(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163176
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】画像装置、コンピュータ装置、コンピュータネットワークシステム
(51)【国際特許分類】
G06F 21/32 20130101AFI20241114BHJP
G06F 21/64 20130101ALI20241114BHJP
G06T 7/00 20170101ALN20241114BHJP
【FI】
G06F21/32
G06F21/64
G06T7/00 660A
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024150413
(22)【出願日】2024-09-01
(62)【分割の表示】P 2022099954の分割
【原出願日】2021-01-15
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年2月22日にnote.com(運営会社は東京都港区北青山3-1-2のnote株式会社)にて出願番号の発明の発明者である西沢克弥はペンネーム槍建としや名義で掲載アドレス(https://note.com/toshiyasingular/n/n7a9e0fd0f767)にてブロックチェーンのブロック番号(ブロックナンバー)を用いたTOTP及び疑似乱数生成器のアイデアを公開し、た。そして令和2年2月23日(https://note.com/toshiyasingular/n/n6c4e08b578e5)及び2月24日(https://note.com/toshiyasingular/n/n55367ad4d1bc)に同じくnote.comにてユーザー識別子を用いたOTPトークンを用いるブロックチェーンのブロック番号を用いたTOTP認証の概念やプログラムコードについて公開した。さらに西沢克弥はOTP認証システムの開発と発明の実施を行い令和2年4月17日にブロック番号BnベースのTOTPの生成と認証に関するコントラクトをパブリックなブロックチェーンのイーサリアムのRopstenテストネットにデプロイし公開し、令和2年5月26日にGitHub.com(運営会社はGithub.inc、米国カリフォルニア州サンフランシスコ市)においてウェブサイト上でTOTP及びOTP認証プログラムの基礎的な公開をした。(公開先はhttps://github.com/NZRI-AZRI/ERC721LT-OTP-GEN-AUTH。)同年7月9日にもOTP認証システムのコントラクトとウェブサイト・ウェブアプリを公開した。さらにOTP認証システムを用いたウェブサイトログイン・紙のチケット・暗号化データ復号への用途の概念に関わる概念を令和2年7月13日にhttps://github.com/NZRI-AZRI/cryhon及びhttps://github.com/NZRI-AZRI/cryhon/blob/master/Crybon-ERC721KI.pdfにて公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り またGitHubを用いてソースコードを掲載しながら米Heroku社のHerokuというウェブサイト開発プラットフォームにて、OTP認証時にIPアドレスを収集する事を意図した番号BnベースのTOTP認証に関するウェブページを令和2年4月26日にhttps://otp-ropsten-test.herokuapp.com/にて公開した。また同年7月29日にはコンテンツ閲覧用サイトの例としてhttps://cryhon.herokuapp.com/を公開している。発明者の用いたコントラクトをブロックチェーンにデプロイするために用いたイーサリアムテストネットのアドレスは0x0f398803BE4319B98F164cae47589797aC5cF906と0x7E86eFE660D77FA874338aDAf8be88f8cAED3c27と0x86904339D23BF346C1FFF31Cc3Bb7262fa59d837を用いており、前記イーサリアムアドレスについて本発明に関するトランザクションが記録され公開されている。次に1番目のアドレスの検索URIを例として次に2つ示す。https://ropsten.etherscan.io/address/0x0f398803BE4319B98F164cae47589797aC5cF906、https://rinkeby.etherscan.io/address/0x0f398803BE4319B98F164cae47589797aC5cF906 。
(71)【出願人】
【識別番号】714009083
【氏名又は名称】西沢 克弥
(72)【発明者】
【氏名】西沢 克弥
(57)【要約】
【課題】照明されにくい体の一部を光源を用いず撮影・スキャン可能とし、装置・コンピュータネットワークシステムは生体的特徴に関連するデータを得られるようにする。ログイン、施錠解錠を行う。
【解決手段】物体・体の一部の撮影・スキャンを行う際に、体温により赤外線が放射されていることを利用し、光源を用いずに、サーモグラフィ装置により温度分布の画像情報・熱画像を基に人物の生体的特徴を検出する。またハッシュ関数を備えた分散型台帳ネットワークを用いる。ログイン、施錠解錠に関する。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を取得することの可能な情報取得装置若しくは入力装置と前記取得した情報を記憶可能な記憶装置を備えたコンピュータ装置を
コンピュータネットワークシステムのノードに備えているコンピュータネットワークシステムであって、
前記コンピュータネットワークシステムはノードにブロックチェーンを用いた記録部を備えており、
前記コンピュータ装置が前記取得した情報のハッシュ値若しくはダイジェスト値を計算・取得するために利用可能な関数部若しくは計算処理アルゴリズムを、
分散型台帳システムのブロックチェーンのデータブロック若しくはスマートコントラクト部に備えている特徴を有する、コンピュータネットワークシステム。
【請求項2】
前記情報取得装置は画像取得装置若しくはカメラであって、前記情報は画像情報である、請求項1に記載のコンピュータネットワークシステム。
【請求項3】
前記情報取得装置は音声入力装置若しくはマイクであって、前記情報は音声情報である、請求項1に記載のコンピュータネットワークシステム。
【請求項4】
前記情報取得装置は熱画像装置であって、前記情報は熱画像情報である、請求項1に記載のコンピュータネットワークシステム。
【請求項5】
前記情報取得装置は生体の情報を入力可能な入力装置であって、前記情報は生体の特徴を含む情報である、請求項1に記載のコンピュータネットワークシステム。
【請求項6】
前記コンピュータ装置は人体の一部を撮影できる特徴を持ち、
前記コンピュータ装置は人体の皮膚表面から放射される赤外線を熱画像もしくは温度分布の画像情報として撮影・スキャンすることにより、
前記撮影を行う人体の一部を照明されていない環境下において、前記人体の一部の温度分布・熱画像の生体的特徴情報を得ることができる特徴を有する、
請求項4に記載のコンピュータネットワークシステム。
【請求項7】
前記コンピュータ装置は、人物の目のまわりを含む顔の一部を撮影できる特徴を持つ、請求項6に記載のコンピュータネットワークシステム。
【請求項8】
請求項1に記載のコンピュータネットワークシステムを用いて、
前記コンピュータ装置若しくは前記ノードは、ログイン若しくは施錠・解錠の処理を行う特徴を有する、コンピュータネットワークシステム。
【請求項9】
請求項8に記載のコンピュータネットワークシステムを用いて、
前記コンピュータ装置若しくは前記ノードは自動車若しくは輸送機器のログイン若しくは施錠・解錠の処理を行う特徴を有する、コンピュータネットワークシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像認証システム、アクセス制御システム、認証装置に関するものである。そして前記方法の実施例として分散型台帳システムへの適応例について説明する。(本願は特願2021-111232の分割出願である。)
本発明にて記載する図面は原出願のとおりである。本発明は既知の可視光カメラにより撮影した顔画像を用いる顔認証技術に類似し、音声動画・電子書籍等コンテンツを分散型台帳技術で利用権を付与しヘッドマウントディスプレイなどで利用権のある利用者の視界に限定し視聴させる時、ヘッドマウントディスプレイの装着者の目元の情報を生体認証に利用しようとする事を意図している。
利用者がゴーグル型のヘッドマウントディスプレイを装着した時、利用者の目元は装置に隠れて暗くなるので可視光による顔の撮影に支障が出る恐れがあるが、体温をもつ人体の赤外線放射を撮像素子で検知し撮影することで生体が装用している事をセンシングできる。さらにその人体の赤外放射の分布画像を装着者に固有の身体的特徴として記録し、既知の顔認証と同じく生体認証に利用することを本発明では意図している。
<背景技術および先行技術文献>
本発明は可視光線によるカメラを用いた顔認証技術に類似し、赤外線温度センサ及び赤外線カメラもしくはサーモグラフィ装置により温度分布もしくは温度分布の画像情報を基に人物の身体的または生体的特徴を検出し生体認証を行う。
<先行技術文献>
新規事項追加禁止のため、先行技術文献の記載をしない。
<発明の概要>
<発明が解決しようとする課題>
装着者の存在を確認する用途で、プライバシーに配慮すること。実在する生体が装着しているかどうかを確認すること。
<課題を解決するための手段>
装着者の目元の温度分布、装着者の目の周りの顔のサーモグラフィーを測定してプライバシーに配慮した簡易な生体認証情報及び存在確認情報として利用する。
生体認証センサ1443Aは端末1Aがカメラやサーモグラフィといった画像センサを持ち前記画像センサを用いて顔の構造に由来する認証をするときのセンサであったり、スキャナを用いた指紋認証を行う指紋センサであったり、耳の構造に由来する認証を行うときのセンサであったり、歩行する際などに生じる装着された端末の感じるモーションや圧力信号を用いて認証する際のセンサである。生体認証は既知の方法を用いることができる。
ヘッドマウントディスプレイ453Aを装着したときに顔認証や虹彩認証、耳の構造に由来する認証、照度センサまたは光センサ、体温分布のサーモグラフィ画像などによる生体認証機能をヘッドマウントディスプレイ453Aのセンサ4530Aを利用して行ってもよい。前記認証機能では453Aを実在する生体が装着しているかどうかを確認することが第一の目的であり、それに付属して個人の生体情報を取得して生体認証を行うことにつなげることもできる。
生体認証装置4530Aでは温度センサを用いて体温を測定してもよく。点状、1次元、2次元のサーモグラフィを453Aの装着者の頭部や目元から得て装着している人がいることと、その装着している人の特徴を検出する。また頭部の顔の形状に関する認証、目に関する生体認証、耳の構造に由来する生体認証、頭部の形状に由来する生体認証、まばたきに関する生体認証を用いてもよい。
端末4AのHMDに付属の生体認証センサ(4530A)。4530Aは装着者の複数の生体情報(顔の構造、体温又はサーモグラフィ、目の構造、まばたき、声、耳の構造、手の構造、目元静脈等パターン)を測定し、装着者の存在確認と生体認証を行う。4530Aは4443Aに記載のセンサと機能を共有していてもよい。
ここで4530Aのセンサは453Aを補助する入力装置。装着者の存在を確認するためのセンサであり、生体認証機能は存在確認機能に付属するものである。
本発明では認証用途ではなく装着者の存在を確認する用途で、プライバシーに配慮するためにHMD装着者の目の周りの体温の測定やサーモグラフィー画像を用いることが想定される。
体温は赤外線温度センサをHMD内部に設置して、装着車の目や目の周りの皮膚温度を測定する。センサの測定点は1点でもよいし、2次元にセンサを配列させ線や画像の形で測定してもよい。
4530Aのセンサは装着者の目元の温度分布、装着者の目の周りの顔のサーモグラフィーを測定してプライバシーに配慮した簡易な生体認証情報及び存在確認情報として利用する。HMDのセンサが検出した温度等びそのハッシュ値は、装着者が許可する場合において、秘密鍵の不正アクセス検知の為サービス用サーバに通知されることがある。
<発明の効果>
生体が装着しているかどうかを確認して個人の生体情報を取得し生体認証を行うことにつなげることもできる。
<図面の簡単な説明>
<
図1>代表図である。
<
図2A>本発明を備える例である。端末の説明図である。
<
図2AA>本発明を備える例である。端末の説明図である。原出願に記載のコンテンツやサービスへのアクセス制御技術として利用する形態の説明図と同じである。
<
図4A>本発明を備えアクセス制御しながら権限を持つ個人に閲覧させる例である。原出願に記載のHMDを用いたアクセス制御技術として利用する形態の説明図と同じである。
<発明を実施するための形態>
生体認証装置4530Aでは温度センサを用いて体温を測定してもよく。点状、1次元、2次元のサーモグラフィを453Aの装着者の頭部や目元から得て装着している人がいることと、その装着している人の特徴を検出する。
前記認証機能では453Aを実在する生体が装着しているかどうかを確認することが第一の目的であり、それに付属して個人の生体情報を取得して生体認証を行うことにつなげることもできる。
本発明では認証用途ではなく装着者の存在を確認する用途で、プライバシーに配慮するためにHMD装着者の目の周りの体温の測定やサーモグラフィー画像を用いる。
体温は赤外線温度センサをHMD内部に設置して、装着車の目や目の周りの皮膚温度を測定する。センサの測定点は1点でもよいし、2次元にセンサを配列させ線や画像の形で測定してもよい。
4530Aのセンサは装着者の目元の温度分布、装着者の目の周りの顔のサーモグラフィーを測定してプライバシーに配慮した簡易な生体認証情報及び存在確認情報として利用する。
<実施例1>
実施形態1として、
図1及び
図2AAの1443Aまたは
図4Aの4443Aの認証センサを持つ。
図4Aにおいて、出力装置のヘッドマウントディスプレイ453Aは生体認証センサ4530Aを持つ。
図1及び
図2AAの1443Aまたは
図4は特願2021-004788に記載のコンテンツやサービスへのアクセス制御技術として利用する形態の説明図である。
4530Aは装着者の複数の生体情報(顔の構造、体温又はサーモグラフィ、目の構造、まばたき、声、耳の構造、手の構造、目元静脈等パターン)を測定し、装着者の存在確認と生体認証を行う。4530Aは4443Aに記載のセンサと機能を共有していてもよい。(ここで4530Aのセンサは453Aを補助する入力装置。装着者の存在を確認するためのセンサであり、生体認証機能は存在確認機能に付属するものである。)
本発明では可視光線によるカメラを用いた顔認証技術に類似し、赤外線温度センサ及び赤外線カメラもしくはサーモグラフィ装置4530Aにより温度分布もしくは温度分布の画像情報を基に人物の身体的または生体的特徴を検出し生体認証を行う。
本発明の認証システムに用いる個人情報の管理については、欧州連合EUの 一般データ保護規則GDPRによれば個人情報の保護が必要となることも予想される。個人の端末の入力装置44Aのセンサ444Aの値を端末で保持する際に、端末の所有者に同意を求める機能を実施例にて利用できる。
本発明では個人情報を保護しつつ不正アクセスの検出を行うために、端末のセンサの値は、匿名化(不可逆的に識別を防止。ハッシュ化、ハッシュ化後にハッシュ値の一部を切取るなどの加工)または仮名化(可逆的に仮名化したデータとそれを復号する鍵などを用いている場合。個人情報を暗号化して保存)して情報を記録し利用できる。
本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。
<産業上の利用可能性>
可視光線によるカメラを用いた顔認証技術に類似し、赤外線温度センサ及び赤外線カメラもしくはサーモグラフィ装置により温度分布もしくは温度分布の画像情報を基に人物の身体的または生体的特徴を検出し生体認証を行うことで体温による顔などの温度分布を含む顔画像が得られ認証用画像データとして利用できる。
我が国の個人番号カードや運転免許証などの券面には可視光下での顔写真が印刷されているが、その券面をスキャンし本人確認に用いデータを団体で保存する場合がある。可視光下での顔写真はその人そのものであり顔写真データが不正に流出しないよう管理する必要がある。個人情報管理にはコストや信頼できる機器と人員・資格等が必要である。可視光の顔写真の団体からの流出を恐れて別の認証手段を望むユーザーがいるかもしれない。
そこで本発明では可視光ではなく人体の体温による温度分布を用い認証に利用することを考えた。(本発明はヘッドマウントディスプレイを用いてある特定のアクセス権を持つ人が前記ヘッドマウントディスプレイ装着し顔の体温の分布により認証し認証結果が正しければコンテンツやサービスを提供する。)可視光の顔写真でなくユーザーの体温分布からの顔写真を得ることで体温の温度域にある登録された個人の顔データと照合し個人の認証する。また体温域にある物体、人体が本認証システムで認証を試みているか判断することもできる。
ヒトの顔の可視光的な画像や顔の立体形状・深さ情報を模倣したマスクや頭部模型を用いて既知の顔認証が突破される恐れがあることを踏まえ、既知の顔認証技術に本発明を加えてヒトの顔の可視光画像や体温分布と立体形状・深さ情報等を組み併せて多要素の生体情報による認証を試みる事もできる。
<符号の説明>
1443A 生体認証センサ
4530A ヘッドマウントディスプレイに付属する生体認証センサ
【背景技術】
【0002】
<次に参考として原出願にある明細の内容を記載する。原出願の明細において本願の生体の体温および体温分布画像による認証システムは分散型台帳にてアクセス用OTPトークンを利用しコンテンツをヘッドマウントディスプレイにて閲覧する際の生体認証の方法として記載されている。>
インターネットの普及に伴い商取引から電子商取引、対面の銀行取引からインターネットバンキング(ネットバンキング)へと、現実空間のサービスをコンピュータとネットワークを用いたデジタル空間で行う事が可能となっている。電子メールの閲覧、動画音楽サイトの閲覧、ソーシャル・ネットワーキング・サービス、ネットバンキング、電子商取引サイトへのログインへのログインなど認証によるログインを伴ったウェブサービスは拡大している。
インターネットサービスにおいてを用いて顧客にウェブサイトでサービスを提供する際に、サービスに登録した顧客へ電話番号あるいはユーザーID(あるいはユーザのニックネーム)、電子メールアドレスとパスワードを登録させ、ウェブサイトにログインさせる。ここでウェブサイトにログインしたのち、より価値の高いデータを操作する場合がある。
例えばインターネットバンキングにおいて他者の銀行口座に振り込むときに、ログインに利用したパスワードとは異なる認証法を持ちいて、ログインしている者が利用者本人かどうかの確認をする必要がある。パスワードのみではその情報が他者に漏洩し悪用された場合に、インターネットバンキングに不正にアクセスされ資産の移動を支持され資産を悪意のある者に奪われかねない。
【0003】
そこでユーザー本人を確認する方法にパスワード以外の方法を組み合わせる必要がある。
本人を確認し認証する方法として多く分けて、1.本人が知る知識、2.本人の持つ所有物、3.本人の生体特徴の3つがある。例として次の例が挙げられる。
1.本人が知る知識は合言葉、パスワード、4桁の暗証番号などである。
パスワードは静的である。攻撃者がパスワードを不正入手したりパスワード総当たり攻撃などを行う事も想定される。パスワード総当たり攻撃に対しては本人が定期的に異なる時刻において更新し動的なパスワードとする必要がある。4桁の暗証番号に関しては0000から9999までの暗証番号を総当たりで入力する総当たり攻撃が行われることが想定される。
それに対抗するために認証が成功しない回数を記録し、連続で3回から5回程度認証の失敗が生じた場合認証を行わせなくする方法がとられる。暗証番号による認証を実行した回数を記録し、それが成功した場合に回数をゼロに戻し、回数が一定数を超えると認証の実行そのものを行えなくする処理を行うことが考えられる例えば日本国において利用されている個人番号カードにおいて暗証番号は3回から5回間違えると利用が停止される。
2.本人の持つ所有物は動的パスワード生成器やICキャッシュカード、個人番号カードである。(電子計算機の分野の外では木材や金属等で作製された鍵や印鑑なども認証に使う所有物に属する。)
本発明では一般の人間が記憶できないほど長くランダム性のあるパスワード、例えば公開鍵暗号に256ビットの秘密鍵データを使う場合、その秘密鍵は紙などに印刷するかデジタル機器に記録して利用するので所有とみなす。またICカードのうち個人番号カードは電子証明書のデータを含んでおり、個人番号カードのICチップに記録された秘密鍵のデータ・情報は外部に取り出すことができないので所有とみなせる。
一般に人間が記憶できる数字や文字の個数は7プラスマイナス2とされている(注1)。7を超える数、例えば256ビットで2の256乗の数を表現できる32バイトの秘密鍵や、個人番号カードに採用される2048ビットの秘密鍵は人間が記憶できず、秘密鍵のデータ(秘密鍵情報)を紙などに印刷もしくは板材などに刻印するか、レコード盤や磁気テープに記録するか光ディスク、磁気ディスク、半導体メモリなどのデジタル機器に記憶させる必要があり、本人の知る知識というよりは本人の所有するものである。
秘密鍵は印鑑や金属製の鍵と同じくそれを表すデータが漏洩した場合には複製されるリスクがある。その一方で生体認証情報のように更新不可能ではなく利用者の求めに応じて、不正利用されている秘密鍵の利用を停止し、新たな秘密鍵を利用者に割り当てて、対応付けをして、秘密鍵の切り替えを行うことができる。秘密鍵の情報は一つに定めなくてもよい。
秘密鍵や動的パスワード生成器はセキュリティを向上させるため、利用者とサービス提供者の間で定期的に更新することができる。動的パスワード生成器や秘密鍵の更新はそれに対応したサービスに対応する認証手段を提供する個人や法人が行う。動的パスワードの他、顧客に番号表を送付しその番号表に従った正しい数値文字の入力がログイン後のウェブサイトで行えるか調べる認証法も存在する。
これらの方法においてサービスを行うもの(銀行など)とユーザーの間で合意形成が続くことが重要であり、合意形成を助ける手段に本発明も含むデジタルな認証手段は利用される。本発明はTOTPトークンや紙の有価紙葉や金属の鍵などのようにあくまで道具であり、それらを使いサービスを受けられるかはユーザーとサービス提供者の合意や各国の法に基づく。
(注1)Miller, G. A. (1956). The magical number seven, plus or minus two: some limits on our capacity for processing information. Psychological Review , 63( 2 ) , 81 - 97.
3.本人の生体特徴は指紋や顔、虹彩、声、静脈パターン情報、遺伝子情報など身体情報と、筆跡や歩行、話者認証など行動的特徴を利用するものがある。
生体認証は利用者の備える情報を用いるので、認証の鍵となる情報はその利用者の身体が健在であれば利用者と共にあり、金属の鍵などと比べると紛失する可能性が低い。この特性を用いてコンピュータ端末機器などのソフトウェアにおいて簡易なログインに用いる。
一方で生体情報の変更は困難である。生体情報が流出した場合、金属の鍵やパスワードのように変更することが困難である。生体認証を行う鍵である生体データをもとに偽の生体的特徴を複製して錠となる認証用のセンシング装置を誤認させ突破することも考えられる。
また指紋などは利用者がログインをしたいという意志がなくとも機器を解除できてしまう。すなわち攻撃者が利用者の意志が明確でないときに利用者の身体を使い無理やり認証を行う恐れもある。
生体認証では認証する装置に本人のデータが伝えられたことがわかるのであって、本人の意志によるものかの断定はさらなる要素が必要になる。したがって生体特徴を認証に使う場合は知識、もしくは所有物による認証と組み合わせ多要素認証とすることが好ましい。
銀行の提供するインターネットバンキングのサービスなど資産を扱う場合には生体認証などをログインパスワードの代わりに用い、さらに本人の持つ所有物を認証に使う手段(パスワード生成器)を併用し多要素、多段階の認証を行いセキュリティを高めている。
【0004】
ここで本人の持つ所有物を認証に使う手段の一つにハードウェア型の動的パスワード生成器が挙げられる。動的パスワードの生成アルゴリズムとしてRFC6238規格が知られる。RFC6238規格では時刻に基づいて生成される動的に変化する一度限りのパスワードを利用している。このような時間によって変化する一度限りの使い捨てパスワードを時間ベースのワンタイムパスワード(TOTP、Time-Based-One-Time-Password)という。TOTPはハードウェア型及びソフトウェア型のワンタイムパスワード表示器に利用できる。ある決められた時間ごとにTOTPは変化する。
TOTPを用いて本人宛てに送付したワンタイムパスワード(OTP、One-Time-Password)表示器に表示された7から6桁数字のパスワードを、インターネットバンキングのウェブサイトやスマートフォンのアプリ等に入力しTOTP認証を行いウェブサイトでの操作を実行することで、本人確認が行われたとみなし、指示されたプログラムを動作させ、他行の他者の銀行口座への振込など重要な処理を行う。
本人の持つワンタイムパスワード生成器と本人が知る知識のパスワードとを併用し二要素認証を実現でき、セキュリティを向上させることができる。
【0005】
一方で既存のワンタイムパスワード生成器にも課題があった。例としてインターネットバンキング等のサービスを行う既存のハードウェア型ワンタイムパスワード表示器(ハードウェア型TOTPトークン)では、銀行のサーバ端末とパスワード表示器との時刻を同期させる必要があり、ハードウェア型TOTPトークンが備える時計としての機能を維持し時刻を同期するために利用する電池については電池消耗が起きるため、定期的に電池交換を行うことが必要となり、ワンタイムパスワードの更新する際に顧客に新たなハードウェア型TOTPトークンを郵送ないし配達する必要があり、送料が掛かるという課題があった。(ただしハードウェアTOTPトークンは印鑑と同じく所有できる物でありネットワークに接続されないため、TOTPの計算に用いる秘密にすべきキー情報がネットワーク経由で漏洩しにくいことも期待できる)
またRFC6238規格(非特許文献3)によればパスワードはハッシュ関数の引数に時間Tと、秘密にする必要のあるキー情報K(シード値Kまたはシークレット変数K)を用いてハッシュ値を計算するが、Kについての情報が漏洩した場合にはユーザーのハードウェア型TOTPトークンをすべて更新する必要がある。そこで漏洩の有無に限らずKを定期的な電池交換の際にトークンごと更新することセキュリティを保つともできる。
また既知のハードウェアTOTPトークンの認証用パスワードの表示整数が6桁から7桁であるが、ワンタイムパスワード(OTP)トークンの総当たり攻撃を行う計算機の処理能力が増加する場合には表示整数の桁数を増加させ12ケタなどに更新し変更できてもよく、表示する際の時刻も更新し変更できれば良いかもしれないと発明者は考えた。(発明者は将来に既知の計算機を凌駕する処理力を持つ計算機端末による総当たり攻撃に対抗するためにOTPトークン表示桁数を増減し表示時間も増減できれば良いと考えた。)
【0006】
また発明者はウェブサイトでのOTPトークンによるログイン方法を暗号化されたファイルで行う手段を探索していた。ある特定の個人法人や団体に対して伝えたい平文のデータファイルを暗号化してそのアクセス権となる鍵を用い復号できれば機密情報やコンテンツの配布におおいに役立つと考えた。
暗号化したファイルの閲覧に固定式のパスワードを利用することが一般的であるが、これをTOTPを用いて暗号化を解除し復号後に閲覧・実行・利用出来るようにして、暗号化を解くことの出来る鍵となる閲覧権をハードウェアトークンのようにトークン化してやり取りし、機密情報の取引やあるコミュニティ内部での情報、電子書籍のような利用、事務処理ソフトウェア等の復号、閲覧、利用を行うソフトウェアを備えた装置を提供したいという課題があった。さらにコンテンツを災害時などオフライン時でも閲覧できるようにすることも必要と考えた。
ファイルの閲覧に加えて、ネットバンキングサイト等ウェブサイトへのログインシステム、現実世界でのチケットとその読み取りシステムや施錠部の解錠システムや乗り物や装置や計算機端末の始動システムも必要と考えた。そして現実世界とウェブサービス及びデジタル世界の双方で利用できるアクセス制御システムを使用できるようにしたいと考えた。
【0007】
ここで非特許文献1や非特許物件2のようにブロックチェーン型もしくは有向非巡回グラフ型のデータ構造を持ち、分散された端末間で改ざん困難な分散型台帳システムDLSを用いて暗号資産の発行や譲渡取引の記録、DLS上でのトランザクションにプログラムコードを記録させブロックチェーンなどの改ざん困難なデータ構造の中に保存して運用するスマートコントラクト(コントラクト)という技術が利用可能となった。
特許文献1は音楽の権利に関するブロックチェーンまたは分散型台帳技術DLTの利用例の一つであり、特許文献2も分散型台帳の1つのコントラクトで複数のファイル管理システムの情報を管理するシステムの例である。コントラクトを用いコントラクトに属する変数や関数といったプログラム情報が改ざんされずに分散型台帳に記録されネットワークを介してノードとなる端末が世界中に分散可能であって、前記のノードで構成される分散型台帳システムDLSにコントラクトというプログラムを世界中に展開(デプロイ)し国境を越えてサービスを提供しうる事が分散型台帳技術および分散型台帳システムの特徴である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第6757042号
【特許文献2】特開2020-144586公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Vitalik Buterin、「Ethereum White Paper A NEXT GENERATION SMART CONTRACT & DECENTRALIZED APPLICATION PLATFORM」、[online] 、 [ 西暦2020年、令和2年11月16日検索]、インターネット〈URL:https://cryptorating.eu/whitepapers/Ethereum/Ethereum_white_paper.pdf〉
【非特許文献2】IOTA財団、「Differences between the Tangle and blockchain」、[online]、 [ 西暦2020年、令和2年11月16日検索] 、インターネット〈URL:https://docs.iota.org/docs/getting-started/1.1/the-tangle/tangle-vs-blockchain
【非特許文献3】Internet Engineering Task Force ( IETF )、「TOTP: Time-Based One-Time Password Algorithm」、[online] 、 [ 西暦2020年、令和2年11月16日検索] 、インターネット〈URL:https://tools.ietf.org/html/rfc6238〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
解決しようとする問題点は、既知のハードウェア型TOTPトークンが電池交換が必要でトークンのキー情報Kをサービス提供者またはトークンの管理者が更新できないという点である。また暗号化された書籍などのコンテンツをOTPをもちいて閲覧できる方法が少ないということが問題であった。さらにそれら問題を解決したOTPトークンを例えばウェブサイトのログイン用チケットや改札、映画館などの入場口への入場チケットや、設備及び建物の施錠および解錠システムに提供されていないという点も課題であった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、TOTPの生成においてTの値に主に分散型台帳システムにおいてブロックチェーンのブロック番号Bnを用いること、またはブロックチェーン等分散型台帳システムにおいてKやTをスマートコントラクトの管理者が変更することで動的なパスワードを生成可能にすることを大きな特徴とする。
Tの値はある時刻に変化する値TmまたはTBであって、Tmが分散型台帳システムの時刻変化(時間変化)により自動的に変わるブロック番号Bnを用いるか、スマートコントラクト(コントラクト)の管理者が手動にてTmやKを変えるためのデータ値変更のトランザクションを分散型台帳システムに送信することで変更し更新するかの違いがある。コントラクト管理者が手動にてトランザクションを分散型台帳システムに送信することでKを変更し更新することはTOTPトークンのKを更新することにつながるため本発明では必要な要素である。
(本発明ではコントラクト管理者が手動にてトランザクションを分散型
台帳システムに送信することで変更し更新する事を前提とするが、そのほかにOTPトークンの持ち主のユーザーが設定した送信したトランザクションやOTPトークンの持ち主でもないユーザーの送信したトランザクションによるデータ値を用いてもTOTPのK値を変えることができる場合もある。)
【0012】
本発明を説明する。本発明ではブロックチェーンのブロックナンバーに着目した。説明のためブロックナンバーを本発明ではブロック番号Bnと言い換える。ブロック番号BnをTOTPで用いる時間による数値Tに用いることを本発明では考案した。本発明ではその方式を及びワンタイムパスワードをBnTOTPと呼称する。(本発明の実施例ではブロックチェーン型のデータ構造を用いる分散型台帳システムの一つであるイーサリアムを用いておりイーサリアムではブロック番号Bnはブロックナンバーと呼称される。)
この名称はブロックチェーンが最初のブロックデータ(ブロック番号が0番目の場合)から数えてBn番目にある時の番号Bnを時刻や時間の変化を表す変数Bnとして用いTOTPを動作させているためBnTOTPと呼称する。なおBnはBnTOTPの計算の基になる数字でありそれを加工した値(Bnを基にあるハッシュ関数によりハッシュ値を求めBnに応じて変わる変数)を利用してBnTOTPを生成してもよい。
またTOTPのような時間に基づいて動的なワンタイムパスワード(OTP)トークンを生成することに加え、任意の時間にブロックチェーンにアクセスしブロックチェーンにデプロイされたOTPを計算するコントラクトの変数のうちキー情報Kを変更することで時間Tによる情報を用いなくてもOTPトークンのシード値を更新することで動的なパスワードOWP(OwnerPassword)が利用できることに着目し、TOTP(BnTOTP)とOWPの双方を用いる認証システムを考案し実施する。
本発明ではOWPはブロック番号等のブロックチェーンの最新の時刻に関する情報を用いないが、その認証システムのブロックチェーン上のコントラクトを管理するコントラクト管理者がコントラクトの内部変数の状態を任意時刻に書き換えることでコントラクトに帰属するすべてのOWP方式のOTPトークンのパスワード生成値が更新される動的パスワードの方式をOWPと呼称する。
TOTP(BnTOTP)とOWPの双方においてコントラクトの内部変数は一つのコントラクトに限らず異なるコントラクトから呼び出されたものでもよい。
BnTOTPはブロック番号Bnがブロックチェーン上で時計の自動的に変化することを計算に利用し、OWPはブロックチェーン上の変数がある任意の時刻に管理者や一般のユーザーがアクセスし書き換えることで変化させられることを利用する。
OWPにおいて管理者のユーザーがユーザー端末において定期的にブロックチェーンに署名済みトランザクションを送付することでシード値を更新できるとき、OWPはBnTOTPやTOTPと同じように運用できる。ただしBnTOTPではシード値変更のトランザクションは不要であるのに対しOWPではトランザクションが必要である。OWPとBnTOTPを例えば60秒ごとに更新されるパスワード生成器として用いる場合はOWPの場合は60秒ごとに手動又は自動化してトランザクションデータを送信する必要がありブロックチェーン上に蓄積するデータ量はBnTOTPよりも増大しブロックチェーンのノードとなる端末の記憶装置の記憶域を占有する。そのため本発明では用途に応じてBnTOTPとOWPを使い分ける。
BnTOTPはネットワークを介して数十秒ごとにBnTOTP値を更新することを望むネットワークに接続されるウェブサービス等に用い、OWPはネットワークから切断されている場合や長期間(数カ月から数年)にわたり同一のOWP値となってもよいウェブサービスや紙やNFCタグなどを用いた有価紙葉や施錠を解錠する鍵用途に用いる。
【0013】
なお本発明ではブロックチェーン基盤の一つであるイーサリアム(Ethereum、非特許文献1)を用いてブロックチェーンとスマートコントラクトを用いBnTOTPやOWPを生成し認証させるOTPトークンとそのコントラクトを用いた認証システムを考案し実施した。本発明はイーサリアムを基盤として開発を行っておりブロックチェーンを構成するノードとなる端末の説明やユーザー端末の説明の一部は非特許文献1 の解説のとおりであり、本特許願には詳細を記述していない。
そして本特許願に記述された説明や図表はイーサリアムを用いることの出来る基盤での説明であってイーサリアムに実行に必要な説明のすべては記載されておらず、イーサリアムの分散型台帳システムとしての動作に関しては既知の非特許文献1を主として説明される。
図9Aはイーサリアムのブロックチェーン上での本発明のコントラクトの動作を説明する。
図9Bは有向非巡回グラフ型の分散型台帳システムにおける本発明の動作の説明図である。
図9Aと
図9BではOWP型パスワードの動作がスマートコントラクトから可能となる。
図9Aのブロックチェーンにある最新のデータブロックのブロック番号やブロックデータに由来する情報があるのでTOTPの算出に用いることができるが、
図9Bにおいても有向非巡回グラフ型の分散型台帳システムが各データのブロック(チャンク)においてハッシュ値やタイムスタンプなどを記入しており最新のデータチャンクから時刻情報が取得できるもしくは分散型台帳のシステムに時刻情報を持たせられる場合にはBnTOTP型もしくはTOTP型のパスワードが生成可能である。
本発明ではOWP型パスワードを利用する事を主要な特徴とする。ブロックチェーン上においてOTPトークンのコントラクト内部のKを変更することでそのOTPトークンのコントラクトで発行されたトークンの表示するパスワードをすべて変えることができる。OWP型パスワードをある時刻づつ変更する事を行えば疑似的なTOTPが実現可能となる。
一方でOWP型パスワードではトランザクションを分散型台帳システムに送信しなければならない。分散型台帳上でTOTPを実現するためにコントラクトの管理者などがトランザクションを分散型台帳システムに送信するとネットワークのトラフィックが増大しかねない。またトランザクションデータが増え、ノード端末の記憶装置の容量が増大しかねない。
そこで必要な場合もしくは必要な時(数週間や数カ月や数年に1度の頻度で)にOWPを更新したいときににコントラクト管理者がK値を変更できるOWP型のパスワードと、60秒間隔など頻繁にパスワードを更新したいTOTPの用途では主にブロック番号を用いBnTOTP型のパスワードと、BnTOTP型のパスワードにK値を変更できるOWP型パスワードを組み合わせたBnTOTP型パスワードを用い、動的なパスワードを生成認証させることでネットワークのトラフィック軽減や記憶装置のブロックチェーン部の使用容量の低減に役立つ。したがって本発明はBnTOTP型とOWP型の両方の形式をどちらかまたは両方用いることを特徴とする。
【0014】
本発明は、電池交換が不要でトークンのキー情報をサービス提供者が更新できるように、ハードウェア型TOTPトークンではなくブロックチェーンとそのネットワークに基づいたソフトウェアTOTPトークンとして、ある時刻におけるブロックチェーン上のブロックデータにおいて変更される変数を時間に基づいた変数TmをRFC6238規格における時間によって変化する変数Tとした認証システムであることを最も主要な特徴とする。
さらにブロックチェーン上の最新のブロックデータについてそのブロック番号の変数BnをTOTPトークンのRFC6238規格における時間によって変動する変数Tに用いた認証システムであることを主要な特徴とする。
【0015】
本発明は、RFC6238規格のキー情報Kについてその一部またはすべてをトークンの管理者のみが任意の時間にアクセスし変更できる変数と、その変数を変更できる関数などの手段を備え、キー情報Kを管理者が更新できることを主要な特徴とする。
ここでキー情報Kが管理者によって変更できる場合において、RFC6238規格の変数Tが設定されていないもしくは時刻により変化しない定数であっても、管理者が任意の時刻に指示し変更する値Kを変数Tとしてもよい。(本発明においてキー情報Kを更新できるものは管理者が好ましいが、管理者ではないユーザーがブロックチェーン上のコントラクトのKを変えても構わない。トークンにかかわるユーザー全員が任意の時間に各々の指示する値をブロックチェーンに入力し、投票するような形となっても本発明の認証システムはユーザーの投票した値に応じて動的なパスワード生成トークンとして動作しうる。)
【0016】
ブロックチェーンといった分散型台帳システムを用いたソフトウェア型パスワード生成器のトークン(OTPトークン)と認証システムを用い、ユーザーにブロックチェーン式のトークン(OTPトークン)を発行し、そのOTPトークンを例えば暗号化されたデータの復号の鍵となるトークンとして用いたり、ウェブサイトのログイン用途や、改札及び映画館などの入場チケット、入退場口の通行用許可証や有価紙葉及びNFCタグに用い、設備及び建物の施錠および解錠を行う認証システムおよびアクセス制御システムであることを主要な特徴とする。
【0017】
また本発明ではブロックチェーン上にてOTPトークンの所有者を変え、異なるユーザー間でOTPトークンの譲渡を行うことも可能である。ある文章や書籍・音声・動画・ソフトウェアのコンテンツを暗号化したデータを復号できるようにするOTPトークンを異なるユーザー間でOTPトークンの譲渡を行うことも可能である。
ただし本発明においてOTPトークンのコントラクトは譲渡機能を制限する機能を持っていてもよく、コントラクト管理者の望みに応じて任意の時間にOTPトークンの譲渡を可能にしたり不可能にする制御部をもつOTPトークンを用いた認証システムであることを主要な特徴とする。
前記のOTPトークンのコントラクトの備える譲渡機能を制限する機能は暗号化されたデータの復号時に得られるコンテンツの権利者によっては情報の流通を制御したいと考える場合も想定され、他には譲渡制限のあるチケットや銀行のインターネットバンキング用ハードウェア型ワンタイムパスワードカードのように譲渡そのものを禁じる用途も想定されるためである。サービスの利用規約に反しOTPトークンが譲渡されないようOTPトークンのコントラクトのプログラムに譲渡制限機能を組み込むことができる。
本発明では譲渡制限を行う制御部を設定でき、本発明の利用者であるサービスの提供者の望みによっては任意の時間(現在時刻)にOTPトークンの譲渡を制限し譲渡を行えなくすることや譲渡できるようにする機能を備える事を特徴とする。また本発明では譲渡制限を行う制御部を設定でき、本発明の利用者であるサービスの提供者の望みによっては制御部をなくし、常にOTPトークンの譲渡を不可能にすることできる。
【0018】
本発明では譲渡制限に加え、サービス提供者の規約に違反した利用者のトークンを利用者のブロックチェーン上での識別子との対応関係を強制的に解除し、ユーザーからワンタイムパスワードトークンを除去できる制御部をもつ認証システムに利用できることも特徴とする。ただしこの機能はイーサリアムのERC721規格において実現しうる機能であり既知の技術である。
またこのOTPトークン除去機能はコントラクトの管理者があるユーザーの秘密鍵から計算されるユーザー識別子の持つあるトークン番号のOTPトークンを強制的に除去できるため、ユーザーとサービス提供者・OTPトークンのコントラクトの管理者との合意が必要であり通常は使用されないことを想定する。
ユーザー間でOTPトークンの譲渡制限を行い、あるユーザーに対しOTPトークンの発行と除去を行うことでユーザーはOTPトークンによる本発明のOTPの生成とOTPの認証が行える一方でOTPトークンの実質的な所有権の保管や管理や流通はコントラクトの管理者が行うという形になるOTPトークンの保管振替が可能となる。OTPトークンの保管振替などOTPトークンの保管を行う資格のある第三者によるOTPトークン保管振替を行う用途に利用されることを想定する。
保管振替の概念は証券保管振替機構の証券の集中保管や名義書き換えの概念と似ており既知の概念かもしれないがそれをERC721規格にてブロックチェーン上で実現する形態の一つが譲渡制限とトークンの発行と除去を組わせたもので実現でいるかもしれないと考え本発明で採用できるものとした。
【発明の効果】
【0019】
本発明の認証システムは世界中に設置可能なノードとなるサーバ端末(
図3Aの端末3Aや
図3Bの端末3B)に構築されたブロックチェーン部をネットワーク20で接続し分散してソフトウェアワンタイムパスワードトークンの情報を保有している。分散型台帳を用いるため、ある地域において災害が生じた場合も世界中の他の地域のサーバ端末からデータの普及が可能になる。また世界中とOTPトークンの認証システムに対応したサービスの流通が可能になりうる。
本発明のワンタイムパスワードのプログラムであるスマートコントラクトはバイトコード等の形でコントラクト管理者の端末からトランザクションとしてブロックチェーン等分散型台帳システムに送信されブロックチェーンのあるブロックデータに格納され過去のブロックデータの連結体であるブロックチェーンと連結されブロックチェーンの特徴から改ざん困難・イミュータブルとなり、攻撃者によるワンタイムパスワードプログラム(コントラクト)の改ざんや、そのコントラクトに帰属したOTPトークンとOTPトークンのトークン番号に対するユーザー識別子との対応関係、OTPトークンの所有状態について改ざん困難になるという利点がある。
【0020】
またユーザーとユーザー端末がアクセスに使う秘密鍵とブロックチェーンのノード端末(ノード端末の接続されたネットワーク)さえあればOTPトークンを紛失しづらい。これはハードウェアトークンや既存のコンピュータ又はスマートフォンにインストールして利用するソフトウェアトークンよりも紛失がしづらく、世界中でアクセス可能であるとともにノード端末を分散させて管理できる利点がある。
【0021】
ハードウェアトークンは時刻・時間を同期するために電池を必要としており、電池残量が減ると時刻がずれユーザーは時刻合わせをする必要があった。これに対し本発明で用いるブロックチェーンは世界中に分散したサーバがノードとなり時刻を同期させながら駆動しており、時刻同期が不要であるという利点がある。
ブロックチェーンにおいて時間が流れることは新たなトランザクションなどを含むブロックが一定の時間ごとにもとのブロックチェーンに連結されていくことに相当し、連結された最新のブロックにおける時刻を反映した情報TmをTFC6238規格のTOTPを算出するシード変数Tに用いることで、時刻同期が不要である。
【0022】
またハードウェアトークンではシード値のうちKを変えることは困難で装置ごと使い捨てであったが、本発明のブロックチェーンを用いたパスワード生成器ではKを更新できるようになっている利点がある。Kを更新するトランザクションをブロックチェーンに送信すればそのKに関与する全てのOTPトークンのK値を書き換えて更新することができる。
Kが更新されることでOTP計算に用いるシード値が変わり将来のOTPの計算結果の出方が一新される。
【0023】
本発明ではOTPトークンと対応するサービス提供者が許可する場合にOTPトークンの譲渡が可能である。またコントラクトに含まれるOTPトークンについてユーザー間で譲渡を禁じることも許可することもできる。暗号化したコンテンツとその復号閲覧に利用できるトークンを国内国外に向け送付できる。これは本や音声動画、会員サイトやソフトウェアなどのデータの利用権を譲渡制限しながら海外に販売することが容易になるかもしれない。譲渡制限機能を持ちつつも電子書籍などをデータで所有しつつその権利、もしくは書籍そのものとしてユーザー間で販売されるようになる。
【0024】
譲渡制限機能に加えトークンの除去機能を実装した場合には不法な転売や、販売を控えるべき国にトークンが渡らないように制御し管理できる。また秘密鍵を紛失、漏洩しトークンを正常に利用できなくなった場合に関してトークンの管理者にユーザーが届け出て新たなユーザーの秘密鍵から計算されるユーザー識別子にトークンを割り当てるトークン振替が行える。
(本発明では国内から国外に容易にコンテンツとトークンを譲渡可能になるので譲渡制限やトークン除去機能について記載している。トークン管理者とトークンのユーザーがトークンの利用規約などに合意できた場合について利用されることが好ましい。)
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1はブロックチェーンを用いたワンタイムパスワードの生成と認証の実施方法を示した説明図である。
【
図1A】
図1Aは本発明のブロックチェーンを用いたワンタイムパスワード(OTP)の生成と認証の方法をサーバ端末に利用する際の概念を示した説明図である。
【
図1B】
図1Bは本発明のブロックチェーンを用いたOTP認証システムを通じて暗号化されたデータを復号する方法の概念を示した説明図である。
【
図2A】
図2Aは本発明の認証システムを用いて認証を行うユーザーUAの端末DAの説明図である。
【
図2AA】
図2AAは本発明の認証システムを用いて認証を行うユーザーの端末DAの記憶部(記憶装置)や制御部(制御装置)入出力装置などの説明図である
【
図2B】
図2Bは
図2Aとは異なるユーザーUBの端末DBの説明図である。端末DAと端末DBの機能は同等である。秘密鍵情報が異なる。
【
図2C】
図2Cはブロックチェーン部にコントラクトをデプロイし管理するユーザーUCの端末DCの説明図である。端末DAと端末DCの機能は同等である。秘密鍵情報が異なる。
【
図3A】
図3Aは分散型台帳システムDLSを構成するブロックチェーン部を持ちネットワーク20に接続されるブロックチェーンのノードとなるサーバ端末3Aの説明図である。
【
図3AA】
図3AAは
図3Aの端末3Aの制御部と記憶部および記憶部に記録されたブロックチェーン部のスマートコントラクト(コントラクト)の説明図である。
【
図3AB】
図3ABは
図3Aの端末3Aの記憶部に記録されたブロックチェーン部のコントラクトの説明図の一つである。
【
図3AC】
図3ACは
図3Aの端末3Aの記憶部に記録された譲渡制限機能やOTPの文字数・桁数とOTPの認証待受時間を変更可能なブロックチェーン部のコントラクトの具体例の説明図である。
【
図3B】
図3Bは
図3AのサーバP(3A)と同じブロックチェーン部を持ちネットワーク20上で分散型台帳システムDLSを構成するノードとなる端末3Bの説明図である。
【
図3C】
図3Cはウェブサイト(ウェブページ、ウェブアプリ)へのログイン等で本発明の認証を行う場合のサービスを行うサーバ端末3Cの説明図である。
【
図3D】
図3Dは印刷物や表示画面及びNFCタグに記録された本発明の認証情報を記録した有価紙葉や鍵を読み取り認証を行いサービスを行う端末3Dの説明図である
【
図3DA】
図3DAは
図3Dに記載のサーバSVLog(端末3D)の記憶部(記憶装置、30D)と入出力装置(34D、35D)に関する説明図である。
【
図3E】
図3EはOTPトークンの購入または紙及びNFCタグに対しOTP認証情報を出力しチケットや有価紙葉や鍵等を発券するサービスを行うサーバ端末3Eの説明図である
【
図3F】
図3Fはユーザ端末に対しサーバP(3A)に記録されたブロックチェーン情報からトランザクション情報やOTPトークン情報を検索・監視・通知を行うサーバ端末3Fの説明図である。
【
図4A】
図4Aは本発明の認証システムを用いて暗号化データを復号し閲覧視聴または利用する端末(4A)の説明図である。
【
図4B】
図4Bは本発明の認証システムを用いて暗号化データを復号し閲覧視聴または利用する端末(4A)の記憶装置に関する説明図(実施の例)である。
【
図4C】
図4Cは
図4Bにおいて端末4Aの記憶装置に平文データ4035Aが暗号化もしくは難読化されてソフトウェア403Aの4030Aに内蔵されるときの説明図である。
【
図5A】
図5Aは本発明の認証システムを用いて暗号化データを復号し閲覧視聴または利用する端末(4A)に広告を配信するサーバ端末の説明図である。
【
図5B】
図5Bは本発明の認証システムを用いて暗号化データを復号し閲覧視聴または利用する端末(4A)に暗号化データをネットワークを通じて配信するサーバ端末5Bの説明図である。
【
図5C】
図5Cは本発明の認証システムを用いて暗号化データを復号し閲覧視聴または利用する端末(4A)に暗号化データを放送によって送付するサーバ端末5Cの説明図である。
【
図6A】
図6Aは本発明においてOTPトークンの保有者にOTPを生成する関数の処理を示したフローチャート図である。基礎的なOTP生成関数である。
【
図6B】
図6Bは本発明においてOTPトークンの保有者にOTP生成回数記録機能を備えたOTPを生成する関数の処理を示したフローチャート図である。
【
図6C】
図6Cは本発明においてOTP認証回数等記録機能を備えた認証するアクセス者をトークン保有者のユーザー識別子に限定する場合のOTPを認証する関数のフローチャート図である。
【
図6D】
図6Dは本発明においてOTP認証回数等記録機能を備えた認証するアクセス者を限定しない場合のOTPを認証する関数のフローチャート図である。
【
図6E】
図6Eは本発明において
図6CからOTP認証回数等記録機能を除いた場合のOTPを認証する関数のフローチャート図である。
【
図6F】
図6Fは本発明において認証するアクセス者を限定しない場合のOTPを認証する関数のフローチャート図である。基礎的なOTP認証関数である。
【
図6G】
図6Gは本発明においてOTP認証回数等記録機能を備えたOTPトークンの保有者のアクセスか判断してOTPを認証する関数の処理を示したフローチャート図である。
【
図6H】
図6Hは本発明においてOTPトークンの保有者のアクセスか判断してOTPを認証する関数の処理を示したフローチャート図である。
【
図6X】
図6Xは本発明の認証システムを利用してサービスを行うサーバ端末(3C,3D,3E,3F,5A,5B)にユーザ端末(1Aや4A)がアクセスした際に記録されるデータ構造を示す図表である。
【
図7A】
図7Aは本発明の認証システムを説明するシーケンス図の一つである(TBには主にブロック番号Bnを用いる。BnTOTP型パスワードの説明図でもある)。
【
図7B】
図7Bは本発明においてパスワードOWPを算出するシード値となるコントラクトの内部変数KCやBCをコントラクトの管理者が関数fscbを用いて変更できる際の認証のシーケンス説明図である。
【
図7CA】
図7CAは本発明において暗号化されたデータを復号して復号された平文データを閲覧・視聴・プログラムとして実行する際のシーケンス図である。
【
図7CB】
図7CBは本発明において平文データを暗号化し暗号化データを配布・配信する際のシーケンス説明図である。
【
図7CC】
図7CCは本発明において閲覧済みの暗号化データをネットワークに接続されていないオフライン状態で復号し平文データとして閲覧する際のシーケンス説明図である。
【
図7D】
図7Dは本発明においてウェブサイト・ウェブアプリ等ウェブベースのサービスにログインする際の認証システムの動作を説明するシーケンス図である。
【
図7E】
図7Eは本発明において例として有価紙葉またはNFCタグを用いてパスワードOWPにより認証しサービスの入場・解錠・始動を行うことを説明するシーケンス図である。
【
図8A】
図8Aはウェブサイトログイン時の端末の接続を説明する図である。(実施例1、実施形態1)
【
図8B】
図8Bは印刷物及びNFCタグによる有価紙葉または鍵の利用時の端末の接続を説明する図である。(実施例2、実施形態2)
【
図8C】
図8Cは通信ネットワークを通じて暗号化データを配信(配布)する場合においてソフトウェアCRHN(403A)を利用する端末の接続を説明する図である。(実施例3、実施形態3)
【
図8D】
図8Dはデータ放送により暗号化データを放送する場合においてソフトウェアCRHN(403A)を利用する端末の接続を説明する図である。(実施形態3の他の実施例)
【
図9A】分散型台帳システムDLS(分散型台帳システムDLS)にブロックチェーン型のデータ構造を用いたOTPトークンによる認証システムの概要を説明する図である。
【
図9B】分散型台帳システムDLS(分散型台帳システムDLS)に有向非巡回グラフ型のデータ構造を用いたOTPトークンによる認証システムの概要を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明はいくつかの要素によって成り立つ。代表的な説明図は
図1である。
図1に用いる端末の接続の説明図は
図8A、
図8B、
図8C、
図8Dに記載する。本発明で用いるサーバ端末やユーザー端末などのコンピューター端末(電子計算機端末)はコンピュータの五大装置として制御演算装置(制御装置、演算装置)と記憶装置と入力装置と出力装置を備える。そして端末内で制御演算装置と記憶装置と入力装置と出力装置はパターニングされた導体による回路や電線といった配線により接続される。また前記制御演算装置(制御装置、演算装置)と記憶装置と入力装置と出力装置の接続は有線(電気的なケーブルもしくは光ファイバ)や無線による接続をされていてもよい。端末は無線もしくは有線による通信制御装置(通信装置を)を備えネットワーク20や外部端末等と接続される他、外部記憶装置や入出力装置とも接続されうる。端末は電源装置を備え電子計算機端末を駆動する電力を供給する。
電子計算機ではなく何らかの量子を用いた計算機や、電力や電子の移動を用いず機械的なエネルギーを用いる歯車など機械を用いた古典な計算機、すなわち電子計算機の枠組みにとらわれないコンピュータ端末であっても本発明で説明する紙の印刷情報や半導体メモリ磁気ディスク光ディスクといった記憶装置とハッシュ関数と分散型台帳を用いるものであれば本発明の説明の範囲内であるかもしれない。
1.ユーザーUAの端末DA(端末1A)
本発明のOTPトークンを用い、OTPを表示または認証を行うコンピュータ端末DAまたは端末1A(
図1および
図2A、
図2AAの端末1A)を備えたユーザーUAとその端末1A。
端末1Aは記憶装置にブロックチェーンのサーバ3A等にアクセスするプログラム、アクセス先となるサーバP(
図3Aのサーバ3A)などを示すURI、ブロックチェーンへのアクセス時に利用する秘密鍵PRVA(
図2AAの秘密鍵情報101A)を備える。端末1Aは通信装置12Aを持ちネットワーク20を介してサーバ3Aにアクセスする。
サーバ3AにOTPの生成を求めてアクセスする際には
図6Aや
図6BのOTP生成関数のフローチャートに記載するように秘密鍵PRVA101Aと101Aから計算されるユーザー識別子Aに対して割り当てられた本発明のトークン番号TIDAをもつOTPトークンが必要である。OTPの認証を求めるときも秘密鍵PRVA101Aと101Aから計算されるユーザー識別子Aに対して割り当てられた本発明のトークン番号TIDAをもつOTPトークンが必要とすることもでき(
図6C、
図6E、
図6G、
図6H)、また
図6Fや
図6DのOTP認証関数のフローチャートの様にユーザー識別子Aやユーザー識別子AにOTPトークンが割り当てられており所有しているかどうか判定するプロセスを必要としないこともできる。
