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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163171
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】薬剤仕分装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
A61J3/00 310K
A61J3/00 310E
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024149985
(22)【出願日】2024-08-30
(62)【分割の表示】P 2022559184の分割
【原出願日】2021-10-27
(31)【優先権主張番号】P 2020181712
(32)【優先日】2020-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021095967
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】天野 弘和
(72)【発明者】
【氏名】阿部 剛
(72)【発明者】
【氏名】北村 直樹
(57)【要約】
【課題】薬剤の判別結果のエビデンスの提示を可能にすると共に、多様なマークに対応できる。
【解決手段】コンピュータ(60)は、特徴抽出部(64)と、判別部(65)と、を備える。特徴抽出部は、薬剤に形成されたマークを抽出するように構築された学習済みモデル(84)に、種類不明の対象薬剤を撮像した撮像画像(82)を入力して得られる出力値に基づき、撮像画像に写るマークを抽出した抽出マーク画像(83)を生成する。判別部は、抽出マーク画像と、薬剤の種類毎に予め登録された登録マーク画像との照合結果に基づき、対象薬剤の種類を判別する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1区画を有し、複数種類の薬剤を収容可能な第1収容部と、
複数の第2区画を有し、前記第2区画のそれぞれに、種類毎に前記薬剤を収容可能な第2収容部と、
前記第1収容部に収容される薬剤の種類を示す情報を読取る読取部と、
前記読取部が読取った情報に基づき、前記第1収容部に収容される薬剤の種類数を計数する計数部と、
前記計数部が計数した薬剤の種類数の合計が前記第2区画の数に達するたびに、薬剤の収容先となる第1区画を変更するよう報知する報知部と、
前記第1区画毎に、前記第1収容部に収容された薬剤を前記第2収容部に搬送し、前記第2収容部において種類毎に収容する搬送部と、を備える、薬剤仕分装置。
【請求項2】
前記情報は、前記薬剤を分包した分包紙に印字されている、請求項1に記載の薬剤仕分装置。
【請求項3】
前記第2収容部に収容された薬剤を分包する分包部と、
前記第1収容部に収容された薬剤のうち、種類を判別できなかった薬剤を収容する仮収容部と、を備え、
前記分包部は、前記搬送部が1つの前記第1区画に収容された全ての薬剤を前記第2収容部又は前記仮収容部に搬送した後、前記第2収容部に収容された薬剤の分包を開始する、請求項1又は2に記載の薬剤仕分装置。
【請求項4】
前記搬送部は、前記第2収容部に収容された全ての薬剤を前記分包部に搬送した後、別の第1区画に収容された薬剤の前記第2収容部への搬送を開始する、請求項3に記載の薬剤仕分装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤を撮像した画像を用いて当該薬剤の種類を判別する種類判別装置等に関する。また、本発明は、薬剤を種類毎に仕分ける薬剤仕分装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、返品された複数種類の薬剤は、薬剤師または医師の手により種類毎に仕分けられていた。返品される薬剤は、様々な患者に処方される、または処方された調剤後の薬剤である。そのため、1患者単位の処方箋情報に基づいて、調剤機器等に予め薬種単位でまとめられた薬種群(薬剤カセット)から、一服用時期単位毎に、(1種または複数種の)薬剤(錠剤)を取りまとめる(分包する)調剤業務に比べて、複数の患者に処方された薬剤がまとめて返品される薬剤の種類は非常に多い。そのため、返品された薬剤を自動的に仕分けて、再利用することの有用性は高い。
【0003】
薬剤の自動仕分けにおいては、薬剤を撮像した画像からその薬剤の種類を判別する必要があり、この種類判別における大きな手掛かりの1つが薬剤に形成されたマークである。なお、マークには、刻印されたものも印字されたものも含まれる。また、マークの内容も様々であり、例えば図形、記号、文字、および数字が挙げられる。
【0004】
なお、特許文献2には、薬剤の自動仕分けを実現する薬剤仕分装置が開示されている。特許文献2の薬剤仕分装置は、第1収容部に収容された複数種類の薬剤を1つずつ撮像し、撮像した画像に基づき薬剤の種類を判別し、その判別結果に基づき第2収容部に種類毎に仕分ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-52627号公報
【特許文献2】国際公開2018/190394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
マークに基づく薬剤の種類判別を高精度に行うことは難しい。これは、上述のように、マークの内容は多様であり、また、撮像時の薬剤への光の当たり方等によって撮像画像におけるマークの外観が変わってしまうためである。
【0007】
ここで、従来から、機械学習を用いた画像処理技術が知られている。例えば、上記特許文献1には、画像による症例の判断の支援等、医療分野において、学習済みモデルを用いることが記載されている。より詳細には、特許文献1には、学習済みモデルの入力層への医用情報の入力に応じて、学習済みモデルの出力層が出力した判別結果の妥当性を、記憶部が記憶する演算結果に関する情報と、学習済みモデルの中間層が出力する演算結果と、に基づき判定する検証システムが開示されている。この検証システムによれば、上記判別結果の妥当性を検証できる。
【0008】
薬剤の種類判別に学習済みモデルを適用すれば、判別精度の向上が期待できる。しかしながら、薬剤の種類を判別する学習済みモデルを用いた場合、判別結果に対する根拠の説明が難しい、言い換えれば判別結果のエビデンスの提示が難しいという問題がある。例えば、薬剤の種類を判別する学習済みモデルに、学習させていない薬剤の画像が入力された場合に、どのような判別結果が出力されるかは予測することは難しい。そして、判別結果が誤っていた場合に、医療現場ではその判別結果のエビデンスが必要となる。しかし、上記のような学習済みモデルを使用していた場合には、エビデンスを提示することが難しい。
【0009】
また、上述のように、薬剤に形成されるマークの内容は多様であるから、それら全てを学習した学習済みモデルを構築するには費用、人手、時間等の多大なコストを要するという問題もある。
【0010】
本発明の一態様は、薬剤の種類を判別する種類判別装置であって、判別結果のエビデンスの提示を可能にすると共に、多様なマークに対応可能な種類判別装置等を実現することを目的とする。
【0011】
また、特許文献2の薬剤仕分装置では、第1収容部に収容される薬剤の種類数を限定していない。一方で、第2収容部に収容可能な薬剤の種類数は限定される。そのため、第2収容部に収容可能な種類数を超えた薬剤が第1収容部に収容された場合、種類を判別したとしても第2収容部に収容できない薬剤が発生することになる。特許文献2の薬剤仕分装置は、第2収容部に収容できない薬剤については、一旦、第2収容部とは異なる待機位置(待機トレイ)において第2収容部への仕分けを待機させる。
【0012】
特許文献2の薬剤仕分装置では、第1収容部に収容された全ての薬剤を第2収容部又は待機位置に搬送した後に、例えば第2収容部の薬剤を分包することにより、第2収容部から薬剤を取り除く。その後、特許文献2の薬剤仕分装置は、待機位置で待機させた薬剤の種類を再度判別し、第2収容部に種類毎に収容していく。ここで、第2収容部に収容可能な種類数を超えた薬剤を待機位置で待機させている場合には、種類を判別したとしても第2収容部に収容できない薬剤が再度発生することとなる。この場合、特許文献2の薬剤仕分装置は、再度、当該薬剤を待機位置(第1収容部又は待機トレイ)で待機させることとなる。
【0013】
このように、特許文献2の薬剤仕分装置は、待機位置で薬剤を待機させた場合、待機位置で待機させた薬剤がなくなるまで、当該薬剤の種類を判別し、その判別結果に基づき第2収容部に種類毎に収容する動作を繰返し実行することとなる。
【0014】
本発明の別の一態様は、待機位置で薬剤を待機させたときに発生する処理時間の削減を可能とする薬剤仕分装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の別の課題を解決するために、本発明の一態様に係る薬剤仕分装置は、複数の第1区画を有し、複数種類の薬剤を収容可能な第1収容部と、複数の第2区画を有し、前記第2区画のそれぞれに、種類毎に前記薬剤を収容可能な第2収容部と、前記第1収容部に収容される薬剤の種類を示す情報を読取る読取部と、前記読取部が読取った情報に基づき、前記第1収容部に収容される薬剤の種類数を計数する計数部と、前記計数部が計数した薬剤の種類数の合計が前記第2区画の数に達するたびに、薬剤の収容先となる第1区画を変更するよう報知する報知部と、前記第1区画毎に、前記第1収容部に収容された薬剤を前記第2収容部に搬送し、前記第2収容部において種類毎に収容する搬送部と、を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明の別の一態様に係る薬剤仕分装置によれば、待機位置で薬剤を待機させたときに発生する処理時間を削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】薬剤仕分装置の全体構成を示すブロック図である。
図2】薬剤仕分装置の構成例を示す図である。
図3】撮像ユニットの全体構成を示す斜視図と、薬剤載置台の一例を示す斜視図である。
図4】撮像ユニットの旋回について説明するための図である。
図5】撮像画像の一例と、撮像画像から抽出した抽出マーク画像の一例を示す図である。
図6】撮像画像の別例と、撮像画像から抽出した抽出マーク画像の別例を示す図である。
図7】判別処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8】教師データの一例を示す図である。
図9】通常薬剤を分包するときの分包機構の分包動作を説明するための図である。
図10】加熱注意薬剤を分包するときの分包機構の分包動作を説明するための図である。
図11】分包機構による分包例、印字例、および分包シートのカット例を示す図である。
図12】薬剤払出システムの構成例を示す図である。
図13】分包機により分包された薬包に2次元コードが印字されている状態を示す図である。
図14】薬剤仕分装置の全体構成を示すブロック図である。
図15】第1収容部に薬剤が投入されるときの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図16】薬剤仕分処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図17】仕分カップの内部の撮像方法について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔実施形態1〕
〔薬剤仕分装置1の概要〕
まず、薬剤仕分装置1の概要について図1および図2を用いて説明する。図1は、薬剤仕分装置1の全体構成を示すブロック図である。図2は、薬剤仕分装置1の構成例を示す図であり、2001は薬剤仕分装置1の斜視図であり、2002は、薬剤仕分領域2の基本構成を示す斜視図である。図1、並びに、図2の2001および2002に示すように、薬剤仕分装置1は、薬剤仕分領域2、タッチパネル3、印刷出力部4、および分包機構6を備える。
【0019】
薬剤仕分装置1は、複数種類の薬剤のそれぞれについて撮像し、撮像の結果得られた画像に基づき薬剤の種類を判別し、種類毎に薬剤を仕分ける。具体的には、薬剤仕分領域2においてこの処理が行われる。薬剤仕分領域2(薬剤仕分装置1の内部構成)については後述する。なお、種類毎に仕分けられた薬剤は、ユーザによる目視鑑査が行われた後、分包されたり、薬剤棚または分包機へと返却されたりする。
【0020】
本実施形態では、複数種類の薬剤は、容器等に収容されていない薬剤、または包装等が施されていない薬剤であり、その一例として、錠剤またはカプセルであるものとして説明する。また、複数種類の薬剤が返品された薬剤であるものとして説明する。当該薬剤は、薬局または病院における採用薬が当該薬局または病院にて「返品薬」として返品される薬剤である。但し、複数種類の薬剤は、当該薬局または病院において、当該採用薬以外に、他の薬局または病院で発行された薬剤も含み得る「持参薬」であっても構わない。薬剤仕分装置1は、薬剤が返品された後、撮像から仕分までの処理を自動的に行うことが可能である。
【0021】
タッチパネル3は、操作部31にて各種ユーザ入力を受け付けるとともに、表示部32にて各種画像(例:薬剤仕分の推移を示す画像、目視鑑査用の画像)を表示する。
【0022】
印刷出力部4は、目視鑑査後のユーザ入力に従って、目視鑑査後の薬剤に関する薬剤データ(例:薬剤名、製造元または成分を示すデータ)を表すジャーナルを印字する。薬剤データには、薬剤固有の画像を示す画像データが含まれていてもよい。
【0023】
分包機構6は仕分けられた薬剤を分包する。分包機構6はオプション機構である。分包機構6が薬剤仕分装置1に備えられる場合、返品された薬剤の仕分から、目視鑑査を経た後の分包までの処理を、薬剤仕分装置1で一括して行うことが可能となる。特に、搬送・仕分ユニット12により分包機構6へ薬剤が投入される場合には、目視鑑査を除き、上記仕分から分包までの処理を自動で行うことができる。
【0024】
分包機構6としては、従来から用いられている錠剤分包機または散薬分包機の分包部を採用することが可能である。この場合、例えば、同一薬種毎に仕分けられた仕分カップ141内の薬剤を、一包または複数包に分包することができる。
【0025】
なお、本願明細書を通して、少なくとも薬剤仕分装置1の説明において用いられる「分包」には、「処方データに基づいて服用時期毎に分けて薬剤を包装する」という意味と、「処方データに関係なく、第2収容部14に仕分けられた薬剤を単に包装する」という意味と、が包含されることに留意されたい。
【0026】
また、薬剤仕分装置1は、第1RFID(Radio Frequency Identifier)リーダ・ライタユニット5を備えている。第1RFIDリーダ・ライタユニット5は、図2の2002に示すように、台座19の、薬剤の取出し側に設けられている。
