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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163136
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】取付構造および車両
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/882 20180101AFI20241114BHJP
【FI】
B60N2/882
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024147154
(22)【出願日】2024-08-29
(62)【分割の表示】P 2021546619の分割
【原出願日】2020-09-07
(31)【優先権主張番号】62/903,418
(32)【優先日】2019-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/914,834
(32)【優先日】2019-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/914,841
(32)【優先日】2019-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/942,431
(32)【優先日】2019-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムス ジェイコブ
(72)【発明者】
【氏名】デンリンジャー ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】ハダダレ ディネーシュ
(72)【発明者】
【氏名】グリーニング アダム
(72)【発明者】
【氏名】へメルガン チェイス
(72)【発明者】
【氏名】シャプスカ ピーター
(72)【発明者】
【氏名】バフィントン ライアン
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】サンティニョン デイヴィッド
(57)【要約】
【課題】ヘッドレストにおいて第2横軸部とベース部材とを結合する結合部材に加わる荷重を低減する。
【解決手段】乗物用シート1のヘッドレスト12であって、シートバック3の上部から上方に延びる左右の縦軸部13A、左右の縦軸部の上端から湾曲部13Bを介して前方に延びる左右の第1横軸部13C、及び左右に延びて第1横軸部の前部のそれぞれに結合した第2横軸部13Dを有するピラー部材13と、左右の縦軸部の前方を上下に延びるベース縦部14A及びベース縦部の上端から後方に延びるベース上部14Bを有し、ベース上部に左右の湾曲部又は左右の縦軸部が通過する左右の第1孔21を有するベース部材14と、ベース上部を第2横軸部に回動可能に結合する結合部材15と、ベース部材に支持されたパッド16とを有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物用シートのヘッドレストであって、
シートバックの上部から上方に延びる左右の縦軸部、左右の前記縦軸部の上端から湾曲部を介して前方に延びる左右の第1横軸部、及び左右に延びて前記第1横軸部の前部のそれぞれに結合した第2横軸部を有するピラー部材と、
左右の前記縦軸部の前方を上下に延びるベース縦部及び前記ベース縦部の上端から後方に延びるベース上部を有し、前記ベース上部に左右の前記湾曲部又は左右の前記縦軸部が通過する左右の第1孔を有するベース部材と、
前記ベース上部を前記第2横軸部に回動可能に結合する結合部材と、
前記ベース部材に支持されたパッドとを有し、
前記結合部材は、前記第2横軸部を回転可能に受容する溝形の係止部と、前記係止部の一方の側縁から延び、締結部材によって前記ベース上部に締結される第1締結部とを有し、
前記第1締結部は前記第2横軸部の後方に配置されているヘッドレスト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗物用シートのヘッドレストに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ピラー部材と、ピラー部材に回動可能に支持されたベース部材とを有する乗物用シートのヘッドレストが開示されている。ピラー部材は、シートバックの上端から上方に延びる左右の脚部と、左右に直線状に延びて左右の脚部の上端に接続した第2横軸部とを有する。第2横軸部にはヒンジクリップが回動可能に装着され、ヒンジクリップはベース部材に締結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第8322790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に係るヘッドレストでは、第2横軸部がヘッドレストの後部に配置されているため、前方からの荷重はベース部材に加わり、結合部材を介してピラー部材に加わる。そのため、結合部材に荷重が加わり易く、結合部材に変形が生じる虞がある。
【0005】
本発明は、以上の背景に鑑み、ヘッドレストにおいて第2横軸部とベース部材とを結合する結合部材に加わる荷重を低減することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、乗物用シート(1)のヘッドレスト(12)であって、シートバック(3)の上部から上方に延びる左右の縦軸部(13A)、左右の前記縦軸部の上端から湾曲部(13B)を介して前方に延びる左右の第1横軸部(13C)、及び左右に延びて前記第1横軸部の前部のそれぞれに結合した第2横軸部(13D)を有するピラー部材(13)と、左右の前記縦軸部の前方を上下に延びるベース縦部(14A)及び前記ベース縦部の上端から後方に延びるベース上部(14B)を有し、前記ベース上部に左右の前記湾曲部又は左右の前記縦軸部が通過する左右の第1孔(21)を有するベース部材(14)と、前記ベース上部を前記第2横軸部に回動可能に結合する結合部材(15)と、前記ベース部材に支持されたパッド(16)とを有する。
【0007】
この態様によれば、第1横軸部によって第2横軸部が縦軸部に対して前方に配置される。そのため、ピラー部材が、前方からの荷重の一部を、ベース部材及び結合部材を介さずに直接に受けることができる。これにより、ヘッドレストにおいて第2横軸部とベース部材とを結合する結合部材に加わる荷重を低減することができる。
【0008】
上記の態様において、前記結合部材は、前記第2横軸部を回転可能に受容する溝形の係止部(15A)と、前記係止部の一方の側縁から延び、締結部材(22)によって前記ベース上部に締結される第1締結部(15B)とを有し、前記第1締結部は前記第2横軸部の後方に配置されているとよい。
【0009】
この態様によれば、結合部材及び締結部材がパッドを介して乗員の頭部に当たり難くなる。
【0010】
上記の態様において、前記係止部は、半円形の横断面を有し、後方に向けて開口しているとよい。
【0011】
この態様によれば、前方からベース部材に荷重が加わったときに、係止部が第2横軸部に対して引っ掛かった状態に維持される。これにより、係止部が第2横軸部から脱落又は移動することを防止することができる。
【0012】
上記の態様において、前記結合部材は、前記係止部の他方の側縁から延びる第2締結部(15C)を有し、前記ベース部材は、前記ベース上部と前記ベース縦部との境界に前記ベース部材を貫通するベース孔(24)を有し、前記第2横軸部は、前記ベース上部と前記ベース縦部との境界に配置され、前記第1締結部は前記ベース上部の上面に沿って配置され、前記第2締結部は前記ベース孔を通過し、前記ベース上部の下面に沿って配置され、前記締結部材は、前記第1締結部、前記ベース上部、及び前記第2締結部を貫通するボルト(22A)と、前記ボルトに螺合するナット(22B)とを有するとよい。
【0013】
この態様によれば、結合部材とベース上部との結合構造を簡素にすることができる。
【0014】
上記の態様において、前記ナットは、前記第2締結部に溶接されているとよい。
【0015】
この態様によれば、ボルトによる結合部材のベース上部への締結作業を容易にすることができる。
【0016】
上記の態様において、前記係止部は、前記ボルトの頭部よりも前記ボルトの軸線方向に突出しているとよい。
【0017】
この態様によれば、ボルトの頭部がパッドを介して乗員の頭部に当たることを防止することができる。
【0018】
上記の態様において、前記パッドは、前記係止部と前記ボルトの前記頭部との間において、前記第1締結部に当接しているとよい。
【0019】
この態様によれば、パッドと第1締結部との間の隙間を小さくするができ、隙間に起因するパッドの変形を抑制することができる。
【0020】
上記の態様において、前記ベース縦部は、その上部に前記第2横軸部よりも前記ベース上部から離れる方向に膨出した第1膨出部(26)を有するとよい。
【0021】
この態様によれば、ベース縦部の剛性を向上させることができる。
【0022】
上記の態様において、前記第1膨出部の前記第2横軸部側には、前記結合部材の一部を受容する凹部(26A)が形成されているとよい。
【0023】
この態様によれば、結合部材の一部を凹部内に配置することができ、第2横軸部と第1膨出部とを近づけて配置することができる。
【0024】
上記の態様において、前方から見て、前記第1膨出部は左右の縦軸部の間に配置されているとよい。
【0025】
この態様によれば、第1膨出部はベース縦部の左右方向における中央部分の剛性を向上させることができる。
【0026】
上記の態様において、前記ベース縦部は、前方に膨出し、かつ前記第1膨出部から下方に延びる少なくとも1つの第2膨出部(27)を有するとよい。また、前記ベース縦部は、前方に膨出し、かつ前記ベース縦部の縁に沿って延びる第3膨出部(28)を有し、前記第2膨出部と前記第3膨出部とは互いに接続しているとよい。
【0027】
これらの態様によれば、第2膨出部及び第3膨出部によってベース縦部の剛性を向上させることができる。