端末1AのユーザーUAに加え端末1BのユーザーUB、端末1CのユーザーUC、端末4AのユーザーUPも存在する。端末4Aは端末1Aと同じく本認証システムを行うユーザー端末の1つの形態である。本発明ではユーザーUPとユーザーUAは同じ人物であり秘密鍵101Aと秘密鍵401Aは同じものであるが説明のため記号を変えているときがある。
【0027】
2.サーバP(サーバ3A)
<実施例等における具体的な前提>
本発明において
図1に示すようにブロックチェーン等分散型台帳システムDLSを構成するブロックチェーン部を備えたノードとなるサーバP(3A)やサーバB(3B)等が暗号化も可能なネットワーク20を通じて相互に接続されている。ブロックチェーン等分散型台帳システムDLSにはイーサリアムを用いた。既知のイーサリアムはおおよそ15秒ごと(15秒という値はイーサリアムなどのブロックチェーンの作成時に設定される値であって、ブロックチェーンの作成者が15秒や4秒などの任意の秒数で作成できる)に新しいブロックがブロックチェーンに連結され、ブロック番号がゼロの時刻よりおおむねブロック番号Bn×15秒だけ経過している。
イーサリアムのメインネット及びテストネットにおいてブロックチェーンに新たなデータブロックを連結を行うための端末3Aや3Bなどのブロックチェーンを構成するノード間の合意形成・コンセンサスアルゴリズムにプルーフ・オブ・ワーク型(PoW型、Proof of Work、作業による証明)もしくはプルーフ・オブ・オーソリティ型(PoA型、Proof of Authority、権威による証明)もしくはプルーフ・オブ・ステーク型(PoS型、Proof of Stake)が存在し、他のブロックチェーン型分散型台帳システムではプラクティカル・ビサンティン・フォルト・トレランス型(PBFT型、Practical Byzantine Fault Tolerance)等も存在する。本発明を実施する為には電力消費の少なく、処理できるトランザクションの多いことが期待できるプルーフ・オブ・オーソリティ型、プラクティカル・ビサンティン・フォルト・トレランス型、 プルーフ・オブ・ステーク型を用いてよい。
本発明は低消費電力かつトランザクションの処理速度が速い合意形成方法を用いることが好ましく、そのためには中央集権的な分散型台帳の管理方法に近い合意形成アルゴリズムを用いてもよい。本発明は分散型台帳システムの合意形成アルゴリズムに関する発明ではないので合意形成に関しては深く触れないが、本発明の実施例ではプルーフ・オブ・ワーク型もしくはプルーフ・オブ・オーソリティ型を利用するイーサリアムのテストネットを用いて本発明の開発と実施を行った。
ここで本発明ではサーバP(3A)の制御部(31A)および記憶部(30A)にブロックチェーン部にブロックチェーン基盤の一つであるイーサリアムを形成し処理できる設備を備えていることを前提とする。本発明願においてイーサリアムを用いたブロックチェーンシステムを実行するすべての要素については記述しないが、本発明においてユーザー端末(
図1A及び
図1Bの1Aや4A)およびサーバ端末3Aや3B、3C、3D、3E、3F、5A、5B、5Cなどはイーサリアムのノードとなることの出来るブロックチェーン制御部とブロックチェーンデータの記録部を持っていてもよい。サーバP(3A)は通信装置32Aを通じてネットワーク20に接続されネットワーク20を介して別のブロックチェーンのノード端末3Bおよび複数の3Bに相当する端末群と接続され分散型台帳型システムを構成する。
【0028】
ユーザーのコンピュータ端末DA(端末1A)や端末DC(端末1C)はネットワークNT(ネットワーク20)を通じてブロックチェーン部を持つサーバ3Aにアクセスする(
図1A)。
サーバ3Aはオペレーティングシステムやウェブブラウザソフトがインストールされ、ECMAScript(ISO/IEC 16262)等が実行できることを前提とする。そしてイーサリアムのノードとなるイーサリアムクライアントソフトウェアのgeth(Go Ethereum、https://github.com/ethereum/go-ethereum、2021年1月3日閲覧。)等のクライアントソフトウェアをインストールしクライアントソフトウェアを実行して動作している。そして例としてイーサリアムのブロックチェーンを記録部に記録している。
イーサリアムではユーザーアカウント(EOA:Externally Owned Account )とコントラクトアカウント(Contract account)の2種類のアカウントがある。本発明ではユーザーアカウントEOAをユーザ識別子と呼称し、コントラクトアカウントをスマートコントラクトのアドレスとしてコントラクト識別子と呼称する。
本発明ではブロックチェーンの基盤にイーサリアムを用い、コントラクトはERC721規格のノンファンジブルトークンに関するスマートコントラクトの規格を基にした。ERC721規格の参考文献として次の3つが挙げられる。1.イーサリアム財団、https://eips.ethereum.org/EIPS/eip-721、2020年12月11日閲覧、2.OpenZeppelin、https://docs.openzeppelin.com/contracts/3.x/erc721、2020年12月11日閲覧、3.0xcert.org、https://github.com/0xcert/ethereum-erc721、2020年12月11日閲覧。
イーサリアムではERC721規格のスマートコントラクトにおいて、そのコントラクトの管理者(秘密鍵101Cから計算されるユーザー識別子Cをもつ)が1つの単位でトークンを発行しユーザーとなるユーザー識別子AやBに送信する。ERC721規格のトークンは符号なし整数型変数にて表現されるトークンIDとその保持者にするユーザ識別子Aを対応付けて、ユーザー識別子Aにトークンを発行される。
ここで本発明ではERC721規格におけるトークンIDをトークン番号と呼称する。ユーザー識別子Aがトークン番号TIDAを所有していることの情報はコントラクトに記録される。
例えば
図3ACの3014Aのようにユーザー識別子AにはTIDAの番号を持つトークンの所有情報(3015A)、ユーザー識別子BにはTIDBの番号を持つトークンの所有情報(3016A)が記録されている。ある識別子に対しコントラクトからトークンが発行されていたり、異なるユーザー識別子間で譲渡されるなどした最終的な所有情報が記録されている。
ブロックチェーン上ではコントラクト作成や譲渡記録やコントラクトの内部変数の変更に関するトランザクションは改ざん困難な状態で記録されており過去のトークンの保有履歴情報は消去できない。一度ブロックチェーンに記録されデプロイされたコントラクトのプログラムも改ざんが行われない。
【0029】
<本発明に用いた分散型台帳上でのトークン>
本発明では実施する際にイーサリアムをブロックチェーンの基盤として用いた。またイーサリアムで用いられるERC721規格のトークンはイーサリアム上でのOTPを備えたノンファンジブルトークンの発行に利用できると考えて本発明を実施する際に採用した。
そしてERC721規格のトークンにワンタイムパスワード(OTP)に関するプログラムを備えさせたスマートコントラクト(コントラクト)を本発明の認証システムのOTPトークンのコントラクトに利用した。ここで実施する際にERC721規格を用いたが、これは本発明の実施例の一つであり分散型台帳上にて本発明のOTPトークンの機能を提供できるスマートコントラクトならば本発明は実施できる。本発明のOTPトークンはERC721規格やそれに類似したトークンおよびトークンのスマートコントラクトに限定されない。
本発明ではOTPトークンもしくはOTP生成トークン・OTP生成コントラクトは、OTPを生成するトークンの所有権やそのトークン発行処理、トークン送信処理、トークンの名称等情報の表示といった処理を行うコントラクトを示す。OTP認証コントラクトまたはOTP認証コントラクト内部のOTP認証関数は、OTP生成コントラクトのOTP生成関数と一致したOTPを計算するための変数と処理部を持ち、OTPの生成と認証の処理を行うことができる。
図3AAや
図3ABや
図3ACがそのコントラクト説明図であり、認証関数を端末3Aでなく端末3Dに持つときの例は
図3DAである。
ブロックチェーン部を持つサーバ群(3A、3B等)とブロックチェーン部に接続する端末(1A、1Cなど)を説明する図表では、実施例で用いたイーサリアムのブロックチェーンとコントラクトを実行できる制御部(処理部)と記憶部(記録部)を備えている事を前提としている。
制御部や記憶部の詳細はイーサリアムの仕様に準拠し、その類似のブロックチェーン基盤を持つシステムにも適用される。本発明ではERC721規格のトークンにOTP生成関数を備えさせ、ERC721型のOTP生成トークンを発行できるコントラクト(OTP生成コントラクト)とした。そしてOTP生成コントラクトのOTP生成に用いるシード値と同じ値にさせることのできるOTP認証関数を OTP生成コントラクトに備えさせるか、または別途OTP認証コントラクトを作成し、OTP認証コントラクトに OTP認証関数を備えさせ、
OTP生成関数で生成されたOTPをユーザ端末1Aや4Aなどに出力させ、出力されたOTPとOTP認証に必要な情報をユーザー端末1Aや4AからOTP認証にかかわるコントラクトのOTP認証関数もしくは端末3Dに搭載されたOTP認証関数に入力して正しいOTPか検証し認証させ、正しいOTPの場合には認証できた場合の戻り値データをユーザー端末の処理部に送信する。
このようにERC721規格にOTP生成機能を備えさせたものが本発明のOTP生成トークンであり、インターネットバンキング(ネットバンキング)のサービスへログイン等に用いるヒトの手で所有できるハードウェアTOTPトークンをブロックチェーンなどの分散型台帳にて所有し利用できるようにしたものである。
【0030】
<ERC721規格のノンファンジブルトークンのトークン番号とトークン発行>
本発明のワンタイムパスワード生成関数及びそれを含むコントラクトではERC721規格のトークンについて、あるユーザー識別子Aのユーザーにトークン番号TIDAが一つ発行(mint)される。トークン発行にはコントラクト内部の発行関数(
図3ACの3042A)が利用される。3042Aは原則としてコントラクトの管理者の秘密鍵PRVC(
図1Cの101C)でないとトークン発行の操作できない。
【0031】
<トークンの譲渡と譲渡制限>
ERC721規格では異なるユーザ識別子間にてトークンの送信・譲渡は自由に行える。
本発明のOTPを生成するトークン(OTPトークン)はERC721規格に準拠しているのでトークン番号TIDAはユーザー識別子Aのユーザーが望む場合にユーザー識別子Bなどのユーザーに送付することが可能である。トークンの送信は
図3ACのトークン送信関数(
図3ACの3040A)を用いて行う。なおERC721規格ではトークンの送信をコントラクト管理者が禁止する機能は存在しないが、本発明では譲渡制限用変数及び関数(3041A)を用いて3040Aの実行を停止させることも許可することもできる。
本発明では銀行のワンタイムパスワードトークンや譲渡禁止されたチケットや会員権など、譲渡を制限または譲渡を行わせないトークンとすることも必要であったので、ERC721規格においてトークンの送信関数群(transfer関数)、送信の許可にかかわる関数群(approve関数)の実行を制御する譲渡制限処理部3041Aを設け、譲渡制限処理部はコントラクトの管理者(Owner)の端末1Cのみが変更できる変数によって処理を変更できるようにして譲渡制限できるようにした。
具体的には transfer関数の実行を制御する真偽値の変数と、approve関数の実行を制御する真偽値の変数をコントラクトに設定し(コントラクト内部のすべての関数からアクセスできるグローバル関数として真偽値の変数を設定して)、コントラクトの管理者の識別子C(Cは端末1Cの101Cから計算される)のみがアクセスできるセッターとなる関数tafを備え、tafによりtransfer関数の実行を制御する真偽値の変数と、approve関数の実行を制御する真偽値の変数を書き換えることで譲渡できる状態と譲渡できない状態の切り替えを可能にした。
(トークンの譲渡制限は異なるユーザ識別子間でのトークンの所有情報の書き換えを制限する。ユーザ識別子はユーザの秘密鍵に対応しておりトークンの譲渡制限は実態としては異なる秘密鍵間でのトークンのやり取りを制限する。)
【0032】
<ワンタイムパスワードにかかわるコントラクト(スマートコントラクト)>
本発明においてブロックチェーン上にワンタイムパスワードトークン(OTPトークン)のユーザーへの発行(トークンの割り当て、対応付け)やトークンの送信(トークンのユーザー間での譲渡)、レーティング情報の取得、トークンの名前情報の取得、トークンのURI情報の取得等が行える。そしてシークレット値KCや時刻により変わる変数TB(本発明ではブロック番号BnをTBとして用いる)、トークン番号TIDA、ユーザー識別子Aを基にして生成されたシード値Sをハッシュ関数fhの引数に用いてハッシュ値を得てそれをワンタイムパスワードとして戻り値にするワンタイムパスワード生成関数を備えたワンタイムパスワード生成コントラクト(
図3AA、
図3AB、
図3ACに記載の3008Aまたは3008AG)がある。
また本発明のワンタイムパスワードを認証する関数もしくは認証するコントラクトでは、ワンタイムパスワードを生成する関数で用いるシード値Sとハッシュ関数fhがワンタイムパスワードを認証する関数において引数に入力された関数の検証に用いるシード値とハッシュ関数と同期できていれば、正しいパスワードであるとき一致していることを確認できる。(ワンタイムパスワードOTP生成関数3009Aの処理を説明するフローチャートを
図6Aおよび
図6Bに示す。ワンタイムパスワードOTP認証関数3018Aの処理を説明するフローチャートを
図6Cと
図6Dと
図6Eと
図6Fと
図6Gと
図6Hに示す。)
OTP認証関数はOTP生成関数を含むOTP生成コントラクトに内蔵されていてもよいし、OTP生成コントラクトとOTP認証関数を分けて保存するためにOTP認証関数をOTP認証コントラクトに内蔵してOTP生成コントラクトとOTP認証コントラクトを分離してブロックチェーン上の同一のブロック番号もしくは異なるブロック番号のブロックデータに記録されていてもよい。
またOTP認証関数がネットワークとは接続されていない端末3DにありOTP生成関数がネットワーク上の端末3Aにあって端末1Aが端末3Aで取得したOTPを端末3Dで認証に用いてもよい。
認証関数と生成関数がそれぞれ異なる他のブロックチェーンにコントラクトが記録されており二つのブロックチェーン間でOTPの生成と認証を分けて分担するシステムでもよいが、その場合は二つのブロックチェーンに分けて記録されたOTP生成関数とOTP認証関数のパスワード計算に用いる計算方法やハッシュ関数fhやシード値Sが一致しなければいけない。
例として
図6AのOTP生成関数と
図6FのOTP認証関数のフローチャートで利用する関数の引数のシード値A,TIDA,KC,Bnとハッシュ関数fhおよびそれらを用いた計算手順が一致し、OTP生成関数とOTP認証関数で同じOTPを計算できることが必要であり、また
図6AのF107でシード値とハッシュ関数からハッシュ値を求めた後にハッシュ値をOTPとせずに10のN乗で割った剰余をN桁の符号なし整数のOTPとする場合はOTP認証関数でも同じように剰余を求め、10のN乗で割った剰余をN桁の符号なし整数のOTPを計算できるようにOTP認証関数とOTP生成関数で計算されたOTPが一致し同期しなければいけない。
シード値の内AやTIDAはOTPトークンの保有者や保有するトークンのシリアル番号に相当するトークン番号であってユーザー由来の変数であるが、KCはコントラクト管理者が更新できる値であるのでKC値をOTP生成関数とOTP認証関数で一致できるようにした手段を備えなければいけない。
またシード値BnやBCなどのある時刻Tにおいてかわる変数Tmも一致していなければならず、BCはコントラクトの管理者が一致させる必要のある変数であるがTmやBnについてもOTP認証関数とOTP生成関数で一致しないような現象が生じる場合には一致させる手段を備える必要がある。
同一のブロックチェーン(同一のブロックチェーン識別子、分散型台帳システム識別子)においてデプロイされたOTP認証関数とOTP生成関数をもつコントラクトは同じBnを用いることができるが、異なるブロックチェーン識別子間でOTP認証関数とOTP生成関数をもつコントラクトを分けて運用する際には、ブロックチェーン識別子間で異なるBnに補正値を加算減算して運用する場合に、Bnが一致しなくなる場合にはBnが一致するようセッター関数など一致できるようにする手段を備える必要がある。
【0033】
<ワンタイムパスワードの算出>
ユーザUAの端末DA(端末1A)のアクセスに応じて端末3Aは処理を行う。端末1Aの記憶装置に記録された秘密鍵PRVA(秘密鍵101A)からユーザー識別子Aを算出する。
補足としてイーサリアムでは秘密鍵から公開鍵を算出し、公開鍵のハッシュ値をハッシュ関数を用いて計算し、そのハッシュ値を切り取りユーザー識別子とする。具体的にはイーサリアムではSecp256k1という楕円曲線を基にした方法で32バイトの秘密鍵から64バイトの公開鍵を作成する。また署名などに用いる(楕円曲線電子署名、ECDSA、Elliptic Curve Digital Signature Algorithm)。そして64バイトの公開鍵に対してKeccak-256というSHA-3と類似のハッシュ関数を用いて32バイトのハッシュ値を求めその一部を取り除くことで残る情報をユーザー識別子(匿名化された識別子)とする。
サーバP(端末3A)のブロックチェーン部、ブロックチェーン記録部のデータに従い、ブロックチェ―ン内部にプログラムされた本発明のコントラクトにおいて、OTP生成関数は関数の実行者であるユーザー識別子Aがコントラクトで発行されたワンタイムパスワードトークン(OTPトークン)を保有しているか確認し、トークン保有者にはトークンの番号TIDAとコントラクトのシークレット変数のKC値3011A(
図3AAや
図3ABや
図3ACに記載の内部変数KC 3011A)と、ある時刻Tにおいてブロックチェーン上で変動する変数TBをパスワード生成のキー値(キー値、シード値)としてハッシュ関数fh(
図3AAや
図3ABや
図3ACに記載のハッシュ関数fh 3010A)の引数として利用する。計算例はOTP=fh(TIDA,KC,TB)である。OTP認証関数の実行時にユーザー識別子AやOTPトークンの保有を確認する場合も同様である。
ここで実施例ではキー値にユーザー識別子Aを追加し、本発明においてOTP=fh(A,TIDA,KC,TB)として計算される。
そして前記TBに最新のブロック番号Bn(
図3AAに記載の3001Aがブロック番号Bn)を用いるブロック番号に基づいたワンタイムパスワードBnTOTP=fh(A,TIDA,KC,Bn)を利用する事を特徴とするOTPの計算方法を用いたOTPトークンを本発明では用いる。
Tm(またはTB)にBnを用いるときはOTP=fh(A,TIDA,KC,TB)でもOTP=fh(TIDA,KC,TB)でもよい。具体的にはOTP=fh(A,TIDA,KC,Bn)でもOTP=fh(TIDA,KC,Bn)でもよい。
ここでOTP=fh(TIDA,KC,TB)でもよい理由としては、例として短時間の60秒ごとに更新されるOTPの場合は保有するユーザーが変更されてもBnが60秒ごとに変わるので60秒前の過去に計算されたOTP=fh(TIDA,KC,Bn)は無効とできるためである。本発明の実施例ではユーザー識別子A(およびユーザー識別子Aを計算する秘密鍵101A)をウェブサービスへのログイン等で秘密鍵の不正利用時の監視に用いる狙いもありOTP=fh(A,TIDA,KC,TB)を好ましくは用いた。
また前記TBにOTP生成トークンのコントラクトの内部変数BC値3013A(
図3AAや
図3ABや
図3ACに記載の内部変数BC3013A)を用い、前記3013Aはコントラクトの管理者端末1Cの秘密鍵101Cを用いてブロックチェーンへアクセスし3013Aを書き換えることの出来るセッター関数3012Aを用いて任意時間に任意の値に変更することで、ワンタイムパスワードOWP=fh(A,TIDA,KC,BC)として管理者の設定するBC値に応じてパスワードを変えられることを特徴とするOTPの計算方法を用いたOTPトークンを本発明で用いる。
Tm(またはTB)にBCを用いるときはOTP=fh(TIDA,KC,TB)よりもOTP=fh(A,TIDA,KC,TB)が好ましいかもしれない。具体的にはOTP=fh(TIDA,KC,BC)よりもOTP=fh(A,TIDA,KC,BC)が好ましいかもしれない。
ここでOTP=fh(TIDA,KC,TB)よりもOTP=fh(A,TIDA,KC,TB)が好ましい理由としては、例としてKCやBCはコントラクト管理者が任意の時間に変更できコントラクト管理者の判断によっては数年を超え長期間もしくは一度も変更されない恐れがあり、前記KCやBCが長期間もしくは一度も更新されないときOTP=fh(TIDA,KC,BC)の場合はトークン譲渡により保有するユーザー識別子が変更されたときにトークン番号に固有だがユーザー識別子に固有ではないOTPを生成・認証するので、OTPを取得してきたユーザーたちが次々とOTPトークンを譲渡してOTPを取得してOTPの値OTP=fh(TIDA,KC,BC)を共有し複製し記録できる問題(金属製の鍵における合鍵の複製に似た問題)があり、それに対しOTP=fh(A,TIDA,KC,BC)というOTPを計算することでユーザー識別子及びトークン番号に固有のOTPを生成・認証できるので適しており本発明の実施例では好ましくは用いた。
そしてBC値3013Aと同じくKC値3011Aもコントラクトの管理者端末1Cの秘密鍵101Cを用いてブロックチェーンへアクセスし3011Aを書き換えることの出来るセッター関数3012Aを用いて任意時間に任意の値に変更することでワンタイムパスワードBnTOTPおよびOWPの双方のシークレット変数KCを変えることでコントラクトに属するOTPトークン全てのキー値KCを任意時間に任意数値で更新できることを特徴とする。変更できるBC値とKC値は同じものとみなすこともでき、BC値とKC値を同じものとみなし1つの変数としてOTP計算することもできるほか、BC値とKC値をそれぞれ複数個用意して利用することやユーザー識別子またはトークン番号に固有のKC値(後述のマッピング変数KCA)を設定しそれらKC値にもちいてもよい。
【0034】
<n桁の整数からなるワンタイムパスワードの算出>
インターネットを用いたネットバンキングなどの銀行取引等で利用される7桁から6桁の整数のパスワードとするためにハッシュ関数で算出した情報BnTOTPを符号なし整数に型変換し、その整数値をnで割ったときの剰余を求めn桁の整数パスワードとすることもできる。
ここでnは6から7の値をとってもよい。コントラクトにおいて変数nがコントラクトの管理者のみによって書き換えできるセッターとなる関数fOTPNが設定されている場合には(変数nと関数fOTPNが3031Aに記録されている場合には)、nを6として設定してコントラクトをブロックチェーンに記録・展開(デプロイ)したのち、総当たり攻撃に必要な計算力を増加させるために、nを6から12に引き上げ、12桁のパスワードにすることも可能である。これはハードウェアTOTPトークンでは実現困難な方法である。セキュリティ上好ましくはないが、桁数が少なくてもよい場合はコントラクトを作成後にnを6から3に変更し表示するOTPの桁数を3桁にすることもできる。
またコントラクトには複数のOTP生成関数と認証関数を備えさせ、重要な操作を行う(例として高額な振り込みや決済を銀行で行う)場合のOTP認証関数及びOTP生成関数と、重要度は低いものの認証を必要とするOTP認証関数及びOTP生成関数をコントラクト内もしくは端末3Dに備えることができる。前記において重要な操作を行う場合はnの値を大きくし、重要度が低い操作を行う場合はnの値を小さくすることで入力時の桁数を変更させ、OTP認証に要する入力文字数の労力を加減させ、ヒトが手などで端末の入力装置から入力しやすくすることもできる。
OTP認証関数及びOTP生成関数でシード値が一致するように生成コントラクトと認証コントラクト(または認証関数)で同一の3031Aを設定し、コントラクトをブロックチェーンにデプロイした後も、3030Aの値を変更するときは生成コントラクトと認証コントラクト側で一致させるようコントラクトの管理者である端末1Cが設定変更のトランザクションを3Aに送付し変数などの書換を行う必要がある。
本発明のワンタイムパスワードは符号なし整数で表現することも16進数で表現することもできる。パスワードには数字、英字、記号などが利用されうる。
【0035】
<ブロック番号に関する処理>
ブロックチェーンは例えば15秒、10分等のある時間ごとに新たなブロックが連結されブロック番号Bnが1つずつ増えていく。ユーザーUAがサーバP(3A)から端末1AにOTPを生成して呼び出し表示して認証する時間(OTP認証の待受け時間)が短すぎる時、例えばインターネットバンキングサイトなどウェブページに端末DA(1A)のディスプレイに表示されたOTPを入力したいが、15秒ごとにOTPが更新されることによってヒトの手入力が追い付かずOTPが入力できないことが想定される。実際に本発明の開発時においてはブロック番号が15秒ごとに代わるイーサリアムのテストネットワークにあるブロックチェーンを用いたが、発明者の手では入力が困難になることが時折確認された。
そこでブロック番号Bnを基に表示する間隔を増やす変数nを用い、Bn mod n として、Bnのnで割った余りmを求め、Bnからmを減算しBnrとして(Bn-m=Bnrとして)、Bnの代わりにBnrをOTPを算出するハッシュ関数の引数に利用した。たとえばブロック番号が15秒でnを2にした時、ブロック番号Bnが奇数または偶数のときパスワードが変更されるようになりパスワードの表示時間を15秒から30秒に増やせる。nを2から3、4、5、と増やしていけば、表示時間と認証時間を更に増やすことができる。このOTPを生成し認証し表示を行い入力待ちを行える時間を増やす関数や変数は
図3ACの3030Aに示す。なおnは1以上の符号なし整数である。n=0とすることはできない。
認証関数及び生成関数でシード値が一致するように生成コントラクトと認証コントラクト(または認証関数)で同一の3030Aを設定し、コントラクトをブロックチェーンにデプロイした後も、3030Aの値を変更するときは生成コントラクトと認証コントラクト側で一致させるようコントラクトの管理者である端末1Cが設定変更のトランザクションを3Aに送付し変数などの書換を行う必要がある。
【0036】
<ブロックチェーンにて決まる値を用いたOTP>
実施例ではイーサリアムのテストネットで実施例となるEERC721規格に本発明のOTP認証用部分を追加したスマートコントラクトの形でワンタイムパスワードOTPトークン発行部、OTPトークンとユーザーの所有関係記録部、OTP生成部と、生成されたパスワードを検証し認証する認証部をブロックチェーンのコントラクトに設けた。ブロックチェーン部ではブロック番号Bnが利用できる。
イーサリアムではブロックチェーンを構成するノード間でGasLimit値(BlockGasLimit値)に関する投票が行われる。そしてイーサリアムにはGasLimit値によってブロックサイズが可変になる特徴がある。この投票で決まるV値3004AやブロックサイズBSZ値3005Aに関しても本発明ではブロックチェーンのシード値に用いる。例えばすべてを実施する場合はワンタイムパスワードBnTOTPはBnTOTP=fh(A,TIDA,KC,Bn,BC,V)、またはBnTOTP=fh(A,TIDA,KC,Bn,BSZ)、またはBnTOTP=fh(A,TIDA,KC,Bn,BC,BSZ)のようにOTPを生成するシード値となる引数を複数用いてOTPを生成できる。またOTPを擬似乱数とみなして擬似乱数生成器とすることもできる。
単にイーサリアム上でブロック番号Bnを用いたTOTPベースの擬似乱数生成器用スマートコントラクトに用いるときはBnTOTP=fh(KC,Bn)やBnTOTP=fh(Bn)やBnTOTP=fh(fh(Bn))でもよく、本発明ではブロック番号Bnを用いたTOTPベースの擬似乱数生成器が実施できることを確認した後、その擬似乱数生成器をOTP認証システムに応用している経緯がある。擬似乱数として用いるときはトークン番号TIDAや後述するユーザー側の投票値のマッピング変数VUをシード値に用いてもよい。
【0037】
実施例にあるイーサリアムにはweb3.jsといったブロックチェーン部とユーザー端末のウェブブラウザを結ぶECMAScriptモジュールがある。前記ECMAScriptモジュールを用いユーザーの秘密鍵や指定したユーザー識別子、コントラクト識別子、ブロックチェーン識別子、トークンの名前を用い、ウェブブラウザ上でイーサリアムのブロックチェーンにアクセスし本発明のOTP生成関数やOTP認証関数を操作し、OTP等や認証結果の戻り値CTAUを得て、ウェブサイトへのログオン(
図8A)、紙のチケット18Aまたは近距離無線通信(NFC)タグ19Aによる入場や、NFCタグによる施錠の電子的な解錠鍵に用いてもよい(
図8B)。
さらに本発明のOTP認証システムにおいてソフトウェアCRHN(
図4Aの403A)を用い、OTP認証関数を実行し、認証結果が正しい時に得られた戻り値のデータCTAU(CTAUは
図3AA等に記載のブロックチェーンのコントラクトに記録された3021Aと、
図3AAの3021AをOTP認証取得し端末4Aに記憶させた
図4Bの4031Aを示す)を用いることを特徴として、ブロックチェーンの外部から得られた鍵データAKTB(
図4Bの4032A)や403A内部に記録されたソフトウェアの秘密鍵データCRKY(
図4Bの40302A)を用いて403Aのプログラムに従って共通鍵暗号化(対称鍵暗号化)を行う鍵データTTKY(
図4Bの4033A)と、その鍵データTTKY(
図4Bの4033A)にて暗号化されたデータ4035Aを流通させ、アクセス権をワンタイムパスワード認証機能付きのERC721型トークンとして与えられているユーザーの手で復号出来る暗号化データの流通と復号を行うシステムに本発明のOTP認証システムを用いることができる。
OTP認証関数3018Aや3018Aや3018DAの戻り値CATU3021Aはコントラクトの管理者が変更する手段を備え変更してもよく、1つ又は複数の戻り値CTAU3021Aを返してもよく、さらにユーザー識別子Aやトークン番号TIDAをキーとするマッピング変数CATU3021A(CTAU[TIDA]やCTAU[A]というマッピング変数3021A)と前記変数についてトークン番号やユーザー識別子をキーとして変数の値を変更するセッター関数を備えてもよい。
【0038】
3.ネットワーク
通信経路であるネットワーク20においてユーザーUAのコンピュータDA(端末1A)とサーバーP(端末3A)の通信は暗号化されていることが好ましい。本発明ではワンタイムパスワードを端末1Aとサーバ端末3Aの間でやり取りするが、その際に端末1Aと端末3Aをネットワーク20結ぶ通信経路が暗号化されていることが好ましい。もし暗号化されてなければネットワーク20を介したブロックチェーンとのやり取りが読み取られてしまう恐れがある。
またブロックチェーンの基盤にトランザクションやコントラクトの処理内容やコントラクトの変数の情報を秘匿できる方法があることが好ましい。
ネットワークを構成する際は有線及び無線による通信方法を用いてもよい。ワンタイムパスワードの生成と認証を行う際に本発明のトークンを用いる場合は双方向の通信が必要である。しかし利用形態によってはワンタイムパスワードの生成のみを双方向通信で行い、認証は紙のチケットや施錠・解錠用のNFCタグを読み取る端末3D(3Dの利用形態は
図8Bに記載)にて認証させることができる。
また暗号化データを復号する用途では一対複数の放送で得られた暗号化データを生成されたOTPに従って本発明の認証システムで認証し復号する事が可能である。放送する局が宇宙にある局5Cでそれを操作する局5CCはネットワーク2を用いて無線通信を行い通信する。双方向のデータ通信により暗号化データを復号する用途ではネットワーク20等を用いる。
【0039】
4.パスワードを使うサービス
4A.ウェブサイトのログイン用途
<ログイン処理>
本発明の認証システムでウェブサイトのログインや操作に利用する場合、サーバSVLogin(
図8Aの端末3C)を用いてログイン処理を行う。
図8Aに端末の接続図を示す。ネットワーク20を介して端末1Aと端末3Aと端末3Cが接続されている。サーバ端末3Cは実機のサーバ端末3Cでもよいし仮想のサーバ端末3Cでもよいし仮想機械である端末3Cでもよい。
サーバ端末3Cの記憶装置データを端末1Aに記憶させサーバ端末3Cを仮想機械として端末1Aに構築し、端末1A内部で端末1Aと端末3Cを通信させつつ端末1Aをネットワーク20を介して端末3Aと接続させることで端末1Aに構築された仮想機械端末3Cにログインすることが可能となる。例えば端末3Cはサービスが終了したログインが必要な電子書籍サービスやオンラインゲームサーバのサービスであってもよい。
端末3CにおいてECMAScript等でサーバ3Aのブロックチェーン部とユーザーの端末1Aが通信してやり取りできるウェブアプリ、ウェブサイトデータをユーザーに送信し表示させ、ユーザーが持つ秘密鍵101Aの情報を持ったウォレットソフトウェアを用い(ウォレットソフトウェアがない場合は秘密鍵情報101Aそのものをウェブサイトに入力、記述、出力させ)ウェブサイトデータにユーザーが所持するサーバ端末3Cのログインに利用できるトークン番号を入力し、その情報とウォレットソフトの情報からワンタイムパスワード生成コントラクトのワンタイムパスワード生成関数よりユーザー識別子A、トークン番号TIDAを引数としてブロック番号ベースのワンタイムパスワードBnTOTP生成し、BnTOTPをウェブサイトに入力した際に、入力値をワンタイムパスワード認証コントラクトのワンタイムパスワード認証関数で認証処理を行う。
OTPの認証関数及び生成関数で計算されるBnTOTPはハッシュ関数fhとコントラクト内部変数KCと前記のA、TIDAを用いてBnTOTP=fh(A,TIDA,KC,Bn)という引数と関数で表される。
ここでウォレットソフトウェアは秘密鍵情報と秘密鍵から計算されるユーザー識別子情報を計算でき、ある保有秘密鍵とユーザー識別子におけるERC721トークンの保有数を表示できるものもある。(ウォレットソフトウェアの例としてhttps://metamask.ioのブラウザ拡張ソフトウェア型ウォレットソフトウェアのMetamaskなど。秘密鍵を記録するハードウェアウォレットDWALT1603Aと通信できるものもある。)
認証結果が正しい時、サーバ3Aにアクセスしてきたユーザー識別子Aやトークン番号TIDAといったブロックチェーンに関する情報と、端末1AのIPアドレスまたは位置情報や端末1Aに固有の装置ID(デバイスID)または端末1Aの入力装置14Aのセンサ144Aのセンサ値を端末の環境値IPVとして
図6Xで示すデータ構造でサーバ3Aに保存し不正アクセスがあるかどうかを監視することもできる。
端末1Aのセンサ144Aのセンサ値は主にセンサ144A、環境センサ1440A、位置センサ1441A、モーションセンサ1442A、生体認証センサ1443Aのセンサ値をユーザーの同意を得て利用する。プライバシー上好ましくないがやむを得ない場合は140Aや141A、143A、142Aといった入力装置14Aの入力そのものでも良い。143Aや142Aや141A、140Aといった入力装置をセンサ値として用いる場合はユーザーの情報提供の同意が無ければ利用できない。
ここで 環境センサ1440Aは温度センサまたは湿度センサまたは気圧センサまたは圧力センサまたは照度センサまたは光センサ、化学センサ、においセンサといった端末周囲の環境にかかわる情報を物理的な手段を用いて測定できるできるセンサである。
位置センサ1441Aは磁気センサまたは地磁気センサまたは加速度計を含み、加速度や磁気を物理量として測定し、重力加速度を用いた端末の向き、地磁気などに対する向きを示す磁気コンパス機能にも利用される位置を測定するセンサである。モーションセンサ1442Aは加速度計またはジャイロセンサ(角速度センサ)のいずれか両方を含み、端末の加速度といった動きを検出するセンサであり、端末の動きを測定する。
生体認証センサ1443Aは端末1Aがカメラやサーモグラフィといった画像センサを持ち前記画像センサを用いて顔の構造に由来する認証をするときのセンサであったり、スキャナを用いた指紋認証を行う指紋センサであったり、耳の構造に由来する認証を行うときのセンサであったり、歩行する際などに生じる装着された端末の感じるモーションや圧力信号を用いて認証する際のセンサである。生体認証は既知の方法を用いることができる。
【0040】
<ログイン実行と実行後の処理>
端末3Cから端末1Aにログイン後のウェブサイト、ウェブアプリデータを送付する。またログイン後のページにてユーザーが端末1Aの入力装置を用いて入力した値をネットワークを通じてサーバ端末SVLogin端末3Cが記録し、また入力した値によってユーザーデータの操作を行う。この例として具体的にはインターネットバンキングにおけるログイン後の振り込み処理や会員サイトでのデータの記録・変更や投票などの処理、オンライン株主総会での投票処理、オンラインゲームでの処理が挙げられる。OTP認証後の処理に応じてはブロックチェーンにユーザー及びユーザー端末1Aをアクセスさせ、処理を行わせた際にOTPの生成関数を実行させOTPを取得したのち取得したOTPを引数に用いて認証関数を実行させたとき、3017Aや3017AAといった変数を変更させる。
ここでウェブサイト等の認証とログインに用いるとき3017Aや3017AAはサービスを利用出来る会員のポイントもしくは通貨残高が記録されており、本発明のログイン権や電子チケット等の情報をサービス提供時に提示したときにその残高がサービスに対応されるポイントもしくは通貨の数量だけ差し引かれていく形でもよい。会員ポイントや会員権専用の数値、通貨残高の他、オンラインゲーム等のデータについて改ざんされたくない重要なデータを記録してもよい。3017Aや3017AAはコントラクト内の他のユーザーやコントラクト管理者の指示によりその残高を変更し、あるユーザーの残高の一部を別のユーザーの残高に加算するという振込・振替処理を行えてもよい。
(ここで紙及び電子チケットやログイン権となりうる端末を端末3Dといったサービス提供機器に提示し認証するときも3017DAにサービスを利用出来る会員のポイントもしくは通貨残高が記録されており、本発明の電子チケット、紙チケットの情報をサービス提供時に提示したときにその残高がサービスに対応されるポイントもしくは通貨の数量だけ差し引かれていく形でもよい。端末3D内の記憶装置のデータのうち、他のユーザーや端末3Dの管理者の指示によりその残高を変更し、あるユーザーの残高の一部を別のユーザーの残高に加算するという振込・振替処理を行えてもよい。端末3Dが端末3Cと同じくネットワーク20に接続しノード端末3Aや端末3Fや3Eと接続できる場合には端末3Dは端末3Cと同等とみなし端末3Cと同じ処理が行るものとみなす)
3017Aや3017AGはトークン番号に対応したOTPトークンが持つ資産残高やデータ量を意味しており、認証関数実行後にそれらを操作してもよい。OTP認証関数3018Aの実行時に認証関数3018A実行中に含まれる処理(もしくは認証関数の処理後にリンクされて別途行われる処理)として
図3ABの3021A、3022A、3023Aがあってもよい。
前記3018A、3021A、3022A、3023Aは具体的にはインターネットバンキングの認証コントラクトがあり、そのコントラクトでは顧客の資産残高の記録が行われており、認証関数3018Aに続いてコントラクト内にある別のユーザートークン番号(トークン番号と銀行口座番号が対応付けられていると想定)へ振り込み元のユーザーが3017AAに記録された残高の範囲内で振り込み先にOTP認証関数が一致した際に振り込む処理をもつ3022Aがあってもよい。
3022Aは振り込み処理や定期預金、振り込み限度額設定といった設定を行う処理でもよい。そして銀行用途に限らず証券や保険など金融分野、私的または公的の公共又は民間の会員サイトなどでの投票などの意思表示・重要事項の変更、あるいはオンラインゲームなどで重要なユーザーのデータを記録させることに利用されうる。
【0041】
<不正ログインの検知>
本発明ではログインしたユーザのIPアドレス(IPアドレスのハッシュ化または加工した値)、または位置情報(位置情報をハッシュ化または加工した値)、またはコンピュータの装置ID(またはハッシュ値)と、トークン番号、ユーザー識別子をSVLogin(
図3Cの端末3C)の記憶装置30Cの3011Cに
図6Xに示すデータ構造もしくはデータの形式で記録し、ログインしたユーザのIPアドレス(IPアドレスのハッシュ化または加工した値)、または位置情報(位置情報をハッシュ化または加工した値)、またはコンピュータの装置ID(またはハッシュ値)を監視する処理部(
図3Cの3110C、3111C、3112C、3113C)を端末3Cは備え、あるトークン番号やユーザー識別子に対して異なるIPアドレス、異なる位置情報、異なる装置IDからアクセスしているか随時判断し、異なる場合にはユーザーに通知し、さらにはアクセスを遮断する機能を処理部(
図3Cの3110C、3111C、3112C、3113C)を備える。
ここでコンピュータの装置IDについては、デバイスIDなどのコンピュータ製造IDやオペレーティングソフトウェアのID、ウェブブラウザのIDに加えて、端末1Aに搭載された加速度センサや磁気センサ、圧力センサ(気圧センサ)、温度センサなどを含めた端末1Aのセンサ144A(
図144Aの1440Aや1441Aや1442Aや1443Aに記載のセンサ)情報を含むIPV値(
図6Xに記載のデータ構造)やIPVをハッシュ化したものを用いてもよい。この方法は本発明の他の利用例4B.4C.4Tに利用してもよい。
例えば端末1Aが144Aの位置センサ1441Aに磁気センサを備え、地磁気を測定可能である3次元方向の磁気を検出可能な磁気センサーを搭載したスマートフォンであるとき、スマートフォン内蔵の磁気センサーの向きはユーザー端末の向きによって変わる。正常なアクセスであれば磁気センサーの値に対応するユーザー端末からのアクセス情報は1つしかないが、もしほかのユーザーが秘密鍵を不正に入手しログインしようとしても、攻撃者は離れた地球上のある位置にいるユーザーのコンピュータの磁気センサーの値と一致させなければならずなりすましは困難である。センサは一つだけでなく複数利用でき、例として地磁気センサと温度センサ、あるいは温度と気圧センサ(温度と圧力センサ)のように組み合わせる等が可能である。IPアドレス(およびIPアドレスのハッシュ値または匿名化された値)とセンサ値を併用できると好ましい。
ここで端末1Aに内蔵されるセンサについても説明する。全てのセンサを端末に内蔵している必要はなく、1つ以上のセンサを採用していれば好ましい。
1440Aの環境センサは温度センサ、気圧センサ(圧力センサ)、湿度センサ、照度センサを含み前記4種のセンサの測定値を個別に端末1Aに入力できる。
1441Aの位置センサは磁気を検出する磁気センサと加速度を検出する加速度計を含み、端末の位置を検出できるセンサ。磁気センサや加速度計のセンサの測定値を個別に端末1Aに入力できる。
1442Aのモーションセンサは加速度計と角速度を検出するジャイロセンサを含み、端末の動きを検出できるセンサ。加速度計(加速度センサ)とジャイロセンサの測定値を個別に端末1Aに入力できる。
1443Aの生体認証センサは、例として顔やまばたきの情報であればカメラ142Aを用い、指紋であれば指紋のスキャナを用い、静脈のパターン虹彩や耳の構造などはそれらを検出するセンサを用い、歩行に関する情報であれば端末1Aの1442Aや端末1Aの通信装置12Aと通信できる外部端末の加速度センサと対応した靴型のモーションセンサデバイスや衣服に取り付けたモーションセンサ群を用いて測定してもよい。音声認証にてマイク・音センサ143Aを備える端末では、端末周囲の音声を端末が感じることの出来る固有の音響情報として、前記音響情報をハッシュ化し個人のプライバシーを守りつつIPV値に用いることも出来うる。生体認証やプライバシーにかかわる情報を
図6Xの情報に用いる場合はセンサが取得した情報をハッシュ化し、加工し、匿名化してを用いることが好ましいかもしれない。
ただし、銀行や証券など金融用途などでは防犯上IPアドレスといった情報はそのまま記録されることが好ましいかもしれない。
【0042】
<複数の秘密鍵を用いた不正アクセス対策>
本発明の認証システムにおける実施形態では単一の秘密鍵101Aを用いてもよいし秘密鍵101A2といった101Aとは異なる秘密鍵を用い、2つ以上の秘密鍵を用いてユーザー端末1Aや1B、コントラクト管理者端末1Cなどからブロックチェーン部を持つサーバ3Aのコントラクトの関数や変数へのアクセスを行ってもよいし、サービスを提供する端末3Cや端末3Dにアクセスしてもよい。本発明の認証システムを用いて暗号化されたデータを復号する用途に用いてもよい。
端末1Aの秘密鍵101Aを用いて101Aに対応付けられたOTPトークンのトークン番号がTIDAのときOTPの認証関数及び生成関数で計算されるBnTOTPはハッシュ関数fhとコントラクト内部変数KCと前記のA、TIDAを用いてBnTOTP-1=fh(A,TIDA,KC,Bn)という引数と関数で表される。
ここで端末1Aに搭載された秘密鍵101Aのほかに101A2という2番目の秘密鍵があり、その秘密鍵101A2から計算されるユーザー識別子A2とそれに対応付けられて発行されたOTPトークンのトークン番号TIDA2があったとき2つ目のBnTOTP-2=fh(A2,TIDA2,KC,Bn)が計算できる。
OTP生成関数でBnTOTP-1とBnTOTP-2を生成した後、認証関数を持つコントラクト内の認証関数において関数の引数に、A,TIDA,BnTOTP-1,A2,TIDA2,BnTOTP2-2という形で、2つの秘密鍵101Aと101A2から計算されるユーザー識別子とOTPトークンのトークン番号とOTP(ここではBnTOTP-1およびBnTOTP-2を例として示したが、OWPの場合はOWP-1とOWP-2といった形式も考えられる。)を用いて認証関数を実行させ認証を行ってもよい。前記のように2つの秘密鍵を用いることで2つの秘密鍵のうち1つが漏洩した場合、たとえば101Aが漏洩し悪用され利用されているときは、もう片方の秘密鍵101A2が漏洩しなければ関数の引数であるBnTOTP-2(OWPの場合はOWP-2)が攻撃者にとっては不明であるので認証関数が実行できず、不正アクセスを防止する効果が期待される。
ここで秘密鍵を複数用いてOTPトークンの認証に用いるときは、OTPトークンの認証を行うコントラクトにて秘密鍵101Aから計算されるユーザ識別子Aと秘密鍵101A2から計算されるユーザー識別子A2をユーザーUAが利用するユーザー識別子であるとコントラクト内部の変数もしくはサービス提供者・サービス提供者のデータベースに登録する必要がある。ユーザー識別子のほかにトークン番号TIDAとTIDA2が同一のユーザーUAに配布されていることをOTP認証関数を含むコントラクトに登録する部分を持っていてもよい。秘密鍵は2つに限定されず3個以上の複数個でもよい。
【0043】
サーバ端末3Cや3Dなどの本発明においてサービス提供側となる端末にUAの二つの識別子AとA2もしくはトークン番号TIDAとTIDA2を登録し、ウェブサイトにログインするときにAとTIDAとBnTOTP-1の入力を求める認証を行った後、A2とTIDA2とBnTOTP-2の入力を求める認証を行ってもよい。
ブロックチェーンではなくウェブサイトログイン先のサーバ端末3Cや3DにおいてBnTOTP-1=fh(A,TIDA,KC,Bn)とBnTOTP-2=fh(A2,TIDA2,KC,Bn)を別々にサーバ3Cが配信するウェブサイトのログイン画面にて認証処理を行い複数のOTPトークンのOTP入力と認証をサーバ端末3Cや3Dで求めることもできる。この場合3Cや3DはユーザーUAの複数の秘密鍵に由来するユーザー識別子AとA2やTIDAとTIDA2の対応付けを行って3Cや3Dの記録装置に記録されている必要がある。
サーバ端末3Cや3Dを用いて複数の秘密鍵によるOTPトークンの認証に用いるときは、OTPトークンの認証を行うサーバ端末3Cおよび3Dで秘密鍵101Aから計算されるユーザ識別子Aと秘密鍵101A2から計算されるユーザー識別子A2をユーザーUAが利用するユーザー識別子であると登録する必要がある。もしくはトークン番号TIDAとTIDA2が同一のユーザーUAに配布されていることをOTP認証関数を含むサーバ端末3Cや3Dに登録する部分を備えていてもよい。OTPトークンのコントラクト識別子が異なる場合も記録する必要がある。秘密鍵は2つに限定されずでなく3個以上の複数個でもよい。
複数の秘密鍵とそれに対し発行されたOTPトークンの対応関係のデータベースはサーバ端末のみあるいブロックチェーン上のコントラクトのみまたはその両方に記録されていてもよい。サーバ端末3Cや3Dとブロックチェーン上のコントラクト双方に複数の秘密鍵を利用してアクセスする形態も考えられる。
【0044】
本発明の実施において利用したイーサリアムでは1つのユーザー識別子あたり256bitの秘密鍵を用いるが、それを本発明のOTP認証システムの実施形態で秘密鍵を2つ用いれば512bitの秘密鍵となり、N個用いれば256×N[bit]の秘密鍵によりOTP認証することが可能となり、秘密鍵の実質的なデータ長を拡張可能となる。
データ長を増やすことで不正アクセスを行おうとする者の攻撃に対する耐性を高めることもできる。例として秘密鍵を3つ用いるよう設定した場合には、3つの内1つの秘密鍵が漏洩しても残り2つが漏洩していなければコントラクトの関数や変数へアクセスしないようにする事ができる。複数のうち過半数の秘密鍵が入手できなければ、それら秘密鍵に割り当てられたOTPトークンの認証が行えないのでサービスの提供を阻止する事ができる。これは一種のマルチシグ技術である。(マルチシグ:複数の秘密鍵を用いた複数署名。)
複数の秘密鍵を組み合わせてOTP認証を行うことで秘密鍵身元確認に関する運用ができるかもしれない。例えば2つ秘密鍵があり、片方は第三者機関と共有する身元確認のできている秘密鍵101A2でもう片方はユーザーが端末1A内部で生成した秘密鍵101Aであるとき、かつ秘密鍵の利用を開始した直後におそらく秘密鍵の漏洩が無いと思われるときに、101A2と101Aの双方の秘密鍵で計算されるユーザー識別子A2とAを第三者機関やそれらをユーザー識別子と実在する人物UAとの対応付けを行う第三者機関などのサーバ端末3CにTIDAとTIDA2のトークンを用いて第三者機関第三者機関や対応付けを行う団体のウェブサイトにOTP認証してログインなどして登録する。
AとA2もしくはAとA2に割り当てられたトークン番号TIDAとTIDA2のOTPトークンによって、端末3Cの管理者はユーザーUAに伝えたA2の秘密鍵101A2を知るUAが、Aというユーザー識別子Aを使うことと、Aに対応した秘密鍵101Aを持っていることが分かる。このときAとA2とユーザーUAが紐づけられ簡易に本人確認できたとする。そしてAに対し、ユーザーUAの所有する秘密鍵に対応するユーザ識別子であると判断し、ユーザー識別子Aをトークンなどの送付先アドレスとして、例えばある会員サイトへのログイン権やある会場への入場券・施解錠する鍵、そして暗号化データを復号するOTPトークンの発行や配布を行えるようになるかもしれない。
本発明のOTPトークンを発行する際にユーザー識別子AやA2が実在するユーザーUAの識別子であるか確認する必要があり、ユーザー識別子Aの入力ミスにより秘密鍵101Aとは全く異なる秘密鍵にOTPトークンが発行されることも考えられ、OTPトークンの送付先ユーザー識別子がユーザーUAやUB、UCといった実際のユーザーのが秘密鍵を記録して利用できている者かどうかを確認する必要があり、本人確認が必要と考えるため、前記本人確認法を示した。ただし1つの形態であって、本発明の実施時に必ず複数の秘密鍵を用いたOTPトークンによる本人確認を行うわけではない。本人確認方法は他の既知の方法を用いてもよい。
【0045】
<レイティングやコントラクト管理者への連絡先を含むコントラクトの看板となる情報>
看板変数3024A(
図3ACのKNBN、3024A)にはレイティング情報のほかにコントラクトが提供するサービスの名前、トークンの名前、説明事項を変数に記録させ看板となる情報としてパブリック変数として公開してもよい。また看板となる情報はコントラクト管理者が書き換えることができてもよい。
具体的には、インターネットバンキングの場合は3024Aに銀行の名称、郵便番号、銀行の本店の住所、法人番号、代表等電話番号(ファクシミリ番号)、銀行を所管する最寄りの省庁への連絡先など営業に関する必要事項をコントラクトの変数に記入しパブリック変数として公開してよい。サービスを提供する際に法律的に必要な事項をワンタイムパスワード生成トークンのコントラクトやワンタイムパスワード認証コントラクトに記入し、そのコントラクト管理者が書き換えられるようコントラクトをプログラムしてよい。
看板となる情報3024Aは本発明のコントラクトに必要に応じて記入し、コントラクト管理者が書換できてもよい。3024Aにはコントラクト管理者の端末1Cの秘密鍵101Cのみがアクセス可能となる書き換えに必要なセッター関数が含まれていてもよい。
【0046】
<レイティング>
サービス対象年齢等を示すため、ワンタイムパスワード生成トークンのコントラクトにはレイティング情報が記録される。看板となるパブリック変数KNBN(
図3AAから
図3ACに記載の3024A)にレイティング情報が記載される。3024Aに書かれたレイティング情報はOTPトークンのサービスの対象者を記述する。例として自動車の鍵に本発明を用いるとき、免許を受けたある年齢以上のユーザーが利用するはずのサービスであるのでその旨が記載される。未成年を対象とするか成人を対象とするか、免許など資格が必要かはサービスによって変わる。
ここでレイティング情報を格納したコントラクトの変数は全てのユーザーから閲覧できるパブリック変数であることが好ましい。またレイティングはコントラクト管理者が書き換えることができてもよい。
【0047】
4B.入場口や建物設備への紙又はIC式入場券、利用券、解錠鍵としての利用
チケットや入場券、建物設備の施錠と解錠に使う場合にはサーバSVLog(
図8Bや
図3Dに記載のサーバ端末3D)を用いる。
図8Bに端末の接続図を示す。サーバSVLog(端末3D)は入場等の処理するユーザーが少ない場合には必ずしもサーバである必要はなくサーバより計算能力や記憶装置の容量、物理的な大きさの小さいコンピュータSVLog(端末3D)でもよい。そして端末3Dは建物の施錠装置や自動車の施錠装置・原動機の始動装置を動作させる組み込み型の端末でもよい。3Dは組み込みシステム用のMCUを持つ端末(Micro Control Unit、マイクロコントロールユニット、マイクロコントローラ、マイコン)でもよい。
本発明ではNFCなどの通信機能を備えたICタグ・ICカード型のチケット19Aまたは紙のチケット18A(および紙のチケット18Aと同じOTP認証情報を表示させたディスプレイの表示面1500A)の記録情報にブロックチェーンから生成されたパスワードOWPを利用する(ここでICはIntegrated circuitであり集積回路のこと)。
【0048】
19Aは非接触のNFCタグや、接触型端子を持つICカードであり、19Aの利用者ではないユーザーに不正使用させないように19Aに利用者がパスワードとしてPIN等を設定してもよい。19Aと端末3Dとの通信を行いOWPなどの認証情報を伝達する際に、19Aに設定されたPINによるパスワード認証を求め、パスワード認証ができた場合にNFCタグの情報を端末3Dの通信装置32Dを通じて端末3Dに伝達してもよい。
【0049】
ここでPINは個人識別番号(Personal identification number)の略であり、PINは例えば4桁の整数のパスワードである。19AのPINは19Aを用いてサービスを利用する際の最終的な利用意思確認手段として用いる。19Aは無線により通信するため19Aを所有するユーザーが知らぬ間に19Aの情報が端末3Dに伝達されないようにPINを用いてもよい。19Aは3Dと無線もしくは有線方式の通信を行う際に通信内容を暗号化してもよい。PINなどを用いて19Aに記録されたOWPを用いる認証情報を暗号化してもよい(OWPを、PINを鍵として共通鍵暗号化などの手段をもちいて暗号化してもよい)。18Aや1500Aはそれらを持つユーザの利用する意思がヒトの手で提示されることで確認できるが、19Aは無線通信などである程度離れていても決済ができてしまう恐れがあるのでPINコードを設定出来てもよい。
PINを用いることで19Aのセキュリティ性は向上するが、サービスを認証するたびにPINの入力を必要とすることはPIN入力の時間をユーザーに要求しユーザーの利便性を下げることにつながることもあるかもしれない。そこで19Aと19Aの無線通信信号を読み取るNFC通信装置341D(前記通信装置は341Dまたは32D)が非接触ではあるが通信距離が10cm(具体的には13.56 MHzといった周波数を利用する通信距離10cm程度の既知の近距離無線通信技術)であり、サービス提供者が19Aについて前記条件(通信距離10cm程度の19Aであること)を示し、PINが無くともNFCタグ19Aによる本発明の認証システムを用いた認証結果に応じてサービスを提供することを許容する場合にはPINなどを設定せず、19Aを3Dの32Dもしくは341DにかざすだけでOTP認証を行い認証結果に応じてサービスを提供する形で本発明を実施してもよい。(19Aにはセキュリティの為にPINを設定することもできる。そして19AにはPINの設定をしないで利用することもでき、PINを設定しない場合は入場口や改札などでの決済速度を向上させ、使いやすさ、ユーザビリティ、利便性を優先して利用することもできる。)
自動車のキーレスエントリー、リモート(通信距離が10cmを超え1mを超える)での自動車ドアの解錠用途に用いる施解錠鍵19Aや建物のドアのリモート(通信距離が10cmを超え1mを超える)での解錠用途に用いる施解錠鍵19AでもPINを用いることが必要な用途と必要でない用途がある。通信距離が10cmを超え1mを超える自動車用途では19AにPINは不要かもしれない。
通信距離が10cmを超え1mを超える建物や金庫・金庫室の施解錠用途では施解錠にもPINを用いたほうが好ましいかもしれない。
【0050】
パスワードOWPはハッシュ関数fhとユーザ識別子Aとトークン番号TIDAとコントラクト内部シークレット変数KC値3011Aとコントラクト管理者が変更できる変数BC値3013Aを用いてOWP=fh(A,TIDA,KC,BC)として計算される。OWPは前記ハッシュ関数fhと引数を用いてOTP生成関数3009Aで計算され生成される。3009Aはこの利用例ではOTP=OWPとしてOWP=fh(A,TIDA,KC,BC)と表現できる計算処理を含む。
紙のチケット18Aは本発明のワンタイムパスワードOWPの生成関数3009Aを用いて取得したOWP情報を紙などに印刷し製造される。18Aに記録される情報は少なくともユーザー識別子Aとトークン番号TIDAとパスワードOWPを含む。18Aに記載の情報は1500Aで表示できる。18Aや1500Aを読み取るカメラなどの装置がサービス提供端末3Dに備えられている場合にはチケットなど有価紙葉のようよのほかに施解錠を行う金庫・金庫室や建物のドア、入退場口、自動車など乗り物や電子計算機端末に認証情報を読み取らせることができ、入退場や施解錠ができる。
NFCタグ19は、端末1Aが保有するユーザー識別子Aとトークン番号TIDAとパスワードOWPを含む認証情報を端末1Aの通信装置12Aを経由して19Aに記憶させることで19Aを製造でき、チケットなど有価紙葉や入退場用のタグや施解錠の鍵あるいはアクセス制御を解除するものとして用いられる。
図8Bに示すように前記AとTIDAとOWPを記録したNFCタグ19Aや、AとTIDAとOWPを表示する端末1Aのディスプレイ画面1500A、そしてその画面1500Aを印刷した紙のチケット18Aでもよい。
