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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163218
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】便器装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 9/08 20060101AFI20241114BHJP
   A47K 13/24 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
E03D9/08 A
A47K13/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024151275
(22)【出願日】2024-09-03
(62)【分割の表示】P 2023046498の分割
【原出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大岩 幹生
(57)【要約】
【課題】外部機器と良好に通信できる便器装置を提供する。
【解決手段】便器装置100は機能部23を備える。機能部23は、便鉢部11を有する便器本体10の後部に配置される。機能部23は、本体カバー24と通信基板62とを有している。通信基板62は、本体カバー24内の上部に配置されて外部と無線通信を行う。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前記便鉢部を有する便器本体の後部に配置される機能部を備えており、
前記機能部は、本体カバーと、前記本体カバー内の上部に配置されて外部と無線通信を行う通信基板と、を有している、便器装置。
【請求項2】
前記便鉢部の上方に配置される便座を備えており、
前記通信基板は、前記便座の座面よりも上方に配置されている、請求項1に記載の便器装置。
【請求項3】
前記機能部は、前記通信基板と別体に設けられた制御基板と、前記制御基板を収納する制御基板ケースと、前記制御基板ケースに連結されて前記通信基板を収納する通信基板ケースと、を有している、請求項1及び請求項2のいずれか一項に記載の便器装置。
【請求項4】
前記機能部に開閉自在に支持されて前記便鉢部を覆う便蓋を備えており、
前記通信基板は、閉状態の前記便蓋に上方を覆われない位置に配置されている、請求項1及び請求項2のいずれか一項に記載の便器装置。
【請求項5】
前記通信基板は、前記本体カバー内の他の部品に上方を覆われない位置に配置されている、請求項1及び請求項2のいずれか一項に記載の便器装置。
【請求項6】
前記機能部は、前記便器本体の後部上面に配置されて前記便器本体に対して昇降自在なベースプレートを有しており、
前記通信基板は、前記ベースプレートとともに昇降する、請求項1及び請求項2のいずれか一項に記載の便器装置。
【請求項7】
前記機能部は、前記本体カバー内に配策されて水を流通させる給水部材と、前記給水部材と前記通信基板との間に配置される接触防止部と、を有している、請求項1及び請求項2のいずれか一項に記載の便器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は便器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は従来の便器装置としてのトイレ装置を開示している。このトイレ装置は、便器本体と、機能部としての便座ボックスと、制御部と、を備えている。制御部は便座ボックス内に配置されている。制御部は通信部を有している。通信部は、スマートフォン等の外部機器と無線通信を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-111268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の便器装置において、機能部内には種々の機能部品が配置される。このため、通信部は、機能部内の配置によっては、他の機能部品に電波を遮られるなどして十分な通信感度を得られないおそれがある。
【0005】
本開示は、外部機器と良好に通信できる便器装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る便器装置は、便鉢部を有する便器本体の後部に配置される機能部を備えており、前記機能部は、本体カバーと、前記本体カバー内の上部に配置されて外部と無線通信を行う通信基板と、を有している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1に係る便器装置を示す斜視図である。
図2】実施形態1に係る便器装置を示す側面図である。
図3】実施形態1に係る機能部を示す分解斜視図であり、内部構造を一部省略して示す。
図4】実施形態1に係る第1基板ユニット及び後ベースプレートを示す分解斜視図である。
図5】実施形態1に係る後ベースプレートを示す部分拡大平面図である。
図6】実施形態1に係る後ベースプレートにおいて、図5のVI-VI線断面を示す要部拡大図である。
図7】実施形態1に係る第1基板ユニットを示す分解斜視図である。
図8】実施形態1に係る第1基板ユニットを示す正面図である。
図9】実施形態1に係る第1基板ユニットを示す背面図である。
図10】実施形態1に係る第1基板ユニットを示す平面図である。
図11】実施形態1に係る第1基板ユニットを凹部に配置した状態を模式的に示す図である。
図12】実施形態1に係る第2基板ユニット及び前ベースプレートを示す分解斜視図である。
