衝突するときは、z軸周りにトルクが発生する可能性もある。地形の傾斜が変化したり、バラストワゴン44が沈み込んだりすると、x軸まわりのモーメントが作用する。多くの場合、3軸のモーメントが組み合わされ、移動の種類及び非同期動作の理由によって、特定のモーメントが支配的となる。
【0100】
図2は、デリックバラスト40の側面図であり、運転中に発生してクレーンシステムに取り込まれる力が黒い矢印で示されている(矢印の長さと方向は単なる概略であり、説明のためのものである)。バラストワゴン44ひいてはSPMT50は、レッグガイド20、バラストブレーシング30及びデリックブーム18によって形成される三角形を介してクレーンシステムに接続される。この三角形が、それぞれの力とともに
図3に概略的に示されている。
【0101】
デリックバラスト40からの「有効」質量または重力FBに応じてガイド20に圧縮力が発生する。この「有効化」は、プルシリンダ32とバラストブレーシング30を介して行われる。プルシリンダ32が引き込まれると、デリックバラスト40の質量を必要に応じて使用できるように、またはクレーンシステムに導入される力FBを調整できるように、バラストブレーシング30を備えた脚部が短縮される。この「有効化」によって、クレーン10の転倒を防止するモーメントと、ブーム装置14、16のバランスを保つ力が生じる。そして、クレーンシステムに取り込まれるこれらの力が一般に非常に大きいので、非同期動作から生じる力を検出してSPMT50を安全に制御するために、この応力が大きな範囲内に(すなわちガイド20またはバラストブレーシング30に)センサシステムを取り付けることは容易ではない。
【0102】
ガイド20は上部構造体14に旋回可能に取り付けられている。デリックブーム18は、プルシリンダ32が作動しているときに動かないままであるのが好ましい。この結果、クレーンシステムとデリックバラスト40との接続部における鉛直方向の動作が最小限に抑えられる。デリックバラスト40の質量が十分に大きい限りは、この動きは微小にとどまり、基本的に、デリックバラスト40の質量から生じるとともにプルシリンダ32の設定を介して「有効化」する力F
Bのみが増大する。バラストブレーシング30をガイド20に連結するバラストブレーシング30の接続手段34において、この力F
Bは、バラストブレーシング30を介してクレーンシステムに導入される力F
Aと、ガイド20を介してクレーンシステムに導入される力F
Fとに分割される。これらの力は非常に大きく、デリックブーム18を介して伝達される力とともに、
図3に示す脚部に沿って力の三角形を形成する。
【0103】
したがって、この三角形の外側に位置する力FSを、SPMT50を制御するための制御力として使用すべきである。そのため、この力を検出するための計測装置は、この力の三角形の外側、特に力の三角形の下方または接続手段34の下方に配置される。この領域では、制御力FSは他の力FA及びFFで重畳されないので、計測装置をより小さな力用に構成することができる。
【0104】
ガイド20とSPMT50との間の接続部によって純粋に鉛直方向の力FBが伝達され、接続装置60は本発明に係るこの接続部の一部であって前述の計測装置を構成し、この計測装置はクレーン制御部90に接続されてクレーン制御部とデータを交換する。実施形態によっては、接続装置60は、ガイド20とバラストプレート42との間、またはバラストプレート42とバラストワゴン44もしくはSPMT50との間に設置することができる。SPMT50の車輪のセットとクレーン10のクローラキャリア13とで走行が同じでない場合、力FBは垂直のままであるが、力FBに対して横方向またはある角度をなす制御力FSが生じることになる。バラストワゴン44とガイド20との接続は特に90°の角度で曲げ剛性が高く、制御力FSは曲げ剛性の高い接続部の周りでモーメントを発生させる。
【0105】
クレーンシステムまたはSPMT50は、検出された制御力または力FSに応じて、異なる2つの力範囲で制御される(以下では、力または力範囲という用語は、非同期動作から生じるトルクを指すためにも使用される)。制御力FSがまだ比較的小さい第1の力範囲では、制御力FSは、SPMT50の移動のための制御変数及び/または調整変数として使用される。クレーン制御部90は、計測装置から検出された制御力FSを受け取り、制御力FSが再び小さくなるように、どの動作を開始すべきかを決定する。この第1の力範囲で制御力FSが比較的小さいため、一般に、クレーンの動作を停止させる必要はなく、その代わりにクレーン制御システムがクレーンオペレータの所望の連続的な動作を自動的に実行する。クレーン制御システムは、特にSPMT50を加速または減速させることによって、あるいは速度及び/または操舵角を調整することによって、制御力FSが最小になるようにSPMT50の動作を調整するだけである。
【0106】
第2の力範囲では、損傷を防ぐために、発生する制御力FSが特に制限される。第2の力範囲は所定の限界力より大きく、発生する異なる力及びトルクに対して異なる限界力または限界トルクを定めることができ、例えば、ガイドの長手方向の制御力FSに対する所定の限界力(長手方向力)と、z軸の周りに発生する制御トルクに対する他の所定の限界力または所定の限界トルク(横方向力)とがある。
【0107】
限界力を超えると、すなわち第2の力範囲になると、力FSは一定であるべきで、バラストワゴン44とガイド20との間に検出可能な動作が生じるはずであり、この動きを計測装置で検出できる。この動作の実行中に、クレーン制御部90が介入してクレーンシステムの動作、つまり下部ワゴン12、上部構造体14及びSPMT50の動作を停止させることが好ましい。このことにより、クレーンシステムが安全な状態に保たれる。その後、バラストワゴン44を「安全領域」に戻してクレーン動作を継続することができる。SPMT50の安全領域への変更または動作は、クレーンのオペレータ、指示者、またはクレーン制御部90による全自動で行うことができる。
【0108】
以下では、クレーン10の複数の実施形態について、特に接続装置60の実現及び制御力F
Sの検出に関し、
図5~
図21を参照して説明する。
【0109】
第1の例示的な実施形態が
図5~
図10に示されている。
図5は、互いに接続されたガイド20、接続装置60及びバラストプレート42の斜視図である。SPMT50を備えたバラスト要素41及びバラストワゴン44は示されていない。
【0110】
ガイドは、上部構造体の後部に水平旋回軸を中心として旋回可能に接続されたリンク部材21と、ボルト接続(特にフォークフィンガー接続)によりリンク部材21に接続された中間部材22とを有し、この中間部材22は、複数の縦補強材、横補強材及び斜め補強材を有する格子構造体を有するようにしてもよい。接続装置60は、この例示的な実施形態では、中間部材22にボルト接続されてバラストプレート42に接続され、ガイド20の一部を形成している。接続装置60は、中間部材22に堅固に接続された連結部23と、ガイド20の長手方向において連結部23上または連結部23内に変位可能に取り付けられた可動要素62とを有し、可動要素は
図6及び
図7によりよく示されている。
図6は接続装置60の上面34側の図であり、
図7は接続装置60の下面側の図である。
【0111】
この例示的な実施形態では、可動要素62は板状の要素として構成され、この板状の要素は、連結部23の上でガイド20の長手方向へ延びるガイドレールに変位可能に取り付けられている。可動要素62の可動性は、例えば滑り軸受または転がり軸受にすることができる軸受64によって確保される。
図9は、ガイド20の長手方向軸線に対して横方向に接続装置60を通る断面を示し、この断面に、ガイドレール、軸受64及び可動要素62の位置及び形状が示されている。
図10にはガイド20の長手方向軸に沿った断面が示されている。
【0112】
バラストプレート42に面する可動要素62の下側には、バラストプレート42の拡がる方向と直交する軸の周りで(すなわち、垂直軸の周りで、またはガイド20が水平向きに配置される場合にはz軸の周りで)ガイド20に対するバラストプレート42の回転を可能にする回転装置が設けられている。回転装置は、可動部材62に接続された第1軸受部67と、第1軸受部67に回転可能に連結されるとともにバラストプレート42に直接にボルト留めされた中間部材を形成する第2軸受部68とを有する旋回軸受66を有する。その代わりに、第2軸受部68とバラストプレート42との間に、さらに中間部材を設けてもよい。
図8には、第1軸受部67を有する可動要素62の単独の下面図を示している。
【0113】