【0028】
上記の態様において、前記第2膨出部及び前記第3膨出部の裏面には長手方向と直交する方向に延びる複数の補強リブ(29)が設けられているとよい。
【0029】
この態様によれば、第2膨出部及び第3膨出部の剛性を向上させることができる。
【0030】
上記の態様において、前記ベース上部は、下方に向けて凹み、かつ前後に延びた左右の溝部(31)を有し、前記第1孔のそれぞれは、対応する前記溝部の後端に形成されているとよい。
【0031】
この態様によれば、左右の第1横軸部を対応する溝部に配置することができ、第1横軸部のベース上部に対する上方への突出量を抑制することができる。
【0032】
上記の態様において、前記第1孔は、それぞれ前後に延びる長孔であり、前記第1孔の前端及び後端の少なくとも一方は略三角形に形成されているとよい。
【0033】
この態様によれば、ベース部材がピラー部材に対して回動し、脚部が第1孔の前端又は後端に当接すると、ベース部材のピラー部材に対する左右方向へ移動が規制され、ベース部材のがた付きが抑制される。
【0034】
上記の態様において、前記ピラー部材(41)は、前記第2横軸部(41D)の前方を左右に延び、左右の前記第1横軸部(41C)のそれぞれの前端に結合した第3横軸部(41D)を有するとよい。
【0035】
この態様によれば、第3横軸部によって前方からの荷重を受けることができ、結合部材に加わる荷重を低減することができる。
【0036】
上記の態様において、前記第3横軸部又は前記第1横軸部の前端が、前記ベース縦部の前面に当接することによって、前記第2横軸部に対する前記ベース部材の回転位置を規制するとよい。
【0037】
この態様によれば、第2横軸部に対するベース部材の回動を規制するための荷重をベース縦部の前面で受けることができ、ベース部材の破損を抑制することができる。
【0038】
上記の態様において、前記結合部材(43)は、前記ベース部材との間に前記第2横軸部を挟持するとよい。
【0039】
この態様によれば、結合部材とベース部材とによって第2横軸部に摩擦力を与え、ベース部材に対する第2横軸部の回動位置を維持することができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明の一態様は、乗物用シート(1)のヘッドレスト(12)であって、シートバック(3)の上部から上方に延びる左右の縦軸部(13A)、左右の前記縦軸部の上端から湾曲部(13B)を介して前方に延びる左右の第1横軸部(13C)、及び左右に延びて前記第1横軸部の前部のそれぞれに結合した第2横軸部(13D)を有するピラー部材(13)と、左右の前記縦軸部の前方を上下に延びるベース縦部(14A)及び前記ベース縦部の上端から後方に延びるベース上部(14B)を有し、前記ベース上部に左右の前記湾曲部又は左右の前記縦軸部が通過する左右の第1孔(21)を有するベース部材(14)と、前記ベース上部を前記第2横軸部に回動可能に結合する結合部材(15)と、前記ベース部材に支持されたパッド(16)とを有する。この態様によれば、第1横軸部によって第2横軸部が縦軸部に対して前方に配置される。そのため、ピラー部材が、前方からの荷重の一部を、ベース部材及び結合部材を介さずに直接に受けることができる。これにより、ヘッドレストにおいて第2横軸部とベース部材とを結合する結合部材に加わる荷重を低減することができる。
【0041】
上記の態様において、前記結合部材は、前記第2横軸部を回転可能に受容する溝形の係止部(15A)と、前記係止部の一方の側縁から延び、締結部材(22)によって前記ベース上部に締結される第1締結部(15B)とを有し、前記第1締結部は前記第2横軸部の後方に配置されているとよい。この態様によれば、結合部材及び締結部材がパッドを介して乗員の頭部に当たり難くなる。
【0042】
上記の態様において、前記係止部は、半円形の横断面を有し、後方に向けて開口しているとよい。この態様によれば、前方からベース部材に荷重が加わったときに、係止部が第2横軸部に対して引っ掛かった状態に維持される。これにより、係止部が第2横軸部から脱落又は移動することを防止することができる。
【0043】
上記の態様において、前記結合部材は、前記係止部の他方の側縁から延びる第2締結部(15C)を有し、前記ベース部材は、前記ベース上部と前記ベース縦部との境界に前記ベース部材を貫通するベース孔(24)を有し、前記第2横軸部は、前記ベース上部と前記ベース縦部との境界に配置され、前記第1締結部は前記ベース上部の上面に沿って配置され、前記第2締結部は前記ベース孔を通過し、前記ベース上部の下面に沿って配置され、前記締結部材は、前記第1締結部、前記ベース上部、及び前記第2締結部を貫通するボルト(22A)と、前記ボルトに螺合するナット(22B)とを有するとよい。この態様によれば、結合部材とベース上部との結合構造を簡素にすることができる。
【0044】
上記の態様において、前記ナットは、前記第2締結部に溶接されているとよい。この態様によれば、ボルトによる結合部材のベース上部への締結作業を容易にすることができる。
【0045】
上記の態様において、前記係止部は、前記ボルトの頭部よりも前記ボルトの軸線方向に突出しているとよい。この態様によれば、ボルトの頭部がパッドを介して乗員の頭部に当たることを防止することができる。
【0046】
上記の態様において、前記パッドは、前記係止部と前記ボルトの前記頭部との間において、前記第1締結部に当接しているとよい。この態様によれば、パッドと第1締結部との間の隙間を小さくするができ、隙間に起因するパッドの変形を抑制することができる。
【0047】
上記の態様において、前記ベース縦部は、その上部に前記第2横軸部よりも前記ベース上部から離れる方向に膨出した第1膨出部(26)を有するとよい。この態様によれば、ベース縦部の剛性を向上させることができる。
【0048】
上記の態様において、前記第1膨出部の前記第2横軸部側には、前記結合部材の一部を受容する凹部(26A)が形成されているとよい。この態様によれば、結合部材の一部を凹部内に配置することができ、第2横軸部と第1膨出部とを近づけて配置することができる。
【0049】
上記の態様において、前方から見て、前記第1膨出部は左右の縦軸部の間に配置されているとよい。この態様によれば、第1膨出部はベース縦部の左右方向における中央部分の剛性を向上させることができる。
【0050】
上記の態様において、前記ベース縦部は、前方に膨出し、かつ前記第1膨出部から下方に延びる少なくとも1つの第2膨出部(27)を有するとよい。また、前記ベース縦部は、前方に膨出し、かつ前記ベース縦部の縁に沿って延びる第3膨出部(28)を有し、前記第2膨出部と前記第3膨出部とは互いに接続しているとよい。これらの態様によれば、第2膨出部及び第3膨出部によってベース縦部の剛性を向上させることができる。
【0051】
上記の態様において、前記第2膨出部及び前記第3膨出部の裏面には長手方向と直交する方向に延びる複数の補強リブ(29)が設けられているとよい。この態様によれば、第2膨出部及び第3膨出部の剛性を向上させることができる。
【0052】
上記の態様において、前記ベース上部は、下方に向けて凹み、かつ前後に延びた左右の溝部(31)を有し、前記第1孔のそれぞれは、対応する前記溝部の後端に形成されているとよい。この態様によれば、左右の第1横軸部を対応する溝部に配置することができ、第1横軸部のベース上部に対する上方への突出量を抑制することができる。
【0053】
上記の態様において、前記第1孔は、それぞれ前後に延びる長孔であり、前記第1孔の前端及び後端の少なくとも一方は略三角形に形成されているとよい。この態様によれば、ベース部材がピラー部材に対して回動し、脚部が第1孔の前端又は後端に当接すると、ベース部材のピラー部材に対する左右方向へ移動が規制され、ベース部材のがた付きが抑制される。
【0054】
上記の態様において、前記ピラー部材(41)は、前記第2横軸部(41D)の前方を左右に延び、左右の前記第1横軸部(41C)のそれぞれの前端に結合した第3横軸部(41D)を有するとよい。この態様によれば、第3横軸部によって前方からの荷重を受けることができ、結合部材に加わる荷重を低減することができる。
【0055】
上記の態様において、前記第3横軸部又は前記第1横軸部の前端が、前記ベース縦部の前面に当接することによって、前記第2横軸部に対する前記ベース部材の回転位置を規制するとよい。この態様によれば、第2横軸部に対するベース部材の回動を規制するための荷重をベース縦部の前面で受けることができ、ベース部材の破損を抑制することができる。
【0056】
上記の態様において、前記結合部材(43)は、前記ベース部材との間に前記第2横軸部を挟持するとよい。この態様によれば、結合部材とベース部材とによって第2横軸部に摩擦力を与え、ベース部材に対する第2横軸部の回動位置を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1】第1実施形態に係るシートの斜視図
図2】ヘッドレストの断面図
図3】ヘッドレストの斜視図
図4】ヘッドレストの後面図
図5】ヘッドレストを後下側から見た斜視図
図6】ヘッドレストの断面図
図7】第2実施形態に係るヘッドレストの斜視図
図8】第2実施形態に係るヘッドレストの分解斜視図
図9】結合装置の側面図
図10】車室の第1レイアウトを示す説明図
図11】車室の第2レイアウトを示す説明図
図12】車室の第3レイアウトを示す説明図
図13】車室の第4レイアウトを示す説明図
図14】車室の第5レイアウトを示す説明図
図15】車室の第6レイアウトを示す説明図
図16】光パイプを有するシートの斜視図
図17】光パイプ及び光発生装置の説明図
図18】光パイプの表皮材への取付構造を示す断面図
図19】光制御装置と他の装置との接続関係を示す説明図
図20】変形例に係るシートの側面図
図21】変形例に係るシートのチップアップ状態を示す斜視図
図22】変形例に係るシートの斜視図
図23】コネクタモジュールの正面図
【発明を実施するための形態】
【0058】
以下、図面を参照して、本発明に係るヘッドレストを備えた乗物用シートについて説明する。以下の実施形態では、ヘッドレストを自動車のシートに適用した例について説明する。