図13】実施形態1に係る第2基板ユニット及び前ベースプレートを示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。下記の複数の実施形態を矛盾を生じない範囲で任意に組み合わせたものも発明を実施するための形態に含まれる。
[1]本開示に係る便器装置は、便鉢部を有する便器本体の後部に配置される機能部を備えており、前記機能部は、本体カバーと、前記本体カバー内の上部に配置されて外部と無線通信を行う通信基板と、を有している。
[2]上記[1]に記載の便器装置において、前記便鉢部の上方に配置される便座を備えており、前記通信基板は、前記便座の座面よりも上方に配置されている。
[3]上記[1]及び[2]のいずれかに記載の便器装置において、前記機能部は、前記通信基板と別体に設けられた制御基板と、前記制御基板を収納する制御基板ケースと、前記制御基板ケースに連結されて前記通信基板を収納する通信基板ケースと、を有している。
[4]上記[1]から[3]までのいずれかに記載の便器装置において、前記機能部に開閉自在に支持されて前記便鉢部を覆う便蓋を備えており、前記通信基板は、閉状態の前記便蓋に上方を覆われない位置に配置されている。
[5]上記[1]から[4]までのいずれかに記載の便器装置において、前記通信基板は、前記本体カバー内の他の部品に上方を覆われない位置に配置されている。
[6]上記[1]から[5]までのいずれかに記載の便器装置において、前記機能部は、前記便器本体の後部上面に配置されて前記便器本体に対して昇降自在なベースプレートを有しており、前記通信基板は、前記ベースプレートとともに昇降する。
[7]上記[1]から[6]までのいずれかに記載の便器装置において、前記機能部は、前記本体カバー内に配策されて水を流通させる給水部材と、前記給水部材と前記通信基板との間に配置される接触防止部と、を有している。
【0009】
<実施形態1>
実施形態1に係る便器装置100は、便器本体10と、便座装置20と、を備えている。以下の説明において、前後、左右、上下の各方向は、便座装置20に正規に着座した状態で便器装置100を使用する使用者から見た前後、左右、上下方向である。各図に示すX軸、Y軸、及びZ軸は、それぞれ前後方向、左右方向、及び上下方向を表す。X軸、Y軸、及びZ軸において、各軸の正方向は、それぞれ前方、左方、及び上方である。
【0010】
図1及び図2に示すように、便器本体10は、便鉢部11、リム部12、及び周壁部13を有している。便鉢部11、リム部12、及び周壁部13は、陶器製であり、一体に形成されている。便鉢部11は、便器本体10の前部において上面から下方に鉢状に窪んで形成されている。便鉢部11は、下端において図示しない排水路に接続されている。リム部12は、便鉢部11の上端に連続して設けられている。周壁部13は、便鉢部11を前側から左右両側にわたって覆っている。
【0011】
図1及び図2に示すように、便座装置20は、便器本体10の上方に配置される。便座装置20は、便座21、便蓋22、及び機能部23を備えている。便座21及び便蓋22は、全閉位置から全開位置まで回転自在に、機能部23にそれぞれ支持されている。便座21及び便蓋22は、全閉位置において、機能部23から便器本体10の上面に沿って前方に延びて便鉢部11の上方に配置される。便座21及び便蓋22は、全開位置において、機能部23から上方に延びた直立位置よりもやや後方に倒れた状態になる。便座21及び便蓋22は、図示しないモータの駆動によって自動開閉する。
【0012】
機能部23は、便器本体10の後部に配置される。詳細には、本実施形態の場合、機能部23は、便鉢部11の後方における便器本体10の上方に配置される。図1から図3に示すように、機能部23は、前ベースプレート30と、後ベースプレート40と、本体カバー24と、第1基板ユニット50と、第2基板ユニット60と、を有している。これらに加えて、機能部23は、便器洗浄ユニット、昇降ユニット、電動開閉ユニット、局部洗浄ユニット、温風乾燥ユニット、脱臭ユニット等の各種機能部品を有する。機能部23は、これらの機能部品と基板ユニット50,60とを前ベースプレート30及び後ベースプレート40に対して取り付け、本体カバー24によって覆った構成である。前ベースプレート30及び後ベースプレート40には、これらの機能部品が配置されているとともに、機能部品同士を接続するワイヤハーネスや各部に給水するための給水ホース等が配索されている。
【0013】
前ベースプレート30及び後ベースプレート40は、前後に並んで配置されている。具体的には、後ベースプレート40は便器本体10の後端部に配置され、前ベースプレート30は後ベースプレート40の前方に配置される。前ベースプレート30及び後ベースプレート40は、それぞれ左右方向に長い長方形状をなしている。後ベースプレート40は、便器本体10に対して固定的に配置される。前ベースプレート30は、便器本体10の清掃等の利便性を図るため、便器本体10に対して昇降自在に設けられている。具体的には、前ベースプレート30は、図示しない昇降ユニットによって、便器本体10に対して昇降自在に設けられている。前ベースプレート30は、本開示に係るベースプレートの例示である。
【0014】
