(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163152
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】情報処理装置、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0203 20230101AFI20241114BHJP
【FI】
G06Q30/0203
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024147852
(22)【出願日】2024-08-29
(62)【分割の表示】P 2023210880の分割
【原出願日】2018-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】509286983
【氏名又は名称】株式会社ロイヤリティマーケティング
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐佐 將行
(72)【発明者】
【氏名】森 正和
(72)【発明者】
【氏名】嶋崎 佐知子
(57)【要約】
【課題】商品等のイベントを利用した当該商品等の将来予測を可能にする。
【解決手段】イベント企画部111の制御の下、着目すべき任意の測定項目についてのVfM指標が設定される。イベント告知部112、インセンティブ配布部113、イベント実施部114の制御の下、商品等のイベントが実施され当該商品等に係るインセンティブ利用情報が取得される。VfM一次評価部115の制御の下、当該インセンティブ利用情報を含む反応行動情報に基づいて、上記VfM指標に係る評価を含む上記商品等の一次評価が生成される。リサーチ実施管理部1161の制御の下、当該一次評価に基づいて消費者への上記商品等のリサーチが実施され、市場価値評価部116の制御の下、当該リサーチの回答に基づいて上記商品等の市場価値評価が生成される。将来予測部1163の制御の下、当該市場価値評価に基づいて上記商品等に係る将来予測が実行される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品または役務のイベントの実施に必要な情報を設定するイベント企画部と、
前記イベントを消費者に告知し、前記イベントへの参加希望消費者の情報を含むイベント参加受け付け情報を取得するイベント告知部と、
前記イベントへの参加希望消費者に前記イベントのインセンティブを配布するインセンティブ配布部と、
前記イベントの実施に伴って、前記インセンティブを利用した消費者の情報を含むインセンティブ利用情報を取得するイベント実施部と、
前記取得されたイベント参加受け付け情報とインセンティブ利用情報とを含む反応行動情報に基づいて、前記商品または役務の客観評価を含む一次評価を生成するVfM一次評価部と、
前記生成された一次評価に基づいて消費者への前記商品または役務に係るリサーチを実施し、消費者の主観評価を含む当該リサーチの実施結果に基づいて前記商品または役務の市場価値評価を生成し、当該生成された市場価値評価に基づいて前記商品または役務に係る将来の売り上げを含む将来予測を実行する市場価値評価部と、
前記将来予測の結果に係る情報を出力するVfM評価報告部と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記イベント企画部は、前記商品または役務に関して着目すべき任意の測定項目についての指標であるVfM指標を設定し、
前記一次評価は、前記設定された前記着目すべき任意の測定項目についてのVfM指標と実績値とに基づいたVfM指標評価を含む、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記VfM一次評価部は、前記VfM指標評価に少なくとも基づいて、前記商品または役務の市場価値評価に係る仮説を生成する仮説生成部を備え、
前記市場価値評価部は、前記生成された仮説に基づいて前記商品または役務に係るリサーチを実施する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記市場価値評価部は、前記リサーチの実施結果に基づいて、前記生成された仮説が妥当であったか否かを判定し、前記生成された仮説が妥当ではなかったと判定された場合に前記生成された仮説を補正する仮説補正部を備え、
前記市場価値評価部は、前記補正後の補正仮説に基づいて消費者への前記商品または役務に係る第2以降のリサーチを実施し、当該第2以降のリサーチの実施結果に基づいて、前記商品または役務の市場価値評価を生成する、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記市場価値評価部は、前記リサーチに回答した各消費者の属性情報と当該消費者からの前記リサーチの回答に基づいて単純推計方式の拡大推計と複雑推計方式の拡大推計との少なくとも一方を実行することにより、前記将来の売り上げを含む将来予測を実行する、請求項1乃至4のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記VfM指標は、前記インセンティブを複数回利用した消費者に係る測定項目についての指標と、前記インセンティブを利用していない消費者に係る測定項目についての指標と、特定のインセンティブを選択した消費者に係る測定項目についての指標とのうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
プロセッサおよびメモリを備える装置が実行する情報処理方法であって、
商品または役務のイベントの実施に必要な情報を設定する過程と、
前記イベントを消費者に告知し、前記イベントへの参加希望消費者の情報を含むイベント参加受け付け情報を取得する過程と、
前記イベントへの参加希望消費者に前記イベントのインセンティブを配布する過程と、
前記イベントの実施に伴って、前記インセンティブを利用した消費者の情報を含むインセンティブ利用情報を取得する過程と、
前記取得されたイベント参加受け付け情報とインセンティブ利用情報とを含む反応行動情報に基づいて、前記商品または役務の客観評価を含む一次評価を生成する過程と、
前記生成された一次評価に基づいて消費者への前記商品または役務に係るリサーチを実施し、消費者の主観評価を含む当該リサーチの実施結果に基づいて前記商品または役務の市場価値評価を生成し、当該生成された市場価値評価に基づいて前記商品または役務に係る将来の売り上げを含む将来予測を実行する過程と、
前記将来予測の結果に係る情報を出力する過程と
を備える情報処理方法。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれかに記載の情報処理装置が備える各部としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、商品または役務のイベントを利用して当該商品または役務に係る将来の売り上げを含む将来予測を実行する情報処理装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特定の商品の販売に際して、当該商品の過去の販売履歴データを統計的に解析し、当該商品の将来の売り上げの予測を行う技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
また、各種の展示会や品評会等のイベントの実施に際して、当該イベントの効果を測定する技術が知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-358402号公報
【特許文献2】特開2003-167976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載される技術で使用される商品の過去の販売履歴データは、商品が売れた過去の時点の経済環境が反映されているものである。このため、従来の分析では、商品の価値の優劣およびその将来性について評価できないだけでなく、その商品をどのように改良することで商品力を向上させられるのか、どの商品を廃止してどの商品を残す(改良する)べきか、新開発の商品は価値(競争力)があるのかといった、今後の対応に関する合理的で客観的な評価をすることはできない。
【0006】
売り上げを予測する手法としては、特許文献1に記載されるような、過去の経済環境が反映されたデータの統計的解析のみに依存する手法以外の売り上げ予測の手法は知られていなかった。
【0007】
また、特許文献2に記載されるような技術では、最近実施された各種の展示会や品評会等のイベントの効果を測定することができるが、当該測定されたイベントの効果に基づいて売り上げの予測を行う手法は知られていなかった。
【0008】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、商品または役務のイベントを利用して当該商品または役務の将来の売り上げを含む将来予測を実行する情報処理装置、方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、この発明の第1の態様は、情報処理装置にあって、商品または役務のイベントの実施に必要な情報を設定するイベント企画部と、前記イベントを消費者に告知し、前記イベントへの参加希望消費者の情報を含むイベント参加受け付け情報を取得するイベント告知部と、前記イベントへの参加希望消費者に前記イベントのインセンティブを配布するインセンティブ配布部と、前記イベントの実施に伴って、前記インセンティブを利用した消費者の情報を含むインセンティブ利用情報を取得するイベント実施部と、前記取得されたイベント参加受け付け情報とインセンティブ利用情報とを含む反応行動情報に基づいて、前記商品または役務の客観評価を含む一次評価を生成するVfM一次評価部と、前記生成された一次評価に基づいて消費者への前記商品または役務に係るリサーチを実施し、消費者の主観評価を含む当該リサーチの実施結果に基づいて前記商品または役務の市場価値評価を生成し、当該生成された市場価値評価に基づいて前記商品または役務に係る将来の売り上げを含む将来予測を実行する市場価値評価部と、前記将来予測の結果に係る情報を出力するVfM評価報告部とを備えるようにしたものである。
【0010】
この発明の第2の態様は、前記イベント企画部が、前記商品または役務に関して着目すべき任意の測定項目についての指標であるVfM指標を設定し、前記一次評価が、前記設定された前記着目すべき任意の測定項目についてのVfM指標と実績値とに基づいたVfM指標評価を含むようにしたものである。
【0011】
この発明の第3の態様は、前記VfM一次評価部が、前記VfM指標評価に少なくとも基づいて、前記商品または役務の市場価値評価に係る仮説を生成する仮説生成部を備え、前記市場価値評価部が、前記生成された仮説に基づいて前記商品または役務に係るリサーチを実施するようにしたものである。
【0012】
この発明の第4の態様は、前記市場価値評価部が、前記リサーチの実施結果に基づいて、前記生成された仮説が妥当であったか否かを判定し、前記生成された仮説が妥当ではなかったと判定された場合に前記生成された仮説を補正する仮説補正部を備え、前記市場価値評価部が、前記補正後の補正仮説に基づいて消費者への前記商品または役務に係る第2以降のリサーチを実施し、当該第2以降のリサーチの実施結果に基づいて、前記商品または役務の市場価値評価を生成するようにしたものである。
【0013】
この発明の第5の態様は、前記市場価値評価部が、前記リサーチに回答した各消費者の属性情報と当該消費者からの前記リサーチの回答に基づいて単純推計方式の拡大推計と複雑推計方式の拡大推計との少なくとも一方を実行することにより、前記将来の売り上げを含む将来予測を実行するようにしたものである。