【0051】
図8Bに示すように18Aと1500Aは端末3Dのカメラ・スキャナ340Dによって読み取られる。この時18Aと1500AはAとTIDAとOWPを連結した文字列情報を表示していてもよいしバーコード情報(1次元及び2次元のバーコード)を表示していてもよい。
図8Bに示すように19Aは端末3Dの32Dと通信しAとTIDAとOWPを連結した文字列情報を伝達してもよい。19Aと32Dの通信にはNFCを用いることを想定する。
1500A、18A、19AからAとTIDAとOWPを受け取った端末3Dの制御部及び記憶部(31Dおよび30D)に備えられたパスワードOWPの認証関数3018DA(
図3DAの3018DA))は
図6Fや
図6DのOTP認証関数の処理に関するフローチャートに従い、入力されたOWP(ArgOWP)が端末3Dに記録されたKCやBC値を用いて計算されるVeriOWP=fh(A,TIDA,KC,BC)と一致するか検証し、一致した際には認証ができたと判断し、端末3Dは端末3Dが組み込まれた装置の開閉装置350Dまたは施錠装置350D(施解錠装置350D)または始動装置350Dまたはアクセス制御装置350Dを操作して、改札口や入場口の入場処理または施錠された建物や自動車など乗物と金庫など容器の解錠を行い、乗物や電子計算機、機械、設備の始動を行う。
【0052】
認証関数3018DAは
図6Fや
図6DのOTP認証関数の処理に関するフローチャートに従い1500Aや18Aや19Aの情報からOWP(OWP=ArgOWPとして)とAとTIDAとを引数として受け取る。そして
図3DAに示す3DのKC値3011DAやBC値3013DA、ハッシュ関数3010DAを用いてVeriOWP=fh(A,TIDA,KC,BC)を計算する。ここでVeriOWPとArgOWPの計算に用いたハッシュ関数fhとKC値とBC値は、ブロックチェーン上で18Aや19AのためのOWPを生成する端末3Aとサービスを行う端末3Dのシード値KC、BC及びハッシュ関数fh等がすべて一致しなければならない。
認証関数3018DAの関数の戻り値が認証結果の正しい時の値ならば端末3Dは350Dの開閉装置を開いたり施錠装置(施解錠装置)を解錠したり装置を始動させることができ、認証が失敗するときは開閉装置を閉じ、施錠装置(施解錠装置)の操作を行わず、装置を始動は行わない。
(ブロックチェーン上の3AでOWPを計算する際に用いる変数と手順が端末3DでOWPを計算する際に用いる変数と手順に一致しなければ、正しく生成されたOWPを含む1500Aや18Aや19Aを端末3Dに提示しても誤った認証結果が計算され入場処理や解錠処理などを行えない。具体的には正しい認証情報を含むNFCタグ19Aを持つユーザーUAが誤った3011DAや3013DAを記録した端末3Dに提示しても端末3Dは誤った3011DAや3013DAを用いて誤った認証関数3018DAによってOWPの検証を行い、認証関数の実行結果から19Aを不正なもの、入場や施錠の解錠を行えないものと判定し開閉装置や施錠装置を閉じたままにし、あるいは警告用のブザーなどを鳴らしてしまう。)
【0053】
コントラクトの管理者とサービスおよび端末3Dの管理者は、ブロックチェーンのノード端末3Aのハッシュ関数3010Aと端末3Dの3010DAを一致させ、端末3AのKC値3011Aと端末3Dの3011DAを一致させ、端末3AのBC値3013Aと端末3Dの3013DAを一致させ、ほかに変数や関数をOWPの計算に用いる場合にはそれらを一致させ、端末3Aと端末3DでのOWP型OTPの計算方法と計算に用いる変数を一致させ同期させなければならない。OTPの計算方法と計算に用いる変数を一致させることで1500Aや18Aや19Aを用いた紙やNFCタグによる現実世界での本発明のOTP認証サービスが可能になる。
端末3Dが建物の扉や金庫に組み込まれた施錠を管理する端末であるときに、シークレット値KCやBCの変更が生じたとき、端末3Dが組み込まれた扉や金庫等の利用者が施錠された設備の解錠後にアクセスできる位置(具体例として金庫の扉の裏側もしくは建物の扉の裏側、建物の扉の屋内側)に備えられた施錠管理端末3Dの通信装置32Dに有線式もしくは無線式の方法でアクセスし、端末3Dの製造元の提供するソフトウェアなどに従い32DのKC値3011DAやBC値3013DAを更新できてもよい。
【0054】
本発明を金属製の鍵と比較すると、OWP=ArgOWPとして、AとTIDAとArgOWPの情報が鍵であり、AとTIDAとVeriOWPの情報が錠に対応する。本発明では鍵と錠の情報は可変であり鍵と錠の情報が同期できず鍵を計算する条件と錠を計算する条件が一致しなければ認証を行うことができない。(参考に、ウェブサイトのログインなどに用いる想定のBnTOTPの場合はAとTIDAとArgBnTOTPの情報が鍵であり、AとTIDAとVeriBnTOTPの情報が錠に対応する。)
ブロックチェーンに鍵となるOTPトークンとOTPトークンが生成するOWP型のパスワードは分散型台帳技術で共有され改ざん困難な状態で保存可能であるが、3Dが3Aと接続できない場面において本発明の実施を行う場合には、端末3Dの管理者が錠となる情報を最新の情報に更新する、もしくは端末1AのOWP型のパスワードとユーザー識別子Aとトークン番号TIDAを1500Aや18Aや19Aで認証できる情報を設定することが求められる。
【0055】
端末3Dと端末3Aで計算されるOWPを一致させるために、KC値3011A・3011DAやBC値3013A・3013DAをコントラクトのデプロイした後は変更しないという利用形態も考えられる。前記利用形態ではパスワードの更新は行われずセキュリティ上問題はあるものの、例えば少人数の限られたコミュニティで利用するある行事の一度限りの入場券などで利用する用途が想定される。KC値やBC値の変更は可能だが実際は変更しないという利用形態のほうがサービス提供者の労力を抑えることができ本発明を利用しやすくするかもしれない。
この場合はOTPトークンに有効期限や保証期限を明記する事が好ましい。簡易の金庫や錠前などの製品に用いるとき製品保証期間を設けそれを超える期間のコントラクトの管理は一切行わないという方法を使い、使い捨てのコントラクトという形でサービスを提供する形態もあるかもしれない。
【0056】
限られたコミュニティの行事で利用する入場券として1500Aや18Aや19Aを利用する場合には、ユーザー識別子Aとトークン番号TIDAとOWPの3つの必須情報に加え1500Aや18Aや19Aを製造または作製した時刻や有効期限、入場券を利用できる場所の住所、入場券を発行しサービスを提供する責任者の名称と連絡先などを1500Aや18Aや19Aに記録してもよくそれら情報は文字列情報として1500Aや18Aに表示印刷され19Aの場合は端末1Aのディスプレイに文字列として表示するなどしてヒトが有価紙葉の情報を目視で確認できることが好ましい。
ユーザー識別子Aとトークン番号TIDAとOWPの3つの必須情報は2次元バーコードとして表示しカメラやスキャナで読み取れるようにする事で認証に必要な情報を3Dの340Dに読み取らせることができる。またOWPは読み取られると不正利用されうるため、ユーザー識別子やトークン番号を文字列で記載し、別途認証用にユーザー識別子Aとトークン番号TIDAとOWPの3つの必須情報は2次元バーコードとして印刷または表示または記録したOWPのみは二次元バーコードとして記録される形態の1500Aや18Aがあってもよい。
1500AについてはOWP以外の情報については目視または音声による読み上げを行いトークン番号やユーザー識別子、サービスの有効期限やサービスの提供先の情報についてユーザーに知らせる機能を端末1Aが持っていてもよい。セキュリティが保たれた場合においては18Aを読み上げる画像認識端末があってもよい。
(OWPはサービス提供端末3D以外には入力してはいけない秘密情報である。セキュリティ上問題のあるソフトウェアを用いてOWPの含まれた18Aや1500Aを読み取り、読み上げ、撮影、画像認識したり、PINなどで保護されていない19Aの情報を読み取られた場合はOWPなどが漏洩し不正利用される恐れがある。)
【0057】
<入場時のOTPトークンを利用済みにする処理等>
端末3Dまたはブロックチェーン上のコントラクトにて認証関数3018A(または3018DA)の実行回数記録部分3017Aや3017AA(または3017DA)にチケットをユーザーが本発明のOTP認証を行い認証関数を実行し認証ができてサービスを利用したか否か、チケットが有効か否かの真偽値、もしくはチケットの利用回数の整数値を記録してもよいし、3017Aや3017AG(または3017DA)にチケットのサービスを利用出来るポイントもしくは通貨残高がチャージされており、本発明の電子チケット19A、紙チケット18A、画面表示型チケット1500Aの情報をサービス提供時に提示したときにその残高がサービスに対応されるポイントもしくは通貨の数量だけ差し引かれていく形でもよい。
ウェブサイトのログイン処理で利用する場合と同じく、OTP認証関数3018A(または3018DA)の実行時に認証関数3018A(または3018DA)実行中に含まれる処理として
図3ABの3021A、3022A、3023A(または
図3DAの3021DA、3022DA、3023DA)を行ってもよい。
利用済みにする機能はサービス提供者とユーザーが合意して利用するOTPトークンにおいては、コントラクトの管理者がユーザーの要請を受けもしくはユーザーが不正な利用などをした場合にその数値を端末1Cと秘密鍵101Cを用いてコントラクトに設定されたセッター関数より3017Aや3017AA(または3017DA)を書換えてもよい。
例えば改札やサービス提供窓口などで3017Aや3017AA(または3017DA)の数値を入場の有無を示す真偽値やその回数を示す整数に加えて前記変数3017Aや3017AA(または3017DA)に通貨を前払式決済手段のように残高をチャージさせ、チャージされた通貨の数値に応じて変数3017Aや3017AA(または3017DA)を増加させるための処理を管理者端末1CがユーザーUAの端末1AからアクセスできるOTPトークンに付与できる。
そしてサービスの利用金額に応じて金銭相当額の数値がチャージされた3017Aや3017AA(または3017DA)の残高よりサービス料金額相当分を減少させることが可能である。この場合には認証関数3018A(または3018DA)において
図6DのフローチャートのF115やF116において3017Aや3017AA(または3017DA)の残高値がサービスの料金の数値よりも高いかどうか判定し、残高不足であるときは認証関数の実行を停止し、残高の再チャージを促す処理や、サービス提供者へ連絡するなどの処理が必要となる。
【0058】
<正常もしくは不正な入場を検出し知らせる機能>
秘密鍵PRVA(端末1Aの101A)が漏洩し不正にサービスが利用されているかどうか調べ判定するために、SVLog(端末3D)に記録する1500Aや18Aや19Aによる認証を行ったときのトークン番号やユーザー識別子に対してその風貌を防犯カメラ342Dで撮影し保存してもよい。風貌は好ましくは顔、体格、体型、モーション、歩行など生体情報であると好ましい。前記生体情報を利用する意図は例えばサービスを提供する会場で不正な入場を防止するためである。ここで同じOWP認証情報とユーザー識別子Aとトークン番号TIDAを含む1500Aや18Aや19AをコピーしてOWPを複製し使い回すことにより異なる人間が同じ認証情報(AとTIDAとOWP)を用いて入場することの監視も同様に行う。
ユーザーの風貌を記録する監視カメラ342D(
図8Bの342D)は生体情報を記録する場合の一例として
図8Bに示している。ただし、生体情報を記録することは本発明にとって必須の機能ではなく駅の改札や入場口の入場処理などにおいて必要な機能であって、大型の金庫や金庫室では防犯カメラ342Dを内蔵することもできるが、端末3Dの電源部37Dに用いる電池容量の制約や経済性の兼ね合いから小型の金庫や手提金庫などの容器に端末3Dを組み込む場合は防犯カメラ342Dは利用が困難であったり必要ない場合がある。342Dは用途・実施形態により搭載できるかどうか決めることができる。
また同じく自動車の施錠や建物の施錠装置に端末3Dを用いる際もプライバシーに配慮して342Dを搭載しないこともある。プライバシーを犠牲にしつつ防犯のため342Dを搭載することもある。例えばタクシー、バスといった用途や自動車の貸し借り・レンタカー・カーシェアリングなどの用途では防犯カメラがあることが好ましいかもしれない。サービスに応じて防犯カメラといったユーザーの存在を記録する手段の利用をサービス提供時や契約時にユーザーに知らせることが必要である。
【0059】
3Dについて防犯カメラ342Dを用いないとき場合に防犯上利用可能な機能として、
図8Bのランプなどの発光素子351Dまたはブザー等発音素子352Dを利用し音や光にてOWPを用いた認証が成功したときの動作と失敗したときの動作を設定し利用する。具体的には金庫などの容器に端末3Dを備えて使用する場合にはNFCタグ19Aに認証に用いる情報記録され、19Aを金庫内部の端末3Dが通信装置32Dを用いてNFCタグ19Aの情報を読み取り認証結果が正しければ金庫の施錠を解錠し、正しくない場合にはブザーで警告音を出すということができる。ブザーの代わりに通信装置32Dで無線により周囲に電波のビーコン、無線標識を出してもよい。
防犯カメラ342Dとランプなどの発光素子351Dまたはブザー等発音素子352Dを併用して利用してもよい。
例として駅の改札において用いる1500Aや18Aや19Aが認証済みで利用済みかつ無効となったトークン番号を再度提示して認証を行おうとしたユーザーUAが現れたとき改札の開閉装置350Dは閉じた状態にしてUAをその場に留め、防犯カメラ342Dとランプなどの発光素子351Dまたはブザー等発音素子352Dを併用して周囲に知らせ、駅の従業員に知らせてトークンが不正利用されているかどうかをそのユーザーUAに尋ねることができる。
【0060】
端末3Dが金庫等の容器である場合に限らず、端末3Dが改札・入場口や自動車・建物においても認証結果の出力に応じて発光素子351Dや発音素子352Dを動作させ認証結果が正しいか否かを端末3Dの周囲(周囲とは351Dや352Dや32Dが信号をユーザーや端末に伝達できる距離の範囲内)やサービスの提供者に知らせることに利用される。なお発光素子351Dは電球などランプの他に発光ダイオード等の電流を流すことで光を発する半導体素子でもよい。
【0061】
<認証の回数と認証を行った人物を検知する場合>
1.改札や入場口において端末3Dがインターネットワークに接続されサーバ3Aと接続している場合。
秘密鍵PRVAが漏洩し本来の利用権を持つユーザーUAが、1500Aや18Aや19Aを3Dの入力装置もしくは通信装置に読み取らせて提示し、改札や入場口を通る前に、別の人物UBが秘密鍵PRVA(101A)を何らかの手段で入手し自身の端末に複製して記録させ不正利用して入場口を通過することが想定される。もしくはOWPの流出と使い回しによる不正利用も考えられる。
不正利用の際にUBの容姿を記録することで本人確認や本人の追跡を可能にする画像データ、認証決済時の時刻と認証端末の位置や端末番号(改札では駅名等)、歩行の様子等を得る。そして認証が起きたことをブロックチェーン上の認証用コントラクトの認証関数3018Aの実行回数を記録する変数3017Aや3017AAをインクリメント等することで記録する。
またユーザーUAに対しあるサービスのある入場口でサービスを利用したことを電子メールなどで通知する。ユーザーUAがサービス提供者に対しチケットが不正利用されたと申し立て、不正に入場したUBの顔、体系、歩行情報等と照らし合わせ、ユーザーUAが不正に入場していないか判断することに利用できる。
ここでサーバ3Dがサーバ3Aと同じくブロックチェーンのノードとなるときは3Dは3Aと同じ機能を持つので3Dのブロックチェーン部(300Dおよび310D)に認証関数3018Aが記録されており、3Aではなく3Dのブロックチェーン部にユーザーUAの端末1Aがアクセスして認証関数3018Aを実行してもよい。
不正利用時はユーザーUAのOTPトークンの利用を停止させ不正利用の被害の拡大を限定することが必要かもしれない。そこでユーザーUAのOTPトークンの利用をサービス提供者が端末1Cを用いて停止できる変数を端末3AのOTPトークンのコントラクトに備え、セッター関数を用いて変更できてもよい。もしくは改札などでサービス提供者のメインサーバ端末がトークンごとの残高をブロックチェーンとは別に管理している場合はそのメインサーバ端末の顧客ごとの設定を変えることで対応する。
【0062】
2.改札や入場口において端末3Dがローカルエリアネットワーク(LAN)に接続されサーバ3Aと接続している場合。
ある駅や施設のローカルエリアネットワークに接続されインターネットワーク20とは切断されている場合、端末3Dの記憶装置には1500Aや18Aや19Aを生成するのに用いたハッシュ関数3010Aと3010DAと一致させ、KC値3011Aと3011DAを一致させ、BC値3013Aと3013DAを一致させ、ほかに変数や関数をOWPの計算に用いる場合にはそれらを一致させ、端末3Aと端末3DでのOWP型OTPの計算方法と計算に用いる変数を一致させ、同期させなければならない。そして認証関数3018Dにより認証し認証できた回数もしくは認証時に変更を加えたデータを3017DAに記録したり、あるいは3016Dに記録してもよい。
映画館や駅などの施設内のLANを通じて、施設の職員等が端末3Dへのアクセス権を持つ端末を持ちいて端末3Dのデータベース3116D(3114Dや3115Dを含む)にアクセスしユーザー識別子やトークン番号をキーとしてそのトークン番号のOTPトークンに対するサービスの提供状況を検索し把握することが可能である。また18Aに印刷された紙の有価紙葉が認証に必要な情報が読み取れない場合にはユーザー識別子やトークン番号を18Aから得て3116Dの顧客情報と照合し、OTPトークンの購入履歴がありサービスを提供することの出来るユーザーか判断する(この手続きを行う場合には身分証が必要かもしれない)。
【0063】
3.端末3Dがネットワークに接続せずオフラインの時。
改札や入場口、もしくは自動車の施錠装置、建物の施錠装置、金庫など容器の施錠装置に組み込まれている端末3Dがネットワーク20と接続されていないときも、端末3Dの記憶装置には1500Aや18Aや19Aを生成するのに用いたハッシュ関数3010Aと3010DAを一致させ、KC値3011Aと3011Dが一致させ、BC値3013Aと3013DAを一致させ、ほかに変数や関数をOWPの計算に用いる場合にはそれらを一致させ、端末3Aと端末3DでのOWP型OTPの計算方法と計算に用いる変数を一致させ同期させなければならない。そして認証関数3018DAにより認証し認証できた回数もしくは認証時に変更を加えたデータを3017DAに記録したり、あるいは3016Dに記録してもよい。
施錠の解錠をした後にアクセスできる部分に端末3Dがあり、3Dの通信装置32Dが有線通信用のコネクタや端子あるいはアクセス可能な端末を限定できる無線通信装置を備え、利用者もしくは管理者の端末(1Aや1C)の通信装置から端末3Dの通信装置32Dを経て記憶装置30DのKC値3011DAまたはBC値3013DAの変更またはハッシュ関数fhの変更を行い、端末3AのOTP生成関数3009Aの生成するOWPと認証関数3018DAが生成するOWPが同じものとなるよう変更できる手段を備える。OWPの算出に用いるKC値3011DAまたはBC値3013DAを更新できる余地を残すことで、例えば自動車や建物の施錠装置の解錠鍵となるデータを定期的に更新でき、自動車や建物の施錠装置の鍵を更新できる。
【0064】
<ワンタイムパスワードの生成と認証の回数を検知する場合>
本発明ではワンタイムパスワードの生成と認証がコントラクトの同一の関数で行われない。生成時、認証時にそれぞれのOTP生成関数やOTP認証関数の実行回数をカウントしインクリメント(増加)する変数と処理部を備えることができ、それら実行回数3017Aや3017AGや3017AAはブロックチェーンを用いることで改ざんされにくくなる。実行回数をカウントする変数のうち生成時に利用する変数3017Aや3017AGを監視することで不正利用を防ぐことにつなげられる。(ブロックチェーン上にはないが端末3Dの3017DAもカウントする変数である)
【0065】
例えば紙のチケットとしてOWP(18A)を生成する際にブロックチェーン上でOWPの生成回数をインクリメントする機能がある場合には、OWPを含む紙のチケットのデータ(もしくはディスプレイの表示画面データ1500A)が不正に入場口にて使用され認証される前に通知を受け取ることもできる。その際にはSVLog(端末3D)などにブロックチェーンを監視する処理部を3111Dを設け、サービスを提供するユーザーのトークン番号TIDAのトークンのワンタイムパスワード生成回数の記録変数3017AG(呼び出し回数)、あるいは認証回数の記録変数3017AAもしくは3017DAの変化を検出し、トークンの持ち主であるユーザーにネットワークを経由した電子メールや通知アプリ、電話回線などで連絡する必要がある。電子メール以外にもワンタイムパスワード生成関数を利用したことを示すノンファンジブルトークンをトークン番号TIDAの持ち主であるユーザー識別子Aに送付してもよい。
【0066】
ユーザーがメールアドレスを持たないときにはユーザー識別子Aに向けワンタイムパスワードの生成又は認証があったことを示すOTPトークンとは異なるノンファンジブルトークン(不正使用通知型トークン、通知葉書型トークン)を送付することもできる。この場合ノンファンジブルトークンは利用状態を示すレシートのように働く。(この不正利用通知型トークンは本発明のほかの実施形態や用途に利用できる。ウェブサイトログイン、紙もしくはNFCタグによるチケット・有価紙葉、後述する暗号化データの復号用途。なおオフライン時の自動車や金庫などに内蔵された端末3Dは不正利用の通知は困難である。この場合は端末3Dが無線によるビーコンを発して周囲に知らせることは可能かもしれない。)
改札や施設の入場口の大人数かつ高速に提供するサービスにおいては、防犯カメラなどによる風貌の撮影に加え、サービス提供者が不正な入場者を引きとめ、個人番号カードや旅券などの身分証の提示や生年月日等の個人情報を確認し認証することも想定される。少人数を収容し行うイベントあるいはホテルなど宿泊施設の宿泊券として利用する場合は受付窓口で本人の名前等を記入したうえで1500Aや18Aや19Aを確認し認証してサービスの提供・利用ができるかもしれない。
【0067】
<レイティング及び看板情報>
サーバ端末3Cを用いたサービスと同じく、紙もしくはNFCタグを用いた有価紙葉とそれを認証する端末3Dを用いた認証システムにおいても、ユーザーの対象年齢等を示すため、ワンタイムパスワード生成トークンのコントラクトにはレイティング情報が3024Aが記録される。またOTPトークンのコントラクトの看板情報3024Aも同様に設定される。例として自動車や船舶、重機といった乗物や設備・装置の利用者に求められる資格・免許情報といったレイティング情報であったり、映画館のレイティング情報等である。
また商品に18A、19Aを貼り付けるなどして添付する場合はその商品に基づいたレイティング情報となる。例えば18Aを貼り付けて酒類の流通を管理する場合は成人のみが飲用できるといったレイティング情報を記録してもよい。
【0068】
4C.暗号化データおよびファイルの復号と閲覧
暗号化されたデータを本発明のブロックチェーンを用いたOTP認証システムを用いて復号するソフトウェアCRHN(ソフトウェア403A)を利用できる。ここでソフトウェアCRHNは
図4Bのソフトウェア403Aである。
図8Cに端末の接続図を示す。
暗号化されたファイルなどのデータ4034A(
図4Bの4034A)を復号し閲覧する場合にはユーザーUPが利用するコンピュータDP(
図4Aの端末4A)を用いてサーバ端末3Aにアクセスし端末4Aの秘密鍵401Aに割り当てられたOTPトークンを用いてBnTOTPの生成と認証を行いOTP認証関数3018Aの戻り値CTAU4031Aを得て、戻り値4031Aとあらかじめ設定されたパスワード値AKTB4032Aとソフトウェア403Aの内部で指定される秘密鍵CRKY40302A等とソフトウェア403A計算方法に基づいてファイル暗号化及び復号を行える共通鍵TTKY4033Aを生成しファイルの暗号化や復号を行うソフトウェア403Aと前記ソフトウェア403Aを用いた情報を閲覧、視聴、印刷出力等を行う暗号化データの復号と利用を行うことの出来る認証システムを本発明では利用できる。
なお復号にはCTAU4031AとAKTB4032Aから算出されるTTKY4033Aのほかに、CTAU4031AとAKTB4032AとソフトウェアCRHNに内蔵され難読化もしくは暗号化された鍵CRKY40302Aから算出されたTTKY4033Aを好ましくは用いる。
さらに前記鍵情報に加え、TTKY4033Aの特定を困難にするようソフトウェアCRHNに記録されたプログラムに従って端末3Aなどのブロックチェーンのノードとなる端末に記録されたコントラクト識別子APKY40301Aのコントラクトから入手する鍵CAPKY40303Aを用いてよいし、4033Aの特定を困難にするよう処理を複雑にしそれらプログラムを難読化・暗号化してもよい。
この時、本発明は暗号化されたデータに含まれるコンテンツへのアクセスコントロール技術として機能する。
【0069】
<暗号化データの流通>
暗号化データ4034AはSVCRHNdriveというサーバ端末5Bからネットワーク20を通じてコンピュータ端末4Aに配信され記憶装置40Aに記憶される。サーバ端末5Bは実機のサーバでもよいし仮想のサーバ、仮想機械端末でもよい。クラウド型のデータストレージサービスでもよい。またバージョンを管理する機能を備え、暗号化データの更新歴や暗号化データのハッシュ値を記録し、ユーザーに表示できる機能を持っていてもよい。
端末5Bはユーザーが自身の保有する本発明のOTP生成トークンによって復号できる暗号化データがあるか検索する機能を備えていてもよい。またトークンの発行者(発行者は個人、法人、出版社、ソフトウェア会社を想定)について、発行者が提示したキーワード(データの名前、作成時刻、キーワード、本等はその分類、レイティング情報)を用いてOTPトークンのコントラクト識別子やそれに対応する暗号化データを検索出来る機能を備えてもよい。
電子商取引のウェブサイトまたはウェブアプリにおいて書籍や音声動画、ソフトウェアを顧客の端末4Aの秘密鍵から計算されるユーザ識別子Aに対しOTPトークンを発行する形で顧客に販売することのできる機能を端末5Bに備えていてもよい。電子商取引を行う際に顧客ユーザがOTPトークンとOTPトークンに対応した暗号化データ検索機能、AKTB4032Aの通知及び暗号化データのダウンロード機能、トークンを購入した場合の顧客の氏名やメールアドレス・ユーザー識別子・電話番号といったOTPトークン購入者の個人情報及び連絡先情報を登録し保存するデータベースを備えていてもよい。端末5Bはユーザーの住所を記録し、信書の郵便配達などの形でAKTB4032Aの通知やOTPトークン購入の事実を通知してもよい。
【0070】
そして前記データベースに記録された顧客のユーザー氏名、メールアドレス・住所情報・ユーザー識別子といった連絡先情報を用いて、4032Aと4031Aと40302Aと403Aで暗号化したファイル4034Aを復号するのに必要な任意の鍵情報AKTB4032Aについて、4032Aと4031Aと40302Aと403Aで暗号化したファイル4034Aと共に電子メールにて送付してもよい。
あるいは電子メールにて4032Aと4031Aと40302Aと403Aで暗号化したファイル4034Aを送付し、AKTB4032Aはブロックチェーンや電子メールではない手段(4032Aを記録した文章を信書として郵送配達する、電話番号のSMSにてメッセージとして送付する・ファクシミリなどで送付する、あるいは秘密鍵401Aを用いてOTPトークンの存在するブロックチェーンとは異なるブロックチェーン基盤のブロックチェーンでAKTB3042Aを記述したトランザクションを受け取る等)にてAKTB4032Aをユーザー端末4AのユーザーUPに伝達し、UPは4Aの403Aに4032Aを入力することでOTPトークンが戻り値4031Aとソフトウェア403Aの鍵情報40302Aと403Aの計算手順からTTKY403Aを算出し暗号化ファイル4034Aを復号し復号された平文ファイル4035Aを得て4035Aのデータを閲覧や実行などして利用できる。
【0071】
<暗号化データを復号するトークンの流通制限機能>
トークンの流通はトークンの管理者である権利者によって譲渡制限されることがある。トークンは実施例ではイーサリアムのERC721規格によって他者への譲渡などが可能であるが、譲渡する際に権利者がその譲渡機能(送信関数3040A)の実行を制御する変数や処理3041Aが追加される。本発明のOTPトークンは譲渡されないインターネットバンキング用のTOTPトークンをブロックチェーン上で利用する過程で発明されたものであって、基本的には譲渡を制限する機能が搭載されることを特徴とする。OTPトークンに対応したサービスの提供者あるいはコンテンツの提供者が本発明のOTPトークンの異なるユーザー識別子間での譲渡を許可しない場合にはOTPトークンのコントラクトの譲渡制限用変数および関連関数3041Aは送信関数3040Aの実行を阻止する変数の値をとる。
OTPトークンに対応したデータやファイルのコンテンツの権利者がコントラクトの管理者であるとき(又はコントラクトの管理を権利者がコントラクト管理者に委託しているとき)コントラクトの送信関数3040Aの実行を停止させている状態から実行可能な状態になるようコントラクトの変数の値3041Aを変更した場合は、異なるユーザー識別子のユーザー間で譲渡可能となる。
【0072】
OTPトークンの譲渡の例を示す。ユーザーUP(端末4Aの利用者)とユーザーUB(端末1Bの利用者)がネットワーク20とサーバーP(サーバ端末3A)を介してブロックチェーン上でOTPトークンの情報をやり取りすることもできる。UPからUBにOTPトークンを送信関数3040Aを用いて譲渡することもできる。
UPからOTPを送信されたUBは(実際には3Aにて4Aから秘密鍵401Aを用いてアクセスを受けOTPトークンのコントラクトにおけるOTPトークンとユーザー識別子の対応関係を記したデータベースまたは台帳3014Aについて3040AによりUAからUBに所有者情報を書換えたもの)、端末5Bから暗号化ファイルをダウンロードするか、トークンの持ち主であったUPが端末1Aに持つ暗号化データを複製して利用するか、ネットワーク上に流通している暗号化ファイルを入手して暗号化データの復号が可能である。
ここで暗号化ファイルの暗号化時にAKTB4032Aが利用されている場合はユーザーUPから4032Aを入手する必要がある。AKTB4032Aが設定されていないコンテンツでは暗号化ファイル4034AとOTPトークンの認証で得られるCTAU4031Aと、ソフトウェア403Aとソフトウェア内部の秘密鍵40302Aで復号できる。ユーザーUBがユーザーUPからOTPトークンの譲渡とAKTBの通知、暗号化データと暗号データを閲覧できるソフトウェア403Aを入手することでUPが閲覧していたコンテンツデータをUBが閲覧できるようになるとともにその閲覧権もしくは所有権を手に入れることができる。
本発明の実施例では暗号化データの復号にはCTAU4031A、AKTB4032A、閲覧ソフトウェア403A内部の秘密鍵CRKY40302A、ソフトウェア403Aなどを基にファイル暗号化及び復号鍵TTKY4033Aを生成出来るとき、TTKY4033Aで暗号化されたファイルの復号を行える。
【0073】
本発明の譲渡制限機能を用いたOTPトークンの譲渡機能は暗号化データの復号用トークンに限らず、本発明のすべてのOTP生成関数を持つコントラクトに帰属するOTPトークンに用いる事ができ、
図8Aに記載の端末3Cのウェブサイトのログイン用OTPトークン、
図8Bに記載の紙やNFCタグ式チケットや有価紙葉及び解錠等の鍵を作成するパスワードOWPの生成を行うOWPトークンに用いることができる。
コントラクトのプログラム上ではOTPトークンは譲渡可能であるが、OTPトークンが対応するサービスによってはサービスの権利者による利用制限や、国内国外の法や規制を受けることが想定される。譲渡制限を行う際の3041Aの変更はコントラクト管理者が行う。
【0074】
<暗号化データのバージョン管理>
ブロックサイズやトランザクションのデータ上限値が極めて大きく取れるブロックチェーン基盤においてそのブロックデータにトランザクションにデータやファイルを添付して分散型台帳へ記録させるいわゆるブロックチェーン型ストレージを暗号化ファイル配信サーバ端末5Bに備えてもよい。ブロックチェーンに限らずバージョン管理ができる改ざん困難なストレージステムでもよい。(端末5Bに含まれると好ましい機能を実施する既存の技術及びサービスの具体例として、米国Github. Inc.、ギットハブ・ジャパン合同会社のGithubといったソフトウェア開発及びバージョン管理を行うプラットフォームなどが挙げられる)。
端末5Bはユーザー端末のアクセスを受けユーザー端末の求める検索のキー情報に応じて対応した暗号化ファイルやOTPトークンを表示し、そのOTPトークンを電子商取引機能により、あるコントラクト識別子のOTPトークンを発行する発行送付宛先のユーザー識別子を端末5Bや該当するコントラクト識別子のコントラクト管理者端末1Cに提示し、購入代金などの決済などを行いOTPトークンの購入とOTPトークン購入者のユーザ識別子に対するトークン発行の指示、AKTB4032Aが必要な場合にはAKTB4032Aを暗号化時に利用して暗号化ファイル4034Aを作成し配布してもよい。
前記の4034A配布する際にユーザーの電子メールにAKTB4032Aとコンテンツの暗号化ファイルを添付して送付してもよい。もしくはAKTB4034Aを電子メールにてユーザーに通知し、それに対応する暗号化ファイルは5Bなどの端末にアクセスできるダウンロード専用のURIからダウンロードするようにしてもよく、URIは電子メールに記述するか5Bがログイン機能などを備えた会員サイトでもある場合はログイン後のユーザー専用表示画面にてURIを表示してユーザーに伝達してもよい。
【0075】
改ざんが検知もしくはバージョン管理が行えるオンラインストレージにおいて、暗号化データ4034Aが大衆に向け公開し販売している書籍であり、書籍のデータを改訂し、異なる版を流通させる必要が出るかもしれない。この場合、改訂前の版のデータを改ざんされないよう残しつつ、改訂版を暗号化されたデータとしてバージョン管理機能のある5Bにアップロードし流通させることができる。
このとき改訂版の新しい暗号化データを既存の版の古い暗号化ファイルを復号できる旧版のOTPトークンで復号できる。これは例えば書籍ではなくコンピュータゲームなどで不具合のあるプログラムなどがあったときにそれを改善するために改訂版を流通させたいときに旧版のOTPトークンにて復号できることが好ましく、暗号化されたコンピュータソフトウェアのデータを復号する用途での利用を想定する。この場合は新しい版とふるい版では同一のコントラクト識別子のままである。
あるいは、新しい版には古い版とは別の新しい版のトークンで復号できるよう暗号化して暗号化データを流通させつつ、ふるい版のトークンを権利者が販売することもできる。これは例えば紙の書籍において、印刷され流通したふるい版の書籍と改訂された新しい版の書籍の双方が書店や古書店でモノとして販売されていうことに対応する。新しい版のトークンとふるい版のトークンには異なるコントラクト識別子のOTPトークンのコントラクトがデプロイされユーザに通知される。新しい版のOTPトークンを購入するかどうかは消費者の判断による。(コンピュータソフトウェアにおいても版ごとにOTPトークンのコントラクトをデプロイしていくこともできる)
【0076】
<コンテンツのレイティング>
暗号化データの情報を閲覧するのに適した年齢等を示すため、ワンタイムパスワード生成トークンのコントラクトにはそのトークンで復号を解除できる暗号化ファイルのコンテンツのレイティング情報3024Aが記録される。
図4Bの40351Aや40352Aにレイティングが記録されてもよい。
ブロックチェーン上にコンテンツのレイティングが記録され他者がそのレイティングをブロックチェーンに直接アクセスするか5Bや3Fといったサーバ端末から検索して閲覧しトークンの購入等を検討できる。
<コンテンツの証明書>
暗号化データの暗号化を復号したとき、その平文に悪意のあるプログラムが含まれていない事を示す第三者からの証明書があると好ましい。
図4Bの40351Aや40352Aに記載の情報である。
これはコンテンツのレイティングとも関連し、コンテンツの平文データを第三者に検閲させそのプログラムの動作に問題が無いか調査される必要があるかもしれない。
【0077】
<コンテンツの閲覧実行環境>
コンテンツの証明書を用いても、第三者機関が意図せず悪意のあるプログラムの存在を見逃してコンテンツの証明書(
図4Bの40351Aや40352A)を発行してしまうこともあるかもしれない。そこでソフトウェア403Aの実行環境は仮想機械環境の中で実行されることが好ましいかもしれない。
【0078】
<ある時刻に複数の環境からの閲覧の検知する機能(不正アクセス検知機能)>
本発明ではこのソフトウェアCRHNにおいて暗号化コンテンツを復号し閲覧したとき、またはソフトウェアCRHNを閲覧したときに、
広告サーバーCRHNcm(
図5Aのサーバ端末5A)への接続を行うプログラムが実行され、端末5Aから広告が配信されるとともにコンテンツの閲覧またはソフトウェアを実行したユーザの
IPアドレス(IPアドレスのハッシュ化または加工した値)、
位置情報(位置情報をハッシュ化または加工した値)、コンピュータのデバイス情報(またはそのハッシュ値)、端末のセンサ値(またはそのハッシュ値)、
そしてトークン番号とユーザー識別子を
図6Xのようなデータとして端末5Aに記録し、あるトークン番号やユーザー識別子に対して、
異なるIPアドレス、異なる位置情報、異なる装置ID、異なる端末付属の入力装置のセンサ情報にてアクセスしているかどうかを随時判断する処理部を備えることができる。
ここでコンピュータのデバイス情報、コンピュータの装置IDについては、デバイスIDなどのコンピュータ製造IDやオペレーティングソフトウェアのID、ウェブブラウザのIDに加えて、端末4Aに搭載された加速度センサーや磁気センサー、圧力センサー、温度センサーなどの測定値や測定値をハッシュ化したものを用いてもよい。
これは広告サーバーが簡易なコンテンツの不正利用を監視するサーバーとして利用されることを想定している。しかしソフトウェア403Aや暗号化コンテンツをの配布元である権利者がコンテンツの不正利用監視機能を要望する場合に限り利用される。
ソフトウェア403Aを閲覧したときに、サーバ端末5Aへの接続を行うプログラムを実行しなくとも本発明のOTP認証システムにより暗号化データの復号ができる。そして実施形態において、本発明のソフトウェア403Aの権利者や暗号化データの平文データの権利者が5Aへの接続を行うプログラムを記録させ、ソフトウェア403Aやコンテンツの利用者が同意する場合にサーバ端末5Aへの接続を行うプログラムが実行されうる。
(ここで権利者とは主にソフトウェアやコンテンツの著作権等利者である。平文データは著作権を初めとする知的財産権の観点から保護される。また法人の営業秘密等の機密情報である場合は知的財産権として保護される。個人の創作した平文データは著作権にて保護される。)
【0079】
また5Aを用いた広告機能は例えば発売前の製品の設計図などの機密情報を本発明のソフトウェアにて暗号化、復号し社内文章の暗号化ツールとして扱うといった場合においては必要とされない恐れがあり、前記社団に本ソフトウェアを提供する場合には広告の表示機能や広告配信サーバを用いたコンテンツの不正利用監視機能を利用しない形態も考えられうる。 個人が趣味等で利用する場合には広告表示機能と広告によるコンテンツの不正利用監視機能を権利者が搭載でき、個人や法人のビジネス用途ではその広告機能を搭載せず本発明のソフトウェアと装置として利用できる。
【0080】
また端末4AのソフトウェアCRHN(403A)によりデータやファイルは復号され実行されその結果が出力装置であるディスプレイ画面450Aに表示され、音声情報が含まれていればスピーカー451Aで音として出力する。
ソフトウェアCRHNの表示画面でソフトウェア的に画像をスクリーンキャプチャされにくくしたり(この場合はディスプレイ450Aを銀塩又はデジタルカメラにより複写される場合は複写できる)、コンテンツとなるファイルやソフトウェア側からプリンターによる印刷を許可しない設定にすることができる。コンテンツの権利者の要請によっては印刷を不可能にすることも可能にすることもできる。コンテンツのプレイヤー画面に常に閲覧者のユーザー識別子を表示できる。
【0081】
<オフライン時におけるデータの閲覧>
本発明では災害などでオフラインとなり、インターネットワークから切断され隔離された場合についても、端末4Aのソフトウェア403Aを用いて閲覧したいデータがあることが考えられえる。たとえば災害において避難経路、災害に役立つ百科事典などの書籍のファイルを利用したいことも想定される。ブロックチェーンそのものは世界中に分散可能なサーバによるデータベースであり、局所的な災害に対しては耐性がある。しかし災害の被災者のデバイスはネットワークに接続できず手元にあるソフトウェア403Aはブロックチェーンに接続できないので暗号化されたファイルの復号ができなくなることが想定された。
そこで本発明ではオンライン時、災害が起きる前に予めソフトウェア403Aでファイルの復号を行ったときに、閲覧済みの証明書データ4036A(
図4Bに記載の4036A。ブックマークデータ、本文章中ではOFBKMK)を作成し、その証明書データ内部に記録されたユーザー秘密鍵PRVP(
図4Bの401A)にて暗号化された鍵情報を復号して閲覧する鍵として利用する。この場合も、本発明はコンテンツへのアクセスコントロール技術として機能する。
【0082】
<オフライン時に利用する閲覧済みの証明書データ>
本発明の実施例では、
まずファイルの暗号化及び復号のための鍵情報TTKY4033Aを算出し、ユーザーの秘密鍵401Aまたはそれに基づく鍵情報を用いてTTKY4033Aを暗号化しCTTKY40361Aとし、40361Aをソフトウェア403Aに内蔵する秘密鍵40302Aを用いて暗号化しACTTKY40360Aとする。
次に端末4AがOTP認証してデータを復号し閲覧できた時点でのブロック番号等ブロックチェーン情報やワンタイムパスワード生成および認証コントラクトのコントラクト識別子を一つのオブジェクトデータまたはファイルとしてまとめ40362Aとする。
次に秘密鍵40302AをHMACのキー情報とし、40360Aと40362Aを連結したデータをHMACのメッセージとして、HMACによりMAC値40363Aを求める。
そして40360Aと40362Aと40363Aを連結したデータを閲覧済みの証明書データOFBKMK4036Aとして利用する。
【0083】
<オフライン時の閲覧>
閲覧済みの証明書データOFBKMK4036A、ユーザの秘密鍵401A、ソフトウェア403A内部のキー情報40302Aを用いて復号しTTKY4033Aを得る。
具体的には、ソフトウェア403AはOFBKMK4036Aに記述されたACTTKY40360Aを40302Aを用いて復号しCTTKY40361Aを得る。そしてCTTKY40361Aを401Aを用いて復号し、TTKY4033Aを得て、TTKYを用いて暗号化されたデータやファイルを復号し閲覧可能とする。4036Aの内部にある情報の暗号化は共通鍵暗号化と公開鍵暗号化等の暗号化が利用されうるが好ましくは共通鍵暗号化を用いてもよい。
ここで災害時において閲覧に制限は不要かもしれないが、ネットワークが切断された時に切断の理由が災害なのかユーザー都合なのか区別がつかない事と、災害時においても閲覧制限をしたいファイルがあるかもしれないので閲覧時間などに制限を設ける機能をソフトウェア403Aが備えていてもよい。
【0084】
ユーザーの中には端末4Aがネットワーク20から切断されたオフライン時の4036Aを用いた閲覧機能を悪用しようとする人もいるかもしれない。そこで権利者のコンテンツを守るうえで閲覧済みの証明書データをもちいてオフラインで閲覧する利用者に利用制限をかけることが好ましい時がある。(なおコンテンツの権利者の判断では閲覧制限を設けない4036Aの利用形態も考えられる。)
その具体的な対策例及び実施例として、ソフトウェア403Aはオフライン時の利用において403Aがインストールされたコンピュータやスマートフォンの時刻情報と証明書データOFBKMK4036Aの認証およびコンテンツを閲覧できた時刻を検出し、4036Aの時刻が現在のスマートフォン等コンピュータ端末の時刻よりも過去にあることを確認してから、4036Aの情報に含まれる情報を復号して4033Aを得て、暗号化データやファイル4034Aを復号し、4034Aを4036Aを用いて復号して閲覧などを行った時刻(4036Aで閲覧を始めた現在時刻)を記録し、前記4036Aで閲覧を始めた現在時刻よりある指定時刻だけ未来にある時刻まで間に限り閲覧を許可する。ある指定時刻だけ時間が経過した際には閲覧を停止する処理を行ったりソフトウェア403Aを停止させ、平文データ4035Aの利用を停止する。
【0085】
ここでコンピュータ端末4Aの内、スマートフォン型の端末4Aは多くが位置情報の測位用に全球測位衛星システムGNSSからの無線信号受信装置422Aもしくは423Aを備え、時刻が更新されるのでこの機能を提供しやすい。GNSSからの信号には時刻情報が含まれる。GNSSなど時刻情報を得る手段を取り外し困難な状態で内蔵していないコンピュータでは、オフラインでコンピュータのBIOS(Basic Input Output System )などで時刻を本来の時刻と異なる値に設定し、ソフトウェア403Aが正しい現在時刻を取得するのを妨げ、閲覧を停止すべき時刻になってもソフトウェア403Aが閲覧を許してしまう恐れがある。
ソフトウェア403Aにおいて閲覧済みの証明書データOFBKMK4036Aを用いて閲覧するにはNITZ(Network ID and Time Zone、ネットワークIDおよびタイムゾーン)、JJY、GNSSなどの災害時においても時刻を伝える放送局から受信できることが好ましい。またその時刻情報を受信できる装置が取り外し困難であることが好ましい。例えば端末の無線通信装置422Aもしくは放送受信装置423Aと制御演算部41Aおよび43AにあるCPU(Central Processing Unit)を金属製のシールドで封印し、シールドに無線機器としての認証番号(日本国の無線機器の工事設計認証、アメリカ合衆国の連邦通信委員会FCCの無線機器の認証IDなど)を刻印するしてもよいし、半導体パッケージとして封止してもよいし、透明な接着剤などで内部の部品が視認できる形で封止してもよい。
41Aや43Aを含むCPUとGNSSまたはJJYまたはNITZの受信装置422Aもしくは423Aを同じ半導体パッケージもしくは同じ半導体基板に搭載し、そのCPUやシステムオンチップ(SoC)となった装置を端末に制御部や制御演算部として搭載することが好ましい。(2020年時点で販売されたスマートフォンやタブレット型端末に搭載されたSoCチップの中にはCPUとNITZを送信する無線通信局へのモデムとGNSS(米国GPSや日本国QZSS)の無線信号を受信するモデムを内蔵したものが存在している。例として米国クアルコム社などのSoC。)
SoCでは一つの半導体チップであるが、SIP(System in Package)という複数のICチップを1つのパッケージに搭載し封止などを行った半導体部品でもよい。
また携帯電話及びスマートフォンなどの基地局を用いるNITZ(Network Identity and Time Zone、ネットワークIDおよびタイムゾーン)は災害時に携帯電話用基地局が被災し、停止すると機能しない恐れもあるので、被災地から離れた地上の無線局の時刻データ(日本国ではJJY等)やGNSS等の宇宙空間にある無線局の時刻データを用いて時刻補正できることが好ましい。
放送を用いるシステムの内GNSSやJJYの他、衛星放送により時刻を取得することも可能かもしれない。静止軌道にある気象観測衛星や放送衛星から送信された時刻情報がユーザー端末にて受信される事を想定する。月面などに時刻を放送する無線局5Cがあってもよい。
【0086】
ユーザー端末の記憶装置のうちプログラム403Aの秘密鍵情報を403Aの実行時に記録する揮発性のRAMや、ユーザーの秘密鍵情報を記録できるROMもしくは不揮発性メモリNVRAMをCPUと共にSoC等に搭載しパッケージとして封止してよい。これは端末を分解し、端末を構成する部品をはんだなどで接合した部分などから記憶装置の信号のやり取りを電気信号の測定装置を用いて測定し403Aの秘密鍵などを実行する場合に読み取られかねず、部品の端子部の電気信号の測定とリバースエンジニアリングによる攻撃を防ぐことを意図する。記憶装置と制御演算装置の間の接続経路でのリバースエンジニアリングを防ぐために本発明で用いる記憶部と処理部を同じ基板形成しもしくは同じパッケージの中に封止することが好ましい。(この要件は端末1Aや端末4Aや端末3Dにもかかわる。)
記憶装置と制御装置の信号処理部に対するアクセスを行う事が困難にして、アクセスを行うと端末の記憶装置と制御装置が破壊される恐れがあることが好ましい。端末の制御部と記憶部を封止樹脂や接着材で封止してもよいし、端末を分解して記憶部や制御部へできないように封止樹脂や接着剤で封じてもよい。
ただし、前記記憶装置の内、ソフトウェアの動作に必要な情報の容量に該当する記憶装置を封止できればよく、端末の処理や利便性の向上のために例えば暗号化データ4034Aを収録できる記憶容量を増やすために不揮発性の半導体メモリを増設してもよい。外部記憶装置としてハードディスクドライブなど磁気ディスクや光ディスクを用いてもよい。また4034Aを記録した記憶装置は端末4Aから取り外して他者に手渡しして配布できてもよい。
【0087】
<コンテンツの印刷、複写の制限と許可>
暗号化データおよびファイル等のコンテンツ権利者に許可に応じて、コンテンツ権利者が暗号データ4034Aから復号した平文データ4035Aや403Aに許可を行う旨の情報を記載し、かつ個人使用に限り、403Aはコンテンツを出力装置のプリンターを用いて印刷できる。403Aは印刷する際に印刷時に各ページごとに印刷を行ったユーザー識別子やトークン番号、印刷時刻、コンテンツの名称、コントラクト識別子、印刷時のブロック番号とTOTP等をタイムスタンプのように印字することができる。これは印刷された文章の印刷時刻や印刷者を確認するためである。印刷者はユーザ識別子で表される。
【0088】
端末4Aのディスプレイ画面に表示された暗号化データを復号したコンテンツは銀塩カメラ・フイルムカメラ・撮像素子を用いたデジタルカメラ、デジタルカメラを搭載したスマートフォンなど端末を用いて画像や動画として複写することができるかもしれない。
そこで端末4Aのディスプレイ画面に表示された暗号化データを復号したコンテンツは銀塩カメラ・撮像素子をデジタルカメラを搭載したスマートフォンなど端末を用いて画像や動画として複写することを簡易的に防ぐ場合にはヘッドマウントディスプレイ453A(頭部装着ディスプレイ453A)を使用する。なお本発明は必ずヘッドマウントディスプレイ453Aを用いるわけではなく従来のデスクトップ型端末やラップトップ及びノート型端末そして携帯電話機やスマートフォン端末に搭載されるディスプレイ450Aを用いてもよい。
ここでヘッドマウントディスプレイ453Aを装着したときに顔認証や虹彩認証、耳の構造に由来する認証、照度センサまたは光センサ、体温分布のサーモグラフィ画像などによる生体認証機能をヘッドマウントディスプレイ453Aのセンサ4530Aを利用して行ってもよい。前記認証機能では453Aを実在する生体が装着しているかどうかを確認することが第一の目的であり、それに付属して個人の生体情報を取得して生体認証を行うことにつなげることもできる。
【0089】
ソフトウェア403Aは復号したデータを出力する出力装置45Aを限定してよい。具体的にはディスプレイ画面を銀塩カメラやデジタルカメラを用いて画像や動画として複写することを簡易的に防ぐ場合には453Aを用いる。一方で複数人とディスプレイ画面のコンテンツを共有して視聴し、その場面においてディスプレイ画面の撮影を許容する場合には450Aを用いるという形である。これら出力の方法を限定することは暗号データに含まれるコンテンツの権利者が決定でき、暗号データを復号した際の平文データに出力方法がプログラム等で記載され、そのプログラムを実行して閲覧する際に復号されたデータを出力する装置を限定する。ヘッドマウントディスプレイ453Aやディスプレイ450Aのようなディスプレイ装置・表示装置、452Aのプリンター、451Aのスピーカーを例として、出力装置ごとに復号のデータ・ファイル・コンテンツの出力は制限されうる。
【0090】
453Aを用いる場合であっても画面を複製することが必要な場合はソフトウェア403Aの製造者が別途453Aのほかに450Aに出力させることもある。例えば暗号化データの内容にかかわる紛争の解決のための証拠取得などの手段で複製する場合は453Aで出力することを指定していても450Aで出力できるようソフトウェアの設定情報を捜査機関に開示し閲覧できるようにする。例えヘッドマウントディスプレイ453Aを用いて複写を制限する場合でも、要請に応じてソフトウェア403Aの提供者は、画面の複写できる版の(バージョンの)403Aを紛争の起きている人々の解決に役立てるよう提供できる。
例えばディスプレイに表示する情報が法令等に反している情報(例として肖像権を侵害している情報など)でその情報による被害者がいる場合に、捜査当局や弁護士等へ情報を提供する際に403Aの内ヘッドマウントディスプレイ453Aのみで利用できるとしたデータを通常のディスプレイ450Aで表示し紛争の解決のために情報を共有できるようにしてもよい。
【0091】
情報を保持するという観点からはオフラインであっても閲覧済みの証明書データを持つユーザーはその個人利用の範囲内でデータを紙等に記録できることが好ましいかもしれない。本発明で用いるコンピュータや記憶装置そしてブロックチェーン等の技術は、紙や粘土板及び石板といった過去に発明された記録手段のように長い実績を持った情報記録媒体ではないので、本発明を用いた情報のうち情報の権利者が望む場合には本発明で用いたデータやトークンの所有に関する情報を紙などに記録出来ることが好ましい。音楽映像データやソフトウェアデータもまた平文ファイルで磁気テープや磁気ディスク等の記憶装置に記憶することができるほうが情報が残り続けるかもしれない。
本発明は実際の紙の保存年月と同じくらいの年月、すなわち100年を超え数世紀以上機能すると仮定し設計される。本発明のソフトウェアは今ある現代の文化や生活のデータを保持する観点を持って、データの所有、コンテンツ権利者保護、情報の記録を重視し設計を行っており、情報を後世に伝えることを考えている。
本発明では暗号化ファイルの形で世界中にファイルを配布することを可能とし、OTPトークンという鍵を用いて暗号化データを復号するという情報の流通形態を取るが、暗号化データの配布元である権利者は暗号化データの原本である平文のデータを責任を持って保存することが好ましい。世界中に販売した書籍のデータがあるからといって原本の保全をしなくなってしまうことを発明者は意図していない。
また発行したOTPトークンとそれに対応した暗号データ4034Aやソフトウェア403AとAKTB4032Aなどの復号の鍵となる情報をまとめて書籍や映像音声情報として図書館などに収録することで本発明の手段による書籍が長い年月にわたり保存され易くするかもしれない。
【0092】
4T.放送での利用(双方向でない暗号化データの流通)
図8Cの応用として暗号化データ放送の用途がある。
図8Dに端末の接続図を示す。
図8D示すように、暗号化されたデータは1対複数の無線放送によって放送される音声動画の暗号化されたデータでもよく、ラジオ放送やテレビ放送(テレビジョン放送)のデータを暗号化し放送局5C(
図8Dの5C)から送信し、ユーザーUPの端末1Aに内蔵された無線受信機423Aにより受信した暗号化データを復号し音声や映像を視聴することにも応用できる。
テレビ放送などによるコンテンツの配信は、
図8Cに示すコンピュータとコンピュータネットワークによる双方向通信かつオンデマンド配信でのデータおよびファイルでのコンテンツのやり取りを、
図8Dに示す放送局サーバ端末5Cと複数の受信機端末4A(受信機付きテレビジョン)でのライブ放送・ライブ配信としたものである。
ここで複数の受信機4A(放送受信機付きテレビジョン型コンピュータ端末4A)は本発明ではインターネットに接続でき、本発明のワンタイムパスワードによる認証システムと暗号化コンテンツの閲覧機能を備えると好ましい。受信機がインターネットおよびグローバルなブロックチェーンに接続できない場合には、受信機に内蔵されたシークレットキー情報とは別に、放送局が放送データに時刻情報及びブロック番号Bnやワンタイムパスワード認証、コンテンツの復号に必要なキー情報の一部を送信する必要がある。
この方式では複数のユーザーに対し一つの放送局からデータを送信できる一対複数のデータ送信が可能である。通信経路となる電波を独自に確保できていればスマートフォンやコンピュータネットワーク20の混雑などを気にせず情報を公衆に伝達でき、新聞や官報や教科書籍データ等の公共性のあるデータ情報や、音声や動画などを送付するには利点がある。(既存の日本国の衛星及び地上波のデジタル放送においてもICカードを利用し、共通鍵暗号化を用いたアクセスコントロールが行われている。)
【0093】
本発明のOTPトークンを放送の視聴権として用い放送データの暗号化を復号して閲覧する方式を応用した場合、ICカードがない場合でも秘密鍵と、秘密鍵に割り当てられたトークンを用いてアクセスコントロールが可能になる。ICカードの再交付をしなくともトークンの追加交付・追加発行を行い、コントラクト側で暗号化に利用するキー情報を変更できる。
ただし暗号化されたデータ(コンテンツ)は放送局から1対複数の形でデータ送信されるが、OTPの取得と認証、認証関数の戻り値の取得はインターネットワーク20を通じて行う。従ってこの方式の放送データ視聴用端末4Aは放送局からの無線受信装置とインターネットとの通信装置の両方を備えることが望ましい。本発明では通信機能を持つテレビジョン端末4Aもしくはスマートフォン端末4Aもしくはタブレット型の携帯端末4Aについて
図8Dに示す端末4Aのような実施形態を想定する。
【0094】
端末4Aをスマートフォンなど携帯端末に限定せず、ヒトが携帯できないような大画面のテレビジョン端末4Aであることも想定される。前記テレビジョン型端末4Aを用いる場合は外部記録装置46Aに秘密鍵を記録し401Aとして利用させてもよい。この実施形態は既存のアクセスコントロール機能を備えたICカード読み取り装置つきのテレビジョン装置と同様である。
もしくはテレビジョン端末4Aの記憶装置40に秘密鍵401Aを記録させ利用させることもできる。しかしこの場合は端末4Aを廃棄もしくは譲渡する際に秘密鍵401Aの情報を別途異なる記憶装置に記録した後、401Aを40Aから消去することが必要かもしれない。本発明ではハードウェアウォレットやICカード(個人番号カードのような秘密鍵を持つICカード・NFCカード)のような秘密鍵を保存する記憶装置を用いずに端末1Aや端末4Aに記憶した秘密鍵がある場合には、端末の廃棄時もしくは譲渡時に秘密鍵を新しい端末や記録媒体に複製した後に端末の記憶装置のデータを消去することが必要である。
【0095】
<ネットワークに接続されていない受信端末について>
図8Dにおいて端末4Aがインターネットに接続されていないが、端末4Aにはスマートフォン型端末1Aと連携する無線通信装置があるとき、端末4Aは端末1Aを通じてインターネット20に接続してもよい。
【0096】
インターネットへの接続手段を備えておらず、またインターネットに接続できる端末とも通信できない場合、次のAとBの方法がある。
A.