図3に示すように、前ベースプレート30上には、上述した機能部品のうち、局部洗浄ユニット31、除菌ユニット32、脱臭ユニット33、乾燥ユニット34、熱交ユニット35が取り付けられている。これら、局部洗浄ユニット31、除菌ユニット32、脱臭ユニット33、乾燥ユニット34、熱交ユニット35は、前ベースプレート30の前部にそれぞれ配置されている。具体的には、これら各機能部品のうち、局部洗浄ユニット31は、前ベースプレート30の左右方向中央部に配置されている。除菌ユニット32は、局部洗浄ユニット31の左側に隣接して配置されている。脱臭ユニット33は、除菌ユニット32の左側に隣接して配置されている。乾燥ユニット34は、局部洗浄ユニット31の右側に隣接して配置されている。熱交ユニット35は、乾燥ユニット34の右側に隣接して配置されている。
【0015】
前ベースプレート30の前端部にはシャッター36が配置されている。シャッター36は、局部洗浄ユニット31、乾燥ユニット34等から便鉢部11内に突出する図示しないノズルに押されることによって自動的に開かれ、ノズルが収納されることによって自動的に閉じられる。局部洗浄ユニット31のノズル、及びシャッター36は、局部洗浄ユニット31による局部洗浄が終了してノズルが収納された後、それぞれ洗浄水が供給されて洗浄される。
【0016】
第1基板ユニット50及び第2基板ユニット60は、便器装置100における機能部品への電力供給、制御等を行う。第1基板ユニット50及び第2基板ユニット60は、互いに電気的に接続されている。第1基板ユニット50は、商用100V電源などの外部電源から電力供給を受けて、所定の電源電圧を生成するように機能する。第2基板ユニット60は、制御部として機能し、機能部23内の各部を制御する。
【0017】
第1基板ユニット50は、後ベースプレート40に固定される。詳細には、図4に示すように、第1基板ユニット50は、後ベースプレート40における凹部41内に配置される。図4から図6に示すように、凹部41は下方に窪んだ凹状をなしている。凹部41は、上方から見た平面視において左右方向を長手方向とする長方形状をなしている。凹部41は、後ベースプレート40における前部の左寄りの位置に形成されている。平面視における凹部41の周辺には、第1基板ユニット50を固定するための固定ボス42が設けられている。固定ボス42は、凹部41の前方、後方、及び右側方の3箇所に設けられている。凹部41の後方にはコネクタ収納部43が設けられている。コネクタ収納部43は、下方に窪んだ凹状に形成されている。コネクタ収納部43は、第1基板ユニット50の周囲に配索されるワイヤハーネス等のコネクタが収納される。
【0018】
図5及び図6に示すように、凹部41は、前壁41Aと、後壁41Bと、底壁41Cと、を有している。前壁41A及び後壁41Bは、凹部41内の空間を挟んで前後に対向している。前壁41Aは、第1基板ユニット50が凹部41に差し込まれた状態において、後述するAC基板51の実装面51Aと対向する。後壁41Bは実装面51Aの裏面と対向する。前壁41Aの上端は、凹部41内に配置された状態のAC基板51の上端よりも低い高さに設定されている。詳細には、前壁41Aの上端高さは、AC基板51における後述する接続部51B,51Cの高さよりも低く設定されている。底壁41Cは、前壁41Aと後壁41Bの間で前後方向に延びている。底壁41Cは、後方に向かうにつれて下方に傾斜している。底壁41Cの後端と後壁41Bの下端との間は、前方に向かうにつれて下方に傾斜する傾斜面部41Dによって接続されている。
【0019】
図5及び図6に示すように、凹部41は、排水孔41Eと、リブ41Fと、を有している。排水孔41E及びリブ41Fは、底壁41Cにおける前後方向の後部寄りの位置にそれぞれ設けられている。排水孔41Eは、凹部41の左側端部に形成されている。排水孔41Eは、前後方向を長手方向とする平面視長方形状をなしている。排水孔41Eの後縁は、傾斜面部41Dにかかる位置まで延びている。リブ41Fは、排水孔41Eの左右に1つずつ設けられている。リブ41Fは、底壁41Cから上方に突出している。リブ41Fは、前壁41A及び後壁41Bとの間に隙間をあけて、底壁41C上を前後方向に延びている。リブ41Fの後端は、傾斜面部41Dよりも前方に位置している。リブ41Fの上端は、底壁41Cの上面とは異なり、略水平である。リブ41Fの上端は、第1基板ユニット50における後述するAC基板ケース52の周壁部52Bの下面と対向する。
【0020】
図7から図10に示すように、第1基板ユニット50は、AC基板51と、AC基板ケース52と、カバー53と、を有している。第1基板ユニット50は、AC基板51をAC基板ケース52に収納し、これらAC基板51及びAC基板ケース52を上方からカバー53で覆って構成されている。第1基板ユニット50は、AC基板51における実装面51Aを鉛直方向に沿わせた向きで、凹部41に配置される。AC基板51の実装面51A上の各実装部品は、実装面51Aからの実装高さがそれぞれ異なっている。図7に示すように、本実施形態の場合、AC基板51において最も実装高さの高い実装部品は、実装面51Aの下部左寄りの位置に配置されている。
【0021】
AC基板51は、実装面51Aを前方に向けた縦向きに、凹部41に配置される。AC基板51における実装面51Aは、左右方向を長手方向とする長方形状である。AC基板51における実装面51Aには多数の実装部品が実装されている。AC基板51における実装部品の実装高さは、長方形状をなすAC基板51の短手方向の大きさよりも小さい。AC基板51は、実装面51Aを水平方向に沿わせた平置きよりも、実装面51Aを鉛直方向に沿わせた縦置きのほうが、平面投影面積が小さくなる外形形状をなしている。
【0022】