【0027】
第1RFIDリーダ・ライタユニット5は、第2収容部14の各仕分カップ141の底部に設けられたRFIDタグ(不図示)に記憶された、各仕分カップ141に格納された薬剤に関するデータを読取る。当該データとしては、例えば、格納された薬剤の個数を示すデータ、薬剤を識別するための薬剤識別データ(例:GS1コード)、仕分カップ141の種別を示すデータ、および、仕分カップ141を識別するための仕分カップ識別情報(RFIDタグに付与された識別情報)が挙げられる。なお、仕分カップ141に格納された薬剤の薬剤データ(例:薬剤名)、および撮像ユニット13が取得した画像データ等については、仕分カップ識別情報に紐付けて記憶部80に記憶される。
【0028】
また、上記データは、目視鑑査によって決定された薬剤データ(目視鑑査後の薬剤データ)を含んでもよい。また、上記RFIDタグに目視鑑査後の薬剤データを書込んでもよい。目視鑑査後の薬剤データは、対応する仕分カップ141に格納された薬剤を、(1)分包機構6、もしくは薬剤仕分装置1とは異なる分包機で分包する時、または(2)薬剤棚へ返却する時に用いられる。なお、これらの薬剤データも、仕分カップ識別情報に紐付けて記憶部80に記憶されてよい。
【0029】
また、図2の2001に示すように、薬剤仕分装置1は、薬剤の取出し側を開閉可能とする開閉シャッター51と開閉扉52とを備えている。
【0030】
〔薬剤仕分領域2の基本構成〕
次に、図1および図2の2002を用いて、薬剤仕分領域2の基本構成(薬剤仕分装置1の内部構成)について説明する。
【0031】
図1および図2の2002に示すように、薬剤仕分領域2は、ハードウェアとして主に、第1収容部11、搬送・仕分ユニット12(仕分部)、撮像ユニット13、第2収容部14、待機トレイ15、回収トレイ16、薬剤投入口17および第2RFIDリーダ・ライタユニット18を備える。そして、搬送・仕分ユニット12を除く各部材は台座19に設けられている。搬送・仕分ユニット12、撮像ユニット13、および第2RFIDリーダ・ライタユニット18の主要機能については、後述の各処理の説明において詳細に説明する。
【0032】
第1収容部11は、ユーザによって返品された複数種類の薬剤を混在した状態で収容する。本実施例では、第1収容部11は、複数の収容部に分割されている。この場合、例えば、1つの収容部に収容された薬剤の全てが搬送・仕分ユニット12によって搬送されると、当該収容部に隣接する収容部に収容された薬剤が搬送対象となる。また、第1収容部11がZ軸(円柱形状の中心)に対して回動可能に設けられてもよい。この場合、コンピュータ60(種類判別装置)の制御部60aは、例えば1つの収容部が空になったタイミングで、搬送・仕分ユニット12が薬剤を取得しやすいように第1収容部11を回動させてもよい。
【0033】
第2収容部14は、薬剤を種類毎に仕分けられた状態で収容する複数の仕分カップ141を備える。制御部60aは、撮像ユニット13で撮像された薬剤の画像に基づき薬剤の種類を判別し、その判別結果に基づき当該薬剤を格納する仕分カップ141を決定する。当該薬剤は、その決定された仕分カップ141に搬送・仕分ユニット12により搬送され、格納される。
【0034】
待機トレイ15は、薬剤が仮置きされる仮収容部である。例えば、仕分カップ141の全てに薬剤が格納されている場合に、制御部60aによりそれら以外の種類であると判別された薬剤が、待機トレイ15に仮置きされる。この場合、仕分カップ141から薬剤が取り除かれた後、待機トレイ15から当該仕分カップ141に搬送されてもよい。
【0035】
また、本実施形態では、待機トレイ15には、薬剤であると推定された推定薬剤(後述)が仮置きされても構わない。推定薬剤が仮置きされた場合、例えば、制御部60aの判別結果に応じて、待機トレイ15から第2収容部14の所定領域に推定薬剤が搬送される。
【0036】
回収トレイ16は、制御部60aにより種類が判別できなかった物(例:薬剤以外の異物)を格納する収容部である。薬剤以外の異物としては、例えば、PTP(Press Through Pack)シートの破片が挙げられる。PTPシートの破片は、薬剤の返品時に第1収容部11に混入する可能性がある。また、制御部60aは、薬剤データベース81に廃棄する薬剤として登録されている薬剤、またはユーザが廃棄することを所望する薬剤(例:製造日の古い薬剤)についても、回収トレイ16に格納する。
【0037】
薬剤投入口17は、薬剤仕分装置1に分包機構6が備えられている場合に、第2収容部14に格納された薬剤を、搬送・仕分ユニット12により分包機構6へ搬送するためのものである。当然ながら、薬剤仕分装置1に分包機構6が備えられていない場合には、薬剤投入口17は不要な構成である。
【0038】
また、図1に示すように、薬剤仕分装置1の上記各部材(ハードウェア)を統括して制御するコンピュータ60を備える。コンピュータ60は、制御部60aと記憶部80を備えている。そして、制御部60aには、搬送制御部61、仕分制御部62、撮像制御部63、特徴抽出部64、判別部65、操作入力部66、表示制御部67、RFID制御部68、印刷出力制御部69、登録部70、および分包制御部71が含まれる。ここでは、操作入力部66、表示制御部67、RFID制御部68、印刷出力制御部69、及び分包制御部71の基本的な処理について説明する。搬送制御部61、仕分制御部62、撮像制御部63、特徴抽出部64、及び判別部65の基本的な処理については、後述の各処理の説明において詳細に説明する。その他の処理については、後述の各実施形態において説明する。
【0039】
操作入力部66および表示制御部67は、それぞれタッチパネル3の操作部31および表示部32を制御する。RFID制御部68は、第1RFIDリーダ・ライタユニット5および第2RFIDリーダ・ライタユニット18を制御する。印刷出力制御部69は、操作入力部66が受け付けたユーザ入力に従って、印刷出力部4を制御する。
【0040】
登録部70は、判別部65によって画像データに対応する薬剤データが存在しないと判定された薬剤に関する薬剤データを、薬剤データベース81に登録する。具体的には、登録部70は、判別部65により対応する薬剤データが存在しないと判定された薬剤について、当該薬剤の撮像画像82と、ユーザにより特定された薬剤データとを紐付けて薬剤データベース81に登録する。
【0041】
なお、薬剤仕分装置1が分包機構6を備える場合には、制御部60aは、分包機構6を制御する分包制御部71を備えることとなる。分包制御部71は、分包機構6の動作を制御する。また、分包制御部71は、搬送・仕分ユニット12を制御することにより、仕分カップ141に格納された薬剤を薬剤投入口17まで搬送する。
【0042】
また、薬剤仕分装置1は、バーコードリーダ7を備えていても構わない。バーコードリーダ7は、例えば、分包機構6が仕分後の薬剤を分包した薬包(分包紙)に印刷した、当該薬剤の薬剤データを示すバーコードを読取る。これにより、制御部60aは、読取ったバーコードに基づく処理(例:バーコードが示す薬剤データの表示)を行うことができる。なお、分包機構6は、薬包に分包した薬剤の薬剤データを示すバーコードを、当該薬包に印刷するバーコード印刷機構(不図示)を備えていても構わない。
【0043】
なお、バーコードリーダ7は、薬包等に印刷された薬剤データを示す情報を読取り可能な読取装置であればよい。また、薬剤仕分装置1がバーコードリーダ7を備える必要は必ずしもない。制御部60aが上記情報に基づく処理を行う場合、制御部60aは、バーコードリーダ7を備える外部装置との通信により上記情報を取得すればよい。
【0044】
また、コンピュータ60は記憶部80を備える。記憶部80には、複数種類の薬剤に関する薬剤データを管理する薬剤データベース(薬剤マスタ)81が予め記憶されていると共に、薬剤仕分装置1による仕分けが行われるにつれて、撮像画像82等が記憶される。撮像画像82は、第1カメラ131が撮像した画像である。具体的には、撮像画像82は、第1収容部11から取り出された、種類不明の対象薬剤を撮像した画像である。また、記憶部80には、特徴抽出部64が生成した抽出マーク画像83、および、特徴抽出部64が抽出マーク画像83を生成するために用いる学習済みモデル84が記憶される。
【0045】
なお、記憶部80に記憶された各種データは、記憶部80にて管理されていなくてもよく、例えば外部装置で管理されてもよい。この場合、制御部60aは、上記各種データを、必要に応じて、インターネット等の通信回線を通じて当該外部装置から取得してもよい。また、薬剤データベース81は、新たな薬剤データが追加されることにより、更新されてもよい。
【0046】
〔薬剤仕分装置1における処理の概要〕
薬剤仕分装置1では、搬送・仕分ユニット12が、第1収容部11に返品された各薬剤を撮像ユニット13まで搬送する。搬送された各薬剤を順次撮像ユニット13が撮像する。制御部60aは、撮像された画像に基づき各薬剤の種類を判別するとともに、判別した各薬剤の第2収容部14における仕分位置を決定する。搬送・仕分ユニット12は、決定された仕分位置に各薬剤を搬送する。そして、第2収容部14に格納された薬剤についての情報は、仕分カップ141のRFIDタグに書き込まれたり、記憶部80に記憶されたり、タッチパネル3に表示されたりする。また、薬剤の仕分が完了した後、または仕分の途中において、ユーザがタッチパネル3を操作することで、目視鑑査、分包等の処理が行われる。以降、各処理について具体的に説明する。
【0047】
〔撮像ユニット13への薬剤搬送処理〕
まず、第1収容部11から撮像ユニット13への薬剤搬送処理について、図1および図2の2001を用いて説明する。
【0048】
具体的には、搬送・仕分ユニット12は、第1収容部11に収容された薬剤を、撮像ユニット13が薬剤を受け入れる受入領域Ar1(図3の3002参照)まで搬送させる。搬送制御部61は、搬送・仕分ユニット12による当該搬送処理を制御する。
【0049】
搬送・仕分ユニット12は、第2カメラ121、吸着・シャッター機構122、および搬送機構123を備える。
【0050】
第2カメラ121は、搬送対象とする薬剤を特定するために、第1収容部11を逐次撮像する。撮像制御部63は、第2カメラ121の撮像処理を制御する。第2カメラ121は、搬送・仕分ユニット12の(具体的には、少なくとも吸着・シャッター機構122を含む筐体の)、台座19と対向する側の端部に設けられる。第2カメラ121は、後述の吸着機構の先端部に設けられてもよい。撮像制御部63は、撮像された画像を解析して、当該画像に薬剤が含まれるか否かを判定する。搬送制御部61は、薬剤が含まれると判定された場合には、例えば、上記先端部を第1収容部11に近づけ、そのとき撮像された画像に含まれる薬剤を搬送対象の薬剤として特定する。
【0051】
吸着・シャッター機構122は、搬送対象として特定された薬剤を吸着する吸着機構と、吸着機構が吸着した薬剤が落下することを防止するシャッター機構とを含む。吸着機構はZ軸方向に移動可能に設けられる。シャッター機構は上記端部の前方に、XY平面と略平行に移動可能に設けられる。
【0052】
吸着機構は、薬剤取得時に、上記端部から延伸して、その先端部において、特定された薬剤を吸着した後、上記端部の位置まで戻る。この状態において、搬送制御部61は、上記端部と対向する位置にシャッター機構を移動させ、薬剤搬送中、シャッター機構の位置を維持する(閉状態とする)。搬送制御部61は、受入領域Ar1に配置された薬剤保持機構133の薬剤載置台133a(図3の3002参照)と対向する位置まで吸着・シャッター機構122を移動させると、シャッター機構を上記端部と対向しない位置に移動させる(開状態とする)。そして、吸着機構を上記端部から延伸させた後、吸着状態を解除することにより、薬剤載置台133aに薬剤を載置する。
【0053】
搬送機構123は、搬送制御部61の制御を受けて、X軸およびY軸方向に吸着・シャッター機構122を移動させる。この搬送機構123により、第1収容部11上での搬送対象となる薬剤の探索時の吸着・シャッター機構122の動き、または第1収容部11から薬剤載置台133aまでの薬剤搬送が可能となる。また、薬剤仕分処理においても、薬剤載置台133aから、第2収容部14、待機トレイ15または回収トレイ16への薬剤搬送が可能となる。なお、薬剤仕分処理では、仕分制御部62が、受入領域Ar1に配置された薬剤を、判別部65による判別結果に基づき、搬送・仕分ユニット12を制御して、第2収容部14の所定の仕分カップ141または待機トレイ15まで搬送する。
【0054】
〔薬剤撮像処理〕
次に、撮像ユニット13による薬剤撮像処理について、図1図2の2002、図3および図4を用いて説明する。図3の3001および3002は、撮像ユニット13の全体構成を示す斜視図であり、図3の3003は、薬剤載置台133aの一例を示す斜視図である。図4の4001および4002は、撮像ユニット13の旋回について説明するための図である。上記薬剤撮像処理は、主として、撮像ユニット13および撮像制御部63により行われる。
【0055】
具体的には、撮像ユニット13は、薬剤載置台133aに載置され、図3の3002に示す撮像対象となる薬剤を配置する配置領域Ar2(撮像領域)に配置された薬剤を撮像する。撮像制御部63は、撮像ユニット13による当該撮像処理と、第1カメラ131および照明器134の旋回移動と、薬剤保持機構133の移動とを制御する。撮像ユニット13は、図1および図3に示すように、第1カメラ131(撮像部)、回転機構132(回動部)、薬剤保持機構133(薬剤載置台、移動機構)、および照明器134(紫外光照射部、可視光照射部)を備える。
【0056】
第1カメラ131は、後述の判別部65において薬剤の種類を判別するために、第1カメラ131と対向する配置領域Ar2に配置された薬剤を撮像する。薬剤保持機構133は、薬剤を保持する機構であり、図3の3001および3002に示すように、薬剤載置台(シャーレ)133aと、旋回機構133b(移動機構)と、薬剤載置台133aおよび旋回機構133bを接続する軸部133cとを備える。薬剤載置台133aは、撮像対象となる薬剤を載置するものである。旋回機構133bは、薬剤載置台133aを移動させるものであり、具体的には、薬剤載置台133aをXY平面に対して旋回させるとともに、軸部133cを、軸部133cの周方向に旋回させる。
【0057】
撮像制御部63は、薬剤載置台133aに第1収容部11から搬送された薬剤が載置されると、旋回機構133bを駆動し、当該薬剤載置台133aを受入領域Ar1から配置領域Ar2へと移動させる。その後、少なくとも第1カメラ131および照明器134を制御して、配置領域Ar2に配置された薬剤を撮像する。撮像した画像は記憶部80に撮像画像82として記憶される。撮像制御部63は、例えば撮像が完了した後に、旋回機構133bを駆動し、撮像された薬剤が載置された薬剤載置台133aを配置領域Ar2から受入領域Ar1へと移動させる。