【0059】
図1に示すように、自動車のシート1は、シートクッション2と、シートクッション2の後部から上方に延びるシートバック3とを有する。シートクッション2は、上方を向く座面2Aを有し、乗員の臀部を支持する。シートバック3は、前方を向く支持面3Aを有し、乗員の背部を支持する。シートクッション2及びシートバック3のそれぞれは、フレーム(不図示)と、フレームに支持されたパッド(不図示)と、パッドを覆う表皮材5とを有する。シートバック3は、リクライニング機構6を介してシートクッション2に接続されている。リクライニング機構6は、シートクッション2に対してシートバック3を任意の角度に変更することができる。
【0060】
シートクッション2の下部には、複数の結合装置8が設けられている。複数の結合装置8は、車両のフロア9に設けられた複数のストライカ11に着脱可能に結合する。使用者は、結合装置8とストライカ11との結合を解除することによって、シート1をフロア9から取り外すことができる。結合装置8及びストライカ11については後述する。
【0061】
シートバック3の上部にはヘッドレスト12が設けられている。図2に示すように、ヘッドレスト12は、ピラー部材13と、ベース部材14と、ベース部材14をピラー部材13に結合する結合部材15と、ベース部材14に支持されたパッド16とを有する。本実施形態では、ヘッドレスト12は、パッド16を覆う表皮材17を有する。
【0062】
図2図6に示すように、第1実施形態に係るヘッドレスト12では、ピラー部材13は、シートバック3の上部から上方に延びる左右の縦軸部13Aと、左右の縦軸部13Aの上端から湾曲部13Bを介して前方に延びる左右の第1横軸部13Cと、左右に延びて第1横軸部13Cの前部のそれぞれに結合した第2横軸部13Dを有する。左右の縦軸部13Aは、略直線状に平行に延びている。左右の第1横軸部13Cは、左右の縦軸部13Aを含む平面に対して略直交し、かつ互いに同一方向に延びている。本実施形態では、左右の縦軸部13A、左右の第1横軸部13C、及び第2横軸部13Dは、一本の断面が円形の金属棒を折曲することによって形成されている。
【0063】
図2に示すように、シートバック3には、左右の縦軸部13Aの下部を受容する左右のピラー支持部19が設けられている。左右のピラー支持部19は、左右の縦軸部13Aをそれぞれ受容する筒部であり、摩擦力によって縦軸部13Aを任意の位置に支持する。ピラー部材13がシートバック3に支持された状態において、第2横軸部13D及び左右の第1横軸部13Cは縦軸部13Aの上端に対してシートバック3の前方側、すなわち乗員側に位置する。
【0064】
図2図6に示すように、ベース部材14は、上下に延びるベース縦部14Aと、ベース縦部14Aの上端から後方に延びるベース上部14Bとを有する。ベース上部14Bには、それぞれ上下に貫通する左右の第1孔21が形成されている。左右の湾曲部13B又は左右の縦軸部13Aは左右の第1孔21を通過し、左右の第1横軸部13Cはベース上部14Bの上側に配置されている。ベース縦部14Aは、左右の縦軸部13Aの前方に配置されている。
【0065】
結合部材15は、ベース上部14Bを第2横軸部13Dに回動可能に結合する。結合部材15は、第2横軸部13Dを回転可能に受容する溝形の係止部15Aと、係止部15Aの一方の側縁から延び、締結部材22によってベース上部14Bに締結される第1締結部15Bとを有する。また、結合部材15は、係止部15Aの他方の側縁から延び、締結部材22によってベース上部14Bに締結される第2締結部15Cを有する。詳細には、係止部15Aは、C字形の横断面を有し、第2横軸部13Dの外周に沿って左右方向に延びている。係止部15Aは後方に向けて開口している。第1締結部15Bは、係止部15Aの開口を画定する上側の側縁から後方に延び、第2横軸部13Dの後方に配置されている。第2締結部15Cは、係止部15Aの開口を画定する下側の側縁から後方に延び、第2横軸部13Dの後方に配置されている。第1締結部15B及び第2締結部15Cは、それぞれ平板に形成され、面が上下を向いている。係止部15A、第1締結部15B、及び第2締結部15Cは、1枚の板金を折曲成形することによって形成されているとよい。
【0066】
ベース部材14は、ベース上部14Bとベース縦部14Aとの境界にベース部材14を貫通するベース孔24を有する。ベース孔24は、ベース部材14を前後に貫通すると共に、左右方向に幅を有する。ベース孔24の上縁は、ベース上部14Bの下面に接続している。第2横軸部13Dは、ベース上部14Bとベース縦部14Aとの境界に配置されている。詳細には、第2横軸部13Dは、ベース上部14Bの前縁の前方に配置されている。第1締結部15Bはベース上部14Bの上面に沿って配置されている。第2締結部15Cは、ベース孔24を通過し、ベース上部14Bの下面に沿って配置されている。すなわち、第1締結部15B及び第2締結部15Cは、ベース上部14Bを挟むように配置される。締結部材22は、第1締結部15B、ベース上部14B、及び第2締結部15Cを貫通するボルト22Aと、ボルト22Aに螺合するナット22Bとを有する。ナット22Bは第2締結部15Cに溶接されているとよい。これにより、ボルト22Aによる結合部材15のベース上部14Bへの締結作業を容易にすることができる。
【0067】
係止部15Aの上側の側縁と下側の側縁との距離は、第2横軸部13Dの直径よりも小さく設定されている。また、第1締結部15Bと第2締結部15Cとの距離は、第2横軸部13Dの直径よりも小さく設定されている。これにより、第2横軸部13Dが係止部15Aの開口から抜け出し難くなる。第2横軸部13Dは係止部15Aに回動可能に支持される。係止部15Aの内周面が第2横軸部13Dの外周面に摩擦力を与えることによって、所定の荷重が加わっていない状態では係止部15Aに対する第2横軸部13Dの回動角度が維持される。
【0068】
図2に示すように、係止部15Aは、締結部材22のボルト22Aの端部よりもボルト22Aの軸線方向に突出している。ボルト22Aの端部には工具と係合する頭部が設けられている。ベース上部14Bの上面と直交する方向において、係止部15Aはボルト22Aの端部よりもベースの上面から離れる方向に配置されている。これにより、ボルト22Aの端部がパッド16を介して乗員の頭部に当たることを防止することができる。
【0069】
図2及び図3に示すように、ベース縦部14Aは、その上部に第2横軸部13Dよりもベース上部14Bから離れる方向に膨出した第1膨出部26を有する。第1膨出部26は、左右方向に延在し、その上縁はベース孔24の下縁に接続している。第1膨出部26の突出端には、平面状の端面が形成されている。前方から見て、第1膨出部26は左右の縦軸部13Aの間に配置されている。第1膨出部26は、ベース縦部14Aに立体形状を導入してベース縦部14Aの剛性を向上させることができる。
【0070】
第1膨出部26の第2横軸部13D側、すなわち上縁部には、結合部材15の一部を受容する凹部26Aが形成されている。結合部材15の係止部15Aの下部が凹部26A内に配置されることによって、係止部15Aと第1膨出部26との接触を避けつつ、第2横軸部13Dをベース部材14に近づけて配置することができる。
【0071】
ベース縦部14Aは、前方に膨出し、かつ第1膨出部26から下方に延びる少なくとも1つの第2膨出部27を有する。本実施形態では、左右の第2膨出部27が互いに間隔をおいて上下に延びている。また、ベース縦部14Aは、前方に膨出し、かつベース縦部14Aの縁に沿って延びる第3膨出部28を有する。図4及び図5に示すように、第2膨出部27と第3膨出部28とは互いに接続している。第2膨出部27及び第3膨出部28の裏面には、長手方向と直交する方向に延びる複数の補強リブ29が設けられている。また、第1膨出部26の裏面にも複数の補強リブ29が設けられている。第2膨出部27及び第3膨出部28は、ベース縦部14Aの剛性を向上させることができる。
【0072】
図3及び図6に示すように、ベース上部14Bは、下方に向けて凹み、かつ前後に延びた左右の溝部31を有する。これにより、左右の第1横軸部13Cを対応する溝部31に配置することができ、第1横軸部13Cのベース上部14Bに対する上方への突出量を抑制することができる。左右の溝部31の前端は、第1膨出部26と第3膨出部28との間に形成される溝に接続している。図5に示すように、第1孔21のそれぞれは、対応する溝部31の後端に形成されている。左右の第1孔21は、それぞれ前後に延びる長孔であり、第1孔21の前端及び後端の少なくとも一方は略三角形に形成されている。本実施形態では、各第1孔21の前端が略三角形に形成されている。ベース部材14がピラー部材13に対して回動し、脚部が第1孔21の前端に当接すると、ベース部材14のピラー部材13に対する左右方向への移動が規制され、ベース部材14のがた付きが抑制される。
【0073】
図3に示すように、ベース上部14Bの後縁には、上方に突出した縁壁部32が設けられている。縁壁部32は上方に向けて前方に湾曲している。縁壁部32の前側には、縁壁部32の上端からベース上部14Bの上面に延びる複数の補強リブ29が設けられている。
【0074】
図2に示すように、パッド16は、ベース縦部14Aの前面側に配置されるパッド縦部16Aと、パッド縦部16Aの上端から後方に延び、ベース上部14Bの上面側に配置されるパッド上部16Bとを有する。パッド上部16Bは、左右の第1横軸部13C、第2横軸部13D、及び結合部材15の上方を覆う。パッド上部16Bの下面は、係止部15Aとボルト22Aの頭部との間において、第1締結部15Bに当接している。これにより、パッド16と第1締結部15Bとの間の隙間を小さくするができ、隙間に起因するパッド16の変形を抑制することができる。
【0075】