図7及び図8に示すように、AC基板51は2箇所の接続部51B,51Cを有している。各接続部51B,51Cは、それぞれAC基板51の上部に設けられている。詳細には、接続部51Bは、AC基板51の上端部右寄りの位置に設けられている。接続部51Cは、AC基板51の右側端部の上部に設けられている。接続部51B,51Cには、それぞれワイヤハーネスWH1,WH2が接続される。具体的には、接続部51Bは、いわゆるボードイン端子接続による接続部である。接続部51Bには、ワイヤハーネスWH1を構成する複数の電線の各端子が個別に接続される。接続部51Bに接続されるワイヤハーネスWH1は、他端にコネクタC1が設けられている。コネクタC1は、図示しない他のワイヤハーネスのコネクタと接続する。接続部51Bには複数のワイヤハーネスWH1が接続される。接続部51Cは、コネクタ接続による接続部である。接続部51Cには、ワイヤハーネスWH2を構成する複数の電線の各端子を纏めて接続するコネクタC2が接続される。
【0023】
AC基板ケース52はAC基板51を収納する。AC基板ケース52は、ABS等の樹脂成形品である。図7から図9に示すように、AC基板ケース52は、後壁部52Aと、周壁部52Bとを有している。後壁部52Aは、AC基板51の実装面51Aとは反対側の面と対向する。後壁部52Aは、AC基板51における実装面51Aよりも僅かに大きな正面視長方形状をなしている。後壁部52Aの前面にはボス52Cが設けられている。ボス52Cは、後壁部52Aの前面から前方に突出する。ボス52Cの突出端は、AC基板ケース52に収納された状態のAC基板51の裏面に対向する。AC基板ケース52に収納された状態のAC基板51と後壁部52Aとの間には、少なくともボス52Cの突出長さの分の隙間が確保される。この隙間はポッティング剤の充填空間として利用される。後壁部52Aの後面にはケース固定部52Dが設けられている。ケース固定部52Dは、カバー53における後述するカバー固定部53Bとともに、後ベースプレート40における複数の固定ボス42の一つにねじ止めされて後ベースプレート40に固定される。
【0024】
図7に示すように、周壁部52Bは、後壁部52Aの周縁から前方に延びている。本実施形態の場合、周壁部52Bは、後壁部52Aの周縁の全周に亘って設けられている。周壁部52Bは、周方向において段差状をなしている。周壁部52Bの後壁部52Aからの延出長さは、周壁部52Bの上部と比較して、周壁部52Bの下部のほうが長い。周壁部52Bの下部における後壁部52Aからの延出長さは、収納状態におけるAC基板51上の実装部品の実装高さに応じて設定されている。具体的には、周壁部52Bの下部において、周壁部52Bの延出長さは、AC基板ケース52に収納された状態のAC基板51上の実装部品の先端と同等以上の長さに設定されている。
【0025】
本実施形態の場合、周壁部52B下部における後壁部52Aからの延出長さは、図7に示すように、右側と比較して左側のほうが長い。上述のように、AC基板51において最も実装高さの高い実装部品は、実装面51Aの下部左寄りの位置に配置されている。このため、周壁部52Bにおける下部左寄りの部分の壁の高さは、AC基板51上の実装部品の最大実装高さに応じて設定されている。これに対し、周壁部52Bにおける下部右寄りの部分の壁の高さについては、AC基板51の右側に実装されている実装部品の実装高さに応じて設定されている。周壁部52Bの延出長さは、最も短い部分であっても、収納状態におけるAC基板51の実装面51Aを越えて延びている。周壁部52Bの内側には実装面51Aを覆う高さまでポッティング剤が充填される。
【0026】
図7から図9に示すように、AC基板ケース52は、内側固定爪52Eと、外側固定爪52Fと、を有している。内側固定爪52Eは、周壁部52Bの内側の複数箇所に設けられている。各内側固定爪52Eは、収納状態のAC基板51の外縁部に引っ掛けられることによって、AC基板51をスナップフィット固定する。外側固定爪52Fは、周壁部52Bの左右の外側に設けられている。外側固定爪52Fは、カバー53における後述するカバー固定孔53Aの内縁に引っ掛けられることによって、カバー53をスナップフィット固定する。
【0027】
カバー53は、AC基板51を上方から覆う。カバー53は、ABS等の樹脂成形品である。カバー53は、下方に開口する箱状をなしている。カバー53は、AC基板ケース52に収納された状態のAC基板51の上部に被せられる。図7から図10に示すように、カバー53は、カバー固定孔53Aと、カバー固定部53Bと、コネクタ固定部53Cと、立壁部53Dとを有している。カバー固定孔53Aは、カバー53とAC基板ケース52との固定に用いられる。カバー固定孔53Aは、カバー53における左右の側壁にそれぞれ設けられている。各カバー固定孔53Aは、角孔状に形成されている。各カバー固定孔53Aは、カバー53をAC基板51に被せた状態において、AC基板ケース52における外側固定爪52Fにそれぞれ引っ掛けられる。これによって、カバー53がAC基板51を収納した状態のAC基板ケース52に固定される。
【0028】
カバー固定部53Bは、AC基板51、AC基板ケース52、及びカバー53を組み付けてなる第1基板ユニット50と後ベースプレート40との固定に用いられる。カバー固定部53Bは、後ベースプレート40における凹部41の周辺部に設けられた固定ボス42にねじ止めされる。カバー固定部53Bは、カバー53における前部、後部、及び右側部の3箇所に設けられている。コネクタ固定部53Cは、第1基板ユニット50周辺に配索されるワイヤハーネスの中継コネクタを固定する。コネクタ固定部53Cは、カバー53における中央部及び右側部の2箇所に設けられている。
【0029】