【0058】
本実施形態では、薬剤載置台133aは軸部133cの先端部(端部)に2つ設けられている。旋回機構133bは、軸部133cを旋回させることにより、一方の薬剤載置台133aを配置領域Ar2に配置したとき、他方の薬剤載置台133aを受入領域Ar1に配置する。配置領域Ar2での薬剤撮像時に、搬送・仕分ユニット12により、受入領域Ar1に存在する薬剤載置台133aに、第1収容部11から薬剤を搬送しておくことで、連続的な薬剤の撮像処理が可能となる。なお、当該薬剤載置台133aは、第2収容部14への薬剤仕分処理後等、薬剤が載置されていない状態であることが前提である。
【0059】
また、本実施形態では、薬剤載置台133aは透明性を有する。そのため、第1カメラ131は、薬剤載置台133aに載置された薬剤を、薬剤載置台133aを通して多方面から撮像できる。
【0060】
また、図3の3003に示すように、薬剤載置台133aは底部が凹んだ状態の断面略V字形状であってもよい。また、図3の3003および図4に示すように、薬剤載置台133aが受入領域Ar1および配置領域Ar2に配置されている場合、断面略V字形状の溝方向(軸部133cの延伸方向)は、回転機構132による撮像機構(後述)の旋回軸Ayに対して略平行である。また、薬剤載置台133aの底部は、鋭角なV字形状ではなくてよい。図3の3003に示すように、底部は、底面部133aaと、底面部133aaの対向する2箇所から傾斜した傾斜面部133abとを備えていてもよい。底部の形状は、薬剤載置台133aの裏側から見ても(撮像しても)、薬剤の刻印またはプリントが示す情報(刻印情報または印字情報)を認識できる程度で、かつ薬剤が固定される程度の形状であればよい。
【0061】
薬剤がカプセルまたは変形錠(例:ラグビーボール形)の場合、薬剤載置台133aの底部が平坦であれば、XY平面上で薬剤の向きがそろわずに、鮮明な薬剤の画像(刻印情報または印字情報)を取得することが困難になる可能性がある。断面略V字形状であれば、最下端部にカプセルまたは変形錠が嵌合され、当該薬剤を固定できる。そのため、鮮明な薬剤の画像が取得しやすくなる。なお、錠剤の場合には、例えば、軸部133cを軸部133cの周方向に旋回させることで、薬剤載置台133aの平面部分(傾斜面部133ab)を第1カメラ131に対向させることで、当該薬剤を確実に動かないようにしてもよい。
【0062】
その他、旋回機構133bは、薬剤載置台133aを振動させる(小さく動かす、ゆする)ことも可能である。この場合、例えば、薬剤載置台133aに載置されたカプセルに振動を与えて転がすことで、カプセルのプリントが付された部分を所定の方向に向かせることができる(例:当該部分を、後述の初期位置に配置された第1カメラ131と対向させることができる)。また、上記振動により、例えば円筒状(底部が円形状)の錠剤が上記平面部分に立った状態で載置されたとしても、錠剤を横に倒す(錠剤の底部が当該平面部分に対向するように配置する)ことができる。
【0063】
照明器134は、撮像制御部63の制御により、薬剤の撮像時に、薬剤に照射される光を出射する。照明器134は、図3の3001に示すように、薬剤に可視光を照射する可視光照射部(第1照射部134aおよび第2照射部134b)と、薬剤に紫外光を照射する紫外光照射部134cとを備える。
【0064】
第1照射部134aおよび第2照射部134bは、可視光として白色光を薬剤に照射する。第1照射部134aはバー形状の可視光源(バー照明)であり、第2照射部134bはリング形状の可視光源(リング照明)である。第1カメラ131は、第1照射部134aまたは第2照射部134bから出射され、薬剤で反射した可視光を受光することにより、可視光に基づく画像(可視光画像)を取得する。撮像制御部63は、第1カメラ131が取得した可視光画像を示す画像データを撮像画像82として記憶部80に記憶する。
【0065】
紫外光照射部134cは、薬剤に紫外光(例:365nm以上410nm以下のピーク波長を有する光)を照射することで、薬剤に含まれる成分を励起させる。これにより、薬剤から蛍光(例:410nm以上800nm以下のピーク波長を有する光)が取り出される。第1カメラ131は、薬剤から発せられた蛍光を受光することにより、紫外光に基づく画像(紫外光画像)を取得する。撮像制御部63は、第1カメラ131が取得した紫外光画像を示す画像データを撮像画像82として記憶部80に記憶する。
【0066】
回転機構132は、図3および図4に示すように、撮像対象となる薬剤が配置される配置領域Ar2(当該位置に配置された薬剤載置台133a)の周囲を旋回するように第1カメラ131を回動させる。第1カメラ131は、回転機構132が回動させた複数の位置から、配置領域Ar2に配置された薬剤を撮像する。具体的には、第1カメラ131および照明器134を含む撮像機構を、配置領域Ar2の周囲を旋回するように回動させる。そのため、配置領域Ar2に対する第1カメラ131および照明器134の位置関係を維持したまま、第1カメラ131が複数の方向から薬剤を撮像できる。
【0067】
回転機構132は、図3の3001に示すように、撮像機構駆動部132aと動力伝達機構132bとを含む。撮像機構駆動部132aは、撮像機構を配置領域Ar2の周囲を旋回させるための動力を発生する。動力伝達機構132bは、撮像機構駆動部132aが発生させた動力を撮像機構へと伝達する。撮像機構駆動部132aは、撮像制御部63の制御により駆動し、配置領域Ar2の周囲における撮像機構の位置を変更する。
【0068】
回転機構132は、撮像機構を、初期位置と、初期位置と対向する位置との間において旋回させる。初期位置とは、配置領域Ar2に対して略垂直方向の位置であって、配置領域Ar2の上方の位置である。初期位置と対向する位置とは、配置領域Ar2に対して略垂直方向の位置であって、配置領域Ar2の下方の位置である。また、当該位置は、第1カメラ131が配置領域Ar2に存在する薬剤載置台133aの底部と対向する位置であるともいえる。
【0069】
図4に示すように、配置領域Ar2の中心を通りZ軸と平行な軸を軸Ax0とし、配置領域Ar2の中心および撮像機構の中心を通る軸を軸Ax1とする。また、軸Ax0と軸Ax1とのなす角をθとする。本実施形態では、回転機構132は、撮像機構を、θ=0°(初期位置)、45°、135°および180°の位置のいずれかに配置する。なお、図4の4001は撮像機構がθ=0°の位置にある場合を示し、図4の4002は撮像機構が初期位置から旋回してθ=45°の位置にある場合を示す。
【0070】
このように、撮像機構を配置領域Ar2の周囲を旋回させることにより、薬剤を配置領域Ar2に固定した状態で、複数の方向から薬剤を撮像できる。また、薬剤載置台133aをゆすっても薬剤(錠剤)が立っている場合であっても、斜め方向(θ=45°または135°)からの撮像で、薬剤に付された刻印等が示す情報を取得できる。
【0071】
なお、撮像機構を固定し薬剤を回動させることで複数の方向から当該薬剤を撮像してもよい。
【0072】
(撮像位置制御)
次に、撮像機構の位置制御の一例について説明する。撮像制御部63は、まず撮像機構を初期位置にセットし、第1カメラ131に、当該初期位置において配置領域Ar2に配置された薬剤を撮像させる。このとき、第1カメラ131は、第1照射部134aおよび第2照射部134bからの可視光に基づく可視光画像(2つの可視光画像)を取得するとともに、紫外光照射部134cからの紫外光に基づく紫外光画像を取得する。
【0073】
次に、撮像制御部63は、撮像機構を初期位置とは対向する位置にセットし、第1カメラ131に、当該位置において配置領域Ar2に配置された薬剤を撮像させ、2つの可視光画像および紫外光画像を取得する。判別部65は、これら6つの画像を解析することにより、薬剤の種類を判別する。薬剤の種類を1つに特定できなかった場合、撮像制御部63は、θ=45°および135°の位置において、第1照射部134aおよび第2照射部134bから可視光を出射させ、第1カメラ131に薬剤を撮像させる。判別部65は、このときの可視光画像を解析して薬剤の種類を判別する。
【0074】
上記に限らず、撮像機構の位置制御は種々の方法が挙げられる。例えば、初期位置と対向する位置から撮像した後、初期位置から撮像を行ってもよい。また、θ=45°の位置から撮像したときの可視光画像に基づく薬剤の判別処理を行い、薬剤の種類を1つに特定できなかった場合にのみθ=135°の位置から撮像したときの可視光画像を取得してもよい。また、初期位置および初期位置と対向する位置において紫外光画像のみを取得し、当該紫外光画像に基づく薬剤の判別処理を行った後、当該位置における可視光画像を取得してもよい。また、全ての位置において可視光画像および紫外光画像を取得してもよい。
【0075】
〔画像処理・判別処理〕
次に、撮像ユニット13により撮像された画像に対する画像処理と、画像処理の結果に基づく薬剤の判別処理について、図1図5図7を用いて説明する。上記画像処理については、主として特徴抽出部64により行われ、上記判別処理については、主として判別部65により実行される。
【0076】
特徴抽出部64は、第1カメラ131が撮像した撮像画像82に写る薬剤のマークを抽出した抽出マーク画像83を生成する。より詳細には、特徴抽出部64は、薬剤に形成されたマークを抽出するように構築された学習済みモデル84を用いて、撮像画像82からマーク(より正確にはマークが写るマーク領域)を抽出した抽出マーク画像83を生成する。つまり、特徴抽出部64は、学習済みモデル84を用いて抽出マーク画像83を生成する画像生成部として機能する。特徴抽出部64は、可視光画像からマークを抽出することもできるし、紫外光画像からマークを抽出することもできる。
【0077】
上記マークは、薬剤の表面に形成されたしるしである。例えば、薬剤の種類またはメーカーを示すために形成された文字(アルファベット・数字等も含む)、記号、図案、絵、線(例えば割線)、あるいは二次元コード等のコード情報なども上記マークの範疇に含まれる。また、上記マークの形成方法は特に限定されない。例えば、上記マークは、薬剤の表面を彫り込むことにより形成されていてもよいし、薬剤の表面にプリント(印字)することにより形成されていてもよい。
【0078】
また、特徴抽出部64は、撮像画像82(可視光画像および/または紫外光画像)に対して画像処理(画像解析)を実行することにより、撮像画像82に写るマーク以外の薬剤の特徴を抽出する処理についても行ってもよい。ここで薬剤の特徴とは、判別部65が薬剤の種類を判別するための指標となるものである。薬剤の特徴としては、上述したマーク(刻印、プリントおよび割線)の他、薬剤の大きさ、形状、および代表色(刻印またはプリントが付された領域の色)等が挙げられる。
【0079】
特徴抽出部64は、マーク以外の薬剤の特徴については、撮像画像82に対して既存の画像処理を実行することにより抽出する。既存の画像処理としては、背景部分の画素値とは異なる画素値を有する複数の画素群を抽出可能な処理であればよく、例えば、OCR(Optical Character Recognition)、またはパターンマッチングといった公知の技術が挙げられる。特徴抽出部64は、例えば、可視光画像から薬剤の大きさ、形状および代表色を抽出し、紫外光画像から代表色を抽出する。
【0080】
(学習済みモデルについて)
本実施形態では、学習済みモデル84の一例として、薬剤の画像においてマークを構成する画素と、当該マークの背景部分を構成する画素と、を識別するように学習したセマンティックセグメンテーションモデル(以降、SSモデルと称する)が用いられる。学習済みモデル84としてSSモデルを用いることにより、不規則な形状のマークを精度よく抽出することが可能になる。
【0081】
SSモデルは、畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network:CNN)をベースとしたモデルであって、入力画像と同一の大きさの出力画像を生成するために、エンコーダ-デコーダ構造を有している。エンコーダ構造は、例えば、入力層、隠れ層および出力層を有する第1ニューラルネットワークにより構築されており、デコーダ構造は、エンコーダ構造と逆構造を有する第2ニューラルネットワークにより構築されている。つまり、デコーダ構造の入力層、隠れ層および出力層の各構造は、エンコーダ構造の出力層、隠れ層および入力層の各構造と同一である。
【0082】
SSモデルは、種類不明の対象薬剤を撮像した撮像画像82が入力されると、撮像画像82に写る薬剤の画像を構成する各画素について、マークを構成する画素である確率を示す確率値を算出する。確率値が高い画素ほど、マークを構成する画素である可能性が高く、確率値が低い画素ほど、背景部分を構成する画素である可能性が高い。そして、SSモデルは、上記確率値に基づいてマークを構成する画素と背景部分を構成する画素とが区分されたデータ(例えば背景領域を構成する画素を0、マークを構成する画素を1に分類したデータ)を出力する。
【0083】
このため、特徴抽出部64は、第1カメラ131が撮像した撮像画像82をSSモデルに入力して得られる出力値に対して画像処理を施して抽出マーク画像83を生成することができる。例えば、特徴抽出部64は、SSモデルの出力値が0である画素を(R,G,B)=(255,255,255)とし、SSモデルの出力値が1である画素を(R,G,B)=(0,0,0)としてもよい。これにより、背景領域を構成する画素が白、マークを構成する画素が黒で表された抽出マーク画像83が生成される。このように、特徴抽出部64は、SSモデルの出力値に基づいて抽出マーク画像83を生成することができる。
【0084】
なお、学習済みモデル84は、上記確率値を出力値として出力するモデルであってもよい。この場合、特徴抽出部64は、学習済みモデル84から出力された各画素の確率値について所定閾値以上であるかを判定し、その判定結果に基づいて各画素の画素値を決定する。これにより、特徴抽出部64は、マークを構成する画素と背景部分を構成する画素とが区分された抽出マーク画像83を生成する。また、学習済みモデル84を、抽出マーク画像83を出力する構成としてもよい。この場合、特徴抽出部64は、学習済みモデル84の出力値をそのまま抽出マーク画像83とすればよい。
【0085】
図5および図6は、撮像画像82の一例と、撮像画像82から抽出した抽出マーク画像83、830の一例を示す図である。抽出マーク画像83は、撮像画像82を学習済みモデル84に入力することにより得られた画像である。抽出マーク画像830は、学習済みモデル84を用いず、撮像画像82に対して既存の画像処理を実行した結果得られた画像である。また、図5は、刻印の背景部分に模様が無い薬剤を撮像した撮像画像82の例を示し、図6は、刻印の背景部分に模様がある薬剤を撮像した撮像画像82の例を示す。なお、「模様」は、薬剤の構成成分などにより模様状に見えるものであってもよい。