したがって、接続装置60は2つの動作自由度を有し、バラストプレート42またはそれに取り付けられたバラストワゴン44の相対的な並進移動であってガイド20の長手方向軸線に平行な並進移動(すなわち、上部構造体14に向かってまたは上部構造体14から離れる方向への相対的な並進移動)と、ガイド20に対するバラストプレート42またはバラストワゴン44の相対的な回転とを可能にしている。
【0114】
図5及び
図6に示されているように、ボルト留めポイントとして構成されるバラストブレーシング30用の接続手段34は、連結部材23に設けられ、その上面側に位置している。したがって、可動要素62と旋回軸受66は、接続手段34の下方、特にデリックバラスト40から生じる大きな力F
Fを伝達するガイド20の構造体の下方に配置される。ロッドの力と引っ張られたバラスト重量から生じる力は、特に接続手段34からガイド20のコーナーチューブに直接伝わる。
【0115】
クレーン10とバラストワゴン44とが(例えば
図4a~
図4cを参照して説明した理由の1つのために)同期して動作しない場合、バラストプレート42とガイド20との間で相対的な動作が生じる。この動作は、連結部23に対する可動要素62の変位及び/または第1軸受部67に対する第2軸受部68の回転を意味することがある。このような相対的な動作は、第1の力範囲において回避されるか、またはSPMT50の適切な対抗制御によって最小化すべきである。
【0116】
この目的のために、接続装置60は、第1アクチュエータ1を有し、このアクチュエータ1は、ここで示す例示的な実施形態では油圧シリンダ1として構成され、油圧シリンダは一方で連結部23に接続されるとともに他方で可動要素62に接続され、ガイド20の長手方向(すなわち、可動要素62の移動の自由度)と平行に延びている(
図6~
図7参照)。
図10に示されているように、これは複動式油圧シリンダとすることができる。第1の力範囲において、第1アクチュエータ1は連結部23に対する可動要素62の動作を阻止する。これは、例えば、第1アクチュエータ1に油圧接続された圧力開放弁(図示せず)によって実現でき、この圧力開放弁は定められた限界圧力まで閉じたままであり、ピストンロッドの変位を阻止(ブロック)する。その結果、可動要素62は第1の力範囲内の中心位置に保持される(
図10参照)。
【0117】
計測装置のセンサ、特に圧力センサは、クレーン10及びバラストワゴン44の非同期動作により第1アクチュエータ1に作用する、ガイド20の長手方向に作用する制御力FSまたは長手方向力を検出するために使用される。長手方向力が(例えば、前記圧力開放弁の設定限界圧力から生じる)所定の限界力よりも小さい場合は可動要素62の動作が阻止され、検出された長手方向力は、逸れる動作が補われて長手方向力が低減されるようにSPMT50を制御するために、クレーン制御部90で用いられる。これにより、クレーン10のスイッチが切られることが防止される。
【0118】
非同期動作から生じるz軸周りで発生するトルク(=制御トルク)は、第2アクチュエータ2を介して検出される。ここで説明している例示的な実施形態では、2つの第2アクチュエータ2が設けられ、これらも油圧シリンダとして構成される。あるいは、圧力及び回転の監視は、1つまたは複数の回転アクチュエータで実施することもできる。第2アクチュエータ2は、第1軸受部67と第2軸受部68(
図7及び
図8参照)の両方に関節接続され、すなわちバラストプレート42と連結部23の間に連結されていて、旋回軸受66の回転軸を中心として第2アクチュエータ2にトルクが作用するようになっている。第1アクチュエータ1と同様に、第2アクチュエータ2は第1軸受部67に対する第2軸受部68の回転動作を所定の限界力または所定の限界トルクまで阻止(ブロック)する。ここでも、限界トルクは、少なくとも1つの圧力開放弁で定めることができる。対応するセンサ(特に圧力センサ)は、制御トルクにより第2アクチュエータ2に作用する力、すなわち対応の横方向力を検出し、クレーン制御部90はこれに基づいてSPMT50を制御し、対応の補正動作によって制御トルクが最小化される。
【0119】
ブロックされた第1及び第2アクチュエータ1,2は、第1の力範囲でバラストワゴン44を強制的に「軌道に」入れる。第1及び第2アクチュエータ1,2は、
図3に示す力の三角形の下方に位置するので著しく小型化でき、測定される制御力F
Sは大きな力F
A及びF
Fで重畳されない。
【0120】
第1及び第2アクチュエータ1,2は、損傷を防止するためにそれぞれの限界力またはそれぞれの限界トルクを超えると開き、バラストワゴン44とガイド20との対応の相対動作が許容される。関係するアクチュエータ1,2はある距離を動作する。例えば、長手方向力が第1アクチュエータ1の所定の限界力を超えると、そのことによって連結部23に対する可動要素62の動作が許容され、それに伴う動作の間にピストンロッドが第1アクチュエータ1のシリンダハウジングに対して相対的に動作する。第2アクチュエータ2も同様である。アクチュエータ1、2のこれらの位置変化は、計測装置の対応する位置センサまたは姿勢センサによって検出され、クレーン制御ユニット90に伝達される。クレーン制御部90は、クレーン10とSPMT50の全ての動作を停止させる。アクチュエータ1、2の動きを検出するのに代えて、当該相対動作を、他の手段、例えば可動要素62、連結部23、第1軸受部67及び/または第2軸受部68に配置された位置センサまたは近接センサで検出してもよい。
【0121】
要するに、接続装置60によって得られる動作の自由度は、その力またはモーメントが大きくなりすぎたときにのみ許容される。その後、それぞれのアクチュエータ1、2が「スリップ」し、検出された動きにより、クレーン制御部90がクレーンのデリックバラストアセンブリの動作を停止させ、補正が可能になる。
【0122】
特に、バラストプレート42は接続要素52を介してSPMT50に接続されている。着脱可能なこのような接続の実施可能な例を
図11に示す。この場合、バラストプレート42は、接続要素52によってなされる接続を解除することによって、バラストワゴン44またはSPMT50から取り外すことができる。
【0123】
第2の例示的な実施形態が
図12及び
図13に示されている。ここで、接続装置60は、可動に取り付けられた要素62と旋回軸受66とを有しておらず、4つのロッカーアーム70を備えた連結部材23を有し、各ロッカーアーム70は、ガイド20の長手方向軸線(平坦なベースでは水平)に対して直角に延びる旋回軸を中心として連結部材23に旋回可能に取り付けられている。独立して可動のロッカーアーム70は、
図12に示すように連結部材23の側面に取り付けることができるが、例えば連結部材23の下面などの他の配置にすることも可能である。
【0124】
ここで示している例示的な実施形態では、ロッカーアーム70の下端はバラストプレート42に直接にヒンジ連結されている。これに代えて、ロッカーアーム70を中間部材にヒンジ連結し、その中間部材をバラストプレート42に連結してもよい。
【0125】
ロッカーアーム70が可動であることにより、バラストプレート42は、第1の例示的な実施形態の可動要素62と同様に、連結部23に対してガイド20の長手方向へ動作できる。ここで示す実施形態の変形例では、連結部23の反対側にある2つのロッカーアーム70は、それぞれ油圧シリンダを介して連結部23に連結されている(
図13参照)。一方で、これらの油圧シリンダは、非同期動作の場合にガイド20の長手方向に作用する制御力F
Sないし長手方向力を検出できるので、第1アクチュエータ1として機能する。第1の力範囲で相対動作を阻止し、第2の力範囲でその動作を許容する原理は、第1の例示的実施形態と同様に働く。第1の力範囲では、第1アクチュエータ1がロッカーアーム70を中心位置に保持し(
図13参照)、計測装置の対応するセンサによって再び長さと力または圧力とが監視される。
【0126】
バラストブレーシング30用の接続手段34は、第1アクチュエータ1の上方(特に、
図13に示すように連結部23の上部コーナーステムの上)に再び位置し、第1アクチュエータ1が力の三角形の下方に位置する。
【0127】
4つの個別のロッカーアーム70を備えたこの実施形態では、ロッカーアーム70が、異なる方向へ逸れることを可能にするかまたは2軸の自由度を有する対応の球面軸受を有するか、またはその球面軸受に取り付けられていると、油圧シリンダが同時に第2アクチュエータ2として機能することができる。この場合、バラストプレート42がz軸を中心として連結部23に対して回転すると、連結部23における異なる側のロッカーアーム70が異なる方向へ逸れる(または第1の力範囲で制御力FSが異なる方向へ作用する)。この場合、クレーン制御部90は、第1の例示的な実施形態と同様にして、異なる負荷を認識し、それに基づいてSPMT50の対応の制御が行われる制御トルクを導出するように構成される。この変更を可能にするには、少なくとも4つの個別のロッカーアーム70を設ける必要がある。これらは、例えば球面すべり軸受を介して連結部23及び/またはバラストプレート42(または中間部材)に連結してもよく、且つ/またはロッカーアーム70の複数の旋回ポイントの間に配置された追加ジョイントを有するようにしてもよい。