立壁部53Dは、カバー53の上面から上方に立ち上がる。立壁部53Dは、前後方向に間隔を置いて一対設けられている。一対の立壁部53Dは、カバー53の上面を左右方向にそれぞれ延びている。一対の立壁部53Dの間の空間は、給水部材としての複数のホースH1,H2,H3の配索経路の一部を構成する。ホースH1,H2,H3は、上流端において図示しないポンプに連通し、下流端において、前ベースプレート30上のシャッター36及び局部洗浄ユニット31に接続される。立壁部53Dは、これらのホースH1,H2,H3と、AC基板51に接続されるワイヤハーネスWH1,WH2、後述する通信基板62等とを仕切る。
【0030】
図8及び図9に示すように、カバー53は、切欠き部53E,53F,53Gを有している。切欠き部53Eは、カバー53前壁の左側端部を上方に切り欠くようにして形成されている。切欠き部53Eは、AC基板51における左端の接続部51Cに接続されるワイヤハーネスWH2の配索経路となる。切欠き部53Fは、カバー53前壁の右側端部を上方に切り欠くようにして形成されている。切欠き部53Fは、AC基板51における右端の接続部51Cに接続される図示しないワイヤハーネスの配索経路となる。切欠き部53Gは、カバー53後壁の中央部右寄りの位置を上方に切り欠くようにして形成されている。切欠き部53Gは、接続部51Bに接続されるワイヤハーネスWH1の配索経路となる。ワイヤハーネスWH1は、接続部51BからAC基板51の上端を越えて後方に屈曲し、切欠き部53Gを通って後方に配索される。ワイヤハーネスWH1の他端のコネクタC1は、図示しない他のワイヤハーネスのコネクタと接続され、カバー53におけるコネクタ固定部53Cや凹部41後方のコネクタ収納部43等に配置される。
【0031】
図11に示すように、凹部41に配置された状態の第1基板ユニット50において、AC基板51は、凹部41の底面としての底壁41Cの上面から離れて配置される。具体的には、第1基板ユニット50は、凹部41内に配置された状態において、AC基板ケース52の周壁部52Bの下部を凹部41におけるリブ41Fの上面に対向させる。これによって、第1基板ユニット50は、リブ41Fの上面よりも下方に下がらないようにされている。
【0032】
図1から図3に示すように、第2基板ユニット60は、第1基板ユニット50の前方に配置される。第2基板ユニット60は、第1基板ユニット50における接続部51Cに接続されたワイヤハーネスWH2を介して、第1基板ユニット50と電気的に接続されている。第2基板ユニット60は、第1基板ユニット50の前方において前ベースプレート30上に配置される。具体的には、図12に示すように、第2基板ユニット60は、固定部材37を介して、除菌ユニット32及び脱臭ユニット33上に取り付けられる。
【0033】
固定部材37は、ABS等の樹脂成形品である。図12に示すように、固定部材37は、全体的に、前方から後方に向かって上り傾斜している。固定部材37は、前ベースプレート30上の除菌ユニット32及び脱臭ユニット33にビス止め固定される。固定部材37は、溝部37Aと、受部37B,37Cと、腕部37Dと、を有している。溝部37Aは、前後方向に延びる溝を形成する断面U字状をなしている。溝部37Aには、ホースH1,H2,H3のうちの2つのホースH1,H2が配索される。ホースH1,H2は、カバー53の上面を右方から左方へ配索されたのち、前方に延びて溝部37A内を下りつつ通過し、前ベースプレート30の局部洗浄ユニット31の左側部、及びシャッター36の左端部にそれぞれ接続される。溝部37Aには、ホースH1,H2の他、図示しない他のワイヤハーネス等も配索される。
【0034】
受部37B,37Cは、溝部37Aの左右両側に一対設けられている。一対の受部37B,37Cは、溝部37Aの左右の上縁から外側方向にそれぞれ延びている。左右一対の受部37B,37Cは、溝部37Aを挟んだ両側に面一な平坦面を形成している。受部37B,37Cの上面は、前方から後方に向かうにつれて上方に傾斜する平坦な傾斜面である。各受部37B,37Cの上面には、第2基板ユニット60における後述するDC基板ケース63が載せられる。
【0035】
腕部37Dは、溝部37Aの後端から右方向に延びている。腕部37D上にはホースH3が配索される。ホースH3は、カバー53から前方の固定部材37に到達し、腕部37D上を配索される。ホースH3は腕部37D上を通過したのち、局部洗浄ユニット31の後部下方、乾燥ユニット34の後方の順に配索され、熱交ユニット35上で前ベースプレート30の前部に回り込み、シャッター36の右端部に接続される。
【0036】
固定部材37は固定環37Eを有している。固定環37Eは、第2基板ユニット60を固定する固定部として機能する。固定環37Eは、受部37B,37Cの左右外側の縁部に複数設けられている。詳細には、固定環37Eは、右側の受部37Bに2箇所、左側の受部37Cに1箇所設けられている。各固定環37Eは、受部37B,37Cの縁部から上方に立ち上がり、左右方向に貫通する孔を形成している。固定環37Eは、DC基板ケース63における後述する外側固定爪63Dに対してスナップフィット固定される。
【0037】
図12及び図13に示すように、第2基板ユニット60は、DC基板61と、通信基板62と、DC基板ケース63と、通信基板ケース64とを有している。第2基板ユニット60は、DC基板61及び通信基板62をDC基板ケース63及び通信基板ケース64にそれぞれ収納して構成されている。DC基板61及びDC基板ケース63は、それぞれ本開示に係る制御基板及び制御基板ケースの例示である。
【0038】