【0086】
薬剤の刻印を抽出する場合、当該薬剤への光の当たり方によって、刻印の一部とその背景領域とが区別しにくくなることがある。このような部分は、エッジ検出または二値化処理による従来の一般的な画像処理では刻印と認識できず、図5の抽出マーク画像830のように刻印の一部が欠けた検出結果となる。この点、学習済みモデル84は、マークを学習させたものであるから、図5の抽出マーク画像83のように刻印の全体を精度よく抽出することができる。
【0087】
また、刻印の背景領域(つまり薬剤表面)に写る薬剤の構成成分の粒子などの画素値が、刻印の画素値と近い値となることもある。このような場合、従来の一般的な画像処理では、図6の抽出マーク画像830のように、背景領域の一部を刻印と判定したり、刻印と背景領域との境界を誤判定したりすることがある。この点、学習済みモデル84は、マークを学習させたものであるから、図6の抽出マーク画像83のように刻印の全体を精度よく抽出することができる。
【0088】
判別部65は、特徴抽出部64が生成する抽出マーク画像83と、薬剤の種類毎に予め登録された登録マーク画像とを照合し、その照合結果に基づいて対象薬剤の種類を判別する。登録マーク画像は薬剤データベース81に登録されているから、判別部65は、薬剤データベース81を参照することにより上記の判別を行うことができる。
【0089】
抽出マーク画像83と登録マーク画像との照合においては、抽出マーク画像83に対してぼかし処理を施した画像を用いてもよい。つまり、判別部65は、抽出マーク画像83にぼかし処理を施した画像と登録マーク画像との照合結果に基づいて対象薬剤の種類を判別してもよい。
【0090】
ぼかし処理を施す理由は、本願の発明者らの検討の結果、ぼかし処理を施すことにより、施さない場合と比べて対象薬剤の種類判別の精度が向上することが分かっているからである。つまり、上記の構成によれば、種類判別の精度を向上させることができる。なお、抽出マーク画像83にぼかし処理を施す場合、登録マーク画像についても同様のぼかし処理が施されたものとすることが望ましい。また、ぼかし処理の方法は特に限定されず、例えば抽出マーク画像83に対して平滑化フィルタを適用する処理をぼかし処理としてもよい。平滑化フィルタとしては、例えばバイノミアル(2項分布型)フィルタ、メディアンフィルタ、ガウシアンフィルタ、およびバイラテラルフィルタ等が例示される。また、単純平均、k-最近傍、勾配計算、またはヒストグラム平滑化等によってぼかし処理を行うこともできる。
【0091】
なお、登録マーク画像を生成する場合にも学習済みモデル84を用いることができる。すなわち、種類が既知の薬剤の画像を学習済みモデル84に入力し、学習済みモデル84から出力される出力値に基づいて生成した抽出マーク画像を、当該薬剤の登録マーク画像としてもよい。
【0092】
また、上述のように、特徴抽出部64は、マーク以外の薬剤の特徴を抽出してもよい。この場合、マーク以外の薬剤の特徴についても、薬剤の種類毎に薬剤データベース81に登録してマスタデータとしておけばよい。そして、判別部65は、特徴抽出部64が抽出した各特徴と、マスタデータとを照合して対象薬剤の種類を判別すればよい。
【0093】
例えば、特徴抽出部64が撮像画像82を解析して、薬剤の大きさ、形状、および代表色を示す各情報を薬剤の特徴として抽出したとする。この場合、判別部65は、マスタデータに登録されている各種薬剤の大きさ、形状、および代表色から、特徴抽出部64が抽出した特徴に合致する薬剤の種類を絞り込むことができる。そして、判別部65は、絞り込んだ種類のそれぞれについて、抽出マーク画像83と登録マーク画像との照合を行って、対象薬剤の種類を特定してもよい。なお、どのような特徴をどのような順序で絞り込みに用いるかは任意である。
【0094】
また、判別部65は、抽出した薬剤の特徴と、薬剤データベース81に含まれる薬剤の特徴との一致度に基づき、薬剤の種類の候補の順位づけを行っても構わない。例えば、判別部65は、抽出した代表色とマスタ色データとの一致度に基づき、代表色に基づき抽出した種類の候補に順位づけした後、当該順位に従って、他の特徴に基づく種類の判別を行ってもよい。
【0095】
また、判別部65は、抽出した薬剤の特徴(対象特徴)が薬剤データベース81に無い場合であっても、対象特徴の少なくとも一部に基づき薬剤(錠剤またはカプセル)であると推定される場合には、薬剤の種類を推定薬剤として判別する。この場合、推定薬剤も、第2収容部14または待機トレイ15への仕分け対象とすることができる。本実施形態では、推定薬剤は、まず待機トレイ15へ仮置きされても構わない。
【0096】
判別部65は、対象薬剤の種類の判別結果を仕分制御部62に出力する。例えば、対象薬剤の種類を1つに特定できた場合、または所定数以内の候補数に絞込んだ場合には、当該薬剤に関する薬剤データを判別結果として出力する。この場合、判別部65は、当該薬剤に関する薬剤データを、当該薬剤の撮像画像82に紐づけて記憶部80に記憶する。
【0097】
判別部65は、対象薬剤の種類を推定薬剤として判別した場合には、薬剤の特徴(推定薬剤として推定された物の特徴)を判別結果として出力する。一方、判別部65は、薬剤データベース81に廃棄する薬剤として登録された薬剤であると判別した場合、または第1収容部11に収容された物が薬剤以外の異物であると判別した場合、仕分対象外の薬剤である旨を判別結果として出力する。
【0098】
(本実施形態の画像処理および判別処理の効果)
上述したように、薬剤に形成されたマークの内容は多様であり、また、撮像時の薬剤への光の当たり方等によって撮像画像82におけるマークの外観が変わってしまうため、マークに基づく薬剤の種類判別を高精度に行うことは難しい。従って、薬剤の種類判別を高精度に行うために、マークの多様性に対応し、かつ、撮像画像82におけるマークの外観の変化に依らず、薬剤に形成されたマークを高精度に抽出することが要求される。
【0099】
特徴抽出部64は、薬剤に形成されたマークを抽出するように構築された学習済みモデル84を用いることにより、撮像画像82から対象薬剤に形成されたマークを抽出した抽出マーク画像83を生成する。そのため、特徴抽出部64は、(1)マークの多様性に対応し、(2)撮像画像82におけるマークの外観の変化に依らず、また、(3)対象薬剤に模様があっても、撮像画像82から対象薬剤のマークを精度よく抽出することができる。
【0100】
また、学習済みモデル84は、マークを学習させたものであるから、学習済みモデル84が学習していないマークであっても、学習させたマークと類似のマークであれば、撮像画像82からマークを抽出することは可能である。さらに、特徴抽出部64は、撮像画像82におけるマークの位置または向きに依らず、撮像画像82からマークを抽出することが可能である。
【0101】
また、学習済みモデル84を用いて対象薬剤に形成されたマークを抽出できればよいため、このような学習済みモデル84を構築するために、薬剤仕分装置1で取り扱い得る全種類の薬剤の撮像画像を用いる必要は無い。そのため、多大なコストを要することなく構築された学習済みモデル84を用いて、多様なマークを精度よく抽出することができる。
【0102】
ここで、対象薬剤の種類判別に学習済みモデルを用いる場合、以下のような学習済みモデルを構築することも考えられる。・比較例1:薬剤の画像と薬剤の種類(分類ラベル)とを紐づけて学習した学習済みモデル。・比較例2:個々の文字および数字等を学習した学習済みモデル。この場合、学習済みモデルを用いて薬剤の画像から薬剤に付された文字または数字等を1つずつ抽出し、抽出した文字または数字等の組合せから、薬剤の種類を判別する。
【0103】
しかし、比較例1の場合、薬剤の種類毎に多数の教師データを用意して学習を行う必要があるため、多くの種類の薬剤の種類を判定することが可能なモデルを構築するためには多大な労力を要するという問題がある。また、全ての種類の薬剤について学習することが困難であるため、学習していない種類の薬剤の画像が入力される可能性があるが、そのような場合に、学習済みモデルがどのような判別結果を出力するのかを予測することは困難である。薬剤の種類の判別という患者の健康にかかわる重要な判別において、判別結果の説明の低さは大きなマイナス要因である。また、マークに僅かな違いしかない薬剤同士を、異なる薬剤であると学習済みモデルに判別させることは困難である。
【0104】
また、比較例2においても、学習させていないマーク、または、学習したものと異なる字体の文字若しくは数字が付された薬剤の画像が入力される可能性がある。これらの場合に、学習済みモデルがどのような結果を出力するのかを予測することは困難である。また、文字または数字は、その並び順が薬剤の種類を特定するための特徴となる。しかし、薬剤毎に文字または数字の位置または向きが異なる場合があり、また、撮像画像82に写る薬剤の向きも様々であるから、検出した文字または数字の並び順を正しく再現することが難しい場合がある。
【0105】
このように、比較例1または2の学習済みモデルを用いて対象薬剤の種類を判別する場合、判別結果の根拠の説明性(エビデンス)を欠く可能性があり、また、判別結果の信頼性を担保できない可能性がある等の問題がある。
【0106】
一方、本実施形態の判別部65は、対象薬剤の最終的な種類判別を、抽出マーク画像83と登録マーク画像との照合結果に基づいて行う。具体的には、判別部65は、学習済みモデル84を用いて精度よく抽出したマークと、既存の画像処理を用いて抽出したマーク以外の特徴とを、薬剤データベース81と照合することにより、最終的な薬剤の種類判別を行う。従って、薬剤仕分装置1が備えるコンピュータ60は、少なくともマークの抽出にのみ学習済みモデル84を用いるため、比較例1または2の学習済みモデルを用いて対象薬剤の種類を判別する場合とは異なり、判別結果の根拠の説明性を強化することができる。つまり、薬剤仕分装置1によれば、判別結果についてのエビデンスを提示することが可能になる。
【0107】
また、刻印または割線については特に、撮像時の薬剤への光の当たり方等によって撮像画像82における刻印または割線の外観が変わってしまう可能性が高い。刻印または割線の深さが浅い薬剤についてはさらに、上記外観が変わってしまう可能性が高い。そのため、既存の画像処理により撮像画像82から刻印または割線を高精度に抽出することは難しい。特徴抽出部64は、撮像画像82から刻印または割線を抽出する場合には特に、学習済みモデル84を用いることにより、既存の画像処理を用いた場合に比べて、刻印または割線を精度よく抽出することができる。
【0108】
(判別処理の流れ)
図7は、判別処理(種類判別方法)の流れの一例を示すフローチャートである。制御部60aは、記憶部80に記憶された撮像画像82を取得する(S1)。特徴抽出部64は、取得した撮像画像82を学習済みモデル84に入力する(S2)。特徴抽出部64は、学習済みモデル84に撮像画像82を入力して、抽出マーク画像83を生成する(S3、画像生成ステップ)。上述したように、抽出マーク画像83は、学習済みモデル84の出力値に対して画像処理を施した結果であってもよいし、学習済みモデル84の出力結果そのものであってもよいし、学習済みモデル84が出力した確率値に基づいて生成されたものであってもよい。
【0109】
その後、判別部65は、特徴抽出部64が生成した抽出マーク画像83と、薬剤データベース81に含まれる登録マーク画像と、を照合する(S4、判別ステップ)。また、S4において、判別部65は、取得した撮像画像82に対して既存の画像処理を行うことにより、撮像画像82から対象薬剤のマーク以外の特徴を抽出し、当該特徴と、薬剤データベース81に含まれる各種マスタデータと、と照合してもよい。このように、S4では、S3で生成された抽出マーク画像83と登録マーク画像との照合結果に基づいて対象薬剤の種類を判別する。その後、判別部65は、これらの照合結果に基づいて、対象薬剤の種類の判別結果を出力する(S5)。
【0110】
(学習済みモデルの構築例)
学習済みモデル84は、例えば以下のように構築される。図8は、教師データ181の一例を示す図である。教師データ181は、種類既知の薬剤を撮像した撮像画像182と、当該撮像画像182の正解データ183とが対応付けられたデータである。正解データ183は、撮像画像182からマークを抽出したデータである。正解データ183は、例えばユーザ入力により、撮像画像182におけるマークの外縁を特定し、特定された外縁が囲む領域の内側を、当該領域の外側と区別することにより生成される。図8の例では、撮像画像182において特定した刻印および割線の内部領域(すなわちマーク領域)と外部領域(すなわち背景領域)とを、2値化処理することにより区別している。複数の撮像画像182を用意し、各撮像画像182に対して正解データ183を対応付けて教師データ181とすることにより、複数の教師データ181が準備される。
【0111】
学習済みモデル84は、教師データ181を順次入力して機械学習を行うことにより構築される。なお、学習済みモデル84は、例えばモデル生成装置(不図示)により構築されるが、これに限らず、例えばコンピュータ60により構築されてもよい。この場合、コンピュータ60は、教師データ181を用いた機械学習により学習済みモデル84を構築する学習装置としての機能も有することになる。
【0112】
〔薬剤仕分処理〕
次に、上記判別処理の結果に基づく薬剤仕分処理について、図1を用いて説明する。上記薬剤仕分処理は、主として、搬送・仕分ユニット12および仕分制御部62により行われる。
【0113】
搬送・仕分ユニット12は、判別部65による判別結果に基づき、薬剤を種類毎に仕分けて第2収容部14または待機トレイ15へ格納する。仕分制御部62は、搬送・仕分ユニット12を制御して、撮像および判別処理後に受入領域Ar1に配置された薬剤を、判別結果に基づき、第2収容部14の所定の仕分カップ141または待機トレイ15まで搬送する。
【0114】
仕分制御部62は、薬剤の判別結果を受けると、当該薬剤を格納する仕分位置を決定し、当該判別結果と、決定した仕分位置とを紐付けて記憶部80に記憶する。具体的には、仕分制御部62は、上記判別結果と同一の判別結果が記憶部80に記憶されているか否かを判定する。
【0115】
上記判別結果と同一の判別結果が記憶されている場合、記憶されている判別結果に紐付けられた仕分カップ141を、仕分位置として決定する。また、記憶されている判別結果(例:推定薬剤)に紐付けられた仕分位置が待機トレイ15である場合、待機トレイ15を仕分位置として決定する。一方、上記判別結果と同一の判別結果が記憶されていない場合、薬剤未格納の仕分カップ141(仕分位置として未決定の仕分カップ141)を、仕分位置として決定する。仕分カップ141の全てに薬剤が格納されている場合には、待機トレイ15を仕分位置として決定する。なお、仕分制御部62は、推定薬剤については、待機トレイ15ではなく、第2収容部14の所定領域に含まれる仕分カップ141の何れかを仕分位置として決定しても構わない。