図8Bで示したOWPを用いる方法を用いる場合。
例として端末1AにてOWPを生成するOTPトークンを取得し、前記OTPトークン用いて端末3AにアクセスしながらパスワードOWPを生成する。生成したパスワードOWPとトークン番号とユーザー識別子をテレビジョン端末4Aに入力するかもしくはそのパスワードの記録されたNFCタグ19Aを420Aに読み取らせ、認証ができたときは、端末4Aの認証関数に記録された戻り値CTAUを用いて放送された暗号データの復号を行い、復号できた場合にはコンテンツを視聴させる。
B.
図8Bに類似し、放送データにシード値が含まれており、そのシード値に変化に応じて復号パスワードを生成するとき
Aに示した例では復号を行うTTKY4033Aの元になる情報はCTAU4031Aのみとなる。そこでAKTB4032Aに該当する情報を端末4Aに入力し、さらにデータ放送中の暗号データの中にTTKY4033Aの算出に利用する鍵を放送してもよい。放送される鍵情報は403Aのみが解読できるよう秘匿化もしくは暗号化されていてもよい。
【0097】
無線受信装置のみ備えるテレビジョン端末4A等の場合には、放送局5Cの送信情報に時刻情報、あるいは5Cが3A等から読み取ったブロック番号Bnを付与し、テレビジョン端末4A側でBnを受信させ、端末4Aが備える認証関数と認証関数に用いる内部シークレット変数からOTPの生成と認証、暗号化データの復号に必要な鍵の生成を行い、放送された暗号化データを随時復号してもよい。放送データに放送データ内部の暗号化コンテンツを復号する鍵の情報の一部が含まれていても良い。
【0098】
放送されたデータは暗号化された形で受信機(テレビジョン受信機)の記憶装置(テレビジョン装置の録画端末に該当)に記録でき、再度視聴したい場合には復号に必要なOTPトークンによる認証後の戻値CTAUの取得を行い、AKTBなどの情報を入力し、復号用の鍵TTKY4033Aの算出を行い、4033Aを使い録画録音された暗号化データのコンテンツを復号して閲覧できる。
【0099】
<テレビジョン型コンピュータ、テレビジョン型ゲーム機、テレビジョンと接続したコンピュータおよびゲーム機>
ここで受信機端末4Aがテレビジョン装置である場合、家庭などで家族に情報を共有し娯楽などに利用できる装置である。大画面であるテレビジョン装置はヘッドマウントディスプレイ453Aと比べ複数人と情報を共有するのに適する。インターネット接続できるテレビジョン視聴機能を備えたコンピュータ端末4Aである場合も想定できる。その場合はソフトウェア403Aに暗号化されたテレビジョン用放送データの閲覧と暗号化されたデータという形でコンピュータゲームソフトウェアの実行が同一の端末で実行されうる。
放送の視聴権利とコンピュータゲームのプレイ権利、ウェブサイトログイン権利が割り当てられたOTPトークンに対応する秘密鍵401Aが端末4Aに記録されており、OTPトークンを暗号化されたテレビジョン放送の視聴・暗号化されたゲームソフトウェアの実行・暗号化された書籍データの復号による新聞雑誌の閲覧等ができ、またOTPトークンを用いたオンラインゲームサーバ端末3Cへのログインできるマルチメディア端末4Aを提供することも考えられる。
【0100】
<放送局の設置場所と形態>
端末5Cは有線放送と無線放送のどちらでも利用可能であるがこの項目では無線により複数の受信者に対し一方向にて情報を配信するサービスを好ましくは想定する。
【0101】
放送局5Cの設置場所は地上や空中を問わず宇宙空間の人工衛星でもよい。衛星の軌道は静止軌道でもよい。ある軌道に沿って動く衛星でもよい。能動的に推進剤などを用いて推力にて動く人工衛星でもよい。JJYのような時刻情報を放送する無線局やGNSSのような時刻情報を含む測位衛星システムに利用されてもよい。月面など衛星上でもよい。地球など惑星上でもよい。
【0102】
<ワンタイムパスワードを簡易なタイムスタンプとして用いるブロックチェーン内蔵GNSS用放送局>
放送局5Cもしくは5Cに3Aのようなブロックチェーンノードとなる機能を持った人工衛星型端末5Cであり、かつ放送用のデータが全球測位衛星システムGNSSの測位データの内の暗号データ部分やタイムスタンプ部分に利用される場合も考えられる。前記測位用もしくは時刻放送用の端末5Cはある軌道に沿って動く衛星端末でもよいし月面など自然の天体に設置された端末でもよい。
この場合、放送局5Cは原子時計など時刻を算出する時計を持ち、時計に従った時刻データないしローカルなブロックチェーンを人工衛星内のサーバーに持ち、そのコントラクトに記録された本発明のブロックチェーン式ワンタイムパスワードを用い、時刻情報とTB及びKC値を用いて計算したハッシュ値を添付しGNSS測位用の信号を含む電波として送信できる。また位置情報に加え独自の暗号化されたデータやタイムスタンプ情報を送付することもできる。このGNSS放送局となった端末5Cから端末4Aは時刻情報を受け取ることもできるかもしれない。
GNSS用の放送局5Cが放送する測位用の航法データにBnTOTPやメッセージ認証符号MAC値を添付することで測位情報の流通時に3Aを用いてOTP認証を行い測位情報の真贋を調べる事にもつながる。本発明のBnTOTPやOWPを測位信号や測位用航法データに添付することで測位用航法データの改ざんを防ぎ、測位信号のなりすましによる誤った位置情報の算出や誤った位置情報による正しくないナビゲーションを防ぐことにつながりうる。前記の方法で端末4Aは認証された位置情報と時刻情報を知ることができる。
5Cが宇宙にある場合、別の放送局5CCが双方向通信を行い、5Cのブロックチェーンのキー情報Kの一部を5CCの指示により変えることも出来る。
【0103】
<レイティング>
もしレイティングが必要な場合はコントラクトに明記しコントラクトからユーザーにトークンを発行する。
本発明ではレイティング情報をコントラクトに記述できる変数KNBNをコントラクトに備える。
【0104】
5.サービス提供者、トークン管理者(Owner)
サービスを提供する資格のあるユーザーUA(例えばインターネットバンキングを行うウェブサイト・ウェブアプリへのログイン権限を持つOTPトークンの契約を行った銀行口座保有者を想定)とその端末1Aに向けてその秘密鍵101Aから端末3Aのブロックチェーン部より計算されるユーザーの識別子Aに管理者UCは端末1C(端末DC)よりネットワーク20(ネットワークNT)を通じてブロックチェーンのノードであるサーバP(端末3A)にOTP生成トークンを発行する。
OTP生成トークンはスマートコントラクトとしてブロックチェーン上に記録される。スマートコントラクト(コントラクト)は修復及び改ざん困難なプログラムのとしてふるまい、一度端末3Aや3BといったブロックチェーンシステムDLSのブロックチェーン部にコントラクトが展開(デプロイ)されるとセッター関数などを用いて変更できる変数のほかは改ざん、変更、修正、消去ができない。サービス管理者はコントラクト内部に備えた内部変数を変更するセッターとなる関数fscb3012Aを通じてコントラクトのKC値3011AやBC値3013Aの数値を変える。
コントラクトの関数は実行する権限のあるユーザー識別子や条件をプログラムすることができる。本発明では管理者のみが実行できるOTPを計算するための内部シード値(内部シークレット変数)KC値3011AやBC値3013Aと、管理者のみがKC3011AまたはBC3013Aにアクセスできる関数fscb3012Aを設定し、コントラクトの管理者のみがコントラクトのOTPをを算出するシークレットキー情報を書き換え更新することができる。関数fscb3012AはKC値3011AとBC値3013Aの双方に個別に存在してもよいし、KC値3011AとBC値3013Aを同時に書き換える関数であってもよい。
本発明ではOTPトークンの生成するパスワードのシークレット値のKC値3011AまたはBC値3013Aを更新することでユーザーに動的なパスワードOWPを提供する。そしてブロック番号Bnを用いたワンタイムパスワードBnTOTPにおいてもシード値のKC値3011Aの更新を行うことを特徴とするので関数fscbとfscbで書き換えられるシード値KC3011AやBC3013Aがコントラクトに備えられていることを特徴とする。
【0105】
トークンのコントラクト管理者はトークン発行時にトークン番号とは別にトークン固有のURIもしくは文字列情報をトークン番号をキーとしたマッピング変数などの形で設定し文字列情報をあるトークン番号のトークンに付与することもできる。URI情報からトークンを扱うソフトウェア上でOTPトークンの製造番号を一次元バーコード等の形で表示できる。
このURI情報はERC721に準拠するのもであり既知の機能である。URIもしくは文字列情報にトークンのシリアル番号やトークンに固有の画像情報のURI(画像情報のあるウェブサーバの画像ファイルのURL)等を記載することができる。
【0106】
<コントラクト管理者の秘密鍵が漏洩することに備えた対策>
サービス管理者は他のユーザーと同じくブロックチェーン部へアクセスするための秘密鍵101Cを持っており、前記コントラクト管理者UCの端末1C(端末DC)に記録された秘密鍵101C(秘密鍵PRVC)が漏洩した場合、OTPトークンを管理するコントラクトが攻撃され、変更可能なコントラクト内部変数の書き換えやOTPトークンの悪意ある発行が行われかねない。そこでコントラクトの変数を書き換える際に複数の秘密鍵によってコントラクトの実行を制御する部分がコントラクトに含まれていてもよい。
コントラクトに秘密鍵101C以外の秘密鍵を用いてアクセスを制御する技術を行ってもよい。101Cのみではなくて、101Cと101Cとは違う秘密鍵を1つ以上用いてコントラクトに管理者がのみが利用できる関数へアクセスし変数の閲覧や書き換えなどを行えるするマルチシグ技術を用いてもよい。
【0107】
あるいは、セキュリティ性を高めるためにOTPを管理するコントラクトの内部変数やトークン発行関数などのOTPトークンの運用にあたって重要度の高い実行する際に、関数の実行を行うには秘密鍵101Cから計算されるユーザー識別子Cと、ユーザー識別子C以外のユーザ識別子DとEとFとGを持つ秘密鍵からアクセスし設定できるコントラクト内部変数が存在し、トークン発行関数やKC値3011AやBC値3013Aの変更を行う関数を実行する際に、ユーザー識別子DとEとFとGが設定できる変数が実行できる値かどうか判断し、DとEとFとGの設定した値の内いずれか一つが関数の実行を停止させる(妨げる)変数値であった際には、トークン発行関数やKC値・BC値のセッター関数やそのほかコントラクトの状態を変えるコントラクト管理者のみが変更できる関数の実行を中断させる機能が考えられる。
【0108】
前記のユーザー識別子Cと、ユーザー識別子C以外のユーザ識別子DとEとFとGを持つ秘密鍵からアクセスし設定するという概念は、既存の装置に例えると複数のダイヤル及び鍵を備え全てのダイヤルと鍵を解錠できたときにのみ開けることの出来る金庫や金庫室の考えと同じである。金庫では複数のダイヤルや金属製の鍵と錠をもち、それら複数の要素が正しく解除されないと施錠された金庫が解錠されないように、ユーザー識別子Cの秘密鍵101Cを入手してもほかのユーザーの識別子DとEとFとGの秘密鍵による複数の要素のロックを解除できないとコントラクトの内部変数を操作できない(複数の秘密鍵がそろわないと攻撃者はコントラクト変数の書き換えを行うセッター関数やトークン発行関数などの重要な操作を行う関数のロックを解除できない)。
コントラクト管理者の秘密鍵101C(101Cはユーザ識別子Cを示す)に加えて他のユーザー(監査役のユーザー識別子DやEやFやG)の持つ秘密鍵が1つ以上あり、それらすべてが個別にアクセスして設定できる真偽値を持っていて、ユーザー識別子D、E、F、Gの設定する真の値をとらなければコントラクト管理者用の関数を実行しないようにすることができる。これは
図3ACにおける3008A、3008AG、3008AAにおいて、3042Aのような変数又は処理部の記憶部である。
【0109】
またユーザ識別子DとEとFとGのすべてが同意し変数を真偽値の真の値にする形ではなくて、例として11人の監査人ユーザーを設定しそれらユーザーと対応したマッピング型の真偽値変数を備え、マッピング型変数の真の数(真か偽かの投票数)を集計し、11のユーザーのうち過半数に達しない場合には管理者が操作できるコントラクトの関数の実行を停止するようプログラムできる(この場合も
図3ACにおける3008A、3008AG、3008AAにおいて、3042Aのような変数又は処理部の記憶部である)。
<コントラクト管理者の秘密鍵が漏洩することに備えた簡易の対策>
具体例ではユーザーCとDとEとFとGの5つの秘密鍵を用いる例を示したが、不正アクセス時に簡易にコントラクトの操作を不可能にするために2つの異なる秘密鍵を用いてコントラクト管理者としてアクセスしてもよい。コントラクト管理者の秘密鍵101Cと、101Cが漏洩した際にOTPトークンの発行等を停止するための秘密鍵101Bを用意し、101Bのみアクセスできる関数実行停止変数とそのセッター変数を備え、関数実行停止変数が真であるときに関数を実行し、偽であるときに関数を実行しないようにする処理をOTPトークンの発行関数やコントラクト内部変数(
図3ACにおける3042Aや3043Aや3024A、3030A、3031A、3011A、3013A)について設定できる。
秘密鍵漏洩が起きない条件、もしくは漏洩しても構わない場合には単一の秘密鍵101Cのみを用いてOTPトークンのコントラクトにアクセスしコントラウトの状態を変えるようにしてもよい。
しかし何らかの複数の秘密鍵を用いて、コントラクト管理者の秘密鍵が漏洩した際の対策を行うことが好ましい。
【0110】
6.OTPトークンに関する補足
トークンのURI情報を用い、URI情報から記号や模様を作り出すこともできる。ERC721規格に準拠した32バイトのURI情報のうち、先頭から1バイトずつ区切りその1バイトに数値を持たせそれをカードゲームの番号などに利用できるようにしている。
ウェブサイトのログインチケットとして利用する場合、ウェブサイトへログインしたのちトークンのURI情報に従ってウェブサイトが動作を変えてもよい。チケットとしてトークンを用いる場合にURIバーコードをディスプレイに表示させ印字させてもよい。またURI部分にはトークン発行時の備考情報が書かれていてもよい。URI情報はERC721規格にある文字列情報でもよいし32バイトの16進数の情報であってもよい。URIのデータ長が可変でもよい。
紙のチケットとして印刷する際に、印刷に用いるアプリケーションソフトウェアにおいて、サービス名とコントラクト識別子、ユーザー識別子、トークン番号、パスワード情報、印刷日時(必要によっては利用者名、連絡先)などの必要な情報に加え、チケットの紙面の印刷デザインの一部をトークンのURI情報に応じて変えて印刷してもよい。
【0111】
<ブロック番号Bnを用いた時間に基づいたワンタイムパスワードの生成と呼び出し>
本発明におけるワンタイムパスワードの生成と認証の基本的な動作を説明する。
図1に示すシステムでBnTOTPを用いた認証方法について説明する。
OTP生成とそれを認証するにはユーザー端末1A、サーバ端末3A、ネットワーク20を利用する。ユーザー端末1Aにおいて、秘密鍵101Aと、指定したブロックチェーンのノードとしてサーバ端末3Aのネットワーク20でのURI等と、指定したOTPを生成するOTPトークンのコントラクト識別子3019A、秘密鍵101Aからブロックチェーン部の処理によって算出されるユーザー識別子A、指定したコントラクト識別子3019Aにおいてユーザー識別子Aに割り当てられた指定したトークン番号TIDAを引数とする、
図3AAや
図3ABや
図3ACに記載のOTP生成関数3009Aを1Aのブロックチェーンアクセスプログラムを通じて、ネットワーク20を通じサーバ3Aのブロックチェーン部にアクセスし関数呼び出しを行う。端末1Aは端末3Aのブロックチェーン部にアクセスし、ブロックチェーン部に記録されたコントラクトのOTP生成関数3009Aのプログラムに応じて処理を行う。
図1の実施例においてOTPの生成にブロック番号Bnを用いる時、
図3AAや
図3ABや
図3ACに記載のOTP生成関数3009Aでは、
図6Aに示すフロチャート図のF100からF105に従い、TIDA、KC、Bn、Aの4つを基にしてハッシュ関数fhの引数とした後に引数をハッシュ関数に渡してBnTOTP=fh( A, TIDA, KC, Bn)としてハッシュ値BnTOTPを生成し、OTP認証関数3009A又は3009AはBnTOTPを関数3009Aの戻り値として端末1Aに伝える。端末1Aの入力した引数や関数呼び出しするユーザーがF101の条件に一致しない場合はOTP生成関数の実行を停止する。ハッシュ関数fhは例えばSHA-2のSHA256である。
フローチャートの処理F100ではOTP生成関数3009Aの引数入力にてユーザー識別子A、トークン番号TIDAの2つの引数を受け取る。なお用途に応じて第3や第4など複数の引数をとっても良い。
ここでF104にて生成されたBnTOTPを戻り値として利用しない場合、F107に示すようにBnTOTPを符号なし整数として型変換しn桁のパスワードとして10のn乗で割ったあまりをn桁数字のパスワードBnTOTP-nとして伝えることもでき、nを7として7桁の整数値のOTPとしてOTP生成関数3009Aの戻り値とすることもできるが、その場合はOTP認証関数3018Aや3018DAでも同じ計算を行いOTPの検証を行うようにOTP認証関数をプログラムする必要がある。
実施例にはF100からF105の処理を用いる32バイトのOTPを生成するOTP生成関数とF100からF107までの処理を用いるn桁の符号なし整数のOTPを生成するOTP生成関数を同一のコントラクトに備えたOTP生成を行うOTPトークンのコントラクトを作成でき、通常はn桁(桁数は少なくともよい)のOTP生成関数とそれに対応するOTP認証関数で認証を行い、重要度の高い操作をするときはデータ量より大きな32バイト(整数では最大2の256乗の数であり総当たり攻撃が困難と想定される)のOTP生成関数とそれに対応するOTP認証関数を用いて認証を行うこともできる。
【0112】
本発明の実施形態ではブロックチェーン基盤にイーサリアムを用い、ハッシュ関数fhにハッシュ値が32バイトの戻り値を出力するSHA256関数を用い、F104の選択肢をOTP生成関数の処理プログラムに設けずに、BnTOTP=fh( A, TIDA, KC, Bn)として32バイトのOTPを算出するOTP生成関数(
図6AにおいてはF100、F101、F102、F103、F104、F105の順にフロチャートを経て動作する関数。あるいは
図6BにおいてF100,F108,F101、F102、F103、F104、F105の順にフロチャートを経て動作する関数。)と、
前記BnTOTPを符号なし整数として型変換し10の7乗で割った剰余である7桁数字のOTPを算出するOTP生成関数(
図6AのF100、F101、F102、F103、F104、F107の順にフロチャートを経て動作する関数。あるいは
図6BにおいてF100,F108,F101、F102、F103、F104、F107の順にフロチャートを経て動作する関数。)の二通りのOTP生成関数をOTP生成トークンのコントラクトに備える形で実施した。
ここで
図6Aと
図6Bの違いは、OTP生成関数3009Aの実行を記録する回数などを保存する変数3017Aや3017AGに対して関数3009Aの実行回数の記録や増加処理もしくは関数3009Aの実行に必要な数値残高の増減等の変更処理F108の有無である。
F101では入力された引数からOTPトークンのOTP生成関数3009Aを実行する関数実行者のユーザー識別子(関数の実行者、メッセージ送信者、msg.senderのユーザー識別子)がトークン番号TIDAのOTPトークンが対応付けられ所有しているユーザーの識別子(ここではユーザー識別子A)と一致するか判定する。この処理F101がなければOTPトークンの持ち主でないユーザーがOTP関数を実行できてしまうため、メッセージ送信者が3009Aを実行する際にはそのメッセージ送信者がOTPトークンの保有者であるかを判定する処理が必要である。
F100ではTIDAのみを入力して処理を行うこともできるが、実際にはF101にて関数実行者のユーザー識別子(関数の実行者、メッセージ送信者msg.senderのユーザー識別子)を関数実行処理時にmsg.senderのユーザー識別子をAとしてOTP生成関数に入力するので、Aを引数として利用しているとみなし、F101に記載した。
(注)OTPトークンの生成の条件文F101ではOTPトークンの保有者かどうかを判定するが、この部分をあるユーザー識別子のOTPトークンの保有数とし保有数が1つ以上のOTPトークンの数量を持つときトークン番号を引数としてOTPを生成するということも可能であるが、この場合も関数実行者のトークンの保有数を調べる際にmsg.senderというユーザー識別子を用いそのユーザー識別子(実行者がユーザー識別子Aならばmsg.sender=A)のトークンのバランス(残数)を調べるので関数実行にはユーザー識別子を用いていると見てもよいかもしれない。あくまでここに記述することは実施例である。
【0113】
ハッシュ関数fhは実施例ではSHA-2のSHA256やSHA-3であり、他にMD5やRIPEMD,SHA-1、SHA-2、SHA-3が利用できる。fhは暗号学的ハッシュ関数であればよい。例えば、fhがSHA256のとき、BnTOTP=SHA256(A,TIDA,KC,Bn)である。実施例では引数の順に変数をエンコードし結合しそのデータのハッシュ値をSHA256関数などで求めている。
具体例としてSHA256( EncodePacked(A,TIDA,KC,Bn) )のような処理である。ここで関数EncodePacked(W.X.Y,Z)は変数W,X,Y,Zの順に包み込んで(梱包して)エンコードしメッセージMesを出力する関数もしくはライブラリや処理方法である。
EncodePacked 関数により引数を梱包する順番が変わればデータが変わり内部のメッセージMesが変わり、SHA256(Mes)の引数値が変わるのでそこから計算されるハッシュ値も変化する。たとえば、SHA256( EncodePacked(A,TIDA,KC,Bn) )と、SHA256( EncodePacked(TIDA,A,KC,Bn) )は異なるハッシュ値BnTOTPを生成する。
【0114】
ここに述べる実施例では引数にTIDA、KC、Bn、Aの4つを基にしていることを特徴としている。TIDA、KC、Bn、Aに基づいてそれぞれハッシュ値などを行い加工された4つの変数がOTP生成関数内部で加工された後にハッシュ関数fhの引数として利用されてもよい。すなわちOTPを計算する関数の引数は例としてTIDA、KC、Bn、Aの場合には前記4つに由来していればよい。
TIDAやAは個人情報につながる恐れがあり、それらを使うことをサービス提供者とユーザーの間で合意していればA、TIDAを利用できるが、そうでない場合、もしくは法令によって個人情報の取り扱いを厳重にすべき場合はAとTIDAを匿名化してOTPの認証関数の引数として利用する必要が生じるかもしれない。(A、TIDAはイーサリアムではEOAやトークンナンバーとして直接利用することが必要であり、現状のイーサリアムを基盤に用いたブロックチェーンではその要求に答えられない恐れがある。)
またブロックチェーン基盤もOTPの購入や発行などといった際にブロックチェーンに送信されるトランザクションが一部の人以外からは分からない等の形で秘匿されていることが個人情報保護の観点から好ましい。イーサリアムではユーザ識別子やあるコントラクト識別子のトークン番号は世界中から閲覧可能であり、その識別子とユーザーの個人情報を結びつけることでどのユーザーがどのOTPトークンのサービスの利用者か推測されかねない点がある。ユーザー識別子Aやトークン番号TIDAおよび前記OTPトークンのコントラクト識別子はサーバ端末3Fで検索できる。
既知の例では端末3Fに相当するサービスはイーサスキャン(Etherscan)などのブロックチェーン検索サービスおよびそれを行うブロックチェーン検索用サーバ端末として提供される。端末3Fではプライバシーの保護などで検索に制限をかける機能を搭載してもよい。たとえばユーザー識別子Aが3Fにアクセスし検索する場合はAに関連するコントラクト識別子やトランザクション情報を表示できるようにし、また公開を許可したトランザクションやコントラクト識別子の情報を閲覧できるようにするなどである。
本発明をイーサリアムといったすべてのトランザクションが公開されたパブリックネットワークのブロックチェーンシステムで行う場合は、サービス提供者はユーザー識別子のユーザーの本人確認をする際はユーザー識別子AとユーザーUAといった対応関係の記録を外部に漏洩しないように情報を管理することがサービス提供者やOTPトークンの発行者に求められるかもしれない。
顧客情報とサービスはサービス提供者が持ち、OTPトークンの発行はOTPトークンの管理団体が行い、サービス提供者とユーザーのみがOTPトークンのトークン番号とユーザーの個人情報の対応関係をしているようにして両者が情報を開示しないことで個人情報を保護できるかもしれない。
【0115】
<OTP生成用端末とOTP認証用端末の分離>
本発明ではOTP生成用端末とOTP認証用端末を同じ端末1Aで行うこともできる。またOTP生成用端末とOTP認証用端末に分けて利用することができる。すなわちOTPを生成し表示できる出力装置を持つ通信可能なハードウェア型OTP生成用携帯端末1Aとウェブサイトログイン用のOTP入力装置を備えるログイン認証用端末4Aといった利用形態もできる。
OTP生成を行う端末1Aおよび端末1AにOTPトークンによるOTPを生成させるブロックチェーン部を持つ3Aと、ウェブサイトなどのサービスを扱う端末3Cにアクセスできる端末4Aがあり、端末1Aと端末3Aと端末3Cと端末4Aがネットワーク20に接続されており、1AがOTP生成関数を実行しOTPを生成し端末1Aの出力装置15Aに出力した後、ユーザーUAはそれを目視してヒトの手で端末4Aの入力装置に入力し端末4Aは入力されたOTPを用いてOTP認証を行いその結果を端末3Cと通信しやり取りし、認証結果に応じて端末4Aをログインさせサービスを提供させることができる。
【0116】
<ブロック番号Bnを用いた時間に基づいたワンタイムパスワードの認証と認証結果呼び出し>
図3AAや
図3ABや
図3ACに記載のOTPを検証し認証するOTP認証関数3018Aの動作はOTP生成関数3009Aと似ており、認証関数3018A内部でTIDA、KC、Bn、Aをハッシュ関数fhを用いてVeriBnTOTP=fh( A, TIDA, KC, Bn)を求め、ユーザーがサーバ3Aにアクセスする際にワンタイムパスワード認証関数の引数に入力するTIDA、A、入力されたArgBnTOTPのうち、IF文などによる条件式で、ArgBnTOTPがVeriBnTOTPと一致するか判定し、一致した場合にはOTP認証できたときの戻り値を端末1Aに返す。また認証できた時の処理を行うこともできる。
一致しない場合には認証できないときの戻り値を端末1Aに返し認証できなかった時の処理を行う。ここで前記BnTOTPでは実施例で32バイトのOTPが生成されるが、BnTOTPをを入力n桁数字のパスワードBnTOTP-nとして読み替えて、n=7の7桁の整数パスワードとしたとしたときも同様である。
図6Cから
図6Hに認証関数3018Aの処理に関するフローチャートを示す。
端末の代表的な接続図は
図1Aや
図1Bである。
【0117】
図6Cから
図6Hに示す認証関数3018Aのフローチャートついて説明する。フローチャートの処理F110ではOTP認証関数3018Aの引数入力にてユーザー識別子A、トークン番号TIDA、パスワードArgOTPの3つの引数を受け取る。なおOTP認証関数は用途に応じて第4や第5など複数の引数をとっても良い。
【0118】
図6Fは認証関数3018Aの実施例の一つであり、基本的な処理例である。
図6Fに示す処理を用いた認証は端末3Cや端末3Dおよび暗号されたデータの復号用途に用いることができる。F110で認証関数の引数としてユーザー識別子Aとトークン番号TIDAを受け取り、F113にて引数からVeriOTPを計算する。このときブロック番号Bnとシークレット変数KC値を用いる。VeriOTP=fh( A, TIDA, KC, Bn)を計算し、F114にて入力された引数のOTPであるArgOTPとVeriOTPが一致するか比較する。一致する場合は認証ができたと判断し、F116の処理を行い、一致しない場合はF118の処理を行う。
図6Fを用いる端末の接続例は
図8A、
図8B、
図8C、
図8Dである。
図6FのOTP認証関数の形態は端末3Cや端末3Dにおいて利用できる。
【0119】
図6Dは
図6Fの処理に用いる真偽値や整数などの変数3017Aや3017AAや3017DAに対し、OTP認証関数3018Aの実行後の真偽値もしくは整数値などの書き換えを行う処理F115を追加したものである。3017Aや3017AAや3017DAは真偽値、整数、文字列などのデータである。3017Aや3017AAや3017DAはトークン番号をキーとして真偽値型、符号なし整数型、文字列型などのデータ型を持つマッピング変数である。マッピング変数は一つの例であって、トークン番号をキーとして結びつけられたデータを記録できれば良い。
図6Dを用いる端末の接続例は
図8A、
図8B、
図8C、
図8Dである。
【0120】
図6Cは暗号化データの復号やウェブサイトへのログイン用途に用いることを想定した処理例である。
図6Cは
図6Dの処理に、F111の処理を追加したものである。F111では認証関数3018Aの実行者はユーザー識別子Aかを判断し、異なる場合には処理をF117に示すように処理を中断する。F111にて認証関数3018Aの実行者がユーザー識別子Aの場合には、F112の認証関数の処理を続行し、入力されたOTP=ArgOTPが問題ない場合にはF113、F114、F115、F116、F116と処理が行われる。F114にてArgOTPがVeriOTPと一致しないときはF118の示すように処理を中断する。
図6Eは
図6Cの処理F115を取り除いたフローチャートである。
図6Eおよび
図6Cを用いる端末の接続例は
図8A、
図8C、
図8Dであり、
図8Bは端末3Dがネットワーク20に接続ができ端末3Aに接続できる用途において利用できる。
【0121】
図6Cと
図6Eに示す処理方法は3AのOTPトークンに関するコントラクトにある所有者情報3014Aを用いるため、3Aなどブロックチェーン上の端末と3Dが接続され3014Aの情報が同期され共有されなければ
図6Cと
図6Eに記載の認証方法は端末3Dでは利用できない。端末3Dが駅の改札や入場口などの処理端末でありネットワーク20を介して端末3Aに接続されるか端末3Aと同じブロックチェーン記録部及び制御部を持つ場合には3Dにおいても
図6C及び
図6Eと
図6Gと
図6Hの処理は利用出来うる。
端末3Dが金庫など容器や自動車などで、端末に備えられた電池等電源装置の制限や、端末を搭載する移動体が電波などの届かない環境にあり通信装置が制限されることによりネットワーク20に接続ができない場合には、
図6C及び
図6Eと
図6Gと
図6Hの処理を行うことは困難である。
端末3Dの用途に応じて
図6C及び
図6Eと
図6Gと
図6Hは利用されることも利用されないこともある。
図6C及び
図6Eと
図6Gと
図6Hは利用形態の例である。
【0122】
図6Cと
図6Eは認証関数3018Aの実行者(msg.sender)がユーザー識別子Aであるかを判定する処理F111をもつ。この処理を持つことで、ウェブサイトへのログイン処理時にユーザーがもつ秘密鍵101Aによって計算されるユーザー識別子Aがメッセージを送信し実行しているかを判定し、秘密鍵を持たない認証関数の実行者による関数実行を中断させる。
図6Cと
図6Eの違いは認証ができた際の3017Aや3017AAや3017DAを変更する処理F115の有無である。
図6CにはF115が有り
図6EにはF115が無い。
【0123】
図6Gと
図6Hは認証関数3018Aの実行者がOTPトークンの保有者かを判定する処理F119をもつ。この処理はOTP生成関数時の
図6Aや
図6Bのフローチャートに記載された処理F101と同様の処理である。処理F119によってウェブサイトへのログイン処理時にユーザーがもつ秘密鍵101Aによってブロックチェーンのノードである端末3Aにメッセージを送信したとき、そのユーザーがトークン番号TIDAのOTPトークンを保有するかF119にて判定し、OTPトークンを持たない実行者による認証関数の実行を中断させる。
図6Gと
図6Hの違いは認証ができた際の3017Aや3017AAや3017DAを変更する処理F115の有無である。
図6GにはF115があり
図6HにはF115が無い。
【0124】
<コントラクトから他のコントラクトの関数の呼び出し>
本発明で用いるコントラクトはあるブロック番号において記録された一つのスマートコントラクトのみで完結していてもいいし、同一ブロック番号に記録された他のコントラクト識別子のスマートコントラクトや他のブロック番号に記録された他のコントラクト識別子のスマートコントラクトに処理内容が分けて記述されていてもよい。例えばコントラクトXからコントラクトYの関数等を呼び出して利用してもよい。
例えば
図6FのF116において
図3ABの3022Aや3023Aの処理を行うためにOTPトークンの認証コントラクト3008AAとは違うコントラクト識別子をもつコントラクトXにアクセスし前記コントラクトXの関数Yを実行させたあと認証関数3018Aの戻り値3021Aを端末1Aに出力してもよい。
もしくは他の例としてOTP生成や認証を行うコントラクトXのハッシュ関数fh等の関数をほかのコントラクトYに定義してライブラリの様に選択して呼び出せるようにしてもよい。
暗号学的ハッシュ関数fhが計算機端末の性能の向上によって単一のハッシュ値に対し複数のメッセージデータが計算され、ハッシュ値の衝突を起こせるようになる事態に備え、より強度の高いハッシュ関数fhとOTPの計算に用いることができるようコントラクトYのハッシュ関数fhを更新し、コントラクトXはコントラクトYのfhを利用できてもよい。
【0125】
<認証結果呼び出しを用いたサービスの提供>
OTP認証関数を呼び出してOTPやAやTIDAを入力し、その結果得られた認証結果の戻り値CTAU3021Aを用いてサービスの提供を行う。
ここでは4A.ウェブサイトのログイン用途、4B.入場口や建物設備への紙又はIC式入場券、利用券、解錠鍵としての利用、4C.暗号化データおよびファイルの復号と閲覧、4T.放送での利用(1対不k数の放送による暗号化データの流通)について順に説明する。
【0126】
<4A.ウェブサイトのログイン用途>
ウェブサイトなどのログインにはブロックチェーンのある時刻において変更されうる変数TBのうち、ブロック番号Bnを基にしたTOTP型ワンタイムパスワードトークンを用いる。TBにブロックチェーン上の最新のタイムスタンプ3002Aがある場合にはそれをTBとして用いることもできる。
【0127】
TBにはブロックハッシュBh(3003A)を用いることもできるが、ブロックハッシュを用いる場合、イーサリアムとそのスマートコントラクトのプログラミング言語Solidityでは最新のブロック番号から数えて256番目までのブロック番号のブロックハッシュ値を呼び出すことができるが、その際にはブロック番号Bnを引数に計算していると考えられる。Bnを引数にBhを計算していると考えたとき、ブロックハッシュBhを用いる方法もブロック番号Bnを用いる方法と変わりない。
Solidity言語で式として表現するとBnTOTP=(A,TIDA,KC,Bh)、Bh=Blockhash(Bn) であるのでBnTOTP=(A,TIDA,KC,Bh=Blockhash(Bn))であり、ブロックハッシュBhを用いるときもブロック番号Bnを用いているため、 BnTOTP=(A,TIDA,KC,Bh)とBnTOTP=(A,TIDA,KC,Bn)は引数の観点では類似した計算方法であるといえる。前記のようにブロックハッシュ値Bhを用いる方法もブロック番号Bnを用いる方法の異なる形態であると本発明では考える。
ブロックハッシュをTBとして用いることも出来うる。ただしブロックハッシュはノードを構成する端末の管理者により操作されうるので注意が必要である。またあるブロック番号Bnのブロックデータのハッシュ値であって時刻に対し動的ではあるが時刻を表現する値ではない。
【0128】
ブロックハッシュBhをTOTPのブロック番号に用いる場合はイーサリアムといったブロックチェーンの基盤や、ブロックハッシュを異なるサーバ端末やブロックチェーンに記録し、そのブロックハッシュ値をTOTPを計算するコントラクトから参照できるようにする必要があるかもしれない。またブロックハッシュは例としてイーサリアムでは15秒毎に代わる値であり、ブロック番号ではなくブロックハッシュを用いる場合はOTPを生成し認証する時間間隔を延長したい場合の計算が複雑になる。
ブロックハッシュBhではなくブロック番号Bnであれば、Bnを基に表示する間隔を増やす変数nを用い、Bn mod n として、Bnのnで割った余りmを求め、Bnからmを減算しBnrとして(Bn-m=Bnrとして)、Bnの代わりにBnrをOTPを算出するハッシュ関数の引数に利用し、OTPの生成と認証を行える時間を15秒、30秒、45秒、60秒とnの数を増大させることで延長でき、本発明では演算の簡単さからブロック番号Bnを好ましく用いた。
【0129】
ブロックハッシュBhにおいてもBhはBnを引数として用いて過去のブロックハッシュBhを求めることができるが、その計算ではBnが必要になりうることは先に述べたとおりである。ブロックハッシュ値Bhそのものはあるブロック番号Bnのデータに対応するハッシュ値であって、ブロック番号は時間によりその数値が増えていく変数であり、ブロック番号Bnの増加は時間の経過を表せるが、ブロックハッシュ値の変化・増加が起きてもそのハッシュ値がいつの時間のデータであったかを示すことが出来ない。
本発明ではBnを使ったほうが良い場合とBhを使ってもよい場合があるかもしれない。OTP生成関数とOTP認証関数の計算で用いるシード値がすべて記録されていれば生成関数で取得したOTPを認証関数で認証する余地がある。
Bnは時刻データに比例するためサービスに時刻の要素を必要とするもの、例えばタイムスタンプ的な要素を用いる場合には好ましく利用される。一方Bnに加え、もしくはBhを用いてよりランダムさを増したOTPを生成しウェブサイトのログインなどで利用したい場合はBhを利用することも好ましい。
OTPトークンを擬似乱数生成器として用いる場合は後述するDLSのノード端末間の投票で決まる値Vと共にBhをOTP計算のシード値に利用することでよりランダムさを持たせることもできる。
【0130】
Bhをタイムスタンプに用いるときはBhとブロックデータとブロック番号のデータベースがサービスを提供する端末になければ、どの時刻のブロックハッシュBhか分からない。またブロックハッシュ値が衝突する頻度は限りなく低いと考えられるが、あるブロックハッシュ値Bhについて2つ以上のブロック番号があるとき場合、生成されたBnTOTPがどちらのブロック番号の時刻のデータであったかが分からなくなる。ブロックハッシュ値を算出するブロックチェーンの基盤が利用するハッシュ関数がハッシュ値の衝突を起こしやすいものである場合はこの問題が生じかねないという点もある。
【0131】
サーバ端末3Cを利用し、
図3ABにあるようにOTP生成関数をもつコントラクト3008AGとOTP認証関数を持つコントラクト3008AAを用いてBnTOTPをOTPとして用いるウェブサイトのログインを例を示す。OTP生成関数を含むトークンのコントラクト識別子CPGT3019Aと、OTP認証関数を含むコントラクト識別子CPAT3020Aを用いてブロックチェーンにアクセスし、CPGT3019Aから取得したBnTOTPを用いて認証関数を含むコントラクトCPAT3020Aにて認証し、認証関数戻り値をウェブサイトのログインや操作に利用する場合に、サーバ端末3C(SVLogin)を用いてログイン処理を行う。
ここでBnTOTP=(A,TIDA,KC,Bn)でもよいし、前期BnTOTPの引数に投票で決まる値Vや、コントラクト管理者が変更できる値BCを加えたBnTOTP=fh(A,TIDA,KC,Bn,BC,V)でもよいし、またはブロックサイズBSZを加えたBnTOTP=fh(A,TIDA,KC,Bn,BSZ)でもよい。ネットワーク20を介して
図8Aの様に端末1A、1C、3A、3Cが接続されているとき、ブロックチェーンのノード3Aやノード3B等ノード群の間で決定される値VやブロックサイズBSZは疑似的なランダム要素として用いることができる。またブロックハッシュ値Bhなども用いることができ、例えば本発明の実施例で用いるBnTOTPの式はBnTOTP=fh(A,TIDA,KC,Bn,BC,V,Bh)である。
BSZはVに応じて変わるときはV=BSZとみなしBnTOTP=fh(A,TIDA,KC,Bn,BC,BSZ,Bh)である。
【0132】
本発明のハッシュ関数fhの引数はAとTIDA、KC、BnやBC、そしてVやBhが用いられるが、例えばKCやBCあるいはVやBhを基にハッシュ関数でそれらのハッシュ値を算出し加工してBnTOTPの算出方法の推測を難しくするよう計算方法をとってもよい。関数の処理を行う上で必要な引数や内部変数にA,TIDA,KC,BnやA,TIDA,KC,BCを持つことを本発明では特徴とし、さらに A,TIDA,KC,Bn,BC,V,Bhといった変数を用いることができることを特徴とする。
【0133】
さらにユーザーが保有するトークン番号TIDAをキーとしたマッピング変数VU(VU[TIDA])をシード値として含むBnTOTP=fh(A,TIDA,KC,Bn,BC,V,VU[TIDA])でもよい。ユーザー側が設定できる投票によるシード値となる引数VU[TIDA]については別途説明する。
【0134】
認証関数の戻り値を端末1Aが取得し、1Aはその戻り値を3C(SVLogin)で動作するウェブサイトのプログラムに従って処理し、または3Cに戻り値を渡し、認証結果が正しい時3C内部のサービスを提供しコンテンツを閲覧し操作させる。例としてインターネットバンキングや会員サイトなどを想定する。認証結果が正しくない場合にはログインを行わせない。
またログイン時にユーザーの許可を得た上でCPGT3019Aや、TIDA、Bn、ユーザ識別子Aなどのブロックチェーン情報と、ログイン時刻情報と、
IPアドレスもしくはIPアドレスのハッシュ値などIPアドレスに基づく識別子や、位置情報、端末1Aに固有のID、端末1Aの入力装置14Aのセンサ144A等のセンサ値をIPV値として
3Cの記憶装置に
図6Xの形でユーザー識別子Aやトークン番号TIDAとIPV値を対応づけて、表などで表現できる形でデータベースに保持する。
図6Xは例であり、トークン番号やユーザー識別子に対し複数のIPVにて3Cにアクセスされている事を記録できる台帳データ、データベースであればよい。ここで前記情報はユーザーの合意の上収集し、また合意の上一部またはすべてを仮名化(暗号化)もしくは匿名化して保存する。
【0135】
図6Xに記載する例のように、同一の秘密鍵101Aに由来するユーザー識別子から異なるIPV値、すなわち異なる環境からアクセスがあった場合に、異なる環境からのアクセスを不正アクセスと推測し、ユーザーUAの秘密鍵が漏洩しユーザー識別子Aとトークン番号TIDAの組み合わせに対し、端末3Cに記録されたデータベースのユーザー識別子Aまたはトークン番号TIDAとそれに対応する連絡先情報に不正アクセスの疑いがあることを通知し、ユーザの許可に応じてアクセスを禁止する機能を端末3Cは持つことができる。不正アクセスを禁止する用途はインターネットバンキングなどユーザーにとって重要な情報へのアクセスと情報の操作を行う場合を想定する。
【0136】
なお、サーバ端末3Cはサービス用途によっては、
図6Xのようなデータベースを構築しユーザーへの不正アクセスの通知機能を提供しない端末3Cも実施形態として存在しうる。例えば簡易の会員サイトもしくは簡単なオンラインゲームサイトなどであるときなどは、サービスを行う処理部と記憶部を備えたサーバ端末3Cでは、
図6Xのようなユーザーからのアクセスを監視するデータベースを作成することは端末3Cの計算資源や記憶装置の容量を増大させかねないことが想定される。そしてサーバ端末3Cの利用コストが高くなる恐れがある。
またサーバ端末3Cにて個人情報の保護や管理を行うことに対するコストが高く、あえてアクセス者の個人情報を端末3Cに収集しないことで、管理を行うためのコストを低減しつつ、本発明のOTP認証システムを用いたログインサービスを提供したいという要望もあるかもしれない。それらの要望に沿うために
図6Xのようなデータベースを構築しユーザーへの不正アクセスの通知機能を提供しない端末3Cも実施形態として存在する。
【0137】
3Cにおいて
図6Xの形式でのアクセス情報の記録と不正アクセスの監視はOTP認証システムとしては必須の機能ではなく、サーバ3Cのサービス提供者と端末1AのユーザーUAが
図6Xの形でアクセスを記録されるかどうか同意したのちに利用できる機能である。
図6Xの形式でアクセス情報の記録と不正アクセスの監視を行わなくとも本発明の実施はできる。ただしOTP認証システムにおいて秘密鍵101Aが複数の端末に記録され利用された場合には
図6Xのような複数のことなる環境からのアクセスを検知する機能があることがセキュリティ上好ましい。
【0138】
図8Aの利用例としてインターネットバンキングがある。その際にウェブサイトや顧客データを管理する端末3Cと、端末3Aのブロックチェーン上のコントラクトデータの両方を操作することもできる。
OTPの生成コントラクト(
図3ABの3008AG)において顧客がOTPを生成し、そのOTP(主にBnTOTP、定期的に更新できるならばOWPも)とユーザー識別子とトークン番号TIDAを用いて認証関数3018Aを引数に用い、実行した認証の回数をコントラクト内部の変数として保持できる。さらに3018Aの実行後に識別子Aもしくはトークン番号TIDAをキーとしたマッピング変数3023Aを備え、3023Aにあるユーザー識別子Aやトークン番号TIDAに対応する資産やポイント等数値、評価値、投票の結果値をコントラクトに書き込み保存する関数3022Aを持っていてもよい。そして3023Aと3022Aが認証コントラクト3008AAや3008Aに含まれ、認証関数3018Aで認証できた場合に操作できるようプログラムされて3008AAや3008Aに備えられていてもよい。
具体的にはインターネットバンキングや会員サイト等において、ユーザー識別子Aや前記識別子Aが保有するOTPトークンのトークン番号TIDAに対する資産残高やポイント等の値3023Aと、3023Aをコントラクトに書き込み保存する関数3022Aを持っていてもよい。
【0139】
<ウェブサイトのログイン時に認証関数を実行した回数を記録する処理>
本発明のOTP(BnTOTPおよびOWP)の生成時または認証時にコントラクトへOTP生成関数及び認証関数の実行回数を内部変数3017Aまたは3017AGまたは3017AAに記録させることができる。ここで内部変数3017Aまたは3017AGまたは3017AAはトークン番号と対応した値を持つ変数である。実施例として変数3017Aはトークン番号をキーとしたマッピング型の変数であり、マッピング型のほかにも構造体やクラスなどのデータ型でトークン番号と対応付けられている変数であれば本発明に利用できる。
(マッピング型は実施例において利用されるイーサリアムのスマートコントラクトプログラミング言語Solidityにおいて利用できる型の一つである。)
【0140】
OTPの認証回数もしくは生成回数をブロックチェーンのコントラクトの内部変数3017Aまたは3017AGまたは3017AAに記録することで、ユーザーUAの端末1Aの秘密鍵101Aが漏洩し、ユーザーUAが知らぬ間に攻撃者がブロックチェーンに秘密鍵101Aを用いてアクセスしOTP生成関数を実行しOTPを生成した場合には、OTP生成関数を不正に実行されて取得された事実が3017Aや3017AGに記録される。
ユーザーUAがOTP取得のために実行したはずのないOTP生成関数の実行回数が増えたことで(もし3017AがOTPを生成するのに必要な料金のようなポイントの場合はその残高が減る事で)ユーザーUAは秘密鍵101Aが不正利用されているかどうか察知することができる。もしくは101Aの秘密鍵に対応するユーザー識別子のトランザクションの取引履歴に不正利用時のトランザクションが追加される。
前記の不正利用の察知にはOTPトークンのサービスを提供するサーバ3Cやサーバ3Dやブロックチェーンのトランザクション等検索機能を備えた3F、OTPトークンをチケットなどで販売する3E、広告配信サーバ5Aや暗号データ配信サーバ5Bなどに、ブロックチェーンのノードとなる端末3Aや3Bのブロックチェーン部の変化を監視し、秘密鍵101から計算されるユーザー識別子AやOTPトークンのコントラクト識別子に帰属するトランザクションの変化を検出しユーザーUAの連絡先に通知する機能が必要である。
OTP生成関数の実行に限らずOTP認証関数の実行を行い実行ができた場合にも、前記の3Cや3Dや、3Eや3FやからユーザーUAの通知先電子メールアドレスや電話番号、SMS(SMS、Short Message Service)、ユーザー識別子Aに対する連絡を送るブロックチェーン上のトランザクションなどで通知することができる。
【0141】
実施例1ではOTP生成関数の実行回数は記録しないものの、OTP認証関数の実行回数は記録する方式を検討した。これはブロックチェーンに生成及び認証の回数を変更するトランザクションを送ることを考えたとき、パスワードの生成はカウントせず何度でも出来たほうが良く、認証時のみその回数を記録できた方がトランザクションが少なくなり、ブロックチェーンのリソースや、それらを記憶し制御するサーバーの記憶装置や通信装置への負荷を低減できると考えたためである。ただしセキュリティを考えた場合はワンタイムパスワード生成関数の実行回数は記録することが好ましい。
重要度の低い操作を行うOTP生成関数と認証関数は
図6Aと
図6Fに示すようにOTP生成関数・OTP認証関数の実行回数を記録せず、重要度の大きい操作を行うOTP生成関数とOTP認証関数は
図6Bと
図6Dのように実行回数を記録したほうが良く、それらを使い分けてもよい。
図6Cや
図6Dや
図6GのF115はOTP認証関数を実行し認証結果が正しいときに行う処理であり、
図6BのF108はOTP生成関数の実行回数を記録する関数である。
図には記載していないが、
図6Bと対応して、
図6Cや
図6Dや
図6GのF115とは別に
図6BのF108に類似したOTP認証関数を実行した回数のみを記録する処理がOTP認証関数に含まれていてもよく、認証時にF115にて実行回数を変更するのではなくOTP認証関数が実行されF110にて引数が渡されたときに、F110とF111の間にF115のプロセスを設置してもよい。
OTP生成関数とOTP認証関数の関数の実行回数をブロックチェーン上に改ざん困難・イミュータブルに記録するできるとよい。
【0142】
本発明ではOTP生成関数と認証関数の両方にその関数の実行回数を記録できることが好ましい。生成関数の実行回数を記録できる方が不正アクセスを未然に検知できる。OTP生成関数を実行し、BnTOTPやOWPといったパスワードを生成し、それを用いてに認証関数を実行する。前記の手順を踏む場合に、ユーザーUAの秘密鍵101Aが漏洩してしまい攻撃者が不正にアクセスしようとした場合には最初に生成関数を動作させることが推測される。
ブロックチェーンにアクセスしブロックチェーン上のトランザクションを監視できるサーバ端末3F等(例としてネットワーク20に接続しサーバ端末3Aのブロックチェーン部に対しアクセスできる端末3Cや端末3D、端末3Eや端末3F、端末5Aや端末5B)に、ユーザー識別子Aのブロックチェーン上の生成関数の実行回数の変化や、ユーザー識別子Aのトランザクションの変化またはイーサリアムなどで利用される内部トークンの変化をユーザーの電話番号やメールアドレスなどを用いて通知し、認証関数を実行させる前に、不正アクセスを知らせる必要がある。不正アクセスがあるとき、ユーザーUAは端末3Cや端末3Dのサービス提供者に通知させサービスの利用を停止する。
【0143】
端末3Dはネットワーク20にアクセスできない場合がある。その場合はOWPを攻撃者の端末が端末3AにアクセスしてOTP生成関数で生成する際に実行される3017Aや3017AGが変化するので、前記変数の変化をユーザーUAに通知することでOTPが攻撃者に取得され紙やNFCタグに記録された恐れがあることが分かる。この場合にもサービス提供者に相談することができる。
端末3Dに記憶された認証回数記録部分も端末3Dへのユーザーのアクセスや認証の履歴をブロックチェーンの様にトランザクション毎にハッシュ値を付与させ連結して保存するなどして改ざん検知ができイミュータブルな記録部分とすることが好ましいかもしれない。ブロックチェーン型ではなくとも端末3Dのあるキーと認証のデータをメッセージとして定期的もしくは指定する認証回数ごとにHMACによりMAC値を付与し記録できることが改ざんなどに対抗する手段として好ましいかもしれない。
このようにOTP認証関数とOTP生成関数のいづれかまたは両方に実行回数を記録する変数を設けることで、攻撃者はユーザーUAに知られないうちにユーザーのトークンを操作することを困難にさせ、不正アクセスを防止する。
【0144】
<認証関数を含む関数が認証時にコントラクト内部の変数を操作する場合>
認証関数を実行した回数を記録する処理に関連して、本発明では認証関数を含む関数が認証時にコントラクト内部の変数を操作する処理を含めることができる。
具体的には認証関数を内部に含むあるいは認証関数の後に続く処理3022Aをコントラクトに設定し、3022Aで認証関数が実行されワンタイムパスワードによる認証ができた場合にコントラクトの内部変数3023Aを書き換えることができる。ここで内部変数3023Aはユーザー識別子またはトークン番号と対応した値を持つ変数3023Aである。変数3023Aの例としてユーザー識別子もしくはトークン番号をキーとしたマッピング型変数であり、マッピング型のほかにも構造体やクラスなどのデータ型でユーザ識別子やトークン番号と対応づけられている変数であれば本発明に利用できる。
【0145】
<インターネットバンキングでの処理例>
認証関数を含む関数が認証時にコントラクト内部の変数を操作する場合の一例として、簡易なインターネットバンキングもしくはコントラクト内ポイント利用システムに利用可能である。認証コントラクト3008AAはこの場合OTP認証機能と認証後の銀行口座残高情報の記録ができる。参考として次に例を示す。
【0146】
次に示す1から4に、インターネットバンキングもしくは認証コントラクト内ポイント利用システムのコントラクト内部で利用する顧客の変数を設定する。
1.銀行口座(ポイント口座)の識別子である銀行口座番号GKBA(またはポイント口座番号GKBA。GKBAはトークン番号やユーザー識別子でもよい)。
2.口座GKBAの名義を匿名化した値MIGA(秘匿されていないブロックチェーン基盤に名義匿名化などせずに記述することは好ましくない)。
3.GKBAの資産の残高ASTA。GKBAは3023Aに記載の変数でトークン番号(またはユーザー識別子)をキーとしたマッピング変数ASTA[トークン番号]。
4.GKBAに対応するトークン番号TIDAもしくはユーザ識別子Aを対応付けたデータベースGKDB。
GKBAやMIGA、ASTAはユーザー識別子やトークン番号をキーとするマッピング変数などで表現される。上記項目1から4の変数がOTP認証関数をもつコントラクト3008AA(または3008A)に設置されており、OTP認証関数もしくは認証処理を含む、資産の別の銀行口座番号GKBAへの振り替えを行う処理ができてもよい。
(このほか口座の種類、振り込み限度額、口座開設日もしくはそのブロック番号、本人確認情報を匿名化した値も必要となりうる。)
【0147】
ユーザー識別子Aの持つトークン番号TIDAのOTPトークンに預けられた残高ASTA[TIDA](TIDAをキーとする3023A)があって、
ユーザー識別子BもTIDAのOTPトークンを持ち同様に残高ASTA[TIDB]を持つとき、AがBのTIDBトークンにAのASTAから数値trsを移動させたいとき、
ユーザー識別子Aの持つトークン番号TIDAのOTPトークンに預けられた残高ASTA[TIDA](TIDAをキーとする3023A)の一部をユーザーUAが指定し、
ユーザー識別子Bの持つトークン番号TIDBのOTPトークンに預けられた残高ASTA[TIDB](TIDBをキーとする3023A)に振り込む関数もしくは処理3022Aがあり、
ユーザー識別子Aのユーザーがトークン番号TIDAのOTPトークンによりOTP認証を行い処理3022Aと認証関数3018Aの処理(3022Aに3018を組み込んだ、もしくは3018Aの後に3022Aの処理を続けた処理)を実行し、OTP関数の認証結果が正しい時、処理3022Aは TIDAをキーとするマッピング変数3023Aからtrsを引いてASTA[TIDA]-trsとした後、 TIDBをキーとするマッピング変数3023AへTIDAの持ち主であるユーザー識別子の指定する数値trsを足した数値ASTA[TIDB]+trsに変更することで、数値を変更でき、数値trsの振り込みができる。