【0128】
あるいは、制御トルクは、例えば第1の例示的な実施形態と同様、少なくとも1つの第2アクチュエータ2による対応の力と長さの監視を伴う追加の回転装置によって検出することもできる。このような回転装置は、ロッカーアーム70を介して連結部23に連結される中間部材に配置することができる。
【0129】
第3の実施形態が
図14~
図17に示されている。
図14には、ガイド20、接続装置60、バラストプレート42、及びバラストプレート42が接続されるSPMT50が示されている。ここで、ガイド20は、リンク部材21と、それに接続されるヘッド部材24とだけを有し、リンク部材21には連結部が堅固に接続されるとともに、バラストプレート42には旋回部29が接続される。この実施形態では、旋回部29はガイド20の長手方向軸線を中心として互いに対して旋回可能に取り付けられる2つの管状要素を有し、内側の管状要素(=第1旋回要素)は、対応する接続ポイントでバラストプレート42に接続され、外側の管状要素(=第2旋回要素)は連結部に接続されている。これに代えて、外側の管状要素を、対応する接続ポイントを介してバラストプレート42に接続することもできる。この管状要素によって、バラストプレート42が、ガイド20の長手方向軸線(ガイド20が水平に方向付けされたときのX軸に対応する軸線)を中心としてガイド20に対して回転することができる。
【0130】
この実施形態では、接続装置60は、ガイド20とバラストプレート42との間ではなく、バラストプレート42とバラストワゴン44またはSPMT50との間に位置する。接続装置60は、SPMT50の長手方向(すなわち、ガイド20の長手方向軸線に対して横方向)へ間隔をあけて配置される2つのアダプタ要素80(その代わりに1つのアダプタ要素80のみ、または3つ以上のアダプタ要素80を設けてもよい)であってガイド20に対するバラストワゴン44の動作についての対応する自由度をもたらす2つのアダプタ要素80を有する。
【0131】
この目的のために、アダプタ要素80はそれぞれ、SPMT50に接続される(外側の)第1アダプタ部81と、外側のアダプタ部81に変位可能に取り付けられる(内側の)第2アダプタ部82とを有する。
図15及び
図16は、それぞれ単一のアダプタ要素80を斜視図(
図15)及びアダプタ要素80の長手方向軸線に沿った側断面図(
図16)で示している。第2アダプタ部82は、対応する接続要素83を有し、これらの接続要素は、第1アダプタ部81のケーシングを通って突出し、バラストプレート42の下面に接続可能であるか、または接続される(
図15参照)。第1アダプタ部81は、SPMT50に接続するための対応する接続要素を有する。その代わりに、(外側の)第1アダプタ部81をバラストプレート42に接続し、(内側の)第2アダプタ部82をSPMT50に接続してもよい。
【0132】
アダプタ要素80は、アダプタ部81、82が互いに対して移動できることを保証するための軸受構造にすることができ、その軸受構造に、例えば滑り軸受または転がり軸受として構成できる複数の軸受84が含まれるようにすることができる。
図15及び
図16は、軸受84の配置の可能な例を示し、下側軸受84と上側軸受84が第2アダプタ部82の各側部と各端部に設けられているため、アダプタ要素80ごとに合計8個の軸受84が設けられている。当然ながら、異なる配置または異なる数(例えば8個より少ないか多い数)の軸受84を用いることも可能である。
【0133】
第1及び第2アダプタ部81、82は、非同期動作から生じる長手方向力を検出できるように、油圧シリンダの形態の第1アクチュエータ1(
図16参照)を介して互いに接続されている。第1の力範囲では相対動作を阻止し、第2の力範囲では動作を許容する原理は、第1及び第2の例示的な実施形態と同様に働く。第1の力範囲では、第1アクチュエータ1は、アダプタ部81、82を中心位置に保持し(
図16参照)、計測装置の対応するセンサによって長さと力または圧力とが監視される。
【0134】
この例示的な実施形態では、バラストブレーシング30を接続するための接続手段34がバラストプレート42上に直接に配置されている。したがって、一方ではバラストプレート42から接続手段34を介してバラストブレーシング30へ向かう力の流れが生じ、他方では旋回部29を介してガイド20へ向かう力の流れが生じる。接続装置60のアダプタ要素80がバラストプレート42の下方に配置されているので、第1アクチュエータ1は力の三角形の下方に位置する。
【0135】
z軸まわりのモーメントをアダプタ要素80で検出できるようにするために、アダプタ要素80は、第2のアダプタ部82が第1アダプタ部81に対して長手方向へ変位可能になるように取り付けられるだけでなく、第1アダプタ部に対して横方向へ移動可能または振れ動作可能に構成することができる。この場合、アダプタ要素80の第1アクチュエータ1に異なる負荷がかかり、それからクレーン制御部90が制御トルクを導き出して、それに応じてSPMT50を制御できる。この場合、第1アクチュエータ1は同時に第2アクチュエータ2として機能する。この原理は、特に、4つのロッカーアーム70と第2アクチュエータ2として機能する第1アクチュエータ1を備えた第2の例示的な実施形態の対応する変形例と同様に働く。この可動性を可能にするために、軸受84を適宜構成し、対応するクリアランスを有するようにしてもよい。軸受84は、例えばこの目的のために球面にすることができる。次に、バラストワゴン44は、第1アダプタ部81を備えたバラストプレート42に対して、第2アダプタ部82とともにz軸の周りで回転できる。しかしながら、この動作は第2の力範囲でのみ許容される。第1の力範囲では、回転動作は阻止され、SPMT50は制御トルクと力を補償するために適宜制御される。
【0136】
図17は、第3の例示的な実施形態に係るクレーン10の全体斜視図であり、バラストプレート42に側部に積み重ねられた2つのバラストスタックの間に旋回部29が配置されていることが分かる。
【0137】
また、
図17は、上部構造体14が、上部構造体14に旋回可能に取り付けられるとともにデリックブレーシング19を介してデリックブーム18に接続される追加のAフレーム11を有する例を示している。このAフレーム11は、可変長のブレースケーブルを介して上部構造体14に接続されている。本発明に係るクレーン10は、ガイド20またはデリックバラスト40の特定の構成に関係なく、このような構成を有するものにすることができる。
【0138】
図18には第4の実施形態が示されており、ガイド20、接続装置60、バラストプレート42、及びバラストプレート42が接続されるSPMT50が示されている。ここで、ガイド20は、リンク部材21と、リンク部材21に連結された接続装置60とを有し、接続装置60はバラストプレート42に連結されている。接続装置60は、リンク部材21にボルト接続された連結部23と、バラストプレート42にボルト接続された中間部材25とを有する。これまでの実施形態とは対照的に、この実施形態の接続装置60は、動作の自由度が与えられず、リンク部材21とバラストプレート42との両方に堅固に連結される。中間部材25は接続装置60またはガイド20の構成要素とみなすことができる。
【0139】
中間部材25は連結部23にボルト接続され、ボルトの少なくとも1つは力計測用ボルト3として構成されている。特に、力計測用ボルト3の長手方向軸は、ガイド20の長手方向軸線に対して横方向へ延びる。ここで示している実施形態の変形例では、4つのボルト接続部が設けられ、4つのボルトすべてが力計測用ボルト3として構成され、その長手方向軸はガイド20の長手方向軸に対して横方向へ延びている。力計測用ボルト3は、ガイド20の長手方向に作用する長手方向力を検出し、この力はクレーン制御部90の制御力FSとして提供される。所定の限界力を設けて、その限界力までは、先の実施形態と同様に、すなわち現在のクレーンの動きを停止させずに、制御力FSを補正するようにSPMT50を制御することができる。所定の限界力を超えると、クレーン制御部90は動作を停止させることができる。
【0140】