【0116】
仕分制御部62は、仕分位置を決定すると、搬送制御部61と同様に搬送機構123を制御して、搬送・仕分ユニット12を受入領域Ar1の上方に移動させる。仕分制御部62は、搬送制御部61と同様、第2カメラ121および吸着・シャッター機構122を制御して、受入領域Ar1に配置された薬剤を吸着する。その後、搬送機構123により、決定した仕分カップ141または待機トレイ15へと薬剤を搬送させる。上述したように、薬剤搬送中はシャッター機構が閉状態となるため、決定した仕分位置以外の領域(例:決定した仕分カップ141以外の仕分カップ141)に薬剤が落下することを防止できる。搬送後、吸着を解除することにより、当該仕分カップ141または待機トレイ15に薬剤を格納する。また、仕分制御部62は、仕分カップ141に格納した薬剤の個数をカウントし、仕分位置に紐づけて記憶部80に記憶する。
【0117】
仕分制御部62が、受入領域Ar1に配置された薬剤載置台133aの薬剤(判別完了後の薬剤)を仕分位置に搬送した後、搬送制御部61は、搬送・仕分ユニット12を制御して、第1収容部11に収容されている薬剤を、空になった上記薬剤載置台133aに搬送し、載置する。これにより、薬剤仕分装置1は、薬剤の種類の判別を連続的に行うことができる。
【0118】
また、仕分制御部62は、薬剤の種類を判別できなかった旨の判別結果を受けた場合には、判別後に受入領域Ar1に配置された物は異物であるため、当該異物を回収トレイ16へと搬送する。
【0119】
このように、仕分制御部62は、薬剤の種類の判別結果に依らず、第1収容部11に収容された物の全てを、第2収容部14、待機トレイ15または回収トレイ16の何れかに格納する。そのため、薬剤の種類を特定できない場合、または第1収容部11に異物が混入していた場合であっても、それを理由に仕分処理を停止することなく、継続させることができる。
【0120】
なお、仕分制御部62は、受入領域Ar1に配置された薬剤載置台133aから、判別処理が完了した薬剤を取り出すために、第2カメラ121に当該薬剤載置台133aを撮像させて、当該薬剤の位置を絞り込む。また、仕分制御部62は、仕分カップ141に格納された薬剤の分包機構6への搬送時に、当該仕分カップ141から薬剤を取り出すために、第2カメラ121に当該仕分カップ141を撮像させて、搬送対象とする薬剤を絞り込む。
【0121】
また、仕分制御部62は、仕分カップ141に格納される薬剤の個数の上限値まで薬剤が格納された場合には、仕分けようとする薬剤の種類が、当該仕分カップ141に仕分られた薬剤の種類と同一であっても、仕分けようとする薬剤を、当該仕分カップ141とは異なる空の仕分カップ141に格納する。
【0122】
また、仕分制御部62により仕分カップ141に格納された薬剤に関するデータは、第2RFIDリーダ・ライタユニット18によって、当該仕分カップ141に設けられたRFIDタグに記憶される。
【0123】
第2RFIDリーダ・ライタユニット18は、第1RFIDリーダ・ライタユニット5と同様、RFIDタグへの各種データの書込み、またはRFIDタグに記憶された各種データの読出しを行う。仕分制御部62は、RFID制御部68に、仕分カップ141に薬剤を格納するたびに、当該薬剤に関するデータを書込ませる。なお、第2RFIDリーダ・ライタユニット18は、第2収容部14の下側に設けられている。具体的には、各仕分カップ141のRFIDタグに記憶された薬剤に関するデータの読取りまたは書込み時に、各仕分カップ141の底部と対向するように設けられる。
【0124】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。以降の実施形態についても同様である。
【0125】
薬剤仕分装置1によって仕分けられる薬剤には、熱に弱く、熱の影響を受けると変色する可能性のある薬剤が存在する。当該熱に弱い薬剤は、分包処理に係る一連の工程中に、分包機構6、特に後述するヒーターローラー6bから受ける熱の影響により変色する場合がある。本実施形態では、図9図11を用いて、分包機構6を備える薬剤仕分装置1において、分包機構6のヒーターローラー6bの熱によって薬剤が変色する可能性を低減する構成について説明する。実施形態2では、簡単のために、熱に弱い薬剤を「加熱注意薬剤HMD」、それ以外の薬剤を「通常薬剤MD」と称する。また、単なる「薬剤」との記載は、通常薬剤MDおよび加熱注意薬剤HMDの総称として用いる。
【0126】
図9は、通常薬剤MDを分包するときの分包機構6の分包動作を説明するための図である。図9の9001は、分包機構6の概略構成図である。図9の9002は、ヒーターローラー6bを9001の白抜き矢印R方向から見たときの概略図である。図10は、加熱注意薬剤HMDを分包するときの分包機構6の分包動作を説明するための図である。図10の10001は、分包機構6の概略構成図である。図10の10002は、ヒーターローラー6bを10001の白抜き矢印R方向から見たときの概略図である。図11は、分包機構6による分包例、印字例、および分包シートのカット例を示している。
【0127】
図9および図10に示すように、分包機構6は、包装ホッパー6a、ヒーターローラー6b、移動通路6c、およびシャッター機構6eを備えている。ヒーターローラー6b、及びシャッター機構6eの制御は、分包制御部71によって行われる。
【0128】
包装ホッパー6aは、薬剤投入口17から投入され、移動通路6cを通過(落下)した薬剤を受入れると共に、ヒーターローラー6bにセットされ、待機位置Ar4にある分包紙PPに導くものである。
【0129】
ヒーターローラー6bは、分包紙PPの一部を熱融着することで、薬剤を1包ずつ分包するものである。ヒーターローラー6bは、分包紙PPの搬送方向(矢印Q1で示す方向)と略垂直方向に延伸し、かつ分包紙を挟み込むように設けられた一対のローラ機構である。ヒーターローラー6bは、横融着部分Cr1を融着するための横融着ヒータ6bwと、縦融着部分Cr2を融着するための縦融着ヒータ6bhとを備える。ヒーターローラー6bは、分包紙PPの搬送方向への搬送に伴い、図9および図10に示す矢印Q2の方向に回転しながら、横融着部分Cr1を融着すると共に、任意の間隔で縦融着部分Cr2を融着する。
【0130】
移動通路6cは、薬剤投入口17と、包装ホッパー6aとの間に設けられ、薬剤投入口17から投入された薬剤を包装ホッパー6aに導くものである。また、移動通路6cは、薬剤投入口17に投入された薬剤を、後述するシャッター6ea上の保持領域Ar3に導くものでもある。
【0131】
シャッター機構6eは、分包機構6で作成される1包に含める対象となる薬剤の全てが、薬剤投入口17から投入されるまで、薬剤投入口17から投入された薬剤を、保持領域Ar3に一時的に保持する薬剤保持部として機能する。換言すれば、シャッター機構6eは、1包に含める対象となる薬剤の全てが薬剤投入口17から投入されるまで、包装ホッパー6aに投入されないようにするものである。本実施形態では、シャッター機構6eは、包装ホッパー6aと移動通路6cとの間に設けられているが、これに限らず、例えば包装ホッパー6a又は移動通路6cの内部に設けられても構わない。
【0132】
また、図9の9001および図10の10001に示すように、シャッター機構6eは、開閉可能なシャッター6eaを備えている。また、シャッター機構6eは、シャッター駆動部(不図示)を備えている。シャッター駆動部は、シャッター6eaを駆動することで、シャッター6eaの開閉動作を制御する。図9の9001および図10の10001は、シャッター6eaが閉じている状態を示している。
【0133】
〔通常薬剤MDの分包について〕
まず、図9を参照しつつ、分包対象の薬剤が、通常薬剤MDである場合の分包制御部71の制御について説明する。分包対象の薬剤が通常薬剤MDである場合、分包制御部71は、1包に含める対象となる複数の薬剤のうち最後の薬剤が薬剤投入口17に投入された後、以下の(i)~(iii)の動作が反復して行われるよう、分包機構6を制御する。なお、1包に含める対象となる複数の薬剤のうち最後の薬剤が薬剤投入口17に投入されるとは、ある仕分カップ141に収容された複数の薬剤のうち最後の薬剤が薬剤投入口17に投入されることを意味する。ある仕分カップ141に薬剤が1つしか収容されていない場合には、当該薬剤が最後の薬剤である。
【0134】
(i)分包制御部71は、ヒーターローラー6bを制御して、分包紙PPを熱融着しつつ、矢印Q1で示す方向に分包紙PPを1包分送る。これにより、分包制御部71は、今回分包対象となる通常薬剤MDの全てが薬剤投入口17に投入されるまで待機位置Ar4に待機していた通常薬剤MDを、待機位置Ar4から融着済領域Ar5まで分包しながら移動させることができる。(ii)分包制御部71は、シャッター6eaを開き、保持領域Ar3に保持された通常薬剤MDを全て落下させた後、再びシャッター6eaを閉じる。(iii)次の1包に含める対象となる通常薬剤MDのうち最後の通常薬剤MDが薬剤投入口17に投入された後、分包制御部71は、(i)の処理に戻る。なお、最初の1包に含める対象となる通常薬剤MDを分包する場合については、分包制御部71は、(i)の処理を行わず、(ii)の処理から開始してもよい。
【0135】
上記の処理を実行した場合、図9に示されるように、待機位置Ar4にある分包紙PP内の薬剤は、当該薬剤の次に分包される薬剤がシャッター6ea上に保持されるまで、待機位置Ar4で待機することとなる。待機位置Ar4は、対をなすヒーターローラー6bによって挟まれる位置であるため、待機位置Ar4に存在する薬剤はヒーターローラー6bからの熱の影響を受けやすい。そこで、分包対象の薬剤が、加熱注意薬剤HMDである場合には、分包制御部71は、例えば、以下のような制御をしてもよい。
【0136】
〔加熱注意薬剤HMDの分包について〕
以下では、分包対象の薬剤が、加熱注意薬剤HMDである場合の分包制御部71の制御について、図10を参照しつつ説明する。分包対象の薬剤が加熱注意薬剤HMDである場合、分包制御部71は、1包に含める対象となる複数の薬剤のうち最後の薬剤が薬剤投入口17に投入された後、以下の動作が行われるよう、分包機構6を制御する。
【0137】
(iv)融着済領域Ar5に前回分包された加熱注意薬剤HMDがある状態において、分包制御部71は、ヒーターローラー6bを制御して、分包紙PPを熱融着しつつ、矢印Q1で示す方向に分包紙PPを1包分送る。これにより、分包制御部71は、前回分包された加熱注意薬剤HMDの次の1包を、薬剤を含まない空包とすることができる。
【0138】
(v)分包制御部71は、シャッター6eaを開き、保持領域Ar3に保持されていた加熱注意薬剤HMDを全て落下させた後、再びシャッター6eaを閉じる。これにより、今回分包対象となる加熱注意薬剤HMDが、待機位置Ar4にある、空包の次の1包として作成される分包紙PPに挿入される。
【0139】
(vi)分包制御部71は、ヒーターローラー6bを制御して、待機位置Ar4にある、加熱注意薬剤HMDを含む分包紙PPを熱融着しつつ、矢印Q1で示す方向に1包分送り、当該加熱注意薬剤HMDを融着済領域Ar5まで移動させる。これにより、ヒーターローラー6bが存在する待機位置Ar4において分包紙PPに挿入された加熱注意薬剤HMDを、待機位置Ar4に待機させることなく、待機位置Ar4から融着済領域Ar5へと送り出すことができる。つまり、次の1包に含める対象となる加熱注意薬剤HMDが薬剤投入口17から投入されている間、今回の分包対象である加熱注意薬剤HMDは、待機位置Ar4ではなく、分包されて融着済領域Ar5に存在することとなる。
【0140】
(vii)この状態において、次の1包に含める対象となる加熱注意薬剤HMDのうち最後の加熱注意薬剤HMDが薬剤投入口17に投入された後、分包制御部71は、矢印Q1で示す方向に分包紙PPを1包分送る(つまり(iv)の処理に戻る)。これにより、分包制御部71は、次の加熱注意薬剤HMDを待機位置Ar4に落下させる前に、今回分包された加熱注意薬剤HMDの次の1包を、薬剤を含まない空包とすることができる。
【0141】
なお、最初の1包に含める対象となる加熱注意薬剤HMDを分包する場合、または、通常薬剤MDが分包された後に加熱注意薬剤HMDを分包する場合については、分包制御部71は、(iv)の処理を行わず、(v)の処理から開始してもよい。また、分包制御部71は、1包に限らず、2包以上の空包を作成してもよいし、規定された1包分の寸法よりも小さい空包(例:矢印Q1で示す方向の長さが、規定された1包分の長さの半分である空包)を作成してもよい。分包後の加熱注意薬剤HMDがヒーターローラー6bの熱の影響を受けにくい位置まで移動できる程度の大きさの空包または空間が、分包後の加熱注意薬剤HMDとヒーターローラー6b(待機位置Ar4)との間に形成されればよい。分包制御部71は、当該空包または空間を形成するように、分包紙PPを矢印Q1で示す方向に移動させればよい。
【0142】
以上のように、分包制御部71は、加熱注意薬剤HMDを待機位置Ar4に落下させた後、少なくとも1包分、矢印Q1で示す方向に分包紙PPを送ることで、加熱注意薬剤HMDを分包して融着済領域Ar5へと送る。その後、分包制御部71は、次の加熱注意薬剤HMDの全てが薬剤投入口17に投入された後、少なくとも1包分、矢印Q1で示す方向に分包紙PPを送ることにより、前回分包された加熱注意薬剤HMDの、少なくとも次の1包を空包として作成する。その後、分包制御部71は、保持領域Ar3に保持された加熱注意薬剤HMDを待機位置Ar4に落下させることで、空包の次の1包に、当該加熱注意薬剤HMDを挿入する。
【0143】
上記の処理を実行した場合、図10に示されるように、次に分包される薬剤がシャッター6ea上に保持されるまでの待機時間において、待機位置Ar4にある分包紙PPは空の状態である。また、分包機構6の上記(iv)または(vii)の動作により、熱融着された後の分包紙PPは、図11の11001に示すような、空包を含む分包シートとして、分包機構6から払出される。
【0144】
なお、分包制御部71は、加熱注意薬剤HMDを待機位置Ar4に落下させた後、少なくとも2包分、矢印Q1で示す方向に分包紙PPを送ってもよい。つまり、分包制御部71は、加熱注意薬剤HMDを待機位置Ar4に落下させた後、当該加熱注意薬剤HMDを分包するだけでなく、分包した当該加熱注意薬剤HMDの次の1包として空包を作成しておいてもよい。この場合、分包制御部71は、次の加熱注意薬剤HMDの全てが薬剤投入口17に投入された後ではなく、次の加熱注意薬剤HMDの全てが薬剤投入口17に投入される前、または投入されている間に、空包を作成することができる。また、分包後の加熱注意薬剤HMDは、次の加熱注意薬剤HMDが薬剤投入口17に投入されている間、作成された空包の分、ヒーターローラー6bからより離れた位置で待機することができる。そのため、分包後の加熱注意薬剤HMDに対するヒーターローラー6bの熱の影響をより低減することができる。