このように本発明のOTP認証システムを用いてOTP認証関数を含む金融業務を行うコントラクトや会員サイトにおいてポイントのやり取りを行うコントラクトが実施されうる。
【0148】
関数3022Aや資産残高を示す3023Aは顧客がコントラクトにダイレクトにアクセスすることで閲覧や関数実行を行うことも想定される。
【0149】
また銀行がサーバ3Cに顧客をアクセスさせたうえで銀行側がコントラクトの顧客の資産残高などを操作することも考えられる。その場合はユーザーではなく銀行が顧客の資産の数値数量を顧客のログイン時ウェブアプリウェブサイトなどでの認証後の指示に従って取引指示を受け、残高を書き換える関数を用い振り込み手続きなどを行う。
【0150】
インターネットバンキングにおける資産残高をサーバ3Cと認証コントラクトのいずれかまたは両方に記録できる。前記についてはインターネットバンキングに限らず会員サイトや会員による投票サイト、オンラインゲームサイトなども同じように数値数量データの運用ができる。
【0151】
<会員サイトへのログイン用OTPトークンの有効・無効の判定を行う手段>
ウェブサイトへのログインの利用用途として会員サイト、インターネットバンキングなど金融取引、ウェブメール、オンラインストレージ、電子商取引サイト(ECサイト)、ソーシャルネットワーキングサービスSNS、音声動画配信サイト、オンラインゲーム、オンライン会議サイトなどが挙げられる。銀行の場合と同じくサーバ端末3Cに顧客をアクセスさせることができる。ここでログインする権利が期間や回数で制限されていることが考えられる。本発明の実施形態として次の3つを示す。
【0152】
1.ブロック番号を用いてワンタイムパスワード表示可能な期限を設定する方法
顧客がトークンを発行されてから指定したブロック番号を超えた場合にOTPトークンのOTP生成を行えなくすることもできる。これはある一定期間以内にトークン有効期限が切れる様にする場合にOTP生成部分に期限を設定することが必要になる場合もあり設定される。
具体例を次に示す。あるトークン番号のトークン発行時のブロック番号BnMintをトークン番号をキーとしたマッピング型変数としてOTPを生成するコントラクトに記録し、OTPを生成する関数に、実行時の最新のブロック番号Bnが数値が表示したい期間に相当するブロック番号BnValid+BnMint以内であればOTPを生成できるようにする。
例えばOTPを生成する関数の実行時に、現在のブロック番号Bnが、数式Bn<BnMint+BnValid であるかどうか判定させ、ブロック番号Bnが数値が表示したい期間に相当する場合はOTPを生成できるようOTP生成関数部分をプログラムすることで指定したブロック番号を超えた場合にOTPトークンのOTP生成を行えなくする。
【0153】
2.コントラクトの管理者が、ユーザーのトークン番号に対応した有効、無効の判定に利用できる変数を書き換えられる場合。
ある顧客UAのトークン番号TIDAに対し、規約等に従って有効期限やサービスの提供が終了した場合にTIDAに対応付けられたトークンの無効・有効を示すマッピング型変数VALID[TIDA]をコントラクトの管理者が変更し、トークンが有効から向こうに切り替わったことを持ってトークンデータとしては無効にすることができる。この処理は改札で紙等の切符を切る動作に該当する。あるいは入場券に判を押したり、券を切り半券にする動作に該当する。OTPトークンの有効無効を真偽値で示してもよいし、そのトークンにチャージされた電子マネー的な数値でもよい。電子マネー的な利用方法では残高に数値を加算したり減算したりできる。
ここで本発明のブロックチェーン上のトークンは現実世界での書籍やコンテンツ、紙の有価証券や金属の鍵の代替物であって、ユーザーとサービス提供者が合意しなければ法的な紛争が起きる可能性は残る。権限の集中を避けるため、コントラクト管理者とサービス提供者は別の団体とし、端末3Cや3Dを管理するサービス提供者の要求に応じて端末1Cを管理するコントラクト管理者がVALID[TIDA]を書き換えることでOTPトークンを無効にしたり有効にすることもできる。VALID[TIDA]が整数であれば数値の大きさを、VALID[TIDA]が文字列であれば文字の形で変更できる。
【0154】
3.ユーザーがトークンの利用の意志を示せる場合
トークンの持ち主である顧客UAがその利用権を放棄したいとき、もしくは一時的に利用を止めたいと示すときに、ユーザーの秘密鍵101Aを用いてユーザー識別子Aに帰属するコントラクト識別子のOTPトークンのトークン番号TIDAに対応する意思表示欄をマッピング型変数NOTE[TIDA]にその意志を設定し表示することができる。
前記変数NOTE[TIDA]については、秘密鍵101Aを記録し101Aにトークン番号TIDAのOTPトークンが割り当てられたユーザー識別子Aのユーザーのみからアクセスし変更できるセッター関数によってNOTE[TIDA]は変更される。
意思表示は真偽型変数や数値、文字列変数で行われることが想定される。またNOTE[TIDA]は文字列型の場合、自由な文字列を記録できるものの、トランザクションデータ量が増える事と、誤って誤字などのある文章を書いてしまう恐れがある。ブロックチェーン、DAG等の分散型台帳では一度連結されたブロックのブロックデータ内部のトランザクションデータは書き換えと改ざんが出来ないので、任意の文字列よりは真偽型変数や数字による選択肢方式で意思表示することが好ましい場合がある。
【0155】
<会員サイトなどへの投票権としての利用>
例えば投票を行うにおいては本発明のトークンを用い、あるウェブサイトやウェブアプリに本発明のトークンとワンタイムパスワード認証システムを用いてログインし、そのコンピュータ画面で投票したい候補者の識別子に投票し、ブロックチェーン上のワンタイムパスワードを生成し認証するトークンのコントラクトの変数に投票内容を記録できる。ただし投票機能を実装するには認証関数を内蔵したコントラクトにユーザー識別子Aがトークン番号TIDAのトークンを所持することを確認し、所持する場合に限り投票先となる変数に値を入力するセッター関数が必要である。
秘密鍵101Aそしてユーザー識別子Aに帰属するコントラクト識別子のOTPトークンのトークン番号TIDAに対応する意思表示欄をマッピング型変数VOTE[TIDA]として設定し、変数VOTE[TIDA]は101Aをもちユーザー識別子Aとしてアクセスできるユーザーのみからアクセスされ、ユーザーが投票の値を投じることができる。
投票の内容を秘密にしつつ多数決などをとる場合は場合はVOTE[TIDA]をプライベート変数にしたうえで秘匿化できるブロックチェーン基盤にて投票を行わせ、OTPトークンのコントラクト内でVOTE[TIDA]の結果を集計すればよい。例えば選択肢が0から3しかない場合、それらの数字0から3以内までの整数を受け付けるようVOTE[TIDA]のセッター関数をプログラムし、数字が0、1、2、3に該当する選択肢のOTPトークンによる投票数は何票あるか(つまりOTPトークンの票数が何票あるか)を集計すれば0から3の整数の選択肢の内どれが指示されているか調べることができる。OTPトークンのコントラクト内でVOTE[TIDA]を集計せずに端末3Cや端末3Fを用いてECMAScriptを用いて、ノード3Aや3Bのブロックチェーン部を読み込むことでVOTE[TIDA]のデータを集計するプログラムを利用してもよい。
【0156】
<ユーザー側が設定できる投票によるシード値VU[TIDA]>
OTPトークンの生成するBnTOTPをログイン先のサービスで擬似乱数生成に利用する方法として、ユーザー側が設定できる投票によるシード値VU[TIDA]を用いることもできる。
例えば端末1Aにて、ユーザー識別子Aにトークン番号TIDAというOTPトークンが発行されており、ユーザー側が設定できる投票によるシード値VU[TIDA]を引数をBnTOTPのシード値に加え、例えばBnTOTP=fh(A,TIDA,KC,Bn,BC,V,Bh,VU[TIDA])というOTPを計算させることでOTPの生成と認証とウェブサイトログインを行うOTPトークンとして利用できるとともに、ウェブサイトのログイン先で前記BnTOTP=fh(A,TIDA,KC,Bn,BC,V,Bh,VU[TIDA])を簡易の擬似乱数生成器として用いることができる。ここでVは投票で決まる値V(イーサリアムではBlockGasLimit値をVとして用いる)、BhはブロックハッシュBhである。
【0157】
前記のユーザー側が設定できる投票によるシード値VU[TIDA]を用いたOTPトークンを用いる認証システム及び擬似乱数生成器は、ウェブサイト・ウェブアプリなどへのログインを要求するオンラインゲーム(オンラインコンピュータゲーム)などに利用できるかもしれない。VU[TIDA]を用いたOTPトークンのOTPのランダムさを応用し、OTPトークンの生成したOTPをさらにハッシュ化あるいは加工してそれをゲーム内のランダムさを決定する変数に利用することができる。ゲーム以外の用途にも利用できる。
【0158】
例えばシード値KC値(およびBC値)は端末3Cのゲーム管理者がコントラクトの管理者で端末1Cを操作できる場合は書き換えることができるが、ゲーム内でユーザーに対しランダムさを与えるOTPトークンのOTPを擬似乱数として利用しているとき、ユーザーのOTPトークンの生成するOTPデータの将来の現れ方をを悪意を持って制御しようとコントラクトの管理者がKCやBCを書き換えようとするかもしれない。
そこでコントラクト管理者が制御できない変数VU[TIDA]をトークン番号TIDAのユーザーに書き換えさせるセッター関数と共にコントラクトに備えることで、ユーザーが自由意思により値を書き換えられる変数VU[TIDA]を設定することができる。
ここで外部のユーザーが設定できるシード値VU[TIDA]を設定することで、BnTOTP=fh(A,TIDA,KC,Bn,BC,V,Bh,VU[TIDA])などといったOTP計算方法となり、コントラクト管理者のKC値のみならずVU[TIDA]が存在し、ユーザーのみが制御可能でコントラクト管理者が制御できない変数がOTP(BnTOTP)に含まれるようになるため、ユーザーの指定するVU[TIDA]の値を尊重した(ユーザーの送信したトランザクションの投票値による意思を尊重した)OTPあるいは擬似乱数を生成でき、OTP認証システムや擬似乱数を用いたサービスに利用できる。
VU[TIDA]を利用するにはトークン番号TIDAのトークンを持つユーザーのみがVU[TIDA]を変更できるセッターとなる関数が必要である。
(前記会員サイトで利用する投票用変数VOTE[TIDA]と前記VU[TIDA]はユーザが設定できる変数としては同じ扱いである。)
【0159】
具体的に実施する場合、1つの例として以下の式でハッシュ関数にSHA-2のSHA256を用いてBnTOTPrnvとするハッシュ値は表現される。
BnTOTPrnv = SHA256( EncodePacked(A,TIDA,KC,Bn,V,VU[TIDA]) )。
ここで、ユーザー識別子A、トークン番号TIDA、シークレット変数KC、パスワードの生成及び認証時の最新のブロック番号Bn、
ブロックチェーンノード間の投票により決まる値V、ユーザーが保有し利用する番号TIDAのトークンの投票できるシード値VU[TIDA]である。
BnTOTPrnvはオンラインゲームのログイン用ワンタイムパスワードや、ログイン後のオンラインゲーム内での疑似的なランダムさを決める数値に利用できる。
【0160】
前記VU[TIDA]を引数に持ったワンタイムパスワードBnTOTPはオンラインゲームの管理者の制御の及ばない変数であり、管理者が不正に書き換えてゲームプレイヤーに対し不利になるような値を設定することはできない。
【0161】
補足として管理者がプレイヤーを欺いて、管理者もVU[TIDA]を変更できる様に関数をコントラクトのデプロイ時に設定できてしまうとこの前提は崩れる。ログイン及び擬似乱数生成用のトークンを管理するものとゲームの管理者を分けることが好ましい。またコントラクトは秘匿化されていることが好ましく、さらに好ましくは秘匿化されている変数とその変数を変えるトランザクション以外はコントラクトの処理内容が公開できると好ましい。ユーザーの設定したVU[TIDA]に関するトランザクションも設定したユーザー以外には閲覧できないようにすること(投票した値の秘密を保持する事、秘密投票できること)が好ましい。
本発明を端末3Cのコンピュータゲームサーバのログイン権および擬似乱数生成器に用いる場合、あるいは端末4Aで暗号データを復号して実行できるコンピュータゲームの所有権及び擬似乱数生成器に用いる場合や、オンラインゲームを配信する端末3Cについてその乱数制御部を一部オープンソースとすることもあってもよい。
【0162】
補足として本発明の実施例で利用したイーサリアムではメインネットとテストネットを問わずすべてのコントラクト内部変数と関数や処理の内容、トランザクションが外部のユーザーから閲覧できるため、コントラクトの管理者はコントラクトの処理内容を隠すことが困難である。
投票によって決まる変数VやVU[TIDA]を設定する理由の一つとして、イーサリアムのように全てのトランザクション、コントラクトの変数と処理内容が公開されており、あるユーザーのワンタイムパスワードのシード値が算出できそうであっても、ノード間の投票で決まる値としてBlockGasLimit値をVとして採用し、さらにVU[TIDA]をユーザーが任意の時間任意の値に変えうるようにすることで、攻撃者が将来のパスワードの予想を困難にする狙いがある。
なお本発明を好ましく実施するにはコントラクトやトランザクションが秘匿化されたブロックチェーンが好ましい。
銀行など金融分野では秘匿化されたブロックチェーンなど分散型台帳システムにおいて本発明の認証システムと認証装置を構築することがおおいに好ましい。
【0163】
補足として分散型台帳記録部300Aのデータの連結構造にブロックチェーン型ではなくDAG型を用いる場合、Bnが利用出来ない場合にはBnのかわりにコントラクト管理者が変更できるBCをOTP計算のシード値に用い、時刻の経過に応じて定期的にBCの数値をインクリメントするなどしてスマートコントラクト内部のシード値の変数を変更することができる。
またVU[TIDA]をBCと同じくOTP計算のシード値に用いることができる。オンラインゲームに限らず、ログイン後のサービスがランダムさを求める場合には本発明のスマートコントラクトにおいて生成されるワンタイムパスワードを基に疑似的なランダム値を利用できる。
【0164】
<4B.入場口や建物設備への紙又はIC式入場券、利用券、解錠鍵としての利用>
紙などに情報を固定された形で印刷し入場等に利用するパスワードを生成させるにはブロック番号Bnに同期するワンタイムパスワードでは認証の実施が困難になる恐れがあった。そこで各トークン番号もしくは各ユーザー識別子に対応した時刻には同期しないが任意の時間に変えることの出来る半固定式のパスワードOWPを利用する。
図8Bに端末や装置の接続例を記載する。ここで説明のため主に
図8Bや
図3AAと
図3ABと
図3ACと
図3Dと
図3DAを説明に用いる。
【0165】
具体的にはブロックチェーンのある時刻において変更されうる変数TBのうち、ブロック番号Bnの代わりに、コントラクトの管理を行う権限をもつ端末1Cの秘密鍵101Cから計算されるユーザー識別子Cのユーザーのみがアクセス出来るセッターとなる関数fscb3012Aを備え、ユーザー識別子Cであるコントラクト管理を行うユーザーのみがブロックチェーン上で任意の時刻において書き換えることの出来る変数BC値3013Aを備え、BCをブロック番号Bnの代わりに用いるパスワードOWPを入場口や建物設備への紙又はIC式入場券、利用券、解錠鍵としての利用する。
ここでOWPは管理者変更型ワンタイムパスワードであり、管理者が変更しない場合には固定されたパスワードとなる。OWPは管理者が定期的(60秒ごと10分毎など)に更新する場合はTOTPに近づく動的なパスワードになりうる。BCはOWPをTOTP的(BnTOTP的)に扱うときは管理者や指定したユーザーもしくはすべてのユーザーが書き換えることができてもよい。
しかしOWPをTOTP的にではなく紙のチケット18Aや金庫や自動車の鍵19Aに用いる場合はBCをTOTP(BnTOTP)の様に短期間で書き換えられてしまうとOWPによる認証ができないのでコントラクトの管理者がBCを変更するかどうか決定しある時刻に変更する。
なおBnTOTPを用いてOWPを再現するときはブロック番号Bnを符号なし整数の変数Mで割った剰余rを用い、Bnをからrを減算しBnrとして(Bn-m=Bnrとして)Bnrを求め、前記BnrをBnの代わりにBnTOTP=fh( A,TIDA, KC, Bnr)として計算する際に、変数Mを著しく増大させ、Mを操作することで数週間、数カ月、数年といった時間にわたり同一の値のBnTOTPを生成・表示・認証させることもできる。
前記のBnTOTPではある月数や年数が過ぎて設定されたブロック番号を超えるとBnrが変化し自動的にBnTOTPが変化する。ただしこの場合でもBnTOTPを設定するKCなどが漏洩した場合に備えKCをコントラクトの管理者が設定できるようにするというOWP式と似た機能は必要になる。また端末3Dがブロックチェーンと接続できず正しいブロック番号や時刻が測定できない場合はBnTOTP方式は利用が困難であり端末3Dに設定されたOTP認証関数3018DAを用いるOWP方式を利用することが好ましいかもしれない。
【0166】
前記パスワードOWPを計算するには少なくとも以下の4つの変数をハッシュ関数fhの引数に利用しパスワードOWPを生成する。
ワンタイムパスワード生成にはトークン番号TIDA、
コントラクトに記録されたシークレットキー情報KC、
コントラクト管理者がある時刻に変えることの出来る変数BCの3つの変数を必ず用いる。
そして端末1Aの秘密鍵101Aから計算されるユーザー識別子Aを4番目の変数に加え、ユーザーUAのトークン番号TIDAのOTPトークンに固有のパスワードにできる。
TIDA、KC、BC、Aの4つをハッシュ関数fhの引数として、パスワードOWP=fh( TIDA, KC, BC,A)としてハッシュ値OWPを生成し、OTP生成関数はそれを戻り値として端末1AにOWPを伝える。ここでOWPを符号なし整数として型変換し、例えば7桁のパスワードとして10の7乗で割ったあまりを7桁数字のパスワードOWP-n7として伝えることもできる。ここで7桁ではなくn桁の場合はOWP-nと表記する。ハッシュ関数は実施例ではSHA256やSHA-3である。
実施例では引数の順に変数をエンコードし結合しそのデータのハッシュ値をSHA256関数などで求めている。エンコード順によりメッセージ情報は変わるので、引数をどのような順番でエンコードするかによってハッシュ値も変化する。
本発明ではパスワードOWPになるハッシュ値を生成する変数がTIDA、KC、BC、Aの4つに由来していればよい。すなわちTIDA、KC、BC、Aを演算し、変数のデータの一部を省略し、またはハッシュ関数によってハッシュ化し加工し匿名化されたデータを引数としてもよい。
【0167】
重要な点としてユーザー識別子Aを変数に加えた場合はトークンを譲渡するとハッシュ値を算出するシード値(OTPを計算するハッシュ関数の引数)のうちユーザー識別子部分が変化するため異なるパスワードOWPが生成される。
例えば、ユーザー識別子AとBとCではそれぞれ識別子が異なるため引数にユーザー識別子を用いるOWPを生成するOTPトークンをAからBに譲渡できたとき、ユーザー識別子BがOTP生成関数で生成したOTPとAがOTP生成関数で生成したOTPは異なる値となる。
一方で、ユーザー識別子をハッシュ関数fhの引数に利用しない場合は、異なるユーザー識別子のユーザーにトークンを送信し譲渡すると半固定式パスワードOWPの内容が変わらないため、同じパスワード値を共有してしまう。
例えると固定された秘密にされるべき暗証番号の書かれた紙や複製容易な金属製の鍵を譲渡するのと同じであり、紙に書かれた情報を複製したり、金属製鍵の形状をもとに合鍵が作製されていき、トークンが流通している場合にはその流通の途中で解錠可能な合鍵が無数に複製できてしまう。前記の鍵情報の複製を防ぐためユーザー識別子AをOTPを計算するハッシュ関数fhの引数に含めたり、もしくはユーザー識別子を含めない場合でもコントラクトの管理者が関数fscb3012Aを用いて手動である時刻ごとにBC値3013Aを書き換えていくことが求められる。
変数BCをあるおおよその時刻、おおよその時間間隔で、手動もしくはコントラクトCの管理者が自動化プログラムを用いてアクセスし変更する場合にはパスワードOWPはTOTPに近いものになる。例としてコントラクトCの管理者が擬似乱数を用いた自動化プログラムを用いておおよそ1日ごと、1週間ごと、1カ月ごと、数年ごとに定期更新することもでき、定期更新時の具体な日付の決定は擬似乱数を利用しながら決定しシード値を変えることも想定される(大まかにシード値の変更時期は決定しているがその詳細な変更時刻はランダム値やヒトの意志により決める)。これによりランダムさを伴った疑似的なTOTPによる認証システムが提供できる。
【0168】
<パスワードOWPの認証と認証結果呼び出し>
パスワードOWPはウェブサイトでのログイン処理に用いたBnTOTPと同じく認証することもできる。ユーザー端末1Aは端末3AのOWP型のOTPトークンのOTP生成関数を含むコントラクトにアクセスしOWP型のOTPを生成関数にて生成させる。そして生成関数で生成したOWPとユーザー識別子Aとトークン番号TIDAをサービスを提供する3D(アクセス制御端末3D)にアクセスしOTP認証関数3018DAの引数に入力する。
次にOTP認証関数の引数に入力されたA、TIDA、引数に入力されたArgOWP(またはn桁の整数値パスワードArgOWP-n)から、OTP認証関数3018A内部でTIDA、KC、BC、Aをハッシュ関数fhを用いてVeriOWP(またはn桁の整数値パスワードVeriOWP-n)を求め、IF文などによる条件式で、ArgOWP(またはArgOWP-n)がVeriOWP(またはVeriOWP-n)と一致するか判定し、一致した場合には認証できた時の処理を行うこともできる。一致しない場合には認証できなかった時の処理を行う。
この処理は端末3Cの配信するウェブサイトへBnTOTPを用いてログインするときと似ているが、ネットワークに接続される端末3Cの配信するウェブサイトへBnTOTPを用いてログインするとき時はノード端末3AのOTP認証関数3018Aや3018AAを用いているが、ネットワーク20から切断されうる端末3DにOWPを提示するときはOTP認証関数3018DAを用いるという違いがある。
(端末3Dがネットワーク20に接続しノード3Aと接続できるときは3018Aや3018AAを用いることもできる。)
【0169】
<OWPを用いた紙製のチケット等の有価紙葉18Aの製造と利用、ICタグ19A等デジタル機器による認証>
ネットワーク20を通じて端末1Aとサーバ3Aを用いてブロックチェーン上のOTP生成コントラクトからパスワードOWPをOTP生成関数3009Aから生成する。そして生成されたパスワードOWPとユーザー識別子A、トークン番号TIDAを文字列またはバーコードまたはその両方をプリンターなどを用いて紙等に印刷し、紙のチケットもしくは有価紙葉18Aを製造する。この時、印刷された18AにはOTP生成コントラクト識別子やOTP生成トークンと対応するサービスの名称、印刷日時、有価紙葉の有効期限、サービス提供者の名称と連絡先、誤り訂正符号やMAC値等のサービスを提供するために必要な情報が印刷されていてもよい。
また有価紙葉18Aのバーコードに含まれる情報やICタグ19Aに含まれる文字列情報のデータはOWP、A、TIDAの各変数を区切るための区切り文字を含んでいてもよい。またバーコードのデータを一部またはすべて、認証するサービス提供者のみが暗号化の鍵を知る形で暗号化していてもよい。
【0170】
有価紙葉18Aに含まれるOWP、A、TIDAの各変数をバーコードとして表示して印刷する場合は好ましくは2次元バーコードであり、複数または一つの1次元バーコードでもよく、カメラ等光学撮像素子430Dにて認証に用いる18Aに印刷もしくは印字されたバーコードとそのバーコードが含む数値や文字列情報を読み取ることができればよい。
【0171】
有価紙葉18Aに含まれるOWP、A、TIDAの各変数をバーコードとして表示して1Aのディスプレイ150Aの画面1500Aに表示してもよい。1500Aの表示内容を印刷し18Aとしてもよい。
1500Aのディスプレイ画面と1500Aの表示画面を印刷した18Aは端末3Dの340Dにバーコード(あるいは文字列)を読み取らせることで端末3Dへユーザー識別子Aとトークン番号TIDAとパスワードOWPを伝えてもよい。
【0172】
有価紙葉18Aに記録するユーザー識別子Aとトークン番号TIDAとパスワードOWPの情報はNFCタグ19A(ICタグ・ICカード19A)の記録装置に記録されていてもよい。そして19Aはサービスを提供する端末3Dの通信装置32Dや341Dを介して端末3Dと通信しユーザー識別子Aとトークン番号TIDAとパスワードOWPを端末3Dに伝えてもよい。
【0173】
有価紙葉18Aを端末3Dのカメラ・スキャナ装置340Dに提示し、あるいはNFCタグ19Aを341Dおよび32Dに提示したユーザーUAに対し、
端末3Dが18Aに記載されたユーザー識別子Aやトークン番号TIDAとパスワードOWPの情報を340Dを経由して読み取り端末3Dの記憶装置30Dの認証関数3018DA(
図3DAの3018DA)の引数TIDA、ユーザー識別子A、パスワードArgOWPとして変数を渡し、
OTP認証関数3018DA内部ではフローチャート
図6Fあるいは
図6Dの処理に従い、ArgOWPに対し端末3Dに記録されたKCなどのシークレット変数のシード値と3018DAの引数であるユーザー識別子Aやトークン番号TIDAを用いてVeriOWPを計算し、3018DAに入力されたArgOWPとVeriOWPが一致するか判定し、
一致するときにはOTP認証が成功したときの戻り値3021DAを関数の戻り値CTAUとして返し、3021DAを返す前に3022DAを実行するときは実行させる。
また3018DAに入力されたArgOWPとVeriOWPが一致するか判定し、一致しないときにはOTP認証が失敗したときの戻り値3021DAを関数の戻り値として返す。
【0174】
端末3Dは3018DAの関数の戻り値3021DAや3022DAに従って、OTP認証が成功した場合の3021DAを得たとき、有価紙葉18Aをカメラ340Dに提示もしくはNFCタグ19Aを341Dおよび32Dに提示したユーザーUAに対して、アクセス制御装置または始動装置または開閉装置もしくは施錠及び解錠を行う施解錠装置350Dを操作する。
3021DAがOTP認証が成功した場合の値であるとき、端末3Dは開閉や施錠等のアクセス制御を行う部分350Dに対し制御を行い、改札や入場口ではユーザーUAが入場・退場出来るようゲート装置を開閉する。施錠等のアクセス制御を行う部分350Dが建物の扉や自動車のドア、自動車の原動機や電子計算機の始動装置である場合はその施錠を解錠し、装置や施設や設備の利用を可能にする。施錠された部分350Dが金庫など容器であるときは金庫の施錠を解錠する。
【0175】
3021DAがOTP認証が成功した場合の値であるとき、端末3Dは施錠された部分350Dを解錠するとともに351Dや352Dを用いて光や音にてユーザーUAや端末3Dの周囲に解錠ができたことを知らせることができる。
3021DAがOTP認証が失敗し入場できない場合の値の場合、351Dや352Dを用いてOTP認証が失敗した場合の光や音もしくは無線標識を発して認証が失敗したユーザーの存在を周囲に知らせることができる。
さらに防犯カメラ等342Dを利用できる端末3Dでは18Aや19Aを端末3Dに提示したユーザーUAの風貌の撮影などもできる。342Dを用いる用途として大型金庫・金庫室やコンピュータ端末・産業用の加工装置など装置や設備、建物の扉など施錠装置、自動車の施錠装置、改札や入場口(入場口・退場口、入退場口)である。
342Dを用いるのが困難であり、用いないこともある例としては電源の制約やプライバシーに配慮した建物や自動車の施錠装置や入場口であり、電池電源の制約があって342Dの大きさの制約から搭載することが困難な金庫(一部の家庭用金庫、手提げ金庫)など容器の施錠装置や、錠前型の施錠装置(南京錠型、ワイヤーロック型などの小型の錠前)である。
342Dを用いたカメラによる監視は本発明において必須ではないが、改札や入場口など防犯上必要である用途には利用されることが好ましい。
【0176】
端末3Dに施錠を解除する装置350Dがなく、例えば入場口・退場口や改札口がヒトの手で警備され入退場を管理する場合においては3021DAがOTP認証が成功した場合の値であるとき、351Dや352Dを用いて光や音にてユーザーUAや端末3Dの周囲のユーザーや警備を行う者に解錠ができたことを知らせることができる。
また3021DAがOTP認証が失敗し入場できない場合の値の場合も、351Dや352Dを用いてOTP認証が成功した時とは異なる失敗した場合に専用の光や音を発して認証が失敗したユーザーの存在を周囲に知らせることができる。
さらに防犯カメラ等342Dを利用できる端末3DではユーザーUAの風貌の撮影などもできる。
【0177】
ユーザーUAの風貌を記録する防犯カメラ342D(
図8Bの342D)は駅の改札や入場口の入場処理などにおいて必要な機能であって、金庫などの容器に端末3Dを組み込む場合は防犯カメラ342Dは必要ない場合がある。また同じく自動車の施錠や建物の施錠装置に端末3Dを用いる際もプライバシーに配慮して搭載しないこともある。
【0178】
端末3Dはサービスの提供状況をユーザ識別子A及びトークン番号TIDAとサービス提供時刻T、サービスを行った回数3017DA(もしくはサービスを行った回数とそのサービスの価格値、防犯カメラ342Dを用いるときはユーザーの風貌情報)とを対応付けて記録するデータベースもしくは台帳部3116Dを端末3Dを備えることが好ましい。
サービス提供時刻を正しく記録する場合にはJJYやGNSS、NITZ等を受信させ、あるいはヒトの手で端末3Dの時刻を補正する必要がある。端末3Dが電池で動作する場合は、電力の制限から時刻情報が使えないという理由でサービス提供時刻Tの記録を行わない形態も考えられる。金庫などに内蔵する端末3Dは時刻情報が使えない場合もありうる。
【0179】
ただしデータベースまたは台帳部3116Dは家庭用金庫や手提金庫あるいは錠前といった用途に用いる場合は、端末3Dの制御装置・記憶装置の容量と価格などの経済性を考慮して3116Dを搭載しないことがある。
また電子計算機や自動車や建物の施錠装置もしくは金庫等容器に備えられた端末3Dの3116Dの情報から、何回解錠処理・始動処理を行ったか、あるいはどの時刻に何回解錠処理を行ったかを端末1Aの有線通信装置(無線通信装置でも可)を用いて端末3Dにアクセスすることで端末1Aの利用者が知ることができるかもしれない。有線通信のほかに端末1Aと端末3Dの間で暗号化された無線通信を行い3Dの状態や解錠処理の履歴を調べることができる。3116Dといった端末3Dの解錠履歴から1Aのユーザー以外のユーザーがOWPを用いたNFCタグ19Aを用いて不正に解錠されていたかどうかを知ることができる。
端末3Dに紙等による解錠鍵18Aを読み取るカメラが備えられている場合は紙等による解錠鍵18Aを用いて解錠されたかどうかが分かる。
【0180】
端末3Dは改札や入場口の端末として利用される際に、端末3Dがネットワーク20に接続され端末3Aと接続できるとき、端末3Cのウェブサイトへのログイン監視部と同じく不正なアクセスおよび入場を監視する機能を301Cや311Cの内部に備えることもできる。
また3Cや3Dはネットワーク20に接続している場合にノードとなる端末としての装置を備えているときに3Aや3Bと同じくブロックチェーンのノードとなることができ、その際にはブロックチェーンに関する記録部と制御部(300Dや300Cと310Dや310C)を持つこともできる。
【0181】
端末3Dは改札や入場口として利用される際に、3Dが改札や入場口を持つ施設内のローカルエリアネットワークに接続されるとき、
端末3Aのブロックチェーンに関する記録部と制御部と同じブロックチェーン基盤を用いた3Aや3Bに記載されるブロックデータとは異なるブロックチェーン部300Dと310Dを持ち、
前記300Dの内部には、ネットワーク20上で端末1Aが端末3AにアクセスしOWPを生成するのに用いるハッシュ関数fhやシード値KCやBCなどをもつ認証関数3018DAを持つ3008AAに類似の認証コントラクトを備えていてもよい。
端末3AにOTP生成トークンのコントラクト3008AGをデプロイし、端末3Dに3008AGと同じ方法でOTPの計算を行い認証するOTP認証関数3018DAを備えた認証コントラクトをデプロイし前記二つのコントラクトのシード値を同期させ1500Aや18Aや19Aの認証を行い入場などの処理を行ってもよい。
【0182】
<ICタグ等デジタル機器による認証>
NFCタグ19Aは近距離無線通信装置(NFC装置)としてユーザー識別子、トークン番号、パスワードOWPを書き込むことの出来る接触式ICカード、非接触式ICタグ(RFIDタグ)、非接触式ICカード(RFIDカード)が利用できる。
【0183】
NFCタグ19Aは自動車等に使われうる。自動車に対し19Aを用いてリモートコントロールにて自動車に搭載された端末3DにOWP認証情報を暗号化された無線通信により送信し3DでOWPの認証を行い自動車の施錠装置350を解錠しあるいは原動機を始動させる用途に用いる場合、19Aは電池を備え、解錠もしくは施錠またはその両方を入力できる押しボタン等の入力装置を備え、ボタンを押したときに無線にて通信していること(および電池が消耗しているかどうか)を示す出力装置として発光ダイオード等の発光素子を備える。ここで自動車の鍵は19Aの一つの例であり建物の扉や金庫あるいは設備にも利用されうる。
端末3Dが自動車の施錠や始動を管理する端末である場合を例とすると、前記端末3Dは電気自動車のドアの施錠を解除し電気自動車のモータを動作させるモータ駆動回路を制御する端末でもよいし、エンジン車(熱機関を用いる自動車)のドアの施錠を解除しセルモータなど電動によりエンジンを始動させる装置の制御端末でもよいし、エンジンを減速もしくは徐々に停止させる制御を行える電子計算機端末でもよい。モータもしくはエンジンを航続距離や速度に応じて制御する端末3Dであって本発明の認証システムを用いて認証できたときに航続距離や速度上限といった制限をなくすことができてもよい。
【0184】
NFCタグ19Aは電池や入出力装置を備えない形態も考えられる。例として19AはISO14443タイプBに準拠したカード型デバイスまたはタグ型デバイスであることも考えられる。
既知の技術としてISO14443タイプBという非接触ICカード技術では、カード型もしくはタグ型デバイスに通信および電力受信用のアンテナコイルが形成されている。電力の供給は電磁誘導によりNFCタグのリーダー・ライタ―(端末3Dにおいては3Dの通信装置32DもしくはNFCタグの信号受信部341D)からNFCタグ19Aのアンテナコイルを通じてNFCタグ19Aに供給されるので電池を利用しない。
【0185】
NFC19Aは本発明のOTP認証のほかに別途必要な情報を備えていてもよい。具体的にはNFCタグ19Aに秘密鍵101A2を持ち、OWP型のOTP認証を行い自動車のドアの解錠後に原動機始動時にNFCにて通信し端末3Dが101A2を用いてインターネットワーク20と接続し、ブロックチェーンのノード3Aにて、101A2に割り当てられたBnTOTP型のOTPトークンを用いてTOTPによる認証を行い、ウェブサイトへのログインと同じく自動車のオペレーティングシステムにログインすることでを始動させ、自動車を起動させてもよい。前記の場合はネットワーク20に常時接続できることが条件となる。インターネットワーク20に接続される自動車において利用されうる。
自動車がBnTOTP型の認証を行い原動機を始動させる場合に、ネットワーク20が利用できない場合(通信障害や災害等の発生時)においてもユーザーUAがNFCタグ19Aを用いて自動車を動かせるようにする必要がある。そこでNFCタグ19Aに記憶されたユーザー識別子A、トークン番号TIDA、パスワードOWPをもちいてOWP型のOTP認証を行い、予め自動車製造者により設定された航続可能距離にしたがって自動車の走行させるといった制限を与えて原動機を始動させてもよい。
【0186】
NFC19Aは本発明のOTP認証のほかに別途必要な装置や処理部を備えていてもよい。例としてISO14443タイプBとして動作させる装置や、自動車のキーレスエントリーシステムを実現するための無線通信装置および無線信号の暗号化などの処理は用途に応じて別途追加され利用される。
【0187】
本発明において近距離無線通信装置が用いる無線の周波数は本発明では特に制限しない。近距離無線通信装置は既知の無線通信技術によれば130kHz帯、13.56MHz帯、433MHz帯、900MHz帯、2,4GHz帯等を利用できる。無線周波数について具体的には13.56MHz帯を用いて非接触型のICタグ、NFCタグとして利用されるが、13.56MHz以外の無線周波数でもよい。例えば2.4GHz帯を利用してもよい。
NFCにかかわる規格の具体例として13.56MHz帯の規格としてISO/IEC18092、ISO14443タイプA、ISO14443タイプB等がある。2.4GHz帯ではIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers )の802.11系や802.15.1系の既知の無線通信規格がありそれらを本発明で利用することもできる。
【0188】
本発明のNFCタグ19Aは実施形態では13.56MHZ帯と2.4GHz帯が利用されうる。NFCタグ19AはISO14443タイプBに準拠して10cm程度の距離で3Dの通信装置32Dおよび341Dと通信できる。しかしNFCタグ19Aが無線パーソナルエリアネットワーク(無線PAN、Wireless Personal Area Network)を用いる場合は通信距離は10cmを超えることもある。
【0189】
NFCタグ19Aがウェアラブルコンピュータ(Wearable Computer)端末に含まれていてもよい。もしくは19Aの機能をもつウェアラブルコンピュータ端末であってもよい。
例としてコンピュータ端末1Aとウェアラブルコンピュータ端末1BとNFCタグ19Aがあるとき、
NFCタグ19Aがウェアラブルコンピュータ端末1Bの16Bの外部記憶装置として接続され、16Bの代わりに19Aが12Bと接続され、
NFCタグ19Aの記憶装置に端末1Aが通信装置1Bを介してアクセスし、
OWPを用いた認証に必要なユーザー識別子、トークン番号、パスワードOWPを書き込む事が出来てもよい。
もしくはウェアラブルコンピュータ端末1Bがインターネットワーク20を介してサーバ端末3AにアクセスしOWPを生成した後、
前期パスワードOWP、ユーザー識別子、トークン番号を書き込むことが出来てもよい。
【0190】
本発明で用いるウェアラブルコンピュータ(wearable computer)端末の種類(利用用途及び形状)に制限はないが主に腕輪型および腕時計型(腕輪もしくは型端末であるスマートウォッチにNFCタグ19Aの機能が備えられたもの)、指輪型(指輪もしくは指輪型端末にNFCタグ19Aが備えられたもの)、ベルト型(ベルトにNFCタグ19Aが備えられたもの)、衣服型(衣服にNFCタグ19Aが貼り付けもしくは編み込まれたもの、縫い付けられたもの)、靴型(履物の表面にNFCタグ19Aが備えらたもの、もしくは靴のインソール部分にNFCタグ19Aが備え付けられたもの)などである。
【0191】
例として、ヒトの頭部に関係するウェアラブルコンピュータとして帽子型・ヘルメット型、眼鏡型・ヘッドマウントディスプレイ型、補聴器・イヤホン型、マスク型、装身具型(ペンダント、首飾り、懐中時計型など)があり、装身具の例として社員証などの身分証となるNFCタグ19Aを入れたカードケースをペンダントのように身に着けるストラップを組み合わせた身分証型ネックストラップがある。
ヒトの手に関係するウェアラブルコンピュータとしてブレスレット型、腕時計型、手袋・グローブ型の19Aがある。
ヒトの足に関係するウェアラブルコンピュータとしてアンクレット型、靴下型、履物のインソール型、履物の表面にNFCタグ19Aを備えた履物型の19Aがある。
ヒトの衣服に用いる衣服型や身体の一部に巻くことで身に着けることができベルト型の19Aがある。身体の素肌や衣服に張り付けるシールもしくはテープ型の型のNFCタグ19Aでもよい。
【0192】
ウェアラブルとは言えないが身に着けられる装置という観点から見た場合にNFCタグ19Aを備えたスマートフォン型やタブレット型の携帯型コンピュータ端末4Aでもよいし、社員証でもあるNFCタグ19Aや財布型NFCタグ19A、鞄型NFCタグ19Aでもよい。19Aをある装置やモノの内部に搭載することで認証に利用できる。もしくは粘着性のテープや接着剤を備えたNFCタグ19Aをある装置やモノの表面に張り付けられたNFCタグ19Aとして利用できる。
(例として紙のチケット18Aに、18Aと同じ情報を記録させたシール型・フィルム型19Aを粘着性のある両面テープや接着剤で張り付けることで、ヒトの目による目視、カメラによる読み取り、NFCによる読み取りに対応した紙のチケットを製作できる。)
【0193】
ウェアブルコンピュータ端末は電源装置に電池を用いなくてもよいし、一次電池を用いてもよいし、充電可能な二次電池を用いていてもよい。充電については充電元からの有線による充電でもよいし、ワイヤレス電力伝送によって充電してもよい。端末に備えられた環境発電機能を用いて充電できてもよい。
【0194】
NFCタグ19Aは電源装置に電池を用いなくてもよいし、一次電池を用いてもよいし、充電可能な二次電池を用いていてもよい。充電については充電元からの有線による充電でもよいし、ワイヤレス電力伝送によって充電してもよい。19Aに付属の環境発電機能を用いて充電できてもよい。
【0195】
NFCタグ19Aは記憶装置に記録したパスワードOWP、ユーザー識別子、トークン番号を消去しすることができる。そして最新のパスワードOWP、ユーザー識別子、トークン番号を記録してもよい。
ただしNFCタグ19Aがサービス提供者に配布される形式の場合は記録装置の内容の書き換えを禁止してもよい。
【0196】
<有価紙葉18Aの製造>
18Aの製造に関してはユーザー識別子A、トークン番号TIDA、パスワードOWPを認証に用いるとき、識別子A、トークン番号TIDA、パスワードOWPを区切り文字などを添えつつ連結して二次元バーコードもしくは複数の一次元バーコードに変換し紙に印刷する。この時、紙にはバーコードのほかにバーコードに変換する前の文字列データを可読可能な状態でバーコードと共に印刷してもよい。
またバーコードの内容はサービス提供者のみが復号する鍵を知る形で暗号化していてもよい。実施例では特許2938338等に記載の二次元バーコードを用い、紙のチケットのバーコード部分を形成し、レーザープリンターもしくはインクジェットプリンターにて印刷し、紙のチケットを製造した。
【0197】
18Aの印刷に用いるプリンタ152Aの印刷方式やメディアとなる紙などの種類は問わず、バーコードがカメラやスキャナを用いてユーザー識別子A、トークン番号TIDA、パスワードOWPとして読み取れることが必要である。152Aがサーマルプリンタの場合は紙は感熱紙などを用いネットワークと接続された現金自動預け払い機ATMなどの感熱紙を利用する装置においても本発明の紙製チケットを印刷、印字して製造することもできる。また店舗などに備え付けのネットワークと接続された複写機や電話回線網と接続されたファクシミリにおいても、チケットの印刷データを記録した外部記録装置を接続しチケットデータを読み込むことができれば印刷可能である。
チケットデータを店舗などに設置されたコンピュータとしての機能を備える複写機やファクシミリ等で暗号化されたネットワークを通じてインターネット経由でチケットを発行し、またはユーザーが店舗の装置に持ち込んだ外部記録装置からデータを読み込んで印刷してもよい。
【0198】
<デジタル機器が無い、または使えない環境への対応>
OWPを用いる利用例(主に
図8Bの利用例)において、デジタル機器を持たないユーザーに対してはトークンの発行をサービスを行う法人や発券を行う法人等が有価紙葉18AもしくはNFCタグ19Aの製造をユーザーの代わりに行い、ユーザーへ18Aをファクシミリや郵送にて送付できる。また19Aを郵送配達できる。18Aや19Aを送付された顧客は端末3Dの備えられたサービス提供窓口や装置を18Aや19Aを提示することで利用できる。
【0199】
例として、顧客がインターネットワーク20とコンピュータ端末1A、端末1Aに接続できるプリンタを持たず電話回線とファクシミリ装置のみを備える場合には、サービスの提供者が秘密保持を約束し、顧客のパスワードOWP等の本発明の紙チケット作成に必要なデータを顧客から問い合わせて、顧客のファクシミリ番号を基にチケットデータを送付しファクシミリにて紙のチケットを出力することもできる。
【0200】
<デジタル機器がない時の18Aや19Aの作製依頼>
ユーザーがデジタル機器を持たず装置1Aやプリンターを持たない顧客の場合には、顧客のトークンを管理することの出来るサービスの提供者が郵送や電話などで契約する。ここでサービス提供者(またはサービス提供者とは独立したトークン保管会社)がユーザーの秘密鍵の文字列、ユーザ識別子等を信書にて送付してもよい。そしてチケットの販売とトークンの交付の秘密鍵への発行をサービス提供者が行い、サービス提供者(またはサービス提供者とは独立したトークン保管会社)はユーザーがトークンのパスワードOWP等を印刷した紙のチケットのデータを作成し、ユーザのファクシミリ番号に送信し、ユーザーのファクシミリで紙のチケットを製造できる。ファクシミリがなく電話番号のみの場合は郵送または手渡しにて紙チケット(もしくはICカードやICタグ式のチケット)を信書の形で渡す。
(トークンがチケットの場合は、トークンおよびそこから生成されるパスワードOWPを印刷した紙は有価物でありそれを管理する資格が必要になる恐れがある。また秘密鍵をサービス提供者とユーザーの間で共有することになりうる場合も資格が必要になる恐れがある。)
【0201】
具体的に説明する。サービス提供者の端末3Dに提示する18Aや19AをユーザーUA入手したいとき、ユーザーUAが端末1Aや4Aなどを持たず、電話回線も持たず、ネットワーク20とも接続できない時がありうる。前記の場合、ユーザーUAは秘密鍵101Aを信頼できる第三者UBに発行させ、その第三者UBに秘密鍵101Aを信託させ、101Aの保管と運用を依頼し、さらにサービスに対応したトークン番号TIDAのOTPトークンを101Aのユーザー識別子Aに当てて発行させる。
そして第三者UBは前記ユーザー識別子Aに発行されたOTPトークン用いてサーバ3AのブロックチェーンにアクセスしOTP生成関数からOWPを取得し18Aや19Aを製造してユーザーUAの指定する住所や指定する場所へ郵送配達してもよい。郵送配達する際に19Aや18Aと共に101Aを記録した信書を添付してもよい。第三者UBが店舗でユーザーUAに直接18Aや19Aを提供してもよい。(この運用形態は技術的な問題はないが、秘密鍵101Aを信託できる第三者UBは法令で規制され資格が必要となるかもしれない。)
【0202】
また、第三者101Bがユーザー識別子Bを名義としてトークン番号TIDAのOTPトークンを発行し、前記トークンのOWPから18Aや19Aを発行しユーザーUAの指定する住所や指定する場所へ郵送配達してもよい。第三者UBが店舗でユーザーUAに直接18Aや19Aを提供してもよい。(この運用形態も技術的には問題はないが、ユーザーUAのトークン番号TIDAのOTPトークンを預かる第三者UBは法令で規制され資格が必要となるかもしれない。)
【0203】
1500Aを表示することの出来る1Aを、有価紙葉18AやNFCタグ19Aを郵送配達することの代わりに郵送配達配布できる。端末1Aといった装置を持たないを持たない顧客が、電話や店舗での会話を基に第三者UB(ここでは通信会社やコンピュータまたはスマートフォン製造販売会社を含む)に端末1Aの購入と何かに基づくOTPトークンの購入を同時に契約し、第三者UBは1500Aを表示できる端末1AをユーザーUAに販売し、1500Aを表示できる端末1AをユーザーUAの住所や指定する住所もしくは店舗の窓口での直接渡してもよい。
【0204】
<店舗における発券装置>
ネットワークと接続された現金自動預け払い機ATM端末や印刷装置の備え付けられた端末が設置される店舗(例としてコンビニエンスストア等)にて、デジタル装置を持たないユーザーに対してOTPトークンの購入及び発行とチケット等有価紙葉18Aの製造ができてもよい。
具体的には店舗などでチケットなどの料金の支払いが行われた後に顧客情報(OTPトークンの発行先であるユーザー識別子A)を入力しブロックチェーンへの秘密鍵101Aやユーザー識別子Aの文字列情報、パスワードOWP等の紙チケットに必要な文字列およびバーコード情報を紙のチケットを印刷しユーザーに出力する。
次回に再度その端末を使ってチケットを作る場合は、端末のカメラもしくはスキャナにユーザー識別子Aの情報が記録された紙や端末1Aのディスプレイ部分をバーコードの形で読み込ませるか手入力してトークンの発行先のユーザー識別子を指定して新たなチケットのトークン発行を行う。
(なおATM端末がユーザーUAを識別できOTPトークンを発行するユーザー識別子Aが決まっている場合にはATM端末が備える顔認証などの生体認証手段をもちいてOTPトークン及び18Aを発行することもできる。ただしその場合は生体認証を用いるのでだれがどのサービスに対応するOTPトークンを利用しているか分からないよう配慮し、個人情報の匿名化などを行う必要があるかもしれない。)
【0205】
ここでサービス提供端末の処理の自動化・高速化を行い、入退場口や改札で取り扱いできるチケットの処理数を増やすという観点からは、秘密鍵101Aとユーザー識別子Aといった情報をカメラ・スキャナ等430Dで撮影する方式よりは、ICカードに記録しNFCタグ19Aなどを用いて無線通信を用いて非接触で行える事が好ましいかもしれない。ICカード19Aにはクレジットカード、デビットカード、プリペイドカードなどの決済に関する機能を備えていてもよく、非接触にて決済できるNFCを用いるIC式クレジットカード等でもよい。19Aが個人番号カードのようなNFCをもちいた身分証カードでもよい。
【0206】
19Aは秘密鍵101Aを記録していてもよい。ただし、19Aに秘密鍵101Aを記録する場合には店舗や店舗内の他の顧客、あるいはNFCを介してに秘密鍵101Aが漏洩しないことが必要である。19AをPINにより暗号化することで秘密鍵101Aを暗号化して記録させ、101Aを他者に読み取られないようにする事が必要である。
【0207】
そこでICカード19AもしくはNFCタグ19Aに秘密鍵101Aは搭載せず、秘密鍵から公開鍵を経て生成されるユーザー識別子Aのみを搭載する方法も考えられる。この場合は紙等にブロックチェーン基盤の形式に沿って生成させた秘密鍵101Aとユーザー識別子Aを記録させ、ユーザー識別子AのみをICカード発行装置または発行会社にバーコードの形で読み取らせ、ユーザー識別子Aを記録したクレジットカード・プリペイドカード機能を持つICカード等19Aを発行し、これを用いて店舗等のATMもしくはそれに類する端末においてOWPを生成するOTPトークン発行と、OTPトークンによるパスワードOWPを含む紙のチケット等有価紙葉18Aの印刷及び発券が、非接触ICカードを端末にかざして端末からアクセスさせた後に入力画面から行えるようになる。
チケットに限らず紙の券など有価紙葉18Aの形で本発明の認証を用いてサービス、役務の提供ができるものであれば適用できる。
【0208】
<有価紙葉18AとNFCタグ19Aの利用と用途>
有価紙葉18Aに記録される二次元バーコードはカメラなどを用いたスキャンを行いサービス提供者がカメラを用いてバーコードからユーザー識別子A、トークン番号TIDA、パスワードOWPの3つの変数を検出し、前記3つの変数を端末3Dに入力し端末3Dに内蔵された認証関数3018DAを用いて認証する。
あるいは端末3Dがネットワーク20を介してノード端末3Aに接続できるときは前記3つの変数をウェブアプリなどに入力し、ウェブアプリからブロックチェーンのコントラクトに問い合わせを行い認証関数3018Aに3つの引数を入力する。
ここで端末3Dにおいて3018DAもしくは3018Aの認証関数によって認証処理を行い認証する工程において、二次元バーコードを用いる理由は二次元バーコードをカメラなどで認識させ3つの認証用変数の入力を端末3Dに行わせることで認証結果を得られるように自動化(および高速化)するためのものである。
【0209】
文字列のみを記した18AをA4紙サイズのイメージスキャナ装置にてスキャンし、そのスキャンされた情報から文字列を画像認識し、ユーザー識別子A、トークン番号TIDA、パスワードOWPを識別できれば二次元バーコードが無くとも端末3Dに入力することができうる。
【0210】
サービスを提供しなければいけないユーザーの総数が少ない場合には、バーコードが無く、文字列のみ書かれたチケットを提示されたとしても、対応するサービス提供者の労働力が十分であればヒトの手作業でユーザー識別子A、トークン番号TIDA、パスワードOWPを端末3Aや端末3Dの認証関数の引数に代入させ認証することができる。(また二次元バーコードの印字部分が読み取れなくなってしまった紙のチケットに対しても文字列が併記されていればサービス提供者の手で認証作業ができる。)
【0211】
有価紙葉18Aに印刷の形でユーザー識別子A、トークン番号TIDA、パスワードOWPといった情報を記録することができほか、磁気ストライプを18Aに備えさせ、18Aの磁気ストライプにユーザー識別子A、トークン番号TIDA、パスワードOWPを保存してもよい。同様にカード型のNFCタグ19AまたはNFCカード19Aにも磁気ストライプを備え、ユーザー識別子A、トークン番号TIDA、パスワードOWPといった情報を記録してもていてもよい。
【0212】
端末3Dが建物の扉や自動車の施錠装置もしくは金庫など容器の施錠装置であってその装置の利用者であるユーザーUAのユーザー識別子Aや施錠装置端末3Dの製造番号やシリアル番号等に対応するOTPトークンのトークン番号TIDAを端末3Dに記録してもよい。
【0213】
端末3Dの記憶装置30DにユーザーUAのユーザー識別子Aやトークン番号TIDAを記録させ、それを用いて、3018DAを用いて認証処理を行う前に入力されたユーザー識別子情報やトークン番号と一致するか調べることで、本来利用されるべき30Dに記録されたユーザーUAのユーザー識別子もしくはトークン番号のOWPのみを受け付けるようにすることができる。
【0214】
端末3Dの記憶装置30DにユーザーUAのユーザー識別子Aやトークン番号TIDAをユーザーUAが端末3Dに記録させ、それを用いて、3018DAを用いて認証処理を行う前に入力されたユーザー識別子情報やトークン番号と一致するか調べることで、OTPトークンがユーザーUBからUAに譲渡されたとしても、譲渡前のユーザーUBの知るユーザー識別子Bとトークン番号TIDAとOWPから作成されたNFCタグ19Aでは解錠できなくなるようにする事もできる。
【0215】
建物の扉や金庫などの容器を解錠した際に端末3Dにアクセスできる通信装置32Dの有線通信端子があって、32Dを介して有線通信によりユーザーUAの端末1Aからユーザー識別子Aやトークン番号TIDAを端末3Dの記録部30Dに記憶させた後、端末3Dにユーザー識別子Aやトークン番号TIDAとパスワードOWPを記録させたNFCタグ19Aをかざし、19Aに記録されたユーザー識別子Aとトークン番号TIDAとパスワードOWPを30Dに記録されたユーザー識別子Aやトークン番号TIDAと照合し、ユーザー識別子Aまたはトークン番号TIDAが30Dに記録された値と一致する場合には認証関数3018DAを動作させ、ユーザー識別子Aとトークン番号TIDAとパスワードOWPを3018DAを用いてOWPが正しいか検証し、正しい場合には施錠を解錠させる。
前記32Dの有線通信端子からユーザー識別子やトークン番号を自由に設定でき、前記有線通信端子を備えた端末3Dを備えた解錠された金庫などをユーザーUAがUBに譲渡した場合はトークン番号TIDAのトークンをUBの端末1Bに譲渡し、UBは解錠された金庫の有線通信端末部分を用いてユーザー識別子Bとトークン番号TIDAを設定することで、ユーザー識別子Bとトークン番号TIDAと前記BとTIDAより生成されたOWPを用いて端末3Dを解錠するようにできる。ここで端末3Dは元の持ち主であるユーザーUAのユーザー識別子Aは受け付けなくなりユーザーUAの端末1Aの保有する(記憶する)OWPは利用できなくなる。
【0216】
端末3Dの30Dに記録されたトークン番号は認証関数3018DAを動作させるための施錠装置では防犯上、トークン番号は施錠装置の製造番号に対応していてもよい。