【0014】
この発明の第6の態様は、前記VfM指標が、前記インセンティブを複数回利用した消費者に係る測定項目についての指標と、前記インセンティブを利用していない消費者に係る測定項目についての指標と、特定のインセンティブを選択した消費者に係る測定項目についての指標とのうちの少なくとも1つを含むようにしたものである。
【発明の効果】
【0015】
この発明の第1の態様によれば、商品または役務のイベントの実施に伴って、当該イベントのインセンティブを利用した消費者の情報を含むインセンティブ利用情報が取得され、当該インセンティブ利用情報を含む反応行動情報に基づいて、上記商品または役務の客観評価を含む一次評価が生成される。その後、当該生成された一次評価に基づいて消費者へのリサーチが実施され、消費者側の主観評価を含む当該リサーチの実施結果に基づいて上記商品または役務の市場価値評価が生成される。当該生成された市場価値評価に基づいて上記商品または役務に係る将来の売り上げを含む将来予測が実行される。
【0016】
このようなイベントおよびリサーチに基づく市場価値評価生成処理および将来予測処理は、例えば過去の経済環境ではなく、その時々の経済環境が反映されるデータに基づくものとすることが可能である。したがって、このような将来予測を、過去のデータの統計的解析のみに依存して予測を行うような手法と比較して、広範囲の予測分野にわたってより信頼性の高いものとすることが可能となる。
【0017】
また、上記将来予測には、上述したように消費者へのリサーチを利用して、例えば買い手側の消費者の主観的な意見を反映させることができる。当該リサーチを上述したように一次評価に基づいて実施することにより、例えば、一次評価で得られた情報の再確認を行ったり、一次評価で得られた情報とは異なる観点の評価を行ったりすることが可能となる。したがって、このような将来予測をさらに目的性が高く精度も高いものとすることが可能となる。
【0018】
このような将来予測の結果に基づいて、例えば、どの商品の販売を継続し、どの役務の提供を継続するべきか、どの商品の販売を中止し、どの役務の提供を中止するべきか、あるいは、どの商品および役務を改良するべきかを判定することが可能となる。また、上記将来予測では将来の売り上げの予測だけではなく商材価値も分かるので、商品をどれだけ生産すればよいかの生産計画や、役務の提供をどの程度の規模にすればよいかの計画も判定可能となる。
【0019】
この発明の第2の態様によれば、上記商品または役務に関して着目すべき任意の測定項目についての指標であるVfM指標が設定される。上記一次評価には、当該設定された上記着目すべき任意の測定項目についてのVfM指標と実績値とに基づいたVfM指標評価が含まれる。
【0020】
このように、VfM指標という数値評価可能な指標に基づいて上記一次評価を生成することが可能となる。このように生成された一次評価に基づいて上記リサーチが実施されるので、上記市場価値評価および将来予測をより精度が高いものとすることが可能となる。また、任意の測定項目についてVfM指標を設定することができるため、必要な項目に着目した市場価値評価および将来予測を実行することが可能となる。
【0021】
また、上記イベントの実施に伴って、消費者が反応または行動した結果の情報を順次蓄積して、当該蓄積される情報から上記VfM指標に係る測定項目についての実績値を時系列的に算出することができる。当該情報は、例えば複数回イベントを実行する間に継続して蓄積するようにしてもよい。このように時系列的に算出される実績値を用いることにより、時系列的に上記市場価値評価の傾向や推移を評価および分析することも可能となる。このような上記市場価値評価の傾向や推移の評価および分析により、商品または役務に係るマーケティング活動の運営に関する将来予測、商品または役務に係る売り上げの将来予測、ならびに、商品または役務の開発および改廃方向に関する将来予測を精度の高いものとすることが可能になる。さらに、上記商品または役務に関して着目すべき任意の測定項目についての指標である上記VfM指標について、当該VfM指標に係る測定項目についての実績値を算出していることから、例えば商品等に対する消費者の反応または行動について同一のVfM指標を適用して、他社、他業界、および他業種の商品等を横断的に評価することも可能となる。
【0022】
この発明の第3の態様によれば、上記VfM指標評価に少なくとも基づいて仮説が生成される。当該生成された仮説に基づいて上記商品または役務に係るリサーチが実施される。
【0023】
このように生成される仮説は、VfM指標という数値評価可能な指標に基づいたものである。例えば、上述したように当該仮説に基づいて実施されるリサーチでは、当該リサーチに含まれるリサーチ項目をこのような仮説に基づいて生成したものとしたり、当該リサーチの対象の消費者をこのような仮説に基づいて選択したりすることも可能である。このようなリサーチに基づいて上記市場価値評価生成処理および将来予測処理を実施することにより、将来予測をより精度が高いものとすることが可能となる。
【0024】
この発明の第4の態様によれば、上記リサーチの実施結果に基づいて、上記生成された仮説が妥当であったか否かが判定され、上記生成された仮説が妥当ではなかったと判定された場合に上記生成された仮説が補正される。その後、当該補正後の補正仮説に基づいて消費者への上記商品または役務に係る第2以降のリサーチが実施され、当該第2以降のリサーチの実施結果に基づいて、上記商品または役務の市場価値評価が生成される。
【0025】
このように、上記仮説が妥当なものとなるまで当該仮説の補正を再帰的に行うことが可能となり、したがって、当該補正後の補正仮説から導かれる上記将来予測の結果を、より信頼性が高いものとすることが可能となる。
【0026】
この発明の第5の態様によれば、上記商品または役務の将来予測処理では、上記リサーチに回答した各消費者の属性情報と当該消費者からの上記リサーチの回答に基づいて単純推計方式の拡大推計と複雑推計方式(例えば、ベイジアンネットワーク方式)の拡大推計との少なくとも一方を実行することにより、上記将来予測が実行される。例えば、単純推計方式の拡大推計では、演繹的な拡大推計が実行され、複雑推計方式の拡大推計では、演繹的または再帰的な拡大推計が実行される。
【0027】
このような拡大推計を実行することによって、上記リサーチの対象である限られた消費者だけではなく上記商品または役務の潜在的な購買層である消費者が、売り上げにどれだけ貢献するかを予測することが可能である。また、上記リサーチの対象の消費者の属性情報の分布が、上記商品または役務の潜在的な購買層である消費者全体の属性情報の分布と比較して偏りがある場合であっても、例えば、属性情報毎に適切に重み付けを行って分布の偏りを補正することにより、当該拡大推計に基づく上記将来予測をより精度が高いものとすることが可能となる。また、単純な「売り上げ予測」でなく、実績をログ化し、指標(情報)化して蓄積し、分析することで、マーケティング活動の運営や、商品または役務に係る売り上げ、開発および改廃方向に関する将来予測を精度の高いものにすることが可能となる。
【0028】
この発明の第6の態様によれば、上記VfM指標には、上記インセンティブを複数回利用した消費者に係る測定項目についての指標と、上記インセンティブを利用していない消費者に係る測定項目についての指標と、特定のインセンティブを選択した消費者に係る測定項目についての指標とのうちの少なくとも1つが含まれる。
【0029】
ここで、インセンティブを複数回利用した消費者には、例えば、上記商品または役務の価値が高いと評価している消費者が含まれている。したがって、上記インセンティブを複数回利用した消費者に係る測定項目についてVfM指標を設定することにより、上記商品または役務の価値に関する肯定的な側面を評価することが可能である。
【0030】
また、インセンティブを利用していない消費者には、例えば、上記イベントへの参加を希望していたにもかかわらずインセンティブを利用していない消費者や、インセンティブを受け取ったにもかかわらずインセンティブを利用していない消費者が含まれる。したがって、上記インセンティブを利用していない消費者に係る測定項目についてVfM指標を設定することにより、例えば、上記商品または役務に係る評価を向上させる余地があるかを検証したり、上記商品または役務に係る評価を向上させるにはどのような手法をとるべきかを検証したりすることが可能である。
【0031】
さらに、例えば、複数種のインセンティブ(値引き・引換・ポイント等)の中から消費者が利用するインセンティブを選択する場合に、特定のインセンティブを選択した消費者の統計を取得したい場合がある。例えば、消費者が選択するインセンティブ毎に、消費者による上記商品または役務の価値の評価の種類を定めることができる。したがって、上記特定のインセンティブを選択した消費者に係る測定項目についてVfM指標を設定することにより、上記商品または役務の価値をより高品位に評価することが可能である。すなわち、消費者が求めるインセンティブを複数準備することで、インセンティブ毎に市場価値を測る基準価値を設定して分析することにより、上記将来予測の精度を高めることができる。
【0032】
上述したようなVfM指標を、例えば、上記一次評価生成処理、上記仮説生成処理、あるいは上記リサーチの実施処理に利用することによって、当該リサーチに基づく上記市場価値評価をより精度が高いものとすることが可能となる。したがって、当該市場価値評価に基づく上記将来予測もより精度が高いものとすることができる。
【0033】
この発明の各態様によれば、商品または役務のイベントを利用して当該商品または役務の将来の売り上げを含む将来予測を実行する情報処理装置、方法およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】この発明の第1の実施形態に係る将来予測システムの概略構成図。
【
図2】
図1に示した将来予測システム中のVfMマーケティングシステムの機能構成を示すブロック図。
【
図3A】
図2に示した制御ユニットによって実行される一次評価生成処理の一例を示すフロー図。
【
図3B】
図2に示した制御ユニットによって実行される将来予測処理の一例を示すフロー図。
【
図4A】この発明の第1の実施形態に係る、算出有無設定情報およびVfM指標設定情報による設定状況の一例を示す図。
【
図4B】この発明の第1の実施形態に係る、算出有無設定情報による設定状況の一例を示す図。
【
図5】この発明の第1の実施形態に係る告知反応ログ情報の一例を示す図。
【
図6】この発明の第1の実施形態に係るクーポン発行ログ情報の一例を示す図。
【
図7】この発明の第1の実施形態に係るクーポン利用ログ情報の一例を示す図。
【
図8A】この発明の第1の実施形態に係る、一次評価の一部として生成された、着目すべき任意の測定項目についてのVfM指標と実績値とに基づくVfM指標評価の一例を示す図。
【
図8B】この発明の第1の実施形態に係る、一次評価の一部として生成された、着目すべき任意の測定項目についてのVfM指標と実績値とに基づくVfM指標評価の一例を示す図。
【
図8C】この発明の第1の実施形態に係る、一次評価の一部として生成された、着目すべき任意の測定項目についてのVfM指標と実績値とに基づくVfM指標評価の一例を示す図。
【
図8D】この発明の第1の実施形態に係る、一次評価の一部として生成された、着目すべき任意の測定項目についてのVfM指標と実績値とに基づくVfM指標評価の一例を示す図。
【
図9】この発明の第1の実施形態に係る、一次評価の一部として生成された、消費者の性別および年齢別のクーポン利用状況を示す円グラフの一例を示す図。
【
図10】この発明の第1の実施形態に係る、一次評価の一部として生成された、商品等に対する反応または行動の各工程別の反応状況を女性消費者の年齢別に集計した折れ線グラフの一例を示す図。