【0145】
(加熱注意薬剤HMD分包時の注意喚起)
加熱注意薬剤HMDが、上述のように空包を含む分包シートとして分包機構6から払出された場合、当該空包への印字を利用して、ユーザに注意喚起を行ってもよい。具体的には、図11の11001に示すように、加熱注意薬剤HMDを分包した分包シートにおいて、分包機構6に設けられた印刷機構(不図示)により、空包部分に特定の文字又は絵などを印字してもよい。具体的には、熱対策用の空包であることがわかるように、「熱対策」もしくは「SKIP」などの文字、又は絵もしくは記号などを印字してもよい。
【0146】
ここで、加熱注意薬剤HMDは、分包機が備える薬剤カセット、又は薬剤棚に戻される前に、ユーザによって変色などを慎重に目視確認されることが好ましい。このような印字をすることにより、ユーザは、「熱対策」等と表示された空包の手前の薬包が加熱注意薬剤HMDであることを把握しやすくなり、ユーザの上記目視確認の作業を補助することができる。
【0147】
(加熱注意薬剤HMD分包時の分包シートのカット位置について)
ヒーターローラー6bによって融着された一連の分包シートは、その後の作業のために、分包機構6の切断機構(不図示)によって、所定の包数ごとにカットされる。切断機構は、分包制御部71によって制御される。図11の11002および11003は、いずれもカットの設定包数を3に設定したときの分包シートのカット例を示している。図11の11002および11003における白抜き矢印位置が、カット位置である。
【0148】
図11の11002に示すカット例1において、切断機構は、先頭から3包ごとに分包シートをカットする。設定包数でカットされた分包シートを、カット単位と称する。また、切断機構は、加熱注意薬剤HMD(薬剤A)と、通常薬剤MD(薬剤B)との切り替え位置である薬剤Bの手前で分包シートをカットする。この場合、薬剤Aを含むカット単位は、空包を含むために、薬剤Aが含まれる薬包位置が、カット単位によって異なる。
【0149】
一方、図11の11003に示すカット例2において、切断機構は、先頭から3包ごとに分包シートをカットする。また、切断機構は、カット単位の先頭が空包となる場合には、当該空包のみを1包分カットする。さらに、切断機構は、加熱注意薬剤HMD(薬剤A)と、通常薬剤MD(薬剤B)との切り替え位置である薬剤Bの手前で分包シートをカットする。この場合、薬剤Aを含むカット単位は全て、薬剤Aを含む薬包が両端に配置され、その間に空包を含む同一のカット単位となる。カット例2のようにカットすることにより、カット単位における薬剤Aの配置が全て同一となるため、分包機構6から払出されるカット単位の見た目の良さが向上する。また、その後の目視鑑査および/または薬剤棚等への充填時におけるユーザの作業効率を向上させることができる。
【0150】
なお、図11の11003に示すカット例2は、カットの設定包数が5以上の奇数である場合に適用でき、この場合、上述した設定包数が3の場合と同様の効果を得ることができる。
【0151】
〔実施形態3〕
実施形態1の薬剤仕分装置1は、第1収容部11に収容された全ての薬剤について、1つずつ薬剤の種類を判別し、第2収容部14において種類毎に収容する。第1収容部11に、第2収容部14に配置された仕分カップ141の個数を超える種類の薬剤が収容されている場合には、種類を判別したとしても第2収容部14に収容できず、待機トレイ15に収容される薬剤が発生する。薬剤仕分装置1は、待機トレイ15に薬剤が収容された場合、当該薬剤の種類を再度判別し、第2収容部14に収容することになる。そして、薬剤仕分装置1は、第2収容部14に収容できない薬剤が発生するたびに、当該薬剤の種類を判別し、第2収容部14への収容を試みることになる。
【0152】
本実施形態では、第1収容部11に収容された薬剤について、第2収容部14への収容を待機させることなく、第2収容部14に収容可能とする薬剤払出システム100について説明する。
【0153】
〔薬剤払出システム〕
本実施形態の薬剤払出システム100について説明する。図12は、薬剤払出システム100の構成例を示す図である。図13は、分包機110により分包された薬包に2次元コードが印字されている状態を示す図である。
【0154】
図12に示すように、薬剤払出システム100は、例えば処方データに基づき、各種薬剤の払出しを行うシステムであって、薬局又は病院等の医療機関に設けられるシステムである。薬剤払出システム100は、例えば、分包機110、及び薬剤仕分装置1Aを備える。
【0155】
分包機110は、例えば処方データに基づき、薬剤を払出す装置である。具体的には、分包機110は、錠剤又はカプセル等の薬剤を分包する装置である。分包機110は、薬剤を分包するときに、薬剤を収容する分包紙の表面に、収容する薬剤の種類を示す情報を2次元コードとして印字する。具体的には、分包機110は、図13に示すように、分包紙により分包単位で薬剤を包装する薬包MP1に、薬包MP1に収容する薬剤の種類を示す情報を2次元コードCo1として印字する。図13に示すように、薬包MP2には、薬包MP2に収容される薬剤の種類を示す情報が2次元コードCo2として印字され、薬包MP3には、薬包MP3に収容される薬剤の種類を示す情報が2次元コードCo3として印字されている。
【0156】
本実施形態では、薬剤の種類を示す情報は、例えば、分包した薬剤の薬剤名、または、YJコードであってよい。また本実施形態では、薬剤の種類を示す情報は、2次元コード(例:QRコード(登録商標))として薬包に印字されているが、バーコード等、他の形態で印字されていてもよい。薬包に印字された薬剤の種類を示す情報は、後述するように薬剤仕分装置1Aによって読取られる。そのため、薬剤の種類を示す情報は、薬剤仕分装置1Aが読取り可能な形態で薬包に印字されていればよい。
【0157】
但し、薬剤の種類を示す情報の分包紙への印字は、分包機110により実行される必要は必ずしもない。例えば、当該印字は、分包機110と別の装置である印字装置(不図示)により実行されてもよい。この場合例えば、分包機110が、印字装置に、薬包に収容された薬剤の種類を示す情報を送信することにより、印字装置が、分包機110から払出された薬包に対して印字してもよい。
【0158】
薬剤仕分装置1Aは、薬剤仕分装置1と同様、薬剤仕分装置1Aに投入された薬剤の種類を判別して、種類毎に仕分ける装置である。薬剤仕分装置1Aの具体的構成については後述する。
【0159】
薬剤払出システム100では、分包機110により払出された薬剤は、当該薬剤が処方された患者に手渡される。患者に手渡された薬剤は、薬剤払出システム100を備える医療機関に返品されることがある。返品された薬剤は、分包機110又は薬剤棚(不図示)に返却するために、ユーザ(例:薬剤師等の医療従事者)により薬剤仕分装置1Aに投入され、種類毎に仕分けられる。
【0160】
〔薬剤仕分装置〕
図14は、薬剤仕分装置1Aの全体構成を示すブロック図である。図14に示すように、薬剤仕分装置1Aは、薬剤仕分装置1の構成に加えて、読取部8及び制御部60Aaを備えている。以下では、これらの部材に加え、第1収容部11、第2収容部14、搬送・仕分ユニット12、分包機構6、及びタッチパネル3の表示部32についても説明する。
【0161】
第1収容部11は、実施形態1で説明したように、複数種類の薬剤を収容可能な収容部であり、複数の収容部(具体的には4つの収容部)に分割されている。本実施形態では、第1収容部11において分割された4つの収容部を、それぞれ第1区画111a~111dと称する。第1区画111a~111dを総称して第1区画111と称する場合もある。第1区画111の数は、複数であれば、4つ以外であってもよい。また、第1収容部11は、上述したように、分包機110により分包された薬剤を収容可能である。
【0162】
第2収容部14は、実施形態1で説明したように、複数の仕分カップ141を配置可能であり、配置された複数の仕分カップ141のそれぞれに、種類毎に薬剤を収容可能な収容部である。取外し可能な仕分カップ141に代えて、第2収容部14に薬剤を収容可能な複数の区画が設けられていてもよい。仕分カップ141及び当該区画は、種類毎に薬剤を収容可能な第2区画と称することもできる。本実施形態では、第2収容部14に収容可能な仕分カップ141の総数(第2区画の数。以降、単に仕分カップ141の総数とも称する。)は40個であるが、複数であればこれに限られない。
【0163】
搬送・仕分ユニット12は、第1区画111毎に、第1収容部11に収容された薬剤を第2収容部14に搬送し、第2収容部14において種類毎に仕分カップ141に収容する搬送部として機能する。
【0164】
搬送・仕分ユニット12は、1つの第1区画111(例:第1区画111a)に収容された薬剤の全てについて、判別部65による判別結果に基づき、第2収容部14又は待機トレイ15に搬送する。搬送・仕分ユニット12は、種類を判別できた薬剤については、第2収容部14の仕分カップ141のそれぞれに種類毎に収容する。搬送・仕分ユニット12は、種類を判別できなかった薬剤については、待機トレイ15に収容する。
【0165】
搬送・仕分ユニット12は、1つの第1区画111に収容された薬剤の全てに対する仕分処理が完了した後、第2収容部14の仕分カップ141に収容された全ての薬剤を分包機構6に搬送する。その後、搬送・仕分ユニット12は、別の第1区画111(例:第1区画111b)に収容された薬剤の第2収容部14への搬送を開始する。これにより、第2収容部14に空きがある状態で、第1区画111に収容された薬剤を第2収容部14に搬送できる。
【0166】
搬送・仕分ユニット12は、上述した搬送処理を、全ての第1区画111から薬剤が取り出されるまで実行する。すなわち本実施形態では、第1区画111aに収容された薬剤の仕分処理が完了し、第2収容部14に収容された薬剤の分包処理が完了した後、第1区画111bに収容された薬剤の仕分処理を開始する。その後、第1区画111bに収容された薬剤の仕分処理が完了し、第2収容部14に収容された薬剤の分包処理が完了した後、第1区画111cに収容された薬剤の仕分処理を開始する。その後、第1区画111cに収容された薬剤の仕分処理が完了し、第2収容部14に収容された薬剤の分包処理が完了した後、第1区画111dに収容された薬剤の仕分処理を開始する。
【0167】
分包機構6は、実施形態1で述べたように、第2収容部14に収容された薬剤を分包する分包部として機能する。搬送・仕分ユニット12は、1つの第1区画111に収容された全ての薬剤を第2収容部14又は待機トレイ15に搬送した後、第2収容部14に収容された薬剤を薬剤投入口17に搬送する。その後、分包機構6は、第2収容部14の仕分カップ141に収容された薬剤の分包を開始する。これにより、薬剤仕分装置1Aは、仕分カップ141の全てに薬剤が収容されている場合であっても、当該薬剤を分包することにより、仕分カップ141に空きを作ることができる。そのため、薬剤仕分装置1Aは、次の仕分対象となる薬剤を、第2収容部14に搬送できる。
【0168】
読取部8は、第1収容部11に収容される薬剤の種類を示す情報を読取る。本実施形態では、読取部8は、薬包に印字された2次元コードを読取る。具体的には、ユーザは、薬包に収容された薬剤を第1収容部11に投入する前に、薬包に印字された2次元コードを読取部8に読取らせる。読取部8は、薬包に収容された薬剤の種類を示す情報が読取ることができればよい。例えば、薬包に印字された形態がバーコードである場合、読取部8はバーコードリーダであってよい。
【0169】
表示部32は、後述する区画指定部72によって薬剤の収容先として指定された第1区画111に、薬剤を収容するよう報知する。これにより、薬剤仕分装置1Aは、ユーザに、指定した第1区画111に薬剤を収容させることができる。また、表示部32は、後述する計数部73が計数した薬剤の種類数の合計が仕分カップ141の総数(本実施形態では40個)に達するたびに、薬剤の収容先となる第1区画111を変更するよう報知する報知部として機能する。
【0170】
なお、指定された第1区画111に薬剤を収容するための報知は、表示部32により行われる必要は必ずしもない。例えば、当該報知は、音を出力する音出力部(不図示)によって行われてもよい。すなわち、薬剤仕分装置1Aは、種々の情報を報知する報知部を有していればよい。
【0171】
また、1つの第1区画111に収容された薬剤の全てに対する仕分処理が完了した後、分包機構6による分包が行われなくてもよい。この場合、当該仕分処理が完了した後、表示部32は、薬剤が収容されていない新たな仕分カップ141に交換するよう報知してもよい。また、表示部32は、第2収容部14に配置された仕分カップ141を空の状態にするよう報知してもよい。この場合であっても、次の第1区画111に収容された薬剤を第2収容部14に搬送する前に、仕分カップ141に空きを作ることができる。
【0172】
制御部60Aaは、制御部60aの構成に加え、例えば、区画指定部72、計数部73、及び種類数判定部74をさらに含む。
【0173】
区画指定部72は、薬剤の収容先とする第1区画111として、第1区画111a~111dのうちの1つを指定する。区画指定部72は、種類数判定部74により、計数部73が計数した薬剤の種類数の合計(薬剤の総種類数)が仕分カップ141の総数を超えると判定されるたびに、指定する第1区画111を変更する。
【0174】
薬剤の仕分処理が開始されるときの初期位置として区画指定部72が指定する第1区画111、及び、区画指定部72による第1区画111の指定順は、予め設定されている。そのため、区画指定部72は、計数部73が計数した薬剤の総種類数が仕分カップ141の総数を超えると判定されるたびに、予め設定された指定順に従って、薬剤の収容先とする第1区画111を変更する。区画指定部72は、例えば、種類数判定部74からの判定結果を受付けるたびに、指定した第1区画111を示す情報を表示制御部67に送信する。
【0175】
例えば、薬剤の収容先の初期位置として第1区画111aが設定されており、第1区画111の指定順が、第1区画111a、第1区画111b、第1区画111c、第1区画111dの順に設定されているものとする。この場合本実施形態では、薬剤の仕分処理が開始されるときに、区画指定部72は、薬剤の収容先として第1区画111aを指定する。その結果、表示制御部67は、表示部32に、第1区画111aに薬剤を収容するよう報知するための画像を表示する。その後、計数部73が計数した薬剤の総種類数が仕分カップ141の総数に達したと判定されるたびに、区画指定部72は、薬剤の収容先を、第1区画111b、第1区画111c、第1区画111dの順に変更する。その結果、表示制御部67は、表示部32に、(i)第1区画111bに薬剤を収容するよう報知するための画像、(ii)第1区画111cに薬剤を収容するよう報知するための画像、(iii)第1区画111dに薬剤を収容するよう報知するための画像、を順に表示する。