左右のピラー支持部19に対して左右の縦軸部13Aをスライド移動させることによって、シートバック3に対するヘッドレスト12の高さを変更することができる。ヘッドレスト12は、シートバック3に対して、最も低い位置である低位置と、最も高い位置である高位置との間で高さを変更することができる。ヘッドレスト12が低位置にあるとき、ベース縦部14Aの後面がシートバック3の前面に当接すると共に、ベース上部14Bの下面がシートバック3の上端面に当接することによって、ピラー部材13に対するベース部材14の回動が規制される。図6に示すように、ヘッドレスト12が高位置にあるとき、ベース部材14は、第2横軸部13Dを中心として回動することができる。左右の縦軸部13Aと、左右の第1孔21の前端及び後端とが当接することによって、ベース部材14の第2横軸部13Dに対する回動範囲が定まる。
【0076】
ヘッドレスト12では、第1横軸部13Cによって第2横軸部13Dが縦軸部13Aに対して前方に配置される。そのため、ピラー部材13が、前方からの荷重の一部を、ベース部材14及び結合部材15を介さずに直接に受けることができる。これにより、ヘッドレスト12において第2横軸部13Dとベース部材14とを結合する結合部材15に加わる荷重を低減することができる。
【0077】
係止部15Aが後方に向けて開口し、かつ第1締結部15B及び第2締結部15Cが第2横軸部13Dの後方においてベース上部14Bに締結されている。そのため、前方からベース部材14に荷重が加わったときに、係止部15Aが第2横軸部13Dに対して引っ掛かった状態に維持される。これにより、係止部15Aが第2横軸部13Dから脱落又は移動することを防止することができる。また、第2横軸部13Dの後方に結合部材15及び締結部材22が配置されているため、結合部材15及び締結部材22がパッド16を介して乗員の頭部に当たり難くなる。
【0078】
以下に、図7及び図8を参照して、第1実施形態に係るヘッドレスト40の一部の構成を変更した第2実施形態に係るヘッドレスト40について説明する。第2実施形態に係るヘッドレスト40は、第1実施形態に係るヘッドレスト40と比較して、ピラー部材41、ベース部材42、結合部材43の形状が異なる。第2実施形態に係るヘッドレスト40において、第1実施形態に係るヘッドレスト12と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0079】
第2実施形態に係るヘッドレスト40では、ピラー部材41は、シートバック3の上部から上方に延びる左右の縦軸部41Aと、左右の縦軸部41Aの上端から湾曲部41Bを介して前方に延びる左右の第1横軸部41Cと、左右に延びて第1横軸部41Cの前部のそれぞれに結合した第2横軸部41Dと、第2横軸部41Dの前方を左右に延び、左右の第1横軸部41Cのそれぞれの前端に結合した第3横軸部41Eとを有する。左右の縦軸部41Aは、略直線状に平行に延びている。左右の第1横軸部41Cは、対応する縦軸部41Aと鋭角をなすように、前方かつ下方に延びている。本実施形態では、左右の縦軸部41A、左右の第1横軸部41C、及び第3横軸部41Eは、一本の断面が円形の金属棒を折曲することによって形成されている。第2横軸部41Dは、溶接等によって左右の第1横軸部41Cに結合されているとよい。
【0080】
ベース部材42は、上下に延びるベース縦部42Aと、ベース縦部42Aの上端から後方に延びるベース上部42Bとを有する。ベース縦部42Aとベース上部42Bとの境界には、ベース縦部42Aとベース上部42Bとを滑らかに接続する曲面部42Cが設けられている。曲面部42Cの左右方向における中央には、前方かつ上方に突出した締結座45が設けられている。締結座45は、前方を向く第1締結面45Aと、第1締結面45Aの上端から後方に延び、上方を向く第2締結面45Bとを有する。第1締結面45Aと第2締結面45Bとの境界には、後方に向けて凹み、左右に延びる軸受溝45Cを有する。軸受溝45Cの横断面は半円形に形成されている。
【0081】
ベース上部42Bは、それぞれ上下に貫通する左右の第1孔21が形成されている。左右の湾曲部41B又は左右の縦軸部41Aは左右の第1孔21を通過し、左右の第1横軸部41Cはベース上部42Bの上側に配置されている。ベース縦部42Aは、左右の縦軸部41Aの前方に配置されている。
【0082】
結合部材43は、締結座45を第2横軸部41Dに回動可能に結合する。結合部材43は、第2横軸部41Dを回転可能に受容する溝形の係止部43Aと、係止部43Aの一方の側縁から延びる第1締結部43Bと、係止部43Aの他方の側縁から延びる第2締結部43Cとを有する。詳細には、係止部43Aは、半円形の横断面を有し、第2横軸部41Dの外周に沿って左右方向に延びている。係止部43Aは後方に向けて開口している。第1締結部43Bは、係止部43Aの開口を画定する下側の側縁から下方に延びている。第2締結部43Cは、係止部43Aの開口を画定する上側の側縁から後方に延びている。第1締結部43Bは平板に形成され、面が前後を向いている。第2締結部43Cは、平板に形成され、面が上下を向いている。係止部43A、第1締結部43B、及び第2締結部43Cは、1枚の板金を折曲成形することによって形成されているとよい。
【0083】
第2横軸部41Dの後部は、軸受溝45Cに受容される。第1締結部43Bは第1締結面45Aに沿って配置され、ボルト及びナットからなる締結部材47によって締結される。第2締結部43Cは第2締結面45Bに沿って配置され、ボルト及びナットからなる締結部材47によって締結される。第1締結部43Bが第1締結面45Aに締結され、第2締結部43Cが第2締結面45Bに締結されることによって、第2横軸部41Dは軸受溝45Cと係止部43Aとの間に挟持される。これにより、第2横軸部41Dは、軸受溝45Cと係止部43Aとの間に回動可能に支持される。結合部材43は、ベース部材42との間に第2横軸部41Dを挟持し、第2横軸部41Dの回転に対して摩擦力を生じさせる。係止部43A及び軸受溝45Cの内面が第2横軸部41Dの外面に摩擦力を与えることによって、所定の荷重が加わっていない状態では係止部43A及び軸受溝45Cに対する第2横軸部41Dの回動角度が維持される。第1締結部43Bと第2締結部43Cとがなす角度は、例えば90度以上135度であるとよい。
【0084】
第3横軸部41Eは、第2横軸部41Dに対して前方かつ下方に配置され、ベース縦部42Aの前方に配置されている。第3横軸部41Eの下縁は、第2締結部43Cの下縁よりも下方に配置されていてもよい。
【0085】
ベース縦部42Aの下縁及び左右の側縁には前方に向けて突出する第1縁壁51が設けられている。ベース上部42Bの後縁及び左右の側縁には上方に向けて突出する第2縁壁52が設けられている。第1縁壁51と第2縁壁52とは互いに接続し、環状に形成されている。ベース縦部42Aの前面において、前方から見て左右の縦軸部41Aの間の部分には第1補強構造53が設けられている。第1補強構造53は、前方に突出する複数のリブによって形成され、ハニカム状に形成されている。第1補強構造53は、ベース縦部42Aの前面に設けられた第2補強構造54によって第1縁壁51に接続されている。第2補強構造54は、ベース縦部42Aの前面を左右に延びる複数のリブであってよい。また、ベース上部42Bには、第2縁壁52からベース上部42Bの上面に延びる複数の補強リブ55が設けられてもよい。
【0086】
パッド16は、ベース縦部42Aの前面側に配置されるパッド縦部16Aと、パッド縦部16Aの上端から後方に延び、ベース上部42Bの上面側に配置されるパッド上部16Bとを有する。パッド16は、左右の第1横軸部41C、第2横軸部41D、第3横軸部41E及び結合部材43を覆う。
【0087】
第2実施形態に係るヘッドレスト40は、第2横軸部41Dを中心としてベース部材42が回動することができる。第2横軸部41Dに対するベース部材42の一方向への回動は、左右の第1横軸部41Cの第2横軸部41Dより前側部分又は第3横軸部41Eがベース縦部42Aの前面に当接することによって規制される。第2横軸部41Dに対するベース部材42の他方向への回動は、左右の第1横軸部41Cの第2横軸部41Dより後側部分がベース上部42Bの上面に当接することによって規制される。
【0088】
次に、上記のヘッドレスト12(40)を備えるシート1のフロア9への取付構造について説明する。上述したように、フロア9には複数のストライカ11が設けられ、シート1には複数の結合装置8が設けられている。本実施形態では、図1及び図10に示すように、シート1は、4つの結合装置8を有する。結合装置8は、シートクッション2の下部の前左部、前右部、後左部、及び後右部に設けられている。4つの結合装置8は、上方から見て正四角形の頂点に配置されているとよい。
【0089】
各結合装置8は、同じ構成を有する。図9に示すように、結合装置8は、シートクッション2から下方に延びるベースプレート61を有する。ベースプレート61の下端には、ストライカ11を受容可能なスロット62が形成されている。スロット62は、ベースプレート61の下端から上方に凹んだ溝部であり、ベースプレート61を水平方向に貫通している。ベースプレート61には、ラッチ63が回動可能に設けられている。ラッチ63は、スロット62内に位置し、ストライカ11を係止するロック位置と、スロット62から退避し、ストライカ11を解放する解除位置との間で回動する。ラッチ63はコントロールケーブル64によって使用者の操作に応じて回動するとよい。
【0090】
図9に示すように、ベースプレート61には、ラッチ63と、ラチェット65と、オープンレバー66とが設けられている。また、ラッチ63には作動レバー67が設けられている。
【0091】
ラッチ63は、ラッチ軸63Aによってベースプレート61に回動可能に支持されている。ラッチ軸63Aはスロット62の延在方向と平行に延びている。ラッチ軸63Aの位置は、スロット62の底部の後方である。ラッチ63は、第1フック部63B、第2フック部63C、第3フック部63D、ストライカ受容溝63E、ロック溝63Fを有する。第1フック部63Bと第2フック部63Cとの間にストライカ受容溝63Eが形成され、第2フック部63Cが形成され、第2フック部63Cと第3フック部63Dとの間にロック溝63Fが形成されている。
【0092】