【
図11】この発明の第1の実施形態に係る、一次評価の一部として生成された、消費者の職種別のクーポン利用状況を示す円グラフの一例を示す図。
【
図12A】この発明の第1の実施形態に係る、VfM指標評価に基づく検知条件と生成される仮説との対応関係を示す仮説生成テーブルの一例を示す図。
【
図12B】この発明の第1の実施形態に係る、VfM指標評価に基づく検知条件と生成される仮説との対応関係を示す仮説生成テーブルの一例を示す図。
【
図13A】この発明の第1の実施形態に係るアンケート項目の表示画面の一例を示す図。
【
図13B】この発明の第1の実施形態に係るアンケート項目の表示画面の一例を示す図。
【
図13C】この発明の第1の実施形態に係るアンケート項目の表示画面の一例を示す図。
【
図13D】この発明の第1の実施形態に係るアンケート項目の表示画面の一例を示す図。
【
図13E】この発明の第1の実施形態に係るアンケート項目の表示画面の一例を示す図。
【
図13F】この発明の第1の実施形態に係るアンケート項目の表示画面の一例を示す図。
【
図13G】この発明の第1の実施形態に係るアンケート項目の表示画面の一例を示す図。
【
図14A】この発明の第1の実施形態に係るアンケート集計結果の表示画面の一例を示す図。
【
図14B】この発明の第1の実施形態に係るアンケート集計結果の表示画面の一例を示す図。
【
図14C】この発明の第1の実施形態に係るアンケート集計結果の表示画面の一例を示す図。
【
図14D】この発明の第1の実施形態に係るアンケート集計結果の表示画面の一例を示す図。
【
図14E】この発明の第1の実施形態に係るアンケート集計結果の表示画面の一例を示す図。
【
図15A】この発明の第1の実施形態に係る売り上げ予測の結果の一例を示す図。
【
図15B】この発明の第1の実施形態に係る売り上げ予測の結果の一例を示す図。
【
図15C】この発明の第1の実施形態に係る売り上げ予測の結果の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照してこの発明に係る実施形態を説明する。
[第1の実施形態]
(構成)
図1は、この発明の第1の実施形態に係る将来予測システムの概略構成図である。
【0036】
本実施形態の将来予測システムは、例えば、対価価値(Value for Money:VfM)マーケティングシステム1と、例えばスマートフォンやタブレット型を含むパーソナルコンピュータ(PC)端末でありオペレータにより操作されるオペレータ端末2と、消費者情報データベース3と、イベント告知システム4と、イベント参加受け付けシステム5と、インセンティブ管理システム6と、リサーチシステム7とを備えており、これらは、ネットワーク(NW)、例えば、インタネットを介して接続されている。
【0037】
VfMマーケティングシステム1は、例えばこれから販売を開始する商品やこれから営業を開始する役務、あるいは、既に販売または営業を開始している商品または役務のような、任意の商品または役務(以下、「商品等」という。)について、価格に対する価値としての市場価値評価を生成して将来の売り上げを含む将来予測を実行することができる。
【0038】
より詳細には、VfMマーケティングシステム1は、オペレータ端末2から送信される操作信号に応じて、イベント告知システム4、イベント参加受け付けシステム5、インセンティブ管理システム6、およびリサーチシステム7を利用することにより、上記商品等のキャンペーン、広告、またはプロモーション等のイベントを実施し、さらに、消費者への当該商品等に係るリサーチを実施し、それらの実施結果に基づいて、上記商品等の価格に対する価値としての市場価値評価を生成する。当該生成された市場価値評価に基づいて、VfMマーケティングシステム1は、上記商品等に係る将来の売り上げを含む将来予測を実行することができる。
【0039】
以下では、VfMマーケティングシステム1が、上述したように、上記イベントを上記商品等の単位で実施して、上記商品等の単位で上記市場価値評価生成処理および将来予測処理を実行する場合を例に挙げて説明するが、本開示に係る商品等の市場価値評価生成処理および将来予測処理はこれに限定されない。例えば、上記商品等のキャンペーン、広告、またはプロモーション等のイベントは、例えば、店舗またはブランド等に係るキャンペーン、広告、またはプロモーション等のイベントであってもよい。この場合、VfMマーケティングシステム1は、店舗またはブランド等に係るキャンペーン、広告、またはプロモーション等のイベントを実施し、さらに、消費者への当該店舗またはブランド等に係るリサーチを実施するようにすることにより、上記市場価値評価生成処理および将来予測処理を店舗またはブランド等の単位で実行することができる。
【0040】
消費者情報データベース3は、上記イベントの対象となる上記商品等に対して消費者が反応または行動するのに使用される消費者番号等の消費者の識別情報と、当該消費者の属性情報とを対応付けて記憶している。なお、当該消費者の識別情報は、例えば、国民大多数をカバーする、個人を特定可能な会員サービスのIDであってもよい。また、上記属性情報は、例えば、当該消費者の性別、年齢層、および居住エリア等の消費者属性の情報や、消費者特有の他の個人情報を含んでいてもよい。
【0041】
イベント告知システム4、イベント参加受け付けシステム5、およびインセンティブ管理システム6は各々、上記イベントを実施するために利用されるシステムである。
【0042】
イベント告知システム4は、例えばメールマガジン、スマートフォン(携帯電話)やタブレットアプリケーション、テレビジョンコマーシャルメッセージ(TVCM)、およびLINE(登録商標)等のソーシャルネットワーキングサービス(Social Networking Service:SNS)といったさまざまな媒体を用いて上記イベントを消費者に告知し、反応情報を収集する。イベント参加受け付けシステム5は、例えば上記イベントの特設サイトのようなウェブサイトを用いて、上記イベントへの参加希望を受け付ける。インセンティブ管理システム6は、例えば上記ウェブサイトを用いて上記イベントへの参加を希望する消費者に、上記イベントのインセンティブを配布するとともに、上記イベントの実施に伴って、当該インセンティブに関するインセンティブ利用情報を回収する。なお、当該インセンティブは、例えば、商品等の無料引換券や割り引き券等のクーポンや、上記商品等の購買に際し消費者が取得するボーナスポイントや、あるいは、上記商品等の購買に際し消費者が取得する他の商品等の無料引換券や割り引き券等のクーポン等であってもよい。
【0043】
リサーチシステム7は、消費者への上記商品等に係るリサーチを実施し、消費者からのリサーチの回答を収集する。リサーチは、例えば、上記商品等に係るアンケートである。
【0044】
本実施形態では、情報処理装置の非限定的な例としてVfMマーケティングシステム1について説明する。
図2は、
図1に示した将来予測システム中のVfMマーケティングシステム1の機能構成を示すブロック図である。なお、
図2に示すVfMマーケティングシステム1の構成は一例に過ぎず、VfMマーケティングシステム1が備える各構成要素は任意の組み合わせで物理的に別個の装置として存在していてもよい。
【0045】
VfMマーケティングシステム1は、ハードウェアとして、制御ユニット11と、記憶ユニット12と、通信インタフェースユニット13とを備えている。
【0046】
通信インタフェースユニット13は、例えば1つ以上の有線または無線の通信インタフェースユニットを含んでいる。通信インタフェースユニット13は、オペレータ端末2により入力された操作信号を制御ユニット11に入力する。また、通信インタフェースユニット13は、イベント告知システム4、イベント参加受け付けシステム5、インセンティブ管理システム6、およびリサーチシステム7に対して、制御ユニット11から出力された情報を出力し、イベント告知システム4、イベント参加受け付けシステム5、インセンティブ管理システム6、およびリサーチシステム7から送信された情報を制御ユニット11に入力する。さらに、通信インタフェースユニット13は、制御ユニット11から出力される上記商品等に係る将来の売り上げを含む将来予測の結果に係る情報を、例えば、オペレータ端末2や、図示していないネットワークプリンタ等の外部出力装置等に出力する。
【0047】
記憶ユニット12は、例えばHDD(Hard Disc Drive)またはSSD(Solid State Drive)等の随時書き込みおよび読み出しが可能な不揮発メモリのような記憶媒体により構成され、本実施形態を実現するために、VfM指標マスタ121と、VfM指標算出有無記憶部122と、反応行動ログ情報記憶部123と、VfM指標履歴情報記憶部124と、一次評価記憶部125と、リサーチ回答ログ情報記憶部126と、市場価値評価記憶部127とを備えている。本実施形態で使用するVfM指標は、上記商品等に関して着目すべき任意の測定項目についての指標である。当該測定項目についての実績値を、VfM指標と対比することによって数値評価することができる。
【0048】
VfM指標マスタ121は、例えば上記商品等に対する消費者の反応または行動に関係する測定項目を記憶する。当該測定項目は、例えばオペレータにより予め記憶させておく。当該測定項目は、例えば、上記商品等に対して消費者が反応または行動した結果を表す各情報から直接集計可能な当該反応または行動を行った消費者数を表す基準項目や、当該基準項目の任意の組み合わせにより算出される項目を含んでいる。このような測定項目は、例えばウェブサイトのページビュー数やアンケート集計値等のような従来のキャンペーンリサーチで発生する数値を測定する項目に限定されない。特に、このような測定項目は、さまざまな活動の中で発生した実績数値を算出または分析した数値を測定する項目であってもよい。
【0049】
VfM指標算出有無記憶部122は、算出有無設定情報とVfM指標設定情報を記憶する。算出有無設定情報は、VfM指標マスタ121に記憶される上記測定項目の各々を、上記イベントの実施に伴って実績値を算出する算出対象の測定項目とするか否かについての、オペレータによる設定を示す情報である。VfM指標設定情報は、当該算出対象の測定項目のうち上記商品等に関して着目すべき任意の測定項目についてのVfM指標の設定を示す情報である。なお、当該VfM指標設定情報により設定される各測定項目についてのVfM指標は、当該測定項目についての目標値であり、例えば、消費者数、個数、または売り上げ金額のような数値、あるいは、これらを基準値に対して百分比で表した数値である。なお、当該基準値は、オペレータが予め設定するものであってもよく、あるいは、当該測定項目とは異なる他の測定項目についての実績値に基づいて自動的に設定されるものであってもよい。なお、VfM指標は、上記算出対象の測定項目の一部について設定されるものであってもよく、あるいは、上記算出対象のすべての測定項目について設定されるものであってもよい。
【0050】