【0176】
計数部73は、読取部8が読取った2次元コードに基づき、第1収容部11に収容される薬剤の種類数を計数する。読取部8は、薬包に印字されている2次元コードを読取ると、その読取結果(2次元コードが示す薬剤の種類を示す情報)を計数部73に送信する。計数部73は、読取結果を解析することにより、薬包に含まれる薬剤の種類数を計数する。つまり、薬包に2次元コードが印字されていることにより、計数部73は、薬包に収容される薬剤の種類数を計数できる。
【0177】
上述したように、ユーザは、薬包に収容された薬剤を第1収容部11に投入する前に、当該薬包に印字された2次元コードを読取部8に読取らせる。そのため、計数部73は、薬包に収容される薬剤の種類数を計数することにより、これから第1収容部11に収容される薬剤の種類数を計数できる。
【0178】
但し、計数部73は、取得した2次元コードが示す薬剤の種類の中に、既に計数した薬剤の種類と一致する薬剤が含まれている場合、一致する薬剤については計数対象から除外する。例えば、これから収容する薬剤が薬剤ME~MGであり、既に計数した薬剤(1つの第1区画111に収容されている薬剤)が薬剤MA~MFである場合を考える。この場合、計数部73は、薬剤ME~MGの3種類のうち、薬剤ME、MFを計数対象から除外し、これから収容される薬剤の種類数を1種類と計数する。
【0179】
計数部73は、今回計数した薬剤の種類数を、それまでに計数した薬剤の種類数の合計(総種類数)に加算することにより、薬剤の総種類数を更新する。計数部73は、種類数判定部74から、薬剤の総種類数をリセットするリセット指示を受付けるまで、薬剤の総種類数を更新する。計数部73は、更新後の薬剤の総種類数を示す情報を、種類数判定部74に送信する。なお、計数部73は、薬剤の総種類数を一時的に記憶している。
【0180】
種類数判定部74は、計数部73から受信した情報が示す薬剤の総種類数が、仕分カップ141の総数に達しているかを判定する。種類数判定部74は、判定結果を区画指定部72に送信する。これにより、区画指定部72は、第1区画111の変更要否を判定できる。
【0181】
なお実施形態1では、薬剤仕分装置1は、少なくとも薬剤のマークについては、撮像画像82を学習済みモデル84に入力することにより得られる抽出マーク画像83を、薬剤の種類の判別に用いている。しかし本実施形態では、薬剤仕分装置1Aは、学習済みモデル84を用いずに、既存の画像処理を用いて、撮像画像82から薬剤のマークを抽出しても構わない。
【0182】
〔第1収容部への薬剤収容時の処理〕
次に、第1収容部11に薬剤が投入されるときの処理の一例について、図15を用いて説明する。図15は、当該処理の流れの一例を示すフローチャートである。本例では、薬剤の仕分処理が開始されるときの薬剤の収容先としては、第1区画111aが指定されているものとする。また、薬剤の収容先は、第1区画111a、第1区画111b、第1区画111c、第1区画111dの順に変更されるものとする。
【0183】
第1区画111aが薬剤の収容先として指定されている状態において、制御部60Aaは、薬包に印字されている2次元コードを読取部8が読取ったか否かを判定する。すなわち、制御部60Aaは、読取部8が読取った2次元コードを読取部8から取得したか否かを判定する(S11)。
【0184】
ユーザは、薬包に収容された薬剤を第1収容部11に投入する前に、薬包に印字されている2次元コードを読取部8に読取らせる。ユーザが読取部8に2次元コードを読取らせた場合、制御部60Aaは、読取部8から2次元コードを取得する。表示制御部67は、表示部32に、薬包に収容された薬剤を第1収容部11に投入する前に、薬包に印字されている2次元コードを読取部8に読取らせるようユーザに促す画像を表示させてもよい。
【0185】
制御部60Aaが2次元コードを取得したと判定した場合(S11においてYES)、計数部73は、取得した2次元コードが示す薬剤の種類を示す情報に基づき、薬包に収容された薬剤の種類数を計数する(S12)。すなわち、計数部73は、これから第1収容部11に収容される薬剤の種類数を計数する。その後、計数部73は、一時記憶している薬剤の総種類数に、今回計数した薬剤の種類数を加算することにより、薬剤の総種類数を更新する。なお、制御部60Aaは、読取部8により2次元コードが読取られ、読取部8から2次元コードを取得するまで、S11の処理を行う(S11においてNOの場合)。
【0186】
種類数判定部74は、計数部73から受信した薬剤の総種類数(更新後の薬剤の総種類数)が仕分カップ141の総数に達したか否かを判定する(S13)。
【0187】
種類数判定部74が、上記薬剤の総種類数が仕分カップ141の総数に達していないと判定した場合(S13においてNO)を考える。この場合、表示制御部67は、表示部32に、区画指定部72が現在指定している第1区画111に薬剤を収容するように報知するための画像を表示する(S15)。S15の処理時において、区画指定部72が第1区画111aを指定している場合、表示制御部67は、第1区画111aに薬剤を収容するよう報知する。S15の処理後、S11の処理に戻る。
【0188】
一方、種類数判定部74が、上記薬剤の総種類数が仕分カップ141の総数に達したと判定した場合(S13においてYES)、区画指定部72は、第1区画111a~111dの全てを指定したか否かを判定する(S14)。本実施形態では、区画指定部72は、第1区画111dを指定した状態であるか否かを判定する。
【0189】
区画指定部72は、第1区画111a~111dの全てを指定していないと判定した場合(S14においてNO)、現在指定している第1区画111から次の薬剤の収容先として設定されている第1区画111に変更する。すなわち、区画指定部72は、次の薬剤の収容先である第1区画111を指定する(S16)。表示制御部67は、表示部32に、区画指定部72により指定された次の薬剤の収容先である第1区画111に薬剤を収容するように報知するための画像を表示する(S17)。
【0190】
本実施形態では、区画指定部72は、第1区画111a~111cの何れかを指定している状態である場合、次の薬剤の収容先である第1区画111b~111dの何れかを指定する。例えば、区画指定部72が薬剤の収容先として第1区画111aを指定している場合、次の薬剤の収容先として第1区画111bを指定する。そして、表示制御部67は、表示部32に、第1区画111bに薬剤を収容するように報知するための画像を表示する。
【0191】
その後、制御部60Aaは、計数部73が一時記憶している薬剤の総種類数をリセットする(S18)。これにより、計数部73が、新たに指定された第1区画111に収容される薬剤の総種類数を計数できるようになる。S18の処理後、S11の処理に戻る。
【0192】
一方、区画指定部72が第1区画111a~111dの全てを指定済であると判定した場合(S14においてYES)、制御部60Aaは、本処理を終了する。本実施形態では、区画指定部72が第1区画111dを指定した状態である場合、制御部60Aaは、本処理を終了する。これにより、第1区画111dにも仕分カップ141の総数を超える薬剤が収容される可能性の発生を抑制できる。
【0193】
なお、第1区画111a~111dの全てに薬剤が収容されるとは限らない。すなわち、第1収容部11に160種類を超える種類数の薬剤が収容されるとは限らない。そのため、制御部60Aaは、薬剤の仕分処理を開始するユーザ入力を受付けた場合、更に第1収容部11に収容すべき薬剤が存在しないものとして、本処理を終了してよい。例えば、第1収容部11に収容される薬剤の種類数が40種類以下であれば、第1区画111aにのみ薬剤が収容された状態で本処理が終了することになる。
【0194】
このように、制御部60Aaは、これから第1収容部11に収容する薬剤の種類数を、指定されている第1区画111に収容された薬剤の総種類数に加算しても、仕分カップ141の総数を超えない場合、当該第1区画111に薬剤を収容させることができる。すなわち、制御部60Aaは、第1区画111の薬剤の収容数が仕分カップ141の総数に到達するまで、第1区画111への薬剤の収容をユーザに促すことができる。一方、制御部60Aaは、上記薬剤の種類数を上記薬剤の総種類数に加算すると仕分カップ141の総数を超える場合、別の第1区画111(未収容の第1区画111)に薬剤を収容させることができる。そのため、制御部60Aaは、第1区画111に、仕分カップ141の総数を超えない、できる限り多くの種類数を収容させることができる。
【0195】
ここで、第1収容部11に収容しようとする薬剤と同種の薬剤が、薬剤の収容先として指定されている第1区画111とは異なる第1区画111に既に収容されている場合を考える。この場合、区画指定部72は、第1収容部11に収容しようとする薬剤の収容先として、同種の薬剤が既に収容されている第1区画111を指定してもよい。
【0196】
例えば、制御部60Aaは、S11において2次元コードを取得した後、2次元コードが示す薬剤の種類と、これまでに指定された第1区画111の何れかに収容された薬剤の種類とが一致するか否かを判定する。制御部60Aaが、2つの薬剤の種類が一致すると判定した場合、区画指定部72は、2次元コードが示す薬剤の種類と同種の薬剤が収容された第1区画111を特定し、当該第1区画111を薬剤の収容先として指定する。そして、表示制御部67は、表示部32を介して、当該第1区画111に薬剤を収容するよう報知する。一方、制御部60Aaが、2つの薬剤の種類が一致しないと判定した場合、計数部73は、S12において薬剤の種類を計数する。
【0197】
〔薬剤仕分処理〕
次に、第1収容部11に薬剤が収容された後に実行される薬剤仕分処理について、図16を用いて説明する。図16は、薬剤仕分処理の流れの一例を示すフローチャートである。本薬剤仕分処理は、例えば、薬剤仕分処理を開始するためのユーザ入力を受付けたときに、制御部60Aaにより実行されればよい。また本例では、第1区画111a、第1区画111b、第1区画111c、第1区画111dの順に、第1区画111に収容された薬剤が取出され、第2収容部14に搬送され、種類毎に仕分カップ141に収容される。
【0198】
搬送制御部61は、搬送・仕分ユニット12を制御して、薬剤の取出対象として特定した1つの第1区画111に収容された薬剤を1つ取り出す(S21)。撮像制御部63は、第1カメラ131を制御して、搬送・仕分ユニット12が取出した薬剤を撮像する(S22)。判別部65は、第1カメラ131により撮像された薬剤の画像に基づき、当該薬剤の種類を判別する(S23)。仕分制御部62は、種類を判別した薬剤を収容する仕分カップ141(仕分位置)を決定する。そして、仕分制御部62は、搬送・仕分ユニット12を制御して、薬剤の収容先として決定した仕分カップ141に、薬剤を収容する(S24)。
【0199】
搬送制御部61は、薬剤の取出対象とした第1区画111からの全ての薬剤の取出しが完了したかを判定する(S25)。搬送・仕分ユニット12が第1区画111から薬剤を取出すとき、撮像制御部63は、第2カメラ121を制御して、薬剤の取出対象である第1区画111を撮像する。撮像制御部63は、第2カメラ121が撮像した第1区画111の画像を解析することにより、薬剤の取出対象である第1区画111に薬剤が含まれているか否かを判定する。搬送制御部61は、撮像制御部63により第1区画111に薬剤が含まれていないと判定した場合、薬剤の取出対象である第1区画111から全ての薬剤が取出されたと判定する。
【0200】
搬送制御部61は、薬剤の取出対象とした第1区画111から全ての薬剤を取出していないと判定した場合(S25においてNO)、当該第1区画111には未だ薬剤が収容されているため、S21の処理を行う。一方、搬送制御部61が当該第1区画111から全ての薬剤を取出したと判定した場合(S25においてYES)、搬送制御部61及び仕分制御部62は、薬剤の搬送及び仕分処理を一旦中断する。すなわち、搬送制御部61は、次の仕分対象の薬剤を収容した第1区画111に収容された薬剤の搬送処理を実行しない。
【0201】
代わりに、分包制御部71は、搬送・仕分ユニット12を制御して、仕分カップ141に収容された薬剤を薬剤投入口17まで搬送する。その後、分包制御部71は、分包機構6を制御して、仕分カップ141に収容された薬剤を分包する(S26)。分包制御部71は、薬剤が収容された仕分カップ141の全てについて、S26の処理を実行する。
【0202】
なお、薬剤が収容された仕分カップ141は、例えば、仕分制御部62により決定された仕分位置を記憶部80に記憶しておくことにより特定できる。また、仕分カップ141に薬剤が収容されているか否かの判定は、例えば、撮像制御部63が第2カメラ121に仕分カップ141を撮像させ、仕分カップ141の画像を解析することにより実行されてよい。
【0203】
分包制御部71は、第2収容部14に収容された全ての薬剤を分包したか否かを判定する(S27)。すなわち、分包制御部71は、薬剤が収容された全ての仕分カップ141について、仕分カップ141に収容された全ての薬剤を分包したか否かを判定する。
【0204】
分包制御部71は、第2収容部14に収容された全ての薬剤を分包するまで、S26の処理を行う(S27においてNOの場合)。一方、第2収容部14に収容された全ての薬剤を分包したと判定した場合(S27においてYES)、搬送制御部61は、薬剤が収容された全ての第1区画111からの薬剤の取出しが完了したか否かを判定する(S28)。
【0205】
搬送制御部61は、薬剤が収容された全ての第1区画111からの薬剤の取出しを完了していないと判定した場合(S28においてNO)、S21の処理に戻る。すなわちこの場合、制御部60Aaは、次に薬剤の取出対象となる第1区画111から薬剤を取出すことにより、当該第1区画111に収容された薬剤の仕分処理を再開できる。一方、搬送制御部61が、薬剤が収容された全ての第1区画111からの薬剤の取出しを完了したと判定した場合(S28においてYES)、制御部60Aaは本薬剤仕分処理を終了する。
【0206】