DC基板61は、前部左隅が切欠かれた方形状の平面形状をなしている。DC基板61における実装面61Aには多数の実装部品が実装されている。DC基板61は、実装面61Aをやや前方の斜め上方に向けて配置されている。具体的には、DC基板61は、DC基板ケース63に収納された状態で、固定部材37における受部37B,37Cがなす傾斜面に沿って傾斜して配置される。
【0039】
DC基板ケース63は、ABS等の樹脂成形品である。図13に示すように、DC基板ケース63は、底壁部63Aと、周壁部63Bと、内側固定爪63Cと、外側固定爪63Dと、を有している。底壁部63Aは、DC基板61の平面形状よりも一回り大きな平面形状を有する平板状をなしている。DC基板ケース63は、この底壁部63Aの下面を固定部材37の受部37B,37C上に載せて固定部材37に固定される。底壁部63Aは、前側よりも後側が高い位置となるように、受部37B,37Cがなす傾斜面に沿って傾斜して配置される。
【0040】
図13に示すように、周壁部63Bは、底壁部63Aの周縁から上方に延びている。周壁部63Bは、底壁部63Aの周縁の全周に亘って設けられている。周壁部63Bの延出高さは、DC基板61における実装面61A上の実装部品の実装高さに関わらず、周方向の全周において同等である。周壁部63Bの延出高さは、DC基板ケース63に収納された状態のDC基板61の実装面61Aを越えている。周壁部63Bの内側には、実装面61Aを覆う高さまでポッティング剤が充填される。
【0041】
内側固定爪63Cは、周壁部63Bの内側の複数箇所に設けられている。各内側固定爪63Cは、収納状態のDC基板61の外縁に引っ掛けられることによって、DC基板61をスナップフィット固定する。外側固定爪63Dは、周壁部63Bの左右の外側に設けられている。外側固定爪63Dは、固定部材37における固定環37Eの内縁に引っ掛けられることによって、DC基板ケース63をスナップフィット固定する。
【0042】
DC基板ケース63は、ボス63Eと、リブ63Fとを有している。ボス63Eは、底壁部63Aの上面から上方に突出する。ボス63Eの突出端は、DC基板ケース63に収納された状態のDC基板61の裏面に対向する。これによって、DC基板ケース63に収納された状態のDC基板61は、少なくともボス63Eの高さの分の隙間が確保される。この隙間はポッティング剤の充填空間として利用される。リブ63Fは、底壁部63Aの下面から下方に突出する。リブ63Fは複数設けられている。複数のリブ63Fは、DC基板ケース63を固定部材37に固定する際に固定部材37の溝部37Aの内面等に対向するように配置される。これによって、DC基板ケース63は、固定部材37に対する位置ずれが抑制される。
【0043】
通信基板62は、スマートフォン等の外部機器と通信を行う。通信基板62は、例えば、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)、Wi-Fi(登録商標)等の通信規格に準拠した無線通信を外部機器と行い得る機能を有している。便器装置100は、通信基板62が受信する外部からの通信信号に応じて各機能部の機能の制御等を実行し得る。通信基板62は、図示しないワイヤハーネスを介してDC基板61と電気的に接続されている。
【0044】
通信基板62はDC基板61の後方に配置される。通信基板62は、実装面62Aを上向きにして配置されている。実装面62A上には図示しない通信モジュールが通信方向を上向きにして実装されている。通信基板62は、実装面62Aの高さをDC基板61の実装面61Aの後端の高さよりも高い位置にして配置されている。
【0045】
通信基板62は通信基板ケース64に収納される。通信基板ケース64は、ABS等の樹脂成形品である。図12及び図13に示すように、通信基板ケース64はDC基板ケース63に連結されている。通信基板ケース64は、前端部においてDC基板ケース63の後端部に連結されている。本実施形態の場合、通信基板ケース64は、樹脂成形によってDC基板ケース63と一体形成されている。通信基板ケース64は、DC基板ケース63の後端から後方に略水平に延びている。通信基板ケース64は、底壁部64Aと、周壁部64Bと、固定爪64Cとを有している。底壁部64Aは、水平方向に拡がる平坦面を形成している。周壁部64Bは、底壁部64Aの周縁から上方に延びている。固定爪64Cは、前後方向において通信基板62の外縁部をスナップフィット固定する。
【0046】
図3に示すように、通信基板62は、第2基板ユニット60を前ベースプレート30に取り付けた状態において、第1基板ユニット50におけるカバー53の前方に位置する。上述のように、カバー53は、ホースH1,H2,H3を間の空間に配索した一対の立壁部53Dを有している。通信基板62は、これら前後一対の立壁部53Dの前方に配置される。立壁部53Dは、給水部材としてのホースH1,H2,H3と通信基板62との間に配置される接触防止部として機能する。
【0047】
図2に示すように、通信基板62は、本体カバー24を被せた使用状態の機能部23においては、本体カバー24内の比較的上部に配置されている。本体カバー24内において、通信基板62の上方には、他の機能部品は配置されていない。すなわち、通信基板62は、本体カバー24内の他の部品に上方を覆われない位置に配置されている。通信基板62は、便座21における座面21Aよりも上方に配置されている。換言すると、通信基板62の高さ位置は、便座21における座面21Aよりも上方である。通信基板62は、閉状態の便蓋22に上方を覆われない位置に配置されている。換言すると、通信基板62の前後方向の位置は、閉状態の便蓋22の後端よりも後方である。
【0048】