反応行動ログ情報記憶部123は、上記商品等に対して消費者が反応または行動した結果の情報である反応行動情報を記憶する。当該反応行動情報は、例えば、上記イベントを告知した消費者の情報を含むイベント告知情報、当該イベントの告知が開封されたあるいは既読となった消費者の情報を含むイベント告知開封情報、当該イベントの告知を開封あるいは既読にし、かつ、例えばウェブサイト上の上記イベントの告知ページを閲覧した消費者の情報を含むイベント告知閲覧情報、当該イベントの告知ページにおいて受け付けられた上記イベントへの参加希望消費者の情報を含むイベント参加受け付け情報、当該参加希望消費者のうち上記インセンティブが配布された消費者の情報を含むインセンティブ配布情報、ならびに、当該配布されたインセンティブを上記イベントの実施に伴って利用した消費者の情報を含むインセンティブ利用情報を含んでいる。なお、当該反応行動情報に含まれる消費者の情報は、例えば、上記消費者番号等の当該消費者の識別情報である。同一の消費者に係るイベント告知情報、イベント告知開封情報、イベント告知閲覧情報、イベント参加受け付け情報、インセンティブ配布情報、およびインセンティブ利用情報の各々に含まれる上記消費者の情報は、互いに紐付けられている。また、これらの反応行動情報の各々に含まれる上記消費者の情報は、上述した消費者情報データベース3に記憶される消費者の識別情報に紐付けられている。例えば、インセンティブ配布情報およびインセンティブ利用情報に含まれる上記消費者の情報は、消費者情報データベース3に記憶される消費者の識別情報を一意に識別できるように発番された、上記インセンティブとしてのクーポンのクーポンIDを含んでいてもよい。さらに、各反応行動情報は、例えば、消費者の反応または行動が行われた日時情報、消費者の利用媒体の情報を含んでいてもよい。
【0051】
VfM指標履歴情報記憶部124は、上記算出対象の測定項目についての実績値を記憶する。
【0052】
一次評価記憶部125は、VfM一次評価部115の制御下で生成される上記商品等の客観評価を含む一次評価を記憶する。
【0053】
リサーチ回答ログ情報記憶部126は、消費者からの上記リサーチの回答の情報であるリサーチ回答情報を記憶する。
【0054】
市場価値評価記憶部127は、市場価値評価部116の制御下で生成される上記商品等の市場価値評価を記憶する。
【0055】
制御ユニット11は、本実施形態における処理機能を実行するために、イベント企画部111と、イベント告知部112と、インセンティブ配布部113と、イベント実施部114と、VfM一次評価部115と、市場価値評価部116と、VfM評価報告部117とを備えている。制御ユニット11は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサと、プログラムメモリとを備え、上述した各部における処理機能はいずれも、プログラムメモリに格納されたプログラムを上記プロセッサに実行させることによって実現される。なお、これらの処理機能は、プログラムメモリに格納されたプログラムを用いて実現されるものに限定されず、ネットワークを通して提供されるプログラムを用いて実現されるものであってもよい。
【0056】
イベント企画部111は、オペレータ端末2から送信され、制御ユニット11において受信された操作信号に応じて、商品等のイベントの実施に必要な情報を設定する処理を実行する。例えば、実施するイベントの目的、対象、概要の設定、および目標を設定する。例えば、イベント企画部111は、VfM指標算出有無記憶部122にアクセスして、算出有無設定情報とVfM指標設定情報とを書き込む処理を実行する。当該算出有無設定情報の書き込み処理により、算出対象の測定項目が設定される。当該VfM指標設定情報の書き込み処理により、上記算出対象の測定項目のうち、イベント対象の商品等に関して着目すべき任意の測定項目についてVfM指標が設定される。
【0057】
イベント告知部112は、イベント告知システム4に対して、上記イベントを消費者に告知するためのイベント告知指示を送信する処理を実行する。当該イベント告知指示に応じて、イベント告知システム4により、種々の広告媒体を介して、上記イベントが消費者に告知される。イベント告知部112は、イベント告知システム4から、上記イベントを告知した消費者の情報を含むイベント告知情報と、当該イベントの告知が開封されたあるいは既読となった消費者の情報を含むイベント告知開封情報とを取得し、当該取得されたイベント告知情報およびイベント告知開封情報を反応行動ログ情報記憶部123に記憶させる処理を実行する。
【0058】
次に、イベント告知部112は、イベント参加受け付けシステム5に対して、上記告知に応じた消費者からの上記イベントへの参加希望を受け付けるためのイベント参加受け付け指示を送信する処理を実行する。当該イベント参加受け付け指示に応じて、イベント参加受け付けシステム5により、上記イベントへの参加希望が受け付けられる。
【0059】
その後、イベント告知部112は、イベント参加受け付けシステム5から、例えばウェブサイト上の上記イベントの告知ページを閲覧した消費者の情報を含むイベント告知閲覧情報を取得し、当該取得されたイベント告知閲覧情報を反応行動ログ情報記憶部123に記憶させる処理を実行する。さらに、イベント告知部112は、イベント参加受け付けシステム5から、上記イベントの告知ページにおいて受け付けられた上記イベントへの参加希望消費者の情報を含むイベント参加受け付け情報を取得し、当該取得されたイベント参加受け付け情報を反応行動ログ情報記憶部123に記憶させる処理を実行する。
【0060】
インセンティブ配布部113は、先ず、反応行動ログ情報記憶部123に記憶されるイベント参加受け付け情報を読み出す処理を実行する。その後、インセンティブ配布部113は、当該読み出されたイベント参加受け付け情報に基づいて、インセンティブ管理システム6に対して、上記イベントへの参加希望消費者に上記イベントのインセンティブを配布するためのインセンティブ配布指示を送信する処理を実行する。当該インセンティブ配布指示に応じて、インセンティブ管理システム6により、上記イベントへの参加希望消費者に上記イベントのインセンティブが配布される。インセンティブ配布部113は、インセンティブ管理システム6から、上記インセンティブが配布された消費者の情報を含むインセンティブ配布情報を取得し、当該取得されたインセンティブ配布情報を反応行動ログ情報記憶部123に記憶させる処理を実行する。
【0061】
イベント実施部114は、インセンティブ管理システム6に対して、上記配布されたインセンティブに関するインセンティブ利用情報を上記イベントの実施に伴って回収するためのインセンティブ回収指示を送信する処理を実行する。当該インセンティブ回収指示に応じて、インセンティブ管理システム6により、上記インセンティブ利用情報が回収される。その後、イベント実施部114は、インセンティブ管理システム6から、上記配布されたインセンティブを利用した消費者の情報を含むインセンティブ利用情報を取得し、当該取得されたインセンティブ利用情報を反応行動ログ情報記憶部123に記憶させる処理を実行する。
【0062】
ここで、反応行動ログ情報記憶部123に記憶される、イベント告知情報、イベント告知開封情報、イベント告知閲覧情報、イベント参加受け付け情報、インセンティブ配布情報、およびインセンティブ利用情報等の反応行動情報から、上記算出有無設定情報により設定された算出対象の測定項目について実績値が算出される。具体的には、制御ユニット11が備える図示していない実績値算出部の制御下で、先ず、VfM指標算出有無記憶部122に記憶される算出有無設定情報が参照される。その後、上記実績値算出部の制御下で、反応行動ログ情報記憶部123に記憶される上記反応行動情報のうち、当該参照された算出有無設定情報により設定された算出対象の測定項目に関係する反応行動情報が読み出され、当該読み出された反応行動情報に基づいて、上記算出対象の測定項目についての実績値が順次算出される。当該算出された実績値は、VfM指標履歴情報記憶部124に順次記憶される。
【0063】
VfM一次評価部115は、上記商品等の客観評価を含む一次評価を生成し、当該生成された一次評価の情報を一次評価記憶部125に記憶させる処理を実行する。当該一次評価は、例えば、VfM指標評価、定型分析処理結果、詳細分析処理結果、および仮説を含んでいる。
【0064】
具体的には、VfM一次評価部115は、先ず、VfM指標算出有無記憶部122に記憶されるVfM指標設定情報が示す、上記着目すべき任意の測定項目についてのVfM指標と、VfM指標履歴情報記憶部124に記憶される当該測定項目についての実績値とを読み出す処理を実行する。VfM一次評価部115は、当該読み出されたVfM指標と実績値とに基づいて、VfM指標評価を生成する処理を実行する。
【0065】
VfM一次評価部115は、上記生成されたVfM指標評価の結果に応じて次の処理を実行することができる。すなわち、VfM一次評価部115は、反応行動ログ情報記憶部123に記憶される上記反応行動情報を読み出し、当該読み出された反応行動情報に基づいて、イベント告知、イベント告知開封、イベント告知閲覧、イベント参加受け付け、インセンティブ配布、およびインセンティブ利用の工程別、広告媒体別、時間帯別、年齢および性別等の消費者属性別等の予め設定しておいた軸で集計した結果を元に分析する定型分析処理を実行する。さらに、VfM一次評価部115は、上記読み出された反応行動情報に基づいて、上記定型分析処理とは異なる軸を用いて分析する詳細分析処理を実行してもよい。なお、当該定型分析処理および詳細分析処理では、例えば、反応行動情報に含まれる消費者番号等の消費者の識別情報に基づいて、消費者情報データベース3から、当該識別情報に対応付けられた当該消費者の属性情報が取得されて利用される。
【0066】
VfM一次評価部115が備える仮説生成部1151は、上記生成されたVfM指標評価に少なくとも基づいて、上記商品等の市場価値評価に係る仮説を生成する処理を実行する。なお、当該生成される仮説は、例えば、上記定型分析処理および上記詳細分析処理の結果に基づくものであってもよい。
【0067】
市場価値評価部116は、上記商品等の価格に対する価値としての市場価値評価の生成処理を実行するものであり、リサーチ実施管理部1161と、仮説補正部1162と、将来予測部1163とを備えている。
【0068】
リサーチ実施管理部1161は、一次評価記憶部125に記憶される一次評価を読み出し、当該読み出された一次評価に基づいて上記商品等に係るリサーチを実施する処理を実行する。リサーチは、例えば、上記商品等に係るアンケートである。
【0069】
例えば、リサーチ実施管理部1161は、一次評価記憶部125に記憶される仮説を読み出し、当該読み出された仮説に基づいて上記商品等のリサーチ項目を生成する。その後、リサーチ実施管理部1161は、リサーチシステム7に対して、上記生成されたリサーチ項目を含む消費者へのリサーチを実施させるためのリサーチ実施指示を送信する処理を実行する。当該リサーチ実施指示に応じて、リサーチシステム7により、上記リサーチが実施される。当該リサーチは、例えば、上記イベントに参加した消費者の中から予めリサーチ対象に設定された消費者を対象として実施される。その後、リサーチ実施管理部1161は、リサーチシステム7から、消費者の主観評価を含む上記リサーチの回答を示すリサーチ回答情報を取得し、当該取得されたリサーチ回答情報をリサーチ回答ログ情報記憶部126に記憶させる処理を実行する。また、上記リサーチの対象の消費者は、リサーチ会員よりモデル会員をプロファイルから拡大して設定することができる。
【0070】
仮説補正部1162は、リサーチ回答ログ情報記憶部126に記憶されるリサーチ回答情報を読み出す処理を実行する。次に、仮説補正部1162は、当該読み出されたリサーチ回答情報に基づいて、上記仮説が妥当であったか否かを判定する処理を実行する。当該判定処理において使用される判定閾値は、例えば、予めリサーチ項目生成時に設定される。上記仮説が妥当ではなかったと判定された場合に、仮説補正部1162は、上記仮説を補正する処理を実行する。当該補正後の補正仮説に基づいて上記リサーチの実施処理を再度実行するようにしてもよい。
【0071】
市場価値評価部116は、リサーチ回答ログ情報記憶部126に記憶されるリサーチ回答情報を読み出す処理を実行する。その後、市場価値評価部116は、当該読み出されたリサーチ回答情報が示すリサーチの回答に基づいて、上記商品等の市場価値評価を生成し、当該生成された市場価値評価を市場価値評価記憶部127に記憶させる処理を実行する。