ラチェット65は、ラチェット軸65Aによってベースプレート61に回転可能に支持されている。ラチェット軸65Aはラッチ軸63Aと平行に配置されている。ラチェット軸65Aは、スロット62の底部の斜め上前方に配置されている。ラチェット65は、ラチェット軸65Aから径方向外方に延びる係止アーム65B及び作動アーム65Cを有する。作動アーム65Cには係合ピン65Dが設けられている。係合ピン65Dは、ラチェット軸65Aと平行に延びている。係止アーム65Bには、ラチェット軸65Aと平行に突出したピンであるカムフォロア65Eが設けられている。
【0093】
オープンレバー66は、レバー軸66Aによってベースプレート61に回動可能に支持されている。レバー軸66Aは、ラッチ軸63Aと平行に設けられている。レバー軸66Aは、ラチェット軸65Aの上方に配置されている。
【0094】
オープンレバー66は、ラチェット65の係合ピン65Dを受容する係合溝66Bを外周部に有する。係合ピン65Dと係合溝66Bとの係合によって、オープンレバー66の回動に応じてラチェット65が回動する。オープンレバー66の外周部は、コントロールケーブル64の一端が接続されている。コントロールケーブル64の他端は、図示しない操作レバー又はアクチュエータに接続されている。コントロールケーブル64の作動に応じてオープンレバー66が回動し、ラチェット65が回動する。
【0095】
作動レバー67は、連結軸67Aによってラッチ63に回動可能に支持されている。連結軸67Aはラッチ軸63Aと平行に配置されている。連結軸67Aは、ラッチ軸63Aに対して第3フック部63D側に配置されている。作動レバー67は、内接カム67B、ばね係止部67C、摺接面67D及び当接部67Eを有する。当接部67Eは、連結軸67Aを中心とした周方向であって、ラチェット軸65A側に向けて突出している。摺接面67Dは、当接部67Eから、連結軸67Aを中心とした周方向であって、ラチェット軸65A側と相反する方向に延びている。摺接面67Dは、連結軸67Aを中心とした略円弧状に形成されている。内接カム67Bは、摺接面67Dと連結軸67Aとの間に設けられている。内接カム67Bは、作動レバー67の一側面から反対面に貫通するように形成された穴である。内接カム67B内には、カムフォロア65Eが配置されている。
【0096】
ばね係止部67Cは、連結軸67Aを中心とした周方向において摺接面67Dの当接部67E側と相反する側に設けられ、連結軸67Aを中心とした径方向外方に突出している。ばね係止部67Cとラチェット65の係合ピン65Dとは引張りばね69によって接続されている。引張りばね69によって、作動レバー67は当接部67Eがラチェット軸65Aに近づく方向に回転付勢され、ラチェット65は係止アーム65Bがラッチ63に近づく回転方向に付勢される。
【0097】
ラッチ63は、第1フック部63B及び第2フック部63Cが共にスロット62内に突入し、スロット62を横切るように延びるロック位置と、第1フック部63Bがスロット62外に退避し、第2フック部63Cが傾斜してスロット62内に位置する解除位置との間で回動する。
【0098】
ラッチ63がロック位置にあるとき、ラチェット65は引張りばね69に付勢されて係止アーム65Bがラッチ63のロック溝63Fに突入した状態に維持される。これにより、ラッチ63はロック位置に維持される。このとき、作動アーム65Cは摺接部においてラチェット軸65Aに摺接している。
【0099】
ラッチ63がロック位置にあるから、使用者の操作等によってコントロールケーブル64に張力が加わるとオープンレバー66が回動し、ラチェット65が回動して係止アーム65Bがロック溝63Fから離脱する。このとき、引張りばね69の付勢力によって作動レバー67全体がラチェット65側に移動する。これにより、連結軸67Aがラチェット65側に移動してラッチ63がロック位置から解除位置に回動する。この状態で、コントロールケーブル64の張力が解放されると、引張りばね69の付勢力によってラチェット65がラッチ63側に回動し、係止アーム65Bがラッチ63を解除位置に向けて付勢する。このように、ラッチ63が解除位置にある場合、コントロールケーブル64に張力が付与されていなくても、ラッチ63は解除位置に維持される。
【0100】
ラッチ63が解除位置にある状態においてストライカ11をスロット62内に押し込むと、第2フック部63Cがストライカ11によってスロット62の底部側に押し込まれる。これにより、引張りばね69の付勢力に抗してラチェット65がラッチ63に押しのけられ、ラッチ63がロック位置に向けて回動する。ラッチ63がロック位置に到達すると、引張りばね69の付勢力によってラチェット65の係止部15Aがロック溝63Fに突入し、ラッチ63がロック位置に維持される。このとき、ストライカ11はスロット62内において第1フック部63Bと第2フック部63Cとの間に配置され、スロット62から離脱できなくなる。
【0101】
各結合装置8は、シートクッション2の略中央を通り、鉛直方向に延びるクッション中心軸線X1を中心として、互いに90度の間隔をおいて配置されている。各係合装置のスロット62とクッション中心軸線X1との距離が互いに等しくなるように、各結合装置8がシートクッション2に配置されている。また、各結合装置8の向きがクッション中心軸線X1を中心とした回転対称となるように、各結合装置8がシートクッション2に配置されている。シートクッション2の前左部及び前右部に設けられる結合装置8は、ベースプレート61が後方に向けて左右内方に傾斜して配置される。また、シートクッション2の後左部及び後右部に設けられる結合装置8は、ベースプレート61が後方に向けて左右外方に傾斜して配置される。各結合装置8のスロット62は、シートクッション2中心軸線を中心とした径方向に延びている。本実施形態では、各結合装置8のスロット62は、前後方向に対して45度傾斜している。
【0102】
フロア9のシート1取付領域には、各結合装置8のスロット62に対応した4つのストライカ11が設けられている。ストライカ11は、フロア9から互いに間隔をおいて鉛直上方に突出する一対の柱部11Aと、各柱部11Aの上端同士を連結する梁部11Bとを有する。取付領域70は、正方形に形成され、前縁及び後縁が左右に延び、左縁及び右縁が前後に延びている。4つのストライカ11は、取付領域70の前左部、前右部、後左部、及び後右部に配置されている。
【0103】
各ストライカ11は、取付領域70の略中央を通り、鉛直方向に延びる取付領域中心軸線X2を中心として、互いに90度の間隔をおいて配置されている。各ストライカ11と取付領域中心軸線X2との距離が互いに等しくなるように、各ストライカ11がフロア9に配置されている。各ストライカ11と取付領域中心軸線X2との距離は、各結合装置8のスロット62とクッション中心軸線X1との距離と等しく設定されている。また、各ストライカ11の向きが取付領域中心軸線X2を中心とした回転対称となるように、各ストライカ11がフロア9に配置されている。取付領域70の前左部及び前右部に設けられるストライカ11は、梁部11Bが後方に向けて左右外方に傾斜して配置される。また、取付領域70の後左部及び後右部に設けられるストライカ11は、梁部11Bが後方に向けて左右内方に傾斜して配置される。各ストライカ11の梁部11Bは、取付領域中心軸線X2を中心とした接線方向に延びている。
【0104】
シート1は取付領域70に配置され、シート1の4つの結合装置8は取付領域70の4つのストライカ11に着脱可能に結合する。クッション中心軸線X1は取付領域中心軸線X2と一致するように配置される。各結合装置8が結合するストライカ11を変更することによって、シート1の車両72に対する方向を、前向き、左向き、右向き、及び後向きのいずれかにすることができる。例えば、シートクッション2の前左部の結合装置8とシート1領域の前左部のストライカ11を結合させ、シートクッション2の前右部の結合装置8とシート1領域の前右部のストライカ11を結合させ、シートクッション2の後左部の結合装置8とシート1領域の後左部のストライカ11を結合させ、シートクッション2の後右部の結合装置8とシート1領域の後右部のストライカ11を結合させることによってシート1は車両72に対して前方を向く。また、シートクッション2の前左部の結合装置8とシート1領域の後左部のストライカ11を結合させ、シートクッション2の前右部の結合装置8とシート1領域の前左部のストライカ11を結合させ、シートクッション2の後左部の結合装置8とシート1領域の後右部のストライカ11を結合させ、シートクッション2の後右部の結合装置8とシート1領域の前右部のストライカ11を結合させることによってシート1は車両72に対して左方を向く。シート1の4つの結合装置8が取付領域70の4つのストライカ11に結合することによって、シート1はフロア9に対して水平方向及び鉛直方向の移動が規制される。
【0105】
図10に示すように、フロア9には、複数の取付領域70A~70Fが設けられている。例えば、車室75のフロア9には、前列左側、前列右側、中列左側、中列右側、後列左側、及び後列右側の6つの取付領域70A~70Fが設けられるとよい。取付領域70A~70Fのいくつかには、上述したシート1が着脱可能に取り付けられる。複数の取付領域70A~70Fに取り付けられるシート1の向きは前方、左方、右方、及び後方のいずれかを選択可能である。また、複数の取付領域70A~70Fには、シート1と異なるアタッチメント76が取り付けられてもよい。アタッチメント76は、例えば、テーブルや棚、収納ボックス等であってよい。アタッチメント76の下部には、少なくとも1つの取付領域70A~70Fの4つのストライカ11に着脱可能に結合する結合装置8が設けられている。アタッチメント76に設けられる結合装置8は、例えば、シート1に設けられる結合装置8と同様の構成を有してもよい。
【0106】
図10には、車室75の第1レイアウトが記載されている。第1レイアウトでは、全ての取付領域70A~70Fにシート1が取り付けられ、各シート1は前方を向いている。
【0107】