この例示的な実施形態では、バラストブレーシング30を接続するための接続手段34が、力計測用ボルト3を有する計測装置が力の三角形の下方に位置するように連結部23に配置される。このことにより、力計測用ボルト3をより小さくすることができる。
【0141】
z軸周りのトルクは、種々の力計測用ボルト3によって検出された力を評価することによって検出することができる。この目的のために、加えられた力の方向、すなわち力のベクトルの位置を検出するように構成された力計測用ボルト3を使用することができる。z軸の周りにトルクが加えられると、力計測用ボルト3には異なる負荷がかかり、そこから制御トルクを推定することができる。クレーン制御部90は、SPMT50の対応する補正動作を開始できる。
【0142】
その代わりに、接続装置60は、例えば第1の例示的実施形態と同様の回転装置を有するようにしてもよい。これは、中間部材25、または接続装置60のさらに他の構成要素に設けることができ、少なくとも第2アクチュエータ2を介して長さと力を監視できる。そして、制御トルクを検出するための機能原理は、特に第1の例示的な実施形態と同様である。
【0143】
あるいは、力計測用ボルト3は、中間部材25とバラストプレート42との間の接続部に設けてもよい。また、中間部材25を省き、連結部23をバラストプレート42に力計測用ボルト3により直接にボルト接続することも考えられる。
【0144】
前述したすべての実施形態において、例えば所要バラスト半径またはバラストトルクの特定レベルにガイド20の全長を適合させることができるように、任意の数の追加の中間部材22をガイド20に取り付けることができる。
【0145】
図19及び
図20は、ガイド20のさらなる実施形態を、クレーン10の全体斜視図(
図19)及びガイド20の側面図(
図20)で示している。ここで、ガイド20は伸縮可能であり、少なくとも1つの外側セクション27とその中に摺動可能に取り付けられた内側セクション28とを有する伸縮部材26を有する。ここで示している実施形態の変形例では、伸縮部材26自体が、ガイド20を形成するとともに、上部構造体14に連結される連結部と、バラストプレート42に連結される接続部とを有する(
図20参照)。外側セクション27は連結部74に連結され、内側セクションは前記接続部を形成する接続装置60に接続される。これに代えて、外側セクション27を接続装置60に連結し、内側セクション28を連結部74に接続することもできる。これらセクション27,28を伸縮させることにより、接続装置60と上部構造体14との間の距離、ひいてはバラスト半径を変更することができ、そのバラスト半径を連続的に調整することができる。これらセクション27,28は3つ以上設けてもよい。
【0146】
接続装置60は、第1、第2または第4の例示的な実施形態にしたがって構成することができる。また、第3の例示的な実施形態に係る旋回部24を内側セクション28の端部に配置し、1つ以上のアダプタ要素80を有する接続装置60を設けることも考えられる。
【0147】
それに代えて、伸縮部材26は、ガイド20の複数の相互接続可能な部材のうちの1つだけを形成するようにしてもよい。ガイド20は、さらに、リンク部材21及び/または1つ以上の中間部材22を有するようにしてもよい。特に、必要に応じて伸縮部材26を取り外し、伸縮部材26なしでガイド20を用いることも可能である。
【0148】
伸縮部材26の最大ストロークは、同じく存在する中間部材22の長さを表すので、連続的に伸縮する伸縮部材26が必要に応じて使用されるときに、ガイド20全体の元の長さの変化度合い(グラデーション)が基本的に保持されることが考えられる。しかしながら、完全に伸長していない状態での操作も可能であり、その操作はクレーン制御部90によって監視される。
【0149】
ガイド20は、一般にはモジュール構造にしてもよく、任意選択的には互いに接続可能な複数のモジュールまたは部材(例えば、リンク部材21、中間部材22、ヘッド部材または接続装置60、旋回部24、伸縮部材26のうちの1つまたは複数)を有するようにしてもよい。
【0150】
持ち上げ作業が可動のバラストを必要としない場合、デリックバラスト40は、吊り下げ式バラストとして使用することもできるように構成することができる。この目的のために、クレーン10は、必要に応じてバラストプレート42に取り付けることのできる追加のブレーシングブロック86を有するようにしてもよい。この目的のために第1及び第2接続手段87、88が設けられ、これらの接続手段を介してバラストブレーシング30への接続をすることができる。第1接続手段87は、ガイド20またはバラストプレート42の接続手段34に取って代わる。このような実施形態の例が
図21に示されており、この図では2つのブレーシングブロック86が第3接続手段85を介してバラストプレート42にボルト接続されている。第1接続手段87は、特にガイド20をバラストブレーシング30に関節態様で接続し、第2接続手段88は、特にブレーシングブロック86をガイド20に関節態様で連結し、これらは側面視で基本的に三角形形状のブレーシングブロック86の上端に配置される。
【0151】
この場合、バラストプレート42をバラストワゴン44から取り外して地面に置くことができ、その上にブレーシングブロック86が取り付けられ、バラストブレーシング30がブレーシングブロック86の第1接続手段87に接続される。
【0152】
吊り下げ式バラストはガイド20なしで使用することもでき、その場合、バラストはバラストブレーシング30によって保持されるだけで、バラストブレーシングは垂直方向を向く(つまり吊り下げ式バラストはデリックブーム18の自由端の下方に位置する)。あるいは、ガイド20を取り付けた吊り下げ式バラストを使用してもよい。この目的のために、ガイド20(
図21参照)に特別なヘッド部材89を装着するか組み込み、特にブレーシングブロック86の上端に接続することができる。これは、ブレーシングブロック86との固定接続ではなく、関節接続ないしリンク接続である。この関節接続は、第2接続手段88を有するようにしてもよい。したがって、このようなヘッド部材89により、バラストブレーシング30、ガイド20、及びブレーシングブロック86の間で関節接続がなされる。その結果、吊り下げ式バラストをガイド20とともに使用でき、ひいてはより大きなバラスト半径を実現できる。
【0153】
バラストワゴン44として1つまたは複数のSPMT50を使用すると、一般に、
・SPMTが高い耐荷重性能を有し(例えば1000トン以上)、
・SPMTが多くの場合は元々利用でき、
・SPMTが試験済みのシステムであり、
・SPMTがクレーン10で制御できる(例えばステアリングポールシフト、走行、非常停止、サポートタイプ、上昇/下降)
という複数の効果がある。
【0154】
SPMT50を制御するために、クレーン制御部90は、クレーン制御部90によりクレーンとデリックバラストの連結体を制御できるように、制御接続部を介してSPMT50の駆動制御部54に接続される。クレーン10とSPMT50は、いずれもこの目的のために適切なインターフェースを備えている。
【0155】
SPMT50の制御接続部は、
・非常停止:クレーン10とSPMT50の非常停止回路の接続、
・力の制限、
・モーメントの制限、
・力の補正:結果として生じる力を測定して反対に作用、
・モーメントの補正:発生するモーメントを特定して反対に作用、
・操舵モード:牽引、平行移動、円形移動、回転移動、及び/または長手方向移動、
・駆動:必要な駆動力を決定、
・レベリング:対応するSPMTアクスルレベリングシステムを用いて地形のわずかな前傾や後傾を補正
という分野と用途の1つ以上(好ましくは全部)をカバーする。
【0156】
力の制限(1つ以上の第1もしくは第2アクチュエータ1、2、または1つ以上の力計測用ボルト3の第2の力範囲への進入)により動作停止が引き起こされた場合、エラー状態を詳細に説明するエラーメッセージをクレーンモニタに出力することが好ましい。クレーンモニタは、上部構造体の運転台、及び/またはタブレットやモバイル制御ユニットのようなモバイルデバイスに配置してもよい。
【0157】
以下では、クレーン10のクレーン制御部90に対するSPMT50の駆動制御部54の制御システム接続の好ましい例示的な実施形態を、
図22を参照して説明する。
【0158】
クレーン10からSPMT50(複数のSPMT50が使用される場合はSPMTネットワーク)への制御接続は、コントローラエリアネットワークバス(CANバス)の形態の第1データ接続部91を介して実現される。CANプロトコルのセキュリティ機構に加えて、アプリケーションレベルで送信すべきデータは、好ましくは「ライブビット」によって保護される。この場合、クレーン制御部90は、SPMT50に周期的に可変値を送信し、SPMT(または駆動制御部54)は、所定の時間内に返信しなければならない。その再送信が正確でない場合、すべての動作を停止し、データ接続に矛盾があることがエラーメッセージなどによってクレーンオペレータに通知される。