その例として自動車の場合には自動車の製造番号とトークン番号を対応させ、端末3Dの記憶装置32Dの一度しか書き込めないROMに自動車製造番号と対応したトークン番号を記録させ、ROMに記録されたトークン番号を読み出して3018DAの認証関数の引数のトークン番号として常に利用させるようプログラムしてもよい。
ここでROMは端末3Dの記憶装置32Dとして原動機や自動車を制御する端末として一体化され樹脂などで封止・封印し悪意のある攻撃者によってROMの情報やROMそのものを取り換えられないようにする事が好ましい。OTPトークンのトークン番号と自動車の製造番号が常に一致することで自動車の流通管理や防犯に役立つかもしれない。
【0217】
端末3Dは施錠された装置に組み込まれている場合、施錠を解錠してアクセスできる部分に通信装置32Dまたは入力装置や出力装置を備える。3Dの記憶装置にはユーザー識別子、トークン番号、シークレット変数KCやBCが記録されており、施錠を解錠してアクセスできる部分に通信装置または入力装置からユーザー識別子、トークン番号、シークレット変数KCやBCを書き換えることができると好ましい。
【0218】
端末3Dは施錠された装置に組み込まれている場合、施錠を解錠してアクセスできない部分(金庫においてはテンキー式、プッシュ式金庫などのキー入力ボタンの設置面)にNFCタグ19Aとの通信装置(またはカメラによる読み取り装置)及び出力装置を備えてもよい。
【0219】
本発明のNFCタグ19Aと端末3Dによる施錠装置は既知の施錠方式と組み合わせてもよい。具体例として本発明を金庫に用いる場合は本発明のNFCタグ19Aと端末3Dによる施錠と、ダイアル錠または鍵とシリンダー錠を用いた施錠方式、またはテンキー式プッシュ式ボタンによる暗証番号結果を用いる施錠方式、または端末3Dに生体認証センサを用いた生体認証を用いる施錠方式を組み合わせてもよい。金庫のみならず他の実施形態においても既知の施錠方式と組み合わせてもよい。
例として自動車においても金属製の鍵と組み合わせてもよい。その場合自動車の金属製の鍵では原動機始動後の航続可能距離の設定を行い、NFCタグ19Aを用いたときのほうが金属製の鍵よりも航続可能距離が長くなくなる、もしくは航続可能な距離の制限がなくなるなどの措置をとってもよい。
ネットワーク20に接続できる場合にはBnTOTPによるウェブサイトへのログインのような認証ができたときに航続距離の制限を無くし19Aで施錠を解錠した際には例として100kmの走行を許可し金属製の鍵で解錠した際には50kmの走行を許可するといった設定も考えられる。
【0220】
用途の例として自動車や金庫の施錠のみならず飛行機、船舶、農業機械、林業機械、重機の施錠に用いてもよい。建物の扉、保管庫や倉庫の施錠、加工装置・産業設備・電子計算機端末の施錠及び始動装置に用いてもよい。アクセスコントロールを行うための端末3Dを組み込める機械や装置または施設や設備と容器に対し利用されうる。
【0221】
<IC型タグ型の解錠鍵とそれを用いて解錠される建物及び設備>
建物や金庫室、自動車等の電源を備える物に対し、本発明の ICタグ等デジタル機器による認証システムを利用し、端末3Dは防犯カメラなど入出力装置や記憶装置を多用し解錠するユーザーを監視しつつ解錠操作をユーザーに行わせることができる。端末3Dの電源に容量の限られる電池を用いる場合、例えば家庭用金庫や手提金庫や錠前に電池を備える場合その電池容量によって運用に制限が生じうる。
なお端末3Dが金庫などの容器である時を例にすると、端末3Dの電源装置37Dに電池を用いて駆動されるときは一次電池及び二次電池といった蓄電装置を用いることができる。二次電池を用いる場合は施錠された部分を解錠して端末3Dにアクセスできる部分に充電することの出来る充電用端子やワイヤレス電力伝送によって充電できる部分を備えていてもよい。あるいは施錠された端末3Dを持つ金庫の庫内にアクセスできない場合であってもワイヤレス電力伝送によって施錠された面から内部の端末3Dに充電してもよい。そして端末に接続されるハンドル式の手回し発電などの発電機能や環境発電機能を用いて充電できてもよい。
さらに端末3Dに充電のみ行う機能を持つ端子を施錠された面(アクセス制御されていない面)に備えてもよい。端末3Dに充電のみ行う機能を持つ端子を施錠された面に備える場合は充電端子に交流の電力や高電圧などを印加されたとしても端末3Dの動作に影響しないようにする保護回路を充電機能と共に持たせた電源装置37Dを持たせてもよい。
【0222】
ここで建物や自動車等設備の錠と錠を制御する端末3Dはネットワーク20に接続できていると好ましい。ネットワーク20経由で端末3Dの認証関数3018DAのOWP計算を行うKCやBCを変更できるためである。KCやBCは建物等の定期検査や自動車の車検時などに変更されていもよい。錠を制御するコンピュータ端末3Dのシード値と鍵19Aに用いるOWPを生成するワンタイムパスワード生成トークンのシード値が合うように運用される。
【0223】
<インターネットワーク20から切断された端末3DにおいてOTP認証を行う手段>
ネットワーク20に接続できなくとも、ブロックチェーンのブロック番号Bnを放送できる地上局や人工衛星局(例として人工衛星型端末である放送局端末5C)があって、放送局端末5Cからのブロック番号Bn(もしくはブロックタイムスタンプ)またはBC値や暗号化されたKC値などの放送データを端末3Dと端末1Aが受け取り、端末1Aと端末3Dの間でBnTOTP型およびOWP型の認証を行ってもよい。この場合は端末1AにOTP生成関数3009Aに相当する関数を利用できるソフトウェアがあり、端末3DにはOTP認証関数3018DAが備えられている。 ブロック番号Bnが放送されている場合、放送を受信できる地域にある錠を制御するコンピュータはブロック番号ベースのワンタイムパスワードBnTOTPにて認証を行い施錠を解除することや装置を駆動することが可能となる。
【0224】
端末1Aと端末3Dがブロック番号BnもしくはBCを用い、端末3Dや端末1Aに記録された鍵情報を用いてKC値を復号し、BnTOTP=fh( A, TIDA, KC, Bn)またはOWP=fh( A, TIDA, KC, BC)を端末1Aにて生成させ、端末1Aと端末3Dの通信装置を介して端末3DにAやTIDAとOWPまたはBnTOTPを入力し、3Dの認証関数3018DAの引数として入力させることでOWPの検証および認証を行う余地がある。
【0225】
NITZ,JJY、GNSS、ラジオ局、テレビジョン放送局からの時刻信号など、無線局からブロック番号や時刻情報および暗号化されたKC値を得ることも想定される。ユーザーはスマートフォン端末1Aを保有しているが自動車などには必ずしもスマートフォンと同等の通信機能を搭載できないことも想定されるので自動車側はGNSSやJJY等から時刻情報を得ることができてもよく、それを端末3Dに通信装置を用いて伝えてもよい。GNSSなどの時刻情報を用いる場合、GNSSの時刻情報データTmに基づいてワンタイムパスワードに利用することも考えられる。その場合ワンタイムパスワード生成及び認証時にBnTOTP=fh( A, TIDA, KC, Bn)をTOTP=fh(A,TIDA,KC,Tm)に変えることが必要となる。
しかし、GNSSやJJY、NITZといった放送局もしくは無線通信局から得られる時刻Tmを用いる場合であってもユーザー識別子Aやトークン番号TIDAは必要である。
OTPトークンは原則として端末3Aなどのブロックチェーンのノードに接続することでOTPトークンの発行や譲渡等とOTP生成関数を行うことが本来の運用方法である。
【0226】
<時刻情報受信機付きワンタイムパスワード施錠設備>
また設備に本発明のワンタイムパスワード認証機能を採用する場合にも設備内の施錠装置に付属する電池などの消耗を抑える必要がある。常時ネットワークに接続するのは電池の容量上困難であり、その場合は施錠を解除する設備内の放送受信機とコンピュータ端末を動かし、GNSSなどの時刻データや無線局のブロックチェーンのTBに関するデータ、例えば先に述べたブロック番号Bnをデータ放送により端末1Aを含む複数の端末に伝え、端末1Aにブロック番号Bnを受信させ端末3Dに伝える形で、BnTOTP型のワンタイムパスワードの認証を行わせることができる(ただしKC値の更新は手動による更新または放送データにより更新する必要がある)。
【0227】
<ワンタイムパスワード取得時のブロック番号Bnpを認証関数の引数に追加する場合>
GNSSなどの時刻データの送信局や通信装置を持たない場合においてもワンタイムパスワードBnTOTPを利用する方法がある。
ブロック番号Bnに基づくワンタイムパスワード認証関数にはトークン番号TIDA、ワンタイムパスワードBnTOTPの二つが少なくとも必要である。認証関数3018DAを備え認証処理を行う処理部を含む建物設備等の施錠装置や入場窓口等装置について、インターネットワーク20やGNSS等からのブロック番号Bnや時刻情報を受信できない場合が考えられる。
【0228】
インターネットへの通信やGNSS等からのブロック番号や時刻情報を受信できない場合に対応するため、ワンタイムパスワード生成関数にてワンタイムパスワードBnTOTP=fh( TIDA, KC, Bnp)として生成した際に、パスワード取得時のブロック番号Bnp、トークン番号TIDA、ワンタイムパスワードBnTOTPを有価紙葉18AもしくはNFCタグ19Aにバーコードもしくは文字列情報として記録させる。
18Aのバーコードの場合は3Dのカメラ等340Dで読み取り、NFCタグ19Aの場合は19Aの3Dの通信装置32Dや341Dにて読み取り、文字列の場合はキーボード等を施錠された設備にコンピュータの入出力装置として備え、出力装置のディスプレイ等で認証関数に用いる引数の入力を求める。
認証関数3018DAに Bnp、TIDA、BnTOTPを入力し、それら引数が認証関数で検証され引数に入力されたBnTOTPと認証関数で計算されるワンタイムパスワードと一致した場合に、認証結果が正しい時の戻り値をコンピュータ端末3D内部の解錠に用いるプログラム(解錠プログラム)の認証関数3018DAに渡し3018DAにて認証した結果、正しいBnTOTPとTIDAとBnpの場合に施錠装置に解錠の信号を送付し施錠を解除する。
【0229】
なお、ここでBnTOTP=fh( TIDA, KC, Bnp)として生成した場合について述べたが、ハッシュ関数fh( TIDA, KC, Bnp)の引数にユーザー識別子Aを加えBnTOTP=fh( A,TIDA, KC, Bnp)として計算し、紙18AやNFCタグ19Aなどにユーザー識別子A、ブロック番号Bnp、トークン番号TIDA、ワンタイムパスワードBnTOTPとして出力し記録させ、それら18Aと19Aを端末3Dへの認証に用いてもよい。認証関数3018DAに Bnp、A,TIDA、BnTOTPを入力させ、認証を行なってもよい。18Aの代わりにBnpも記録し表示する1500Aを用いてもよい。
【0230】
BnTOTP=fh( TIDA, KC, Bnp)やBnTOTP=fh( A,TIDA, KC, Bnp)として計算する場合、Bnpの値でのブロック番号ではOTPトークンはユーザー識別子AのTIDAによりOTP生成が行われたことが分かるが、そのBnpの番号が最新のブロック番号Bnよりも著しく小さく古いブロック番号値であって、ユーザーがOTPトークンを誰かに譲渡する前に、過去のBnpの時にBnTOTP=fh( TIDA, KC, Bnp)やBnTOTP=fh( A,TIDA, KC, Bnp)として計算しユーザー識別子A、ブロック番号Bnp、トークン番号TIDA、ワンタイムパスワードBnTOTPを出力させ18Aや19Aを製造した後、譲渡制限の解除されていたOTPトークンを譲渡していたとする。
この場合譲渡後のユーザーUAはOTPトークン(OTPトークンというアクセス権もしくはブロックチェーン上での自動車の鍵や所有権情報)が無いにもかかわらず自動車などの施錠が解除出来る恐れがある。そこで前記方法を用いる場合は、GNSSなどの時刻情報Tmや放送されたブロック番号BnとBnpが、BnTOTPを生成した推定時刻Tpについて、ある閾値Lを基に比較を行い、TmとTpの差分がLよりも大きい時、または放送されるBnとBnpの値が閾値Lよりも大きい時、そのBnp値とBnTOTP値による認証を受け付けないよう認証関数3018DAや端末3Dの記録部にプログラムとして保存できる。
また端末3Dの内部にGNSSで受信した時刻情報を記録する書換回数の多い不揮発メモリ(フラッシュメモリや強誘電体メモリ、磁気抵抗メモリ、相変化メモリ、抵抗変化型メモリといった不揮発性のメモリ)を端末3Dの記憶装置に内蔵し、前記抵抗変化メモリや強誘電体メモリといった読み書き回数の多い不揮発メモリをGNSSの時刻情報の記録装置に用い、悪意ある攻撃者が端末3Dの時刻情報を記録したメモリ部分の情報にアクセスし改ざんできぬよう封止等を行うことが求められる。
【0231】
<ユーザー識別子もしくはトークンごとに異なるマッピング型シークレット変数KCAを設定する場合>
ネットワーク20に接続されていない設備に内蔵された端末3Dのシークレットキー変数KCは更新を行う場合、ユーザーもしくはサービスの提供者が端末3Dの無線及び有線通信装置にアクセスして個別にKC値を更新する必要がある。放送による時刻情報およびKC値の受信やネットワーク20に接続ができない端末3Dの場合コントラクトのオーナーは任意の時刻に変更することは困難である。
コントラクトに含まれるOTPトークンとOTPトークンに対応する全ての施錠用端末3Dに単一のKC値を使っていた場合、KCの情報が漏洩した場合には、オフラインの施錠装置全てのKCを個別に書き換える必要が生じる恐れがある。
これを防ぐには、KCについてトークン番号やユーザー識別子に応じて複数の値を設定することが想定できる。例としてトークン番号TIDAに固有のシークレットキー変数KCAを設定することが可能である。具体例としてトークン番号TIDAをキーとするマッピング型変数KCA[TIDA]等がある。またマッピング型以外にもTIDAをキーとしてKCAを設定できる型であればよい。
OTP生成及び認証においてハッシュ関数fh( TIDA, KC, Bn)の引数KCをKCAに置き換え、BnTOTP=fh( TIDA, KCA[TIDA], Bn)としてOTPの生成と認証に用いてもよいし、BnTOTP=fh( A,TIDA, KCA[TIDA], Bn)のようにユーザー識別子を追加してもよい。OWP=fh( A,TIDA, KCA[TIDA], BC)でもよい。
トークンごとに異なるKCAを設定する場合の注意点としてブロックチェーンのコントラクトに発行したトークンの数量に応じてシークレット変数KCAを記録しなければならない。これはブロックチェーン上に多くのトランザクションを生成させ、ブロックチェーンのデータ総量を増大させる恐れがある。
BnTOTP=fh( A,TIDA, KCA[TIDA], Bn)のようにユーザー識別子を追加してもよい。OWP=fh( A,TIDA, KCA[TIDA], BC)の形態は端末3Dでの利用例に限らず本発明の他の実施形態でも利用できる。例として端末3Cへのアクセスにも用いることができるほか端末4Aにおける暗号化データをソフトウェア403Aを用いて復号する用途にも用いられる。KCと同じくトークン番号をキーとしたマッピング変数KCAもコントラクトの管理者がセッターとなる関数を用いてOTP生成関数やOTP認証関数の計算に利用する或るトークン番号のKCA値を変更・更新してもよい。
【0232】
<シークレット変数KCを更新することの出来るオフライン型施錠装置>
KCの更新においては、建物や設備の施錠に用いる本発明の認証システムを備える端末3Dに接触型または非接触型の通信装置を備えさせ、施錠装置を操作する端末3D内部にKCを更新させる情報を入力させることが考えられる。ここで更新作業を行うのは施錠装置を購入したユーザーを想定する。ユーザーの端末1A等により施錠装置とそのコンピュータ端末3Dにアクセスし3Dの製造元から配布されたKC値(暗号化され配布されたKC値をインストールするなどして)を更新する方法が考えられる。
【0233】
<ユーザー識別子AのないOWPトークン>
BnTOTP型のトークンではユーザー識別子AがOTP計算を行うハッシュ関数の引数に無い場合はBnTOTP=fh( TIDA, KC, Bn)であり、前記BnTOTP=fh( TIDA, KC, Bn)はBnが15秒などの定期的な間隔で更新されるので利用は可能である。それに対しOWP型のトークンでユーザー識別子Aがハッシュ関数の引数にない時はOWP=fh( TIDA, KC, BC)の内BCがコントラクトの管理者等により定期的に変更されなければOTPトークンの流通時にOWP値が多くの人に知れ渡ることが想定される。
本発明でOWPを生成する場合にユーザー識別子を利用しない場合の危険性を認識したうえで識別子Aを一切利用しないケースも考えられる(つまりユーザー識別子は含まずトークン番号のみでワンタイムパスワードの生成と認証を行う本発明の実施例)。サービス提供者の望みに応じては個人情報保護のためユーザー識別子Aは使わずトークン番号TIDAのみ利用し、譲渡され流通する中でOWPが漏洩する形で本発明が提供されることもあるかもしれない。
この場合本発明の紙製チケットの所持者は改札や入場窓口の人員の助けを借りブロックチェーン上での所有を確認できなければなければ入場できないが、サービス提供者が規約などで許可しトークン流通の途中でOWPを知ったものにサービスを提供すると契約している場合には、入場あるいはサービスを受けることが出来る(この時、トークンはチケットもしくは回覧板、広告の散らしのようなものであり、そのクーポンコードOWPcpを複数のユーザーが回し見て、ユーザーたちがOWPcpをサービス提供者の店舗などに提示し特典を受けるサービスを想定する。あるいは試供品や試し読みなどの用途への利用を想定する)。
本発明はサービス提供者とユーザーの間で認証し合意してサービスを行うことに役立てる事を意図したものであるので、OWPが漏洩しやすくなる条件であってもサービス提供者の望みに応じて提供される。またカスタマイズされうる。
一方でサービス提供者はブロックチェーン上のコントラクトを利用する際にユーザーに提供する変数のうちトークン番号やユーザー識別子などユーザーに帰属する情報のうちどのような変数を利用しているか開示し表示する必要がある。
【0234】
なお本発明は認証装置としての端末3Dに関してであり、認証装置ではなく施錠装置そのものの機構を破壊するなどして開錠される恐れは残り、一方でその手段を用いて本発明に必要な秘密鍵101Aや解錠用のOTPデータを失ったユーザーがコントラクト管理者や業者に依頼し設備や金庫、建物などを開錠する余地は残されている。
【0235】
<発券サーバ端末>
発券サーバ端末3Eは店舗のATM等端末や端末1A、端末1B、管理者端末1C、端末4A、ブロックチェーンノード端末3A、3B、ブロックチェーン検索サーバ3Fとネットワーク20を介して接続されている。ここで端末3Dもネットワーク20に接続されることがあるが、端末3Dは常時接続を想定しない。
【0236】
発券サーバ3Eは、ユーザーUAが店舗のATM等端末や端末1Aを操作し、サービスに対応したOTPトークンを検索し前記OTPトークンを電子商取引機能を用いて購入し、ユーザーUAが指示するユーザー識別子Aに対しOTPトークンの発行を依頼する。
そして発券サーバ3Eはコントラクトの管理者UCとコントラクト管理者端末1CにUAが購入したサービスに対応するOTPトークンについて、ユーザー識別子Aに対し、あるブロックチェーン識別子のあるコントラクト識別子のOTPトークンのコントラクトについて、トークン番号TIDAのOTPトークンの発行を指示する。(トークン番号TIDAはコントラクト管理者が決めてもよい。)
コントラクト管理者端末1Cは発券サーバ3Eの指示に従いノード端末3Aのブロックチェーン部にコントラクト管理者の秘密鍵101Cを用いてアクセスし、OTPトークンのコントラクトのトークン発行関数にユーザー識別子Aとトークン番号TIDAとその他OTPトークンの情報(OTPトークンのURI情報やシリアル番号、有効無効の真偽値、備考など)を引数に入力し、OTPトークン発行関数の実行トランザクションを署名後に3Aのブロックチェーン部に送信し、トランザクションがブロックデータにまとめられブロックチェーンに連結されることでトークン番号TIDAのOTPトークンがユーザ識別子Aに発行される。
コントラクト管理者端末1Cもしくは発券サーバ3Eを通じてOTPトークンを発行したユーザーに対し電子メールや電話番号SMSまたは郵送配達によりトークン番号TIDAのOTPトークン発行を行ったことを通知する。
【0237】
<4C.暗号化データおよびファイルの復号と利用>
図1Bに示すように本発明では、
図8Aや
図8Bに示す本発明のOTP認証システムを応用し、端末5Bなどから配布された暗号化されたデータ4034Aを持つ端末4Aがネットワーク20を通じて端末3Aに接続し本発明のブロックチェーンを用いたOTP認証システムを用いて認証の戻り値4031Aを取得し、ソフトウェア403A(
図4Bに記載の403A、403AはソフトウェアCRHN)は少なくとも4031Aを用い、好ましくは4032Aや40302Aといった複数の鍵情報を基にソフトウェア403Aのプログラムの処理に従って暗号化データの復号及び平文データの暗号化を行う共通鍵(対称鍵)4033Aを算出し暗号化データを復号し平文データの利用を可能にする。
【0238】
本発明のOTP認証システムはアクセスコントロール技術であり、
図1Bおよび
図8Cや
図8Dに示す実施形態は
図8Aや
図8Bとは異なる実施形態である。
図1A及び
図8Aや
図8Bにおいては端末3Cや端末3DがOTP認証を行いアクセスする対象であった。しかし
図1Bや
図8Cや
図8DにおいてはOTP認証を行いアクセスする対象が端末ではなく暗号化されたデータであり、端末3Cや3Dが存在せず、端末4Aとブロックチェーンのノードとなるサーバ端末3Aとネットワーク20があって、端末4Aの記録装置に暗号化データ4034Aとソフトウェア403A とOTP認証後の戻り値4031Aと4032Aや40302Aといった複数の鍵情報を基にソフトウェア403Aのプログラムの処理に従って暗号化データの復号及び平文データの暗号化を行う鍵情報4033Aを算出し暗号化データを平文データに復号できる。4034Aは4033Aを共通鍵暗号(対象鍵暗号)の共通鍵(対象鍵)として用い復号され4035Aを求めることができる。403Aで用いる暗号化方式は好ましくは共通鍵暗号化を用いる。
【0239】
暗号化データ4034Aは平文データ4035Aを暗号化できるバージョンの(版の)403Aを用いることで作成される(403Aで用いる暗号化方式とTTKY4033Aを算出できるならば403Aを用いなくても暗号化することはできる。)。
図5Bの端末5Bといったネットワーク20を用いてユーザー端末4Aのアクセスに応じ、端末4Aが端末5Bの持つデータベース検索機能により5B内部に収蔵された複数の暗号化データから端末4Aが検索し探索させた暗号データ4034Aを端末4Aにネットワーク20を介して配信する機能を持つ。また端末5Bを用いずとも、既知のクラウドストレージやデータ共有サービスを利用し4034Aを配信・配布できる。
さらにネットワーク20を用いずとも暗号化されたデータ4034Aを記録させた光ディスク(光学ディスク、オプティカルディスク)や半導体メモリ、磁気ディスク、磁気テープおよびそれらを読み取りできる外部記録装置を物流などを通じて流通させ、ユーザーUPと端末4Aの元へ4034Aの記録された外部記録装置を届けることができる。あるいは街頭もしくは店舗などで4034Aの記録された外部記録装置を配布してもよい。後述する
図8Dに示す端末5Cにより放送の形で端末4Aを含む複数の端末に暗号データ4034Aを配信・放送してもよい。
【0240】
図8Cや
図8Dに示す形態の暗号化データは、解錠できる鍵情報4033Aを紛失すると復号できなくなり失われる恐れがある。
図8Bに示される例としての金庫の施錠装置のように、端末3Dそのもののハードウェアや施錠用の機械的機構が正常に動作しなくなって解錠ができない場合は施錠装置そのものを破壊し開錠することにより金庫内の物品を回収できることに対し、暗号化データではそのような開錠はできず、復号が困難となった暗号化データに含まれる平文データは失われてしまう恐れがある。
【0241】
実施例では電子書籍や音楽映像情報を視聴し閲覧する権利をOTP生成トークンとして表し、OTP生成関数3009AとOTP認証関数3018AとOTPトークン所有情報3014AとOTPトークン発行関数3043A等を含む
図3ACのコントラクト3008AをOTP認証システムで用いる場合に呼び出す。
ソフトウェア403Aを利用するOTPトークンのコントラクトは
図3ABに示すようなOTP生成関数を含むコントラクト3008AGとOTP認証関数を含むコントラクト3008AAもしくは端末3Dに記録されるOTP認証関数3018DAのようにOTP生成関数を含むコントラクトとOTP認証関数を含むコントラクトに分離していても認証を行えないわけではないが、
ソフトウェア403Aを用いる場合には好ましくは
図3ACに示すように同一のコントラクトにOTP生成関数3009AとOTP認証関数3018AとKC値3011AやBC値3013Aとそのセッター関数3012Aを記述する事が好ましい。
403Aはネットワーク20と分散型台帳システムノード端末3Aがあってその端末3Aのコントラクト3008AでOTPの生成と認証を完結できることが望ましく、コントラクトの管理者はKC値3011AやBC値3013A、3030Aや3031Aや3041Aや3042Aといったコントラクトの変数や関数を一つのコントラクト3008Aだけ変更等管理すればよい。
一つのコントラクト3008Aだけ変更等管理することで、KC値などの設定変数を異なるOTP生成及び認証を行うコントラクト間や端末3DのOTP認証関数3018DA間で一致するよう設定する労力を無くすことができる。
端末3Cのサービスで用いる可能性のある3008AGと3008AAに分離したコントラクト間でのシード値3011AやBC値3013AやOTP計算法に関わるブロック番号剰余変数3030AやOTP桁数調整用整数3031Aの同期のための変更等管理作業や、端末3Dのサービスで用いる3008Aや3008AGと3018DAをもつ端末3Dの記録部の間での変更等管理作業が、ソフトウェア403Aの用途では不要になることがある。
ユーザー端末が用いるOTP生成コントラクトと端末3Cや3Dなどで用いつOTPを認証する関数やコントラクトを分離すると、そのシード値を変更する際にそれぞれのコントラクトまたは関数のKC値等数値を同じ値に変更させ同期させる必要があり、コントラクトやサービス管理者の労力を要求する。一方で
図3ACに示すように同一のコントラクトにKC値3011AやBC値3013Aとそのセッター関数3012Aを記述することでOTP生成関数とOTP認証関数の計算に用いるKC値3011Aなど数値が同一コントラクトにある場合は、そのコントラクトのセッター関数3012Aを一度操作するのみで済み、シード値の更新と同期を行う際に労力が少なくなる利点がある。そこでソフトウェア403Aを用いる実施形態では
図3ACに示すようにOTPの生成関数と認証関数を用いるコントラクトを利用した。
【0242】
実施例においては、OTP認証時に認証関数3018Aを実行し認証結果を戻り値CTAU(
図3ACの3021Aと
図4Bの4031A)として受け取ったとき、戻り値4031Aが複数あって、第一の戻り値が真偽値変数CTAUtf(真偽値型変数CTAUtf、ブーリアン型変数CTAUtf、ブール型変数CTAUtf)で第二の戻り値が認証コントラクトに内蔵された変数に記録された鍵情報CTAUkeyであった時、認証結果のうち真偽値CTAUtfを用いてアプリケーションソフトウェア403A内部の次の処理の実行を決定させる。4031Aに含まれる第1の戻り値CTAUtfが真ならば認証結果が正しいと定義する時、ソフトウェア403AはCTAUtfの結果が真であるか判定し、偽の値の場合は処理を中断する。
CTAUtfが真の値である時、4031Aに含まれる第2戻り値のCTAUkeyを受け取り、そのCTAUkeyとソフトウェア403Aに内蔵された鍵40302Aと必要に応じて外部で設定された4032Aを鍵を生成する情報に用いて共通鍵4033A(TTY4033A、タイトルキー4033A)をソフトウェア403Aのプログラムに従って計算し、4033Aを共通鍵に用いてAES(Advanced Encryption Standard)方式等の共通鍵暗号で暗号化されたデータやファイルを復号して閲覧し利用する事が可能である。
ここで本発明の実施例や実施形態では閲覧・視聴可能なファイルは文章ファイル、音声ファイル、動画ファイルなどが可能である。主にHTML5とECMAScriptに対応するウェブブラウザにおいて表示可能なファイル拡張子のファイルを用いた。
【0243】
本発明を実施する際にはソフトウェア403Aにおける共通鍵暗号に用いたAES方式の鍵長は128bitおよび192bitを用いた。本発明の実施例で用いたAES方式は具体的にはAES-CBC暗号であり明示的初期ベクトル(Initialization Vector:IV)を伴う暗号ブロック連鎖(CBC)モードを用いた。ソフトウェア403Aには鍵のデータ長とCBCモードや初期ベクトルIVを設定する。
【0244】
ソフトウェア403Aの実施例として、文章形式では米国アドビ社のPDF形式、音声ではMP3形式、動画形式ではMP4形式などウェブブラウザで利用できるファイルの形式に対応する。また著作権に関するコンテンツを含むファイルのみならず、例えば外部に漏洩することを防ぎ漏洩したとしても暗号化などで復号されないようにしたい法人の顧客等個人情報(例としてある株式会社の顧客名簿、学校法人の学生名簿など)や、個人・法人・団体の内部で閲覧するべき機密文章や、製作中の音声画像動画情報、製品の設計図、製品のCADデータ(3Dプリンタに利用可能な3DCADデータも含む)、電子回路データ(プログラムロジックデバイスで利用できる設計データを含む)、半導体のフォトマスクデータなどといった多様な研究所や工場などの機密情報などを暗号化し復号して伝達する際にも本発明は利用できる。
【0245】
本発明の実施例ではAES方式の共通鍵暗号で暗号化されたファイルをソフトウェア403Aを用いて作成または復号するための鍵4033Aを生成する際に、ソフトウェア403Aは少なくとも鍵情報CTAU4031Aを利用する。そしてソフトウェア403Aに内蔵された鍵40302A(CRKY40302A、CRHNソフトウェア秘密鍵40302A)を用い、さらにブロックチェーン(分散型台帳システム)及びソフトウェア403Aに含まれない鍵4032A(AKTB4032A、合言葉4032A、外部パスワード4032A)を用いる。4032Aはブロックチェーンを用いないことにしているがそれは推奨であって実際には403Aを利用するブロックチェーン基盤とは異なるブロックチェーン基盤からのトランザクションで通知されてもよく、4032Aの通知方法は暗号化するユーザーの方針による。
【0246】
1.ブロックチェーンのコントラクトに記録された認証関数の戻り値4031A
鍵情報を持つ変数4031AはOTP認証コントラクトの認証関数に利用される変数に内蔵されているが、OTP生成コントラクトに認証関数と共に内蔵していてもよい。4031Aは認証関数3018Aを実行したときに認証結果が正しい場合の戻り値CATUとして設定される。ここでOTPトークンの発行等ERC721規格のノンファンジブルトークンとしての処理とOTPの生成・認証を行うコントラクト3008Aの関数や変数の内容は秘匿化されていることが好ましい。
また鍵情報4031Aをコントラクトの作成者・管理者が変更できるセッター関数を持っていてもよい。コントラクトの作成者・管理者は暗号化されたファイルの著作権等の権限を持つ権利者の個人法人を想定する。
403AとOTPトークンと4031Aが対象にするサービスが定期購読型の雑誌や新聞、定期視聴型の放送データであるとき、暗号化に用いる鍵4033Aは数カ月もしくは数年毎に更新することが好ましく、コントラクトの4031Aをコントラクト管理者が定期的に変更することで4033Aも更新される。変更された4033Aで平文データを暗号化して流通させる。
その場合、4031Aを知らないユーザーは4033Aを算出できず暗号化データの復号が困難もしくは不可能になる。この場合は403Aが出来事を記録するために新聞の記事の一部を個人利用用に切取り保存できた方が文化や時事の記録に役立つほか複写なども許可すべきかもしれない。後述する証明書4036Aと同様に電子署名やHMACなどの手段を用いて新聞など公共性のある情報から個人利用のために切り抜いたデータに時刻情報やブロックチェーンのブロック番号とそれらメッセージのMAC値を添付して改ざん検知できる新聞等書籍の記録として保存してもよい(新聞等書籍の権利者が切り取りなどを許可しない場合は403Aにおいて切取して保存する機能は停止される)。
別の方法として4031Aを固定されたデータ値とし、4032Aをあらかじめ新聞や雑誌の契約時にユーザー識別子へのトランザクションやもしくは電子メールなどで通知しておき、数カ月もしくは数年ごとに4032Aを更新し4033Aを更新しながら暗号化データを作成しユーザーへ暗号化データを流通させつつ、ユーザーへ更新後の4032Aを通知しさせる。ユーザーに電子メールなどで更新後の4032Aと前記4032Aを用いて4033Aを算出し鍵に用いて暗号化した暗号化データを配布してもよい。4032Aを伝達する方法として電子メールの代わりに403Aがあるウェブサイトやウェブアプリと接続しAKTB4032Aを自動的に取得してもよい。
任意ではあるが4032Aを顧客・ユーザーごとに変えて4033Aも同じく顧客ごとに変えて暗号化したデータを作成して配布してよい。ただし、データ流通時にその暗号化データは対象となる読者にユニークなデータやハッシュ値を持つため誰がどの出版社の雑誌や新聞を購読しているかがトラッキングされる恐れもあるので、暗号化された電子メールやクラウドストレージなどの通信手段で暗号データを出版社とユーザー間でユーザー専用の暗号化データのやり取りをすることが好ましい。4032Aと4032Aを用いて作製した4033Aを記録した光ディスク等の記録媒体を通信ではなく郵便や配達の形で配布する事もできる。
新聞・雑誌などは単一の4033Aで暗号化され無線による放送データの形で取得できるとき、だれがどのようなデータを購読しているかはトラッキングしづらいかもしれない。
【0247】
OTPトークンと対応するデータやコンテンツを提供する権利者の要請に応じ、コントラクト3008Aには譲渡制限を行う3041Aが設定され、3041Aのデータ値に応じてトークン送信関数3040Aの実行が中断されるようにしてもよい。
【0248】
例として、機密情報などを団体で扱う場合にはデータのアクセス権であるOTPトークンを譲渡する必要が無く、譲渡制限機能を利用したいときには3041Aにて譲渡を禁止する変数値を設定する。
一方、OTPトークンに対応するコンテンツが例として書籍データであって、その書籍データは紙の書籍と同じく古物として法令に従って流通することをコンテンツの権利者が許可するとき、コントラクト3008Aには譲渡制限を行う3041Aが設定されるものの、3041Aのデータ値はコンテンツの権利者が鍵情報4031Aをコントラクトの作成者・管理者が変更できるセッター関数により任意の時刻に書き換えることで3041Aが譲渡可能な状態の場合にOTPトークンを紙の書籍の代替物とみなして異なる秘密鍵を持つユーザー(例として101Aを持つユーザー識別子Aと101Bを持つユーザー識別子Bのユーザー)の間で送信関数3040Aを用いて譲渡することが可能になる。さらに、コンテンツの権利者が許可する場合、譲渡制限を行う3041Aが設定されず、ERC721規格に準拠してトークンが流通させることもできる。
【0249】
2.合言葉もしくはパスワードを使う鍵4032A。
この情報はブロックチェーン上のOTP生成及び認証コントラクトやソフトウェア403Aには含まれない情報であり、それらとかかわりのない通信経路を用いて鍵4032Aをユーザーに伝える。ここで伝達の仕方は任意であり、電子メール、電話、SMS、コントラクト作成者のウェブサイトなどや、封書をユーザー宛てに郵送するなどの手段を利用できる。(ここで鍵4032AをOTP生成トークンを保有するユーザーに伝達する場合にパブリックなブロックチェーンによるトランザクションやソフトウェア403Aを用いるのは推奨されない。秘匿化されたプライベートなブロックチェーンではトランザクションに4032Aを記録してユーザーの識別子に送付できるかもしれないが、ブロックチェーンに依存せず電子メールや電話、信書の郵送配達といった形で送付してもよい。)
【0250】
4032Aには空欄を記入することも可能である。すなわち暗号化の鍵のデータ値が4031Aだけになる場合もあるが、攻撃者にとっては403Aのソースコードとブロックチェーン以外の経路から伝達された鍵を推測する必要が生じるので、その鍵の特定が必要となり、暗号化を復号する事を困難にさせる、暗号解読に取り組む意欲を削ぐ狙いがある。4032Aはデータを暗号化したいユーザーが、データを暗号化によりどの程度保護したいかに応じて設定する変数である。好ましくは値4032Aは空欄ではなく、ある数の数字や文字列であるとよい。値4032Aはソフトウェア403Aの許す限り長い文字列のデータ値をとることもできる。4桁のPINでもよい。もしくは1文字の英数字記号でもよい。
【0251】
ここで4032AはユーザーUAの電子メールアドレスなどに伝達されるが、メールアドレスごとに(送付先ごとに)異なる値4032Aとし(例えばユーザー識別子Aを由来として数々の演算やハッシュ化、情報の切り取りなどの加工した値とし、コントラクトに内蔵された一つの戻り値4031Aとユーザー識別子毎に異なる値4032Aを基にユーザー識別子毎に異なるファイル暗号化鍵TTKY4033Aを生成してコンテンツファイルの暗号化を行い、暗号化ファイルをユーザーに別途メールやウェブサービスで伝達することもできる。このとき、ファイルを流通させるサーバ5Bにおいてユーザーごとのメールアドレス毎に異なるAES暗号化鍵でコンテンツを暗号化し送信する処理部と記憶部が必要である。
【0252】
一方で、ユーザーの区別なく簡易なセキュリティとして社内などに配布したい資料のファイルの暗号化に用いる場合などでは4032Aは社内で決めた文字列にして、単一の4032Aのみを用い、社内のメールや紙の回覧板、社内郵便などで通知させ、同一のダイジェスト値(ハッシュ値)を持つ暗号化ファイル4034Aを社内に接続されたユーザーの端末に配布することも考えられる。
この場合、ネットワーク20に接続されたサーバ5Bは不要であり、社外のサーバーを使わないことはコストの低減につながる。社内に限らず個人同士やある団体で文章やソフトウェアといったコンテンツを流通させたい場合にも利用できる。社内のデータを暗号化し、万一暗号化データが漏洩した際も平文データの形で閲覧されることを防ぐ。
【0253】
ハッシュ値の異なる同一の平文データ・コンテンツを含む暗号化ファイルを各々のユーザー識別子のユーザーに配布する場合は、配布先のユーザー数が多いほど個別に暗号して作成する4034Aが増え、端末5Bの計算資源と記憶領域を消費する恐れがある。さらにOTPトークンの譲渡制限がない場合、ユーザーはOTPトークンを譲渡し合えるが、OTPトークンと対応した鍵4032Aと、4032Aを用いて暗号化したデータ4034Aを譲渡時に譲渡元のユーザーから引き継ぐ必要がある。もしくは端末5BにOTPトークンの譲渡があったことを通知し、5B譲渡先のユーザーのために新たに生成した4032Aと4032Aを用いて暗号化したデータ4034Aを配信・配布されてもよい。
【0254】
ハッシュ値の異なる同一の平文データ・コンテンツを含む暗号化ファイル4034Aを各々のユーザー識別子のユーザーに配布する場合は、オーダーメードされた暗号化データ4034Aの流通をネットワーク20上でトラッキングすることで不正なデータの流通を監視出来るかもしれないが、暗号化データ4034Aの流通をネットワーク20上で追跡することでどのような新聞や書籍がどのようなユーザーに読まれているかを補足することが容易になる恐れもある。
プライバシーの保護とコンテンツ管理者の保護を両立できるよう4032Aを用いた暗号化データ4034Aの生成と流通を行うことが望ましい。また計算資源、記憶領域、暗号化データの保存性を考慮することが好ましい。発明者としては4032Aは個人間や団体内、社内で決めた単一の文字列(合言葉としての外部パスワード)として、同一のダイジェスト値(ハッシュ値)を持つ暗号化ファイル4034Aを配布することが好ましいと考える。
【0255】
さらに次に示す3番目、4番目の鍵情報を追加できる。
【0256】
3.ソフトウェア403Aの例として403AのECMAScript等のソースコードに記述されたソフトウェア403Aに設定された鍵情報40302A(
図4BのCRKY、40302A)。ここでソフトウェア403Aのソースコードは難読化されることが好ましい。またソースコードは暗号化することもできる。もし40302Aが漏洩した場合には40302Aの値を変更した新たな版のソフトウェア403Aを配布する際に利用する。
4033Aの算出には4031Aと4032Aと40302Aを含む403Aが必要である。新しい版の403Aのユーザーは過去の書籍の暗号データ4034Aに対応する版の403Aを同じ場所に記録して保存することが好ましい。
【0257】
4.ブロックチェーン上の端末3Aをはじめとするノードに記録されるOTP生成および認証コントラクトとは異なる鍵管理コントラクトから読み取る鍵情報40303Aを用いてもよい。
40303Aは攻撃者によるソフトウェア403Aの鍵4033Aの計算方法の解読を困難にする目的で導入される一つの例である。
ソフトウェア403Aには鍵管理コントラクトのコントラクト識別子40301Aが記述され、ソフトウェア403AのECMAScriptで指定された処理に応じて、鍵管理コントラクトから鍵40303Aを手に入れるゲッター関数を動作させ、関数の戻り値として40303Aを得る。40301A、40302A、40303AはソフトウェアCRHNごとに決定される。もし40303Aが漏洩した場合には40303Aの値を変更したソフトウェアCRHNを配布する際に利用する。ここでコントラクトの関数や変数の内容は秘匿化されていることが好ましい。
【0258】
整理すると、本発明の実施例では4つの鍵情報を用いた。端末4Aにおいて、端末3Aなどのブロックチェーンノードから得られる鍵情報は4031A、40303Aであり、ソフトウェア403Aから得られる鍵情報は40302Aであり、そのどちらにも属さない経路で伝達される鍵情報は4032Aである。4031A、40303A、40302A、4032Aの4つの鍵を用い、4つの鍵情報を変数としたソフトウェア403Aの鍵計算関数(鍵計算処理部)を用いてファイルを暗号化及び復号を行う共通鍵TTKY4033Aを生成する。
【0259】
鍵4032Aは情報が設定されない場合は空欄を入力したものとみなす。すなわち4032Aが空欄であることを伝達されたと解釈し403Aのプログラムはファイルの復号を試みる。また平文のファイルがありそれを暗号化する処理をユーザーが選択した場合には4032Aを空欄の場合は空欄として扱い暗号化を行う。
【0260】
本発明の実施例及び実施形態で、このような4つの鍵を利用する方式をとる理由、とくにAKTB4032Aを用いる理由としてファイルを攻撃者が開錠し復号する際に仮にブロックチェーン上の4031A,40303Aはイーサリアムでは鍵情報が解読可能な状態であり、なおかつソフトウェア403Aもソースコードを難読化し暗号化などをしても攻撃者が鍵を見破る恐れがある。
そこでブロックチェーン及びソフトウェア403Aに存在しないAKTBという変数4032Aを設定しファイルを暗号化、復号を行う。4032Aを設定することで攻撃者へ対応する。4032Aの変数の個数は一つとは限らず複数設定できる。
【0261】
ここでイーサリアムでなく、エンタープライズイーサリアムアライアンス(EEA)の提供するQuorumのような 取引(トランザクション)の秘匿化やネットワークへのアクセス制御などの機能が追加されたパーミッション型(許可型)のブロックチェーンを用いればコントラクトに記録された4031A、40303Aは秘匿化されうるため、前記の取引(トランザクション)の秘匿化が可能なブロックチェーン基盤を用いることが好ましい。
Quorumのような 取引(トランザクション)の秘匿化やネットワークへのアクセス制御などの機能が追加されたパーミッション型(許可型)のブロックチェーンは
図1、
図1A、
図1B、
図8A、
図8B、
図8C、
図8Dの実施例でも利用されることが好ましい。端末3Cの銀行のインターネットバンキングへのウェブサイトへのログイン用途および金融や価値のある情報を扱うウェブサービスへのログイン用途、端末3Dでの金庫や金庫室と自動車や建物などを施錠し解錠する用途、そしてソフトウェア403Aを用いる暗号化データの復号用途にも利用されることが好ましい。
【0262】
<暗号化データの分散された保管>
4031A、40303A、40302A、4032Aと併用し、それら4つの変数を基に算出された単一の暗号化鍵TTKY4033Aにてコンテンツを暗号化し、暗号化されたファイルのハッシュ値が一つのみとなる形でコンテンツを暗号化して流通させることが想定される。一方で先に説明したことと同じであるが、ユーザーごとに4031Aや4032Aを変更させてTTKY4033Aの違う暗号化ファイルを流通させることもできる。
ここで情報の保存のため、単一のTTKY4033Aで暗号化されたファイルを流通させることも考える。施錠された金庫などの設備等の例で示した解錠の手段を無くした場合でも施錠を破壊すればよいという考え方はコンテンツなどを含む暗号化データでは適用できない。コンテンツの権利者が配布した暗号化データが複数のコンピュータに保存され閲覧され続けて欲しい場合は単一のTTKY4033Aで暗号化されたファイルを流通させるほうが好ましいかもしれない。
本発明ではTTKY4033Aを算出する方法を紛失した場合、暗号化データを復元する事は不可能になる。4031Aや4032Aの値を単一の値にすることでOTPトークンを持つユーザーであればソフトウェア403Aにて復号できるとともに、OTPトークン持つユーザーが単一の4031Aや4032Aで復号できる暗号化ファイルを世界中に分散させて保有できることにつながり、世界中で利用される暗号化データは後世に保存されやすくなるかもしれない。
先に述べたことは発明者の考え方であって、最終的な暗号化の方法はデータの権利者が決定する。データの権利者の要請に応じ4031Aと4032Aと40302Aとその他の鍵値を設定し403Aにそれらを入力させ処理を行い暗号化及び復号に用いる鍵4033Aを用いて平文データの暗号化と暗号化データの復号ができる。
情報を閲覧制限しながら後世に紙の書籍のように保存するという考えから、権利者が許可する場合に403Aを用いた本発明のシステムから文章データなど等を紙や外部記憶装置等に保存する手段を持たせることができる。
また需要などの問題で世界中に流通することのなかった暗号化データがある事が想定され、流通後に問題が生じ平文データの閲覧が出来ない事も想定されるので、権利者が自身の創作したコンテンツのデータの平文もしくは暗号化データとその復号を行う鍵情報を保存し管理する必要がある。
【0263】
<広告等の表示または不正アクセスの監視ができるシステム>
ここでソフトウェア403Aや暗号化されたデータを復号して得られる平文データ4035Aには広告を表示するURIが記録され、ソフトウェア403AはそのURI情報に従ってサーバ端末5Aが配信する広告等を表示させるプログラムを備えていてもよい。端末5Aは広告のほかソフトウェア403Aの取扱説明書情報や403Aの版情報(バージョン情報)に関する通知を行う。
広告は端末5Aにアクセスしてきた端末4Aに対し端末5Aの記憶部505Aまたは506Aと制御部515Aまたは516Aに従って端末5Aから端末4Aへネットワーク20を経由して(介して)配信する。
ソフトウェア403Aと端末5Aによる広告表示方法は、紙の新聞や雑誌を読む際に紙面に広告を印刷しているのと類似しており、書籍の著作者や出版社、版権元、アプリの開発元へユーザーがソフトウェア403Aやコンテンツを閲覧した回数などに応じて広告を表示したことによる報酬を分配できるようにするためである。
また紙の媒体での広告と異なり、ソフトウェア403Aや暗号化されたコンテンツに記述されたリンク先URIの端末5Aが端末4Aにネットワーク20を介して配信するウェブサイトによる広告情報は動的に広告内容を変えることができる。
【0264】
端末5Aとソフトウェア403Aを用いた広告に関する部分は、電子書籍や音声動画の再生に関して利用し、機密情報の暗号化及び復号用途には利用しないことが好ましい。機密データを会社や団体及び個人間で秘密裏にやり取りする場合は広告の表示機能を省いたソフトウェア403Aの業務用版(業務用バージョンのソフトウェア403A)を別途用意することが好ましい。
【0265】
広告の表示機能による広告ウェブサイトへの接続と連携を自動的に行うのは企業間での秘密保持等の面で好ましくない可能性があり、広告の表示先に端末5Aが広告を作成した会社から入手したデータ内部にユーザーのコンピュータにとって意図しない有害な動作をするプログラムが含まれている場合があり、セキュリティを低下させる恐れがあるため端末5Aへ接続できる広告配信機能を省略したソフトウェア403Aも用意できることが好ましい。用途に応じてソフトウェア403Aを動作させるためのOTPトークンがあってもよい。403AのアプリケーションソフトウェアにログインするOTPトークンがあってもよい。
【0266】
端末5Aは法人などで運用されうること、官公庁や企業間の機密情報を考慮すると、前記利用者の情報を奪うためにソフトウェア403Aや広告を作成し販売するすべての関係者の中に攻撃者がいないことは保証できない。そのためソフトウェア403Aは端末4Aのオペレーティングシステム環境下で仮想機械環境やサンドボックス環境で利用されることが好ましいかもしれない。暗号化データ4034AをOTP認証システムと鍵情報で復号し平文情報4035Aとして4035Aを実行したとき、もしくは403Aを実行したときにその挙動を調べることが好ましい。
ソフトウェア403Aの実行可能なファイル形式(ファイル拡張子)が音楽ファイルや動画ファイル、書籍ファイルに限られている場合に、そのファイルを信頼する場合は仮想機械環境を省いて実行出来るかもしれない。
【0267】
また広告等の情報はソフトウェア403AやOTPトークンのレイティング情報に基づいていることが必要である。本発明のワンタイムパスワードトークンのコントラクトにはレイティングなどを記録した看板となる変数KNBN3024Aを備えることができ、3024Aに書かれたレイティング情報をソフトウェア403Aは読み取って広告に対して動作を変える事が可能である。(例として端末5Aが配信する広告に酒類など成人の嗜好品に関する情報が含まれるとき、未成年向けのレイティングのトークンについては広告を表示せず、広告の表示部分にはソフトウェア403Aの開発元のページなどや、ソフトウェア403Aの取扱説明サイトしか表示できないようにすることもできる。)
【0268】
ここで本発明のワンタイムパスワード認証システムを用いてソフトウェア403Aを用いる場合は、
1.ソフトウェア403A、
2.ソフトウェア403Aを記録装置に記録し、ブロックチェーンとコントラクトへのアクセス情報と秘密鍵401Aが記録(入力)されたスマートフォン端末4Aまたはコンピュータ端末4A、
3.暗号化できる通信経路ネットワーク20(例としてTLS等の暗号化で通信は暗号化されている)、
4.ブロックチェーンを構成しワンタイムパスワードの生成と認証を行うサーバ3A(ワンタイムパスワードの生成関数と認証関数を含むコントラクトがブロックチェーンに記録されている。)、
5.ユーザーのアクセスを受け広告を表示するサーバ5A(広告のほかにユーザーへの情報通知やユーザーのアクセスを監視する複数の役割も行えるウェブサイトを展開するサーバ)、
6.ソフトウェア403Aのプログラムに内蔵された広告を表示させるサーバ5AへのURI情報
7.暗号化されたデータもしくはファイル4034A
8.暗号化されたデータ4034Aに含まれる広告を表示させるサーバ5AへのURI情報
9.暗号化されたデータ4034Aを通信経路ネットワーク20を通じてユーザーの端末4Aに届けるサーバ5B
が必要になる。端末4Aは平文データの閲覧や利用の出来る端末であればよく、タブレット端末やヘッドマウントディスプレイと接続されたコンピュータ端末でもよい。
【0269】
ソフトウェア403Aもしくは暗号化データを復号し得られる4035Aに広告を表示させるサーバ端末5AのURIが設定されており、前記ソフトウェア403Aは広告を表示させるサーバ端末5AのURIに従ってサーバ5Aにアクセスする。このとき、サーバ5Aは5AにアクセスしてきたユーザーUPの端末4A、あるいはユーザーUAの端末1A、ユーザーUBの端末1Bといった複数の端末について、アクセス情報を
図6Xのように記録できる。
【0270】
図6Xではサービスを提供しているOTPトークンのコントラクト識別子やブロックチェーン識別子は省略されているが、
図6Xにコントラクト識別子CPGTやブロックチェーン識別子(分散型台帳システムの識別子)をユーザー識別子やトークン番号と対応付けて記録してもよい。
【0271】
端末5Aが端末4Aのソフトウェア403Aのアクセスを受け、端末4Aのアクセス情報を501Aに記録し、広告を記憶部505Aまたは506Aと制御部515Aまたは516Aに従って配信する。
端末4Aのアクセス情報ブロックチェーンの識別子と、OTP生成を行うOTPトークンのコントラクト識別子CPGTとを記録した後、
図6Xに示すユーザーの識別子Aと、トークン番号TIDAと、端末4AのIPアドレスまたは位置情報またはコンピュータの装置に固有のID情報または端末4Aの入力装置42Aのセンサ値から計算される値IPVと、閲覧時刻Tや閲覧履歴情報Cnt(Cntはアクセス回数)等のログイン状態データをサーバ端末5Aが記録装置のデータベース501Aに記録することができる。
【0272】
端末5Aの記録装置50A及び処理装置51Aにおいて、コントラクト識別子CPGT、ユーザー識別子A、トークン番号TIDA、値IPV、閲覧時刻Tや閲覧履歴情報Cnt(Cntはアクセス回数)等のログイン状態データの対応関係を保存し、
図6Xと似た表の形式で表示できるよう保存する。
ここで表の形式やデータベースの方式は必ずしも
図6Xの形式でなくともよい。
図6Xは表を用いて、あるユーザー識別子・トークン番号に対し複数のIPV値(3軸の地磁気センサ、3軸の磁気コンパスセンサに異なるZの値がある場合を示している)が存在し不正アクセスが疑われる場合を検知する際の説明図である。同一の秘密鍵やOTPトークンのトークン番号について異なるIPV値によるアクセスがあるかどうかを検出できれば良い。
図6Xは説明図である。
図6Xのそのままの形式ではなく本発明から逸脱しない限りにおいて
図6Xの一部を変えてデータを記録してアクセス者の監視に用いてもよい。
【0273】
端末5Aの記録装置50A及び処理装置51Aにおいて、トークン番号TIDAについて異なるIPV値によるアクセスが端末5Aに対し行われたかどうか検出できる処理部をサーバ端末5Aに備え、
同一のユーザー識別子Aの秘密鍵401Aに割り当てられたトークン番号TIDAについて、複数のIPアドレスや位置情報、位置情報、端末のセンサ値の結合したデータIPVからをもつ装置からの閲覧があったことを検知し、ユーザー識別子Aに対応するユーザーUAに連絡することができる不正アクセス監視機能(
図5Aの511A、512A、513A)を備える。
プログラム403Aに端末5Aへ接続するURIを記録することで広告表示機能と共に
図6Xのような不正アクセス監視機能を持たせることが出来る。前記不正アクセス監視機能を用いて顧客に秘密鍵が不正利用されているか通知することも端末5Aに備えさせることができる。
平文データ4035Aについても端末5Aへ接続するURIを記録させ端末5Aにアクセスさせ広告の配信機能と
図6Xのような不正アクセス監視機能を持たせることができる。
ただしソフトウェア403Aにおける端末5Aを用いた不正アクセス監視機能や広告配信機能は必須の要素ではなく、不正アクセス監視機能や広告配信機能を用いない403Aがあってもよい。
プライバシー保護の観点から不正アクセス防止機能や広告配信機能を使用しない403Aがあってもよい。一方で不正アクセス監視機能や広告配信機能機能は秘密鍵の不正利用を防止し、OTPトークンの保有者やOTPトークンと対応した暗号化データのコンテンツとその権利者を保護することにつながる。
平文データ4035Aにおける端末5Aを用いた不正アクセス監視機能や広告配信機能は平文データの権利者が利用を決定する機能であり、コンテンツの保護やコンテンツの権利者が広告による収益を上げること役立つと考えられる。広告へのURIは平文データ4035AにHTML言語などで記述され埋め込まれたURI(リンクタグ)であったりするため4035AのURI(およびURIのリンク先の広告コンテンツ)もコンテンツの一部であるかもしれない。
平文データ4035Aにおける端末5Aを用いた不正アクセス監視機能や広告配信機能はコンテンツの権利者によって利用され、コンテンツの権利者によっては前記機能を利用しないこともある。