図11には、車室75の第2レイアウトが記載されている。第2レイアウトでは、前列左側の取付領域70Aにシート1が左方を向くように取り付けられ、前列右側の取付領域70Bにシート1が右方を向くように取り付けられ、後列左側の取付領域70Eにシート1が左方を向くように取り付けられ、後列右側の取付領域70Fにシート1が右方を向くように取り付けられ、中列左側及び中列右側の取付領域70C、70Dにアタッチメント76が取り付けられている。アタッチメント76は、テーブルや棚、収納ボックスであってよい。第2レイアウトでは、各シート1に着座する乗員にプライベートな空間を提供することができる。そのため、第2レイアウトは、ライドシェア車両に適している。
【0108】
図12には、車室75の第3レイアウトが記載されている。第3レイアウトでは、中列右側の取付領域70Dにシート1が前方を向くように取り付けられ、中列左側の取付領域70Cにシート1が後方を向くように取り付けられ、前列左側、前列右側、後列左側、及び後列右側の取付領域70A、70B、70E、70Fにアタッチメント76が取り付けられている。前列左側及び後列右側のアタッチメント76は例えば棚又は収納ボックスであり、前列右側及び後列左側のアタッチメント76はテーブルであるとよい。第3レイアウトでは、2人の乗員がそれぞれ2つのアタッチメント76を使用することができる。
【0109】
図13には、車室75の第4レイアウトが記載されている。第4レイアウトでは、前列左側及び前列右側の取付領域70A、70Bにシート1が後方を向くように取り付けられ、後列左側及び後列右側の取付領域70E、70Fにシート1が前方を向くように取り付けられ、中列左側及び中列右側の取付領域70C、70Dにはシート1又はアタッチメント76は取り付けられていない。第4レイアウトでは、各乗員が車両72の中央を向き、対面するため、会話や会議に適している。
【0110】
図14には、車室75の第5レイアウトが記載されている。第5レイアウトでは、前列左側、中列左側、及び後列左側の取付領域70A、70C、70Eにシート1が前方を向くように取り付けられ、前列右側、中列右側、及び後列右側の取付領域70B、70D、70Fにアタッチメント76が取り付けられている。アタッチメント76は、前列右側の取付領域70Bから後列右側の取付領域70Fまで前後に延びている。アタッチメント76は、前列右側、中列右側、及び後列右側の取付領域70B、70D、70Fのストライカ11のそれぞれに結合する結合装置8を有しているとよい。アタッチメント76は例えばテーブルや棚、収納ボックスであるとよい。第5レイアウトでは、大型のアタッチメント76を使用することができる。
【0111】
図15には、車室75の第6レイアウトが記載されている。第6レイアウトでは、左側の取付領域70A、70C、70Eと右側の取付領域70B、70D、70Fとの距離と、各取付領域70A~70Fの一辺の長さとが等しく設定されている。また、前列の取付領域70A、70Bと中列の取付領域70C、70Dとの距離と、中列の取付領域70C、70Dと後列の取付領域70E、70Fとの距離と、各取付領域70A~70Fの一辺の長さとが等しく設定されている。これにより、前列左側の取付領域70Aの後右部のストライカ11と、前列右側の取付領域70Bの後左部のストライカ11と、中列左側の取付領域70Cの前右部のストライカ11と、中列右側の取付領域70Dの前左部のストライカ11とによって、前側中間取付領域70Gが形成される。また、中列左側の取付領域70Cの後右部のストライカ11と、中列右側の取付領域70Dの後左部のストライカ11と、後列左側の取付領域70Eの前右部のストライカ11と、後列右側の取付領域70Fの前左部のストライカ11とによって、後側中間取付領域70Hが形成される。前側中間取付領域70G及び後側中間取付領域70Hのそれぞれに、シート1が前方を向くように取り付けられている。また、後側中間取付領域70Hに取り付けられるシート1は後方を向いてもよい。第6レイアウトでは、車両72の幅方向における中央にシート1を配置することができる。
【0112】
以上のように、使用者は、車両72のフロア9に対するシート1の位置及び向きを選択することができる。また、使用者は、必要に応じてアタッチメント76をフロア9に配置することができる。
【0113】
図16に示すように、シートクッション2及びシートバック3の少なくとも一方は、表皮材5に光パイプ101が設けられている。図17及び図18に示すように、光パイプ101は、長尺状の導光体102と、導光体102を覆うシース103とを有する。導光体102は、光ファイバーであり、例えばポリカーボネート等の光透過性の材料によって形成されている。シース103は、透明又は半透明の透光性の材料によって形成されている。シース103はタブ104を有する。タブ104は、パッド105と表皮材5との間に配置され、表皮材5の裏面に縫合又は接着されているとよい。光パイプ101は、表皮材5の縫い目に設けられ、表皮材5の外部に露出しているとよい。還元すると、複数の表皮材5は、光パイプ101を介して互いに結合されている。
【0114】
図16に示すように、光パイプ101は、シート1において、着座者と接触し難く、又は着座者から荷重を受け難い位置に配置されるとよい。光パイプ101は、具体的には着座者の大腿部や腰部、肩部から離れた位置に配置されるとよい。シートクッション2に設けられた光パイプ101は、例えばシートクッション2の座面(上面)2Aの前縁右部、右縁、後縁、左縁、及び前縁左部に沿って設けられるとよい。また、シートバック3に設けられた光パイプ101は、例えばシートバック3の支持面(前面)3Aの右縁、上縁、及び左縁に沿って設けられるとよい。
【0115】
導光体102及びシース103の色は、例えば黒色であるとよい。これにより、光パイプ101が発光していない場合に、光パイプ101が目立ち難くなる。なお、導光体102及びシース103の色は、任意の色を採用することができる。
【0116】
図16及び図17に示すように、光パイプ101の一方の端部には、光発生装置106が結合されている。光発生装置106は、光パイプ101の一端に結合したハウジング107と、ハウジング107内に配置され、導光体102の一端に光を照射する光源108と、ハウジング107に設けられ、光源108の発光状態を制御する光制御装置110とを有する。光発生装置106は、シートクッション2及びシートバック3の内部に配置されているとよい。光源108は、例えばLEDであり、発光色が異なる複数のLED108A、108Bを有するとよい。光源108から照射された光は、導光体102の端部に入力され、導光体102の側面からシース103を介して外部に漏れる。これにより、光パイプ101が発光した状態になる。光制御装置110は、使用するLED108A、108Bを変更することによって光パイプ101の発光色を変化させるとよい。
【0117】
光制御装置110は、シート1に設けられた他の電気装置からの信号に基づいて光源108を制御するとよい。図19に示すように、電気装置は、例えば受電コイル112、荷重センサ113、シートヒータ114、シートブロア115、シートベルトバックルセンサ116、生体情報センサ117を含む。
【0118】
受電コイル112は、車載バッテリに接続され、フロア9の取付領域70に設けられた送電コイル121から電磁誘導により受電し、光発生装置106及び他の電気装置に給電する。受電コイル112は、シート1が所定の取付領域に配置されたときに送電コイル121から受電を開始する。光制御装置110は、受電コイル112から電力を受けたときに、光源108を発光させるとよい。これにより、光パイプ101の発光状態に基づいて、シート1が適切な取付領域70に配置されたことを使用者は認識することができる。光制御装置110は、最初に第1の発光色を有する第1LED108Aを発光させ、所定時間経過後に第1LED108Aに代えて第2の発光色を有する第2LED108Bを発光させてもよい。光制御装置110は、光源108を変更するときに、第1LED108Aの照度を徐々に低下させ、第2LED108Bの照度を徐々に増加させてもよい。
【0119】
また、光制御装置110は、受電コイル112から供給される電圧又は電流に基づいて、シート1が取付領域70に適切に配置されか否かを判定し、シート1が取付領域70に適切に配置されていない場合に、光源108の発光態様を変化させるとよい。例えば、光制御装置110は、受電コイル112から供給される電圧が所定の閾値未満の場合に、シート1が取付領域70に適切に配置されていないと判定するとよい。光制御装置110は、シート1が取付領域70に適切に配置されていない場合に、光源108を点滅させたり、発光色を交互に切り替えたりするとよい。これにより、使用者は光パイプ101の発光状態に基づいてシート1が取付領域70に適切に配置されたか否かを視覚的に認識することができる。
【0120】
荷重センサ113は、シートクッション2の上面及びシートバック3の前面の少なくとも一方に設けられ、シート1に載置された物体を検出する。荷重センサ113は、例えばメンブレンスイッチや圧電素子であってよい。荷重センサ113は、シートクッション2のパッドと表皮材5の間に配置されているとよい。光制御装置110は、荷重センサ113からの信号に基づいて光源108を制御するとよい。光制御装置110は、例えば、メンブレンスイッチが荷重を受けてオフからオンに切り替わった後の所定の期間、光源108を発光させるとよい。また、光制御装置110は、例えば、メンブレンスイッチに加わる荷重が消失してオンからオフに切り替わった後の所定の期間、光源108を発光させるとよい。また、光制御装置110は、メンブレンスイッチの状態がオンとオフとの間で変化したときに、発光させるLED108A、108Bを変更するようにしてもよい。例えば、メンブレンスイッチがオフのときに光制御装置110は第1LED108Aを発光させ、メンブレンスイッチがオフからオンに切り替わったときに光制御装置110は第1LED108Aの照度を徐々に減少させると共に、第2LED108Bの照度を徐々に増加させるとよい。乗員がシート1に着座したときに光パイプ101の発光態様が変化することによって、シート1の商品性を向上させることができる。
【0121】