【0072】
将来予測部1163は、上記生成された市場価値評価に基づいて上記商品等に係る将来の売り上げを含む将来予測を実行し、当該将来予測の結果に係る情報を市場価値評価記憶部127に記憶させる処理を実行する。
【0073】
VfM評価報告部117は、市場価値評価記憶部127に記憶される、上記将来予測の結果に係る情報を読み出し、当該読み出された上記商品等に係る将来の売り上げを含む将来予測の結果に係る情報を、例えば、オペレータ端末2や、図示していない外部出力装置等に出力する処理を実行する。
【0074】
(動作)
次に、以上のように構成されたVfMマーケティングシステム1の動作を説明する。
図3Aは、
図2に示した制御ユニット11のイベント企画部111、イベント告知部112、インセンティブ配布部113、イベント実施部114、およびVfM一次評価部115によって実行される一次評価生成処理の一例を示すフロー図である。また、
図3Bは、
図2に示した制御ユニット11の市場価値評価部116によって実行される将来予測処理の一例を示すフロー図である。
【0075】
以下では、これらのフロー図について、例えば飲料メーカーA社が2018年4月1日に新発売する若い女性向け特保コーヒー飲料である商品「ヘルシーカフェ・スイート」の将来の売り上げを含む将来予測を実行する場合を例に挙げて、
図4Aから
図15Cを参照しながら詳細に説明する。
【0076】
(1)一次評価生成処理
先ず、
図3Aのフローで示す一次評価生成処理について詳細に説明する。なお、
図3Aのフローで示す一次評価生成処理は非限定的な一実施態様であり、本開示の一次評価生成処理はこれに限定されるものではない。
【0077】
ステップS11において、制御ユニット11は、イベント企画部111の制御の下、商品等のイベントの実施に必要な情報の設定処理として、VfM指標算出有無記憶部122にアクセスして、上記算出有無設定情報と上記VfM指標設定情報とを書き込む。当該算出有無設定情報の書き込み処理により、算出対象の測定項目が設定される。当該VfM指標設定情報の書き込み処理により、上記算出対象の測定項目のうち、イベント対象の商品等に関して着目すべき任意の測定項目についてVfM指標が設定される。なお、当該算出有無設定情報およびVfM指標設定情報の書き込み処理では、例えば、プロジェクトごとに異なるように測定項目についての算出有無およびVfM指標が記憶される。イベント企画処理として、イベント企画部111の制御の下、例えば、イベント自体の企画や、当該イベントにおいてターゲットとする消費者の定義や、当該イベントを告知する消費者の設定を実行してもよい。なお、ターゲットとする消費者は、例えば、消費者情報データベース3に記憶される消費者の属性情報を用いて定義するようにしてもよい。
【0078】
商品「ヘルシーカフェ・スイート」の例では、当該商品のプロモーションを兼ねたキャンペーンのイベントを利用することを設定する。また、当該イベントのインセンティブとして、当該キャンペーンにエントリーした人にはもれなく、所定のコンビニエンスストアで使用可能な、商品「ヘルシーカフェ・スイート」の無料引換券であるクーポンがプレゼントされるように設定する。さらに、ターゲットとする消費者として20代の女性を定義し、イベントを告知する消費者として、消費者情報データベース3に記憶されている所定の会員サービスの全会員を設定するものとする。
【0079】
図4Aおよび
図4Bは、商品「ヘルシーカフェ・スイート」のキャンペーンの際に使用される、算出有無設定情報およびVfM指標設定情報による設定状況の一例を示す表を図示している。
【0080】
図4Aおよび
図4Bの表中の算出有無の欄において、算出有無設定情報による設定状況が示されている。当該算出有無設定情報では、算出有無の欄に○が示されている測定項目が算出対象の測定項目に設定されている。具体的には、「11.告知」では「a.数」および「b.対告知率」が算出対象の測定項目に設定されている。「12.開封/既読」、「13.閲覧」、「14.クーポン応募」、「21.クーポン発行」、および「31.クーポン引換」では、「a.数」、「b.対告知率」、「c.成果単価」、および「d.単価上昇率」が算出対象の測定項目に設定されている。さらに、「41.重複申込」の「a.数」や、「51.引換指数」および「61.コスト効果指数」も算出対象の測定項目に設定されている。一方、
図4Aの表中の目標値の欄において、VfM指標設定情報による設定状況が示されている。当該VfM指標設定情報によって、上記算出対象の測定項目のうち商品「ヘルシーカフェ・スイート」に関して着目すべき任意の測定項目の各々について、目標値の欄に示されているVfM指標が設定されている。具体的には、「11.告知」では、「a.数」についてのVfM指標として目標値76,250,000が設定されている。「12.開封/既読」では、「a.数」についてのVfM指標として目標値22,593,750が、「b.対告知率」についてのVfM指標として目標値29.63%が設定されている。「13.閲覧」では、「a.数」についてのVfM指標として目標値19,826,563が、「b.対告知率」についてのVfM指標として目標値26.00%が設定されている。「14.クーポン応募」では、「a.数」についてのVfM指標として目標値87,500が、「b.対告知率」についてのVfM指標として目標値0.11%が設定されている。「21.クーポン発行」では、「a.数」についてのVfM指標として目標値70,000が、「b.対告知率」についてのVfM指標として目標値0.09%が設定されている。「31.クーポン引換」では、「a.数」についてのVfM指標として目標値46,667が、「b.対告知率」についてのVfM指標として目標値0.06%が設定されている。
【0081】
なお、
図4Aの表において、「13.閲覧」の「a.数」は、A社ウェブサイトキャンペーン応募ページが閲覧された全体の数であり、「14.クーポン応募」、「21.クーポン発行」、および「31.クーポン引換」の「b.対告知率」は、告知した消費者数のうち各項目に対応する反応または行動を行った消費者数の割合である。
図4Bの表において、「51.引換指数」は、「31.クーポン引換」/「13.閲覧」から算出するものであり、「61.コスト効果指数」は、「31.クーポン引換」/「合計広告料」から算出するものである。
【0082】
ステップS12において、制御ユニット11は、イベント告知部112の制御の下、イベント告知システム4を利用して、商品等のイベントを消費者に告知する。その後、制御ユニット11は、イベント告知部112の制御の下、イベント告知システム4から、上記イベントを告知した消費者の情報を含むイベント告知情報と、当該イベントの告知が開封されたあるいは既読となった消費者の情報を含むイベント告知開封情報とを取得する。当該取得されたイベント告知情報およびイベント告知開封情報は、反応行動ログ情報記憶部123に記憶される。なお、例えば、告知実績の把握が困難である従来広告メディアをイベント告知システム4が用いる場合には、イベント告知情報またはイベント告知開封情報は、消費者がイベントへの参加希望をウェブサイト上で行う際に当該イベントの認知に用いた広告媒体を入力することによって取得されるものであってもよい。
【0083】
ステップS13において、制御ユニット11は、イベント告知部112の制御の下、イベント参加受け付けシステム5から、例えばウェブサイト上の上記イベントの告知ページを閲覧した消費者の情報を含むイベント告知閲覧情報と、上記イベントの告知ページにおいて受け付けられた上記イベントへの参加希望消費者の情報を含むイベント参加受け付け情報とを取得する。当該取得されたイベント告知閲覧情報およびイベント参加受け付け情報は、反応行動ログ情報記憶部123に記憶される。なお、例えば、閲覧実績の把握が困難である従来告知ページをイベント参加受け付けシステム5が用いる場合には、イベント告知閲覧情報は、消費者がイベントへの参加希望を行う際に当該イベントの告知を閲覧している媒体を入力することによって取得されるものであってもよい。
【0084】
図5は、商品「ヘルシーカフェ・スイート」のキャンペーンにおける告知反応ログ情報の一例を示す図である。
図5中、「反応種別」として「広告送付」が示されているレコードは、イベント告知情報に対応している。また、「反応種別」として「閲覧」が示されているレコードは、イベント告知閲覧情報に対応している。さらに、「反応種別」として「応募」が示されているレコードは、イベント参加受け付け情報に対応している。
【0085】
ステップS14において、制御ユニット11は、インセンティブ配布部113の制御の下、反応行動ログ情報記憶部123に記憶されるイベント参加受け付け情報を読み出し、当該読み出されたイベント参加受け付け情報に基づいて、インセンティブ管理システム6を利用して、上記イベントへの参加希望消費者に上記イベントのインセンティブを配布する。当該インセンティブは、例えば、上記商品等の無料引換券等のクーポンであってもよい。その後、制御ユニット11は、インセンティブ配布部113の制御の下、インセンティブ管理システム6から、上記インセンティブが配布された消費者の情報を含むインセンティブ配布情報を取得する。当該取得されたインセンティブ配布情報は、反応行動ログ情報記憶部123に記憶される。
【0086】
図6は、商品「ヘルシーカフェ・スイート」のキャンペーンにおけるクーポン発行ログ情報の一例を示している。
図6中、「反応種別」として「クーポン発行」が示されているレコードは、インセンティブ配布情報に対応している。
【0087】
次に、ステップS15において、制御ユニット11は、イベント実施部114の制御の下、インセンティブ管理システム6から、上記イベントの実施に伴って上記インセンティブを利用した消費者の情報を含むインセンティブ利用情報を取得する。当該取得されたインセンティブ利用情報は、反応行動ログ情報記憶部123に記憶される。
【0088】
図7は、商品「ヘルシーカフェ・スイート」のキャンペーンにおけるクーポン利用ログ情報の一例を示している。
図7中、「反応種別」として「クーポン利用」が示されているレコードは、インセンティブ利用情報に対応している。
【0089】
ステップS12において取得されたイベント告知情報およびイベント告知開封情報、ステップS13において取得されたイベント告知閲覧情報およびイベント参加受け付け情報、ステップS14において取得されたインセンティブ配布情報、およびステップS15において取得されたインセンティブ利用情報等の反応行動情報から、上記算出有無設定情報により設定された算出対象の測定項目について実績値が算出され、当該算出された実績値がVfM指標履歴情報記憶部124に順次記憶される。
【0090】
次に、ステップS16、ステップS17、およびステップS18において、制御ユニット11は、VfM一次評価部115の制御の下、上記商品等の客観評価を含む一次評価を生成する。当該一次評価には、例えば、消費者へのイベント告知時の媒体効果(広告媒体別に見た、応募した、交換した)も含まれていてもよい。
【0091】
ステップS16では、制御ユニット11は、VfM一次評価部115の制御の下、VfM指標算出有無記憶部122に記憶される上記着目すべき任意の測定項目についてのVfM指標と、VfM指標履歴情報記憶部124に記憶される当該測定項目についての実績値とを読み出す。その後、制御ユニット11は、VfM一次評価部115の制御の下、当該読み出されたVfM指標と実績値とに基づいて、VfM指標評価を生成する。
【0092】
ステップS17では、制御ユニット11は、VfM一次評価部115の制御の下、反応行動ログ情報記憶部123に記憶される上記反応行動情報を読み出し、当該読み出された反応行動情報に基づいて上述した定型分析処理や詳細分析処理を実行する。