【0159】
モータのオン/オフ、操舵、走行などの安全関連の機能はすべて、CANバス接続を介して2つのチャンネルにおいて実行され、それぞれクレーン側セーフティスイッチング装置93の個別のセーフティリレー接点を介して実行される。セーフティリレーは、CANバス91からのコマンド(双方向の多様な実行)を受け入れるようにレシーバ(すなわちSPMT50)に指示する。SPMT50からクレーン10への「すべてのステアリング角度が適切である」のような安全関連情報も、SPMT側セーフティスイッチング装置94の別のセーフティリレー接点によって実行される。セーフティスイッチング装置93、94を介するデータ接続は、CANバス91と並列に存在する第2データ接続部92を形成する。セーフティスイッチング装置93、94は、セーフティ回路の安全に関する遮断のために使用される。特に、セーフティスイッチング装置93、94に組み込まれるセーフティリレー接点は重複して設けられ、確実に駆動される。
【0160】
クレーン制御部90とSPMT50の駆動制御部54とが制御ラインを介して接続されると、クレーン制御部90が制御関連の計算のほとんどを、特にすべてを引き受け、SPMT50が必要な要求を実行する。この動作状態では、SPMT50または駆動制御部54は、クレーン制御部90からの解放なしで独立して動作を実行することはもはやできない。この目的のために、SPMT50の既存の入力ユニットを取り外してクレーン10への接続ユニットと交換することが必要になる場合がある。
【0161】
以下では、
図23は本発明に係るクレーン10の非常停止機能を例示している。
図23に示される全てのセーフティスイッチング装置、スイッチングリレー及びそれらのスイッチング接点は、非通電状態で示されている。セーフティスイッチング装置に電力が供給されると、図示の接点のスイッチング状態が作動状態に変化する。リレー(例えばリレーK1)に電流が供給されると、全ての接点「K1」107、113、114のスイッチング状態が変化する。「K3」の例では、2つのノーマルオープンの接点115、116と1つのノーマルクローズの接点117がある。
【0162】
図23に示す制御モジュール95、96は、特に
図22のクレーン10の制御モジュール95、96に対応する。
【0163】
クレーン10とSPMT50は、それぞれ非常停止スイッチ(
図23のクレーン非常停止スイッチ106とSPMT非常停止スイッチ108を参照)を備えている。SPMT50を備えたクレーン作業中に、クレーン10またはSPMT50のいずれかの非常停止スイッチを作動させると両方の装置が非常停止する。SPMT50は自己完結型の非常停止チェーン(チェーン接続)を備えているため、セーフティスイッチング装置を介して両装置の非常停止チェーンを互いにリンクさせる必要がある。
【0164】
2つの非常停止チェーンを連結するには、特に以下の順序に従わなければならない。
1.クレーン10の非常停止スイッチ106を作動させない。
2.クレーン10の制御システムを起動する。セーフティスイッチング装置107(K1)にクレーン10から電力を供給する。セーフティスイッチ接点113、114は閉じる。
3.SPMT50の非常停止スイッチ108を作動させない。
4.SPMT50の制御ユニットを必ず起動する。
5.SPMT50のセレクタスイッチ110(T1)を必ず作動させる。セレクタスイッチ110(T1)が作動すると、スイッチングリレー111(K3)及び112(K4)に電力が供給される。スイッチング接点115、116は閉じる。スイッチング接点117、118が開き、セーフティスイッチング接点119が非常停止チェーンに統合される。セーフティスイッチング装置109(K2)に電力が供給され、セーフティスイッチング接点119,120が閉じる。
6.両方の非常停止チェーンがリンクする。共通の非常停止チェーンが有効になる。
7.セーフティスイッチ接点114,120がライン監視(テストされたスイッチ機能)に使用される。
【0165】
クレーン10のいずれかの非常停止スイッチ106が作動すると、クレーン10の非常停止を引き起こす。セーフティスイッチング装置107(K1)は非通電となり、セーフティスイッチング接点113を開くことでSPMT50の非常停止チェーンを遮断する。SPMT50のいずれかの非常停止スイッチ108が作動すると、SPMT50の非常停止を引き起こし、セーフティスイッチング装置109(K2)が非通電となり、セーフティスイッチング接点119を開くことによってクレーン10の非常停止チェーンが遮断される。
【0166】
図23に示すセーフティスイッチング装置107は、特に
図22に示すクレーン側セーフティスイッチング装置93に対応することができる。
図23に示すセーフティスイッチング装置109は、特に
図22に示すSPMT側セーフティスイッチング装置94に対応することができる。
【0167】
種々の操舵モード(例えば、牽引、平行移動、円形移動、長手方向移動、回転移動)は、特にクレーン制御ユニット90によって指定される。バラスト半径及び上部構造体回転角度をクレーン制御ユニット90からSPMT50へ移すことにより、各車軸がSPMT50上で正しい操舵角度に設定される。SPMT50は、好ましくは油圧駆動モータを有する。SPMT50の油圧駆動モータの対応する駆動圧力は、種々の走行動作のためにクレーン制御ユニット90で調節される。SPMT50は必要な駆動圧力を設定する。これは以下の要因に影響される。
・地形の傾斜、
・駆動速度、
・デリックバラスト40に作用する加重または質量、
・操舵モード、
・バラスト半径。
【0168】
好ましい実施形態では、地形の傾斜は、例えばバラストプレート42上のセンサによって現在のバラストの傾きを検出するセンサシステムによって測定される。SPMT50がある傾斜を上向きに移動する場合、平地での移動に比べて駆動圧力が増加されてスムーズな移動が確保される。SPMT50が傾斜を下向きに移動する場合は、平地での走行に比べて駆動圧が下げられる。その結果、SPMT50またはバラストワゴン44が減速されてスムーズな走行動作が確保される。「傾斜」という用語は、例えば1°の傾斜角度を意味すると理解してもよい。
【0169】
さらに他の実施形態では、アクスルレベリング(車軸水平化)装置を設けることができる。凹凸のある地形によって生じるバラストプレート42の横方向の傾きは、センサ、例えばバラストプレート42上のセンサによって検出され、クレーン制御部90に伝達される。この傾斜姿勢は、SPMT50のアクスルレベリングによって補正できる。このため、対応する昇降コマンドがSPMT50に送信される。SPMT50の車軸は、複数の車軸グループ、例えば第1(例えば左)車軸グループと第2(例えば右)車軸グループに分けることができる。昇降コマンドは、好ましくは関連する車軸グループに関してSPMT50に送信され、例えば、第1車軸グループが上昇し、第1車軸グループが下降し、第2車軸グループが上昇し、または第2車軸グループが下降する。車軸グループの一方を上昇させ、同時に他方の車軸グループを下降させることもできる。追加のセーフティリレー接点は、好ましくは並列に切り替えられ、レベリングのための対応する解放がSPMT50に行われる。
【0170】
ここで、バラストプレート42上、またはバラストプレート42上の前述のセンサが、技術的にはSPMT50ではなくクレーン10に属する場合があることに留意されたい。
【符号の説明】
【0171】
1 第1アクチュエータ
2 第2アクチュエータ
3 力計測用ボルト
10 クレーン
11 Aブロック
12 下部台車
13 クローラキャリア
14 上部構造体
15 上部構造体バラスト
16 ブーム(メインブーム)
17 フォールバックサポート
18 デリックブーム
19 デリックブレーシング
20 ガイド
21 リンク部材
22 中間部材
23 連結部
24 ヘッド部材
25 中間部材
26 伸縮部材
27 セクション
28 セクション
29 旋回部
30 バラストブレーシング
32 プルシリンダ
34 接続手段
40 デリックバラスト
41 バラスト要素
42 バラストプレート
44 バラストワゴン
50 重量物運搬装置(SPMT)
52 接続要素
54 駆動制御部
60 接続装置
62 可動要素
64 軸受
66 旋回軸受
67 第1軸受部
68 第2軸受部
70 ロッカーアーム
74 リンク部
80 アダプタ要素
81 第1アダプタ部
82 第2アダプタ部
83 接続要素
84 軸受
85 第3接続手段