シートベルトバックルセンサ116は、シートベルトのバックルとタングとの結合状態を検出し、バックルとタングとが結合しているときにオン信号、バックルとタングとが分離しているときにオフ信号を出力する。光制御装置110は、シートベルトバックルセンサ116からの信号に基づいて光源108の発光状態を制御するとよい。これにより、使用者は光パイプ101の発光状態に基づいてシートベルトが装着されていないことを視覚的に認識することができる。
【0122】
シートヒータ114は、不織布等から形成されたシート材と、シート材に設けられた電熱線と、電熱線と受電コイル112とを接続するヒータスイッチとを有する。ヒータスイッチは、オフ状態のときに受電コイル112から電熱線への電力供給を遮断し、オン状態のときに受電コイル112から電熱線への電力供給を可能にする。光制御装置110は、ヒータスイッチと接続され、ヒータスイッチの状態を検出する。光制御装置110は、ヒータスイッチの状態に基づいて光源108の発光状態を制御するとよい。光制御装置110は、例えば、ヒータスイッチがオンであるときに第1LED108Aを発光させ、ヒータスイッチがオフであるときに第2LED108Bを発光させるとよい。また、光制御装置110は、ヒータスイッチの切り替えに応じて、第1LED108Aの照度を徐々に減少させつつ、第2LED108Bの照度を徐々に増加させるとよい。これにより、使用者は光パイプ101の発光状態に基づいてシートヒータ114の作動状態を視覚的に認識することができる。
【0123】
シートブロア115は、シートクッション2及びシートバック3の少なくとも一方の内部に設けられた送風機と、送風機と受電コイル112とを接続するブロアスイッチとを有する。ブロアスイッチは、オフ状態のときに受電コイル112から送風機への電力供給を遮断し、オン状態のときに受電コイル112から送風機への電力供給を可能にする。送風機は、例えば軸流ファンであり、シートクッション2の上面又はシートバック3の前面に向けて送風する。
【0124】
光制御装置110は、ブロアスイッチと接続され、ブロアスイッチの状態を検出する。光制御装置110は、ブロアスイッチの状態に基づいて光源108の発光状態を制御するとよい。光制御装置110は、例えば、ブロアスイッチがオンであるときに第1LED108Aを発光させ、ブロアスイッチがオフであるときに第2LED108Bを発光させるとよい。また、光制御装置110は、ブロアスイッチの切り替えに応じて、第1LED108Aの照度を徐々に減少させつつ、第2LED108Bの照度を徐々に増加させるとよい。これにより、使用者は光パイプ101の発光状態に基づいてシートブロア115の作動状態を視覚的に認識することができる。
【0125】
生体情報センサ117は、例えば脈拍センサ、温度センサ、呼吸センサ、及び湿度センサの少なくとも1つを含むとよい。生体情報センサ117は、シートクッション2及びシートバック3の少なくとも一方に設けられ、シート1に着座した使用者の脈拍、体温、呼吸数、発汗状態の少なくとも1つを含む生体情報を取得する。生体情報センサ117は、光制御装置110に接続され、光制御装置110に生体情報を出力する。光制御装置110は、生体情報に基づいて光源108の発光状態を制御する。光制御装置110は、例えば脈拍数が所定の判定範囲内にあるか否かを判定し、脈拍数が判定範囲内にある場合と、脈拍数が判定範囲外にある場合とで光源108の発光態様を変化させる。これにより、シート1の着座者又は周囲の人は光パイプ101の発光状態に基づいて着座者の状態を視覚的に認識することができる。
【0126】
光制御装置110は、シート1に設けられたシート制御装置119と接続し、シート制御装置119とユーザ端末123との通信状態に基づいて光源108の発光状態を制御してもよい。シート制御装置119は、例えば近距離無線通信やケーブルによる有線通信によってユーザ端末123と通信可能に接続する。ユーザ端末123は、スマートフォン等であってよい。シート制御装置119は、ユーザ端末123からの指令信号に基づいてシートヒータ114やシートブロア115等の駆動及び停止や出力量を制御してもよい。シート制御装置119は、ユーザ端末123と通信状態を表す信号を光制御装置110に出力する。光制御装置110は、シート制御装置119からの信号に基づいて、シート制御装置119とユーザ端末123との通信状態を検出する。光制御装置110は、例えばシート制御装置119とユーザ端末123との通信が確立しているときに第1LED108Aを発光させ、シート制御装置119とユーザ端末123との通信が切断されているときに第2LED108Bを発光させるとよい。これにより、使用者は光パイプ101の発光状態に基づいてシート制御装置119とユーザ端末123の通信状態を視覚的に認識することができる。
【0127】
ヘッドレスト12は、図20及び図21に示すように、に示すようなシート130に設けられてもよい。図20に示すように、シート130は、フロア9に回動可能に結合されたシートバック131と、シートバック131に回動可能に結合されたシートクッション132とを有する。シートバック131の下端には、左右に延びる軸線を中心として回動可能にフロア9に結合されたステー134が設けられている。シートバック131は、起立位置と、前方に転倒し、フロア9と略平行に延びる転倒位置との間で回動する。シートクッション132の後端には、左右に延びる軸線を中心として回動可能にシートバック131に結合されたアーム135が設けられている。シートクッション132は、シートバック131に対して略垂直に配置される使用位置と、シートクッション132の上面(座面2A)がシートバック131の前面と対向するチップアップ位置との間で回動する。シートクッション132がシートバック131に対してチップアップ位置にあるときに、シートバック131は転倒位置に回動することができる。
【0128】
図21に示すように、シートクッション132の下面には、回動可能な脚部材137が設けられている。脚部材137は、互いに間隔をおいて平行に延びる左右の縦部137Aと、左右の縦部137Aの互いに対応する端部同士を接続する横部137Bとを有する。左右の縦部137Aと横部137Bとは、例えば連続したパイプ材を折曲することによって形成されているとよい。左右の縦部137A材は、横部137B側と相反する側の端部である基端137Cにおいてシートクッション132の下面に、左右に延びる軸線を中心として回動可能に結合されている。脚部材137は、シートクッション132の下面に対して略垂直に突出する使用位置と、シートクッション132の下面に沿う収納位置との間で回動する。シートクッション132がチップアップ位置にあり、かつ脚部材137が収納位置にあるとき、左右の縦部137Aの基端137Cは、横部137Bに対して上方に位置する。シートクッション132が使用位置にあり、かつ脚部材137が使用位置にあるとき、脚部材137は横部137Bにおいてフロア9に当接する。これにより、シートクッション132は脚部材137を介してフロア9に支持される。
【0129】
脚部材137の左右の縦部137Aに収納ポケット140が装着されている。収納ポケット140は、対応する左右の縦部137Aに装着される左右の結合部141と、左右に延び、左右の両端において左右の結合部141に結合した袋部142とを有する。左右の結合部141及び袋部142は、縦部137Aに沿って延びている。左右の結合部141は、筒状をなし、内部に縦部137Aを受容する。左右の結合部141は、例えばシート材141Aと、シート材141Aの相反する縁部のそれぞれに設けられた一対の結合部材141Bとを有するとよい。結合部材141Bは、例えば面ファスナやファスナ、ボタンであってよい。シート材141Aを縦部137Aに巻き付けた後に一対の結合部材141Bを結合させることによって結合部141を縦部137Aに装着するとよい。袋部142は、縦部137Aの基部側に開口し、横部137B側に深さを有する。袋部142は、織物等のシート材や、メッシュ材によって形成されているとよい。使用者は、収納ポケット140を小物入れとして使用することができる。シートクッション132が使用位置にあり、かつ脚部材137が使用位置にあるとき、袋部142の開口は鉛直上方を向く。また、シートクッション132がチップアップ位置にあり、かつ脚部材137が収納位置にあるとき、袋部142の開口は鉛直上方を向く。そのため、袋部142に収容された物品が袋部142から脱落することが抑制される。
【0130】
シートクッション132の下面において、左右の縦部137Aの間には、照明装置144が設けられている。照明装置144は、例えばLEDであってよい。照明装置144は、シートクッション132の下面において、左右の縦部137Aの基部の間に設けられているとよい。照明装置144は、収納ポケット140を照らす。これにより、使用者は収納ポケット140の収容物を確認し易くなる。
【0131】
ヘッドレスト12は、図22に示すようなベンチシート150に設けられてもよい。ベンチシート150は、フロア9に結合されたシートクッション151と、シートクッション151の後部から上方に延びるシートバック152とを有する。シートバック152の左右方向における中央部には、後方に向けて凹んだアームレスト収容凹部153が設けられている。アームレスト収容凹部153を画定する左右の壁部の下部には、アームレスト155が回動可能に支持されている。アームレスト155は、アームレスト収容凹部153に収容された収納位置と、アームレスト収容凹部153から前方に突出した使用位置との間で回動する。アームレスト収容凹部153の底面には、コネクタモジュール157が設けられている。コネクタモジュール157は、アームレスト収容凹部153の底面において、使用位置に位置するアームレスト155の上面よりも上方に配置されている。
【0132】
図23に示すように、コネクタモジュール157は、本体部157Aに設けられた少なくとも1つの電源ポート157Bを有する。電源ポート157Bは、例えばUSBポートであってよい。また、コネクタモジュール157は、本体部157Aに照明装置157Cを有してもよい。照明装置157Cは、例えばLEDであってよい。電源ポート157B及び照明装置157Cは、車載バッテリに接続されている。また、コネクタモジュール157には、電源ポート157B及び照明装置157Cを開閉可能に覆うリッド157Dが設けられてもよい。リッド157Bは本体部157Aにヒンジ等によって接続されているとよい。照明装置157Cは、リッド157Dが開かれているときのみ発光するように構成されてもよい。例えば、リッド157Dが閉位置にあるときに、リッド157Dが照明装置157Cへの電源供給を遮断するスイッチ157Eを押すことによって照明装置157Cへの電力供給が遮断するとよい。