【0093】
ステップS18では、制御ユニット11は、VfM一次評価部115が備える仮説生成部1151の制御の下、上記生成されたVfM指標評価に少なくとも基づいて、上記商品等の市場価値評価に係る仮説を生成する。当該生成される仮説は、商品または役務に係る企画の充足度、達成度の積み上げとなる。なお、当該生成される仮説は、例えば、上記定型分析処理および上記詳細分析処理の結果に基づくものであってもよい。
【0094】
図8A、
図8B、
図8C、および
図8Dは、商品「ヘルシーカフェ・スイート」のキャンペーンにおける、着目すべき任意の測定項目についてのVfM指標と実績値とに基づくVfM指標評価の一例を示す表を図示している。
図8A、
図8B、
図8C、および
図8Dの例では、各測定項目について広告媒体別にも実績値を算出するようにしており、さらに、「14.クーポン応募」、「21.クーポン発行」、「31.クーポン引換」の測定項目についてはターゲットカバー別にも実績値を算出するようにしている。
図8A、
図8B、および
図8Cの表では、測定項目についてのVfM指標として、例えば、目標の列に示される消費者数や、当該目標の列に示される消費者数を基準値とし各測定項目に対して算出される消費者数を当該基準値に対して百分比で表した数値の目標値である例えば100%を用いる。また、
図8A、
図8B、および
図8Cの表では、上記VfM指標評価として例えば目標達成状況が示されている。ここで、
図8Cの表に示されるクーポン引換の目標達成状況では、いずれの広告媒体を利用した場合にもターゲットカバーの目標達成状況が90%を下回っていることが分かる。このことは、ターゲットと定めていた20代会社員女性が、想定していたよりもクーポン引換を行わなかったことを意味している。
図8Dの表に示す「61.コスト効果指数」は、広告媒体1の合計広告料を¥5,000,000、広告媒体2の合計広告料を¥10,000,000、広告媒体3の合計広告料を¥30,000,000として算出されている。
【0095】
図9は、商品「ヘルシーカフェ・スイート」のキャンペーンにおいて、上記一次評価の一部である定型分析処理により生成された、消費者の性別および年齢別のクーポン利用状況を示す円グラフの一例を示す図である。当該定型分析処理により、ターゲットをカバーできていたかの評価をすることが可能である。
図9に示す各性別/年別構成比(%)の商品サービスターゲット層の合計値は「ターゲット達成率」という指標になる。
【0096】
図9に示すグラフから、想定より20代の女性がクーポン引換を行っていないことが分かる。また、
図9に示すグラフからは、商品「ヘルシーカフェ・スイート」は一般的に、20代から40代の女性に幅広く受けており、中でも30代の女性によるクーポン利用の割合が最も大きいことが分かる。また、商品「ヘルシーカフェ・スイート」は、女性ほどではないが20代から40代の男性にも一定の需要が有ることが分かる。
【0097】
図10は、商品「ヘルシーカフェ・スイート」のキャンペーンにおいて、上記一次評価の一部である詳細分析処理により生成された、商品「ヘルシーカフェ・スイート」に対する反応または行動の各工程別の反応状況を女性消費者の年齢別に集計した折れ線グラフの一例を示す図である。
【0098】
図10に示すグラフから、商品「ヘルシーカフェ・スイート」のA社ウェブサイトキャンペーン応募ページの閲覧数は20代の女性が最も多かったが、20代の女性が応募する率は30代から40代の女性よりも低いことが分かる。
【0099】
図11は、商品「ヘルシーカフェ・スイート」のキャンペーンにおいて、上記一次評価の一部である詳細分析処理により生成された、消費者の職種別のクーポン利用状況を示す円グラフの一例を示す図である。
【0100】
図11に示すグラフから、事務やアシスタントの職種による商品「ヘルシーカフェ・スイート」のクーポン利用の割合が最も大きいが、専門職や技術職によるクーポン利用の割合も大きいことが分かる。
【0101】
図8Aから
図11に示した表およびグラフから、商品「ヘルシーカフェ・スイート」の市場価値評価に係る仮説が生成される。
【0102】
例えば、ターゲットである20代の女性の閲覧数は多いにもかかわらず応募数が低いことから、ウェブサイトの商品紹介を確認してから応募を止めていることが考えられる。この場合、仮説生成部1151の制御の下、キャンペーン告知内容が20代の女性の嗜好にマッチしていないという仮説が生成される。当該生成された仮説は、例えば、VfMマーケティングシステム1から外部の図示していない表示部に出力され、当該表示部における表示をオペレータがレビューしてから確定されるようにしてもよい。
【0103】
また、デスクワークの20代から40代の女性のクーポン利用数が多いが、20代から40代の男性のクーポン利用数も多いことが分かる。この場合、仮説生成部1151の制御の下、普段あまり運動をしない人たちが健康のために購入するという仮説が生成される。当該生成された仮説は、例えば、VfMマーケティングシステム1から外部の図示していない表示部に出力され、当該表示部における表示をオペレータがレビューしてから確定されるようにしてもよい。
【0104】
なお、仮説は、上記VfM指標評価に基づいて以下のように生成されるものであってもよい。
【0105】
図12Aおよび
図12Bは、VfM指標評価に基づく検知条件と生成される仮説との対応関係を示す仮説生成テーブルの一例を示す図である。当該仮説生成テーブルは、例えば、ステップS11においてプロジェクトを登録する際にオペレータが設定してもよい。
図12Aおよび
図12Bの仮説生成テーブルの例では、仮説生成部1151の制御下で、上記VfM指標評価が当該仮説生成テーブル中のある検知条件を満足した場合、その検知条件に対応付けられている仮説が生成される。
図8A、
図8B、および
図8Cの例では、各測定項目に相当するVfM指標評価としての目標達成状況はNo.13およびNo.15の検知条件を満足しており、当該検知条件に対応付けられている仮説が生成される。なお、
図12Aおよび
図12Bに示す仮説生成テーブルは一例に過ぎず、例えば、仮説生成テーブルにおける検知条件では、任意のVfM指標に基づくVfM指標評価を任意に組み合わせて用いるようにしてもよい。
【0106】
あるいは、各測定項目についてのVfM指標について、当該測定項目についての実績値が当該VfM指標に係る数値を満足していないときに生成される仮説を予め設定しておいてもよい。当該仮説の設定は、例えば、ステップS11においてプロジェクトを登録する際にオペレータが設定してもよい。測定項目についての実績値がVfM指標に係る数値を満足していないようなVfM指標が存在するときに、仮説生成部1151の制御下で、当該VfM指標に対応する仮説が生成されるようにする。
【0107】
(2)将来予測処理
次に、
図3Bのフローで示す将来予測処理について詳細に説明する。なお、
図3Bのフローで示す将来予測処理は非限定的な一実施態様であり、本開示の将来予測処理はこれに限定されるものではない。
【0108】
ステップS21において、制御ユニット11は、市場価値評価部116が備えるリサーチ実施管理部1161の制御の下、ステップS18において生成された仮説に基づいて消費者への上記商品等のリサーチを実施する。当該リサーチは、例えば、消費者への上記商品等のアンケートである。
【0109】
当該リサーチの実施処理では、例えば、リサーチ実施管理部1161の制御の下、上記仮説に基づいて上記商品等のリサーチ項目が生成され、当該生成されたリサーチ項目に係る情報がVfMマーケティングシステム1の外部のリサーチシステム7に出力される。リサーチシステム7は、キャンペーンに参加した消費者の中から予めリサーチ対象に設定された消費者を対象として、上記生成されたリサーチ項目を含むリサーチを実施する。その後、制御ユニット11は、リサーチ実施管理部1161の制御の下、リサーチシステム7から、消費者の主観評価を含む上記リサーチの回答を示すリサーチ回答情報を取得する。なお、上記生成されたリサーチ項目は、例えば、VfMマーケティングシステム1から外部の図示していない表示部に出力され、当該表示部における表示をオペレータがレビューしてから確定されるようにしてもよい。また、上記リサーチの対象の消費者は、リサーチ会員よりモデル会員をプロファイルから拡大して設定することができる。このように、上記リサーチは、リサーチ項目とリサーチ対象者が抽出された上で実施されてもよい。
【0110】
なお、上記仮説に基づくリサーチの実施処理では、再帰的にリサーチを実施してもよい。例えば、予めリサーチ対象に設定されている消費者のうち今回のリサーチ範囲とは別の範囲の消費者や、上記仮説に係る上記反応行動情報に含まれる消費者の情報に基づいて選択された消費者を対象として、リサーチを再帰的に実施するようにしてもよい。あるいは、仮説に基づいて再度生成、または追加・改変・削除された新たなリサーチ項目を含むリサーチを再帰的に実施するようにしてもよい。このようにリサーチ対象の消費者を拡大または縮小して再帰的にリサーチを実施することにより将来予測の精度を上げることが可能である。
【0111】
上記では、仮説に基づくリサーチの実施処理の一実施態様として、仮説に基づいてリサーチ項目を生成し、予めリサーチ対象に設定された消費者を対象として上記生成されたリサーチ項目を含むリサーチを実施する例を説明した。しかしながら、仮説に基づくリサーチの実施処理はこれに限定されない。例えば、仮説に係る反応行動情報に含まれる消費者の情報に基づいて選択された消費者を対象として、予めリサーチ項目が設定されたリサーチを実施するようにしてもよい。あるいは、仮説に係る反応行動情報に含まれる消費者の情報に基づいて選択された消費者を対象として、仮説に基づいて生成されたリサーチ項目を含むリサーチを実施するようにしてもよい。
【0112】
なお、ステップS18においてVfM指標評価に基づいて仮説を生成し、当該生成された仮説に基づいてリサーチを実施する場合を説明した。しかしながら、ステップS18の仮説の生成処理は必須の構成ではない。例えば、ステップS16において生成されるVfM指標評価、ならびに、ステップS17において実行される上記定型分析処理および上記詳細分析処理の結果を、任意に組み合わせて利用して、リサーチを実施するようにしてもよい。
【0113】
図13Aから
図13Gは、商品「ヘルシーカフェ・スイート」の例において、仮説に基づいて生成されるアンケート項目の表示画面の一例を示す図である。
図13Aおよび
図13Bに示されるアンケート項目は、売り上げ予測に使用することができるアンケート項目である。
図13Cに示されるアンケート項目は、キャンペーン告知内容が20代の女性の嗜好にマッチしていないという上記仮説に基づいて生成されるアンケート項目である。また、
図13Dおよび
図13Eに示されるアンケート項目は、普段あまり運動をしない人たちが健康のために購入するという上記仮説に基づいて生成されるアンケート項目である。さらに、
図13Fおよび
図13Gに示されるアンケート項目は、
図12Aおよび
図12Bの例においてNo.15の検知条件に対応付けられている上記仮説に基づいて生成されるアンケート項目である。例えばアンケート項目は予め仮説に対応付けられており、上述したように、仮説に基づいて当該仮説に対応付けられているアンケート項目が生成される。また、リサーチの対象として、予めリサーチ対象に設定された消費者のうち、例えば、商品「ヘルシーカフェ・スイート」のキャンペーンに応募したがクーポン利用しなかった20代の女性、および、クーポン利用した20代から40代の消費者を選択してもよい。
【0114】
ステップS22において、制御ユニット11は、市場価値評価部116が備える仮説補正部1162の制御の下、上記リサーチ回答情報に基づいて、上記仮説が妥当であったか否かを判定する。当該判定処理において使用される判定閾値の登録は、例えば、ステップS11の処理の際に設定される。