86 ブレーシングブロック
87 第1接続手段
88 第2接続手段
89 ヘッド部材
90 クレーン制御部
91 第1データ接続部
92 第2データ接続部
93 セーフティスイッチング装置
94 セーフティスイッチング装置
95 制御モジュール
96 制御モジュール
100 クレーンの走行方向
106 クレーン非常停止スイッチ
107 セーフティスイッチK1
108 非常停止スイッチSPMT
109 セーフティスイッチK2
110 セレクタスイッチT1
111 スイッチングリレーK3
112 スイッチングリレーK4
113 K1のセーフティスイッチング接点(2xNO接点)
114 K1のセーフティスイッチング接点(1xNO接点)
115 K3のスイッチング接点(1xNO接点)
116 K3のスイッチング接点(1xNO接点)
117 K3のスイッチング接点(1xNC接点)
118 K4のスイッチング接点(1xNC接点)
119 K2のセーフティスイッチング接点(1xNO接点)
120 K2 のセーフティスイッチング接点(1xNO接点)
200 バラストワゴンの走行方向
【手続補正書】
【提出日】2024-07-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能な下部台車(12)と、前記下部台車(12)に回転可能に取り付けられた上部構造体(14)と、前記上部構造体(14)に上下動可能に接続されたブーム(16)と、前記上部構造体(14)に旋回可能に接続されるとともにブーム(16)を補強するデリックブーム(18)と、クレーン制御部(90)と、前記上部構造体(14)に接続されたガイド(20)と、デリックバラスト(40)とを備え、前記デリックバラスト(40)が、バラスト要素(41)を積み重ねるためのバラストプレート(42)であってバラストブレーシング(30)を介して前記デリックブーム(18)に接続されるとともに前記ガイド(20)を介して前記上部構造体(14)に接続されるバラストプレート(42)とバラストワゴン(44)とを有し、前記バラストワゴン(44)が、独自の駆動装置及び独自の駆動制御部(54)を備えた標準の重量物運搬装置(50)を備えたクレーン(10)であって、
前記ガイド(20)が、接続装置(60)を介して前記バラストプレート(42)または前記バラストワゴン(44)に接続され、前記接続装置(60)が、前記バラストワゴン(44)と前記ガイド(20)との間の相対動作と反対に作用する力を検出するように構成された計測装置を有し、且つ
前記クレーン制御部(90)は、制御接続部を介して前記重量物運搬装置(50)の前記駆動制御部(54)に接続され、前記計測装置によって検出された力に応じて、前記重量物運搬装置(50)を制御及び/または調節するように構成されていることを特徴とすることを特徴とするクレーン(10)。
【請求項2】
請求項1に記載のクレーン(10)において、
前記ガイド(20)は、前記デリックバラスト(40)によって発生する力が、前記ガイド(20)によって伝達される第1の力と、前記バラストブレーシング(30)によって伝達される第2の力とに分割されるように構成され、前記計測装置が、前記第1の力及び前記第2の力を伝達する前記ガイド(20)及び前記バラストブレーシング(30)の構造体の外部に、特に下方に配置されるクレーン(10)。
【請求項3】
請求項1に記載のクレーン(10)において、
前記計測装置は、少なくとも1つの第1アクチュエータ(1)、特に第1油圧シリンダを有し、この第1アクチュエータ(1)によって、ガイド(20)の長手方向におけるバラストワゴン(44)とガイド(20)との間の相対動作と反対に作用する長手方向力を検出することができ、好ましくは、第1アクチュエータ(1)は、長手方向力が所定の限界力よりも小さい第1の力範囲において、ガイド(20)とバラストワゴン(44)とを長手方向において堅固に接続するように構成され、前記クレーン制御部(90)が、長手方向力が最小になるように、検出された長手方向力に応じて、前記重量物運搬装置(50)を制御及び/または調節するように構成されているクレーン(10)。
【請求項4】
請求項3記載のクレーン(10)において、
前記第1アクチュエータ(1)は、長手方向力が所定の限界力を超える第2の力範囲において、ガイド(20)とバラストワゴン(44)との間の相対動作に応じるように構成され、前記計測装置は好ましくは第1位置センサを有し、これにより、ガイド(20)に対するバラストワゴン(44)の位置の変化、特に第1アクチュエータ(1)の長さまたは角度の変化を第2の力範囲において検出することができ、前記クレーン制御部(90)は、第1位置センサによって検出された位置の変化に対応して前記クレーン(10)及び/または前記バラストワゴン(44)の動作を停止または制限するように構成されているクレーン(10)。
【請求項5】
請求項1に記載のクレーン(10)において、
前記計測装置は、少なくとも1つの第2アクチュエータ(2)、特に第2油圧シリンダを備え、この第2アクチュエータ(2)によって、バラストワゴン(44)とガイド(20)との間の回転動作と反対に作用するトルクを検出でき、好ましくは、第2アクチュエータ(2)は、トルクが所定の限界トルクよりも小さい第1のトルク範囲においてガイド(20)とバラストワゴン(44)との間で回転可能な堅固に接続を行うように構成され、前記クレーン制御部(90)は、トルクが最小化されるように、検出された長手方向力に応じて前記重量物運搬装置(50)を制御及び/または調節するように構成されるクレーン(10)。
【請求項6】
請求項5に記載のクレーン(10)において、
前記第2アクチュエータ(2)は、トルクが所定の限界トルクを超える第2モーメントの範囲において、ガイド(20)とバラストワゴン(44)との間の相対回転に応じるように構成され、前記計測装置は、好ましくは第2位置センサを有し、これにより、ガイド(20)に対するバラストワゴン(44)の位置の変化、特に前記第2アクチュエータ(2)の長さまたは角度の変化を第2の力範囲において検出可能であり、前記クレーン制御部(90)は、前記第2位置センサによって検出された位置の変化に応じて前記クレーン(10)及び/または前記バラストワゴン(44)の動作を停止または制限するように構成されているクレーン(10)。
【請求項7】
請求項1に記載のクレーン(10)において、
前記接続装置(60)は、前記ガイド(20)と前記バラストプレート(42)の間に配置され、前記ガイド(20)に堅固に接続された連結部(23)を有するクレーン(10)。
【請求項8】
請求項7に記載のクレーン(10)において、
前記接続装置(60)は、前記バラストプレート(42)に接続される可動要素(62)を有し、前記可動要素は、連結部(23)に対してガイド(20)の長手方向へ移動可能に取り付けられ、特に転がり軸受または滑り軸受(64)を介して移動可能に取り付けられ、前記可動要素は、好ましくは前記バラストブレーシング(30)を前記ガイド(20)に接続するとともに前記ガイド(20)または前記連結部(23)に配置される接続手段(34)の下方に配置されるクレーン(10)。
【請求項9】
請求項8に記載のクレーン(10)において、
前記計測装置は、少なくとも1つの第1アクチュエータ(1)、特に第1油圧シリンダを有し、この第1アクチュエータ(1)によって、ガイド(20)の長手方向におけるバラストワゴン(44)とガイド(20)との間の相対動作と反対に作用する長手方向力を検出することができ、好ましくは、第1アクチュエータ(1)は、長手方向力が所定の限界力よりも小さい第1の力範囲において、ガイド(20)とバラストワゴン(44)とを長手方向において堅固に接続するように構成され、前記クレーン制御部(90)が、長手方向力が最小になるように、検出された長手方向力に応じて、前記重量物運搬装置(50)を制御及び/または調節するように構成され、
少なくとも1つの第1アクチュエータ(1)が、一方では可動要素(62)に連結され、他方ではガイド(20)に、特に連結部(23)に連結され、前記第1アクチュエータ(1)は、好ましくは、可動要素(62)と連結部(23)との間の相対動作を所定の限界力まで阻止するように構成された油圧シリンダとして構成されているクレーン(10)。
【請求項10】
請求項8に記載のクレーン(10)において、
前記接続装置(23)は、前記バラストプレート(42)が回転装置を有し、この回転装置により、前記バラストプレートが垂直軸の周りで回転可能できるように前記ガイド(20)に接続され、前記回転装置は、好ましくは前記可動要素(62)に配置される旋回軸受(66)を有するクレーン(10)。
【請求項11】
請求項10に記載のクレーン(10)において、