上記構成の便器装置100の作用及び効果について説明する。便器装置100は、機能部23を備える。機能部23は、便鉢部11を有する便器本体10の後部に配置される。機能部23は、本体カバー24と通信基板62とを有している。通信基板62は、本体カバー24内の上部に配置されて外部と無線通信を行う。
【0049】
このような構成によって、便器装置100は、通信基板62の通信感度を良好にできる。例えば、通信基板が本体カバー内の下部に配置される場合、本体カバーの外部の空間と通信基板との物理的距離が離れるとともに、他の機能部品によって通信電波を遮られたりして十分な通信感度を確保できないおそれがある。これに対し、通信基板62は、機能部23の内部と外部とを隔てる本体カバー24に近接した位置に配置されるため、外部からの通信信号を受信し易い。通信基板62は、本体カバー24に近接した位置に配置されることから、通信信号の外部への送信も良好に行うことができる。したがって、便器装置100は、外部機器と良好に通信できる。
【0050】
便器装置100において、通信基板62は、便座21の座面21Aよりも上方に配置される。すなわち、便器装置100において、通信基板62は、機能部23の外部に配置される便座21に対しても相対的に高い位置にある。このため、便器装置100は、外部機器と良好に通信できる。
【0051】
便器装置100において、機能部23は、通信基板62と別体に設けられた制御基板としてのDC基板61と、DC基板61を収納する制御基板ケースとしてのDC基板ケース63と、DC基板ケース63に連結されて通信基板62を収納する通信基板ケース64と、を有している。すなわち、機能部23は、DC基板61と、通信基板62と、DC基板ケース63と、通信基板ケース64とをユニット化した第2基板ユニット60を有している。この構成によれば、ユニット化された状態の第2基板ユニット60においてDC基板61と通信基板62との電気的接続を確立したのちに機能部23に組み付けることができる。このため、便器装置100は、機能部23を容易に組み立てることができる。例えば、通信基板と制御基板とがユニット化されていない場合、それぞれを別々に機能部に組み付けた後にワイヤハーネス等を接続する必要があり煩雑である。これに対し、便器装置100は、通信基板62を、DC基板ケース63及び通信基板ケース64を介してDC基板61に連結してユニット化した第2基板ユニット60としたことによって、機能部23の組み立てを容易に行うことができる。
【0052】
便器装置100において、通信基板62は、閉状態の便蓋22に上方を覆われない位置に配置されている。このため、便器装置100は、外部機器と良好に通信できる。
【0053】
通信基板62は、本体カバー24内の他の部品に上方を覆われない位置に配置されている。このため、便器装置100は、外部機器と良好に通信できる。
【0054】
便器装置100において、機能部23は、ベースプレートとしての前ベースプレート30を有している。前ベースプレート30は、便器本体10の後部上面に配置されて便器本体10に対して昇降自在である。通信基板62は、この前ベースプレート30とともに昇降する。このため、便器装置100は、通信基板がベースプレートとともに昇降しない場合と比較して、通信基板62に接続されるワイヤハーネスがベースプレートの昇降に伴って噛み込まれてしまうのを回避するのが容易である。すなわち、便器装置100の場合、通信基板62は、DC基板61に電気的に接続されており、このDC基板61も前ベースプレート30とともに昇降する。このため、通信基板62とDC基板61との間のワイヤハーネスもともに昇降させることができ、噛み込みリスクを低減できる。このように、通信基板と電気的接続を確立する他部品であるDC基板61もベースプレートとともに昇降させる構成を採用することで、ワイヤハーネスの噛み込みリスクの低減を図ることができる。
【0055】
なお、通信基板上の通信モジュールを制御基板上に実装することで上記リスクの根本的解決を図ることも考えられる。しかしながら、通信モジュールは、ポッティングによって覆われると通信感度の低下が懸念される。このため、通信モジュールをポッティングを必要とする実装部品と同じ基板に実装することは回避すべきである。便器装置100は、通信モジュールをDC基板61とは別の基板である通信基板62に実装し、この通信基板62をDC基板ケース63に一体形成した通信基板ケース64に収納したことによって、通信基板62をDC基板61とユニット化している。このため、便器装置100は、ポッティングによるDC基板61上の実装部品の確実な絶縁を実現しつつ、DC基板61とは別体の通信基板62に接続されるワイヤハーネスの噛み込みリスクを低減することができる。
【0056】
便器装置100において、機能部23は、給水部材としてのホースH1,H2,H3と、接触防止部としてのカバー53の立壁部53Dを有している。ホースH1,H2,H3は、本体カバー24内に配策されて水を流通させる。立壁部53Dは、ホースH1,H2,H3と通信基板62との間に配置される。このため、便器装置100は、通信基板62とホースH1,H2,H3との接触を回避することができ、良好な通信感度を維持できる。
【0057】
便器装置100において、機能部23は、AC基板51と、後ベースプレート40とを有している。AC基板51は、表面に実装部品が実装されている。後ベースプレート40は、AC基板51を配置する凹部41を有している。AC基板51は、水平方向に対して交差する方向である鉛直方向に実装面51Aを沿わせた向きで、凹部41に配置されている。
【0058】