【0115】
図14Aから
図14Eは、商品「ヘルシーカフェ・スイート」の例において、閲覧したがクーポン利用しなかった20代の女性、および、クーポン利用した20代から40代の消費者を対象としたアンケートの集計結果の表示画面の一例を示す図である。
図14Aから
図14Eに示されるアンケートの集計結果は各々、
図13Cから
図13Gに示されるアンケート項目に対応している。
【0116】
図14Aから
図14Eに示されるように、アンケート項目に対する回答の各選択肢は、当該アンケート項目に係る仮説に関して消費者の主観的な意見が反映されるものである。したがって、例えば、
図14Aに示される「Q14.あなたが「ヘルシーカフェ・スイート」キャンペーンに応募しなかった理由を教えてください。」とのアンケート項目に対する各選択肢の回答の割合を予め設定しておいた判定閾値と比較することにより、キャンペーン告知内容が20代の女性の嗜好にマッチしていないという仮説が妥当であったか否かを判定することができる。同様の処理により、
図14Bおよび
図14Cに示されるアンケート項目に対する各選択肢の回答の割合から、普段あまり運動をしない人たちが健康のために購入するという仮説が妥当であったか否かを判定することができる。また、
図14Dおよび
図14Eに示されるアンケート項目に対する各選択肢の回答の割合から、
図12Aおよび
図12Bの例に関連して上述した、No.15の検知条件が満足されたときに生成される仮説が妥当であったか否かを判定することができる。
【0117】
なお、仮説が妥当であったか否かの判定処理は、例えば、構造方程式モデリング(Structural Equation Modeling:SEM)を用いて実行してもよい。そのような判定処理では、例えば、消費者の購買に係る仮説としてのモデルについて、観測変数に対応するリサーチ項目のアンケート集計結果からモデル適合度を算出し、当該モデル適合度を判定閾値と比較することによって、仮説が妥当であったか否かを判定する。
【0118】
ステップS22において上記仮説が妥当ではなかったと判定された場合、ステップS23からステップS24に分岐する。
【0119】
ステップS24において、制御ユニット11は、仮説補正部1162の制御の下、上記仮説を補正し、その後、ステップS21からの処理が再度実行される。当該仮説の補正処理では、例えば、イベントログ(期待値)からの評価(システムにより生成)とその結果(実績値)の差より仮説が補正される。
【0120】
なお、仮説の補正処理では、上述した例のように複数の仮説が生成されている場合は、例えば、当該複数の仮説のうち妥当ではなかったと判定された仮説を除くようにするものであってもよい。また、
図12Aおよび
図12Bの例のように検知条件に基づいて仮説が生成される場合は、仮説の補正処理では、例えば、検知条件および当該検知条件に対応付けられている仮説を修正した上でVfM指標評価が満足する検知条件に対応付けられている仮説が再度生成されるようにしてもよい。さらに、上述したように仮説が妥当であったか否かを構造方程式モデリングを用いて実行するような場合には、仮説の補正処理では、因子分析等の数学的技法を用いて仮説をカスタマイズするようにしてもよい。
【0121】
一方、ステップS22において上記仮説が妥当であったと判定された場合、ステップS23からステップS25に分岐する。
【0122】
ステップS25において、制御ユニット11は、市場価値評価部116の制御の下、上記リサーチ回答情報が示すリサーチの回答に基づいて、上記商品等の市場価値評価を生成する。当該市場価値評価は、市場満足度(ベンチマークできる数値)といってもよい値であり、商品サービス企画項目(狙い)に対する充足度とその加減算合計値および消費者属性別、肯定(購買)確率によって構成される最終指標群である。商品が食品の場合を例にとると、当該市場価値評価は、例えば、次のように表される。
Σ(評価×重み)=味5×10%+量3×5%+…
【0123】
ステップS26において、制御ユニット11は、市場価値評価部116が備える将来予測部1163の制御の下、ステップS25において生成された市場価値評価に基づいて上記商品等に係る将来の売り上げを含む将来予測を実行する。当該将来予測処理では、例えば、上記リサーチ回答情報に含まれる各消費者の属性情報と、上記リサーチ回答情報が示す当該消費者からの上記リサーチの回答に基づいて、単純推計方式の拡大推計と、複雑推計方式、例えばベイジアンネットワーク方式の拡大推計との少なくとも一方を実行することにより、上記将来予測が実行される。なお、当該ベイジアンネットワーク方式の拡大推計は、例えば、上記リサーチの各項目に対する回答の選択肢間で購買確率を設定しておき、上記リサーチ回答情報により示される当該購買確率を用いて実行されるようにしてもよい。当該購買確率の設定は、例えば、リサーチ項目の生成または確定の際にオペレータが設定してもよい。
【0124】
図15A、
図15B、および
図15Cは、商品「ヘルシーカフェ・スイート」の例における、商品「ヘルシーカフェ・スイート」の売り上げ予測の結果の一例を示す図である。
図15A、
図15B、および
図15Cにおける売り上げ予測は、例えば、
図13Aおよび
図13Bに示したアンケート項目に対する消費者の回答の集計結果に基づいて実行することができる。
図15Aは、マーケット売り上げ個数からの単純推計に基づく売り上げ予測の結果を示している。
図15Bは、消費者の属性別での単純推計に基づく売り上げ予測の結果を示している。
図15Cは、ベイジアンネットワーク方式の拡大推計に基づく売り上げ予測の結果を示している。なお、
図15A、
図15B、および
図15Cの例におけるキャンペーン反響係数としては、予め設定されている係数を利用してもよく、あるいは、対応するアンケート項目についての消費者の回答に基づいて導出されるものを利用してもよい。
【0125】
ステップS27において、制御ユニット11は、VfM評価報告部117の制御の下、ステップS26において実行された上記商品等に係る将来の売り上げを含む将来予測の結果に係る情報を、図示していない外部出力装置に出力する。
【0126】
(効果)
(1)先ず、イベント企画部111の制御の下、VfM指標算出有無記憶部122に、算出有無設定情報とVfM指標設定情報とが書き込まれる。当該算出有無設定情報の書き込み処理により、算出対象の測定項目が設定される。当該VfM指標設定情報の書き込み処理により、上記算出対象の測定項目のうち、イベント対象の商品等に関して着目すべき任意の測定項目についてVfM指標が設定される。イベント告知部112、インセンティブ配布部113、およびイベント実施部114の制御の下、イベント告知システム4、イベント参加受け付けシステム5、およびインセンティブ管理システム6が利用されて商品等のイベントが実施され、当該イベントの実施に伴って当該イベントのインセンティブを利用した消費者の情報を含むインセンティブ利用情報が取得される。VfM一次評価部115の制御の下、当該取得されたインセンティブ利用情報を含む反応行動情報に基づいて、上記商品等の客観評価を含む一次評価が生成される。当該一次評価の生成処理では、VfM一次評価部115の制御の下、上記VfM指標設定情報が示す上記着目すべき任意の測定項目についてのVfM指標と、当該測定項目についての実績値とに基づいて、VfM指標評価が生成され、仮説生成部1151の制御の下、当該生成されたVfM指標評価に少なくとも基づいて、上記商品等の市場価値評価に係る仮説が生成される。その後、リサーチ実施管理部1161の制御の下、当該生成された仮説に基づいて消費者への上記商品等のリサーチが実施される。市場価値評価部116の制御の下、当該実施されたリサーチの回答に基づいて上記商品等の市場価値評価が生成される。将来予測部1163の制御の下、当該生成された市場価値評価に基づいて上記商品等に係る将来の売り上げを含む将来予測が実行される。
【0127】
このようなイベントおよびリサーチに基づく市場価値評価生成処理および将来予測処理は、例えば過去の経済環境ではなく、その時々の経済環境が反映されるデータに基づくものとすることが可能である。したがって、このような将来予測を、過去のデータの統計的解析のみに依存して売り上げ予測を行うような手法と比較して、広範囲の予測分野にわたってより信頼性の高いものとすることが可能となる。
【0128】
また、上記将来予測には、上述したように消費者へのリサーチを利用して、例えば買い手側の消費者の主観的な意見を反映させることができる。当該リサーチを上述したように一次評価に基づいて実施することにより、例えば、一次評価で得られた情報の再確認を行ったり、一次評価で得られた情報とは異なる観点の評価を行ったりすることが可能となる。したがって、このような将来予測をさらに目的性が高く精度も高いものとすることが可能となる。
【0129】
また、上述したように、VfM指標という数値評価可能な指標に基づいて上記一次評価を生成することが可能となる。このように生成された一次評価に基づいて上記リサーチが実施されるので、上記市場価値評価および将来予測をより精度が高いものとすることが可能となる。また、任意の測定項目についてVfM指標を設定することができるため、必要な項目に着目した市場価値評価および将来予測を実行することが可能となる。
【0130】
また、上記イベントの実施に伴って、消費者が反応または行動した結果の情報を順次蓄積して、当該蓄積される情報から上記VfM指標に係る測定項目についての実績値を時系列的に算出することができる。当該情報は、例えば複数回イベントを実行する間に継続して蓄積するようにしてもよい。このように時系列的に算出される実績値を用いることにより、時系列的に上記市場価値評価の傾向や推移を評価および分析することも可能となる。このような上記市場価値評価の傾向や推移の評価および分析により、商品または役務に係るマーケティング活動の運営に関する将来予測、商品または役務に係る売り上げの将来予測、ならびに、商品または役務の開発および改廃方向に関する将来予測を精度の高いものとすることが可能になる。さらに、上記商品または役務に関して着目すべき任意の測定項目についての指標である上記VfM指標について、当該VfM指標に係る測定項目についての実績値を算出していることから、例えば商品等に対する消費者の反応または行動について同一のVfM指標を適用して、他社、他業界、および他業種の商品等を横断的に評価することも可能となる。
【0131】
さらに、上記生成された仮説は、VfM指標という数値評価可能な指標に基づいたものである。例えば、上述したように当該仮説に基づいて実施されるリサーチでは、当該リサーチに含まれるリサーチ項目をこのような仮説に基づいて生成したものとしたり、当該リサーチの対象の消費者をこのような仮説に基づいて選択したりすることも可能である。このようなリサーチに基づいて上記市場価値評価生成処理および将来予測処理を実施することにより、将来予測をより精度が高いものとすることが可能となる。
【0132】
このような将来予測の結果に基づいて、例えば、どの商品の販売を継続し、どの役務の提供を継続するべきか、どの商品の販売を中止し、どの役務の提供を中止するべきか、あるいは、どの商品および役務を改良するべきかを判定することが可能となる。また、上記将来予測では将来の売り上げの予測だけではなく商材価値も分かるので、商品をどれだけ生産すればよいかの生産計画や、役務の提供をどの程度の規模にすればよいかの計画も判定可能となる。
【0133】
(2)仮説補正部1162の制御の下、上記実施されたリサーチの回答を示すリサーチ回答情報に基づいて、上記仮説が妥当であったか否かが判定される。上記仮説が妥当ではなかったと判定された場合、仮説補正部1162の制御の下、上記仮説が補正される。その後、上述したリサーチ実施管理部1161の制御下での処理が再度実行される。