前記計測装置は、少なくとも1つの第2アクチュエータ(2)、特に第2油圧シリンダを備え、この第2アクチュエータ(2)によって、バラストワゴン(44)とガイド(20)との間の回転動作と反対に作用するトルクを検出でき、好ましくは、第2アクチュエータ(2)は、トルクが所定の限界トルクよりも小さい第1のトルク範囲においてガイド(20)とバラストワゴン(44)との間で回転可能な堅固に接続を行うように構成され、前記クレーン制御部(90)は、トルクが最小化されるように、検出された長手方向力に応じて前記重量物運搬装置(50)を制御及び/または調節するように構成され、
前記旋回軸受(66)は、前記接続装置(60)、特に前記可動要素に接続された第1軸受部(67)と、前記バラストプレート(42)に接続された第2軸受部(68)とを有し、少なくとも1つの第2アクチュエータ(2)が、一方では前記可動要素(62)に連結され、他方では前記バラストプレート(42)に連結され、特に一方では前記第1軸受部(67)に、且つ/または他方では前記第2軸受部(68)に接続され、前記第2アクチュエータ(2)は、好ましくは、前記軸受部(67、68)間の相対回転を所定の限界トルクまで阻止するように構成された油圧シリンダまたはモータとして構成されるクレーン(10)。
【請求項12】
請求項7に記載のクレーン(10)において、
前記接続装置(60)は、旋回可能に取り付けられた少なくとも2つのロッカーアーム(70)を有し、前記ロッカーアーム(70)を介して前記接続装置(60)が前記バラストプレート(42)に移動可能に接続され、前記ロッカーアーム(70)は、前記連結部(23)に対する前記バラストプレート(42)の動作を前記ガイド(20)の長手方向において許容するとともに、特に前記バラストプレート(42)または前記バラストプレート(42)に連結された中間部材に直接に連結され、前記ロッカーアーム(70)は、好ましくは、前記バラストブレーシング(30)を前記ガイド(20)に接続するとともに前記ガイド(20)または前記連結部(23)に配置された接続手段(34)の下方に配置されているクレーン(10)。
【請求項13】
請求項12に記載のクレーン(10)において、
前記計測装置は、少なくとも1つの第1アクチュエータ(1)、特に第1油圧シリンダを有し、この第1アクチュエータ(1)によって、ガイド(20)の長手方向におけるバラストワゴン(44)とガイド(20)との間の相対動作と反対に作用する長手方向力を検出することができ、好ましくは、第1アクチュエータ(1)は、長手方向力が所定の限界力よりも小さい第1の力範囲において、ガイド(20)とバラストワゴン(44)とを長手方向において堅固に接続するように構成され、前記クレーン制御部(90)が、長手方向力が最小になるように、検出された長手方向力に応じて、前記重量物運搬装置(50)を制御及び/または調節するように構成され、
少なくとも1つの第1アクチュエータ(1)が、一方ではロッカーアーム(70)または前記ロッカーアーム(70)によって動作可能な中間部材に連結され、他方では前記ガイド(20)、特に前記連結部(23)に連結され、前記第1アクチュエータ(1)は、好ましくは前記ロッカーアーム(70)の旋回動作を所定の限界力まで阻止するように構成された油圧シリンダとして構成されているクレーン(10)。
【請求項14】
請求項12に記載のクレーン(10)において、
前記計測装置は、少なくとも1つの第2アクチュエータ(2)、特に第2油圧シリンダを備え、この第2アクチュエータ(2)によって、バラストワゴン(44)とガイド(20)との間の回転動作と反対に作用するトルクを検出でき、好ましくは、第2アクチュエータ(2)は、トルクが所定の限界トルクよりも小さい第1のトルク範囲においてガイド(20)とバラストワゴン(44)との間で回転可能な堅固に接続を行うように構成され、前記クレーン制御部(90)は、トルクが最小化されるように、検出された長手方向力に応じて前記重量物運搬装置(50)を制御及び/または調節するように構成され、
前記接続装置(60)は、前記バラストプレート(42)を前記ガイド(20)に垂直軸の周りで回転可能に接続する回転装置を有し、前記回転装置は、前記連結部(23)または前記ロッカーアーム(70)を前記バラストプレート(42)に接続する中間部材に配置されるとともに互いに対して回転可能な2つの軸受部(67,68)を備えた旋回軸受(66)を有し、前記軸受部(67,68)は好ましくは少なくとも1つの第2アクチュエータ(2)を介して直接的または間接的に連結され、前記第2アクチュエータは、前記軸受部(67,68)間の相対回転を所定の限界トルクまで阻止するように構成されているクレーン(10)。
【請求項15】
請求項12に記載のクレーン(10)において、
前記計測装置は、少なくとも1つの第2アクチュエータ(2)、特に第2油圧シリンダを備え、この第2アクチュエータ(2)によって、バラストワゴン(44)とガイド(20)との間の回転動作と反対に作用するトルクを検出でき、好ましくは、第2アクチュエータ(2)は、トルクが所定の限界トルクよりも小さい第1のトルク範囲においてガイド(20)とバラストワゴン(44)との間で回転可能な堅固に接続を行うように構成され、前記クレーン制御部(90)は、トルクが最小化されるように、検出された長手方向力に応じて前記重量物運搬装置(50)を制御及び/または調節するように構成され、
前記接続装置(60)は、前記連結部(23)に対する前記バラストプレート(42)の回転を許容するように構成された少なくとも4つのロッカーアーム(70)を有し、前記連結部(23)が、少なくとも1つの第2アクチュエータ(2)を介して、少なくとも1つのロッカーアーム(70)または前記ロッカーアーム(70)を前記バラストプレート(42)に接続する中間部材に連結されているクレーン(10)。
【請求項16】
請求項15に記載のクレーン(10)において、
前記計測装置は、少なくとも1つの第1アクチュエータ(1)、特に第1油圧シリンダを有し、この第1アクチュエータ(1)によって、ガイド(20)の長手方向におけるバラストワゴン(44)とガイド(20)との間の相対動作と反対に作用する長手方向力を検出することができ、好ましくは、第1アクチュエータ(1)は、長手方向力が所定の限界力よりも小さい第1の力範囲において、ガイド(20)とバラストワゴン(44)とを長手方向において堅固に接続するように構成され、前記クレーン制御部(90)が、長手方向力が最小になるように、検出された長手方向力に応じて、前記重量物運搬装置(50)を制御及び/または調節するように構成され、
少なくとも2つの第2アクチュエータ(2)を備え、これらの第2アクチュエータ(2)は、それぞれ、一方では前記連結部(23)に接続され、他方では前記ロッカーアーム(70)の1つに連結され、同時に第1アクチュエータ(1)として機能し、前記第2アクチュエータ(2)は、特に、前記バラストプレート(42)が前記連結部(23)に対して相対的に回転するときに異なる負荷がかかるように構成され、前記クレーン制御部(90)は、検出された負荷の差異に応じて前記重量物運搬装置(50)を制御及び/または調節するように構成されているクレーン(10)。
【請求項17】
請求項1に記載のクレーン(10)において、
前記接続装置(60)が、前記バラストプレート(42)と前記重量物運搬装置(50)との間に配置され、前記バラストプレート(42)に接続された第1アダプタ部(81)と、前記ガイド(20)の長手方向において前記第1アダプタ部(81)に対して移動可能な第2アダプタ部(82)とを有する少なくとも1つのアダプタ要素(80)を有し、前記第1及び第2アダプタ部(81、82)には好ましくは油圧シリンダとして構成される少なくとも1つの第1アクチュエータ(1)が連結され、所定の限界力まで前記アダプタ部(81、82)間の相対動作を阻止するように構成されるクレーン(10)。
【請求項18】
請求項17に記載のクレーン(10)において、
前記計測装置は、少なくとも1つの第2アクチュエータ(2)、特に第2油圧シリンダを備え、この第2アクチュエータ(2)によって、バラストワゴン(44)とガイド(20)との間の回転動作と反対に作用するトルクを検出でき、好ましくは、第2アクチュエータ(2)は、トルクが所定の限界トルクよりも小さい第1のトルク範囲においてガイド(20)とバラストワゴン(44)との間で回転可能な堅固に接続を行うように構成され、前記クレーン制御部(90)は、トルクが最小化されるように、検出された長手方向力に応じて前記重量物運搬装置(50)を制御及び/または調節するように構成され、