【0274】
<不正アクセスの監視ができるシステムへのユーザー連絡先の登録>
端末5Aではソフトウェア403Aを利用する際にユーザー登録をし、その際に不正アクセス監視機能において不正アクセスが検知された際の通知先・連絡先を登録する顧客情報データベース管理部514Aと顧客情報を記録する504Aを備える。不正アクセス監視機能(
図5Aの511A、512A、513A)にて不正アクセスが検知された場合504Aに記録された連絡先を用いて不正アクセス通知部513Aが連絡先に不正アクセスの起きた時刻、ユーザー識別子、トークン番号、OTPトークンのコントラクト識別子とその他サービス提供に必要な情報を通知する。
【0275】
<暗号化されたデータが視聴可能なデータである場合>
ユーザーは暗号化データ4034Aをソフトウェア403AとOTP認証システムを用いて復号し閲覧視聴できる。
【0276】
<暗号化されたデータを復号し編集した後、再度暗号化する場合>
ユーザーは暗号化データ4034Aをソフトウェア403AとOTP認証システムを用いて復号し平文データを閲覧し編集したのち、ブロック番号や閲覧に用いたOTPトークンのBnTOTPとタイムスタンプなどを記録し、改ざん検知用の電子署名やHMACを添付したデータを再度暗号化して保存できる。
例えばある団体の職員UPが文章ファイルや音声動画ファイル、表計算ファイルや設計図ファイルなどに修正を加えた後ブロック番号やBnTOTPとタイムスタンプなどを記録し、文章や動画データ改ざん検知用の電子署名またはHMACのMAC値を添付したデータを再度暗号化して保存し、それを団体内の別の職員UAに向けて配布した後、職員UAに復号用の4032A等鍵情報と暗号化に用いたソフトウェア403AとOTPトークンを配布することで、UAは職員UPが再度暗号化されたデータを受けとり、復号し、UPが追記・変更した内容を閲覧しUAの手で追記変更し、ブロック番号やBnTOTPとタイムスタンプなどを記録し、文章や動画データ改ざん検知用の電子署名またはHMACのMAC値を添付したのち暗号化して保存することが可能になる。
このようにしてある団体のUPやUA、UB、UCといった複数ユーザー間で機密文書に追記しタイムスタンプやHMACのMAC値または電子署名をデータに添付して施しながら文章のやり取りが出来うる。
【0277】
<暗号化されたデータが3次元の設計図情報である場合>
暗号化されたデータを復号して得られる3次元のCADデータ(立体の設計図情報)から、3Dプリンタにより造形し、多軸加工機等により母材を加工することで設計図に示された3次元の物体を製作する。ただし平文データのレイティングや出力設定によっては出力できない。銃刀法などの法令に違反する立体物の出力をソフトウェア403Aは禁止するべきであり、平文データのレイティング情報に記述された情報から403Aは立体の出力の可否を判断する。3次元CADデータ情報をヘッドマウントディスプレイ453Aで閲覧することもできうる。2次元のCADデータであっても同様に閲覧や出力や利用ができる。例として産業用印刷機やプロッタなどの加工機に用いる設計図データでもよい。
1次元、2次元または3次元のある物体や装置の製造にかかわる設計図データを本発明の方法で暗号データとして保存し、OTP認証システムを利用して復号することで製造に用いる情報に利用してもよい。
【0278】
<暗号化されたデータが回路等の設計図である場合>
暗号化されたデータが回路の設計図でもよい。例えばプログラマブルロジックデバイスの設計図データでもよい。FPGA (Field Programmable Gate Array) は、プログラマブルロジックデバイスの一種であり、現場で構成可能な回路配列を備えた、デバイス内の電子制御機能を変更できる半導体ICである。本発明の実施例では前記FPGAを構成もしくは再構成するための回路のデータを暗号化データとして受信し復号して利用する事を可能にする。プログラマブルロジックデバイスは産業用機器や放送通信用機器に用いられうる他、ユーザー端末1Aやサーバ端末3Aに利用されることも想定される。
再構成可能コンピューティングを可能にする回路情報を暗号化データとして流通させOTPトークンにより復号させてもよい。再構成可能コンピューティングを可能とする暗号化された回路情報はGitHub社のGitHubのようなバージョン管理およびコードリポジトリに保存され利用者端末からダウンロードされ配信・配布されてもよい。プログラマブルロジックデバイスの回路情報が改ざんされていないかバージョン管理を行いつつOTPトークンによりその利用権を得て復号しプログラマブルロジックデバイスに設計図に従った回路を動的に構築する事を意図する。
設計図情報をFPGAなどに展開する際に、仮想機械環境(サンドボックス環境)にて復号データの挙動や悪意あるプログラムの調査を行うことが好ましい。もしくは初回のみOTP認証システムで暗号データを復号した際に仮想機械環境でデータを調査し悪質でないと判断したのち証明書を発行し、前記証明書のある場合に仮想機械環境を用いずにFPGAに設計図データをFPGAなどに展開してもよい。
FPGAの例を用いて具体例に説明したがCPUやSoCやMPUといった電子計算機の制御を行う回路の記憶部分に本発明の方法で復号されたデータを記憶させ前記制御演算装置の振る舞いを変えてもよい。あるいは電子計算機端末のファームウェアやBIOSといったハードウェアに近い証明書付きのプログラムを暗号化し配布しインストールさせるときに利用してもよい。
ある団体の内部で流通させる目的で、電気機器・電子機器の回路基板情報や半導体を半導体基板から最終的なCPUやSoC、MPUを製造する装置や回路及び半導体部品製造ラインがあって、その製造にかかわるデータを本発明の方法で暗号化データとして保存し、OTP認証システムを利用して復号することで半導体製品の製造に用いる情報に利用してもよい。電子機器に限らず、ある製品の製造データや機密情報に応用してもよい。
【0279】
<4T.放送での利用(双方向でない暗号化データの流通、ライブ配信)>
暗号化されたデータやファイル4034Aをネットワーク20を通じてユーザー端末4Aに届けるサーバ端末5Bは双方向通信が可能な機器であるが、端末5Bの代わりに1対複数の放送が行える放送局端末5C(
図5Cの5C、SVCRHNbroadcaster)を利用できる。前記放送局5Cは一対複数の放送による通信経路NTB(通信ネットワーク21、無線放送においては電波の帯域、有線放送においては放送用ケーブル)を用いて、放送を受け取れる受信機423Aを持つユーザー端末4Aに対し、単一の暗号鍵TTKY4033AでAES暗号化などの共通鍵暗号化を施した暗号化データ4034Aを放送する。前記放送局5Cは地上に設置されていてもよいし、移動する局でもよいし、衛星に設置されていてもよい。地上に設置されていてもよいし、宇宙空間に設置されていてもよい。
【0280】
<端末5Cが端末3Aと同じブロックチェーンのノードでありBnTOTPを放送できるとき>
放送局5Cは3Aと同じ機能を持ちうる。放送局5Cは放送局5Cを制御する端末5CCと通信経路2(通信網2)を介して接続される。そして端末5Cが端末3Aと同じくブロックチェーン部を持つことの出来る記憶装置を持ち、端末5Cを制御する制御端末5CCを介してネットワーク20と接続され、端末5Cと端末3Aをネットワーク20と通信経路3で接続できるとき端末5Cは端末3Aと同じブロックチェーン部を持つことができる。そして端末5Cは端末3Aのブロックチェーン部にあるブロック番号Bnやブロックデータ、ブロックハッシュ値、タイムスタンプ・時刻情報、端末5Cの時計による時刻情報を放送することができる。端末5Cは地上局でも人工衛星の放送局でもよい。
【0281】
<端末5Cが全球測位衛星システム用の衛星用端末であって全球測位衛星システム用の信号の認証のためにBnTOTPを測位情報と共に放送できるとき>
端末5Cが宇宙空間にある人工衛星であって、原子時計などを備え、全球測位衛星システム(GNSS)用の測位用人工衛星である場合も考えられる。端末5Cがブロックチェーン部を持ち無線によるネットワーク2を介してブロックチェーンのノード端末3Aと接続される。
そして端末3Aおよび端末5Cに記録されたブロックチェーン部のOTPトークン生成コントラクトを用いてブロック番号Bnに基づいたOTPであるBnTOTPを算出し端末5Cの放送信号に原子時計等による時刻情報とBnとBnTOTPとトークン番号とユーザー識別子を添付することで、前記信号を受信する端末4AにおいてGNSS衛星の放送信号を認証できる。
ここで送信メッセージとメッセージのHMACによるMAC値の2つを連結し放送してもよい。1つの測位用データとBnとBnTOTPを含むメッセージデータのHMACによるMAC値を、1つの測位用データとBnとBnTOTPを含むメッセージデータに添付して放送することにより放送メッセージの改ざんも検知できる。
【0282】
端末5Cは5Cが持つOTPトークンのコントラクトを含むブロックチェーン部の情報と、ブロック番号Bn及び時刻情報や放送局5C専用に設定されたOTPトークンのBnTOTPとそれらメッセージのHMACのMAC値を連結して放送することができる。端末5Cは時刻情報BnとBnTOTPとトークン番号とユーザー識別子を含む信号を放送し、前記放送を端末4A等は受信する。4つ以上のGNSS衛星端末5Cからの放送を受信した端末4Aは全球測位衛星システムGNSSによる位置の測位を行う。また端末4Aは端末5Cから受け取ったBnTOTP値とトークン番号とユーザー識別子とブロック番号Bn(さらに必要に応じてOTPトークンのコントラクト識別子やブロックチェーンIDも加え)やMAC値により時刻情報とその信号の真偽・真贋を検証し、放送されたデータを認証する。
測位用信号をGNSS衛星5Cから端末1Aや端末4Aに測位用の無線による信号を放送し、既知の位置情報を測位するのに必要な時刻情報などに加え、ブロック番号Bnとブロック番号Bnの時間変化により動的に変わる認証用パスワードBnTOTPが信号に添付されていることによりGNSSの測位放送データの真贋を確認することの出来る手段を備えた、複数の放送局衛星5Cにより測位を行う測位システム、測位装置、測位方法に利用されうる。
【0283】
GNSS衛星に本発明のBnTOTPによるOTPを添付する意図とねらいは、GNSS衛星の信号がなりすまし(スプーフィング)の偽の信号情報であるか、真のGNSS用信号情報であるかを時刻情報とBnとBnTOTPとトークン番号とユーザー識別子を添付することで判別することである。GNSS信号のなりすまし・ハッキングに対抗する際に本発明のOTP認証システムが利用されうる。本発明のこのような利用形態は飛行機や船舶や自動車、無人機、無人飛行機などのナビゲーションにおけるセキュリティ向上のために利用されうるかもしれない。
【0284】
GNSS用途に用いる人工衛星5Cに秘密鍵501CとBnTOTPとブロック番号と5C専用のOTPトークン番号と5Cの記録装置に記録されたシークレット値KC3011Aがあり、それらの内、BnTOTPとブロック番号Bnとユーザー識別子トークン番号を端末5Cは放送する。
【0285】
ユーザー識別子は5Cの秘密鍵500から計算される。トークン番号もGNSS管理者が設定する。トークン番号には端末5Cの人工衛星識別番号・機体番号・製造番号等を割り当て、ユーザ識別子にはGNSSサービスを行う事業者の管理する秘密鍵から計算されるユーザー識別子が利用されうる。人工衛星毎に異なる秘密鍵とユーザー識別子をもっていてもよいし、事業者が保有する単一の秘密鍵を持っていてそれらを複数の人工衛星の記憶装置に記録させ利用させてもよい。GNSSで測位に用いる4つ以上の人工衛星それぞれに異なるトークン番号のOTPトークンを割り当て、衛星間で異なるBnTOTPを生成させ放送データに添付することが必要である。
例としてある一つの測位用人工衛星型端末5Cの秘密鍵が101Aと同じもので、かつトークン番号TIDAのOTPトークンであるとき、BnTOTP=fh(ユーザ識別子A、機体番号兼トークン番号TIDA、KC値、ブロック番号Bn)として計算されうる。KC値はGNSS衛星端末5Cの管理者が端末3Aのブロックチェーン部にKC変更を指示するトランザクションを送信し、端末3Aと接続された端末5CのブロックチェーンのコントラクトのKC値も変化する。
BnTOTP=fh( A, TIDA, KC, Bn)を用いたワンタイムパスワードコードBnTOTPを放送局端末5Cのブロックチェーン部(5000Cと5100C)でOTP生成関数3009Aを実行させOTPとしてBnTOTPを生成し、もしくはネットワーク2やネットワーク20からブロックチェーンノード3AのOTPトークンのコントラクトのOTP生成関数3009Aを実行することで取得し、放送・配信するデータに本体データと時刻情報とブロック番号とBnTOTPを添付することで配信又は放送された情報・データの真偽や真贋を確認することができる。
【0286】
ここでGNSSの放送にBnTOTPを利用する実施形態を示したが、BnTOTPのかわりにOWP=fh( A, TIDA, KC, BC)を放送・配信するデータに添付してもよい(この場合はBCを放送してもよい)。ただしBnTOTPであれば例えば15秒・180秒などで新しいデータブロックがブロックチェーンに連結されBnが自動的に更新されるが、OWPの場合はコントラクトの管理者が任意の時間にKC値やBC値を変更する必要がある。
BnTOTPに用いるブロック番号の更新時間は15秒に限らず30秒でも60秒でも600秒(10分)でもよく、ある時刻に定期的にBnが増加すればよい(ブロックチェーンの基盤において新たなトランザクションを含むブロックデータの連結時間を任意の秒数で変更できる)。OWPを用いるときもコントラクトの管理者が定期的にKC値やBC値の変更を行えばよい。GNSS専用に10分毎にブロック番号が変化するブロックチェーンを構築すると好ましいかもしれない。
【0287】
複数のGNSS放送局5C、具体的には4基の測位用衛星端末5Cがあって、それらには異なるユーザー識別子・トークン番号もしくは同一のユーザー識別子・トークン番号が設定され、4つの端末5Cは既知のGNSSによる測位法の測位用情報に加え、BnTOTP(BnTOTPを算出する際に用いたユーザー識別子・トークン番号も添付してもよいし、予め端末4AのGNSSを利用する情報に記録させてもよい)やブロック番号Bn、そして必要に応じて放送メッセージのHMACによるMAC値を添付し放送する。放送はブロック番号が変化する間に1回以上放送できれば良く、例としてブロック番号Bnが180秒で変化するときはGNSS衛星5Cが180秒以内に一回から数回送るなどしてもよい。
GNSSのメッセージデータの長さが足りない場合には、GNSSに対応させるブロックチェーン部のブロック番号Bnが変わる時間を増加させ、例として180秒ではなく600秒でブロック番号Bnが変わるとき、測位情報の航法メッセージデータ送信の後、30秒にわたって本発明のOTP認証データ(ユーザー識別子、トークン番号、ブロック番号、BnTOTP、HMACのMAC値)を放送し、再度航行メッセージデータを放送し、を交互に放送することで放送の途中に認証情報を添付してもよい。
【0288】
GNSSの既知の例として米国のGPS(Global Positioning System)に本発明を利用することを仮に想定するとき、位置情報を測定するための4つ以上のGPS衛星端末5C(スペースセグメント)を宇宙空間のそれぞれの衛星の軌道に配置され、地上管制局5CC(コントロールセグメント)とGPS受信機端末4A(ユーザーセグメント)が存在し、また端末5Cや端末5CCと端末4Aはネットワーク20を通じてブロックチェーンのノード端末3Aや端末3B等と接続させ端末5Cのブロックチェーン部を同期させる。
もしくは正確である端末5Cの原子時計を頼りにしてBnがすべてのGNSS衛星端末5Cで一致すると考えて300秒ごとにブロック番号Bnを増やすよう設定し1年に数回地上管制局5CCと衛星端末5Cで同期を行い正しく時刻やBnが増加できているか確認しKC値などの変更と更新を行った場合はそのデータをすべてのGNSS衛星局5Cと共有しブロックチェーン部を同期させる。
このとき端末4Aは端末5Cから受信した放送に含まれるBnTOTPをブロックチェーンのノード端末3Aの認証関数3018Aを用いて認証し、正しいBnTOTPが記録された4つのGPS衛星の放送データを用いて端末4Aの位置を測位できる。
【0289】
GPSにおいては、例として、航法メッセージデータ1500bitを30秒、 認証用データは1つの変数が256bitで5つある場合は1280bitなので30秒以内、両者を連結して順に放送する場合は2780bitを60秒にわたり放送する。ブロック番号Bnが600秒で変化するブロックチェーンをGNSS衛星用に構築したとき、10回にわたり同じBnTOTPデータを送付させることができ、この10回のうちどれかをユーザー端末4Aが検出し、BnTOTPを認証関数で検証し認証結果を求めることで受信した衛星5Cのデータが正しいデータであったか、なりすまし等の疑いのあるデータであるか否かが分かる。
もしくは毎回の航法メッセージデータに前記認証データを添付しないことも考えられる。600秒でBnが一つ増えるブロックチェーンを用いるとき600秒で30秒放送される航法データは20回放送されるが、その20回の航法データの放送枠の内、たとえば4回程度を1280bit30秒の認証用データの放送枠として放送してもよいかもしれない。600秒の間に4回放送される認証データ付き航法メッセージデータを受信しOTP認証できれば認証された位置と時刻が測定できうる。
【0290】
衛星端末5Cと端末4Aがネットワーク20から切断されている場合は、端末5Cが搭載する原子時計などの時計と記憶部に持つOTP生成関数3009Aを基に、ブロック番号BnとBnTOTPを算出し、BnとBnTOTPとメッセージデータとそれらのMAC値を添付して端末4A等ユーザーセグメント端末に放送する。
次に端末4Aには予めBnTOTP=fh( A, TIDA, KC, Bn)の計算の出来る認証関数3018AとKC値が記録されたソフトウェア、もしくはBnTOTP=fh( A, TIDA, KC, Bn)を計算できる認証関数3018A、3018AとKC値が記録された端末3Cの機能がGNSS信号を受信する通信装置42Aの423Aに備えられていてもよい。
BnTOTPの代わりにOWPを用いるときはOWP=fh( A, TIDA, KC, BC)を計算のできる認証関数3018AとKC値が記録されたソフトウェア、もしくはOWP=fh( A, TIDA, KC, BC)を計算できる認証関数3018DAとKC値が記録された端末3Dの機能がGNSS信号を受信する通信装置42Aの423Aに備えられていてもよい。
認証関数3018A・3018DAとKC値が記録されたソフトウェアはソフトウェア403Aに備えられていてもよい。
【0291】
ユーザー端末4Aは複数(4つ以上)の衛星端末5Cが放送する測位用信号を端末4Aの42Aの423Aもしくは422Aを用いて受信し、受信信号を処理して衛星と受信機間の距離を測定し,これより位置を計算する。そして既知のGNSSによる測位法の測位用情報を基に算出した位置に従い現在位置を一時的に仮定する(この段階までは既存のGNSSと同じであり、本発明のOTP認証システムが利用できない場合はこの段階の位置情報が利用される)。その後端末5Cの放送するBnTOTPのOTP認証処理に移行する。
【0292】
端末5Cの放送するBnTOTPのOTP認証処理では、端末4Aが受信している人工衛星端末5Cの送付する測位用情報に添付されたブロック番号BnとBnTOTP(またはBnTOTPを算出する際に用いたユーザー識別子・トークン番号も添付されているときは、ユーザー識別子・トークン番号を用いて)をOTP認証関数3018Aを用いて認証させ、認証関数の戻り値から端末5Cの放送したデータの真偽・真贋を判断する。
【0293】
端末4Aにおいて端末5Cから受信した測位情報が正しいものか判断するためにネットワーク20を介して端末3Aの端末5Cの管理者が設定した認証関数3018AにBnTOTPを算出する際に用いたユーザー識別子・トークン番号とブロック番号Bn、BnTOTPを引数として渡して3018Aを実行させ、その戻り値がOTPが正しい時の戻り値であったとき(BnTOTPが真の値であったとき)、放送局5Cの放送が正しいことが期待されることを端末4Aに記録し、ユーザーに通知・表示させる。
3018Aの戻り値が正しくない戻り値であったとき(BnTOTPが偽りの値であったとき)その放送局5Cに関連する測位情報はOTP認証のできない偽の情報であることをユーザーに通知・表示させる。
端末5Cの放送したデータ情報がOTP認証できず誤りの時、その後の処理は本発明の認証機能付きGNSSを用いるサービスやソフトウェアに委ねられるが、位置情報が重要な自動車やその運転に関する分野では認証された位置情報が利用できない旨を伝え、誤った放送を行う端末5Cとは異なる新規のGNSS放送用衛星5Cの信号を受信するよう待機し、新規の端末5Cから受信した信号を認証し、認証された端末5Cを増やした上で測位を行うようにする等が考えられる。
受信した信号の認証結果が正しくない場合(なりすまし信号である場合)であっても公道を走る自動車を急停止させ別の進路に切り替える等は危険であり、運転や飛行や航行の判断を運転や操縦を行う利用者に委ね、利用者に測位信号に認証できない信号があることを表示して伝えた上で運転や操縦を操縦者など利用者に行わせる必要があるかもしれない。
【0294】
<放送局5Cの放送データを認証された位置情報と時間情報データの作成地の位置と時刻を添付する場合>
ユーザー端末4Aは4つ以上の端末5Cから4Aの本発明のOTP認証により認証された位置情報と時刻情報と4つの5Cの放送するブロック番号BnおよびBnTOTPに平文データに記録し、秘密鍵401A等を用いて改ざん検知用の電子署名やHMACを平文データに行い、電子署名またはMAC値を作成し平文データに添付し、平文データを作成した時刻と位置について認証がなされた状態で保存できる。
【0295】
ユーザー端末4Aは4つ以上の端末5Cから4Aの本発明のOTP認証により認証された位置情報と時刻情報と4つの5Cの放送するブロック番号BnおよびBnTOTPを平文データ(平文のコンテンツデータもしくは原稿データ)に記録し、秘密鍵401A等を用いて改ざん検知用の電子署名やHMACを平文データに行い、電子署名またはMAC値を作製し平文のコンテンツデータに添付し、平文データ4035Aを作成した時刻と位置について認証がなされた状態で保存された電子署名またはMAC値つきの改ざん検知可能な平文データ4035Aとして作成できてもよく、前記4035Aを秘密鍵401Aに割り当てられたOTPトークンによってソフトウェア403Aを用いて暗号化する事が出来てもよい。
平文データ4035Aは取材に関する録音・音声データや録画・動画データでもよい。平文データ4035Aの原稿文章・原稿データ(写真や設計図など画像や録画動画・録画音声)の作成地・作成位置情報と作成時刻を本発明のOTP認証システムにより簡易に証明する。
前記の4035Aに記入するブロック番号BnはBnpであって、BnpはBnTOTPを取得したときのBnであり原稿となる平文データに記入され平文データの印刷や外部記憶装置への記憶し配布するか、ネットワーク20等を用いた配信等で出版され端末の外部に出力されうる。
OTP認証コントラクトのOTP認証関数3018Aや認証を検証する端末3Dの認証関数3018DAにはBnTOTP=fh( A,TIDA, KC, Bnp)の形で認証するための認証関数を備え、4035Aにはユーザー識別子Aとトークン番号TIDAが記入されていてもよい。
出版された4035Aの暗号化データ4034Aは流通し、それを復号するトークン番号TIDBのOTPトークンとAKTBとソフトウェア403Aを持つ顧客ユーザーUBがいる場合には平文データ4035Aが閲覧などされる。そして顧客ユーザーは平文データ4035Aに記録されたBnpとBnTOTPとトークン番号TIDAを用い、さらにユーザー識別子Aが記入されていればそれを用い、記入されてなければ原稿を作成したユーザーに問い合わせてユーザー識別子Aを得て、OTP認証関数にてBnTOTP=fh( A,TIDA, KC, Bnp)の形で計算を行えるようAとTIDAとBnpを認証関数の引数に渡し認証関数を実行し認証結果を得て作成された時刻や位置情報を得ることができる。作成された位置情報はGNSSなどを用いた正確な緯度経度を記したものでもよいし、プライバシー保護のため緯度経度情報から地図情報を基に都道府県や市町村(海外では州や省と市町村名)まで分かるようにし詳細な位置ではなくおおよその位置を記載する事もできる。
【0296】
<放送局5Cからのデータファイルの放送>
放送局5Cが地上局または人工衛星局であって、アマチュア局および業務用の放送局であり、新聞や雑誌など文章やソフトウェアのデータを放送するデータ放送局や、音声を放送するラジオ放送局や、音声動画を放送するテレビジョン放送局であってもよい。マスメディアとして放送可能なデータを放送できる放送局5Cであってもよい。
【0297】
ここで文章、音声、動画ファイルの配信に放送局5Cを用いる狙いは、OTPトークンを持つ閲覧権利を持つユーザーに動画データ(書籍データよりもデータ容量が大きい傾向のある音声動画データ)について暗号化データ4034Aをライブ(生放送で)で配信する際に、公共の双方向型ネットワーク20にかかる通信容量的な負荷をかけないようにすることである。
ただし災害など緊急時は、公共性のある放送局5Cはソフトウェア403Aといった音声のラジオ放送視聴ソフトウェアや音声映像のテレビビジョン閲覧ソフトウェアに対し暗号化を解除する旨の信号と平文データ4035Aの放送データを放送できることが必要である。
また重複するコンテンツ情報(人気のある楽曲や映像作品などの情報)を双方向のネットワーク20でユーザーに伝えるよりも放送により1対複数の形でデータを伝えたほうがネットワーク20の負荷を抑えることにつながり、双方向通信を必要とするブロックチェーンのノード間の通信、電子メール、インターネットバンキングサービス(金融サービス)、ウェブサイトを用いる会員サービスを初めとするサービスに通信の容量を振り向けることができる。
【0298】
具体的に本発明をラジオ放送やテレビジョン放送といった音声、動画ファイルの放送に利用すると仮定した場合について述べる。放送に用いる無線機、無線局5Cは業務用でもよいしアマチュア用でもよい。広域に、多くの地域に放送する場合について、ある一つの放送局無線機の電磁波が到達する範囲は有限であり、地域ごとに異なる放送局5C、送信所5Cなどの形で設置されている。ユーザー端末4Aは最寄りの無線局5Cの暗号データ放送を閲覧するOTP生成トークンを取得する。
【0299】
放送局5Cは放送局5Cに固有の共通鍵TTKY4033Aでラジオやテレビジョン番組のデータを暗号化し4034Aとして、電波が届く最寄りのユーザー端末4Aに放送局5Cが暗号データ4034A送信する。そして放送された暗号化データ4034Aを復号し閲覧するソフトウェア403Aにて、サーバー端末3Aと端末4Aをネットワーク20を介して接続させBnTOTPの生成・認証を行い認証関数の戻り値CTAU4031Aを得る。
ここでBnTOTPでなくOWPを取得できるOTPトークンを用いてソフトウェア403AにてOWPの生成と認証を行い戻り値CTAU4031Aを得てもよい。4031Aと必要に応じて4032Aと403A内部の鍵情報40302Aを用いてTTKY4033Aを生成し、TTKY4033Aにて暗号化された放送データを復号し視聴できる。
【0300】
OWPを用いる場合はコントラクトの管理者が放送局の指示に従い毎年1年ごとなどある時期にOWPを生産するKC値やBC値を更新する旨の連絡を放送の受信者に行い、受信契約を更新できるユーザーにKC値やBC値を更新した後のOWPを、ネットワーク20を用いずに郵送で通知させることができる。郵送で通知したOWPをテレビジョン型などの端末4Aのソフトウェア403Aに入力し認証結果が正しければ放送されるデータの復号ができる。このとき更新されたKC値やBC値は放送データの中に含まれており4Aが放送データを受信する際に自動的に更新されてもよい。OWPを用いるときはネットワークに端末4Aを接続できないユーザーを対象にする。
ネットワーク20に接続されたユーザー端末4Aはソフトウェア403Aを利用してブロックチェーン端末3Aに接続しOWPの生成と認証を行えるため郵送によるOWPの通知は不要である。またネットワーク20に常時接続されているときはOWPもBnTOTPも用いることもできる。
放送の視聴権であるOTPトークンのコントラクトのCTAU4031Aを放送を行う事業者の指示によりコントラクトの管理者端末1Cが書き換えることでコンテンツを暗号化または復号するTTKY4033Aを変更することができる。例えば1年ごとにOWPのBC値とCTAU4031Aを更新することで放送の視聴権を持つユーザーは閲覧を継続でき、視聴権を持たないユーザーは閲覧できないようにする事もできる。
【0301】
視聴権を持たないユーザーに閲覧できないようにするためにはOTPトークンのOTP生成関数がOTPトークンの有効無効を判定するマッピング変数等をトークン番号をキーとしてあって、そのマッピング変数が有効ならばOWPを表示させ、無効ならばOWPを表示させないようにコントラクトの管理者が端末1Cを通じて書き換えることができると好ましい。
もしくは放送専用のブロックチェーン部を構築し、毎年OTPトークンのコントラクトを新規にデプロイする方法も考えられる。毎年OTPトークンのコントラクトを新規にデプロイする際にKC値を変更することでソフトウェア403Aを用いて暗号化を行うTTKY4033Aが変更される。OTPトークンは契約ができているユーザー識別子(それに対応する秘密鍵401Aに対し)にOTPトークンを配布し閲覧できるようにする。
【0302】
パスワードOWPを用いる理由はネットワーク20が通信障害や災害などで切断された状態ではサーバ3Aにユーザ端末4Aが一時的に接続できない恐れがあり、そのような場合において1年ごとに契約が更新される方式であるならば災害が起こった瞬間であってもBnTOTPのようにパスワードがブロック番号Bnによって変化することはないこと、そしてOWPが郵送などで通知でき、ネットワークを利用できない人でも入手できることから災害(1週間から1カ月程度で対応できるもの)に対応できる可能性がある。
【0303】
ブロックチェーンのノード3Aとネットワーク20を介して同期できる端末5CCとGNSSなどの人工衛星放送局5Cが存在するとき、端末5Cの放送データにブロック番号Bnを含み、ソフトウェア403A内部にKC値やCTAU4031AといったOTPの生成と認証を行う部分が難読化・暗号化・秘匿化され記録・搭載されている場合はソフトウェア403Aによりブロック番号BnとCTAU4031AからTTKY4033Aを算出し暗号化されたデータ放送を受信できるかもしれない。
【0304】
具体例を示す。あるアマチュア局が開局申請を行い、アマチュア局が放送する暗号化データ放送を視聴できる会員権式トークンを本発明のシステムにてOTPトークンとその生成認証コントラクトとしてサーバ3Aのブロックチェーン上で発行し、OTPトークンをユーザー間で流通させることができる。トークンを持つ人に対し見ることの出来るOWPとそれを用いて認証やデータの復号と視聴を行うソフトウェアCRHN403Aがあればデータの復号と視聴ができる。
これは音声や動画データの放送も可能であり、新聞や雑誌、法令に関する本、教科書、コンピュータソフトウェア(教育用ソフトウェア、オペレーティングソフトウェア、オフィスソフトウェア、ゲームソフトウェア)のような出版の形で用いる形態のデータも送信できる。ユーザーは暗号化されたデータを受信し録画もしくは録音、書物やソフトウェアデータの記録を行い、本発明の認証システムにて復号し閲覧や視聴、ソフトウェアのインストールなどができる。暗号化されたコンテンツデータを放送を受信する形でダウンロードして利用することができる。
【0305】
この利用形態において懸念されることとして、天候不順などで通信障害が起こり放送局5Cからの無線による信号が端末4Aに届かないことが考えられる。また放送機材の不良で放送データにノイズなどが混じる恐れがある。動画や音声データの場合はノイズを含んでいても放送番組として成立する事がある(成立させざるを得ないことがある)。しかし雑誌や新聞またはコンピュータプログラムデータの場合はノイズにより閲覧ができなくなるもしくはソフトウェア等が動作しない恐れがある。その対処策として同じ内容の放送を別の日時に複数回行うこと(再放送)、衛星放送の場合は衛星放送の通信速度(通信容量、キャパシティ)を増加させるハイスループット衛星等を利用する、誤り訂正技術が利用する、などの対策をとることが好ましい。
【0306】
先の例ではアマチュア局一つの暗号化放送データ4034Aに対しTTKY4033Aが一つの場合について述べた。同じ平文のデータまたはコンテンツデータ4035Aであっても異なるアマチュア局の数に対応してトークンとOWPが割り当てられTTKY4033Aで暗号化されデータ送信される。
一つの国、もしくは世界規模で、例えば無線を用い衛星放送用い暗号データを送付する場合はコンテンツの権利者が許可する場合に限り、共通のOTPトークン、OWP、TTKY4033Aを用いて暗号化しユーザーに送信することもできる。(ただし世界規模で同一のTTKY4033Aを用い暗号化する場合はTTKY4033Aが漏洩したときに世界中で保存された暗号化データが視聴可能になる恐れがある。そのため局ごと、放送網ごと、地域ごと、国ごとにOTPトークン、ソフトウェア403の版、OWP・BnTOTP、TTKY4033Aを使い分けることが好ましいかもしれない。)
【0307】
<双方向通信暗号化データの流通とライブ配信>
ウェブミーティングソフト、オンラインゲーム等のライブ配信要素(生放送配信要素)を持つコンテンツの暗号化が可能である。なおソフトウェア403Aを使ってミーティングなどのライブ配信の配信データの収録と暗号化を行いネットワーク20を介して流通させ配信先に暗号化データを伝えて復号させ視聴させても良いし、配信サイトとして端末3C(サーバ端末SVLogin)を用いてウェブサイト・ウェブアプリにログインする形でもよい。
【0308】
ソフトウェア403Aや端末3Cを用いて暗号データを配信する際に暗号データの暗号化方式はブロック暗号方式とストリーム暗号方式を用いてもよい。ブロック暗号方式とストリーム暗号方式共に共通鍵暗号による暗号化を平文データに行い暗号化データを生成する。テレビジョンの放送に用いる既知のブロック暗号方式では特許2760799がある。またAES方式も利用されうる。端末5Cからの放送によるライブ配信も同様に暗号化方式はブロック暗号方式とストリーム暗号方式を用いてもよい。
【0309】
<インターネット通信網でやり取りするデータの暗号化、暗号化されていない通信経路において>
本発明のOTP認証用コードをTLSによる暗号化通信(TLS・SSLによる暗号化通信)の代わりにウェブサイト通信用のデータ暗号化の鍵に用いる場合について述べる。ソフトウェア403Aで暗号データを例えばユーザーUCからユーザーUAへ配布することを示したが、それをユーザーUAからUCに行い、UAとUCが相互に暗号化データを行うことで暗号化通信に用いる事につながる。
ここでTLSは Transport Layer Security ProtocolのTransport Layer Securityの略でRFC8446規格。SSLはSecure Socket Layerの略。
【0310】
具体的な例としてウェブページの閲覧において、ある本発明のスマートコントラクトがあり、そのコントラクトではOTPトークンのトークン番号TIDAについてユーザーUAとコントラクトの管理者UCがワンタイムパスワードBnTOTPを生成し認証できるよう関数が設定され、UCがUAのトークン番号TIDAのBnTOTPを手に入れられる時(UCがUAのOTP生成関数を呼び出してBnTOTPを見て共有できる)を考える。
【0311】
通常、OTP生成関数は
図6Aと
図6Bのフローチャートに記載した通りにOTPトークンの持ち主のユーザー識別子とその秘密鍵から呼び出せるように設計されるが、用途に応じてはコントラクトの管理者であるサービス提供者も管理者端末1Cの秘密鍵101Cを用いてOTP生成関数を呼び出せるようにしてもよい。ただし、顧客のOTPトークンのOTP生成関数をコントラクトの管理者が呼び出せるようにする場合はOTPトークンの発行の契約をする際にサービスの規約などに明記することが必要であり、OTPトークンのKNBN変数3024Aに明示して記載することも必要である。
本発明のOTPトークンは端末3Cのウェブサイトへのログイン権、端末3Dに提示する入場券18Aや施錠の解錠鍵19A、ソフトウェア403Aを用いる暗号化データの復号を行える閲覧・利用・所有権ではあるユーザーが所有することを意図しており、主にOTPトークンを割りあてられた秘密鍵を持つユーザー1人のみがOTP生成関数を呼び出すことを基本および原則にしている。
OTP生成関数を2つ以上の秘密鍵から呼び出せることは通常の実施形態ではないが、実施することもできる。
【0312】
次に、UCが運営するウェブサイトにおいてUAに対しBnTOTPをAES方式などの共通鍵暗号の鍵に用いてウェブページを暗号化し、暗号化されたデータCRYPTWEBPAGEを生成する。そして前記暗号化されたデータCRYPTWEBPAGEを暗号化されていない経路があるネットワーク22を通じてユーザーUAのコンピュータ端末1Aに送付する。ここでUCはUAの通信暗号用OTPトークンのトークン番号TIDAがOTP生成関数3009Aにて生成するBnTOTP値(OWP値)を閲覧できることとする。
ユーザーUAはトークン番号TIDAのBnTOTP(OWP値)を用いて暗号化データCRYPTWEBPAGEを復号し平文のウェブページを閲覧することもできる。同様にUCに対してメッセージを送信するときはユーザーUAはトークン番号TIDAのBnTOTPをOTP生成関数から取得し暗号化に用い暗号化データCRYPTWEBPAGEをネットワーク22を通じUCのウェブサイトのサーバ端末に送信する。
UCは送付された暗号化データCRYPTWEBPAGEをUAの通信暗号用OTPトークンのトークン番号TIDAがOTP生成関数3009Aにて生成するBnTOTP値(OWP値)を呼び出して前記BnTOTPを復号する鍵として用い暗号化データCRYPTWEBPAGEを復号しUAの平文のメッセージを得ることでUAとUCがネットワーク22にて暗号化通信を行う。このように暗号化通信分野にも本発明は応用されうる。
(ただしこの場合でもUAとUCがブロックチェーンよりBnTOTPを手に入れる過程での通信は別途暗号化・秘匿化されていなければならない。UAとUCが最初にブロックチェーンよりBnTOTPを手に入れる過程での通信はUAとUCが持つ秘密鍵を用いた公開鍵暗号を基にした暗号化が必要となるかもしれない。秘匿化されたブロックチェーン基盤も必要である。)
【0313】
<不正アクセス情報の監視機能>
本発明の認証システムにおいて、端末1Aの秘密鍵101A(端末4Aの秘密鍵401A)が流出し不正にサーバ端末3Cや端末5A等にアクセスされているか調べる際に、サービスを提供する端末3Cや端末5Aにアクセスする端末1AのIPアドレスや位置情報、端末1A固有のID情報をサーバ3Cや5A等に保存し監視する機能において、
端末1Aに固有のID情報に、1Aが備える入力装置14Aにおいてセンサ144Aに含まれうる加速度計、ジャイロセンサ、磁気センサ、気圧センサ、温度センサ、照度センサを備えさせ、
それらセンサ群のうち1つまたは複数のセンサが測定した物理量に由来する測定値を基にサーバーに保存させる方法が考えられる。
【0314】
マイクなど音センサやカメラ、ポインティングデバイス、キーボードといった入力装置の情報も144Aに含まれてもよいセンサとなりうるが、これらを利用することはプライバシーの侵害や個人情報の過度な収集につながりかねず、発明者は推奨しない。キーボードやポインティングデバイス情報を読み取り収集することは入力データを読み取ることにつながりかねないので推奨しない。
【0315】
IPアドレスや位置情報は個人の特定につながる恐れがあるが、気圧センサ、温度センサの情報、磁気センサ(磁気コンパス)の情報などはそれぞれのユーザーと端末のいる位置や環境に由来する物理情報であり、これを秘密鍵の不正検出に用いる。(IPアドレスや端末の装置IDやオペレーティングシステムおよびウェブブラウザなど端末のソフトウェア情報については金融用途など重要な取引を行う場合に、顧客の資産を守るために
図6Xといったデータを記録する際に収集し利用する必要があるかもしれない。)
【0316】
漏洩した秘密鍵101Aを用いて不正利用しようとする攻撃者は先に述べたサーバ3C(SVLogin)やサーバ5A(SVCRHNcm)といった秘密鍵が流出し不正にアクセスされているか調べる処理部と
図6Xに記載のアクセス情報のデータベースを持たせたサーバーに対し、ユーザーがどのようなセンサの数値でアクセスを行っているか調べなければセンサの数値、センサの検出する物理量を真似してなりすましによる不正アクセスを行うことができない。
前記のように装置1Aの入力装置のセンサに由来する測定値を本発明の認証システムの不正アクセス検知用の変数に利用することで、不正アクセスを防ぎつつ、IPアドレスや位置情報などの個人情報を基にしない形で不正利用を検知する。
【0317】
この利用方法ではユーザーのスマートフォンなどコンピュータ端末のセンサ値をサービスを行うサーバが記録し、同じ時刻に一致しないセンサ値でアクセスされたかどうかを検出するものであるので、センサの測定値と測定値のハッシュ値や匿名化した値を監視に用いることができる。センサの値を使う場合は個人情報の一部を収集してしまうもののサーバーの管理者はユーザーの状態を見守りしやすい。センサの値を基にハッシュ化や各種演算による加工を行った数値を使う場合は個人情報の保護に役立つ。
【0318】
もしユーザーが1人だけならばサービスを提供するサーバ(3Cや5Aなど)のユーザー識別子とユーザーのOTPトークンのトークン番号とIPアドレスや位置情報と端末IDと端末センサの値の結合値IPVのリストについて、ある時刻Tに対して1つのセンサ値もしくはIPV値をもったユーザー識別子とユーザーのOTPトークンのアクセス情報が記録されることが正常なアクセスとみなされる。そしてユーザーと不正アクセス者が同じ時刻にアクセスした際には
図6Xの※2の様にユーザー識別子とユーザーのOTPトークンの情報について異なるセンサ値やIPV値のアクセス情報が記録される。
前記アクセス情報をサービスを提供するサーバは検出し、トークンの持ち主であるユーザーに異常を通知することができ同じ時刻に異なるセンサ値のアクセスが続く場合にはアクセスを遮断する制御部を持ってもよい。またアクセスデータを保存する記録部を持ってもよい。
【0319】
例として同じ時刻に、温度気圧が25℃、987hPa、地磁気センサが北向きの値を示す秘密鍵101Aを持つ正当なアクセス権を持つ端末1Aと、30℃、1010hPa、地磁気センサが東向きの値を示す不正なアクセスを試みる秘密鍵101Aを不正に入手した端末1Bからアクセスがあったとき、サーバは異なる環境からアクセスがあったと判断できる。また温度センサ、気圧センサの数値の変化以外にもログイン後の加速度計とジャイロセンサからデータ又はサービスを閲覧するスマートフォンの端末の向きや重力加速度の変化、モーション変化、照度や温度・気圧・湿度といった環境の変化を追跡できる。
センサとしては他に、カメラなどの撮像素子の情報、音センサー(マイク、マイクロフォン)の入力データや測定値も利用可能であるが、利用者にとってはプライバシーが問題になるため推奨はしない。ただし技術的にはカメラなどの撮像素子の情報、音センサー もセンサとして本発明のIPV値に利用できる。もし利用せざるを得ない場合には、利用者の同意を得た撮像素子や音センサー、マイクの情報も利用する。カメラやマイクの測定値を不正アクセス検知に利用する場合はハッシュ化などを行うことが特に好ましい。
本発明では装置1Aの入力装置のうちカメラやマイク、キーボード、ポインティングの情報を利用できる。しかし本特許に基づいて実際の業務においてサーバへのユーザの不正アクセス監視用途にユーザーの端末1Aのカメラ、マイク、キーボード、ポインティングデバイスの入力情報は個人情報やユーザーの出力するPIN番号などの情報であったり秘密鍵情報の不正な取得に利用されかねないため、利用しないことが好ましい。
【0320】
端末1Aが備える入力装置においてセンサ群のうち1つまたは複数のセンサが測定した物理量に由来する測定値を基にサーバ3Cや端末5Aに保存させる方法では次に示すセンサの利用が考えられる。センサはモーションセンサ、位置センサ、環境センサがあり、モーションセンサには加速度センサ(加速度計)、ジャイロセンサ(角速度センサ)を用いることができる。位置センサには地磁気センサまたは加速度計を用いることができる。環境センサには湿度センサ、光センサ、照度センサ、気圧センサ、圧力センサ、温度センサを用いることができる。
そして認証時にサーバ端末3C(SVLogin)、端末5A(SVCRHNcm)といった秘密鍵の不正利用を監視する処理部を持ったサーバについて、ユーザーの識別子Aとトークン番号TIDAと、閲覧している時刻T、閲覧履歴情報Cnt、そしてコンピュータの装置に備え付けられたセンサが検出した値から計算される値IPVを、サーバの記録装置に記録し、異なるIPVからのアクセスを監視するサーバとしたシステムである。閲覧履歴情報Cntは金融用途の端末3Cの場合は異なる環境からのアクセスかどうか記録するためユーザー端末がログアウトした後も記録し続けることが好ましく、再度ユーザー端末がログインするときに端末3Cはユーザー端末が過去に記録した閲覧履歴情報Cntと類似する条件でログインしているかどうか判定し大きく異なる環境からログインした場合にはユーザーの連絡先に通知しOTP認証やあらかじめ設定した第2の秘密鍵(例としてマルチシグ技術用の第一の秘密鍵101Aと第二の秘密鍵101A2)に由来するOTPトークンによるOTP認証を行うようにしてもよい。
(異なるIPアドレスやオペレーティングソフトウェアおよびウェブブラウザソフトウェアの環境からのアクセスがあることをウェブサービスで表示・通知するのは既知の技術である。)
【0321】
<ブロックチェーン上のコントラクトの管理>
OTPトークンのコントラクト管理者UCは端末1Cの秘密鍵101Cによりブロックチェーンノード3Aにアクセスしサービスを提供する資格のあるユーザーに向けてそのユーザーの識別子にトークンを発行する。
またコントラクト3008Aや3008AGや3008AAや3008DAのOTP生成関数3009AやOTP認証関数3018Aや3018DAのOTP計算に用いるシークレットキー情報K値のKC値3011AやBC値3013Aを関数3012Aや3012DAといった手段を用いて書き換えて更新することもできる。他に看板(KNBN)となる変数3024Aを変更できる。
注意するべきこととして本発明のワンタイムパスワード生成関数と認証関数において同一のキー値KとT値を使用しなければ認証が行えない。
端末1Aがサーバ端末3Cにアクセスするサービスやソフトウェア403Aを用いる暗号化データの復号用途では、端末1Aは403Aのプログラムに従いネットワーク20を介してブロックチェーンのノード端末3AにアクセスしOTP(OWP、BnTOTP)を取得できる。
管理者端末1Cのアクセスを端末3Aが受け付け、KC値3011Aの変更のトランザクションを端末3Aは受信しブロックチェーンに連結することでKC値の変更が行え、端末3Aにアクセスする端末1Aは端末1Cが書き換えたKC値を反映したOTPによる認証ができる。一方で端末3Dを用いるサービスではK値はKC値3011DAやBC値3013DAを書き換え更新する手段をコントラクト管理者UCは提供する。
【0322】
例としてユーザーUAが秘密鍵101Aを用いてアクセスするOTP生成関数とOTP認証関数について、OTP生成関数とOTP認証関数が利用するワンタイムパスワードのシード値TIDA、KC、Bn、Aの場合にはKC値3011Aを、OTP生成関数とOTP認証関数ともに同じ値、もしくは同じデータとなるように設定し同期させなければいけない。同期していない場合、生成するパスワードと認証関数内部で計算されるパスワードが一致せず、ワンタイムパスワード認証が行えなくなる。
【0323】
KC値3011Aはコントラクトがブロックチェーンのあるブロックに記録した際に書き込まれ、その後一切書換を行わないようにコントラクトをプログラムすることもできる。またKC値3011Aはコントラクトの管理者のみが変更することもできる。KC値3011Aの取り扱いはコントラクトの管理者による。KC値3011Aがコントラクトの管理者によって任意の時刻に変更される場合はパスワードOWPの算出などで用いるBC値3013Aと同じ役割を持つ変数とみなせる。
【0324】
KC値3011Aは本発明を用いるほかのスマートコントラクトとOTPトークンのOTPの値と衝突しにくくするために、例えばOTP生成コントラクトの識別子やサービス名、書籍等コンテンツの場合にはコンテンツの名前ISBN等に基づいて計算されるKC値3011Aを使うことが好ましい。
KC値が似通ったもの、例えば256bit(符号なし整数値では2の256乗の0を含む符号なし整数数値を表現できる)の容量を持つKC値に対し、大きな数値を設定するのが面倒であるなどの理由で0から255(2の8乗まで)、さらには0から10までといった小さい整数の範囲でKC値を記録するなどの運用を複数のOTPトークンのコントラクトで行われてしまうとOTP値が衝突する恐れがある。
具体例について述べる。ある会員サイトのログインサービスのユーザー識別子Aのトークン番号9876のOTPトークンにおいて、異なるインターネットバンキングのログイン用OTPトークンの番号9876であった時、両サービスのOTPトークンのコントラクトのKC値が123などと設定されハッシュ関数もSHA-1を用い同じブロックチェーン識別子のブロックチェーンにデプロイされていた時、OTPはBnTOTP=fh( 共通のA, TIDA=9876, KC=123, 共通のBn)として計算され、結果として二つの異なるサービス用のOTPトークン間で一致したOTPが算出されてしまう。
これはウェブサイトログイン用のBnTOTPのみならず施錠用のOWPでも同様のことが起きうる。そこでサービスの異なるOTPトークンのOTP値の一致・衝突を避けるためにKC値をユニークな値にする必要がありその手段の一つとしてコントラクト識別子情報を含むもしくはコントラクト識別子情報を加工などして匿名化してKC値の一部に用いることが望ましい。
KC値を複雑にしてOTPトークンのOTP値が一致しないようにするために、複数のKC値を設定してよい。KC値は一つでなく複数あってもよく、例として第一のKC値はコントラクト管理者が任意の値(擬似乱数生成器で生成された値やそれを加工したもの、もしくは管理者が思いついた値など)に設定し、第二のKC値はコントラクト管理者がOTPトークンのコントラクト識別子(またはそれを加工し匿名化した値)を設定し、第三のKC値はキー値の更新に用いるBC値と同じ変数型の値であってもよい。
【0325】
KC値やBC値はデータ型を制限しない。符号なし整数型でもよく文字列型でもよく、KC値やBC値に当たる変数が複数コントラクトに含まれOTPの計算に用いられてもよい。
【0326】
本発明ではハッシュ関数fhはSHA-2のSHA256というハッシュ関数を用いた。SHA256ハッシュ関数はユーザー識別子Aとトークン番号TIDAとシークレット変数KCとブロック番号Bnやコントラクト管理者の変更するBCを基に作成されたメッセージについて32バイトのハッシュ値BnTOTPまたはOWPを求め、前記BnTOTPまたはOWPをOTPに用いる。ハッシュ値BnTOTPまたはOWPをそのままOTPに用いても良いし、そのハッシュ値をさらに任意の方法で計算・加工してOTPとしてもよい。
【0327】
OTPの計算においてハッシュ関数の衝突が発見されている(もしくは疑いのある)SHA-1等のハッシュ関数の使用は推奨されない。そして将来のある時点で既知のハッシュ関数fhの脆弱性が発見された場合、そのハッシュ関数の脆弱性に対する対策をOTPトークンのコントラクトやブロックチェーンの基盤に施すことが必要になるかもしれない。
ブロックチェーンの基盤においてブロックハッシュBhの算出に用いるハッシュ関数(例としてイーサリアムではKeccak-256をハッシュ関数に用いる)に問題が生じてしまうときはブロックチェーンの基盤の切り替えが必要になってしまう事もないとは言い切れない。
前記の問題が生じたときはOTPトークンのコントラクトをもちいてOTPの生成と認証を行う方法とOTPトークンの保有者情報を、脆弱性のないハッシュ関数を用いたブロックチェーンあるいは有方向非巡回グラフを用いる新たな分散型台帳システムにOTPトークンのコントラクトとOTPトークンの保有者情報を転記させる必要が生じるかもしれない。
【0328】
OTPトークンの生成と認証を行うハッシュ関数fhをコントラクトの管理者によって任意の種類に変更できてもよい。例えばハッシュ関数fhをSHA-2のSHA2-256からSHA-3のSHA3-256にコントラクトのデプロイ後に変更できてもよい。この時もKC値などの時と同じくOTP生成関数とOTP認証関数に用いるハッシュ関数fhの種類を一致させなければOTP認証は行えなくなる。
【0329】
<RFC6238規格と本発明とのワンタイムパスワード算出に関する処理内容の比較>
RFC6238規格ではワンタイムパスワードとの算出にキー値Kと時刻により変化するT値をハッシュ関数の引数に用いハッシュ値を求めワンタイムパスワードの生成、認証に利用する。前記RFC6238規格によるとHMACに基づくHOTP方式のワンタイムパスワード規格においてカウンターCを時刻Tに基づくカウンターに置き換えたものである。次にTOTPを算出する式を示す。
TOTP = HOTP(K,T)
= Truncate(HMAC-SHA-1(K.T))
ここでTruncate は端数処理である。本発明ではRFC6238にあるHMACと組み合わせたハッシュ関数に限らない。本発明ではハッシュ関数もしくはHMACと組み合わせたハッシュ関数のいずれかを利用できる。
具体的にはブロックチェーンの基盤で用いるハッシュ関数(イーサリアムで用いるKeccak-256)の他、SHA-3、HMAC-SHA3、SHA-2(SHA256,SHA384、SHA512)、RIPEMD-128/168、MD5、SHA-1等と、HMAC-SHA-3、HMAC-SHA-2(HMAC-SHA256、HMAC-SHA-384、HMAC-SHA-512)、 HMAC-RIPEMD-128/168、HMAC-MD5、HMAC-SHA-1などである。前記の具体的な関数群はHMACを用いている場合もハッシュ関数に基づいており、ハッシュ関数の一方向関数という性質を利用し、引数のメッセージデータ(もしくはキー情報)ごとに異なり衝突しにくい固有のものとみなせるダイジェスト値が計算でき、それをパスワードに利用するという機能に変わりはない。
【0330】
本発明ではRFC6238規格を参考とし、その規格で用いるK値とT値についてブロックチェーン上の時刻において変化する変数TB(好ましくはブロック番号Bnやある時刻にコントラクト管理者が変更できるBCを用いる)とK値(シークレットキーKC値、トークン番号TIDA、ユーザー識別子Aなど)、ハッシュ関数fhを用いてブロックチェーンのコントラクトにアクセスしコントラクトにおいて対応づけられたユーザー識別子の保有するトークン番号TIDAのOTPトークンを利用しOTPの生成と認証を行うブロックチェーンベースの時間に基づいて変化するOTP認証システムに用いることを特徴とする。
本発明のワンタイムパスワードBnTOTPの算出式は以下のようになる。またn桁の整数のパスワードBnTOTP-Nも次に示す。
BnTOTP = fh(K,T)
= fh(KC,TIDA,A,Bn) ※具体例。
BnTOTP-N = Truncate(fh(K.T))
= Uint( fh(KC,TIDA,A,Bn) ) mod 10n ※具体例、BnTOTPを符号無し整数化して10のn乗で割り算しその余りをパスワードとする場合。
ここでUint(X)は引数Xを符号なし整数に型変換する関数。
【0331】
<BnTOTPとパスワードOWPの算出に関する処理内容の比較>
時刻により変化するT値をTm値として、本発明のブロック番号BnをTmとして用いるワンタイムパスワードBnTOTPの算出式の一つの例は次のようになる。TmはTBと同じである。
BnTOTP = fh(K,Tm)
= fh(KC,TIDA,A,Bn) ※例
一方、Tm値をある時刻にコントラクト管理者が変更できるBC値(またはBCを変更できる権限のあるユーザーが書き換えることの出来るBCの値)を用いて本発明のパスワードOWPの算出式の一つの例は次のようになる。
OWP = fh(K,Tm)
= fh(KC,TIDA,A,BC) ※例
【0332】
n桁の整数のパスワードOWP-NとBnTOTP-Nを次に示す。
BnTOTP-N = Uint( fh(KC,TIDA,A,Bn) ) mod 10n
OWP-N = Uint( fh(KC,TIDA,A,BC) ) mod 10n
OWP-NとBnTOTP-Nは剰余rを用いるのでOWPrやBnTOTPrやそれらを総称したOTPrと言い換えることができる。