例えば、制御部60Aaが、区画指定部72が指定した第1区画111を管理しておくことにより、搬送制御部61はS28の処理を実行できる。例えば、区画指定部72が指定した最後の第1区画111が第1区画111cであった場合、搬送制御部61は、S28において、第1区画111cからの薬剤の取出しが完了したか否かを判定する。例えば、第1区画111aに収容された全ての薬剤についての分包処理が完了した場合、搬送制御部61は、第1区画111cからの薬剤の取出しが完了していないと判定する。この場合、搬送制御部61は、S21において、次の薬剤の取出対象として第1区画111bを特定し、第1区画111bから薬剤を取出す。その後、第1区画111cに収容された全ての薬剤についての分包処理までが完了した場合に、制御部60Aaは本薬剤仕分処理を終了する。
【0207】
このように、制御部60Aaは、1つの第1区画111に収容され、かつ種類が判別できた薬剤については全て、第2収容部14に収容させる。そして、制御部60Aaは、第2収容部14に収容された薬剤の全てを分包し、全ての仕分カップ141を空の状態にした後、別の第1区画111に収容された薬剤の仕分処理を開始する。上述したように、第1区画111には、仕分カップ141の総数以下の種類数の薬剤が収容されている。そのため、制御部60Aaは、種類が判別できた薬剤を待機トレイ15に搬送することなく、その薬剤の全てを第2収容部14に収容できる。
【0208】
なお、本実施形態では、全ての仕分カップ141を空の状態とするために、制御部60Aaは、S26において分包処理を実行するが、これに限られない。すなわち、制御部60Aaは、S26及びS27の処理の代わりに、以下の処理を行ってもよい。例えば、制御部60Aaは、薬剤が収容されていない新たな仕分カップ141に交換するようユーザに促してもよい。また、制御部60Aaは、第2収容部14に配置された仕分カップ141を空の状態にするようユーザに促してもよい。その後、制御部60Aaは、仕分カップ141を空の状態にしたことを示すユーザ入力を受付けると、S28の処理を実行してよい。
【0209】
また、搬送制御部61が第1区画111からの全ての薬剤の取出しを完了したと判定した場合(S25においてYES)、区画指定部72は、当該第1区画111を薬剤の収容先として指定してもよい。そして、表示制御部67は、当該第1区画111に薬剤を収容するようユーザに報知してもよい。この場合、後続の第1区画111に収容された薬剤の仕分処理が完了していない状態であっても、空きができた第1区画111に薬剤を収容させることができる。
【0210】
〔本実施形態の主たる効果〕
以上のように、本実施形態における薬剤仕分装置1Aは、計数部73が計数した薬剤の総種類数が仕分カップ141の総数に達するたびに、薬剤の収容先となる第1区画111を変更するよう報知する。そのため、1つの第1区画111に、仕分カップ141の総数以下の種類数の薬剤を収容させることができる。
【0211】
そして、薬剤仕分装置1Aは、第1区画111毎に、第1収容部11に収容された薬剤を第2収容部14に搬送して、第2収容部14において薬剤を種類毎に仕分けおく。そのため、1回分の仕分処理において、第2収容部14で収容可能な種類数を超えた薬剤が仕分対象となることがない。従って、薬剤仕分装置1Aは、種類を判別した薬剤を、第2収容部14とは異なる待機位置(例:待機トレイ15)に待機させることなく、種類毎に第2収容部14に収容できる。すなわち、薬剤仕分装置1Aは、種類を判別した薬剤を待機位置に待機させた場合に発生する処理時間分、薬剤の仕分処理にかかる時間を短縮できる。
【0212】
〔実施形態4〕
実施形態1の薬剤仕分装置1では、撮像制御部63は、仕分カップ141から薬剤を取出す場合、第2カメラ121に仕分カップ141の内部を撮像させる。そして、分包制御部71は、仕分カップ141の内部を撮像した画像から取出対象とする薬剤を特定し、吸着・シャッター機構122の吸着機構を鉛直下方向(-Z軸方向)に移動させる。
【0213】
しかし、撮像制御部63は、平面的に1回の撮像しか行わない。このため、撮像制御部63は、上記画像から、一部が重畳して仕分カップ141に収容されている下側の薬剤を、取出対象の薬剤として特定する可能性がある。この場合、吸着機構が下側の薬剤を取出すとき、上側の薬剤を仕分カップ141の外部に跳ね飛ばしてしまう可能性がある。
【0214】
また、吸着機構は、薬剤を吸着するときに、薬剤の端側を鉛直上方向(+Z軸方向)から押してしまう可能性がある。この場合、薬剤が仕分カップ141の外部に飛び出してしまう可能性がある。この可能性の発生を低減すべく、分包制御部71は、吸着機構を鉛直下方向に移動させるときに、吸着機構の下降速度を低下させている。しかし、分包制御部71は、仕分カップ141に収容されている薬剤の量に関係なく、ある所定の固定位置から一律に吸着機構の下降速度を低下させる。そのため、仕分カップ141に収容されている薬剤の量にかかわらず、仕分カップ141からの薬剤の取出速度が低下する可能性がある。
【0215】
そこで本実施形態では、仕分カップ141から薬剤を取出すときに、複数の位置から、第2カメラ121に仕分カップ141の内部を撮像させることにより、下側の薬剤を先に取出す可能性、及び取出速度が低下する可能性の発生を低減させる。
【0216】
図17は、仕分カップ141の内部の撮像方法について説明するための図である。図17に示すように、制御部60aは、薬剤を取出す仕分カップ141の中心線CLから所定距離離れた第1位置Po1に第2カメラ121を移動させる。そして、撮像制御部63は、第1位置Po1において仕分カップ141の内部を撮像する。次に、制御部60aは、第1位置Po1から、中心線CLから所定距離離れた第2位置Po2まで第2カメラ121を移動させる。そして、撮像制御部63は、第2位置Po2において仕分カップ141の内部を撮像する。なお、第2カメラ121は、仕分カップ141の内部を、第2位置Po2において撮像した後、第1位置Po1において撮像してもよい。また、第2カメラ121は、実際には、吸着・シャッター機構122と共に移動する。
【0217】
制御部60aは、第1位置Po1で取得した第1画像と、第2位置Po2で取得した第2画像とに基づき、第1画像と第2画像とにおける像の位置の差である視差Dを算出する。視差Dの算出方法は、公知の技術を採用できる。
【0218】
ここで、視差を利用した測距原理について説明する。図17に示すように、(i)対象物から第1位置Po1に存在する第2カメラ121への入射光IL1と、(ii)対象物から第2位置Po2に存在する第2カメラ121への入射光IL2と、(iii)カメラ間距離Bと、により第1三角形Tr1が形成される。また、(i)入射光IL1と、(ii)入射光IL2の平行線であり、第2カメラ121が備えるレンズ(不図示)の焦点位置を通る直線PLと、(iii)第2カメラ121の撮像面と、によっても第2三角形Tr2が形成される。この第2カメラ121の撮像面が視差Dを表す。そして、図17に示すように、第1三角形Tr1と第2三角形Tr2とは相似関係にある。そのため、この相似関係により、制御部60aは、カメラ間距離B×焦点距離F/視差Dとの式により距離Zを算出できる。
【0219】
カメラ間距離Bは、第1位置Po1と、第2位置Po2と、の間の距離を指す。カメラ間距離Bは、第2カメラ121の移動距離であり、予め設定されている。焦点距離Fは、第2カメラ121が備えるレンズの焦点距離であり、採用した第2カメラ121の固有値である。そのため、制御部60aは、上述の通り視差Dを算出し、視差Dを上記式に代入することにより、第2カメラ121が備えるレンズの焦点位置から対象物(例;薬剤MDA)までの距離Zを算出できる。
【0220】
以上のように、制御部60aは、第2カメラ121を水平方向に移動させて2箇所から薬剤を撮像することにより、距離Zを算出する。これにより、薬剤仕分装置1は、距離Zに基づき、仕分カップ141に収容されている薬剤毎に、薬剤の吸着前に、吸着機構の下降速度を調整できる。従って、仕分カップ141からの薬剤の取出速度が低下する可能性を低減できる。また、吸着機構は、仕分カップ141に収容されている薬剤を適切に吸着できる。
【0221】
また、制御部60aは、仕分カップ141に収容されている薬剤毎に距離Zを算出できる。そのため、吸着機構は、上側の薬剤から順に吸着できる。従って、吸着機構が下側の薬剤を先に取出すことにより、上側の薬剤が仕分カップ141の外部に飛び出してしまう可能性を低減できる。
【0222】
このように、制御部60aは、薬剤仕分装置1を機構上、何も変更せずに、仕分カップ141に収容されている薬剤を2回撮像して距離Zを算出するだけで、上述した可能性を低減できる。つまり、薬剤仕分装置1は、例えば測距センサ又はステレオカメラを備えることなく、距離Zを算出できる。そのため、薬剤仕分装置1は、上述した可能性を低減させるために、測距センサ等を取り付けるためのコストを発生させることなく、距離Zを算出できる。また、薬剤仕分装置1は、省スペースで、かつ簡易な手法により、距離Zを算出できる。
【0223】
なお本実施形態では、仕分カップ141から薬剤を取出すときを例に挙げて説明したが、薬剤仕分装置1は、第1収容部11から薬剤を取出すときにも、上述した距離Zの算出方法を利用して薬剤を取出すことができる。また、上述した距離Zの算出方法を利用した薬剤の取出方法は、薬剤仕分装置1Aによっても実現可能である。さらに、当該薬剤の取出方法は、薬剤仕分装置に限らず、水平面(XYステージ)から対象物を取出すピッキングシステムにも応用可能である。
【0224】
〔ソフトウェアによる実現例〕
薬剤仕分装置1、1Aの制御ブロック(特に制御部60a、60Aa)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0225】
後者の場合、薬剤仕分装置1、1Aは、各機能を実現するソフトウェアであるプログラム(種類判別プログラム)の命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0226】
[分包品をまとめやすくする機能]
薬剤仕分装置1、1Aには分包機構6を有しており、薬剤の仕分けが完了した薬剤は順次、分包機構6に搬送され、同一薬種の薬剤が収容された仕分カップ141ごとに分包が実行される。この際、一包当りの薬剤収容数量は決まっており、仕分カップ141に収容された数量の多い薬剤においては複数包に分けて分包が実行される。分包処理は自動で実行され、分包された分包袋は所定数分包された袋が帯状になって、薬剤仕分装置1、1Aから排出される。排出された分包帯は装置外部に設けられた収容箱等(図示せず)に収容される。そのため、どの薬剤が分包帯のどの位置に存在するか、作業者が探すのに分包帯を取り出して確認する必要があり、手間や時間を要することになる。
【0227】
特に、薬剤仕分装置1、1Aで仕分けた後に、分包機構6により分包された薬種ごとの薬剤は、薬剤仕分装置1、1Aとは別の、錠剤分包機や、錠剤収容棚等に戻すために、同一薬種ごとに漏れなく分包した分包袋を取り出す必要がある。しかし、分包機構6により払い出された分包帯が収容箱内で積み重ねられた状態となっているため、全ての袋を手に取り目視により確認し、対象の薬剤の袋を個別に探し出して抜き取らなければならないという問題があった。また、同じ薬種の分包袋が同じ分包帯に存在しない場合もあり、別の分包帯の群も探さなければ、最終的に全ての分包袋を漏れなく確認できたことにならないという作業の煩雑さをもたらしていた。
【0228】
そこで、タッチパネル3の表示部32には、分包動作が完了すると「分包が完了しました」という情報の表示と共に「分包結果を確認」というボタンを表示し、これをタッチまたはクリックすることにより、今回の分包動作で分包した分包袋の数を薬剤毎に表示可能とするものである。また、表示部32に表示した分包結果に関する情報は、実際の分包袋を貯留した場所から探し出す作業時に携帯することが可能なジャーナル等の印刷物に同様の情報を印刷するようにしても良い。
【0229】
具体的には、薬剤名と分包した分包袋の数を同一行に表示または印刷物へ印字し、同様に他の薬剤についても、薬剤毎に薬剤名と分包した分包袋の数を表示、または印刷物へ印字するものである。これにより、作業者は分包完了後において、薬剤毎の分包袋の数が把握できるため、実際に貯留した分包帯の群から対象の薬剤の分包袋を取り出す作業の際にも、表示または印刷された分包袋の数だけ探し出せばよいため、探し漏れが無いかという不安がなく、表示された分包数さえ取り出すことができれば、次の薬剤の分包袋の取り出し作業に移行する事が可能となり、従来と比較し収容箱等からの全ての分包袋の取り出し作業が短縮できるものである。
【0230】
〔本開示の別表現〕
本開示の一態様に係る種類判別装置は、薬剤に形成されたマークを抽出するように構築された学習済みモデルに、種類不明の対象薬剤を撮像した撮像画像を入力して得られる出力値に基づき、当該撮像画像に写るマークを抽出した抽出マーク画像を生成する画像生成部と、前記画像生成部が生成した抽出マーク画像と、薬剤の種類毎に予め登録された登録マーク画像との照合結果に基づき、前記対象薬剤の種類を判別する判別部と、を備える。
【0231】
本開示の一態様に係る種類判別方法は、種類判別装置が実行する種類判別方法であって、薬剤に形成されたマークを抽出するように構築された学習済みモデルに、種類不明の対象薬剤を撮像した撮像画像を入力して得られる出力値に基づき、当該撮像画像に写るマークを抽出した抽出マーク画像を生成する画像生成ステップと、前記画像生成ステップで生成した抽出マーク画像と、薬剤の種類毎に予め登録された登録マーク画像との照合結果に基づき、前記対象薬剤の種類を判別する判別ステップと、を含む。
【0232】
本開示の一態様に係る種類判別プログラムは、コンピュータに、薬剤に形成されたマークを抽出するように構築された学習済みモデルに、種類不明の対象薬剤を撮像した撮像画像を入力して得られる出力値に基づき、当該撮像画像に写るマークを抽出した抽出マーク画像を生成する画像生成ステップと、前記画像生成ステップで生成した抽出マーク画像と、薬剤の種類毎に予め登録された登録マーク画像との照合結果に基づき、前記対象薬剤の種類を判別する判別ステップと、を実行させる。
【0233】
本発明の一態様に係る種類判別装置、種類判別方法、及び種類判別プログラムによれば、判別結果のエビデンスの提示を可能にすると共に、多様なマークに基づく種類の判別を行うことができる。
【0234】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0235】
6 分包機構(分包部)
8 読取部
11 第1収容部
12 搬送・仕分ユニット(搬送部)
14 第2収容部
15 待機トレイ(仮収容部)
32 表示部(報知部)
60 コンピュータ(種類判別装置)
64 特徴抽出部(画像生成部)
65 判別部
73 計数部
82 撮像画像
83 抽出マーク画像
84 学習済みモデル
111、111a~111d 第1区画
141 仕分カップ(第2区画)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図17