前記ガイド(20)の長手方向軸線に対して横方向に間隔をあけて配置され且つそれぞれが少なくとも1つの第1アクチュエータ(1)を有する少なくとも2つのアダプタ要素(80)を有し、前記アダプタ要素(80)は、前記第2アダプタ部(82)が各第1アダプタ部(81)に対して横方向へ旋回できるように構成され、好ましくは、前記第1アクチュエータ(1)は、同時に前記第2アクチュエータ(2)としても機能するとともに前記バラストワゴン(44)が回転するときに前記バラストプレート(42)に対して異なる負荷がかかるように配置され、前記クレーン制御部(90)は、検出された負荷の差異に応じて前記重量物運搬装置(50)を制御及び/または調節するように構成されているクレーン(10)。
【請求項19】
請求項17に記載のクレーン(10)において、
前記ガイド(20)は、前記ガイド(20)の残りの構造体に堅固に接続された連結部とバラストプレート(42)に接続された旋回部(29)とを有するヘッド部材(24)を有し、前記旋回部(29)は、前記バラストプレート(42)に連結された第1旋回要素と、前記連結部に連結された第2旋回要素とを有し、前記第1旋回要素及び第2旋回要素は、前記ガイド(20)の長手方向軸線と平行に延びる旋回軸の周りで互いに旋回可能に取り付けられ、前記旋回軸の周りでの前記バラストプレート(42)の回転を許容し、前記バラストブレーシング(30)が好ましくは接続手段(34)により前記バラストプレート(42)に直接に接続されるクレーン(10)。
【請求項20】
請求項1に記載のクレーン(10)において、
前記接続装置(60)は、前記ガイド(20)と前記バラストプレート(42)との間に配置されるとともに、前記ガイド(20)に堅固に接続された連結部(23)を有し、前記計測装置は、少なくとも1つの力計測用ボルト(3)を有し、これによって、前記ガイド(20)の長手方向における前記バラストワゴン(44)と前記ガイド(20)との間の相対動作と反対に作用する長手方向力を検出でき、前記クレーン制御部(90)は、好ましくは、長手方向力が最小になるように、検出された長手方向力に応じて前記重量物運搬装置(50)を制御及び/または調節するように構成されているクレーン(10)。
【請求項21】
請求項20に記載のクレーン(10)において、
前記計測装置は、少なくとも1つの第2アクチュエータ(2)、特に第2油圧シリンダを備え、この第2アクチュエータ(2)によって、バラストワゴン(44)とガイド(20)との間の回転動作と反対に作用するトルクを検出でき、好ましくは、第2アクチュエータ(2)は、トルクが所定の限界トルクよりも小さい第1のトルク範囲においてガイド(20)とバラストワゴン(44)との間で回転可能な堅固に接続を行うように構成され、前記クレーン制御部(90)は、トルクが最小化されるように、検出された長手方向力に応じて前記重量物運搬装置(50)を制御及び/または調節するように構成され、
前記接続装置(60)が、互いに対して回転可能な2つの軸受部(67,68)を備えた回転装置を有し、この軸受部(67,68)を介して前記バラストプレート(42)が垂直軸の周りで回転可能に連結部(23)に接続され、前記軸受部(67,68)は、好ましくは、少なくとも1つの第2アクチュエータ(2)を介して直接的または間接的に互いに連結され、前記第2アクチュエータ(2)は、前記軸受部(67,68)間の回転を所定の限界トルクまで阻止するように構成されているクレーン(10)。
【請求項22】
請求項20に記載のクレーン(10)において、
前記連結部(23)が前記バラストプレート(42)に堅固に接続され、前記計測装置が少なくとも2つの力計測用ボルト(3)を有し、前記力計測用ボルト(3)は、バラストプレート(42)がガイド(20)に対して回転するときに異なる負荷がかかるように配置され、前記クレーン制御部(90)は、検出された負荷の差異に応じて前記重量物運搬装置(50)を制御及び/または調節するように構成されているクレーン(10)。
【請求項23】
請求項20に記載のクレーン(10)において、
前記連結部(23)が、前記バラストブレーシング(30)を接続装置(60)に接続する接続手段(34)を有し、少なくとも1つの力計測用ボルト(3)は、前記接続手段(34)の下方に位置するボルト接続部の一部であり、好ましくは前記バラストプレート(42)に対する連結部(23)のボルト接続部の一部、または前記バラストプレート(42)に接続された中間部材(25)に対する前記連結部(23)のボルト接続部の一部であるクレーン(10)。
【請求項24】
請求項1に記載のクレーン(10)において、
さらに、少なくとも1つのブレーシングブロック(86)と、前記少なくとも1つのブレーシングブロック(86)及び/または前記ガイド(20)にバラストブレーシング(30)を特に関節態様で接続するための第1及び第2接続手段(87,88)とを有し、さらに、前記少なくとも1つのブレーシングブロック(86)を前記バラストプレート(42)に取り付けるための第3接続手段(85)を有し、前記バラストプレート(42)は前記バラストワゴン(44)から取り外すことができ、前記少なくとも1つのブレーシングブロック(86)及び前記バラストプレート(42)は、前記ブレーシングブロック(86)が取り付けられているときと前記バラストワゴン(44)から分離されたときとに、前記デリックバラスト(40)を吊り下げ式バラストとして使用できるように構成されているクレーン(10)。
【請求項25】
請求項1に記載のクレーン(10)において、
前記ガイド(20)は長さ調節可能に構成され、前記ガイド(20)は、好ましくは上部構造体(14)に接続されたリンク部材(21)と、前記リンク部材(21)と前記接続装置(60)との間に着脱可能に設置できる少なくとも1つの中間部材(22)とを有し、且つ/または、一方が他方の内部に変位可能に取り付けられた少なくとも2つのセクション(27,28)を備えた伸縮部材(26)を有するクレーン(10)。
【請求項26】
請求項1に記載のクレーン(10)において、
前記バラストプレート(42)が、前記バラストワゴン(44)に、特に少なくとも1つの重量物運搬装置(50)に直接に配置され、これに対して接続要素(52)で着脱可能に接続されるクレーン(10)。
【請求項27】
請求項1に記載のクレーン(10)において、
前記ガイド(20)が、水平軸の周りで旋回可能に前記上部構造体(14)に取り付けられ、且つ/または、前記デリックバラスト(40)の重心と上部構造体の回転軸との水平距離が、前記デリックブーム(18)の先端と前記上部構造体の回転軸との水平距離よりも大きいクレーン(10)。
【請求項28】
請求項1に記載のクレーン(10)において、
制御接続部が、前記クレーン制御部(90)と重量物運搬装置(50)の駆動制御部(54)との間の2つの別々の、特に多様なデータ接続部(91、92)を有し、好ましくは、第1データ接続部(91)がデータバスを有し、及び/または第2データ接続部(92)がセーフティリレー接点を備えた少なくとも1つのセーフティスイッチング装置(93、94)を有するクレーン(10)。
【請求項29】
請求項28に記載のクレーン(10)において、
前記制御接続部は、前記クレーン(10)に配置された第1非常停止スイッチ(106)と前記重量物運搬装置(50)に配置された第2非常停止スイッチ(108)とを備えた2つの非常停止信号チェーンを有し、前記クレーン制御部(90)は、好ましくは2つの非常停止スイッチのうちの1つが作動したときに、クレーン(10)及び重量物運搬装置(50)の全ての動作を停止させるように構成されているクレーン(10)。
【請求項30】
請求項1に記載のクレーン(10)において、
さらに、前記デリックバラスト(40)、特に前記バラストプレート(42)の傾斜を検出するための少なくとも1つのセンサを備えた傾斜検出装置を有し、前記クレーン制御部(90)は、好ましくは、前記傾斜検出装置によって得られるデータに基づいて現在の地形の傾斜が補正されるように、前記重量物運搬装置(50)を制御及び/または調節するように構成され、特に、正の地形傾斜が検出されると前記重量物運搬装置(50)の駆動部の駆動圧力を増加させ、負の地形傾斜が検出されると駆動圧力を減少させるクレーン(10)。
【請求項31】
請求項30に記載のクレーン(10)において、
さらに、前記バラストワゴン(44)及び/または前記バラストプレート(42)に配置された少なくとも1つのアクチュエータを備え、前記アクチュエータによって、前記バラストプレート(42)及び/または前記バラストワゴン(44)を地面に対して上昇または旋回させることができ、前記クレーン制御部(90)は、前記バラストプレート(42)が水平の向きに保持されるように、前記傾斜検出装置によって得られるデータに基づいて少なくとも1つのアクチュエータを制御及び/または調節するように構成されているクレーン(10)。
【外国語明細書】