ここで10のn乗で割り算する例を示したが、10のn乗ではなくYのN乗で割り算して剰余を求めるときを考える。OWPやBnTOTPといったOTPを符号なし整数に型変換した値mを被除数mとし、10のほかに2や3や11といった2以上の符号なし整数Yを1以上の符号なし整数NでN乗した整数を除数nとして、被除数mを除数nで割った際の剰余rを算出し前記rを整数値のOTPrとして用いる処理部と記憶部をコントラクトに備えさせることもできる。OTPを符号なし整数に変換し剰余を求めたときの整数値rをOTPrとしたとき次のような式となる。
OTPr = m-qn
ただしn=YNで、好ましくはYは2以上の符号なし整数であってNは1以上の符号なし整数、qは商、nは除数、mは被除数、rは剰余。
OTPとして実用的に用いるにはYは10以上かつNは6から7以上が好ましい。しかし用途に応じてYが10かつNは2や4であってもよい。
明確な注意点としてYが2かつNが1の場合、OTPrは奇数か偶数かを示す0か1の値を擬似乱数的に出力することとなり、0と1の擬似乱数生成器としては利用できるかもしれないが、ウェブサイトログイン用などのワンタイムパスワードOTPの用途には0と1のどちらかを当ててしまえばログインなどができてしまうので実用的ではない。
そこで、例としてOTPrで4桁の整数のPIN番号を表現する場合を考えると、Yは2以上Nは14以上として除数n=214=16384とする必要がある。
Yが10かつNが7や6であれば、7桁や6桁のOTPを生成でき、コントラクト管理者にとって整数のOTPの算出や桁数の変更がイメージしやすいため本発明の実施例では10のN乗の剰余をN桁のOTP(OTPr)として用いた。
【0333】
<ブロックチェーン基盤について>
本発明を運用する中でブロックチェーン部分は技術的もしくは記憶容量などの制限でからある年数ごとにブロックチェーン部を更新したり、新たに作成し直すことが考えられる。ブロックチェーン部のブロックハッシュ算出を行うハッシュ関数を変更する必要も生じることでブロックチェーン部を更新する必要があるかもしれない。
そこで本発明のブロックチェーンを用いたOTP認証システムではコントラクトに記録されたOTP生成トークンのコントラクトとOTP認証コントラクトのプログラム情報、シード値KCやBCの情報を管理者が定期的に端末に記録することが特に好ましい。
そしてOTPトークンの持ち主となるユーザー識別子AやそのOTPトークンのトークン番号とOTPトークンに付帯するURIなどのOTPトークンの状態情報を記録し、OTPトークンの状態情報も保存されたOTPトークンの保有者名簿情報を作成し端末3Cや端末3Eや端末3Fや端末5Aや端末5Bや端末1C、そしてユーザー端末1Aの記憶装置に保管することが特に好ましい。ユーザー端末においても保有するOTPトークンの所有する一覧情報を保持することが好ましい。
【0334】
本発明ではブロックチェーンを用いて改ざん困難な関数や変数を持つプログラムを実施する形態としてスマートコントラクトを用い、ブロックチェーン上である時刻に変化する値Tmを用いてパスワードを生成し前期パスワードを端末3Cや端末3Dへ用いることで認証を行うものである。
しかしブロックチェーンは長い時間、例えば100年を超えて維持される場合には、最新のブロック番号に対して50年もしくは100年前にブロックチェーンに記録されたコントラクトのデータについて、100年間蓄積したトランザクションを含めコントラクトの関数を実行する必要が生じる恐れがある。
【0335】
本発明の問題だけでなく分散型台帳技術の課題としてあるトランザクションがあるコントラクトに対し、人の一生を超える年月にわたりトランザクションが蓄積した時の応答が不明である。また計算資源や端末の材料資源、ネットワーク資源、システムを駆動する電力源も持続可能なものでなければならない。
実施例で用いたイーサリアムのブロックチェーン基盤としての稼働実績は本文章作成時においては5年程度であり、紙のように100年以上にわたり利用され、かつ100年にわたり情報を記録しうる媒体であるかは未知な点がある。イーサリアムは100年にわたりあるコントラクトにトランザクションが蓄積しながら運用できた実績はなく、100年を超えトランザクションが集積された分散型台帳データベースでスマートコントラクトが遅延なく問題なく動作するか不明である。
しかし紙とは異なりまた既存のサーバ端末とも異なる改ざん困難で時刻に関するタイムスタンプやタイムスタンプに対応したブロック番号が刻々と記録されるコントラクト内蔵型データベースシステムを構築できる点に特徴がある。
GNSS衛星端末5Cにおいて放送データに認証用情報を添付する例で示したように物やデータに本発明の認証システムによるタグをつけてそのものやデータの真贋を判定したり、デジタルと現実の両方で利用出来うるOWP型のパスワードを表示させ入場用のチケットや施解錠の鍵に用いられる有価仕様やタグに用いることの出来るOTPトークンや、ウェブサイトへのログインや暗号化データの復号用途に用いることの出来るBnTOTP型のOTPトークンが実施できる。
【0336】
発明者が懸念する点として、100年を超えブロックチェーン(あるいは有方向非巡回グラフなどを用い改ざん耐性を備えつつスマートコントラクトを実行できるシステム)が運用される際にブロックチェーン基盤において、マークルパトリシア木を代表とするデータ構造があって、計算量O(log(n))でキーと値のペアを検索し挿入削除を行うが、年月の経過とともにブロックチェーンのデータ量が大きくなり端末3Aや3Bといったノードの記憶域を消費するようになる恐れがある。マークルパトリシア木のデータベースに関するデータ検索時間・データ探索時間がより多くかかるなどの恐れがある。より昔、より小さいブロック番号でデプロイされたコントラクト(及びそれに含まれるOTP生成関数・OTP認証関数)ほどブロックチェーン部から読み取りにくくなる、もしくは読み取って関数を実行させる場合に想定以上に時間がかかるのではないかという懸念である。
計算力が高い電子計算機端末や、量子力学に基づいたデータ探索用の計算機端末が産み出され、高速かつ大容量なRAMやROMといった記憶装置があるとき問題を解決できるかもしれないが、そうならないとき、ブロックチェーン基盤を更新し、過去の分散型台帳システムの分散型台帳をアーカイブし、新たな分散型台帳基盤に過去の分散型台帳で需要のあるコントラクトを転記しブロックチェーン基盤の更新を行うことが求められるかもれない。
【0337】
トランザクションが蓄積したコントラクトを含むブロックチェーンにおいてステートツリーが5年ではなく100年あるいはそれ以上になるときの計算量O(log(n))がどのようになるか不明である。(イーサリアムはマークルパトリシア木型のステートツリー(状態木)をもちいる。)
ブロックチェーンを構成するデータベースに含まれるトランザクションが増大することで、ステートツリーもしくはブロックチェーンのブロックの長さが大きくなることで、OTP生成関数やOTP認証関数を検索するにの必要な計算量が増え、データ探索時間に必要な計算量が増える恐れがある。そして本発明においてはOTPを生成するコントラクトのOTP生成関数やOTP認証関数の実行に必要な時間が増大する恐れがある。
【0338】
そこで、利用者の多いコントラクトをブロックチェーン部が検知し、サーバ3Aの記憶部の内主記憶装置のRAM等の計算機端末内で最も高速な読み取りと書き換えを行うことの出来る記憶装置に配置できればコントラクトにアクセスするユーザーはOTPの生成や認証処理の速度を向上させることができる。
【0339】
また、本発明では仮にOTP生成関数やOTP認証関数の実行に必要な時間が意図せず増大する場合においても、コントラクトの管理者が3030AによりBnTOTPの表示時間と認証可能な時間(OTP認証可能な待ち受け時間)を増大することができ、OWPを用いるときにはコントラクト管理者がOWPのシード値KCを変更する場合には更新の時間間隔を変えることで処理の遅延などが生じてもBnTOTPやOWPをブロックチェーンより取得し認証させることができる。
【0340】
<ブロックチェーン基盤とOTPコントラクトの更新>
長い年月の中で技術的な課題や新たな計算機によって公開鍵暗号用の秘密鍵101Aのデータ長などの仕様を変更し、データ長を拡張する必要も生じるかもしれない。ブロックチェーン基盤に用いる公開鍵暗号など暗号化形式やハッシュ関数の安全性に問題が生じる恐れもあるかもしれない。その結果としてブロックチェーン基盤の問題もしくはデータ量の問題からブロックチェーンの基盤を数十年ごとに更新する必要があるかもしれない。
【0341】
ブロックチェーン部やブロックチェーン基盤を含めたブロックチェーン部の更新時に、端末3Aが保有するブロックチェーン部のデータを保存し磁気テープ・磁気ディスクなど半導体メモリ型のRAMよりは低速な読み書き速度ではあるが安価で不揮発性の大容量な外部記憶装置に記録し保存できることも好ましい。
ノード3Aが記録する更新前のブロックチェーンのフルノードデータを記録することで、トランザクションが外部記録装置に複製されて記録できる。外部記録装置に記録された更新前のブロックチェーンデータは未来のある時点で取引に問題が生じていたことが分かったとき、個人や法人もしくは捜査機関が捜査を行うときに役立つ。
【0342】
100年を超えて運用されるサービスであっても、分散型台帳技術における課題や、想定できない課題により、ブロックチェーンのブロック番号の大きさ、ブロックチェーンのブロックの長さが100年ではなく25年といった期間に区切りながら保存することが必要になることも想定される。その事態を想定し、端末3Aから端末3Eや端末3FがOTPトークンのコントラクトに関する情報を各コントラクト識別子やユーザー識別子ごとにとりまとめ、新たなブロックチェーンにコントラクト識別子やユーザー識別子に対応した最新の情報を移植もしくは更新できるようにすることも必要になるかもしれない。
【0343】
ブロックチェーンの更新、ブロックチェーンのコントラクトの更新に関連し、3Aに3Cや3Eや3Fや5Aや5BがアクセスしユーザーUAらのOTPトークンの資産残高やOTPトークンのURIなどOTPトークン情報を各々の端末の顧客データベースに記録し3Aに3Cや3Eや3Fや5Aや5Bがデータべース情報よりユーザーUAらの資産残高情報を収集し電子署名やHMACを行った残高通帳もしくは残高明細書あるいは残高データをユーザUAらの端末に発行できることが好ましい。
【0344】
ブロックチェーンの更新が無くとも、サービス提供者やOTPトークンのユーザーの要望によっては3Aに3Cや3Eや3Fや5Aや5BがアクセスしユーザーUAらのOTPトークンの資産残高やOTPトークンのURIなどOTPトークン情報をデータベースに記録し、ユーザーUAらに電子署名やHMACを行った残高通帳もしくは残高明細書あるいはOTPトークンの残高・残数データをユーザUAらの端末に発行できることが好ましい。
【0345】
サービス提供者の意志に応じてOTPトークンのコントラクトを作り直す場合には顧客のユーザー識別子とトークン番号とトークンに含まれるデータを用いて元のOTPトークンとは異なるコントラクト識別子にOTPトークンのコントラクトを新規にデプロイし、元のOTPトークンのコントラクトに含まれる顧客のユーザー識別子とトークン番号とトークンに含まれるデータに従ってOTPトークンを再発行することでコントラクトの更新を行う。
【0346】
<本発明のOTP認証システムを実施する形態>
本発明ではネットワーク20に接続されたブロックチェーンなど分散型台帳システムDLSのノードとなるサーバ端末3AにOTPトークンとOTPを生成するコントラクトを管理者端末1Cの秘密鍵101Cを用いたトランザクションによってデプロイさせて備えさせ、前記OTPトークンを生成するコントラクトを備えるサーバ端末3Aにユーザー端末1Aおよび4Aが秘密鍵101Aまたは401Aを用いてOTPトークンのOTPを生成する関数3009Aを呼び出し、OTPを生成させ、生成されたOTPを3Cや3D、もしくはソフトウェア403Aのプログラムに従って入力し、認証先が3Cや403Aの場合はサーバ端末3AのOTP認証関数3018Aを用いてOTPを認証し、認証先が3Dの場合は3Dに内蔵された認証関数3018DAを用いてOTPを認証し、認証結果の戻り値3021Aが認証結果の正しい時の値であるとき、OTP認証が行えたと判断しサービスの提供を行うシステムを実現する。
ブロックチェーンなど分散型台帳システムDLS上で動作するスマートコントラクトという改ざん困難なプログラムを用いることでOTPトークンの生成関数3009Aや認証関数3018A、3018DAの実行時にその実行結果を改ざん困難な状態で保存でき、またOTP認証関数やOTP生成関数およびOTPトークンの所有者情報やOTPを計算するシード値となるKC値3011A等といったコントラクトの内部変数も改ざん困難な分散型台帳として記録されるため改ざん困難かつ分散して記録できるブロックチェーンべ―スのOTPトークンとそれを用いた認証システムと前記システムに用いる装置や端末を実現した。そしてOTPを計算する際に用いるキー値KやKCをコントラクト管理者の管理者端末の秘密鍵101Cを用いたトランザクションによって変更しコントラクトに属するすべてのユーザーのOTPトークンのキー値を変え更新できる認証システムと認証システムに用いる装置や端末を実現した。
キー値KやKCの更新の他にOTP認証に用いるOTPの桁数やOTP認証を行える時間間隔をコントラクト管理者の管理者端末の秘密鍵101Cを用いたトランザクションによって変更可能とした。
秘密鍵の不正利用を検出するためにユーザー端末の環境値や環境値を匿名化した情報をユーザー識別子もしくはトークン番号の値もしくは匿名化した値と対応させ、漏洩した秘密鍵や使い回された秘密鍵による同一時刻へのアクセスを検知できる手段も備えることができる。
【実施例0347】
図8Aは本発明のワンタイムパスワード認証システム(OTP認証システム)においてウェブサイトにログインする際の基本的な認証システム図である。
図8Aにおいてユーザ端末1A(
図2Aの1A)とサーバ端末3A(
図3Aの3A)とコントラクト管理者端末1C(
図2Cの1C)とログイン先となるウェブサイトを管理するサーバ端末3C(
図3C)がネットワーク20を通じて(介して)接続されている。
図8Aから省略しているが
図1Aに示したサーバ端末3Aと同様のブロックチェーン部を持つサーバ端末3Bや端末1Aとは異なるユーザー端末3Bが存在できる。
図7DはOTP認証システムを用いてウェブサイトへログインする際のシーケンスの説明図である。
図7Dは
図7Aと類似する。
図6Aと
図6Bと
図6Cと
図6Dと
図6Eと
図6Fは
図8Aのサーバ端末3Aの記憶部30Aに記録された分散型台帳記録部300Aとしてブロックチェーン型のデータ構造を用いたブロックチェーン部300Aのブロックチェーン全体部3006Aに記録され展開された(デプロイされた)本発明で用いるワンタイムパスワード生成および認証スマートコントラクト(コントラクト)3008Aと3008AGと3008AAにおけるOTP生成処理やOTP認証処理を説明するフローチャートの説明図である。
参考として
図9Aは分散型台帳システムDLSにブロックチェーン型のデータ構造を用いた分散型台帳記録部300Aを用いるときのOTPトークンによる認証システムの概要を説明しており、
図9Bは分散型台帳システムDLSに有向非巡回グラフ型(DAG型)のデータ構造を用いた分散型台帳記録部300Aを用いるときのOTPトークンによる認証システムの概要を説明する図である。
図7Aでは端末1CはS110からS113にかけて端末3AのDLSにコントラクトをデプロイしサービスにコントラクトを設定する。S114とS115ではサービス(主に常時ネットワーク接続される前提である端末3Cやソフトウェア403Aによる暗号データの復号の用途等で、ネットワーク20と切断される恐れがある端末3Dもネットワーク20に接続できるときは
図7Aの形で認証するようプログラムされうる。)から指示を受けた端末1CがOTPトークンをユーザー識別子Aにトークン番号TIDAとしてトークンを発行し、また1Cまたはサービスはユーザー端末1Aにトークン番号やトークン発行結果を知らせることができる。
S116ではユーザー端末1Aがサービスにアクセスし、
図6Xに示すようにアクセス情報をサービス側が記録することもできるし記録しないこともできる。次にサービスは1AにOTP認証を求め端末1Aは端末3AにアクセスしS117からS119のシークエンスでOTP生成関数3009AからOTPを取得する。OTPはハッシュ関数にSHA256を用いたときは32バイト(符号なし整数にして2の256乗-1)のデータとして計算され出力される。
(3009Aと3018AにSHA256を用いたデータを符号なし整数値に型変換し、ある整数nで割ったときの剰余をある桁数の整数値のOTPとしてもよい。例として32バイトのデータを符号なし整数に型変換しその10のN乗の剰余OTPrをN桁の符号なし整数のOTPとして用いてもよい。前記の様に実施例1のみならず実施例1や実施例3でもハッシュ関数から出力されたデータを符号なし整数等に型変換してある桁数や文字数にして本発明の認証システムを構築する際はOTP生成関数3009AとOTP認証関数3018Aや端末3Dに搭載する3018DAも対となるOTP生成関数と同じようにOTPの計算を行い剰余によるパスワードOTPrを計算できなければ認証できない。)
そしてS120ではサービスが接続中の1Aのアクセス状況や挙動を収集し記録することもできるし収集や記録をしないこともできる。S120ではOTP認証を端末1Aに要求しする。端末1AはS121からS123にかけてS117からS119で取得した値とユーザー識別子とOTPトークンのトークン番号をOTP認証関数3018Aに入力し認証関数3018Aを実行させS123にて認証結果3018A等の戻り値CTAUを端末3Aから得てサービスに認証関数の戻り値CTAUを入力・出力する。端末1Aの出力した認証関数の戻り値CTAUがOTP認証結果が正しい時の値であればウェブサイトへのログインやウェブサイトの操作・ウェブサービスの操作を行わせる。
S125ではログイン後も端末1Aのアクセス情報をサービス側は収集し不正アクセスがないかどうか、秘密鍵の多重利用による同一のOTPトークン番号TIDAとユーザー識別子Aに対し異なるIPアドレスや位置情報や端末のID値そして端末のセンサ値が
図6Xに示すように記録されないかどうか監視し記録された時は不正アクセスをユーザーに通知できる。しかし実施時には
図6Xのように記録することがプライバシー侵害や端末の計算資源を不要に利用してしまい経済の費用対応化に見合わない恐れもあるので必ず行わなくともよい。
本発明においては、例として暗号化データの復号によるコンテンツ閲覧利用やインターネットバンキング用のログインや銀行口座残高の操作といった金銭的価値・重要なものを扱うOTPトークンが割り当てられた分散型台帳システムへのアクセス用秘密鍵の漏洩や使い回しを検知する手段として
図6Xのデータ収集と監視を行いたいのであり、本発明を用いて例えば簡易に世界規模で匿名性を生かした会員サイトや投票サイトなどを計算力の低い端末をサーバとして作りたいといった用途に用いる場合には
図6Xのデータ収集と監視を行わない。
図6Xによるサービスへの不正アクセスの監視は本発明の利用形態に応じて用いる。
【0348】
実施例1(実施形態1)では、
図6Aと
図6Bと
図6Cと
図6Dと
図6Eと
図6Fに記載のOTP生成およびOTP認証を行うOTPの計算はハッシュ関数fhと、そのfhの引数に、
ブロックチェーン部へのユーザー識別子Aと、
Aに対応図けられたトークン番号TIDA、
コントラクト内部のシークレット変数KC、ブロック番号Bnの4つを用い、
さらにコントラクト管理者が変更可能なシークレット変数BCと、
ブロックチェーンのシステムを構成するノードの投票値で決まる値GasLimit値をVとして、
fh(A,TIDA,KC,Bn,BC,V)を計算させOTPを算出させることで、
ユーザー識別子およびトークン番号によって異なる専用のOTPを生成させ、
V値によって疑似的なランダム性を備えさせ、シークレット変数KCとBCのうちBC値を更新できるOTP認証システムを構築した。
【0349】
実施例1では
図8Aのサーバ端末3Aのブロックチェーン上のコントラクト3008Aと3008AGと3008AAは、コントラクト内部の変数KC(
図3ACの3011A)またはBC(
図3ACの3013A)と内部変数KCまたはBCまたはその両方を書き換えて更新できるセッター関数fscb(
図3ACの3012A)を備えている。
前記セッター関数fscb(
図3ACの3012A)はコントラクト管理者の端末1Cが備える秘密鍵PRVC(
図2Cの101C)によってブロックチェーンにアクセスされるときに限り変数KC(
図3ACの3011A)またはBC(
図3ACの3013A)と内部変数KCまたはBCまたはその両方を書き換えて更新できるよう関数fscb(3012A)はプログラムされる。
コントラクト内部変数値は秘匿化されていることが好ましい。
3008Aは同一のコントラクトに内部変数KC値やBC値が記録されているが、3008AGと3008AAの二つのコントラクトを用いる場合にはOTPの計算に用いる変数KC(3011A)、変数BC(3013A)を関数fscb(3012A)で書換更新し3008AGと3008AAのKC値及びBC値を一致させ同期させ、同期した状態を保つ必要がある。KCやBCの変数の個数やデータ型等は限定しないが、設定したKCやBCに該当するデータの個数や量に応じて一致させるべき数値も増える。前記のKCやBCのほかにOTP認証の待受け時間を変える関数及び変数3030AやOTPrを求めるためのOTPr桁数変更用関数及び変数3031Aも3008AGと3008AAの間で同期させて一致させなければいけない。また変数の他OTPを計算するために必要なハッシュ関数fhの関数の種類を一致させなければならない。
ここで端末3Cでは3008AGと3008AAを用いるが、端末3Dでは3008Aまたは3008AGと端末3Dの認証関数3018DAを用いるので端末3DにKC値やBC値や3030Aや3031Aを設定する場合には3008Aまたは3008AGの変数・関数の記憶部と端末3Dの変数・関数の記憶部を一致させ同期しなければいけない。
【0350】
またコントラクトの管理者はその端末1CからコントラクトにOTPトークンの名前やサービスの名称、サービス提供者の住所連絡先、レイティング情報などサービスを提供するうえで必要な情報を示した看板変数とその変数を変更書換できる関数KNBN(3024A)をコントラクトに記録させ設定できる。ここで看板として記録する変数の数や配列、構造体、マッピング型など型を問わない。変数3024Aはブロックチェーンにアクセスするすべてのユーザーが読み取る事のみできる(KNBNの書換は端末1Cの秘密鍵PRVC(101C)を用いて行われる)。
【0351】
実施例1に限らず実施例2や3にも起きうる問題として管理者端末1Cの秘密鍵PRVC(秘密鍵101C)が管理すべきユーザーの手から漏洩し、別のユーザーが秘密鍵101C情報を入手し、その情報を複製し、端末からコントラクト3008Aなどに不正アクセスし、サービスを受けさせる権限である本発明のOTPトークンを不正アクセス者が望むユーザー識別子に無制限に発行することが可能になりうる。そして看板情報3024Aや内部変数3011Aおよび3013Aにアクセスする可能性が考えられる。
このような事態が起きないよう、コントラクト内部にあるトークン発行関数(
図3043A)や関数fscb(3012A)や3024A等に含まれるセッター関数を実行する際に秘密鍵101Cとは異なる秘密鍵に由来するユーザー識別子の同意がなければ関数関数を実行させないようにするコントラクト管理者秘密鍵漏洩対策部分3042Aを備えることができる。
【0352】
<コントラクト管理者の秘密鍵が漏洩することに備えた対策例>
コントラクト管理者秘密鍵漏洩対策部分3042Aについて説明する。
OTPを管理するコントラクトの内部変数やトークン発行を関数として実行する際に、関数の実行を行うには秘密鍵PRVCのユーザー識別子Cのコントラクト管理者以外の1つまたは複数のユーザ識別子が個別に設定できるマッピング変数または配列、構造体、それらと同等の複数変数があり、ユーザー識別子と対応したブーリアン型(真偽型)の変数値において真か偽かを記録させる。
そしてユーザー識別子に対応した真偽値が真であるとき実行でき、偽であるとき実行しないとする。ここで全てのユーザー識別子に対しユーザー識別子に対応した真偽値が真であるときOTPトークンの発行やコントラクト内部変数の操作を行い、全てのユーザー識別子のうち1つでも真偽値が偽になっている場合関数の実行を停止する場合が考えられる。この応用として全てのユーザー識別子に対しユーザー識別子に対応した真偽値の真もしくは偽の数を数え、全ユーザー識別子数の過半数(あるいは設定した割合)を超えたときに関数の実行を行うこともできる。
3042Aにはユーザー識別子に対応した真偽値をもつマッピング変数とその変数の真偽値から処理を実行させるか停止させるか判断する処理部を持ち3042Aはトークン発行関数3043Aや関数3012A等のコントラクトの状態を限定したアクセス者に対して読取または書き換えを行う関数の処理部に記述(設定)することができる。
【0353】
<コントラクト管理者の秘密鍵が漏洩することに備えた簡易の対策>
例えば二つの異なる秘密鍵を用いてコントラクト管理者としてアクセスしてもよい。コントラクト管理者の秘密鍵の鍵PRVCとPRVCが漏洩した際にOTPトークンの発行等を停止するための秘密鍵PRVBを用意し、PRVC2のみアクセスできる関数実行停止変数とそのセッター変数を備え、関数実行停止変数が真であるときに関数を実行し、偽であるときに関数を実行しないようにする処理をOTPトークンの発行関数やコントラクト内部変数(
図3ACにおける3043Aや3024A、3030A、3031A、3011A、3013A)について設定できる。
本発明に記載の方法以外にも一般にマルチシグ技術と呼ばれるものを用いて複数の秘密鍵を設定し、秘密鍵の流出に対応してもよい。
【0354】
サービス提供者が秘密鍵を漏洩したこと、攻撃を受けている事、攻撃を受けた時刻をコントラクト識別子3019Aとともに自社のウェブページ等に掲載し、ユーザーに周知し、漏洩した秘密鍵とは異なる新たな秘密鍵でコントラクトをデプロイしOTPトークンの再発行をすることもできる。ブロックチェーンを含む分散型台帳システムにおいて技術的に問題が生じ、新たなブロックチェーン等へトークンを移転させるるために再発行を行うことも考えられる。
本発明は改ざん困難なブロックチェーン上でOTPを流通させOTPトークンをもちいてサービスの提供を自動化したり記録するものであって、サービスを提供するかどうかは最終的にはサービスを購入した時の契約内容や、法による制限、そしてサービス提供者とユーザーとの合意により決まる。
サービスの提供が困難な場合にユーザーに連絡先を伝えたいとき、あるいはサービスの提供者に連絡を取りたい場合には看板情報KNBN(3024A)にて連絡先を掲示することが必要である。サービスのレイティング(サービスに年齢制限があるか、サービスが自動車の鍵である場合は運転免許証が必要か等の制限情報)も3024に記入される。
本発明ではトークンは電子商取引を用いて購入する形で発行することを意図している。電子商取引ではクレジットカードなどの情報を用いるがその場合は成人が対象となる。本サービスを未成年のコンピュータゲームサイトやウェブアプリへのログインそして暗号化された書籍データの復号用とする場合は秘密鍵を記録した端末を家族用として購入し、その端末を未成年に買い与えるといった考え方が必要かもしれない。
端末1Aを持たないユーザーUAがOWP型の18Aや19Aを入手したい場合は電話などでサービス提供者やチケット等発券者、コンビニエンスストア店舗などで代理でOTPトークンとサービス用のOWPつき18Aや19Aを発行させることもできる。
秘密鍵101Aを記録させたNFCタグ19Aや16AをUAが所持し、コンビニエンスストアなど店舗に備え付けられた秘密鍵の無い端末1Aに19Aや16Aの秘密鍵情報を読み取らせることでログインできるかもしれない。端末1Aやインターネット回線を提供するインターネットカフェやホテル、民宿などの店舗でも利用出来うる。
【0355】
<トークンの発行>
図8Aにおいて
図7Dに記載のシーケンス図に従い、秘密鍵PRVA(
図2AAの101A)と秘密鍵101Aから計算されるユーザ識別子Aに対しコントラクト3008Aまたは3008AGがトークン番号TIDAのOTPトークンを発行する。
本発明のすべての実施例ではブロックチェーン部にイーサリアム(Ethereum)のERC721規格のトークンにOTPを計算するシークレット変数(シード値)KC、BCとOTPの生成関数(
図6A,
図6B)及び認証関数(
図6C、
図6D、
図6E、
図6F)を追加する形で、ブロックチェーン上にてワンタイムパスワード生成及び認証を行うコントラクトを構築した。トークンの所有関係(トークン番号とユーザ識別子との対応関係)はユーザ識別子Aの秘密鍵PRVA(101A)に対してブロックチェーン上のコントラクト内部に記録される。ERC721規格ではトークンの発行、トークンの送信(譲渡)、トークンの除去などの機能があるがその説明は省略する。本発明ではERC721規格においてトークン送信を制限する譲渡制限機能を搭載することができる。
これは本発明において譲渡を許可しないチケットや会員権やオンラインゲーム及びネットバンキング用のログイン用途のOTPトークンとすることを意図しているためである。
コントラクトの管理者によってトークンの送信を制限する変数及びセッター関数3041Aを用いてトークン送信関数3040Aの実行を制御できる。3041Aの変数が真であるときはトークン送信関数3040Aの実行を続け3041Aの変数が偽であるときはトークン送信関数3040Aの実行を停止するというように3040Aをプログラムすることができる。
譲渡制限ではなく譲渡を禁止したい用途ではトークンの契約者に譲渡を禁止することを伝えた上でトークンを発行することを前提とし、3041Aの変数を偽に固定し、3041の変数を変更できるセッター関数を除いて、常にトークン送信関数3040Aを実行できない様にプログラムしたOTPトークンのコントラクト3008A及び3008AGであってもよい。またはトークン送信関数3040Aそのものを除いたOTPトークンのコントラクト3008A及び3008AGでもよい。
次に
図7Dのシーケンス図を用いてコントラクトのデプロイからOTPトークンの発行とトークンを用いたサービスの提供を説明する。
【0356】
図7Dにおいてユーザー端末1AとブロックチェーンシステムDLSをもつサーバ3A(実際はイーサリアムのテストネット)、ウェブサイトログインサービス用サーバ3C、OTPトークン及びOTP認証システムに関するコントラクトをデプロイし管理しトークンの発行をすることの出来る秘密鍵101Cを記憶装置10Cに備える管理者端末1Cがある。
【0357】
シークエンスS210において端末1CにてブロックチェーンにデプロイするOTPトークンのシークレット変数KC(
図3ACの3011A)またはBC(
図3ACの3013A)や看板情報3024A、OTPを変更する時間(ブロック数)を変更するブロック番号剰余変数3030AやOTP桁数調整部3031A等を設定する。そしてOTPを生成認証するコントラクト3008A、OTPを生成するコントラクト3008AG、OTPを認証するコントラクト3008AAを設定する。
実施例3ではOTPの生成と認証ができるコントラクト3008Aを用いる。
実施例2ではOTPの生成ができるコントラクト3008A又は3008AGとOTPの認証ができる端末3DのOTP認証関数3018DA及び前記関数の変数や関数の記録部を用いる。3Dがネットワーク20を通じてノード3Aに接続し通信できる場合は3008AAや3008Aの認証関数3018Aを利用できるようにしている。
実施例1ではOTPの生成ができるコントラクト3008A又は3008AGとOTPの認証ができるコントラクト3008AAを組み合わせて用いる。
【0358】
シークエンスS211でブロックチェーンにコントラクトをデプロイする。コントラクトのコード(イーサリアムバーチャルマシンの実行用バイトコード、バイトコード)をブロックチェーンにトランザクションとして送信し、ブロックデータに記録させる。ログイン用途では認証を行いログイン後に認証コントラクト3008AAにユーザーがトークンに紐図けられた値(トークンとユーザー識別子に対応した銀行口座残高のマッピング変数、残高からの送金処理、会員サイトでのポイントや投票値)の操作を行いたい場合がある。
そこでここでは
図3ACの3008A(
図3ABの3008AGでも実施可能)をOTP生成トークンを記録したOTP生成コントラクトとし
図3ABの3008AAをOTP認証コントラクトとして、ブロックチェーン上に別々にデプロイする。(
図9AのようにブロックチェーンのブロックデータBd0からBd7のうち、Bd1、Bd3、Bd4へデプロイされる。デプロイされたデータに端末1AがアクセスしOTPの生成と認証を行う。)
【0359】
シークエンスS212ではコントラクトがブロックチェーンに組み込まれた際に決定したコントラクト識別子(コントラクトアドレス)をブロックチェーン部から端末1Cの記録装置(10C)に取得しウェブサイトにログインするサーバ3CのウェブサイトのECMAScriptなどのウェブページを動作させるプログラムに記録させ設定する。同時にウェブページを動作させるプログラム(フロントエンド、サーバーサイド、データベース、そして必要に応じてブロックチェーン部など含む)を設定する。
【0360】
シークエンスS213ではOTPを生成するOTPトークンの発行を行う。サービスの契約や購入を行ったユーザー識別子Aに対し管理者端末1CはデプロイしたOTP生成トークンにアクセスしてトークン番号TIDAのOTPトークンを発行する。発行されるOTPトークンは3008Aまたは3008AGに示すコントラクトであり実施例1ではERC721規格の機能を持つ。OTPトークンは電子商取引などで決済手段を用いてログイン権として購入されるか、インターネットバンキングを代表とする銀行など金融分野のサービスや会員サイトのログインサービス、ソーシャルネットワーキングサービスSNSのログインサービス、オンラインゲームなどのログインサービスに付属して発行される。
【0361】
本発明のOTP認証システムを提供する際に決済はブロックチェーン外で行われることを想定している。しかしイーサリアムではメインネットにおける暗号資産イーサの払い込みに応じて決済を用いてOTPトークンを付与すること(つまり自動販売機のようにユーザーがイーサをコントラクトに硬貨の様に投入し、そのユーザーに対しOTPトークンを送付する事)も可能である。ただしサービスによってはブロックチェーンの外で人員が契約や決済の有無、OTPトークンを付与するユーザーの実在性確認、本人確認、KYC(Know Your Customer)をする必要があると考えられるのでブロックチェーンの内部通貨を用いた決済は必須としない。とくに銀行や証券などの金融分野では本人確認が必要であると考えられるので、本発明のOTPトークンの契約や発行にはブロックチェーン外でユーザーを確認する人員や装置が必要である。
【0362】
シークエンスS214ではウェブページへのログインを行う。OTPトークンを付与されたユーザーは秘密鍵101A(秘密鍵PRVA)を記憶装置10Aもしくは外部記録装置16Aに記録させた端末1Aを用いてサーバ3C及びブロックチェーンシステムDLSにアクセスする。端末1Aのアクセスを受けたサーバ端末3Cは端末1Aのアクセスに応じてウェブサイトまたはウェブアプリのデータを端末1Aに配信する。
3CはシークエンスS214では例としてログイン時のユーザー名とパスワードの入力を要求するウェブページデータを端末1Aに配信し1段階目の認証を要求する。
ここでウェブブラウザの拡張機能にウォレットソフトウェアがあってウォレットソフトウェアに秘密鍵が搭載されているか判断するプログラムをウェブページデータに備えていてもよく、ウェブブラウザの拡張機能等に記録されたウォレットソフトウェアとウォレットソフトウェアに記憶された秘密鍵を用いてOTP生成を行いOTP認証を行えるようにしてもよい。また秘密鍵を記入し記録しブロックチェーンにアクセスしOTPを表示させるソフトウェアを端末1Aの記憶装置10Aの102Aに搭載していてもよい。ユーザー名とパスワードが一致した場合に次のシーケンスに続く。(ユーザー名とパスワードは認証の1つの要素として用いる。OTP認証と既存のユーザー名・パスワード認証を合わせて2要素または2段階認証とする。のユーザー名・パスワード認証のほかに用途によってはPINや生体認証でもよい。)
【0363】
シーケンスS215ではOTP認証を行うためのユーザー端末1Aのアクセスをサーバ端末3Cが受けて、端末3Cから端末1AへOTPの生成を行わせるウェブページを配信するとともに、そのユーザー端末1Aのアクセスを不正なアクセスか否かを監視する。ウェブページ上でOTPを生成するにはユーザー識別子とトークン番号の入力を要求し、ユーザーのユーザ識別子やトークン番号等の入力値と、ユーザー端末のIPアドレスや位置情報や端末の入力装置のセンサ値などを含むIPV値と、ログイン時刻やログイン回数やログイン状態について
図6Xのように記録する。通常の端末3Cの利用において、同一時刻に1人の個人が1つの秘密鍵を1つの端末からサーバ端末3Cへアクセスする場合は、
図6Xに記載の異なる複数のIPV値は記録されないはずである。
また端末3Cはウェブブラウザのバージョンなど端末に固有の情報とIPアドレスといった値を収集できる場合には、その情報を次回のユーザーUAの端末1Aのログインまで端末3Cの記憶装置に記憶しておくこともできる。次回のログイン時に記憶されたアクセス情報を照らし合わせてアクセス環境の変化を検出してもよい。
【0364】
シーケンスS216及びS217ではS215で配信されたウェブページのECMAScript等プログラムに応じて、ユーザ識別子Aとトークン番号TIDAとユーザー端末1Aに記録された秘密鍵101Aを用いてブロックチェーンのノードの一つである端末3Aにアクセスし、端末3AにデプロイされたOTP生成コントラクト3008Aまたは3008AGのOTP生成関数(
図3ACの3009A)を実行する。
トークン番号TIDAが秘密鍵101Aから計算されるユーザー識別子Aと対応づけられていてTIDAの所有者がOTP生成関数3009Aの実行者である場合にOTP計算して生成し端末1AにOTPを戻り値として返す。S218では端末3AのOTP生成コントラクト3008Aや3008AGに従って生成されたOTPをOTP関数3009Aの戻り値としてユーザー端末1Aが取得する。
3009Aの動作するフローチャートは
図6Aまたは
図6B示すとおりであり、
図6Bに示すようにOTP生成関数3009Aを実行した際にその実行回数を記録する変数OTPCT(
図3ACの3017A)またはOTPCTG(
図3ABの3017AG)を増加または減少させることでブロックチェーンのコントラクト上の変数を変えることができ、ブロックチェーン上でOTPを生成する計算を実行した回数が改ざんされずに記録される。なおかつその変数3017Aまたは3017AGの変数変化をサーバ端末3Cの3114Cが検出し、不正利用があったことを通知するOTPトークンとは別のノンファンジブルトークン(不正通知トークンを)をユーザー識別子に対し送信することや、顧客情報データベース3016Cに記載のユーザー識別子に対応する電子メールアドレスや携帯番号などの連絡先に対し不正アクセスの通知することができる。
OTPトークンの真のユーザー端末であっても不正に秘密鍵を入手したユーザー端末であってもOTPを生成する際に3017Aや3017AGの数値の増加減少などの変化が発生し、サーバ端末3Cはそれを検出してユーザーに通知できるほか、3017Aや3017AGがパブリック変数である場合にはブロックチェーンにアクセスするすべての人がその数値変化を調べることができる。不正アクセスをするユーザーにとってはOTP認証を行うためのOTPを生成する段階で改ざん困難なブロックチェーン上にOTPの生成回数が記録されるため、不正アクセスの証拠を残さずに本発明の認証システムを通り抜けることは困難である。
【0365】
ここでS216及びS217においてユーザー端末がウェブブラウザの拡張機能等に秘密鍵を記録している、あるいは秘密鍵を管理しているほかのウェブサイトなどと連携している場合にはその秘密鍵情報を利用してOTP生成関数3009Aと認証関数3018Aをユーザー端末1Aに実行させる。この時、端末1Aには秘密鍵を搭載したウェブブラウザ拡張機能等と端末1Aに発行されたトークン番号TIDAの情報が必要である。
端末1Aからサーバ端末3Cへアクセスするために用いたトークン番号と、ユーザ識別子と、端末1AのIPアドレスや位置情報やセンサ情報などのIPV情報と、ログイン時刻やログイン回数やログイン状態については端末3Cの記憶部30Cのアクセス検出及び監視用データベース3011Cに
図6Xのようなデータが記録される。
また秘密鍵を記入し記録しブロックチェーンにアクセスしOTPを表示させるソフトウェアを端末1Aの記憶装置10Aの102Aに搭載している場合は秘密鍵情報をログイントークン番号TIDAの記入が必要である。(さらにコントラクト識別子やブロックチェーン識別子の記入も必要である。)
【0366】
シーケンスS219においてサーバ3Cは端末1Aに対し、OTPトークンのトークン番号とユーザー識別子とOTPの入力を求め、その際にサーバ3Cにログインに用いたトークン番号、ユーザ識別子、IPアドレスや位置情報やセンサ情報などのIPV情報とログイン時刻、ログイン回数、ログイン状態を記録するとともに、端末3Cから端末1AへOTPの認証を行わせるウェブページを配信するとともに、そのユーザー端末1Aのアクセスを不正なアクセスか否かを監視する。ウェブページ上でOTPを認証する際にユーザーのユーザ識別子やトークン番号等の入力値と、ユーザー端末のIPアドレスや位置情報や端末のセンサ値などを含むIPV値と、ログイン時刻やログイン回数やログイン状態について
図6Xのように記録する。
この場合も通常利用で、同一時刻に1人の個人が1つの秘密鍵を1つの端末からサーバ端末3Cへアクセスする場合は、
図6Xに記載の異なるIPV値は記録されないはずである。
【0367】
シーケンスS220及びS221ではS219で配信されたウェブページのECMAScript等プログラムに応じて、ユーザ識別子Aとトークン番号TIDAとユーザー端末1Aに記録された秘密鍵101Aを用いてブロックチェーンのノードの一つである3Aにアクセスし、3AにデプロイされたOTP生成コントラクト3008Aまたは3008AAのOTP認証関数(
図3ACの3018A)を実行する。
OTP認証関数3018Aはユーザー識別子A、トークン番号TIDA、OTPを引数として、引数OTPをArgOTPとして利用し、認証関数内で認証コントラクトに記録されたKC値やBC値と最新のブロック番号と引数で渡された値であるユーザ識別子Aとトークン番号TIDAを基にしてデータを作成しそのデータをハッシュ関数fhでハッシュ化してVeriOTPを算出する。VeriOTPとArgOTPが一致するか検証し、一致する場合には認証ができたと判断し、認証ができたときの処理を行い認証結果を端末1Aに戻り値CTAU(
図3ABの3021A)として返し、一致しない場合は認証ができなかった場合の処理を行う(前記処理は
図6C又は
図6D又は
図6E又は
図6F又は
図6G又は
図6Hのフローチャート説明図に従って認証関数3018Aは動作する)。
図6Cまたは
図6Dに示すようにOTP認証関数3018Aを実行した際に、3018Aの処理内部にその実行回数を記録する変数OTPCT(
図3ACの3017A)またはOTPCTA(
図3ABの3017AA)を増加または減少させ、ブロックチェーン上でOTPを生成する計算を行った回数が改ざんされずに記録する処理を備えていてもよい。なおかつその変数3017Aまたは3017AAの変数の変化をサーバ端末3Cの3114Cが検出し、不正利用があったことを通知するOTPトークンとは別のノンファンジブルトークン(不正通知トークンを)をユーザー識別子に対し送信することや、顧客情報データベース3016Cに記載のユーザー識別子に対応する電子メールアドレスや携帯番号などの連絡先に対し不正アクセスの通知することができる。
OTP生成関数の場合と同じく、OTP認証関数の場合においても、OTPトークンの真のユーザー端末と不正に秘密鍵を入手したユーザー端末の区別を問わず、OTPを生成する際に3017Aや3017AGの数値の増加減少などの変化が発生し、サーバー端末3Cはそれを検出してユーザーに通知できるほか、3017Aや3017AGがパブリック変数である場合にはブロックチェーンにアクセスするすべての人がその数値変化を調べることができる。不正アクセスをするユーザーにとってはOTP認証を行うときに改ざん困難なブロックチェーン上にOTPの生成回数が記録されるため、不正アクセスの証拠を残さずに本発明の認証システムを通り抜けることは困難である。(またBnTOTP生成回数が変わらずBnTOTPを生成し取得していないにもかかわらずOTP認証回数が変化し認証関数が実行された場合は不正利用が考えられるのでサービス提供者はその対抗策を講じることができ、ユーザーもOTP生成関数が未利用であることを主張し不正利用を受けたことを主張できる。)
【0368】
シークエンスS222では3021A、3022A、3023Aのように認証後の1つまたは複数の戻り値CTAUを定義し、認証後の処理内容、処理内容が操作するトークン番号に対応したデータベース(例として銀行口座残高や、口座残高を別の関数に送金する等といった処理)を実行できる。3022Aや3023Aはブロックチェーン上において顧客の口座残高やポイント、会員サイトでの投票結果などの価値のある変数を改ざんされないように記録するために設定できるものである。3022A、3023Aを設定しなくとも既存の銀行のインターネットバンキングと同様に銀行などのサーバ端末3Cの内部(サービス提供者の内部ネットワーク)で顧客の銀行口座情報を管理することもできるため、サービスを提供する個別のケースによっては3022Aや3023Aは利用されないことも考えられる。
【0369】
シークエンスS223では認証関数3018Aの認証結果CTAU(3021A)を端末1Aが取得する。
【0370】
シークエンスS224では端末1Aが取得したCTAUが認証結果が正しい時の値であるかどうか検証し、正しければログイン後のウェブサイト情報を配信しサービスを提供する。
シーケンスS215からS224までの処理は、トークン番号と秘密鍵がありユーザーの秘密鍵を漏洩しないよう配慮したウェブブラウザ環境であれば、トークン番号を入力するだけで(OTPの生成と認証をECMAScript等によるプログラムで自動的に行い、OTPの手動入力を省いて)ログインできる。ただしプログラム上は自動でログイン出来る場合であっても、シーケンス218で端末1Aが入手したOTPを1Aのディスプレイ150Aに表示させ、そのOTPを手動で入力するなどしてユーザーとしてヒトが実在するかどうか確認するというシークエンスでもよい。
【0371】
シークエンスS225ではS215やS219と同じく端末3Cのログイン後のサービスにアクセスするユーザー端末1Aのユーザ識別子、トークン番号、IPアドレスや位置情報や端末のセンサ値などIPVを含むアクセス情報を不正アクセス検出制御部3112Cにて監視し、
図6Xにある不正アクセスがあった場合にはそのユーザー識別子に不正アクセス通知トークンをブロックチェーン上で送付するか、あらかじめ登録された連絡先に電子メール等で不正利用の疑いがあることを連絡する。
シークエンスS226ではユーザのアクセスに応じてサービスを提供する。例えばネットバンキングでは口座残高の確認や口座の取引履歴(ウェブ通帳の表示)等の処理を行う。そして振り込みなどパスワード認証やOTP認証が必要な処理ではS214のパスワード入力やS215からS224までのOTP認証を行いサービスを提供する。シークエンスS227はシークエンス225と同じ処理である。
ユーザーがログアウトを実行したり、一定時間端末1Aから端末3Cへのアクセスが無い時は自動的にログアウトさせる。
【0372】
サーバ3Cは端末1Aのアクセス時にIPアドレスなどの値を記録できる。本発明では銀行取引等金融分野などの重要な取引を扱う必要があるサービスにおいては個人情報の保護をしつつ、ユーザーが通常アクセスする端末の情報やIPアドレス、位置情報をユーザーの同意を得て収集し(またはIPアドレス等のハッシュ値や匿名化した値を求め収集し)、
図6Xにあるデータの表に銀行口座番号や名義と電話番号または電子メールアドレスなどの連絡先情報を追記したデータベースを3Cの記録部に記録してもよい。そして端末1Aのアクセス履歴に対し、ある時端末1Aの秘密鍵101Aを用いて異なるIPアドレス等の環境からアクセスを受けたとき、顧客に電話または電子メールで通常とは異なる環境から秘密鍵101に由来するユーザー識別子Aにてアクセスがあったことを通知してもよい。
実施例2のOWPはOWP=fh(A,TIDA,KC,BC)として算出され、A,TIDA,OWPの3つを記録させたNFCタグ19A(およびA,TIDA,OWPの3つを印刷した有価紙葉18A)はKC値やBC値が変更されない限り認証を行うことができる。コントラクト3008Aおよび3008AGの生成関数と3Dに認証関数に対し同一のKC値、BC値を設定した後にKC値、BC値を変更しないサービスの運用も可能である。
しかし長時間(ここでは数年、数十年)KC値BC値を変更しない場合、NFCタグ中のA、TIDA、OWPの3つの情報が漏洩しOWP情報を複製し不正に自動車の鍵を開錠し自動車を始動させる恐れがある。そこで自動車の鍵として数カ月単位、数年単位で定期的にOWPを更新したいときがあるかもしれない。その場合にはOWPを生成するOTPトークンのコントラクトの管理者が数カ月、数年ごとにKC値とBC値をセッター関数fscbで書き換えることでOTPトークンのシークレット変数を書き換え、OWPを任意の時間間隔で変更できる。更新された取得したOWPは更新前の複製されていたかもしれないOWPとは異なる。
ここではNFCタグについて述べているが、紙のチケットなどでもOWPが更新され、OWPの更新前に印刷した紙のチケットは無効となる。KC値BC値の更新を行うことで過去に製造された紙のチケットやNFCのデータ値を無効にすることができる。無効になった紙のチケットなどに対しどう対応するかはサービス提供者に委ねられる。KC値やBC値の変更の履歴を知るサービス提供者は紙のチケットがかつて存在したかどうか検証しその紙のチケット18Aを持つものに対して対応することができるかもしれない。18Aには好ましくはA、TIDA、OWPのほかに印刷時のブロック番号Bnや印刷時刻、サービス提供者の名称と連絡先、OTPトークンのコントラクト識別子を判読できる文字列の状態で記録することが好ましい。
自動車は自動車検査時(車検時)に定期的にメンテナンスされるため、その際に自動車に内蔵された自動車の施錠や始動を制御する端末3Dをインターネットに接続させ認証関数のシード値を同期させることもでき、端末3Dに備えられた認証関数3018DAと対応したOWP、TIDA、Aを再度NFCタグ19Aに記録させる必要がある。自動車のOTPトークンの管理者は年末など自動車検査が行われていない休日を狙いKCとBCを変えるトランザクションを端末3Aを含むブロックチェーンシステムに送信することで、コントラクトに属するすべての自動車のNFCタグのOWP情報を変更でき、年末の休日が終わった後からは新しい年のKC,BC値を基に自動車の検査を行い自動車内部の端末3Dや顧客のNFCタグの鍵を最新のOWPを用いるように更新できる。
自動車の鍵でなく建物や容器に搭載された端末3Dの場合は通信用端子や無線通信装置を備えておらずKCやBCの更新ができない恐れがあるので、3Dが通信手段を持たないときはコントラクトの管理者はKC値BC値の変更を行わない。ただし、建物や容器に搭載された端末3Dが通信装置を持ちKC値やBC値を更新できる場合にはコントラクト管理者はKC値とBC値の変更を行うことができる。
端末3DのKC値とBC値を更新するには3Dの所有者が更新作業を行うか、3Dの製造者が更新作業を行うことになりヒトの手が必要になる。施錠を解錠した時に見える部分(施錠された扉の裏側に位置する施錠を解錠するレバーやスイッチおよび金庫においては施錠する端末3Dや施錠装置が取りつけられた面または庫内の面)に有線式の通信用端子を備えさせ、更新用のプログラムを通じてKC値やBC値を更新できると好ましい。
無線により3Dにアクセスできるようにすることもできるがその場合は端末3Dへのアクセス権が必要となる。OTPトークンを保有しているユーザー識別子Aの端末1Aに搭載された何らかのパスワードや秘密鍵を用いてアクセスすることが考えられる。
端末3Aを含む施錠装置の形状および形態については金庫の施錠装置のほか、南京錠型の端末3Dやワイヤーロック型もしくはベルト型の端末3Dも考えられる。自転車等の施錠にはワイヤーロック型や自転車専用の鍵となる端末3Dも考えられる。
入場口や改札などサービスを行う施設に設置された端末3Dの場合はインターネットワークまたはローカルエリアネットワークLANへの接続が容易である。有線または無線を用い入場口や改札でチケットの認証に用いる端末3Dの認証関数3018DAに用いるKC値BC値を遠隔地の端末1Cから更新できる。また3Dをネットワーク20を通じてブロックチェーンのノードとなる端末3Aに接続し3Aのブロックチェーン部に記録された認証関数3018Aを用いて認証してもよい。
S232ではコントラクト識別子をチケットなど有価紙葉の発券に利用するサーバ端末3Eとサーバ端末3Dに登録または設定する。3Dがネットワーク20と接続されずに利用される場合は3Dの記録部30Dのブロックチェーン部300Dや基礎プログラム部3010Dに認証関数3018Aや3018Aを含む認証コントラクト3008AAを記憶させ、制御部31Dで認証関数3018Aが実行出来るようにする。
端末1Aと端末3Eがあるサービスに対応したトークンの発行を契約した事を確認し、端末3Eが管理者端末1Cにトークンの発行を依頼する。シークエンスS233では1Cは1Aのユーザー識別子Aに対しトークン番号TIDAのトークンを発行する。
シークエンスS236、S237、S238で端末1Aは端末3AのOTP生成コントラクトにOTPを生成する関数を呼び出し実行させ取得する。サーバ端末3Eのウェブサイトでチケットを発行している場合にはS239にて有価紙葉の情報1500Aを表示し、1500Aの印刷を許可し有価紙葉18Aを印刷させNFCタグ19Aに有価紙葉の情報を記録させる。また1Aに記録し実行している発券ソフトウェアから発券している場合にはS240にてソフトウェアを通じて有価紙葉の情報1500Aを表示し、1500Aの印刷を許可し有価紙葉18Aを印刷させNFCタグ19Aに有価紙葉の情報を記録させる。
シークエンスS244では端末3Dは認証関数から認証結果の戻り値CTAUが正しいか判断し、正しい場合には認証ができたと判断し、入場処理や施錠を解錠するため350Dを操作する。認証結果の戻り値CTAUが正しく無い場合には再度認証を行うまで待機する。S244にて350Dを操作すると同時に351Dと352Dを認証できた場合と認証できない場合に対応した動作を行わせてもよい。
またS244において入場口や駅の改札の端末3Dなどの時に開閉装置350Dが無く人員によって入場者の制止などを行う場合は350Dを備えていなくてもよく、350Dの代わりに人員が音や光で入場させるユーザーを区別する際に役立つよう351Dと352Dを認証できた場合と認証できない場合に対応した動作を行わせてもよい。
シークエンスS245ではコントラクト管理者端末1Cがブロックチェーンのノード端末3Aにアクセスし、OTP生成コントラクトのシークレット変数KC値やBC値を変更し、さらに端末3Dの記憶装置の300Dや3010Dに記録された認証関数のKC値BC値を変更することで、OWP=fh(A,TIDA,KC,BC)のシード値が変更されパスワードOWPが変更される。ネットワークに接続されていない端末3Dは端末3Dとユーザー端末との間で通信を行うことの出来る端子や無線通信装置、NFC装置が必要である。端末3Dが金庫や自動車ではその所有者や整備又は保守を行う者がシークレット変数KC値やBC値を変更する必要がある。
シークエンスS245において端末3Aと端末3DのKCやBCを変更すると、ユーザーが製造したNFCタグや印刷物のチケットなど有価紙葉は認証できなくなり無効にさせることもできる。例えばある期日までに(11月30日から12月30日まで有効など)使用期限が設定されている商品券では有効期限後にKC値やBC値を変更すると流通していた商品券(紙、ディスプレイ表示情報、NFCタグ)は認証できなくなり利用できなくさせることもできる。
シークエンスS232、S233に関連して端末3Dを用いて解錠できるトークン番号をあらかじめ決定し、そのトークン番号を端末3DのROMとなる記憶装置に記録させてもよい。端末3Dの認証関数はA,TIDA,OWPをNFCタグより読み取り認証を行うが、自動車や建物・金庫など容器といった異なる製造番号を持ちうる製品に端末3Dを設定する際には、製品の製造番号(製品の個体識別番号)に対応したトークン番号を製品の製造時に端末3Dに組み込むことができる。