【0134】
このように、上記仮説が妥当なものとなるまで当該仮説の補正を再帰的に行うことが可能となり、したがって、当該補正後の補正仮説から導かれる上記将来予測の結果を、より信頼性が高いものとすることが可能となる。
【0135】
(3)上記商品等の将来予測処理では、例えば、上記リサーチ回答情報に含まれる各消費者の属性情報と、上記リサーチ回答情報が示す当該消費者からの上記リサーチの回答に基づいて、単純推計方式の拡大推計と複雑推計方式(例えば、ベイジアンネットワーク方式)の拡大推計との少なくとも一方を実行することにより、上記将来予測が実行される。例えば、単純推計方式の拡大推計では、演繹的な拡大推計が実行され、複雑推計方式の拡大推計では、演繹的または再帰的な拡大推計が実行される。
【0136】
このような拡大推計を実行することによって、上記リサーチの対象である限られた消費者だけではなく上記商品または役務の潜在的な購買層である消費者が、売り上げにどれだけ貢献するかを予測することが可能である。また、上記リサーチの対象の消費者の属性情報の分布が、上記商品または役務の潜在的な購買層である消費者全体の属性情報の分布と比較して偏りがある場合であっても、例えば、属性情報毎に適切に重み付けを行って分布の偏りを補正することにより、当該拡大推計に基づく上記将来予測をより精度が高いものとすることが可能となる。また、単純な「売り上げ予測」でなく、実績をログ化し、指標(情報)化して蓄積し、分析することで、マーケティング活動の運営や、商品または役務に係る売り上げ、開発および改廃方向に関する将来予測を精度の高いものにすることが可能となる。
【0137】
[他の実施形態]
この発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記第1の実施形態では、インセンティブとしてクーポン等の一種類のインセンティブを用いる例について主に説明した。しかしながら、インセンティブとして、無料引換券や割り引き券等の複数種のクーポン、商品等の購買に際し消費者が取得するボーナスポイント、商品等の購買に際し消費者が取得する他の商品等の無料引換券や割り引き券等の複数種のクーポン等の、複数種のインセンティブを同時に用いるようにしてもよい。この場合、上述したインセンティブ配布情報およびインセンティブ利用情報には、例えば消費者が取得および利用するインセンティブの種類を示す情報が含まれるようにしてもよい。また、上述したインセンティブ管理システム以外に、各インセンティブに対して、それぞれのインセンティブを管理するインセンティブ管理システムを用いるようにしてもよい。
【0138】
また、VfM指標に、インセンティブを複数回利用した消費者に係る測定項目についての指標と、インセンティブを利用していない消費者に係る測定項目についての指標と、特定のインセンティブを選択した消費者に係る測定項目についての指標とのうちの少なくとも1つが含まれるようにしてもよい。
【0139】
ここで、インセンティブを複数回利用した消費者には、例えば、上記商品または役務の価値が高いと評価している消費者が含まれている。したがって、上記インセンティブを複数回利用した消費者に係る測定項目についてVfM指標を設定することにより、上記商品または役務の価値に関する肯定的な側面を評価することが可能である。
【0140】
また、インセンティブを利用していない消費者には、例えば、上記イベントへの参加を希望していたにもかかわらずインセンティブを利用していない消費者や、インセンティブを受け取ったにもかかわらずインセンティブを利用していない消費者が含まれる。したがって、上記インセンティブを利用していない消費者に係る測定項目についてVfM指標を設定することにより、例えば、上記商品または役務に係る評価を向上させる余地があるかを検証したり、上記商品または役務に係る評価を向上させるにはどのような手法をとるべきかを検証したりすることが可能である。
【0141】
さらに、例えば、複数種のインセンティブ(値引き・引換・ポイント等)の中から消費者が利用するインセンティブを選択する場合に、特定のインセンティブを選択した消費者の統計を取得したい場合がある。例えば、消費者が選択するインセンティブ毎に、消費者による上記商品または役務の価値の評価の種類を定めることができる。したがって、上記特定のインセンティブを選択した消費者に係る測定項目についてVfM指標を設定することにより、上記商品または役務の価値をより高品位に評価することが可能である。すなわち、消費者が求めるインセンティブを複数準備することで、インセンティブ毎に市場価値を測る基準価値を設定して分析することにより、上記将来予測の精度を高めることができる。
【0142】
このように、上述したようなVfM指標を、例えば、上記一次評価生成処理、上記仮説生成処理、あるいは上記リサーチの実施処理に利用することによって、当該リサーチに基づく上記市場価値評価をより精度が高いものとすることが可能となる。したがって、当該市場価値評価に基づく上記将来予測もより精度が高いものとすることができる。
【0143】
また、上記第1の実施形態では、着目すべき任意の測定項目についてのVfM指標と実績値とに基づいたVfM指標評価が生成される例について説明した。ここで、例えば、算出有無設定情報により設定される算出対象の測定項目毎に、当該測定項目に関係する反応行動情報が取得され得る期間を設定しておき、当該期間中かつ当該測定項目についての実績値がVfM指標に係る数値を満足していない場合に、当該期間のうちの残りの期間、および、当該測定項目についてのVfM指標と実績値とに基づいて、消費者にリマインドを行う必要があるか否かを判定し、当該判定に応じてリマインドを行うようにしてもよい。
【0144】
また、上記第1の実施形態では、反応行動情報に消費者番号等の消費者の識別情報が含まれる例について説明した。このような例では、上述したように、消費者情報データベースに記憶される消費者の識別情報と当該消費者の属性情報との対応付けを利用して、反応行動情報に係る消費者の属性情報が取得される。しかしながら、反応行動情報に、上述したような消費者番号等の消費者の識別情報に加えて消費者の属性情報そのものが含まれるようにしてもよい。
【0145】
また、上記第1の実施形態では主に、仮説が妥当ではないと判定された場合に当該仮説が補正されるものとして説明した。しかしながら、仮説が妥当ではなかった場合には、新たな仮説を取得するようにしてもよい。
【0146】
その他、VfMマーケティングシステムの構成や、VfM指標マスタ、VfM指標算出有無記憶部、反応行動ログ情報記憶部、VfM指標履歴情報記憶部、一次評価記憶部、リサーチ回答ログ情報記憶部、市場価値評価記憶部にそれぞれ記憶されるデータの構造等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施可能である。
【0147】
要するにこの発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0148】
1…VfMマーケティングシステム、11…制御ユニット、111…イベント企画部、112…イベント告知部、113…インセンティブ配布部、114…イベント実施部、115…VfM一次評価部、1151…仮説生成部、116…市場価値評価部、1161…リサーチ実施管理部、1162…仮説補正部、1163…将来予測部、117…VfM評価報告部、12…記憶ユニット、121…VfM指標マスタ、122…VfM指標算出有無記憶部、123…反応行動ログ情報記憶部、124…VfM指標履歴情報記憶部、125…一次評価記憶部、126…リサーチ回答ログ情報記憶部、127…市場価値評価記憶部、13…通信インタフェースユニット、2…オペレータ端末、3…消費者情報データベース、4…イベント告知システム、5…イベント参加受け付けシステム、6…インセンティブ管理システム、7…リサーチシステム、NW…通信ネットワーク
【手続補正書】
【提出日】2024-08-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イベントの実施に伴って、消費者が反応または行動した結果の情報から、商品または役務に関して着目すべき任意の測定項目についての実績値を取得し、
前記商品または役務に関して着目すべき任意の測定項目についての指標と実績値に基づいた評価に少なくとも基づいて、商品または役務の市場価値評価に係る仮説を生成し、
前記商品または役務の市場価値評価に係る仮説に基づいて、消費者への前記商品または役務に係るリサーチを実施し、
前記消費者の主観評価を含む前記リサーチの実施結果に基づいて、前記商品または役務に係る将来の売り上げを含む将来予測を実行すること、をコンピュータに実行させる、
コンピュータプログラム。
【請求項2】
前記商品または役務に関して着目すべき任意の測定項目についての指標はVfM指標であり、
前記商品または役務に関して着目すべき任意の測定項目についての指標と実績値に基づいた評価は、前記VfM指標と実績値に基づいたVfM指標評価である、請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項3】
前記市場価値評価は、前記商品または役務についての価格に対する価値を表す、請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項4】
前記コンピュータプログラムは、さらに、
前記リサーチの実施結果に基づいて、前記仮説が妥当であったか否かを判定し、前記仮説が妥当ではなかったと判定された場合に前記仮説を補正し、
前記補正された補正仮説に基づいて、前記消費者への前記商品または役務に係る第2以降のリサーチを実施し、
当該第2以降のリサーチの実施結果に基づいて、前記商品または役務の市場価値評価を生成すること、をコンピュータに実行させる、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項5】
前記将来の売り上げを含む将来予測を実行することは、前記リサーチに回答した各消費者の属性情報と当該消費者からの前記リサーチの回答に基づいて単純推計方式の拡大推計と複雑推計方式の拡大推計との少なくとも一方を実行すること、を備える、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項6】
前記コンピュータプログラムは、さらに、
前記将来予測の結果に係る情報を出力すること、をコンピュータに実行させる、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項7】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
イベントの実施に伴って、消費者が反応または行動した結果の情報から、商品または役務に関して着目すべき任意の測定項目についての実績値を取得し、
前記商品または役務に関して着目すべき任意の測定項目についての指標と実績値に基づいた評価に少なくとも基づいて、商品または役務の市場価値評価に係る仮説を生成し、
商品または役務の市場価値評価に係る仮説に基づいて、消費者への前記商品または役務に係るリサーチを実施し、
前記消費者の主観評価を含む当該リサーチの実施結果に基づいて、前記商品または役務に係る将来の売り上げを含む将来予測を実行すること、を備える、情報処理方法。
【請求項8】
メモリと、
前記メモリに接続されたプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、前記メモリに記録された、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のコンピュータプログラムを実行するように構成される、情報処理装置。