このような構成によって、便器装置100は、機能部23における設計自由度の向上を図ることができる。すなわち、AC基板51は、実装面51Aを水平方向に沿わせた平置き配置する場合と比較して、実装面51Aを鉛直方向に沿わせた縦置きのほうが後ベースプレート40上の平面投影面積が小さくなる。AC基板51は、後ベースプレート40に形成した凹部41内に配置されることによって、後ベースプレート40上にそのまま配置する場合と比較して、上方への突出量が抑えられる。このため、機能部23は、後ベースプレート40におけるスペース効率が向上し、後ベースプレート40上への他部品の配置自由度が向上する。したがって、便器装置100は、機能部23における設計自由度の向上を図ることができる。
【0059】
便器装置100において、AC基板51は、ワイヤハーネスWH1,WH2が接続される接続部51B,51Cを有している。接続部51B,51Cは、凹部41に配置された状態におけるAC基板51の上部に形成されている。このため、AC基板51は、AC基板51上の実装部品との接触を回避させつつ、ワイヤハーネスWH1,WH2を凹部41の上方に容易に引き出すことができる。
【0060】
便器装置100において、凹部41は前壁41Aを有している。前壁41Aは、凹部41に配置された状態のAC基板51における実装面51Aと対向する。前壁41Aの上端は、凹部41に配置した状態のAC基板51における接続部51B,51Cの高さよりも低い高さである。このため、AC基板51は、凹部41に配置された状態でワイヤハーネスWH1,WH2を接続する場合において、前壁41Aが接続作業の邪魔になりにくい。その結果、便器装置100は、凹部41に配置された状態のAC基板51にワイヤハーネスWH1,WH2を容易に接続することができ、機能部23の組み付け作業性を向上させることができる。
【0061】
便器装置100において、AC基板51における接続部51Bは、ワイヤハーネスWH1の端部に設けられたボードイン端子と接続する。このため、便器装置100は、接続部の配置の自由度の向上を図ることができる。例えば、基板の実装面上でコネクタ接続によってワイヤハーネスを接続する場合、コネクタを配置するためのスペースを実装面上に設ける必要がある。この場合、コネクタの大きさによっては、実装面上の配置に制限が生じるおそれがある。これに対し、接続部51Bは、ボードイン端子接続であるため、個々の端子と接続する個々の接続部を比較的自由に配置できる。その結果、便器装置100は、接続部の配置の自由度の向上を図ることができる。
【0062】
便器装置100において、凹部41の底部である底壁41Cには排水孔41Eが形成されている。このため、便器装置100は、例え凹部41に水が浸入した場合でも排水孔41Eから外部に排出することができる。その結果、便器装置100は、AC基板51が浸水するのを回避することができる。
【0063】
便器装置100において、AC基板51は、凹部41に差し込まれた状態において凹部41の底面から離れている。このため、AC基板51は、底面から離れている分、仮に凹部41に水が浸入して溜まった場合でも、ある程度の溜水を許容しつつ浸水を回避できる。その結果、便器装置100は、AC基板51の浸水を抑制することができる。
【0064】
便器装置100において、機能部23は、AC基板ケース52を有する。AC基板ケース52はAC基板51を収納する。AC基板ケース52は、後壁部52Aと、周壁部52Bと、を有している。周壁部52Bの下部は、AC基板51がAC基板ケース52に収納された状態において、AC基板51の実装面51A上の実装部品の先端と同等以上の位置まで延びている。このため、便器装置100は、AC基板51を凹部41に配置する際に、実装面51A上の実装部品が凹部41の前壁41Aに接触するのを抑制できる。その結果、便器装置100は、機能部23を組み立てる際のAC基板51の破損を回避できる。
【0065】
便器装置100において、機能部23はカバー53を有している。カバー53は、AC基板51を上方から覆う。このため、便器装置100は、AC基板51に対して、他の機能部品や、ホース等の給水部材、ワイヤハーネス等が上方から接触するのを回避することができる。
【0066】
便器装置100において、機能部23は水を流通させるホースH1,H2,H3を有している。ホースH1,H2,H3は、AC基板51に接続されるワイヤハーネスWH1,WH2との間をカバー53によって仕切られて配索されている。このため、便器装置100は、ホースH1,H2,H3において水漏れや結露が生じた場合でも、その水がワイヤハーネスを伝ってAC基板51に到達するのを回避できる。
【0067】
<他の実施形態>
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
【0068】
(1)ベースプレートの構成は、上記実施形態の構成に限定されない。ベースプレートは、例えば、前後に分割されることなく一体に設けられていてもよいし、3つ以上に分割されていてもよい。
【0069】
(2)本開示に係る通信基板の通信方式は、外部と無線通信を行う限り特に限定されない。
【0070】
(3)本開示に係る制御基板ケース及び通信基板ケースの構成は、上記実施形態の構成に限定されない。制御基板ケース及び通信基板ケースは、別体に設けられていてもよいし、連結されていなくてもよい。
【符号の説明】
【0071】
10…便器本体、11…便鉢部、21…便座、21A…便座の座面、22…便蓋、23…機能部、24…本体カバー、30…前ベースプレート(ベースプレート)、61…DC基板(制御基板)、62…通信基板、63…DC基板ケース(制御基板ケース)、64…通信基板ケース、100…便器装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13