【0133】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。
【符号の説明】
【0134】
1 :シート
2 :シートクッション
3 :シートバック
12 :ヘッドレスト
13 :ピラー部材
13A :縦軸部
13B :湾曲部
13C :第1横軸部
13D :第2横軸部
14 :ベース部材
14A :ベース縦部
14B :ベース上部
15 :結合部材
15A :係止部
15B :第1締結部
15C :第2締結部
16 :パッド
16A :パッド縦部
16B :パッド上部
17 :表皮材
21 :第1孔
22 :締結部材
22A :ボルト
22B :ナット
24 :ベース孔
26 :第1膨出部
26A :凹部
27 :第2膨出部
28 :第3膨出部
29 :補強リブ
31 :溝部
32 :縁壁部
40 :ヘッドレスト
41 :ピラー部材
41A :縦軸部
41B :湾曲部
41C :第1横軸部
41D :第2横軸部
41E :第3横軸部
42 :ベース部材
42A :ベース縦部
42B :ベース上部
42C :曲面部
43 :結合部材
43A :係止部
43B :第1締結部
43C :第2締結部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
【手続補正書】
【提出日】2024-10-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロアに設けられた複数のストライカと、
シートのシートクッションの下部に設けられ、複数の前記ストライカと着脱可能に結合する複数の結合装置と、を有し、
前記フロアには、1つの前記シートが配置される取付領域が少なくとも1つ配置され、
複数の前記ストライカは、前記取付領域において、鉛直方向に延びる取付領域中心軸線を中心とした回転対称となるように配置されている、取付構造。
【請求項2】
前記ストライカは、前記フロアから互いに間隔をおいて鉛直上方に突出する一対の柱部と、各前記柱部の上端同士を連結する梁部と、を有し、
前記ストライカの前記梁部は、前記取付領域中心軸線を中心とした接線方向に延びている、請求項1に記載の取付構造
【請求項3】
前記取付領域は、前記梁部の中央部を頂点とする正方形に形成されている、請求項2に記載の取付構造
【請求項4】
前記結合装置は、前記シートクッションから下方に延びるベースプレートを有し、かつ前記ストライカに対応した位置に配置され、
前記ベースプレートの下端には、前記ストライカの前記梁部を受容可能なスロットが形成されており、
前記スロットは、前記ベースプレートの下端から上方に凹んだ溝部であり、前記ベースプレートを水平方向に貫通しており、かつ前記ストライカの前記梁部に対応した角度で配置され、
前記ストライカの前記梁部の中央部は、前記スロット内において着脱可能とされた、請求項2または3に記載の取付構造
【請求項5】
前記フロアには、前後方向に並ぶ複数の前記取付領域が配置され、
前後に互いに隣り合う2つの前記取付領域の前後方向の距離と、前記取付領域の1辺の長さとが等しい、請求項3に記載の取付構造。
【請求項6】
前記フロアには、左右方向に並ぶ複数の前記取付領域が配置され、
左右に互いに隣り合う2つの前記取付領域の左右方向の距離と、前記取付領域の1辺の長さとが等しい、請求項3または5に記載の取付構造。
【請求項7】
前記フロアには、前後方向及び左右方向に並ぶ4つの前記取付領域が配置され、
前後に互いに隣り合う2つの前記取付領域の前後方向の距離と、左右に互いに隣り合う2つの前記取付領域の左右方向の距離と、前記取付領域の1辺の長さとが等しい、請求項3に記載の取付構造。
【請求項8】
前記シートは、前記シートクッションの下部の前左部、前右部、後左部、及び後右部のそれぞれに前記結合装置が設けられており、
複数の前記結合装置は、鉛直方向に延びるクッション中心軸線を中心とした回転対称となるように配置されている、請求項1~請求項7のいずれか1つの項に記載の取付構造。
【請求項9】
前記シートは、前記シートクッションの下部の前左部、前右部、後左部、及び後右部のそれぞれに前記結合装置が設けられており、
前記シートクッションの前記前左部及び前記前右部に設けられた前記結合装置の前記ベースプレートは、後方に向けて左右内方に傾斜して配置され、
前記シートクッションの前記後左部及び前記後右部に設けられた前記結合装置の前記ベースプレートは、後方に向けて左右外方に傾斜して配置されている、請求項4に記載の取付構造。
【請求項10】
前記シートは、前記シートクッションの下部の前左部、前右部、後左部、及び後右部のそれぞれに前記結合装置が設けられており、
前記結合装置の前記ベースプレートは、鉛直方向に延びるクッション中心軸線を中心とした径方向に延びている、請求項4または9に記載の取付構造。
【請求項11】
前記シートは、前記シートクッションの下部の前左部、前右部、後左部、及び後右部のそれぞれに前記結合装置が設けられており、
前記結合装置の前記ベースプレートは、前後方向に対して45度傾斜している、請求項4、9、10のいずれか1つの項に記載の取付構造。
【請求項12】
請求項1~請求項11のいずれか1つの項に記載の取付構造を有し、
前記シートは、前記シートクッションと、前記シートクッションの後部からリクライニング機構を介して前記シートクッションに接続され、上方に延びるシートバックと、前記シートバックの上部に設けられるヘッドレストと、を有し、
前記シートクッション及び前記シートバックのそれぞれは、フレームと、前記フレームに支持されたパッドと、前記パッドを覆う表皮材とを有し、
前記ヘッドレストは、ピラー部材と、ベース部材と、前記ベース部材を前記ピラー部材に結合する結合部材と、前記ベース部材に支持されたパッドと、前記ベース部材に支持された前記パッドを覆う表皮材を有する、車両。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
特許文献1に係るヘッドレストでは、第2横軸部がヘッドレストの後部に配置されているため、前方からの荷重はベース部材に加わり、結合部材を介してピラー部材に加わる。そのため、結合部材に荷重が加わり易く、結合部材に変形が生じる虞がある。また、特許文献1には、乗物用シートの向きを変更することは記載されていない。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本発明は、以上の背景に鑑み、シートの取付構造において、シートのフロアに対する向きを変更可能にすることを課題とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、車両のフロアに設けられた複数のストライカと、シートのシートクッションの下部に設けられ、複数の前記ストライカと着脱可能に結合する複数の結合装置と、を有し、前記フロアには、1つの前記シートが配置される取付領域が少なくとも1つ配置され、複数の前記ストライカは、前記取付領域において、鉛直方向に延びる取付領域中心軸線を中心とした回転対称となるように配置されている、取付構造である。これにより、シートの取付構造において、シートのフロアに対する向きを変更可能にすることができる。また、本発明の他の態様は、乗物用シート(1)のヘッドレスト(12)であって、シートバック(3)の上部から上方に延びる左右の縦軸部(13A)、左右の前記縦軸部の上端から湾曲部(13B)を介して前方に延びる左右の第1横軸部(13C)、及び左右に延びて前記第1横軸部の前部のそれぞれに結合した第2横軸部(13D)を有するピラー部材(13)と、左右の前記縦軸部の前方を上下に延びるベース縦部(14A)及び前記ベース縦部の上端から後方に延びるベース上部(14B)を有し、前記ベース上部に左右の前記湾曲部又は左右の前記縦軸部が通過する左右の第1孔(21)を有するベース部材(14)と、前記ベース上部を前記第2横軸部に回動可能に結合する結合部材(15)と、前記ベース部材に支持されたパッド(16)とを有する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
本発明の一態様は、車両のフロアに設けられた複数のストライカと、シートのシートクッションの下部に設けられ、複数の前記ストライカと着脱可能に結合する複数の結合装置と、を有し、前記フロアには、1つの前記シートが配置される取付領域が少なくとも1つ配置され、複数の前記ストライカは、前記取付領域において、鉛直方向に延びる取付領域中心軸線を中心とした回転対称となるように配置されている、取付構造である。これにより、シートの取付構造において、シートのフロアに対する向きを変更可能にすることができる。また、本発明の他の態様は、乗物用シート(1)のヘッドレスト(12)であって、シートバック(3)の上部から上方に延びる左右の縦軸部(13A)、左右の前記縦軸部の上端から湾曲部(13B)を介して前方に延びる左右の第1横軸部(13C)、及び左右に延びて前記第1横軸部の前部のそれぞれに結合した第2横軸部(13D)を有するピラー部材(13)と、左右の前記縦軸部の前方を上下に延びるベース縦部(14A)及び前記ベース縦部の上端から後方に延びるベース上部(14B)を有し、前記ベース上部に左右の前記湾曲部又は左右の前記縦軸部が通過する左右の第1孔(21)を有するベース部材(14)と、前記ベース上部を前記第2横軸部に回動可能に結合する結合部材(15)と、前記ベース部材に支持されたパッド(16)とを有する。この態様によれば、第1横軸部によって第2横軸部が縦軸部に対して前方に配置される。そのため、ピラー部材が、前方からの荷重の一部を、ベース部材及び結合部材を介さずに直接に受けることができる。これにより、ヘッドレストにおいて第2横軸部とベース部材とを結合する結合部材に加わる荷重を低減することができる。